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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】アセスルファムカリウムを含有する飲料
(51)【国際特許分類】
   C12G 3/00 20190101AFI20220117BHJP
   A23L 2/60 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
C12G3/00
A23L2/00 C
A23L2/60
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2016213187
(22)【出願日】2016-10-31
(65)【公開番号】P2017216991
(43)【公開日】2017-12-14
【審査請求日】2019-04-05
(31)【優先権主張番号】P 2016112291
(32)【優先日】2016-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】藤原 康子
(72)【発明者】
【氏名】松本 雄大
【審査官】澤田 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-135837(JP,A)
【文献】特開2010-279349(JP,A)
【文献】特開2016-123317(JP,A)
【文献】特開2016-127812(JP,A)
【文献】特開2016-013115(JP,A)
【文献】Lime Flavour Alcoholic Drink(Topvalu Strong Chu-Hi Lime), Mintel GNPD [online],記録番号(ID#) 4090865,2016年6月,[retrieved on 2021.06.22],Retrieved from the Internet,URL<https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/4090865>
【文献】北海道立消費センター,アルコール分は不検出、合成甘味料は基準値内~ノンアルコール飲料の品質~,きらめっく,2014年,No.83,pp.6-7
【文献】香川芳子 監修,七訂食品成分表2016資料編,初版,第1刷,2016年04月01日,pp. 344-347, 362-363, 366-369
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L,C12C,C12G,C12H
Mintel GNPD,Google
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコール飲料又はアルコールテイスト飲料であって、
アセスルファムカリウムの含有量(A)が0.005~0.60g/Lであり、
単糖類、二糖類及びオリゴ糖の含有量の合計(B)が1.0~6.0g/Lであり、
スクラロースの含有量が0~0.0009g/Lであり、
アスパルテームの含有量が0~0.0015g/Lであり、
ステビアの含有量が、総ステビオサイドの量として0~0.0015g/Lであり、そし

イソα酸の含有量の合計が0~0.0001g/Lである、
前記飲料。
【請求項2】
B/Aが、重量比で0.02~200である、請求項1に記載の飲料。
【請求項3】
総酸がクエン酸換算で0.2~10g/Lである、請求項1又は2に記載の飲料。
【請求項4】
ショ糖換算で甘味度が0.5~160g/Lである、請求項1~3のいずれか1項に記
載の飲料。
【請求項5】
甘味度/総酸が0.8~400である、請求項1~4のいずれか1項に記載の飲料。
【請求項6】
さらに炭酸を含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の飲料。
【請求項7】
アルコールを含有し、アルコール含有量が0.5~12.0v/v%である、請求項1
~6のいずれか1項に記載の飲料。
【請求項8】
チューハイ、チューハイテイスト飲料、カクテル、又はノンアルコールカクテルである
、請求項1~7のいずれか1項に記載の飲料。
【請求項9】
アルコール飲料又はアルコールテイスト飲料の製造方法であって、
当該飲料中のアセスルファムカリウムの含有量(A)を0.005~0.60g/Lに調
整する工程、及び
当該飲料中の単糖類、二糖類及びオリゴ糖の含有量の合計(B)を1.0~6.0g/L
に調整する工程、
を含み、
当該飲料中のスクラロースの含有量が0~0.0009g/Lであり、
当該飲料中のアスパルテームの含有量が0~0.0015g/Lであり、
当該飲料中のステビアの含有量が、総ステビオサイドの量として0~0.0015g/L
であり、そして
当該飲料中のイソα酸の含有量の合計が0~0.0001g/Lである、
前記製造方法。
【請求項10】
アセスルファムカリウムを含有するアルコール飲料又はアルコールテイスト飲料の甘味
の嗜好性を改善する、及び/又は当該飲料の酒らしさを向上させる方法であって、
当該飲料中のアセスルファムカリウムの含有量(A)を0.005~0.60g/Lに調
整する工程、及び
当該飲料中の単糖類、二糖類及びオリゴ糖の含有量の合計(B)を1.0~6.0g/L
に調整する工程、
を含み、
当該飲料中のスクラロースの含有量が0~0.0009g/Lであり、
当該飲料中のアスパルテームの含有量が0~0.0015g/Lであり、
当該飲料中のステビアの含有量が、総ステビオサイドの量として0~0.0015g/L
であり、そして
当該飲料中のイソα酸の含有量の合計が0~0.0001g/Lである、
前記方法。
【請求項11】
オリゴ糖を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アセスルファムカリウムを含有するアルコール飲料又はアルコールテイスト
飲料、その製造方法、及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チューハイ(酎ハイ)はもともとは焼酎ハイボールの略称である。現在ではその定義は様々であるが、一般的には、蒸留酒を別の飲料で割ったアルコール飲料を意味する。チューハイは、酒感、甘味、酸味、フルーツ感のバランスがとれたすっきりとした味わいを特徴とし、カクテルは、ベースとなる酒に果汁等を混ぜて作るアルコール飲料であり、共に広く受け入れられている。
【0003】
近年では、消費者の健康志向の高まりに伴い、或いは道路交通法上の飲酒運転の罰則の
強化により、様々なタイプのノンアルコール飲料に対する需要も高まっている。例えば、
チューハイやカクテルに味を似せたノンアルコール飲料は、それぞれチューハイテイスト
飲料、ノンアルコールカクテルと呼ばれ、或いは総称として、アルコールテイスト飲料と
も呼ばれる。
【0004】
チューハイ、カクテル、アルコールテイスト飲料における重要な香味としては、甘味、
酸味、苦味、アルコール感、炭酸感などが挙げられるが、再度味わいたいと感じるかどう
かの観点を取り入れて甘味の質を評価するという研究は、行われてこなかった。これまで
の飲料中の高甘味度甘味料に関する知見は、カロリー低減効果や後味に関するものがほと
んどであった。しかし、甘味の質が飲料の再度味わいたいと感じさせる味に及ぼす効果が明らかになれば、おいしい飲料の設計が容易になる。
【0005】
高甘味度甘味料であるアセスルファムカリウムは、ショ糖と異なり少量のカロリーしか
有さないため、飲食品のカロリーを抑制する目的で広く用いられている。アセスルファム
カリウムは、甘味の発現が早く、甘味が後に引かないことを特徴とするが、それだけでは
味わいとして不十分であるという問題がある。それらを解決するために、他の甘味料と併
用することが非特許文献1で報告されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】月刊フードケミカル(食品化学新聞社)16(5)、23-29,2000-05
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題の一つは、アセスルファムカリウムを含有する飲料の甘味の質を改善する
ことである。言い換えると、摂取者が再度味わいたくなる甘味の性質、即ち優れた甘味の
嗜好性を有する、アセスルファムカリウム含有飲料を提供することである。「嗜好性」と
は、その飲料に対する摂取者の香りや味わいの好みに基づいた飲料傾向で、1回飲用後に
再度味わいたくなる性質のことを言う。
【0008】
本発明の別の課題は、アセスルファムカリウム含有飲料の、酒感のあるおいしさ、即ち
酒らしさを向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意検討した結果、アセスルファムカリウムを、ごく少量の単糖類、二
糖類、又はオリゴ糖と組み合わせると、アセスルファムカリウムの甘味の質、特に嗜好性
を改善することができることを見出した。また、そのような組み合わせを含有する飲料は
、優れた酒らしさを有していた。
【0010】
本発明は、以下のものに関するが、これらに限定されない。
1.アルコール飲料又はアルコールテイスト飲料であって、
アセスルファムカリウムの含有量(A)が0.005~0.60g/Lであり、そして
単糖類、二糖類及びオリゴ糖の含有量の合計(B)が0.01~32g/Lである、
前記飲料。
2.単糖類、二糖類及びオリゴ糖の含有量の合計(B)が0.5~6.0g/Lである、
1に記載の飲料。
3.スクラロースの含有量が0~0.0009g/Lである、1又は2に記載の飲料。
4.B/Aが、重量比で0.02~200である、1~3のいずれか1項に記載の飲料。
5.総酸がクエン酸換算で0.2~10g/Lである、1~4のいずれか1項に記載の飲
料。
6.ショ糖換算で甘味度が0.5~160g/Lである、1~5のいずれか1項に記載の
飲料。
7.甘味度/総酸が0.8~400である、1~6のいずれか1項に記載の飲料。
8.さらに炭酸を含有する、1~7のいずれか1項に記載の飲料。
9.アルコールを含有し、アルコール含有量が0.5~12.0v/v%である、1~8
のいずれか1項に記載の飲料。
10.チューハイ、チューハイテイスト飲料、カクテル、又はノンアルコールカクテルで
ある、1~9のいずれか1項に記載の飲料。
11.イソα酸の含有量が0~0.0001g/Lである、1~10のいずれか1項に記
載の飲料。
12.アルコール飲料又はアルコールテイスト飲料の製造方法であって、
当該飲料中のアセスルファムカリウムの含有量(A)を0.005~0.60g/Lに調
整する工程、及び
当該飲料中の単糖類、二糖類及びオリゴ糖の含有量の合計(B)を0.01~32g/L
に調整する工程、
を含む、前記製造方法。
13.アセスルファムカリウムを含有するアルコール飲料又はアルコールテイスト飲料の
甘味の嗜好性を改善する、及び/又は当該飲料の酒らしさを向上させる方法であって、
当該飲料中のアセスルファムカリウムの含有量(A)を0.005~0.60g/Lに調
整する工程、及び
当該飲料中の単糖類、二糖類及びオリゴ糖の含有量の合計(B)を0.01~32g/L
に調整する工程、
を含む、前記方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、アセスルファムカリウムを含有する飲料の甘味の質を改善することができる

また、本発明の飲料は、摂取者に、再度味わいたいと感じさせるという性質、即ち優れ
た嗜好性を有する。したがって、本発明は、優れた甘味と共に優れた嗜好性を有する、こ
れまでにないタイプの甘味を有する飲料を提供することができる。
【0012】
また、本発明の飲料は、優れた酒らしい味わい、即ち酒らしさを有する。ここで、酒ら
しい味わいとは、アルコール飲料を飲んだ時に感じる酒類特有の甘味、苦味、複雑味、重
量感および刺激感などによって構成される複合的な味わいを意味する。典型的には、チュ
ーハイやカクテルに特有の味を意味する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の飲料、及び関連する方法について、以下に説明する。
(アセスルファムカリウム)
本発明の飲料はアセスルファムカリウムを含有し、アセスルファムカリウムの含有量(
A)は、0.005~0.60g/L、好ましくは0.05~0.40g/L、より好ま
しくは0.10~0.30g/Lである。アセスルファムカリウムの含有量が0.005
g/Lより低いと飲料の甘味が不十分となることがあり、当該含有量が0.60g/Lよ
り高いと、甘味が強くなりすぎることがある。
【0014】
アセスルファムカリウムの含有量の測定方法は特に限定されないが、例えばHPLCを
用いることができる。
(単糖類、二糖類、オリゴ糖)
本発明の飲料は、単糖類、二糖類、及びオリゴ糖からなる群から選択される少なくも一
種の糖を含有し、それらの含有量の合計(B)が0.01~32g/L、好ましくは0.
01~30g/L、より好ましくは0.5~6.0g/L、より好ましくは1.0~6.
0g/Lである。
【0015】
本明細書における「単糖類」とは、当該技術分野で用いられる通常の意味を有する。本
発明に用いられる単糖類には、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース等が含まれるが、これらに限定されない。好ましい単糖類は、グルコース、フルクトース
である。本発明の飲料には、これらの単糖類のいずれか一種類だけが含まれていてもよい
し、二種類以上が含まれていてもよい。
【0016】
本明細書における「二糖類」との用語は、2分子の単糖がグリコシド結合した糖類を意
味する。本発明に用いられる二糖類には、マルトース、ラクトース、スクロース、トレハ
ロース、セロビオース等が含まれるが、これらに限定されない。好ましい二糖類は、マル
トース、ラクトース、及びスクロースである。本発明の飲料には、これらの二糖類のいず
れか一種類だけが含まれていてもよいし、二種類以上が含まれていてもよい。
【0017】
本明細書における「オリゴ糖」との用語は、3~10分子、好ましくは3~7分子の単
糖がグリコシド結合した糖類を意味する。本発明に用いられるオリゴ糖には、キシロオリ
ゴ糖(キシロトリオース、キシロテトラオース、キシロペンタオース、キシロヘキサオー
ス、キシロヘプタオース等)、マルトオリゴ糖(マルトトリオース、マルトテトラオース
、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、およびマルトヘプタオース等)のようなグ
ルコオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖(ニゲロトリオース、ニゲロテトラオース、ニゲロペンタ
オース、ニゲロヘキサオース、ニゲロヘプタオース等)などが含まれるが、これらに限定
されない。好ましいオリゴ糖は、キシロオリゴ糖、マルトオリゴ糖、グルコオリゴ糖など
である。本発明の飲料には、一種類のオリゴ糖だけが含まれていてもよいし、二種以上の
オリゴ糖が含まれていてもよい。複数種類のオリゴ糖の混合物が市販されており、それら
を利用することもできる。例として、直鎖オリゴ糖とマルトオリゴ糖を含有する、株式会
社林原製「テトラップ」を挙げることができる。
【0018】
好ましい態様において、前記の単糖類、二糖類、およびオリゴ糖は、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、マルトース、ラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオース、グルコオリゴ糖(好ましくは、キシロオリゴ糖(より好ましくは、キシロトリオース、キシロテトラオース、キシロペンタオース、キシロヘキサオース、キシロヘプタオース)、マルトオリゴ糖(より好ましくは、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、およびマルトヘプタオース、より好ましくは、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、およびマルトヘプタオース)、ニゲロオリゴ糖(好ましくはニゲロトリオース、ニゲロテトラオース、ニゲロペンタオース、ニゲロヘキサオース、およびニゲロヘプタオース)からなる群から選択される。特に、グルコース、フルクトース、およびスクロースが好ましい。
前記単糖類、二糖類、およびオリゴ糖が上記の特定のものに限定される場合、それらの含有量の合計(B)は、上記したとおりである。さらに、好ましくは、上記の好ましい特定の単糖類、二糖類、およびオリゴ糖と、それ以外の単糖類、二糖類、およびオリゴ糖の含有量の合計は、好ましくは、32g/L以下、好ましくは30g/L以下、より好ましくは6.0g/L以下である。
【0019】
本発明の一つの態様では、本発明の飲料におけるぶどう糖(グルコース)と果糖(フル
クトース)との重量比は、10:0~0:10である。
単糖類、二糖類、オリゴ糖の含有量の測定方法は特に限定されないが、例えばHPLC
を用いることができる。
【0020】
好ましい態様において、本発明の飲料は、液糖、砂糖、及びオリゴ糖からなる群から選択される少なくとも一種を含有し、当該液糖に由来する糖、当該砂糖に由来するスクロース、及びオリゴ糖の総含有量が、飲料に含まれる単糖類、二糖類、及びオリゴ糖の合計含有量の90重量%以上、より好ましくは95重量%、より好ましくは98重量%以上である。別の好ましい態様において、本発明の飲料は、液糖及び/又は砂糖を含有し、当該液糖に由来する糖、及び当該砂糖に由来するスクロースの総含有量が、飲料に含まれる単糖類、二糖類、及びオリゴ糖の合計含有量の90重量%以上、より好ましくは95重量%、より好ましくは98重量%以上である。ここで、本明細書における「液糖」とは、ブドウ糖果糖液糖、果糖ブドウ糖液糖、高果糖液糖、及び砂糖混合異性化液糖のことをいう。
【0021】
なお、液糖及び/又は砂糖が、トウモロコシ、雑穀類、サトウキビなどのC植物(C型光合成をおこなう植物)に由来する場合、C植物はC植物(C型光合成をおこなう植物)と比較して高い割合で13Cを取り込むことが知られているため、飲料中の液糖や砂糖に由来する糖の総含有量を測定するためには、飲料中の炭素同位体比を分析すればよい。したがって、前記の液糖および/又は砂糖は、C植物由来のものであってもよい。一方、ビートなどのC植物に由来する液糖や砂糖に関しては、果汁や果汁飲料中の含有量を測定する方法が確立されている。実際の分析は、例えば株式会社同位体研究所に依頼することもできる。
【0022】
上記のような、液糖、砂糖、及びオリゴ糖を高い比率で含有する飲料には、以下のようなメリットがある。
まず、液糖、砂糖、及びオリゴ糖を使用しない場合、アルコール飲料やアルコールテイスト飲料を製造するには、他の糖類の供給源を使用する必要がある。その場合、典型的には、果汁を用いる。しかしながら、果汁は原料の品種、産地や収穫時期によって含有成分濃度に幅がある。そのため、アセスルファムカリウム含有量に対して適切な量の糖類を含ませるために果汁を用いると、あらかじめ果汁中の糖類濃度を測定し、その配合量を算出しなければならず、中味配合を決めたり、製造したりする際の作業が非常に煩雑となり、安定した品質の飲料を作ることが難しい。また、例えそのようにしたとしても、糖類以外の成分(有機酸、無機酸、アミノ酸、ビタミン類など)とその濃度が品種、産地や収穫時期などによって異なるため、製造される飲料の香味特徴に大きく影響してしまい、目指した香味品質を安定的に達成することが困難となる。一方、液糖、砂糖、及びオリゴ糖を高い比率で含有する飲料には、そのような問題がない。
【0023】
さらに、液糖、砂糖、及びオリゴ糖を高い比率で含有する飲料には、コストの面でもメリットがある。果汁は高価である一方、液糖や砂糖、特に液糖は安価である。
このように、本発明の一態様では、糖類の供給源を果汁以外に求めることが好ましい。したがって、本発明の一態様では、飲料に含有される、果汁に由来する単糖類、二糖類、及びオリゴ糖の合計含有量が、0.01g/L未満である。
【0024】
本発明の飲料において、アセスルファムカリウムの含有量(A)に対する単糖類、二糖
類、及びオリゴ糖の含有量の合計(B)の比、即ちB/Aは、好ましくは0.02~20
0、より好ましくは0.02~120、より好ましくは0.02~100、より好ましく
は1.5~65、より好ましくは1.7~60、より好ましくは8~60である。
【0025】
(総酸)
本発明の飲料における総酸は、クエン酸換算で好ましくは0.2~10g/L、より好
ましくは0.7~7.0g/L、より好ましくは1.0~5.0g/Lである。総酸が前
記の範囲にあると、甘味、嗜好性の点で優れているだけでなく、酒らしさの観点からより
好ましい飲料が得られる。
【0026】
本明細書における「総酸」とは、飲料中の酸が全て一価の酸であると仮定して、その酸
の総モル濃度をクエン酸量に換算した値を指す。試料となる飲料中の酸の総モル濃度は、
滴定などの公知の方法で測定することができ、例えば、試料が中性(pH7.0)となる
までに要した水酸化ナトリウムの添加量から算出することができる。詳しくは、試料20
mLをホールピペットで100mLのビーカーに分取し、蒸留水を加えて液量を約50m
Lとし、当該液中にpHメーターの電極を挿入する。その後、当該液を撹拌しながら1/
10N水酸化ナトリウム溶液をビュレットから滴下し、pHメーターの目盛りが7.0を
示すところを終点とする。そして、終点に達するまでに要した水酸化ナトリウム溶液量か
ら、試料中の酸の総モル濃度を求める。さらに、得られた酸の総モル濃度とクエン酸(確
認のために記載するが、ここでは、遊離のクエン酸を意味する)の分子量及びカルボン酸
の数を考慮して、以下の式に基づき試料中の総酸を算出する:総酸=試料中の酸の総モル濃度×(クエン酸の分子量/クエン酸のカルボン酸の数)。なお、滴定には自動滴定装置を用いてもよい。
【0027】
本発明の飲料が含有する酸の典型的な例は、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、リン酸、酒石
酸などである。特に、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸が好ましい。
本発明の飲料において、アセスルファムカリウムの含有量(A)に対する総酸の比は、
好ましくは2~600である。
【0028】
本発明の飲料において、総酸に対する単糖類、二糖類、及びオリゴ糖の含有量の合計(
B)の比は、好ましくは0.0033~10である。また、総酸に対する単糖類の総量の
比は、好ましくは0.0033~10である。
【0029】
(甘味度)
本発明の飲料の甘味度は、ショ糖換算で好ましくは0.5~160g/L、より好まし
くは1.0~160g/L、より好ましくは2.3~141g/L、より好ましくは20~130g/L、より好ましくは21~61g/Lである。飲料の甘味度は、当該飲料に含まれる各甘味成分の量(重量濃度)を、ショ糖の甘味1に対する当該甘味成分の甘味の相対比に基づいて、ショ糖の相当量に換算して、次いで当該飲料に含まれる全ての甘味成分のショ糖甘味換算量(果汁等由来の甘味成分も含む)を総計することによって求めることができる。なお、ショ糖の甘味1に対する各種甘味成分の甘味の相対比は、公知の砂糖甘味換算表(例えば、ビバレッジジャパン社「飲料用語辞典」資料11頁)等から求めることができる。
【0030】
本発明の飲料において、甘味度/総酸は、好ましくは0.8~400、0.8~107
、より好ましくは0.8~70である。
(アルコール飲料、アルコールテイスト飲料)
本発明の飲料は、アルコールを含有する飲料、即ちアルコール飲料でもよい。本明細書
に記載の「アルコール」との用語は、特に断らない限りエタノールを意味する。
【0031】
アルコール飲料の種類は特に限定されないが、好ましくは、チューハイ(酎ハイ)、カ
クテル、サワーなどである。
アルコールはどのような手段で飲料に含有させてもよく、本発明の飲料は蒸留酒又は醸
造酒を含有することができ、好ましくは蒸留酒を含有する。蒸留酒は、その原料や製造方
法によって限定されない。当該蒸留酒としては、例えば、スピリッツ(例えば、ウオッカ
、ラム、テキーラ、ジン、アクアビット、コルン)、ニュートラルスピリッツ、リキュー
ル類、ウイスキー類(例えば、ウイスキー及びブランデー)、焼酎が挙げられる。
【0032】
本発明の飲料のアルコール含有量は、好ましくは0.5~12.0v/v%であり、よ
り好ましくは1.5~10.5v/v%、より好ましくは3.0~10.0v/v%であ
る。アルコール含有量が前記の範囲にあると、アルコール飲料として好ましい味わいが強
くなる。
【0033】
本明細書においては、飲料のアルコール含有量は、公知のいずれの方法によっても測定
することができるが、例えば、振動式密度計によって測定することができる。具体的には
、飲料から濾過又は超音波によって炭酸ガスを抜いた試料を調製し、そして、その試料を
直火蒸留し、得られた留液の15℃における密度を測定し、国税庁所定分析法(平19国
税庁訓令第6号、平成19年6月22日改訂)の付表である「第2表 アルコール分と密
度(15℃)及び比重(15/15℃)換算表」を用いて換算して求めることができる。
【0034】
また、本発明の飲料は、アルコールテイスト飲料であってもよい。本明細書において用
いられる「アルコールテイスト飲料」との用語は、アルコールを含有しないか又はアルコ
ール含有量が極めて低い(典型的には、四捨五入するとアルコール含有量が0.00%、
好ましくは0.00%である)飲料であって、アルコール飲料に似た味を有する飲料を意
味する。本発明におけるアルコールテイスト飲料としては、チューハイテイスト飲料、ノ
ンアルコールカクテルなどが例示されるが、これらに限定されない。ここで、チューハイ
テイスト飲料やノンアルコールカクテルとは、アルコール度数0%でありながらモデルと
なったチューハイやカクテルのような甘味、厚み、および若干の苦味を含む「酒らしい味
わい」を実現させた飲料のことを指す。
【0035】
(炭酸ガス)
本発明の飲料は、炭酸ガスを含んでもよい。炭酸ガスは、当業者に通常知られる方法を
用いて飲料に付与することができ、例えば、これらに限定されないが、二酸化炭素を加圧
下で飲料に溶解させてもよいし、ツーヘンハーゲン社のカーボネーター等のミキサーを用
いて配管中で二酸化炭素と飲料とを混合してもよいし、また、二酸化炭素が充満したタン
ク中に飲料を噴霧することにより二酸化炭素を飲料に吸収させてもよいし、飲料と炭酸水
とを混合してもよい。これらの手段を適宜用いて炭酸ガス圧を調節する。
【0036】
本発明の飲料が炭酸ガスを含有する場合、その炭酸ガス圧は、特に限定されないが、好
ましくは0.7~3.5kgf/cm、より好ましくは0.8~2.8kgf/cm
である。本発明において、炭酸ガス圧は、京都電子工業製ガスボリューム測定装置GVA
-500Aを用いて測定することができる。例えば、試料温度を20℃にし、前記ガスボ
リューム測定装置において容器内空気中のガス抜き(スニフト)、振とう後、炭酸ガス圧
を測定する。本明細書においては、特に断りがない限り、炭酸ガス圧は、20℃における
炭酸ガス圧を意味する。
【0037】
(果汁又は野菜汁)
本発明の飲料は、果汁及び/又は野菜汁を含有してもよい。果汁は、果実を搾汁して得
られる果汁をそのまま使用するストレート果汁、あるいは濃縮した濃縮果汁のいずれの形
態であってもよい。また、透明果汁、混濁果汁を使用することもでき、果実の外皮を含む
全果を破砕し種子など特に粗剛な固形物のみを除いた全果果汁、果実を裏ごしした果実ピ
ューレ、或いは、乾燥果実の果肉を破砕もしくは抽出した果汁を用いることもできる。野
菜汁も、上記の果汁と同様の形態で用いることができる。
【0038】
果汁の種類は、特に限定されないが、例えば、柑橘類(オレンジ、うんしゅうみかん、
グレープフルーツ、レモン、ライム、柚子、いよかん、なつみかん、はっさく、ポンカン
、シイクワシャー、かぼす等)、仁果類(りんご、なし、など)、核果類(もも、梅、ア
ンズ、スモモ、さくらんぼ、など)、しょうか類(ブドウ、カシス、ブルーベリー、など
)、熱帯、亜熱帯性果実類(パイナップル、グアバ、バナナ、マンゴー、ライチ、など)
、果実的野菜(いちご、メロン、スイカ、など)の果汁が挙げられる。これらの果汁は、
1種類を単独使用しても、2種類以上を併用してもよい。また、野菜汁の種類は、例えば
、トマト汁、コーン汁、かぼちゃ汁、ニンジン汁等が挙げられ、野菜汁は、1種類を単独
使用しても、2種類以上を併用してもよい。また、果汁と野菜汁を組み合わせてもよい。
【0039】
本発明の飲料における果汁の含有量は、特に限定されないが、典型的には、果汁率に換
算して0~100w/w%、又は10w/w%未満である。
本発明では、飲料中の「果汁率」を飲料100g中に配合される果汁配合量(g)を用
いて下記換算式によって計算することとする。また濃縮倍率を算出する際はJAS規格に
準ずるものとし、果汁に加えられた糖質、はちみつ等の糖用屈折計示度を除くものとする
【0040】
果汁率(w/w%)=<果汁配合量(g)>×<濃縮倍率>/100mL/<飲料の比重>×100
本発明の飲料における野菜汁の含有量は、特に限定されないが、典型的には、0~10
0w/w%、又は10w/w%未満である。ここで、野菜汁の含有量は、上記の果汁率に
換算した果汁の含有量に準じて求める。
【0041】
(他の成分)
本発明における飲料には、他にも、本発明の効果を損なわない限り、飲料に通常配合す
る添加剤、例えば、香料、ビタミン、色素類、酸化防止剤、保存料、調味料、エキス類、
pH調整剤、品質安定剤等を配合することができる。ただし、スクラロース、アスパルテ
ーム、ステビア、イソα酸は好ましくない。なぜなら、これらの成分は、本発明の飲料における甘味の質や嗜好性を低下させ、又はアルコール飲料又はアルコールテイスト飲料として好ましい味を低下させるからである。
【0042】
本発明の飲料において、スクラロースの含有量は、好ましくは0~0.0009g/L
、より好ましくは0~0.0005g/L、より好ましくは0~0.0003g/Lであ
る。
【0043】
本発明の飲料において、アスパルテームの含有量は、好ましくは0~0.0015g/
L、より好ましくは0~0.0013g/L、より好ましくは0~0.0010g/Lで
ある。
【0044】
本発明の飲料におけるステビアの含有量は、総ステビオサイドの量として、好ましくは
0~0.0015g/L、より好ましくは0~0.0013g/L、より好ましくは0~
0.0010g/Lである。本発明でいうステビアとは、ステビア(Stevia rebaudiana
Bertoni)の葉から得られる甘味料であって、ステビオサイド、レバウディオシド(レバ
ウディオシドA、レバウディオシドB、レバウディオシドC、レバウディオシドD、レバ
ウディオシドD2、レバウディオシドE、レバウディオシドF、レバウディオシドG、レ
バウディオシドH、レバウディオシドI、レバウディオシドJ、レバウディオシドK、レ
バウディオシドL、レバウディオシドM、レバウディオシドM2、レバウディオシドN、
レバウディオシドOを含む)、及びズルコシドA及びズルコシドB等の甘味成分を少なく
とも1種含むものをいう。本発明でいう総ステビオサイドの量は、それらの甘味成分の総
量を意味する。
【0045】
本発明の飲料において、イソα酸の含有量の合計は、好ましくは0~0.0001g/L、より好ましくは0~0.00008g/L、より好ましくは0~0.00005g/Lである。ここでいうイソα酸は、イソフムロン、イソコフムロン、イソアドフムロンを意味する。イソα酸は、ビールなどのビールテイスト飲料に含まれている成分である。
【0046】
スクラロース、アスパルテーム、ステビア、イソα酸の含有量の分析方法は特に限定さ
れないが、例えばHPLC法を用いることができる。
(容器詰め飲料)
本発明の飲料は、容器詰めの形態で提供することができる。容器の形態には、缶等の金
属容器、ペットボトル、紙パック、瓶、パウチなどが含まれるが、これらに限定されない
。例えば、本発明の飲料を容器に充填した後にレトルト殺菌等の加熱殺菌を行う方法や、
飲料を殺菌して容器に充填する方法を通じて、殺菌された容器詰め製品を製造することが
できる。
【0047】
(方法)
本発明は、別の側面ではアルコール飲料又はアルコールテイスト飲料の製造方法である。当該方法は、当該飲料中のアセスルファムカリウムの含有量(A)を0.005~0.60g/Lに調整する工程、及び当該飲料中の単糖類、二糖類及びオリゴ糖の含有量の合計(B)を0.01~32g/Lに調整する工程を含む。
【0048】
飲料中のアセスルファムカリウム含有量、単糖類、二糖類、及びオリゴ糖の合計含有量
を調整する方法は、当該飲料に関する上の記載から自明である。そのタイミングも限定さ
れない。例えば、上記工程を同時に行ってもよいし、別々に行ってもよいし、工程の順番
を入れ替えてもよい。最終的に得られた飲料が、上記の条件を満たせばよい。また、それ
らの含有量の好ましい範囲は、飲料に関して上記した通りである。また、追加される他の
成分の具体例や量、甘味度、総酸、量比も、飲料に関して上記した通りである。
【0049】
本発明の製造方法は、アセスルファムカリウムを含有するアルコール飲料又はアルコー
ルテイスト飲料の甘味の質を改善する、及び/又は当該飲料の嗜好性を向上させることが
できる。従って、当該製造方法は、別の側面では、アセスルファムカリウムを含有するア
ルコール飲料又はアルコールテイスト飲料の甘味の質を改善する、及び/又は当該飲料の
嗜好性を向上させる方法である。
【0050】
(数値範囲)
明確化のために記載すると、本明細書において下限値と上限値によって表されている数
値範囲、即ち「下限値~上限値」は、それら下限値及び上限値を含む。例えば、「1~2
」により表される範囲は、1及び2を含む。
【実施例
【0051】
以下に実施例に基づいて本発明の説明をするが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
(試験例1)
アセスルファムカリウム、果糖、クエン酸(無水クエン酸)、アルコールの配合量を調
整して、炭酸ガス圧1.6kgf/cmの飲料(試料及び比較例)を製造した。アルコ
ール源となる材料は、原料用アルコール(アルコール含有量59%)であった。それらの
配合は表2A及び2Bに示すとおりである。
【0052】
得られた試料及び比較例について、訓練された専門パネル3名が官能評価を行った。具
体的には、甘味についての評価と、飲料のお酒としての総合評価を実施した。試験項目、
試験方法、評点を表1に示す。甘味については、それらの3名の評価結果の平均値を表2
A及び2Bに示した。「お酒としての総合評価」は酒らしさの評価であり、3名の平均値
を表1に示された基準に当てはめ、評価結果を決定し、表2A及び2Bに示した。表1の
後味については、ショ糖を用いた場合の評価を1.0点としている。これらの試験方法は
、特に断りがない限り他の試験例でも用いた。
【0053】
【表1】


【0054】
【表2A-1】


【0055】
【表2A-2】

【0056】
【表2B-1】
【0057】
【表2B-2】
【0058】
上記の表において、「糖/アセK」は、配合された糖の総量の、アセスルファムカリウ
ム量に対する比率を意味する。
表2A及び2Bに示されているとおり、アセスルファムカリウムと、ごく少ない特定量
の糖とを用いると、良好な結果が得られた。
【0059】
(試験例2)
アセスルファムカリウムの量について検討した。具体的には、以下の表に示されている
配合で、炭酸ガス圧1.6kgf/cmの飲料を製造し、官能評価試験をした。結果も
以下の表に示す。試験結果から明らかなとおり、特定量のアセスルファムカリウムを用い
ると良好な結果が得られた。
【0060】
【表3】
【0061】
(試験例3)
アセスルファムカリウムと糖以外の成分の影響を検討した。具体的には、以下の表に示
されている配合で、炭酸ガス圧1.6kgf/cmの飲料を製造し、官能評価試験をし
た。結果も以下の表に示す。試験結果から明らかなとおり、合成甘味料であるスクラロー
ス、アスパルテーム、ステビア、ビールの苦味成分であるイソα酸は、本発明の効果に悪影響を及ぼす。なお、イソα酸を含有する飲料を調製するために、三栄源FFI社製の香料製剤を用いた。当該香料組成物は、イソフムロン、イソコフムロン、及びイソアドフムロンを総量で1.5%含有し、飲料中のイソα酸の量が下記の表に示された値になるように添加した。使用したステビアは、レバウディオA9-90(守田化学工業株式会社)であった。下記の表に示された値は総ステビオサイドの量とみなすことができる。
【0062】
【表4-1】
【0063】
【表4-2】
【0064】
(試験例4)
クエン酸の代わりにリンゴ酸を用いて、試験例3と同様の試験をした。具体的には、以
下の表に示されている配合で、炭酸ガス圧1.6kgf/cmの飲料を製造し、官能評
価試験をした。結果も以下の表に示す。試験結果から明らかなとおり、クエン酸の代わり
にリンゴ酸を用いても結果に大きな違いはなかった。
【0065】
【表5】
【0066】
(試験例5)
アルコール含有量について検討した。具体的には、以下の表に示されている配合で、炭
酸ガス圧1.6kgf/cmの飲料を製造し、官能評価試験をした。結果も以下の表に
示す。試験結果から明らかなとおり、アルコール含有量が一定以上となるとお酒としての
総合評価だけでなく、甘味にも影響した。
【0067】
【表6-1】
【0068】
【表6-2】
【0069】
(試験例6)
酸の量について検討した。具体的には、以下の表に示されている配合で、炭酸ガス圧1
.6kgf/cmの飲料を製造し、官能評価試験をした。結果も以下の表に示す。試験
結果から明らかなとおり、酸の量が一定範囲にあると良好な結果が得られた。
【0070】
【表7】
【0071】
(試験例7)
複数の単糖類を用いて、効果を確認した。具体的には、以下の表に示されている配合で、炭酸ガス圧1.6kgf/cmの飲料を製造し、官能評価試験をした。結果も以下の表に示す。試験結果から明らかなとおり、複数の単糖類を用いても良好な結果が得られた。
【0072】
【表8-1】
【0073】
【表8-2】
【0074】
(試験例8)
種々の単糖類、二糖類及びオリゴ糖を用いて効果を確認した。具体的には、以下の表に
示されている配合で、炭酸ガス圧1.6kgf/cmの飲料を製造し、官能評価試験を
した。結果も以下の表に示す。試験結果から明らかなとおり、種々の単糖類、二糖類及び
オリゴ糖を用いた場合において、果糖を用いた場合と類似の傾向が認められた。なお、キ
シロオリゴ糖を含有する試料の調製には、重合度3~7のキシロオリゴ糖の混合物である
キシロオリゴ糖70L(物産フードサイエンス製)を用い、マルトオリゴ糖を含有する試
料の調製には、重合度3~7のマルトオリゴ糖の混合物であるフジオリゴ#450(日本
食品化工株式会社)を用い、ニゲロオリゴ糖を含有する試料の調製には、重合度3~7の
ニゲロオリゴ糖の混合物であるテイストオリゴ(日本食品化工株式会社)を用い、グリコ
オリゴ糖を含有する試料の調製には、重合度3~7のグルコオリゴ糖の混合物であるゲントース(日本食品化工株式会社)を用いた。
【0075】
【表9A】
【0076】
【表9B】
【0077】
【表9C】
【0078】
(試験例9)
単糖類、二糖類及びオリゴ糖から選択される複数のものを用いて効果を確認した。具体
的には、以下の表に示されている配合で、炭酸ガス圧1.6kgf/cmの飲料を製造
し、官能評価試験をした。結果も以下の表に示す。試験結果から明らかなとおり、複数の
糖を用いても良好な結果が得られた。
【0079】
【表10】
【0080】
(試験例10)
複数の二糖類及び/又はオリゴ糖を用いて、効果を確認した。具体的には、以下の表に
示されている配合で、炭酸ガス圧1.6kgf/cmの飲料を製造し、官能評価試験を
した。結果も以下の表に示す。試験結果から明らかなとおり、複数の糖を用いても、良好
な結果が得られた。
【0081】
【表11】
【0082】
(試験例11)
果汁の影響を検討した。具体的には、以下の表に示されている配合で、炭酸ガス圧1.
6kgf/cmの飲料を製造し、官能評価試験をした。結果も以下の表に示す。試験結
果から明らかなとおり、果汁の存在は、本発明の効果に大きな影響を与えなかった。なお
、表中の果汁量(ストレート)は、果汁率に相当する。
【0083】
【表12】

【0084】
(試験例12)
他の成分の影響を検討した。具体的には、以下の表に示されている配合で飲料を製造し
、官能評価試験をした。炭酸ガスを含有する場合、炭酸ガス圧は1.6kgf/cm
あった。結果も以下の表に示す。試験結果から明らかなとおり、炭酸、リモネン、レモン
香料の存在は、本発明の効果に大きな影響を与えなかった。
【0085】
【表13】