(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】身体温冷装置
(51)【国際特許分類】
A61F 7/00 20060101AFI20220203BHJP
【FI】
A61F7/00 310F
(21)【出願番号】P 2020157795
(22)【出願日】2020-09-18
(62)【分割の表示】P 2018193818の分割
【原出願日】2018-10-12
【審査請求日】2020-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浜口 奈津子
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-518424(JP,A)
【文献】特開2018-031101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒体を用いて利用者の体温を調節する温調部と、
熱交換部と、
前記温調部と前記熱交換部と間で前記熱媒体を輸送するホース部とを備え、
前記熱交換部は、
吸込口と吹出口とが形成される筐体と、
前記筐体のうちの背面部が前記利用者の人体に対向するように、前記筐体を前記人体に取り付ける保持具と、
前記吸込口から前記筐体の内部に吸い込まれた空気を前記吹出口から吐き出す送風機と、
前記熱媒体と前記空気との間で熱交換を行う熱交換器とを有し、
前記吸込口は、前記筐体のうちの前記背面部と異なる部分に形成され、
前記吹出口は、
前記筐体のうちの前記背面部の反対側に配置される前面部に形成されずに、前記筐体のうちの前記吸込口より前記背面部から遠い側に形成される
身体温冷装置。
【請求項2】
前記筐体は、
前記背面部の反対側に配置される前面部と、
前記背面部と前記前面部との間に形成される側面部とをさらに有し、
前記吸込口は、前記側面部に配置される
請求項1に記載の身体温冷装置。
【請求項3】
前記吹出口は、前記側面部のうちの前記前面部と前記吸込口との間に配置される
請求項2に記載の身体温冷装置
。
【請求項4】
前記送風機は、前記背面部に沿う平面に垂直である回転軸を中心にファンが回転することにより、前記吸込口から前記筐体の内部に吸い込まれた空気を前記吹出口から吹き出し、
前記吸込口と前記吹出口とは、前記回転軸に交差する方向に前記空気が流れるように形成される
請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載の身体温冷装置。
【請求項5】
前記ホース部を介して前記熱媒体を前記熱交換部と前記温調部との間で循環させるポンプをさらに備え、
前記ポンプは、前記筐体の内部に配置される
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の身体温冷装置。
【請求項6】
前記温調部に電力を供給するバッテリをさらに備え、
前記バッテリは、前記筐体の内部の下部に配置される
請求項1から請求項
5のいずれか一項に記載の身体温冷装置。
【請求項7】
前記温調部を制御する制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記筐体の内部に配置される
請求項1から請求項
6のいずれか一項に記載の身体温冷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、身体温冷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
利用者の頸動脈を流れる血液の温度(以下、頸動脈の温度と称する)を冷却または加熱することにより、利用者の体温を調節する体温調節システムが知られている(特許文献1、2参照)。
図1に示すように、特許文献1に記載される体温調節システムの本体装置130は、内側の面131aで利用者の頸部に接触する体温調整動作部としての頸部冷暖部131を備えている。頸部冷暖部131は、利用者の頸部に取り付けられるために略U字型に形成されており内側に面131aを有するU字部131bと、U字部131bの外側の面に複数個取り付けられた四角形のブロックであるペルティエ素子131cとを備えている。また、本体装置130は、一部が頸部冷暖部131のペルティエ素子131cのうちU字部131b側とは反対側の面に密接して取り付けられて内部に水を循環させるチューブ132と、頸部冷暖部131のペルティエ素子131cに接続された電力供給用のケーブル133と、チューブ132およびケーブル133が接続された筐体134と、筐体134に接続された電力供給用のケーブル135と、ケーブル135が接続された筐体136とを備えている。頸部冷暖部131は、利用者の体温のうち深部体温を調節するための動作として、利用者に対して加温および冷却を実行するようになっている。ペルティエ素子131cは、U字部131bに接する面と、チューブ132に接する面とのうち一方が発熱して、他方が吸熱するように、頸部冷暖部131に配置されている。ペルティエ素子131cのうちU字部131bに接する面が発熱するとき、U字部131bは、ペルティエ素子131cで発生した熱を利用者の頸部の全周に伝達することによって、利用者に対して加温を実行するようになっている。また、ペルティエ素子131cのうちU字部131bに接する面が吸熱するとき、U字部131bは、利用者の頸部の全周の熱をペルティエ素子131cに伝達することによって、利用者に対して冷却を実行するようになっている。筐体134および筐体136は、利用者が身に付けているベルトに取り付けられるようになっている。筐体134の内部には、チューブ132の内部の水を冷却するための図示していないラジエータが収納されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-100489号公報
【文献】特開2011-83498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このラジエータは、チューブ132の内部の水を冷却するときに、騒音を発生するという問題がある。
【0005】
開示の技術は、利用者の不快感を低減する身体冷暖房装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の態様では、身体温冷装置は、熱媒体を用いて利用者の体温を調節する温調部と、熱交換部と、前記温調部と前記熱交換部と間で前記熱媒体を輸送するホース部とを備え、前記熱交換部は、吸込口と吹出口とが形成される筐体と、前記筐体のうちの背面部が前記利用者の人体に対向するように、前記筐体を前記人体に取り付ける保持具と、前記吸込口から前記筐体の内部に吸い込まれた空気を前記吹出口から吐き出す送風機と、前記熱媒体と前記空気との間で熱交換を行う熱交換器とを有し、前記吸込口は、前記筐体のうちの前記背面部と異なる部分に形成され、前記吹出口は、前記筐体のうちの前記背面部の反対側に配置される前面部に形成されずに、前記筐体のうちの前記吸込口より前記背面部から遠い側に形成される。
【発明の効果】
【0007】
開示の身体温冷装置は、利用者の不快感を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、
図1は、公知の体温調節システムを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施例1の身体温冷装置を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施例1の身体温冷装置の温調部を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施例1の身体温冷装置の熱交換部を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、実施例1の身体温冷装置の熱交換部を示す平面図である。
【
図6】
図6は、実施例1の身体温冷装置の熱交換部を示す右側面図である。
【
図7】
図7は、実施例1の身体温冷装置の熱交換部を示す左側面図である。
【
図8】
図8は、実施例1の身体温冷装置の熱交換部を示す正面図である。
【
図9】
図9は、実施例1の身体温冷装置の熱交換部の筐体の内部を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、実施例1の身体温冷装置を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、実施例1の身体温冷装置の温調部が利用者に取り付けられた状態を示す側面図である。
【
図12】
図12は、実施例1の身体温冷装置の熱交換部が衣服に取り付けられた状態を示す側面図である。
【
図13】
図13は、比較例の身体温冷装置の熱交換部を示す正面図である。
【
図14】
図14は、比較例の身体温冷装置の熱交換部が衣服に取り付けられた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願が開示する実施形態にかかる身体温冷装置について、図面を参照して説明する。なお、以下の記載により本開示の技術が限定されるものではない。また、以下の記載においては、同一の構成要素に同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。
【実施例1】
【0010】
図2は、実施例1の身体温冷装置10を示す斜視図である。身体温冷装置10は、温調部11と熱交換部12とホース部14とを備えている。ホース部14は、曲げることができるホースから形成され、一端が温調部11に接合され、他端が熱交換部12に接合されている。ホース部14は、第1パイプ15と第2パイプ16と電力線17とをホースの内部に収容している。第1パイプ15は、温調部11から熱交換部12に冷却水を流す流路を形成している。第2パイプ16は、熱交換部12から温調部11に冷却水を流す流路を形成している。電力線17は、熱交換部12から温調部11に電力を供給する電路を形成している。
【0011】
図3は、実施例1の身体温冷装置10の温調部11を示す斜視図である。温調部11は、帯状部材20を備えている。帯状部材20は、屈曲した帯状に形成されている。帯状部材20は、右側固定部材22-1と左側固定部材22-2と連結部23とを備えている。右側固定部材22-1は、帯状部材20の一端を形成している。左側固定部材22-2は、帯状部材20の他端を形成している。右側固定部材22-1と左側固定部材22-2とは、右側固定部材22-1に形成される右側内側面21-1と左側固定部材22-2に形成される左側内側面21-2とが互いに概ね対向するように、配置されている。
【0012】
連結部23は、曲げることができる材料から形成され、右側固定部材22-1と左側固定部材22-2とを繋いでいる。連結部23は、板バネ(図示されていない)を備えている。板バネは、連結部23の内部に配置されている。板バネは、右側固定部材22-1と左側固定部材22-2とが離されたときに、弾性変形し、右側固定部材22-1と左側固定部材22-2とが接近するように、右側固定部材22-1と左側固定部材22-2とに弾性力を与える。
【0013】
温調部11は、右耳掛け部材24-1と左耳掛け部材24-2とをさらに備えている。右耳掛け部材24-1は、右耳に引っ掛かるように、屈曲した棒状に形成されている。右耳掛け部材34-1は、右側固定部材22-1に固定されている。左耳掛け部材24-2は、左耳に引っ掛かるように、屈曲した棒状に形成されている。左耳掛け部材24-2は、左側固定部材22-2に固定されている。
【0014】
温調部11は、複数の温調部材25-1~25-3を備えている。複数の温調部材25-1~25-3のうちの右側温調部材25-1は、右側接触面26-1が形成されている。右側温調部材25-1は、右側接触面26-1が右側内側面21-1から露出するように、右側固定部材22-1の内部に配置され、右側固定部材22-1に固定されている。複数の温調部材25-1~25-3のうちの左側温調部材25-2は、左側接触面26-2が形成されている。左側温調部材25-2は、左側接触面26-2が左側内側面21-2から露出するように、左側固定部材22-2の内部に配置され、左側固定部材22-2に固定されている。複数の温調部材25-1~25-3のうちの後側温調部材25-3は、後側接触面26-3が形成されている。後側温調部材25-3は、連結部23の後側内側面21-3から後側接触面26-3が露出するように、連結部23の内部に配置され、連結部23に固定されている。
【0015】
このとき、右耳掛け部材24-1と右側温調部材25-1とが右側固定部材22-1に固定されることにより、右側温調部材25-1と右耳掛け部材24-1とが固定されている。左耳掛け部材24-2と左側温調部材25-2とが左側固定部材22-2に固定されることにより、左側温調部材25-2と左耳掛け部材24-2とが固定されている。
【0016】
温調部11は、右側温調部材25-1と左側温調部材25-2と後側温調部材25-3とに対応する3つのペルティエ素子27-1~27-3を備えている。3つのペルティエ素子27-1~27-3の各々は、板状に形成され、ホース部14の電力線17を介して電流が供給されることにより、一方の面が吸熱し、他方の面が発熱する。3つのペルティエ素子27-1~27-3の各々は、その供給される電流の極性が逆転すると、その一方の面が発熱し、他方の面が吸熱する。3つのペルティエ素子27-1~27-3のうちの右側温調部材25-1に対応する右側ペルティエ素子27-1は、右側温調部材25-1の内部に配置されている。3つのペルティエ素子27-1~27-3のうちの左側温調部材25-2に対応する左側ペルティエ素子27-2は、左側温調部材25-2の内部に配置されている。3つのペルティエ素子27-1~27-3のうちの後側温調部材25-3に対応する後側ペルティエ素子27-3は、後側温調部材25-3の内部に配置されている。
【0017】
温調部11の帯状部材20は、ホース部14の第2パイプ16を介して温調部11に供給される冷却水と、右側温調部材25-1のうちの右側接触面26-1の反対側の右側放熱面とを熱的に接触させている。帯状部材20は、さらに、第2パイプ16を介して温調部11に供給される冷却水と左側温調部材25-2のうちの左側接触面26-2の反対側の左側放熱面とを熱的に接触させている。帯状部材20は、さらに、第2パイプ16を介して温調部11に供給される冷却水と後側温調部材25-3のうちの後側接触面26-3の反対側の後側放熱面とを熱的に接触させている。帯状部材20は、右側放熱面と左側放熱面と後側放熱面とに接触した後の冷却水を、ホース部14の第1パイプ15を介して熱交換部12に送出する。
【0018】
図4は、実施例1の身体温冷装置10の熱交換部12を示す斜視図である。熱交換部12は、筐体31とクリップ32とを備えている。筐体31は、底面が長方形である四角柱状に形成されている。
図5は、実施例1の身体温冷装置10の熱交換部12を示す平面図である。筐体31は、背面部33と前面部34と右側面部35と左側面部36と上面部37とを備えている。背面部33は、概ね長方形状に形成され、四角柱のうちの一方の底辺に沿うように配置されている。前面部34は、概ね長方形状に形成され、四角柱のうちの他方の底辺に沿うように配置されている。右側面部35は、概ね長方形状に形成され、四角柱のうちの1つの側面となっている。左側面部36は、概ね長方形状に形成され、四角柱のうちの右側面部35に沿う側面となっている。上面部37は、概ね長方形状に形成され、右側面部35、左側面部36、背面部33および前面部34を四角柱の側面とした場合の一方の底面となるように配置されている。
【0019】
クリップ32は、背面部33に支持されている。クリップ32は、背面部33が衣服の一部に対向するように、筐体31を衣服の一部に保持する。衣服の一部としては、胸ポケット、ベルトが例示される。
【0020】
上面部37は、上側吸込み口41と上側吹き出し口42と接続口43とが形成されている。上側吸込み口41は、上面部37のうちの背面部33に隣接する領域に形成されている。上側吹き出し口42は、上面部37のうちの前面部34に隣接する領域に形成されている。すなわち、上側吸込み口41は、上側吹き出し口42より背面部33に近い側に配置されている。接続口43は、上側吸込み口41と上側吹き出し口42との間に形成されている。接続口43は、ホース部14の端が接合され、ホース部14の第1パイプ15と第2パイプ16と電力線17とが貫通している。
【0021】
図6は、実施例1の身体温冷装置10の熱交換部12を示す右側面図である。右側面部35は、右側面吸込み口44と右側面吹き出し口45とが形成されている。右側面吸込み口44は、右側面部35のうちの背面部33に隣接する領域に形成されている。右側面吹き出し口45は、右側面部35のうちの前面部34に隣接する領域に形成されている。すなわち、右側面吸込み口44は、右側面吹き出し口45より背面部33に近い側に配置されている。
【0022】
図7は、実施例1の身体温冷装置10の熱交換部12を示す左側面図である。左側面部36は、左側面吸込み口46と左側面吹き出し口47とが形成されている。左側面吸込み口46は、左側面部36のうちの背面部33に隣接する領域に形成されている。左側面吹き出し口47は、左側面部36のうちの前面部34に隣接する領域に形成されている。すなわち、左側面吸込み口46は、左側面吹き出し口47より背面部33に近い側に配置されている。
【0023】
図8は、実施例1の身体温冷装置10の熱交換部12を示す正面図である。熱交換部12は、入力装置48と出力装置49とをさらに備えている。入力装置48は、複数のボタンスイッチから形成され、前面部34に形成された複数の貫通孔から一部が露出するように、筐体31の内部に配置されている。出力装置49は、複数のLEDランプから形成され、前面部34に形成された複数の貫通孔から一部が露出するように、筐体31の内部に配置されている。
【0024】
熱交換部12は、
図9に示されているように、バッテリ51と送風機52とポンプ53と熱交換器54とをさらに備えている。
図9は、実施例1の身体温冷装置10の熱交換部12の筐体31の内部を示す斜視図である。バッテリ51は、筐体31の内部のうちの上面部37から遠い側の下部領域に配置されている。バッテリ51は、直流の電流を供給する。
【0025】
送風機52は、筐体31の内部のうちの上面部37に近い側の上部領域に配置されている。送風機52は、ファン55とモータ56とを備えている。ファン55は、背面部33に沿う平面に垂直である回転軸を中心に回転可能に支持されている。モータ56は、バッテリ51から供給される電力を用いてファン55を回転させる。送風機52は、ファン55が回転することにより、筐体31の内部に空気の流れを生成する。送風機52は、筐体31の内部に空気の流れを生成することにより、上側吸込み口41と右側面吸込み口44と左側面吸込み口46とから筐体31の外部の空気を筐体31の内部に吸い込む。送風機52は、筐体31の内部に空気の流れを生成することにより、さらに、その吸い込また空気を上側吹き出し口42と右側面吹き出し口45と左側面吹き出し口47とから筐体31の外部に吹き出す。
【0026】
ポンプ53は、筐体31の内部のうちの下部領域と上部領域との間の中間領域に配置されている。ポンプ53は、バッテリ51から供給される電力を用いて、冷却水を温調部11と熱交換部12との間で循環させる。すなわち、ポンプ53は、バッテリ51から供給される電力を用いて、ホース部14の第1パイプ15を介して冷却水を温調部11から熱交換部12に吸引し、ホース部14の第2パイプ16を介して冷却水を熱交換部12から温調部11に送出する。
【0027】
熱交換器54は、送風機52により筐体31の内部を流れる空気が熱交換器54を通過するように、筐体31の内部の上部領域のうちの送風機52と背面部33との間に配置されている。熱交換器54は、水管と複数のフィンとを備えている。水管は、一端がホース部14の第1パイプ15に接合され、他端がホース部14の第2パイプ16に接合されている。複数のフィンは、送風機52により熱交換器54を通過する空気と、ポンプ53により循環される冷却水が流れる水管とに熱的に接触している。熱交換器54は、送風機52により熱交換器54を通過する空気と、ポンプ53により熱交換器を通過する冷却水との間の熱交換を行う。
【0028】
身体温冷装置10は、
図10に示されているように、制御装置61をさらに備えている。
図10は、実施例1の身体温冷装置10を示すブロック図である。制御装置61は、コンピュータであり、CPU62(Central Processing Unit)と記憶装置63と入出力インタフェース64とを備えている。CPU62は、制御装置61にインストールされるコンピュータプログラムを実行することにより、情報処理し、記憶装置63と入出力インタフェース64とを制御する。記憶装置63は、制御装置61にインストールされるコンピュータプログラムを記録し、CPU62により利用される情報を記録する。入出力インタフェース64は、身体温冷装置10に設けられる複数のデバイスに接続されている。複数のデバイスは、右側温調部材25-1と左側温調部材25-2と後側温調部材25-3と送風機52とポンプ53とを含んでいる。CPU62は、入出力インタフェース64を介して、複数のデバイスを制御する。
【0029】
[身体温冷装置10の動作]
温調部11は、身体温冷装置10を用いて利用者68の体温を調節するときに、
図11に示されているように、利用者68の身体に取り付けられる。
図11は、実施例1の身体温冷装置10の温調部11が利用者68に取り付けられた状態を示す側面図である。帯状部材20は、右側固定部材22-1と左側固定部材22-2との間の距離が利用者68の首の幅より大きくなるように連結部23が変形した状態で、首の周囲を囲むように、配置される。帯状部材20は、さらに、利用者68の首の後に後側温調部材25-3の後側接触面26-3が接触するように、配置される。帯状部材20は、さらに、利用者68の首の皮膚のうちの右頸動脈を覆う右頸動脈部分に右側温調部材25-1の右側接触面26-1が接触し、皮膚のうちの左頸動脈を覆う左頸動脈部分に左側温調部材25-2の左側接触面26-2が接触するように、配置される。このとき、連結部23の板バネは、右側温調部材25-1と左側温調部材25-2とが首を挟むように、右側温調部材25-1と左側温調部材25-2とに弾性力を与える。帯状部材20は、連結部23の板バネの弾性力により、右側温調部材25-1の右側接触面26-1を右劇動脈部分に適切に接触させ、左側温調部材25-2の左側接触面26-2を左頸動脈部分に適切に接触させることができる。
【0030】
温調部11は、さらに、右耳掛け部材24-1が利用者68の右耳69に引っ掛けられ、左耳掛け部材24-2が利用者68の図示しない左耳に引っ掛けられることにより、利用者68の身体に取り付けられる。温調部11は、右耳掛け部材24-1が右耳69に引っ掛けられることにより、右側温調部材25-1が下向にずれ落ちることが防止され、右側温調部材25-1の右側接触面26-1を右頸動脈部分に適切に接触させることができる。温調部11は、左耳掛け部材24-2が左耳に引っ掛けられることにより、左側温調部材25-2が下向にずれ落ちることが防止され、左側温調部材25-2の左側接触面26-2を左頸動脈部分に適切に接触させることができる。
【0031】
熱交換部12は、身体温冷装置10を用いて利用者68の体温を調節するときに、
図12に示されているように、利用者68が着用する衣服71に保持される。
図12は、実施例1の身体温冷装置10の熱交換部12が衣服71に取り付けられた状態を示す側面図である。熱交換部12は、筐体31の背面部33が衣服71に対向するように、配置される。衣服71は、衣服71を利用者68の身体に固定させたり衣服71のずれを防いだりするベルト72を備えている。筐体31は、背面部33が衣服71に対向している状態で、クリップ32がベルト72を挟むことにより衣服71に支持される。
【0032】
身体温冷装置10は、入力装置48が操作されることにより起動する。制御装置61は、身体温冷装置10が起動された後に、入力装置48が操作されることにより、設定温度を設定し、その設定温度を記憶装置63に記録する。制御装置61は、入力装置48が操作されることにより、利用者68の体温の調節を開始する。制御装置61は、利用者68の体温の調節が開始されると、送風機52を制御することにより、筐体31の内部に空気の流れを生成する。熱交換部12は、筐体31の内部に空気の流れが生成されることにより、上側吸込み口41と右側面吸込み口44と左側面吸込み口46とを介して、筐体31の外部の空気を筐体31の内部に吸い込む。熱交換部12は、筐体31の内部に空気の流れが生成されることにより、さらに、上側吹き出し口42と右側面吹き出し口45と左側面吹き出し口47とを介して、筐体31の内部の空気を筐体31の外部に吹き出す。制御装置61は、利用者68の体温の調節が開始されると、さらに、ポンプ53を制御することにより、ホース部14を介して温調部11と熱交換部12との間で冷却水を循環させる。ペルティエ素子の接触面の温度は、供給する電流の大きさから推定するようにしても良いし、ペルティエ素子の接触面に設けられた温度センサによって検出されてもよい。
【0033】
制御装置61は、送風機52とポンプ53とが運転しているときに、入出力インタフェース64を介して、右側温調部材25-1の右側接触面26-1の温度が設定温度に等しくなるように、右側ペルティエ素子27-1に所定の電流を供給する。制御装置61は、右側温調部材25-1と同様に、入出力インタフェース64を介して、左側温調部材25-2の左側接触面26-2の温度が設定温度に等しくなるように、左側ペルティエ素子27-2に所定の電流を供給する。制御装置61は、右側温調部材25-1と同様に、入出力インタフェース64を介して、後側温調部材25-3の後側接触面26-3の温度が設定温度に等しくなるように、後側ペルティエ素子27-3に所定の電流を供給する。
【0034】
たとえば、制御装置61は、右側温調部材25-1の右側接触面26-1の温度が設定温度より高いときに、右側ペルティエ素子27-1のうちの右側接触面26-1に近い側の面が吸熱するように、右側ペルティエ素子27-1に電流を適切に供給する。右側温調部材25-1の右側接触面26-1は、右側ペルティエ素子27-1のうちの右側接触面26-1に近い側の面が吸熱することにより、冷却される。制御装置61は、左側接触面26-2の温度と後側接触面26-3の温度とが設定温度より高いときに、左側ペルティエ素子27-2と後側ペルティエ素子27-3とに電流を適切に供給することにより、左側接触面26-2と後側接触面26-3とを冷却する。身体温冷装置10は、右側接触面26-1と左側接触面26-2とが冷却されることにより、利用者68の頸動脈を設定温度に応じて冷却することができる。利用者68は、頸動脈が冷却されることにより、頸動脈を流れる血液が適切に冷却され、体温が低下する。
【0035】
右側ペルティエ素子27-1は、右側接触面26-1に近い側の面が吸熱するときに、右側接触面26-1から遠い側の面が発熱する。右側温調部材25-1のうちの右側接触面26-1の反対側の右側放熱面は、右側ペルティエ素子27-1のうちの右側接触面26-1から遠い側の面が発熱することにより、身体温冷装置10が配置される環境の空気の温度より高い温度に加熱されればよい。身体温冷装置10が配置される環境の空気の温度は、温調部11あるいは熱交換部12に外気温センサを設けることで検出するようにすればよい。右側温調部材25-1の右側放熱面は、ホース部14を介して熱交換部12から温調部11に供給された冷却水に熱的に接触していることにより、冷却水により冷却される。右側ペルティエ素子37-1は、一方の面が吸熱しているときに、他方の面の放熱が十分行われないと、一方の面を冷却する効率が低下する。右側ペルティエ素子37-1は、右側温調部材25-1の右側放熱面が冷却されることによりペルティエ素子の他方の面の放熱が促進されて、冷却効率の低下を防止することができる。
【0036】
熱交換部12から温調部11に供給された冷却水は、右側接触面26-1の右側放熱面により、身体温冷装置10が配置される環境の空気の温度より高い温度に加熱される。その加熱された高温の冷却水は、ホース部14を介して熱交換部12に供給される。温調部11から熱交換部12に供給された高温の冷却水は、上側吸込み口41と右側面吸込み口44と左側面吸込み口46とから筐体31の内部に吸い込まれた空気により、冷却される。その冷却された冷却水は、ホース部14を介して温調部11に供給される。筐体31の内部に吸い込まれた空気は、温調部11から熱交換部12に供給された高温の冷却水により、加熱される。その加熱された空気は、上側吹き出し口42と右側面吹き出し口45と左側面吹き出し口47とから筐体31の外部に吹き出される。
【0037】
たとえば、制御装置61は、右側温調部材25-1の右側接触面26-1の温度が設定温度より低いときに、右側ペルティエ素子27-1のうちの右側接触面26-1に近い側の面が発熱するように、右側ペルティエ素子27-1に電流を適切に供給する。すなわち、制御装置61は、右側接触面26-1の温度が設定温度より低いときに、右側ペルティエ素子27-1が右側接触面26-1を冷却するときと逆の電流が右側ペルティエ素子27-1に流れるように、右側ペルティエ素子27-1に電流を供給する。右側温調部材25-1の右側接触面26-1は、右側ペルティエ素子27-1のうちの右側接触面26-1に近い側の面が発熱することにより、加熱される。制御装置61は、左側接触面26-2の温度と後側接触面26-3の温度とが設定温度より低いときに、左側ペルティエ素子27-2と後側ペルティエ素子27-3とに電流を適切に供給することにより、左側接触面26-2と後側接触面26-3とを加熱する。身体温冷装置10は、右側接触面26-1と左側接触面26-2とが加熱されることにより、利用者68の頸動脈を設定温度に応じて加熱することができる。利用者68は、頸動脈が加熱されることにより、頸動脈を流れる血液が適切に加熱され、体温が上昇する。
【0038】
右側ペルティエ素子27-1は、右側接触面26-1に近い側の面が発熱するときに、右側接触面26-1から遠い側の面が吸熱する。右側温調部材25-1のうちの右側接触面26-1の反対側の右側放熱面は、右側ペルティエ素子37-1のうちの右側接触面26-1から遠い側の面が吸熱する。身体温冷装置10が配置される環境の空気の温度が右側接触面26-1から遠い側の面より低い場合は、右側温調部材25-1の右側放熱面は、ホース部14を介して熱交換部12から温調部11に供給された冷却水に熱的に接触していることにより、冷却水により加熱される。身体温冷装置10が配置される環境の空気の温度が右側接触面26-1から遠い側の面より高い場合は、冷却水を循環させる必要はない。
【0039】
身体温冷装置10は、右耳掛け部材24-1と左耳掛け部材24-2とが利用者68の両耳に引っ掛けられることにより、右側温調部材25-1と左側温調部材25-2とが下側にずれ落ちることを防止することができる。身体温冷装置10は、右側温調部材25-1と左側温調部材25-2とが下側にずり落ちることが防止されることにより、利用者68の頸動脈の温度を適切に調節することができ、利用者68の体温を適切に調節することができる。
【0040】
比較例の身体温冷装置は、
図13に示されているように、既述の実施例1の身体温冷装置10の熱交換部12の筐体31が他の筐体101に置換され、他の部分は既述の実施例1の身体温冷装置10と同じである。
図13は、比較例の身体温冷装置の熱交換部を示す正面図である。筐体101は、既述の筐体31と同様に、底面が長方形である四角柱状に形成され、前面部102と右側面部103と左側面部104と上面部105とを備えている。前面部102は、既述の前面部34と同様に、概ね長方形状に形成され、四角柱のうちの一方の底面に沿うように配置されている。前面部102は、吹き出し口106が形成されている。吹き出し口106は、前面部102のうちの送風機52に対向する部分に形成されている。
【0041】
右側面部103は、既述の右側面部35から右側面吸込み口44と右側面吹き出し口45とが省略されたものであり、既述の右側面部35と同様に、概ね長方形状に形成され、四角柱のうちの1つの側面に沿うように配置されている。左側面部104は、既述の左側面部36から左側面吸込み口46と左側面吹き出し口47とが省略され、既述の左側面部36と同様に、概ね長方形状に形成され、四角柱のうちの右側面部103に沿う側面の反対側の側面に沿うように配置されている。上面部105は、既述の上面部37から上側吸込み口41と上側吹き出し口42とが省略されたものであり、既述の上面部37と同様に、概ね長方形状に形成され、四角柱のうちのその2つの側面に隣り合う他の側面に沿うように配置されている。
【0042】
図14は、比較例の身体温冷装置の熱交換部が、利用者が着用した衣服71に取り付けられた状態を示す側面図である。筐体101は、背面部107をさらに備えている。背面部107は、既述の背面部33と同様に、概ね長方形状に形成され、四角柱のうちの他方の底面に沿うように配置されている。背面部107は、吸込み口108が形成されている。吸込み口108は、背面部107のうちの熱交換器54に対向する部分に形成されている。比較例の身体温冷装置の熱交換部は、カバー部109をさらに備えている。カバー部109は、筐体101に支持されている。カバー部109は、筐体101の背面部107が衣服71に対向するように、かつ、背面部107が衣服71から離れるように、筐体101をベルト72に保持する。
【0043】
比較例の身体温冷装置の熱交換部は、背面部107に利用者が着用した衣服71が密着することがあり、衣服71により吸込み口108が塞がれることがある。比較例の身体温冷装置の熱交換部は、吸込み口108が塞がれるときに、空気が筐体101の内部に適切に吸気されず、筐体101の内部に空気の流れが適切に生成されないことがある。熱交換器54は、筐体101の内部に空気の流れが適切に生成されないときに、筐体101の内部の空気と、ポンプ53により循環される冷却水との間の熱交換が適切に行われないことがある。比較例の身体温冷装置は、熱交換器54で熱交換が適切に行われないときに、温調部11により利用者の頸動脈の温度を適切に調節することができないことがある。実施例1の身体温冷装置10は、背面部33に吸込み口108が形成されていないことにより、比較例の身体温冷装置に比較して、筐体31の内部に空気の流れを適切に生成することができ、熱交換器54が熱交換を適切に行うことができる。実施例1の身体温冷装置10は、熱交換器54が熱交換を適切に行うことにより、利用者68の体温を適切に調節することができる。
【0044】
筐体101の内部では、モータ56のモータ音、ファン55の風切り音に例示される騒音が発生している。比較例の身体温冷装置の熱交換部は、前面部102に吹き出し口106が形成されていることにより、筐体101の内部で発生する騒音が吹き出し口106を介して筐体101の外部に拡散される。このため、比較例の身体温冷装置の熱交換部は、前面部102が対向する側に騒音が伝達される。実施例1の身体温冷装置10は、前面部34に空気が通過する開口部が形成されていないことにより、比較例の身体温冷装置に比較して、前面部34が対向する側に向かって拡散する騒音の程度を低減することができる。
【0045】
比較例の身体温冷装置の熱交換部は、前面部102に吹き出し口106が形成されていることにより、前面部102が対向する側に向かって、筐体101の内部で熱交換器54により加熱(または冷却)された空気が吹き出される。実施例1の身体温冷装置10の熱交換部12は、上側吹き出し口42と右側面吹き出し口45と左側面吹き出し口47とから空気が吹き出されることにより、比較例の身体温冷装置の熱交換部に比較して、その吹き出される空気は上面部37、右側面部35および左側面部36の方向に拡散させる。実施例1の身体温冷装置10は、吹き出される空気の流れが利用者の正面側にいる第三者に直接当たるといった不快感を低減することができる。
【0046】
[実施例1の身体温冷装置10の効果]
実施例1の身体温冷装置10は、冷却水を用いて利用者の体温を調節する温調部11と、熱交換部12と、温調部11と熱交換部12と間で冷却水を輸送するホース部14とを備えている。熱交換部12は、筐体31と送風機52と熱交換器54とを備えている。筐体31は、上側吸込み口41と右側面吸込み口44と左側面吸込み口46と上側吹き出し口42と右側面吹き出し口45と左側面吹き出し口47とが形成されている。送風機52は、上側吸込み口41と右側面吸込み口44と左側面吸込み口46とから筐体31の内部に吸気された空気を、上側吹き出し口42と右側面吹き出し口45と左側面吹き出し口47とから吹き出す。熱交換器54は、冷却水と空気との間の熱交換を行う。上側吸込み口41と右側面吸込み口44と左側面吸込み口46と上側吹き出し口42と右側面吹き出し口45と左側面吹き出し口47とは、筐体31が取り付けられる利用者68に沿う方向に空気を吸い込み、かつ吹き出すように形成されている。
【0047】
このような身体温冷装置10は、筐体31の側面から空気が吸い込まれたり吹き出されたりすることにより、筐体31のうちの背面部33の反対側の前面部34に形成される開口部の面積を低減することができる。身体温冷装置10は、前面部34の開口部の面積が低減することにより、筐体31の内部から前面部34の側に漏れる騒音を低減することができる。身体温冷装置10は、上側吸込み口41と右側面吸込み口44と左側面吸込み口46とが利用者が着用した衣服71により塞がれることを防止することができ、筐体31の内部に空気の流れを適切に生成することができ、冷却水と空気との間の熱交換を適切に行うことができる。身体温冷装置10は、冷却水と空気との間の熱交換が適切に行われることにより、温調部11により利用者の体温を適切に調節することができる。
【0048】
また、実施例1の身体温冷装置10の上側吸込み口41と右側面吸込み口44と左側面吸込み口46とは、上側吹き出し口42と右側面吹き出し口45と左側面吹き出し口47とより利用者68に近い側に配置されている。このような身体温冷装置10は、熱交換器54により熱交換が行われた空気により背面部33の温度が変化することを防止することができ、利用者68の不快感を低減することができる。
【0049】
また、実施例1の身体温冷装置10の送風機52は、筐体31の内部に配置されるファン55を備えている。ファン55は、回転軸を中心に回転することにより、筐体31の内部に空気の流れを生成する。このとき、上側吸込み口41と右側面吸込み口44と左側面吸込み口46と上側吹き出し口42と右側面吹き出し口45と左側面吹き出し口47とは、ファン55の回転軸に交差する方向に空気を吸い込み、かつ吹き出すように形成されている。このような身体温冷装置10は、ファン55の回転軸が背面部33に垂直であるときに、筐体31の側面から空気が吸い込まれたり吹き出されたりすることにより、筐体31のうちの背面部33と前面部34とに形成される開口部の面積を低減することができる。すなわち、身体温冷装置10は、このような場合でも、筐体31の内部から前面部34の側に漏れる騒音を低減することができ、筐体31の内部に空気の流れを適切に生成することができる。
【0050】
また、実施例1の身体温冷装置10は、ホース部14を介して冷却水を熱交換部12と温調部11との間で循環させるポンプ53をさらに備えている。ポンプ53は、筐体31の内部に配置されている。このような身体温冷装置10は、ポンプ53の騒音のうちの前面部34の側に漏れる騒音を低減することができる。身体温冷装置10は、ポンプ53と熱交換器54とが筐体31の内部に配置されることにより、ポンプ53と熱交換器54とが別個に設けられる他の身体温冷装置に比較して、ポンプ53と熱交換器54とを容易に利用者68が着用した衣服71に取り付けることができる。
【0051】
また、実施例1の身体温冷装置10は、温調部11に電力を供給するバッテリ51をさらに備えている。バッテリ51は、筐体31の内部に配置されている。このような身体温冷装置10は、ポンプ53と熱交換器54とが筐体31の内部に配置されることにより、バッテリ51と熱交換器54とが別個に設けられる場合に比較して、バッテリ51と熱交換器54とを容易に利用者68が着用した衣服71に取り付けることができる。さらに熱交換器54と比較して重量のあるバッテリ51を筐体31の下部に配置することにより、衣服71に取り付けた際に安定して固定できる。
【0052】
また、実施例1の身体温冷装置10は、温調部11を制御する制御装置61をさらに備えている。制御装置61は、筐体31の内部に配置されている。このような身体温冷装置10は、制御装置61と熱交換器54とが筐体31の内部に配置されることにより、制御装置61と熱交換器54とが別個に設けられる場合に比較して、制御装置61と熱交換器54とを容易に利用者68が着用した衣服71に取り付けることができる。
【0053】
ところで、実施例1の身体温冷装置10の筐体31は、底面が長方形である四角柱に形成され、背面部33と前面部34とが2つの平行面それぞれ沿うように形成されているが、背面部33と前面部34とが平行でない2つの平面に沿うように形成されてもよい。筐体31は、さらに、右側面部35と左側面部36とが2つの平行面それぞれ沿うように形成されているが、右側面部35と左側面部36とが平行でない2つの平面に沿うように形成されてもよい。上側吸込み口41と右側面吸込み口44と左側面吸込み口46とは、筐体31がこのように形成された場合でも、筐体31が取り付けられる利用者68に沿う方向に空気を吸い込むことができる。上側吹き出し口42と右側面吹き出し口45と左側面吹き出し口47とは、筐体31がこのように形成された場合でも、筐体31が取り付けられる利用者68に沿う方向に空気を吹き出すことができる。背面部33と前面部34とは、筐体31がこのように形成された場合でも、利用者の正面側に開口する開口部の面積を低減することができる。このため、身体温冷装置10は、筐体31がこのように形成された場合でも、既述の実施例1の身体温冷装置10と同様に、筐体31の内部から前面部34の側に漏れる騒音を低減することができる。
【0054】
ところで、既述の実施例1の身体温冷装置10の筐体31は、クリップ32を介して衣服71に保持されているが、クリップ32と異なる手段により衣服71に保持されてもよい。たとえば、筐体31は、専用ケースや衣服71のポケットに入れて保持されてもよい。筐体31は、このように衣服71に保持された場合でも、筐体31の内部から前面部34の側に漏れる騒音を低減することができる。
【0055】
以上、実施例を説明したが、前述した内容により実施例が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、実施例の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0056】
10 :身体温冷装置
11 :温調部
12 :熱交換部
14 :ホース部
31 :筐体
32 :クリップ
33 :背面部
34 :前面部
35 :右側面部
36 :左側面部
37 :上面部
41 :上側吸込み口
42 :上側吹き出し口
44 :右側面吸込み口
45 :右側面吹き出し口
46 :左側面吸込み口
47 :左側面吹き出し口
51 :バッテリ
52 :送風機
53 :ポンプ
54 :熱交換器
55 :ファン
61 :制御装置
71 :衣服
72 :ベルト