(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】生体情報計測装置、生体情報管理システム、生体情報中継装置及び生体情報管理ホスト装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20220117BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20220117BHJP
A61B 5/16 20060101ALI20220117BHJP
A61B 5/1455 20060101ALI20220117BHJP
A61B 5/01 20060101ALI20220117BHJP
G16H 10/00 20180101ALI20220117BHJP
【FI】
A61B5/00 D
A61B5/02 310Z
A61B5/02 G
A61B5/16
A61B5/1455
A61B5/01 100
G16H10/00
(21)【出願番号】P 2020202264
(22)【出願日】2020-12-04
【審査請求日】2020-12-28
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520480289
【氏名又は名称】株式会社東北エヌイーエレクトロ
(73)【特許権者】
【識別番号】511217212
【氏名又は名称】株式会社コスモスウェブ
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100074147
【氏名又は名称】本田 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】丸田 勝弘
(72)【発明者】
【氏名】松田 吉美
(72)【発明者】
【氏名】中川 裕夫
【審査官】高松 大
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-329111(JP,A)
【文献】特開2002-374365(JP,A)
【文献】特開2019-030389(JP,A)
【文献】特開2015-181666(JP,A)
【文献】特開2010-022520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00
A61B 5/02
A61B 5/16
A61B 5/1455
A61B 5/01
G16H 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度センサとパルスオキシメータと血糖値センサと脈波センサを含み、生体情報を収集する生体情報収集部と、
血圧情報、心拍情報、血管情報を得るためのマンシェット一体型自動血圧計と、
前記マンシェット一体型自動血圧計により得られる最高血圧値と最低血圧値とを計測表示部に表示する計測表示制御部と、
前記生体情報収集部により収集された生体情報と、前記マンシェット一体型自動血圧計と前記脈波センサにより得られる血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報を送信する計測送信部と
を具備する生体情報計測装置と、
前記生体情報計測装置から送信される生体情報と、血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報を受信する中継受信部と、
前記中継受信部において受信した生体情報と、血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報を記憶する中継記憶部と、
前記中継記憶部に記憶した情報に基づく表示を中継表示部に行う中継表示制御部と、
前記中継記憶部に記憶した情報を送信する中継送信部と、
を具備する生体情報中継装置と、
前記生体情報中継装置から送信された情報を受信するホスト受信部と、
前記ホスト受信部において受信した情報を記憶するホスト記憶部と、
前記ホスト記憶部に記憶した情報に基づく出力を行うホスト出力制御部と
を具備する生体情報管理ホスト装置とを具備し、
前記マンシェット一体型自動血圧計と前記脈波センサにより得られる血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報に基づき自律神経指標と血管指標とを生成する指標生成手段が前記生体情報中継装置と前記生体情報管理ホスト装置の
双方に備えられ、
前記マンシェット一体型自動血圧計と前記脈波センサにより得られた情報に基づき前記指標生成手段において前記自律神経指標と前記血管指標を生成する
と共に、前記生体情報中継装置で生成された前記自律神経指標と前記血管指標を前記中継記憶部に記憶し、前記生体情報管理ホスト装置で生成された前記自律神経指標と前記血管指標を前記ホスト記憶部に記憶し、記憶された前記自律神経指標と前記血管指標を前記生体情報中継装置と前記生体情報管理ホスト装置でそれぞれ表示し出力することを特徴とする生体情報管理システム。
【請求項2】
前記指標生成手段が備えられた前記生体情報中継装置と前記生体情報管理ホスト装置との少なくとも一方には、前記生体情報計測装置から送られた情報、前記指標生成手段により生成された指標に関する注意を要する値の範囲を示す良好閾値と悪化閾値が備えられ、これら閾値との比較を行う比較手段が具備され、
前記比較手段による比較結果を前記生体情報中継装置と前記生体情報管理ホスト装置との少なくとも一方において表示または出力することを特徴とする請求項1に記載の生体情報管理システム。
【請求項3】
前記生体情報収集部には、シートタイプ圧電センサが備えられることを特徴とする請求項1または2に記載の生体情報管理システム。
【請求項4】
温度センサとパルスオキシメータと血糖値センサと脈波センサを含み、生体情報を収集する生体情報収集部と、
血圧情報、心拍情報、血管情報を得るためのマンシェット一体型自動血圧計と、
前記マンシェット一体型自動血圧計により得られる最高血圧値と最低血圧値とを計測表示部に表示する計測表示制御部と、
前記生体情報収集部により収集された生体情報と、前記マンシェット一体型自動血圧計と前記脈波センサにより得られる血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報を送信する計測送信部と
を具備する生体情報計測装置と、
前記生体情報計測装置から送信される生体情報と、血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報を中継する生体情報中継装置と、
前記生体情報中継装置から情報を得て処理を行う生体情報管理ホスト装置とにより構成される生体情報管理システムにおける前記生体情報中継装置であって、
前記生体情報計測装置から送信される生体情報と、血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報を受信する中継受信部と、
前記中継受信部において受信した生体情報と、血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報を記憶する中継記憶部と、
前記中継記憶部に記憶した情報に基づく表示を中継表示部に行う中継表示制御部と、
前記中継記憶部に記憶した情報を送信する中継送信部と、
を具備し、
前記マンシェット一体型自動血圧計と前記脈波センサにより得られる血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報に基づき自律神経指標と血管指標とを生成する指標生成手段を備え、
前記マンシェット一体型自動血圧計と前記脈波センサにより得られた情報に基づき前記指標生成手段において前記自律神経指標と前記血管指標を生成
し前記中継記憶部に記憶し、また、前記中継表示部に表示し、更に、前記生体情報管理ホスト装置へ送信することを特徴とする生体情報中継装置。
【請求項5】
前記生体情報計測装置から送られた情報、前記指標生成手段により生成された指標に関する注意を要する値の範囲を示す良好閾値と悪化閾値が記憶され、これら閾値との比較を行う比較手段を具備し、
前記中継表示制御部は、前記比較手段による比較結果を前記中継表示部において表示することを特徴とする請求項4に記載の生体情報中継装置。
【請求項6】
温度センサとパルスオキシメータと血糖値センサと脈波センサを含み、生体情報を収集する生体情報収集部と、
血圧情報、心拍情報、血管情報を得るためのマンシェット一体型自動血圧計と、
前記マンシェット一体型自動血圧計により得られる最高血圧値と最低血圧値とを計測表示部に表示する計測表示制御部と、
前記生体情報収集部により収集された生体情報と、前記マンシェット一体型自動血圧計と前記脈波センサにより得られる血圧情報、心拍情報、血管情報の基礎情報とを送信する計測送信部と
を具備する生体情報計測装置と、
前記生体情報計測装置から送信される生体情報と、血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報を中継する生体情報中継装置と、
前記生体情報中継装置から情報を得て処理を行う生体情報管理ホスト装置とにより構成される生体情報管理システムにおける前記生体情報管理ホスト装置であって、
前記生体情報中継装置から送信された情報を受信するホスト受信部と、
前記ホスト受信部において受信した情報を記憶するホスト記憶部と、
前記ホスト記憶部に記憶した情報に基づく出力を行うホスト出力制御部と
を具備し、
前記マンシェット一体型自動血圧計と前記脈波センサにより得られる血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報に基づき自律神経指標と血管指標とを生成する指標生成手段を備え、
前記マンシェット一体型自動血圧計と前記脈波センサにより得られた情報に基づき前記指標生成手段において前記自律神経指標と前記血管指標を生成
し前記ホスト記憶部に記憶し、また、前記生体情報管理ホスト装置で表示し出力し、更に、前記生体情報中継装置へ送信することを特徴とする生体情報管理ホスト装置。
【請求項7】
前記生体情報計測装置から送られた情報、前記指標生成手段により生成された指標に関する注意を要する値の範囲を示す良好閾値と悪化閾値が記憶され、これら閾値と前記指標生成手段により生成された指標の比較を行う比較手段を具備し、
前記ホスト出力制御部は、前記比較手段による比較結果を出力することを特徴とする請求項6に記載の生体情報管理ホスト装置。
【請求項8】
温度センサとパルスオキシメータと血糖値センサと脈波センサを含み、生体情報を収集する生体情報収集部と、
血圧情報、心拍情報、血管情報を得るためのマンシェット一体型自動血圧計と、
前記マンシェット一体型自動血圧計により得られる最高血圧値と最低血圧値とを計測表示部に表示する計測表示制御部と、
前記生体情報収集部により収集された生体情報と、前記マンシェット一体型自動血圧計と前記脈波センサにより得られる血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報を送信する計測送信部と
を具備する生体情報計測装置であって、
前記計測送信部の送信先は、
前記生体情報計測装置から送信される生体情報と、血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報を受信する中継受信部と、前記中継受信部において受信した生体情報と、血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報を記憶する中継記憶部と、前記中継記憶部に記憶した情報に基づく表示を中継表示部に行う中継表示制御部と、前記中継記憶部に記憶した情報を送信する中継送信部と、を具備する生体情報中継装置であり、
前記生体情報中継装置は、
前記生体情報計測装置と、
前記生体情報中継装置から送信された情報を受信するホスト受信部と、前記ホスト受信部において受信した情報を記憶するホスト記憶部と、前記ホスト記憶部に記憶した情報に基づく出力を行うホスト出力制御部とを具備する生体情報管理ホスト装置と
の間で生体情報の中継を行うものであり、
前記マンシェット一体型自動血圧計と前記脈波センサにより得られる血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報に基づき自律神経指標と血管指標とを生成する指標生成手段が前記生体情報中継装置と前記生体情報管理ホスト装置の
双方に備えられ、
前記マンシェット一体型自動血圧計と前記脈波センサにより得られた情報に基づき前記指標生成手段において前記自律神経指標と前記血管指標を生成する
と共に、前記生体情報中継装置で生成された前記自律神経指標と前記血管指標を前記中継記憶部に記憶し、前記生体情報管理ホスト装置で生成された前記自律神経指標と前記血管指標を前記ホスト記憶部に記憶し、記憶された前記自律神経指標と前記血管指標を前記生体情報中継装置と前記生体情報管理ホスト装置でそれぞれ表示し出力することを特徴とする生体情報計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、生体情報計測装置、生体情報管理システム、生体情報中継装置及び生体情報管理ホスト装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、健康に関する関心の高まりから、高血圧、動脈硬化、自律神経、ストレス、疲労度合などの指標を報知するシステムや装置を手に入れたい人が増加している。そこで、本願出願人は、超音波照射装置が高血圧と糖尿病に対する治療効果を上げていることに鑑み、その効果を監視しながら健康の増進を図ることを目的とした超音波治療システムを特許出願した(特許文献1)。
【0003】
このシステムは、超音波照射装置から送信された生体情報を受け取り、ネットワークを介して送信を行う情報中継手段を具備する携帯情報端末と、前記携帯情報端末から送信された生体情報を受け取り、この生体情報に基づき前記超音波照射装置における超音波照射による前記被験者の少なくとも高血圧と糖尿病に対する治療効果の効果指標情報を求める効果指標算出手段と、前記効果指標算出手段により求められた効果指標情報を、ネットワークを介して前記携帯情報端末へ送信する効果指標送信制御手段とを備えるセンタサーバとを具備するものである。
【0004】
特許文献2には、加速度メータ、心拍モニタ、パルス酸素濃度計又は人を監視するムードセンサの内の1以上からのデータストリームにアクセスし、人が様々なアクティビティに従事しているときに人から収集されるデータセットを分析し、分析に基づいて人の現在のストレス指標を得るシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-65622号公報
【文献】特開2012-239890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、ストレスや疲労度について指標を検出するものはあっても、血圧情報、心拍情報、血管情報と血中酸素濃度や体温など、測定者の生体情報を総合的に監視・管理可能な生体情報計測装置、生体情報管理システム、生体情報中継装置及び生体情報管理ホスト装置がなく、このような生体情報計測装置、生体情報管理システム、生体情報中継装置及び生体情報管理ホスト装置の提供が要望されている。
【0007】
本発明は上記のような生体情報管理の観点からの要望に応えんとしてなされたもので、その目的は、ストレスや疲労度について指標などだけではなく、血圧情報、心拍情報、血管情報と血中酸素濃度や体温など、測定者の生体情報を総合的に監視・管理する生体情報計測装置、生体情報管理システム、生体情報中継装置及び生体情報管理ホスト装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る生体情報管理システムは、温度センサとパルスオキシメータと血糖値センサと脈波センサを含み、生体情報を収集する生体情報収集部と、血圧情報、心拍情報、血管情報を得るためのマンシェット一体型自動血圧計と、前記マンシェット一体型自動血圧計により得られる最高血圧値と最低血圧値とを計測表示部に表示する計測表示制御部と、前記生体情報収集部により収集された生体情報と、前記マンシェット一体型自動血圧計と前記脈波センサにより得られる血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報を送信する計測送信部とを具備する生体情報計測装置と、前記生体情報計測装置から送信される生体情報と、血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報を受信する中継受信部と、前記中継受信部において受信した生体情報と、血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報を記憶する中継記憶部と、前記中継記憶部に記憶した情報に基づく表示を中継表示部に行う中継表示制御部と、前記中継記憶部に記憶した情報を送信する中継送信部と、を具備する生体情報中継装置と、前記生体情報中継装置から送信された情報を受信するホスト受信部と、前記ホスト受信部において受信した情報を記憶するホスト記憶部と、前記ホスト記憶部に記憶した情報に基づく出力を行うホスト出力制御部とを具備する生体情報管理ホスト装置とを具備し、前記マンシェット一体型自動血圧計と前記脈波センサにより得られる血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報に基づき自律神経指標と血管指標とを生成する指標生成手段が前記生体情報中継装置と前記生体情報管理ホスト装置の双方に備えられ、前記マンシェット一体型自動血圧計と前記脈波センサにより得られた情報に基づき前記指標生成手段において前記自律神経指標と前記血管指標を生成すると共に、前記生体情報中継装置で生成された前記自律神経指標と前記血管指標を前記中継記憶部に記憶し、前記生体情報管理ホスト装置で生成された前記自律神経指標と前記血管指標を前記ホスト記憶部に記憶し、記憶された前記自律神経指標と前記血管指標を前記生体情報中継装置と前記生体情報管理ホスト装置でそれぞれ表示し出力することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る生体情報管理システムでは、前記指標生成手段が備えられた前記生体情報中継装置と前記生体情報管理ホスト装置との少なくとも一方には、前記生体情報計測装置から送られた情報、前記指標生成手段により生成された指標に関する注意を要する値の範囲を示す良好閾値と悪化閾値が備えられ、これら閾値との比較を行う比較手段が具備され、前記比較手段による比較結果を前記生体情報中継装置と前記生体情報管理ホスト装置との少なくとも一方において表示または出力することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る生体情報管理システムでは、前記生体情報収集部には、シートタイプ圧電センサが備えられることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る生体情報中継装置は、温度センサとパルスオキシメータと血糖値センサと脈波センサを含み、生体情報を収集する生体情報収集部と、血圧情報、心拍情報、血管情報を得るためのマンシェット一体型自動血圧計と、前記マンシェット一体型自動血圧計により得られる最高血圧値と最低血圧値とを計測表示部に表示する計測表示制御部と、前記生体情報収集部により収集された生体情報と、前記マンシェット一体型自動血圧計と前記脈波センサにより得られる血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報を送信する計測送信部とを具備する生体情報計測装置と、前記生体情報計測装置から送信される生体情報と、血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報を中継する生体情報中継装置と、前記生体情報中継装置から情報を得て処理を行う生体情報管理ホスト装置とにより構成される生体情報管理システムにおける前記生体情報中継装置であって、前記生体情報計測装置から送信される生体情報と、血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報を受信する中継受信部と、前記中継受信部において受信した生体情報と、血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報を記憶する中継記憶部と、前記中継記憶部に記憶した情報に基づく表示を中継表示部に行う中継表示制御部と、前記中継記憶部に記憶した情報を送信する中継送信部と、を具備し、前記マンシェット一体型自動血圧計と前記脈波センサにより得られる血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報に基づき自律神経指標と血管指標とを生成する指標生成手段を備え、前記マンシェット一体型自動血圧計と前記脈波センサにより得られた情報に基づき前記指標生成手段において前記自律神経指標と前記血管指標を生成し前記中継記憶部に記憶し、また、前記中継表示部に表示し、更に、前記生体情報管理ホスト装置へ送信することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る生体情報中継装置では、前記生体情報計測装置から送られた情報、前記指標生成手段により生成された指標に関する注意を要する値の範囲を示す良好閾値と悪化閾値が記憶され、これら閾値との比較を行う比較手段を具備し、前記中継表示制御部は、前記比較手段による比較結果を前記中継表示部において表示することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る生体情報管理ホスト装置は、温度センサとパルスオキシメータと血糖値センサと脈波センサを含み、生体情報を収集する生体情報収集部と、血圧情報、心拍情報、血管情報を得るためのマンシェット一体型自動血圧計と、前記マンシェット一体型自動血圧計により得られる最高血圧値と最低血圧値とを計測表示部に表示する計測表示制御部と、前記生体情報収集部により収集された生体情報と、前記マンシェット一体型自動血圧計と前記脈波センサにより得られる血圧情報、心拍情報、血管情報の基礎情報とを送信する計測送信部とを具備する生体情報計測装置と、前記生体情報計測装置から送信される生体情報と、血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報を中継する生体情報中継装置と、前記生体情報中継装置から情報を得て処理を行う生体情報管理ホスト装置とにより構成される生体情報管理システムにおける前記生体情報管理ホスト装置であって、前記生体情報中継装置から送信された情報を受信するホスト受信部と、前記ホスト受信部において受信した情報を記憶するホスト記憶部と、前記ホスト記憶部に記憶した情報に基づく出力を行うホスト出力制御部とを具備し、前記マンシェット一体型自動血圧計と前記脈波センサにより得られる血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報に基づき自律神経指標と血管指標とを生成する指標生成手段を備え、前記マンシェット一体型自動血圧計と前記脈波センサにより得られた情報に基づき前記指標生成手段において前記自律神経指標と前記血管指標を生成し前記ホスト記憶部に記憶し、また、前記生体情報管理ホスト装置で表示し出力し、更に、前記生体情報中継装置へ送信することを特徴とする。
【0017】
本発明に係る生体情報管理ホスト装置では、前記生体情報計測装置から送られた情報、前記指標生成手段により生成された指標に関する注意を要する値の範囲を示す良好閾値と悪化閾値が記憶され、これら閾値と前記指標生成手段により生成された指標の比較を行う比較手段を具備し、前記ホスト出力制御部は、前記比較手段による比較結果を出力することを特徴とする。
【0018】
本発明に係る生体情報計測装置は、温度センサとパルスオキシメータと血糖値センサと脈波センサを含み、生体情報を収集する生体情報収集部と、血圧情報、心拍情報、血管情報を得るためのマンシェット一体型自動血圧計と、前記マンシェット一体型自動血圧計により得られる最高血圧値と最低血圧値とを計測表示部に表示する計測表示制御部と、前記生体情報収集部により収集された生体情報と、前記マンシェット一体型自動血圧計と前記脈波センサにより得られる血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報を送信する計測送信部とを具備する生体情報計測装置であって、前記計測送信部の送信先は、前記生体情報計測装置から送信される生体情報と、血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報を受信する中継受信部と、前記中継受信部において受信した生体情報と、血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報を記憶する中継記憶部と、前記中継記憶部に記憶した情報に基づく表示を中継表示部に行う中継表示制御部と、前記中継記憶部に記憶した情報を送信する中継送信部と、を具備する生体情報中継装置であり、前記生体情報中継装置は、前記生体情報計測装置と、前記生体情報中継装置から送信された情報を受信するホスト受信部と、前記ホスト受信部において受信した情報を記憶するホスト記憶部と、前記ホスト記憶部に記憶した情報に基づく出力を行うホスト出力制御部とを具備する生体情報管理ホスト装置との間で生体情報の中継を行うものであり、前記マンシェット一体型自動血圧計と前記脈波センサにより得られる血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報に基づき自律神経指標と血管指標とを生成する指標生成手段が前記生体情報中継装置と前記生体情報管理ホスト装置の双方に備えられ、前記マンシェット一体型自動血圧計と前記脈波センサにより得られた情報に基づき前記指標生成手段において前記自律神経指標と前記血管指標を生成すると共に、前記生体情報中継装置で生成された前記自律神経指標と前記血管指標を前記中継記憶部に記憶し、前記生体情報管理ホスト装置で生成された前記自律神経指標と前記血管指標を前記ホスト記憶部に記憶し、記憶された前記自律神経指標と前記血管指標を前記生体情報中継装置と前記生体情報管理ホスト装置でそれぞれ表示し出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ストレスや疲労度について指標などだけではなく、血圧情報、心拍情報、血管情報と血中酸素濃度や体温など、測定者の生体情報を総合的に監視・管理することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る生体情報管理システムにおける第1の実施形態のブロック図。
【
図2】心電図波形のQRS波と、このQRS波のR-R間隔(RRI)を示す図。
【
図3】本発明に係る生体情報管理システムにおける生体情報計測装置の実施形態のブロック図。
【
図4】本発明に係る生体情報管理システムにおける生体情報中継装置の実施形態のブロック図。
【
図5】本発明に係る生体情報管理システムにおける生体情報管理ホスト装置の実施形態のブロック図。
【
図6】本発明に係る生体情報管理システムにおける生体情報計測装置の実施形態の動作を示すフローチャート。
【
図7】本発明に係る生体情報管理システムにおける生体情報中継装置の実施形態の動作を示すフローチャート。
【
図8】本発明に係る生体情報管理システムにおける生体情報管理ホスト装置の実施形態の動作を示すフローチャート。
【
図9】本発明に係る生体情報管理システムにおける第2の実施形態のブロック図。
【
図10】脈波振幅を積分処理して得た上腕動脈容積と血圧-カフ圧のグラフを示す図。
【
図12】本発明に係る生体情報管理システムにおける第3の実施形態のブロック図。
【
図13】本発明に係る生体情報管理システムにおける第3の実施形態において用いられる良好閾値と悪化閾値の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下添付図面を参照して本発明に係る生体情報管理システムの実施形態、生体情報計測装置の実施形態、生体情報中継装置の実施形態及び生体情報管理ホスト装置の実施形態を説明する。各図において、同一の構成要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図1に、本発明に係る生体情報管理システムにおける第1の実施形態のブロック図を示す。この生体情報管理システムは、生体情報計測装置100と生体情報中継装置200と生体情報管理ホスト装置300により構成されている。
【0022】
生体情報計測装置100には、生体情報収集部110と、マンシェット一体型自動血圧計120と、計測表示制御部130と、計測表示部140と、計測送信部150とが備えられている。生体情報収集部110は、各種の生体情報を収集するための構成であり、生体情報収集部110には、少なくとも温度センサ111とパルスオキシメータ112と血糖値センサ113、脈波センサ115が備えられていれば良いが、本実施形態では、シートタイプ圧電センサ114も備えられている。温度センサ111は、例えばサーモグラフィカメラなどにより構成することができ、体温や気温を測定することができる。パルスオキシメータ112は、動脈血酸素飽和度(SpO2)や脈拍数を測定することができる。血糖値センサ113は、高輝度の中赤外線レーザを使用して非侵襲的に血糖値を測定するものを採用することができる。シートタイプ圧電センサ114は、例えば株式会社フューチャーインク社製のものを採用することができ、脈波や呼吸回数などの微弱な生体信号を計測することができるものを採用することができる。また、脈波センサ115は、指尖に取り付けられる光学式のセンサにより構成することができ、血管の容量変化を計測するものである。
【0023】
マンシェット一体型自動血圧計120は、マンシェットを膨張ないし縮小させて駆血の程度を制御し、コロトコフ音センサにより最高血圧の時点と最低血圧の時点とを検出し、血圧測定を行うものである。また、マンシェット一体型自動血圧計120により血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報を得ることが可能である。マンシェット一体型自動血圧計120により
図2に示すような心電図波形のQRS波を測定できるものであり、このQRS波のR-R間隔(RRI)を測定して心拍情報を得る処理へつなげることができる。また、血管情報としては、例えば、API(Arterial Pressure volume Index)、AVI(Arterial Velocity pulse Index)などが知られているが、これらについては、マンシェット圧(カフ圧)と脈波によって計算できるので、生体情報計測装置100においては、マンシェット一体型自動血圧計120と脈波センサ115等により得られる血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報の収集と送信が行われる。以上のように、血管情報の基礎情報とは、APIやAVIなどの血管情報を得るための基礎となるマンシェット圧や脈波などの情報を指すものであり、RRIを得るための心電図波形を生成可能とする情報をも含むものである。
【0024】
計測表示部140は、LCDやLEDにより文字や生体信号波形を表示するための画面を有する表示装置である。計測表示制御部130は、上記マンシェット一体型自動血圧計120により得られる最高血圧値と最低血圧値とを計測表示部140に表示するものである。また、計測表示制御部130は、温度センサ111とパルスオキシメータ112と血糖値センサ113により得られた生体情報を計測表示部140に表示するようにしても良く、更には、シートタイプ圧電センサ114、脈波センサ115により得られた生体情報についても計測表示部140に表示するようにしても良い。計測送信部150は、生体情報収集部110により収集された生体情報と、上記マンシェット一体型自動血圧計120と前記脈波センサにより得られる血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報を送信するものである。
【0025】
上記の生体情報計測装置100の具体的構成は
図3に示されるようである。即ち、コンピュータにより構成される本体装置10に、マンシェット11、ポンプ12、温度センサ111、パルスオキシメータ112、血糖値センサ113、シートタイプ圧電センサ114、脈波センサ115が接続された構成を備えている。
【0026】
本体装置10は、CPU20が主メモリ21に記憶されたプログラムに基づき各部を制御して、生体情報と、血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報の収集と送信を行う。そのため、CPU20には、主メモリ21が接続されており、更にCPU20には、バス22を介してI/O(I/Oインタフェース)23、24、25と、表示コントローラ26、送受信コントローラ27、入力コントローラ28が接続されている。
【0027】
I/O23には、マンシェット11から血圧情情報やコロトコフ音信号が到来する。I/O24には、ポンプ12が接続されており、マンシェット11へ空気を送り込み、またマンシェット11内の空気を排出させるときの排出口として機能させる。I/O25には、温度センサ111とパルスオキシメータ112と血糖値センサ113、更には、シートタイプ圧電センサ114、脈波センサ115が接続され、前述の通りの生体情報の取り込みが可能に構成されている。
【0028】
表示コントローラ26には、LCDやLED等の表示装置26Aが接続されており、前述の血圧情報や生体情報の表示が行われる。送受信コントローラ27には、生体情報収集部110により収集された生体情報と、上記マンシェット一体型自動血圧計120と前記脈波センサにより得られる血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報を送信し、必要な情報を受信する送受信部27Aが接続されている。送受信部27Aは、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信方式を採用することができる。入力コントローラ28には、電源スイッチや送信の時刻などの設定を行うキーボードなどが備えられた入力部28Aが接続されている。
【0029】
図1に示すように、生体情報中継装置200は、中継受信部210、中継記憶部220、中継表示部230、中継表示制御部240、中継送信部250を備えている。中継受信部210は、生体情報計測装置100から送信される生体情報と、血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報を受信するものである。中継記憶部220は、中継受信部210において受信した生体情報と、血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報を記憶するものである。中継表示部230は、文字や画像を表示するための表示装置である。中継表示制御部240は、中継記憶部220に記憶した情報に基づく表示を中継表示部に行う中継送信部250は、中継記憶部220に記憶した情報を送信するものである。
【0030】
上記の生体情報中継装置200の具体的構成は
図4に示されるようである。生体情報中継装置200は、例えば、携帯通信端末であるスマートフォンやパーソナルディジタルアシスタントなどにより構成される。即ち、主メモリ31に記憶されたデータやプログラムを用いて携帯通信端末としての機能を実現するCPU30を備える。この主メモリ31には、本実施形態の生体情報中継機能を実現するためのプログラムが格納されており、CPU30がこのプログラムを実行して処理を行う。
【0031】
CPU30は、バス32を介してデータの送受信及びコントロールを行うことができる。バス32には、送受信部33、通話部34、記憶部35、表示部36、入力部37が接続されている。送受信部33は、無線回線を介してインターネットなどのネットワークに接続され、データや音声の送受信が可能であると共に、Bluetoothなどの近距離無線通信方式による通信も可能である。つまり、インターネットなどのネットワークを介して送受信を行う送受信部と、Bluetoothなどの近距離無線通信方式によって送受信を行う送受信部とを備えている。
【0032】
通話部34には、マイクロフォン34Mとスピーカ34Sが接続されており、音声入力及び音声出力が可能である。通話部34では、音声から音声信号への変換とその逆の変換が可能に構成され、通話が可能である。音声信号は送受信部33を介して通話部34へ至る。記憶部35では、記憶媒体とそのコントローラにより構成されCPU30の制御により、生体情報と、血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報が記憶され、また、記憶した生体情報と、血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報を読み出しが行われる。
【0033】
表示部36は、文字や画像を表示するためのLEDやLCDなどのディスプレイ部とそのコントローラからなるものである。入力部37は、文字やデータを入力するためのキーやスイッチなどの入力部とそのコントローラにより構成されるものである。
【0034】
図1に示すように、生体情報管理ホスト装置300には、ホスト受信部310、ホスト記憶部320、ホスト出力制御部330が備えられている。ホスト受信部310は、生体情報中継装置から送信された情報を受信するものである。ホスト記憶部320は、ホスト受信部において受信した情報を記憶するものである。ホスト出力制御部330は、ホスト記憶部に記憶した情報に基づく出力を行う。
【0035】
生体情報管理ホスト装置300の具体的構成は、
図5に示すようである。即ち、生体情報管理ホスト装置300は、
図5に示すような構成のパーソナルコンピュータ、サーバコンピュータなどのコンピュータの構成を採用することができる。即ち、主メモリ41に記憶されたデータやプログラムを用いて生体情報管理ホスト装置300としての機能を実現するCPU40を備える。
【0036】
CPU40にはバス42が接続され、バス42には、表示コントローラ43、通信コントローラ44、外部記憶コントローラ45、入力コントローラ46が接続されている。表示コントローラ43には、LCDやLED等の表示装置53が接続されており、前述の血圧情報や生体情報の表示が行われる。通信コントローラ44には、インターネットに接続して情報の送受信を行う送受信部54が接続されている。外部記憶コントローラ45には、外部記憶装置55が接続されている。外部記憶装置55には、CPU40が生体情報管理ホスト装置300として生体情報等を処理するためのプログラムや情報等が記憶されており、CPU40はこれらを主メモリ41へ適宜読み出して、このプログラムや情報を用いて動作を行う。入力コントローラ46には、キーボードなどの入力装置56とマウスなどのポインティングデバイス57が接続され、コマンドや必要な情報の入力が可能とされている。
【0037】
以上のように構成された生体情報管理システムでは、ユーザがマンシェット11を一方の手の上腕に巻き付け、入力部28Aの電源スイッチを操作して生体情報計測装置100の動作をスタートさせる。これによって、生体情報計測装置100では、
図6のフローチャートに示すように、マンシェット11から血圧情報、心拍情報、血管情報の基礎情報の収集と、温度センサ111、パルスオキシメータ112、血糖値センサ113、脈波センサ115による生体情報の収集が行われる(S11)。そして、収集した情報から最低血圧値と最高血圧値を含む血圧情報、心拍情報、各センサで収集した生体情報中の所定情報を表示する(S12)。更に、血圧情報、心拍情報、血管情報の基礎情報、各センサで収集した生体情報を測定時刻情報と共に送信する(S13)。
【0038】
上記の生体情報計測装置100の動作に対応して生体情報中継装置200は、
図7に示すフローチャートに示す如く動作を行う。即ち、生体情報計測装置100から送信された血圧情報、心拍情報、血管情報の基礎情報、各センサで収集した生体情報を受信する(S21)。そして、上記受信した血圧情報、心拍情報、血管情報の基礎情報、各センサで収集した生体情報を記憶部35に記憶する(S22)。更に、上記において記憶した情報から最低血圧値と最高血圧値を含む血圧情報、心拍情報、各センサで収集した生体情報中の全ての情報を文字によりまた波形として表示する(S23)。この結果、ユーザは生体情報計測装置100において測定した全ての生体情報を文字により、また波形により見ることができ、自身の健康状態を確認することができる。上記記憶部35に記憶した血圧情報、心拍情報、血管情報の基礎情報、各センサで収集の生体情報を生体情報管理ホスト装置300に送信する(S24)。
【0039】
上記の生体情報中継装置200の動作に対応して生体情報管理ホスト装置300は、
図8に示すフローチャートに示す如く動作を行う。即ち、生体情報中継装置200から送信された血圧情報、心拍情報、血管情報の基礎情報、各センサで収集した生体情報を受信する(S31)。そして、上記受信した血圧情報、心拍情報、血管情報の基礎情報、各センサで収集した生体情報を例えば外部記憶装置55に記憶する(S32)。更に、上記において記憶した情報から最低血圧値と最高血圧値を含む血圧情報、心拍情報、各センサで収集した生体情報中の全ての情報を文字によりまた波形として出力する(S33)。この出力制御は、表示装置53に対して行うことができるが、通信コントローラ44と送受信部54からインターネットを介して予め設定されている病院や医師のコンピュータへ出力を行うことが可能である。
【0040】
更に外部記憶装置55への記憶は、相当回数分(例えば、1日2回測定するとして、半年分や1年分)の記憶が可能であるものとし、生体情報の計測元である生体情報計測装置100の識別情報やユーザの氏名と識別情報などに対応付けて、更には、上記に加えて生体情報中継装置200の識別情報とアドレスに対応付けて、記憶しておくことができる。一方、生体情報中継装置200の記憶部35には、数回分の記憶を可能とすることができる。そして、生体情報中継装置200における表示では、測定が行われた際に、その測定に係る生体情報の表示の他に、過去の測定時の生体情報を遡って表示することができる。この場合に、外部記憶装置55に記憶してある生体情報を全て遡って表示した場合には、生体情報管理ホスト装置300から外部記憶装置55に記憶されている過去に記憶した該当の生体情報の送信を受け、これを表示部36に表示させることができる。斯くして、ユーザは、現在の測定に係る生体情報のみならず、過去に測定の生体情報を表示により見ることができ、自身の健康管理に役立てることができる。
【0041】
前述の通り、生体情報管理ホスト装置300の通信コントローラ44と送受信部54からインターネットを介して予め設定されている病院や医師のコンピュータへ出力を行うことが可能であり、病院や医師のコンピュータからユーザの氏名と識別情報などにより外部記憶装置55に記憶されている所望の生体情報を特定して取り出し、表示して診断することもできる。つまり、この病院や医師が、当該ユーザを患者として定期健診などの行う場合に、過去の生体情報を遡って見ることができ、健康管理のアドバイスなどを適切に行うことが可能である。
【0042】
次に、第2の実施形態に係る生体情報管理システムを
図9のブロック図を参照して説明する。第2の実施形態に係る生体情報管理システムでは、第1の実施形態の構成と比べて生体情報中継装置200Aが指標生成手段260を備えている。指標生成手段260は、上記マンシェット一体型自動血圧計120と前記脈波センサにより得られる血圧情報、心拍情報と血管情報の基礎情報に基づき自律神経指標と血管指標とを生成するものである。
【0043】
自律神経指標としては、SDNN(Standard Deviation of the NN intervals)とTP(トータルパワー)を挙げることができる。SDNNは、
図2において説明したR-R間隔の標準偏差であり、次の式(1)により得ることができる。
【数1】
【0044】
また、TPは、LF(交感神経活動の指標)とHF(副交感神経の指標)の合計である。R-R間隔は不等間隔の離散的データであるため、等間隔の時系列データに変換し、FFTなどを用いて公知の手法で周波数解析しLF、HFを求め、TPを求めるものとする。
【0045】
このように、血管指標としては、API(Arterial Pressure volume Index)、AVI(Arterial Velocity pulse Index)を用いることができる。脈波振幅を積分処理して得た上腕動脈容積と血圧-カフ圧のグラフは
図10のようになる。このとき、上腕動脈容積Yを、
Y=A*arctan(B*X+C)+D
で近似する。この場合の係数Bにより
API=1/Bとする。
【0046】
また、AVIは、次のようにして求める。脈波を微分した波形が
図11のようであると、
図11は脈波波形の上昇速度と下降速度を表している。この中で、脈波立ち上がり時の最高速度がVfとして得られ、脈波立下り時の最高速度がVrとして得られ、これにより、
AVI=20×(Vr/Vf) とする。
【0047】
上記の値についても生体情報計測装置100から送信される生体情報と同様に、記憶部35に記憶し、また、表示部36に表示し、更に、生体情報管理ホスト装置300へ送信する。この第2の実施形態によれば、マンシェット11や各センサから得られる生体情報だけでなく、自律神経指標と血管指標とが得られるので、ユーザの疲労の度合を自律神経指標により把握し、血管指標により血管の劣化による動脈硬化など多角的に健康状態を把握することが可能である。
【0048】
以上の第2の実施形態では、生体情報中継装置200Aが指標生成手段260を備えているが、生体情報中継装置200は指標生成手段260を備えずに、生体情報管理ホスト装置300に指標生成手段260と同様の指標生成手段を備えさせても良い。生体情報管理ホスト装置300の指標生成手段により得られる自律神経指標と血管指標とを、外部記憶装置55に記憶し、必要に応じてホスト出力制御部330が出力を行うものとする。このホスト出力制御部330が出力を行う宛先は、予め設定されている病院や医師のコンピュータとすることができ、また、生体情報中継装置200を宛先とし、生体情報中継装置200において表示するようにしても良い。更に、生体情報中継装置200Aが指標生成手段260を備えると共に、生体情報管理ホスト装置300に指標生成手段260と同様の指標生成手段を備えさせても良い。この場合には、生体情報中継装置200Aと生体情報管理ホスト装置300のそれぞれが自律神経指標と血管指標とを生成し、それぞれで記憶し、表示や出力を行うことができる。
【0049】
次に、第3の実施形態に係る生体情報管理システムを
図12のブロック図を参照して説明する。第3の実施形態に係る生体情報管理システムでは、第2の実施形態の構成に比べて、生体情報中継装置200Bが比較手段270を備えている。比較手段270を備える生体情報中継装置200Bは、上記生体情報計測装置100から送られた情報、上記指標生成手段260により生成された指標に関する良好閾値と悪化閾値が備えられる。
【0050】
上記の良好閾値と悪化閾値は、SDDN、TP、API、AVIのそれぞれについて、
図13のように設定されており、良好閾値
以上或いは良好閾値以下であることが望ましいことを示し、悪化閾値以上或いは悪化閾値以下となると注意を要することを示す。SDDN、TPでは、疾病状態や慢性的に疲労がある場合激しい運動をした場合に低下がみられ、リラックスしたような場合に上昇がみられる。APIは上腕動脈硬化の場合に大きな値を採るものとされており、AVIは、心機能低下、血管壁硬化、抹消血管の収縮等の場合に大きな値を採るとされている。
【0051】
比較手段270は、指標生成手段260により生成された指標と、
図11に示した良好閾値と悪化閾値と比較し、良好か悪化の結果を得る。上記比較手段270による比較結果は、生体情報計測装置100から送信される生体情報と同様に、記憶部35に記憶し、また、表示部36に表示し、更に、生体情報管理ホスト装置300へ送信する。この比較結果も、生体情報管理ホスト装置300の通信コントローラ44と送受信部54からインターネットを介して予め設定されている病院や医師のコンピュータへ出力を行うことが可能であり、病院や医師のコンピュータからユーザの氏名と識別情報などにより取り出す情報を特定して外部記憶装置55に記憶されている所望の生体情報と共に取り出し、表示して診断することもできる。
【0052】
以上の第3の実施形態では、生体情報中継装置200Bが指標生成手段260と比較手段270を備えているが、生体情報中継装置200は指標生成手段260と比較手段270を備えずに、生体情報管理ホスト装置300に指標生成手段260と比較手段270と同様の指標生成手段と比較手段を備えさせても良い。生体情報管理ホスト装置300の比較手段により得られる比較結果は、外部記憶装置55に記憶し、必要に応じてホスト出力制御部330が出力を行うものとする。このホスト出力制御部330が出力を行う宛先は、予め設定されている病院や医師のコンピュータとすることができ、また、生体情報中継装置200を宛先とし、生体情報中継装置200において表示するようにしても良い。更に、生体情報中継装置200Bが指標生成手段260と比較手段270を備えると共に、生体情報管理ホスト装置300に指標生成手段260及び比較手段270と同様の指標生成手段及び比較手段を備えさせても良い。この場合には、生体情報中継装置200Bと生体情報管理ホスト装置300のそれぞれが自律神経指標と血管指標とを生成し、それぞれで記憶し、表示や出力を行うことができる。
【0053】
以上の比較手段を備える実施形態においては、第2の実施形態の場合と同様に、指標生成手段により得られる自律神経指標と血管指標とを生体情報中継装置200Bや生体情報管理ホスト装置300に記憶し、比較結果と共に表示や出力を行うようにすることができる。比較結果の表示や出力によって自律神経指標と血管指標の評価を客観的に行うことができ、疾病の今後の治療や健康管理をより適切に行うことが可能である。
【符号の説明】
【0054】
10 本体装置 11 マンシェット
12 ポンプ 20、30、40 CPU
21、31、41 主メモリ 22、32、42 バス
23、24、25 I/O 26 表示コントローラ
26A 表示装置 27 送受信コントローラ
27A 送受信部 28 入力コントローラ
28A 入力部 33 送受信部
34 通話部 34M マイクロフォン
34S スピーカ 35 記憶部
36 表示部 37 入力部
43 表示コントローラ 44 通信コントローラ
45 外部記憶コントローラ 46 入力コントローラ
53 表示装置 54 送受信部
55 外部記憶装置 56 入力装置
57 ポインティングデバイス 100 生体情報計測装置
110 生体情報収集部 111 温度センサ
112 パルスオキシメータ 113 血糖値センサ
114 シートタイプ圧電センサ 115 脈波センサ
120 マンシェット一体型自動血圧計
130 計測表示制御部
140 計測表示部 150 計測送信部
200、200A、200B 生体情報中継装置
210 中継受信部 220 中継記憶部
230 中継表示部 240 中継表示制御部
250 中継送信部 260 指標生成手段
270 比較手段 300 生体情報管理ホスト装置
310 ホスト受信部 320 ホスト記憶部
330 ホスト出力制御部
【要約】
【課題】測定者の生体情報を総合的に監視・管理するシステムを提供することである。
【解決手段】生体情報収集部110と、マンシェット一体型自動血圧計120と、前記マンシェット一体型自動血圧計120により得られる最高血圧値と最低血圧値とを計測表示部140に表示する計測表示制御部130と、計測送信部150とを具備する生体情報計測装置100と、生体情報中継装置200と、前記生体情報中継装置200から送信された情報を受信するホスト受信部310と、前記ホスト受信部310において受信した情報を記憶するホスト記憶部320と、前記ホスト記憶部320に記憶した情報に基づく出力を行うホスト出力制御部330とを具備する生体情報管理ホスト装置300とにより構成される。
【選択図】
図1