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特許7006362給紙装置、画像形成装置、及び画像形成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】給紙装置、画像形成装置、及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/12 20060101AFI20220117BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20220117BHJP
   B65H 3/48 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
B65H3/12 310A
G03G15/00 405
B65H3/48 320B
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018029253
(22)【出願日】2018-02-22
(65)【公開番号】P2019142672
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100194582
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 康浩
(72)【発明者】
【氏名】山内 友樹
【審査官】飯田 義久
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-018403(JP,A)
【文献】特開2005-162455(JP,A)
【文献】特開2017-052630(JP,A)
【文献】特開2013-091550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00- 3/68
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の用紙が載置される載置台と、
前記載置台に載置された複数枚の用紙を上から順に吸引する吸引部と、
前記吸引部により吸引される用紙を搬送する給紙搬送部と、
用紙の浮上開始から用紙搬送開始までに、前記給紙搬送部により搬送される用紙の姿勢を変更する姿勢変更部と、
を備え、
前記姿勢変更部は、
前記載置台に載置された複数枚の用紙のうち、最上位の用紙の用紙搬送方向に対する向きと、最上位の次の用紙の前記用紙搬送方向に対する向きとを相対的に異ならせる、
給紙装置。
【請求項2】
前記姿勢変更部は、
前記載置台に載置された状態の最上位の用紙の前記用紙搬送方向に対する向きと、前記吸引部の吸引により前記給紙搬送部に吸着された状態の最上位の用紙の前記用紙搬送方向に対する向きとが異なるように、用紙の姿勢を用紙面上で変更させる、
請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
前記用紙搬送方向に沿って配置され、用紙の側端を規制する側端規制部と、
前記側端規制部の上端に延設されるガイド部材と、
をさらに備え、
前記ガイド部材は、
用紙の側端に当接するものであり、
前記姿勢変更部は、
前記ガイド部材を含み、当該ガイド部材により用紙の前記用紙搬送方向に対する向きを変更させる、
請求項1又は2に記載の給紙装置。
【請求項4】
前記用紙搬送方向に沿って、用紙の両側端の何れか一方に配置され、用紙の側端に送風を行う第1の側端エア部と、
前記用紙搬送方向に沿って、用紙の両端側の何れか他方に配置され、用紙の側端に送風を行う第2の側端エア部と、
をさらに備え、
前記姿勢変更部は、
前記第1の側端エア部及び前記第2の側端エア部を含み、
前記第1の側端エア部から送風される第1のサイドエアの風向きと、前記第2の側端エア部から送風される第2のサイドエアの風向きとを反対にさせ、且つ前記第1のサイドエアの作用線と前記第2のサイドエアの作用線とを不一致にさせる、
請求項1又は2に記載の給紙装置。
【請求項5】
前記給紙搬送部は、
前記用紙搬送方向と直交する用紙幅方向に沿って配列される第1のベルト部材と、
前記第1のベルト部材の両端側の少なくとも一方に配列される第2のベルト部材と、
を備え、
前記姿勢変更部は、
前記第1のベルト部材及び前記第2のベルト部材を含み、
前記第1のベルト部材及び前記第2のベルト部材のそれぞれの傾き補正量を異ならせる、
請求項1又は2に記載の給紙装置。
【請求項6】
前記姿勢変更部は、
前記載置台に載置された複数枚の用紙のうち、最上位の用紙の前記用紙搬送方向に対する向きを前記用紙搬送方向からずらす、
請求項3~5の何れか一項に記載の給紙装置。
【請求項7】
前記載置台に載置された複数枚の用紙は、前記用紙搬送方向と正立した向きに整列されている、
請求項6に記載の給紙装置。
【請求項8】
前記姿勢変更部は、
前記載置台に載置された複数枚の用紙のうち、最上位の用紙の前記用紙搬送方向に対する向きを前記用紙搬送方向と正立した向きにさせる、
請求項3~5の何れか一項に記載の給紙装置。
【請求項9】
前記載置台に載置された複数枚の用紙は、前記用紙搬送方向から傾いた状態の向きに整列されている、
請求項8に記載の給紙装置。
【請求項10】
前記姿勢変更部は、
前記載置台に載置された複数枚の用紙のうち、最上位の用紙が前記吸引部の吸引により前記給紙搬送部に吸着された場合、最上位以下の用紙の前記用紙搬送方向に対する向きをずらす、
請求項3に記載の給紙装置。
【請求項11】
前記ガイド部材は、
前記用紙搬送方向に沿った回転軸を中心として、前記側端規制部の上端からの傾斜角度を調整自在なヒンジ機構、
を備え、
前記姿勢変更部は、
前記載置台に載置された複数枚の用紙のうち、最上位以下の用紙の前記用紙搬送方向に対する向きを前記ヒンジ機構で変更させる、
請求項10に記載の給紙装置。
【請求項12】
前記ガイド部材は、
前記給紙搬送部よりも前記用紙搬送方向の上流側に配置されている、
請求項11に記載の給紙装置。
【請求項13】
前記用紙搬送方向に沿って配置され、用紙の側端を規制する側端規制部、
をさらに備え、
前記側端規制部は、
前記給紙搬送部の後端位置よりも前記用紙搬送方向の下流側に配置され、且つ前記用紙搬送方向において前記給紙搬送部よりも短い、
請求項4又は5に記載の給紙装置。
【請求項14】
前記姿勢変更部は、
前記載置台に載置された複数枚の用紙の紙種、坪量、及び凹凸のパターンの少なくとも1つに応じて、少なくとも、最上位の用紙と最上位の次の用紙との位相を変更する、
請求項1~13の何れか一項に記載の給紙装置。
【請求項15】
前記載置台に載置された複数枚の用紙の先端に送風を行う先端エア部と、
前記先端エア部から送風される先端エアの流路に設けられ、前記先端エアの流路を開閉自在なシャッターと、
前記シャッターの開閉状態を制御する制御部と、
をさらに備える、
請求項1~14の何れか一項に記載の給紙装置。
【請求項16】
複数枚の用紙が載置される載置台と、
前記載置台に載置された複数枚の用紙を上から順に吸引する吸引部と、
前記吸引部により吸引される用紙を搬送する給紙搬送部と、
用紙の浮上開始から用紙搬送開始までに、前記給紙搬送部により搬送される用紙の姿勢を変更する姿勢変更部と、
を備え、
前記姿勢変更部は、
前記載置台に載置された複数枚の用紙のうち、最上位の用紙の用紙搬送方向に対する向きと、最上位の次の用紙の前記用紙搬送方向に対する向きとを相対的に異ならせる、
画像形成装置。
【請求項17】
複数枚の用紙が載置される載置台と、
前記載置台に載置された複数枚の用紙を上から順に吸引する吸引部と、
前記吸引部により吸引される用紙を搬送する給紙搬送部と、
用紙の浮上開始から用紙搬送開始までに、前記給紙搬送部により搬送される用紙の姿勢を変更する姿勢変更部と、
を備え、
前記姿勢変更部は、
前記載置台に載置された複数枚の用紙のうち、最上位の用紙の用紙搬送方向に対する向きと、最上位の次の用紙の前記用紙搬送方向に対する向きとを相対的に異ならせる、
画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給紙装置、画像形成装置、及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機又はプリンター等のような画像形成装置に用紙を供給する給紙装置として、エア吸引方式の給紙装置が知られている。エア吸引方式の給紙装置には、積載された用紙の上方に負圧を生じさせて空気を吸引して最上部の用紙を吸着させる搬送部を備えるものがある。このようなエア吸引方式の給紙装置は、用紙を搬送部に吸着させるために用紙の先端又は側端からエアを吹き付けて浮上させることで複数積載されている用紙のうち1枚ずつ用紙を送り出すことができる。
【0003】
ところで、用紙に凹凸があれば用紙を送り出すときに最上位の用紙とその下位の用紙とが凹凸のある箇所で引っ掛かることがある。この場合、用紙を適切に給紙できないため、用紙の凹凸箇所に応じて吹き付けるエアの位置を変えることにより最上位の用紙とその下位の用紙との引っ掛かりを解消し、適切に給紙するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、用紙後端に設けられている振動部材で用紙を給紙方向に振動させることにより上位の用紙の位置と下位の用紙の位置とをずらして連れ送りを防止するものも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-174740号公報
【文献】特開2011-042467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のような従来技術であっても、用紙に形成されている凹凸が用紙全面にわたり規則性のあるものであれば、最上位の用紙とその下位の用紙との引っ掛かりを解消できない恐れがある。また、特許文献2に記載のような従来技術であっても、上記同様に用紙に形成されている凹凸が用紙全面にわたり規則性のあるものであれば、振動部材により上位と下位との位相をずらしても別の位相で用紙が引っ掛かるため、連れ送りが発生する恐れがある。
【0006】
本開示はこのような状況に鑑みてなされたものであり、規則的な凹凸のある用紙が積載されていても、用紙の連れ送りの発生を防止することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の側面である給紙装置は、複数枚の用紙が載置される載置台と、前記載置台に載置された複数枚の用紙を上から順に吸引する吸引部と、前記吸引部により吸引される用紙を搬送する給紙搬送部と、用紙の浮上開始から用紙搬送開始までに、前記給紙搬送部により搬送される用紙の姿勢を変更する姿勢変更部と、を備え、前記姿勢変更部は、前記載置台に載置された複数枚の用紙のうち、最上位の用紙の用紙搬送方向に対する向きと、最上位の次の用紙の前記用紙搬送方向に対する向きとを相対的に異ならせる。
【0008】
また、前記姿勢変更部は、前記載置台に載置された状態の最上位の用紙の前記用紙搬送方向に対する向きと、前記吸引部の吸引により前記給紙搬送部に吸着された状態の最上位の用紙の前記用紙搬送方向に対する向きとが異なるように、用紙の姿勢を用紙面上で変更させる、ことが好ましい。
【0009】
また、前記用紙搬送方向に沿って配置され、用紙の側端を規制する側端規制部と、前記側端規制部の上端に延設されるガイド部材と、をさらに備え、前記ガイド部材は、用紙の側端に当接するものであり、前記姿勢変更部は、前記ガイド部材を含み、当該ガイド部材により用紙の前記用紙搬送方向に対する向きを変更させる、ことが好ましい。
【0010】
また、用紙搬送方向に沿って、用紙の両側端の何れか一方に配置され、用紙の側端に送風を行う第1の側端エア部と、前記用紙搬送方向に沿って、用紙の両端側の何れか他方に配置され、用紙の側端に送風を行う第2の側端エア部と、をさらに備え、前記姿勢変更部は、前記第1の側端エア部及び前記第2の側端エア部を含み、前記第1の側端エア部から送風される第1のサイドエアの風向きと、前記第2の側端エア部から送風される第2のサイドエアの風向きとを反対にさせ、且つ前記第1のサイドエアの作用線と前記第2のサイドエアの作用線とを不一致にさせる、ことが好ましい。
【0011】
また、前記給紙搬送部は、用紙搬送方向と直交する用紙幅方向に沿って配列される第1のベルト部材と、前記第1のベルト部材の両端側の少なくとも一方に配列される第2のベルト部材と、を備え、前記姿勢変更部は、前記第1のベルト部材及び前記第2のベルト部材を含み、前記第1のベルト部材及び前記第2のベルト部材のそれぞれの傾き補正量を異ならせる、ことが好ましい。
【0012】
また、前記姿勢変更部は、前記載置台に載置された複数枚の用紙のうち、最上位の用紙の前記用紙搬送方向に対する向きを前記用紙搬送方向からずらす、ことが好ましい。
【0013】
また、前記載置台に載置された複数枚の用紙は、前記用紙搬送方向と正立した向きに整列されている、ことが好ましい。
【0014】
また、前記姿勢変更部は、前記載置台に載置された複数枚の用紙のうち、最上位の用紙の向きを前記用紙搬送方向と正立した向きにさせる、ことが好ましい。
【0015】
また、前記載置台に載置された複数枚の用紙は、前記用紙搬送方向から傾いた状態の向きに整列されている、ことが好ましい。
【0016】
また、前記姿勢変更部は、前記載置台に載置された複数枚の用紙のうち、最上位の用紙が前記吸引部の吸引により前記給紙搬送部に吸着された場合、最上位以下の用紙の前記用紙搬送方向に対する向きをずらす、ことが好ましい。
【0017】
また、前記ガイド部材は、前記用紙搬送方向に沿った回転軸を中心として、前記側端規制部の上端からの傾斜角度を調整自在なヒンジ機構、を備え、前記姿勢変更部は、前記載置台に載置された複数枚の用紙のうち、最上位以下の用紙の前記用紙搬送方向に対する向きを前記ヒンジ機構で変更させる、ことが好ましい。
【0018】
また、前記ガイド部材は、前記給紙搬送部よりも前記用紙搬送方向の上流側に配置されている、ことが好ましい。
【0019】
また、前記用紙搬送方向に沿って配置され、用紙の側端を規制する側端規制部、をさらに備え、前記側端規制部は、前記給紙搬送部の後端位置よりも前記用紙搬送方向の下流側に配置され、且つ前記用紙搬送方向において前記給紙搬送部よりも短い、ことが好ましい。
【0020】
また、前記姿勢変更部は、前記載置台に載置された複数枚の用紙の紙種、坪量、及び凹凸のパターンの少なくとも1つに応じて、少なくとも、最上位の用紙と最上位の次の用紙との位相を変更する、ことが好ましい。
【0021】
また、前記載置台に載置された複数枚の用紙の先端に送風を行う先端エア部と、前記先端エア部から送風される先端エアの流路に設けられ、前記先端エアの流路を開閉自在なシャッターと、前記シャッターの開閉状態を制御する制御部と、をさらに備える、ことが好ましい。
【0022】
また、本開示の第2の側面である画像形成装置は、複数枚の用紙が載置される載置台と、前記載置台に載置された複数枚の用紙を上から順に吸引する吸引部と、前記吸引部により吸引される用紙を搬送する給紙搬送部と、用紙の浮上開始から用紙搬送開始までに、前記給紙搬送部により搬送される用紙の姿勢を変更する姿勢変更部と、を備え、前記姿勢変更部は、前記載置台に載置された複数枚の用紙のうち、最上位の用紙の用紙搬送方向に対する向きと、最上位の次の用紙の前記用紙搬送方向に対する向きとを相対的に異ならせる。
【0023】
また、本開示の第3の側面である画像形成システムは、前記載置台に載置された複数枚の用紙を上から順に吸引する吸引部と、前記吸引部により吸引される用紙を搬送する給紙搬送部と、用紙の浮上開始から用紙搬送開始までに、前記給紙搬送部により搬送される用紙の姿勢を変更する姿勢変更部と、を備え、前記姿勢変更部は、前記載置台に載置された複数枚の用紙のうち、最上位の用紙の用紙搬送方向に対する向きと、最上位の次の用紙の前記用紙搬送方向に対する向きとを相対的に異ならせる。
【発明の効果】
【0024】
本開示の第1、第2、及び第3の側面によれば、規則的な凹凸のある用紙が積載されていても、用紙の連れ送りの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本開示の実施形態1における画像形成システム1の全体構成例を示す図である。
図2】本開示の実施形態1における給紙装置2の要部構成の一例を示す図である。
図3】本開示の実施形態1における給紙装置2の制御系の一例を示す図である。
図4】本開示の実施形態1における用紙Pを検知する各種センサーの一例を示す図である。
図5】本開示の実施形態1における側端規制部72を用紙後端から見た一例を示す図である。
図6】本開示の実施形態1における側端規制部72を用紙上方から見た一例を示す図である。
図7】本開示の実施形態1における用紙先端に吹き付ける各種エアの一例を具体的に示す図である。
図8】本開示の実施形態1における載置台71に載置された用紙Pが用紙搬送方向と正立した向きに整列されている一例を示す図である。
図9】本開示の実施形態1における載置台71に載置された用紙Pが用紙搬送方向から傾いた状態の向きに整列されている一例を示す図である。
図10】本開示の実施形態1における最上位の用紙Pの吸着時に下位の用紙Pを用紙搬送方向とずらす一例を示す図である。
図11】本開示の実施形態1における給紙装置2の制御例を説明するフローチャートである。
図12】本開示の実施形態1におけるエンボス紙である一例を示す図である。
図13】本開示の実施形態2におけるサイドエアを吹き付ける位置を用紙上方から見た一例を示す図である。
図14】本開示の実施形態2における給紙装置2の制御系の一例を示す図である。
図15】本開示の実施形態2における給紙装置2の制御例を説明するフローチャートである。
図16】本開示の実施形態3における給紙搬送部73_1,73_2を用紙上方から見た一例を示す図である。
図17】本開示の実施形態3における給紙装置2の制御系の一例を示す図である。
図18】本開示の実施形態3における給紙装置2の制御例を説明するフローチャートである。
図19】従来における給紙部2000によりエンボス紙を給紙する一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基づいて本開示の実施形態を説明するが、本開示は以下の実施形態に限られるものではない。
【0027】
図1は、本開示の実施形態1における画像形成システム1の全体構成例を示す図である。図1に示すように、画像形成システム1は、画像形成装置3の側方に外付け型の大容量の給紙装置2が接続された構成である。給紙装置2は、内部に三段の給紙部201A,201B,201Cを備え、画像形成装置3に用紙Pを1枚ずつ給紙する。給紙装置2は、制御部200を備える。制御部200は、CPU、ROM、RAM、及び記憶部等を備える。記憶部は、例えばフラッシュメモリ等のような不揮発性の半導体メモリ又はハードディスクドライブで実現され、各種データが格納されている。制御部200は、画像形成装置3の制御部100と協働して、給紙装置2の各部の動作を制御する。制御部200は、画像形成装置3からの制御信号等に基づき、給紙搬送部73、吸引部74、及び搬送経路部75等を制御する。給紙装置2の詳細については後述する。なお、制御部200は、記憶部が半導体メモリからなるハードウェアプロセッサとして構成されてもよい。
【0028】
画像形成装置3は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像を形成する装置である。画像形成装置3は、YMCKの4色に対応する感光ドラムを中間転写ベルトの走行方向、すなわち鉛直方向に直列配置し、中間転写ベルトに一回の手順で各色トナー像を順次転写させる縦型タンデム方式が採用されている。すなわち、画像形成装置3は、感光ドラム上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルトに一次転写し、中間転写ベルト上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙P又は用紙Sに二次転写することにより、画像を形成する。
【0029】
画像形成装置3は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60、及び制御部100を備える。制御部100は、CPU、ROM、RAM、及び記憶部等を備える。CPUは、ROMから処理内容に応じてプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置3の各部の動作を制御する。記憶部は、例えばフラッシュメモリ等のような不揮発性の半導体メモリ又はハードディスクドライブで実現され、各種データが格納されている。記憶部に格納されている各種データは、CPUが画像形成装置3の動作を制御するときに参照される。また、制御部100は、給紙装置2の制御部200と協働して、給紙装置2の動作を制御する。なお、制御部100は、記憶部が半導体メモリからなるハードウェアプロセッサとして構成されてもよい。
【0030】
画像読取部10は、自動原稿送り装置11及び原稿画像走査装置12等を備える。自動原稿送り装置11は、ADF(Auto Document Feeder)と称されている。自動原稿送り装置11は、原稿トレイに載置された原稿を搬送機構により搬送し、原稿画像走査装置12に送り出す。自動原稿送り装置11は、原稿トレイに載置された多数枚の原稿の画像を連続して読み取ることができる。なお、自動原稿送り装置11は、多数枚の原稿の画像を連続して読み取るとき、用紙反転機構により、それぞれの原稿の両面を読み取ることができる。原稿画像走査装置12は、自動原稿送り装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査する。原稿画像走査装置12は、光学的な走査による原稿からの反射光をCCDセンサーの受光面上に結像させることにより、原稿に形成されている原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づき、原稿画像の入力画像データを生成する。入力画像データは、画像処理部30に供給され、画像処理部30が予め設定された画像処理を実行する。
【0031】
操作表示部20は、例えば、タッチパネル付きの液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で実現され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部100から入力される表示制御信号に従い、各種操作画面、画像の状態、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー及びスタートキー等の各種操作キーを備える。操作部22は、ユーザーによる各種入力操作を受け付けることにより、操作信号を生成する。操作信号は、制御部100に出力される。
【0032】
画像処理部30は、初期設定又はユーザー設定に応じたデジタル画像処理を入力画像データに行う回路を備える。画像処理部30は、例えば、制御部100の制御下において、階調補正データが設定されている階調補正テーブルに基づき、入力画像データに階調補正を行う。画像処理部30は、階調補正の他に、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理及び圧縮処理等を入力画像データに行う。このような各種デジタル画像処理が行われた入力画像データに基づき、画像形成部40は各種処理を行う。画像形成部40は、入力画像データに基づき、Y成分、M成分、C成分、及びK成分の各有色トナーによる画像を形成する。画像形成部40は、感光ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、及び中間転写装置を備える。帯電装置のコロナ放電により、感光ドラムの表面は一様に帯電される。露光装置が各色成分の画像に対応するレーザー光を感光ドラムに照射することにより、感光ドラムの表面に各色成分の静電潜像が形成される。現像装置が感光ドラムの表面に各色成分のトナーを供給させることにより、静電潜像は可視化されてトナー像が形成される。トナー像は、中間転写装置により用紙P又は用紙Sに転写される。
【0033】
定着部60は、用紙P又は用紙Sに転写されたトナー像を加熱及び加圧することにより、用紙P又は用紙Sにトナー像を定着させる。用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、及び搬送経路部53等を備える。給紙部51は、用紙Sの坪量及びサイズ等に基づいて予め設定された種類毎に収容される。搬送経路部53は、給紙装置2から給紙される用紙P、給紙部51に収容されている用紙S、又は表裏の何れか一方に画像が形成された用紙P若しくは用紙Sを搬送する。なお、排紙部52は、画像が形成されている用紙P又は用紙Sを機外に排出する。
【0034】
給紙装置2は、給紙部201A~201Cのそれぞれにおいて、側端規制部72と、給紙搬送部73と、吸引部74と、先端規制部78とを備え、1枚毎に用紙Pを分離して排出する。給紙部201A~201Cから排出される用紙Pは、画像形成装置3に搬送される。給紙部201A~201Cの何れかを特に限定しない場合、給紙部201と称する。給紙部201のそれぞれの上方には、吸引部74が配置されている。給紙部201のそれぞれの両側面側には、側端規制部72が配置されている。側端規制部72間には、載置台71が配置されている。載置台71は、複数枚の用紙Pが載置可能である。よって、対向して対となっている側端規制部72のそれぞれは、載置台71に積載されている用紙Pの幅方向の位置を揃えている。載置台71に積載されている用紙Pの先端側には、先端規制部78が配置されている。先端規制部78は、載置台71に積載されている用紙Pの長さ方向の位置のうち用紙Pの先端側を揃えつつ、先端エアを用紙Pに吹き付けることにより用紙Pの姿勢を制御可能である。なお、載置台71に積載されている用紙Pの後端側には、後端ガイド部材が配置されてもよい。
【0035】
図2は、本開示の実施形態1における給紙装置2の要部構成の一例を示す図である。図3は、本開示の実施形態1における給紙装置2の制御系の一例を示す図である。先端規制部78は、先端エア部781及び先端規制部材782を備える。先端規制部材782は、用紙Pの先端位置を規制する。図2の一例では、先端エア部781は、先端規制部材782に隣接して設けられ、先端エア開口784A,784B,784Cにより先端エアの吹き付け先を変更可能である。先端エア開口784A,784B,784Cを総称する場合、先端エア開口784と称する。なお、詳細については後述するが、先端規制部78は、シャッター785及びソレノイド786をさらに備え、用紙Pに吹き付けられる先端エアをシャッター785及びソレノイド786により遮ることが可能である。側端規制部72は、用紙搬送方向に沿って配置されるものであって、側端エア部723を備え、用紙Pの側端を規制する。側端規制部72には用紙Pの側面側と対向した位置に側端エア開口721が設けられている。側端規制部72は、側端エア開口721を介して、側端エア部723から用紙Pの側端にサイドエアが吹き付け可能である。図2の一例では、側端エア部723は、側端規制部72の内部に収容されている。よって、側端エア部723は、側端エア開口721によりサイドエアを用紙Pの側面側に吹き付けることが可能である。なお、側端規制部72には側端検知センサー724が設けられているが、その詳細については後述する。また、先端規制部78及び側端規制部72は、駆動モーター915により、載置台71と共に、用紙搬送方向と正立した向き及び用紙搬送方向から傾いた状態の向きの何れかの向きに位置を変更可能である。
【0036】
吸引部74は、載置台71の上方に配置され、吸着室740、吸引エア部741、吸着検知センサー742、及び検知子743を備え、載置台71に載置された複数枚の用紙Pを上から順に吸引する。給紙搬送部73は、ベルト部材731、駆動ローラー733、及び従動ローラー734A,734B,734Cを備え、吸引部74により吸引される用紙Pを搬送する。従動ローラー734Cは、用紙Pにコルゲーションを形成するために設けられればよいため、全てのベルト部材731と組みで構成される必要はない。なお、従動ローラー734A,734B,734Cの一部又は全部を総称する場合、従動ローラー734と称する。ベルト部材731は、例えば無端状のベルトから構成され、駆動ローラー733及び従動ローラー734により一定の張力で保たれ、複数の孔732が設けられている。孔732は、貫通孔である。駆動ローラー733は回転駆動する。従動ローラー734は、駆動ローラー733の回転駆動に伴って回転するベルト部材731に従動する。吸着室740は、少なくとも一部がベルト部材731の内周側に設けられている。吸引エア部741は、吸着室740の側面側に設けられ、吸着室740の空気を吸い込むことにより発生する吸引エアにより吸引部74に負圧を発生させることで、吸引部74に負圧を与える。よって、ベルト部材731は、孔732を利用することで、吸引部74により負圧が与えられている用紙Pを吸着して搬送する。駆動ローラー733は、ベルト部材731による用紙Pの搬送を制御する。
【0037】
吸引部74は、先端エア部781から吹き付けられる先端エア及び側端エア部723から吹き付けられるサイドエアにより浮上させられる用紙Pを上から順に吸引する。吸引部74は、例えば、載置台71に載置されている用紙Pのうち、1枚目の用紙Pを分離する。吸引部74は、分離した1枚目の用紙Pを図1に示す搬送経路部75に搬送する。搬送経路部75は、給紙検知センサー751、搬送ローラー752、従動ローラー753、搬送ガイド754、搬送ローラーR11~R15を備える。給紙検知センサー751は、例えば、受光部と、発光部とからなるフォトセンサーにより実現される。用紙Pは、給紙検知センサー751により用紙Pの位置が検知される。用紙Pは、搬送ローラー752及び従動ローラー753により挟持されたまま、用紙搬送方向に沿って搬送ローラー752の上流側と吸引部74の下流側との間に配置された搬送ガイド754により用紙Pの姿勢が調整され、搬送ローラーR11~R14により垂直方向に沿って下方に搬送されてから搬送ローラーR15が配置されている方向にガイドされる。搬送ローラーR15は、用紙Pが画像形成装置3に搬送されるとき、画像形成装置3の画像形成プロセスとタイミングをとるレジストローラーとして機能する。
【0038】
ガイド部材91は、側端規制部72の上端に延設され、用紙Pの側端の少なくとも一部に当接するものである。ガイド部材91は、ヒンジ機構911を備える。ヒンジ機構911は、フラップ911A、シャフト911B、ベース911Cを備える。シャフト911Bは、フラップ911Aの回転軸となり、回転軸が用紙搬送方向に沿うように側端規制部72に設けられる。ベース911Cは、シャフト911Bを回転自在に軸支すると共に、シャフト911Bを中心とした円周上にシャフト911Bの位置を任意に固定する部材が設けられている。例えば、図示は省略するが、シャフト911Bの軸上にシャフト911Bと共に回転する板バネを設け、板バネに設けられた凸部を任意の位置で固定する凹部をベース911Cに設けてもよい。このような構成により、ヒンジ機構911は、用紙搬送方向に沿った回転軸を中心として、側端規制部72の上端からの傾斜角度が調整自在となる。よって、シャフト911Bの一方の端部にフラップ911Aを固定しておけば、フラップ911Aを任意の位置で固定することができる。例えば、手動でフラップ911Aの位置を調整する場合、シャフト911Bの他方の端部にダンパー部914を設けてもよい。また、自動でフラップ911Aの位置を調整する場合、シャフト911Bの他方の端部にギア部912を介して駆動モーター913を取り付けてもよい。
【0039】
図4は、本開示の実施形態1における用紙Pを検知する各種センサーの一例を示す図である。図4(A)においては、吸着検知センサー742は、検知子743の位置の変位を検知可能である。よって、用紙Pが吸引エア部741によりベルト部材731に吸着していれば、検知子743の位置は変位するため、吸着検知センサー742により、用紙Pがベルト部材731に吸着しているか否かが検知される。図4(B)においては、側端検知センサー724は、例えば、反射型光電センサーであって、投光素子724Aと、受光素子724Bとを備え、検出領域D_Aを通過する用紙Pを検出可能である。よって、側端検知センサー724の光学系により検出領域D_Aを調整することで、用紙Pの浮上位置を検知できればよい。側端エア部723は、側端検知センサー724により検知される用紙Pの浮上位置に応じて、サイドエアの吹付量を変更可能である。
【0040】
図5は、本開示の実施形態1における側端規制部72を用紙後端から見た一例を示す図である。図5に示すように、ヒンジ機構911が用紙搬送方向に沿った回転軸を中心として、側端規制部72の上端から傾斜した位置に固定されることで、複数枚の用紙Pのうち、ヒンジ機構911に当接したものの位置がずらされる。つまり、ヒンジ機構911を備えるガイド部材91は、用紙Pの向きを変更させることができるものであって、給紙搬送部73により搬送される用紙Pの姿勢を変更させるものであり、姿勢変更部として構成されるものである。このような姿勢変更部は、用紙Pの浮上開始から用紙搬送開始までに、載置台71に載置された複数枚の用紙Pのうち、最上位の用紙Pの向きと、最上位の次の用紙Pの向きとを相対的に異ならせる。姿勢変更部は、載置台71に載置された状態の最上位の用紙Pの向きと、吸引部74の吸引により給紙搬送部73に吸着された状態の最上位の用紙Pの向きとが異なるように、用紙Pの姿勢を用紙P面上で変更させる。なお、図5の一例では、ヒンジ機構911により傾斜されている用紙Pのそれぞれは、浮上し、且つ用紙幅方向にずれた状態であって、給紙搬送部73により用紙搬送方向に力が加わることで、給紙搬送部73に吸着した最上位の用紙Pの向きと、最上位の次の用紙Pの向きとが相対的に異ならされる。つまり、姿勢変更部は、載置台71に載置された複数枚の用紙Pのうち、最上位の用紙Pの向きを用紙搬送方向からずらす。
【0041】
図6は、本開示の実施形態1における側端規制部72を用紙上方から見た一例を示す図である。図6の一例では、載置台71が先端規制部78及び側端規制部72と共に用紙搬送方向から傾いた状態の向きに変更された状態である。このような状態であっても、浮上している用紙Pの一部をヒンジ機構911により傾斜させることで、浮上している用紙Pの一部を用紙幅方向にずらした状態にし、さらに給紙搬送部73により用紙搬送方向に力が加わることで、上記と同様に、給紙搬送部73に吸着した最上位の用紙Pの向きと、最上位の次の用紙Pの向きとが相対的に異ならされる。なお、ヒンジ機構911を備えたガイド部材91を利用して最上位の用紙Pの向きを変更するには、ガイド部材91は、給紙搬送部73よりも用紙搬送方向の上流側に配置されているのが好ましい。
【0042】
このように、最上位の用紙Pの向きと、最上位の次の用紙Pの向きとを相対的に異ならせるということは、最上位の用紙Pと、最上位の次の用紙Pとの位相を変更することと等価であり、ヒンジ機構911の傾斜角によってずれ量を可変させることができる。ヒンジ機構911の傾斜角は、載置台71に載置された複数枚の用紙Pの紙種、坪量、及び凹凸パターンの少なくとも1つに応じて決定すればよい。載置台71に載置された用紙Pは、吸引部74により上から順に吸引されるので、最上位の用紙Pと、最上位の用紙Pより下方にある下位の用紙Pとの位相が変更されればよいが、少なくとも、最上位の用紙Pと、最上位の次の用紙Pとの位相が変更されれば、最上位の用紙Pは、最上位の次の用紙Pを連れ送りすることなく画像形成装置3側に搬送される。最上位の用紙Pと、最上位の次の用紙Pとを分離するには、先端エア及びサイドエアを制御するのが好ましい。
【0043】
図7は、本開示の実施形態1における用紙先端に吹き付ける各種エアの一例を具体的に示す図である。図7(A)は、吸引エア部741により吸着室740に負圧が生じた状態で、サイドエアと先端エアとによる用紙Pへの吹き付け動作が開始される一例を示す図である。フラップ787がソレノイド788Bに引きつけられることにより、先端エアは、用紙Pの先端と対向する先端エア開口784Aを介して、用紙Pの面上に沿って水平に送風される。このような水平に送風される先端エアと、側端エア部723から送風されるサイドエアとにより、載置台71に載置された複数枚の用紙Pのうち、一部の用紙Pが浮上する。
【0044】
図7(B)は、一部の用紙Pが浮上した状態で、サイドエアの送風が停止され、先端エアの風向きが上向きに変更された一例を示す図である。一部の用紙Pが浮上したか否かは、側端検知センサー724の検知結果に基づき判定されればよい。フラップ787がソレノイド788Aに引きつけられることにより、先端エアの風向きは上向きとなり、給紙搬送部73の方を向く先端エア開口784Bを介して、先端エアが浮上している複数枚の用紙Pの先端側に送風されるため、浮上している複数枚の用紙Pを捌くことが可能となる。
【0045】
図7(C)は、浮上している用紙Pを捌く先端エアの送風が停止された状態の一例を示す図である。シャッター785は、先端エア部781から送風される先端エアの流路に設けられ、先端エアの流路を開閉自在なものであって、制御部200により開閉状態が制御されるものである。図7(A)及び図7(B)の一例では、シャッター785は、ソレノイド786Aに引きつけられているため、先端エア部781の上方にある先端エア開口784Cは閉じられている。図7(C)の一例では、シャッター785は、ソレノイド786Bに引きつけられているため、先端エア開口784Cを介して、先端エアは送風される。つまり、先端エアは用紙Pからそらされる結果、用紙Pには先端エアが送風されないため、先端エアは用紙Pから遮蔽され、給紙搬送部73に吸着する最上位の用紙P以外は載置台71に落下する。
【0046】
図8は、本開示の実施形態1における載置台71に載置された用紙Pが用紙搬送方向と正立した向きに整列されている一例を示す図である。図8(A)は、載置台71に載置された全ての用紙Pが用紙搬送方向と正立した向きに整列されている一例を示す図である。図8(B)は、浮上した用紙Pの向きを用紙搬送方向からずらした状態の一例を示す図である。図8(C)は、浮上した用紙Pのうち最上位の用紙Pの向きを用紙搬送方向からずらし、下位の用紙Pの向きを元の正立した状態に戻した一例を示す図である。このように、載置台71に載置された複数枚の用紙Pのうち、最上位の用紙Pの向きを用紙搬送方向からずらし、下位の用紙Pの向きを正立した状態で載置台71に整列させてもよい。
【0047】
図9は、本開示の実施形態1における載置台71に載置された用紙Pが用紙搬送方向から傾いた状態の向きに整列されている一例を示す図である。図9(A)は、載置台71に載置された全ての用紙Pが用紙搬送方向から傾いた状態の向きに整列されている一例を示す図である。図9(B)は、浮上した用紙Pの向きを用紙搬送方向と正立した向きにした一例を示す図である。図9(C)は、浮上した用紙Pのうち最上位の用紙Pの向きを用紙搬送方向と正立した向きにし、下位の用紙Pの向きを用紙搬送方向から傾いた状態に戻した一例を示す図である。このように、載置台71に載置された複数枚の用紙Pのうち、最上位の用紙Pの向きを用紙搬送方向と正立した向きにさせ、下位の用紙Pの向きを用紙搬送方向から傾いた状態の向きに整列させてもよい。
【0048】
図10は、本開示の実施形態1における最上位の用紙Pの吸着時に下位の用紙Pを用紙搬送方向とずらす一例を示す図である。図10(A)は、載置台71に載置された全ての用紙Pが用紙搬送方向と正立した向きに整列されている一例を示す図である。図10(B)は、浮上した用紙Pの向きが用紙搬送方向と正立した向きに維持されている一例を示す図である。図10(C)は、浮上した用紙Pのうち最上位の用紙Pの向きを用紙搬送方向と正立した向きに維持し、下位の用紙Pの向きを用紙搬送方向からずらした状態の一例を示す図である。図10(D)は、下位の用紙Pの向きを用紙搬送方向からずらした状態で載置台71に落下させる一例を示す図である。このように、載置台71に載置された複数枚の用紙Pのうち、最上位の用紙Pの向きを用紙搬送方向と正立した向きに維持させ、下位の用紙Pの向きを用紙搬送方向からずらして載置台71に整列させてもよい。このように、載置台71に載置された複数枚の用紙Pのうち、最上位の用紙Pが吸着された場合、最上位以下の用紙Pの向きをずらしてもよい。
【0049】
図11は、本開示の実施形態1における給紙装置2の制御例を説明するフローチャートである。ステップS11~ステップS19の処理は、用紙Pを浮上させて最上位の用紙Pを給紙搬送部73に吸着させ、下位の用紙Pを載置台71に落下させるものである。ステップS20~ステップS23の処理は、用紙Pの位相を可変させるものであって、例えば、用紙Pがエンボス紙等のように凹凸パターンが連続して規則的に存在するようなものに有効である。なお、ステップS14~ステップS19の処理と、ステップS20~ステップS23の処理は並列に実行されてもよい。
【0050】
ステップS11において、制御部200は、吸引エア部741の駆動を開始させる。ステップS12において、制御部200は、先端エア部781及び側端エア部723の駆動を開始させる。ステップS13において、制御部200は、用紙Pが浮上したか否かを判定する。制御部200は、用紙Pが浮上したと判定する場合(ステップS13;Y)、ステップS14の処理に移行する。制御部200は、用紙Pが浮上していないと判定する場合(ステップS13;N)、ステップS13の処理を継続する。ステップS14において、制御部200は、最上位の用紙Pが吸着したか否かを判定する。制御部200は、最上位の用紙Pが吸着したと判定する場合(ステップS14;Y)、ステップS15の処理に移行する。制御部200は、最上位の用紙Pが吸着していないと判定する場合(ステップS14;N)、ステップS14の処理を継続する。ステップS15において、制御部200は、側端エア部723の駆動を停止させる。ステップS16において、制御部200は、先端エア部781から送風される先端エアの風向きを水平方向から捌き方向に変更させる。ステップS17において、制御部200は、捌き時間が経過したか否かを判定する。制御部200は、捌き時間が経過したと判定する場合(ステップS17;Y)、ステップS18の処理に移行する。制御部200は、捌き時間が経過していないと判定する場合(ステップS17;N)、ステップS17の処理を継続する。ステップS18において、制御部200は、先端エア部781から送風される先端エアを遮蔽させる。ステップS19において、制御部200は、先端エア部781の駆動を停止させる。
【0051】
ステップS20において、制御部200は、吸着させてから2枚目以降の用紙Pの位相を可変させるか否かを判定する。制御部200は、吸着させてから2枚目以降の用紙Pの位相を可変させると判定する場合(ステップS20;Y)、ステップS21の処理に移行する。制御部200は、吸着させてから2枚目以降の用紙Pの位相を可変させないと判定する場合(ステップS20;N)、ガイド部材91を制御する処理を終了する。ステップS21において、制御部200は、載置された用紙Pが形成画像に対して傾いているか否かを判定する。制御部200は、載置された用紙Pが形成画像に対して傾いていると判定する場合(ステップS21;Y)、ステップS22の処理に移行する。制御部200は、載置された用紙Pが形成画像に対して傾いていないと判定する場合(ステップS21;N)、ステップS23の処理に移行する。ステップS22において、制御部200は、ガイド部材91により用紙Pの向きを形成画像に合わさせ、ガイド部材91を制御する処理を終了する。ステップS23において、制御部200は、ガイド部材91により用紙Pの向きを変更させる。
【0052】
上記で説明したような構成及び処理により、用紙Pがエンボス紙等のように凹凸パターンが連続して規則的に存在するようなものであっても、用紙Pの連れ送りの発生を防止することができる。図12は、本開示の実施形態1におけるエンボス紙である一例を示す図である。図12(A)は、ピッチX1且つ深さX2で凹凸パターンが連続して規則的に存在するエンボス紙の一例を示す図である。図12(B)は、凹凸パターンがランダムに存在するエンボス紙の一例を示す図である。図12(A)のようなエンボス紙であれば、用紙全面にわたり連続した凹凸パターンになっているため、凹凸のある箇所において、上位の用紙Pと下位の用紙Pとで引っ掛かりが発生しやすい。図12(B)のようなエンボス紙であれば、上位の用紙Pと下位の用紙Pとで引っ掛かりは発生しにくい。図19は、従来における給紙部2000によりエンボス紙を給紙する一例を示す図である。給紙部2000であれば、用紙Pを給紙方向である用紙搬送方向に振動させることで上位の用紙Pと下位の用紙Pとの位置をずらして用紙P同士の位相をずらしたとしても、別の位相が重なることで用紙Pの連れ送りが発生する。また、用紙Pの凹凸のある箇所に応じて吹き付けるサイドエアの位置を変えるだけでは、凹凸は用紙全面にわたり形成されているので、用紙P同士の引っ掛かりを解消できない。つまり、上記で説明したような構成及び処理でなければ、用紙Pがエンボス紙等のように凹凸パターンが連続して規則的に存在するようなものであれば、用紙Pの連れ送りの発生を防止することができない。
【0053】
そこで、本実施形態では、載置台71に載置された複数枚の用紙Pのうち、最上位の用紙Pの向きと、最上位の次の用紙Pの向きとを相対的に異ならせる。よって、上下方向で互いに隣接する用紙P同士の向きが変更される。したがって、規則的な凹凸のある用紙Pが積載されていても、用紙Pの連れ送りの発生を防止することができる。
【0054】
また、本実施形態によれば、載置台71に載置された状態の最上位の用紙Pの向きと、吸引部74の吸引により給紙搬送部73に吸着された状態の最上位の用紙Pの向きとが異なるように、用紙Pの姿勢を用紙面上で変更させる。よって、給紙搬送部73にすでに吸着されている用紙Pと、給紙搬送部73にまだ吸着されていない用紙Pとの位相を確実にずらすことができる。したがって、用紙Pの連れ送りの発生を確実に防止することができる。
【0055】
また、本実施形態によれば、側端規制部72の上端に延設されるガイド部材91により用紙Pの向きが変更される。よって、浮上している用紙Pの向きがガイド部材91により変更可能となる。したがって、簡易な構成で浮上している用紙P同士の向きを変更することができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、載置台71に載置された複数枚の用紙Pのうち、最上位の用紙Pの向きが用紙搬送方向からずらされる。よって、最上位の用紙Pを載置台71に載置されている用紙Pから確実にずらすことができる。したがって、給紙搬送部73により用紙Pを一枚ずつ給紙する動作において、用紙P同士の位相を確実にずらすことができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、載置台71に載置された複数枚の用紙Pは、用紙搬送方向と正立した向きに整列されている。よって、浮上している用紙Pを用紙搬送方向からずらせば、載置台71に載置された複数枚の用紙Pと、浮上している用紙Pとの位相を容易にずらすことができる。したがって、用紙P同士の位相を容易にずらすことができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、載置台71に載置された複数枚の用紙Pのうち、最上位の用紙Pの向きを用紙搬送方向と正立した向きにさせる。よって、載置台71に載置された複数枚の用紙Pの向きを変更すれば、載置台71に載置された複数枚の用紙Pと、浮上している用紙Pとの位相を容易にずらすことができる。したがって、用紙P同士の位相を容易にずらすことができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、載置台71に載置された複数枚の用紙Pは、用紙搬送方向から傾いた状態の向きに整列されている。よって、浮上している用紙Pを用紙搬送方向にすれば、載置台71に載置された複数枚の用紙Pと、浮上している用紙Pとの位相を容易にずらすことができる。したがって、用紙P同士の位相を容易にずらすことができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、載置台71に載置された複数枚の用紙Pのうち、最上位の用紙Pが吸引部74の吸引により給紙搬送部73に吸着された場合、最上位以下の用紙Pの向きがずらされる。よって、給紙搬送部73に吸着されている用紙Pと、最上位以下の用紙Pとの位相を確実にずらすことができる。したがって、用紙Pの連れ送りの発生を特に顕著に防止することができる。
【0061】
また、本実施形態によれば、載置台71に載置された複数枚の用紙Pのうち、最上位以下の用紙Pの向きをヒンジ機構911で変更させる。ヒンジ機構911は、側端規制部72の上端からの傾斜角度を調整自在なものである。よって、簡易な構成で最上位以下の用紙Pの向きを変更させることができる。したがって、低コストで用紙Pの連れ送りの発生を防止することができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、ガイド部材91は、給紙搬送部73よりも用紙搬送方向の上流側に配置されている。よって、ガイド部材91により用紙Pの向きを変更させる力を伝えやすい。したがって、給紙搬送部73とガイド部材91とで用紙Pに与える力により確実に用紙P同士の向きをずらすことができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、載置台71に載置された複数枚の用紙Pの紙種、坪量、及び凹凸パターンの少なくとも1つに応じて、少なくとも、最上位の用紙Pと最上位の次の用紙Pとの位相が変更される。よって、用紙Pの特徴を考慮して用紙P同士の位相を変更することができる。したがって、例えば、用紙Pがエンボス紙であって、特に規則的な凹凸がある場合に効果的に用紙P同士の位相をずらすことができる。なお、載置台71に載置された複数枚の用紙Pの紙種、坪量、及び凹凸パターンは、画像形成装置3に予め登録されている情報から抽出してもよく、画像読取部10又は不図示の撮像装置等のような用紙Pの表面状態を読み取って各種データに変換できるものにより取得されるものであってもよい。これらの各種データは、給紙装置2のハードウェア構成に応じて適宜調整されるものであってもよい。
【0064】
実施形態2.
実施形態2において、実施形態1と同様な構成及び機能については説明を省略する。実施形態2は、先端規制部78、吸引部74、及び給紙搬送部73が実施形態1と同様の構成である。実施形態2は、姿勢変更部が実施形態1と異なる。図13は、本開示の実施形態2におけるサイドエアを吹き付ける位置を用紙上方から見た一例を示す図である。図14は、本開示の実施形態2における給紙装置2の制御系の一例を示す図である。図13(A)は、用紙Pを用紙搬送方向から傾かせる前の状態の一例を示す図である。図13(B)は、用紙Pを用紙搬送方向から傾かせた後の状態の一例を示す図である。図13(A),(B)に示すように、側端規制部72_11及び側端規制部72_12は、給紙搬送部73の後端位置よりも用紙搬送方向の下流側に配置され、且つ給紙搬送部73よりも用紙搬送方向において短い。なお、本実施形態において、側端規制部72_11及び側端規制部72_12を総称する場合、側端規制部72と称する。
【0065】
側端規制部72_11は、用紙Pの幅方向の一方の端部に対向する。側端規制部72_12は、用紙Pの幅方向の他方の端部に対向する。よって、側端規制部72_11の内側と、側端規制部72_12の内側とで、用紙Pの幅方向の位置を規制する。側端規制部72_11の外側には、第1の側端エア部723_1が設けられている。側端規制部72_12の外側には、第2の側端エア部723_2が設けられている。つまり、第1の側端エア部723_1は、用紙搬送方向に沿って、用紙Pの両側端の何れか一方に配置され、用紙Pの側端の一方に送風を行う。第2の側端エア部723_2は、用紙搬送方向に沿って、用紙Pの両側端の何れか他方に配置され、用紙Pの側端の他方に送風を行う。第1の側端エア部723_1及び第2の側端エア部723_2は、本実施形態における姿勢変更部として構成される。
【0066】
具体的には、姿勢変更部は、第1の側端エア部723_1及び第2の側端エア部723_2を含み、第1の側端エア部723_1から送風される第1のサイドエアの風向きと、第2の側端エア部723_2から送風される第2のサイドエアの風向きとを反対にさせ、且つ第1のサイドエアの作用線L1と、第2のサイドエアの作用線L_2とを不一致にさせる。なお、本実施形態において、第1の側端エア部723_1及び第2の側端エア部723_2を総称する場合、側端エア部723と称する。より具体的には、図14に示すように、側端エア部723は、ファン921と、ファン921を駆動する駆動モーター922とを備える。第1のサイドエア及び第2のサイドエアの吹き付け位置及び吹き付け風量は、用紙Pの紙種、坪量、サイズ、及び凹凸のパターンの少なくとも1つに応じて、決定される。
【0067】
例えば、駆動モーター924によりギア部923を介して、ファン921及び駆動モーター922自体が移動する構成であってもよい。また、側端エア開口721とファン921とをつなぐダクト部925の向きが駆動モーター926により変更されることで、ファン921から吹き出される第1のサイドエア及び第2のサイドエアの風向きが変更される構成であってもよい。また、駆動モーター922が入力パルスに応じて回転数を変更することでファン921から吹き出される第1のサイドエア及び第2のサイドエアの風量が可変できる構成であってもよい。また、側端エア開口721に設けられるシャッター927が駆動モーター928で制御されることにより、側端エア開口721の開口面積が可変され、第1のサイドエア及び第2のサイドエアの風量が可変される構成であってもよい。上記の何れかの構成又はその組み合わせの構成により、側端規制部72より上に浮上した最上位の用紙Pが傾いた状態で給紙搬送部73に吸着されることが可能となる。なお、本実施形態において、第1のサイドエア及び第2のサイドエアを総称する場合、サイドエアと称する。
【0068】
図15は、本開示の実施形態2における給紙装置2の制御例を説明するフローチャートである。なお、ステップS51~ステップS59の処理は、ステップS11~ステップS19の処理と同様であるのでその説明については省略する。ただし、ステップS51の処理は、ステップS41よりも前に実行されてもよく、ステップS41からステップS50までの間に実行されてもよい。ステップS41において、制御部200は、サイドエアの吹き付け位置を変更させるか否かを判定する。制御部200は、サイドエアの吹き付け位置を変更させると判定する場合(ステップS41;Y)、ステップS42の処理に移行する。制御部200は、サイドエアの吹き付け位置を変更させないと判定する場合(ステップS41;N)、ステップS46の処理に移行する。ステップS42において、制御部200は、ファン921を移動させるか否かを判定する。制御部200は、ファン921を移動させると判定する場合(ステップS42;Y)、ステップS43の処理に移行する。制御部200は、ファン921を移動させないと判定する場合(ステップS42;N)、ステップS44の処理に移行する。なお、ファン921と共に駆動モーター922も移動させることが好ましいが、ファン921と駆動モーター922との距離が離れたとしても駆動モーター922の駆動力が伝達可能な構成であれば、ファン921だけを移動させてもよい。
【0069】
ステップS43において、制御部200は、用紙Pの紙種、坪量、及び凹凸パターンの少なくとも1つに応じて、ファン921の移動位置を決定する。ステップS44において、制御部200は、サイドエアの風向きを変化させるか否かを判定する。制御部200は、サイドエアの風向きを変化させると判定する場合(ステップS44;Y)、ステップS45の処理に移行する。制御部200は、サイドエアの風向きを変化させないと判定する場合(ステップS44;N)、ステップS46の処理に移行する。ステップS45において、制御部200は、用紙Pの紙種、坪量、及び凹凸パターンの少なくとも1つに応じて、サイドエアの風向きを決定する。ステップS46において、制御部200は、サイドエアの吹き付け風量を変更させるか否かを判定する。制御部200は、サイドエアの吹き付け風量を変更させると判定する場合(ステップS46;Y)、ステップS47の処理に移行する。制御部200は、サイドエアの吹き付け風量を変更させないと判定する場合(ステップS46;N)、ステップS51の処理に移行する。ステップS47において、制御部200は、ファン921の風量を変化させるか否かを判定する。制御部200は、ファン921の風量を変化させると判定する場合(ステップS47;Y)、ステップS48の処理に移行する。制御部200は、ファン921の風量を変化させないと判定する場合(ステップS47;N)、ステップS49の処理に移行する。
【0070】
ステップS48において、制御部200は、用紙Pの紙種、坪量、及び凹凸パターンの少なくとも1つに応じて、ファン921の回転数を決定する。ステップS49において、制御部200は、側端エア開口721の開口面積を変更させるか否かを判定する。制御部200は、側端エア開口721の開口面積を変更させると判定する場合(ステップS49;Y)、ステップS50の処理に移行する。制御部200は、側端エア開口721の開口面積を変更させないと判定する場合(ステップS49;N)、ステップS51の処理に移行する。ステップS50において、制御部200は、用紙Pの紙種、坪量、及び凹凸パターンの少なくとも1つに応じて、側端エア開口721の開口面積を決定する。
【0071】
なお、ステップS43、ステップS45、ステップS48、及びステップS50の何れの処理であっても、凹凸パターンにおけるピッチX1が大きくなるにつれ、用紙Pの向きを変更させるためにはより大きい力を用紙Pに与える必要がある。凹凸パターンにおける深さX2が大きくなる場合も、同様である。
【0072】
以上の説明から、本実施形態によれば、第1の側端エア部723_1から送風される第1のサイドエアの風向きと、第2の側端エア部723_2から送風される第2のサイドエアの風向きとが反対にさせられ、且つ第1のサイドエアの作用線L_1と、第2のサイドエアの作用線L_2とが不一致にさせられる。よって、浮上している用紙Pにはトルクが生じる。したがって、最上位の用紙Pと、下位の用紙Pとを確実に分離することができる。
【0073】
また、本実施形態において、側端規制部72は、給紙搬送部73の後端位置よりも用紙搬送方向の下流側に配置され、且つ用紙搬送方向において給紙搬送部73よりも短い。よって、第1のサイドエアと、第2のサイドエアとによって用紙Pにトルクを容易に生じさせることができる。したがって、最上位の用紙Pと、下位の用紙Pとを特に顕著に分離することができる。
【0074】
実施形態3.
実施形態3において、実施形態1,2と同様の構成及び機能についての説明は省略する。具体的には、実施形態3は、先端規制部78及び吸引部74が実施形態1と同様の構成であり、側端規制部72の配置箇所及び長さが実施形態2と同様の構成である。実施形態3は、用紙Pの幅方向に沿って、用紙Pの一部の傾き補正量と、用紙Pの他の一部の傾き補正量とで異なる制御を実行する点が実施形態1,2と異なる。図16は、本開示の実施形態3における給紙搬送部73_1,73_2を用紙上方から見た一例を示す図である。図17は、本開示の実施形態3における給紙装置2の制御系の一例を示す図である。図16,17に示すように、用紙Pの幅方向に沿って、給紙搬送部73_1と、給紙搬送部73_2とが設けられている。給紙搬送部73_1は、第1のベルト部材731_1、駆動ローラー733_1、及び従動ローラー734_1を備える。給紙搬送部73_2は、第2のベルト部材731_2、駆動ローラー733_2、及び従動ローラー734_2を備える。側端規制部72_21は、用紙Pの幅方向の一方の端部に対向し、側端エア部723及び側端検知センサー724を備える。側端規制部72_22は、用紙Pの幅方向の他方の端部に対向し、側端エア部723及び側端検知センサー724を備える。第1のベルト部材731_1と、第2のベルト部材731_2とは、それぞれの傾き補正量が異なる。なお、本実施形態において、給紙搬送部73_1及び給紙搬送部73_2を総称する場合、給紙搬送部73と称する。また、本実施形態において、側端規制部72_21及び側端規制部72_22を総称する場合、側端規制部72と称する。
【0075】
つまり、給紙搬送部73は、用紙搬送方向と直交する用紙幅方向に沿って配列される第1のベルト部材731_1と、第1のベルト部材731_1の両端側の少なくとも一方に配列される第2のベルト部材731_2と、を備える。第1のベルト部材731_1及び第2のベルト部材731_2は、本実施形態において姿勢変更部として構成される。第1のベルト部材731_1は、制御部200により制御される駆動ローラー733_1の駆動により用紙Pの傾き補正量が変更される。第2のベルト部材731_2は、制御部200により制御される駆動ローラー733_2の駆動により用紙Pの傾き補正量が変更される。なお、第1のベルト部材731_1及び第2のベルト部材731_2のそれぞれの傾き補正量の差異により用紙Pが傾いた状態に変更される。この際、給紙搬送部73から外れている用紙Pの後端は垂れ下がっているが、側端規制部72が給紙搬送部73よりも短いため、用紙Pの後端且つ側端が側端規制部72により規制されることはない。よって、最上位の用紙Pと下位の用紙Pとの位相が可変となる。したがって、用紙Pの搬送開始後、給紙搬送部73_1と、給紙搬送部73_2とを同期して駆動させれば、用紙Pは傾いた姿勢のまま下流側に搬送されるため、最上位の用紙Pと下位の用紙Pとの凹凸パターンの重なりを防止して、用紙Pを搬送することができる。なお、本実施形態において、給紙搬送部73_1及び給紙搬送部73_2の何れかを特に限定しない場合、給紙搬送部73と称し、駆動ローラー733_1及び駆動ローラー733_2の何れかを特に限定しない場合、駆動ローラー733と称し、従動ローラー734_1及び従動ローラー734_2の何れかを特に限定しない場合、従動ローラー734と称する。
【0076】
図18は、本開示の実施形態3における給紙装置2の制御例を説明するフローチャートである。なお、ステップS71~ステップS79の処理は、ステップS11~ステップS19の処理と同様であるため、その説明については省略する。ステップ80において、制御部200は、給紙搬送部73ごとの用紙Pの傾き補正量を異なる傾き補正量に決定させる。ステップS81において、制御部200は、それぞれの給紙搬送部73の駆動ローラー733の駆動を開始させる。ステップS82において、制御部200は、設定時間が経過したか否かを判定する。制御部200は、設定時間が経過したと判定する場合(ステップS82;Y)、ステップS83の処理に移行する。制御部200は、設定時間が経過していないと判定する場合(ステップS82;N)、ステップS82の処理を継続する。ステップS83において、制御部200は、用紙Pの搬送を開始させるか否かを判定する。制御部200は、用紙Pの搬送を開始させると判定する場合(ステップS83;Y)、ステップS84の処理に移行する。制御部200は、用紙Pの搬送を開始させないと判定する場合(ステップS83;N)、ステップS83の処理を継続する。ステップS84において、制御部200は、それぞれの給紙搬送部73の駆動ローラー733の駆動を同期させ、最上位の用紙Pを傾かせる処理を終了する。ただし、引き続き用紙Pを搬送させる場合、下位の用紙Pのうち次に最上位となる用紙PにおいてもステップS71~ステップS84の処理を実行する。
【0077】
以上の説明から、本実施形態においては、第1のベルト部材731_1及び第2のベルト部材731_2のそれぞれの傾き補正量が異なるように制御される。よって、第1のベルト部材731_1及び第2のベルト部材731_2に吸着している用紙Pにはトルクが生じる。したがって、最上位の用紙Pと、下位の用紙Pとを確実に分離することができる。
【0078】
以上、本開示に係る画像形成システム1を実施形態に基づいて説明したが、本開示はこれに限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。例えば、本実施形態においては、画像形成システム1が、給紙装置2と、画像形成装置3とを備える一例について説明したが、特にこれに限定されるものではない。例えば、画像形成システム1は、画像読取装置、中継装置、又は後処理装置等を備えてもよい。また、本実施形態においては、給紙装置2が外付け型の構成である一例について説明したが、本開示はこれに限定されない。本実施形態で説明した構成は画像形成装置3内の給紙部51に適用されてもよい。また、本実施形態においては、ガイド部材91がヒンジ機構911を含む一例について説明したが、ヒンジ機構911は、例えばいわゆるトルクヒンジから構成されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 画像形成システム、100 制御部
2 給紙装置、200 制御部
201,201A,201B,201C,2000 給紙部
3 画像形成装置、10 画像読取部、11 自動原稿送り装置
12 原稿画像走査装置、20 操作表示部、21 表示部、22 操作部
30 画像処理部、40 画像形成部
50 用紙搬送部、51 給紙部、52 排紙部、53 搬送経路部、60 定着部
71 載置台、72,72_11,72_12,72_21,72_22 側端規制部
721 側端エア開口
723 側端エア部、723_1 第1の側端エア部、723_2 第2の側端エア部
724 側端検知センサー、724A 投光素子、724B 受光素子
73,73_1,73_2 給紙搬送部
731,731_1、731_2 ベルト部材
732 孔、733,733_1,733_2 駆動ローラー
734,734_1,734_2,734A,734B,734C 従動ローラー
74 吸引部、740 吸着室、741 吸引エア部
742 吸着検知センサー、743 検知子
75 搬送経路部、751 給紙検知センサー、752 搬送ローラー
753 従動ローラー、754 搬送ガイド
78 先端規制部、781 先端エア部、782 先端規制部材
784,784A,784B,784C 先端エア開口
785 シャッター、786,786A,786B ソレノイド
787 フラップ、788,788A,788B ソレノイド
91 ガイド部材、911 ヒンジ機構
911A フラップ、911B シャフト、911C ベース、912 ギア部
913 駆動モーター、914 ダンパー部、915 駆動モーター
921 ファン、922 駆動モーター、923 ギア部、924 駆動モーター
925 ダクト部、926 駆動モーター
927 シャッター、928 駆動モーター
P,S 用紙、R11~R15 搬送ローラー、D_A 検出領域
L_1,L_2 作用線、X1 ピッチ、X2 深さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19