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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】トナー補給装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20220117BHJP
【FI】
G03G15/08 341
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2017232706
(22)【出願日】2017-12-04
(65)【公開番号】P2019101265
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2020-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 英詞
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-063799(JP,A)
【文献】特開2016-050958(JP,A)
【文献】特開2011-028027(JP,A)
【文献】特開2002-341636(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0263146(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像装置に供給されるトナーを収容し、収容されたトナーのうちの一定量を排出できるトナー収容容器と、
前記現像装置に供給されるトナー量を検出する検出部と、
前記トナー収容容器から前記一定量のトナーが排出された後、前記一定量のトナーと同量のトナーが前記検出部に検出されるまでの間における前記トナー収容容器からトナーを排出する際の駆動量に基づいて前記トナー収容容器に残存するトナーがなくなるタイミングを推定する判断部と、を備え、
前記トナー収容容器の内部には、前記一定量のトナーが収容される第1の収容部が設けられており、
前記判断部は、前記第1の収容部から前記一定量のトナーが排出された後、前記一定量のトナーと同量のトナーが前記検出部に検出されるまでの間における前記駆動量に基づいて、前記トナー収容容器に残存するトナーがなくなるタイミングを推定する、
トナー補給装置。
【請求項2】
前記駆動量は、前記トナー収容容器の累積回転数または累積回転時間である、請求項1に記載のトナー補給装置。
【請求項3】
現像装置に供給されるトナーを収容し、収容されたトナーのうちの一定量を排出できるトナー収容容器と、
前記現像装置にトナーを供給する供給部と、
前記現像装置に供給されるトナー量を検出する検出部と、
前記トナー収容容器から前記一定量のトナーが排出された後、前記一定量のトナーと同量のトナーが前記検出部に検出されるまでの間における前記供給部の駆動量に基づいて前記トナー収容容器に残存するトナーがなくなるタイミングを推定する判断部と、を備え、
前記トナー収容容器の内部には、前記一定量のトナーが収容される第1の収容部が設けられており、
前記判断部は、前記第1の収容部から前記一定量のトナーが排出された後、前記一定量のトナーと同量のトナーが前記検出部に検出されるまでの間における前記駆動量に基づいて、前記トナー収容容器に残存するトナーがなくなるタイミングを推定する、
トナー補給装置。
【請求項4】
前記供給部は、前記トナー収容容器の下流に設けられる搬送スクリューであり、
前記駆動量は、前記搬送スクリューの累積回転数または累積回転時間である、請求項3に記載のトナー補給装置。
【請求項5】
前記トナー収容容器の内部には、第2の収容部がさらに設けられており、
前記トナー収容容器が正転方向に回転することにより前記第1の収容部に収容されているトナーが排出され、
前記トナー収容容器が逆転方向に回転することにより前記第2の収容部に収容されているトナーが排出され、
前記判断部は、前記第1の収容部から前記一定量のトナーが排出された後、前記一定量のトナーと同量のトナーが前記検出部に検出されるまでの間における前記駆動量に基づいて、前記第2の収容部に収容されているトナーがなくなるタイミングを推定する、請求項に記載のトナー補給装置。
【請求項6】
前記第1の収容部および前記第2の収容部は、筒状の前記トナー収容容器の軸方向に並んで設けられている、請求項に記載のトナー補給装置。
【請求項7】
前記トナー収容容器の内壁は、螺旋状の形状を有する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のトナー補給装置。
【請求項8】
前記トナー収容容器から排出されるトナーを貯留するトナー貯留部をさらに備え、
前記トナー貯留部は、前記一定量のトナーを貯留できる、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のトナー補給装置。
【請求項9】
前記トナー収容容器は、前記トナー収容容器から前記一定量のトナーが前記トナー貯留部に排出された後、前記一定量のトナーと同量のトナーが前記検出部に検出されるまで前記トナー貯留部にトナーを排出しない、請求項に記載のトナー補給装置。
【請求項10】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載された前記トナー補給装置と、
前記トナー収容容器を収容する容器収容部と、を備える、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー補給装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トナー容器におけるトナー残量を算出する技術が、特開2002-341636号公報(特許文献1)、特開2008-33197号公報(特許文献2)、特許第4474678号公報(特許文献3)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-341636号公報
【文献】特開2008-33197号公報
【文献】特許第4474678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トナー収容容器の下流に位置する搬送スクリューの回転時間とトナー搬送量係数からトナー消費量が予測されて、トナー収容容器内の残存トナー量が算出されている。画像形成装置の使用環境、画像形成装置の使用条件、トナー収容容器の保管条件、トナーの生産条件、および部品精度等に起因して、実際のトナー消費量と予測トナー消費量との間にバラつきが生じる。その結果、実際の残存トナー量の正確な把握ができず、トナーニアエンプティの精度が低くなる。
【0005】
本開示では、トナー収容容器内の残存トナー量の推定精度を向上できるトナー補給装置および画像形成装置が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このトナー補給装置は、トナー収容容器と、検出部と、判断部とを備える。上記トナー収容容器は、現像装置に供給されるトナーを収容する。上記トナー収容容器は、収容されたトナーのうちの一定量を排出できる。上記検出部は、上記現像装置に供給されるトナー量を検出する。上記判断部は、上記トナー収容容器から一定量のトナーが排出された後、一定量のトナーと同量のトナーが上記検出部に検出されるまでの間における上記トナー収容容器からトナーを排出する際の駆動量に基づいて上記トナー収容容器に残存するトナーがなくなるタイミングを推定する。
【0007】
上記のトナー補給装置によると、トナー収容容器内の残存トナー量を精度よく推定することができる。
【0008】
上記のトナー補給装置において、上記駆動量は、上記トナー収容容器の累積回転数または累積回転時間である。これにより、トナー収容容器内の残存トナー量を精度よく推定することができる。
【0009】
このトナー補給装置は、トナー収容容器と、供給部と、検出部と、判断部とを備える。上記トナー収容容器は、現像装置に供給されるトナーを収容する。トナー収容容器は、収容されたトナーのうちの一定量を排出できる。上記供給部は、上記現像装置にトナーを供給する。上記検出部は、上記現像装置に供給されるトナー量を検出する。上記判断部は、上記トナー収容容器から一定量のトナーが排出された後、上記一定量のトナーと同量のトナーが上記検出部に検出されるまでの間における上記トナー収容容器からトナーを排出する際の駆動量に基づいて上記トナー収容容器に残存するトナーがなくなるタイミングを推定する。
【0010】
上記のトナー補給装置によると、トナー収容容器内の残存トナー量を精度よく推定することができる。
【0011】
上記のトナー補給装置において、上記供給部は、上記トナー収容容器の下流に設けられる搬送スクリューである。上記駆動量は、上記搬送スクリューの累積回転数または累積回転時間である。これにより、トナー収容容器内の残存トナー量を精度よく推定することができる。
【0012】
上記のトナー補給装置において、上記トナー収容容器の内部には、一定量のトナーが収容される第1の収容部が設けられている。上記判断部は、上記第1の収容部から一定量のトナーが排出された後、上記一定量のトナーと同量のトナーが上記検出部に検出されるまでの間における上記駆動量に基づいて、上記トナー収容容器に残存するトナーがなくなるタイミングを推定する。これにより、トナー収容容器から一定量のトナーを排出するための別構成を設ける必要がなくなる。したがって、トナー補給装置を簡易な構成とすることができる。
【0013】
上記のトナー補給装置において、上記トナー収容容器の内部には、第2の収容部がさらに設けられている。上記トナー収容容器が正転方向に回転することにより上記第1の収容部に収容されるトナーが排出される。上記トナー収容容器が逆転方向に回転することにより上記第2の収容部に収容されるトナーが排出される。上記判断部は、上記第1の収容部から上記一定量のトナーが排出された後、上記一定量のトナーと同量のトナーが上記検出部に検出されるまでの間における上記駆動量に基づいて、上記第2の収容部に収容されているトナーがなくなるタイミングを推定する。これにより、トナー収容容器から一定量のトナーを排出するための別構成を設ける必要がなくなる。したがって、トナー補給装置を簡易な構成とすることができる。
【0014】
上記のトナー補給装置において、上記第1の収容部および上記第2の収容部は、筒状の上記トナー収容容器の軸方向に並んで設けられている。これにより、トナー収容容器から一定量のトナーを排出するための別構成を設ける必要がなくなる。したがって、トナー補給装置を簡易な構成とすることができる。
【0015】
上記のトナー補給装置において、上記トナー収容容器の内壁は、螺旋状の形状を有する。これにより、製造コストを抑制することができる。
【0016】
上記のトナー補給装置は、トナー貯留部をさらに備える。上記トナー貯留部は、上記トナー収容容器から排出されるトナーを貯留する。上記トナー貯留部は、上記一定量のトナーを貯留できる。これにより、トナー収容容器内の残存トナー量を精度よく推定することができる。
【0017】
上記のトナー補給装置において、上記トナー収容容器は、上記トナー収容容器から一定量のトナーが上記トナー貯留部に排出された後、上記一定量のトナーと同量のトナーが上記検出部に検出されるまで、上記トナー貯留部にトナーを排出しない。これにより、トナー収容容器内の残存トナー量を精度よく推定することができる。
【0018】
この画像形成装置は、上記のいずれかの局面のトナー補給装置と、上記トナー収容容器を収容する容器収容部とを備える。これにより、トナー収容容器内の残存トナー量を精度よく推定できる画像形成装置を実現できる。
【発明の効果】
【0019】
本開示に従えば、トナー収容容器内の残存トナー量の推定精度を向上できるトナー補給装置および画像形成装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施の形態1における画像形成装置を示す模式図である。
図2】実施の形態1のトナー補給装置の概略断面図である。
図3図2に示すサブホッパ部の拡大斜視図である。
図4】実施の形態1のトナー収容容器の概略斜視図である。
図5】トナー補給装置の構成を示すブロック図である。
図6】実施の形態3のトナー収容容器の概略図である。
図7図6に示すトナー収容容器の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づいて、各実施の形態におけるトナー補給装置および画像形成装置について説明する。以下に示す実施の形態において、同一または実質的に同一の構成については、同一の符号を付して、重複した説明は繰り返さない。以下で説明される実施の形態の各構成は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0022】
[実施の形態1]
(画像形成装置100)
図1は、実施の形態1における画像形成装置100を示す模式図である。画像形成装置100は、画像形成部10Y,10M,10C,10K、トナー補給装置1Y,1M,1C,1K、中間転写ベルト16、支持ローラー17、2次転写ローラー18、カセット19、搬送ローラー20、定着装置21、媒体排出部22、画像読取部23を備えている。
【0023】
トナー補給装置1は、各色に対応するトナー補給装置1Y,1M,1C,1Kを含む。画像形成部10は、各色に対応する画像形成部10Y,10M,10C,10Kを含む。画像形成部10Y,10M,10C,10Kの各々は、感光体11、帯電装置12、露光装置13、現像装置14、1次転写ローラー15を有している。
【0024】
感光体11の表面は、帯電装置12によって一様に帯電される。露光装置13は、図示しない制御部によって制御され、画像読取部23からの画像情報または装置外部から受信した画像情報に基づき感光体11の表面を露光する。感光体11の表面には静電潜像が形成される。現像装置14が静電潜像を現像することによって、感光体11の表面には画像情報に対応するトナー像が形成される(現像過程)。
【0025】
現像装置14内のトナーが少なくなると、現像装置14は、各現像装置14に対応するトナー補給装置1にトナーの補給を要求する。現像装置14内のトナー消費量に応じて、トナー補給装置1は、現像装置14にトナーを補給する。
【0026】
感光体11の表面に形成されるトナー像は、感光体11と1次転写ローラー15との間の1次転写部において、1次転写ローラー15から付与される電界により、中間転写ベルト16上に転写される(1次転写過程)。中間転写ベルト16は、複数の支持ローラー17によって張架されており、駆動力を受けて走行する。画像形成部10Y,10M,10C,10Kの各々によって形成されたトナー像は、中間転写ベルト16上で重ね合わされる。支持ローラー17(中間転写ベルト16)と2次転写ローラー18との間に2次転写部が形成される。
【0027】
搬送ローラー20は、記録媒体搬送経路を形成している。カセット19内に収容された記録媒体Mは、この記録媒体搬送経路を通して2次転写部に送り出される。中間転写ベルト16上のトナー像は、2次転写部において、2次転写ローラー18から付与される電界により、記録媒体M上に転写される(2次転写過程)。記録媒体M上のトナー像は、定着装置21によって加熱および加圧され、記録媒体M上に定着する(定着過程)。その後、記録媒体Mは媒体排出部22に排出される。
【0028】
画像形成装置100は、制御部24をさらに備える。制御部24は、上記で説明した現像過程から定着過程までの中において、画像形成部10、および定着装置21等を制御する。
【0029】
(トナー補給装置1)
図2は、実施の形態1のトナー補給装置1の概略断面図である。図3は、図2に示すサブホッパ部30の拡大斜視図である。図2および図3を用いて、トナー補給装置1について説明する。トナー補給装置1は、容器収容部9、トナー収容容器5、およびサブホッパ部30を有する。
【0030】
容器収容部9は、トナー収容容器5を収容する。容器収容部9は、排出部9aを有する。トナー収容容器5に充填されているトナーは、排出部9aから排出される。トナー収容容器5は、容器収容部9に設置される。トナー収容容器5は、容器収容部9から着脱可能である。
【0031】
トナー収容容器5が容器収容部9に設置されると、図示しないトナー封止部材が設置動作に合わせて移動する。トナー封止部材が移動することにより、排出部9aが解放される。これにより、トナー収容容器5内に収容されていたトナーが、排出部9aからサブホッパ部30に排出される(図2および図3中白抜き矢印)。
【0032】
(サブホッパ部30)
サブホッパ部30は、トナー収容容器5の下流に設けられている。サブホッパ部30は、トナー収容容器5と現像装置14との間に設けられている。トナー収容容器5からサブホッパ部30に排出されたトナーは、サブホッパ部30内に貯留される。サブホッパ部30内に貯留されたトナーは、現像装置14からの要求に応じて現像装置14に供給される。サブホッパ部30は、トナー貯留部8、撹拌部2、カム部3、検出部7、および供給部6を含む。
【0033】
トナー貯留部8は、トナー収容容器5から排出されたトナーを貯留する。トナー貯留部8の最大積載容積は予め定められている。トナー貯留部8の最大積載容積から、トナー貯留部8の最大収容トナー量(以下、最大収容量)がわかる。トナー貯留部8には、一定量(最大収容量)のトナーを収容できる。トナー貯留部8内には、撹拌部2、カム部3、検出部7および供給部6が配置されている。
【0034】
撹拌部2は、トナー収容容器5から排出されたトナーを、供給部6に向けて供給する。撹拌部2は、貯留されたトナーを撹拌しトナーの凝集を防止する。これにより、撹拌部2は、安定したトナー貯留状態を確保する。
【0035】
供給部6は、トナー貯留部8の下方に位置している。供給部6は、搬送スクリュー6aおよび搬送管6bを有する。搬送管6bは、搬送スクリュー6aを覆っている。搬送スクリュー6aは、現像装置14からのトナー補給要求に合わせて、トナー貯留部8に貯留したトナーを現像装置14に供給する。
【0036】
カム部3は、撹拌部2の動作と連動する。カム部3は、回転する軸に取付けられている。カム部3の外周には、軸の回転角度に対応した曲面が形成されている。
【0037】
検出部7は、検出部材7aおよび検出センサ7bを含む。検出部材7aは、軸を中心に円弧上を移動可能な構成となっている。検出部材7aは、トナー貯留部8にトナーの液面上に配置されている。
【0038】
トナー貯留部8に貯留されているトナー量が最大収容量の場合、検出部材7aは、回転するカム部3よりも常に上に位置することになる。そのため、カム部3が回転しても検出部材7aおよびカム部3は接触しない。検出部材7aおよびカム部3が接触しないとき、検出センサ7bは、トナー貯留部8に貯留されているトナー量が最大収容量であることを検出する。
【0039】
トナー貯留部8に貯留されているトナー量が最大収容量に満たない場合、検出部材7aは、回転するカム部3と接触することになる。これにより、検出部材7aは、上下に搖動する。検出部材7aの上下搖動を検出することによって、検出センサ7bは、トナー貯留部8に貯留されているトナー量を検出できる。検出部材7aの上下搖動の幅が大きい場合は、検出部材7aの上下搖動の幅が小さい場合と比較して、トナー貯留部8に貯留されているトナー量は少ない。
【0040】
(トナー収容容器5)
図4は、実施の形態1のトナー収容容器5の概略斜視図である。トナー収容容器5は、ブロー成形により製造される。トナー収容容器5は、現像装置14に供給されるトナーを収容する。トナー収容容器5は、円筒状の形状を有する。トナー収容容器5は、仕切り部5aおよび排出口5bが設けられている。実施の形態1の排出口5bは、トナー収容容器5の端部に設けられている。
【0041】
仕切り部5aは、トナー収容容器5の軸方向DR3に延びている。仕切り部5aは、トナー収容容器5の内部に設けられている。トナー収容容器5の内部には、第1の収容部31および第2の収容部32が設けられる。トナー収容容器5の内部は、仕切り部5aによって第1の収容部31および第2の収容部32に分割されている。第1の収容部31および第2の収容部32の容積はほぼ同じである。第1の収容部31および第2の収容部32には、一定量のトナーが収容されている。
【0042】
トナー収容容器5の内壁には、螺旋状の凹凸が設けられている。第1の収容部31の内壁には、凸部からなる螺旋状の第1の螺旋部31aが設けられている。第2の収容部32の内壁には、凸部からなる螺旋状の第2の螺旋部32aが設けられている。第2の螺旋部32aの巻き方向は、第1の螺旋部31aの巻き方向と逆向きである。
【0043】
トナー収容容器5は、図示しない駆動部により回転させられる。図4中のDR1方向は、トナー収容容器5の正転方向である。正転方向は、排出口5bが設けられている側のトナー収容容器5の端部から見て、トナー収容容器5が時計回りに回転する方向である。図4中のDR2方向は、トナー収容容器5の逆転方向である。逆転方向は、排出口5bが設けられている側のトナー収容容器5の端部から見て、トナー収容容器5が反時計回りに回転する方向である。
【0044】
トナー収容容器5が正転方向DR1に回転することにより、第1の螺旋部31aは、第1の収容部31に収容されているトナーを排出口5bに近づける方向に搬送する。これにより、第1の収容部31に収容されているトナーが排出口5bから排出される。
【0045】
一方、トナー収容容器5が正転方向DR1に回転するとき、第2の螺旋部32aの巻き方向が第1の螺旋部31aの巻き方向と逆向きであることから、第2の螺旋部32aは、第2の収容部32に収容されているトナーを排出口5bから離れる方向に搬送する。トナー収容容器5が正転方向DR1に回転するとき、第2の収容部32に収容されているトナーは、排出口5bから排出されない。
【0046】
第1の収容部31内のトナーが排出されて空になった場合、現像装置14に要求によりトナーを補充するときは、トナー収容容器5が逆転方向DR2に回転する。トナー収容容器5が逆転方向DR2に回転することにより、第2の螺旋部32aは、第2の収容部32に収容されているトナーを排出口5bに近づく方向に搬送する。これにより、第2の収容部32に収容されているトナーが排出口5bから排出される。
【0047】
実施の形態のトナー収容容器5は、第1の螺旋部31aおよび第2の螺旋部32aによりトナーを搬送する構成であるため、トナーを搬送する力(トナー移動力)は比較的小さい。そのため、第2の収容部32に収容されているトナーが、排出口5bが設けられている側と反対側のトナー収容容器5の端部に押圧され、トナーが固まること(パッキング)を抑制することができる。さらに、上記構成とすることで、別途、トナー収容容器5内のトナーを搬送する機構を必要としないため、製造コストを抑制することができる。
【0048】
(判断部33)
図5は、トナー補給装置1の構成を示すブロック図である。トナー補給装置1は、回転検出部36、メモリー部34、発信部35、および判断部33をさらに備える。回転検出部36は、搬送スクリュー6aおよびトナー収容容器5の回転数および回転時間を検出する。回転検出部36は、搬送スクリュー6aおよびトナー収容容器5の回転数および回転時間を累積してカウントすることができる。
【0049】
メモリー部34には、第1の収容部31および第2の収容部32に収容されている一定量のトナー量に関するデーターが格納されている。メモリー部34には、トナー収容容器5に収容されているトナー量に関するデーターが格納されている。メモリー部34には、トナー貯留部8の最大収容量に関するデーターが格納されている。
【0050】
判断部33は、検出センサ7bが検出したトナー量の情報を基に、トナー収容容器5からのトナー排出の動作または停止を決定する。発信部35は、判断部33からの指令に基づいて、トナーニアエンプティ状態(トナー収容容器5に収容されているトナー量が所定量以下である状態)およびトナーエンプティ状態(トナー収容容器5に収容されている使用可能なトナー量がゼロである状態)であることを発信する。
【0051】
(トナー収容容器5の残存トナー量推定方法)
トナー貯留部8は、最大収容量のトナーが貯留されている状態に保たれている。現像装置14内のトナーが消費されると、現像装置14は、その消費量に応じてトナー補給装置1にトナーの補充を要求する。現像装置14からのトナー補充要求に従って、搬送スクリュー6aは、トナー貯留部8に貯留しているトナーを現像装置14へ補給する。回転検出部36は、トナー収容容器5および搬送スクリュー6aの回転数および回転時間を累積カウントする。
【0052】
現像装置14にトナーを補給することにより、トナー貯留部8に貯留しているトナー量が減少するため、トナー貯留部8に貯留されているトナーの液面が降下し、検出部材7aおよびカム部3が接触する。検出部材7aおよびカム部3が接触することにより、検出センサ7bは、トナー貯留部8のトナー量が最大収容量と比較して減少していることを検出する。
【0053】
検出センサ7bがトナー貯留部8のトナー量の減少を検出することにより、判断部33がトナー収容容器5を正転方向DR1に正転駆動させる。判断部33は、トナー貯留部8のトナー量が最大収容量になるまで(検出センサ7bがトナー貯留部8に貯留されているトナー量が最大収容量であることを検出するまで)、第1の収容部31からトナーを排出させる。検出センサ7bがトナー貯留部8に貯留されているトナー量が最大収容量であることを検出した場合、判断部33は、トナー収容容器5の回転を停止させる。このようにして、トナー貯留部8は、最大収容量のトナーが貯留されている状態が保たれる。
【0054】
トナー収容容器5を正転駆動させても、検出センサ7bがトナー貯留部8のトナー量の増加を検出しない場合、判断部33は、第1の収容部31に収容されている使用可能なトナーがゼロになったと判断する。
【0055】
判断部33が第1の収容部31に収容されている使用可能なトナーがゼロとなったと判断すると、判断部33は、トナー収容容器5を逆転方向DR2に回転させる。これにより、第2の収容部32からトナー貯留部8にトナーが補給される。第2の収容部32からトナーを排出する場合においても同様の流れで、トナー貯留部8に最大収容量のトナーが貯留されている状態が保たれる。
【0056】
上記のように、トナー貯留部8に貯留されているトナーが現像装置14に供給されるとトナー収容容器5からトナー貯留部8にトナーが補充される。このように、現像装置14へのトナーの供給と、トナー収容容器5からのトナーの補充を繰り返していく中で、検出センサ7bは、トナー貯留部8に貯留されているトナー量と同時に、現像装置14に供給されるトナー量を検出する。
【0057】
前述したように、第1の収容部31には、既知の一定量のトナーが収容されている。トナー収容容器5に第1の収容部31を設けることにより、トナー収容容器5は、収容されたトナーのうちの一定量を排出できる。
【0058】
回転検出部36は、トナー収容容器5(第1の収容部31)から一定量のトナーが排出された後、上記一定量のトナーと同量のトナーが現像装置14に供給されることを検出センサ7bに検出されるまでの間における駆動量を検出する。駆動量は、トナー収容容器5からトナーを排出する際に使用した機構の駆動量であり、実施の形態1のトナー補給装置1においては、トナー収容容器5の駆動量である。トナー収容容器5の駆動量とは、トナー収容容器5の累積回転数または累積回転時間である。
【0059】
判断部33は、回転検出部36が検出した上記トナー収容容器5の駆動量のデーター、およびメモリー部34に格納された第1の収容部31に収容されている一定量のトナー量に関するデーターに基づいて、現像装置14が消費するトナー量に対するトナー収容容器5の駆動量を算出する。判断部33は、記録媒体に画像形成する際に消費されるトナー量に対するトナー収容容器5の駆動量を算出する。
【0060】
判断部33は、上記算出した駆動量のデーター、およびメモリー部34に格納された第2の収容部32に収容されている一定量のトナー量に関するデーターに基づき、第2の収容部32に収容されている(トナー収容容器5に残存する)トナーが消費されてなくなるまでのトナー収容容器5の駆動量を算出する。これにより、あとどの程度の回転数または回転時間で第2の収容部32内の使用可能なトナーがゼロになるかを推定できる。
【0061】
第1の収容部31および第2の収容部32の内壁の螺旋形状は、螺旋の巻き方向は異なるが、螺旋のピッチ、形状、および個数等は、ほぼ同じである。さらに、上述したようにトナー収容容器5内のトナー移動力は小さく、パッキングを発生させにくい。
【0062】
したがって、トナー収容容器5が一方向に回転を続けた場合、第1の収容部31および第2の収容部32からのトナー排出状態の変化は小さい。そのため、正転駆動時のデーター(現像装置14が消費するトナー消費量に対する搬送スクリュー6aの駆動量)を逆転駆動時にも用いることができる。
【0063】
なお、正転駆動から逆転駆動に切り替える際に、排出口5bが設けられている側と反対側の第2の収容部32の端部に貯まっているトナーが排出口5bまでにたどりつくまでの駆動時間を追加で設けることにより、安定したトナー排出状態を確保することができる。
【0064】
上記のようにして、第1の収容部31に収容されている一定量のトナー補給データーからトナー収容容器5(第2の収容部32)に残存するトナーがなくなるタイミング(トナー収容容器5内の残存トナー量)を推定する。これにより、トナー収容容器5内の残存トナー量を精度よく推定することができる。
【0065】
判断部33は、トナー収容容器5内の残存トナー量が所定量以下になると、発信部35に、トナー収容容器5がトナーニアエンプティ状態であることを発信させることができる。この構成を用いて、交換用のトナー収容容器5をユーザーの下へ自動配送するシステムを用いる場合がある。このシステムにおいて、トナーニアエンプティ状態の発信が遅くなった場合には、ユーザーへの交換用のトナー収容容器の到着が間に合わず画像形成装置が使用不可状態となる可能性がある。
【0066】
一方、トナーニアエンプティ状態の発信が早すぎた場合には、トナー収容容器内に十分にトナーが残っているにも関わらずトナー収容容器を新品と交換する可能性、およびユーザー先でのトナー収容容器の保管スペースが必要となる可能性がある。そのため、トナー収容容器の自動配送システムを有効に運用するためにはトナー収容容器内の残存トナー量を精度よく推定することが必要である。
【0067】
実施の形態1のトナー補給装置1において、第1の収容部31に収容されたトナーが実際に消費されたときのデーターを基にトナー収容容器5の残存トナー量が推定されるため、トナー収容容器5の残存トナー量を高精度に推定することができる。
【0068】
さらに、第1の収容部31(トナー収容容器5)の部品寸法、トナー収容容器5の保管条件、トナーの生産条件、および第1の収容部31の使用環境(画像形成装置の使用条件、温度および湿度等)と、第2の収容部32のそれらと、がほぼ同一の場合、トナー収容容器5内の残存トナー量をより高精度に推定することができる。
【0069】
さらに、トナー収容容器5が空になった後、交換後のトナー収容容器5において残存トナー量を推定できるだけではなく、交換したばかりの(または現在使用している)トナー収容容器5であってもトナー収容容器5の残存トナー量を高精度に推定することができる。
【0070】
トナー収容容器5に第1の収容部31および第2の収容部32を設けることにより、トナー収容容器5から一定量のトナーを排出するための別構成を設ける必要がなくなる。これにより、トナー補給装置1を簡易な構成とすることができる。
【0071】
[実施の形態2]
実施の形態2のトナー補給装置1において、回転検出部36は、トナー収容容器5(第1の収容部31)から一定量のトナーが排出された後、上記一定量のトナーと同量のトナーが現像装置14に供給されることを検出センサ7bに検出されるまでの間における供給部6(搬送スクリュー6a)の駆動量を検出する。搬送スクリュー6aの駆動量は、搬送スクリュー6aの累積回転数または累積回転時間である。
【0072】
トナー収容容器5の内壁に設けられている螺旋部のピッチよりも搬送スクリュー6aのピッチの方が小さい。そのため、搬送スクリュー6aにより駆動量を算出する方が、トナー収容容器5内の残存トナー量推定精度をよりよくすることができる。
【0073】
[実施の形態3]
図6は、実施の形態3のトナー収容容器5の概略図である。図7は、図6に示すトナー収容容器5の側面図である。実施の形態3のトナー収容容器5において、排出口5bは、軸方向DR3において、第1の収容部31および第2の収容部32の間に設けられている。第1の収容部31および第2の収容部32は、トナー収容容器5の軸方向DR3に並んで設けられている。仕切り部5aは、第1の収容部31および第2の収容部32の間に設けられている。第1の収容部31および第2の収容部32は、一定量のトナーを収容している。
【0074】
実施の形態3のトナー収容容器5においても、第1の収容部31に収容されている一定量のトナー補給データーからトナー収容容器5(第2の収容部32)に残存するトナーがなくなるタイミング(トナー収容容器5内の残存トナー量)を推定する。
【0075】
実施の形態3のトナー収容容器5においても、実施の形態1のトナー収容容器5を備えるトナー補給装置1と同様に、トナー収容容器5内の残存トナー量を精度よく推定する効果が得られる。
【0076】
[実施の形態4]
トナー収容容器5の構成が、仕切り部5aによって内部が区切られておらず、収容されたトナーのうちの一定量のトナーをトナー収容容器5だけでは排出できない場合でも、実施の形態4のトナー収容容器5は、トナー貯留部8を用いることにより一定量のトナーを排出することができる。実施の形態4のトナー収容容器5内の残存トナー量予測方法を以下において説明する。
【0077】
トナー貯留部8に貯留されている使用可能なトナー量がゼロとなった場合、検出センサ7bが、使用可能なトナー量がゼロであることを検出する。判断部33は、発信部35にトナーエンプティ状態であることを発信させ、トナー収容容器5の交換が促される。発信部35の指示に従って新品のトナー収容容器5を容器収容部9に設置すると、トナー収容容器5に正転駆動がかかり、トナー収容容器5からトナー貯留部8にトナーが排出される。これにより、トナー収容容器5からトナー貯留部8にトナーが補給される。
【0078】
判断部33は、トナー貯留部8に貯留されるトナー量が最大収容量と等しくなるまで、トナー収容容器5からトナーを補充させる。トナー貯留部8の最大収容量は既知の値であるため、トナー貯留部8を用いることでトナー収容容器5は、(最大収容量と等しい)一定量のトナーを排出することができる。これにより、トナー貯留部8は、一定量のトナーを貯留できる。
【0079】
実施の形態1から実施の形態3のトナー補給装置1と同様に、現像装置14のトナー補充要求にしたがって、搬送スクリュー6aは、トナー貯留部8に貯留されているトナーを現像装置14に供給するが、検出センサ7bが再びトナー貯留部8に貯留されている使用可能なトナー量がゼロであることを検出するまで、トナー収容容器5からは、トナー貯留部8にトナーが排出されない。
【0080】
トナー収容容器5から(最大収容量と等しい)一定量のトナーがトナー貯留部8に排出された後、最大収容量のトナーと同量のトナーが現像装置14に供給されたことを検出センサ7bが検出するまで、トナー収容容器5は、トナー貯留部8にトナーを排出しない。
【0081】
回転検出部36は、トナー収容容器5から(最大収容量と等しい)一定量のトナーがトナー貯留部8に排出された後、検出センサ7bが再び、トナー貯留部8に貯留されている使用可能なトナー量がゼロであることを検出するまでの間における搬送スクリュー6aの駆動量を検出する。
【0082】
判断部33は、上記の回転検出部36が検出した駆動量のデーター、およびメモリー部34に格納されたトナー貯留部8の最大収容量に関するデーターに基づいて、現像装置14が消費するトナー消費量に対する搬送スクリュー6aの駆動量を算出する。
【0083】
判断部33は、上記算出したデーター、メモリー部34に格納されたトナー収容容器5に収容されている一定量のトナー量に関するデーター、およびトナー貯留部8の最大収容量に関するデーターに基づき、トナー収容容器5に残存するトナーが消費されるのに必要とされる搬送スクリュー6aの累積回転数または累積回転時間を算出する。
【0084】
実施の形態4のトナー収容容器5において、トナー貯留部8を用いてトナー収容容器5内の残存トナー量を推定する構成とすることにより、トナー収容容器5内の残存トナー量をより精度よく推定する効果が得られる。
【0085】
なお、実施の形態において、トナー収容容器5からトナーを排出させる機構としてトナー収容容器5を回転させて、内壁の螺旋部により内部のトナーを移動させる構成としているが、トナー収容容器5内のトナーを搬送する別機構があってもよい。この場合、回転検出部36は、駆動量として、当該別機構の駆動量を検出する構成としてもよい。
【0086】
なお、実施の形態において、回転検出部36、メモリー部34、発信部35、および判断部33は、トナー補給装置1に含まれている構成としたが、制御部24に含まれている構成としてもよい。
【0087】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0088】
1,1C,1K,1M,1Y トナー補給装置、2 撹拌部、3 カム部、5 トナー収容容器、5a 仕切り部、5b 排出口、6 供給部、6a 搬送スクリュー、6b 搬送管、7 検出部、7a 検出部材、7b 検出センサ、8 トナー貯留部、9 容器収容部、9a 排出部、10C,10K,10M,10Y 画像形成部、11 感光体、12 帯電装置、13 露光装置、14 現像装置、16 中間転写ベルト、17 支持ローラー、19 カセット、20 搬送ローラー、21 定着装置、22 媒体排出部、23 画像読取部、24 制御部、30 サブホッパ部、31 第1の収容部、31a 第1の螺旋部、32 第2の収容部、32a 第1の螺旋部、33 判断部、34 メモリー部、35 発信部、36 回転検出部、100 画像形成装置、DR1 正転方向、DR2 逆転方向、DR3 軸方向、M 記録媒体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7