(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】除雪機
(51)【国際特許分類】
E01H 5/04 20060101AFI20220117BHJP
E01H 5/09 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
E01H5/04 Z
E01H5/04 B
E01H5/09 C
E01H5/09 Z
(21)【出願番号】P 2017244150
(22)【出願日】2017-12-20
【審査請求日】2020-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】三浦 駿
(72)【発明者】
【氏名】久保 陽拓
(72)【発明者】
【氏名】戸舘 裕紀
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-139666(JP,A)
【文献】特開2003-301433(JP,A)
【文献】実開平02-015621(JP,U)
【文献】実開昭63-176102(JP,U)
【文献】実開昭64-010519(JP,U)
【文献】実開平02-093324(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0298429(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01H 5/04
E01H 5/09
E01H 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、
該機体前部に設けられ、前方に向かって開口するオーガーハウジング内で回転するオーガー、前記オーガーハウジング後方に設けられたブロワーを有した除雪部と、
前記除雪部前方に位置させた排雪板作業状態、前記オーガーハウジングの上方部に位置させた排雪板非作業状態に切換えが可能で、前記切換えは前記排雪板の左右両端部の後方側に設けられ、前記オーガーハウジングの左右側板外側部に上下旋回自在に取付けられた回動アームにより旋回されて切換えられる構造である除雪用の排雪板と、
を有した除雪機であって、
前記排雪板には、進行方向に対し前後方向に傾斜させる前記排雪板の進行方向左右両側に配置された支持アーム部と、
を備え、
前記支持アーム部は、一端側を支持することによって他端側を左右方向に旋回自在に設けた第1支持アームと、
前記第1支持アームの他端側に取り付け前記第1支持アームの他端側を支点軸にして左右方向に旋回自在な第2支持アームと、
を備えたことを特徴とした除雪機。
【請求項2】
前記支持アーム部には、
前記第2支持アームを前記第1支持アームに対して前方方向に位置するように折り曲げることによって前記排雪板を格納した格納状態、
前記第2支持アームを前記第1支持アームに対して前方方向に旋回させて前記第1支持アームと第2支持アームとを互いに展開させて前記排雪板の進行方向に対し前後方向への傾斜させた傾斜状態
のそれぞれの状態を固定する規制体と、
をさらに備えたことを特徴とした請求項1に記載の除雪機。
【請求項3】
前記回動アームには、前記排雪板を上方側へ向かう旋回方向に付勢するように弾性体と、
をさらに備えたことを特徴とした請求項1及び2に記載の除雪機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体の前部に雪の掻き込みオーガーや掻き込んだ雪をブロワーによって投雪する除雪部を設け、除雪部のさらに前方に排雪板を配置可能にした除雪機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
雪の掻き込みオーガーを設けブロワーによって投雪する除雪部を設けた除雪機は公知である。また、除雪部の前方にさらに排雪板を配置できる除雪機も公知となっている。例えば、特開2005-139666号公報の「除雪機」が公知である。この除雪機は、投雪場所等が十分に確保できる場所がある場合には、除雪部のブロワーによって投雪して除雪作業を行い、投雪場所等が十分確保できない場合や積雪量が少ない場合には、排雪板により雪を押し出す作業に切換えて除雪作業を行う。さらに、除雪場所に応じて、排雪板を進行方向に対し前後方向に旋回させることによって、雪を押し出す方向を進行方向に対し、前方向、左方向及び右方向に変更することが可能に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の除雪機において、雪の押し出し方向を変えるための排雪板の旋回中心軸を機体の左右幅のほぼ中央に設けている。排雪板の旋回中心軸の構成部材によって、排雪板がより前方方向に位置することになる。排雪板をオーガーの上方に位置させた排雪板非作業状態で、オーガー及びブロワーを駆動によって投雪作業をすると排雪板に当たる問題があった。特に、シューター及びデフレクターで投雪方向を近距離である前方及び下方に向けると排雪板により多く当たり、効率的な投雪ができない問題があった。
このため本発明は、排雪板の作業状態での除雪機の進行方向に対して、排雪板を前後方向へ傾斜させて、除雪機側方への排雪を可能にすると共に、排雪板の非作業状態での排雪板の高さを低く抑えてブロワーで投雪した雪が排雪板に当たることを防ぎ、効率良い除雪作業が行える除雪機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の態様は、機体と、機体前部に設けられ、前方に向かって開口するオーガーハウジング内で回転するオーガー、オーガーハウジング後方に設けられたブロワーを有した除雪部と、除雪部前方に位置させた排雪板作業状態、オーガーハウジングの上方部に位置させた排雪板非作業状態に切換えが可能で、切換えは排雪板の左右両端部の後方側に設けられ、オーガーハウジングの左右側板外側部に上下旋回自在に取付けられた回動アームにより旋回されて切換えられる構造である除雪用の排雪板と、を有した除雪機であって、排雪板には、進行方向に対し前後方向に傾斜させる排雪板の進行方向左右両側に配置された支持アーム部と、を備えた除雪機であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、排雪板の作業状態での排雪板の進行方向に対して前後方向への傾斜を可能にすると共に、非作業状態での排雪板の高さを低く抑えてブロワーでの投雪した雪が排雪板に当たることを防ぎ、効率良い除雪作業が行える除雪機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施の形態に係る除雪機の排雪板の非作業状態の一例を示す側面図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る除雪機の排雪板の非作業状態の一例を示す正面図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る除雪機の排雪板の作業状態でブレード部を格納した状態の一例を示す要部を拡大した側面図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る除雪機の排雪板の作業状態でブレード部を格納した状態の一例を示す要部を拡大した平面図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る除雪機の排雪板の作業状態でブレード部の左端部を前方に位置させた傾斜状態の一例を示す要部を拡大した側面図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係る除雪機の排雪板の作業状態でブレード部の左端部を前方に位置させた傾斜状態の一例を示す要部を拡大した平面図である。
【
図7】
図4における支持フレーム部及び支持アーム部の取り付けをA-Aで断面した断面図である。
【
図8】
図3における回動アーム部の進行方向左側の旋回支点部をB-Bで断面した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施の形態を、
図1乃至
図8に基づいて説明する。
以下に示す実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構造や配置を例示するためのものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の形状、構造等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
本発明の実施の形態の説明において、左右に同様の機能を有する部分がある場合には、左にあるものには「L」との接尾語を付し、右にあるものには「R」との接尾語を付し、両者をまとめて呼ぶ場合、又は単独で呼ぶ場合は、接尾語を付さない場合がある。例えば、左第1支持アームを650Lとし、右第1支持アームを650Rとしても、両者の区別をしない場合には、第1支持アームを650と呼ぶ場合がある。また、説明の便宜上、「左」、「右」、「前」又は「後」という語句を用いて説明するが、「左」、「右」はそれぞれ本発明の除雪機の作業状態における進行方向に対する向きを示し、「前」又は「後」は作業状態における除雪機のオーガー側の方向を示し、「後」は除雪機の操作部側の方向を示す。また、「上」又は「下」という語句を用いて説明するが、「上」又は「右」は、それぞれ本発明の除雪機の作業状態における向きを示している。
【0010】
(除雪機の構成)
除雪機1は、機体2の左右に走行用として走行クローラベルト4を設け、これを駆動して前後に走行する。機体2の前方部に除雪部5を設け、機体2の後方に機体2を操作する操作部3を設け、機体2の中央部に走行部や除雪部5の動力源であるエンジンを収納したエンジン部21を設けている。
【0011】
操作部3には、作業者が握って操作するハンドル30が左右に設けられ、その中央部に機体2の各部を作動させるための各操作レバーやスイッチ類が設けられていて、作業者はこれらを操作して除雪作業を行う。
【0012】
機体2の前方部に設けた除雪部5は、オーガー51と、ブロワー515と、シューター52と、デフレクター520と、オーガーハウジング50とを備えている。オーガー51は、進行方向と直交する水平回転軸に設けていて、回転駆動することによって、前方の雪をオーガー51の中央部に掻き集める。掻き集めた雪は、オーガー51の中央部の後方に設け、進行方向を軸にして回転駆動するブロワー515で上方に向けたシューター52より投雪される。投雪する方向はシューター52を水平旋回させて方向を変更できる。また、投雪角度はシューター52上端部のデフレクター520の上下方向への旋回で角度を変更することで可能となっている。オーガー51は前方部が開口したオーガーハウジング50により覆われていて、オーガー51の雪の掻き込みを誘導するとともに、巻き込まれ防止等の安全のため設けられている。
【0013】
図3に示す除雪部5の前方には、除雪機1を前進させることにより雪を押し出す排雪板6が配置されている。排雪板6は、
図1に示すように除雪部5前方に位置した排雪板作業状態と、オーガーハウジング50の上方部に位置する排雪板非作業状態とに切換えが可能である。排雪板6の切換えは、排雪板6の左右端部のそれぞれ後方に設けられ、オーガーハウジング50の左右端部のオーガーハウジング側板500外側部に上下旋回自在に取付けられた回動アーム60により可能な構造となっている。
図1に示す排雪板6をオーガーハウジング50の上方部に位置させた排雪板6の非作業状態では、除雪部5を駆動し雪を投雪する除雪作業が可能である。
【0014】
除雪部5のオーガー51及びブロワー515を駆動して投雪する除雪作業は、投雪場所等が十分に確保できる場所では効率的である。しかし、投雪場所等が十分確保できない場合や積雪量が少ない場合には、排雪板6により雪を押し出す除雪作業に切換えると効率良く除雪作業が行える。排雪板6による除雪作業のときは、除雪部5の駆動を停止し、排雪板6を除雪部5の前方に位置するように旋回させてから行う。排雪板6での作業は、雪を前方に押し出す作業と、排雪板6を前後方向に傾斜させて除雪機1の前進と共に雪を除雪機1の側方に押し流す作業とがある。
【0015】
(排雪板全体)
排雪板6は、除雪部5の側方に取り付けられ、除雪部5に対し上下方向に旋回自在にするための回動アーム60と、回動アーム60の先端部に取り付けられ排雪板6の前後傾斜の基部となる支持フレーム64と、支持フレーム64に一端を取り付けて排雪板6を前後方向に傾斜可能にするための支持アーム部65と、支持アーム部65の他端に取り付けられ雪を押すためのブレード部69と、を備えている。
【0016】
(回動アーム)
回動アーム60は、オーガーハウジング50の左右の側方端部に固着されたオーガーハウジング側板500の外側部に位置している。回動アーム60は、オーガーハウジング側板500の外側の面に取り付けられた支点受部61を介して、上下方向に旋回自在に取付けられる。
【0017】
図3及び
図5に示す回動アーム60は、板金製で側面視上方に角部を有する不等辺三角形状となっている。回動アーム60の前方から上方に伸びた上辺と後方側の辺の一部は内方にL字状に折り曲げられて剛性を持たせている。回動アーム60の内方にL字状に折り曲げられた上辺側は上部折り曲げ部602を形成し、後方側は後部折り曲げ部603を形成している。
回動アーム60の後方側には、回動アーム60が上下旋回する支点軸である旋回支点軸601が設けられている。
図8に示す回動アーム60の旋回支点軸601はピン状部材で、回動アーム60の内側に向けて回動アーム60の面と垂直に固着されている。
【0018】
旋回支点軸601を支持するために、支点受部61がオーガーハウジング側板500の外側の側面に設けられている。支点受部61は、円形状の板状部材に筒状のボス部611を外側に向けて板状部材と垂直に固着されている。ボス部611に旋回支点軸601が挿入されることで、回動アーム60は上下方向への旋回が可能になる。
【0019】
旋回支点軸601及びボス部611の周囲には、弾性体63が取り付けられる。弾性体63は、回動アーム60の上方側への旋回を上方側に補助するために設けられる。
図3、
図5及び
図8に示す弾性体63は、ねじりコイルバネである。弾性体63の腕部の一端の先端部は折り曲げられて後部折り曲げ部603の内側の面で係止され、他端の先端部は支点受部61中央部付近に垂直に設けられた矩形状の板の係止部612に係止されている。弾性体63により排雪板6は上方側へ旋回する向きに付勢され、排雪板6を非作業状態にするために作業者が操作する操作力が軽減される。
【0020】
(支持フレーム)
オーガーハウジング側板500の左右それぞれ外側に設けられた回動アーム60の前方部を架け渡すように、左右方向に長い矩形状の板の支持フレーム64が板面の法線を前後方向に向けて固着されている。支持フレーム64の矩形状板の四辺端部には、板面と垂直の前方に向かって剛性確保のための矩形状の板で、長辺側に配置される長辺リブ64a、短辺側に配置される短辺リブ64bが固着されている。さらに、対向する長辺リブ64aの左右端部それぞれに設けられた支持孔64cと、それぞれの支持孔64cより内側に位置する格納孔64dとが設けられている。対向する長辺リブ64aに配置された支持孔64c及び格納孔64dは、同軸上に位置するように設定されている。
【0021】
(支持アーム部)
対向する長辺リブ64aの間で支持孔64cには、ブレード部69を支えるための支持アーム部65が取り付けられる。
図1及び
図6おいて、支持アーム部65は、一端を支持孔64cに支持された第1支持アーム650と、第1支持アーム650の他端にさらに連結された第2支持アーム680と、を備えている。
【0022】
(第1支持アーム)
第1支持アーム650の一端は、支持フレーム64の上下に2枚設けられた長辺リブ64aの間で、支持孔64cに取り付けられる。第1支持アーム650は、支持フレーム64の進行方向左側の支持孔64cに取り付けられた左第1支持アーム650Lと、支持フレーム64の進行方向右側の支持孔64cに取り付けられた右第1支持アーム650Rとがある。
【0023】
第1支持アーム650は、上下に2枚配置させた平行四辺形状の板651で、板651の法面を上下方向に向けて、それぞれを平行に設けられている。上下に2枚配置された平行四辺形状の板651のそれぞれ一対の対角の角部に配置され、2枚の板651を繋ぐように軸を板面と垂直にした筒状の軸受部652が固着されている。軸受部652は板651を貫通して固着されている。さらに、2枚の板651と2本の軸受部652で生じた空間を塞ぐように補強板653が、板面を板651の面と垂直に固着されていて、第1支持アーム650の剛性を確保している。
【0024】
軸受部652の内径には、長辺リブ64aの支持孔64cに同軸に位置されて、抜け止めの頭部を有した支持ピン66が挿入される。支持ピン66の挿入によって、第1支持アーム650の一端側は支持されて、第1支持アーム650の他端側は左右方向に旋回自在に設けられる。さらに、第1支持アーム650を構成する板651の他端側の軸受部652の近傍には、第1固定孔654が設けられている。第1固定孔654は、後述する第2支持アーム680の旋回を固定するときに使用する。
【0025】
(第2支持アーム)
第1支持アーム650の他端側には、第2支持アーム680が取り付けられている。第2支持アーム680は、左第1支持アーム650Lに取り付けられた左第2支持アーム680Lと、右第1支持アーム650Rに取り付けられた第2支持アーム680Rとがある。
【0026】
第2支持アーム680は、長辺と短辺を持った矩形の短辺側の角部を丸められた長丸状の板681が、板面を上下方向に向けて配置されている。板681は2枚配置され、それぞれ互いに平行で、第1支持アーム650を上下に挟むように配置されている。2枚の板681は、板681の長手方向の両端部より内側で中央部から第1支持アーム650寄りに、第1支持アーム650に取り付けるための第1アーム取付孔682が開けられている。さらに、第1支持アーム650側である一端側の端部には第2固定孔683と、他端側の端部には後述するブレード部69を取り付けるためのブレード取付孔684が開けられている。上下に配置された板681に設けられた第1アーム取付孔682と、ブレード取付孔684及び第2固定孔683は、それぞれが同軸上に位置している。
【0027】
2枚の板681の間で、ブレード取付孔684と第1アーム取付孔682の間には、補強板685が、板681の面と垂直に配置されている。さらに、補強板685の中央部から後端側は、
図5に示す上下方向を軸にして内側に折り曲げられている。
図6において、補強板685の折り曲げ角度は5乃至20度である。
【0028】
第1アーム取付孔651には、第1支持アーム650の他端側の軸受部652に同軸上に位置されて、支持ピン66が挿入される。第2支持アーム680は、第1アーム取付孔651及び支持ピン66を支点軸にして左右方向に旋回自在に構成される。
【0029】
(第2支持アームの展開時の固定)
第2固定孔683は、第1支持アーム650に対する第2支持アーム680の旋回を固定するときに使用する。第2支持アーム680を第1支持アーム650に対して旋回させて、第2固定孔683と第1固定孔654が同軸上に位置させる。同軸上に位置した第2固定孔683と第1固定孔654にL字状に曲げられた棒状の規制体67を差し込むことで、第2固定孔683は、第1支持アーム650に対する第2支持アーム680の旋回が規制される。このとき、第1支持アーム650と第2支持アームは、支持孔64cに固定された第1支持アーム650の軸受部652から、ブレード取付孔684が離れた展開状態である。
【0030】
(第2支持アームの格納時の固定)
さらに、規制体67を外し、第1支持アーム650を除雪機1の内側方向に旋回させ、第2支持アーム680を外側に旋回させると、第1固定孔654は、支持フレーム64に設けられた格納孔64dと同軸上に位置させることが可能である。第1固定孔654と同軸上に位置した格納孔64dに規制体67を差し込むことで、第1支持アーム650は旋回が固定され格納状態となる。格納状態での第1支持アーム650及び第2支持アーム680は、支持フレーム64の上下端部に設けられた長辺リブ64aの間に位置し、前方への張り出しが少なく設定されている。また、格納状態での、支持フレーム64に設けられた支持孔64cと第2支持アーム680のブレード取付孔684は、互いに近接した状態となる。
【0031】
(ブレード部)
さて、第2支持アーム680のブレード取付孔684には、ブレード部69が取り付けられる。ブレード部69は、ブレード691と、リブ692と、取付ベース693と、ブレード取付部694と、取手部695と、を有している。
【0032】
ブレード691は、
図3における排雪板6の作業状態において、雪を押すために左右方向に長い板を前方に凹部を向けて湾曲させた、側方断面弓形の円弧状になっている。ブレード691の幅は、オーガーハウジング50の外端の幅と同等、又は、これより幅が広く設けられる。ブレード691の端部で円弧状部の外側の面に沿うように、ブレード691の剛性を保つためのリブ692が取り付けられている。
【0033】
さらに、ブレード691の円弧状外側の面で、左右両側のリブ692の内側の端部には、矩形状の板を直角に折り曲げた取付ベース692が、曲げの稜線をブレード691の左右方向と平行に取り付けられている。
図3において、折り曲げられた取付ベース692の1つの面は、除雪機1の後方に向けられている。ブレード691の左右それぞれに設けられた取付ベース692の後方に向けられた面には、第2支持アーム680を取り付けるための三角状の板で構成されたブレード取付部694が取付ベース692の面と垂直に固着されている。取付ベース692に設けたブレード取付部694は、上下方向にそれぞれの面を平行にして2枚ずつ設けていている。上下2枚のブレード取付部694は、第2支持アーム680の上下に設けた板681の間に位置するように設定されている。
【0034】
ブレード取付部694は、中央部に取付孔695を設け、第2支持アーム680のブレード取付孔684と同軸上に位置させて支持ピン66を上方から差し込むことで、ブレード部69は第2支持アーム680に対して支持ピン66を軸にして旋回自在に設けられている。すなわち、第2支持アーム680とブレード部69は連結された状態となる。さらに、回動アーム60、支持フレーム64、第1支持アーム650及び第2支持アーム680は連結された状態となる。
【0035】
(ブレードの傾斜動作)
支持フレーム64、左第1支持アーム650L、右第1支持アーム650R、左第2支持アーム680L、右第2支持アーム680R及びブレード部69は、以上のように取り付けることで連結されることで、
図4に示すブレード部69を除雪機1の前方へ凹部を向けた格納状態と、
図6に示すブレード部69を除雪機1の前後方向へ傾斜させて凹部を斜め前方方向に向けた傾斜状態との切換えが可能となる。ブレード部69の格納状態と傾斜状態との切換えは、排雪板6を作業状態にさせてから行う。
【0036】
(ブレード部の格納)
ブレード部69の格納状態への切換えは、左第1支持アーム650Lと右第1支持アーム650Rを、支持フレーム64に沿うように内側に旋回させる。左第2支持アーム680Lと右第2支持アーム680Rは、左第1支持アーム650L及び右第1支持アーム650Rに対して、前方方向に位置するように折り曲げられる。同時に、第2支持アーム680に連結されたブレード部69は、第2支持アーム680に連動するようにして支持フレーム64側に引き込まれて、
図4に示す格納状態となる。格納状態の第1支持アーム650の板651の前方側の端面は、第2支持アームの補強板685の後方側の面に当接した状態となり、ブレード部69の取付孔695は支持フレーム64の支持孔64cに近接した状態である。
【0037】
格納状態の左第2支持アーム680L及び右第2支持アーム680Rの第2固定孔683は、格納孔64dと同軸上に位置させ、規制体67を挿入して左第2支持アーム680L及び右第2支持アーム680Rを固定する。第2支持アーム680の固定に伴い、第1支持アーム650及びブレード部69も連動して固定される。格納状態時の第1支持アーム650は、支持フレーム64の上下に配置された長辺リブ64aの間に格納された状態になり、ブレード部69が前方へ張り出すことを抑制している。格納状態となり前方に凹部を向けたブレード部69は、除雪機1の前方への走行と共に前方へ雪を押し出すことができる。
【0038】
(ブレード部の傾斜)
ブレード部69の傾斜状態への切換えは、ブレード部69の左側を前方に傾斜させた左傾斜状態と、ブレード部69の右側を前方に傾斜させた右傾斜状態とがある。ブレードの格納状態から左傾斜状態への切換えは、ブレード格納状態の左第2支持アーム680Lの第2固定孔683側の格納孔64dから規制体67を外して、左第2支持アーム680Lの固定を解除する。ブレード部69は右第2支持アーム680Rのブレード取付孔684に挿入された支持ピン66を支点軸にして、前方方向へ旋回させることができる。ブレード部69の旋回によって、
図6に示すようにブレード部69は左傾斜状態となると共に、左第1支持アーム650Lと左第2支持アーム680Lは互いに展開された状態になり、第1固定孔654と第2固定孔683は同軸上に位置する。格納孔64dから外した規制体67を同軸上に位置した第1固定孔654と第2固定孔683に挿入することで、ブレード部69の左傾斜状態を固定することができる。
【0039】
左傾斜状態になったブレード部69は、前方斜め右側方にブレード691の凹部を向ける。ブレード部69の左傾斜状態のとき、除雪機1の前方への走行と共に前方からの雪をブレード961の上方へ掻き込むと共に、ブレード961の凹部に沿って右方へ雪を滑らせながら除雪機1の右方に押し流すことができる。
【0040】
ブレード部69の左側を前方に傾斜させた左傾斜状態を説明したが、右傾斜状態は左傾斜状態の操作を左右変えて操作するので、その切換え方法の詳細な説明は省略する。
【0041】
(排雪板の非作業状態)
排雪板6を非作業状態にする場合は、ブレード部の格納状態に切換えてから行う。ブレード691の上部には、排雪板6を作業状態と非作業状態との切換え時に、作業者が掴み操作をする取手部696が取り付けられる。取手部696は、コの字状に折り曲げられた棒状部材で、端部を排雪板作業状態のブレード691の上部に固着されている。作業者は取手部696を把持し、旋回支点軸601を軸にして排雪板6を上下旋回させて、作業状態と非作業状態に切換えができる。作業者による作業状態と非作業状態と切換えは、弾性体63によって排雪板6の重量を支えるように上方に付勢しているため、容易である。また、排雪板6の非作業状態でのブレード部69は格納状態であり、ブレード部69の上方への張り出し量が低く抑えられている。オーガー51及びブロワー515での投雪、特に前方及び下方へ向けて投雪した場合に、オーガー51の上方に位置するブレード部69に投雪した雪が当たらず、効率的な除雪が可能になっている。
【0042】
以上のように構成した除雪機1は、排雪板6の作業状態での除雪機1の進行方向に対して、前後方向へ傾斜させて、除雪機側方への排雪を可能にすると共に、排雪板の非作業状態での排雪板の高さを低く抑えてブロワーで投雪した雪が排雪板に当たることを防ぎ、効率良い除雪作業が行える。
【0043】
以上、本発明を上記一実施形態に基づき説明したが、本発明は上記一実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、クローラベルトやタイヤ等による走行部を有し、機体の前部に雪の掻き込みオーガーや掻き込んだ雪をブロワーによって投雪する除雪部を設け、除雪部のさらに前方に排雪板を配置可能にした除雪機に適用できる。
【符号の説明】
【0045】
1 除雪機
2 機体
21 エンジン部
3 操作部
30 ハンドル
4 走行クローラベルト
5 除雪部
50 オーガーハウジング
500 オーガーハウジング側板
51 オーガー
515 ブロワー
52 シューター
520 デフレクター
6 排雪板
60 回動アーム
63 弾性体
64 支持フレーム
65 支持アーム部
650 第1支持アーム
66 支持ピン
67 規制体
680 第2支持アーム
69 ブレード部
691 ブレード
696 取手部