(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】クレーン
(51)【国際特許分類】
B66C 13/00 20060101AFI20220117BHJP
B66C 13/46 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
B66C13/00 D
B66C13/46 Z
(21)【出願番号】P 2018060970
(22)【出願日】2018-03-27
【審査請求日】2021-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】特許業務法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 洋幸
(72)【発明者】
【氏名】神田 真輔
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/145725(WO,A1)
【文献】特開平5-147882(JP,A)
【文献】米国特許第8909467(US,B2)
【文献】実開平5-40907(JP,U)
【文献】特開2014-189391(JP,A)
【文献】特開2013-120176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/00-15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブームと、
前記ブームの基端側から先端側に向けて架け渡されるワイヤと、
前記ブームの先端側から垂下されて前記ワイヤの繰り入れ及び繰り出しによって昇降するフックと、を備え、
前記フックに荷物を吊り下げて移動自在とするクレーンにおいて、
前記ブームの先端から荷物を撮影するカメラと、
オペレータの頭部に装着される透過型表示端末と、を具備し、
前記透過型表示端末には、オペレータの視界中央の鉛直上方位置又は鉛直下方位置に前記ブームの先端から撮影された荷物が表示される、ことを特徴とするクレーン。
【請求項2】
オペレータの位置から見える荷物の見かけの大きさを認識できる制御装置を具備し、
前記透過型表示端末には、オペレータの位置から見える荷物の見かけの大きさに対して前記ブームの先端から撮影された荷物の大きさが等しくなるように表示される、ことを特徴とする請求項1に記載のクレーン。
【請求項3】
ブームと、
前記ブームの基端側から先端側に向けて架け渡されるワイヤと、
前記ブームの先端側から垂下されて前記ワイヤの繰り入れ及び繰り出しによって昇降するフックと、を備え、
前記フックに荷物を吊り下げて移動自在とするクレーンにおいて、
オペレータの位置から荷物を撮影する第一カメラと、
前記ブームの先端から荷物を撮影する第二カメラと、
オペレータの頭部に装着される非透過型表示端末と、を具備し、
前記非透過型表示端末には、オペレータの位置から撮影された荷物と、前記オペレータの位置から撮影された荷物の鉛直上方位置又は鉛直下方位置に前記ブームの先端から撮影された荷物と、が表示される、ことを特徴とするクレーン。
【請求項4】
オペレータの位置から撮影された画像上の荷物の見かけの大きさを認識できる制御装置を具備し、
前記非透過型表示端末には、オペレータの位置から撮影された荷物の見かけの大きさに対して前記ブームの先端から撮影された荷物の大きさが等しくなるように表示される、ことを特徴とする請求項3に記載のクレーン。
【請求項5】
ブームと、
前記ブームの基端側から先端側に向けて架け渡されるワイヤと、
前記ブームの先端側から垂下されて前記ワイヤの繰り入れ及び繰り出しによって昇降するフックと、を備え、
前記フックに荷物を吊り下げて移動自在とするクレーンにおいて、
前記ブームの先端から荷物を撮影するカメラと、
オペレータの視界中央の鉛直上方位置又は鉛直下方位置に装着される固定式表示装置と、を具備し、
前記固定式表示装置には、前記ブームの先端から撮影された荷物が表示される、ことを特徴とするクレーン。
【請求項6】
オペレータの位置から見える荷物の見かけの大きさを認識できる制御装置を具備し、
前記固定式表示装置には、オペレータの位置から見える荷物の見かけの大きさに対して前記ブームの先端から撮影された荷物の大きさが等しくなるように表示される、ことを特徴とする請求項5に記載のクレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンに関する。詳しくは、オペレータの位置から見える荷物とブームの先端から見える荷物を同時に視認可能としつつ、これらの相対関係を把握しやすいクレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、代表的な作業車両であるクレーンが知られている。クレーンは、主に車両とクレーン装置で構成されている(特許文献1参照)。車両は、複数の車輪を備えており、走行自在に構成されている。クレーン装置は、ブームのほかにワイヤロープやフックを備えており、荷物を移動自在に構成されている。
【0003】
ところで、オペレータの位置から見える荷物とブームの先端から見える荷物を同時に視認可能としたクレーンが提案されている(特許文献2参照)。しかし、かかるクレーンは、キャビン内のコンバイナにブームの先端から見える荷物の画像を投影するものであり、オペレータの位置から見える荷物に対してブームの先端から見える荷物の画像がズレていることから、これらの相対関係の把握が難しいという問題があった。そこで、オペレータの位置から見える荷物とブームの先端から見える荷物を同時に視認可能としつつ、これらの相対関係を把握しやすいクレーンが求められていたのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-122003号公報
【文献】特開平5-147882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オペレータの位置から見える荷物とブームの先端から見える荷物を同時に視認可能としつつ、これらの相対関係を把握しやすいクレーンを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一の発明は、
ブームと、
前記ブームの基端側から先端側に向けて架け渡されるワイヤと、
前記ブームの先端側から垂下されて前記ワイヤの繰り入れ及び繰り出しによって昇降するフックと、を備え、
前記フックに荷物を吊り下げて移動自在とするクレーンにおいて、
前記ブームの先端から荷物を撮影するカメラと、
オペレータの頭部に装着される透過型表示端末と、を具備し、
前記透過型表示端末には、オペレータの視界中央の鉛直上方位置又は鉛直下方位置に前記ブームの先端から撮影された荷物が表示される、ものである。
【0007】
第二の発明は、第一の発明に係るクレーンにおいて、
オペレータの位置から見える荷物の見かけの大きさを認識できる制御装置を具備し、
前記透過型表示端末には、オペレータの位置から見える荷物の見かけの大きさに対して前記ブームの先端から撮影された荷物の大きさが等しくなるように表示される、ものである。
【0008】
第三の発明は、
ブームと、
前記ブームの基端側から先端側に向けて架け渡されるワイヤと、
前記ブームの先端側から垂下されて前記ワイヤの繰り入れ及び繰り出しによって昇降するフックと、を備え、
前記フックに荷物を吊り下げて移動自在とするクレーンにおいて、
オペレータの位置から荷物を撮影する第一カメラと、
前記ブームの先端から荷物を撮影する第二カメラと、
オペレータの頭部に装着される非透過型表示端末と、を具備し、
前記非透過型表示端末には、オペレータの位置から撮影された荷物と、前記オペレータの位置から撮影された荷物の鉛直上方位置又は鉛直下方位置に前記ブームの先端から撮影された荷物と、が表示される、ものである。
【0009】
第四の発明は、第三の発明に係るクレーンにおいて、
オペレータの位置から撮影された画像上の荷物の見かけの大きさを認識できる制御装置を具備し、
前記非透過型表示端末には、オペレータの位置から撮影された荷物の見かけの大きさに対して前記ブームの先端から撮影された荷物の大きさが等しくなるように表示される、ものである。
【0010】
第五の発明は、
ブームと、
前記ブームの基端側から先端側に向けて架け渡されるワイヤと、
前記ブームの先端側から垂下されて前記ワイヤの繰り入れ及び繰り出しによって昇降するフックと、を備え、
前記フックに荷物を吊り下げて移動自在とするクレーンにおいて、
前記ブームの先端から荷物を撮影するカメラと、
オペレータの視界中央の鉛直上方位置又は鉛直下方位置に装着される固定式表示装置と、を具備し、
前記固定式表示装置には、前記ブームの先端から撮影された荷物が表示される、ものである。
【0011】
第六の発明は、第五の発明に係るクレーンにおいて、
オペレータの位置から見える荷物の見かけの大きさを認識できる制御装置を具備し、
前記固定式表示装置には、オペレータの位置から見える荷物の見かけの大きさに対して前記ブームの先端から撮影された荷物の大きさが等しくなるように表示される、ものである。
【発明の効果】
【0012】
第一の発明に係るクレーンは、ブームの先端から荷物を撮影するカメラと、オペレータの頭部に装着される透過型表示端末と、を具備している。そして、透過型表示端末には、オペレータの視界中央の鉛直上方位置又は鉛直下方位置にブームの先端から撮影された荷物が表示される。かかるクレーンによれば、オペレータの位置から見える荷物とブームの先端から見える荷物が同時に視認可能となる。また、これらが同一鉛直線上に並ぶので相対関係も把握しやすくなる。
【0013】
第二の発明に係るクレーンは、オペレータの位置から見える荷物の見かけの大きさを認識できる制御装置を具備している。そして、透過型表示端末には、オペレータの位置から見える荷物の見かけの大きさに対してブームの先端から撮影された荷物の大きさが等しくなるように表示される。かかるクレーンによれば、オペレータの位置から見える荷物とブームの先端から見える荷物を対比しやすくなる。ひいては、相対関係も把握しやすくなる。
【0014】
第三の発明に係るクレーンは、オペレータの位置から荷物を撮影する第一カメラと、ブームの先端から荷物を撮影する第二カメラと、オペレータの頭部に装着される非透過型表示端末と、を具備している。そして、非透過型表示端末には、オペレータの位置から撮影された荷物と、オペレータの位置から撮影された荷物の鉛直上方位置又は鉛直下方位置にブームの先端から撮影された荷物と、が表示される。かかるクレーンによれば、オペレータの位置から見える荷物とブームの先端から見える荷物が同時に視認可能となる。また、これらが同一鉛直線上に並ぶので相対関係も把握しやすくなる。
【0015】
第四の発明に係るクレーンは、オペレータの位置から撮影された画像上の荷物の見かけの大きさを認識できる制御装置を具備している。そして、非透過型表示端末には、オペレータの位置から撮影された荷物の見かけの大きさに対してブームの先端から撮影された荷物の大きさが等しくなるように表示される。かかるクレーンによれば、オペレータの位置から見える荷物とブームの先端から見える荷物を対比しやすくなる。ひいては、相対関係も把握しやすくなる。
【0016】
第五の発明に係るクレーンは、ブームの先端から荷物を撮影するカメラと、オペレータの視界中央の鉛直上方位置又は鉛直下方位置に装着される固定式表示装置と、を具備している。そして、固定式表示装置には、ブームの先端から撮影された荷物が表示される。かかるクレーンによれば、オペレータの位置から見える荷物とブームの先端から見える荷物が同時に視認可能となる。また、これらが同一鉛直線上に並ぶので相対関係も把握しやすくなる。
【0017】
第六の発明に係るクレーンは、オペレータの位置から見える荷物の見かけの大きさを認識できる制御装置を具備している。そして、固定式表示装置には、オペレータの位置から見える荷物の見かけの大きさに対してブームの先端から撮影された荷物の大きさが等しくなるように表示される。かかるクレーンによれば、オペレータの位置から見える荷物とブームの先端から見える荷物を対比しやすくなる。ひいては、相対関係も把握しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図5】透過型表示端末を装着したオペレータの視界を示す図。
【
図8】非透過型表示端末を装着したオペレータの視界を示す図。
【
図10】固定式表示装置を設けたキャビンを示す図。
【
図11】固定式表示装置を設けたキャビンにおけるオペレータの視界を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本願においては、代表的な作業車両であるクレーン1を用いて説明する。本願に開示する技術的思想は、以下に説明するクレーン1のほか、その他のクレーンにも適用できる。
【0020】
まず、
図1を用いて、第一実施形態に係るクレーン1について説明する。
【0021】
クレーン1は、主に車両2とクレーン装置3で構成されている。
【0022】
車両2は、左右一対の前輪4と後輪5を備えている。また、車両2は、荷物Wの移動作業を行なう際に接地させて安定を図るアウトリガ6を備えている。なお、車両2は、アクチュエータによって、その上部に支持するクレーン装置3を旋回自在としている。
【0023】
クレーン装置3は、その後部から前方へ突き出すようにブーム7を備えている。そのため、ブーム7は、アクチュエータによって旋回自在となっている(矢印A参照)。また、ブーム7は、アクチュエータによって伸縮自在となっている(矢印B参照)。更に、ブーム7は、アクチュエータによって起伏自在となっている(矢印C参照)。加えて、ブーム7には、ワイヤロープ8が架け渡されている。ブーム7の基端側には、ワイヤロープ8を巻き付けたウインチ9が配置され、ブーム7の先端側には、ワイヤロープ8によってフック10が垂下されている。ウインチ9は、アクチュエータと一体的に構成されており、ワイヤロープ8の巻き入れ及び巻き出しを可能としている。そのため、フック10は、アクチュエータによって昇降自在となっている(矢印D参照)。なお、クレーン装置3は、ブーム7の側方にキャビン11を備えている。キャビン11の内部には、後述する旋回操作具21や伸縮操作具22、起伏操作具23、巻回操作具24が設けられている。
【0024】
次に、
図2から
図4を用いて、荷物表示システム12について説明する。
【0025】
荷物表示システム12は、主に制御装置20で構成されている。制御装置20には、各種操作具21~24が接続されている。また、制御装置20には、各種バルブ31~34が接続されている。更に、制御装置20には、カメラ41及び通信機42が接続されている。
【0026】
上述したように、ブーム7は、アクチュエータによって旋回自在となっている(
図1における矢印A参照)。本願においては、かかるアクチュエータを旋回用油圧モータ51(
図1参照)と定義する。旋回用油圧モータ51は、方向制御弁である旋回用バルブ31によって適宜に稼動される。つまり、旋回用油圧モータ51は、旋回用バルブ31が作動油の流動方向を切り替えることで適宜に稼動される。なお、旋回用バルブ31は、オペレータによる旋回操作具21の操作に基づいて稼動される。また、ブーム7の旋回角度は、図示しない旋回用センサによって検出される。そのため、制御装置20は、ブーム7の旋回角度を認識することができる。
【0027】
また、上述したように、ブーム7は、アクチュエータによって伸縮自在となっている(
図1における矢印B参照)。本願においては、かかるアクチュエータを伸縮用油圧シリンダ52(
図1参照)と定義する。伸縮用油圧シリンダ52は、方向制御弁である伸縮用バルブ32によって適宜に稼動される。つまり、伸縮用油圧シリンダ52は、伸縮用バルブ32が作動油の流動方向を切り替えることで適宜に稼動される。なお、伸縮用バルブ32は、オペレータによる伸縮操作具22の操作に基づいて稼動される。また、ブーム7の伸縮長さは、図示しない伸縮用センサによって検出される。そのため、制御装置20は、ブーム7の伸縮長さを認識することができる。
【0028】
更に、上述したように、ブーム7は、アクチュエータによって起伏自在となっている(
図1における矢印C参照)。本願においては、かかるアクチュエータを起伏用油圧シリンダ53(
図1参照)と定義する。起伏用油圧シリンダ53は、方向制御弁である起伏用バルブ33によって適宜に稼動される。つまり、起伏用油圧シリンダ53は、起伏用バルブ33が作動油の流動方向を切り替えることで適宜に稼動される。なお、起伏用バルブ33は、オペレータによる起伏操作具23の操作に基づいて稼動される。また、ブーム7の起伏角度は、図示しない起伏用センサによって検出される。そのため、制御装置20は、ブーム7の起伏角度を認識することができる。
【0029】
加えて、上述したように、フック10は、アクチュエータによって昇降自在となっている(
図1における矢印D参照)。本願においては、かかるアクチュエータを巻回用油圧モータ54(
図1参照)と定義する。巻回用油圧モータ54は、方向制御弁である巻回用バルブ34によって適宜に稼動される。つまり、巻回用油圧モータ54は、巻回用バルブ34が作動油の流動方向を切り替えることで適宜に稼動される。なお、巻回用バルブ34は、オペレータによる巻回操作具24の操作に基づいて稼動される。また、フック10の吊下長さは、図示しない巻回用センサによって検出される。そのため、制御装置20は、フック10の吊下長さを認識することができる。
【0030】
カメラ41は、画像を撮影するものである。カメラ41は、荷物Wを鉛直上方から撮影すべく、ブーム7の先端に取り付けられている(
図1参照)。なお、カメラ41は、制御装置20に接続されている。そのため、制御装置20は、カメラ41が撮影した画像を取得することができる。
【0031】
通信機42は、電波信号により情報の送受信を行うものである。通信機42は、地物等による電波への影響を低減すべく、少なくともアンテナがブーム7の先端部分に取り付けられている。なお、通信機42は、制御装置20に接続されている。そのため、制御装置20は、電波信号を介して情報の送受信を行うことができる。例えば、遠隔操作端末13や透過型表示端末14との間で情報の送受信を行うことができる。
【0032】
遠隔操作端末13は、操作端末側制御装置60を有している。操作端末側制御装置60には、各種操作端末側操作具61~64が接続されている。また、操作端末側制御装置60には、操作端末側通信機65が接続されている。
【0033】
操作端末側旋回操作具61は、ブーム7の旋回動作を指示するものである。また、操作端末側伸縮操作具62は、ブーム7の伸縮動作を指示するものである。更に、操作端末側起伏操作具63は、ブーム7の起伏動作を指示するものである。加えて、操作端末側巻回操作具64は、フック10の昇降動作を指示するものである。これらにより、クレーン装置3は、オペレータが前述した各種操作具21~24を操作したときと同様に稼動する。
【0034】
操作端末側通信機65は、電波信号により情報の送受信を行うものである。なお、操作端末側通信機65は、電波信号を介して制御装置20に接続されているといえる。そのため、制御装置20は、通信機42から操作端末側通信機65を通じて情報を送信することができる。また、制御装置20は、操作端末側通信機65から通信機42を通じて情報を受信することもできる。例えば、オペレータが各種操作端末側操作具61~64を操作した内容である。
【0035】
透過型表示端末14とは、いわゆる透過型のヘッドマウントディスプレイを表す。透過型表示端末14は、表示端末側表示装置72や表示端末側通信機73を有している。
【0036】
表示端末側表示装置72は、画像を表示するものである。オペレータは、表示端末側表示装置72を通して見える光景と表示される画像を同時に視認することができる。かかる表示態様については後述する。
【0037】
表示端末側通信機73は、電波信号により情報の送受信を行うものである。なお、表示端末側通信機73は、電波信号を介して制御装置20に接続されているといえる。そのため、制御装置20は、通信機42から表示端末側通信機73を通じて表示端末側表示装置72に情報(画像データ)を送信することができる。これにより、表示端末側表示装置72は、画像を表示することができる。
【0038】
次に、
図5を用いて、透過型表示端末14を装着したオペレータの視界について説明する。
【0039】
制御装置20は、オペレータの視界中央の鉛直上方位置又は鉛直下方位置にブーム7の先端から撮影された荷物Wを表示する。
【0040】
鉛直上方位置に表示する場合、かかる画像を「画像E」とする。オペレータは、透過型表示端末14を装着して視界中央で荷物Wを見ると、オペレータの位置から見える荷物Wの鉛直上方位置に画像E上の荷物Wも見ることができる。つまり、オペレータは、オペレータの位置から見える荷物Wとブーム7の先端から撮影された荷物Wを同時に視認できるのである。また、オペレータの位置から見える荷物Wとブーム7の先端から撮影された荷物Wは、同一鉛直線上に並ぶので、これらの相対関係を把握しやすい。加えて、画像Eが半透明であることから、オペレータは、画像Eに重なる光景を見ることもできる。
【0041】
他方で、鉛直下方位置に表示する場合、かかる画像を「画像F」とする。オペレータは、透過型表示端末14を装着して視界中央で荷物Wを見ると、オペレータの位置から見える荷物Wの鉛直下方位置に画像F上の荷物Wも見ることができる。つまり、オペレータは、オペレータの位置から見える荷物Wとブーム7の先端から撮影された荷物Wを同時に視認できるのである。また、オペレータの位置から見える荷物Wとブーム7の先端から撮影された荷物Wは、同一鉛直線上に並ぶので、これらの相対関係を把握しやすい。加えて、画像Fが半透明であることから、オペレータは、画像Fに重なる光景を見ることもできる。
【0042】
このように、本クレーン1は、ブーム7の先端から荷物Wを撮影するカメラ41と、オペレータの頭部に装着される透過型表示端末14と、を具備している。そして、透過型表示端末14には、オペレータの視界中央の鉛直上方位置又は鉛直下方位置にブーム7の先端から撮影された荷物Wが表示される。かかるクレーン1によれば、オペレータの位置から見える荷物Wとブーム7の先端から見える荷物Wが同時に視認可能となる。また、これらが同一鉛直線上に並ぶので相対関係も把握しやすくなる。
【0043】
なお、画像E又は画像Fの表示位置を鉛直上方向又は鉛直下方向に変更できる表示位置操作具67(
図3参照)を遠隔操作端末13に設けてもよい。画像E又は画像Fは、オペレータによる表示位置操作具67の操作に基づいて鉛直上方向又は鉛直下方向に移動される。また、画像E又は画像Fの表示倍率を変更できる表示倍率操作具68(
図3参照)を遠隔操作端末13に設けてもよい。画像E又は画像Fは、オペレータによる表示倍率操作具68の操作に基づいて表示倍率が変更される。
【0044】
次に、本クレーン1における他の特徴点について説明する。
【0045】
本クレーン1において、制御装置20は、オペレータの位置から見える荷物Wの見かけの大きさを認識できる。制御装置20は、透過型表示端末14に内蔵されたカメラによる荷物Wの画像に基づいて荷物Wの見かけの大きさを認識できる。但し、荷物Wに対する透過型表示端末14の位置がわかる場合は、これらの相対距離に基づいて荷物Wの見かけの大きさを認識できる。
【0046】
その後、制御装置20は、荷物Wの見かけの大きさに対して画像E又は画像F上の荷物Wの大きさが等しくなるように表示倍率を変更する。こうすることで、オペレータは、オペレータの位置から見える荷物Wとブーム7の先端から撮影された荷物Wを同じ大きさで視認できる。また、オペレータの位置から見える荷物Wに対して画像E又は画像F上の荷物Wは、互いの中心位置が鉛直線上にあり、互いの左端及び右端もそれぞれ鉛直線上にある。そのため、オペレータは、オペレータの位置から見える荷物Wと画像E又は画像F上の荷物Wを対比しやすい。
【0047】
このように、本クレーン1は、オペレータの位置から見える荷物Wの見かけの大きさを認識できる制御装置20を具備している。そして、透過型表示端末14には、オペレータの位置から見える荷物Wの見かけの大きさに対してブーム7の先端から撮影された荷物Wの大きさが等しくなるように表示される。かかるクレーン1によれば、オペレータの位置から見える荷物Wとブーム7の先端から見える荷物Wを対比しやすくなる。ひいては、相対関係も把握しやすくなる。
【0048】
次に、
図6から
図8を用いて、第二実施形態に係るクレーン1について説明する。以下においては、第一実施形態に係るクレーン1の説明で用いた名称と符号を用いることで、同じものを指すこととする。ここでは、相違する部分を中心に説明する。
【0049】
非透過型表示端末15とは、いわゆる非透過型のヘッドマウントディスプレイを表す。非透過型表示端末15は、表示端末側カメラ81、表示端末側表示装置82、表示端末側通信機83を有している。
【0050】
表示端末側カメラ81は、画像を撮影するものである。表示端末側カメラ81は、オペレータの位置から荷物Wを撮影すべく、非透過型表示端末15に取り付けられている。
【0051】
表示端末側表示装置82は、画像を表示するものである。オペレータは、表示端末側表示装置82に表示される画像を視認することができる。かかる表示態様については後述する。
【0052】
表示端末側通信機83は、電波信号により情報の送受信を行うものである。なお、表示端末側通信機83は、電波信号を介して制御装置20に接続されているといえる。そのため、制御装置20は、通信機42から表示端末側通信機83を通じて表示端末側表示装置82に情報(画像データ)を送信することができる。これにより、表示端末側表示装置82は、画像を表示することができる。表示端末側表示装置82に表示される画像には、表示端末側カメラ81で撮影した画像が含まれる。
【0053】
次に、
図8を用いて、非透過型表示端末15を装着したオペレータの視界について説明する。
【0054】
制御装置20は、オペレータの位置から撮影された荷物Wの鉛直上方位置又は鉛直下方位置にブーム7の先端から撮影された荷物Wを表示する。なお、オペレータの位置から撮影された荷物Wの画像を「画像G」とする。
【0055】
鉛直上方位置に表示する場合、かかる画像を「画像H」とする。オペレータは、非透過型表示端末15を装着して画像G上の荷物Wを見ると、画像G上の荷物Wの鉛直上方位置に画像H上の荷物Wも見ることができる。つまり、オペレータは、オペレータの位置から撮影された荷物Wとブーム7の先端から撮影された荷物Wを同時に視認できるのである。また、オペレータの位置から撮影された荷物Wとブーム7の先端から撮影された荷物Wは、同一鉛直線上に並ぶので、これらの相対関係を把握しやすい。加えて、画像Hが半透明であることから、オペレータは、画像Hに重なる部分の画像Gを見ることもできる。
【0056】
他方で、鉛直下方位置に表示する場合、かかる画像を「画像I」とする。オペレータは、非透過型表示端末15を装着して画像G上の荷物Wを見ると、画像G上の荷物Wの鉛直下方位置に画像I上の荷物Wも見ることができる。つまり、オペレータは、オペレータの位置から撮影された荷物Wとブーム7の先端から撮影された荷物Wを同時に視認できるのである。また、オペレータの位置から撮影された荷物Wとブーム7の先端から撮影された荷物Wは、同一鉛直線上に並ぶので、これらの相対関係を把握しやすい。加えて、画像Iが半透明であることから、オペレータは、画像Iに重なる部分の画像Gを見ることもできる。
【0057】
このように、クレーン1は、オペレータの位置から荷物Wを撮影する第一カメラ(表示端末側カメラ81)と、ブーム7の先端から荷物Wを撮影する第二カメラ(カメラ41)と、オペレータの頭部に装着される非透過型表示端末15と、を具備している。そして、非透過型表示端末15には、オペレータの位置から撮影された荷物Wと、オペレータの位置から撮影された荷物Wの鉛直上方位置又は鉛直下方位置にブーム7の先端から撮影された荷物Wと、が表示される。かかるクレーン1によれば、オペレータの位置から見える荷物Wとブーム7の先端から見える荷物Wが同時に視認可能となる。また、これらが同一鉛直線上に並ぶので相対関係も把握しやすくなる。
【0058】
なお、画像H又は画像Iの表示位置を鉛直上方向又は鉛直下方向に変更できる表示位置操作具67を遠隔操作端末13に設けてもよい。画像H又は画像Iは、オペレータによる表示位置操作具67の操作に基づいて鉛直上方向又は鉛直下方向に移動される。また、画像G、画像H又は画像Iの表示倍率を変更できる表示倍率操作具68を遠隔操作端末13に設けてもよい。画像G、画像H又は画像Iは、オペレータによる表示倍率操作具68の操作に基づいて表示倍率が変更される。
【0059】
次に、本クレーン1における他の特徴点について説明する。
【0060】
本クレーン1において、制御装置20は、オペレータの位置から見える荷物Wの見かけの大きさを認識できる。制御装置20は、画像Gに基づいて画像上の荷物Wの見かけの大きさを認識できる。但し、荷物Wに対する非透過型表示端末15の位置がわかる場合は、これらの相対距離に基づいて荷物Wの見かけの大きさを認識できる。
【0061】
その後、制御装置20は、画像G上の荷物Wの見かけの大きさに対して画像H又は画像I上の荷物Wの大きさが等しくなるように表示倍率を変更する。こうすることで、オペレータは、オペレータの位置から撮影された荷物Wとブーム7の先端から撮影された荷物Wを同じ大きさで視認できる。また、画像G上の荷物Wに対して画像H又は画像I上の荷物Wは、互いの中心位置が鉛直線上にあり、互いの左端及び右端もそれぞれ鉛直線上にある。そのため、オペレータは、画像G上の荷物Wと画像H又は画像I上の荷物Wを対比しやすい。
【0062】
このように、本クレーン1は、オペレータの位置から撮影された画像上の荷物Wの見かけの大きさを認識できる制御装置20を具備している。そして、非透過型表示端末15には、オペレータの位置から撮影された荷物Wの見かけの大きさに対してブーム7の先端から撮影された荷物Wの大きさが等しくなるように表示される。かかるクレーン1によれば、オペレータの位置から見える荷物Wとブーム7の先端から見える荷物Wを対比しやすくなる。ひいては、相対関係も把握しやすくなる。
【0063】
次に、
図9から
図11を用いて、第三実施形態に係るクレーン1について説明する。以下においても、第一実施形態に係るクレーン1の説明で用いた名称と符号を用いることで、同じものを指すこととする。ここでも、相違する部分を中心に説明する。
【0064】
固定式表示装置16は、画像を表示するものである。オペレータは、キャビン11の外部の光景と表示される画像を同時に視認することができる。かかる表示態様については後述する。なお、固定式表示装置16は、制御装置20に接続されている。そのため、制御装置20は、固定式表示装置16に情報(画像データ)を送信することができる。これにより、固定式表示装置16は、画像を表示することができる。また、オペレータが視界中央で荷物Wを見ると、オペレータの視界中央の鉛直上方位置又は鉛直下方位置に固定式表示装置16が見えるように、固定式表示装置16は、キャビン11の前方上方位置又はダッシュボード17に装着される。
【0065】
次に、
図11を用いて、固定式表示装置16を設けたキャビン11におけるオペレータの視界について説明する。
【0066】
制御装置20は、オペレータの固定式表示装置16にブーム7の先端から撮影された荷物Wを表示する。
【0067】
固定式表示装置16が鉛直上方位置に装着される場合、かかる画像を「画像J」とする。オペレータは、視界中央で荷物Wを見ると、オペレータの位置から見える荷物Wの鉛直上方位置に画像J上の荷物Wも見ることができる。つまり、オペレータは、オペレータの位置から見える荷物Wとブーム7の先端から撮影された荷物Wを同時に視認できるのである。また、オペレータの位置から見える荷物Wとブーム7の先端から撮影された荷物Wは、同一鉛直線上に並ぶので、これらの相対関係を把握しやすい。
【0068】
他方で、固定式表示装置16が鉛直下方位置に装着される場合、かかる画像を「画像K」とする。オペレータは、視界中央で荷物Wを見ると、オペレータの位置から見える荷物Wの鉛直下方位置に画像K上の荷物Wも見ることができる。つまり、オペレータは、オペレータの位置から見える荷物Wとブーム7の先端から撮影された荷物Wを同時に視認できるのである。また、オペレータの位置から見える荷物Wとブーム7の先端から撮影された荷物Wは、同一鉛直線上に並ぶので、これらの相対関係を把握しやすい。
【0069】
このように、本クレーン1は、ブーム7の先端から荷物Wを撮影するカメラ41と、オペレータの視界中央の鉛直上方位置又は鉛直下方位置に装着される固定式表示装置16と、を具備している。そして、固定式表示装置16には、ブーム7の先端から撮影された荷物Wが表示される。かかるクレーン1によれば、オペレータの位置から見える荷物Wとブーム7の先端から見える荷物Wが同時に視認可能となる。また、これらが同一鉛直線上に並ぶので相対関係も把握しやすくなる。
【0070】
なお、画像J又は画像Kの表示位置を鉛直上方向又は鉛直下方向に変更できる表示位置操作具67を遠隔操作端末13に設けてもよい。画像J又は画像Kは、オペレータによる表示位置操作具67の操作に基づいて鉛直上方向又は鉛直下方向に移動される。また、画像J又は画像Kの表示倍率を変更できる表示倍率操作具68を遠隔操作端末13に設けてもよい。画像J又は画像Kは、オペレータによる表示倍率操作具68の操作に基づいて表示倍率が変更される。
【0071】
次に、本クレーン1における他の特徴点について説明する。
【0072】
本クレーン1において、制御装置20は、オペレータの位置から見える荷物Wの見かけの大きさを認識できる。制御装置20は、キャビン11に取り付けられたカメラによる荷物Wの画像に基づいて荷物Wの見かけの大きさを認識できる。但し、旋回用センサ、伸縮用センサ、起伏用センサ、巻回用センサからブーム7の姿勢及びフック10の吊下長さを認識し、荷物Wに対する固定式表示装置16の位置がわかる場合は、これらの相対距離に基づいて荷物Wの見かけの大きさを認識できる。
【0073】
その後、制御装置20は、荷物Wの見かけの大きさに対して画像J又は画像K上の荷物Wの大きさが等しくなるように表示倍率を変更する。こうすることで、オペレータは、オペレータの位置から見える荷物Wとブーム7の先端から撮影された荷物Wを同じ大きさで視認できる。また、オペレータの位置から見える荷物Wに対して画像J又は画像K上の荷物Wは、互いの中心位置が鉛直線上にあり、互いの左端及び右端もそれぞれ鉛直線上にある。そのため、オペレータは、オペレータの位置から見える荷物Wと画像J又は画像K上の荷物Wを対比しやすい。
【0074】
このように、本クレーン1は、オペレータの位置から見える荷物Wの見かけの大きさを認識できる制御装置20を具備している。そして、固定式表示装置16には、オペレータの位置から見える荷物Wの見かけの大きさに対してブーム7の先端から撮影された荷物Wの大きさが等しくなるように表示される。かかるクレーン1によれば、オペレータの位置から見える荷物Wとブーム7の先端から見える荷物Wを対比しやすくなる。ひいては、相対関係も把握しやすくなる。
【0075】
最後に、遠隔操作端末13には、操作端末側表示装置66が設けられている(
図3参照)。操作端末側表示装置66は、電波信号を介して制御装置20に接続されているといえる。そのため、非透過型表示端末15に表示される画像が操作端末側表示装置66にも表示されるとしてもよい。本願に開示する技術的思想は、作業現場を上方から撮影するその他の作業車両にも適用できる。例えば、高所作業車やコンクリートポンプ車等にも適用できる。
【符号の説明】
【0076】
1 クレーン
2 車両
3 クレーン装置
7 ブーム
8 ワイヤ
10 フック
14 透過型表示端末
15 非透過型表示端末
16 固定式表示装置
20 制御装置
41 カメラ
81 表示端末側カメラ
W 荷物