(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】入出力装置
(51)【国際特許分類】
G05B 19/05 20060101AFI20220117BHJP
【FI】
G05B19/05 L
(21)【出願番号】P 2018057480
(22)【出願日】2018-03-26
【審査請求日】2020-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】花井 喬
【審査官】影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-184108(JP,A)
【文献】特開2004-280549(JP,A)
【文献】特開2004-040858(JP,A)
【文献】特開2014-204570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入出力装置であって、
PWM信号を用いたスイッチングにより出力電圧を目標電圧に制御するDC-DCコンバータと、
クロック信号を発生するクロック信号生成部と、
前記DC-DCコンバータから電力を供給され、前記クロック信号により動作するマイクロコンピュータと、
を備えるサブシステムとして、少なくとも第1サブシステムと第2サブシステムとを備え、
前記
第1サブシステムのマイクロコンピュータ
と前記第2サブシステムのマイクロコンピュータは、
それぞれ、
前記クロック信号を用いて前記PWM信号を発生するPWM信号生成部と、
入力された電圧を前記PWM信号の周期よりも短い周期でサンプリングして入力された電圧の周波数を解析する周波数解析部と、
を有し、
前記第1サブシステムの前記DC-DCコンバータの出力電圧は、前記第2サブシステムの前記周波数解析部に入力されており、
前記第2サブシステムの前記周波数解析部は、
前記第1サブシステムの前記DC-DCコンバータから入力された電圧
を解析して入力された電圧の周波数を算出し、入力された電圧の周波数から
前記第1サブシステムの前記PWM信号の周波数を取得し、
前記第1サブシステムの前記クロック信号の周波数を算出し、
前記第1サブシステムの前記クロック信号の周波数が予め定められた範囲から逸脱する場合に異常信号を外部に対して出力
する、
入出力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の入出力装置であって、さらに、
前記第2サブシステムの前記DC-DCコンバータの出力電圧は、前記第1サブシステムの前記周波数解析部に入力されて
おり、
前記第1サブシステムの前記周波数解析部は、前記第2サブシステムの前記DC-DCコンバータから入力された電圧を解析して入力された電圧の周波数を算出し、入力された電圧の周波数から前記第2サブシステムの前記PWM信号の周波数を取得し、前記第2サブシステムの前記クロック信号の周波数を算出し、前記第2サブシステムの前記クロック信号の周波数が予め定められた範囲から逸脱する場合に異常信号を外部に対して出力する、
入出力装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の入出力装置であって、
前記周波数解析部は、
入力された電圧をAD変換するAD変換部と、
高速フーリエ変換部と、
周波数判定部と、
を有する、入出力装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の入出力装置であって、
前記DC-DCコンバータは、
前記PWM信号と異なるPWM信号である内部PWM信号を発生する内部PWM信号生成部と、
外部より入力される前記PWM信号と前記内部PWM信号とを選択する選択部と、を有し、
前記選択部は、起動直後は前記スイッチングに用いる信号を前記内部PWM信号とし、起動後予め定められた時間が経過したら、前記内部PWM信号から外部より入力される前記PWM信号に切り換える、
入出力装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の入出力装置であって、さらに、
外部からの停止信号を受信したときに、前記サブシステムの前記クロック信号生成部を停止させる停止部を備える、
入出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入出力装置に関し、特に、プログラマブルロジックコントローラの入出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プログラマブルロジックコントローラ(「PLC」と略す。)の入出力装置は、入力情報をPLCに伝えるための入力応答時間と、PLCからの信号を出力に反映させるまでの出力応答時間が規定されている。これらの応答時間は、PLCのソフトウエアロジックを動作させているクロック信号の周波数を基にして設計される。そこで、安全性能を高めたPLCでは、例えば、クロック周波数が規定の範囲から外れると、十分な応答性能を確定できないとして、PLCを止めるなどの処理が行われる。クロック信号の周波数(パルス周期)の変動を検出する手段として、例えば特許文献1の方法が知られている。特許文献1では、中央処理装置は、入力されたクロック信号を用いてPWM信号を生成する。このPWM信号のパルス周期とパルス幅を検出することで、クロック信号の周波数を求める。PLCの入出力装置では、これらの中央処理装置を2つ備え、一方の中央処理装置によって生成されたPWM信号を他方の中央処理装置に入力することで、相互にパルス周期(クロック信号の周波数)とパルス幅を監視し、各中央処理装置に入力されたクロック信号の周波数を相互に監視する場合がある。この場合、一方のPWM信号のパルス周期(クロック信号の周波数)とパルス幅は、他方のクロック信号により判断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
PWM信号は、クロック信号から生成されているため、クロック信号がある方向にドリフトすると、PWM信号のパルス周期とパルス幅も同じ方向にドリフトする。ここで、一方の中央処理装置のクロック信号がある方向にドリフトする場合、他方の中央処理装置のクロック信号も同じ方向にドリフトする可能性がある。例えば、環境温度が上昇している場合、2つのクロック信号の周波数は、温度上昇に伴って同じ方向にドリフトし易い。一方のPWM信号と他方のクロック信号とが同じ方向にドリフトすると、一方のPWM信号のパルス周期(クロック信号の周波数)とパルス幅は、他方のクロック信号を基準として判断されるため、PWM信号やクロック信号のドリフトを正しく検出できない場合が想定される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題を踏まえてなされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本発明の一形態によれば、入出力装置が提供される。この入出力装置は、PWM信号を用いたスイッチングにより出力電圧を目標電圧に制御するDC-DCコンバータと、クロック信号を発生するクロック信号生成部と、前記DC-DCコンバータから電力を供給され、前記クロック信号により動作するマイクロコンピュータと、を備えるサブシステムとして、少なくとも第1サブシステムと第2サブシステムとを備え、前記マイクロコンピュータは、前記クロック信号を用いて前記PWM信号を発生するPWM信号生成部と、入力された電圧を前記PWM信号の周期よりも短い周期でサンプリングして入力された電圧の周波数を解析する周波数解析部と、を有し、前記周波数解析部は、入力された電圧の周波数から前記PWM信号の周波数を取得し、前記クロック信号の周波数を算出し、前記クロック信号の周波数が予め定められた範囲から逸脱する場合に異常信号を外部に対して出力し、前記第1サブシステムの前記DC-DCコンバータの出力電圧は、前記第2サブシステムの前記周波数解析部に入力されている。
【0007】
この形態によれば、PWM信号のパルス周期とパルス幅を検出せず、相互に周波数解析部を用いてDC-DCコンバータの出力電圧を解析することで、スイッチング周波数を解析し、クロック信号の周波数を取得するので、ひとつのサブシステムのクロック信号が基準値からずれると、これを検出できる。また、入力された電圧をPWM信号の周期よりも短い周期でサンプリングして入力された電圧の周波数を解析し、クロック信号の周波数を算出するので、第1、第2のサブシステムのクロック信号が同じ方向にドリフトしたとしても、クロック信号周波数の異常を正しく検知できる。
【0008】
(2)上記形態において、さらに、前記第2サブシステムの前記DC-DCコンバータの出力電圧は、前記第1サブシステムの前記周波数解析部に入力されていてもよい。この形態によれば、第1サブシステムのクロック信号を第2サブシステムが監視し、第2サブシステムのクロック信号を第1サブシステムが監視するように、互いに相手のクロック信号を監視できる。
【0009】
(3)上記形態において、前記周波数解析部は、入力された電圧をAD変換するAD変換部と、高速フーリエ変換部と、周波数判定部と、を有しても良い。この形態によれば、DC-DCコンバータの出力電圧の周波数を容易に取得し、PWM信号の周波数を取得できる。
【0010】
(4)上記形態において、前記DC-DCコンバータは、前記PWM信号と異なるPWM信号である内部PWM信号を発生する内部PWM信号生成部と、外部より入力される前記PWM信号と前記内部PWM信号とを選択する選択部と、を有し、前記選択部は、起動直後は前記スイッチングに用いる信号を前記内部PWM信号とし、起動後予め定められた時間が経過したら、前記内部PWM信号から外部より入力される前記PWM信号に切り換えてもよい。この形態によれば、DC-DCコンバータは、起動直後において、マイクロコンピュータの起動前であって、マイクロコンピュータからのPWM信号が入力されていない状態では、内部PWM信号によりスイッチングして、電圧を出力できる。
【0011】
(5)上記形態において、さらに、外部からの停止信号を受信したときに、前記サブシステムの前記クロック信号生成部を停止させる停止部を備えてもよい。この形態によれば、外部からの停止信号を受信した場合に、クロック信号を停止できる。
【0012】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、入出力装置の他、クロック信号の監視装置、クロック信号の監視方法等の形態で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】プログラマブルロジックコントローラシステムの概略構成を示す説明図である。
【
図3】DC-DCコンバータの概略構成を示す説明図である。
【
図4】周波数解析部の概略構成を示す説明図である。
【
図5】周波数解析部が行う動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、プログラマブルロジックコントローラシステム1000の概略構成を示す説明図である。プログラマブルロジックコントローラシステム1000(以下、「プログラマブルロジックコントローラ」を「PLC」と略す。)は、PLC用入出力装置10と、PLC20とを備える。PLC用入出力装置10は、マイコン部100と、入力回路170と、通信回路180と、出力回路190と、を備える。PLC用入出力装置10は、外部より入力回路170に入力された信号sinをマイコン部100及び通信回路180を経由してPLC20に入力する。PLC20は、入力された信号sinを処理し、処理結果である信号soutを出力する。信号soutは、通信回路180及びマイコン部100を経由して出力回路190に伝えられ、出力回路190から出力される。一般に、プログラマブルロジックコントローラシステム1000では、入力回路170に信号sinが入力されてからPLC20に伝わるまでの入力応答時間と、PLC20から信号soutが出力されてから出力回路190から信号soutが出力されるまでの出力応答時間が規定されている。これらの入力応答時間と出力応答時間は、マイコン部100を動作させるクロック信号の周波数に依存している。
【0015】
図2は、マイコン部100の概略構成を示す説明図である。マイコン部100は、第1サブシステム105aと、第2サブシステム105bと、停止部160と、を備える。第1サブシステム105aには、入力回路170から信号sinが入力され、通信回路180に出力され、第2サブシステム105bには、PLC20から信号soutが通信回路180を介して入力され、出力回路190に出力されている。この点を除けば、第1サブシステム105aと第2サブシステム105bは、同じ構成を有しているので、第1サブシステム105aを例にとって説明し、第2サブシステム105bの説明は、省略する。なお、本実施形態では、第2サブシステム105bの各構成には、第1サブシステム105aの各構成の符号の末尾を「a」から「b」に変更した符号を付している。
【0016】
第1サブシステム105aは、DC-DCコンバータ110aと、マイクロコンピュータ120aと、クロック信号生成部150aと、を備える。
【0017】
クロック信号生成部150aは、クロック信号clkaを生成する。クロック信号clkaは、マイクロコンピュータ120aに入力され、マイクロコンピュータ120aを動作させるクロック信号となる。
【0018】
マイクロコンピュータ120aは、PWM信号生成部130aと、周波数解析部140aとを備える。PWM信号生成部130aは、例えばクロック信号clkaを分周し、PWM信号PWMaを生成する。PWM信号PWMaは、クロック信号clkaの周波数よりも低い周波数を有する。周波数解析部140aは、入力された電圧の周波数を解析する。周波数解析部140aは、入力された電圧の周波数を解析した結果、入力された電圧の周波数が規定の範囲を外れていた場合には、異常信号sabaを出力する。異常信号sabaは、PLC20に入力される。
【0019】
DC-DCコンバータ110aは、マイクロコンピュータ120aに電力を供給するスイッチング電源である。DC-DCコンバータ110aは、PWM信号生成部130aが生成したPWM信号PWMaを用いてスイッチングし、直流電圧DCaが目標電圧となるように制御し、出力する。
【0020】
本実施形態では、第1サブシステム105aのDC-DCコンバータ110aの出力電圧DCaは、第2サブシステム105bのマイクロコンピュータ120bの周波数解析部140bに入力されている。また、第2サブシステム105bのDC-DCコンバータ110bの出力電圧DCbは、第1サブシステム105aのマイクロコンピュータ120aの周波数解析部140aに入力されている。すなわち、本実施形態では、周波数解析部140a、140bは、他方のサブシステム105b、105aのDC-DCコンバータ110b、110aの出力電圧DCb、DCaが入力され、互いに周波数を監視し、解析する。
【0021】
停止部160は、PLC20から停止信号stpを受信した場合にクロック信号生成部150a、150bを停止させる。これにより、クロック信号clka、clkbが停止し、マイコン部100が停止する。
【0022】
図3は、DC-DCコンバータ110aの概略構成を示す説明図である。DC-DCコンバータ110aは、スイッチング回路部112aと、内部PWM信号生成部114aと、選択部116aと、タイマ118aと、を備える。スイッチング回路部112aは、PWM信号を用いてスイッチングを実行して、外部電源VDDから出力電圧DCaを発生させる。内部PWM信号生成部114aは、外部電源VDDが印加されると、内部PWM信号PWMiを発生する。内部PWM信号PWMiの周波数とデューティ比は、PWM信号PWMaの周波数とデューティ比とほぼ同じであることが好ましいが、スイッチング回路部112aがほぼ同じ程度の電圧を出力できるのであれば、ほぼ同じでなくてもよい。選択部116aは、タイマ118aからの選択信号selaにより、スイッチング回路部112aに入力する信号を、PWM信号PWMaにするか、内部PWM信号PWMiにするかを選択する。タイマ118aは、PLCシステム1000の起動直後はスイッチング回路部112aに内部PWM信号PWMiが入力されて出力電圧DCaを発生し、起動後予め定められた時間が経過したらスイッチング回路部112aにPWM信号PWMaが入力されて出力電圧DCaを発生させるように、選択部116aに対して選択信号selaを送る。
【0023】
図4は、周波数解析部140aの概略構成を示す説明図である、周波数解析部140aは、A/D変換部142aと、高速フーリエ変換部144aと、周波数判定部146aとを備える。A/D変換部142aは、入力されたアナログ値の出力電圧DCbを、PWM信号PWMbの周期よりも短い周期でサンプリングして、デジタル値である電圧DCbdに変換する。A/D変換部142aは、ハードウエアで構成されており、例えば、フラッシュ型、パイプライン型、インターボレーション型、カスケード型、サブレンジング型、フォールディング型などの様々なA/D変換器を用いることができる。
【0024】
高速フーリエ変換部144aと、周波数判定部146aは、例えば、ソフトウエアで構成されている。高速フーリエ変換部144aは、デジタル値である電圧DCbdを高速フーリエ変換して、DC-DCコンバータ110bのスイッチング周波数を特定する。このスイッチング周波数は、PWM信号PWMbの周波数fpwmbと等しい。周波数判定部146aは、PWM信号PWMbの周波数fpwmbからクロック信号clkbの周波数fclkbを算出し、周波数fclkbが予め定められた範囲内であるか、否かを判断する。PWM信号PWMbは、クロック信号clkbを分周して得られているので、その逆演算をしてクロック信号clkbの周波数を取得しても良く、PWM信号PWMbを逓倍してクロック信号clkbの周波数を取得しても良い。周波数fclkbが予め定められた範囲から逸脱している場合には、周波数判定部146aは、異常信号sabaを出力する。なお、周波数判定部146aは、PWM信号PWMbの周波数fpwmbが予め定められた範囲内であるか、否かを判断してもよい。周波数解析部140bも同様の構成であり、DC-DCコンバータ110aの出力電圧DCaが入力され、クロック信号clkaの周波数fclkaを算出し、クロック信号clkaの周波数fclkaが予め定められた範囲から逸脱している場合には、PLC20に異常信号sabbを出力する。PLC20は、異常信号sabaと異常信号sabbのうちの少なくとも一方を受信すると、信号soutに、PLCシステム1000の制御対象を停止させる信号を出力する。また、クロック信号clka、clkbを停止する停止信号stpを停止部160に出力する。
【0025】
図5は、周波数解析部140aが行う動作フローチャートである。この動作フローチャートは、PLCシステム1000の電源が入れられた後、実行される。ステップS100では、PLCシステム1000の電源が入れられる。
【0026】
ステップS110では、周波数解析部140aPLCシステム1000の電源が入れられた後、所定の時間が経過したか否かを判断し、経過していれば、ステップS120に移行する。この所定の時間は、DC-DCコンバータ110bのスイッチングに用いられるPWM信号が、内部PWM信号PWMiからPWM信号PWMaに切り換わるまでの時間である。具体的には、タイマ118aは、PLC20システム1000の起動後一定時間は、スイッチング回路部112aに内部PWM信号PWMiが入力され、起動後予め定められた時間が経過したら、PWM信号PWMaが入力されるような選択信号selaを選択部116aに対して発生する。その結果、PLC20システム1000が起動すると、先ず、スイッチング回路部112aに内部PWM信号が入力され、スイッチング回路部112aは、内部PWM信号によりスイッチングし、出力電圧DCaを出力する。その結果、マイクロコンピュータ120aが活性化し、PWM信号PWMaを出力する。起動後予め定められた時間が経過した後は、選択部116aによって、内部PWM信号PWMiの代わりにPWM信号PWMaがスイッチング回路部112aに入力されるように切り換わる。スイッチング回路部112aは、PWM信号PWMaによりスイッチングし、出力電圧DCaを出力する。なお、本実施形態では、タイマ118aが選択信号selaを発生しているが、デフォルトでは、内部PWM信号生成部114aからの内部PWM信号PWMiが選択されるようにしておき、マイクロコンピュータ120aが選択信号selaを発生する構成であってもよい。この場合、タイマ118aは省略可能である。
【0027】
ステップS120では、A/D変換部142aは、入力されたアナログ値の出力電圧DCbを、PWM信号PWMbの周期よりも短い周期でサンプリングして、デジタル値の電圧DCbdに変換する。
【0028】
ステップS130では、高速フーリエ変換部144aは、デジタル値の電圧DCbdを高速フーリエ変換する。ステップS140では、高速フーリエ変換部144aは、高速フーリエ変換の結果から、DC-DCコンバータ110bのスイッチング周波数を特定する。このスイッチング周波数は、PWM信号PWMbの周波数fpwmbと等しい。
【0029】
ステップS150では、周波数判定部146aは、周波数fpwmbからクロック信号clkbの周波数fclkbを算出する。ステップS160では、周波数判定部146aは、周波数fclkbが予め定められた範囲内であるか、否かを判断する。周波数fclkbが予め定められた範囲から逸脱している場合には、ステップS170に移行して、異常信号sabaをPLC20に向けて出力する。周波数fclkbが予め定められた範囲から逸脱していない場合には、ステップS120に移行して、出力電圧DCbの監視を継続する。周波数解析部140bも同様の処理を実行する。異常信号sabaをPLC20に向けて出力するのは、異常信号saba、sabbを受信したPLC20が、フェールセーフ動作を実行してから、PLCシステム1000を停止させるためである。
【0030】
以上、本実施形態によれば、PLC用の入出力装置10は、2つのサブシステム105a、105bを備え、第1サブシステム105aのDC-DCコンバータ110aの出力電圧DCaは、第2サブシステム105bの周波数解析部140bに入力され、第2サブシステム105bのDC-DCコンバータ110bの出力電圧DCbは、第1サブシステム105の周波数解析部140aに入力されるように構成されている。その結果、相互に周波数解析部140a、140bを用いてDC-DCコンバータの出力電圧DCb、DCaを解析することで、DC-DCコンバータ110a、110bのスイッチング周波数fpwma、fpwmbを解析し、クロック信号clka、clkbの周波数fclka、fclkbを取得する。その結果、2つのサブシステムのクロック信号clka、clkbが同じ方向にドリフトしても、正しいクロック信号の周波数fclka、fclkbを取得できる。また、出力電圧DCa、DCbをPWM信号PWMa、PWMbの周期よりも短い周期でサンプリングして出力電圧DCa、DCbの周波数を解析し、クロック信号clka、clkbの周波数fclka、fclkbを算出するので、クロック信号clka、clkbの周波数fclka、fclkbのドリフトを検知できる。
【0031】
本実施形態によれば、周波数解析部140aは、出力電圧DCa、DCbをAD変換するAD変換部142aと、高速フーリエ変換部144aと、周波数判定部146aと、を備えるので、出力電圧DCbの周波数を容易に解析し、クロック信号clkbの周波数fclkbを算出できる。なお、本実施形態では、周波数解析部140aは、高速フーリエ変換部144aを備えているが、出力電圧DCbを解析して、電圧DCbの周波数を解析し、クロック信号clkbの周波数fclkbを算出できるものであれば、他の構成を採用可能である。例えば、出力電圧DCbをAD変換した後、デジタルフィルタを用いて電圧DCbの周波数を解析してもよい。また、ウインドウフィルタを用いて、出力電圧DCbの周波数のうち、所定の周波数範囲以外の周波数を除去し、その周波数を周波数判定部146aで解析してクロック信号clkbの周波数fclkbを算出しても良い。ウインドウフィルタの代わりに、ローパスフィルタとハイパスフィルタを組みあわせてもよい。ウインドウフィルタや、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタを用いる場合には、A/D変換器は省略可能である。周波数解析部140bも同様である。
【0032】
本実施形態では、サブシステムを2つ備える構成であったが、サブシステムを複数備える構成であればよい。サブシステムを3つ以上備える場合、例えば、第1サブシステムのDC-DCコンバータの出力が第2サブシステムの周波数解析部に入力され、第2サブシステムのDC-DCコンバータの出力が第3サブシステムの周波数解析部に入力され、第3サブシステムのDC-DCコンバータの出力が第1サブシステムの周波数解析部に入力されるといった接続をとっても差し支えない。また、サブシステムを2つ備える構成において、第1サブシステム105bのDC-DCコンバータ110bの出力が第2サブシステム105bの周波数解析部140bに入力される構成のみを備えてもよい。クロック信号clkaの周波数fclkaを解析できるからである。
【0033】
本実施形態では、第1サブシステム105aに信号sinが入力され、第2サブシステム105bに信号soutが入力されているが、第1サブシステム105aに信号soutが入力され、第2サブシステム105bに信号sinが入力されるように構成しても良く、第1サブシステム105aに、信号sin、soutの両方が入力されるように構成してもよく、第2サブシステム105bに、信号sin、soutの両方が入力されるように構成してもよい。
【0034】
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0035】
10…(PLC用の)入出力装置
20…PLC
100…マイコン部
105a…第1サブシステム
105b…第2サブシステム
110a、110b…DC-DCコンバータ
112a…スイッチング回路部
114a…内部PWM信号生成部
116a…選択部
118a…タイマ
120a、120b…マイクロコンピュータ
130a、130b…PWM信号生成部
140a、140b…周波数解析部
142a…AD変換部
144a…高速フーリエ変換部
146a…周波数判定部
150a、150b…クロック信号生成部
160…停止部
170…入力回路
180…通信回路
190…出力回路
1000…プログラマブルロジックコントローラシステム(PLCシステム)
DCa、DCb…出力電圧
DCbd…電圧
PWMa、PWMb…PWM信号
PWMi…内部PWM信号
VDD…外部電源
clka、clkb…クロック信号
fclkb…周波数
fpwmb…周波数
saba、sabb…異常信号
sela…選択信号
sin…(入力)信号
sout…(出力)信号
stp…停止信号