(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】ゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
A63B 53/04 20150101AFI20220117BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20220117BHJP
【FI】
A63B53/04 A
A63B102:32
(21)【出願番号】P 2018050929
(22)【出願日】2018-03-19
【審査請求日】2021-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120938
【氏名又は名称】住友 教郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 崇
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0275446(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0346647(US,A1)
【文献】米国特許第05295689(US,A)
【文献】特表2008-507324(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0068936(US,A1)
【文献】特開2013-240404(JP,A)
【文献】特開平11-178957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/04-53/06
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
打撃面形成部と、複数の延在部によって形成されたリブフレームとを備えており、
前記リブフレームと前記打撃面形成部とでヘッド構造部が構成されており、
前記ヘッド構造部が、
半正多面体から任意に選択される第1構成面に対応した形状を成す第1形状部と、
前記半正多面体において前記第1構成面と一つの辺を共有する第2構成面に対応した形状を成す第2形状部とを含む、ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記第1構成面が、三角形、四角形又は五角形である請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記半正多面体が、二十・十二面体又は立方八面体である請求項1又は2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記ヘッドが、外殻部と中空部とを有しており、
前記リブフレームが、前記外殻部に沿って配置されている請求項1から
3のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記ヘッドが、クラウン及びソールを有しており、
前記リブフレームが、前記クラウン及び前記ソールに形成されている請求項1から
4のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記ヘッドが、クラウン及びソールを有しており、
前記リブフレームが、前記クラウン又は前記ソールの一方のみに形成されている請求項1から
4のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
特開平4-347179号公報は、フェース壁体の背面のヒール側とトウ側と略アーチ状に延びる骨材で連結する骨格体を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
より少ない重量で、より大きなヘッドの剛性を高めることができれば、ヘッドの設計自由度が向上する。
【0005】
本開示は、ヘッドの設計自由度を高めうる構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様では、ゴルフクラブヘッドは、打撃面形成部と、複数の延在部によって形成されたリブフレームとを備えている。前記リブフレームと前記打撃面形成部とでヘッド構造部が構成されている。前記ヘッド構造部は、半正多面体から任意に選択される第1構成面に対応した形状を成す第1形状部と、前記半正多面体において前記第1構成面と一つの辺を共有する第2構成面に対応した形状を成す第2形状部とを含む。
【0007】
他の態様では、ゴルフクラブヘッドは、打撃面形成部と、少なくとも3本の延在部によって形成されたリブフレームとを備えている。前記リブフレームは、三角形に対応した形状を成す三角形状部を有している。
【発明の効果】
【0008】
一つの側面として、設計自由度に優れたゴルフクラブヘッドが提供されうる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態のヘッドの平面図である。
【
図4】
図4(a)及び
図4(b)は、二十・十二面体の斜視図である。
【
図5】
図5は、
図2と同じ平面図である。
図5では、略三角形が破線ハッチングで示され、略五角形が実線ハッチングで示されている。
【
図6】
図6は、
図5の実施形態と半正多面体との対応関係を示す。
【
図7】
図7は、
図3と同じ底面図である。
図7では、略三角形が破線ハッチングで示され、略五角形が実線ハッチングで示されている。
【
図8】
図8は、
図7の実施形態と半正多面体との対応関係を示す。
【
図16】
図16は、
図14と同じ背面図である。
図16では、略三角形が破線ハッチングで示され、略五角形が実線ハッチングで示されている。
【
図18】
図18は、二十・十二面体の構造が適用されたヘッド構造部の模式図である。
【
図19】
図19は、立方八面体の構造が適用されたヘッド構造部の模式図である。
【
図20】
図20は、斜方立方八面体の構造が適用されたヘッド構造部の模式図である。
【
図21】
図21(a)から(f)は、リブフレームの形態を例示する断面図である。
【
図22】
図22は、トウ-ヒール方向及びフェース-バック方向を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面が参照されつつ、実施形態が詳細に説明される。
【0011】
本願では、基準状態、基準垂直面、フェース-バック方向、トウ-ヒール方向及び上下方向が定義される。所定のライ角及びリアルロフト角で水平面HP上にヘッドが載置された状態が、基準状態とされる。
図22が示すように、この基準状態では、水平面HPに対して垂直な平面VPに、ホーゼル孔の中心線Zが含まれている。前記平面VPが、基準垂直面とされる。所定のライ角及びリアルロフト角は、例えば製品カタログに掲載されている。
【0012】
本願においてトウ-ヒール方向とは、前記基準垂直面VPと前記水平面HPとの交線NLの方向である(
図22参照)。
【0013】
本願においてフェース-バック方向とは、前記トウ-ヒール方向に対して垂直であり且つ前記水平面HPに対して平行な方向である。
【0014】
本願において上下方向とは、前記トウ-ヒール方向に対して垂直であり且つ前記フェース-バック方向に対して垂直な方向である。換言すれば、本願において上下方向とは、前記水平面HPに対して垂直な方向である。
【0015】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態のゴルフクラブヘッド2をクラウン側から見た平面図である。ヘッド2は、打撃面4、クラウン6、ソール8、及びホーゼル10を有する。ホーゼル10はホーゼル孔12を有する。ヘッド2は、ウッド型ヘッドである。
図1では図示されないが、ヘッド2は、中空構造を有する。ヘッド2の内部は空洞である。換言すれば、ヘッド2は、外殻部と中空部とを有している。
【0016】
ヘッド2は、ヘッド本体h1にカバー部材c1が接合されることで、形成されている。
図2は、ヘッド本体h1をクラウン側から見た平面図である。
図3はヘッド本体h1をソール側から見た底面図である。
【0017】
図1と
図2との対比から明らかなように、ヘッド2では、ヘッド本体h1に、カバー部材c1が接合されている。カバー部材c1は、ヘッド2の外殻部の一部を構成している。ヘッド2では、カバー部材c1として、クラウンカバー部材c11と、ソールカバー部材c12とが用いられている。
【0018】
クラウン6の外面は、は、凸曲面を形成している。クラウンカバー部材c11は、クラウン6の形状に沿って曲げられた板状の部材である。クラウンカバー部材c11は、クラウン6の外面の一部(大部分)を構成している。
図1に描かれた境界線k1は、クラウンカバー部材c11の輪郭線である。ソールカバー部材c12は、ソール8の形状に沿って曲げられた板状の部材である。ソールカバー部材c12は、ソール8の外面の一部(大部分)を構成している。これらのカバー部材c1により、ヘッド2の内部は視認されない。本実施形態では、完成されたヘッド2において、リブフレーム(後述)は視認されない。
【0019】
カバー部材c1の材質は、ヘッド本体h1の材質とは異なる。ヘッド2では、ヘッド本体h1が金属であり、カバー部材c1が非金属である。カバー部材c1は、例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製とされうる。ヘッド本体h1とカバー部材c1とは、接着剤で接着されている。カバー部材c1は金属製であってもよい。カバー部材c1がヘッド本体h1に溶接されていてもよい。
【0020】
ヘッド2は、打撃面形成部14を有する。打撃面形成部14は、打撃面4の少なくとも一部を含む。本実施形態では、打撃面形成部14は、打撃面4の全体を含む。打撃面形成部14は、打撃面4からバック側に延びるフランジ部16を含んでいる。フランジ部16は、クラウン6の一部(フェース寄りの部分)を構成している。フランジ部16は、ソール8の一部(フェース寄りの部分)を構成している。ヘッド2では、打撃面形成部14は、全体として、打撃面4を底面とするカッブ状である。打撃面形成部14(フランジ部16)には、リブフレームの延在部(後述)の端部が接続しうる。
【0021】
図2において両矢印L1で示されるのは、打撃面形成部14のフェース-バック方向長さである。この長さL1は、40mm以下が好ましく、35mm以下がより好ましく、30mm以下がより好ましい。打撃面4の大きさ及びロフト角を考慮すると、長さL1は、10mm以上が好ましく、15mm以上がより好ましい。打撃面形成部14は、フランジ部16を有さなくてもよい。例えば、打撃面形成部14はプレート状であってもよい。打撃面形成部14は、リブフレームの延在部E1(後述)の端部に接続しうる。
【0022】
図2及び
図3が示すように、ヘッド2は、リブフレーム20を有している。リブフレーム20は、複数の延在部E1を有する。
図2及び
図3では、延在部E1が帯状に延びている。リブフレーム20は、3本以上の延在部E1によって形成されている。「延在部」は、リブ及びフレームを含む概念である。
【0023】
ヘッド2は、ヘッド構造部s1を有する。ヘッド構造部s1は、打撃面形成部14とリブフレーム20とから構成されている。リブフレーム20は、打撃面形成部14に対してバック側に位置する。本実施形態では、ヘッド構造部s1がヘッド本体h1に一致している。ヘッド構造部s1は金属製である。
【0024】
リブフレーム20は、延在部E1同士が交差する交差部22を有している。複数の交差部22が設けられている。全ての交差部22は、2本の延在部E1が交差して形成されている。3本以上の延在部E1が交差する交差部は存在しない。3本以上の延在部E1を1点で交差させず、交差部22を増やすことで、半正多面体への近似性が高まる。交差部22を増やすことで、三角形状部が増加しうる。半正多面体及び三角形状部については、後述される。
【0025】
図2及び
図3が示すように、リブフレーム20は、延在部E1として、第1延在部E11、第2延在部E12及び第3延在部E13を有する。更に、リブフレーム20は、第4延在部E14及び第5延在部E15を有する。
【0026】
第1延在部E11は、クラウン6において、打撃面形成部14におけるトウ寄りの位置に接続している(
図2参照)。クラウン6において、第1延在部E11は、バック側に行くにつれてヒール側となるように傾斜して延びている。更に第1延在部E11は、第5延在部E15と交差しつつ、クラウン6からソール8に延びている。ソール8において、第1延在部E11は、打撃面形成部14におけるヒール寄りの位置に接続している(
図3参照)。ソール8において第1延在部E11は、フェース側に行くにつれてヒール側となるように傾斜して延びている(
図3参照)。
【0027】
第2延在部E12は、クラウン6において、打撃面形成部14におけるヒール寄りの位置に接続している(
図2参照)。クラウン6において、第2延在部E12は、バック側に行くにつれてトウ側となるように傾斜して延びている。更に第2延在部E12は、第5延在部E15と交差しつつ、クラウン6からソール8に延びている。ソール8において、第2延在部E12は、打撃面形成部14におけるトウ寄りの位置に接続している(
図3参照)。ソール8において第2延在部E12は、フェース側に行くにつれてトウ側となるように傾斜して延びている(
図3参照)。
【0028】
第3延在部E13は、クラウン6において、打撃面形成部14におけるヒール寄りの位置に接続している(
図2参照)。クラウン6において、第3延在部E13は、第2延在部E12よりもヒール側に位置する。クラウン6において、第3延在部E13は、バック側に行くにつれてヒール側となるように傾斜して延びている。更に第3延在部E13は、第5延在部E15と交差しつつ、クラウン6からソール8に延びている。ソール8において、第3延在部E13は、打撃面形成部14におけるトウ寄りの位置に接続している(
図3参照)。ソール8において、第3延在部E13は、第2延在部E12よりもトウ側で、打撃面形成部14に接続している。ソール8において第3延在部E13は、フェース側に行くにつれてトウ側となるように傾斜して延びている(
図3参照)。
【0029】
第4延在部E14は、クラウン6には存在しない。第4延在部E14は、ソールにのみ存在している。ソール8において、第4延在部E14は、打撃面形成部14のヒール寄りの位置に接続している(
図3参照)。ソール8において、第4延在部E14は、第1延在部E11よりもヒール側で、打撃面形成部14に接続している。ソール8において第4延在部E14は、フェース側に行くにつれてヒール側となるように傾斜して延びている(
図3参照)。
【0030】
第5延在部E15は、クラウン6とソール8との境界k2に沿って延びている。第5延在部E15は、打撃面形成部14のトウ側の端部から、打撃面形成部14のヒール側の端部にまで延びている。
【0031】
なお、ソール8の後方部において、延在部E1間が重量体W1等で埋められているが(
図3)、各延在部E1はヘッドの内面において突出しているので(
図2)、連続して延びる延在部E1は認識される。
【0032】
各延在部E1は、真っ直ぐであってもよいし、曲がっていてもよい。本実施形態では、延在部E11からE15は、曲がっている。各延在部E1は、ヘッド2の外形に沿って(クラウン6又はソール8に沿って)曲がっており、且つ、平面視においても曲がっている。
【0033】
延在部E11~E13は、クラウン6とソール8との境界k2において、ヘッド外形に沿って、角を形成するように折れ曲がっている。境界k2での折れ曲がりを除き、各延在部E1は、角を形成するような折れ曲がりを有さない。境界k2での折れ曲がりを除き、各延在部E1は滑らかな曲線に沿って延びている。各延在部E1の曲がりの曲率半径は比較的大きい。延在部E1の曲がりの曲率半径は、当該曲率半径が最も小さく見える視点からの平面視で、50.0mm以上とされるのが好ましく、55.0mm以上とされるのがより好ましい。この曲率半径は無限大でもよい。すなわち、延在部E1は真っ直ぐであってもよい。
【0034】
[半正多面体]
リブフレーム20には、半正多面体の構造が取り入れられている。半正多面体は、以下の13種類である。
・切頂四面体
・切頂六面体
・切頂八面体
・切頂十二面体
・切頂二十面体
・立方八面体
・二十・十二面体
・斜方立方八面体
・斜方二十・十二面体
・斜方切頂立方八面体
・斜方切頂二十・十二面体
・変形立方体
・変形十二面体
【0035】
半正多面体は、準正多面体を含む。準正多面体は、二十・十二面体及び立方八面体である。
【0036】
ヘッド2のヘッド構造部s1には、二十・十二面体の構造が取り入れられている。ヘッド2のリブフレーム20には、二十・十二面体の構造が取り入れられている。
【0037】
図4(a)及び
図4(b)は、二十・十二面体100の斜視図である。二十・十二面体100の構成面は、20の三角形(正三角形)及び12の五角形(正五角形)である。
【0038】
[第1構成面、第2構成面、第3構成面]
この二十・十二面体100から、第1構成面101が選択される。第1構成面101は、合計32の構成面のうちの1つである。32の構成面の中から、任意の構成面が選択される。二十・十二面体では、第1構成面101は、五角形又は三角形のいずれかである。例えば、第1構成面101として、五角形が選択されてもよい。
図4(a)は、第1構成面101が五角形の場合を示す。第1構成面101として、三角形が選択されてもよい。
図4(b)は、第1構成面101が三角形の場合を示す。
【0039】
第1構成面101が選択されると、第2構成面102が定まる。第2構成面102とは、第1構成面101と一つの辺を共有する構成面である。
【0040】
図4(a)では、第2構成面102は、三角形である。
図4(a)では、5つの第2構成面102が存在する。即ちこの場合、第2構成面102の最大存在数は5である。
【0041】
なお、最大存在数は、半正多面体の種類と、第1構成面101として選ばれる図形とによって定まる。第1構成面101がn角形である場合、第2構成面102の最大存在数はnである。ただし、nは3以上の整数である。
【0042】
図4(b)では、第2構成面102は、五角形である。
図4(b)では、3つの第2構成面102が存在する。即ちこの場合、第2構成面102の最大存在数は3である。
【0043】
第2構成面102が選択されると、第3構成面103が定まる。第3構成面103とは、第1構成面101及び第2構成面102以外の構成面であって、互いに隣り合う2つの第2構成面102のそれぞれと一つの辺を共有する構成面である。第3構成面103は、互いに隣り合う2つの第2構成面102の間に位置する。
【0044】
なお、二十・十二面体では、第3構成面103は、第2構成面102以外の構成面であって、第1構成面101と一つの頂点を共有する構成面である。この定義は、立方八面体及び斜方立方八面体にも当てはまる。
【0045】
図4(a)では、第3構成面103は、五角形である。
図4(a)では、5つの第3構成面103が存在する。即ちこの場合、第3構成面103の最大存在数は5である。
【0046】
図4(b)では、第3構成面103は、三角形である。
図4(b)では、3つの第3構成面103が存在する。即ちこの場合、第3構成面103の最大存在数は3である。
【0047】
図5は、
図2と同じ平面図である。
図6は、
図5の実施形態と二十・十二面体100との対応関係を示す図である。
図7は、
図3と同じ底面図である。
図8は、
図7の実施形態と二十・十二面体100との対応関係を示す図である。なお、
図2及び
図3とは異なり、
図5から
図8では、背景に見える線は消去されている。
【0048】
図5から
図8では、略三角形TRが破線ハッチングで示されており、略五角形PEが実線ハッチングで示されている。略三角形TRは、3本の延在部E1により形成されているか、又は、2本の延在部E1と打撃面形成部14(の縁)とにより形成されている。略三角形TRは、3つの角を有している。略五角形PEは、5本の延在部E1により形成されているか、又は、4本の延在部E1と打撃面形成部14(の縁)とにより形成されている。略五角形PEは、5つの角を有している。略三角形及び略五角形の「略」とは、延在部E1の曲がりを許容する趣旨である。
【0049】
図5が示すように、クラウン6には、複数(2つ)の略三角形TRが形成されている。クラウン6には、略三角形TRとして、第1略三角形TR1及び第2略三角形TR2が形成されている。
図7が示すように、ソール8には複数(4つ)の略三角形TRが形成されている。ソール8には、略三角形TRとして、第3略三角形TR3、第4略三角形TR4、第5略三角形TR5及び第6略三角形TR6が形成されている。このように、ヘッド構造部s1には、6つの略三角形TRが形成されている。
【0050】
図5が示すように、クラウン6には1つの略五角形PEが形成されている。略五角形PEとして、クラウン6には、第1略五角形PE1が形成されている。
図7が示すように、ソール8には3つの略五角形PEが形成されている。略五角形PEとして、ソール8には、第2略五角形PE2、第3略五角形PE3及び第4略五角形PE4が形成されている。このように、ヘッド構造部s1には、4つの略五角形PEが形成されている。
【0051】
[第1形状部、第2形状部、第3形状部]
ヘッド構造部s1は、第1構成面101に対応した形状を成す第1形状部201と、第2構成面102に対応した形状を成す第2形状部202とを有する。更に、ヘッド構造部s1は、第3構成面103に対応した形状を成す第3形状部203を有する。以下では、
図4(b)のように第1構成面101が三角形の場合(
図5-6及び
図7-8参照)と、
図4(a)のように第1構成面101が五角形の場合(
図9-11参照)とが説明される。
【0052】
第1構成面101として三角形が選択される場合、第1構成面101に対応した形状は略三角形TRであり、第2構成面102に対応した形状は略五角形PEである。本実施形態のように、複数の略三角形TRが存在する場合、これらのうちのどれが第1形状部201とされてもよい。
【0053】
例えば、
図7に示されるように、ソール8の中央に位置する第3略三角形TR3が、第1形状部201に選択される。この第3略三角形TR3の周囲に位置する3本の延在部E1が、第1形状部201である。この場合、第2構成面102に対応した形状を成す第2形状部202は、第2略五角形PE2、第3略五角形PE3及び第4略五角形PE4である。更にこの場合、第3構成面103に対応した形状を成す第3形状部203は、第3略三角形TR3、第4略三角形TR4及び第5略三角形TR5である。
【0054】
図8では、
図7の実施形態について、互いに対応関係にある部分に同じ符号が付されている。すなわち、第1構成面101及び第1形状部201に符号Aが付され、第2構成面102及び第2形状部202に符号Bが付され、第3構成面103及び第3形状部203に符号Cが付されている。
【0055】
また例えば、
図5に示されるように、クラウン6の中央に位置する第1略三角形TR1が、第1形状部201に選択される。この第1略三角形TR1の周囲に位置する2本の延在部E1及び打撃面形成部14の縁部が、第1形状部201である。この場合、第2構成面102に対応した形状を成す第2形状部202は、第1略五角形PE1である。更にこの場合、第3構成面103に対応した形状を成す第3形状部203は、第2略三角形TR2である。
【0056】
図6では、
図5の実施形態について、互いに対応関係にある部分に同じ符号が付されている。すなわち、第1構成面101及び第1形状部201に符号Aが付され、第2構成面102及び第2形状部202に符号Bが付され、第3構成面103及び第3形状部203に符号Cが付されている。
【0057】
なお、ヘッド構造部s1において、略三角形TRに対応する部分は三角形状部とも称され、略五角形PEに対応する部分は五角形状部とも称される。第1構成面101として三角形が選択される場合、第1形状部201は三角形状部であり、第2形状部202は五角形状部であり、第3形状部203は三角形状部である。
【0058】
第1構成面101として五角形が選択される場合、第1構成面101に対応した形状は略五角形PEであり、第2構成面102に対応した形状は略三角形TRである。本実施形態のように、複数の略五角形PEが存在する場合、これらのうちのどれが第1形状部201とされてもよい。
【0059】
【0060】
図9及び
図10は、第2略五角形PE2が第1形状部201とされた場合を示す。第1形状部201は、第2略五角形PE2の周囲に存在する5本の延在部E1(E11,E12,E13,E14,E15)である。この場合、第2略三角形TR2、第3略三角形TR3、第4略三角形TR4及び第6略三角形TR6が、第2形状部202である。更にこの場合、第1略五角形PE1、第3略五角形PE3及び第4略五角形PE4が、第3形状部203である。このように、第1構成面101として五角形が選択される場合、第1形状部201は五角形状部であり、第2形状部202は三角形状部であり、第3形状部203は五角形状部である。
【0061】
また、この場合、第4形状部204が存在する。本実施形態では、第1略三角形TR1が、第4形状部204である。第4形状部204は、半正多面体の第4構成面104に対応した形状を成す。
【0062】
図11では、
図9及び
図10の実施形態について、互いに対応関係にある部分に同じ符号が付されている。すなわち、第1構成面101及び第1形状部201に符号Aが付され、第2構成面102及び第2形状部202に符号Bが付され、第3構成面103及び第3形状部203に符号Bが付され、第4構成面104及び第4形状部204に符号Dが付されている。第4構成面104とは、第1構成面101、第2構成面102及び第3構成面103を除く構成面であって、互いに隣り合う2つの第3構成面103のそれぞれと一つの辺を共有する構成面である。第4構成面104は、互いに隣り合う2つの第3構成面103の間に位置する。二十・十二面体100では、第4構成面104は、一つの頂点を第2構成面102と共有している。
【0063】
[第2実施形態]
図12は、第2実施形態のヘッド200をクラウン側から見た平面図である。ヘッド200は、打撃面4、クラウン6、ソール8、及びホーゼル10を有する。ホーゼル10はホーゼル孔12を有する。ヘッド200は、ウッド型ヘッドである。
【0064】
ヘッド200は、ヘッド本体h1にカバー部材c1が接合されることで、形成されている。
図13は、ヘッド本体h1をクラウン側から見た平面図である。
図14はヘッド本体h1をバック側から見た図である。
【0065】
図12と
図13との対比から明らかなように、ヘッド200では、ヘッド本体h1に、カバー部材c1が接合されている。カバー部材c1は、ヘッド200の外殻部の一部を構成している。ヘッド2と同様に、ヘッド200では、カバー部材c1として、クラウンカバー部材及びソールカバー部材が用いられている。
【0066】
ヘッド200は、打撃面形成部14を有する。打撃面形成部14は、打撃面4の全体を含む。打撃面形成部14は、打撃面4からバック側に延びるフランジ部16を含む。
【0067】
ヘッド200は、ヘッド構造部s1を有する。ヘッド構造部s1は、打撃面形成部14とリブフレーム20とから構成されている。本実施形態では、ヘッド構造部s1がヘッド本体h1に一致している。ヘッド構造部s1は金属製である。
【0068】
図13及び
図14が示すように、ヘッド200は、リブフレーム20を有している。リブフレーム20は、複数の延在部E1を有する。リブフレーム20は、延在部E1同士が交差する交差部22を有している。複数の交差部22が設けられている。
【0069】
リブフレーム20は、3本の延在部E1によって形成されている。
図13及び
図14が示すように、リブフレーム20は、延在部E1として、第1延在部E11、第2延在部E12及び第3延在部E13を有する。
【0070】
第1延在部E11は、クラウン6において、打撃面形成部14におけるトウ寄りの位置に接続している。更に第1延在部E11は、第3延在部E13と交差しつつ、クラウン6からソール8に延びている。ソール8において、第1延在部E11は、打撃面形成部14におけるヒール寄りの位置に接続している。
【0071】
第2延在部E12は、クラウン6において、打撃面形成部14におけるヒール寄りの位置に接続している。更に第2延在部E12は、第3延在部E13と交差しつつ、クラウン6からソール8に延びている。ソール8において、第2延在部E12は、打撃面形成部14におけるヒール寄りの位置に接続している。第3延在部E13よりもソール側において、第1延在部E11と第2延在部E12とが交差している。
【0072】
第3延在部E13は、クラウン6とソール8との境界k2に沿って延びている。第3延在部E13は、打撃面形成部14のトウ側の端部から、打撃面形成部14のヒール側の端部にまで延びている。
【0073】
ヘッド200のヘッド構造部s1には、立方八面体の構造が取り入れられている。ヘッド200のリブフレーム20には、立方八面体の構造が取り入れられている。
【0074】
図15(a)及び
図15(b)は、立方八面体300の斜視図である。立方八面体300の構成面は、8の三角形(正三角形)及び6の四角形(正方形)である。
【0075】
この立方八面体300から、第1構成面301が選択される。第1構成面301は、合計14の構成面のうちの1つである。14の構成面の中から、任意の構成面が選択される。立方八面体では、第1構成面301は、四角形又は三角形のいずれかである。例えば、第1構成面301として、四角形が選択されてもよい。
図15(a)は、第1構成面301が四角形の場合を示す。第1構成面301として、三角形が選択されてもよい。
図15(b)は、第1構成面301が三角形の場合を示す。
【0076】
第1構成面301が選択されると、第2構成面302が定まる。
【0077】
図15(a)では、第2構成面302は、三角形である。
図15(a)では、4つの第2構成面302が存在する。即ちこの場合、第2構成面302の最大存在数は4である。
【0078】
図15(b)では、第2構成面302は、四角形である。
図15(b)では、3つの第2構成面302が存在する。即ちこの場合、第2構成面302の最大存在数は3である。
【0079】
第2構成面302が選択されると、第3構成面303が定まる。
図15(a)では、第3構成面303は、四角形である。
図15(a)では、4つの第3構成面303が存在する。即ちこの場合、第3構成面303の最大存在数は4である。
【0080】
図15(b)では、第3構成面303は、三角形である。
図15(b)では、3つの第3構成面303が存在する。即ちこの場合、第3構成面303の最大存在数は3である。
【0081】
図16は、
図14と同じ図である。
図16では、略三角形TRが破線ハッチングで示されており、略四角形QUが実線ハッチングで示されている。クラウン6には、複数(2つ)の略三角形TRが形成されている。クラウン6には、略三角形TRとして、第1略三角形TR1及び第2略三角形TR2が形成されている。ソール8には複数(2つ)の略三角形TRが形成されている。ソール8には、略三角形TRとして、第3略三角形TR3及び第4略三角形TR4が形成されている。ヘッド構造部s1には、4つの略三角形TRが形成されている。
【0082】
クラウン6には1つの略四角形QUが形成されている。略四角形QUとして、クラウン6には、第1略四角形QU1が形成されている。ソール8には複数(2つ)の略四角形QUが形成されている。略四角形QUとして、ソール8には、第2略四角形QU2及び第3略四角形QU3が形成されている。ヘッド構造部s1には、3つの略四角形QUが形成されている。
【0083】
ヘッド構造部s1は、第1構成面301に対応した形状を成す第1形状部401と、第2構成面302に対応した形状を成す第2形状部402とを有する。更にヘッド構造部s1は、第3構成面303に対応した形状を成す第3形状部403を有する。以下では、
図15(b)のように第1構成面301が三角形の場合が例として説明される(
図16-17参照)。
【0084】
第1構成面301として三角形が選択される場合、第1構成面301に対応した形状は略三角形TRであり、第2構成面302に対応した形状は略四角形QUである。本実施形態のように、複数の略三角形TRが存在する場合、これらのうちのどれが第1形状部401とされてもよい。
【0085】
例えば、ソール8のバック側に位置する第3略三角形TR3が、第1形状部401に選択される。この第3略三角形TR3の周囲に位置する3本の延在部E1が、第1形状部401である。この場合、第2形状部402は、第1略四角形QU1、第2略四角形QU2及び第3略四角形QU3である。更にこの場合、第3形状部403は、第1略三角形TR1、第2略三角形TR2及び第4略三角形TR4である。
【0086】
図17は、
図16の実施形態と立方八面体300との対応関係を示す図である。
図17では、互いに対応関係にある部分に同じ符号が付されている。すなわち、第1構成面301及び第1形状部401に符号Aが付され、第2構成面302及び第2形状部402に符号Bが付され、第3構成面303及び第3形状部403に符号Cが付されている。
【0087】
また例えば、第1略四角形QU1が第1形状部とされてもよい。この場合、第1略三角形TR1、第2略三角形TR2及び第3略三角形TR3が第2形状部であり、第2略四角形QU2及び第3略四角形QU3が第3形状部である。
【0088】
このように、ヘッド200でも、ヘッド構造部s1及びリブフレーム20は、半正多面体(立方八面体)の構造が取り入れられている。
【0089】
半正多面体は、形状安定性が高い。この半正多面体の構造を取り入れたヘッド構造部により、ヘッドを軽量化しながら、効率良く強度及び耐久性を高めることができる。また、半正多面体の構造が適用されたリブフレームでは、応力が効果的に分散され、大きく変形した場合でも応力が集中しにくい。よって、弾性変形量が大きく且つ強度に優れたヘッドが設計されうる。大きな弾性変形量は、反発性能の向上に寄与する。
【0090】
[三角形状部]
前述したヘッド2及びヘッド200において、リブフレーム20は、三角形状部を有している。リブフレーム20の三角形状部は、略三角形TRの周囲に位置する3本の延在部E1で形成されている。
【0091】
第1実施形態のヘッド2において、ヘッド構造部s1は、6つの略三角形TRを有しているから、6つの三角形状部を有する。このうち、リブフレーム20の三角形状部は、第2略三角形TR2、第3略三角形TR3、第4略三角形TR4及び第6略三角形TR6である(
図5及び
図7参照)。リブフレーム20の三角形状部は、延在部E1のみで形成されている三角形状部である。
【0092】
第2実施形態のヘッド200は、ヘッド構造部s1は、4つの略三角形TRを有しているから、4つの三角形状部を有する。このうち、リブフレーム20の三角形状部は、第3略三角形TR3である。
【0093】
三角形は、形状安定性が高い。三角形状部を設けることで、ヘッドを軽量化しつつ効率良く強度及び耐久性を高めることができる。
【0094】
三角形状部の効果を高める観点から、ヘッド構造部s1における三角形状部の数は、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、3以上がより好ましい。ヘッド重量を考慮すると、リブフレームが密となりやすい三角形状部の数は過大とならないのが好ましい。この観点から、ヘッド構造部s1における三角形状部の数は、10以下が好ましく、8以下がより好ましい。
【0095】
三角形状部の効果を高める観点から、リブフレーム20における三角形状部の数は、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、3以上がより好ましい。リブフレームの重量を考慮すると、リブフレームが密となりやすい三角形状部の数は過大とならないのが好ましい。この観点から、リブフレーム20における三角形状部の数は、8以下が好ましく、6以下がより好ましい。
【0096】
両端が打撃面形成部14に接続された延在部E1が、両端接続延在部とも称される。ヘッド2及びヘッド200は、両端接続延在部を有している。ヘッド2において、両端接続延在部は、第1延在部E11、第2延在部E12、第3延在部E13及び第5延在部E15である。ヘッド200において、両端接続延在部は、第1延在部E11、第2延在部E12及び第3延在部E13である。ヘッド200では、全ての延在部E1が両端接続延在部である。
【0097】
両端接続延在部は、打撃面4への衝撃力を効果的に受け止め、この衝撃力に起因する応力を効果的に分散しうる。両端接続延在部は、リブフレーム20による効果を更に高めうる。また、両端接続延在部は、打撃により弾性変形した後の回復変形を効率よく打撃面4に伝達しうる。よって両端接続延在部は、反発性能の向上に寄与しうる。
【0098】
ヘッド2及びヘッド200には、クラウン6からソール8にまで連続して延びる両端接続延在部が存在する。クラウン6からソール8まで連続した両端接続延在部により、効果的な補強が達成されている。
【0099】
両端接続延在部を長くすることで、大きな体積のヘッドを効果的に補強することができる。この観点から、両端接続延在部の長さは、150mm以上が好ましく、170mm以上がより好ましく、190mm以上がより好ましい。ゴルフルールにおけるヘッド体積の上限を考慮すると、両端接続延在部の長さは、300mm以下が好ましく、250mm以下がより好ましい。
【0100】
リブフレーム20の強度の観点から、2本の延在部E1が交差する交差部22の数は、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、4以上がより好ましい。リブフレーム20の重量を抑制する観点から、2本の延在部E1が交差する交差部22の数は、15以下が好ましく、13以下がより好ましく、11以下がより好ましい。
【0101】
図18は、二十・十二面体の構造が適用されたヘッド構造部s11の模式図である。
図18は、
図14と同様に、ヘッド構造部s11をバック側から見た図である。打撃面形成部14が円で表現されており、この円上の2点を結ぶ直線のそれぞれが、延在部E1である。
図18では、5本の延在部E1が設けられている。全ての延在部E1は、その少なくとも一端が打撃面形成部14に接続している。即ち、全ての延在部E1は、打撃面形成部14から延びている。更に、全ての延在部E1は、両端接続延在部である。この構造は、ヘッド2のヘッド構造部s1に近似している。
【0102】
ヘッド2のヘッド構造部s1と同様に、
図18の実施形態は、複数の略五角形PEと、複数の略三角形TRとを有する。このうち、例えば太い破線で強調された略三角形TRは、3本の延在部E1で形成された三角形状部である。この三角形状部は、打撃面形成部14から延びている3本の延在部E1によって形成されている。この三角形状部は、3本の両端接続延在部で形成されている。
【0103】
図19は、立方八面体の構造が適用されたヘッド構造部s12の模式図である。
図19は、ヘッド構造部s12をバック側から見た図である。打撃面形成部14が円で表現されており、この円上の2点を結ぶ直線のそれぞれが、延在部E1である。
図19では、3本の延在部E1が設けられている。全ての延在部E1は、その少なくとも一端が打撃面形成部14に接続している。即ち、全ての延在部E1は、打撃面形成部14から延びている。更に、全ての延在部E1は、両端接続延在部である。この構造は、ヘッド200のヘッド構造部s1に近似している。
【0104】
ヘッド200のヘッド構造部s1と同様に、
図19の実施形態は、複数の略四角形QUと、複数の略三角形TRとを有する。このうち、例えば太い破線で強調された略三角形TRは、3本の延在部E1で形成された三角形状部である。この三角形状部は、打撃面形成部14から延びている3本の延在部E1によって形成されている。この三角形状部は、3本の両端接続延在部で形成されている。
【0105】
図20は、斜方立方八面体の構造が適用されたヘッド構造部s13の模式図である。
図20は、ヘッド構造部s13をバック側から見た図である。打撃面形成部14が外周円で表現されている。この外周円上の2点を結ぶ直線のそれぞれと、打撃面形成部14よりも内側に位置する円とが、延在部E1である。
図20では、5本の延在部E1が設けられている。円形の延在部E1を除く4つの延在部E1は、その少なくとも一端が打撃面形成部14に接続している。即ち、これら4つの延在部E1は、打撃面形成部14から延びている。これら4つの延在部E1は、両端接続延在部である。円形の延在部E1は、打撃面形成部14から延びていない。
【0106】
図20の実施形態は、複数の略四角形QUと、複数の略三角形TRとを有する。このうち、例えば太い破線で強調された略三角形TRは、3本の延在部E1で形成された三角形状部である。この三角形状部は、打撃面形成部14から延びている2本の延在部E1と、打撃面形成部14から延びていない1本の延在部E1とによって形成されている。
【0107】
図18から
図20の実施形態は、半正多面体を半分に分割し、この分割面を打撃面4とした構造である。この構造は、半正多面体の安定した形状を効果的に取り込むことができるため、好ましい。
【0108】
なお、二十・十二面体及び立方八面体では、ある1つの第1構成面が決定されると、第2構成面の図形は1種類である。例えば二十・十二面体では、第1構成面が三角形とされると、第2構成面は五角形の1種類である。しかし、半正多面体の種類によっては、第2構成面の図形が複数種類となりうる。例えば、斜方立方八面体では、第1構成面が四角形のとき、第2構成面は三角形及び四角形である。また例えば、切頂二十面体では、第1構成面が六角形のとき、第2構成面は五角形及び六角形である。同様に、半正多面体の種類によっては、第3構成面の図形が複数種類となりうる。形状安定性の観点から、半正多面体は、二十・十二面体及び立方八面体が好ましい。また、延在部E1の曲がりを比較的小さくでき、延在部E1の本数を減らしやすいとの観点から、二十・十二面体が特に好ましい。
【0109】
三角形状部を構成する3本の延在部E1のうち少なくとも2本が、打撃面形成部14から延びているのが好ましい。この場合、打撃面が受けた衝撃力が効果的に三角形状部に伝達されるため、三角形状部の機能がより効果的に発揮される。この観点から、三角形状部を構成する3本の延在部E1が打撃面形成部14から延びているのが好ましく、三角形状部を構成する3本の延在部E1が両端接続延在部であるのがより好ましい。
【0110】
第2形状部の存在により、半正多面体との近似性が高まる。この観点から、1以上の第2形状部が存在するのが好ましい。第2形状部の数が多いほど、半正多面体との近似性が高まる。この観点から、第2形状部の数N2は、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、4以上がより好ましい。数N2は、上述した最大存在数であるのが最も好ましい。数N2が最大になるように、第1構成面の形状及び第1形状部の位置が決定されてもよい。
【0111】
第3形状部の存在により、半正多面体との近似性が高まる。この観点から、1以上の第3形状部が存在するのが好ましい。第3形状部の数が多いほど、半正多面体との近似性が高まる。この観点から、第3形状部の数N3は、2以上が好ましく、3以上がより好ましい。数N3は、上述した最大存在数であるのが最も好ましい。数N3が最大になるように、第1構成面の形状及び第1形状部の位置が決定されてもよい。
【0112】
ヘッド2及びヘッド200では、リブフレーム20がクラウン6及びソール8に形成されている。この構成では、ヘッド全体が効果的に補強されうる。一方、リブフレーム20が、クラウン6又はソール8の一方のみに配置されてもよい。この構成も、ヘッドの設計自由度を高めうる。例えば、リブフレーム20をクラウン6のみに配置し、CFRP製のクラウンカバー部材をこのリブフレーム20に接着することができる。この場合、クラウン6の重量を小さくして、ヘッド重心を下げることができる。また例えば、リブフレーム20をソール8のみに配置し、CFRP製のソールカバー部材をこのリブフレーム20に接着することができる。この場合、ソール8の重量を小さくして、ヘッド重心を上げることができる。
【0113】
リブフレーム20は、ヘッドの内部に隠されていてもよい。リブフレーム20は、露出していてもよい。
【0114】
図21(a)から(f)は、延在部E1に係る構成のバリエーションを示す断面図である。
【0115】
図21(a)の実施形態では、延在部E1は、ヘッドの外殻部G1と一体成形されている。延在部E1は、ヘッドの内面に設けられている。延在部E1は、外殻部G1の内面で突出する突出部である。またこの場合、延在部E1は、厚肉部である。
【0116】
図21(b)の実施形態では、延在部E1は、ヘッドの外殻部G1とは別体である。延在部E1は外殻部G1の内面に接合されている。前述したヘッド2では、この
図21(b)の構造が採用されている。ヘッド2では、外殻部G1であるカバー部材c1が延在部E1に接着剤で接合されている。
【0117】
図21(c)の実施形態では、延在部E1は、ヘッドの外殻部G1と一体成形されている。即ち延在部E1は厚肉部である。また、延在部E1は、ヘッドの外面に設けられている。延在部E1は、外殻部G1の外面で突出する突出部である。
【0118】
図21(d)の実施形態では、延在部E1は、ヘッドの外殻部G1とは別体である。延在部E1は外殻部G1の外面に接合されている。
【0119】
図21(e)の実施形態では、延在部E1は、ヘッドの外殻部G1と一体成形されている。即ち延在部E1は厚肉部である。また、延在部E1は、ヘッドの外面及び内面に設けられている。
【0120】
図21(a)から(e)の実施形態では、リブフレーム20は、外殻部G1に沿って配置されている。
図21(a)及び(b)では、リブフレーム20は、外殻部G1の内面に沿って配置されている。
図21(c)及び(d)では、リブフレーム20は、外殻部G1の外面に沿って配置されている。
図21(e)では、リブフレーム20は、外殻部G1の内面及び外面に沿って配置されている。
図21(a)から(e)の実施形態では、リブフレーム20によって外殻部G1が効果的に補強されうる。
【0121】
図21(f)の実施形態では、延在部E1は外殻部G1に沿っていない。この実施形態では、延在部E1が直接的に補強する外殻部G1が設けられていない。例えば、カバー部材c1を有さないヘッド構造部s1(
図2及び
図13参照)が、そのまま完成品のヘッドとされてもよい。強度の観点からは、延在部E1同士の隙間を繋ぐ面(外殻部G1等)があるのが好ましい。
【0122】
上述した実施形態に関して、以下の付記を開示する。
[付記1]
打撃面形成部と、複数の延在部によって形成されたリブフレームとを備えており、
前記リブフレームと前記打撃面形成部とでヘッド構造部が構成されており、
前記ヘッド構造部が、
半正多面体から任意に選択される第1構成面に対応した形状を成す第1形状部と、
前記半正多面体において前記第1構成面と一つの辺を共有する第2構成面に対応した形状を成す第2形状部とを含む、ゴルフクラブヘッド。
[付記2]
前記第1構成面が、三角形、四角形又は五角形である付記1に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記3]
前記半正多面体が、二十・十二面体又は立方八面体である付記1又は2に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記4]
打撃面形成部と、少なくとも3本の延在部によって形成されたリブフレームとを備えており、
前記リブフレームが、三角形に対応した形状を成す三角形状部を有している、ゴルフクラブヘッド。
[付記5]
前記三角形状部を構成する3本の前記延在部のうち少なくとも2本が、前記打撃面形成部から延びている付記4に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記6]
前記三角形状部を構成する3本の前記延在部が、前記打撃面形成部から延びている付記4に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記7]
前記ヘッドが、外殻部と中空部とを有しており、
前記リブフレームが、前記外殻部に沿って配置されている付記1から6のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記8]
前記ヘッドが、クラウン及びソールを有しており、
前記リブフレームが、前記クラウン及び前記ソールに形成されている付記1から7のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記9]
前記ヘッドが、クラウン及びソールを有しており、
前記リブフレームが、前記クラウン又は前記ソールの一方のみに形成されている付記1から7のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【符号の説明】
【0123】
2、200・・・ヘッド
4・・・打撃面
6・・・クラウン
8・・・ソール
10・・・ホーゼル
14・・・打撃面形成部
16・・・フランジ部
20・・・リブフレーム
101、301・・・第1構成面
102、302・・・第2構成面
103、303・・・第3構成面
201、401・・・第1形状部
202、402・・・第2形状部
203、403・・・第3形状部
s1・・・ヘッド構造部
TR・・・略三角形
QU・・・略四角形
PE・・・略五角形