(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】接続モジュールおよび蓄電モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/507 20210101AFI20220117BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20220117BHJP
H01M 50/557 20210101ALI20220117BHJP
H01M 50/15 20210101ALI20220117BHJP
H01G 11/10 20130101ALI20220117BHJP
H01G 11/76 20130101ALI20220117BHJP
【FI】
H01M50/507
H01M50/55 101
H01M50/557
H01M50/15
H01G11/10
H01G11/76
(21)【出願番号】P 2018078156
(22)【出願日】2018-04-16
【審査請求日】2020-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松村 暢之
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 慎一
(72)【発明者】
【氏名】下田 洋樹
【審査官】儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-100247(JP,A)
【文献】特開2012-138333(JP,A)
【文献】特開2013-157125(JP,A)
【文献】特開2015-088464(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0214534(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50
H01M 50/20
H01M 50/10
H01G 11/76
H01G 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極および負極の電極端子を有する蓄電素子が複数個並べられた蓄電素子群に取り付けられる接続モジュールであって、
隣り合う前記蓄電素子の前記電極端子にそれぞれ載置される一対の端子接続部を有し、前記一対の端子接続部が前記電極端子に接続されることで隣り合う前記蓄電素子間を電気的に接続するバスバと、
前記バスバを保持した状態で前記蓄電素子群に固定される絶縁プロテクタとを備え、
前記絶縁プロテクタは、前記バスバが内部に配置される収容枠と、
前記収容枠内において、前記バスバを前記蓄電素子の並び方向に抜け止めする抜止部と、
前記収容枠内において、前記バスバを前記電極端子側から支持する支持部と、を含み、
前記支持部は、前記バスバの前記一対の端子接続部の間に配され、
前記抜止部と前記バスバとの間には、クリアランスが設けられ、
前記クリアランスによって、前記収容
枠内の前記バスバが前記支持部に支持された状態で、前記バスバの前記一対の端子接続部のうち一方の前記端子接続部が前記支持部より前記電極端子側に配されるとともに、前記バスバの前記一対の端子接続部のうち他方の前記端子接続部が前記支持部より前記電極端子と反対側に配されることが可能とされている接続モジュール。
【請求項2】
前記抜止部は、前記収容枠において前記並び方向と直交する方向に対向する一対の内面から内側に向かって突出した形態で前記収容枠の全高に亘って設けられており、
前記バスバには、前記一対の内面と対向する側面の前記並び方向の中央部に前記抜止部が嵌合する一対の嵌合凹部が設けられている請求項1に記載の接続モジュール。
【請求項3】
前記抜止部の高さ寸法と前記バスバの厚さ寸法との寸法の差は、隣り合う前記蓄電素子の前記電極端子において前記バスバが配置される部分の高さ位置の差よりも大きく設定されている請求項2に記載の接続モジュール。
【請求項4】
前記抜止部は、突出面が円弧状をなす半円柱状をなし、
前記嵌合凹部は、前記抜止部の突出面に沿うように凹んでいる請求項2または請求項3に記載の接続モジュール。
【請求項5】
正極および負極の電極端子を有する蓄電素子が複数個並べられた蓄電素子群と、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の接続モジュールとを備えた蓄電モジュールであって、
前記蓄電素子は、前記電極端子を囲んで支持する絶縁支持部を有しており、
前記収容枠には、隣り合う前記蓄電素子における前記絶縁支持部間に嵌合して前記収容枠を前記蓄電素子に対して位置決めする位置決め部が設けられており、
前記絶縁プロテクタは、隣り合う前記収容枠に連なって設けられ、前記収容枠が前記蓄電素子に位置決めされる際に、前記並び方向に伸縮する連結部を有している蓄電モジュール。
【請求項6】
前記連結部は、隣接する前記収容枠の対向する一対の壁部の間にそれぞれ連なって設けられ、隣接する前記収容枠間に屈曲して配置されている請求項5に記載の蓄電モジュール。
【請求項7】
前記連結部は、前記収容枠の前記一対の壁部の両端部にそれぞれ設けられている請求項6に記載の蓄電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、蓄電素子群に取り付けられる接続モジュールおよび蓄電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両に搭載される蓄電素子群に取り付けられる接続モジュールとして、特許第3707595号公報(下記特許文献1)が知られている。この接続モジュールは、蓄電素子群を構成する複数の蓄電素子のうちの隣り合う蓄電素子に突出して設けられた電極端子を挿通させてボルト締結されるバスバと、バスバを保持する合成樹脂製の基板部とを備えており、隣り合う蓄電素子の電極端子の間隔(電極間ピッチ)にばらつきが生じるため、基板部にスリットを設けて基板部におけるスリットの周辺部が撓むことで電極間ピッチを調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電極端子が平板な場合には、上記のように電極端子をバスバに対して挿通することができないため、各電極端子にバスバを位置決めできなくなるとともに、バスバを保持する基板部も蓄電素子群に対して位置決めすることができなくなってしまう。また、蓄電素子の電極端子は、電極端子の高さ位置にもばらつきが生じる場合があり、その対策が切望されていた。
【0005】
本明細書では、電極端子とバスバの位置ずれを抑制することで寸法の誤差等に起因した取り付け作業の不具合を防ぐ技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される技術は、正極および負極の電極端子を有する蓄電素子が複数個並べられた蓄電素子群に取り付けられる接続モジュールであって、隣り合う前記蓄電素子の前記電極端子にそれぞれ載置される一対の端子接続部を有し、前記一対の端子接続部が前記電極端子に接続されることで隣り合う前記蓄電素子間を電気的に接続するバスバと、前記バスバを保持した状態で前記蓄電素子群の前記電極端子側に固定される絶縁プロテクタとを備え、前記絶縁プロテクタは、前記バスバが内部に配置される収容枠と、前記収容枠内において、前記バスバを前記蓄電素子の並び方向に抜け止めする抜止部と、を含み、前記抜止部と前記バスバとの間には、前記収容枠内の前記バスバの一方の前記端子接続部が前記収容枠において前記電極端子側の端面とは異なる第1端面に配置された状態で、前記バスバの他方の前記端子接続部を前記収容枠の前記第1端面とは反対側である前記電極端子側の第2端面に配置できるクリアランスが設けられている構成とした。
【0007】
このような構成の接続モジュールによると、抜止部とバスバとの間にクリアランスが設けられており、蓄電素子群に接続モジュールを取り付ける際に、抜止部によって抜け止めされたバスバを、収容枠の第1端面と第2端面との間において上下方向に傾いた状態に配置できるから、寸法誤差等による隣り合う蓄電素子の電極端子間における高さ方向の位置ずれを吸収することができる。これにより、接続モジュールの蓄電素子群への取り付けの際に、電極端子間の高さ方向の寸法誤差等に起因した取り付け作業の不具合を防ぐことができる。
【0008】
本明細書によって開示される接続モジュールは、以下の構成としてもよい。
【0009】
前記抜止部は、前記収容枠において前記並び方向と直交する方向に対向する一対の内面から内側に向かって突出した形態で前記収容枠の全高に亘って設けられており、前記バスバには、前記一対の内面と対向する側面の前記並び方向の中央部に前記抜止部が嵌合する一対の嵌合凹部が設けられている構成としてもよい。
【0010】
バスバを抜止部によって抜け止めする手段として、例えば、バスバに嵌合突起を設け、収容枠の内面に嵌合突起が嵌合する嵌合溝を設ける方法が考えられる。しかしながら、収容枠に嵌合溝を形成する場合、収容枠の板厚を嵌合溝の深さ寸法よりも厚くする必要があり、収容枠、ひいては絶縁プロテクタが大型化してしまう嫌いがある。ところが、上記の構成によると、収容枠から突出した抜止部にバスバの嵌合凹部を嵌合させるから、収容枠が大型化することを抑制しつつ、抜止部によってバスバを抜け止めすることができる。
【0011】
前記抜止部の高さ寸法と前記バスバの厚さ寸法との寸法の差は、隣り合う前記蓄電素子の前記電極端子において前記バスバが配置される部分の高さ位置の差よりも大きく設定されている構成としてもよい。
【0012】
このような構成によると、収容枠内におけるバスバの上下方向の移動範囲が、隣り合う蓄電素子の電極端子おいてバスバが配置される部分の高さ位置の差よりも大きくなるから、例えば、隣り合う蓄電素子の電極端子においてバスバが載置される部分の高さ位置の差が、バスバの上下方向の移動範囲よりも大きい場合に比べて、隣り合う蓄電素子の電極端子においてバスバが配置される部分の寸法誤差等による高さ位置の位置ずれを吸収することができる。
【0013】
前記抜止部は、突出面が円弧状をなす半円柱状をなし、前記嵌合凹部は、前記抜止部の突出面に沿うように凹んでいる構成としてもよい。
【0014】
このような構成によると、抜止部の突出面が円弧状なし、嵌合凹部が抜止部に沿った形状となっているから、例えば、抜止部の突出面が角張っているものに比べて、抜止部に沿ってバスバを上下方向に滑らかに移動させることができる。
【0015】
正極および負極の電極端子を有する蓄電素子が複数個並べられた蓄電素子群と、上記の接続モジュールとを備えた蓄電モジュールであって、前記蓄電素子は、前記電極端子を囲んで支持する絶縁支持部を有しており、前記収容枠には、隣り合う前記蓄電素子における前記絶縁支持部間に嵌合して前記収容枠を前記蓄電素子に対して位置決めする位置決め部が設けられており、前記絶縁プロテクタは、隣り合う前記収容枠に連なって設けられ、前記収容枠が前記蓄電素子に位置決めされる際に、前記並び方向に伸縮する連結部を有している構成としてもよい。
【0016】
このような構成の蓄電モジュールによると、絶縁プロテクタを蓄電素子群に組み付ける際の蓄電素子の並び方向の寸法誤差等による収容枠間の隙間にばらつきがある場合でも、蓄電素子群に接続モジュールを取り付ける際に、連結部が伸縮することで隣り合う前記収容枠間の隙間の大きさを変化させることができ、隣り合う収容枠間の寸法誤差を吸収することができる。これにより、接続モジュールの蓄電素子群への取り付けの際に、蓄電素子の並び方向における寸法誤差等に起因した取り付け作業の不具合を防ぐことができる。
【0017】
前記連結部は、隣接する前記収容枠の対向する一対の壁部の間にそれぞれ連なって設けられ、隣接する前記収容枠間に屈曲して配置されている構成としてもよい。
【0018】
このような構成によると、連結部が隣接する前記収容枠間に配置されているから、例えば、連結部が収容枠間から外方に突出する場合に比べて、接続モジュール、ひいては蓄電モジュールが大型化することを抑制できる。
【0019】
前記連結部は、前記収容枠の前記一対の壁部の両端部にそれぞれ設けられている構成としてもよい。
【0020】
例えば、連結部が一対の壁部の一方の端部にのみ設けられている場合、隣り合う収容枠の他方の端部が互いに離れるように開いた場合、連結部が塑性変形するなど破損する虞がある。ところが、このような構成によると、一対の壁部の両端部に連結部が設けられているから、隣り合う収容枠が互いに離れるように開くことを防ぎ、連結部が破損することを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0021】
本明細書によって開示される技術によれば、電極端子とバスバの位置ずれを抑制することで寸法の誤差等に起因した取り付け作業の不具合を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図15】収容枠内にバスバが配置される前の状態を示す斜視図
【
図16】収容枠内にバスバが配置される前の状態を示す平面図
【
図17】収容枠に蓋部を組み付ける前の状態示す斜視図
【
図18】収容枠に蓋部を組み付ける前の状態を示す平面図
【
図22】隣り合う蓄電素子の電極端子の高さに応じたバスバの状態を示した一部拡大断面図であって、
図6の断面に相当する一部拡大断面図
【
図23】隣り合う蓄電素子における電極端子の間隔に応じた連結部の状態を示した部分拡大平面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
<実施形態>
本明細書に開示された技術における一実施形態について
図1から
図22を参照して説明する。
【0024】
本実施形態は、電気自動車またはハイブリッド自動車等の車両に搭載される蓄電モジュール10であって、
図1に示すように、複数の蓄電素子21を左右方向に並べて構成される蓄電素子群20と、この蓄電素子群20に取り付けられる接続モジュール40とを備えて構成されている。
【0025】
蓄電素子21は、二次電池であって、
図1および
図2に示すように、前後方向に長い扁平な直方体状に形成されている。蓄電素子21の上面21Aにおける前後方向の両端部寄りの位置には、一対の電極端子22が設けられている。一対の電極端子22うちの一方が正極端子であり、他方が負極端子とされている。
【0026】
各電極端子22は、前後方向にやや長い略矩形状をなしている。各電極端子22の上部は、水平に形成されており、各電極端子22の上面22Aには、電極端子22から上方に向かって僅かに突出する突部24が電極端子22と一体に設けられている。
【0027】
突部24は、略円柱状をなし、電極端子22の前後方向略中央部で、かつ電極端子22の左右方向の略中央部に配置されている。
【0028】
また、各電極端子22は、電極端子22の上端部を僅かに上方に突出させた状態で、電極端子22の側面を全周に亘って囲む合成樹脂製の絶縁支持部25によって支持されている。
【0029】
蓄電素子群20は、蓄電素子21が、所定の数(本実施形態では3つ)毎に、電極端子22の極性が反対になるように配置されており、隣り合う蓄電素子21の間に、合成樹脂からなる平板状の絶縁セパレータ26を配して並べられている。
【0030】
絶縁セパレータ26は、隣り合う蓄電素子21が互いに対向する面21Bに沿って配されている。絶縁セパレータ26の上端部(蓄電素子21の電極端子22が配される側の端部)は、蓄電素子21の並び方向の両側に突出した形態とされており、絶縁セパレータ26の上面26Aは、蓄電素子21の並び方向に沿った水平な面とされている。このため、蓄電素子群20の上部には、隣り合う蓄電素子21のそれぞれの絶縁支持部25と絶縁セパレータ26の上面26Aとによって構成される側面視略矩形状の素子間凹部28が形成されている。
【0031】
接続モジュール40は、
図1から
図8に示すように、蓄電素子群20の上部に取り付けられるものであって、
図1および
図2に示すように、蓄電素子群20の前後両側において左右方向に横並びとなる二列の電極端子22に沿うようにそれぞれ組み付けられている。つまり、本実施形態の蓄電モジュール10は、蓄電素子群20の上部に2つの接続モジュール40が前後両側に並んで組み付けられている。なお、蓄電素子群20に組み付けられる2つの接続モジュール40は、3つの蓄電素子21を並列接続して1つの蓄電ユニットとし、蓄電ユニットを直列に接続するものである。また、それぞれの接続モジュール40は、後述する絶縁プロテクタ80のバスバ保持部81の構成が一部異なるものの、その他の構成については共通するため、蓄電素子群20の後側に配される接続モジュール40を代表として説明する。
【0032】
接続モジュール40は、隣り合う蓄電素子21の電極端子22同士を接続するバスバ60と、バスバ60を保持する絶縁プロテクタ80とを備えて構成されている。
【0033】
バスバ60は、例えば銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼(SUS)等の導電性に優れた金属板をプレス加工するなどして形成されている。
【0034】
バスバ60は、
図20および
図21に示すように、前後方向に長い略矩形のやや厚みのある平板状に形成されており、バスバ60の左右方向両端部は、蓄電素子21の電極端子22に載置されて接続される一対の端子接続部61とされている。
【0035】
一対の端子接続部61は、接続モジュール40が蓄電素子群20に組み付けられると、隣り合う蓄電素子21の電極端子22上に載置される。そして、例えば、レーザ溶接などの公知の溶接手段によって蓄電素子21の電極端子22と対応する端子接続部61とを接続することで、隣り合う蓄電素子21の電極端子22同士が電気的に接続されるようになっている。なお、バスバ60における各端子接続部61は、隣り合う電極端子22の間隔(電極間ピッチ)の最大ばらつき量と電極端子22における端子接続部61との接続領域の左右方向の長さ寸法との和よりも左右方向に大きい長さ寸法に形成されており、蓄電素子21を左右方向に並べた際に、隣り合う蓄電素子21における電極間ピッチにばらつきが生じた場合でも、各端子接続部61が電極端子22上に配置されるようになっている。
【0036】
バスバ60における一対の端子接続部61が配された側の長手外側面60Aには、
図21に示すように、一対の端子接続部61が電極端子22上に載置された際に、突部24が嵌合する位置決め凹部62が設けられている。位置決め凹部62は、バスバ60の長手外側面60Aからバスバ60の中央に向かって凹んで形成されており、位置決め凹部62の内周面は、突部24の外周面に沿う円弧状に形成されている。
【0037】
位置決め凹部62には、
図2に示すように、位置決め凹部62の内周面と突部24の外周面との間にクリアランスを有した状態で突部24が嵌合されるようになっている。そして、隣り合う蓄電素子21のそれぞれの電極端子22上にバスバ60の一対の端子接続部61が載置されると、位置決め凹部62の内周面と突部24の外周面との間にクリアランスを有するものの、バスバ60と突部24とが係止することで、バスバ60の端子接続部61が蓄電素子21の電極端子22上から前後左右に位置ずれしないようになっている。
【0038】
絶縁プロテクタ80は、合成樹脂製であって、
図1、
図2、
図9および
図10に示すように、左右方向に細長い形態をなしており、複数のバスバ60を保持するバスバ保持部81と、複数のバスバ保持部81を蓄電素子21の並び方向(左右方向)に連結する連結部100と備えて構成されている。
【0039】
各バスバ保持部81は、左右方向に長い扁平な略矩形状をなしており、
図9に示すように、バスバ60を収容する収容枠82と、収容枠82内に収容されるバスバ60を下方から支持する複数の支持部84と、収容枠82内に収容されたバスバ60を支持部84とは反対方向である上方から抜け止めする複数の蓋部90とを備えて構成されている。
【0040】
収容枠82は、
図2に示すように、左右方向に長い扁平な略矩形枠型状に形成されており、収容枠82内には、複数のバスバ60が左右方向に並んで配置されるようになっている。なお、本実施形態では、蓄電素子群20の後側に配される接続モジュール40の右側端部および図示しない左側端部のバスバ保持部81は、3つのバスバ60を保持しており、蓄電素子群20の後側に配される接続モジュール40において右側端部および左側端部を除くその他のバスバ保持部81と、蓄電素子群20の
前側に配される接続モジュール40の全てのバスバ保持部81は、5つのバスバ60を保持する構成とされている。
【0041】
収容枠82は、
図10に示すように、蓄電素子21の並び方向に延びて、かつ並び方向と直交する方向に対向する一対の長辺壁82Bと、収容枠82の左右方向両端部において並び方向と直交する方向に一対の長辺壁82Bを連結する短辺壁(「壁部」の一例)82Aとによって構成されている。短辺壁82Aのそれぞれの下部には、図
5および
図9に示すように、収容枠82の長辺壁82Bよりも下方に突出した突出片83が設けられている。突出片83は、接続モジュール40が蓄電素子群20に取り付けられた状態では、蓄電素子21における絶縁支持部25に対して左右方向に係止可能となっており、バスバ保持部81が蓄電素子群20に対して左右方向に位置ずれすることを防ぐことができるようになっている。
【0042】
各支持部84は、
図15および
図16に示すように、前後方向に細長い形態とされ、収容枠82の長辺壁82Bの間を繋ぐと共に、収容枠82の下面(「第2端面」の一例)82Dと連なるように収容枠82の短辺壁82Aと平行に設けられている。各支持部84は、
図13に示すように、バスバ60における一対の端子接続部61間を支持するものであって、支持部84の上面84Aと収容枠82の下面82Dとが同一平面となる位置に形成されている。つまり、各支持部84は、収容枠82よりも下方に突出した状態で各バスバ60の下面と収容枠82の下面82Dとがほぼ面一となるようにバスバ60の左右方向略中央部を下方から支持することで、バスバ60が収容枠82内に保持されている。
【0043】
また、各支持部84は、接続モジュール40が蓄電素子群20に取り付けられた際に、蓄電素子群20の絶縁セパレータ26上に配置されるようになっている。これにより、各バスバ60の一対の端子接続部61が各蓄電素子21の電極端子22上に配置されるようになっている。
【0044】
一方、収容枠82の下面82Dにおける支持部84と隣接する位置には、蓄電素子群20の素子間凹部28に嵌合する位置決め突片88が下方に向けて突出した形態で設けられている。
【0045】
位置決め突片88は、
図4および図
13に示すように、支持部84よりも下方に突出した側面視逆台形の板状をなし、位置決め突片88の収容枠82からの突出寸法L1は、蓄電素子群20の素子間凹部28の深さ寸法L2よりも小さく設定されている。
【0046】
位置決め突片88は、接続モジュール40が蓄電素子群20に組み付けられる際には、位置決め突片88の左右方向両側面に設けられた傾斜状のガイド部88Aによって位置決め突片88が素子間凹部28内に案内されるようになっている。そして、接続モジュール40が蓄電素子群20に組み付けられると、位置決め突片88が絶縁支持部25および絶縁セパレータ26の上面26Aとの間に隙間を有した状態で素子間凹部28内に上方から嵌合される。
【0047】
これにより、接続モジュール40が蓄電素子群20に組み付けられた状態では、位置決め突片88と絶縁支持部25とが左右方向に係止することで、電極端子22に対してバスバ保持部81が左右方向に位置ずれすることを防ぐことができるようになっている。
【0048】
また、位置決め突片88における下端部外面88Bには、被保持爪89が設けられている。被保持爪89は、位置決め突片88の下端部において位置決め突片88から離れる方向である外方に向けて突出しており、位置決め突片88の下端部全域に亘って形成されている。
【0049】
蓋部90は、
図15および
図16に示すように、前後方向に細長い形態とされ、蓋部90の一端が収容枠82に対してヒンジ95によって連結されている。
【0050】
ヒンジ95は、蓋部90における短辺部91の外面と収容枠82の長辺壁82Bの外面とに連なるようにして形成されており、ヒンジ95は、ヒンジ95を折りたたむように屈曲させることで蓋部90を支持部84やバスバ60と対向した状態に配することができる位置に形成されている。蓋部90において支持部84やバスバ60と対向する内面90Aは、ヒンジ95を屈曲させると、
図13に示すように、収容枠82の上面(「第1端面」の一例)82Uに対しても対向した抜止完了位置に配置されるようになっている。
【0051】
蓋部90の幅寸法は、支持部84の幅寸法よりも左右方向に大きく設定されており、蓋部90が抜止完了位置に配置されると、蓋部90がバスバ60の左右方向略中央部上に配置され、蓋部90によって収容枠82内におけるバスバ60の上方へ抜け止めが図れるようになっている。
【0052】
蓋部90においてヒンジ95が設けられた一端とは反対側の他端には収容枠82に設けられた係止枠86と係止する係止片94が設けられている。
【0053】
係止片94は、蓋部90においてヒンジ95が設けられた外面とは反対側に位置する外面に突設されており、ヒンジ95が屈曲した状態では、
図13に示すように、係止片94は、蓋部90から収容枠82に向かって延出された形態となっている。係止片94の先端には、ヒンジ95側に向かって突出する係止爪94Aが設けられている。
【0054】
一方、収容枠82の係止枠86は、長辺壁82Bから平面視略矩形状に突出して形成されている。係止枠86内における長辺壁82Bの外面82Oには係止枠86内に向かって突出する被係止爪86Aが設けられており、ヒンジ95を屈曲させて蓋部90を抜止完了位置に配置すると、係止片94の先端が係止枠86内に嵌合され、係止片94の係止爪94Aと係止枠86の被係止爪86Aとが上下方向に係止することで、蓋部90が抜止完了位置に保持されるようになっている。
【0055】
また、係止枠86の下端部には、支持部84に隣接する位置決め突片88と同形状の位置決め突片87が設けられている。位置決め突片87は、収容枠82から離れる方向である外方に向けて突出する被保持爪87Aが設けられている。被保持爪87Aは、係止枠86の下端部全域に亘って形成されており、収容枠82の位置決め突片88における被保持爪89と共に、絶縁セパレータ26に設けられた保持部27と係止するようになっている。
【0056】
絶縁セパレータ26の保持部27は、
図3および
図7に示すように、絶縁セパレータ26の上面26Aから上方に立ち上がる形態をなしている。保持部27は、各絶縁セパレータ26において接続モジュール40が配される位置の前後両側に一対ずつ、合計4箇所に設けられている。
【0057】
各保持部27は、接続モジュール40に向かって突出する保持突起27Aを有しており、接続モジュール40を蓄電素子群20に組み付けると、位置決め突片87、88の被保持爪87A、89と保持突起27Aとが上下方向に係止することで接続モジュール40が蓄電素子群20に固定されるようになっている。
【0058】
連結部100は、蓄電素子21の並び方向(左右方向)に隣り合うバスバ保持部81に連なって形成されている。
【0059】
連結部100は、
図2および
図10に示すように、隣接するバスバ保持部81において対向する一対の短辺壁82Aの前後両端部に一対設けられている。各連結部100は、隣接するバスバ保持部81の短辺壁82A間であって、バスバ保持部81の長辺壁82Bの位置よりも外側に突出しない位置に形成されている。
【0060】
各連結部100は、平面視U字状に水平方向に屈曲された屈曲部101と、屈曲部101の端部とバスバ保持部81の短辺壁82Aとに連なる一対の基端部103を備えて構成されている。
【0061】
短辺壁82Aの前端部に設けられた前側連結部100Fと短辺壁82Aの後端部に設けられた後側連結部100Rとは、短辺壁82Aの前後方向略中央部を境に前後方向に対称な形態とされており、
図23に示すように各連結部100における屈曲部101が左右方向に弾性伸縮することでバスバ保持部81間の間隔を変化させることができるようになっている。
【0062】
屈曲部101が左右方向に弾性伸縮可能な寸法は、蓄電素子21を左右方向に並べた際に生じるバスバ保持部81間の最大位置ずれ量よりも大きく設定されている。
【0063】
さて、バスバ保持部81の収容枠82における長辺壁82Bの内面82Iには、
図14に示すように、バスバ60に設けられた一対の嵌合凹部63に嵌合する抜止部85が複数設けられている。
【0064】
バスバ60における嵌合凹部63は、バスバ60における短手外側面60Bの左右方向略中央部にそれぞれ設けられている。嵌合凹部63は、短手外側面60Bからバスバ60の中央に向かって凹んだ形状をなしている。嵌合凹部63は、長手外側面60Aと平行に設けられた直線部64と、直線部64の端部と短手外側面60Bとに連なるように円弧状に設けられた湾曲部65とによって構成されている。
【0065】
一方、抜止部85は、収容枠82においてヒンジ95が設けられた位置の内側に支持部84と連なるように形成されている。また、抜止部85は、長辺壁82Bの内面82Iから収容枠82内に向かって半円状に突出すると共に、支持部84の上面84Aから短辺壁82Aの全高に亘って延びる半円柱状に形成されている。
【0066】
バスバ60が収容枠82内に収容されて支持部84上の前後方向中央部に配置された状態では、
図14に示すように、バスバ60の嵌合凹部63の内面(直線部64および湾曲部65)と抜止部85との間には公差吸収クリアランスCL1が設けられている。この公差吸収クリアランスCL1は、湾曲部65とバスバ60の短手外側面60Bとが連なる角部66と抜止部85との間の左右方向の長さ寸法L3が、抜止部85と直線部64との間の前後方向の長さ寸法L4よりも大きくなるように設定されている。また、公差吸収クリアランスCL1は、何れの箇所においても、長辺壁82Bの内面82Iとバスバ60の短手外側面60Bとの間の隙間である収容クリアランスCL2の長さ寸法よりも大きく設定されている。一方、長辺壁82Bの内面82Iから収容枠82内に向かって突出する抜止部85の突出寸法L5は、収容クリアランスCL2よりも大きく設定されている。
【0067】
また、蓋部90が閉じられて収容枠82内のバスバ60が支持部84上に配置された状態では、
図13に示すように、蓋部90の内面(抜止部85の上端位置)90Aとバスバ60の上面との間には高さ吸収クリアランスCL3が設けられている。高さ吸収クリアランスCL3は、隣り合う蓄電素子21の電極端子22の高さ位置の最大ばらつき量よりも大きく設定されている。そして、公差吸収クリアランスCL1におけるバスバ60の角部66とバスバ保持部81の抜止部85との間の長さ寸法L3は、バスバ60の一方の端子接続部61が、例えば、収容枠82の上面(「第1端面」の一例)82Uに配された際に、バスバ60の他方の端子接続部61が収容枠82における下面(「第2端面」の一例)82Dに配置されることが可能な大きさに設定されている。
【0068】
つまり、バスバ60が収容枠82内において支持部84によって下方から支持された状態では、バスバ60は公差吸収クリアランスCL1の範囲において前後左右に移動可能となっているものの、バスバ60の嵌合凹部63における湾曲部65と抜止部85とが左右方向に係止することでバスバ60が左右方向に抜け止めされた状態で収容枠82内に保持されるようになっている。
【0069】
また、収容枠82内において、バスバ60が左右方向両端部を上下に変位させるように傾く場合においても、抜止部85がバスバ60の傾きの障害とならないようになっている。
【0070】
本実施形態は、以上のような構成であって、続いて、接続モジュール40の作用および効果について説明する。
【0071】
本実施形態の接続モジュール40では、バスバ60がバスバ保持部81の抜止部85との間において公差吸収クリアランスCL1を有すると共に、電極端子22の突部24との間にクリアランスを有した状態で配されており、各クリアランス内においてバスバ60が蓄電素子21の並び方向に移動可能となっている。また、バスバ60の端子接続部61の長さ寸法は、隣り合う蓄電素子21の電極間ピッチにおける最大ばらつき量と電極端子22における端子接続部61との接続領域の長さ寸法との和よりも大きく設定されている。
【0072】
すなわち、同一のバスバ保持部81に収容されたバスバ60によって接続される蓄電素子21の寸法精度のばらつきによって隣り合う蓄電素子21の電極間ピッチに誤差が生じる場合においても、バスバ60が各クリアランス内においてバスバ60が蓄電素子21の並び方向に移動できるから、バスバ60によって隣り合う蓄電素子21同士を確実に接続することができる。
【0073】
また、バスバ保持部81は、位置決め突片87、88によって蓄電素子群20の素子間凹部28に位置決めされているものの、左右方向に隣り合うバスバ保持部81は、左右方向に伸縮可能な連結部100によって連結されているから、蓄電素子21の寸法精度のばらつきに起因してバスバ保持部81間で生じる電極間ピッチの累積誤差が大きくなった場合においても、
図23に示すように、連結部100が左右方向に伸縮することでバスバ保持部81間において生じる電極間ピッチの累積誤差を吸収することができる。これにより、蓄電素子群20に対する接続モジュール40の取り付け作業の際に、蓄電素子21の並び方向の寸法誤差等に起因した取り付け作業の不具合を防ぐことができる。
【0074】
ところで、蓄電素子21は、電極端子22の高さ位置についても寸法精度のばらつきが生じる場合がある。ところが、本実施形態では、収容枠82内に収容されたバスバ60と蓋部90の内面(抜止部85の上端位置)90Aとの間には高さ吸収クリアランスCL3が設けられている。また、公差吸収クリアランスCL1におけるバスバ60の角部66とバスバ保持部81の抜止部85との間の長さ寸法L3は、収容枠内においてバスバ60が左右方向に最も傾いた場合においても抜止部85がバスバ60の傾きの障害とならない大きさに設定されている。
【0075】
すなわち、蓄電素子21の寸法誤差に起因して隣り合う蓄電素子21における電極端子22の高さ位置に位置ずれが生じる場合においても、
図22に示すように、収容枠内においてバスバ60が左右方向に傾くことで隣り合う蓄電素子間の電極端子22の位置ずれを吸収し、バスバ60のそれぞれの端子接続部61を隣り合う蓄電素子21の電極端子22上に載置することができる。
【0076】
つまり、本実施形態によると、蓄電素子21の並び方向の寸法誤差だけでなく、蓄電素子群20に対する接続モジュール40の取り付け作業の際に、蓄電素子21における電極端子22の高さ方向の寸法誤差等に起因した取り付け作業の不具合をも防ぐことができる。
【0077】
また、抜止部85は、収容枠82の長辺壁82Bの内面82Iから内側に向かって突出した形態で収容枠82の全高に亘って設けられており、バスバ60の短手外側面60Bの左右方向略中央部には、抜止部85が嵌合する一対の嵌合凹部63が設けられている。
【0078】
ところで、例えば、バスバに嵌合突起を設け、収容枠の内面に嵌合突起が嵌合する嵌合溝を設けることで、バスバを抜止部によって抜け止めする手段も考えられる。しかしながら、収容枠に嵌合溝を形成する場合、収容枠の板厚を嵌合溝の深さ寸法よりも厚くする必要があり、収容枠、ひいては絶縁プロテクタが大型化してしまう。ところが、本実施形態によると、収容枠82から突出した抜止部85にバスバ60の嵌合凹部63を嵌合させるから、収容枠82が大型化することを抑制しつつ、抜止部85によってバスバ60を左右方向に抜け止めすることができる。
【0079】
また、抜止部85は、その突出面が円弧状をなす半円柱状をなし、バスバ60の嵌合凹部63は、抜止部85の突出面に沿うように凹んでいるから、例えば、抜止部の突出面が角張っているものに比べて、バスバ60を抜止部85に沿って上下方向に滑らかに移動させることができる。
【0080】
また、連結部100は、隣接する収容枠82において対向する一対の短辺壁82Aの間にそれぞれ連なって設けられ、隣接する収容枠82間に屈曲して配置されているから、例えば、連結部が収容枠間から外方に突出する場合に比べて、接続モジュール40、ひいては蓄電モジュール10が大型化することを抑制できる。
【0081】
また、連結部100は、収容枠82の短辺壁82Aの前後両端部にそれぞれ設けられているから、例えば、連結部が短辺壁の一方の端部にのみ設けられている場合に比べて、収容枠82が互いに離れるように開くなどして、連結部100が塑性変形するなどして破損することを防ぐことができる。
【0082】
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
【0083】
(1)上記実施形態では、2つの接続モジュール40によって3つの蓄電素子21を並列接続した蓄電ユニットを直列に接続する構成にした。しかしながら、これに限らず、バスバ保持部におけるバスバの保持数を変更することによって全ての蓄電素子を直列に接続してもよく、2つや4つ以上の蓄電素子を並列接続した蓄電ユニットを直列に接続する構成にしてもよい。
【0084】
(2)上記実施形態では、連結部100が水平方向に屈曲した屈曲部101を有する構成にした。しかしながら、これに限らず、連結部は鉛直方向に屈曲する屈曲部を有する構成にしてもよい。
【符号の説明】
【0085】
20:蓄電素子群
21:蓄電素子
22:電極端子
25:絶縁支持部
40:接続モジュール
60:バスバ
61:端子接続部
63:嵌合凹部
80:絶縁プロテクタ
82:収容枠
82A:短辺壁(「壁部」の一例)
82U:収容枠の上面(「第1端面」の一例)
82D:収容枠の下面(「第2端面」の一例)
85:抜止部
87、88:位置決め部
100:連結部
CL1:公差吸収クリアランス(「クリアランス」の一例)
CL3:高さ方向クリアランス(「抜止部の高さ寸法とバスバの厚さ寸法と寸法の差」に相当)