(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】静電容量検出装置
(51)【国際特許分類】
G01R 27/26 20060101AFI20220117BHJP
【FI】
G01R27/26 C
(21)【出願番号】P 2017228082
(22)【出願日】2017-11-28
【審査請求日】2020-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】高橋 昭
【審査官】青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-106665(JP,A)
【文献】特開平08-327677(JP,A)
【文献】特開2005-083937(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0370411(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 27/26
G01R 29/12
G01R 29/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源及び検出電極間に直列に接続された第1コンデンサ及び第2コンデンサと、
前記第1コンデンサの両端子間に接続された第1スイッチと、
前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサの間に接続された第2スイッチと、
前記第2コンデンサの両端子間に接続された第3スイッチと、
前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び前記第3スイッチをオンオフ制御するとともに、前記第1コンデンサ及び前記第2スイッチ間の接続ノードに接続されて当該接続ノードの電位に基づいて前記第2コンデンサの静電容量の変化を検出する制御回路と、を備えた静電容量検出装置であって、
前記第2コンデンサの前記第2スイッチ側の端子と前記制御回路との間に接続され、前記第2スイッチ及び前記第3スイッチのスイッチング周波数を含む周波数の電位を透過させて他の特定の周波数の電位を透過させないフィルタ回路と、
前記フィルタ回路と前記制御回路との間であり、かつ前記接続ノードと前記制御回路との間に接続されたサンプルアンドホールド回路とを備え、
前記サンプルアンドホールド回路は、前記第2スイッチがオンに制御されている場合には、前記フィルタ回路の出力に応じた電位を出力し、前記第2スイッチがオフに制御されている場合には、次に前記第2スイッチがオンに制御されるまで、前記第2スイッチがオフに制御されたときの前記フィルタ回路の出力に応じた電位を保持して出力する
静電容量検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、静電容量検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された静電容量検出装置は、第1の電源と、第2の電源との間に直列に接続された第1コンデンサ及び第2コンデンサを備えている。第1コンデンサの両端子間には、第1スイッチが接続されている。第1コンデンサと第2コンデンサとの間には、第2スイッチが接続されている。第2コンデンサの両端子間には、第3スイッチが接続されている。
【0003】
この静電容量検出装置では、まず、第1スイッチのみがオンに制御される。これによって第1コンデンサが放電されて、当該第1コンデンサの両端子の電位が共に第1の電源の電位となる。この後、第2スイッチのみがオンに制御される。これによって、第1スイッチの第2コンデンサ側の端子の電位が低下するとともに、第2コンデンサが充電される。この後、第3スイッチのみがオンに制御される。これによって、第2コンデンサが放電される。第2スイッチをオンにする制御と第3スイッチをオンにする制御とを交互に繰り返すことによって、第1コンデンサにおける第2コンデンサ側の端子の電位が徐々に低下していく。この電位が参照電位を下回るまでの間に第2スイッチがオンに制御される回数に基づいて、第2コンデンサの静電容量の変化が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような静電容量検出装置の回路には、電磁ノイズが混入することがある。仮に電磁ノイズに起因して第1コンデンサにおける第2コンデンサ側の端子の電位が変動すると、その変動に伴って、当該電位が参照電位に達したと誤判定されたり、参照電位に達していないと誤判定されたりするおそれがある。こうした誤判定があると、第2コンデンサの容量変化の検出精度が悪化する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための静電容量検出装置は、電源及び検出電極間に直列に接続された第1コンデンサ及び第2コンデンサと、前記第1コンデンサの両端子間に接続された第1スイッチと、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサの間に接続された第2スイッチと、前記第2コンデンサの両端子間に接続された第3スイッチと、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び前記第3スイッチをオンオフ制御するとともに、前記第1コンデンサ及び前記第2スイッチ間の接続ノードに接続されて当該接続ノードの電位に基づいて前記第2コンデンサの静電容量の変化を検出する制御回路と、を備えた静電容量検出装置であって、前記第2コンデンサの前記第2スイッチ側の端子と前記制御回路との間に接続され、前記第2スイッチ及び前記第3スイッチのスイッチング周波数を含む周波数の電位を透過させて他の特定の周波数の電位を透過させないフィルタ回路と、前記フィルタ回路と前記制御回路との間であり、かつ前記接続ノードと前記制御回路との間に接続されたサンプルアンドホールド回路とを備えている。前記サンプルアンドホールド回路は、前記第2スイッチがオンに制御されている場合には、前記フィルタ回路の出力に応じた電位を出力し、前記第2スイッチがオフに制御されている場合には、次に前記第2スイッチがオンに制御されるまで、前記第2スイッチがオフに制御されたときの前記フィルタ回路の出力に応じた電位を保持して出力する。
【0007】
上記構成では、フィルタ回路によって、特定の周波数の電位の変動をフィルタリングできる。そして、サンプルアンドホールド回路が出力する電位は、このフィルタリング後の電位である。したがって、制御回路には、電磁ノイズに起因した変動が抑制された信号が入力される。また、上記構成では、第2スイッチがオフに制御されている場合、サンプル回路は一定の電位を保持し続ける。このようにして一定の電位を保持し続ければ、サンプルアンドホールド回路が保持する電位には、電磁ノイズの影響は反映されない。したがって、制御回路が第2コンデンサの静電容量の変化を検出するにあたって用いられる接続ノードの電位から電磁ノイズの影響を除去できる。この結果、第2コンデンサの静電容量の変化の検出精度が向上する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コンデンサの静電容量の変化の検出精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】静電容量検出装置における各信号のタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、静電容量検出装置の一実施形態を、図面を参照して説明する。なお、静電容量検出装置は、例えば車両のドアハンドルに内蔵され、ユーザがドアハンドルに触れたことを検出するものである。
【0015】
図1に示すように、静電容量検出装置は、直流の第1電源V1を備えている。第1電源V1には、第1コンデンサ11の一方の端子が接続されている。第1コンデンサ11は一定の静電容量を有する。第1コンデンサ11には、直列に第2コンデンサ12が接続されている。第2コンデンサ12の静電容量は、第1コンデンサ11の静電容量よりも小さくなっている。第2コンデンサ12において、第1コンデンサ11と接続されている側とは反対側の端子には、第2電源V2が接続されている。本実施形態において、第2電源V2は、自由空間に配置されている板状の検出電極である。そして、第2電源V2の電位は概ねグランド(接地)レベルである。また、検出電極に導電体(例えば、人間の手指)が近づいた場合には、第2コンデンサ12の静電容量が変化する。すなわち、第2コンデンサ12は、可変容量として機能する。
【0016】
第1コンデンサ11における第1電源V1側の端子と、第1コンデンサ11における第2コンデンサ12側の端子との間には、第1スイッチSW1が接続されている。第1コンデンサ11における第2コンデンサ12側の端子と、第2コンデンサ12における第1コンデンサ11側の端子との間には、第2スイッチSW2が接続されている。第2コンデンサ12における第1コンデンサ11側の端子と、第2コンデンサ12における第2電源V2側の端子との間には、第3スイッチSW3が接続されている。第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第3スイッチSW3は、例えばMOSトランジスタであり、制御回路31からの制御信号によってオンオフを制御される。
【0017】
第1コンデンサ11と第2スイッチSW2との間の接続ノード14(以下、単に接続ノード14と略記する。)には、フィルタ回路40の入力端子が接続されている。フィルタ回路40は、いわゆるローパスフィルタであり、所定周波数(例えば20MHz)以下の周波数の電位を透過させ、所定周波数を超える周波数の電位を透過させないようになっている。なお、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3のスイッチング周波数は、上記所定周波数以下である。フィルタ回路40の出力端子には、サンプルアンドホールド回路50の入力端子が接続されている。
【0018】
サンプルアンドホールド回路50は、第2スイッチSW2のオンオフ制御に合わせて動作する。具体的には、サンプルアンドホールド回路50は、第2スイッチSW2がオンに制御されているときには、フィルタ回路40の出力電位であるフィルタ後電位VMFを変化させずにそのままホールド電位VMHとして出力する。また、サンプルアンドホールド回路50は、第2スイッチSW2がオフに制御されているときには、第2スイッチSW2がオフに制御されたときのフィルタ後電位VMFを保持し、そのフィルタ後電位VMFを、次に第2スイッチSW2がオンに制御されるまで、ホールド電位VMHとして出力する。なお、この実施形態では、サンプルアンドホールド回路50は、第2スイッチSW2がオフに制御されたタイミングから所定時間遅延させた遅延タイミングにおけるフィルタ後電位VMFを保持してホールド電位VMHとして出力する。この所定時間は、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3のスイッチング周期よりも十分に短い時間が設定されており、例えば数ナノ秒~数十ナノ秒である。
【0019】
サンプルアンドホールド回路50の出力端子には、コンパレータ32の非反転入力端子が接続されている。コンパレータ32の反転入力端子には、第3電源V3が接続されている。第3電源V3は定電位電源であり、その電位である参照電位Vthは、第1電源V1の電位よりも低く、第2電源V2の電位よりも高くなっている。コンパレータ32は、非反転入力端子に入力されるホールド電位VMHが反転入力端子に入力される参照電位Vth以上であるときには、LOWレベルの出力信号Voutを出力する。そして、コンパレータ32は、非反転入力端子に入力されるホールド電位VMHが反転入力端子に入力される参照電位Vthよりも低いときには、HIGHレベルの出力信号Voutを出力する。コンパレータ32の出力端子は、制御回路31に接続されている。
【0020】
制御回路31は、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第3スイッチSW3をオンオフ制御することで、第2コンデンサ12の静電容量の変化を検出する。また、制御回路31は、サンプルアンドホールド回路50を制御し、当該サンプルアンドホールド回路50が入力された電位をそのまま出力するか、所定のタイミングで入力された電位を保持して出力するかを切り換える。
【0021】
制御回路31は、コンパレータ32の出力信号Voutに基づいて、第2コンデンサ12の静電容量の変化を検出する。その際の流れを以下に説明する。
図2に示すように、制御回路31は、タイミングt1において、第2コンデンサ12の静電容量の変化の検出処理を開始すると、まず、第1スイッチSW1のみをオンに制御し、第2スイッチSW2と第3スイッチSW3とをオフに制御する。これにより、第1コンデンサ11が放電されて、接続ノード14の電位VMが第1電源V1の電位である初期電位となる。この初期電位は、フィルタ回路40を通じてフィルタ後電位VMFとしてサンプルアンドホールド回路50に出力される。サンプルアンドホールド回路50は、フィルタ後電位VMFを変化させずにそのままホールド電位VMHとしてコンパレータ32に出力する。コンパレータ32は、ホールド電位VMHと参照電位Vthとを比較し、その比較結果としてLOWレベルの出力信号Voutを制御回路31に出力する。
【0022】
この後、制御回路31は、タイミングt2において、第2スイッチSW2のみをオンに制御し、第1スイッチSW1と第3スイッチSW3とをオフに制御する。これにより、接続ノード14の電位VMが低下するとともに、第2コンデンサ12が充電される。第2スイッチSW2がオンに制御されている間、フィルタ回路40は、接続ノード14の電位VMにフィルタをかけたフィルタ後電位VMFをサンプルアンドホールド回路50に出力する。サンプルアンドホールド回路50は、そのフィルタ後電位VMFを変化させずにそのままホールド電位VMHとしてコンパレータ32に出力する。コンパレータ32は、ホールド電位VMHと参照電位Vthとを比較し、その比較結果としてLOWレベルの出力信号Voutを制御回路31に出力する。
【0023】
この後、制御回路31は、タイミングt3において、第3スイッチSW3のみをオンに制御し、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2とをオフに制御する。これにより、第2コンデンサ12が放電される。第2スイッチSW2がオフに制御されている間、フィルタ回路40は、接続ノード14の電位VMにフィルタをかけたフィルタ後電位VMFをサンプルアンドホールド回路50に出力する。サンプルアンドホールド回路50は、第2スイッチSW2がオフに制御されたときのフィルタ後電位VMFを保持し、そのフィルタ後電位VMFを、次に第2スイッチSW2がオンに制御されるまで、ホールド電位VMHとしてコンパレータ32に出力する。コンパレータ32は、ホールド電位VMHと参照電位Vthとを比較し、その比較結果としてLOWレベルの出力信号Voutを制御回路31に出力する。
【0024】
この後、制御回路31は、第2スイッチSW2のみをオンにする制御と、第3スイッチSW3のみをオンにする制御とを交互に繰り返す。これにより、接続ノード14の電位VMは徐々に低下していく。それに合わせて、サンプルアンドホールド回路50がコンパレータに出力するホールド電位VMHも徐々に低下していく。ホールド電位VMHは、やがて参照電位Vthを下回る。ホールド電位VMHが参照電位Vthを下回ったタイミングt4において、コンパレータ32の出力信号VoutはHIGHレベルとなる。
【0025】
ここで、制御回路31は、第2スイッチSW2がオフに制御される毎に、コンパレータ32の出力信号Voutを取得している。詳細には、制御回路31は、第2スイッチSW2がオフに制御されている期間のうち、中央のタイミングよりも後半側のタイミングで出力信号Voutを取得している。
【0026】
制御回路31は、第2コンデンサ12の静電容量の変化の検出を開始してから、HIGHレベルの出力信号Voutが取得されるまでに、第2スイッチSW2のオンオフ制御が何度繰り返されたのかを算出する。制御回路31は、その算出結果と、予め定められている基準回数とを比較し、両者の差が規定回数以上である場合に、第2コンデンサ12の静電容量が変化したことを検出する。なお、上記基準回数は、検出電極に導電体が近づいていない状況下でのHIGHレベルの出力信号Voutが取得されるまでの第2スイッチSW2のオンオフ制御の回数として、試験的に求められている。
【0027】
次に、制御回路31が第2コンデンサ12の静電容量の変化を検出する際の、フィルタ回路40及びサンプルアンドホールド回路50の作用について説明する。
静電容量検出装置の回路には、電磁ノイズが混入することがある。電磁ノイズとしては、例えば、第2コンデンサ12や第2電源V2(検出電極)が拾う電磁ノイズがある。具体的には、第2コンデンサ12の各端子や第2電源V2は、導電体であるため、アンテナであるかのように機能して電磁ノイズを拾い得る。そして、このような電磁ノイズを拾ってしまうと、第2コンデンサ12の端子電圧は変動する。したがって、第2スイッチSW2がオンに制御されている場合、この電磁ノイズは、接続ノード14の電位VMを変動させる。
【0028】
また、他の電磁ノイズとしては、例えば、第1電源V1が電圧を生成する際に生じる電磁ノイズや、第1電源V1から第1コンデンサ11までの配線に混入する電磁ノイズがある。これらの電磁ノイズを拾ってしまうと、第1コンデンサ11の端子電圧は変動する。したがって、第2スイッチSW2がオフに制御されていたとしても、この電磁ノイズは、接続ノード14の電位VMを変動させる。
【0029】
上述のような電磁ノイズが接続ノード14の電位VMに含まれている場合、当該電位VMをそのままコンパレータ32にて参照電位Vthと比較してしまうと、つぎのような問題が生じ得る。すなわち、電磁ノイズに起因して接続ノード14の電位VMが変動し、その変動に伴って接続ノード14の電位VMが参照電位Vthに達したと誤判定されたり、逆に、当該電位VMが参照電位Vthに達していないと誤判定されたりするおそれがある。
【0030】
この点、上記構成では、接続ノード14とコンパレータ32との間に、フィルタ回路40及びサンプルアンドホールド回路50が設けられている。上述のとおり、第2スイッチSW2がオンに制御されている場合、接続ノード14の電位VMには、第2コンデンサ12側からの電磁ノイズが含まれ得る。フィルタ回路40は、この電磁ノイズに対応する周波数の電位の変動をフィルタリングして、電磁ノイズの少なくとも一部を遮断できる。そして、サンプルアンドホールド回路50がコンパレータ32に出力するホールド電位VMHは、このフィルタリング後の電位である。したがって、コンパレータ32には、電磁ノイズに起因した変動が抑制された電位が入力される。
【0031】
また、接続ノード14の電位VMには、第1電源V1側からの電磁ノイズが含まれ得る。第2スイッチSW2がオフに制御されている場合、サンプルアンドホールド回路50は、第2スイッチがオフに制御されたときのフィルタ後電位VMFを保持し続ける。このようにして一定の電位を保持し続ければ、サンプルアンドホールド回路50がコンパレータ32に出力するホールド電位VMHには、電磁ノイズの影響は反映されない。つまり、コンパレータ32には、電磁ノイズに起因した変動が含まれない電位が入力される。
【0032】
本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)フィルタ回路40及びサンプルアンドホールド回路50によって、制御回路31が第2コンデンサ12の静電容量の変化を検出するにあたって用いられる接続ノード14の電位VMから電磁ノイズの影響を除去できる。この結果、第2コンデンサ12の静電容量の変化の検出精度が向上する。
【0033】
(2)第2スイッチSW2のスイッチングノイズ等に起因して、第2スイッチSW2がオフに制御された後に接続ノード14の電位VMが完全に安定するまでには僅かなラグが生じ得る。この点、上記構成では、第2スイッチSW2がオフに制御されたタイミングから所定時間遅延させた遅延タイミングにおけるフィルタ後電位VMFをサンプルアンドホールド回路50で保持するようにしている。したがって、不安定な状態の接続ノード14の電位VMに対応するフィルタ後電位VMFをホールド電位VMHとしてコンパレータ32に出力してしまうことが抑制される。そして、コンパレータ32が、不安定な状態のホールド電位VMHと参照電位Vthとを比較してしまうことが抑制される。この結果、コンパレータ32による比較結果の信頼性の向上が期待される。
【0034】
(3)コンパレータ32に入力される電位が変化した直後は、コンパレータ32の内部回路において入力電位が反映されるのに時間を要したり、電位が不安定になったりする。そのため、コンパレータ32に入力される電位が変化した直後は、コンパレータ32による比較結果の出力の信頼性が劣る。上記構成では、第2スイッチSW2がオフに制御されている期間の後半側という、比較結果の信頼性が高いと考えられる期間のコンパレータ32の出力信号Voutに基づいて第2コンデンサ12の静電容量の変化を検出する。したがって、コンパレータ32の比較結果に基づいて第2コンデンサ12の静電容量の変化を検出するにあたって、その検出精度の向上が期待できる。
【0035】
なお、上記実施形態は以下のように変更して実施することもできる。
・制御回路31は、第2スイッチSW2がオフに制御されている期間のうち、中央のタイミングよりも前半側のタイミングで、コンパレータ32から出力信号Voutを取得してもよい。上記前半側のタイミングにおいて、第2スイッチSW2がオフにされたタイミングからある程度遅延したタイミングでは、コンパレータ32に入力された電位は比較的安定していると考えられる。したがって、こうしたタイミングであれば、コンパレータ32による比較結果の出力が劣る可能性は低くなる。なお、コンパレータ32の性能や機能等により、コンパレータ32に入力される電位が変化してもその直後にすぐ電位が安定するような場合には、第2スイッチSW2のオンオフに拘らずいずれの期間における出力信号Voutを制御回路31で取得するようにしてもよい。
【0036】
・コンパレータ32を廃止し、サンプルアンドホールド回路50が出力するホールド電位VMHを直接制御回路31に入力してもよい。そして、制御回路31に予め参照電位Vthを記憶させておき、制御回路31でホールド電位VMHと参照電位Vthとを比較してもよい。
【0037】
・第2スイッチSW2がオフに制御されている期間にサンプルアンドホールド回路50に保持させる電位を、第2スイッチSW2がオフに制御された時点(遅延タイミングをおく前のタイミング)のフィルタ後電位VMFとしてもよい。例えば第2スイッチSW2がオフに制御された後に接続ノード14の電位VMが不安定になる度合いが非常に小さい場合には、第2スイッチSW2がオフに制御された時点のフィルタ後電位VMFをサンプルアンドホールド回路50で保持するようにしても、コンパレータ32による比較結果の信頼性は劣り難い。
【0038】
・フィルタ回路40を、第2コンデンサ12における第1コンデンサ11側の端子と、第2スイッチSW2との間、又は、第2スイッチSW2と接続ノード14との間に接続してもよい。この場合、サンプルアンドホールド回路50は、接続ノード14とコンパレータ32との間に接続する必要がある。
【0039】
・フィルタ回路40は、ローパスフィルタでなくてもよい。例えば、フィルタ回路40は、ある特定の範囲の周波数の電位を透過させないようにしたバンドパスフィルタでもよい。ただし、フィルタ回路40は、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3のスイッチング周波数を含む周波数の電位を透過させる必要がある。
【0040】
・第2コンデンサ12の静電容量の変化の検出方法は、接続ノード14の電位VMに基づいたものであればよい。例えば、上記実施形態において、第2コンデンサ12の静電容量の変化の検出を開始してから、HIGHレベルの出力信号Voutが取得されるまでを1サイクルとし、そのサイクルを繰り返す。そして、サイクル毎に算出される第2スイッチSW2のオンオフ制御の繰り返し回数の時系列を作成する。この時系列の時間変動が検出誤差の許容範囲を超えた場合に、第2コンデンサ12の静電容量が変化したことを検出するようにしてもよい。
【0041】
・第2電源V2をグランドとしてもよい。
・静電容量検出装置の設置個所は、車両のドアハンドルに限定されない。静電容量検出装置は、例えば車両のドアや車両のエンブレム内に設置してもよい。静電容量検出装置は、車両以外に設置してもよい。
【符号の説明】
【0042】
11…第1コンデンサ、12…第2コンデンサ、14…接続ノード、31…制御回路、32…コンパレータ、40…フィルタ回路、50…サンプルアンドホールド回路、SW1…第1スイッチ、SW2…第2スイッチ、SW3…第3スイッチ、V1…第1電源(電源)、VM…電位