(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/28 20060101AFI20220117BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20220117BHJP
【FI】
A47L9/28 E
G05D1/02 H
(21)【出願番号】P 2017101948
(22)【出願日】2017-05-23
【審査請求日】2020-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 浩太
(72)【発明者】
【氏名】丸谷 裕樹
【審査官】柿沼 善一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-211359(JP,A)
【文献】特開2005-205028(JP,A)
【文献】特開2002-085305(JP,A)
【文献】特開平05-027833(JP,A)
【文献】特開2017-029249(JP,A)
【文献】特開2016-120168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/28
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースと、
この本体ケースを走行可能とする駆動部と、
掃除をする掃除部と、
地図データを記憶する記憶手段と、
外部から複数の掃除領域の情報を取得する情報取得手段と、
この情報取得手段により取得した情報に基づき前記記憶手段に記憶された地図データから複数の掃除領域を判別する判別手段と、
前記駆動部の駆動を制御すること
で前記本体ケースを自律走行させる走行制御手段と、
電源となる電池と、を具備し、
前記走行制御手段は、前記情報取得手段により取得した情報から前記判別手段により判別した全掃除領域を参照し
、走行する前記掃除領域と走行しない前記掃除領域とを識別するとともに、走行する前記掃除領域の走行順を、最も効率よく前記本体ケースを走行させるよう
に設定する
ことを特徴とした電気掃除機。
【請求項2】
判別手段は、情報取得手段により取得した情報に基づき、本体ケースが現存する掃除領域を判別する
ことを特徴とした請求項1記載の電気掃除機
。
【請求項3】
情報取得手段は、外部装置との通信手段である
ことを特徴とした請求項1
または2記載の電気掃除機。
【請求項4】
外部装置は、携帯端末である
ことを特徴とした請求項
3記載の電気掃除機。
【請求項5】
本体ケースの周囲を検出する周囲検出センサを具備し、
走行制御手段は、本体ケースを走行させる掃除領域の走行順を設定する際に、前記周囲検出センサによる検出結果を加味する
ことを特徴とした請求項1ないし
4いずれか一記載の電気掃除機。
【請求項6】
走行制御手段は、掃除対象と判断した掃除領域の出入口が閉じられているときには、その掃除領域の順番を飛ばして次の掃除対象の掃除領域へと本体ケースを走行させる
ことを特徴とした請求項
5記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、自律走行可能な電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被掃除面としての床面上を自律走行しながら床面を掃除する、いわゆる自律走行型の電気掃除機(掃除ロボット)が知られている。
【0003】
このような電気掃除機において、効率のよい掃除を実現するために、掃除したい部屋の大きさや形状、および障害物などを地図データに反映して作成(マッピング)し、この作成した地図データに基づいて最適な走行経路を設定して、その走行経路に沿って走行する技術がある。
【0004】
しかしながら、作成された地図データは、掃除領域全体のものであり、掃除領域中の個々の部屋を認識するものでないため、例えば一の部屋の掃除が完了しないうちに他の部屋へと走行し、その部屋の掃除が完了した後に一の部屋に戻ってきて残りを掃除するなどの、掃除者が掃除をする際には通常採らない動作をするおそれがあり、電気掃除機の性能を使用者にアピールしにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、スマートな掃除動作を使用者にアピールできる電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の電気掃除機は、本体ケースと、駆動部と、掃除部と、記憶手段と、情報取得手段と、判別手段と、走行制御手段と、電源となる電池と、を有する。駆動部は、本体ケースを走行可能とする。掃除部は、掃除をする。記憶手段は、地図データを記憶する。情報取得手段は、外部から複数の掃除領域の情報を取得する。判別手段は、情報取得手段により取得した情報に基づき記憶手段に記憶された地図データから複数の掃除領域を判別する。走行制御手段は、駆動部の駆動を制御することで本体ケースを自律走行させる。走行制御手段は、情報取得手段により取得した情報から判別手段により判別した全掃除領域を参照し、走行する掃除領域と走行しない掃除領域とを識別するとともに、走行する掃除領域の走行順を、最も効率よく本体ケースを走行させるように設定する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態の電気掃除機の内部構造を示すブロック図である。
【
図3】同上電気掃除機を下方から示す平面図である。
【
図4】同上電気掃除機の周囲検出センサによる物体の三次元座標の計算方法を模式的に示す説明図である。
【
図5】同上電気掃除機の識別物の設置例を示す斜視図である。
【
図6】(a)は同上識別物の一の実施例を示す説明図、(b)は同上識別物の他の実施例を示す説明図、(c)は同上識別物のさらに他の実施例を示す説明図、(d)は同上識別物のさらに他の実施例を示す説明図、(e)は同上識別物のさらに他の実施例を示す説明図である。
【
図7】同上電気掃除機の外部装置からの情報の入力を模式的に示す説明図である。
【
図8】同上電気掃除機の制御の一部を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態の構成を、図面を参照して説明する。
【0010】
図1ないし
図3において、11は電気掃除機であり、この電気掃除機11は、この電気掃除機11の充電用の基地部となる基地装置としての図示しない充電装置(充電台)とともに自律走行体装置としての電気掃除装置(電気掃除システム)を構成するものである。そして、電気掃除機11は、本実施形態において、走行面としての被掃除面である床面上を自律走行(自走)しつつ床面を掃除する、いわゆる自走式のロボットクリーナ(掃除ロボット)である。
【0011】
そして、この電気掃除機11は、中空状の本体ケース20を備えている。また、この電気掃除機11は、駆動部である駆動輪21を備えている。さらに、この電気掃除機11は、塵埃を掃除する掃除部22を備えている。また、この電気掃除機11は、情報取得手段としてのセンサ部23を備えている。さらに、この電気掃除機11は、例えば有線、あるいは無線によりネットワークを介して通信する情報取得手段としての通信手段である通信部24を備えている。また、この電気掃除機11は、コントローラである制御手段(制御部)25を備えている。さらに、この電気掃除機11は、報知手段としての表示部を備えていてもよい。そして、この電気掃除機11は、給電用の電池である二次電池を備えていてもよい。さらに、この電気掃除機11は、外部装置29や使用者との間で信号が入出力される入出力部を備えていてもよい。この外部装置29は、建物の内部では例えばホームゲートウェイを介してネットワークに対して有線あるいは無線通信可能であるとともに、建物の外部ではネットワークに対して有線あるいは無線通信可能な、例えばPC(タブレット端末(タブレットPC))や携帯端末であるスマートフォン(携帯電話)などの汎用のデバイスである。この外部装置29は、画像を表示する液晶表示装置などの表示機能を有している。また、この外部装置29は、使用者が操作を入力するタッチパネルなどの入力機能を備えている。なお、以下、電気掃除機11(本体ケース20)の走行方向に沿った方向を前後方向(
図2に示す矢印FR,RR方向)とし、この前後方向に対して交差(直交)する左右方向(両側方向)を幅方向として説明する。
【0012】
本体ケース20は、例えば合成樹脂などにより形成されている。この本体ケース20は、例えば扁平な円柱状(円盤状)などに形成されていてもよい。また、この本体ケース20には、集塵口である吸込口31などが床面に対向する下部などに設けられていてもよい。
【0013】
駆動輪21は、電気掃除機11(本体ケース20)を床面上で前進方向および後退方向に走行(自律走行)させる、すなわち走行用のものである。本実施形態では、この駆動輪21は、例えば本体ケース20の左右に一対設けられている。この駆動輪21は、駆動手段としてのモータ33により駆動される。なお、この駆動輪21に代えて、駆動部としての無限軌道などを用いることもできる。
【0014】
モータ33は、駆動輪21に対応して配置されている。したがって、本実施形態では、このモータ33は、例えば左右一対設けられている。そして、このモータ33は、各駆動輪21を独立して駆動させることが可能となっている。
【0015】
掃除部22は、例えば床面や壁面などの被掃除部の塵埃を除去するものである。この掃除部22は、例えば床面上の塵埃を吸込口31から集めて捕集したり、壁面を拭き掃除したりする機能を有している。この掃除部22は、吸込口31から空気とともに塵埃を吸い込む電動送風機35と、吸込口31に回転可能に取り付けられて塵埃を掻き上げる回転清掃体としての回転ブラシ36およびこの回転ブラシ36を回転駆動させるブラシモータ37と、本体ケース20の前側などの両側に回転可能に取り付けられて塵埃を掻き集める旋回清掃部としての補助掃除手段(補助掃除部)であるサイドブラシ38およびこのサイドブラシ38を駆動させるサイドブラシモータ39との少なくともいずれかを備えていてもよい。また、この掃除部22は、吸込口31と連通して塵埃を溜める集塵部40を備えていてもよい。
【0016】
センサ部23は、電気掃除機11(本体ケース20)の走行をサポートする各種の情報をセンシングするものである。より具体的に、このセンサ部23は、例えば床面の凹凸状態(段差)や、走行の障害となる壁あるいは障害物、床面の塵埃量などをセンシングするものである。このセンサ部23は、周囲検出センサ41を備えている。また、このセンサ部23は、例えば赤外線センサや、塵埃量センサ(ごみセンサ)を備えていてもよい。
【0017】
周囲検出センサ41は、本体ケース20の周囲の形状を検出するものである。この周囲検出センサ41は、撮像手段としてのカメラ51を備えている。また、この周囲検出センサ41は、判定部52を備えている。なお、この周囲検出センサ41は、検出補助手段(検出補助部)としてのランプ53を備えていてもよい。
【0018】
カメラ51は、本体ケース20の走行方向である前方を、それぞれ所定の水平画角(例えば105°など)でデジタルの画像を所定時間毎、例えば数十ミリ秒毎などの微小時間毎、あるいは数秒毎などに撮像するデジタルカメラである。このカメラ51は、単数でも複数でもよい。本実施形態では、カメラ51は、左右一対設けられている。すなわち、このカメラ51は、左右に離間されて本体ケース20の前部に配置されている。また、これらカメラ51,51は、互いの撮像範囲(視野)が重なっている。そのため、これらカメラ51,51により撮像される画像は、その撮像領域が左右方向にラップしている。なお、カメラ51により撮像する画像は、例えば可視光領域のカラー画像や白黒画像でもよいし、赤外線画像でもよい。
【0019】
判定部52は、カメラ51により撮像された画像中から特徴点などを抽出することにより、撮像された画像から本体ケース20の周囲に位置する物体(障害物など)の形状(物体の距離および高さなど)を検出するように構成されている。換言すれば、この判定部52は、カメラ51により撮像された画像に基づいて本体ケース20からの距離を算出した物体が障害物であるかどうかを判定するように構成されている。例えば、この判定部52は、既知の方法を用いて、カメラ51により撮像した画像と、カメラ51間の距離とに基づいて物体(特徴点)の距離(深度)および三次元座標を計算するように構成されている。すなわち、この判定部52は、具体的に、カメラ51,51とこれらカメラ51,51により撮像された画像G,Gの物体O(特徴点SP)との距離f(視差)、および、カメラ51,51間の距離lに基づく三角測量を応用し、カメラ51,51により撮像した各画像G,G中から同一位置を示す画素ドットを検出し、この画素ドットの上下方向、左右方向および前後方向の角度を計算して、これら角度とカメラ51,51間の距離lとからその位置のカメラ51からの距離および高さを計算するとともに物体O(特徴点SP)の三次元座標を算出するように構成されている(
図4)。また、この判定部52は、例えば所定の画像範囲(例えば本体ケース20の幅および高さに対応して設定された画像範囲)中に撮像されている物体の距離を、予め設定された、あるいは可変設定された閾値である設定距離と比較し、この設定距離以下の距離(電気掃除機11(本体ケース20)からの距離)に位置する物体を障害物であると判定するように構成されている。なお、この判定部52は、例えばカメラ51により撮像した生画像のレンズの歪み補正やノイズの除去、コントラスト調整、および画像中心の一致化などの一次画像処理をする画像補正機能を備えていてもよい。また、この判定部52は、制御手段25に設けられていてもよい。さらに、カメラ51が単数である場合には、判定部52は、電気掃除機11(本体ケース20)が移動したときに、対象物の座標の移動量から距離を計算することもできる。
【0020】
ランプ53は、カメラ51の撮像範囲を照明することで撮像に必要となる明るさを得るものである。このランプ53は、例えば各カメラ51に対応して設けられている。このランプ53は、例えばLEDなどが用いられる。
【0021】
通信部24は、例えば外部装置29と無線通信をするための無線通信手段(無線通信部)および掃除機信号受信手段(掃除機信号受信部)としての無線LANデバイスである。この通信部24には、例えばウェブサーバ機能が付与されていてもよい。
【0022】
制御手段25は、例えば制御手段本体(制御部本体)であるCPUやROMおよびRAMなどを備えるマイコンが用いられる。この制御手段25は、駆動輪21(モータ33)を駆動させる走行制御手段である走行制御部61を備えている。また、この制御手段25は、掃除部22と電気的に接続される掃除制御手段である掃除制御部62を備えている。さらに、この制御手段25は、センサ部23と電気的に接続されるセンサ制御手段であるセンサ接続部63を備えている。また、この制御手段25は、マッピング手段(マッピング部)としての地図生成部64を備えている。さらに、この制御手段25は、通信部24と電気的に接続される通信制御手段である通信制御部65を備えている。さらに、この制御手段25は、表示部と電気的に接続される表示制御手段としての表示制御部を備えていてもよい。すなわち、この制御手段25は、掃除部22、センサ部23、通信部24、および、表示部などと電気的に接続されている。また、この制御手段25は、二次電池と電気的に接続されている。そして、この制御手段25は、例えばフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶手段であるメモリ67を備えている。また、この制御手段25は、判別手段である判別部68を備えている。さらに、この制御手段25は、二次電池の充電を制御する充電制御部を備えていてもよい。
【0023】
走行制御部61は、モータ33の駆動を制御する、すなわち、モータ33に流れる電流の大きさおよび向きを制御することにより、モータ33を正転、あるいは逆転させることで、モータ33の駆動を制御し、モータ33の駆動を制御することで駆動輪21の駆動を制御するものである。この走行制御部61は、後述する地図生成部64により作成した地図データに基づいて、最適な走行ルートを設定するように構成してもよい。ここで、作成する最適な走行ルートとしては、地図データ中の掃除可能な領域(障害物や段差などの走行不能な領域を除く領域)を最短の走行距離で走行できるルート、例えば電気掃除機11(本体ケース20)が可能な限り直進する(方向転換が最も少ない)ルート、障害物となる物体への接触が少ないルート、あるいは、同じ箇所を重複して走行する回数が最小となるルートなど、効率的に走行(掃除)を行うことができるルートが設定される。また、この走行制御部61は、センサ部23(周囲検出センサ41および赤外線センサ)により検出した障害物に応じて走行ルートを随時変更することもできる。さらに、走行制御部61は、二次電池の残量に基づき、電気掃除機11(本体ケース20)の走行速度や走行ルートを設定することもできる。例えば、二次電池の残量が不充分な場合には、電気掃除機11(本体ケース20)の速度を相対的に大きく設定し、短時間でより広い掃除領域を掃除できるようにしてもよい。
【0024】
掃除制御部62は、掃除部22の電動送風機35、ブラシモータ37およびサイドブラシモータ39の駆動を制御する、すなわち、電動送風機35、ブラシモータ37、および、サイドブラシモータ39の通電量をそれぞれ別個に制御することで、これら電動送風機35、ブラシモータ37(回転ブラシ36)、および、サイドブラシモータ39(サイドブラシ38)の駆動を制御する。
【0025】
センサ接続部63は、センサ部23(周囲検出センサ41、赤外線センサ、塵埃量センサ)による検出結果を取得するものである。また、このセンサ接続部63は、カメラ51の動作(シャッタ動作など)を制御して所定時間毎にカメラ51により画像を撮像させる撮像制御部やランプ53の動作(ランプ53のオンオフ)を制御する照明制御部の機能を備えていてもよい。
【0026】
地図生成部64は、周囲検出センサ41により検出された本体ケース20の周囲の形状(障害物となる物体の距離および高さ)に基づき掃除領域を走行可能であるかどうかを示す地図(マップ)データを作成するものである。具体的に、この地図生成部64は、カメラ51により撮像した画像中の物体の特徴点の三次元座標に基づき、電気掃除機11の自己位置、および、障害物となる物体の有無を判断するとともに、電気掃除機11(本体ケース20)が配置された掃除領域内に位置する物体(障害物)などの位置関係および高さを記す地図データを作成する。すなわち、この地図生成部64には、既知のSLAM(simultaneous localization and mapping)技術を用いることができる。
【0027】
通信制御部65は、通信部24の駆動を制御することで、外部装置29との間で直接、または、インターネットなどのネットワークを介して情報を通信部24により送受信させるものである。通信部24から外部装置29へと送受信される情報は任意に設定できるが、本実施形態においては、少なくとも掃除領域を識別する情報を含んでいることが好ましい。
【0028】
メモリ67には、地図生成部64により生成された地図データ、あるいは、外部装置29から通信部24を介して受信した地図データなどを記憶しておくことができる。
【0029】
判別部68は、メモリ67に記憶された地図データから、複数の掃除領域(例えば複数の部屋)CLA、あるいは掃除領域CLAどうしを連結する連結領域(例えば廊下)CNAなどを、センサ部23や通信部24により取得した情報に基づいて判別可能となっている。具体的に、判別部68は、掃除領域、あるいは連結領域に取り付けられた識別物Dからセンサ部23を介して取得した情報や、通信部24を介して使用者から入力された情報に基づいて、複数の掃除領域(例えば複数の部屋)CLA、あるいは掃除領域CLAどうしを連結する連結領域(例えば廊下)CNAなどを判別可能となっている。なお、この判別部68は、上記判定部52と一体に構成されていてもよい。
【0030】
識別物Dとしては、例えば光を出射するLEDなどの照明手段(照明部)や、超音波、あるいは赤外線などを出力する出力手段(出力部)などでもよいが、センサ部23(周囲検出センサ41)のカメラ51により撮像されて画像処理により情報を識別でき、かつ、設置が容易な、ARマーカやQRコード(登録商標)などの白黒で構成された標識が好適に用いられる。この識別物Dは、好ましくはシールなど、掃除領域に容易に着脱できるものを用いる。また、この識別物Dは、掃除領域CLAに対して電気掃除機11(本体ケース20)が出入りする箇所に取り付けられることが好ましい。さらに、この識別物Dは、互いに異なる掃除領域どうしを連結する連結領域(例えば廊下)側にさらに取り付けられることが好ましい。この識別物Dは、例えば電気掃除機11(本体ケース20)が部屋に対して出入りする出入口E近傍の壁面W、特に壁面Wの下側寄りに取り付けられることが好ましい(
図5)。
【0031】
この識別物Dの例を、
図6(a)ないし
図6(e)に示す。
図6(a)ないし
図6(c)に示す識別物D1~D3は、例えば掃除領域を識別する掃除領域の番号(1~3)を記したARマーカである。これらの番号は、単に掃除領域を識別するための情報(ID)として用いることもできるし、掃除領域の掃除順を示す番号として用いることもできる。また、
図6(d)および
図6(e)は、例えば掃除領域(部屋)への出入口の方向を記したARマーカである。例えば
図6(d)に示す識別物D4は、この識別物D4の右側に出入口があることを示す、右向きの矢印を模したARマーカであり、
図6(e)に示す識別物D5は、この識別物D5の左側に出入口があることを示す、左向きの矢印を模したARマーカである。
【0032】
なお、識別物としてARマーカを用いる場合には、カメラ51(
図1)により撮像されて画像処理により情報を識別できる図形であれば任意のものを用いることができるため、上記の識別物D1~D5のように、使用者にとってその識別物が示す情報を直感的に理解しやすい図形を用いることができるようにすることが好ましいが、例えば識別物を掃除領域の出入口に対して常に所定の位置関係を有するように取り付ける(例えば識別物を常に出入口に対して左下側の壁面に取り付ける)ことができる場合など、識別物とその識別物により示される情報の対象物との関係が固定可能なものである場合には、識別物の図形ではなく、識別物の有無のみで情報を示すこともできる。また、掃除領域への出入口が複数ある場合には、それぞれの近傍に識別物を取り付ければよい。
【0033】
また、使用者から外部装置29を介して入力される情報は、例えば通信部24(
図1)を介して外部装置29に送信された、電気掃除機11のメモリ67(
図1)に記憶された地図データMから使用者が掃除領域CLAや連結領域CNAの範囲Aを囲むことで掃除領域CLAや連結領域CNAの範囲を指定したり、これら囲んだ範囲Aを順次タップすることで走行(掃除)する掃除領域CLAの順番を指定したりした情報とする(
図7)。このとき、例えばすべての掃除領域CLAおよび連結領域CNAの範囲を一つずつ囲んで指定してもよいし、各掃除領域CLAの範囲のみを囲むことで、地図データMの全掃除領域CLAのうち、囲まれていない領域が連結領域CNAとなるように設定してもよい。
【0034】
なお、地図データがメモリ67(
図1)に記憶されていない場合には、電気掃除機11に対して地図データを作成するように指令を出力することもできるし、使用者がアプリケーションなどによって外部装置29に表示された適宜のグリッドを用いてこのグリッド単位で地図を作成したり、電気掃除機11(本体ケース20)の走行開始位置(掃除開始位置)を指定したりすることもできる。このように設定された掃除領域や連結領域の範囲、および、それらの走行順(掃除順)は、電気掃除機11へと送信され、通信部24により受信されてメモリ67の地図データに紐付けられて記憶されることが好ましい。
【0035】
まとめると、地図データの作成、掃除領域の判別、および、掃除領域の走行順(掃除順)のそれぞれは、センサ部23(周囲検出センサ41)を介して電気掃除機11側が自律走行によって自主的に行ってもよいし、外部装置29を介して使用者が入力して通信部24を介して電気掃除機11側に受信させてもよい。したがって、地図データの作成、掃除領域の判別、および、掃除領域の走行順(掃除順)の少なくともいずれかを、センサ部23(周囲検出センサ41)を介して電気掃除機11側が自律走行によって自主的に行い、残りの他を、外部装置29を介して使用者が入力して通信部24を介して電気掃除機11側に受信させるようにするなど、センサ部23(周囲検出センサ41)による検出と、外部装置29からの入力の通信部24による受信とは、任意に組み合わせることもできる。
【0036】
なお、
図1に示す走行制御部61、掃除制御部62、センサ接続部63、地図生成部64、通信制御部65、表示制御部、メモリ67、および、判別部68は、本実施形態においてそれぞれ制御手段25に一体的に備えられる構成としたが、互いに別個に備えられていてもよいし、それぞれの少なくともいずれかが任意に組み合わせされて一体的に構成されていてもよい。
【0037】
二次電池は、掃除部22、センサ部23、通信部24、制御手段25、および、表示部などに給電するものである。また、この二次電池は、例えば本体ケース20の下部などに露出する接続部としての充電端子71(
図3)と電気的に接続されており、これら充電端子71(
図3)が充電装置側と電気的および機械的に接続されることで、この充電装置を介して充電されるようになっている。
【0038】
充電装置は、例えば定電流回路などの充電回路を内蔵している。また、この充電装置には、二次電池の充電用の充電用端子が設けられている。この充電用端子は、充電回路と電気的に接続されており、充電装置に帰還した電気掃除機11の充電端子71(
図3)と機械的および電気的に接続されるようになっている。
【0039】
次に、上記一実施形態の動作を説明する。
【0040】
一般に、電気掃除装置は、電気掃除機11によって掃除をする掃除作業と、充電装置によって二次電池を充電する充電作業とに大別される。充電作業は、充電装置に内蔵された充電回路を用いる既知の方法が用いられるため、掃除作業についてのみ説明する。また、外部装置などからの指令に応じてカメラ51により所定の対象物を撮像する撮像作業を別途備えていてもよい。
【0041】
まず、掃除の開始から終了までの概略を説明する。電気掃除機11は、掃除を開始すると、メモリ67に地図データが記憶されていない場合には、自ら地図を生成してメモリ67に記憶してもよいし、外部装置29などから地図データが入力されてメモリ67に記憶されるのを待機してから掃除を開始してもよい。そして、通信部24により取得した情報、あるいは、センサ部23(周囲検出センサ41)により取得した情報に基づいて、メモリ67に記憶された地図データから、判別部68が掃除領域(部屋)や連結領域(廊下)を判別し、その判別した部屋毎に自律走行して順次掃除を行う。すなわち、電気掃除機11は、一つの掃除領域の掃除が完了すると、次の掃除領域の掃除に移行する。すべての掃除領域の掃除が終了すると、電気掃除機11は、充電装置へと帰還した後、二次電池の充電作業に移行する。
【0042】
上記の制御をより具体的に説明すると、電気掃除機11は、例えば予め設定された掃除開始時刻となったときや、リモコンまたは外部装置29によって送信された掃除開始の制御コマンドを入出力部によって受信したとき、あるいは電源が投入されたときなどのタイミングで、制御手段25が待機状態から走行モード(掃除モード)に切り換わる。次いで、電気掃除機11は、メモリ67に全掃除領域の地図データが記憶されていない場合には、使用者が外部装置29により地図データを入力する、または、走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の駆動を制御することで本体ケース20を自律走行させつつセンサ部23(周囲検出センサ41)により取得した電気掃除機11(本体ケース20)の周囲の情報に基づいて地図生成部64により地図を生成する。このとき、電気掃除機11は、使用者が外部装置29を用いて入力した情報、または、各掃除領域に設置された識別物により、判別部68が掃除領域を識別する情報を取得し、この情報に基づいて掃除領域を判別することができる。
【0043】
一方、メモリ67に全掃除領域の地図データが記憶されている場合、充電装置から掃除を開始するときには、走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の駆動を制御して、電気掃除機11(本体ケース20)を充電装置に対して離脱させる。また、充電装置でない位置から掃除を開始するときには、判別部68が、センサ部23(周囲検出センサ41)により取得した電気掃除機11(本体ケース20)の周囲の情報、あるいは、外部装置29を介して使用者により入力され通信部24により受信した情報を、メモリ67に記憶されている地図データに登録されている情報と照合して、電気掃除機11(本体ケース20)が現存する掃除領域(部屋)、および、その掃除領域における電気掃除機11(本体ケース20)の位置を識別する。そして、電気掃除機11は、判別部68が掃除領域を判別する。この判別の際には、例えばメモリ67に記憶されている地図データに登録されている各掃除領域の情報(例えば掃除領域の掃除順を示す番号などの掃除領域のID)をそのまま使用してもよいし、新たに情報を登録し、この新たに登録した情報を使用してもよい。この新たな情報は、例えば外部装置29を介して使用者により入力され通信部24により受信して取得してもよいし、走行制御部61が電気掃除機11(本体ケース20)を掃除領域で自律走行させてセンサ部23(周囲検出センサ41)を介して識別物から取得してもよい。
【0044】
さらに、判別した掃除領域について、走行制御部61により電気掃除機11(本体ケース20)を自律走行させる掃除領域の順番、すなわち掃除領域の掃除順を設定する。この設定については、掃除領域の情報に含まれる番号(外部装置29により設定された番号、または、識別物から読み取った番号)で設定してもよいし、走行制御部61により自動的に設定してもよい。この自動設定の場合には、例えば電気掃除機11(本体ケース20)が現存する掃除領域から順次隣接する掃除領域へと走行(掃除)していくように設定してもよいし、全掃除領域を参照して最も効率よく走行(掃除)できるように設定してもよい。同様に、電気掃除機11(本体ケース20)を走行させない、すなわち掃除させない掃除領域を設定してもよい。
【0045】
次いで、地図データから識別された、掃除対象となる複数の掃除領域、または、これら掃除領域を連結する連結領域に基づき走行制御部61が走行ルートを設定する。この走行ルートは、例えば識別された掃除領域毎や連結領域毎に設定される。
【0046】
そして、走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の駆動を制御することで本体ケース20を設定した走行ルートに沿って自律走行させつつ、掃除制御部62が掃除部22を動作させて掃除領域、あるいは連結領域の床面を掃除する。掃除部22では、例えば制御手段25(掃除制御部62)により駆動された電動送風機35、ブラシモータ37(回転ブラシ36)、あるいはサイドブラシモータ39(サイドブラシ38)により床面の塵埃を、吸込口31を介して集塵部40へと捕集する。また、電気掃除機11は、自律走行の際、センサ部23の周囲検出センサ41や赤外線センサにより地図データに記されていない障害物などの物体の三次元座標や位置を検出すると、地図生成部64が地図データに反映させ、メモリ67に記憶することもできる。
【0047】
電気掃除機11(本体ケース20)は、掃除対象となる一の掃除領域に設定された走行ルートの走行および掃除を完了すると、次の掃除対象となる掃除領域に移動し、この掃除領域に設定された走行ルートに沿って走行しつつ掃除する。これら走行ルートは、掃除領域を移動したときに、その移動した先の掃除領域の走行ルートを設定してもよいし、掃除開始のタイミングですべての掃除領域毎に、あるいは連結領域毎に走行ルートを予め設定していてもよい。このとき、例えば掃除をする予定の掃除領域の出入口が、その出入口を開閉するドアなどにより閉じられている場合には、走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の駆動を制御することで、その掃除領域の順番を飛ばして、次の掃除対象の掃除領域に移動するようにするなどの制御をすることも可能である。
【0048】
そして、掃除対象となるすべての掃除領域に設定された走行ルートを走行すると、掃除動作を終了し、電気掃除機11は、走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の駆動を制御して充電装置に帰還し、この充電装置と接続(充電端子71と充電用端子とを機械的および電気的に接続)する。この後、この接続後直ちに、あるいは接続から所定時間後など、所定のタイミングで充電動作に移行することができる。
【0049】
上記の制御の一例を、
図8に示すフローチャートも参照しながら説明する。
【0050】
まず、電気掃除機11は、掃除を開始すると、メモリ67に地図データが記憶されているか否かを判断する(ステップS1)。このステップS1において、メモリ67に地図データが記憶されていないと判断した場合には、地図データを使用者が外部装置29により入力する、または、走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の駆動を制御して電気掃除機11(本体ケース20)を全掃除領域で自律走行させて地図作成部64により地図を作成する(ステップS2)。そして、電気掃除機11では、判別部68がこの地図データから、使用者により外部装置29を介して入力され通信部24により受信した情報、または、センサ部23(周囲検出センサ41)により識別物Dを介して取得した情報に基づいて掃除領域を判別し(ステップS3)、ステップS9に進む。
【0051】
また、ステップS1において、メモリ67に地図データが記憶されていると判断した場合には、電気掃除機11が充電装置に接続されているか否かを判断する(ステップS4)。このステップS4において、充電装置に接続されていると判断した場合には、走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の駆動を制御して電気掃除機11(本体ケース20)を充電装置から離脱させ(ステップS5)、ステップS7に進む。また、ステップS4において、充電装置に接続されていないと判断した場合には、電気掃除機11(本体ケース20)が現存する掃除領域を識別し(ステップS6)、ステップS7に進む。
【0052】
そして、メモリ67に記憶されている地図データに含まれる各掃除領域の識別情報を用いて判別部68が掃除領域を判別するか否かを判断する(ステップS7)。このステップS7において、地図データに含まれる各掃除領域の識別情報を用いて判別すると判断した場合には、そのままステップS9に進み、地図データに含まれる各掃除領域の識別情報を用いずに判別すると判断した場合には、判別部68が地図データから、使用者により外部装置29を介して入力され通信部24により受信した情報、または、センサ部23(周囲検出センサ41)により識別物を介して取得した情報に基づいて掃除領域を判別し(ステップS8)、ステップS9に進む。
【0053】
次いで、走行制御部61は、電気掃除機11(本体ケース20)を自律走行させる掃除領域の順番、すなわち掃除領域の掃除順を決定する(ステップS9)。
【0054】
さらに、走行制御部61は、掃除領域での電気掃除機11(本体ケース20)の走行ルートを設定する(ステップS10)。このとき、走行ルートは、掃除領域に移動する毎にその掃除領域について設定してもよいし、一度にすべての掃除領域毎に設定してもよい。
【0055】
そして、このステップS10で設定された走行ルートに沿って、走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の駆動を制御して電気掃除機11(本体ケース20)を自律走行させるとともに、掃除制御部62が掃除部22を動作させて掃除をする(ステップS11)。また、電気掃除機11(本体ケース20)は、自律走行の際に、センサ部23(周囲検出センサ41)を介して周囲の情報を取得し、メモリ67に記憶されている地図データを随時更新して(ステップS12)、ステップS13に進んでもよい。
【0056】
この後、走行制御部61は、電気掃除機11(本体ケース20)が現存する掃除領域の走行ルートを走行し終えたか否か、換言すればその掃除領域を掃除し終えたか否かを判断する(ステップS13)。このステップS13において、走行ルートを走行し終えていない(掃除し終えていない)と判断した場合には、ステップS11に進む。また、このステップS13において、走行ルートを走行し終えた(掃除し終えた)と判断した場合には、走行制御部61は、電気掃除機11(本体ケース20)がすべての掃除領域を走行し終えたか否か、すなわちすべての掃除領域を掃除し終えたか否かを判断する(ステップS14)。
【0057】
このステップS14において、すべての掃除領域を走行し終えていない(すべての掃除領域を掃除し終えていない)と判断した場合には、走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の駆動を制御して、ステップS9で設定した掃除順にしたがい電気掃除機11(本体ケース20)を次の掃除順の掃除領域へと移動させ(ステップS15)、ステップS10に進む。なお、ステップS10ですべての掃除領域毎の走行ルートをすでに設定している場合には、ステップS15からステップS11に進むこともできる。
【0058】
また、ステップS14において、すべての掃除領域を走行し終えた(すべての掃除領域を掃除し終えた)と判断した場合には、走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の駆動を制御して、電気掃除機11(本体ケース20)を自律走行させて充電装置に帰還させ(ステップS16)、掃除制御を終了する。
【0059】
このように、地図データを利用して電気掃除機11(本体ケース20)が掃除領域を自律走行しつつ掃除部22により掃除する際、部屋などの掃除領域毎の区切りを判別していない場合、複数の掃除領域(部屋)を備えるときには、走行制御部61が電気掃除機11(本体ケース20)を、一の掃除領域の掃除が終了する前に他の掃除領域へと移動させる可能性がある。また、センサ部23(周囲検出センサ41)を用いた画像認識などにより掃除領域の出入口となる扉を認識することや、一定量の空間を認識することで掃除領域を判別することは可能であるものの、床面上を走行する電気掃除機11から扉全体をカメラ51で撮影することは容易でなく、空間認識においても、掃除領域中であっても狭い箇所は存在するため、天井カメラなどを設けない限り、誤検知の可能性が高くなる。
【0060】
そこで、本実施形態では、外部から複数の掃除領域の情報を取得するセンサ部23(周囲検出センサ41)および/または通信部24を備え、これらにより取得した掃除領域の情報に基づき、メモリ67に記憶された地図データから判別部68により複数の掃除領域を判別して、走行制御部61によって、掃除領域毎に電気掃除機11(本体ケース20)を自律走行させるようにすることで、電気掃除機11を、一つの掃除領域を確実に掃除した後に、次の掃除領域へと移動させることが可能になる。したがって、電気掃除機11が、一般的な掃除作業者が掃除の際に行う動作と同様に、掃除領域毎の掃除を自動で行うことで、スマートな掃除動作を使用者にアピールできる。
【0061】
また、センサ部23(周囲検出センサ41)および/または通信部24により取得する掃除領域の情報に、その掃除領域を識別するための情報を含むことで、掃除する掃除領域を自動または手動で設定することが可能となる。
【0062】
さらに、判別部68が、センサ部23(周囲検出センサ41)および/または通信部24により取得した掃除領域の情報に基づき、電気掃除機11(本体ケース20)が現存する掃除領域(部屋)を判別することで、例えば電気掃除機11が充電装置から自律走行(掃除)を開始せず、ある掃除領域に持ち運ばれて、そこから自律走行(掃除)を開始する場合でも、電気掃除機11が自己位置を見失わないようにすることができるとともに、掃除完了後に充電装置へと円滑に帰還させるように走行制御できる。
【0063】
また、走行制御部61が、センサ部23(周囲検出センサ41)および/または通信部24により取得した情報に含まれる掃除領域の順番に基づき電気掃除機11(本体ケース20)を自律走行させる掃除領域の順番を設定する場合には、例えば識別物の配置や、外部装置29による入力によって、使用者が掃除領域の順番を容易かつ確実に設定できる。
【0064】
あるいは、走行制御部61が、センサ部23(周囲検出センサ41)および/または通信部24により取得した情報により識別された掃除領域から電気掃除機11(本体ケース20)を自律走行させる掃除領域の順番を自動的に設定する場合には、使用者により掃除領域の掃除の順番を意図した識別物の配置や外部装置29からの入力などが不要となり、使い勝手を向上できる。
【0065】
さらに、走行制御部61が、センサ部23(周囲検出センサ41)および/または通信部24により取得した情報に基づき識別された掃除領域から電気掃除機11(本体ケース20)を走行させない掃除領域を設定することで、掃除をさせたくない掃除領域を容易に掃除対象から除外できる。
【0066】
また、外部装置29から送信された情報を通信部24により受信することにより電気掃除機11が周囲の掃除領域の情報を取得することで、外部装置29を通じて、使用者が電気掃除機11に対して掃除領域の情報を直接入力できる。特に、表示機能や入力機能および通信機能を予め備えているスマートフォンなどの携帯端末の場合には、電気掃除機11のメモリ67に記憶された地図データを表示したり、この地図データを作成したり、この地図データに対して掃除領域の範囲などを指定したりすることが可能となるアプリケーションを用いるだけで、掃除領域の情報を使用者が容易に外部装置29を用いて設定できる。
【0067】
さらに、掃除領域に取り付けられた識別物からセンサ部23(周囲検出センサ41)により掃除領域の情報を取得することで、使用者が識別物を掃除領域に取り付けるだけで、電気掃除機11が自動的に掃除領域を判別部68によって判別できる。
【0068】
また、識別物を電気掃除機11(本体ケース20)が掃除領域(部屋)に対して出入りする箇所に取り付けることで、この識別物が配置された位置から先は掃除領域でないということを電気掃除機11に対して明確に情報伝達できるため、掃除領域を効果的に判定できる。
【0069】
さらに、掃除させたい掃除領域の順番については、例えば順番に対応するARマーカなどを識別物として用い、使用者が掃除したい掃除領域の順番に取り付けおくことで、電気掃除機11が掃除開始時に地図に登録されている番号や、センサ部23(周囲検出センサ41)により識別物から取得した情報を確認する動作を行うことで、容易に実現できる。
【0070】
また、掃除領域どうしを連結する連結領域(廊下など)が存在する場合には、この連結領域側から掃除領域に対する出入口の近傍に識別物を取り付けることで、連結領域を掃除領域として認識でき、連結領域と掃除領域とを区別して、連結領域を隣の掃除領域と混同することなく掃除することができるとともに、連結領域も個別に掃除可能となる。
【0071】
さらに、識別物を使用者により自由に着脱可能とすることで、自由に掃除する掃除領域を設定できる。
【0072】
なお、上記一実施形態において、センサ部23(周囲検出センサ41)と通信部24とは、少なくともいずれか一方を備えていればよい。
【0073】
また、電気掃除機11は、例えば通信部24を介して外部装置29から地図データを入力できる構成であれば、地図生成部64を備えない構成とすることもできる。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
11 電気掃除機
20 本体ケース
21 駆動部である駆動輪
22 掃除部
23 情報取得手段としてのセンサ部
24 情報取得手段としての通信手段である通信部
29 外部装置
41
周囲検出センサ
61 走行制御手段である走行制御部
67 記憶手段であるメモリ
68 判別手段である判別部
CLA 掃除領域