(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】連続ラベル用紙の抜き粕巻取り装置
(51)【国際特許分類】
B65H 23/195 20060101AFI20220117BHJP
B65H 18/06 20060101ALI20220117BHJP
B65H 18/10 20060101ALI20220117BHJP
B65H 41/00 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
B65H23/195
B65H18/06
B65H18/10
B65H41/00 A
(21)【出願番号】P 2018240357
(22)【出願日】2018-12-21
【審査請求日】2020-08-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000161057
【氏名又は名称】株式会社ミヤコシ
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一人
(72)【発明者】
【氏名】嵯峨 利浩
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-128497(JP,U)
【文献】特開2007-302468(JP,A)
【文献】特開2013-001475(JP,A)
【文献】特開2014-034111(JP,A)
【文献】特開昭49-028751(JP,A)
【文献】特開2003-245987(JP,A)
【文献】特開2002-211838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 23/18-23/198
B65H 18/00-18/28
B65H 26/00-26/08
B65H 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハーフ抜き加工を施した連続ラベル用紙を搬送し、台紙に貼着した抜き製品と抜き粕とに分離する剥離ローラを備えている連続ラベル用紙の抜き粕巻取り装置であって、
前記剥離ローラから離れて設けられ、前記抜き粕をロール状に巻き取る粕巻取軸と、 前記粕巻取軸を、前記剥離ローラから離れる方向に移動可能な移動機構と、
前記連続ラベル用紙の搬送経路中に設けられ、前記連続ラベル用紙の搬送量を検出する第1検出部と、
前記粕巻取軸の1回転を検出する第2検出部と、
前記粕巻取軸が1回転するごとに前記第2検出部から発信されるパルスに対する前記第1検出部のパルス量から前記粕巻取軸に巻き取られた前記抜き粕のロール径を求める演算部と、を備え、
前記演算部で求めた前記ロール径に基づいて、前記粕巻取軸を前記剥離ローラから離れる方向に移動させる制御をおこなうとともに、
前記ロール径の変化に対応させて、前記粕巻取軸に巻き取られた前記抜き粕の外周面に当接可能な粕押さえローラと、
前記剥離ローラと前記粕押さえローラとに巻回されて、前記剥離ローラから前記粕巻取軸に巻き取られた前記抜き粕のロールまで前記抜き粕をガイドする無端状のガイドベルトと、を備え
、
前記剥離ローラと前記粕押さえローラとにガイド溝が設けられ、前記剥離ローラと前記粕押さえローラとの軸線方向に分割された前記ガイドベルトが前記ガイド溝に巻回されることを特徴とする連続ラベル用紙の抜き粕巻取り装置。
【請求項2】
前記粕押さえローラが前記剥離ローラの軸線を中心として揺動可能に設けられ、前記粕巻取軸に巻き取られた前記抜き粕の外周面に向けて前記粕押さえローラを押圧する粕押さえ搬送部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の連続ラベル用紙の抜き粕巻取り装置。
【請求項3】
前記粕巻取軸の駆動側に設けられ、前記抜き粕に付与される張力を調整する張力調整部を備えたことを特徴とする請求項1
または請求項2に記載の連続ラベル用紙の抜き粕巻取り装置。
【請求項4】
前記剥離ローラの軸心と前記粕巻取軸の軸心線とを結ぶ方向に対して直交する方向に、前記剥離ローラの軸心位置を調整する剥離ローラ位置調整部を備えたことを特徴とする請求項1から
請求項3のいずれか一項に記載の連続ラベル用紙の抜き粕巻取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は連続ラベル用紙の抜き粕巻取り装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
連続ラベル用紙の抜き粕巻取り装置として、連続ラベル用紙に文字や絵柄を印刷した後、連続ラベル用紙のラベル基材および粘着層を所定の形状に抜き、不要な抜き粕部分を台紙から剥離して粕巻取軸に巻き取るものが知られている。所定の形状で抜き取られた抜き粕は、強度を確保し難く、粕巻取軸に到達するまでの間に切断してしまうことが考えらえる。
このため、抜き粕を台紙から剥離してから粕巻取軸に到達するまでの間において、抜き粕に強い張力を与えることは好ましくない。
【0003】
ここで、抜き粕にかかる張力は、粕巻取軸のトルクが一定であれば、粕巻取軸に巻かれた抜き粕のロール径の変化に応じて変動する。また、抜き粕にかかる張力は、機械系の機械損失や巻取速度の加減速によるサーボモータのトルク変動に影響して変動する。そのため、抜き粕の巻取中の張力の変動が抜き粕の切断の原因にもなる。
さらに、抜き粕は、所定の形状で抜き加工されている。このため、抜き粕は、搬送方向に張力が付与されると、張力の方向と直角方向(抜き粕の幅方向)に縮む性質がある。ここで、所定の形状が長方形以外の円形あるいは不定形のラベルの場合、抜き粕の縮み量が一定になり難い。このため、抜き粕の縮み量が大きい部分に負荷が集中して張力の方向と直角方向に波打つことが考えられる。この状態において、抜き粕の張力が変動すると、抜き粕が切断されやすくなる。
【0004】
特に、抜き粕が台紙から剥離してから粕巻取軸に到達するまでの区間(以下、粕パスという)では、抜き粕の幅方向の縮み量が大きくなって負荷が集中する箇所が増大する場合がある。さらに、抜き粕の幅方向の縮み量が大きいと、巻き取られた抜き粕のロール径に大きいところと小さいところが発生し、ロール径の大きい箇所で巻き取られる抜き粕は高張力となる。
抜き粕は、抜き粕の幅方向の縮み量が大きく負荷が集中する箇所や粕巻取径が大きく高張力となる箇所で切断されやすい。
【0005】
連続ラベル用紙の抜き粕巻取り装置のなかには、抜き粕の切断を抑えるために、粕巻取軸に巻き取られた抜き粕の外周を、粕ロール駆動ローラに加圧接触させるものがある。粕ロール駆動ローラは、連続ラベル用紙の搬送速度で同期回転する。
抜き粕の外周を粕ロール駆動ローラに加圧接触することにより抜き粕の粘着層が粕巻取軸に貼付される。この状態で粕巻取軸を従動回転させて、抜き粕を連続的にロール状に巻取る。この連続ラベル用紙の抜き粕巻取り装置によれば、抜き粕が幅方向に波打ち、上記障害を生じやすい粕パスを著しく短くでき、抜き粕に張力を与えることなく巻き取ることができ、抜き粕の切断を抑えることが可能である(例えば、特許文献1の
図2、
図4参照)。
【0006】
一方、特許文献1の
図1、
図3に開示された装置においては、ラベル基材及び粘着層が共に所定の形状に打抜かれた多数のラベルが貼着された連続ラベル用紙から、抜き粕部分を剥離して粕巻取軸で巻き上げる。この際、粕巻取軸が抜き粕を巻き取ることで粕ロールの外周面が形成される。
この装置では、粕ロールの外周面が剥離ローラと干渉することを避けるために、剥離ローラから粕巻取軸までの抜き粕の搬送経路が、粕ロールの最大半径以上に長くされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、連続ラベル用紙の抜き面積が大きい場合、粕巻取軸に巻かれた粕ロールの外周面は形状が歪になる。しかし、特許文献1の
図2,
図4に開示された装置では、歪な粕ロールを粕ロール駆動ローラに加圧接触させて回転させるため、振動が発生する。そして、一般的に抜き面積が多い抜き粕は、連続ラベル用紙の種類にもよるが、抜き粕の面積が少ないために、連続ラベル用紙から製品のラベルを抜いた後の抜き粕の形状維持が不安定で振動して切れやすくなるという問題がある。さらに、この振動発生を防止した場合、粕巻取り速度を上げることができないという問題がある。
【0009】
ここで、変形ラベルの抜き粕、つまり、複雑で比較的大きな抜き粕であり、細い横枠と縦枠で支持するラベルの抜き粕部分を剥離して粕巻取軸で巻き上げる場合がある。
この変形ラベルのように、抜き形状が複雑な場合や、抜き粕における巻き取り方向(搬送方向)の縦枠が細く本数も少なくて巻上力が抜き粕の一部にしか伝わらない場合には、剥離ローラでの抜き粕の剥離と粕上げがスムーズに行われないときがあるという問題がある。
【0010】
また、特許文献1の
図1,
図3に開示された装置のように、剥離ローラから粕巻取軸までの抜き粕の搬送経路が粕ロールの最大半径以上に長く設定されている場合、特に、変形ラベルの抜き粕では、その搬送過程における抜き粕の振動や左右のテンション差などを原因として、抜き粕の横枠にねじれが発生して抜き粕が反転する現象や、抜き粕の縦枠にねじれが発生して抜き粕が破断する現象を生じやすいという問題がある。
【0011】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、連続ラベル用紙をラベル製品と抜き粕に分離して粕上げを行う工程において、搬送される抜き粕をガイドして、抜き粕に弛みやよれなどが起こらないようにするという目的を達成しようとするものである。さらに、本発明は、抜き粕の搬送経路における抜き粕のねじれ、反転、切断の発生を防止し、かつ、抜き粕ロール外周面の凹凸を整えるという目的を達成しようとするものである。
【0012】
また、本発明は、抜き粕ロールの外周面を発生源とする抜き粕の振動をなくし、安定した張力で抜き粕を巻取ることができるようにするという目的を達成しようとするものである。
さらに、本発明は、剥離ローラにおける抜き粕の剥離と粕上げをスムーズに行わせることにより、抜き粕の切断を防止し、粕の巻取速度を向上させるという目的を達成しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明の連続ラベル用紙の抜き粕巻取り装置は、ハーフ抜き加工を施した連続ラベル用紙を搬送し、台紙に貼着した抜き製品と抜き粕とに分離する剥離ローラを備えている連続ラベル用紙の抜き粕巻取り装置であって、
前記剥離ローラから離れて設けられ、前記抜き粕をロール状に巻き取る粕巻取軸と、
前記粕巻取軸を、前記剥離ローラから離れる方向に移動可能な移動機構と、
前記連続ラベル用紙の搬送経路中に設けられ、前記連続ラベル用紙の搬送量を検出する第1検出部と、
前記粕巻取軸の1回転を検出する第2検出部と、
前記粕巻取軸が1回転するごとに前記第2検出部から発信されるパルスに対する前記第1検出部のパルス量から前記粕巻取軸に巻き取られた前記抜き粕のロール径を求める演算部と、を備え、
前記演算部で求めた前記ロール径に基づいて、前記粕巻取軸を前記剥離ローラから離れる方向に移動させる制御をおこなうとともに、
前記ロール径の変化に対応させて、前記粕巻取軸に巻き取られた前記抜き粕の外周面に当接可能な粕押さえローラと、
前記剥離ローラと前記粕押さえローラとに巻回されて、前記剥離ローラから前記粕巻取軸に巻き取られた前記抜き粕のロールまで前記抜き粕をガイドする無端状のガイドベルトと、を備え、
前記剥離ローラと前記粕押さえローラとにガイド溝が設けられ、前記剥離ローラと前記粕押さえローラとの軸線方向に分割された前記ガイドベルトが前記ガイド溝に巻回されることにより上記課題を解決した。
【0014】
本発明の連続ラベル用紙の抜き粕巻取り装置は、前記粕押さえローラが前記剥離ローラの軸線を中心として揺動可能に設けられ、前記粕巻取軸に巻き取られた前記抜き粕の外周面に向けて前記粕押さえローラを押圧する粕押さえ搬送部を設けることができる。
【0016】
本発明の連続ラベル用紙の抜き粕巻取り装置は、前記粕巻取軸の駆動側に設けられ、前記抜き粕に付与される張力を調整する張力調整部を備えることができる。
【0017】
本発明の連続ラベル用紙の抜き粕巻取り装置は、前記剥離ローラの軸心と前記粕巻取軸の軸心とを結ぶ方向に対して直交する方向に、前記剥離ローラの軸心位置を調整する剥離ローラ位置調整部を備えることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、抜き粕をロール状に粕巻取軸に巻き取る際に、ガイドベルトによって剥離ローラから粕巻取軸に巻き取られた抜き粕のロールまで抜き粕の搬送をガイドする。これにより、抜き粕の横枠にねじれが発生して抜き粕が反転する現象や、抜き粕の縦枠にねじれが発生して抜き粕が破断する現象を防止することができる。同時に、粕上げをスムーズに行わせることにより、抜き粕の切断を防止し、粕の巻取速度を向上させることができる。
【0019】
また、ロール状に粕巻取軸に巻き取った抜き粕を巻き取る際に、粕押さえ搬送部によって、粕押さえローラが抜き粕を粕巻取軸に向かって一定圧力で押圧しながら、抜き粕を巻き取ることができる。また、剥離ローラから粕巻取軸に巻き取られた抜き粕のロールまで搬送される抜き粕の搬送距離を一定として、抜き粕を巻き取ることができる。これにより、粕上げをスムーズにおこなうことが可能となる。
【0020】
ロール状に粕巻取軸に巻き取った抜き粕のロール径が増加するが、この変化に対応して、粕押さえローラによって粕巻取軸に向かって抜き粕を押圧する押圧力を一定にしつつ、剥離ローラから粕巻取軸に巻き取られる抜き粕のロールまでガイドベルトにより抜き粕を安定してガイドすることができる。これにより、粕上げをスムーズにおこなうことが可能となる。
【0021】
さらに、粕巻取軸に巻き取られた抜き粕のロール径に基づいて、粕巻取軸を剥離ローラから離れる方向に移動することができる。よって、粕巻取軸に巻き取られた抜き粕の外周面と、剥離ローラの外周面との間隔を小さく抑えることができる。すなわち、剥離ローラの外周面から抜き粕の外周面までの粕パス寸法を小さく抑えることができる。
これにより、抜き製品の所定の形状が、長方形以外の円形あるいは不定形の場合でも、巻取り中の抜き粕に発生する張力を安定させることにより、抜き粕が切断されることを最大限に防止できる。
さらに、抜き粕の切断を抑制することにより、抜き粕を粕巻取軸に巻き取る速度を速くできる。これにより、連続ラベル用紙の印刷速度を速くでき、抜き製品の生産性を大幅に向上できる。
【0022】
また、粕巻取軸の駆動側に張力調整部を設けることにより、巻き取りにより抜き粕に加わる張力を調整して一定に保つことができる。これにより、巻き取り時の張力変動で抜き粕が切断されることを抑え、抜き粕を安定した状態で巻き取ることができる。
【0023】
さらに、ロール径の変化に粕押さえローラを対応させて、粕押さえローラを抜き粕の外周面に当接可能とした。よって、抜き粕の外周面の全域を粕押さえローラで平坦に均すことができる。これにより、粕巻取軸に巻き取られた抜き粕の外周面と、剥離ローラの外周面との間隔を一層好適に保つことができる。したがって、巻取中の抜き粕に発生する張力を一層良好に安定させることができる。
【0024】
また、剥離ローラ位置調整部を設けることにより、剥離ローラにおける粕上げ位置を調整可能とすることができる。これにより、剥離ローラで抜き粕の剥離と粕上げがスムーズに行われるための、連続ラベル用紙の搬送方向における剥離ローラの相対位置、つまり、粕上げ位置を調整することができるので、抜き粕に発生する張力を一層良好に安定させることができる。また、連続ラベル用紙の搬送向における剥離ローラの相対位置、つまり、粕上げ位置を調整することができる。
さらに、抜き粕の切断を抑制して、抜き粕を粕巻取軸に巻き取る速度を速くできる。これにより、連続ラベル用紙の印刷速度を速くでき、抜き製品の生産性を大幅に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態における抜き粕巻取り装置を示す原動側正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態における抜き粕巻取り装置を示す操作側正面図である。
【
図3】本発明の一実施形態における剥離ローラ、粕押さえローラ、ガイドベルト、粕押さえ搬送部、剥離ローラ位置調整部を示す図であり、手前側に存在する操作側のフレームを透過して原動側方向に向かって内部を見た模式正面図である。
【
図4】本発明の一実施形態における連続ラベル用紙をラベルと抜き粕とに分離する状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態における剥離ローラ、粕押さえローラ、ガイドベルト、粕押さえ搬送部、剥離ローラ位置調整部を示す一部断面視した平面図である。
【
図6】本発明の一実施形態における連続ラベル用紙をラベルと抜き粕とに分離する状態を示す模式図である。
【
図7】本発明の一実施形態における
図1の巻取機構を示す正面図である。
【
図8】本発明の一実施形態における抜き粕巻取り装置を示す
図1のVIII矢視を示す側面図である。
【
図9】本発明の一実施形態における
図8の巻取機構を示す側面図である。
【
図10】本発明の一実施形態における抜き粕巻取り装置において
図8の粕巻取軸を下方に下げた状態を示す側面図である。
【
図11】本発明の一実施形態における抜き粕巻取り装置の抜き粕ロールのロール径を求める方法を説明する操作側正面図である。
【
図12】本発明の一実施形態における抜き粕巻取り装置の粕巻取軸、抜き粕、剥離ローラの位置関係を示す正面図である。
【
図13】本発明の一実施形態における抜き粕巻取り装置の粕巻取軸の上昇タイミングを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る抜き粕巻取り装置の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
図において、符号10は、連続ラベル用紙の抜き粕巻取り装置である。
【0027】
本実施形態に係る連続ラベル用紙の抜き粕巻取り装置10は、
図1~
図3に示すように、フレーム12と、巻取機構14と、上下移動機構(移動機構)16と、検出手段20と、演算部22と、制御部24と、粕押さえ搬送部200と、剥離ローラ位置調整部220と、を備えている。以下、連続ラベル用紙の抜き粕巻取り装置10を「抜き粕巻取り装置10」と略記して説明する。
【0028】
抜き粕巻取り装置10には、
図2~
図4に示すように、連続ラベル用紙30が矢印Aの如く搬送される。連続ラベル用紙30は、台紙31に粘着層(図示せず)を介してラベル基材が接着されている。連続ラベル用紙30は、抜き粕巻取り装置10の搬送方向上流側や、別ライン装置に設けられた印刷工程でラベル基材に対して文字や絵柄が印刷される。
印刷工程の後、加工工程において、彫刻刃や腐食刃(すなわち、フレキシブルダイ)、あるいはレーザービームによって、ラベル基材および粘着層に抜き製品(以下、ラベルという)34のハーフ抜き加工が施される。ハーフ抜き加工は、連続ラベル用紙30のラベル基材および粘着層までが所定の形状に縁取られたように加工される。すなわち、台紙31はハーフ抜き加工では加工されない。
ハーフ抜き加工により、ラベル基材からラベル34と抜き粕36とが形成される。
【0029】
連続ラベル用紙30にラベル34のハーフ抜き加工が施された後、剥離ローラ147によって、連続ラベル用紙30の台紙31から抜き粕36が剥離される。これにより、連続ラベル用紙30は、粘着層によって台紙31に貼着したラベル34と、台紙31から剥離された抜き粕36に剥離ローラ147で分離される。台紙31に貼着したラベル34は、台紙31とともに矢印B方向へ搬送される。
【0030】
一方、台紙31から剥離された抜き粕36は、剥離ローラ147の外周面147aの約半周分巻付けられる。その後、抜き粕36は、剥離ローラ147から上側位置の粕巻取軸51に達するまでの搬送経路において、後述するように、剥離ローラ147の軸線方向となる抜き粕36の幅方向に離間した状態で剥離ローラ147に巻回された複数本のガイドベルト(丸ベルト)145によって形成された搬送ガイドコンベア上に延べ広げられてガイドされて支持される。抜き粕36は、このように搬送経路でガイドされて、弛みやよれが生じないようにして粕巻取軸51まで搬送される。
【0031】
搬送された抜き粕36は、粕巻取軸51の紙管64に貼り付き、粕巻取軸51の回転によってロール状に巻き取られる。
以下、粕巻取軸51にロール状に巻き取られた抜き粕36を、「抜き粕ロール37」という。
【0032】
以下、抜き粕巻取り装置10の構成を
図1~
図10に基づいて説明する。
図1~
図3、
図8に示すように、抜き粕巻取り装置10のフレーム12には、巻取機構14、上下移動機構16、粕押さえ搬送部200、および検出手段20が支持されている。また、フレーム12には、搬送ローラ41、ニップローラ(あるいは、ニップコロ)42、ガイドローラ43、転換ローラ44、ラベル移行用ローラ45、再圧着受けローラ46、再圧着ローラ47が回転自在に支持されている。搬送ローラ41は、ニップローラ(あるいは、ニップコロ)42とともに連続ラベル用紙30を挟持して搬送する。再圧着受けローラ46は、再圧着ローラ47とともに連続ラベル用紙30を挟持して搬送する。
【0033】
搬送ローラ41、ニップローラ(あるいは、ニップコロ)42、ガイドローラ43、転換ローラ44、ラベル移行用ローラ45、再圧着受けローラ46、再圧着ローラ47は、例えば、連続ラベル用紙30の搬送経路の上流側から順に設けられ、連続ラベル用紙30の搬送経路を形成する。なお、
図1,
図2においては、連続ラベル用紙30の搬送経路を一部省略している。
また、フレーム12には、後述するように、剥離ローラ147が回転自在に支持されている。なお、図においては、説明のためフレーム12等を一部省略する場合がある。
【0034】
図3に示すように、剥離ローラ147は、その外周面147aの最下端となる位置に、ラベル移行用ブレード144が設けられる。
ラベル移行用ブレード144は、剥離ローラ147との隙間に連続ラベル用紙30が搬送された際に、抜き粕36が分離された連続ラベル用紙30において、台紙31を方向転換して(折り返して)、台紙31に貼着したラベル34を台紙31から剥離するとともに、台紙31を転換ローラ44へと分離する。
【0035】
ラベル移行用ブレード144の先端位置には、ラベル移行用ローラ45が設けられる。ラベル移行用ローラ45は、ラベル移行用ブレード144の先端位置で剥離されたラベル34を、台紙31に再度貼り着け可能な位置に配置される。
ラベル移行用ローラ45の下流側には、再圧着受けローラ46、再圧着ローラ47が配置される。
【0036】
剥離ローラ147は、その外周面147aの最下端となる底面147gが連続ラベル用紙30をラベル移行用ブレード144側に付勢することのない所定の隙間を保つように位置されている。剥離ローラ147は、後述するように、剥離ローラ位置調整部220によって、水平移動可能としてフレーム12に支持されている。
剥離ローラ147、ラベル移行用ブレード144、転換ローラ44、ラベル移行用ローラ45は、ラベル移行機構を構成する。
【0037】
さらに、
図1、
図8に示すように、フレーム12には逃げ穴48が形成されている。逃げ穴48は、粕巻取軸51が上下方向へ移動可能なように上下方向に延びている。
【0038】
巻取機構14は、粕巻取軸51と、パウダークラッチ(張力調整部)53と、第1サーボモータ55とを備えている。粕巻取軸51、パウダークラッチ53、および第1サーボモータ55は、上下移動機構16の移動体76に取り付けられている。
粕巻取軸51は、移動体76の第1テーブル85の上部85aに軸受を介して回転自在に支持されている。粕巻取軸51は、剥離ローラ147のローラ中心147bに対して略鉛直方向上側に設けられている(
図2参照)。
【0039】
また、粕巻取軸51は、断面円形の中空状に形成され、外周に軸方向に延びる複数の長穴(スリット)57が形成されている。粕巻取軸51には第1タイミングプーリ58が同軸上に取り付けられている。
粕巻取軸51の内部にはゴムチューブが弾性変形可能に収納されている。ゴムチューブの外周に金属製の爪(以下、ラグという)62が仕込まれている。ゴムチューブの内部には空気流路が連通されている。空気流路は、ロータリジョイント63を介して空気供給源に連通されている。
【0040】
空気供給源から供給された空気が、ロータリジョイント63や空気流路を経てゴムチューブの内部に空気が充填される。よって、ゴムチューブが径方向外側に膨張して、ラグ62が粕巻取軸51の長穴57から径方向外側に突出する。ここで、粕巻取軸51には紙管64(
図2参照)が嵌合されている。よって、粕巻取軸51の長穴57から突出されたラグ62が紙管64の内面に当接し、紙管64が粕巻取軸51に同軸上に固定される。
実施形態では、空気圧を利用してラグ62を径方向外側に突出させる例について説明するが、これに限らない。その他の例として、例えば、ラグ62を機械的に径方向外側に突出させてもよい。
ロータリジョイント63のケースには、回止めブラケット65が取り付けられている。回止めブラケット65は、移動体76の第2テーブル86に取り付けられている。よって、ロータリジョイント63のケースの連れ回りが回止めブラケット65で抑えられる。
【0041】
図7~
図9に示すように、粕巻取軸51にはパウダークラッチ53を介して第1サーボモータ55が連結されている。第1サーボモータ55は、第2テーブル86の下部のプレート83に取り付けられている。プレート83は第2テーブル86の下部に取り付けられている。
具体的には、第2テーブル86の下部に複数の第1長孔86aが上下方向に延びるように形成されている。複数の第1長孔86aを貫通した第1ボルト81でプレート83が第2テーブル86の下部に取り付けられている。第1サーボモータ55は、移動体76の第2テーブル86の下部にプレート83を介して取り付けられている。
よって、第1ボルト81を緩めてプレート83を上下方向に移動することにより、第1サーボモータ55を上下方向に移動することができる。すなわち、第1サーボモータ55は、パウダークラッチ53に対して上下方向に位置調整できる。
第1サーボモータ55の出力軸には第2タイミングプーリ66が同軸上に取り付けられている。
【0042】
第2テーブル86において、第1サーボモータ55と粕巻取軸51との間にパウダークラッチ53が配置されている。ここで、第2テーブル86には、上部に複数の第2長孔86bが上下方向に延びるように形成されている。第2ボルト97は、複数の第2長孔86bを貫通して一対の連結部材87に対してねじ込まれるようになっており、第2ボルト97を絞めこむことにより第2テーブル86を固定できるようになっている。
よって、第2ボルト97を緩めて第2テーブル86を上下方向に移動することにより、パウダークラッチ53を上下方向に移動することができる。すなわち、パウダークラッチ53は、粕巻取軸51に対して上下方向に位置調整できる。
パウダークラッチ53は、粕巻取軸51の駆動側に設けられ、例えば長尺物の生産などに一般に採用されている。パウダークラッチ53は、トルクの伝達にパウダ(磁性鉄粉)を使用するもので、流体クラッチの滑らかさと、摩擦板式クラッチの高能率な連結性とを兼ね備えている。
【0043】
すなわち、パウダークラッチ53をなめらかに滑らせて、抜き粕36に付与される張力の変動を一定に保つことができる。また、パウダークラッチ53の設定トルクを抜き粕ロール37のロール径D(
図2参照)に応じて段階的に変更させることができる。よって、粕巻取軸51の駆動側にパウダークラッチ53が設けられることにより、抜き粕ロール37の抜き粕36に付与される張力を調整して、張力の変動を一定に保つことができる。 これにより、抜き粕36に付与される張力の変動で抜き粕36が切断されることを防止できる。
【0044】
図2~
図4に示すように、本実施形態において、粕巻取軸51の回転数は、抜き粕ロール37のロール径Dが最小の紙管64の径のときに、抜き粕36の巻取量が、少なくとも搬送経路の連続ラベル用紙30の搬送量と同じ、あるいは、それ以上の一定値に設定されている。
よって、抜き粕36は弛むことなく粕巻取軸51に巻き取られる。一方、抜き粕ロール37のロール径Dが大きくなると、搬送経路の連続ラベル用紙30の搬送量に対して粕巻取軸51の抜き粕36の巻取量が増加する。この場合、抜き粕36に掛かる張力が増加するので、パウダークラッチ53(
図9参照)の設定トルクを段階的に調整できるようにしている。
【0045】
図2、
図8,
図9に示すように、抜き粕ロール37の抜き粕36には張力が付与されている。張力は、抜き粕ロール37のロール径Dの変化、または機械系の機械損失や、第1サーボモータ55の加減速時のトルク変動に影響して変動する。よって、粕巻取軸51と第1サーボモータ55との間にパウダークラッチ53を介在させることで、抜き粕36に付与される張力の変動を一定に保つことができる。
【0046】
また、パウダークラッチ53は、抜き粕ロール37のロール径Dの変動に対応させるために、設定トルクを抜き粕ロール37のロール径Dに応じて段階的に変更可能な構造も備えている。すなわち、抜き粕36に付与される張力は、粕巻取軸51のトルクが一定であれば、抜き粕ロール37のロール径Dの変化に応じて変動する。よって、パウダークラッチ53の設定トルクを抜き粕ロール37のロール径Dに応じて段階的に変更させることにより、張力の変動を一定に保つことができる。
【0047】
このように、粕巻取軸51の駆動側にパウダークラッチ53を設けることにより、巻き取りにより抜き粕36に加わる張力を一定に保つことができる。これにより、巻き取り時の張力の変動で抜き粕36が切断されることを抑え、抜き粕36を安定した状態で巻き取ることができる。
パウダークラッチ53の設定トルクは、抜き粕巻取り装置10に設置されたモニター画面上で変更することができる。
【0048】
パウダークラッチ53は、移動体76の第2テーブル86の上部に取り付けられている。パウダークラッチ53の入力軸には、第3タイミングプーリ68が同軸状に取り付けられている。また、パウダークラッチ53の出力軸には、第4タイミングプーリ69が同軸状に取り付けられている。第3タイミングプーリ68は、パウダークラッチ53の入力軸および出力軸を介して第4タイミングプーリ69に連結されている。
【0049】
第1サーボモータ55の第2タイミングプーリ66は、パウダークラッチ53の第3タイミングプーリ68に第1タイミングベルト71を介して連結されている。第1タイミングベルト71は、複数の第1ボルト81(
図7参照)を緩めて第1サーボモータ55を上下方向に移動することにより張力が好適に調整されている。
また、パウダークラッチ53の第4タイミングプーリ69は、粕巻取軸51の第1タイミングプーリ58に第2タイミングベルト72を介して連結されている。第2タイミングベルト72は、複数の第2ボルト97(
図7参照)を緩めてパウダークラッチ53を上下方向に移動することにより張力が好適に調整されている。
【0050】
この状態において、第1サーボモータ55で第2タイミングプーリ66を回転することにより、第2タイミングプーリの回転が第1タイミングベルト71を介してパウダークラッチ53の第3タイミングプーリ68に伝えられる。第3タイミングプーリ68が回転することにより、パウダークラッチ53の入力軸が回転する。
パウダークラッチ53の入力軸が回転することにより、パウダークラッチ53の出力軸が回転する。パウダークラッチ53の出力軸が回転することにより、第4タイミングプーリ69が回転する。第4タイミングプーリ69の回転が第2タイミングベルト72を介して第1タイミングプーリ58に伝えられる。第1タイミングプーリ58が回転することにより、粕巻取軸51が抜き粕36の巻取り方向に回転する。これにより、粕巻取軸51の紙管64に抜き粕36が巻き取られる。
【0051】
ここで、第4タイミングプーリ69と第1タイミングプーリ58とは同じ歯数に形成されている。よって、粕巻取軸51の回転数は、パウダークラッチ53の出力軸の回転数と同じになる。また、第1サーボモータ55の出力軸の第2タイミングプーリ66と、パウダークラッチ53の入力軸の第3タイミングプーリ68とは、パウダークラッチ53の出力軸の第4タイミングプーリ69と同じ歯数に形成されている。
【0052】
このように、粕巻取軸51と第1サーボモータ55との間にパウダークラッチ53を介在させることで、抜き粕36に付与される張力の変動をパウダークラッチ53で一定に保つことができる。
また、抜き粕36に付与される張力は、粕巻取軸51のトルクが一定に保たれている場合、抜き粕ロール37のロール径Dの変化に応じて変動する。ロール径Dの変動に対応させるために、パウダークラッチ53の設定トルクを抜き粕ロール37のロール径Dに応じて段階的に変更させることができる。
これにより、抜き粕36に付与される張力の変動で抜き粕36が切断されることを防止できる。
【0053】
第1サーボモータ55、パウダークラッチ53、および粕巻取軸51の連結は実施形態の構成に限らない。粕巻取軸51と第1サーボモータ55とがパウダークラッチ53を介して連結されていればよい。
巻取機構14は、上下移動機構16の移動体76に取り付けられている。
【0054】
図1、
図8に示すように、上下移動機構16は、一対の直動ガイド75と、移動体76と、一対のボールねじ77と、一対のドリブンギア78と、一対のドライブギア79と、第2サーボモータ82とを備えている。
一対の直動ガイド75は、フレーム12において逃げ穴48の両側に取り付けられている。一対の直動ガイド75は、逃げ穴48に沿って上下方向に延びている。一対の直動ガイド75に移動体76が上下方向に移動自在に支持されている。
【0055】
移動体76は、複数のスライダ84と、第1テーブル85と、第2テーブル86とを備えている。複数のスライダ84は、一対の直動ガイド75に移動自在に支持されている。具体的には、複数のスライダ84は、例えば、一方の直動ガイド75に2個のスライダ84が上下方向に間隔をおいて移動自在に支持され、他方の直動ガイド75に2個のスライダ84が上下方向に間隔をおいて移動自在に支持されている。
複数のスライダ84は、第1テーブル85に取り付けられている。第1テーブル85には第2テーブル86が連結部材87を介して取り付けられている。
【0056】
すなわち、複数のスライダ84、第1テーブル85、連結部材87および第2テーブル86は一体に取り付けられている。よって、複数のスライダ84、第1テーブル85、連結部材87および第2テーブル86は、一対の直動ガイド75に上下方向へ移動自在に支持されている。第1テーブル85および第2テーブル86に、巻取機構14が取り付けられている。すなわち、巻取機構14は、移動体76を介して一対の直動ガイド75に上下方向へ移動自在に支持されている。移動体76の両側に一対のボールねじ77が設けられている。
【0057】
一対のボールねじ77は、フレーム12において、移動体76の両側で、かつ、一対の直動ガイド75よりも逃げ穴48から離れた位置に上下の軸受88を介して回転自在に取り付けられている。一対のボールねじ77は、逃げ穴48に沿って上下方向に延びている。一対のボールねじ77にナット(図示せず)が回転自在に支持され、ナットが連結ブラケット92に支持されている。連結ブラケット92は、連結部材87(
図7も参照)に取り付けられている。
一対のボールねじ77の下端部には一対のドリブンギア78が取り付けられている。具体的には、一対のボールねじ77の一方に、一対のドリブンギア78の一方が同軸上に取り付けられている。また、一対のボールねじ77の他方に、一対のドリブンギア78の他方が同軸上に取り付けられている。一対のドリブンギア78はかさ歯車である。
【0058】
一対のドリブンギア78には一対のドライブギア79が噛み合わされている。すなわち、一対のドリブンギア78の一方に、一対のドライブギア79の一方が噛み合わされている。また、一対のドリブンギア78の他方に、一対のドライブギア79の他方が噛み合わされている。
一対のドライブギア79は、かさ歯車であり、回転軸89の両端部近傍に同軸上に取り付けられている。回転軸89は、フレーム12に両端部が軸受91を介して回転自在に支持されている。回転軸89の中央部に第5タイミングプーリ93が同軸上に取り付けられている。回転軸89の下方に第2サーボモータ82が取り付けられている。
【0059】
第2サーボモータ82は、取付ブラケット94を介してフレーム12に取り付けられている。第2サーボモータ82の出力軸には、第6タイミングプーリ95が同軸状に取り付けられている。第2サーボモータ82の第6タイミングプーリ95は、回転軸89の第5タイミングプーリ93に第3タイミングベルト96を介して連結されている。第3タイミングベルト96は、第2サーボモータ82を上下方向に移動することにより張力が好適に調整されている。
【0060】
この状態において、第2サーボモータ82で第6タイミングプーリ95を回転することにより、第6タイミングプーリの回転が第3タイミングベルト96を介して回転軸89の第5タイミングプーリ93に伝えられる。第5タイミングプーリ93が回転することにより、回転軸89を介して一対のドライブギア79が回転する。
一対のドライブギア79が回転することにより、一対のドリブンギア78が回転する。一対のドリブンギア78が回転することにより、一対のボールねじ77が回転する。一対のボールねじ77が回転することにより、連結ブラケット92(すなわち、移動体76)が上下方向に移動する。
移動体76の第1テーブル85および第2テーブル86に、巻取機構14が取り付けられている。移動体76が上下方向に移動することにより、巻取機構14の粕巻取軸51が上下方向に移動する。
【0061】
図8、
図10に示すように、粕巻取軸51を上下移動機構16で上下方向(矢印C方向)に移動させることにより、抜き粕ロール37のロール径Dの変化に対応させて粕巻取軸51を上下方向に移動できる。すなわち、粕巻取軸51を上下移動機構16で、剥離ローラ147から離れる方向、または剥離ローラ147に近づく方向に移動できる。
これにより、抜き粕ロール37の外周面36aと剥離ローラ147の外周面147aとが接触せず、後述する所定の間隔(距離)r(
図12及び
図13参照)に粕巻取軸51を調整可能である。
【0062】
図2~
図5に示すように、剥離ローラ147の上方で剥離ローラ147と粕巻取軸51との側方位置に粕押さえ搬送部200が設けられている。
なお、
図2においては、剥離ローラ147等の外側(手前側)にある支持部12aおよびフレーム12等の図示を一部省略している。
【0063】
粕押さえ搬送部200は、粕押さえローラ142と、ガイドベルト145と、揺動部150と、粕押さえエアシリンダ153と、を備えている。
粕押さえローラ142は、剥離ローラ147のローラ中心147bに対して揺動可能な揺動部150に回転可能に取り付けられている。揺動部150の一端部は、剥離ローラ147のローラ中心147bに対して同軸に揺動可能とされる。揺動部150の他端部には、剥離ローラ147の軸線と平行な軸線を有する粕押さえローラ142が回転可能に取り付けられている。
【0064】
粕押さえローラ142は、揺動部150が剥離ローラ147のローラ中心147bに対して揺動可能であることに伴って、
図3に矢印Sで示すように、剥離ローラ147のローラ中心147bに対して、揺動部150の長さ寸法で規定される所定の円弧に沿って揺動可能とされている。
揺動部150の長さ寸法は、抜き粕ロール37のロール径Dの変化に対応させて粕押さえローラ142が抜き粕ロール37の外周面36aに常に接触可能なように配置される。
【0065】
剥離ローラ147と粕押さえローラ142とは、略等しい径寸法を有する。
粕押さえローラ142の軸線は、剥離ローラ147の軸線と粕巻取軸51の軸線とを結ぶ鉛直面に対して、水平方向で連続ラベル用紙30の搬送方向上流側に位置する。同時に、粕押さえローラ142の軸線は、剥離ローラ147の軸線に対して、鉛直方向で粕巻取軸51の軸線側に位置する。
【0066】
揺動部150の他端部には、また、粕押さえエアシリンダ153の一端153aが回動可能(揺動可能)に取り付けられている。
粕押さえエアシリンダ153の他端153bは、上下方向において剥離ローラ147の軸線よりも下側で、かつ、水平方向において粕押さえエアシリンダ153の一端153aよりも剥離ローラ147の軸線から離間する位置に回動可能に固定されている。
【0067】
粕押さえエアシリンダ153は図示しないエアレギュレータに接続されて、駆動用のエアを供給制御することにより、揺動部150の他端部側を一定の押圧力で押圧可能とされている。粕押さえエアシリンダ153は、エアレギュレータにより伸張するようにエアを供給することで、揺動部150の揺動に対応して粕押さえエアシリンダ153を粕巻取軸51に向けて押圧可能とされている。これにより、粕押さえエアシリンダ153は、粕押さえローラ142を抜き粕ロール37に接触する方向に147b中心に揺動させるとともに、このとき粕押さえローラ142と抜き粕ロール37との接触圧力を調整することができる。
なお、抜き粕ロール37に向かう粕押さえローラ142への加圧力の付与は、エアシリンダに限定されず、加圧スプリング、電動シリンダ等であってもよい。
【0068】
粕押さえエアシリンダ153と揺動部150と粕押さえローラ142とガイドベルト145とは、粕押さえ搬送部200を構成している。
粕押さえローラ142は、粕押さえエアシリンダ153によって押圧されて、抜き粕ロール37のロール径Dが変化(増加)した場合でも、抜き粕ロール37の外周面36aに常に一定圧で接触して、抜き粕ロール37の巻取り速度と同速で回転するようになっている。
【0069】
剥離ローラ147の外周面147aと粕押さえローラ142の外周面142aとには、いずれも周方向にガイド溝147f,142fが周設されている。
ガイド溝147f,142fは、剥離ローラ147と粕押さえローラ142との軸線方向において互いに一致する位置として同数設けられる。
ガイド溝147f,142fは、U字溝、あるいはV字溝とされて、剥離ローラ147と粕押さえローラ142との軸線方向に少なくとも2箇所設けられる。
【0070】
ガイド溝147f,142fには、無端状のガイドベルト(丸ベルト)145がそれぞれ巻き掛けられており、ガイドベルト(丸ベルト)145のベルト幅方向の位置を決めている。
ガイド溝147f,142fの深さは、ガイドベルト(丸ベルト)145の断面外径と等しいかやや大きく設定され、ガイド溝147f,142fからガイドベルト(丸ベルト)145がそれぞれの外周面147a,142aから外側に突出しない深さに設定されている。
【0071】
剥離ローラ147の外周面147aと粕押さえローラ142の外周面142aとに巻き掛けられた複数本のガイドベルト(丸ベルト)145は、互いに平行で、抜き粕36の搬送方向に対し概略一致する方向に移動する。
複数本のガイドベルト(丸ベルト)145は、剥離ローラ147の軸線方向となる抜き粕36の幅方向に配置されて、いずれも抜き粕36の搬送方向と平行な平面を形成している。ガイドベルト(丸ベルト)145は、剥離ローラ147の軸線方向となる抜き粕36の幅方向に少なくとも2本設けられていればよいが、安定して抜き粕36を搬送するためには、複数本が抜き粕36の幅方向に略等しい間隔をもって設けられることが好ましい。
【0072】
これらにより、搬送される抜き粕36は剥離ローラ147の外周面147aと粕押さえローラ142の外周面142aとに均一に接触して案内される。
ガイドベルト(丸ベルト)145としては、例えばバンドー化学社製のバンコードなどを適用することができる。
なお、ガイドベルト145は、丸ベルトに限定されるものではなく、平ベルト、あるいはVベルト等でもよい。この際、ガイド溝147f,142fも、採用したガイドベルトに対応した断面形状とすることが好ましい。また、ガイドベルト145は、抜き粕36の全幅に対して抜き粕36自体の変形を防止してガイド可能であればよく、その配置は本実施形態の図示例に限定されるものではない。また、ガイドベルト145は、剥離ローラ147と粕押さえローラ142との軸線方向に分割されていれば、その幅寸法(断面寸法)、本数は限定されない。
【0073】
さらに、ガイドベルト(丸ベルト)145は、剥離ローラ147と粕押さえローラ142との間に巻き掛けられており、粕押さえローラ142との接触により粕押さえローラ142と剥離ローラ147との間を回転する。同時に、ガイドベルト(丸ベルト)145は、剥離ローラ147と粕押さえローラ142との間に巻き掛けられているので、剥離ローラ147と粕押さえローラ142とを同速で回転可能としている。
これにより、抜き粕ロール37の外周面36aに接触しており、抜き粕ロール37の巻き取り速度に対応する回転速度とされる粕押さえローラ142の回転に対して、剥離ローラ147を同速で回転させることができる。
【0074】
したがって、抜き粕ロール37の巻き取り速度と、剥離ローラ147における粕上げ速度とを同期させることができる。
ガイドベルト(丸ベルト)145は、抜き粕ロール37の外周面36aに当接する付近で、粕押さえローラ142に巻き付いているため、複数本の丸ベルトにガイドされて剥離ローラ147から粕押さえローラ142まで搬送されてきた抜き粕36は、抜き粕ロール37の外周面36aが凹凸形状になるのを抑制されて粕巻取軸51に巻き取られる。
【0075】
なお、上記の構成では、剥離ローラ147と粕押さえローラ142とにモータ等の回転駆動源を接続していない。粕押さえローラ142は、回転駆動される抜き粕ロール37の外周面36aと接触することで回転している。剥離ローラ147は、回転する粕押さえローラ142に巻回されたガイドベルト(丸ベルト)145によって回転駆動される。剥離ローラ147と粕押さえローラ142とにモータ等の回転駆動源を接続して駆動する構成とすることもできる。
【0076】
台紙31から剥離された抜き粕36は、剥離ローラ147の外周面147aの約半周分巻付けられる。その後、抜き粕36は、剥離ローラ147から上側位置の粕巻取軸51に達するまでの搬送経路において、複数本のガイドベルト(丸ベルト)145によって形成された搬送ガイドコンベアで抜き粕36の形状を維持するようにガイドされる。抜き粕36は、搬送経路でガイドされて、弛みやよれが生じないようにして粕巻取軸51まで搬送される。
【0077】
搬送ガイドコンベアにおける下流になる位置に設けた粕押さえローラ142は、剥離ローラ147の支持軸であるローラ中心147bを支点に旋回可能である。粕押さえローラ142は、粕押さえエアシリンダ153の加圧力により、抜き粕ロール37の外周面36aに常に一定圧で接触回転し、抜き粕ロール37の外周面36aの凹凸を平均に均し、形状を整える作用を有す。これにより、抜き粕ロール37の外周面36aの凹凸による張力変動が少なくなり、抜き粕ロール37の偏心回転による振動も少なくなるので、抜き粕36が切断されることなく巻き取ることができる。
【0078】
粕押さえエアシリンダ153の加圧力は、エアレギュレータの圧設定により調整可能なため、抜き粕ロール37の外周面36aの凹凸に対応して増減可能とされる。
【0079】
粕押さえローラ142は、エア配管経路に設けたレギュレータで粕押さえエアシリンダ153によるエア圧力を調整可能である。例えば、レギュレータのエア圧力を0.05~0.3MPaに調整して、粕押さえローラ142の接触圧を、連続ラベル用紙30(
図4参照)の種類、抜き面積などの条件に対応させて任意に変更可能に構成されている。
【0080】
すなわち、粕押さえローラ142は、抜き粕ロール37の外周面36aに振動が発生しないような圧力で接触するように調整されている。抜き粕ロール37の外周面36aに振動が発生しないような圧力を加えることによって、粕巻取軸51に巻取中の抜き粕36の巻き崩れや、巻き取られた抜き粕36層間に空気が過剰に巻き込まれることを防止できる。すなわち、抜き粕ロール37のロール形状を粕押さえローラ142によって好適に補正できる。
抜き粕ロール37のロール形状を粕押さえローラ142で補正(修正)することにより、抜き粕ロール37の外周面36aの凹凸をある程度均一化できる。これにより、抜き粕ロール37の外周面36aの凹凸に起因する張力の変動をある程度抑えることができる。
【0081】
このように、抜き粕ロール37のロール径Dの変化に粕押さえローラ142を対応させて、粕押さえローラ142を抜き粕ロール37の外周面36aに当接可能とした。よって、抜き粕ロール37の外周面36aの全域を粕押さえローラ142で平坦に均すことができる。これにより、抜き粕ロール37の外周面36aと、剥離ローラ147の外周面147aとの間隔rを、抜き粕ロール37の外周面36aと剥離ローラ147の外周面147aとが接触せず、また、粕押さえローラ142が抜き粕ロール37の外周面36aに当接する状態として好適に保つことができる。したがって、粕巻取軸51に巻取中の抜き粕36に発生する張力を良好に安定させることができる。
【0082】
剥離ローラ147のローラ中心147bは、剥離ローラ位置調整部220によって、粕巻取軸51の軸心位置に対して、剥離ローラ147の軸心と粕巻取軸51の軸心とを結ぶ方向に対して直交する方向、つまり、水平方向に位置設定可能とされている。
剥離ローラ位置調整部220は、剥離ローラ147の両端位置に一対設けられ、それぞれが独立に剥離ローラ147の水平位置を設定可能とされている。
【0083】
図3,
図4,
図5に示すように、剥離ローラ位置調整部220は、フレーム12に設けられて剥離ローラ147の端部を支持する支持溝部221と、この支持溝部221の内部に位置して支持溝部221と平行に延在するねじ部222と、ねじ222にアームの軸223を介して接続された調整ハンドル224とを有する。
なお、
図4においては、剥離ローラ位置調整部220の図示を一部省略している。
【0084】
支持溝部221は、フレーム12と一体として剥離ローラ147側に設けられた支持部12aに設けられる。支持溝部221は、略水平方向に直線上に延在し、略平面とされる直線部上面221aと、直線部上面221aと平行な直線部下面221bとを有する。支持溝部221には、ボールベアリング147mを介して、ローラ中心147bを回転中心として剥離ローラ-147を回転可能に支持する剥離ローラ支持軸147kの端部が位置している。
剥離ローラ支持軸147kは、支持部12aおよびフレーム12に対して水平方向に摺動可能として支持溝部221に支持されている。剥離ローラ支持軸147kの端部付近には、その上下位置となる部分が平取りされて平取り面147nが形成されている。平取り面147nは、いずれも支持溝部221の直線部上面221aおよび直線部下面221bと接している。
ねじ部222は、剥離ローラ147の軸線と直交する水平方向に延在して、剥離ローラ支持軸147kの端部を貫通するように螺合されている。ねじ部222が回転することで、剥離ローラ支持軸147kの端部が支持溝部221に沿ってねじ部222の延在する方向に移動可能とされている。
【0085】
アームの軸223の一端には、位置規制部227を設け、ねじ部222の水平方向位置を規制した上で、ねじ部222が同軸状態に形成される。アームの軸223の他端には、調整ハンドル224が接続される。調整ハンドル224を回転させると、アームの軸223を介してねじ部222が回転し、ねじ部222の回転に従って、剥離ローラ支持軸147kの端部が、剥離ローラ147の軸線と直交する水平方向に移動可能となる。
アームの軸223の他端には、移動量表示器226が設けられる。移動量表示器226は、アームの軸223の回転数を検出して、剥離ローラ支持軸147kの端部の移動量、つまり、剥離ローラ147のローラ中心147bの移動量を表示可能とされている。
【0086】
図3~
図6に示すように、剥離ローラ位置調整部220は、調整ハンドル224によって、流れ方向に近接して設けた剥離ローラ147とラベル移行用ブレード144との相対位置を調整できるようにしている。
剥離ローラ位置調整部220の調整ハンドル224を回転することで、剥離ローラ147は、
図6に実線で示す右側位置、および、
図6に破線で示す左側位置のように水平移動できる。このとき、剥離ローラ147は、外周面147aの最下端となる底面147gが連続ラベル用紙30をラベル移行用ブレード144側に付勢することのない所定の隙間を保ちつつ水平移動できる。
【0087】
ここで、剥離ローラが
図6に破線で示す左側位置にあるときは、連続ラベル用紙30の抜き粕36が、台紙(剥離シート)31から剥がされ、ラベル34は台紙(剥離シート)31に貼りついたままラベル移行用ローラ45側に向かう。
しかし、変形ラベルの抜き粕36、つまり、複雑で比較的大きな抜き粕36のため、剥離ローラ147での抜き粕36の剥離と粕上げがスムーズに行われないときは、調整ハンドル224を回して、剥離ローラ147を前進させ、
図6に実線で示す右側位置にする。
【0088】
この
図6に実線で示す右側位置では、ラベル移行用ブレード144により連続ラベル用紙30の抜き粕36およびラベル34が、台紙(剥離シート)31から分離されてから剥離ローラ147に向かうことになる。このため、
図6に実線で示す右側位置では、台紙(剥離シート)31から抜き粕36を剥がしながら巻き上げを行う
図6に破線で示す左側位置よりも、スムーズに抜き粕の巻き上げが行われる。
【0089】
このとき、剥離ローラ147を出たラベル34は、ラベル移行用ブレード144から転換ローラ44を経由し、ラベル移行用ローラ45に巻き掛けられ搬送される台紙(剥離シート)31に対し、天地位置をずらせた状態で再び貼り付けられて下流側に搬送される。また、抜き粕36はエンドレスにつながっているため、上方のガイドベルト(丸ベルト)145、粕押さえローラ142、および、粕巻取軸51による巻上げ力により剥離ローラ147側に向かい、
図6に矢印F1で示す剥離ローラ147での上昇テンションにより、上方に引っ張られる。
【0090】
これに対し、ラベル34には、ラベル移行用ブレード144の先端で台紙(剥離シート)31を下向きに流す力が
図6に矢印F2で示すように働き、ラベル移行用ローラ45の方向に移動するため、抜き粕36と共に巻き上げられることはない。
【0091】
なお、剥離ローラ147で抜き粕36の剥離と粕上げがスムーズに行われるための、剥離ローラ147とラベル移行用ブレード144との相対位置は、抜き粕36の形状により変化するので、その都度、調整ハンドル224にて相対位置を調整する。また、剥離ローラ147を前後方向に移動したとき、揺動部150に関連して前述した抜き粕ロール37の外周面36aと、剥離ローラ147の外周面147aとの間隔rの設定も、必要に応じて変更する。
【0092】
図7、
図9に示すように、検出手段20は、第1センサ116と、第2センサ117と、第3センサ(第2検出部)118と、ラインエンコーダ(第1検出部)119(
図3,
図11参照)とを備えている。
第1センサ116は、フレーム12の上部12bに第1取付ブラケット127を介して取り付けられている。第1センサ116は、検出片128を検出する。検出片128は、第1テーブル85の側面85bの端部85cに取り付けられている。第1センサ116が検出片128を検出することにより、上下方向に移動する第1テーブル85(すなわち、移動体76)の上限を判定する。
第2センサ117は、フレーム12の上部12bより下部寄りの部位12cに、第2取付ブラケット129を介して取り付けられている。第2センサ117は、検出片128を検出する。第2センサ117が検出片128を検出することにより、上下方向に移動する第1テーブル85(すなわち、移動体76)の下限を判定する。
【0093】
ここで、第1センサ116、第2センサ117の取付位置や検出位置、および第1センサ116、第2センサ117の数は実施例に限定されない。例えば第1テーブル85の正面側から第1センサ116、第2センサ117を取り付けても良い。また、スライダ84の正面に最大移動量+αの長さで長穴を設け、スライダ84の正面側にセンサを1個設けてもよい。さらに、第1テーブル85の側面85bを上下端方向で段付きに削り落とし、凸状態を移動量+αにして、一箇所に設けたセンサで判定してもよい。
【0094】
第3センサ118は、パウダークラッチ53の出力軸側のブラケット121に取り付けられている。具体的には、パウダークラッチ53の出力軸側にプレート122が取り付けられている。プレート122の下端部にブラケット121の一端121aが取り付けられている。ブラケット121の他端121bに第3センサ118が取り付けられている。 また、パウダークラッチ53の出力軸の第4タイミングプーリ69に回転体132が同軸上に設けられ、回転体132の外周に検出片133が設けられている。
ここで、パウダークラッチ53の出力軸の第4タイミングプーリ69と、粕巻取軸51の第1タイミングプーリ58とは、同じ歯数に形成されている。すなわち、回転体132(すなわち、検出片133)の回転数は、粕巻取軸51の回転数と同じになる。よって、第3センサ118で検出片133を検出することにより粕巻取軸51の1回転が検出される。
以下、粕巻取軸51の回転数を示すパルス信号を「巻取パルス」という。
【0095】
ここで、第3センサ118および検出片133の取付位置は本実施形態の例に限定されない。その他の取付位置として、例えば、フレーム12の原動側で、粕巻取軸51と同じ回転箇所であればよい。粕巻取軸51が1回転するたびに第3センサ118からパルスが1回発信されるような取付位置であればよい。
【0096】
図1~
図3、
図11に示すように、連続ラベル用紙30の搬送経路には、連続ラベル用紙30を搬送させるための第3サーボモータ(図示せず)と、搬送ローラ41、ニップローラ(あるいは、ニップコロ)42、ガイドローラ43、転換ローラ44、ラベル移行用ローラ45、再圧着受けローラ46、再圧着ローラ47とが設けられている。第3サーボモータに付随してラインエンコーダ119が設けられている。なお、
図11においては、ラベル移行用ブレード144、転換ローラ44、ラベル移行用ローラ45、再圧着受けローラ46、再圧着ローラ47、の図示を省略している。
【0097】
ラインエンコーダ119は、連続ラベル用紙30の搬送経路中(具体的には、搬送ローラ41)に連結されたロータリエンコーダである。ラインエンコーダ119は、連続ラベル用紙30の搬送量に対応するパルス信号を発信する。すなわち、ラインエンコーダ119は、連続ラベル用紙30の搬送量を検出する。以下、搬送量に対応するパルス信号を「搬送パルス」という。
ここで、粕巻取軸51が1回転する際の巻取パルスに対し、ラインエンコーダ119の搬送パルスを検出することにより、連続ラベル用紙30の搬送量から抜き粕ロール37のロール径Dを演算で求めることができる。
なお、搬送ローラ41、ニップローラ(あるいは、ニップコロ)42、ガイドローラ43、転換ローラ44、ラベル移行用ローラ45、再圧着受けローラ46、再圧着ローラ47、およびラインエンコーダ119の位置は図の位置に限定されない。
【0098】
巻取パルスおよび搬送パルス量に基づいて演算部22で抜き粕ロール37のロール径Dが求められる。すなわち、演算部22は、粕巻取軸51が1回転するごとに第3センサ118から発信される巻取パルスに対する、ラインエンコーダ119の搬送パルス量から抜き粕ロール37のロール径Dを求めることができる。
【0099】
つぎに、抜き粕ロール37のロール径Dを演算部22で求める方法を
図11に基づいて説明する。
図11に示すように、抜き粕ロール37のロール径をD、粕巻取軸51が1回転するときの連続ラベル用紙30の送り量(すなわち、巻き取られた抜き粕36の円周)をLとすると、
D=L/π …(1)
となる。
一方、連続ラベル用紙30の搬送経路には、ロール径dの第1搬送ローラ41およびラインエンコーダ119が設けられている。
【0100】
第1搬送ローラ41の1回転につき、ラインエンコーダ119が発信する搬送パルス数をnとする。連続ラベル用紙30が距離πdだけ搬送されたとき、ラインエンコーダ119から搬送パルスがnパルス発信される。よって、ラインエンコーダ119が発信する1搬送パルスあたりの連続ラベル用紙30の送り量は、πd/nとなる。
【0101】
ここで、粕巻取軸51が1回転するときのラインエンコーダ119の搬送パルスの発信パルス数をnoとすると、
L=πdno/n …(2)
となる。
式(2)を式(1)に代入することにより、
D=dno/n …(3)
が得られる。
ロール径d、およびラインエンコーダ119の搬送パルス数nは既知の値である。これにより、ラインエンコーダ119が発信する搬送パルス数noから、抜き粕ロール37のロール径Dを求めることができる。
【0102】
ついで、粕巻取軸51を制御部24で上昇させる例を
図4、
図12、
図13に基づいて説明する。
図4に示すように、剥離された抜き粕36は、ラベル34が抜かれて空穴状態になっている。このため、粕巻取軸51への粕巻取時に、抜き粕36に付与される張力が変動すると切断しやすい状態にある。ここで、ラベル34は単一の四角形や円形などの単純な輪郭形状のみに限定されない。特に、
図4に示すように、ラベル34の所定の形状が複雑な輪郭を有する不定形の場合には、抜き粕36の張力が変動すると、抜き粕36が切断しやすい状態になる。なお、
図4において示すラベル34の輪郭形状は、構成の理解を容易にするために、一例として、連続ラベル用紙30の幅方向と搬送方向とで、長さが均一でない形状として説明する。
【0103】
例えば、ラベル34の抜き粕36は、粕パスが長い場合には、抜き粕36の幅方向の縮み量が大きくなり負荷が集中する箇所や、抜き粕ロール37のロール径が大きくなり抜き粕36に付与される張力が高くなる箇所で切れやすくなる。
ここで、粕パスとは、抜き粕36が剥離ローラ147によって台紙31から剥離してから粕巻取軸51に到達するまでの区間を意味しており、この区間において剥離ローラ147から粕巻取軸51まで抜き粕36が支持なしに搬送されることをいう。
【0104】
一方で、抜き粕ロール37の外周面36aが粕押さえローラ142の外周面142aと圧接した状態に保たれることが考えられる。
この状態において、抜き粕ロール37の外周面36aの凹凸形状などの巻きムラが原因で、抜き粕ロール37の外周面36aのうち、いずれかの箇所にロール径Dの差が生じることが考えられる。また、粕パスにおいて抜き粕36が波打ち、ねじれなどの変形を発生することで、抜き粕ロール37が紙管64に対して偏芯して巻き取られることや、振動が発生することが考えられる。このため、抜き粕36に付与する張力が変動して、抜き粕36が切断されるおそれがある。
【0105】
以上のことから、粕巻取軸51の位置は、粕パス、つまり、抜き粕36が支持されていない区間が常に短い距離になり、かつ、巻きムラが発生しない位置にあることが好ましい。そこで、本実施形態の抜き粕巻取り装置10においては、抜き粕ロール37の外周面36aが剥離ローラ147の外周面147aに接蝕せず、また、粕押さえローラ142が抜き粕ロール37の外周面36aに当接する状態の間隔(距離)r(
図8,
図10,
図11,
図12参照)である位置に粕巻取軸51の位置が決定される。また、抜き粕ロール37の外周面36aと粕押さえローラ142の外周面142aとが圧接されるように、粕巻取軸51の位置が決定される。
【0106】
ここで、抜き粕36に張力が付与されることにより、抜き粕36は幅方向に収縮する。例えば、
図4に示すように、抜き粕36が不定形状に抜かれている場合、抜き粕36には、搬送方向に連続した部分である搬送方向帯状部361と、幅方向に連続した部分である幅方向帯状部362とが形成されている。
抜き粕36の搬送方向帯状部361は張力により搬送方向に延ばされて幅方向に収縮した状態で粕巻取軸51に巻き取られる。この場合、格子状の抜き粕36の幅方向帯状部362は張力が作用せず、搬送方向帯状部361に対して弛んで浮いた状態となり、抜き粕36の厚み方向に曲がった状態で粕巻取軸51に巻き取られる場合がある。
【0107】
このため、抜き粕ロール37の幅方向帯状部362のロール径D(
図11参照)が、搬送方向帯状部361のロール径Dよりも大きくなる。そこで、抜き粕ロール37の幅方向帯状部362のロール径Dと、抜き粕ロール37の搬送方向帯状部361のロール径Dが同じ径となるように粕押さえローラ142(
図4参照)を設けている。
同時に、粕パス、つまり、抜き粕36が支持されていない区間をなくすために、剥離ローラ147から抜き粕ロール37の外周面36aまでの区間で、搬送方向に延在する複数本のガイドベルト(丸ベルト)145によって抜き粕36を支持している。
【0108】
巻取りを行うとき、剥離ローラ147の下流側で連続ラベル用紙30から分離された抜き粕36は、剥離ローラ147に約半周分巻付けられた後、上側の粕巻取軸51に搬送される。この剥離ローラ147から抜き粕ロール37の外周面36aに達するまでの搬送経路においては、幅方向に離間して搬送方向に複数本張られたガイドベルト(丸ベルト)145によって搬送ガイドコンベアが構成されている。抜き粕36は、搬送ガイドコンベア上に延べ広げられてガイドされる。この搬送経路は、抜き粕36がガイドされて支持されているため、粕パスではないとみなせることになる。したがって、抜き粕36は、ねじれ、反転等が発生することなく、安定した粕上げが可能になる。
【0109】
この搬送ガイドコンベアにおいては、搬送方向におけるガイドベルト(丸ベルト)145の長さ、つまり、搬送経路の搬送方向における距離が、
図12(A)に示される紙管64の外周面64aで粕上げを行う初期位置において、抜き粕36を真っ直ぐな形状を維持するために必要な最小のスパンLC(
図12参照)以上に設定される。スパンLCは、一例として74mmに設定される。このガイドベルト(丸ベルト)145の長さは、揺動部150の長さ、つまり、剥離ローラ147と粕押さえローラ142との軸間距離LDにて規定される。
【0110】
図3~
図5に示すように、搬送ガイドコンベア下流側に位置する粕押さえローラ142は、搬送ガイドコンベア上流の剥離ローラ147の軸線を中心として上記の軸間距離LD(
図3参照)を回転半径として旋回可能である。また、粕押さえローラ142は、粕押さえエアシリンダ153により、抜き粕ロール37の外周面36aに向けて押圧されている。これにより、抜き粕ロール37のロール径Dが増加しても、粕押さえローラ142の外周面142aが抜き粕ロール37の外周面36aに常に一定圧で接触して、抜き粕ロール37の巻取り速度と粕押さえローラ142の外周面142aとが同じ周方向速度で回転するようになっている。
【0111】
粕押さえローラ142と剥離ローラ147との間には、ガイドベルト(丸ベルト)145が巻き掛けられており、抜き粕ロール37との接触により回転する粕押さえローラ142と剥離ローラ147とを同速で回転する。したがって、抜き粕ロール37の外周面36aにおける巻取り速度と、粕押さえローラ142の外周面142aの周方向速度と、剥離ローラ147の外周面147aの周方向速度とは、いずれも一致する。
これにより、剥離ローラ147で分離されてから抜き粕ロール37の外周面36aまで、抜き粕36は、剥離ローラ147、粕押さえローラ142がいずれも抜き粕ロール37の巻取り速度と同速で支持する。
【0112】
剥離ローラ147の外周面147aにおいて、ガイドベルト(丸ベルト)145はガイド溝147fから突出しないように巻回されている。これにより、抜き粕36は剥離ローラ147の外周面147aに均一に接触して案内される。
抜き粕36は、剥離ローラ147の外周面147aに接して粕上げされた後、ガイドベルト(丸ベルト)145によって支持されながらガイドベルト(丸ベルト)145に沿ってガイドされる。なおガイドベルト145は、ガイド溝147fに沈めた分、抜き粕ロール37の巻取り速度より遅く周回して、抜き粕36をガイドしている。
【0113】
同様に、粕押さえローラ142の外周面142aにおいて、ガイドベルト(丸ベルト)145はガイド溝142fから突出しないように巻回されている。これにより、抜き粕36は粕押さえローラ142の外周面142aに均一に接触して案内される。
ガイドベルト(丸ベルト)145に沿ってガイドされた抜き粕36は、粕押さえローラ142と抜き粕ロール37の外周面36aとの接触位置で、抜き粕ロール(紙管)37の外周面36aに添って滑らかに巻き付いていく。
ガイドベルト(丸ベルト)145は、
図1,
図2に示す粕押さえローラ142の外周面142aのガイドベルト入口の入口ニップN区間において抜き粕ロール37の外周面36aに接するように抜き粕36をガイドする。
【0114】
また、ガイドベルト(丸ベルト)145は、弾性を有する材料からなる。このため、ガイドベルト(丸ベルト)145は、粕押さえローラ142の外周面142aの入口ニップN区間では、粕ロール37の巻取り速度で速く送られ、ニップがなくなるNの最下流付近で元の遅い周回速度に戻り、N区間で余分に送られたガイドベルト(丸ベルト)145が浮き上がる。よって、ガイドベルト(丸ベルト)145は、粕押さえローラ142の外周面142aにおいて、抜き粕ロール37の外周面36aと離間した部分から下流側が、
図4に示すように、ガイド溝142fから飛び出す。
言い換えると、
図1において、粕押さえローラ142は、抜き粕ロール37と同速で回転するが、ガイドベルト145はガイド溝に沈めた分、抜き粕ロール37の巻取り速度より遅く周回している。このとき、粕押さえローラ142の入口ニップN区間では、ガイドベルトが抜き粕ロール37と同速で早く送られるためニップがなくなるNの最下流付近で浮き上がってしまう。これにより、ガイドベルト145が、
図4に示すように、ガイド溝142fから飛び出す。
これにより、円筒状とされる粕押さえローラ142の外周面142aに対して、抜き粕ロール37の外周面36aが凹状となった部分においても、抜き粕36を抜き粕ロール37の外周面36a側に押圧することができる。したがって、凹凸を有する抜き粕ロール37の外周面36aに対しても、抜き粕36を安定して巻き付けて貼り着けることが可能となる。
【0115】
このように、ガイドベルト(丸ベルト)145にガイドされて安定搬送された抜き粕36は、抜き粕ロール37の外周面36aが凹凸形状になることを抑制されて粕巻取軸51に巻き取られる。
【0116】
図12に示すように、抜き粕ロール37の外周面36aと剥離ローラ147の外周面147aとの間隔rは、通常30mm程度となるように設定されている。ただし、スパンLCや、抜き粕ロール37、剥離ローラ147、粕押さえローラ142の各径と位置の設定によっては、間隔rの設定を変更して、間隔rを20~50mmの範囲内とすることも可能である。粕巻取軸51の初期位置は、
図12(A)に示す位置となる。粕巻取軸51の初期位置とは、粕巻取軸51に固定された紙管64にラベル34の抜き粕36が巻き取られていない状態における粕巻取軸51の位置をいう。
【0117】
図4に戻って、粕巻取軸51に固定された紙管64の外周面64aが、剥離ローラ147の外周面147aと接蝕せず、また、粕押さえローラ142が抜き粕ロール37の外周面36aに当接する状態になるように間隔r(
図8,
図10,
図11,
図12参照)が設定されている。よって、抜き粕36は、剥離ローラ147によって台紙31から剥離されるとガイドベルト(丸ベルト)145にガイドされて粕巻取軸51に固定された紙管64に巻き取られる。巻き取られた抜き粕36は、抜き粕36の粘着面によって粕巻取軸51(すなわち、紙管64)と一体化する。
これにより、抜き粕36が単体で搬送される粕パスがなく、抜き粕36が切断されることなく巻き取られる。
【0118】
以下、抜き粕36が単体で搬送される粕パスのない連続ラベル用紙の抜き粕巻取り方法を
図12に基づいて説明する。なお、
図12において、粕押さえローラ142は図示を省略している。
図3、
図12(A)に示すように、まず、粕巻取軸51の軸位置Pを、紙管64の外周面64aと外周面147aとが接蝕しないように離間した状態として設定する。
具体的には、粕押さえローラ142径、剥離ローラ147径をそれぞれφ60mm、スパンLCを74mmとし、φ100mmからφ600mmの抜き粕ロール37径で巻取る場合、間隔rは、通常、30mm程度に設定されている。なお、軸位置Pは、剥離ローラ147の外周面147aと粕巻取軸51の中心51aとの距離を示す。
【0119】
図3、
図12(B)に示すように、連続ラベル用紙30の搬送が開始されると、粕巻取り工程において、粕巻取軸51が回転する。粕巻取軸51が回転することにより、台紙31(
図4参照)から剥離された抜き粕36が粕巻取軸51の紙管64に巻き取られる。
ロール径演算工程において、抜き粕ロール37のロール径Dを、第3センサ118(
図1参照)からの巻取パルス信号や、ラインエンコーダ119からの搬送パルス信号に基づいて求める。第3センサ118は、粕巻取軸51の1回転を検出する。ラインエンコーダ119は、連続ラベル用紙30の搬送量を検出する。
つぎに、算出したロール径Dを、コントローラ21内の演算部22に記憶させる。演算部22に記憶したロール径Dに、任意に設定した径方向寸法の増加分を加えたロール径を、予め抜き粕ロール37の「上昇開始ロール径D1」と設定する。
【0120】
図3、
図12(C)に示すように、連続ラベル用紙30の搬送中において、粕巻取軸51が1回転するごとに切り出されたラインエンコーダ119の搬送パルス量から抜き粕ロール37のロール径Dを毎回演算して求める。
粕巻取軸移動工程において、求めた抜き粕ロール37のロール径Dを「上昇開始ロール径D1」と比較する。比較したロール径Dが「上昇開始ロール径D1」よりも大きい場合、制御部24からの信号に基づいて上下移動機構16の第2サーボモータ82(
図1参照)を駆動する。
第2サーボモータ82で第6タイミングプーリ95を回転することにより、第6タイミングプーリの回転が第3タイミングベルト96を介して回転軸89の第5タイミングプーリ93に伝えられる。第5タイミングプーリ93が回転することにより、回転軸89を介して一対のドライブギア79が回転する。
【0121】
一対のドライブギア79が回転することにより、一対のドリブンギア78が回転する。一対のドリブンギア78が回転することにより、一対のボールねじ77が回転する。一対のボールねじ77が回転することにより、連結ブラケット92(すなわち、移動体76)が上下方向に移動する。
移動体76の第1テーブル85および第2テーブル86に、巻取機構14が取り付けられている。移動体76が上下方向に移動することにより、任意に設定した粕巻取軸51の粕巻取軸上昇設定値だけ粕巻取軸51を軸位置Pまで上昇する。すなわち、粕巻取軸51を剥離ローラ147から離す方向に移動する。
これにより、
図12(C)に示すように、抜き粕ロール37の外周面36aと剥離ローラ147の外周面147aとの間隔rが、抜き粕ロール37の外周面36aが剥離ローラ147の外周面147aに接しない程度の距離になる。
【0122】
粕巻取軸51の上昇動作完了後、同様の方法で再び抜き粕ロール37のロール径Dを演算する。ロール径Dを演算部22に上書きすることにより、粕巻取軸51の新たな「上昇開始ロール径D1」を定める。以下、同様に、制御部24からの信号に基づいて粕巻取軸51を上昇する。
【0123】
すなわち、制御部24は、演算部22で求めたロール径Dに基づいて、粕巻取軸51を剥離ローラ147から離れる方向または剥離ローラ147に近づく方向に移動させるように上下移動機構16を制御する。
つぎに、粕巻取軸51を制御部24で剥離ローラ147から離れる方向に移動する例を
図12、
図13に基づいて詳しく説明する。
【0124】
図12は、
図13のRA、RB、RCの時点における粕巻取軸51、抜き粕ロール37、剥離ローラ147の位置関係を示す正面図である。
図13は、抜き粕の巻取動作を実行した場合の粕巻取軸51の上昇タイミングの例を示すグラフである。
図12において、間隔rは、抜き粕ロール37の外周面36aと剥離ローラ147の外周面147aとの距離、または紙管64の外周面64aと剥離ローラ147の外周面147aとの距離を示す。また、上述したように、軸位置Pは、剥離ローラ147の外周面147aと粕巻取軸51の中心51aとの距離を示す。
【0125】
図12(A)、
図13に示すように、粕巻取軸51が回転数RAの時点において、紙管64の管径は上昇開始ロール径D1より小さく形成されている。例えば、紙管64は管径100mmに設定されている。よって、紙管64の外周面64aと剥離ローラ147の外周面147aとの間に間隔rが保たれている。これにより、粕巻取軸51が上昇しない状態において、抜き粕36が粕巻取軸51の紙管64に巻き取られる。
【0126】
図12(B)、
図13に示すように、抜き粕36が粕巻取軸51の紙管64に巻き取られることにより、抜き粕ロール37のロール径Dが大きくなる。同時に、抜き粕ロール37の外周面36aと剥離ローラ147の外周面147aとの間隔rが小さくなる。
粕巻取軸51が回転数RBに達した状態において、抜き粕ロール37のロール径Dは「上昇開始ロール径D1」を上回る。
【0127】
粕巻取軸51は上昇を開始する。粕巻取軸51の上昇中において、抜き粕36は粕巻取軸51に継続して巻き取られる。抜き粕36が粕巻取軸51の紙管64に継続して巻き取られることにより、抜き粕ロール37のロール径Dが大きくなる。この状態において、粕巻取軸51が上昇されている。よって、抜き粕ロール37の外周面36aと剥離ローラ147の外周面147aとの間隔rは予め設定した粕巻取軸上昇設定値に向けて増加していく。
【0128】
図12の状態(C)、
図13に示すように、粕巻取軸51が回転数RCの時点において、粕巻取軸51の上昇値が予め設定した粕巻取軸上昇設定値(例えば、5.0mm)に到達する。よって、粕巻取軸51は上昇を停止する。粕巻取軸51が上昇を停止した時のロール径Dに対して、任意に設定した径方向寸法の増加分(例えば、3.0mm)を加えたロール径を、新たな上昇開始ロール径D1として定める。そして、ロール径Dが上昇開始ロール径D1に達するまで、粕巻取軸51を上昇させずに抜き粕36を巻き取る。
【0129】
以上説明したように、RA~RCの動作を順次繰り返すことで、抜き粕ロール37の外周面36aと剥離ローラ147の外周面147aとの間隔rは、通常、20mm≦r≦50mmの範囲に設定されている。
よって、抜き粕ロール37の外周面36aが、剥離ローラ147の外周面147aに接しない程度以上の距離を保つことができる。これにより、抜き粕36が切断されること無く安定した抜き粕36の巻取り形状を維持できる。
【0130】
このように、抜き粕ロール37のロール径Dに基づいて、粕巻取軸51を剥離ローラ147から離れる方向または剥離ローラ147に近づく方向に移動させることができる。よって、抜き粕ロール37の外周面36aと、剥離ローラ147の外周面147aとの間隔rを、これらが接触しない状態に維持することができる。
同時に、剥離ローラ147によって台紙31から剥離された抜き粕36を、ガイドベルト(丸ベルト)145にガイドした状態で巻き取ることで、剥離ローラ147の外周面147aから抜き粕ロール37の外周面36aまでの粕パス寸法を抑えることができる。
【0131】
これにより、ラベル34の所定の形状が長方形や円形など以外であり、抜き粕36における縦横の張力が不均一となる不定形とされた場合でも、巻取り中の抜き粕36に発生する張力を安定させることにより、抜き粕36が切断されることを最大限に防止できる。
また、剥離ローラ147の外周面147aから抜き粕ロール37の外周面36aまでの搬送経路をガイドベルト(丸ベルト)145でガイドして、粕パス寸法をなくすことにより、従来技術と比較して、抜き粕36に強い張力を与えても抜き粕36が切断することを抑制できる。
【0132】
また、粕押さえローラ142により抜き粕ロール37の外周面36aを押さえながら抜き粕36を巻き取るとともに、ガイドベルト(丸ベルト)145によって凹凸の生じた抜き粕ロール37の外周面36aに向けて抜き粕36を押し付けながら巻き取ることで、抜き粕36を安定して巻き付けて、抜き粕36が切断されることを最大限に防止できる。
さらに、抜き粕36の切断を抑制することにより、連続ラベル用紙30の印刷速度を速くできる。その結果、ラベル34の生産性を大幅に向上できる。
【0133】
なお、本実施形態においては、径方向寸法の増加分を3.0mm、粕巻取軸上昇設定値を5.0mmに設定したが、径方向寸法の増加分および粕巻取軸上昇設定値は、3.0mmや5.0mmに限定されるものではない。すなわち、粕巻取軸51にラグ62で固定した紙管64の外周面64a、または抜き粕ロール37の外周面36aと剥離ローラ147の外周面147aとの間隔rが一定範囲を保つように粕巻取軸51が上昇する制御であればよい。
その他の例として、例えば、連続ラベル用紙30の厚さ寸法を巻取り開始前に測定し、その値に応じて粕巻取軸上昇設定値を変更することもできる。また、連続ラベル用紙30の種類や巻取速度によって値を変更できるようにしてもよい。
【0134】
また、粕巻取軸51の上下移動機構16は、本実施形態で説明したような、運転時の自動動作に加えて、例えば、巻取動作停止中に粕巻取軸51を手動で上下動作させることも可能である。粕巻取軸51の手動動作は、例えば、抜き粕ロール37が最大ロール径に達したときに、抜き粕ロールを粕巻取軸51から取り外す場合などに使用する。
【0135】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせなどは一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求などに基づき種々変更可能である。
【0136】
例えば、上記実施形態では、一対の直動ガイド75と、一対のボールねじ77によって移動体76を上下方向に移動させているが、移動体76の移動方法は上記実施形態に限らない。その他の例として、例えば、一対のボールねじ77に代えて、台形ねじなどを使用することも可能である。さらに、ボールねじ77や台形ねじの本数も位置精度や耐久性などの点では一対設けるのが好ましいが、1本としてもよい。
【0137】
また、上記実施形態では、張力調整部としてパウダークラッチ53を例示し、パウダークラッチ53で抜き粕ロール37の抜き粕36に付与される張力の変動を一定に保つ例について説明したが、これに限らない。その他の張力調整部として、なめらかに滑らせ、かつ、設定トルクを段階的に変更させる機能を備えた他のクラッチなどを採用することも可能である。
【0138】
さらに、上記実施形態では、連続ラベル用紙30の搬送量検出する第1検出部のラインエンコーダ119としてロータリエンコーダを例に説明したが、これに限らない。
【0139】
また、上記実施形態では、演算部22で求めたロール径Dに基づいて、制御部24で粕巻取軸51を移動させる例について説明したが、これに限らない。その他の例として、例えば、演算部22で求めたロール径Dに基づいて、手動で粕巻取軸51を移動させることも可能である。
【0140】
さらに、上記実施形態では、剥離ローラとして剥離ローラ147を例示したが、これに限らない。その他の例として、例えば剥離ローラを可動式剥離ローラとすることも可能である。
【0141】
また、上記実施形態では、剥離ローラ147のローラ中心147bに対して鉛直方向上側に粕巻取軸51を設けた例について説明したが、これに限らない。その他の例として、例えば、剥離ローラ147の斜め上側、剥離ローラ147の横側などの他の方向に粕巻取軸51を設けることも可能である。
【0142】
上記実施形態では、剥離ローラ147、ラベル移行用ブレード144、転換ローラ44、ラベル移行用ローラ45によってラベル移行機構を構成し、粕上げ後にラベル34を台紙31に再貼り着けする構成としたが、ラベル移行機構を設けることなく、ラベル34を台紙31から剥離せずに、粕上げをおこなう構成とすることもできる。
この例としては、
図11に示す構成を、図示省略している構成として採用することができる。
【符号の説明】
【0143】
10…抜き粕巻取り装置(連続ラベル用紙の抜き粕巻取り装置)
12…フレーム
14…巻取機構
16…上下移動機構(移動機構)
21…コントローラ
22…演算部
24…制御部
30…連続ラベル用紙
31…台紙(剥離シート)
32…ラベル基材
34…ラベル(抜き製品)
36…抜き粕
37…抜き粕ロール
142…粕押さえローラ
142f…ガイド溝
144…ラベル移行用ブレード
145…ガイドベルト(丸ベルト)
147…剥離ローラ
147f…ガイド溝
150…揺動部
153…粕押さえエアシリンダ
200…粕押さえ搬送部
220…剥離ローラ位置調整部
51…粕巻取軸
51a…粕巻取軸の中心
53…パウダークラッチ(張力調整部)
118…第3センサ(第2検出部)
119…ラインエンコーダ(第1検出部)
D…抜き粕ロールのロール径(抜き粕のロール径)