(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】ガスクロマトグラフ
(51)【国際特許分類】
G01N 30/86 20060101AFI20220117BHJP
【FI】
G01N30/86 D
G01N30/86 V
(21)【出願番号】P 2018052149
(22)【出願日】2018-03-20
【審査請求日】2020-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100141852
【氏名又は名称】吉本 力
(74)【代理人】
【識別番号】100152571
【氏名又は名称】新宅 将人
(72)【発明者】
【氏名】山根 雅史
【審査官】倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-024650(JP,A)
【文献】特開2017-026548(JP,A)
【文献】特開2017-058159(JP,A)
【文献】特開2009-300340(JP,A)
【文献】国際公開第2016/157516(WO,A1)
【文献】特開2010-066185(JP,A)
【文献】特開2016-114574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/86,
G01N 27/60,
G01N 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の機能を有する複数のユニットを用いて分析を行うことができるガスクロマトグラフであって、
前記複数のユニットにおけるエラーの発生を検出するエラー検出部と、
前記エラー検出部によりエラーが検出された場合に、表示画面上にエラー表示を行う表示部と、
前記複数のユニットにそれぞれ対応付けて、前記表示部とは別に設けられた複数の表示器と、
前記表示部及び前記複数の表示器による表示を制御する表示制御部とを備え、
前記表示制御部は、前記エラー検出部によりエラーが検出された場合に、エラーが検出された前記ユニットに対応する前記表示器を動作させ
、
前記複数のユニットは、複数の試料導入部を備え、前記エラー検出部は、前記試料導入部の使用回数が所定値を超えた場合に、前記試料導入部のエラーを検出することを特徴とするガスクロマトグラフ。
【請求項2】
前記複数のユニットが、それぞれ同一形状を有することを特徴とする請求項1に記載のガスクロマトグラフ。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記エラー検出部によりエラーが検出された場合に、当該エラーに対する対処方法を前記表示画面に表示させることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスクロマトグラフ。
【請求項4】
前記表示器は、対応付けられた前記ユニットにそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のガスクロマトグラフ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一の機能を有する複数のユニットを用いて分析を行うことができるガスクロマトグラフに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスクロマトグラフは、試料導入部、検出部、ガス供給部などの各ユニットを備えている。ガスクロマトグラフでは、これらの各ユニットが動作された状態で、試料の分析が行われる。
【0003】
ガスクロマトグラフで試料を分析している際に、ユニットが正常に動作しなくなることがある。この場合、そのまま分析動作を継続しても、正しい分析結果を得ることができない。そのため、ユニットに異常が発生した場合に、装置上の表示画面において、エラーの発生を報知するガスクロマトグラフが提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
これにより、ユーザに対してユニットに不具合が生じていることを認識させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ガスクトマトグラフでは、同一の機能を有するユニットが複数設けられることがある。例えば、複数の試料導入部や、複数の検出器を備えるガスクロマトグラフが利用されることがある。
【0006】
このようなガスクロマトグラフにおいて、いずれかのユニットが正常に動作しなくなった場合には、そのユニットのエラー表示を表示画面上で報知することとなる。この場合、ユーザは、どの種類のユニットにエラーが発生しているかを認識できる一方で、その種類のユニットのうち、どのユニットでエラーが発生しているかをすぐに特定することができないという不具合が生じることがある。
【0007】
例えば、表示画面上において試料導入部のエラーが表示されている場合には、ユーザは、試料導入部にエラーが発生していることを認識できる。しかし、複数の試料導入部のうちのいずれの試料導入部にエラーが発生しているかをすぐに特定することができない。特に、複数の試料導入部が同様の形状である場合には、どの試料導入部でエラーが発生しているかを特定することに手間がかかってしまう。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、同一の機能を有する複数のユニットでエラーが発生した場合に、エラーが発生したユニットを容易に特定できるガスクロマトグラフを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係るガスクロマトグラフは、同一の機能を有する複数のユニットを用いて分析を行うことができるガスクロマトグラフである。前記ガスクロマトグラフは、エラー検出部と、表示部と、複数の表示器と、表示制御部とを備える。前記エラー検出部は、前記複数のユニットにおけるエラーの発生を検出する。前記表示部は、前記エラー検出部によりエラーが検出された場合に、表示画面上にエラー表示を行う。前記複数の表示器は、前記複数のユニットにそれぞれ対応付けて、前記表示部とは別に設けられる。前記表示制御部は、前記表示部及び前記複数の表示器による表示を制御する。前記表示制御部は、前記エラー検出部によりエラーが検出された場合に、エラーが検出された前記ユニットに対応する前記表示器を動作させる。
【0010】
このような構成によれば、ガスクロマトグラフにおいて、複数のユニットのうちのいずれかでエラーが発生した場合には、表示画面上にエラー表示が行われるとともに、エラーが発生したユニットに対応づけられた表示器が動作される。
【0011】
そのため、表示画面の表示により、ユーザに対してユニットでエラーが発生していることを報知できるとともに、表示器を動作させることにより、ユーザに対して複数のユニットのうちどのユニットでエラーが発生しているかを認識させることができる。
その結果、同一の機能を有する複数のユニットのうち、あるユニットでエラーが発生した場合に、エラーが発生したユニットを容易に特定できる。
【0012】
(2)また、前記複数のユニットが、それぞれ同一形状を有していてもよい。
【0013】
このような構成によれば、特定のユニットを判別することが困難な状況において、エラーが発生したユニットを容易に特定できる。
【0014】
このように、上記した構成の場合には、表示画面上にエラー表示を行うとともに、エラーが発生したユニットに対応づけられた表示器を動作させることが一層効果的である。
【0015】
(3)また、前記表示制御部は、前記エラー検出部によりエラーが検出された場合に、当該エラーに対する対処方法を前記表示画面に表示させてもよい。
【0016】
このような構成によれば、装置に不慣れなユーザであっても、エラーに対する対処方法を容易に確認できる。
そのため、クロマトグラフにおける操作性を向上できる。
【0017】
(4)また、前記表示器は、対応付けられた前記ユニットにそれぞれ設けられていてもよい。
【0018】
このような構成によれば、表示器とユニットの対応関係がわかりやすいため、エラーが発生したユニットをより容易に特定できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ガスクロマトグラフにおいて、複数のユニットのうちのいずれかでエラーが発生した場合には、表示画面上にエラー表示が行われるとともに、エラーが発生したユニットに対応づけられた表示器が動作される。そのため、表示画面の表示により、ユーザに対してユニットでエラーが発生していることを報知できるとともに、表示器を動作させることにより、ユーザに対して複数のユニットのうちどのユニットでエラーが発生しているかを認識させることができる。その結果、同一の機能を有する複数のユニットのうち、あるユニットでエラーが発生した場合に、エラーが発生したユニットを容易に特定できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係るクロマトグラフの構成例を示した概略図である。
【
図2】クロマトグラフの本体の上壁を外した状態を概略的に示した平面図である。
【
図3】制御部及びその周辺の部材の電気的構成を示したブロック図である。
【
図4】表示部における表示画面の表示例を示した図であって、エラー表示画面が表示される状態を示している。
【
図5】表示部における表示画面の表示例を示した図であって、エラー詳細画面が表示される状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
1.ガスクロマトグラフの全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係るガスクロマトグラフの構成例を示した概略図である。このガスクロマトグラフは、キャリアガスとともに試料ガスをカラム1内に供給することにより分析を行うためのものであり、上記カラム1以外に、カラムオーブン2、試料導入部3、検出器4、及び、これらを収容する中空状の本体10などを備えている。
【0022】
カラム1は、例えば、キャピラリカラムからなる。カラム1は、ヒータ及びファンなど(いずれも図示せず)とともにカラムオーブン2内に収容されている。
カラムオーブン2は、カラム1を加熱するためのものであり、分析時にはヒータ及びファンを適宜駆動させる。
【0023】
試料導入部3は、カラム1内にキャリアガス及び試料ガスを導入するための試料導入ユニット(SPL)であり、セプタム(図示せず)が設けられている。また、試料導入部3の内部には、試料気化室(図示せず)が形成されている。この試料気化室には、液体試料が注入され、試料気化室内で気化された試料が、キャリアガスとともにカラム1内に導入される。また、試料気化室には、ガス供給流路5及びスプリット流路6が連通している。
ガス供給流路5は、試料導入部3の試料気化室内にキャリアガスを供給するための流路である。
【0024】
スプリット流路6は、スプリット導入法によりカラム1内にキャリアガス及び試料ガスを導入する際に、試料気化室内のガス(キャリアガス及び試料ガスの混合ガス)の一部を所定のスプリット比で外部に排出するための流路である。
【0025】
検出器4は、例えば、水素炎イオン化検出器(FID)により構成される。すなわち、ガスクロマトグラフを動作させる際には、検出器4において水素炎が点火される。また、検出器4は、カラム1から導入されるキャリアガスに含まれる各試料成分を順次検出する。
【0026】
このガスクロマトグラフにおいて試料を測定する際は、まず、検出器4において水素炎が点火されて、検出器4が起動される。そして、分析対象となる試料が試料導入部3に注入される。試料は、試料気化室において気化される。また、試料導入部3の試料気化室には、ガス供給流路5を介してキャリアガスが供給される。
【0027】
試料気化室内で気化された試料は、キャリアガスとともにカラム1内に導入される。試料に含まれる各試料成分は、カラム1内を通過する過程で分離されて、検出器4に順次導入される。
【0028】
そして、検出器4において、カラム1から導入されるキャリアガスに含まれる各試料成分が順次検出される。また、検出器4における検出結果に基づいて、クロマトグラムが生成される。
【0029】
また、このガスクロマトグラフでは、同一の機能を有する複数のユニットが設けられている。同一の機能を有する複数のユニットとは、同種類の複数のユニットを意味している。例えば、図示しないが、本体10内には、上記したカラム1、試料導入部(SPL)3及び検出器(FID)4などの各ユニットがそれぞれ複数設けられている。ガスクロマトグラフでは、同種類の複数のユニットは、同一形状を有している。ガスクロマトグラフでは、各ユニットが動作することで、様々な条件で試料の分析が行われる。
【0030】
2.表示器の構成
図2は、クロマトグラフの本体10の上壁を外した状態を概略的に示した平面図である。
図2に示すように、本体10の上壁を外した状態では、ユーザは、複数の試料導入部(SPL)3と、複数の検出器(FID)4とを確認できる。なお、
図2では、各試料導入部(SPL)3及び各検出器(FID)4の形状や配置は、概略化して示されている。また、
図2では、各試料導入部(SPL)3及び各検出器(FID)4には、他のユニットと区別するため番号を付している。
【0031】
クロマトグラフでは、各ユニットに対応づけて表示器が設けられている。例えば、各試料導入部(SPL)3の外面には、表示器31が設けられている。また、各検出器(FID)4の外面には、表示器41が設けられている。
【0032】
表示器31及び表示器41のそれぞれは、例えば、LEDなどにより構成される。なお、表示器31及び表示器41のそれぞれは、LED以外の表示用部材により構成されてもよい。
このような構成により、本体10の上壁を外した状態において、ユーザは、各ユニットに対応づけられる表示器を確認することができる。
【0033】
なお、後述するように、ガスクロマトグラフでは、試料導入部3及び検出器4以外にも同種類の複数のユニットが設けられており、このユニットにも表示器が設けられている。
【0034】
3.制御部及びその周辺の部材の電気的構成
図3は、制御部11及びその周辺の部材の電気的構成を示したブロック図である。
ガスクロマトグラフは、上記した試料導入部3及び検出器4に加えて、表示部7、ガス供給機構8、記憶部9及び制御部11などを電気的構成として備えている。
【0035】
表示部7は、本体10(
図1参照)に設けられている。表示部7は、タッチパネルを含んでいる。すなわち、ユーザは、表示部7で情報の確認を行うことができるとともに、表示部7で入力操作を行うことができる。
【0036】
ガス供給機構(APC)8は、試料導入部用、検出器用がある。試料導入部用はガス供給流路5にキャリアガスを供給するための機構であり、検出器用は検出器4に検出器用ガスを供給するための機構である。ガス供給機構8は、表示器81及びガス供給機構制御部82を備えている。なお、図示しないが、試料導入部用のガス供給機構8は、キャリアガスが貯留されたボンベや、ボンベとガス供給流路5とを接続する配管などを備えている。
【0037】
表示器81は、例えば、LEDなどにより構成される。表示器81は、例えば、ボンベとガス供給流路5とを接続する配管に取り付けられている。なお、表示器81は、LED以外の表示用部材により構成されてもよい。
ガス供給機構制御部82は、ガス供給機構8の動作を制御する処理を行う。
【0038】
ガスクロマトグラフでは、同種類のガス供給機構8が複数設けられている。すなわち、ガスクロマトグラフでは、同一の機能を有するユニットとして、ガス供給機構8が複数設けられている。複数のガス供給機構8は、同一形状を有していてもよい。
【0039】
記憶部9は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスクなどにより構成されている。記憶部9には、使用回数情報91が記憶されている。使用回数情報91は、試料導入部3(試料導入部3のセプタム)の使用回数の情報である。
【0040】
制御部11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含む構成である。制御部11には、試料導入部3、検出器4、表示部7、ガス供給機構8及び記憶部9などの各部が電気的に接続されている。制御部11は、CPUがプログラムを実行することにより、エラー検出部112、表示制御部113及び回数検出部114などとして機能する。
【0041】
エラー検出部112は、検出器4からの信号に基づいて、検出器4のエラーを検出する処理を行う。また、エラー検出部112は、記憶部9の使用回数情報91に基づいて、試料導入部3の使用回数が所定値を超えた場合に、試料導入部3のエラーを検出する処理を行う。また、エラー検出部112は、ガス供給機構制御部82からの信号に基づいて、ガス供給機構8のエラーを検出する処理を行う。
【0042】
表示制御部113は、エラー検出部112の検出結果に基づいて、各ユニットの表示器の動作を制御する処理を行う。また、表示制御部113は、エラー検出部112の検出結果、及び、ユーザによる入力操作に基づいて、表示部7に所定の表示内容を表示させる処理を行う。
回数検出部114は、試料導入部3からの信号に基づいて、試料導入部3(試料導入部3のセプタム)の使用回数を検出する処理を行う。
【0043】
4.表示画面の表示態様
図4は、表示部7における表示画面20の表示例を示した図であって、エラー報知画面23が表示される状態を示している。
【0044】
ガスクロマトグラフの動作中は、表示部7には表示画面20が表示されている。ガスクロマトグラフが通常の状態(エラーが発生しない状態)で動作しているときは、表示画面20は、基本画面として表示されている。そして、後述するように、ガスクロマトグラフにおいて、いずれかのユニットでエラーが発生すると、表示画面20にエラー発生を報知するエラー報知画面23が表示される。
【0045】
基本画面の状態の表示画面20には、動作表示領域21及びグラフ表示領域22が含まれている。
動作表示領域21は、ガスクロマトグラフにおける各種部品の動作状態を表示するための領域である。グラフ表示領域22は、検出器4からの検出信号に基づいて生成されたクロマトグラムをリアルタイムで表示するための領域である。
【0046】
ガスクロマトグラフにおいて、いずれかのユニットでエラーが発生すると、動作表示領域21及びグラフ表示領域22に重なるようにして、エラー報知画面23が表示される。
【0047】
エラー報知画面23では、いずれかのユニットでエラーが発生していることを示す旨のメッセージ、詳細情報ボタン231、解除ボタン232及び保留ボタン233が表示される。なお、この例では、エラー報知画面23には、ガス供給機構8でエラーが発生している旨のメッセージが表示されている。
【0048】
詳細情報ボタン231は、エラーの詳細情報を表示させるためのボタンである。
解除ボタン232は、エラー検出を解除するためのボタンである。
保留ボタン233は、エラー検出を保留したまま動作を継続するためのボタンである。
【0049】
図5は、表示部7における表示画面20の表示例を示した図であって、エラー詳細画面24が表示される状態を示している。
後述するように、
図4に示す表示画面20が表示部7に表示されている状態で、詳細情報ボタン231がタッチされると、
図5に示すように、エラー詳細画面24が表示される。
【0050】
エラー詳細画面24では、エラーの発生原因を示すメッセージ、及び、エラーの対処方法(対策)を示すメッセージが表示されている。この例では、エラー詳細画面24には、ガス供給機構8でエラーが発生しているエラーの原因を示すメッセージ、及び、ガス供給機構8のエラーの対処方法を示すメッセージが表示されている。
【0051】
5.制御部の制御動作
ガスクロマトグラフの動作中は、表示部7には基本画面の状態の表示画面20が表示されている。すなわち、表示画面20には、動作表示領域21及びグラフ表示領域22が表示されている。
【0052】
そして、ガスクロマトグラフにおいて、いずれかのユニットでエラーが発生すると、エラー検出部112は、どのユニットでエラーが発生したかを検出する。そして、表示制御部113は、
図4に示すように、動作表示領域21及びグラフ表示領域22に重なるようにしてエラー報知画面23を表示させる。また、表示制御部113は、エラーが発生しているユニットに対応する表示器を動作させる。
【0053】
例えば、ガスクロマトグラフで分析動作が行われると、試料導入部3からの信号に基づいて、回数検出部114が試料導入部3の使用回数を検出する。そして、回数検出部114は、その使用回数を使用回数情報91として、記憶部9に記憶させる。
【0054】
エラー検出部112は、記憶部9の使用回数情報91を読み出し、その値(試料導入部3の使用回数)を閾値と比較する。そして、読み出した値が閾値を超えている場合には、エラー検出部112は、試料導入部3でエラーが発生していること(試料導入部3の使用回数過多)を検出する。
【0055】
また、ガスクロマトグラフの動作中は、エラー検出部112には、検出器4からの信号が入力される。エラー検出部112は、検出器4の信号に異常が発生している場合に、検出器4でエラーが発生していることを検出する。
【0056】
また、ガスクロマトグラフの動作中は、エラー検出部112には、ガス供給機構制御部82からの信号が入力される。エラー検出部112は、ガス供給機構制御部82の信号に異常が発生している場合に、ガス供給機構8でエラーが発生していることを検出する。
【0057】
このようにしてエラー検出部112がユニットのエラーを検出すると、表示制御部113は、表示画面20にエラー報知画面23を表示させるとともに、エラーが発生しているユニットに対応する表示器を動作させる。
【0058】
例えば、エラー検出部112がガス供給機構8でのエラー発生を検出した場合には、表示制御部113は、
図4に示すように、表示画面20にガス供給機構8に関するエラー報知画面23を表示させる。そして、表示制御部113は、エラーが発生したガス供給機構8に対応する表示器81を点灯させる。
【0059】
これにより、ユーザは、まず、表示画面20に表示されたエラー報知画面23により、ガス供給機構8でエラーが発生していることを認識する。
そして、ユーザは、表示器81の点灯を確認することにより、その表示器81が対応づけられているガス供給機構8を確認する。
【0060】
これにより、ガス供給機構8が複数設けられていても、どのガス供給機構8でエラーが発生しているかを容易に確認できる。
同様に、試料導入部3でエラーが発生している場合には、表示画面20に試料導入部3でのエラー発生を表すエラー報知画面23が表示されるとともに、その試料導入部3に対応付けられる表示器31が点灯される。また、検出器4でエラーが発生している場合には、表示画面20に検出器4でのエラー発生を表すエラー報知画面23が表示されるとともに、その試料導入部3に対応付けられる表示器31が点灯される。
【0061】
試料導入部3に対応づけられる表示器31が点灯される場合、及び、検出器4に対応づけられる表示器41が点灯される場合には、ユーザは、本体10の上壁を取り外すことで、これらの表示器を容易に確認することができる(
図2参照)。
【0062】
また、ユーザは、エラーの詳細情報を確認する場合には、エラー報知画面23において、詳細情報ボタン231にタッチする。すると、表示画面20において、エラー報知画面23に代えてエラー詳細画面24が表示される。
これにより、ユーザは、エラー詳細画面24を確認することで、エラーの原因及び対策を確認できる。
【0063】
また、ユーザは、エラー検出部112によるエラー検出を解除する場合には、エラー報知画面23において解除ボタン232をタッチする。また、ユーザは、エラー検出部112によるエラー検出を保留したまま分析動作を継続する場合には、エラー報知画面23において保留ボタン233をタッチする。
【0064】
6.作用効果
(1)本実施形態では、ガスクロマトグラフにおいて、複数のユニットのうちのいずれかでエラーが発生した場合には、表示制御部113の処理により、表示部7の表示画面20にエラー報知画面23が表示されるとともに、エラーが発生したユニットに対応づけられた表示器が動作(点灯)される。
【0065】
そのため、表示画面20上のエラー報知画面23の表示により、ユーザに対して、エラーが発生しているユニットがあることを報知できる。そして、表示器を動作させることにより、ユーザに対して複数のユニットのうちどのユニットでエラーが発生しているかを認識させることができる。
その結果、同一の機能を有する複数のユニットのうち、あるユニットでエラーが発生した場合に、エラーが発生したユニットを容易に特定できる。
【0066】
(2)また、本実施形態では、ガスクロマトグラフにおいて、複数のユニットが、それぞれ同一形状を有している。
そのため、特定のユニットを判別することが困難な状況において、エラーが発生したユニットを容易に特定できる。
【0067】
すなわち、本実施形態のガスクロマトグラフでは、表示画面20上にエラー報知画面23を表示させるとともに、エラーが発生したユニットに対応づけられた表示器を動作させることが一層効果的である。
【0068】
(3)また、本実施形態では、表示制御部113は、エラー検出部112によりエラーが検出された場合に、当該エラーに対する対処方法をエラー詳細画面24として表示画面20に表示させる。
【0069】
そのため、装置に不慣れなユーザであっても、エラーに対する対処方法を容易に確認できる。
その結果、クロマトグラフにおける操作性を向上できる。
【0070】
(4)また、本実施形態では、表示器は、対応付けられたユニットにそれぞれ設けられている(各表示器は、対応づけられた各ユニットに設けられている)。具体的には、表示器31は、試料導入部3に設けられている。表示器41は、検出器4に設けられている。表示器81は、ガス供給機構8に設けられている。
【0071】
このように、各表示器と各ユニットの対応関係がわかりやすいため、エラーが発生したユニットをより容易に特定できる。
【0072】
7.変形例
以上の実施形態では、各ユニットに対応づけられる表示器は、各ユニットでエラーが発生した場合に点灯されるとして説明した。しかし、各ユニットに対応付けられる表示器は、その他の動作によりエラーの発生しているユニットを認識させるものであってもよい。例えば、エラーが発生したユニットに対応づけられる表示器を点滅させてもよいし、全ての表示器を同一の色で点灯させておき、エラーが発生したユニットのみ異なる色で点灯させてもよい。
【0073】
また、以上の実施形態では、表示器31及び表示器41のそれぞれは、試料導入部3及び検出器4のそれぞれの外面に設けられるとして説明した。しかし、各表示器は、各ユニットに対応付けられて設けられればよく、各部材の外面以外に設けられていてもよい。
【0074】
また、以上の実施形態では、試料導入部は試料導入ユニット(SPL)であると説明した。しかし、試料導入部はSPL以外であってもよい。
【0075】
また、以上の実施形態では、検出器は水素炎イオン化検出器(FID)であると説明した。しかし、検出器はFID以外であってもよい。
【符号の説明】
【0076】
3 試料導入部
4 検出器
7 表示部
8 ガス供給機構
11 制御部
20 表示画面
23 エラー報知画面
24 エラー詳細画面
31,41,81 表示器
82 ガス供給機構制御部
112 エラー検出部
113 表示制御部