(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】物品を液体に浸漬するためのスパイラルコンベヤシステム
(51)【国際特許分類】
B65G 49/02 20060101AFI20220117BHJP
B65G 15/16 20060101ALI20220117BHJP
B65G 15/02 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
B65G49/02 C
B65G15/16
B65G15/02
(21)【出願番号】P 2019564825
(86)(22)【出願日】2018-05-02
(86)【国際出願番号】 CA2018000083
(87)【国際公開番号】W WO2018213915
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-04-27
(32)【優先日】2017-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CA
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519116861
【氏名又は名称】スティーブン・ケリー
【氏名又は名称原語表記】STEVEN KELLEY
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケリー,スティーブン
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-233662(JP,A)
【文献】特開平09-310956(JP,A)
【文献】特開平09-156735(JP,A)
【文献】国際公開第1992/021596(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0022012(US,A1)
【文献】米国特許第04875343(US,A)
【文献】米国特許第03302423(US,A)
【文献】米国特許第01907649(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 49/00-49/08
B65G 15/00-15/28,15/60-15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパイラルコンベヤシステムであって、
所定の温度の液体を入れるためのタンクと、
前記液体中で物品を搬送するためのコンベヤと、
前記コンベヤを螺旋状に案内するために前記タンク内に配置された案内構造とを備え、
前記コンベヤは
、スパイラルの周を覆うように前記コンベヤの経路に沿って延在する対向した側壁を含み、前記側壁は、
前記コンベ
ヤの上面とその上に配置される前記コンベ
ヤの底面とともに、前記物品が前記液体中で搬送されている間、前記物品を
内部に固定するための囲いを形成し、
前記案内構造は、
前記コンベヤを下方向に案内するための第1のスパイラルと、
前記コンベヤを上方向に案内するための第2のスパイラルと、
前記コンベヤを前記第1のスパイラルから前記第2のスパイラルに案内するためのクロスオーバーセクションとを有する、スパイラルコンベヤシステム。
【請求項2】
前記コンベヤは、前記物品を保持するための突出部を有し、
前記突出部は、前記コンベヤの底面から下方向に向いている、請求項1に記載のスパイラルコンベヤシステム。
【請求項3】
前記コンベヤは、2つ
のバリアの
前記経路に沿う間隔に前記物品を固
定するためのバリアを有し、前記バリアは前記コンベヤの
前記上面から上方向に
突出し、前記
2つのバリア
は前記経路に所定の距離
をおいて離間され、前記バリアは前記
側壁に対して略垂
直に配向され、または、
前
記コンベヤは、2つ
のバリアの
前記経路に沿う間隔に前記物品を固
定するためのバリアを有し、前記バリアは前記コンベヤの前記底面から下方向に
突出し、前記
2つのバリア
は前記経路に所定の距離
をおいて離間され、前記バリアは前記
側壁に対して略垂直
に配向される、請求項1に記載のスパイラルコンベヤシステム。
【請求項4】
前記物品を収容するためのトレイを備え、各トレイは、前記2つ
のバリア
の間の
前記距離に実質的に収まるように構成されている、請求項3に記載のスパイラルコンベヤシステム。
【請求項5】
スパイラルコンベヤシステムであって、
所定の温度の液体を入れるためのタンクと、
前記液体中で物品を搬送するためのコンベヤと、
前記コンベヤを下方向に案内するための第1のスパイラルと、
前記コンベヤを上方向に案内するための第2のスパイラルと、
前記コンベヤを前記第1のスパイラルから前記第2のスパイラルに案内するためのクロスオーバーセクションと、
前記第1のスパイラルの上方に配置された第1の液体入力環状部と、
前記第2のスパイラルの上方に配置された第2の液体入力環状部とを備える、スパイラルコンベヤシステム。
【請求項6】
液体出力構造は、
前記第1のスパイラルの下方に配置された第1の液体出力環状部と、
前記第2のスパイラルの下方に配置された第2の液体出力環状部とを有する、請求項5に記載のスパイラルコンベヤシステム。
【請求項7】
前記クロスオーバーセクションの上方に配置されたクロスオーバー液体入力部と、
前記クロスオーバーセクションの下方に配置されたクロスオーバー液体出力部とのうちの少なくとも1つを備える、請求項6に記載のスパイラルコンベヤシステム。
【請求項8】
前記第1の液体出力環状部および前記第2の液体出力環状部は、前記タンクの底壁から所定の距離だけ上方に離隔して配置されている、請求項6に記載のスパイラルコンベヤシステム。
【請求項9】
前記タンクは排出口を有し、
前記底壁は前記排出口に向かって傾斜している、請求項8に記載のスパイラルコンベヤシステム。
【請求項10】
前記第1の液体出力環状部および前記第2の液体出力環状部と、前記第1の液体入力環状部および前記第2の液体入力環状部とに接続された液体リターン部を備える、請求項8に記載のスパイラルコンベヤシステム。
【請求項11】
前記液体リターン部は液体加熱/冷却装置とポンプとを有する、請求項10に記載のスパイラルコンベヤシステム。
【請求項12】
前記コンベヤは、その少なくとも一方側に配置されたスプロケットを備え、前記スプロケットは、スプロケット型駆動機構のスプロケットホイールと相互に作用するよう適合される、請求項1に記載のスパイラルコンベヤシステム。
【請求項13】
前記コンベヤは、内側端縁と外側端縁とを含み、前記案内構造は、前記内側端縁および前記外側端縁をそれぞれ担持するよう適合された内側支持枠および外側支持枠を含む、請求項1に記載のスパイラルコンベヤシステム。
【請求項14】
前記コンベヤはセルフスタッキングコンベヤである、請求項1に記載のスパイラルコンベヤシステム。
【請求項15】
前記側壁は、前記コンベヤの前記底面から下方向に延在する、請求項1に記載のスパイラルコンベヤシステム。
【請求項16】
前記クロスオーバーセクションにわたって、前記コンベヤから所定の距離だけ上方に離隔して配置された固定用コンベヤを備え、
前記固定用コンベヤは、前記コンベヤと平行に配置され、前記コンベヤと同じ方向に同じ速度で移動するように構成されている、請求項1に記載のスパイラルコンベヤシステム。
【請求項17】
前記クロスオーバーセクションにわたって、前記コンベヤの上方に配置されたクロスオーバー液体入力部と、
前記クロスオーバーセクションにわたって、前記コンベヤの下方に配置されたクロスオーバー液体出力部とのうちの少なくとも1つを有する、請求項1に記載のスパイラルコンベヤシステム。
【請求項18】
前記物品が前記液体中で搬送されている間、前記物品を固定するための手段をさらに備える、請求項1に記載のスパイラルコンベヤシステム。
【請求項19】
スパイラルコンベヤシステムであって、
所定の温度の液体を入れるためのタンクと、
前記液体中で物品を搬送するためのコンベヤと、
前記コンベヤを螺旋状に案内するために前記タンク内に配置された案内構造とを備え、
前記コンベヤは
、スパイラルの周を覆うように前記コンベヤの経路に沿って延在する対向した側壁を含み、前記側壁は、
前記コンベ
ヤの上面とその上に配置される前記コンベ
ヤの底面とともに、前記物品が前記液体中で搬送されている間、前記物品を
内部に固定するための囲いを形成し、前記案内構造は、
前記コンベヤを下方向に案内するためのスパイラル、および、前記コンベヤを上方向に案内するための傾斜セクション、または、
前記コンベヤを上方向に案内するためのスパイラル、および、前記コンベヤを下方向に案内するための傾斜セクションを有する、スパイラルコンベヤシステム。
【請求項20】
前記コンベヤはセルフスタッキングコンベヤである、請求項19に記載のスパイラルコンベヤシステム。
【請求項21】
前記側壁は、前記コンベヤの前記底面から下方向に延在する、請求項19に記載のスパイラルコンベヤシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、物品を運搬するための搬送システムに関し、より特定的には、加熱、冷却、または化学的処理のために液体に浸漬されている物品を運搬するためのスパイラルコンベヤシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
昨今の大規模な物品の処理、例えば、食品の冷却、冷凍、低温殺菌、加熱調理、または化学的処理などにおいて、工程を通じて物品を連続的に流すために搬送システムが採用されている。最小限の体積および外表面積の断熱容器内に比較的長い経路長を提供するために、この容器内を通って物品を運搬するコンベヤは、典型的には螺旋状の経路(この産業界で「スパイラル」経路と呼ばれる)を進むように構成されている。物品は、容器内で運搬される間、所定の温度まで加熱または冷却された空気、または容器内に入れられた極低温ガスにさらされる。
【0003】
都合の悪いことに、空気または極低温ガスと物品との間の熱伝導率は比較的低いため、処理を行なうには、依然として、相当な時間長、物品を空気または極低温ガスにさらす必要がある。したがって、容器内の経路長が相当な長さであること(すなわち、容器が相当なサイズであること)、または、コンベヤの動きが非常に遅いことが必要である。
【0004】
例えば、水または塩水などの液体と物品との間の熱伝導率は、空気または極低温ガスと物品との間の熱伝導率よりも大幅に高い。したがって、処理に水または塩水を使用することによって、物品をそれらにさらす時間が大幅に短縮される。これにより、エネルギ消費が抑えられるとともに、大幅に短縮された経路長を容器内で用いることが可能になる。結果として、システムの小型化またはコンベヤの高速化につながり、それによってスループットの増加が可能になる。
【0005】
さらに、システム内での液体の運搬は、空気の運搬よりも大幅に効率的であり、ひいては費用効率が高い。
【0006】
しかしながら、物品を液体に浸すための従来のコンベヤの使用には制約がある。なぜなら、多くの物品の密度は液体の密度よりも低いからである。結果として生じる浮力により、物品がコンベヤ上の適所から移動し、コンベヤを塞ぎ、または、液体表面上に浮遊する。これにより、物品またはその包装が損傷する可能性があり、処理および工程が非効率となる。物品の密度が液体の密度を十分に上回っておらず、液体の流れ力に抗して物品をコンベヤ上の適所に留めるのに十分な摩擦が生じない場合にも、これらの現象は起こり得る。
【0007】
加熱、冷却、または化学的処理のために液体に浸漬されている物品を運搬するためのスパイラルコンベヤシステムを提供することが望ましい。
【0008】
また、加熱、冷却、または化学的処理のために液体に浸漬されている物品を運搬するためのスパイラルコンベヤシステムであって、物品を液体に浸しながら固定するように設計されたスパイラルコンベヤシステムを提供することが望ましい。
【0009】
また、加熱、冷却、または化学的処理のために液体に浸漬されている物品を運搬するためのスパイラルコンベヤシステムであって、液体を入れる容器のサイズを最小限に抑えつつ、比較的長いコンベヤの経路長を実現するスパイラルコンベヤシステムを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
発明の概要
したがって、本発明の目的の1つは、加熱、冷却、または化学的処理のために液体に浸漬されている物品を運搬するためのスパイラルコンベヤシステムを提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、加熱、冷却、または化学的処理のために液体に浸漬されている物品を運搬するためのスパイラルコンベヤシステムであって、物品を液体に浸しながら固定するように設計されたスパイラルコンベヤシステムを提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、加熱、冷却、または化学的処理のために液体に浸漬されている物品を運搬するためのスパイラルコンベヤシステムであって、液体を入れる容器のサイズを最小限に抑えつつ、比較的長いコンベヤの経路長を実現するスパイラルコンベヤシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様によれば、スパイラルコンベヤシステムが提供される。スパイラルコンベヤシステムは、所定の温度の液体を入れるためのタンクを備える。コンベヤは、液体中で物品を搬送する。コンベヤを螺旋状に案内するための案内構造がタンク内に配置されている。スパイラルコンベヤシステムはさらに、物品が液体中で搬送されている間、当該物品を固定するための手段を備える。
【0014】
本発明の上記態様によれば、スパイラルコンベヤシステムが提供される。スパイラルコンベヤシステムは、所定の温度の液体を入れるためのタンクを備える。コンベヤは、液体中で物品を搬送する。コンベヤを螺旋状に案内するための案内構造がタンク内に配置されている。スパイラルコンベヤシステムはさらに、コンベヤから所定の距離だけ上方に離隔して配置された固定用コンベヤを備える。固定用コンベヤは、コンベヤと平行に配置され、物品が液体中で搬送されている間、コンベヤと同じ方向に同じ速度で移動するように構成されている。
【0015】
本発明の上記態様によれば、スパイラルコンベヤシステムが提供される。スパイラルコンベヤシステムは、所定の温度の液体を入れるためのタンクを備える。コンベヤは、液体中で物品を搬送する。コンベヤを螺旋状に案内するための案内構造がタンク内に配置されている。液体を供給するためにコンベヤの上方に配置された液体入力構造と、液体を除去するためにコンベヤの下方に配置された液体出力構造とを用いて、コンベヤを通り抜ける略下向きの液体の流れを生じさせることによって、物品が固定される。
【0016】
本発明の利点は、加熱、冷却、または化学的処理のために液体に浸漬されている物品を運搬するためのスパイラルコンベヤシステムを提供できることである。
【0017】
本発明のさらなる利点は、加熱、冷却、または化学的処理のために液体に浸漬されている物品を運搬するためのスパイラルコンベヤシステムであって、物品を液体に浸しながら固定するように設計されたスパイラルコンベヤシステムを提供できることである。
【0018】
本発明のさらなる利点は、加熱、冷却、または化学的処理のために液体に浸漬されている物品を運搬するためのスパイラルコンベヤシステムであって、液体を入れる容器のサイズを最小限に抑えつつ、比較的長いコンベヤの経路長を実現するスパイラルコンベヤシステムを提供できることである。
【0019】
添付の図面を参照して、本発明の好ましい一実施形態を以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1a】本発明の第1の好ましい実施形態に係る、物品を液体に浸漬するためのスパイラルコンベヤシステムを、斜視図で示す概略ブロック図である。
【
図1b】本発明の第1の好ましい実施形態に係る、物品を液体に浸漬するためのスパイラルコンベヤシステムを、断面図で示す概略ブロック図である。
【
図1c】本発明の第1の好ましい実施形態に係る、物品を液体に浸漬するためのスパイラルコンベヤシステムの詳細を、側面図で示す概略ブロック図である。
【
図1d】本発明の第1の好ましい実施形態に係る、物品を液体に浸漬するためのスパイラルコンベヤシステムの詳細を、側面図で示す概略ブロック図である。
【
図1e】本発明の第1の好ましい実施形態に係る、物品を液体に浸漬するためのスパイラルコンベヤシステムがタンク内にコンベヤリターン部を有する状態を、断面図で示す概略ブロック図である。
【
図2a】本発明の第2の好ましい実施形態に係る、物品を液体に浸漬するためのスパイラルコンベヤシステムを、斜視図で示す概略ブロック図である。
【
図2b】本発明の第2の好ましい実施形態に係る、物品を液体に浸漬するためのスパイラルコンベヤシステムを、断面図で示す概略ブロック図である。
【
図3a】本発明の第3の好ましい実施形態に係る、物品を液体に浸漬するためのスパイラルコンベヤシステムを、斜視図で示す概略ブロック図である。
【
図3b】本発明の第3の好ましい実施形態に係る、物品を液体に浸漬するためのスパイラルコンベヤシステムを、断面図で示す概略ブロック図である。
【
図4a】本発明の好ましい一実施形態に係る固定用コンベヤを斜視図で示す概略ブロック図である。
【
図4b】本発明の好ましい実施形態に係る固定用コンベヤの第1の実現例を斜視図で示す概略ブロック図である。
【
図4c】本発明の好ましい実施形態に係る固定用コンベヤの第1の実現例を断面図で示す概略ブロック図である。
【
図4d】本発明の好ましい実施形態に係る固定用コンベヤの第2の実現例を断面図で示す概略ブロック図である。
【
図4e】本発明の好ましい実施形態に係る固定用コンベヤの第2の実現例を断面図で示す概略ブロック図である。
【
図4f】本発明の好ましい実施形態に係る固定用コンベヤの第2の実現例を斜視図で示す概略ブロック図である。
【
図4g】本発明の好ましい一実施形態に係る固定用機構を斜視図で示す概略ブロック図である。
【
図4h】本発明の好ましい一実施形態に係る固定用機構を断面図で示す概略ブロック図である。
【
図4i】本発明の好ましい一実施形態に係る固定用機構を断面図で示す概略ブロック図である。
【
図4j】本発明の好ましい一実施形態に係る固定用機構を斜視図で示す概略ブロック図である。
【
図5a】本発明の好ましい一実施形態に係る固定用機構を断面図で示す概略ブロック図である。
【
図5b】本発明の好ましい一実施形態に係る固定用機構を斜視図で示す概略ブロック図である。
【
図5c】本発明の別の好ましい実施形態に係る固定用機構を断面図で示す概略ブロック図である。
【
図5d】本発明の別の好ましい実施形態に係る固定用機構を斜視図で示す概略ブロック図である。
【
図5e】本発明のさらに別の好ましい実施形態に係る固定用機構を断面図で示す概略ブロック図である。
【
図5f】本発明のさらに別の好ましい実施形態に係る固定用機構を斜視図で示す概略ブロック図である。
【
図6a】本発明のさらに別の好ましい実施形態に係る固定用機構を断面図で示す概略ブロック図である。
【
図6b】本発明のさらに別の好ましい実施形態に係る固定用機構を斜視図で示す概略ブロック図である。
【
図6c】本発明のさらに別の好ましい実施形態に係る固定用機構を斜視図で示す概略ブロック図である。
【
図6d】本発明のさらに別の好ましい実施形態に係る固定用機構を断面図で示す概略ブロック図である。
【
図6e】本発明のさらに別の好ましい実施形態に係る固定用機構を斜視図で示す概略ブロック図である。
【
図7a】本発明のさらに別の好ましい実施形態に係る固定用機構を断面図で示す概略ブロック図である。
【
図7b】本発明のさらに別の好ましい実施形態に係る固定用機構を斜視図で示す概略ブロック図である。
【
図7c】本発明のさらに別の好ましい実施形態に係る固定用機構を断面図で示す概略ブロック図である。
【
図7d】本発明のさらに別の好ましい実施形態に係る固定用機構を斜視図で示す概略ブロック図である。
【
図8a】本発明の好ましい一実施形態に係る吊下げコンベヤを用いた場合の、物品の入口および出口を断面図で示す概略ブロック図である。
【
図8b】本発明の好ましい一実施形態に係る吊下げコンベヤを用いた場合の、物品の入口および出口を断面図で示す概略ブロック図である。
【
図9】本発明の別の好ましい実施形態に係る、物品を液体に浸漬するためのスパイラルコンベヤシステムを上面図で示す概略ブロック図である。
【
図10a】本発明のさらに別の好ましい実施形態に係る、物品を液体に浸漬するためのスパイラルコンベヤシステムを、上面図で示す概略ブロック図である。
【
図10b】本発明のさらに別の好ましい実施形態に係る、物品を液体に浸漬するためのスパイラルコンベヤシステムを、断面図で示す概略ブロック図である。
【
図11a】本発明の第4の好ましい実施形態に係る、物品を液体に浸漬するためのスパイラルコンベヤシステムを断面図で示す概略ブロック図である。
【
図11b】本発明の第4の好ましい実施形態に係る、物品を液体に浸漬するためのスパイラルコンベヤシステムの詳細を、断面図で示す概略ブロック図である。
【
図11c】本発明の第4の好ましい実施形態に係る、物品を液体に浸漬するためのスパイラルコンベヤシステムの詳細を、上面図で示す概略ブロック図である。
【
図11d】本発明の第4の好ましい実施形態に係る、物品を液体に浸漬するためのスパイラルコンベヤシステムの詳細の他の設計を、断面図で示す概略ブロック図である。
【
図11e】本発明の第4の好ましい実施形態に係る、物品を液体に浸漬するためのスパイラルコンベヤシステムの詳細の他の設計を、断面図で示す概略ブロック図である。
【
図11f】本発明の第4の好ましい実施形態に係る、物品を液体に浸漬するためのスパイラルコンベヤシステムの液体入力環状部を、断面図で示す概略ブロック図である。
【
図11g】本発明の第4の好ましい実施形態に係る、物品を液体に浸漬するためのスパイラルコンベヤシステムの液体入力環状部を、底面図で示す概略ブロック図である。
【
図11h】本発明の第4の好ましい実施形態に係る、物品を液体に浸漬するためのスパイラルコンベヤシステムの液体出力環状部を、断面図で示す概略ブロック図である。
【
図11i】本発明の第4の好ましい実施形態に係る、物品を液体に浸漬するためのスパイラルコンベヤシステムの液体出力環状部を、上面図で示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
好ましい実施形態の説明
別段の規定がない限り、本明細書で使用するすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本発明の実施または試験においては、本明細書に記載されたものと同様または同等の任意の方法および材料を使用することも可能であるが、ここでは好ましい方法および材料を記載する。
【0022】
図1a~
図1dを参照すると、本発明の第1の好ましい実施形態に係る、物品を液体に浸漬するためのスパイラルコンベヤシステム100が提示されている。スパイラルコンベヤシステム100は、例えば水または塩水などの液体104を入れるタンク102を備える。液体104は、物品をその中に浸漬しながら処理(例えば、物品の冷却、冷凍、低温殺菌、または加熱調理)するための所定の温度を有する。例えば、タンク102の外で液体104を加熱または冷却し、その後、ポンプ機構(図示せず)を用いて液体104をタンク102中で循環させる。オプションとして、例えば、物品を浸漬しながら化学的に処理する場合には、水または塩水以外の液体104を採用してもよい。
【0023】
コンベヤ106は、入口セクション106.1で物品を受け取り(例えば、上方に配置された別のコンベヤによって物品が入口セクション106.1に投下される)、ブロック矢印で示すように、物品をスパイラル108を通って下方向に運搬する。スパイラル108の底部において、コンベヤ106は、クロスオーバーセクション106.3を通ってスパイラル110に渡る。スパイラル110は、物品を上方向に、出口セクション106.2まで運搬する。出口セクション106.2では、例えば、下方に配置された別のコンベヤ上に物品が投下される。閉ループを形成するコンベヤ106は、その後、例えば、タンク102の下方(セクション106.4)、および調整セクション114を通って案内され、入口セクション106.1まで戻る。好ましくは、コンベヤ106は、例えば出口セクション106.2の下流に配置されたコンベヤ洗浄機構112によって洗浄される(例えば、タンク102に塩水が入っている場合)。コンベヤ洗浄機構112は、例えば、コンベヤ106が通過する際に水または洗浄液を噴霧するための一連の噴霧ノズルを備える。コンベヤ106は、
図1cに示すような従来のセルフスタッキングコンベヤ106Aであってもよい。セルフスタッキングコンベヤ106Aでは、コンベヤの側壁がスパイラル案内要素108Aによって案内されながら互いに積層され、スパイラル(例えば、
図1cに示すスパイラル108)を形成するように構成されている。代替的には、従来のコンベヤ106Bは、
図1dに示すような、案内および支持を提供する従来のスパイラル支持構造108Bを用いて螺旋状に移動する。
【0024】
代替的には、コンベヤ106は、出口セクション106.2でタンク102内に戻るように案内され、タンク102内の液体104(セクション106.5)を通って入口セクション106.1に戻る。例えば、コンベヤセクション106.5は、
図1eに示すようにタンク102の底部に近接して配置されてもよいが、これに限定されず、設計の好みに応じてタンク102内の他の位置に配置されてもよい。コンベヤ洗浄機構112およびコンベヤ調整セクション114(図示せず)は、例えば、入口セクション106.1または出口セクション106.2の近傍であって、タンク102内の液体104の満タンレベルよりも上方に配置されてもよい。
【0025】
さらに代替的には、接続された2つのタンクを設け、それぞれのタンクがスパイラル108、110を包囲し、接続部がクロスオーバーセクション106.3を覆うようにする。
【0026】
コンベヤ106は、例えばステンレス鋼などの金属、またはナイロンなどのプラスチック材料からなる、接続された複数のセクションを有する従来の設計である。代替的には、コンベヤ106は、十分に可撓性を有する材料からなるベルト型構造である。コンベヤ106は、例えば、従来のセンタードラムを用いて、フリクションドライブまたはダイレクトドライブで駆動される。
【0027】
図2aおよび
図2bを参照すると、本発明の第2の好ましい実施形態に係る、物品を液体に浸漬するためのスパイラルコンベヤシステム200が提示されている。スパイラルコンベヤシステム200では、コンベヤ106は、入口セクション106.1からタンク202の底部まで、傾斜セクション106.5、202Aを通って下方向に案内される。その後、物品は、底部からスパイラル110を通って上方向に、出口セクション106.2まで運搬される。代替的には、スパイラルコンベヤシステム200は、逆順で動作するように設計されてもよい。すなわち、スパイラルを用いて物品を下方向に運搬し、傾斜を用いて物品を上方向に運搬してもよい。
【0028】
図3aおよび
図3bを参照すると、本発明の第3の好ましい実施形態に係る、物品を液体に浸漬するためのスパイラルコンベヤシステム300が提示されている。スパイラルコンベヤシステム300では、コンベヤ106は、入口セクション106.1からタンク302の底部まで、降下セクション106.6を通って略鉛直に下方向に案内される。その後、物品は、底部からスパイラル110を通って上方向に、出口セクション106.2まで運搬される。降下セクション106.6を通って運搬されている間、物品は、固定用コンベヤ320によってコンベヤ106に固定される。固定用コンベヤ320は、コンベヤ106と平行に、かつ、物品のサイズに適合する距離だけコンベヤ106から離隔することによってコンベヤ106との間に物品を固定できるように配置されている。固定用コンベヤ320は、
図3bにブロック矢印で示すように、コンベヤ106に対向する部分がコンベヤ106と同じ方向に同じ速度で移動するように設計されている。
【0029】
なお、固定用コンベヤ320をスパイラルコンベヤシステム200に適用することにより、物品が傾斜セクション106.5に沿って搬送される間、物品を固定してもよい。
【0030】
液体に浸漬されている物品を運搬するための従来のコンベヤは、物品の密度が液体の密度よりも大幅に高い場合にはうまく機能する。しかしながら、多くの食品の場合のように、物品の密度が液体の密度よりも低いか、または液体の密度を十分に上回っていない場合には、物品を液体に浸す従来のコンベヤの使用には限界があり、上述の問題が生じる。物品の密度が液体の密度よりも低い場合であっても、液体に浸漬されている物品を運搬するためのスパイラルコンベヤシステム100、200、300の使用を可能にするために、スパイラルコンベヤシステム100、200、300は、本発明に係る、物品をコンベヤに固定するための固定用機構を備える。
【0031】
図4a~
図4fを参照して、本発明に係る固定用機構は、固定用コンベヤ330を備える。
図4aに示すように、固定用コンベヤ330は、スパイラル108に入る前からスパイラル110を出る後まで物品を覆うことによって、液体に浸漬されている物品を固定する。固定用コンベヤ330は、例えば、
図4bおよび
図4cに示すような可撓性網状構造を有する。この可撓性網状構造は、固定用コンベヤ330とコンベヤ106との間に物品10を固定するのに十分な細かさの網目サイズと十分な重さとを有する金属ワイヤからなる。代替的には、固定用コンベヤ330は、
図4d~
図4fに示すような側壁330Aを備える。これにより、固定用コンベヤ330はコンベヤ106Bと共に囲いを形成し、その内部に物品10を収容することができる。物品10は、液体に浸漬されながら浮力を受けて固定用コンベヤ330に接触するとともに、
図4fにブロック矢印で示すように、固定用コンベヤ330との間の相互作用によって搬送される。なお、
図4fは、図示を分かり易くするために逆さまに示した図である。
【0032】
図4g~
図4jを参照して、本発明に係る固定用機構は、非セルフスタッキングコンベヤ106Bを有する。非セルフスタッキングコンベヤ106Bは下向きの側壁を有しており、この下向きの側壁は、スパイラル108、110で互いに積層されたとき、その内部に物品10を収容する囲いを形成する。支持構造108B、110Bは、内側端縁でコンベヤ106Bを支える内側支持枠108B.1、110B.1と、外側端縁でコンベヤ106Bを支える外側支持枠108B.2、110B.2とを有する。内側支持枠108B.1、110B.1と外側支持枠108B.2、110B.2との間には、支持構造は設けられない。
【0033】
このように支持構造が内側端縁で固定されているため、コンベヤ106Bを駆動させるために回転センタードラムを使用することができない。ここでは、駆動機構は、例えば、
図4gおよび
図4hに示すように、コンベヤ106Bの端縁のうちの片方または両方に配置されたスプロケット107Aとそれぞれ相互に作用するスプロケットホイール107Bを備えるスプロケット型駆動機構を含む。コンベヤ106Bの上面に配置された物品10は、
図4iに示すように、液体に浸漬されながら浮力を受けて、その上に積層されたコンベヤセクションの底面に接触する。物品10はさらに、
図4jにブロック矢印で示すように、コンベヤとの間の相互作用によって搬送される。なお、
図4jは、図示を分かり易くするために逆さまに示した図である。物品10は、浮力、および/または液体の流れによって、囲い内で位置がずれる可能性が依然としてある。物品10の位置ずれを防止するために、物品10がぴったりと収まるような高さを囲いが有するようにコンベヤ106Bおよび支持構造108B、110Bを設計してもよい。オプションとして、コンベヤ106Bの上面および底面には、摩擦グリップを有する材料からなるパッドを設けてもよい。ただし、これは所定のサイズの物品にしか適用することができない。
【0034】
図5a~
図5fを参照して、本発明に係る固定用機構は、セルフスタッキングコンベヤ106Aを有する。セルフスタッキングコンベヤ106Aは下向きの側壁を有しており、この下向きの側壁は、スパイラル108、110で互いに積層されたとき、その内部に物品10を収容する囲いを形成する。コンベヤ106Aの上面に配置された物品10は、
図5aに示すように、液体に浸漬されながら浮力を受けて、その上に積層されたコンベヤセクションの底面に接触する。物品10はさらに、
図5bにブロック矢印で示すように、コンベヤとの間の相互作用によって搬送される。なお、
図5bは、図示を分かり易くするために逆さまに示した図である。物品10は、浮力、および/または液体の流れによって、囲い内で位置がずれる可能性が依然としてある。物品10の位置ずれを防止するために、
図5aに示すように物品10がぴったりと収まるような高さを囲いが有するように側壁を設計してもよい。オプションとして、コンベヤ106の上面および底面には、摩擦グリップを有する材料からなるパッドを設けてもよい。ただし、これは所定のサイズの物品にしか適用することができない。なお、側壁が上向きに設けられたセルフスタッキングコンベヤ106Aを採用してもよい。
【0035】
物品が異なるサイズを有する場合に囲い内での物品10の位置ずれを防止するために、
図5cおよび
図5dに示すように、スタラクタイト(stalactite)状の突出部130がコンベヤ106Aの底面に取付けられる。突出部130は可撓性材料(例えば、ゴム)からなり、物品10を傷つけることなく物品10の外形に合わせて湾曲できる程度の柔軟さを有し、なおかつ、物品10を適所に保持できる程度の硬さを有する。突出部130の数は、物品10を固定するのに十分であり、なおかつ、液体104の循環を妨げない数に決定される。スパイラルの始端にコンベヤの一連のセクションが到達すると、物品10まで垂下する突出部が湾曲してばねのような張力を生じさせ、物品に下向きの圧力を与えて物品をコンベヤ106A上に押さえ付ける。好ましくは、
図5dに示すように、隣り合う突出部130は互いに垂直の向きである。これにより、
図5dに示すように、物品10を包囲するバリアが形成される。なお、
図5dは、図示を分かり易くするために逆さまに示した図である。代替的には、
図5eおよび
図5fに示すように、ゴム突出部130ではなく軟質フォーム突出部132が採用される。なお、突出部130、132は、固定用コンベヤ330の底面に取付けてもよいし、非セルフスタッキングコンベヤ106Bの底面に取付けてもよい。
【0036】
他の実施形態では、
図6a~
図6cに示すように、支持要素109を介して支持構造108B、110Bによって支持された吊下げコンベヤ106Bの底面に、コンベヤの移動方向に対して略垂直向きのバリア134を取付けることによって、物品10の位置ずれを防止する。
図6aに示すように、物品10が入口セクションで液体104中を浮遊しているときに、バリア134がその物品10を捕捉し、2つの連続するバリア134間に搬送する。なお、
図6cは、図示を分かり易くするために逆さまに示した図である。代替的には、
図6dおよび
図6eに示すように、バリア136をコンベヤ106の上面に取付けてもよい。好ましくは、バリア136は、浮遊する物品10を2つの連続するバリア136間に固定するのに十分な高さを有する。オプションとして、2つの連続するバリア134、136間で物品10の位置ずれをさらに防止するために、突出部130または132を採用してもよい。なお、分かり易くするために、
図6b、
図6c、および
図6eではコンベヤ側壁を省略している。
【0037】
オプションとして、
図7aおよび
図7bに示すように、
図6a~
図6cに示す上述の実施形態において、物品10を入れるトレイ138を採用してもよい。また、
図7cおよび
図7dに示すように、
図6dおよび
図6eに示す実施形態にトレイ138を採用してもよい。なお、
図7bは、図示を分かり易くするために逆さまに示した図である。トレイ138は、例えばプラスチック材料からなり、トレイ138の壁には、液体104を通過させて循環させるための穴140が設けられている。好ましくは、トレイ138は、1つのトレイが2つの連続するバリア134、136間の距離に実質的に収まるような大きさである。なお、分かり易くするために、
図7bおよび
図7dではコンベヤ側壁を省略している。
【0038】
固定用機構をスパイラルコンベヤシステム100と組み合わせて説明しただけであるが、固定用機構はこれに限定されず、他のスパイラルコンベヤシステム(例えば、スパイラルコンベヤシステム200および300)でも使用され得ることが、当業者には明らかであろう。
【0039】
図8aおよび
図8bは、吊下げコンベヤ106が採用された場合の、浮遊する物品10の入口および出口をそれぞれ示すものである。コンベヤ152によって提供された物品10は、タンク102の入口セクション150において液体104の表面に置かれる。浮遊する物品はバリア134および/または突出部130、132によって捕捉され、スパイラル108に搬送される。出口では、物品10がコンベヤ106から解放され、出口セクション154において液体104の表面を浮遊する。物品10は、そこで出口コンベヤ156のバリア158に捕捉される。
【0040】
スパイラルにおいて上に積層されたコンベヤセクションで囲いの上側が画定される実施形態において、物品10がクロスオーバーセクション106.3に沿って搬送される際に物品10の位置がずれるのを防止するために、クロスオーバーセクションにカバーまたは固定用コンベヤが設けられる。代替的には、物品10の浮力を低減するために、クロスオーバーセクションの下方の液体104に空気が注入される。物品10の浮力を低減するために、液体を通るコンベヤ経路のうちの他のセクションに沿って空気を注入してもよい。
【0041】
さらに代替的には、
図9に示すように、スパイラル108および110は互いに近接して配置されている。最も近接する位置において、コンベヤはクロスオーバー部160でスパイラル108からスパイラル110に渡る。矢印で示すように、コンベヤは、スパイラル110ではスパイラル108とは反対の方向に回転する。これにより、クロスオーバー時の物品10の位置ずれを防止するための上述の手段を用いる必要がなくなる。
【0042】
液体を入れるタンクのサイズを最小限に抑えつつ、タンク内のコンベヤ106の経路長を長くするために、
図10aおよび
図10bに示すように、2つのスパイラル170および172を入れ子状に設けてもよい。例えば、コンベヤ106は、ブロック矢印で示すように、内側スパイラル172を通って下方向に移動し、クロスオーバーセクション174を通って外側スパイラル170に渡り、外側スパイラル170によって上方向に移動する。クロスオーバーセクションをできる限り小さくするために、内側スパイラル172の外径と外側スパイラル170の内径とをほぼ等しくしてもよい。代替的には、スパイラル170、172が最も近接する位置にクロスオーバー部が配置されるように、スパイラル170、172を非同心に配置してもよい。
【0043】
代替的には、スパイラル108、110は、ツインドラムセットを用い、両ドラムの周りを同時にコンベヤ106が螺旋状に動くようにして実現してもよい。さらに代替的には、スパイラル支持構造は、同じスパイラルであって、かつ、隣り合う積層されたスパイラルセクションが反対方向に移動するスパイラルを、コンベヤ106が上下に移動するように構成される。
【0044】
なお、物品10を冷却/加熱する空気用の従来のツインコンベヤ設計において、物品10を下側コンベヤのみに置き、上側コンベヤは物品10を固定するために使用することによって、本発明に係る、物品10を冷却/加熱する液体用に改変してもよい。
【0045】
図11a~
図11iを参照すると、本発明の第4の好ましい実施形態に係る、物品を液体に浸漬するためのスパイラルコンベヤシステム400が提示されている。スパイラルコンベヤシステム400では、
図11aにブロック矢印で示すように、コンベヤ406を通り抜ける略下向きの液体104の流れを生じさせることによって、物品10を穏やかにコンベヤ406に押し付け、それによって物品10をコンベヤ406に固定する。
【0046】
好ましくは、スパイラルコンベヤシステム400はスパイラル案内構造408を備える。スパイラル案内構造408は、駆動部408Bに接続された駆動軸408Aを介してタンク402に回転可能に装着され、コンベヤ406を入口セクション406.1からクロスオーバーセクション406.3まで下方向に案内/移動する。スパイラルコンベヤシステム400はさらに、スパイラル案内構造410を備える。スパイラル案内構造410は、駆動部410Bに接続された駆動軸410Aを介してタンク402に回転可能に装着され、コンベヤ406をクロスオーバーセクション406.3から出口セクション406.2まで上方向に案内/移動する。
【0047】
図11bおよび
図11cを参照して、コンベヤ406は、コンベヤ底部406Aと壁406Bとを備える。コンベヤ底部406Aは、スパイラル案内構造408、410のそれぞれの案内レール432によって支持される。好ましくは、コンベヤ底部406Aは、格子構造(例えば、ステンレス鋼などの金属、またはナイロンなどのプラスチックからなる)を有する。格子構造は、その上に配置される物品10を支持するとともに、液体の十分な通り抜けを可能にする十分な開口領域438を提供するためのものである。十分な開口領域438が提供されるならば、他の構造が採用されてもよい。円筒壁436がスパイラル案内構造408、410のそれぞれに取付けられ、円筒壁434がタンク402に取付けられている場合には、コンベヤ406を円筒壁434、436の間に配置し、円筒壁434、436がコンベヤ406に近接した位置でコンベヤ406を囲むようにすることによって、水流が下方向に案内される。
【0048】
代替的には、
図11dに示すように、コンベヤ406の壁406Bは、重なり合う固体板であり、液体の流れを案内するのに十分な高さを有する。あるいは、セルフスタッキングコンベヤの壁406Bは重なり合う固体板である。
【0049】
さらに代替的には、
図11eに示すように、コンベヤ406に近接してバッフル440が配置されている。例えば、バッフル440は、コンベヤ406の周りに配置された平板、またはコンベヤ406を包囲する環状構造を有する。バッフル440は、下向きに略垂直に、またはコンベヤ406に向かって角度をつけて配置されている。
【0050】
なお、クロスオーバーセクション406.3においても、コンベヤ406に近接して壁またはバッフルを配置してもよい。
【0051】
コンベヤ406を通り抜ける略下向きの液体104の流れを生じさせるためには、液体104を供給するためにコンベヤの上方に配置された液体入力構造と、液体104を除去するためにコンベヤの下方かつ近傍に配置された液体出力構造とを用いることが好ましい。液体入力構造は、例えば、スパイラル案内構造408を包囲するコンベヤ406の上方に配置された液体入力環状部412Aと、スパイラル案内構造410を包囲するコンベヤ406の上方に配置された液体入力環状部414Aとを備える。液体入力環状部412A、414Aは、それぞれ液体入力流路412B、414Bから液体104を受け取り、複数の開口部412C、414Cを通って液体の流れを提供するように設計される。
図11a、
図11f、および
図11gに示すように、液体の流れは、スパイラル案内構造408、410を包囲するコンベヤが形成する各輪にわたって略均等に分配される。
【0052】
液体出力構造は、例えば、スパイラル案内構造408を包囲するコンベヤ406の下方に配置された液体出力環状部416Aと、スパイラル案内構造410を包囲するコンベヤ406の下方に配置された液体出力環状部418Aとを有する。液体出力環状部412A、414Aは、
図11a、
図11h、および
図11iに示すように、スパイラル案内構造408、410を包囲するコンベヤ406が形成する各輪にわたって略均等な分配となるように、複数の吸引開口部416C、418Cを通って液体104を除去し、除去した液体を液体出力流路416B、418Bのそれぞれに提供するように設計されている。
【0053】
コンベヤ406の下方から液体104を除去して物品10を固定するために、液体出力流路420Bに接続されたクロスオーバー液体出力部420Aを、クロスオーバーセクション406.3のコンベヤ406の下方に配置する。クロスオーバー液体出力部420Aは、好ましくはクロスオーバーセクション406.3の全長にわたって設けられる。オプションとして、
図11aに破線で示すように、液体入力流路430Bに接続されたクロスオーバー液体入力部430Aを、クロスオーバーセクション406.3のコンベヤ406の上方に配置する。
【0054】
液体の流れは、物品10をコンベヤ406に押し付けることが可能な程度に強く、なおかつ、物品10がコンベヤ406から移動しない程度に穏やかになるように決定される。液体は、上方で流入する液体の重さによってコンベヤ406のスタックを通って下方向に流れ、流出による吸引によって引き込まれる。
【0055】
タンク402の底部に堆積したごみおよび微粒子が出力流路416B、418B、および420Bに吸い込まれることを防止するために、液体出力環状部416A、418Aおよびクロスオーバー液体出力部420Aは、タンク402の底壁から所定の距離だけ上方に離隔して配置されることが好ましい。さらに好ましくは、タンク402の底壁402Aは、排出口429に向かって角度αだけ傾斜している。これにより、タンク402の底部に堆積したごみおよび微粒子を排出することができる。
【0056】
スパイラルコンベヤシステム400は、液体出力流路416B、418B、および420Bと、液体入力流路412B、414B(およびオプションとして)430Bとを接続する液体リターン部を備える。液体リターン部は、例えば、液体104の温度を調節するための熱源または冷却源(例えば、湯、蒸気、アンモニア、CO2、フレオン(登録商標)など)を含む熱交換器などの液体加熱/冷却装置426と、水を液体入力流路に送り込むためのポンプ428と、液体の流れを制御するための流量制御弁424とを備える。
【0057】
本明細書において本発明の好ましい実施形態に関して記載したが、本明細書に記載の本発明の範囲から逸脱せずに多数の変形および変更がなされ得ることが、当業者には明らかであろう。独占的な権利または特権が請求される本発明の実施形態は、以下の通り規定される。