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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】住宅の外壁軽量モルタル薄塗仕上げ工法
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/02 20060101AFI20220117BHJP
   E04B 1/66 20060101ALI20220117BHJP
   E04B 1/70 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
E04F13/02 E
E04B1/66 A
E04B1/70 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020173932
(22)【出願日】2020-10-15
【審査請求日】2021-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000229841
【氏名又は名称】株式会社ニチラス
(74)【代理人】
【識別番号】100082658
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 儀一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221615
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 祐子
(72)【発明者】
【氏名】磯村 英明
【審査官】津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-275731(JP,A)
【文献】特開2013-185300(JP,A)
【文献】特開2006-112041(JP,A)
【文献】実開昭49-102529(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/02
E04B 1/66
E04B 1/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モルタル塗り外壁形成において、複数使用されるモルタル塗り外壁形成用の下地部材であって、
前記下地部材は、水平方向に延びる溝条リブが間隔をあけて複数設けられ、前記溝条リブ間には網目部が形成されたラス材と、該ラス材の一面側に貼着された防水シートとを有し、前記ラス材の溝条リブと溝条リブとの間隔は60mmから90mmの間隔とし、リブの山高さを4mmより低い高さとし、前記下地部材の両端部側には端末溝条リブが設けられ、
前記端末溝条リブは、前記溝条リブと、該溝条リブの上下方向外側端部から逆U字状に切曲して構成された小リブとを有して形成され、
前記下地部材の敷設は、該下地部材の一枚目を木造住宅の外壁面下端部から敷設し、二枚目以降の下地部材の敷設は、隣り合う下地部材の各々複数の溝条リブとフック状折り曲げ小リブの複数個所のリブを重ね合わせながら水平方向に連続敷設し、敷設された下地部材上にはモルタルの塗り厚を15mmから18mmの厚みにして塗布する、
ことを特徴とする住宅の外壁軽量モルタル薄塗仕上げ工法。
【請求項2】
前記下地部材を上下に敷設するときには、先に敷設された前記下地部材の2枚の重ね合わせ部に、上方に敷設する下地部材を重ね合わせ、全体で3枚の重ね合わせ部の厚みを4mmから7mm内の厚みにして敷設する、
ことを特徴とする請求項1記載の住宅の外壁軽量モルタル薄塗仕上げ工法。
【請求項3】
住宅躯体の室外側に取り付けた下地部材の外側からモルタルを塗り厚を15mmから18mmの厚みにして塗り、モルタル塗り外壁内に通気部が形成されたモルタル塗り外壁部を形成し、
前記通気部が形成されたモルタル塗り外壁部の上下端面は開口しており、前記上下端面の開口部に通気端定木を取り付け、前記通気端定木を取り付けることにより前記通気部の厚みを保持する空気流入孔が設けられた、
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の住宅の外壁軽量モルタル薄塗仕上げ工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の外壁軽量モルタル薄塗仕上げ工法に係り、特に、リブラス材を下地部材に用いての木造住宅の外壁軽量モルタル薄塗仕上げ工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、木造住宅のモルタル塗りで形成された外壁内には、住宅の断熱効果保持などの観点から所定の空間による空間部が形成されている。
しかしながら、この空間部内の空気温度が、その周辺の温度との間の温度差などにより冷やされ、いわゆる露点温度以下になると、壁内の水蒸気が凝結してしまい水滴になる現象、すなわち、壁内結露を起こす可能性があった。
そして、この壁内結露は、カビ、腐食、錆などの原因となり、木造住宅の耐久性を低下させたり、木造住宅の寿命を縮めるなどの大きな影響を与えることがあった。
【0003】
このような状態を改善するために近年、壁体内の湿気を外部に放出する手段としていわゆるモルタル塗り外壁通気工法が開発されてきた。
当該モルタル塗り外壁通気工法では、木造住宅の壁体内の湿気を透湿防水シートという材料で壁を覆い、モルタル塗り外壁材との間に外気が流れる層をつくることによって、壁内の湿気を透湿防水シートから通気部を通して外部に放出する方法を採用したのである。
【0004】
具体的には、例えば、前記透湿防水シートで壁を覆った後、通気胴縁を取り付け、該通気胴縁の上にラス網を布設して、モルタル外壁仕上げを行う。
これにより、内部結露を少なくすることができ、その結果、住宅の耐久性を向上させられるとの効果が期待できることとなった。
【0005】
ところで近年では、木造住宅の外壁空間部を形成しての外壁モルタル塗布厚につき従来のモルタル塗り厚より薄いモルタル塗り厚にして軽量モルタルにすることが要請されている。従来のモルタル塗り厚より薄いモルタル塗り厚であっても規格内に収まるモルタル塗り厚施工であれば、施工スピードの向上と施工コストの低減が図れるからである。
【0006】
ここで、本件出願人は、すでにモルタル塗りの際の下地部材に最適なラス網としてリブラスを開発した。しかしながら従来使用されているリブラスは、JISのリブ規格の山高さ4mmを有するリブラスであった。ところが、従来のJISのリブ規格の山高さ4mmのリブラスであると、特に、該リブラスを複数枚つなぎ合わせて下地材を形成する際、その継ぎ目の部分については所定の長さ部分を重ね合わせる必要がある。
【0007】
そして、リブラスの継ぎ目につき三枚重ねなければならない箇所も生じ、その三枚重ね部分については、山高さ4mmのリブラスであると、重ねた下地個所が盛り上がってしまい、薄いモルタル塗り厚にすることが難しいとの課題が生じたのである。
【0008】
また、従来では、リブラスで構成された下地材を取り付ける間柱(通気胴縁)の間隔は、通常45.5cmの間隔であり、その間隔を有する複数の間柱上に前記リブラスで構成された下地材を止め付けていたが、前述した間柱の間隔が45.5cm間隔であることと、従来型のリブラスにおける溝条リブと溝条リブとの間隔が150mmであることから、溝条リブと溝条リブとの間のリブラス面がモルタルを塗付けるときの鏝圧により内側にたわんでしまい、その内側にたわんだ分だけ通気スペースが狭くなってしまっていたとの課題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2012-48723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
かくして、本発明は前記従来の課題を解決するために創案されたものであって、下地材部材であるリブラスの山高さを4mmより1mm程度低くすることで、リブラスのジョイント部における、特に3枚重ねの個所での下地部分が盛り上がるのを抑えることができ、全体的なモルタルの塗り厚を薄塗り状態で仕上げることができる住宅の外壁軽量モルタル薄塗仕上げ工法を提供することを目的とするものであり、さらには、これまでリブラスにつき溝条リブと溝条リブとの間隔が150mm間隔であった間隔を半分程度の75mmにすることで、従来モルタル塗付け作業時にたわみが多くなっていたのを防止できる住宅の外壁軽量モルタル薄塗仕上げ工法を提供することを目的とするものであり、さらには、前記リブラスにおける端末部にさらにリブ外側に延出するフック状折り曲げ小リブを設け、リブラス自体の強度をも向上させ、またつなぎ合わせる際には前記の小リブを利用して正確につなぎ合わせることができる住宅の外壁軽量モルタル薄塗仕上げ工法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による木造住宅の外壁軽量モルタル薄塗仕上げ工法は、
モルタル塗り外壁形成において、複数使用されるモルタル塗り外壁形成用の下地部材であって、
前記下地部材は、水平方向に延びる溝条リブが間隔をあけて複数設けられ、前記溝条リブ間には網目部が形成されたラス材と、該ラス材の一面側に貼着された防水シートとを有し、前記ラス材の溝条リブと溝条リブとの間隔は60mmから90mmの間隔とし、リブの山高さを4mmより低い高さとし、前記下地部材の両端部側には端末溝条リブが設けられ、
前記端末溝条リブは、前記溝条リブと、該溝条リブの上下方向外側端部から逆U字状に切曲して構成された小リブとを有して形成され、
前記下地部材の敷設は、該下地部材の一枚目を木造住宅の外壁面下端部から敷設し、二枚目以降の下地部材の敷設は、隣り合う下地部材の各々複数の溝条リブとフック状折り曲げ小リブの複数個所のリブを重ね合わせながら水平方向に連続敷設し、敷設された下地部材上にはモルタルの塗り厚を15mmから18mmの厚みにして塗布する、
ことを特徴とし、
または、
前記下地部材を上下に敷設するときには、先に敷設された前記下地部材の2枚の重ね合わせ部に、上方に敷設する下地部材を重ね合わせ、全体で3枚の重ね合わせ部の厚みを4mmから7mm内の厚みにして敷設する、
ことを特徴とし、
または、
住宅躯体の室外側に取り付けた下地部材の外側からモルタルを塗り厚を15mmから18mmの厚みにして塗り、モルタル塗り外壁内に通気部が形成されたモルタル塗り外壁部を形成し、
前記通気部が形成されたモルタル塗り外壁部の上下端面は開口しており、前記上下端面の開口部に通気端定木を取り付け、前記通気端定木を取り付けることにより前記通気部の厚みを保持する空気流入孔が設けられた、
ことを特徴とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明による下地材部材の構成を説明する説明図(1)である。
図2】本発明による下地材部材の構成を説明する説明図(2)である。
図3】本発明を適用した実施例の概略構成を説明する概略構成説明図である。
図4】下地材部材の3枚重ねの個所の概略構成を説明する概略構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を図に示す実施例に基づき説明する。
図1図2は、本発明に係るモルタル塗り外壁の形成に使用される下地材部材1、すなわちリブラス部材の構成を示す概略説明図である。
該下地材部材1は、略長方形状をなしており、これら下地材部材1を平面状につないでモルタル外壁の下地材が構成される。
【0014】
前記下地材部材1は、間隔をあけて平行方向に複数条設けられ、かつ直線方向に延びるよう構成された断面半円状をなす溝条リブ2を有している。そして、断面半円状をなす溝条リブ2、2間には網目部3が形成されている。これをラス材と称している。
【0015】
ここで、本発明による下地材部材1は、溝条リブ2と溝条リブ2との間隔を60mmから90mmの間隔とし、好ましくは75mmの間隔としてある。また、溝条リブの山高さを4mmより低い高さとし、具体的には4mm以下の3.6mmから2.6mmの範囲、好ましくは3mmの山高さにしてある。
【0016】
さらに、前記下地材部材1の両端部側については前記溝条リブ2の延出方向と平行に延出する端末溝条リブ4が設けられている。該端末溝条リブ4は、前記溝条リブ2と同様な断面半円状をなす溝条リブと該溝条リブの外側端部からさらに、逆U字状に切曲して構成された小リブ5とを有して構成されている。
【0017】
本発明においては、上記に説明したように、下地材部材1の両端部側に端末溝条リブ4が設けられていると共に該端末溝条リブ4の外側端部からはさらに、逆U字状に切曲して構成された小リブ5が設けられているため、1枚1枚の下地材部材1自体の強度を向上させることができる。よって、本発明の下地材部材1を使用して下地材を形成すれば、敷設施工時において下地材部材1が室内側への撓むことの防止にも貢献できるものとなる。
【0018】
次に、図2から理解されるように、下地材部材1の一面側には防水シート6が貼着される。ここで、防水シート6の種類について説明すると、従来は主にポリミック紙とターポリン紙が使用されていた。ポリミック紙は、ポリエチレンシートの両面をクラフト紙でサンドイッチ状にしたもので、ターポリン紙は、アスファルト防水層の両面をクラフト紙でサンドイッチ状にして形成したものである。
【0019】
しかし、従来使用されていた防水紙はターポリン紙やポリミック紙のようにクラフト紙が材料であるので、リブラスで構成された下地材部材1を止め付ける木下地(通気胴縁など)が可視できず、ステープルで止め付ける際に、職人の感に頼ることが多々あった。
【0020】
しかし、本発明では、半透明なポリエステル不織布からなる防水紙を使用しているので、止付ける際にも木下地(通気胴縁など)の影を確認しながら作業出来ることとなった。
【0021】
よって、確実でスピードのある施工が出来、かつ、これまでより巾の細い木下地でも施工が可能となった。なお、従来の防水紙と本発明で使用する防水紙とは、その防水性能に違いはない。
【0022】
次に、前記下地材部材1を使用してのモルタル塗り外壁の下地形成につき説明すると、まず、前記下地材部材1の一面側に防水シート6を貼着し、該下地材部材1を略平面状につなぎ、モルタル塗り外壁の下地材としている。
【0023】
ここで、前記防水シート6の貼り付けは、まず、防水シート6に糊などの接着剤をつけてその上に下地材部材1をおき、その後一定の圧力を加えて下地材部材1と防水シート6の双方を一体化する。なお、下地材部材1と防水シート6を一緒に重ねた状態で所定の位置におき、ステッチングなどにより双方を縫合する方法もある。
【0024】
さらに、前記下地材部材1を用いた木造住宅のモルタル塗り外壁形成について説明する。
前記下地材部材1を防水シート6側に向かって突出した溝条リブ2の凸部分側、すなわち、防水シート6の貼着面側を木造住宅の構造躯体7室外側に添接する。
【0025】
なお、構造躯体7室外側には、防水シート6が貼着されており、その防水シート6の上には縦方向に延びる間柱8(通気胴縁)が外側へ向かって突出するよう取り付けられている。そして、前記間柱8(通気胴縁)は、横方向に所定の間隔を有して複数本設けられ、間柱8(通気胴縁)と間柱8(通気胴縁)との間には空間部が形成されるが、該空間部は通気部として機能するものとなる。
【0026】
ここで、間柱8(通気胴縁)の表面側には、溝条リブ2の凸部が添接するようにして下地材部材1が敷設される。
前記下地材部材1の構造躯体7への取り付けは、前記下地材部材1の室外側から例えばステープルや釘などの止着部材を間柱8の表面に打ち込むなどにより行うことが出来、もって非常に簡単な施工で行える様構成されている。
【0027】
なお、下地材部材1の構造躯体7への取り付けは、下地材部材1の構造躯体7への取り付ける際に接する溝条リブ2の凹部の部分内側からも行えるものであり、そのため該溝条リブ2の内側底面は、ラス固定用の例えばステープルガンの銃口が容易に入り、しかもステープルを打ち付けられるように形成されるのが好ましい。
【0028】
そして、木造住宅の構造躯体7室外側に取り付けた前記下地材部材1の外側には、モルタル9が塗布されてモルタル塗り外壁施工の最終工程となる。
下地材部材1に外側から塗りつけられたモルタル9は、該下地材部材1に貼着された防水シート6が受け止める形になり、前記下地材部材1の溝条リブ2及び網目部3の外側部分にモルタル9が塗布され、これによって強靱なラスモルタルが得られ、もって、たとえモルタル塗りが薄塗り施工であっても強度の高いモルタル外壁が形成される。
【0029】
なお、前記木造住宅の構造躯体においても前述のように室外側に透湿用などの防水シート6が貼り付けられており、前記下地材部材1に貼着された防水シート6と木造住宅の構造躯体7室外側に貼着された透湿用など防水シート6との間にできた空間が、通気部として形成され、その機能を果たすことになる。
【0030】
また、前記通気部が形成された木造住宅のモルタル塗り外壁部の上端と下端には、それぞれ空気流入孔10が設けられる。
前記通気部が形成された木造住宅のモルタル塗り外壁部の上端と下端は開口されており、該開口部に各々通気端定木を取り付ければ、通気部の厚みを保持することができると共に、通気端定木には複数の貫通する空気流入孔10を設けることで、通気性も充分に確保することが出来る。
【0031】
次に、下地材部材1を平面状に連続敷設する木造住宅のモルタル塗り外壁形成方法について説明する。
下地材部材1の敷設は、例えば、木造住宅の外壁面下端から敷設する。しかし、この順番に限定されるものではない。
【0032】
下地材部材1の一枚目を敷設した後、二枚目の下地材部材1は、先に敷設した隣り合う下地材部材1の溝条リブ2及び端末溝条リブ4さらには小リブ5上に二枚目の下地材部材1の溝条リブ2及び端末溝条リブ4さらには小リブ5を上から重ね合わせて水平方向に敷設する。このように、本発明では溝条リブ2及び端末溝条リブ4さらには小リブ5の数か所が重ね合わさるものとなり、隣り合う下地材部材1の確実なつなぎ合わせができる。本発明の特徴の1つでもある。
【0033】
次いで、三枚目の下地材部材1も同様に、二枚目の下地材部材1の溝条リブ2及び端末溝条リブ4さらには小リブ5上に三枚目の下地材部材1の溝条リブ2及び端末溝条リブ4さらには小リブ5を上から重ね合わせて敷設する。これが繰り返えされて一段目が形成される。
【0034】
次に、二段目形成の際には、例えば、下地材部材1を縦半分、すなわち、溝条リブ2の長手方向長さの約半分となるよう切断し、該切断した通常の下地材部材1の半分の大きさの下地材部材1を二段目敷設の一枚目とする。
【0035】
そして、二枚目以降は切断しない通常の大きさの下地材部材1を、一段目の場合と同様、先に敷設した隣り合う下地材部材1の溝条リブ2及び端末溝条リブ4さらには小リブ5上に、隣り合う下地材部材1の溝条リブ2及び端末溝条リブ4さらには小リブ5を重ね合わせて敷設する。
【0036】
上記の敷設によれば、一段目における下地材部材1のつなぎ目と二段目における下地材部材1のつなぎ目が一直線上にならない、つなぎ目が交互になった千鳥張りとなる。
【0037】
一段目と二段目を千鳥張りではなく普通に敷設していった場合には、下地材部材1のつなぎ目は最大4枚分が重なることになる。
一方、前記のような千鳥張りに敷設をした場合には、下地材部材1のつなぎ目は最大で3枚分と枚数を減らすことができ、重ね部分の厚さを低減することができる。
【0038】
しかも、本発明で使用する下地材部材1の溝条リブ2の山高さは従来の山高さである4mm以下の3.6mmから2.6mmの範囲、好ましくは3mm程度であるので、3枚の重ね部分の厚みは4mmから7mm程度であり、この3枚重ねの個所にモルタルを塗ってもモルタル塗り厚の規定である15mmの塗り厚を充分にクリアできる。
【0039】
しかも、本発明による下地材部材1の溝条リブ2と溝条リブ2との間隔は60mmから90mmの間隔とし、好ましくは75mmの間隔としてあるため、網目部におけるモルタル塗布時の強度も充分に保持できる。すなわち、モルタル9を塗付けるときの鏝圧により内側にたわんでしまい、その内側にたわんだ分だけ通気部の通気スペースが狭くなってしまうとの不都合を起こさない。
【0040】
従来の山高さである4mmの下地材部材を使用すると、3枚の重ね部分の厚みは略6mmから8mm以上となり、表面の凸凹をなくしてフラットな面にするためには、モルタル塗り厚は20mm以上の塗り厚にしなければならない。すると、薄いモルタル塗り厚を求めても、全体の外壁面で少なくとも20mm以上の塗り厚にしなくてはならず、施工スピードが遅くなると共に施工コストが高くなってしまう不都合がある。
【0041】
図4を参照すると、符号14は下地材部材1が2枚重ねとなっている部分である。符号15は下地材部材1が最も多く重なっている部分であり、3枚重ねとなっている。
【0042】
前述したように、下地材部材1における溝条リブ2及び端末溝条リブ4の山高さを4mmより低い高さとし、具体的には4mm以下の3.6mmから2.6mmの範囲、好ましくは3mmの山高さにし、重ね部分の厚さを極力減らすことで、モルタル9を該下地材部材1に塗布した際に、モルタル9の塗りつけ厚さを低減できるものとなる。しかも重ね部分からのクラック防止を図ることもできる。
さらに、余分な材料を使用するなど無駄をなくすことが出来、ひいてはモルタル壁面の軽量化も図ることができる。
【0043】
また、前記の通り、下地材部材1の連続敷設は、特に2枚重ねの場合は、下地材部材1の溝条リブ2及び端末溝条リブ4さらには小リブ5同士を重ね合わせて行うため、該溝条リブ2及び端末溝条リブ4さらには小リブ5が敷設の目印となり、敷設に際して高度な技術は必要なく、容易に行えるとの効果も期待できる。
【符号の説明】
【0044】
1 下地材部材
2 溝条リブ
3 網目部
4 端末溝条リブ
5 小リブ
6 防水シート
7 構造躯体
8 間柱
9 モルタル
10 空気流入孔
14 下地材部材2枚重ねの個所
15 下地材部材3枚重ねの個所
【要約】
【課題】本件発明は、下地材部材であるリブラスの山高さを4mmより1mm程度低くすることで、リブラスのジョイント部における、特に3枚重ねの個所での下地部分が盛り上がるのを抑えることができ、全体的なモルタルの塗り厚を薄塗り状態で仕上げることができる住宅の外壁軽量モルタル薄塗仕上げ工法を提供する。
【解決手段】本発明は、水平方向に延びる溝条リブ2が間隔をあけて複数設けられ、前記溝条リブ2間には網目部3が形成されたラス材と、該ラス材の一面側に貼着された防水シート6とを有し、前記ラス材の溝条リブ2と溝条リブ2との間隔は60mmから90mmの間隔とし、リブの山高さを4mmより低い高さとし、端末溝条リブ4は、リブ外側端部から延出するフック状折り曲げ小リブ5を設けて形成されたモルタル塗り外壁形成用の下地部材を複数使用してなることを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4