(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】熱交換器用フィンのフィン集積体製造装置
(51)【国際特許分類】
B21D 43/22 20060101AFI20220117BHJP
B21D 53/08 20060101ALI20220117BHJP
B23P 21/00 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
B21D43/22 Z
B21D53/08 G
B23P21/00 301B
(21)【出願番号】P 2020549923
(86)(22)【出願日】2018-10-12
(86)【国際出願番号】 JP2018038127
(87)【国際公開番号】W WO2020075292
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2020-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】390034809
【氏名又は名称】日高精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 一芳
(72)【発明者】
【氏名】森下 圭一
【審査官】石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-114539(JP,A)
【文献】特開2015-164741(JP,A)
【文献】国際公開第2007/043115(WO,A1)
【文献】特許第5360731(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 43/22
B21D 53/04
B23P 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の薄板をプレス加工して熱交換チューブが挿通される切欠部又は透孔が形成された熱交換器用フィンを形成するプレス装置と、
前記プレス装置によって形成された前記切欠部又は前記透孔に進入して前記熱交換器用フィンを集積させる複数本のスタックピンが、挿抜可能に立設されたテーブルと、
前記プレス装置により形成された前記熱交換器用フィンを集積させてフィン集積体を得るスタック位置、前記スタック位置で所定集積高さとなった前記フィン集積体と前記スタックピンとを一体にテーブルから取り出す取り出し位置、前記スタック位置の直前位置で待機する待機位置との間で、前記テーブルを循環移動させるテーブル循環装置と、
前記取り出し位置において、前記テーブルから前記フィン集積体と前記スタックピンを一体にして取り出し、取り出した前記フィン集積体から前記スタックピンを分離させ、分離させた前記スタックピンを前記待機位置における前記テーブルに再度立設するフィン集積体取り出し装置と、
を具備することを特徴とする熱交換器用フィンのフィン集積体製造装置。
【請求項2】
前記スタック位置における前記フィン集積体の集積高さが所定集積高さに到達したことを検出する集積高さセンサと、
前記スタックピンが前記待機位置における前記テーブルに立設されていることを確認するスタックピン立設確認手段と、をさらに具備し、
前記テーブル循環装置は、回転駆動装置と、該回転駆動装置の駆動制御を実行する動作制御部とを有し、
前記動作制御部は、前記集積高さセンサが前記フィン集積体の集積高さが所定集積高さに到達したことを検出し、かつ前記スタックピン立設確認手段が前記待機位置において前記テーブルに前記スタックピンが立設されていることを確認した場合に、前記回転駆動装置を駆動させて前記テーブルを次の位置に移動させるように制御することを特徴とする請求項1記載の熱交換器用フィンのフィン集積体製造装置。
【請求項3】
前記テーブルの上面には前記熱交換器用フィンの底面を支持するフィン支持体が前記テーブルの上面を横切る配置で設けられていて、
前記スタック位置には、前記フィン支持体を前記スタックピンの高さ方向にスライド移動させる昇降装置が、前記テーブルの側方位置かつ前記テーブルよりも下方位置に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の熱交換器用フィンのフィン集積体製造装置。
【請求項4】
前記プレス装置の前記スタック位置の側における端部には、前記フィン集積体の集積時に前記熱交換器用フィンの着地位置で前記フィン集積体を支える集積時フィン支え機構が前記フィン集積体に対して接離動可能に設けられていることを特徴とする請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の熱交換器用フィンのフィン集積体製造装置。
【請求項5】
前記集積時フィン支え機構は、
前記フィン集積体を支えるフィン支え体と、
前記フィン支え体を前記プレス装置の前記スタック位置の側における端部から高さ方向に移動させる上下動機構と、
前記上下動機構の先端に取り付けられ、前記フィン支え体を水平面内で回転させる回転機構と、を有していることを特徴とする請求項4記載の熱交換器用フィンのフィン集積体製造装置。
【請求項6】
前記テーブルには、前記フィン集積体の両端部分に位置すると共に、前記フィン集積体を押さえこむフィン押さえ機構をさらに有することを特徴とする請求項1~5のうちのいずれか一項に記載の熱交換器用フィンのフィン集積体製造装置。
【請求項7】
前記フィン押さえ機構は、前記フィン集積体を押さえこむフィン押さえ体と、前記フィン押さえ体による前記フィン集積体の押さえこみ状態と非押さえこみ状態とを切り替え制御する切替制御部とを有し、
前記切替制御部は、
前記スタック位置においては、前記フィン集積体の集積が完了するまでの間、前記フィン押さえ体を非押さえこみ状態にし、前記テーブルを前記スタック位置から前記取り出し位置に回転させる前に、前記フィン押さえ体を押さえこみ状態にし、
前記取り出し位置においては、前記フィン集積体取り出し装置の側の前記フィン押さえ体のみを非押さえこみ状態にし、
前記待機位置から前記スタック位置に移動するまでの間に、すべての前記フィン押さえ体を非押さえこみ状態にすることを特徴とする請求項6記載の熱交換器用フィンのフィン集積体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器用フィンの集積体を製造する熱交換器用フィンのフィン集積体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のクーラー等の熱交換器は、熱交換チューブを挿入する透孔が複数個穿設された熱交換器用フィンが複数枚集積されて構成されているものが一般的である。かかる熱交換器用フィンは、
図19に示すような熱交換器用フィンの製造装置200によって製造することができる(特許文献1:特許第5360731号公報参照)。
【0003】
熱交換器用フィンの製造装置200には、アルミニウム等の金属製の薄板110がコイル状に巻かれたアンコイラー112が設けられている。アンコイラー112からピンチロール114を経て引き出された薄板110は、オイル付与装置116に挿入され、薄板110の表面に加工用オイルを付着させた後、プレス装置118内に設けられた金型装置120に供給される。
【0004】
金型装置120は順送金型であって、内部に上下動可能な上型ダイセット122と、静止状態にある下型ダイセット124とが設けられている。この金型装置120によって、透孔の周囲に所定高さのカラーが形成された複数個のカラー付き透孔(図示せず)を所定の方向に所定の間隔で有する金属帯状体が形成される。
【0005】
このような金属帯状体は、切断装置124によって長手方向に切断され、一列のカラー列が形成された複数枚の幅狭の帯状材に形成された後、引き続いて帯状材を所定長さとなるように切断することにより短冊状の熱交換器用フィン113に仕上げられる。
【0006】
このようにして得られた熱交換器用フィン113は、スタッカ126に収容される。スタッカ126はテーブル128にスタックピン129が立設されている。金型装置120から送り出された熱交換器用フィン113は、熱交換器用フィン113の透孔内にスタックピン129を挿入させることにより集積体となってスタッカ126に収容保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術においては、スタッカ126のスタックピン129に沿って複数枚の熱交換器用フィン113が所定の高さまで集積されてなる集積体を作業員がスタッカ126から取り出している。このため、スタッカ126からの集積体の取出し作業における作業効率の向上や作業ミスの撲滅が強く要求されていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、熱交換器用フィンのプレス加工から熱交換器用フィンの集積体の取り出しまでの一連の動作を全自動で行い、作業効率の向上及び作業ミスの撲滅を可能にした熱交換器用フィンのフィン集積体製造装置を提供することにある。
【0010】
出願人は鋭意研究をした結果、上記目的を実現可能な構成に想到した。すなわち、本発明は、金属製の薄板をプレス加工して熱交換チューブが挿通される切欠部又は透孔が形成された熱交換器用フィンを形成するプレス装置と、前記プレス装置によって形成された前記切欠部又は前記透孔に進入して前記熱交換器用フィンを集積させる複数本のスタックピンが、挿抜可能に立設されたテーブルと、前記プレス装置により形成された前記熱交換器用フィンを集積させてフィン集積体を得るスタック位置、前記スタック位置で所定集積高さとなった前記フィン集積体と前記スタックピンとを一体にテーブルから取り出す取り出し位置、前記スタック位置の直前位置で待機する待機位置との間で、前記テーブルを循環移動させるテーブル循環装置と、前記取り出し位置において、前記テーブルから前記フィン集積体と前記スタックピンを一体にして取り出し、取り出した前記フィン集積体から前記スタックピンを分離させ、分離させた前記スタックピンを前記待機位置における前記テーブルに再度立設するフィン集積体取り出し装置と、を具備することを特徴とする熱交換器用フィンのフィン集積体製造装置である。
【0011】
本構成を採用することによって、熱交換器用フィンのプレス加工から熱交換器用フィンの集積体の取り出しまでの一連の動作を全自動で行うことができる。これにより、作業効率を向上させることができると共に、人的作業による作業ミスの撲滅が可能になる。
【0012】
また、前記スタック位置における前記フィン集積体の集積高さが所定集積高さに到達したことを検出する集積高さセンサと、前記スタックピンが前記待機位置における前記テーブルに立設されていることを確認するスタックピン立設確認手段と、をさらに具備し、前記テーブル循環装置は、回転駆動装置と、該回転駆動装置の駆動制御を実行する動作制御部とを有し、前記動作制御部は、前記集積高さセンサが前記フィン集積体の集積高さが所定集積高さに到達したことを検出し、かつ前記スタックピン立設確認手段が前記待機位置において前記テーブルに前記スタックピンが立設されていることを確認した場合に、前記回転駆動装置を駆動させて前記テーブルを次の位置に移動させるように制御することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、プレス装置から供給され、スタックピンに挿通された熱交換器用フィンの集積体の集積高さを均一にすることができると共に、プレス装置から供給された熱交換器用フィンを確実にスタックピンに挿通させることができ、フィン集積体の不良品発生を防止することができる。
【0014】
また、前記テーブルの上面には前記熱交換器用フィンの底面を支持するフィン支持体が前記テーブルの平面領域を横切る配置で設けられていて、前記スタック位置には、前記フィン支持体を前記スタックピンの高さ方向にスライド移動させる昇降装置が、前記テーブルの側方位置かつ前記テーブルよりも下方位置に設けられていることが好ましい。
【0015】
これにより、プレス装置から供給される熱交換器用フィンをスタックピンに挿通させる際に、スタックピンの上端部からテーブル上面までの落差に対し、スタックピンの上端部からフィン支持体までの落差を大幅に少なくすることができ、熱交換器用フィンの変形が防止され、熱交換器用フィンの集積体の品質向上にも寄与する。
【0016】
また、前記プレス装置の前記スタック位置の側における端部には、前記フィン集積体の集積時に前記熱交換器用フィンの着地位置で前記フィン集積体を支える集積時フィン支え機構が前記フィン集積体に対して接離動可能に設けられていることが好ましい。
【0017】
また、前記集積時フィン支え機構は、前記フィン集積体を支えるフィン支え体と、前記フィン支え体を前記プレス装置の前記スタック位置の側における端部から高さ方向に移動させる上下動機構と、前記上下動機構の先端に取り付けられ、前記フィン支え体を水平面内で回転させる回転機構と、を有していることがさらに好ましい。
【0018】
これらにより、フィン集積体の集積時において、熱交換器用フィンがスタックピンに沿って整列した状態で集積させることができる。また、集積時フィン支え機構がフィン集積体に対して接離動可能になっているため、スタック位置でフィン集積体を集積させた後はフィン集積体から集積時フィン支え機構を退避させることができ、テーブルをスタック位置から次の位置に移動させる際に集積時フィン支え機構が邪魔になることがない。
【0019】
また、前記テーブルには、前記フィン集積体の両端部分に位置すると共に、前記フィン集積体を押さえこむフィン押さえ機構をさらに有することが好ましい。
【0020】
さらに、前記フィン押さえ機構は、前記フィン集積体を押さえこむフィン押さえ体と、前記フィン押さえ体による前記フィン集積体の押さえこみ状態と非押さえこみ状態とを切り替え制御する切替制御部とを有し、前記切替制御部は、前記スタック位置においては、前記フィン集積体の集積が完了するまでの間、前記フィン押さえ体を非押さえこみ状態にし、前記テーブルを前記スタック位置から前記取り出し位置に回転させる前に、前記フィン押さえ体を押さえこみ状態にし、前記取り出し位置においては、前記フィン集積体取り出し装置の側の前記フィン押さえ体のみを非押さえこみ状態にし、前記待機位置から前記スタック位置に移動するまでの間に、すべての前記フィン押さえ体を非押さえこみ状態にすることがさらに好ましい。
【0021】
これらにより、フィン集積体を載置したテーブルが回転する際にフィン集積体が崩れてしまうことを防止することができる。また、取り出し位置においてはフィン集積体取り出し装置側のフィン押さえ体を非押さえこみ状態にすることで、フィン集積体の取り出し作業時にフィン押さえ体が作業の邪魔になることがない。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、熱交換器用フィンのプレス加工から熱交換器用フィンを積層させたフィン集積体の取り出しまでの一連の動作を全自動で行うことができ、フィン集積体の製造効率を向上させると共に、人的ミスによる不良品の発生を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1実施形態における熱交換器用フィンのフィン集積体製造装置の全体構成を示す正面図である。
【
図2】第1実施形態における熱交換器用フィンのフィン集積体製造装置の全体構成を示す平面図である。
【
図3】取り出し位置におけるスタッカにフィン集積体取り出し装置が接近している状態を示す正面図である。
【
図5】
図3に示す視点においてフィン集積体取り出し装置が取り出し部のスタッカからフィン集積体を取り出しする際の概略動作を示す説明図である。
【
図6】フィン集積体からのスタックピンの引き抜き動作を示す説明図である。
【
図7】第2実施形態における熱交換器用フィンのフィン集積体製造装置の全体構成を示す正面図である。
【
図8】第2実施形態における熱交換器用フィンのフィン集積体製造装置の全体構成を示す平面図である。
【
図9】第2実施形態におけるフィン押さえ機構のフィン集積時における動作を示す平面図である。
【
図10】第2実施形態におけるフィン押さえ機構のフィン集積完了後でテーブル回転前における動作を示す平面図である。
【
図11】第2実施形態におけるフィン押さえ機構のテーブル回転後における動作を示す平面図である。
【
図13】
図12中の矢印A側から臨んだ状態を示す説明図である。
【
図14】第2実施形態における集積時フィン支え機構の動作説明図である。
【
図15】第2実施形態における集積時フィン支え機構の動作説明図である。
【
図16】第2実施形態における集積時フィン支え機構の動作説明図である。
【
図17】第2実施形態における集積時フィン支え機構の動作説明図である。
【
図18】フィン集積体にガイドロッドを挿入する方法の一例を示す説明図である。
【
図19】従来技術における熱交換器用フィンの製造装置の全体構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本実施形態にかかる熱交換器用フィンのフィン集積体製造装置について実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0025】
(第1実施形態)
本実施形態にかかる熱交換器用フィンのフィン集積体製造装置の全体構成を
図1および
図2に示す。本実施形態における熱交換器用フィンのフィン集積体製造装置100(以下、単にフィン集積体製造装置100という)は、材料供給部10から供給された薄板12から熱交換器用フィン14を形成するプレス装置20と、熱交換器用フィン14を集積させて形成したフィン集積体15を搬送するテーブル循環装置30と、フィン集積体15を抜き取りするフィン集積体取り出し装置40と、これらの動作を統括制御する中央動作制御部50と、を具備する。
【0026】
材料供給部10は、アルミニウム等の未加工の金属製の薄板12がコイル状に巻回されたアンコイラー10Aとアンコイラー10Aから薄板12を所定のタイミングで巻き出しするフィーダ10Bを有する。本実施形態における材料供給部10は公知の構成を採用すればよいため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0027】
プレス装置20は、金型装置22が内部に配置され、材料供給部10から供給された薄板12をプレス加工し、熱交換チューブが挿通される切欠部又は透孔が形成された金属帯状体13を経て熱交換器用フィン14を形成するものである。金型装置22は、上型ダイセット22Aと下型ダイセット22Bとを有し、上型ダイセット22Aまたは下型ダイセット22Bの一方が、他方に対して接離動可能に設けられている。金型装置22から送り出された金属帯状体13はその幅方向と送り出し方向のそれぞれにおいて、図示しない列間スリット装置とカットオフ装置により個片化され、熱交換器用フィン14に形成される。このようにして形成された熱交換器用フィン14は、金型装置22の最下流位置に設けられた吸着部24により吸着保持され、プレス装置20の下流側隣接位置に設けられたテーブル循環装置30に送り出される。
【0028】
本実施形態におけるテーブル循環装置30は、回転駆動装置としてのモータ32により回転可能なテーブル保持盤34の上面に、回転方向に沿ってテーブル36を取り付けたものである。モータ32の駆動制御は中央動作制御部50により実行されている。
【0029】
テーブル保持盤34は、中心に回転軸を有する円盤状に形成されている。テーブル保持盤34にはテーブル保持盤34の外周に沿って4箇所に均等間隔(水平面内において回転軸を中心とした90度間隔)でテーブル36が取り付けられている。本実施形態のテーブル保持盤34の上面には外周縁に沿ってテーブル取付孔(図示はせず)が所定間隔で穿設されているので、テーブル保持盤34の任意の位置にテーブル36を取り付することができるようになっている。テーブル保持盤34の回転軸はモータ32の出力軸に減速機を介して、または、直接連結されている。
【0030】
中央動作制御部50の指示によりモータ32が回転駆動すると、テーブル保持盤34が回転軸周りに回転し、各テーブル36がスタック位置SPとバッファ位置BPと取り出し位置RPと待機位置WPとの4箇所の位置(ポジション)内で循環移動することになる。
【0031】
スタック位置SP(スタックポジション)は、プレス装置20の吸着部24の直下位置であって、プレス装置20からの熱交換器用フィン14をテーブル36に立設させたスタックピン37に沿って所定高さ寸法になるまでスタッカ31(テーブル36)に集積させて熱交換器用フィン14のフィン集積体15を得る位置である。バッファ位置BP(バッファポジション)は、スタック位置SPでスタッカ31に所定集積高さに集積させた熱交換器用フィン14のフィン集積体15をスタック位置SPから送り出し、待機させるための位置である。
【0032】
取り出し位置RP(取り出しポジション)は、バッファ位置BPの直後位置であって、スタック位置SPで所定集積高さになったフィン集積体15がスタックピン37と共に送り出され、フィン集積体15を取り出しする位置である。待機位置WP(待機ポジション)は、取り出し位置RPに続く位置であると共にスタック位置SPの直前位置でテーブル36の所定位置にスタックピン37が再度立設された状態で待機する位置である。
【0033】
図3および
図4に示すように、本実施形態におけるスタッカ31のテーブル36の上面には第1スペーサ33Aとスタックピンホルダ38がそれぞれ散点的に配設されている。第1スペーサ33Aの上面にはテーブル36の平面領域を横切らせる配置で両端部をテーブル36の外方にはみ出させたフィン支持体35が取り付けられている。スタックピンホルダ38の上面にはスタックピン37の差し込み平面位置が空洞(貫通孔)になっている第2スペーサ33Bおよびスタックピンガイドプレート39がそれぞれ記載順に載置されている。
図3に示すように、第1スペーサ33Aは第2スペーサ33Bの側方位置において第2スペーサ33Bを挟み込む配置で設けられている。
【0034】
また、スタックピンホルダ38には、複数本のスタックピン37が挿抜可能になっている。スタックピンホルダ38に対するスタックピン37の立設の有無の確認は、後述するフィン集積体取り出し装置40の動作制御プログラムがエラーを生じることなく一連の動作が実行されたことを中央動作制御部50(スタックピン立設確認手段に相当)が確認することで可能である。ここで、一連の動作とは、フィン集積体15をスタックピン37と共にスタックピンホルダ38から抜き取った後、フィン集積体15とスタックピン37を分離し、スタックピン37のみをスタックピンホルダ38に戻すまでの処理を指す。
【0035】
この他のスタックピン立設確認手段の具体例としては、スタックピンホルダ38にスタックピンセンサを配設することもできる。この場合、スタックピンセンサによるスタックピンホルダ38へのスタックピン37の立設状態の確認情報は、中央動作制御部50に継続的に送信させればよい。
【0036】
スタックピン37にはプレス装置20の吸着部24から熱交換器用フィン14が順次落とし込まれ、熱交換器用フィン14がスタックピン37に沿って順次集積されてフィン集積体15が形成されることになる。フィン集積体15は第1スペーサ33Aおよびフィン支持体35により、その底面がテーブル36の上面との間に隙間Sを有した状態で支持される。
【0037】
また、本実施形態のスタック位置SPにはフィン支持体35をスタックピン37の高さ方向に移動させる昇降装置60が配設されている(
図1および
図2参照)。昇降装置60は、スタッカ31の側方位置であるスタッカ31(テーブル36)の平面領域の外方位置においてスタッカ31の移動面よりも下方位置(本実施形態においてはテーブル保持盤34よりも下方位置)に配設されている。本実施形態における昇降装置60は、板状体でフィン支持体35を保持した状態で昇降させる形態であるが、昇降可能な把持部によってフィン支持体35の両端部を掴む構成にすることもできる。これによりフィン支持体35およびフィン集積体15をスタックピン37に沿って安定した状態でスライド移動させることが可能になる点で好都合である。
【0038】
本実施形態における昇降装置60は、スタック位置SPへのスタッカ31の送り込み時からバッファ位置BPへのスタッカ31の送り出し時までを1サイクルとして、中央動作制御部50により昇降動作が制御されている。また、昇降装置60または後述するフィン集積体取り出し装置40のいずれかには、フィン支持体35に集積されたフィン集積体15の高さが予め設定された高さに到達したことを検出するための図示しない光センサが設けられている。光センサは、計測光照射部と受光センサとによる公知の構成を採用することができる。本実施形態における光センサは、フィン集積体15の集積高さが所定の高さに到達することにより、計測光照射部から照射された計測光がフィン集積体15により遮断されたことを検出すると、中央動作制御部50に集積高さ到達検出信号を送信する形態を採用した。
【0039】
スタック位置SPにおいて熱交換器用フィン14をスタックピン37に沿ってスタッカ31に集積させる際の集積処理開始時において、中央動作制御部50はフィン支持体35およびスタックピンガイドプレート39をスタックピン37に沿って上昇させるよう昇降装置60の動作を制御している。フィン支持体35およびスタックピンガイドプレート39はスタックピン37の上端部近傍位置であって、スタックピン37の上端部近傍の集積開始位置に上昇される。
【0040】
このようにスタック位置SPにおいて熱交換器用フィン14をスタックピン37に沿ってスタックを開始した時点におけるフィン支持体35の位置をプレス装置20の吸着部24に接近させることで、吸着部24からリリースされた熱交換器用フィン14の落差を小さくすることができる。よって吸着部24からリリースされた熱交換器用フィン14がフィン支持体35に着地する際における熱交換器用フィン14の変形が防止されるのである。さらには、スタックピン37の先端(上端)をできるだけ高い位置でガイドすることにより、スタックピン37の先端の平面位置を正しい位置に合わせるようにすることもできる。
【0041】
中央動作制御部50は、スタックピン37への熱交換器用フィン14のフィン集積体15の集積高さに応じてフィン支持体35およびスタックピンガイドプレート39の高さ位置を徐々にスライド移動させてテーブル36側に接近させるよう昇降装置60の動作を制御している。また、中央動作制御部50は、光センサから送信された集積高さ到達検出信号の受信によりスタックピン37へのフィン集積体15の高さが所定集積高さに到達したと判断すると、昇降装置60をスタッカ31の移動面よりも下方位置である当初位置まで下降させる。これによりテーブル循環装置30の作動時において昇降装置60がテーブル循環装置30に干渉することはない。
【0042】
中央動作制御部50は、フィン集積体15の集積高さが予め設定されている所定集積高さに到達し、かつ、待機位置WPにおけるテーブル36のすべてのスタックピンホルダ38にスタックピン37が立設されていることを検出すると、モータ32を順方向に駆動させる処理を実行する。モータ32を駆動させることによりテーブル保持盤34が所定方向に回転し、各スタッカ31が次の位置(ポジション)に送り出されることになる。ここでは、フィン集積体取り出し装置40の動作制御プログラムがエラーを生じることなく一連の動作が実行されたことを中央動作制御部50(スタックピン立設確認手段に相当)が確認することにより、待機位置WPにおけるテーブル36のすべてのスタックピンホルダ38にスタックピン37が立設されていることを確認している。
【0043】
本実施形態においては、バッファ位置BPのテーブル36におけるフィン集積体15に対し、スタックピン37が挿通されていない透孔にガイドロッドまたは冷媒管(いずれも図示はせず)を挿通させる処理が中央動作制御部50により実行される。このようにスタックピン37が挿通されている状態のフィン集積体15にガイドロッドまたは冷媒管を挿通させておくことにより、テーブル36がバッファ位置BPから取り出し位置RPに回転する際におけるフィン集積体15の崩れ落ちを防止することができる。
【0044】
バッファ位置BPから取り出し位置RPに送り出されたスタッカ31にはスタックピン37に沿ったフィン集積体15が所定集積高さで集積されている。中央動作制御部50は、取り出し位置RPに配備されたフィン集積体取り出し装置40に、取り出し位置におけるスタッカ31のテーブル36からスタックピン37ごとフィン集積体15を取り出させる指示を出す。
【0045】
本実施形態におけるフィン集積体取り出し装置40は、
図4および
図5に示すように、スタックピン37の上端部を挟持する上端挟持部41と、スタックピン37の下端部を挟持する下端挟持部42と、上端挟持部41および下端挟持部42を上下移動させる上下動機構43と、上端挟持部41および下端挟持部42を水平方向に移動させる水平移動機構44とを有している。ここで、スタックピン37の上端部および下端部とは、スタックピン37上端部周辺および下端部周辺を含む概念である。フィン集積体取り出し装置40の動作は、中央動作制御部50により制御されている。また、下端挟持部42の上側にはフィン支え46が取り付けられている。
【0046】
中央動作制御部50からの指示により水平移動機構44を作動させ、フィン集積体取り出し装置40をフィン集積体15に接近させる(
図5A)。中央動作制御部50は続けて開いた状態の上端挟持部41および下端挟持部42をスタックピン37の位置まで進入させ、上端挟持部41を閉じてスタックピン37の上端部のみを挟持させる(
図5B)。このとき、フィン集積体15の最下部の底面はフィン支え46により保持された状態になる。
【0047】
次に中央動作制御部50は、上下動機構43を作動させ、上端挟持部41のみを上昇させてスタックピン37のみをスタックピンホルダ38から抜き取る(
図5C)。次に中央動作制御部50は、下端挟持部42を閉じてスタックピン37の下端部を挟持させると共に、水平移動機構44を作動させ、スタックピン37の上端部および下端部を挟持したフィン集積体15を他のフィン集積体15から離反する方向に移動させる(
図5D)。
【0048】
このようにフィン集積体取り出し装置40は、スタックピン37の上端部と下端部をそれぞれ挟持し、スタックピン37に挿通されているフィン集積体15をスタックピン37と一体にした状態でテーブル36(スタックピンホルダ38)から引き抜く。
【0049】
テーブル36からスタックピン37と共に引き抜かれたフィン集積体15は、搬送部としてのコンベア70の上に横向きに置かれる(
図6A)。スタックピン37が挿通されているフィン集積体15はスタックピン37をコンベア70の上面(地表面)に平行な状態で載置される。次に中央動作制御部50は、下端挟持部42の挟持を解除し、下端挟持部42をフィン集積体15から離反させる方向(
図6B中の上側)に移動させる(
図6B)。
【0050】
そして、中央動作制御部50は、
図6Cに示すようにスタックピン37がフィン集積体15の上端部から抜き出ない位置(フィン集積体15の透孔内においてスタックピン37がガイドされている状態)でスタックピン37の下端部を下端挟持部42に挟持させる。そして、すでに待機位置WPに移動したスタックピン37が引き抜かれているテーブル36のスタックピンホルダ38にスタックピン37を立設させる。
【0051】
本実施形態におけるスタックピンホルダ38の直上位置には、スタックピンガイドプレート39が配設されている。スタックピンガイドプレート39には板厚方向に貫通孔が設けられていて、貫通孔の下側開口部の位置がスタックピンホルダ38のスタックピン37の立設位置に位置合わせされ、上側開口部の開口寸法が下側開口寸法よりも大きく形成されている。これによりスタックピン37を正しく元の位置に戻すことができる。このようにしてスタックピンホルダ38へのスタックピン37を再立設させる際には、フィン集積体取り出し装置40のアームに取り付けられた図示しないアクチュエータ等の作動部のストローク量を作動部モニタリング手段または中央動作制御部50がモニタリングしている。
【0052】
本実施形態においては、作動部のストローク量をモニタリングする作動部モニタリング手段または中央動作制御部50がスタックピン立設確認手段に相当する。作動部モニタリング手段または中央動作制御部50は、作動部の計測ストローク量が既定のストローク量に達していない場合、フィン集積体取り出し装置40における一連の動作が正常終了しなかった(スタックピンの再立設が正しく行われなかった)と判断することができる。
【0053】
そして、中央動作制御部50は、待機位置WPにおけるスタッカ31のすべてのスタックピンホルダ38にスタックピン37が立設されていることが確認され、かつ、スタック位置SPにおけるフィン集積体15の集積高さが所定集積高さに到達していることが検出されると、モータ32を駆動させ、テーブル循環装置30内の各スタッカ31をそれぞれ次の位置に循環移動させる。
【0054】
以上の動作を繰り返し実行することで、プレス装置20から供給された熱交換器用フィン14をフィン集積体15にして次の工程に順次送り出す処理を全自動でおこなうことができる。
【0055】
以上に説明したように、本実施形態における熱交換器用フィンのフィン集積体製造装置100によれば、テーブル循環装置30、フィン集積体取り出し装置40、中央動作制御部50により、テーブル36をスタック位置SP、バッファ位置BP、取り出し位置RP、待機位置WPの間で循環移動させながら、プレス装置20から送り出された熱交換器用フィン14をフィン集積体15にして次の位置(工程)に順次送り出しする処理を自動的に行うことができる。
【0056】
本実施形態における熱交換器用フィンのフィン集積体製造装置100の構成によれば、熱交換器用フィン14の製造およびこれを集積させたフィン集積体15を形成し、形成したフィン集積体15を次工程に送り出す一連の工程を自動化することができる。これにより、人手が介することによるフィン集積体15のハンドリングミス等の不具合の発生がなく、極めて効率的な熱交換器用フィン14のフィン集積体15を製造することが可能になる。
【0057】
(第2実施形態)
本実施形態にかかる熱交換器用フィンのフィン集積体製造装置を
図7および
図8に示す。本実施形態においては、第1実施形態と同一の構成については第1実施形態で用いた符号を図示すすることによりここでの詳細な説明を省略する。本実施形態においては、それぞれのテーブル36の上面にフィン押さえ機構80が設けられている点、また、プレス装置20のスタック位置SPの側における端部である吸着部24に集積時用フィン支え機構90が設けられている点が特徴的である。
【0058】
フィン押さえ機構80は、テーブル36の上面に集積されたフィン集積体15を押さえこむためのものであり、フィン集積体15の両端部位置(フィン集積体15を平面視した際の長手方向両端部)からフィン集積体15を押さえるように設けられている。本実施形態におけるフィン押さえ機構80は、フィン集積体15の両端部位置に当接してフィン集積体15を押さえこむフィン押さえ体82とフィン押さえ体82によるフィン集積体15の押さえこみ状態と非押さえこみ状態とを切替制御する切替制御部としての回動モータ84を有している。回動モータ84は中央動作制御部50により動作が制御されている。回動モータ84がフィン押さえ体82をテーブル36の上面に対して起立させた状態とテーブル36の上面と水平になる状態との間で回動させることで、フィン集積体15の押さえこみ状態と非押さえこみ状態とが切替制御される。
【0059】
フィン押さえ機構80の動作について説明する。
図9~
図11は、それぞれの位置(ポジション)におけるフィン押さえ機構80の動作を説明するための要部平面図である。ここでは、
図9においてスタック位置SPにあるテーブル36に配設されたフィン押さえ機構80についての各位置(ポジション)における動作を説明する。
【0060】
スタック位置SPにおいては、
図9に示すように、フィン押さえ機構80はフィン押さえ体82がテーブル36の上面に対して直交方向に起立した状態になっている。このようにフィン押さえ体82をテーブル36の上面に起立させた状態にすることで、フィン集積体15を集積させる際においてフィン押さえ体82が邪魔になることがない。
【0061】
スタック位置SPにおいてテーブル36の上面に集積されたフィン集積体15の高さが予め設定された高さに到達すると、中央動作制御部50は、
図10のSPにおけるテーブル36に示されているように回動モータ84を作動させ、フィン押さえ体82をテーブル36の上面に平行になるように(水平になるように)回動させる。このようにフィン集積体15の両端部分からフィン集積体15を挟み込むようにしてフィン押さえ体82でフィン集積体15を押さえることにより、テーブル36を回転させる際にフィン集積体15が崩れることを防止できる。
【0062】
テーブル36が回転し、バッファ位置BPで待機している間は、
図10におけるテーブル36に示されているように、フィン押さえ体82でフィン集積体15の両端部位置を挟持させた状態が維持される。なお、バッファ位置BPにおいては、フィン集積体15の品質確認やスタックピン37の引き抜き処理およびガイドロッドまたは冷媒管の挿入処理を行うこともできる。そしてバッファ位置BPから取り出し位置RPに回転する際もフィン押さえ体82でフィン集積体15の両端部位置を挟持させた状態が維持される。
【0063】
そして
図11に示すように、取り出し位置RPにおけるテーブル36においては、中央動作制御部50がフィン集積体取り出し装置40の側のフィン押さえ機構80の回動モータ84のみを作動させ、フィン押さえ体82をテーブル36の上面に起立させた状態にする。このようにすることで、取り出し位置RPにおいてフィン集積体取り出し装置40によるフィン集積体15の取り出し処理を行う際にフィン押さえ体82が邪魔にならず好都合である。
【0064】
そして、取り出し位置RPにおけるすべてのフィン集積体15の取り出し処理が完了すると、中央動作制御部50は取り出し位置RPのテーブル36を待機位置WPに移動させる。待機位置WPに移動したテーブル36においては、すべての(フィン集積体15の両側部分の)フィン押さえ体82がテーブル36の上面に直交状態で起立した状態になるよう、中央動作制御部50が回動モータ84を適宜のタイミングで回動させている。
【0065】
本実施形態においては、待機位置WPのテーブル36において、すべてのスタックピン37が立設されている状態とすべてのフィン押さえ体82がテーブル36の上面に起立させた状態になっていることをスタック位置SPへの移動条件にすることもできる。
【0066】
次に集積時用フィン支え機構90について説明する。
図12、
図13に示すように本実施形態における集積時フィン支え機構90は、吸着部24に取り付けられ、フィン集積体15の上側からフィン集積体15に接離動可能に設けられている。本実施形態における集積時フィン支え機構90は、上下動機構92と回転機構94とフィン支え体98を有している。
【0067】
上下動機構92は、フィン支え体98をフィン集積体15の高さ方向に移動可能にすするためのものであり、エアシリンダ等の流体シリンダを好適に用いることができる。回転機構94は、上下動機構92の先端(下端)に取り付けられていて、水平面内で回転可能なエアシリンダ等の流体シリンダを好適に用いることができる。回転機構94の回転軸96にはフィン支え体98が取り付けられている。すなわちフィン支え体98は水平面内で回転し、フィン集積体15に対して接離動可能になっている。上下動機構92と回転機構94の動作は、中央動作制御部50により制御されている。ここでは上下動機構92と回転機構94としてエアシリンダを用いているが、モータにより回転するスプロケットまたはプーリーに駆動チェーンまたは駆動ベルトを掛け渡した他の動力機構を上下動機構92および回転機構94に採用することもできる。
【0068】
集積時用フィン支え機構90の動作について
図14~
図17を参照しながら説明する。ここでは説明を簡単にするため、
図14~
図17においてはフィン押さえ機構80の表示を省略している。
図14Aはスタックピン37が立設されたテーブル36が待機位置WPからスタック位置SPに回転した直後の状態を示す。このとき、集積時用フィン支え機構90は上下動機構92が収縮した状態で、回転機構94はフィン支え体98がフィン集積体15の形成側とは反対側に位置させた状態である。
【0069】
スタックピン37へのフィン集積体15のスタック処理を開始する前、中央動作制御部50は昇降装置60を上昇させてフィン支持体35とスタックピンガイドプレート39を持ち上げる処理を行う。これと同時または直前もしくは直後に中央動作制御部50は、上下動機構92を伸長させてフィン支え体98を吸着部24から離反(フィン支持体35に接近)させる(
図14B)。
【0070】
次に中央動作制御部50は、回転機構94を作動させ、回転機構94の回転軸96に連結されたフィン支え体98をフィン集積体15が形成される側に回転させる(
図15A)。次に中央動作制御部50は、スタックピン37に沿って熱交換器用フィン14を集積させて、フィン集積体15の形成を行う。このとき、中央動作制御部50は
図15Bに示すように昇降装置60の位置を徐々に下降させ、吸着部24から落下させた熱交換器用フィン14を常にフィン支え体98が待機する着地位置に集積されるようにしている。
【0071】
図16Aに示すように、フィン集積体15が所定の集積高さに到達したとき、昇降装置60は元の待機位置に戻る。そして中央動作制御部50は、
図16Bに示すように回転機構94を回転させ、フィン支え体98をフィン集積体15から離反させた状態にする。フィン支え体98をフィン集積体15から離反させる前に、中央動作制御部50はフィン押さえ機構80を作動させ、フィン押さえ体82によりフィン集積体15を両側から押さえさせるようにすることが好ましい。次に中央動作制御部50は
図17に示すように、上下動機構92を収縮させてフィン支え体98と共に吸着部24に接近(フィン集積体15の上方位置に離反)させ、テーブル36をスタック位置SPからバッファ位置BPに送り出しする。
【0072】
このように、フィン押さえ機構80と集積時用フィン支え機構90の構成を追加的に設けることで、フィン集積体15の集積時およびテーブル36の回転時においてフィン集積体15の集積状態が乱れることを防止することができる点において好都合である。
【0073】
以上、本発明について実施形態に基づいて詳細に説明したが、本発明は以上に示した実施形態に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのはもちろんである。例えば、本実施形態においては、テーブル保持盤34に4つのテーブル36を取り付けた構成を例示しているが、テーブル保持盤34の周方向には少なくとも3つのテーブル36が取り付けられていればよい。すなわち、テーブル循環装置30は、少なくともスタック位置SP、取り出し位置RP、待機位置WPを有していればよい。
【0074】
また、本実施形態においては、スタック位置SPにおけるスタッカ31に集積されたフィン集積体15の高さ寸法の計測は、昇降装置60に設けた光センサにより行う形態について説明しているが、この形態に限定されるものではない。光センサに替えてフィン集積体15の質量を計測する重量センサを設け、フィン集積体15の重量を計測することによりフィン集積体15の高さ寸法を算出する形態を採用することもできる。
【0075】
また、以上の実施形態においては、スタッカ31のテーブル36に高さが異なる第1スペーサ33Aと第2スペーサ33Bを配設しているが、同じ高さのスペーサにすることもできる。さらには、第1スペーサ33Aおよび第2スペーサ33Bを配設せずに、テーブル36の上面にスタックピンホルダ38とフィン支持体35を直接配置した形態を採用することもできる。この形態の場合、スタック位置SPにおいては昇降装置60によりフィン支持体35を上昇させればよい。また、取り出し位置RPにおいては、フィン集積体取り出し装置40にフィン支持体35を持ち上げる図示しないリフタを配設し、リフタによりテーブル36の上面からフィン支持体35を持ち上げて下端挟持部42を進入させるための隙間Sを形成するようにすればよい。リフタの動作は、中央動作制御部50により制御することができる。
【0076】
また、本実施形態においては、バッファ位置BPにおいてフィン集積体15のスタックピン37が差し込まれていない透孔にガイドロッドを挿入する工程を実行しているが、この工程は省略することもできる。この場合、
図18に示すように、フィン集積体15からスタックピン37を引き抜いてスタックピン37とフィン集積体15とを分離させる際に、フィン集積体15へのガイドロッド挿入機GRMによりガイドロッドGRの装着を併せて行うようにしても良い。
【0077】
スタックピン37の引き抜きとガイドロッド挿入機GRMを用いたガイドロッドGRの挿入処理は、
図18A、
図18B、
図18Cに示すような公知の方法を用いることができる。フィン集積体15からスタックピン37を引き抜いてスタックピン37とフィン集積体15とを分離させる際に、フィン集積体15へのガイドロッド挿入機GRMによりガイドロッドGRの装着を併せて行うようにすればバッファ位置BPを省略することが可能になる。これにより熱交換器用フィンのフィン集積体製造装置100の製造コストを抑えることができる点で好都合である。さらには、フィン集積体15にガイドロッドGRを装着する工程は、フィン集積体15に冷媒管を装着する工程に併せて行うこともできる。
【0078】
また、第2実施形態においては、フィン押さえ機構80として、フィン押さえ体82とこれを回動させる回動モータ84と中央動作制御部50により構成された形態について説明しているが、この形態に限定されるものではない。中央動作制御部50が切替制御部によりフィン押さえ体82をフィン集積体15の両側部に接離動させることによりフィン集積体15の押さえこみ状態と非押さえこみ状態とを切り替えする構成を採用することもできる。
【0079】
そして、第2実施形態においては、フィン押さえ機構80と集積時フィン支え機構90を有する構成について説明しているが、フィン押さえ機構80と集積時フィン支え機構90は、いずれか一方のみを第1実施形態に追加することもできる。
【0080】
さらには本実施形態における構成と、上記の各種変形例における構成を適宜組み合わせた構成を採用することもできる。