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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】粘着剤組成物及び粘着シート
(51)【国際特許分類】
   C09J 133/10 20060101AFI20220203BHJP
   C09J 4/02 20060101ALI20220203BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20220203BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20220203BHJP
【FI】
C09J133/10
C09J4/02
C09J11/06
C09J7/38
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018030623
(22)【出願日】2018-02-23
(65)【公開番号】P2019143090
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2020-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000004592
【氏名又は名称】日本カーバイド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】塚原 勇太
(72)【発明者】
【氏名】竹口 港
(72)【発明者】
【氏名】狩野 肇
【審査官】水野 明梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-078278(JP,A)
【文献】特開2013-032483(JP,A)
【文献】特開2013-056978(JP,A)
【文献】特開2017-203100(JP,A)
【文献】特開2016-080830(JP,A)
【文献】特開2007-182557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 133/10
C09J 4/02
C09J 11/06
C09J 7/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数が5~9の分岐鎖アルキル基を有するアルキルメタクリレートの含有率が35質量%以上、水酸基を有する単量体の含有率が35質量%以下、かつ環状構造を有する単量体の含有率が10質量%未満である単量体成分を少なくとも一部付加重合してなる(メタ)アクリル系重合体(A)と、
光重合開始剤(B)と、
2つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合性単量体(C)と、
を含み、
前記(メタ)アクリル系重合体(A)を重合する際に用いられる前記単量体成分を全て付加重合した場合に得られる重合体のガラス転移温度が-50℃以上-15℃以下であり、
下記式(1)の値が0.06~0.3であり、
前記(メタ)アクリル系重合体(A)は前記単量体成分の一部が付加重合してなる場合、未反応の単量体成分をさらに含む、粘着剤組成物。
【数1】
【請求項2】
前記(メタ)アクリル系重合体(A)を重合する際に用いられる前記単量体成分では、前記水酸基を有する単量体の含有率が1質量%~25質量%である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項3】
前記重合性単量体(C)は、2つの(メタ)アクリロイルオキシ基、並びにアルキレン基及びアルキレンオキシ基の少なくとも一方から構成される、請求項1又は請求項2に記載の粘着剤組成物。
【請求項4】
前記重合性単量体(C)は、脂環式構造を有する、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有する、粘着シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤組成物及び粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルは、各種部材、例えば、ガラス基板、透明導電性フィルム、意匠フィルム等を粘着剤で貼着した構造を有する。
【0003】
タッチパネル用に用いる粘着剤としては、例えば、炭素数10~24のアルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレートを30~75重量%および環状窒素含有モノマーを20~50重量%を含む単官能性モノマー成分を含むモノマー成分を重合することにより得られた(メタ)アクリル系ポリマーを含む粘着剤が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この粘着剤を用いて形成された粘着剤層は低誘電率であるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-16653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、タッチパネルの薄肉化の要求に伴い、粘着剤層にも薄肉化が求められている。粘着剤層を薄肉化すると、タッチパネル内部のセンサーの静電容量が大きくなり、タッチパネルが誤作動しやすくなる。そのため、タッチパネル用粘着剤には低誘電率が求められる。
【0006】
また、タッチパネルを構成する部材は、各種印刷、電極等を備え、段差を有するものがある。そのため、粘着剤層が段差に上手く追従できない場合、気泡による外観不良、密着性の悪化等のおそれがある。更に、粘着剤層の貼着直後には問題がなくても、経時、熱等の影響により、気泡が発生する(ディレイバブルが発生する)こともある。つまり、タッチパネル用粘着剤組成物には、段差追従性(初期の段差追従性)と、耐ディレイバブル性(経時の段差追従性)との両立も求められる。
【0007】
ガラス転移温度(Tg)が高い、又は環状構造モノマーを有する重合体を含む粘着剤は、凝集力が向上し、耐ディレイバブル性が優れるが、柔軟性が低下し、段差追従性に劣るという問題がある。一方、Tgが低い、又は環状構造モノマーを有さない重合体を含む粘着剤は、段差追従性が優れるが、耐ディレイバブル性が劣るという問題がある。つまり、従来のタッチパネル用粘着剤では、段差追従性と耐ディレイバブル性との両立が困難である。例えば、特許文献1の粘着剤層では段差追従性が不十分であるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、粘着剤層としたときに比誘電率が低く、段差追従性及び耐ディレイバブル性に優れる粘着剤組成物、並びにこの粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有する粘着シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> 分岐鎖アルキル基を有するアルキルメタクリレートの含有率が35質量%以上、水酸基を有する単量体の含有率が35質量%以下、かつ環状構造を有する単量体の含有率が10質量%未満である単量体成分を少なくとも一部付加重合してなる(メタ)アクリル系重合体(A)と、光重合開始剤(B)と、2つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合性単量体(C)と、を含み、前記単量体成分を全て付加重合した場合に得られる重合体のガラス転移温度が-50℃以上-15℃以下であり、下記式(1)の値が0.06~0.3である、粘着剤組成物。
【0010】
【数1】
【0011】
<2> 前記単量体成分では、前記水酸基を有する単量体の含有率が1質量%~25質量%である、<1>に記載の粘着剤組成物。
<3> 前記重合性単量体(C)は、2つの(メタ)アクリロイルオキシ基、並びにアルキレン基及びアルキレンオキシ基の少なくとも一方から構成される、<1>又は<2>に記載の粘着剤組成物。
<4> 前記重合性単量体(C)は、脂環式構造を有する、<1>~<3>のいずれか1つに記載の粘着剤組成物。
【0012】
<5> <1>~<4>のいずれか1つに記載の粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有する、粘着シート。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、粘着剤層としたときに比誘電率が低く、段差追従性及び耐ディレイバブル性に優れる粘着剤組成物、並びにこの粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有する粘着シートを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。なお、本明細書において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。また、本明細書において組成物中の各成分の量は、粘着剤組成物中に各成分に該当する物質を複数種併用する場合には、特に断らない限り、その成分に該当する複数種の物質の合計量を意味する。
更に(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの少なくとも一方を意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタアクリレートの少なくとも一方を意味する。
更に(メタ)アクリル系重合体とは、(メタ)アクリル系重合体を構成する単量体のうち、少なくとも主成分である単量体が(メタ)アクリロイル基を有する単量体である重合体を意味する。ここでいう主成分である単量体とは、重合体を構成する単量体の中で最も含有率(質量%)が大きい単量体を意味する。本発明の一実施態様で用いる(メタ)アクリル系重合体では、主成分である(メタ)アクリロイル基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が全構成単位の50質量%以上である。
更に粘着剤組成物とは、反応が終了する前の組成物であって、例えば、液状、ペースト状又は粉末状の組成物を意味する。
更に粘着剤層とは、反応が終了した後の層であって、例えば、固形状又はゲル状の層を意味する。
【0015】
〔粘着剤組成物〕
本発明の粘着剤組成物は、分岐鎖アルキル基を有するアルキルメタクリレートの含有率が35質量%以上、水酸基を有する単量体の含有率が35質量%以下、かつ環状構造を有する単量体の含有率が10質量%未満である単量体成分を少なくとも一部付加重合してなる(メタ)アクリル系重合体(A)と、光重合開始剤(B)と、2つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合性単量体(C)と、を含み、前記単量体成分を全て付加重合した場合に得られる重合体のガラス転移温度が-50℃以上-15℃以下であり、下記式(1)の値が0.06~0.3である。なお、本発明の粘着剤組成物は、単量体成分の一部が付加重合されている場合、未反応の単量体成分を含む。
【0016】
【数2】
【0017】
ここで、式(1)における「単量体成分の質量」は、(メタ)アクリル系重合体(A)を少なくとも一部付加重合する際に用いる単量体成分の合計の質量であり、重合性単量体(C)の質量は含めないものとする。
【0018】
本発明の粘着剤組成物は、粘着剤層としたときに比誘電率が低く、段差追従性及び耐ディレイバブル性に優れており、その理由は以下のように推測される。
【0019】
本発明の粘着剤組成物では、単量体成分が分岐鎖アルキル基を有するアルキルメタクリレートを35質量%以上含み、かつ、単量体成分における水酸基を有する単量体の含有率が35質量%以下であるため、粘着剤層としたときに比誘電率が低くなる。
【0020】
また、本発明の粘着剤組成物は、単量体成分を全て付加重合した場合に得られる重合体のガラス転移温度が-50℃以上であるため、粘着剤層が優れた凝集力を有し、耐ディレイバブル性が良好となる。一方、本発明の粘着剤組成物は、前述の重合体のガラス転移温度が-15℃以下であるため、硬くなりすぎず、段差追従性が良好となる。
【0021】
また、本発明の粘着剤組成物は、前述の式(1)の値が0.06~0.3であるため、粘着剤層の凝集力が適度となり、段差追従性及び耐ディレイバブル性に優れる。前述の式(1)の値は、2つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合性単量体(C)(以下、「重合性単量体(C)」とも称する)における(メタ)アクリロイルオキシ基の物質量(mmol)を単量体成分の質量で割った値((メタ)アクリロイルオキシ基の物質量/単量体成分の質量)を表す。すなわち、式(1)の数値が大きいことは、単量体成分に対して重合性単量体(C)における(メタ)アクリルロイルオキシ基の量が多いことを表し、式(1)の数値が小さいことは、単量体成分に対して重合性単量体(C)における(メタ)アクリルロイルオキシ基の量が少ないことを表す。
また、粘着剤層は重合性単量体(C)と、単量体成分の一部が付加重合されている場合に存在する未反応の単量体成分と、光重合開始剤(B)と、が反応して三次元構造の重合体を有し、この重合体が(メタ)アクリル系重合体(A)と物理的に相互作用し、架橋に疑似する構造になると推測される。このとき、前述の式(1)の値が特定の数値範囲内であるため、前述の三次元構造の重合体の凝集力が適度となり、段差追従性及び耐ディレイバブル性に優れる。
【0022】
また、本発明の粘着剤組成物は、3つ以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合性単量体を含む場合と比較して、反応により形成される重合体がより柔軟となり、粘着剤層の段差追従性に優れる。更に、本発明の粘着剤組成物は、(メタ)アクリロイル基以外のエチレン性二重結合を2つ有する重合性単量体を含む場合と比較して、反応性に優れており、優れた凝集力を有するため、耐ディレイバブル性が良好な粘着剤層が得られやすい。
【0023】
前述の式(1)の値は、段差追従性及び耐ディレイバブル性により優れる点から、0.1~0.25であることが好ましく、0.15~0.2であることがより好ましい。
【0024】
[(メタ)アクリル系重合体(A)]
本発明で用いる(メタ)アクリル系重合体(A)は、分岐鎖アルキル基を有するアルキルメタクリレートの含有率が35質量%以上、水酸基を有する単量体の含有率が35質量%以下、かつ環状構造を有する単量体の含有率が10質量%未満である単量体成分を少なくとも一部付加重合してなる。
【0025】
分岐鎖アルキル基を有するアルキルメタクリレートとしては、分岐鎖アルキル基を有するものであれば特に限定されず、炭素数が5~9の分岐鎖アルキル基を有するアルキルメタアクリレートであることが好ましい。なお、分岐鎖アルキル基を有するアルキルメタクリレートは、分岐した構造を有するため、モル体積が大きく、双極子モーメントが小さい。このため、(メタ)アクリル系重合体(A)のモル体積を大きく、かつ双極子モーメントを小さくすることができ、(メタ)アクリル系重合体(A)を含む粘着剤組成物は、比誘電率の低い粘着剤層を形成できると考えられる。
【0026】
分岐鎖アルキル基を有するアルキルメタクリレートとしては、例えば、イソブチルメタクリレート、sec-ブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、イソペンチルメタクリレート、イソヘキシルメタクリレート、イソヘプチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、及びイソノニルメタクリレートが挙げられる。これらの中でも、比誘電率の点から、2-エチルヘキシルメタクリレートが好ましい。
分岐鎖アルキル基を有するアルキルメタクリレートは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0027】
単量体成分における分岐鎖アルキル基を有するアルキルメタクリレートの含有率は、比誘電率の点から、全単量体成分に対して40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が更に好ましい。また、単量体成分における分岐鎖アルキル基を有するアルキルメタクリレートの含有率は、高温高湿環境下であっても白化しない性質を調整する点から、全単量体成分に対して90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、80質量%以下が更に好ましい。
【0028】
水酸基を有する単量体としては、例えば、水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体、不飽和アルコールが挙げられる。
水酸基を有する単量体は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0029】
水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-メチル-3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,1-ジメチル-3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,3-ジメチル-3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,2,4-トリメチル-3-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-3-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートに代表されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、N-メチロールアクリルアミドが挙げられる。
【0030】
中でも水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、他の単量体との相溶性及び共重合性が良好である点から、炭素数1~5のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数2~4のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートがより好ましい。水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、具体的には、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートの少なくとも一方が好ましく、2-ヒドロキシエチルアクリレート及び4-ヒドロキシブチルアクリレートの少なくとも一方がより好ましい。
【0031】
不飽和アルコールとしては、例えば、アリルアルコール、メタリルアルコールが挙げられる。
【0032】
本発明で用いる単量体成分では、水酸基を有する単量体の含有率が、比誘電率の点から、全単量体成分に対して35質量%以下であればよく、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、15質量%以下が更に好ましい。また、本発明で用いる単量体成分では、水酸基を有する単量体の含有率が、粘着剤層の粘着力の点から、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましい。また、粘着剤層の比誘電率及び粘着力の点から、水酸基を有する単量体の含有率は、1質量%~25質量%が好ましい。
また、単量体成分は、水酸基を有する単量体を含んでいなくてもよい。
【0033】
本発明で用いる単量体成分は、分岐鎖アルキル基を有するアルキルメタクリレート及び水酸基を有する単量体の他、更に、アルキルアクリレート、分岐鎖アルキル基を有さないアルキルメタクリレート等を含んでいてもよい。
【0034】
アルキルアクリレートとしては、その種類は特に制限されず、無置換のアルキルアクリレートが好ましい。後述するとおり、環状構造を有する単量体の含有率が全単量体成分に対して10質量%未満であれば、アルキルアクリレートのアルキル基は、直鎖、分枝又は環状のいずれであってもよい。また、アルキルアクリレートのアルキル基の炭素数は1~18が好ましく、5~9がより好ましい。
アルキルアクリレートは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0035】
アルキルアクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec-ブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、n-オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-ノニルアクリレート、イソノニルアクリレート、n-デシルアクリレート、n-ドデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレートが挙げられる。中でも、比誘電率の点から、2-エチルヘキシルアクリレートが好ましい。
【0036】
本発明で用いる単量体成分は、アルキルアクリレートを、全単量体成分に対して10質量%~65質量%有することが好ましく、15質量%~50質量%有することがより好ましく、20質量%~40質量%有することが更に好ましい。
【0037】
分岐鎖アルキル基を有さないアルキルメタクリレートとしては、その種類は特に制限されず、無置換のアルキルメタクリレートが好ましい。アルキルメタクリレートのアルキル基は、直鎖又は環状のいずれであってもよい。また、アルキルメタクリレートのアルキル基の炭素数は1~18が好ましく、5~9がより好ましい。
分岐鎖アルキル基を有さないアルキルメタクリレートは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0038】
分岐鎖アルキル基を有さないアルキルメタクリレートとしては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、n-オクチルメタクリレート、n-ノニルメタクリレート、n-デシルメタクリレート、n-ドデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレートが挙げられる。
【0039】
本発明で用いる単量体成分では、分岐鎖アルキル基を有さないアルキルメタクリレートの含有率は、全単量体成分に対して10質量%未満であってもよく、5質量%以下であってもよい。
【0040】
本発明で用いる単量体成分では、環状構造を有する単量体の含有率が全単量体成分に対して10質量%未満である。これにより、粘着剤層の柔軟性に優れ、段差追従性により優れる傾向にある。また、環状構造を有する単量体の含有率は、全単量体成分に対して5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましく、0質量%が特に好ましい。
なお、本明細書において、水酸基を有し、かつ環状構造を有する単量体は、水酸基を有する単量体として扱う。
【0041】
環状構造を有する単量体としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、N-ビニル-ε-カプロラクタム、N-ビニル-2-ピロリドン、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、無水マレイン酸、桂皮酸、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,2-ジカルボキシシクロヘキサンモノヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0042】
本発明で用いる単量体成分は、カルボキシ基を有する単量体を含んでいてもよい。カルボキシ基を有する単量体としては、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体が挙げられる。
【0043】
カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、桂皮酸、コハク酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、マレイン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フマル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,2-ジカルボキシシクロヘキサンモノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0044】
単量体成分における、カルボキシ基を有する単量体の含有率は、金属の腐食を抑制する点から、全単量体成分に対して0.5質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、0質量%すなわち含まないことが更に好ましい。
【0045】
本発明で用いる単量体成分は、前述のアルキル(メタ)アクリレート、水酸基を有する単量体、環状構造を有する単量体及びカルボキシ基を有する単量体以外のその他の単量体を含んでいてもよい。その他の単量体としては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートに代表される窒素原子を有する(メタ)アクリル系単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリルに代表されるシアン化ビニル単量体、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルに代表されるカルボン酸ビニル単量体が挙げられる。
【0046】
本発明に用いる単量体成分を全て付加重合した場合に得られる重合体のガラス転移温度(Tg)は、-50℃以上-15℃以下である。前述の重合体のTgは、段差追従性及び耐ディレイバブル性の点から、-45℃以上-20℃以下が好ましく、-40℃以上-25℃以下がより好ましい。
【0047】
前述の重合体のガラス転移温度(Tg)は、下記式の計算により求められるモル平均ガラス転移温度である。
1/Tg=m/Tg+m/Tg+・・・+m(k-1)/Tg(k-1)+m/Tg
・・・(式2)
式2中、Tg、Tg、・・・、Tg(k-1)、Tgは、単量体成分に含まれる各単量体を単独重合体としたときの絶対温度(K)で表されるガラス転移温度である。m、m、・・・、m(k-1)、mは、(メタ)アクリル系重合体(A)を構成する各単量体のモル分率をそれぞれ表し、m+m+・・・+m(k-1)+m=1である。
【0048】
なお、「単独重合体としたときの絶対温度(K)で表されるガラス転移温度」は、その単量体を単独で重合して製造した単独重合体の絶対温度(K)で表されるガラス転移温度をいう。単独重合体のガラス転移温度は、その単独重合体を、示差走査熱量測定装置(DSC)(セイコーインスツルメンツ株式会社製、EXSTAR6000)を用い、窒素気流中、測定試料10mg、昇温速度10℃/分の条件で測定を行い、得られたDSCカーブの変曲点を、単独重合体のガラス転移温度としたものである。
【0049】
代表的な単量体の「単独重合体のセルシウス温度(℃)で表されるガラス転移温度」は、2-エチルヘキシルアクリレートは-76℃であり、2-エチルヘキシルメタクリレートは-10℃であり、シクロヘキシルメタクリレートは56℃であり、ラウリルメタクリレートは-65℃であり、2-ヒドロキシエチルメタクリレートは55℃であり、2-ヒドロキシエチルアクリレートは-15℃であり、イソステアリルアクリレートは-18℃であり、N-ビニルピロリドンは174℃であり、4-ヒドロキシブチルアクリレートは-39℃である。
例えば、単独重合体のガラス転移温度が異なる単量体を用いることで、前述の重合体のガラス転移温度(Tg)を適宜調製できる。
なお、絶対温度(K)から273を引くことで絶対温度(K)をセルシウス温度(℃)に換算可能であり、セルシウス温度(℃)に273を足すことでセルシウス温度(℃)を絶対温度(K)に換算可能である。
【0050】
(メタ)アクリル系重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、40万~300万であってもよい。
(メタ)アクリル系重合体(A)の重量平均分子量(Mw)が、40万以上であると、粘着剤層に十分な凝集力を付与することが可能となり、加工性及び耐ディレイバブル性に優れる傾向がある。また、(メタ)アクリル系重合体(A)の重量平均分子量(Mw)が、300万以下であると、粘着剤組成物の製造が容易となる。
上記の点から、(メタ)アクリル系重合体(A)の重量平均分子量(Mw)としては、40万~80万であってもよく、45万~70万であってもよい。
【0051】
なお、(メタ)アクリル系重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて下記(1)~(3)に従って測定される値である。
(1)(メタ)アクリル系重合体(A)の溶液を剥離紙に塗布し、100℃で2分間乾燥させ、フィルム状の(メタ)アクリル系重合体(A)を得る。
(2)上記(1)で得られたフィルム状の(メタ)アクリル系重合体(A)をテトラヒドロフランに固形分0.2質量%となるように溶解させる。
(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、下記条件にて、標準ポリスチレン換算値として、(メタ)アクリル系重合体(A)の重量平均分子量(Mw)を測定する。
(条件)
GPC :HLC-8220 GPC(東ソー株式会社製)
カラム :TSK-GEL GMHXL 4本使用(東ソー株式会社製)
移動相溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流速 :0.6mL/分
カラム温度:40℃
【0052】
(メタ)アクリル系重合体(A)の製造方法は、特に限定されない。(メタ)アクリル系重合体(A)は、分岐鎖アルキル基を有するアルキルメタクリレートと、必要に応じて水酸基を有する単量体等とを含む単量体成分を重合して製造することが可能である。
(メタ)アクリル系重合体(A)の重合方法は、特に限定されない。例えば、分岐鎖アルキル基を有するアルキルメタクリレートを少なくとも含む単量体成分、及び光重合開始剤を混合し、混合物に活性エネルギー線を照射して、少なくとも一部を重合させることによって(メタ)アクリル系重合体(A)を重合してもよい。
なお、(メタ)アクリル系重合体(A)の重合に用いる光重合開始剤としては、後述の光重合開始剤(B)を用いればよい。
【0053】
光重合開始剤の使用量は、(メタ)アクリル系重合体(A)を構成する単量体の合計量100質量部に対して、0.01質量部~1質量部が好ましく、0.01質量部~0.05質量部がより好ましい。
【0054】
(メタ)アクリル系重合体(A)を重合する際は、分岐鎖アルキル基を有するアルキルメタクリレートと、必要に応じて水酸基を有する単量体等とを含む単量体成分を一部付加重合させ、未反応の分岐鎖アルキル基を有するアルキルメタクリレート及び水酸基を有する単量体等と、(メタ)アクリル系重合体(A)との混合物を得てもよい。そのため、本発明の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系重合体(A)とともに、分岐鎖アルキル基を有するアルキルメタクリレート、水酸基を有する単量体等の単量体成分などを通常含む。
【0055】
単量体成分を少なくとも一部付加重合させた際の重合率は、5%~40%であることが好ましい。重合率が前述の数値範囲内であることにより、粘着剤組成物の粘度が適度な値となり、塗布性が良好となる傾向にある。例えば、(メタ)アクリル系重合体(A)のMwが40万~80万である場合、粘着剤組成物の塗布性の点から、重合率は、30%~40%であることが好ましく、32%~38%であることがより好ましく、33%~37%であることが更に好ましい。
【0056】
なお、重合率は、例えば、前述の単量体成分及び光重合開始剤を混合し、混合物に活性エネルギー線を照射して、単量体成分の少なくとも一部を重合させる態様、すなわち溶媒を用いずに単量体成分の少なくとも一部を重合させる態様では、(メタ)アクリル系重合体(A)液の一部を採取し、揮発させた後の固形分の質量を測定し、揮発分の質量を未反応の単量体成分の質量とし、固形分の質量を(メタ)アクリル系重合体(A)の質量とすることで求められる。
【0057】
[光重合開始剤(B)]
本発明の粘着剤組成物は、光重合開始剤(B)を含む。粘着剤組成物が光重合開始剤を含むと、光重合開始剤から生成したラジカルによって、後述する重合性単量体(C)がラジカル重合して硬化し、粘着剤層を形成することが可能となる。また、(メタ)アクリル重合体(A)として単量体成分を一部付加重合させたものを用いる場合、光重合開始剤から生成したラジカルによって、未反応の分岐鎖アルキル基を有するアルキルメタクリレート、必要に応じて水酸基を有する単量体等も、ラジカル重合して硬化する。
光重合開始剤(B)としては、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。
【0058】
光重合開始剤(B)としては、例えば、ベンゾイン誘導体化合物、ベンジルケタール化合物、α-ヒドロキシアセトフェノン化合物、チオキサントン化合物及びアシルホスフィンオキサイド化合物が挙げられる。
光重合開始剤(B)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤(B)の具体例としては、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184、BASFジャパン株式会社)、2-ヒドロキシ-2-メチル-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー(商品名:エサキュアONE、ランバルティ株式会社)、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン(商品名:イルガキュア2959、BASFジャパン株式会社)、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン(商品名:イルガキュア127、BASFジャパン株式会社)、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(商品名:イルガキュア651、BASFジャパン株式会社)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(商品名:ダロキュア1173、BASFジャパン株式会社)、2-メチル-1-[(4-メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン(商品名:イルガキュア907、BASFジャパン株式会社)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタノン-1、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(商品名:ルシリンTPO、BASFジャパン株式会社)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(商品名:イルガキュア819、BASFジャパン株式会社)、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0059】
これらの中でも、光重合開始剤(B)としては、重合性単量体(C)との相溶性が良好であり、粘着剤組成物の黄変が生じにくく、かつ、臭いが少ないという点から、α-ヒドロキシアセトフェノン化合物が好ましく、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オンがより好ましい。
【0060】
本発明の粘着剤組成物中における光重合開始剤(B)の含有量は、単量体成分100質量部に対して、0.7質量部~1.3質量部が好ましく、0.9質量部~1.1質量部がより好ましい。
【0061】
[重合性単量体(C)]
本発明の粘着剤組成物は、2つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合性単量体(C)を含む。例えば、重合性単量体(C)は、2つの(メタ)アクリロイルオキシ基、並びにアルキレン基及びアルキレンオキシ基の少なくとも一方から構成されることが好ましい。
重合性単量体(C)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0062】
重合性単量体(C)としては、例えば、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールA(ポリ)エトキシジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールA(ポリ)プロポキシジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールF(ポリ)エトキシジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールF(ポリ)プロポキシジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールS(ポリ)エトキシジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールS(ポリ)プロポキシジ(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0063】
重合性単量体(C)としては、脂環式構造を有する化合物が好ましい。脂環式構造を有する化合物としては、前述の脂環式(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0064】
[その他の成分]
本発明の粘着剤組成物は、必要に応じて、耐候性安定剤、可塑剤、軟化剤、剥離助剤、染料、顔料、無機充填剤、界面活性剤、酸化防止剤、金属腐食防止剤、光安定剤等を含んでもよい。
【0065】
本発明の粘着剤組成物は、有機溶剤を含んでもよいが、後述する粘着シートとした際の発泡を抑制し、剥がれを抑制する観点から、有機溶剤を含まないことが好ましい。粘着剤組成物が有機溶剤を含む場合、有機溶剤の含有率としては、粘着剤組成物の全質量に対して、5質量%以下が好ましい。有機溶剤を含まないとは、実質的に有機溶剤を含まないことを意味し、具体的に有機溶剤の含有率が0.1質量%以下であることを示す。
【0066】
有機溶剤としては、例えば、メタノール、プロパノールに代表されるアルコール系有機溶剤、トルエン、キシレンに代表される芳香族炭化水素系有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチルに代表されるエステル系有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトンに代表されるケトン系有機溶媒、n-ヘキサン、シクロヘキサンに代表される脂肪族炭化水素系有機溶剤、テトラヒドロフランに代表されるエーテル系有機溶剤、ジクロロメタンに代表される塩素系有機溶剤が挙げられる。
【0067】
(ゲル分率)
本発明の粘着剤組成物は、反応後のゲル分率が20%~80%であることが好ましく、35%~70%であることがより好ましく、50%~65%であることが更に好ましい。反応後のゲル分率が20%以上であることにより、粘着剤層の凝集力に優れ、耐ディレイバブル性に優れる傾向にあり、反応後のゲル分率が80%以下であることにより、段差追従性に優れる傾向にある。
【0068】
本明細書において、反応後のゲル分率は、酢酸エチルを抽出溶媒に用いて測定される、溶媒不溶分の割合である。具体的には、後述の実施例に記載の方法に従って測定する。
【0069】
〔粘着シート〕
本発明は、上述した粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有する粘着シートであってもよい。本発明の粘着シートは、基材を有しない無基材タイプの粘着シートでもよく、基材の少なくとも片面に粘着剤層を有する有基材タイプの粘着シートでもよい。
【0070】
本発明の粘着シートが基材を有する場合、基材の材料としては、樹脂フィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム)が挙げられる。
また、基材は、透明であることが好ましい。
基材の厚さは、特に限定されず、例えば、耐久性の観点からは、5μm~100μmが好ましい。
【0071】
粘着剤層は、露出した面が剥離フィルムによって保護されていてもよい。
剥離フィルムは、粘着剤層からの剥離が容易に行なえるものであれば、特に限定されない。剥離フィルムとしては、例えば、少なくとも片面に剥離処理剤を用いた易剥離処理が施された樹脂フィルム(例えば、PET等のポリエステルフィルム)が挙げられる。
剥離処理剤としては、フッ素系樹脂、パラフィンワックス、シリコーン、長鎖アルキル基化合物等が挙げられる。
剥離フィルムは、粘着シートを実用に供するまでの間、粘着剤層の表面を保護し、使用時に剥離される。
【0072】
粘着剤層の厚さは、特に制限されるものではなく、用途、求められる性能等に応じて、適宜設定できる。粘着剤層の厚さは、段差追従性の観点及び粘着シートの生産性の観点から、例えば、20μm~300μmの範囲に設定することが好ましい。
【0073】
粘着剤層は、本発明の粘着シートをタッチパネル構成部材の貼合、及び液晶ディスプレイ(LCD)とタッチパネルとの貼合に適用したときの視認性の観点から、透明性が高いことが好ましい。
【0074】
粘着剤層の透明性は、ヘイズ(JIS K 7136(2000年))により評価できる。
粘着剤層のヘイズは、本発明の粘着シートをタッチパネル構成部材の貼合、及び液晶ディスプレイ(LCD)とタッチパネルとの貼合に適用したときの視認性の観点から、2.0%未満が好ましく、1.0%未満がより好ましく、0.5%以下が更に好ましい。
【0075】
本発明の粘着シートは、比誘電率が低く、かつ、段差追従性及び耐ディレイバブル性に優れているため、タッチパネル、ディスプレイパネル等における光学部材の貼合に好適に用いることができる。すなわち、本発明の粘着シートは、例えば、偏光板、位相差板、反射防止フィルム、視野角拡大フィルム、輝度上昇フィルム、透明導電性フィルム、液晶セル、ガラス基板、保護フィルム、プラスチック板に代表される保護板等の光学部材の貼合に好適に用いることができる。
【0076】
[粘着シートの作製方法]
本発明の粘着シートの作製方法は、特に限定されない。本発明の粘着シートは、例えば、以下の方法によって作製することができる。
無基材タイプの粘着シートは、例えば、剥離フィルムの剥離処理面に粘着剤組成物を塗布し、乾燥させ、反応を起こして粘着剤層を形成した後、この粘着剤層上に別の剥離フィルムを剥離処理面が接するように重ねることで作製できる。
有基材タイプの粘着シートは、例えば、基材の両面に粘着剤組成物を塗布し、活性エネルギー線を照射して反応を起こして粘着剤層を形成した後、基材の両面に形成された粘着剤層上に、それぞれ剥離フィルムを剥離処理面が接するように重ねることで作製できる。
また、有基材タイプの粘着シートは、例えば、剥離フィルムの剥離処理面に粘着剤組成物を塗布し、活性エネルギー線を照射して反応を起こして粘着剤層を形成した後、得られた剥離フィルム付きの粘着剤層を基材の両面に重ねる方法によっても作製できる。
【0077】
剥離フィルム、基材等に粘着剤組成物を塗布する方法としては、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、ドクターブレード等を用いた公知の塗布方法が挙げられる。
【0078】
活性エネルギー線としては、紫外線、赤外線、可視光線、電子線等が挙げられる。硬化感度及び装置の入手容易性の観点から、活性エネルギー線としては、紫外線又は電子線が好ましく、紫外線がより好ましい。
【0079】
活性エネルギー線の照射が可能な光源としては、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、紫外線レーザー、キセノンランプ、UV-LED、ブラックライト、ケミカルランプ等が挙げられる。
【0080】
照射される活性エネルギー線の照度としては、使用する粘着剤組成物に応じて、適宜選択すればよく、10mW/cm~300mW/cmが好ましく、30mW/cm~150mW/cmがより好ましい。
【0081】
活性エネルギー線の照射条件としては、特に制限はなく、粘着剤組成物の組成、粘着シートの厚みなどに応じて選択し得るが、例えば、高圧水銀灯を用いた場合であれば、積算光量100mJ/cm~2000mJ/cmが好ましい。
【0082】
[タッチパネル]
本発明の粘着剤組成物又は粘着シートを用いたタッチパネルは、タッチパネル構成部材と、既述の本発明の粘着剤組成物で形成された粘着剤層を有する。例えば、一実施形態である静電容量方式のタッチパネルでは、透明導電性フィルム、意匠フィルム等が粘着剤層によって貼合され、積層した構成(例えば、透明導電性フィルム/粘着剤層/透明導電性フィルム/粘着剤層/意匠フィルム)となる。
また、タッチパネルは、例えば液晶ディスプレイ(LCD)などの表示装置に、粘着剤層によって貼合されていてもよい。
【0083】
本発明の粘着剤組成物で形成された粘着剤層は、上述したように、比誘電率が低い。かかる粘着剤層を有するタッチパネルは、動作時にタッチパネル内部の静電容量が適切な値に保たれるため、静電容量に起因する誤作動が抑制される。また、粘着剤層は、透明性に優れるため、視認性が良好となる。
【実施例
【0084】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0085】
<製造例A-1>
〔(メタ)アクリル系重合体(A)液の製造〕
温度計、撹拌機、窒素導入管、活性エネルギー線照射装置、及び還流冷却管を備えた反応器内に、2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)82.5質量部(全単量体成分に対して55質量%)、2-エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA)52.5質量部(全単量体成分に対して35質量%)及び2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2HEMA)15.0質量部(全単量体成分に対して10質量%)からなる単量体混合液150質量部と、光重合開始剤であるビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(商品名:イルガキュアTPO、BASFジャパン株式会社製)0.05質量部と、を仕込み、反応器内を窒素置換した。
次いで、反応器内の混合物を撹拌しながら30℃に昇温した後に、活性エネルギー線照射装置より紫外線を4000mJ/cmとなるように混合物に照射することで、重合率約35%の部分重合物である、(メタ)アクリル系重合体(A)と未反応の単量体成分とを含む(メタ)アクリル系重合体(A)液を得た。
製造例A-1で得られた(メタ)アクリル系重合体(A)のガラス転移温度(単量体成分が全て付加重合したと仮定したときの計算値、以下同様)は、-45℃である。
【0086】
<製造例A-2~A-8>
以下の表1に示す単量体組成としたこと以外は、前述の製造例A-1と同様にして、重合率約35%の部分重合物である、(メタ)アクリル系重合体(A)と未反応の単量体成分とを含む(メタ)アクリル系重合体(A)液を得た。
製造例A-2~A-8にて製造した(メタ)アクリル系重合体(A)の単量体組成及びガラス転移温度を表1に示す。
【0087】
<製造例B-1~B-6>
以下の表1に示す単量体組成としたこと以外は、前述の製造例A-1と同様にして、その他の(メタ)アクリル系重合体液を得た。なお、製造例B-1、B-2及びB-4~B-6では、重合率約35%の部分重合物である、(メタ)アクリル系重合体と未反応の単量体成分とを含むその他の(メタ)アクリル系重合体液を製造した。製造例B-3では、重合率約10%の部分重合物である、(メタ)アクリル系重合体と未反応の単量体成分とを含むその他の(メタ)アクリル系重合体液を製造した。
製造例B-1~B-6にて製造したその他の(メタ)アクリル系重合体の単量体組成及びガラス転移温度を表1に示す。
なお、表1中の単量体成分における数値の単位は、質量%であり、Tgの単位は前述の計算式で求めたセルシウス温度(℃)である。
【0088】
【表1】
【0089】
表1中、CHMAはシクロヘキシルメタクリレートを表し、LMAはラウリルメタクリレートを表し、ISTAはイソステアリルアクリレートを表し、2HEMAは2-ヒドロキシエチルメタクリレートを表し、2HEAは2-ヒドロキシエチルアクリレートを表し、NVPはN-ビニルピロリドンを表し、4HBAは4-ヒドロキシブチルアクリレートを表す。
【0090】
(実施例1)
<粘着剤組成物の調製>
製造例A-1で得られた(メタ)アクリル系重合体(A)液100質量部に、光重合開始剤である1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184、BASFジャパン株式会社製)1.0質量部と、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(商品名:A-DCP、新中村化学工業株式会社製、分子量=304.4)2.7質量部とを加えて混合し、粘着剤組成物を調製した。
なお、実施例1における前述の式(1)の値は、以下のようにして求めた。
重合性単量体(C)の質量/単量体成分の質量…2.7/100
重合性単量体(C)の分子量…304.4
重合性単量体(C)中の(メタ)アクリロイルオキシ基の数…2
(2.7/100)×(1/304.4)×2×1000=0.177
【0091】
(実施例2~14)
実施例2~14では、以下の表2に示す粘着剤組成物の組成としたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物を調製した。
【0092】
(比較例1~10)
比較例1~10では、以下の表2に示す粘着剤組成物の組成としたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物を調製した。
詳細には、比較例1では、単量体成分における分岐鎖アルキル基を有するアルキルメタクリレートである2EHMAの含有率が35質量%未満であった。
比較例2では、単量体成分における水酸基を有する単量体の含有率が35質量%超えであり、かつガラス転移温度が-15℃超えであった
比較例3では、重合性単量体(C)の替わりに、3つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合性単量体を用いた。なお、比較例3及び後述の比較例4では、式(I)の値は、式(I)中の重合性単量体(C)を3つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合性単量体に置き換えて算出した。
比較例4では、単量体成分における環状構造を有する単量体の含有率が10質量%以上であり、かつ、重合性単量体(C)の替わりに、3つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合性単量体を用いた。
比較例5では、単量体成分における環状構造を有する単量体の含有率が10質量%以上であった。
比較例6及び7では、ガラス転移温度がそれぞれ-15℃超え及び-50℃未満であった。
比較例8では、重合性単量体(C)の替わりに、2つのビニル基を有する重合性単量体を用いた。なお、比較例8では、式(I)の値は、式(I)中の重合性単量体(C)を2つのビニル基を有する重合性単量体に、「(メタ)アクリロイルオキシ基の数」を「ビニル基の数」に置き換えて算出した。
比較例9では、重合性単量体(C)を用いなかった。
比較例10では、前述の式(1)の値が0.3超えであった。
【0093】
<両面粘着シートの作製>
調製した粘着剤組成物を、シリコーン系剥離処理剤で易剥離処理された剥離フィルム(商品名:フィルムバイナ100E、藤森工業株式会社製)の剥離処理面に、最終的な粘着剤層の厚みが100μmとなるように塗布し、塗布層を形成した。その後、塗布層の表面を、別途用意した剥離フィルム(商品名:フィルムバイナ25E-0010BD、藤森工業株式会社製)の剥離処理面が塗布層側になるように被覆することで、粘着剤組成物の塗布層を酸素から遮断した。このようにして得られた塗布層を有するシートに高圧水銀灯を用いて照度120mW/cm、積算光量3000mJ/cmの条件で、活性エネルギー線を照射した。このようにして無基材タイプの両面粘着シート(剥離フィルム/粘着剤層/剥離フィルム)を作製した。作製した両面粘着シートを試験用サンプルとした。
【0094】
<比誘電率>
前記試験用サンプルの一方の剥離フィルムを剥がし、電解銅箔(古河電気工業株式会社製、10μm、NC-WC処理品)を剥離フィルムを剥がした面に貼り合せた。その後、試験用サンプルの他方の剥離フィルムを剥がし、粘着剤層が露出した面に、さらに別の、一方の剥離フィルムを剥がした試験サンプルの粘着剤層が露出した面を貼り合せた。この試験用サンプルを貼り合せる手順を、粘着剤層が200μmの厚みになるまで繰り返した。粘着剤層が200μmの厚みとなったところで、最後に貼り合せた試験用サンプルの剥離フィルムを剥がし、粘着剤層が露出した面に、電解銅箔を貼り合せた。このようにして得られた2枚の電解銅箔の間に200μmの厚みの粘着剤層が積層されたサンプルを、50mm×50mmのサイズにカットして比誘電率測定サンプルとした。
【0095】
比誘電率の測定は、Agilent Technologies製マテリアル・アナライザ 4291Bを用いて以下の条件で行った。次いで、粘着剤層の比誘電率を以下の基準で評価した。下記評価基準のA、B及びCは、実用上問題の無いレベルであり、Dは実用上問題のあるレベルである。
-測定条件-
測定治具:Agilent Technologies製Dielectric Test Fixture 16453A
測定周波数:1MHz
-評価基準-
A:比誘電率が3.0未満である。
B:比誘電率が3.0以上3.5未満である。
C:比誘電率が3.5以上4.0未満である。
D:比誘電率が4.0以上である。
【0096】
<段差追従性>
前記試験用サンプルの一方の剥離フィルム(フィルムバイナ25E-0010BD)を剥がし、粘着剤層が露出した面を、易接着処理されたPETフィルム(商品名:A-4100、東洋紡株式会社製、厚み100μm)の易接着処理された面に貼り合わせた。その後、もう一方の剥離フィルム(フィルムバイナ100E)を剥がし、粘着剤層が露出した面に、20μmの段差を有する部材(PETフィルムに、インクをスクリーン印刷し、膜厚20μmの段差を形成したもの)を貼り付けて試験片とした。前記試験片をオートクレーブ処理(5気圧、50℃、20分間)後、目視にて外観を確認し、以下の基準で評価した。下記評価基準のA、B及びCは、実用上問題の無いレベルであり、Dは実用上問題のあるレベルである。
-評価基準-
A:気泡の長さが3mm未満か、確認できない。
B:気泡の長さが3mm以上10mm未満である。
C:気泡の長さが10mm以上15mm未満である。
D:気泡の長さが15mm以上である。
【0097】
<耐ディレイバブル性>
上記段差追従性評価と同様に、試験片をオートクレーブ処理(5気圧、50℃、20分間)した。次いで、試験片を85℃環境で1時間保管し、目視にて外観を確認し、以下の基準で評価した。下記評価基準のA、B及びCは、実用上問題の無いレベルであり、Dは実用上問題のあるレベルである。
-評価基準-
A :気泡の長さが3mm未満か、確認できない。
B :気泡の長さが3mm以上10mm未満である。
C :気泡の長さが10mm以上15mm未満である。
D :気泡の長さが15mm以上である。
【0098】
<粘着力>
前記試験用サンプルの一方の剥離フィルム(フィルムバイナ25E-0010BD)を剥がし、粘着剤層が露出した面を、易接着処理されたPETフィルム(A-4100(東洋紡株式会社製)、厚み100μm)の易接着処理された面に貼り合わせた。この試験用サンプルを25mm×150mmにカット後、もう一方の剥離フィルム(フィルムバイナ100E)を剥がし、ガラス板表面に重さ2kgのゴムローラーを用いて粘着剤層がガラス板(松浪硝子工業株式会社製、光学ソーダガラス)に接するように圧着して粘着力評価用サンプルとした。この粘着力評価用サンプルを23℃、50%RHの条件下で24時間放置した後、180゜剥離における粘着力(N/25mm)を剥離速度300mm/minで測定し、下記評価基準に従って評価した。下記評価基準のA、B及びCは、実用上問題の無いレベルであり、Dは実用上問題のあるレベルである。
-評価基準-
A :粘着力が20N/25mm以上であり、かつ凝集破壊がない。
B :粘着力が10N/25mm以上20N/25mm未満であり、かつ凝集破壊がない。
C :粘着力が5N/25mm以上10N/25mm未満であり、かつ凝集破壊がない。
D :粘着力が5N/25mm未満であるか、又は凝集破壊している。
【0099】
<ゲル分率の測定>
前記試験用サンプルの両面の剥離フィルムを剥がして得られる粘着剤層を用いて以下の手順(1)~(4)により、ゲル分率を測定した。
(1) 精密天秤にて質量を正確に測定した250メッシュの金網(100mm×100mm)に粘着剤層を約0.25g貼付し、ゲル分が漏れないように包む。その後、精密天秤にて質量を正確に測定して試料を作製する。
(2)得られた試料を酢酸エチル80mlに3日間浸漬する。
(3)試料を取り出して少量の酢酸エチルにて洗浄し、100℃で24時間乾燥させる。その後、精密天秤にて質量を正確に測定する。
(4)下式によりゲル分率を計算する。
ゲル分率(質量%)=[(Z-X)/(Y-X)]×100
但し、Xは金網の質量(g)、Yは粘着剤層を貼付した金網の浸漬前の質量(g)、Zは粘着剤層を貼付した金網の浸漬、乾燥後の質量(g)である。
【0100】
以下の表2に、実施例1~14及び比較例1~10にて得られた粘着剤組成物の組成、試験用サンプルの測定結果及び評価結果を示す。
なお、表2中の2官能及び3官能の重合性単量体の数値は、(メタ)アクリル系重合体液を100質量部としたときの質量部である。
【0101】
【表2】
【0102】
なお、表2中に示す化合物(重合性単量体)は、以下の通りである。
HDDAは1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製、分子量=226.3)を表し、A-DOD-Nは1,10-デカンジオールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製、分子量=282.4)を表し、A-200はポリエチレングリコール#200ジアクリレート(新中村化学工業株式会社製、分子量=308.0)を表し、
TMPTAはトリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業株式会社製、分子量=296.3)を表す。また、アダマンタンジオールジアクリレートの分子量は276.3であり、1,7-オクタジエンの分子量は110.2である。
【0103】
[結果]
実施例1~14では、表2に示すように、比誘電率、段差追従性、耐ディレイバブル性及び粘着力の評価がそれぞれC以上であった。
一方、比較例1~10では、表2に示すように、比誘電率、段差追従性、耐ディレイバブル性及び粘着力の少なくとも一つの評価がDであった。