(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】搬送方法
(51)【国際特許分類】
B65G 54/02 20060101AFI20220117BHJP
H02K 41/03 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
B65G54/02
H02K41/03
(21)【出願番号】P 2017088918
(22)【出願日】2017-04-27
【審査請求日】2020-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391058381
【氏名又は名称】キリンビバレッジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】水川 憲二
(72)【発明者】
【氏名】上田 敦士
(72)【発明者】
【氏名】吉井 孝平
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-024665(JP,A)
【文献】特開2005-119796(JP,A)
【文献】特開平05-051087(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0026005(US,A1)
【文献】特開2006-111396(JP,A)
【文献】特開2002-284308(JP,A)
【文献】特開2016-056002(JP,A)
【文献】国際公開第2012/047153(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 54/02
H02K 41/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送可能な複数の可動子と、前記複数の可動子が個別に移動する搬送路とを有するリニアモータ式の搬送機構を使用する搬送方法であって、
前記搬送機構よりも上流から搬送される個々の前記物品について、前記搬送路における所定の受け渡し箇所の近傍から前記受け渡し箇所の直前に至るまでの間で、前記物品の搬送方向における大きさの範囲内で並ぶ少なくとも2つの位置においてそれぞれ、当該物品の特定の部位が到達したことを示す情報を取得するステップと、
前記情報に基づいて、当該情報が取得されて前記受け渡し箇所に到達する前記物品と同期するように前記可動子を移動させるステップと、
前記受け渡し箇所に到達した前記物品を前記可動子に受け取るステップと、を備え
、
さらに、
前記受け渡し箇所の前記近傍よりも上流の位置に、前記物品の前記特定の部位が到達したことを示す情報を取得するステップと、
前記少なくとも2つの位置にそれぞれ、前記特定の部位が到達したことを示す情報が取得されるよりも前から、前記可動子を加速させるステップと、を備える、
ことを特徴とする搬送方法。
【請求項2】
物品を搬送可能な複数の可動子と、前記複数の可動子が個別に移動する搬送路とを有するリニアモータ式の搬送機構を使用する搬送方法であって、
前記搬送機構よりも上流から搬送される個々の前記物品について、前記搬送路における所定の受け渡し箇所の近傍から前記受け渡し箇所の直前に至るまでの間で、前記物品の搬送方向における大きさの範囲内で並ぶ少なくとも2つの位置においてそれぞれ、当該物品の特定の部位が到達したことを示す情報を取得するステップと、
前記情報に基づいて、当該情報が取得されて前記受け渡し箇所に到達する前記物品と同期するように前記可動子を移動させるステップと、
前記受け渡し箇所に到達した前記物品を前記可動子に受け取るステップと、
前記可動子により前記物品を搬送するステップと、
前記可動子から、前記搬送路と交差する配列方向へと前記物品を貯留部に移載するステップと、
前記貯留部に移載された前記物品を後続の前記物品に対して前記配列方向へと退避させつつ、前記配列方向に前記物品を並べて貯留するステップと、
前記貯留部から、前記物品を前記可動子に移載するステップと、
前記可動子から下流へと前記物品を排出するステップと、を備える、
ことを特徴とする搬送方法。
【請求項3】
前記受け渡し箇所の前記近傍よりも上流の位置に、前記物品の前記特定の部位が到達したことを示す情報を取得するステップと、
前記少なくとも2つの位置にそれぞれ、前記特定の部位が到達したことを示す情報が取得されるよりも前から、前記可動子を加速させるステップと、を備える、
請求項2に記載の搬送方法。
【請求項4】
前記可動子は、前記物品としてのボトルの首部を把持する、
請求項1
から3のいずれか一項に記載の搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアモータ式の搬送機構を利用した搬送方法および搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品を個別に移動可能なリニアモータ式の移動装置が知られている(特許文献1,2)。
特許文献2によれば、第1搬送部から第2搬送部へと飲料製品の容器を受け渡すために、リニアモータ式の移動装置を使用することが記載されている。
この移動装置は、複数の物品(容器)保持部と、循環経路と、物品保持部に設けられる永久磁石と、循環経路に配置される電磁コイルと、各物品保持部の移動を制御する制御装置と、第1搬送部により搬送される物品に係る位置検出部とを備えている。制御装置は、位置検出部からの信号により物品の存在が確認された際には、物品保持部の移動を第1搬送部の移動に同期させて物品保持部により物品を保持させ、さらに、物品保持部の移動を第2搬送部の移動に同期させて第2搬送部に物品を渡させる。
【0003】
また、コンベヤからスターホイルへの移載に際し、コンベヤで搬送される物品(容器)と係合可能な係合手段によって、スターホイルの回転と同期して物品を供給することも知られている(特許文献3)。リニアモータにより複数の係合手段が循環経路を走行するようになっている。係合手段は、コンベヤ上に突出し、物品の位置を規制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2016-531058号公報
【文献】特開2014-24665号公報
【文献】特開2013-155028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2には、リニアモータ式移動装置に備わる制御装置により、物品保持部の移動を第1搬送部や第2搬送部に同期させて物品を受け渡すことができると記載されている。しかしながら、同期させるための具体的な手法は開示されていない。
特許文献3のように係合手段により物品の位置を規制すると、係合手段により制動される物品と、物品を支持するコンベヤとの滑りが生じて物品が傷つく可能性がある。また、滑りが生じるため、物品を正確に位置出しできない可能性もある。
【0006】
本発明は、物品と搬送部等との同期や、物品の一定ピッチ割り出しをリニアモータ式の搬送機構を通じて実現することに基づいて、製造ラインや物流ライン等の搬送システムを構築可能な搬送方法および搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、物品を搬送可能な複数の可動子と、複数の可動子が個別に移動する搬送路とを有するリニアモータ式の搬送機構を使用する搬送方法であって、搬送機構よりも上流から搬送される個々の物品について、搬送路における所定の受け渡し箇所の近傍から受け渡し箇所の直前に至るまでの間で、物品の搬送方向における大きさの範囲内で並ぶ少なくとも2つの位置(S1,S2)においてそれぞれ、当該物品の特定の部位が到達したことを示す情報を取得するステップと、情報に基づいて、当該情報が取得されて受け渡し箇所に到達する物品と同期するように可動子を移動させるステップと、受け渡し箇所に到達した物品を可動子に受け取るステップと、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の搬送方法は、受け渡し箇所の近傍よりも上流の位置(S0)に、物品の特定の部位が到達したことを示す情報を取得するステップと、少なくとも2つの位置にそれぞれ、特定の部位が到達したことを示す情報が取得されるよりも前から、可動子を加速させるステップと、を備えることが好ましい。
【0009】
本発明の搬送方法において、可動子は、物品としてのボトルの首部を把持することが好ましい。
【0010】
本発明の搬送方法において、受け渡し箇所に到達した物品を可動子に受け取るステップと、可動子により物品を搬送するステップと、可動子から、搬送路と交差する配列方向へと物品を貯留部に移載するステップと、貯留部に移載された物品を後続の物品に対して配列方向へと退避させつつ、配列方向に物品を並べて貯留するステップと、貯留部から、物品を可動子に移載するステップと、可動子から下流へと物品を排出するステップと、を備えることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、物品を搬送可能な複数の可動子と、複数の可動子が個別に移動する搬送路とを有するリニアモータ式の搬送機構を使用する搬送方法であって、搬送機構よりも上流から物品を可動子に受け取るステップと、搬送機構の可動子により物品を搬送するステップと、可動子から、搬送路と交差する配列方向へと物品を貯留部に移載するステップと、貯留部に移載された物品を後続の物品に対して配列方向へと退避させつつ、配列方向に物品を並べて貯留するステップと、貯留部から、物品を可動子に移載するステップと、可動子から下流へと物品を排出するステップと、を備え、物品のピッチが一定となるように可動子を移動させることを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明は、物品を搬送可能な複数の可動子と、複数の可動子が個別に移動する搬送路とを有するリニアモータ式の搬送機構を使用する搬送方法であって、搬送機構よりも上流から物品を可動子に受け取るステップと、搬送機構の可動子により物品を搬送するステップと、可動子から、搬送路と交差する配列方向へと物品を貯留部に移載するステップと、貯留部に移載された物品を後続の物品に対して配列方向へと退避させつつ、配列方向に物品を並べて貯留するステップと、貯留部から、物品を可動子に移載するステップと、可動子から下流へと物品を排出するステップと、を備え、一例として排出の処理である物品への所定の処理と、物品とが同期するように可動子を移動させることを特徴とする。
【0013】
本発明の搬送方法は、上流から受け取った物品を貯留部まで搬送する可動子を有する第1の搬送機構と、貯留部から移載された物品を下流へと搬送する可動子を有する第2の搬送機構と、を使用することが好ましい。
【0014】
本発明の搬送方法において、可動子は、物品としてのボトルの首部を把持することが好ましい。
【0015】
本発明の物品のパッケージ方法は、上述した搬送方法に備わる各ステップと、各ステップを経ることにより、可動子から下流へと排出された物品を梱包するステップを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明のパッケージ方法において、物品として、内容物の充填された容器が、上流から搬送機構へと供給されることが好ましい。
【0017】
本発明は、搬送装置にも展開できる。
かかる本発明の搬送装置は、物品を搬送可能な複数の可動子、および複数の可動子が個別に移動する搬送路を有するリニアモータ式の搬送部と、搬送部の可動子を介して供給される物品を、搬送路と交差する配列方向に並べて貯留する貯留部と、を備え、貯留部は、物品を配列方向に移動可能に構成され、供給された物品を後続の物品に対して配列方向へと退避させ、搬送部は、物品のピッチが一定となるように可動子を移動させることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の搬送装置は、物品を搬送可能な複数の可動子、および複数の可動子が個別に移動する搬送路を有するリニアモータ式の搬送部と、搬送部の可動子を介して供給される物品を、搬送路と交差する配列方向に並べて貯留する貯留部と、貯留部から搬送部へと移載された物品を下流へと排出する排出部と、を備え、貯留部は、物品を配列方向に移動可能に構成され、供給された物品を後続の物品に対して配列方向へと退避させ、搬送部は、物品と排出部とが同期するように可動子を移動させることを特徴とする。
【0019】
本発明のパッケージ設備は、上述した搬送装置と、搬送装置に物品を供給する供給部と、搬送装置から排出された物品を梱包する梱包機と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、物品と搬送部等との同期や、物品の一定ピッチ割り出しをリニアモータ式の搬送機構を通じて実現することに基づいて、製造ラインや物流ライン等の搬送システムを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係る飲料製品の製造ラインの概略を示す模式図である。
【
図3】
図1に示す第1のアキュームレーション装置を示す平面図である。(a)は、一部の領域のみに容器が貯留されている状態を示し、(b)は、全ての領域に容器が貯留されている状態を示す。
【
図4】
図3に示すリニアモータ式の第1搬送部を模式的に示す平面図である。
【
図5】
図3に示すリニアモータ式の第2搬送部を模式的に示す平面図である。
【
図6】
図1に示す第2のアキュームレーション装置を示す平面図である。
【
図7】コンベヤにより搬送される容器と可動子とを受け渡し箇所で同期させる処理について説明するための図である。
【
図8】
図7に示すセンサS0~S2を用いる搬送方法について説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1に示す飲料製品の製造ライン1は、容器の成形、充填、ラベル付け、箱詰め等の工程を経て飲料製品を製造する。
飲料製品は、製品液が容器に充填されてなる。本実施形態における飲料製品の容器5(
図2)は、例えば、PET(polyethylene terephthalate)等の樹脂材料から形成されたボトルである。製造ライン1により製造される飲料製品の容器5は、樹脂材料から形成されたボトルに限らず、ガラス材料から形成されたびんや、金属材料から形成された缶やボトル缶等であってもよい。
【0023】
〔容器〕
本実施形態の製造ライン1により製造される飲料製品の容器5は、PET製のボトルであるものとする。このボトルは、
図2に示すように、ボトル本体50と、ボトル本体50の開口54を塞ぐキャップ5C(蓋)とからなる。ボトル本体50は、円形や矩形等の任意の断面形状を呈する筒状の胴部51と、胴部51の下端に連なる底部52と、胴部51の上端に胴部51よりも縮径して連なる首部53とを有する。首部53の外周部には、径方向外側に突出した環状の鍔53Aが形成されている。鍔53Aの下側または鍔53Aの上側には、ロータリー式の搬送装置を構成する回転体等が備えているグリッパ(G1,G2)が挿入される。
図2は、一の回転体のグリッパG1から他の回転体のグリッパG2へと容器5が受け渡しされる時の様子を示している。
首部53の上端に位置する開口54を塞ぐようにキャップ5Cが首部53に装着される。キャップ5Cは、ボトルの頭部に相当する。
【0024】
〔製造ライン〕
製造ライン1は、
図1に示すように、PET製のボトル(以下、容器5)を成形する成形機11と、容器の内部に製品液(内容物)を充填し、キャップを取り付ける無菌充填装置12と、ラベル付けや箱詰め、封函等を行うパッケージライン4とを備えている。
製造ライン1によれば、ライン上で識別される個々の製品の品質を保証する全数管理が可能である。
【0025】
成形機11は、PET材料からなるプリフォームと呼ばれる前駆体に熱を加えて溶融し、金型を用いて容器5をブロー成形する。
無菌充填装置12は、容器5の内部に製品液を充填するノズルを有した充填機と、製品液が充填された容器5の開口部にキャップ5Cを装着することで容器5を密閉するキャッパと、充填機およびキャッパを覆うチャンバとを備えている。チャンバの内側の無菌環境下で、容器への製品液の充填と、容器へのキャップの装着とが行われる。
【0026】
成形機11および無菌充填装置12の充填機およびキャッパは、回転体やスターホイルからなるロータリー式の搬送装置により容器5(あるいはその前駆体)を所定のピッチで搬送しながら、成形や充填等の処理を行う。成形機11により得られた容器5の首部53は、回転体の外周部に所定ピッチで備わるグリッパ(
図2のG1,G2)により把持される。
【0027】
〔パッケージライン〕
図1に一点鎖線で示すパッケージライン4は、上流から下流の順に、製品液が充填された容器5を搬送および貯留するアキュームレーション装置200と、アキュームレーション装置200から排出された容器5にラベルを装着する第1ラベラ41および第2ラベラ42と、検査装置43と、ラベルの装着された容器5を搬送および貯留するアキュームレーション装置300と、アキュームレーション装置300から排出された容器5を箱に詰める箱詰め機44(ケーサ)と、箱を封函する封函機45と、検査装置46と、箱を積み上げる段積機47とを備えている。
【0028】
パッケージライン4に備わるアキュームレーション装置200,300により、ラインを流れる容器5を一時的に留め置くことで、アキュームレーション装置200,300のそれぞれの上流と下流との単位時間あたりの搬送能力差を吸収し、また、上流または下流のいずれかで装置や機械が停止しても、製造ライン1全体として効率的に稼働させることができる。上記のようなアキュームレーティング(accumulating)機能をアキュームレーション(accumulation)装置200,300は有している。貯留部25の領域内に容器5(搬送対象の物品)を留め置くことを、「貯留」と言うものとする。
パッケージライン4は、それよりも上流の成形機11や無菌充填装置12を含むラインによる搬送能力を上回る搬送能力を有している。パッケージライン4よりも上流のラインL1は、成形機11のヒータへの通電や充填ノズルの安定した動作のため、断続的に運転するよりも連続して運転することが好ましい。この上流ラインL1を連続して運転させることで得られた充填済みの容器5からなる容器群をアキュームレーション装置200,300に貯めることができる間は、パッケージライン4の稼働を停止しても、上流ラインL1の稼働を停止する必要がない。アキュームレーション装置200,300により一時的に滞留した容器群は、装置や機械の運転再開により、適切な能力で搬送される。
上記とは逆に、上流ラインL1が停止した場合には、アキュームレーション装置200,300に留め置かれた容器群が下流へと供給されるため、パッケージライン4を連続して運転することができる。
【0029】
検査装置43,46は、一例として、容器5やラベル、箱等の外観に汚損があったり印字がかすれていたりしないかどうか、あるいは製品液位等を検査する。検査装置43,46に限らず、必要な検査項目を検査可能な検査装置をパッケージライン4の適宜な箇所に備えることができる。
【0030】
図1に示すパッケージライン4の構成は、一例に過ぎず、製品仕様に応じて必要な装置を適宜にレイアウトして構成することができる。本実施形態では、第1ラベラ41および第2ラベラ42が直列に配置されているが、並列に配置されることも許容される。また、パッケージライン4が第1ラベラ41および第2ラベラ42のいずれか一方のみを備えていてもよい。
【0031】
パッケージライン4には、任意の容器5を抽出して検査したり、処理に異常のあった容器5あるいは容器5が入った箱をラインの外に排出したりするため、適宜な箇所にサンプリングラインやリジェクトラインを設けることができる。
図1には、一例として、アキュームレーション装置200に設けられたサンプリングライン200Aと、検査装置43の出口側に設けられたリジェクトライン200Bとを示している。
【0032】
アキュームレーション装置200は、無菌充填装置12から転送スターホイル12Aを介して供給される容器5を搬送する第1搬送部21(
図3)と、第1搬送部21から移載された容器5を並べて貯留する貯留部25(
図3)と、貯留部25に並んでいた容器5を搬送してアキュームレーション装置200よりも下流へと排出する第2搬送部22(
図3)とを備えている。図示しない制御装置による制御の下、アキュームレーション装置200から適時に排出される容器5が転送スターホイル41Aを介して第1ラベラ41へと供給される。
アキュームレーション装置200のより具体的な構成については後述する。
【0033】
第1ラベラ41(
図1)は、ラベル供給部411から供給されるフィルム状のラベルを容器5の胴部51に巻くロール式のラベラとして構成されている。第1ラベラ41は、具体的な図示を省略しているが、回転体およびスターホイルと、第2ラベラ42へと容器5を排出するコンベヤとを有している。
【0034】
第2ラベラ42は、容器5の胴部51や首部53あるいは底部52にかけてフィルム状のラベルを装着するシュリンク式のラベラとして構成されている。
製造する飲料製品の仕様に応じて、第1ラベラ41および第2ラベラ42を選択的に使用することができる。例えば、第1ラベラ41では処理されずに第1ラベラ41を通過した容器5に対して第2ラベラ42によりラベルを装着する。
第2ラベラ42は、第1ラベラ41からコンベヤを介して供給された容器5の外周部に、ラベル供給部421から供給された熱可塑性樹脂材料からなるフィルム状のラベルを配置した後、図示しないコンベヤにより容器5を搬送しながら、ヒータを内蔵するヒートトンネルに容器5を通すことで、加熱によりフィルムを収縮させる。
【0035】
第1ラベラ41の排出部から、第2ラベラ42、検査装置43、その後のリジェクトライン200Bに至るまで、コンベヤが、一方向に直線的に延びるように配置されている。
このように搬送経路がシンプルに設定されていると、搬送経路が分岐していたり曲がっていたりする場合と比べて、コンベヤ、そしてコンベヤにより搬送される容器5に対して処理を行う装置を設置するために必要なスペースを節減することができる。
【0036】
第2ラベラ42から検査装置43を経た容器5は、検査装置43により基準に満たないと判定されたものや、個々の容器5に付与された識別情報に基づく容器5の追跡により、例えば充填機の一部のノズルの故障やラベル付けのミス等の異常が発生したと特定されているものについては、リジェクトライン200Bを通じてラインの外へと排出され、それ以外の容器5はアキュームレーション装置300へと供給される。
【0037】
図1に二点鎖線で囲んで示すアキュームレーション装置300は、検査装置43からコンベヤ431を介して供給された容器5を搬送する搬送部31(
図6)と、搬送部31から移載された容器5を並べて貯留する貯留部35(
図6)とを備えている。アキュームレーション装置300のより具体的な構成については後述する。
図示しない制御装置による制御の下、アキュームレーション装置300から適時に排出される容器5が、箱詰め機44により段ボールの箱に詰められる。
【0038】
箱詰め機44は、箱供給部441(
図1)からコンベヤ442へと供給され、コンベヤ442により所定の位置まで運ばれた段ボールの箱の内部に、アキュームレーション装置300から供給される所定数の容器5を詰める。
図1では省略しているが、箱供給部441や箱詰め機44、およびアキュームレーション装置300の周囲には、箱を組み立てる装置や、組み立てた状態の箱が配置されている。
【0039】
箱詰め機44は、図示しない制御装置による制御の下、旋回や伸縮の動作が可能なロボットアーム44Aと、ロボットアーム44Aに支持されて上下動可能なハンド装置44Hとを含んで構成されている。ハンド装置44Hは、アキュームレーション装置300により所定位置に運ばれた複数の容器5を一括して把持し、箱に同時に収めることができる。箱に規定の収容本数に応じて、ハンド装置44Hによる把持と箱詰めの動作が1つの箱につき1回以上行われる。
【0040】
容器5が入った箱は、封函機45により封がなされ、検査装置46を経て、品質に問題のないものが段積機47により複数の段に積み上げられる。積み上げられた箱が出荷される。
【0041】
〔第1のアキュームレーション装置(アキュームレーション装置200)〕
図3(
図3(a)、(b))および
図4を参照し、無菌充填装置12とラベラ41との間に介在するアキュームレーション装置200について説明する。
【0042】
アキュームレーション装置200(
図3)は、第1搬送部21と、貯留部25と、第2搬送部22とを備えている。これらに加えて、アキュームレーション装置200は、第1搬送部21から貯留部25への移載に用いる第1移載部201と、貯留部25から第2搬送部22への移載に用いる第2移載部202とを備えていることが好ましい。
【0043】
搬送経路が長円状に構成された第1搬送部21と、同じく搬送経路が長円状に構成された第2搬送部22とは、長手方向と直交する方向(D1)に間隔をおいて互いに平行に設置される。第1搬送部21と第2搬送部22との間に、貯留部25が設置されている。貯留部25は、第1搬送部21および第2搬送部22の長手方向と直交する方向(D1)に容器5を移動可能に構成されている。
【0044】
(第1搬送部、第2搬送部)
第1搬送部21は、
図3および
図4に示すように、容器5を搬送可能な複数の可動子2と、複数の可動子2が個別に移動する搬送路20Rとを有する。無端状の搬送路20Rを複数の可動子2が矢印で示す向きに循環するように移動する。搬送路20Rは、平行な区間20R1,20R2を有して長円状に形成されており、可動子2をガイドするレールを含んで構成されている。
搬送能力やアキュームレーション装置200の貯留部25に貯留する容器5の数に応じて最低限必要な数の可動子2が第1搬送部21に備えられている。それ以上の数の可動子2が第1搬送部21に備えられていてもよい。容器5の搬送には使用されない余剰の可動子2が存在していてもよい。可動子2の数に特に制限はない。
【0045】
図4には、第1搬送部21が実際に備えている多数の可動子2のうちの一部を示している。
各可動子2には、容器5の首部53(
図2)を把持するグリッパ2Aが備えられている。容器5の鍔53Aの上側にはキャップ5Cが存在するため、グリッパ2Aは鍔53Aの下側に挿入される。グリッパ2Aが有するばねの弾性力により首部53が把持される。可動子2は、グリッパ2Aにより把持される容器5に、搬送路20Rに沿って移動させる搬送力を与える。
充填済みの容器5は、空の容器5よりも重心が下方にあるため、搬送中に首部53を支点に振れ回り易い。その対策として、搬送中にグリッパ2Aが開かないようにロックする機構や、グリッパ2Aの動きと連動して容器5を側方あるいは下方から支持する機構を可動子2に与えることが好ましい。
【0046】
可動子2がグリッパ2Aにより首部53を把持するように構成されていると、容器5(ボトル)の種類が変わっても首部53の径は大きくは変わらず、径の異なる首部53を同じグリッパ2Aにより把持可能であるため、型替え作業が軽減される。但し、可動子2が、容器5の胴部51を把持したり、容器5の頭部(キャップ5C)を把持したりするように構成することもできる。
【0047】
第2搬送部22(
図3および
図5)も、容器5を搬送可能な複数の可動子2と、複数の可動子2が個別に移動する搬送路20Rとを有し、第1搬送部21と同様に構成されている。
第2搬送部22の可動子2は、矢印で示すように、第1搬送部21の可動子2とは逆回りに搬送路20Rを移動する。
【0048】
本実施形態の第1搬送部21および第2搬送部22は、いずれもリニアモータ式の搬送装置として構成されている。
図4にリニアモータ式の第1搬送部21を示しているように、第1搬送部21は、複数の可動子2の各々に設けられる図示しない永久磁石と、搬送路20Rに沿って並べられる多数の電磁コイル21C(一部のみを図示)と、アキュームレーション装置200の制御装置と連係をとって動作する図示しない駆動制御部とを備えている。第2搬送部22(
図3)も同様に構成されている。
駆動制御部により、複数の電磁コイル21Cのそれぞれへの電流印加が制御されることで、電磁コイル21Cと永久磁石との電気磁気的な相互作用により、複数の可動子2の位置や速度が個別に駆動制御される。
【0049】
電磁的作用を利用した可動部の少ないリニアモータ式の搬送部21,22は、駆動制御部により、位置や速度に応じた制御量の指令に基づいて、可動子2を安定して正確に駆動制御することができる。
可動子2は、容器5の底部52が搬送路20Rの表面に接触していない状態に、首部53や胴部51等を把持する。そうすると、容器5の底部52の滑りによって可動子2の位置や速度に影響が出るようなことがなく、可動子2の位置や速度をより正確に駆動制御できる。さらに、容器5の滑りによる傷付きも避けることができる。
【0050】
第1搬送部21の駆動制御部は、アキュームレーション装置200の制御装置と連係して動作するように構成されている。また、パッケージライン4の制御系統全体としても、アキュームレーション装置200やアキュームレーション装置300を始め、ラベラ41,42や箱詰め機44等も含め、それぞれの制御部が連係して動作するように構成されていることが好ましい。
【0051】
第1、第2搬送部21,22によれば、可動子2により搬送される容器5の位置や速度を正確に制御できる。そのため、ピッチの割り出しや同期を図るために典型的に使用されるタイミングスクリューに代わり、容器5の移動速度の制御により下流のコンベヤの搬送速度と同じ速度で容器5を排出したり、容器5に所定のピッチを割り出したり、あるいは、下流の搬送部へと排出可能なタイミングや下流の工程における容器5への処理のタイミングに合わせて容器5が供給されるように、同期を図ることができる。
第1、第2搬送部21,22を通じて行われる同期処理等について、具体的には後述する。
【0052】
第1搬送部21は、転送スターホイル12Aから容器5を可動子2に順次受け取り、搬送路20Rに沿って搬送する(搬送ステップ)。第1搬送部21の搬送路20Rの区間20R1から区間20R2へと可動子2により容器5が移動すると、可動子2に把持された容器5が第1移載部201により貯留部25へと移載される(移載ステップ)。このとき、区間20R2に並んだ可動子2と貯留部25との間で、複数の容器5が同時に受け渡される。貯留部25は、容器5を配列方向D1へと並べて貯留する(貯留ステップ)。
第2搬送部22は、後述するように貯留部25に並んだ状態に留め置かれた容器5を第2移載部202を介して可動子2に受け取る。そして、第2搬送部22の可動子2から、転送スターホイル41Aを介してラベラ41へと容器5が排出される(排出ステップ)。
【0053】
(第1移載部、第2移載部)
第1移載部201(
図3)は、上述したように第1搬送部21から貯留部25へと容器5を順次移載する。この第1移載部201は、可動子2のグリッパ2Aにより把持されている容器5の頭部(キャップ5C)を把持する把持部を備えている。第1移載部201は、同時に移載される容器5の個数と同じ数の把持部を備えており、それらの把持部により、容器5を一括して把持する。それらの容器5を放した可動子2は搬送路20Rを進み、次に移載される後続の容器群が、搬送路20R上の移載処理領域に向けて可動子2により搬送される。
第1移載部201は、一括して把持した容器群を配列方向D1に沿って移動させた後、貯留部25に配置する。移載に必要な動作のため、第1移載部201は、例えば、上下動と配列方向D1への変位が可能なアーム等を含んで構成されている。これに限らず、移載に必要な動作を行う第1移載部201を適宜に構成することができる。
【0054】
第1移載部201の把持部は、例えば、グリッパに類似する形態に構成することもできるし、圧縮空気により径方向内側に膨らんでキャップ5Cの外周部に密着する弾性体と弾性体のホルダとを含んで構成することもできる。把持部をグリッパに類似する形態に構成する場合は、首部53を把持するグリッパ2Aとは違い、水平方向に沿った軸を中心に、下方に向けて開閉するように構成するとよい。
【0055】
第2移載部202は、貯留部25から第2搬送部22へと容器5を移載する。この第2移載部202も、第1移載部201と同様に構成することができる。
容器5の頭部を把持する第1移載部201および第2移載部202を用いると、直交方向D2に隣り合う容器5の首部53同士の間が、通常のグリッパ2Aが入らない程に狭くても、容器5を上方から把持することができる。そのため、貯留部25に容器5を密に並べ、同じ面積でもより多数の容器5を貯留部25に収容可能となる。
【0056】
(貯留部)
次に、貯留部25(
図3)は、第1移載部201により第1搬送部21の可動子2から移載された容器5を、第1搬送部21の搬送路20Rの区間20R2と交差する方向D1(以下、配列方向D1)に順次並べて貯留する。
貯留部25は、配列方向D1に容器5を移動可能に構成されている。貯留部25は、例えば、容器5の底部52を支持するチェーンコンベヤまたはベルトコンベヤ等を含んで構成されている。そのコンベヤは、容器5の底部52と、コンベヤの支持面との間の摩擦により容器5を第2搬送部22に向けて配列方向D1へと搬送する。コンベヤには、容器5を案内するサイドガイドが設けられている。サイドガイドは、首部53の位置に設置されることが好ましい。コンベヤの幅方向(D2)の両側に位置するサイドガイドにより、容器5が安定して搬送される。
【0057】
本実施形態の貯留部25は、それぞれ配列方向D1に移動可能に構成された複数の領域251~254からなる。これらの領域251~254は、コンベヤ等により個別に配列方向D1に駆動可能に構成されており、ラインの稼働状況に応じて選択的に用いられる。
図3(a)は、一部の領域251のみが使用されている状態を示し、
図3(b)は、全ての領域251~254が使用されている状態を示す。
貯留部25は、複数の容器5を留め置くことが可能な少なくとも1つの領域を備えていれば足りる。つまり、貯留部25が必ずしも複数の領域に区分されている必要はない。
【0058】
貯留部25は、第1移載部201により支持面に置かれた容器5を、次に第1移載部201により移載される後続の容器5に対して配列方向D1へと退避させる。これが繰り返されると、容器5が配列方向D1に並ぶ。このとき、貯留部25により、容器5の径よりも大きい移動量で配列方向D1へと容器5が退避されることにより、配列方向D1に隙間をあけて容器5が並んでいることが好ましい。隙間が少しでもあいていれば、典型的なアキュームレーション装置に滞留した容器に加えられるラインプレッシャ(負荷)が容器5に加えられない。貯留部25により後続の容器5に対して容器5を退避させていれば、容器5同士がたとえ接触したとしても、変形したり破損したりするほどの大きな負荷が容器5に加えられないので許容される。
【0059】
第1移載部201により複数の容器5が貯留部25に同時に供給されるため、貯留部25には、配列方向D1に加えて、配列方向D1と直交する方向D2にも容器5が並ぶ。直交方向D2においても、容器5間に隙間があいていることが好ましい。直交方向D2における容器5同士の隙間にサイドガイドを配置することができる。
【0060】
貯留部25を構成する複数の(ここでは4つの)領域251~254は、第1搬送部21の搬送路20Rの区間20R2における上流側(
図3の右側)から下流側(
図3の左側)に向けて、251~254の順序で、直交方向D2に隣接して配置されている。各領域251~254において、配列方向D1および直交方向D2に容器5が並んでいる。
【0061】
転送スターホイル12Aから可動子2のグリッパ2Aへと容器5を受け渡せるように、第1搬送部21の駆動制御部により、受け渡し前における可動子2のピッチを、転送スターホイル12Aにおいて切欠部12Cに保持される容器5のピッチと同等に設定し(
図4参照)、かつ転送スターホイル12Aの回転と、転送スターホイル12Aから容器5を受け取る可動子2との同期をとる。
転送スターホイル12Aから可動子2のグリッパ2Aへと容器5が受け渡される所定の受け渡し箇所P1に、転送スターホイル12Aにより搬送される容器5と、その容器5を転送スターホイル12Aから受け取る可動子2とが、同時に位置していれば、転送スターホイル12Aの回転と、可動子2との同期が成立しており、容器5を確実に受け渡すことが可能である。
転送スターホイル12Aの回転と、可動子2とを同期させるため、例えば、転送スターホイル12Aの回転角をエンコーダ等により取得し、転送スターホイル12Aの切欠部12Cに保持された容器5がそれぞれ受け渡し箇所P1に対応する回転角に至る直前の回転角において、同期のため必要な速度および位置に可動子2を駆動制御するとともに、可動子2のグリッパ2Aを開く。受け渡し箇所P1においてグリッパ2Aを閉じると、グリッパ2Aが容器5の首部53の下側に挿入されるため、容器5がグリッパ2Aにより把持される。
つまり、エンコーダにより取得された転送スターホイル12Aの回転角に基づいて、可動子2の速度および位置の制御に併せて、グリッパ2Aを開閉する制御を行う。
一定速度で回転する転送スターホイル12Aに対し、可動子2は可変速度で移動させることができる。そのため、受け渡し箇所P1に可動子2を停止させ、グリッパ2Aを開いた状態で容器5を待機するようにしてもよい。
【0062】
第1搬送部21の可動子2に渡された容器5のうち、上流ラインL1で異常があったものや、検査のための抽出対象であるものは、可動子2からサンプリングライン200A(
図1)へと排出される。このとき、サンプリングライン200Aの搬送速度と同じ速度となるように可動子2の速度を制御することにより、容器5が転倒することなく、サンプリングライン200Aの所定の排出口から容器5を回収することができる。
【0063】
貯留部25に容器5が1つもない空の状態において、転送スターホイル12Aから第1搬送部21へと容器5が連続して供給されるとする。
転送スターホイル12Aから順次、第1搬送部21の可動子2へと供給される容器5は、可動子2により搬送路20Rを搬送される。そして、領域251~254のうち最も上流の領域251に対応する搬送路20R上の箇所で、一括して移載される個数分の容器5が直交方向D2に沿って並ぶ。このとき、転送スターホイル12Aからの受け渡し時のピッチと比べて狭いピッチで可動子2が並ぶ。それらの可動子2のグリッパ2Aにそれぞれ把持されている容器5は、第1移載部201により一括して領域251へと移載される。本実施形態では、所定の単位個数の容器5を所定のタクトタイム内で同時に移載することにより、要求される搬送能力を実現している。
領域251に対応するコンベヤ上に、直交方向D2に行をなして置かれた容器5は、コンベヤにより連続的にあるいは間欠的に配列方向D1へと搬送されることで、後続の容器5に対して退避される。
図3に示す例では、第1移載部201が、貯留部25の領域251~254に個別に用意されているが、直交方向D2に移動可能な単一の第1移載部201により、領域251~254のそれぞれへの移載を行うように構成することもできる。
【0064】
搬送路20Rを循環する可動子2を介して順次、領域251へと容器5が移載されるため、領域251において容器5の行が増えていくこととなる。
領域251に最初に置かれた容器5の列が、配列方向D1における領域251の先端部に到達すると、アキュームレーション装置200の制御装置は、コンベヤを駆動するサーボモータ等へ指令を与えることでコンベヤを停止させ、次の領域252に対応するコンベヤを始動させることで領域252への容器5の受け入れを開始する。領域251に最初に置かれた容器5を
図3に矢印5Fで示す。コンベヤを停止する際には、停止時に容器5の位置がずれること等を避けるため、容器5が速度を次第に落として停止に至るようにサーボモータによる速度可変制御を行うことが好ましい。
コンベヤの始動の際にも、必要に応じて、容器5の移動速度が急激に変化しないように、サーボモータによる速度可変制御を行うことが好ましい。
【0065】
以降、領域252、領域253、および領域254についても、順次、上述と同様に、可動子2により搬送された容器5が第1移載部201により移載され、配列方向D1および直交方向D2に隙間をあけて並べられる。
【0066】
貯留部25から、下流のラベラ41へと容器5を供給する時は、
図3および
図5に示すように、領域251の配列方向D1の先頭側から、第2移載部202により容器5が第2搬送部22へと排出される。「配列方向D1の先頭側」は、貯留部25において、供給された容器5が後続する容器5に対して退避する向きへと貯留部25により移動されて行き着く側を言うものとする。つまり、配列方向D1に並べられた容器5の列の先頭側である。
このとき、同じ行をなす単位個数分の容器5が、第2移載部202により一括して把持され、配列方向D1へと移動して第2搬送部22の搬送路20R上の領域251に対応する箇所に並ぶ可動子2のそれぞれへと渡される。
領域251、領域252、領域253、領域254の順で、留め置かれていた容器5が第2搬送部22へと取り出される。第2搬送部22の可動子2により容器5は搬送路30Rを移動し、転送スターホイル41Aを介してラベラ41へと供給される。転送スターホイル41Aにおける容器5のピッチに適合し、かつ転送スターホイル41Aの回転と同期するように、第2搬送部22の可動子2の速度および位置が駆動制御される。
【0067】
転送スターホイル12Aと第1搬送部21の可動子2とを同期させる上述の方法と同様にして、転送スターホイル41Aの回転と第2搬送部22の可動子2とを同期させることができる。つまり、転送スターホイル41Aの回転角をエンコーダ等により取得し、転送スターホイル41Aの切欠部41Cに保持された容器5がそれぞれ受け渡し箇所P2に対応する回転角に至る直前の回転角において、同期のため必要な速度および位置に可動子2を駆動制御するとともに、受け渡し箇所P2においてグリッパ2Aを開くと、転送スターホイル41Aの切欠部41Cの内側に容器5が移載される。
【0068】
ここで、領域251に最初に配置された容器(
図3に示す5F)から順に、第2搬送部22の可動子2へと渡り、下流へと搬送される。
つまり、アキュームレーション装置200によれば、上流ラインL1から第1搬送部21を介して貯留部25へと順次蓄積された容器5が、貯留部25に先に入ったものから順に排出されるので、個々の容器5を識別できることに加えて、上流ラインL1における容器5の搬送順序をアキュームレーション装置200より下流でも維持することができる。
なお、個々の容器5単位ではなく、容器5の行単位で、先入れおよび先出しを実現してもよい。例えば、第2搬送部22の可動子2が
図3に矢印で示す向きとは逆の向きに移動するとしても、行単位の先入れおよび先出しが実現する。この場合も、貯留部25から個々の容器5が排出される順序を特定できるため、個々の容器5に与えられた識別情報を維持することができる。
【0069】
領域251~254に容器5を入れたり領域251~254から容器5を出したりする順序は、容器5の識別情報を維持することに加え、先入れおよび先出しの要否を考慮し、搬送路20Rの構成に基づいて適宜に定めることができる。
例えば、第2搬送部22の搬送路20Rを可動子2が移動する向きを
図3に示す向きとは逆にすると、ラベラ41の入口の転送スターホイル41Aの向きとの整合のため、第2搬送部22と転送スターホイル41Aとの間に別のスターホイルを設置することが必要となる。この構成により、個々の容器5単位の先入れおよび先出しを実現しようとすれば、領域254、領域253、領域252、領域251の順に容器5を貯留して、領域254に最初に配置した容器5から順に、領域253、領域252、領域251の順に排出すればよい。
【0070】
必ずしも全ての領域251~254に容器5が留め置かれるのではなく、貯留部25の全体として、ラインの稼働状況に応じた数量の容器5が留め置かれ、稼働状況の変化等によって、留め置かれた容器5の数が増減する。
ラベラ41や箱詰め機44等のパッケージライン4を構成する装置や機械が停止しても、貯留部25に容器5を受け入れる余裕がある間は、アキュームレーション装置200よりも上流のラインL1を停止させずに連続して稼働させることができる。また、上流ラインL1の装置や機械の清掃、点検等のため、上流ラインL1を停止しても、貯留部25に容器5が存在する間は、貯留部25からラベラ41へと容器5を供給することができるので、パッケージライン4を停止させずに稼働させることができる。
【0071】
アキュームレーション装置200には、製造ライン1の稼働状況を想定し、貯留部25に必要とされる数量の容器5を収容することの可能なスペースを与えればよい。貯留部25に必要な収容数に応じて領域251~254の数を増減することができる。
製造ライン1を構成する装置や機械が停止しないで、平常通り製造ライン1が稼働している間は、領域251~254のうちの一部の領域のみが使用される。例えば、平常時は、領域251に対応するコンベヤのみを駆動して領域251のみに容器5を並べ、他の領域252~254に対応するコンベヤは駆動しないことで動力のコストを節減することができる。
領域251~254の1つあたりに収容可能な容器5の数は、タクトタイムや搬送能力等に応じて、適宜に定めることができる。領域251~254毎に収容可能な容器数が異なっていてもよい。
【0072】
〔第2のアキュームレーション装置(アキュームレーション装置300)〕
次に、
図6を参照し、上述のアキュームレーション装置200よりも下流に位置するアキュームレーション装置300について説明する。
【0073】
アキュームレーション装置300は、搬送部31と、貯留部35とを備えている。これらに加えて、アキュームレーション装置300は、搬送部31から貯留部35への移載に用いる移載部301を備えていることが好ましい。
搬送路30Rが長円状に構成された搬送部31に対して、貯留部35は直交するように配置されている。貯留部35は、搬送部31の長手方向と直交する方向(D1)に容器5を移動可能に構成されている。
【0074】
搬送部31は、アキュームレーション装置200(
図3)の第1、第2搬送部21,22と同様に構成されている。搬送路30Rには、貯留部35に対応する区間30R1と、区間30R1に対して平行に延びており、箱詰めに対応する区間30R2とが存在する。
移載部301は、アキュームレーション装置200の第1、第2移載部201,202と同様に構成されている。
【0075】
貯留部35は、アキュームレーション装置200の貯留部25と同様に、例えばコンベヤにより、配列方向D1へと容器5を移動可能に構成されている。加えて、貯留部35は、コンベヤのモータの逆転が可能であり、配列方向D1に往復動可能に構成されている。この貯留部35は、上述の貯留部25と同様に、複数の領域351,352に区分されている。
【0076】
搬送部31は、検査装置43の下流のコンベヤ431から容器5を可動子2に順次受け取り、搬送路30Rに沿って搬送する(搬送ステップ)。
このとき、コンベヤ431により搬送される容器5のピッチが一定であるとは限らない。コンベヤ431により搬送される容器5のピッチが不定であったとしても、コンベヤ431から搬送部31の可動子2へと容器5を確実に受け渡すため、例えば、下記の方法により、搬送される容器5を検出するセンサを用いて、コンベヤ431上の容器5と可動子2との同期を図る。
図7に示すように、搬送部31よりも上流からコンベヤ431により搬送される個々の容器5の特定の部位が到達したことを順次検出するセンサS1,S2を
図7に示す位置に設ける。センサS1,S2は、コンベヤ431のガイドや、コンベヤ431の上方に配置することができる。センサS1,S2により検出される容器5の部位は、ここでは、容器5の搬送方向前方(下流側)の縁であるが、キャップ5C等の他の部位であってもよい。センサS1,S2としては、光電センサ等の適宜なセンサを用いることができる。
【0077】
これらのセンサS1,S2は、搬送路30Rにおける所定の受け渡し箇所P3の近傍から受け渡し箇所P3の直前に至るまでの間に位置している。加えて、センサS1,S2は、容器5の搬送方向(
図7に矢印で示す方向)において、容器5の搬送方向の大きさ(容器5の外径)の範囲内で並んでいる。センサS1,S2がそれぞれ配置される位置の間隔は、容器5の外径よりも狭い。上流側のセンサS1に対応する位置から下流側のセンサS2に対応する位置までへの容器5の移動に要する時間と、これらの位置(S1,S2)の間の距離とから、容器5の移動速度を算出可能である。
容器5の移動速度を安定して得るため、センサS1,S2に1以上のセンサを追加することもできる。つまり、容器5の外径に対応する搬送方向の距離の範囲内で、センサS1,S2を含む複数のセンサを並べてもよい。
【0078】
コンベヤ431により搬送される容器5が受け渡し箇所P3に至る前に、センサS1,S2により、容器5の特定部位5Aが到達したことを示す情報が取得される(情報取得ステップ)。それらの信号から得られる容器5の速度および位置に基づいて、受け渡し箇所P3に向けて、可動子2を必要な速度および位置に移動させるとともに(移動ステップ)、可動子2のグリッパ2Aを開く。そして、受け渡し箇所P3でグリッパ2Aを閉じることで容器5を可動子2に受け取り(受け取りステップ)、可動子2により容器5を搬送路30Rに沿って搬送する。
以上のように、搬送される容器5と可動子2との同期を図ることにより、受け渡し箇所P3において瞬時に容器5がグリッパ2Aにより把持され、可動子2により容器5が受け渡し箇所P3から瞬時に持ち去られる。本実施形態によれば、センサS1,S2を使用して精密に同期が図られているため、受け渡し箇所P3の前後に亘り容器5の底部52がコンベヤ431を滑って傷つくことが起こらない。
受け渡し箇所P3は、必ずしも、搬送路30Rの直線状の区間に位置している必要はなく、搬送路30Rのカーブした区間に設定することもできる。その場合にも、センサS1,S2により検出される信号を用いて、コンベヤ431上の容器5と可動子2とを支障なく同期させることができる。
【0079】
センサS1,S2よりも上流にも、容器5の同じ部位を検出する1以上のセンサを配置することができる。
センサS1,S2よりも上流にセンサS0を配置すると、例えば、次のような制御が可能となる。
図7および
図8を参照して説明する。
図8のグラフの縦軸は、可動子2の移動速度を示す。縦軸上のv
0,v
1,vraは、可動子2が取り得る速度の例を示している。時間軸である横軸上には、コンベヤ431により搬送される容器5がS0,S1,S2のそれぞれの位置に到達した時を示している。
【0080】
容器5を把持しておらず、容器5の受け渡しの準備段階に至っていない可動子2(
図7の2w)は、搬送部31の駆動制御部による制御の下、所定の待機速度v
0で移動する(待機ステップA0)。この可動子2wは、受け取るべき容器5がセンサS0により検出されると、受け渡しの準備段階に入る。
この受け渡しの準備段階は、可動子2を目標速度v
1に向けて加速させる加速ステップA1と、センサS1,S2を用いてコンベヤ431上の容器5の少なくとも移動速度を含む容器の速度・位置情報を取得する容器速度取得ステップA2と、ステップA2により得られた情報に基づいて、受け取る容器5と同期するように、可動子2の位置および速度を補正する補正同期ステップA3とを含んでいる。
目標速度v
1は、受け渡し箇所P3において容器5と概ね同期が取れると見込まれる速度に設定される。この目標速度v
1で走行する可動子2の速度が、必要に応じて、ステップA3において補正される。
容器5の移動速度を取得するステップA2を開始するにあたり、可動子2が目標速度v
1に到達するのを待つ必要はない。むしろ、可動子2の加速に並行して、ステップA2を行うのが好ましい。
【0081】
補正同期ステップA3は、ステップA2により取得された容器5の移動速度に基づいて、その容器5を受け渡し箇所P3で受け取るために、対応する可動子2に必要な速度・位置の情報の指令を駆動制御部により生成するステップA31と、ステップA31により生成された指令に基づいて、搬送路30Rの電磁コイルを流れる電流を制御することで、可動子2の速度および位置を制御するステップA32からなる。
ここでは、既に目標速度v1で走行する可動子2が、ステップA31により生成された指令に基づいて補正された目標速度vraにまで加速される(ステップA32)。なお、ステップA32において可動子2が減速される場合もあり得る。
補正目標速度vraにまで可動子2が至り(補正完了)、目標速度vraで走行する可動子2のグリッパ2Aがコンベヤ431上の容器5を把持する。こうして容器5が受け渡された後、可動子2を適宜な移動速度に制御することができる。この例では、受け渡しの直後において、可動子2が所定の目標速度v2に制御される。目標速度v2は、目標速度v1や補正速度vraと同じでもよい。搬送路30Rを巡る間、可動子2の速度を任意の速度(可変速度)に定めることができる。
【0082】
以上で説明したように、ステップA1を終えて目標速度v1にまで加速された可動子2について、ステップA2により得られた容器5の少なくとも速度の情報に基づいて駆動制御部により補正指令を生成することで(A31)受け取る容器5と同期させることができる。
センサS1,S2に加え、センサS0を使用すると、センサS0によりセンサS1,S2よりも上流で容器5が検出される。そのため、センサS0による容器5の検出時から、容器5がセンサS1,S2に至るまでの間にも、その容器5に対応する可動子2を加速させることができる。そうすると、容器5の少なくとも速度の情報に基づいて可動子2の速度および位置を補正する指令の生成時には、既に可動子2が目標速度v1にまで加速されているため、可動子2の質量や加速性能によらず、指令に基づいて可動子2が正確に駆動制御される。その結果、可動子2と容器5とを確実に同期させることができる。
センサS0を用いずに、例えば、容器5がセンサS1により検出された後に、受け渡し箇所P3の近くで滞留していた可動子2を起動し、加速させる場合と比べて、センサS0を用いる上記の搬送方法は、可動子2の質量や加速性能の影響が小さいため、確実に同期させるために有利である。
仮にセンサS0がないとすると、可動子2の加速性能によっては、把持すべき容器5に可動子2が追いつくことができるように、センサS1,S2により容器5が検出される時には可動子2が受け渡し箇所P3の近傍に位置している必要がある。上記の搬送方法における可動子2の速度の制御によれば、そういった制約がなく、搬送路30Rを循環する個々の可動子2に、容器5を把持していない区間も含め、適宜な速度を与えることができる。それによって、可動子2の個数の削減を図ることができる。さらに、ライン停止後の再起動の処理の迅速化や容器転倒の防止に寄与することができる。
例えば、貯留部25や貯留部35に容器5が満載されたため、アキュームレーション装置200,300の処理を停止させるとする。このとき、可動子2の走行も停止させるか、あるいは可動子2を微速で走行させる(待機速度v0が0あるいは微速)。センサS0を用いる上記の搬送方法によれば、センサS0による容器検出のタイミングで可動子2の加速を開始できることにより、可動子2の加速に必要な時間を確保できる。この効果は、特に、再起動時のように可動子2がほぼ停止している場合に大きい。さらに、再起動時に可動子2の速度が変化しても、適宜に速度を調整することにより、可動子2が容器5を安定して搬送する。
【0083】
図8に示した可動子2の速度は、あくまで一例である。受け渡し箇所P3の直前で可動子2の速度等を補正する指令を生成するステップA31の開始時には、可動子2がまだ目標速度v
1に達していなくてもよく、指令に基づいて可動子2の駆動制御を開始するステップA32を開始するまでに可動子2が目標速度v
1に達していればよい。もっとも、ステップA32の開始時までに可動子2が目標速度v
1に達していないとしても、待機速度v
0から加速されている分、余裕をもって可動子2を同期に必要な速度に合わせることができるので、確実な同期に寄与することができる。
【0084】
その他にも、コンベヤ431により搬送される容器5を検出するセンサを用いた搬送方法に関し、種々の改変が考えられる。
例えば、センサS1,S2のうち、センサS2をなくした場合は、センサS1により得られた情報に基づいて、搬送部31の駆動制御部により容器5の速度情報を計算し、受け渡し箇所P3に容器5が到達するタイミングを予測して可動子2を同期させることができる。
【0085】
可動子2により搬送路30Rを搬送される容器5は、箱詰め機44のロボットアーム44Aに支持されたハンド装置44Hにより箱に詰められるか、あるいは、貯留部35へ供給される。ラインの稼働状況により、搬送路30Rを搬送される容器5が、専ら、貯留部35へと供給されたり、専ら、箱詰めされたり、あるいは、貯留部35への供給と箱詰めとが並行して行われたりする。
【0086】
搬送部31から貯留部35へと容器5が供給される場合は、搬送路30Rにおいて貯留部35の領域351に対応する箇所に、容器5の外径よりも少し大きいピッチで並んだ可動子2から、移載部301を介して領域351へと容器5が移載される(移載ステップ)。
このとき、搬送路30Rの区間20R1に並んだ可動子2と領域351との間で、複数の容器5が同時に受け渡される。
【0087】
貯留部35は、移載された容器5を後続の容器5に対して配列方向D1へと退避させながら、配列方向D1に容器5を順次並べて留め置く。アキュームレーション装置200と同様に、配列方向D1および直交方向D2に容器5が隙間をあけて並べられることが好ましい。
領域351に容器5が満載されたならば、領域351に対応するコンベヤを停止し、領域352への容器5の受け入れを開始するとよい。
【0088】
アキュームレーション装置300では、貯留部35に容器5を供給した搬送部31へと、貯留部35内の容器5が移載部301を介して戻され、搬送路30Rの区間30R2へと可動子2により搬送される。
領域351または領域352から容器5を搬送部31へと戻す際には、領域351または領域352に対応するコンベヤを、搬送部31から容器5を移載するときに容器5を退避させる向き(D1)とは逆の向きへと移動させる。そうすると、搬送路30Rの区間30R1に対向する貯留部35上の位置に容器5が連続して供給されるので、移載部301により、順次、搬送部31の可動子2へと容器5を移載することができる。
貯留部35全体として容器5が順次並び、順次排出されるため、アキュームレーション装置300によれば、個々の容器5に与えられた識別情報を維持することができる。
【0089】
貯留部35から排出された容器5は、箱詰め機44のロボットアーム44Aの可動範囲に含まれる搬送路30R上の所定領域へと搬送されると、ロボットアーム44Aに設けられたハンド装置44Hにより把持される。そして、ロボットアーム44Aによりコンベヤ442上の箱詰め作業領域442Aまで運ばれ、箱詰め作業領域442Aに位置する処理単位の数の箱の中へと詰められる。コンベヤ442には、箱供給部441(
図1)から箱Bが供給される。ロボットアーム44Aにより、箱Bの一時置き場443,444から箱Bをピックアップしてコンベヤ442へと供給することもできる。
【0090】
〔本実施形態による効果〕
以上で説明した本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
アキュームレーション装置200,300は、搬送部21,31と、搬送路20R,30Rの方向とそれぞれ直交する向きに容器5が配列される貯留部25,35とを備えており、貯留部25,35は、搬送部21,31から移載された容器5を後続の容器5に対して退避させながら配列方向D1へと並べて貯留する。そうすると、貯留部25,35に並べられた容器5同士が押し合うことを避けることができるので、容器5の変形や破損、転倒を防ぐことができる。少なくとも配列方向D1において容器5の間に隙間があいていると、ノンラインプレッシャを実現でき、容器5が貯留部25,35の幅方向(D2)に拡がらないので、ガイドへの接触による容器5の傷付きも避けられる。
【0091】
また、アキュームレーション装置200,300に備わる搬送部21,22,31の複数の可動子2を個別に駆動制御することができるため、タイミングスクリューに代わり、搬送部21,22,31により、容器5のピッチを割り出したり、スターホイルからの供給やスターホイルへの排出に係る同期、後工程の処理に対する同期を図ったりすることができる。典型的なアキュームレーションコンベヤを用いる場合は、ピッチの割り出しや同期をとるためにタイミングスクリューを併用する必要がある。
タイミングスクリューを使用しないことで、タイミングスクリューにより容器5に加わる負荷をなくせる。タイミングスクリューに容器5が噛み込むこともない。また、タイミングスクリューを設置するスペースが必要ないので、ラインの敷設に必要なスペースの節減にも貢献できる。さらに、製造する製品の容器5の径が変わっても、スクリューを交換する作業が必要ないので、型替え作業を軽減することができる。
【0092】
アキュームレーション装置200,300は、ノンラインプレッシャでありつつ、貯留部25,35に均等に高密度に容器5を貯留することができる。そのため、典型的なアキュームレーションコンベヤを用いる場合、集積部の前後に容器5が粗に配置される減速部や加速部が必要になるのと比べて、同等の貯留容量を確保しつつ、ラインの設置に必要なスペースを抑えることができ、ラインの長さも短くなる。設置可能なスペースに合わせてラインのコンベヤ等を曲げて取り回す必要がなくなることで、直線的なシンプルなラインを実現することができる。アキュームレーション装置200,300を備えることで、パッケージライン4の長さが短いため、ガイドの高さ変更等の型替え作業に要する時間を短縮することができる。
以上より、設置に必要なスペースが小さく、型替え作業も容易な製造ライン1は、多品種小ロット生産に好適である。
【0093】
上記のように貯留部25,35に高密度に容器5が並べられ、その貯留部25,35から容器5が取り出されることは、個別に移動可能な可動子2により容器5を搬送し、かつ、可動子2による搬送方向に対して交差する方向D1へと容器5を貯留部25,35に移載する手法により実現されている。つまり、任意の位置および速度に制御可能な複数の可動子2を有する搬送部21,22,31と、貯留部25,35とを備えてこそ、アキュームレーション装置200,300が実現する。
【0094】
個別に移動可能な可動子2を有する搬送部21,22,31によれば、複数の可動子2のピッチが可変であり、容器5の受け渡し時には必要なピッチに可動子2が配置される一方、それ以外の時にはピッチを詰めて可動子2を配置することができる。そのため、ロータリー式の搬送装置やコンベヤ等、容器5を一斉に移動させる搬送装置と比べ、同じ搬送能力でも搬送部21,22,31はスペースをとらない。
貯留部25(または貯留部35)の端部に沿って搬送部21,22(または搬送部31)を配置することで、アキュームレーション装置200,300をそれぞれ、まとまり良く配置することができる点でも、ラインの設置に必要なスペースを抑えることができる。
アキュームレーション装置200,300を備えたパッケージライン4によれば、典型的なアキュームレーションコンベヤを備える場合と比べて、ラインの設置に必要な床面積を大幅に節減することができる。
【0095】
パッケージライン4が単に、リニアモータ式の搬送装置を備えているだけでは、上流ラインL1またはパッケージライン4の装置や機械が停止した場合に製造ライン1全体を停止させる必要がある。それに対し、アキュームレーション装置200,300によれば、前後の工程で装置が停止したり、前後に搬送能力差が存在していたとしても、貯留部25,35の貯留容量に応じて、容器5を受け入れたり、留め置かれた容器5を排出することができる間は、工程を連続させて、効率よく製造ライン1を稼働させることができる。
以上より、本実施形態によれば、ラインの設置に必要なスペースを抑えつつ、アキュームレーション機能を確保しながら、容器5に加えられる負荷を抑えて、さらに、型替え作業も軽減することができる。
しかも、本実施形態によれば、貯留部25,35に容器5を順次並べ、貯留部25,35から容器5を順次排出させることができるので、個々の容器5の特定が可能であり、トレーサビリティを確保することができる。
【0096】
個別に移動可能な複数の可動子2を有する搬送部21,22,31を備えることで実現するアキュームレーション装置200,300は、個別に移動可能な複数の可動子2を備えた搬送装置として代表的であるリニアモータ式搬送装置の重要な応用例となる。
本実施形態に開示した具体的な手法により、容器5に一定のピッチを割り出したり、上流や下流の搬送部との間で容器5を受け渡す際に同期を図ったりすることができる。あるいは、搬送路20Rや搬送路30Rを可動子2により容器5を搬送する間にも、容器5への必要な処理に対して一定ピッチの割り出しや、同期をとることを可動子2の駆動制御により実現することができる。
搬送路20Rや搬送路30Rを可動子2により容器5を搬送する間に容器5に対して行われる処理としては、例えば、各種の検査がある。
【0097】
アキュームレーション装置200,300は、パッケージライン4に限らず、必要に応じて、上流ラインL1にも適用することができる。
【0098】
上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
本発明のアキュームレーション装置およびアキュームレーティング方法は、製造ラインの他、種々の物品を搬送する物流ライン等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0099】
1 製造ライン
2 可動子
2A グリッパ
4 パッケージライン(パッケージ設備)
5 容器(物品)
5A 部位
5C キャップ
11 成形機
12 無菌充填装置
12A 転送スターホイル(供給部)
12C 切欠部
20R 搬送路
20R1,20R2 区間
21 第1搬送部(搬送機構、第1の搬送機構)
21C 電磁コイル
22 第2搬送部(搬送機構、第2の搬送機構)
25 貯留部
30R 搬送路
30R1,30R2 区間
31 搬送部
35 貯留部
41 第1ラベラ
41A 転送スターホイル
41C 切欠部
42 第2ラベラ
43,46 検査装置
44 箱詰め機(梱包機)
44A ロボットアーム
44H ハンド装置
45 封函機
46 検査装置
47 段積機
50 ボトル本体
51 胴部
52 底部
53 首部
53A 鍔
54 開口
200 アキュームレーション装置
200A サンプリングライン
200B リジェクトライン
201 第1移載部
202 第2移載部
251~254 領域
300 アキュームレーション装置
301 移載部
351,352 領域
411 ラベル供給部
421 ラベル供給部
431 コンベヤ(供給部)
441 箱供給部
442 コンベヤ
442A 作業領域
443,444 仮置き場
B 箱
D1 配列方向
D2 直交方向
G1,G2 グリッパ
L1 上流ライン
A0 待機ステップ
A1 加速ステップ
A2 容器速度取得ステップ
A3 補正同期ステップ
A31,A32 ステップ
P1~P3 受け渡し箇所
S0~S2 センサ