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特許7006583タダラフィル経口フィルムを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】タダラフィル経口フィルムを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4985 20060101AFI20220117BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20220117BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20220117BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20220117BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20220117BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220117BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20220117BHJP
   A61P 15/10 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
A61K31/4985
A61K9/70
A61K47/36
A61K47/12
A61K47/38
A61K47/10
A61K47/14
A61P15/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018507630
(86)(22)【出願日】2017-04-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 CN2017082674
(87)【国際公開番号】W WO2018068498
(87)【国際公開日】2018-04-19
【審査請求日】2020-04-22
(31)【優先権主張番号】201610894411.9
(32)【優先日】2016-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518045443
【氏名又は名称】常州市第四制薬廠有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】518045454
【氏名又は名称】捷思英達医薬技術(上海)有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】518045465
【氏名又は名称】ウシン メディックス カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】范 新華
(72)【発明者】
【氏名】屠 永鋭
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ジンタオ
(72)【発明者】
【氏名】ナム,タク ス
(72)【発明者】
【氏名】賀 贇
(72)【発明者】
【氏名】周 岳宇
(72)【発明者】
【氏名】朱 季
(72)【発明者】
【氏名】張 明潔
【審査官】古閑 一実
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0269654(US,A1)
【文献】国際公開第2016/094567(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/199380(WO,A1)
【文献】特表2012-528854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タダラフィル、成膜材料、可塑剤及び存在してもよい矯味剤、存在してもよい着色剤、存在してもよい矯臭剤を用いてタダラフィル経口フィルムを製造する方法において、前記成膜材料が、(a)多糖類の成分と、(b)有機酸から選択される一種又は二種以上の成分と、(c)ヒドロキシアルキルセルロースから選択される一種又は二種以上の成分のみからなり、
前記多糖類は、プルランであり、
前記有機酸は、サリチル酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、酢酸から選択される一種又は二種以上であり、
前記成分(c)は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシエチルセルロースのうちの一種又は二種以上であることを特徴とするタダラフィル経口フィルムを製造する方法
【請求項2】
前記可塑剤が、ポリエチレングリコール(PEG)、グリセリン、クエン酸トリエチルから選択される一種又は二種以上であることを特徴とする請求項1に記載のタダラフィル経口フィルムを製造する方法
【請求項3】
前記成膜材料において、重量比で、成分(a)が9%~20%、成分(b)が0.5%~9.25%、成分(c)が0.5%~1.25%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のタダラフィル経口フィルムを製造する方法
【請求項4】
原薬処理、均質化乳化、塗布乾燥、切断・ロール分割及び包装を含む請求項1~3のいずれか1項に記載のタダラフィル経口フィルムを製造する方法において、均質化乳化工程において、順に、(1)可塑剤とエタノール溶液とを混合した後に均質均一化する工程と、(2)矯味剤を投入して引き続き均質均一化する工程と、(3)タダラフィルを投入して引き続き均質均一化する工程と、(4)成膜材料を投入して引き続き均質均一化する工程と、(5)矯臭剤及び着色剤を投入した後に引き続き均質均一化する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
重量%で、前記タダラフィル経口フィルムは、タダラフィル5%~20%、成膜材料10%~30%、可塑剤0.1%~5%、矯臭剤0.01%~1%、矯味剤0.01%~1%、着色剤0.01%~1%、エタノール溶液50%~80%を含んで製造してなることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記原薬処理は、タダラフィル原薬の粒径(D90)を5μm以下に制御することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記エタノール溶液中のエタノールと水との割合が1:1~1:4であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タダラフィルの新規医薬品製剤を提供し、詳しくは、タダラフィル経口フィルム製剤及びその製造方法を提供する。医薬品製剤分野に属する。
【背景技術】
【0002】
勃起不全(Erectile Dysfunction、ED)は、臨床通常疾患であり、世界各国に約1.5億のED患者がいて、数多くの男性の身体的及び精神的健康を脅かしている。更に深刻なのは、ED発病率が年々上昇する傾向にあり、2020年までにED患者が3億に達すると予測されている。EDの影響要因が多く、年齢、精神心理、心臓血管、内分泌、ライフスタイル、医薬品及び傷害手術などと密接な関係にあり、特に、年齢の増加とは明確な関係を有する。EDは、糖尿病、血管病変及び肥満などの慢性疾患を伴う場合が多い上、心臓血管疾患の早期「警報」症状でもある。EDは、1種の身体的及び精神的な疾患として、患者及びその伴侶の生活質量の低下をもたらすとともに、患者に多大な精神的苦痛を与え、患者の自己評価及び自信の低下を招いて、患者の人間関係にも影響を与える。
【0003】
WHOが推奨するEDの一次治療は経口薬治療であり、ファーストラインはホスホジエステラーゼ5(phosphodiesterase 5、PDE5)阻害薬である。このほか、陰茎海綿体注射療法、テストステロン補充療法、外科療法、幹細胞療法、及び遺伝子治療法などがある。ただし、PDE5阻害薬は、治療効果が良く、持続性が長く、安全性が高いことにより、ファーストラインとなっている。
【0004】
ホスホジエステラーゼ(phosphodiesterase、PDE)は、生物体内で広く存在し、異なる組織に分布しているヌクレオチド代謝酵素であり、複数の生物学的機能を果たしている。PDEファミリーには、全部で、PDE1、PDE2、PDE3、PDE4、PDE5、PDE6、PDE7、PDE8、PDE9、PDE10、及びPDE11がある。一部のホスホジエステラーゼ、例えば、PDE1は、更に、PDE1a、PDE1b、及びPDE1cの幾つかのサブタイプに細分される。PDE5は主に、脳、腎臓、膵臓、陰茎、及び肺に分布している。性的刺激を受けた場合、副交感神経、非アドレナリン作動性非コリン作動性(NANC)神経、及び血管内皮細胞は、一酸化窒素合成酵素(NOS)の働きにより一酸化窒素(NO)を放出し、NOはグアニル酸シクラーゼを活性化させて、GTPをcGMPに転化し、cGMPの上昇により細胞質内のカルシウムイオン濃度が低下し、平滑筋が弛緩し、陰茎の血流が増加し、海綿体内圧が上昇することによって、海綿体静脈の閉塞機能が発動し、陰茎が勃起し始める。PDE5は、cGMPを分解して、陰茎を弛ませる。
【0005】
PDE5阻害薬は、一酸化窒素/環状グアノシン一リン酸(NO/cGMP)経路を介して、PDE5を競合的阻害してcGMPの水解を抑制することができ、陰茎海綿体平滑筋細胞内のcGMP濃度を高めることによって、勃起不全(ED)を治療する効果を果たす。
【0006】
現在市販されているPDE5阻害薬には、シルデナフィル、バルデナフィル、タダラフィル、及びアルフォナビルがある。シルデナフィル及びバルデナフィルは、PDE5に対する選択制が高くない上、網膜に分布しているPDE6に対しても阻害活性を有するため、視覚異常などの副作用を生じることがあり、タダラフィルに比べてPDE6及びPDE5に対する選択性が遥かに劣る。一方、タダラフィルは、PDE5に対して非常に良い選択性を示すが、PDE1、PDE4、及びPDE6などのアイソザイムに対して、タダラフィルの働きが弱い。タダラフィルのPDE6とPDE5のIC50比が780であり、シルデナフィルの118倍、バルデナフィルの269倍である。したがって、タダラフィルは網膜に分布しているPDE6への阻害作用が小さく、シルデナフィルやバルデナフィルのように視覚異常などの副作用を生じない可能性がある。
【0007】
米国FDAが2003年に男性勃起不全症(ED)の治療用としてタダラフィルを承認した後、更に、2つの適応症、即ち、良性の前立腺肥大および肺高血圧症(PAH)を追加した。
【0008】
現在、中国で市販されているタダラフィル製剤の剤形は主に錠剤であり、商品名がシアリス(Cialis)であり、Lilly社が生産し、規格が5mg、10mg、20mgである。
【0009】
錠剤は、経口固体一般製剤として患者に広く受け入れられているが、タダラフィルは水溶性が非常に悪く、製造した錠剤は原料自体、例えば、粒子の流動性、粒径の大きさに対する要求が非常に厳しく、特に小規格(5mg)の錠剤に対し、製造過程において少しのズレでも含有量のバラつきを招くことになり、打錠混合の過程で機械的撹拌の作用により、局部の温度が非常に高く、原料の安定性にとっても大きな試練となり、そして、錠剤は体内で崩壊する過程があり、この過程の長さは配合処方プロセス自体の影響を受けるほか、個人差でも大きく違ってくる。したがって、医薬品の溶解性を解決し、医薬品が有すべき生物利用度を向上させ、医薬品の発効時間を短縮することは、従来よりタダラフィル製剤にとってのキーポイントと難点である。
【発明の概要】
【0010】
従来の的タダラフィル製剤に存在する欠陥を克服するために、本発明の目的は、勃起不全(Erectile Dysfunction、ED)を治療するためのタダラフィル経口フィルム製剤、即ち、タダラフィル経口フィルムを提供することにある。本発明の構成は下記のとおりである。
【0011】
本発明は、タダラフィル、成膜材料、可塑剤及び存在してもよい矯味剤、存在してもよい着色剤、存在してもよい矯臭剤で製造してなるタダラフィル経口フィルムにおいて、前記成膜材料が、(a)多糖類から選択される一種又は二種以上の成分と、(b)有機酸から選択される一種又は二種以上の成分と、(c)ヒドロキシアルキルセルロースから選択される一種又は二種以上の成分とを含むことを特徴とするタダラフィル経口フィルムを提供する。
【0012】
前記多糖類が好ましくは、直鎖多糖類、更に好ましくは、前記多糖類が、プルラン、アミロース、フルクト多糖類から選択される一種又は二種以上であることを特徴とする前記タダラフィル経口フィルム。
【0013】
前記有機酸が、例えば、サリチル酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、酢酸から選択される一種又は二種以上であることを特徴とする前記タダラフィル経口フィルム。
【0014】
前記ヒドロキシアルキルセルロースが好ましくは、分岐鎖に少なくとも1個又は1個以上のヒドロキシ基を有するセルロースであり、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシエチルセルロースから選択される一種又は二種以上であることを特徴とする前記タダラフィル経口フィルム。
【0015】
好ましくは、前記成膜材料において、重量比で、成分(a)が9%~20%、成分(b)が0.5%~9.25%、成分(c)が0.5%~1.25%であることを特徴とする前記タダラフィル経口フィルム。例えば、一実施形態として、好ましくは、前記成膜材料において、重量比で、成分(a)が9%、成分(b)が0.5%、成分(c)が0.5%である。
【0016】
本発明の一実施形態として、重量%で、前記タダラフィル経口フィルムは、タダラフィル5%~20%、成膜材料10%~30%、可塑剤0.1%~5%、矯臭剤0.01%~1%、矯味剤0.01%~1%、着色剤0.01%~1%、エタノール溶液50%~80%を含んで製造してなることを特徴とする前記タダラフィル経口フィルム。
【0017】
そのうち、
前記可塑剤は、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、グリセリン、クエン酸トリエチルから選択される一種又は二種以上であってもよい。
【0018】
前記矯味剤は、例えば、スクラロース、アスパルテーム、マンニトール、アセスルファムカリウム、サッカリンから選択される一種又は二種以上であってもよい。
【0019】
前記矯臭剤は、特に制限がなく、当業界において通常の矯臭剤医薬補助剤、例えば、オレンジフレーバーなどであってもよい。前記着色剤は、特に制限がなく、当業界において通常の着色剤医薬補助剤、例えば、青色色素などであってもよい。
【0020】
本発明の別の目的として、更に、原薬処理、均質化乳化、塗布乾燥、切断・ロール分割及び包装を含む前記タダラフィル経口フィルムを製造する方法において、均質化乳化工程において、順に、(1)可塑剤とエタノール溶液とを混合した後に均質均一化する工程と、(2)矯味剤を投入して引き続き均質均一化する工程と、(3)タダラフィルを投入して引き続き均質均一化する工程と、(4)成膜材料を投入して引き続き均質均一化する工程と、(5)矯臭剤及び着色剤を投入した後に引き続き均質均一化する工程とを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0021】
前記原薬処理は、タダラフィル原薬の粒径(D90)を5μm以下に制御する。
【0022】
前記エタノール溶液は、好ましくは、エタノールと水との体積比が1:1~1:4である。
【0023】
上記均質化乳化工程において、スラリー調製過程は、好ましくは、常温から30℃で均質化撹拌し溶解する。
【0024】
本発明の一実施形態として、前記タダラフィル経口フィルムは、(1)原薬の処理、(2)均質化乳化工程、(3)塗布乾燥工程、(4)切断・ロール分割、(5)包装を含む方法によって製造できる。
【0025】
前記原薬の処理は、タダラフィル原薬を機械的粉砕してから、気流粉砕することによって、粒径(D90)を5μm以下に制御する。
【0026】
前記均質化乳化工程は、具体的には、
水浴温度を35℃に設置し、配合処方量の精製水、エタノール及び可塑剤をホモジナイザーに投入し、均質化し均一に撹拌する(3000rpm)。
【0027】
矯味剤をゆっくり投入し、均質化温度を25℃に設置し、均質化速度3500rpmで、すべて投入した後、蓋を下ろして引き続き30min均質化撹拌し、終了後に十分溶解しているかを確認し、そうでない場合は引き続き均質化し、真空によって溶液が澄清するまで約20min脱気する。
【0028】
蓋を上げて、処理後の原料タダラフィルをゆっくり投入し、均質化速度3500rpm、投入時間約30minで、蓋を下ろして、引き続き30min均質化撹拌し、溶解分散の状況に鑑みて、均質化時間を適宜延長してもよい。
【0029】
約30min真空脱気泡し、蓋を上げて、均質化しながらゆっくりと次第に成膜材料を順に投入し、均質化速度3500rpmで、すべて投入した後、蓋を下ろして引き続き1時間均質化撹拌する(4000rpm)。
【0030】
観察口から矯臭剤と着色剤を注ぎ、混合分散の状況に鑑みて、引き続き1~1.5時間均質化する(4500rpm)。
【0031】
手動で約30min~60min真空脱気泡し、ゆっくり撹拌して、自然に脱気し一晩静置する。
【0032】
その後、塗布乾燥工程、切断・ロール分割及び包装を経て、タダラフィル経口フィルムを製造する。
【0033】
本発明のタダラフィル経口フィルム製剤は、従来のタダラフィル錠剤と比べて、調製過程が簡単であり、温度が制御可能であり、均一度に優れ、口の中で速やかに崩壊し、生物利用度が高い。
【0034】
特に、本発明のタダラフィル経口フィルムは、成膜材料に成分(a)、成分(b)及び成分(c)を使用することによって、意外にも、三種類の成分で製造してなる成膜材料は、微粉化後のタダラフィルを成膜材料により均一に分散させるとともに、タダラフィルの溶解度を極めて大きく向上させ、そして形成したフィルム製剤をより強靭にし、成型性をより良くして、6ヶ月の促進試験データを考察すると、水分含有量の低下が極めて小さいことを示し、製造したフィルム製剤が良好な安定性を有することを保証する。
【0035】
【表1】
【0036】
また、タダラフィルの低溶解性により、多くの製剤では、その溶出速度を高めるには、界面活性剤を添加する必要がある場合が多く、例えば、特許出願(CN201310153588.X)では、溶解性の向上を達成するために、配合処方にドデシル硫酸ナトリウムを添加している。しかし、界面活性剤は一般的に皮膚・粘膜刺激性を有し、特に経口製剤、例えば、チュアブル錠や経口フィルムでは、界面活性剤の添加により、口当たりに大きく影響を与え、患者のコンプライアンスが悪い。一方、本発明のタダラフィル経口フィルムは、比較的高い溶出度を有する上、界面活性剤の使用を避けて、前記特定の三種類の成分の成膜基質によって製造してなる成膜材料は、微粉化後のタダラフィルを包んで、その溶出度を極めて大きく向上させ、溶出試験によってもその速やかな溶出性質を証明している。
【0037】
なお、本発明は、更に、原料を処理することによって、原料的粒径を適切な範囲に制御し、固体分散技術を用いて原料の液体中での分散均一性を向上させて、含有量の均一性を保証すると同時に医薬品の溶出速度を向上させることができる。タダラフィル錠剤に比べて、本発明のタダラフィル経口フィルムは、口の中で唾液の作用を受けて崩壊した後、唾液とともに飲み込まれて胃部に入るのに対して、錠剤の崩壊は胃に入った後に起こり、早めの崩壊は医薬品の溶出速度を大きく向上させることができる。錠剤に比べて、本発明の経口フィルムは、更に、携帯・服用が便利であり、コンプライアンスがより良く、水がなくても便利に服用できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1はpH1.2での溶出曲線比較図である。
図2図2はpH4.5での溶出曲線比較図である。
図3図3はpH7.5での溶出曲線比較図である。
図4図4は水中での溶出曲線比較図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の前記タダラフィル経口フィルム及び製造方法を更に詳しく説明するために、実施例を合わせて更に説明する。
【0040】
実施例1
【0041】
【表2】
【0042】
製造方法:
(1)原薬の処理
タダラフィル原薬を機械的粉砕してから、気流粉砕することによって、粒径(D90)を5μm以下に制御した。
【0043】
(2)均質化乳化工程
水浴温度を35℃に設置し、配合処方量の249.56g精製水、66gエタノール及び0.4g可塑剤をホモジナイザーに投入し、均質化し均一に撹拌した(3000rpm)。
【0044】
22g矯味剤をゆっくり投入し、均質化温度を25℃に設置し、均質化速度3500rpmで、すべて投入した後、蓋を下ろして引き続き30min均質化撹拌し、終了後に十分溶解しているかを確認し、そうでない場合は引き続き均質化し、真空によって溶液が澄清するまで約20min脱気した。
【0045】
蓋を上げて、処理後の原料タダラフィル20gをゆっくり投入し、均質化速度3500rpm、投入時間約30minで、蓋を下ろして、引き続き30min均質化撹拌し、溶解分散の状況に鑑みて、均質化時間を適宜延長してもよい。
【0046】
約30min真空脱気泡し、蓋を上げて、均質化しながらゆっくりと次第に成膜材料40g(プルラン36g、ヒプロメロース2g、サリチル酸2g)を順に投入し、均質化速度3500rpmで、すべて投入した後、蓋を下ろして引き続き1時間均質化撹拌した(4000rpm)。
【0047】
観察口から矯臭剤0.04gと着色剤2gを注ぎ、混合分散の状況に鑑みて、引き続き1~1.5時間均質化した(4500rpm)。
【0048】
手動で約30min~60min真空脱気泡し、ゆっくり撹拌して、自然に脱気し一晩静置した。
【0049】
(3)塗布乾燥工程
塗布厚さを600~650μm、走行速度を25cm/min、乾燥温度を50~55℃に設置して、医薬品懸濁液をバッキングフィルムに均一に塗布した。
【0050】
(4)切断・ロール分割
分割幅を30mmに設置して、塗布された医薬品ロールをいくつかの幅が30mmの小ロールに分割した。
【0051】
(5)包装(5mg/シート)
打ち抜き長を25mm/シート、包装速度を1200シート/minに設置して、分割された小さいロールを一々包装規格が30mm×25mmの小さいシートに打ち抜きした。
【0052】
実施例2
【0053】
【表3】
【0054】
製造方法:
実施例1に記載の製造プロセスに従い、包装規格が20mg/シートである。
【0055】
実施例3
【0056】
【表4】
【0057】
製造方法:
実施例1に記載の製造プロセスに従い、包装規格が20mg/シートである。
【0058】
実施例4
【0059】
【表5】
【0060】
製造方法:
按照実施例1に記載の製造プロセスに従い、包装規格が5mg/シートである。
【0061】
実施例5
【0062】
【表6】
【0063】
製造方法:
実施例1に記載の製造プロセスに従い、包装規格が20mg/シートである。
【0064】
本発明は、原料・補助剤混濁塗布法を用いてタダラフィル経口フィルム製剤、即ち、タダラフィル経口フィルムを製造し、生産プロセスが安定で制御可能であり、1万シート以上の生産規模を実現しており、連続生産したサンプルの安定性が要件を満たしており、本発明の製剤と対照製剤としての現在市販のタダラフィル製剤(市販のタダラフィル錠剤「シアリス」)との異なるpH条件での放出挙動を考察するために、実施例1の連続製造した3ロットのタダラフィル経口フィルム(試験製剤)及び対照製剤をそれぞれ、0.5%ドデシル硫酸ナトリウムを含有するpH1.2、pH4.5、pH7.5及び水条件で放出曲線の測定を行い、結果を図1~4に示した。インビトロ放出試験によると、10分間の放出度が80%超えであり、30分間の放出度が90%超えであり、オリジナル錠剤の溶出挙動と一致している。海外のヒト生物学的同等性試験及び中国で行った動物インビボ薬物動態試験のいずれによっても、製品がオリジナルタダラフィル錠剤と生物学的同等であり、医薬品としての生産・登録の要件を満たしている。
【0065】
【表7】
【0066】
【表8】
【0067】
実施例1に従い、3ロットのタダラフィル経口フィルムを連続製造し、温度30℃、相対湿度65%の条件で6ヶ月放置し、外観性状、含有量、関連物質、溶出度を考察し、結果を表4に示した。
【0068】
【表9】
図1
図2
図3
図4