(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】金属含有廃棄物の処理方法及び処理装置
(51)【国際特許分類】
B09B 5/00 20060101AFI20220203BHJP
B09B 3/30 20220101ALI20220203BHJP
B03C 1/00 20060101ALI20220203BHJP
B03C 1/30 20060101ALI20220203BHJP
B07B 1/00 20060101ALI20220203BHJP
C22B 7/02 20060101ALN20220203BHJP
【FI】
B09B5/00 N
B09B3/00 Z ZAB
B09B5/00 C
B03C1/00 B
B03C1/30 Z
B07B1/00 B
C22B7/02 A
(21)【出願番号】P 2018180148
(22)【出願日】2018-09-26
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000240
【氏名又は名称】太平洋セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 洸
(72)【発明者】
【氏名】竹本 智典
(72)【発明者】
【氏名】中村 充志
(72)【発明者】
【氏名】石田 泰之
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-219093(JP,A)
【文献】特開昭54-062572(JP,A)
【文献】特開2010-192575(JP,A)
【文献】特開2017-196543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 5/00
B09B 3/00
B03C 1/00
B07B 1/00
B07B 9/00
C22B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属含有廃棄物を磁石媒体を用いて粉砕し、
該粉砕された金属含有廃棄物と前記磁石媒体を篩にかけ、
該篩上物を前記磁石媒体のキュリー温度以上かつ融点以下に加熱して前記磁石媒体の磁力を消失させた後、前記磁石媒体と磁着物を多く含む金属含有廃棄物に選別することを特徴とする金属含有廃棄物の処理方法。
【請求項2】
金属含有廃棄物を磁石媒体を用いて粉砕しながら篩にかけ、
該篩上物を前記磁石媒体のキュリー温度以上かつ融点以下に加熱して前記磁石媒体の磁力を消失させた後、前記磁石媒体と磁着物を多く含む金属含有廃棄物に選別することを特徴とする金属含有廃棄物の処理方法。
【請求項3】
前記加熱選別後の磁石媒体を前記金属含有廃棄物の粉砕又は粉砕しながらの篩選別に用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属含有廃棄物の処理方法。
【請求項4】
金属含有廃棄物を磁石媒体を用いて粉砕する粉砕機と、
該粉砕された金属含有廃棄物と前記磁石媒体が供給される第1の篩分け装置と、
該篩分け装置から排出された篩上物を前記磁石媒体のキュリー温度以上かつ融点以下に加熱して前記磁石媒体の磁力を消失させる加熱装置と、
該加熱装置から排出された加熱物を前記磁石媒体と磁着物を多く含む金属含有廃棄物に選別する第2の篩分け装置とを備えることを特徴とする金属含有廃棄物の処理装置。
【請求項5】
金属含有廃棄物を磁石媒体を用いて粉砕しながら篩選別する粉砕篩分け装置と、
該粉砕篩分け装置から排出された篩上物を前記磁石媒体のキュリー温度以上かつ融点以下に加熱して前記磁石媒体の磁力を消失させる加熱装置と、
該加熱装置から排出された加熱物を前記磁石媒体と磁着物を多く含む金属含有廃棄物に選別する篩分け装置とを備えることを特徴とする金属含有廃棄物の処理装置。
【請求項6】
前記加熱選別後の磁石媒体を前記粉砕機又は前記粉砕篩分け装置に戻す搬送装置を備えることを特徴とする請求項4又は5に記載の金属含有廃棄物の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属含有廃棄物の処理方法及び処理装置に関し、特に、都市ごみ焼却灰やシュレッダーダスト等から鉄等の有価金属を回収する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
都市ごみ焼却灰やシュレッダーダスト等の金属含有廃棄物から鉄等の有価金属を回収するにあたって、金属含有廃棄物を破砕、粉砕、解砕した後、磁力選別機で有価金属を回収するのが一般的である(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-57651号公報
【文献】特開2003-120921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記方法では、灰の団粒化や、処理対象物の破砕・粉砕・解砕不足が生じ、鉄等の目的とする回収物に灰や加熱物が付着したまま選別され、回収される鉄の品位が低下することがあった。
【0005】
そこで、本発明は、上記従来技術における問題点に鑑みてなされたものであって、都市ごみ焼却灰やシュレッダーダスト等の金属含有廃棄物から鉄等の有価金属を回収にあたって、回収される有価金属の品位を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、金属含有廃棄物の処理方法であって、金属含有廃棄物を磁石媒体を用いて粉砕し、該粉砕された金属含有廃棄物と前記磁石媒体を篩にかけ、該篩上物を前記磁石媒体のキュリー温度以上かつ融点以下に加熱して前記磁石媒体の磁力を消失させた後、前記磁石媒体と磁着物を多く含む金属含有廃棄物に選別することを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、金属含有廃棄物の処理方法であって、金属含有廃棄物を磁石媒体を用いて粉砕しながら篩にかけ、該篩上物を前記磁石媒体のキュリー温度以上かつ融点以下に加熱して前記磁石媒体の磁力を消失させた後、前記磁石媒体と磁着物を多く含む金属含有廃棄物に選別することを特徴とする。
【0008】
上記両発明によれば、金属含有廃棄物から磁着物として鉄等の有価金属を効率よく回収することができる。
【0009】
上記金属含有廃棄物の処理方法において、前記加熱選別後の磁石媒体を前記金属含有廃棄物の粉砕又は粉砕しながらの篩選別に用いることができ、金属含有廃棄物を乾燥させたり脆化させることで効率的な粉砕・篩分けを行うことができる。
【0010】
また、本発明は、金属含有廃棄物の処理装置であって、金属含有廃棄物を磁石媒体を用いて粉砕する粉砕機と、該粉砕された金属含有廃棄物と前記磁石媒体が供給される第1の篩分け装置と、該篩分け装置から排出された篩上物を前記磁石媒体のキュリー温度以上かつ融点以下に加熱して前記磁石媒体の磁力を消失させる加熱装置と、該加熱装置から排出された加熱物を前記磁石媒体と磁着物を多く含む金属含有廃棄物に選別する第2の篩分け装置とを備えることを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明は、金属含有廃棄物の処理装置であって、金属含有廃棄物を磁石媒体を用いて粉砕しながら篩選別する粉砕篩分け装置と、該粉砕篩分け装置から排出された篩上物を前記磁石媒体のキュリー温度以上かつ融点以下に加熱して前記磁石媒体の磁力を消失させる加熱装置と、該加熱装置から排出された加熱物を前記磁石媒体と磁着物を多く含む金属含有廃棄物に選別する篩分け装置とを備えることを特徴とする。
【0012】
上記両発明によれば、金属含有廃棄物から磁着物として鉄等の有価金属を効率よく回収することができる。
【0013】
上記金属含有廃棄物の処理装置において、前記加熱選別後の磁石媒体を前記粉砕機又は前記粉砕篩分け装置に戻す搬送装置を備えることができ、金属含有廃棄物を乾燥させたり脆化させることで効率的な粉砕・篩分けを行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、金属含有廃棄物から回収される有価金属の品位を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る金属含有廃棄物の処理方法の一実施の形態を説明するためのフローチャートである。
【
図2】本発明に係る金属含有廃棄物の処理装置の一実施の形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明に係る金属含有廃棄物の処理方法の一実施の形態を示し、この処理方法は、まず都市ごみ焼却灰やシュレッダーダスト等の金属含有廃棄物を磁石ボール(磁石媒体)を用いて粉砕しながら篩にかける。この際、
図2に示す粉砕篩分け装置1を用いることができる。
【0018】
この粉砕篩分け装置1は、回転する篩い2の左方に金属含有廃棄物W及び磁石ボールBの供給部3と、篩い2の右方に篩上物(磁石ボールB及び磁着物M)の排出部4と、篩い2の下方に篩下物(非磁着物N)の排出部5を備える。篩い2の目開きは25mm程度に設定される。
【0019】
この粉砕篩分け装置1の供給部3に、金属含有廃棄物W及び磁石ボールBを供給し、篩い2の上で磁石ボールBによって金属含有廃棄物Wを粉砕しながら篩選別する。これにより、非磁着物Nが排出部5から排出され、磁石ボールB及び磁着物Mが排出部4から排出される。
【0020】
次に、
図1に示すように、篩上物である磁石ボール及び磁着物を磁石ボールのキュリー温度以上かつ融点以下に加熱して磁石ボールの磁力を消失させる。この際、加熱装置には、ロータリーキルン等を用いることができる。尚、キュリー温度とは、その温度以上で強磁性体が強磁性を失う温度であって、鉄の場合には750℃程度である。これによって、磁石ボールと磁着物(磁着物を多く含む金属含有廃棄物)とが分離可能となるので、これらを篩い等で選別することで、有価金属等の磁着物を多く含む金属含有廃棄物を回収することができる。
【0021】
上記加熱・選別後の磁石ボールは公知の方法で着磁され、この磁石ボールを搬送装置を用いて上記粉砕篩分け装置1に搬送し、再度金属含有廃棄物の粉砕・篩分けに用いる。この際、磁石ボールの温度はまだ高いため、都市ごみ焼却灰を乾燥させたり、シュレッダーダストを脆化させることができ、効率的な粉砕・篩分けを行うことができる。
【0022】
尚、上記実施の形態においては、粉砕篩分け装置1を用いて金属含有廃棄物を磁石ボールを用いて粉砕しながら篩選別したが、必ずしも金属含有廃棄物の粉砕と篩選別を同時に行う必要はなく、ボールミル等で金属含有廃棄物を磁石ボールを用いて粉砕した後、篩分け装置で磁石ボール及び磁着物と、非磁着物に選別してもよい。
【0023】
また、上記実施の形態においては、金属含有廃棄物を粉砕する媒体として磁石ボールを用いたが、必ずしもボールでなくてもよく、棒状、円柱状等の磁石媒体を用いることもできる。
【符号の説明】
【0024】
1 粉砕篩分け装置
2 篩い
3 供給部
4、5 排出部
B 磁石ボール
M 磁着物
N 非磁着物
W 金属含有廃棄物