IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中野冷機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ショーケースの除霜制御方法 図1
  • 特許-ショーケースの除霜制御方法 図2
  • 特許-ショーケースの除霜制御方法 図3
  • 特許-ショーケースの除霜制御方法 図4
  • 特許-ショーケースの除霜制御方法 図5
  • 特許-ショーケースの除霜制御方法 図6
  • 特許-ショーケースの除霜制御方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】ショーケースの除霜制御方法
(51)【国際特許分類】
   F25D 21/06 20060101AFI20220117BHJP
   F25D 21/02 20060101ALI20220117BHJP
   F25D 21/08 20060101ALI20220117BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20220117BHJP
   A47F 3/04 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
F25D21/06 N
F25D21/06 Q
F25D21/02 B
F25D21/02 F
F25D21/08 A
F25D11/00 101E
A47F3/04 Q
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017204274
(22)【出願日】2017-10-23
(65)【公開番号】P2019076292
(43)【公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000213493
【氏名又は名称】中野冷機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088720
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞一
(72)【発明者】
【氏名】篠塚 賢一
(72)【発明者】
【氏名】花村 英樹
(72)【発明者】
【氏名】柏木 健吾
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-118732(JP,A)
【文献】特開昭57-019578(JP,A)
【文献】実開昭59-108178(JP,U)
【文献】特開平05-288454(JP,A)
【文献】実開昭59-133983(JP,U)
【文献】特開平11-063744(JP,A)
【文献】特開2015-148351(JP,A)
【文献】実開昭60-167989(JP,U)
【文献】特開昭54-157360(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0081416(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 21/06
F25D 21/08
F25D 11/00
A47F 3/04
F25B 47/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショーケースの温調オン時間とそのショーケースの周囲環境により変動する係数Konの積により蒸発器に着霜する着霜量を正の値として求める工程と、
前記ショーケースの温調オフ時間とこのショーケースの周囲環境により変動する係数Koffの積により前記蒸発器から融霜される融霜量を負の値として求める工程と、
前記着霜量と前記融霜量とを積算して前記蒸発器に着霜している蒸発器着霜量を求める工程と、
除霜可能な着霜量の上限として周囲環境別に定められた限界着霜量と前記蒸発器着霜量とを比較する工程と、
前記蒸発器着霜量が前記限界着霜量を超えた場合に除霜を行う工程と、
を備え、
前記限界着霜量は、周囲空気の温度と湿度とから規定されたマトリクスから選択されることを特徴とするショーケースの除霜制御方法。
【請求項2】
ショーケースの温調オン時間とそのショーケースの周囲環境により変動する係数Konの積により蒸発器に着霜する着霜量を正の値として求める工程と、
前記ショーケースの温調オフ時間とこのショーケースの周囲環境により変動する係数Koffの積により前記蒸発器から融霜される融霜量を負の値として求める工程と、
前記着霜量と前記融霜量とを積算して前記蒸発器に着霜している蒸発器着霜量を求める工程と、
除霜可能な着霜量の上限として周囲環境別に定められた限界着霜量と前記蒸発器着霜量とを予め設定された除霜予定時刻に比較する工程と、
前記蒸発器着霜量が前記限界着霜量を超えた場合に除霜を行う工程と、
を備え、
除霜を実行した際の蒸発器着霜量と前記限界着霜量との差は、次の除霜予定時刻までの蒸発器着霜量に繰り越して加算することを特徴とするショーケースの除霜制御方法。
【請求項3】
ショーケースの温調オン時間とそのショーケースの周囲環境により変動する係数Konの積により蒸発器に着霜する着霜量を正の値として求める工程と、
前記ショーケースの温調オフ時間とこのショーケースの周囲環境により変動する係数Koffの積により前記蒸発器から融霜される融霜量を負の値として求める工程と、
前記着霜量と前記融霜量とを積算して前記蒸発器に着霜している蒸発器着霜量を求める工程と、
除霜可能な着霜量の上限として周囲環境別に定められた限界着霜量と前記蒸発器着霜量とを前回の除霜からn回目に設定された除霜予定時刻に比較する工程と、
前記蒸発器着霜量が前記限界着霜量にn/(n+1)を掛けた値を超えた場合に除霜を行う工程と、
を備えることを特徴とするショーケースの除霜制御方法。
【請求項4】
前記係数Konと前記係数Koffとは、周囲空気の温度と湿度とから演算部において演算されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のショーケースの除霜制御方法。
【請求項5】
前記係数Konと前記係数Koffとは、周囲空気の温度と湿度とから規定されたマトリクスから選択されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のショーケースの除霜制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショーケースにおいて用いられている蒸発器に付着している霜を除霜するショーケースの除霜制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗において使用されているショーケースは、周囲の空気を冷却して冷気を生成する蒸発器を備えている。この蒸発器を用いた冷却が行われると、蒸発器の外周部には空気中の水分が霜となって着霜し、着霜量が多くなると蒸発器の冷却性能が低下する。そこで、蒸発器の着霜量が一定量を超えた場合には、その霜を溶かすために除霜を行っている。この除霜は、蒸発器の運転を停止させるとともに、ヒータで加熱するなどして蒸発器の外周部に暖かい空気を通過させることにより行っている。この蒸発器の除霜制御方法としては様々なものが知られており、例えば、下記特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載された除霜制御方法においては、1日当たりの除霜回数、除霜を行う時刻が予め設定されている。さらに、予め設定されている除霜のいずれかを省略するための優先順位が付けられており、必要に応じていずれかの除霜を省略している。いずれかの除霜を省略した場合には、その省略後の一定時間毎に庫内温度を監視し、庫内温度が基準温度以上に上昇した場合には臨時の除霜を行うようにしている。なお、省略する除霜に関しては、季節(夏季、冬期、中間期)毎に設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3418097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された除霜制御方法によれば、最大の除霜回数は除霜の一部を省略しない回数となっている。このため、周囲環境の変動等の原因で蒸発器の着霜が急激に増大した場合であっても、予め設定した除霜の時刻になるまでは除霜が行われず、着霜量の増加により蒸発器の冷却性能が低下して庫内温度が上昇し、庫内に陳列されている商品の品質を低下させる場合がある。
【0006】
一方、周囲環境によっては、除霜をしなくてもよい状態でありながら除霜が行われてしまう場合があり、消費電力の無駄遣いが生じている。また、除霜時に庫内温度が上昇するため、不要な除霜を行うと庫内温度の上昇により庫内に陳列されている商品の品質を低下させる場合がある。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、蒸発器の除霜を必要な場合に速やかに行い、庫内に陳列されている商品の品質低下を防止するとともに不要な除霜による消費電力の無駄使いをなくすことができるショーケースの除霜制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るショーケースの除霜制御方法は、ショーケースの温調オン時間とそのショーケースの周囲環境により変動する係数Konの積により蒸発器に着霜する着霜量を正の値として求める工程と、前記ショーケースの温調オフ時間とこのショーケースの周囲環境により変動する係数Koffの積により前記蒸発器から融霜される融霜量を負の値として求める工程と、前記着霜量と前記融霜量とを積算して前記蒸発器に着霜している蒸発器着霜量を求める工程と、除霜可能な着霜量の上限として周囲環境別に定められた限界着霜量と前記蒸発器着霜量とを比較する工程と、前記蒸発器着霜量が前記限界着霜量を超えた場合に除霜を行う工程と、を備え、前記限界着霜量は、周囲空気の温度と湿度とから規定されたマトリクスから選択される。
【0009】
本発明に係るショーケースの除霜制御方法は、ショーケースの温調オン時間とそのショーケースの周囲環境により変動する係数Konの積により蒸発器に着霜する着霜量を正の値として求める工程と、前記ショーケースの温調オフ時間とこのショーケースの周囲環境により変動する係数Koffの積により前記蒸発器から融霜される融霜量を負の値として求める工程と、前記着霜量と前記融霜量とを積算して前記蒸発器に着霜している蒸発器着霜量を求める工程と、除霜可能な着霜量の上限として周囲環境別に定められた限界着霜量と前記蒸発器着霜量とを予め設定された除霜予定時刻に比較する工程と、前記蒸発器着霜量が前記限界着霜量を超えた場合に除霜を行う工程と、を備え、除霜を実行した際の蒸発器着霜量と限界着霜量との差は、次の除霜予定時刻までの蒸発器着霜量に繰り越して加算する。
【0010】
本発明に係るショーケースの除霜制御方法は、ショーケースの温調オン時間とそのショーケースの周囲環境により変動する係数Konの積により蒸発器に着霜する着霜量を正の値として求める工程と、前記ショーケースの温調オフ時間とこのショーケースの周囲環境により変動する係数Koffの積により前記蒸発器から融霜される融霜量を負の値として求める工程と、前記着霜量と前記融霜量とを積算して前記蒸発器に着霜している蒸発器着霜量を求める工程と、除霜可能な着霜量の上限として周囲環境別に定められた限界着霜量と前記蒸発器着霜量とを前回の除霜からn回目に設定された除霜予定時刻に比較する工程と、前記蒸発器着霜量が前記限界着霜量にn/(n+1)を掛けた値を超えた場合に除霜を行う工程と、を備える。
【0011】
また、前述のショーケースの除霜制御方法において、前記係数Konと前記係数Koffとは、周囲空気の温度と湿度とから演算部において演算されることが望ましい、
【0012】
また、前述のショーケースの除霜制御方法において、前記係数Konと前記係数Koffとは、周囲空気の温度と湿度とから規定されたマトリクスから選択されることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るショーケースの除霜制御方法によれば、温調オン時間と係数Konの積によりその温調オン時間中に蒸発器に着霜する着霜量を求め、温調オフ時間と係数Koffの積によりその温調オフ時間中に蒸発器から融霜される融霜量を求め、求めた着霜量と融霜量を積算して実際に蒸発器に着霜している蒸発器着霜量を求める。そして、除霜可能な着霜量の上限である限界着霜量と蒸発器着霜量とを比較し、蒸発器着霜量が限界着霜量を超えた場合に除霜を行う。このため、蒸発器の除霜を着霜量が限界着霜量に達したタイミングで行うことができ、除霜の頻度が必要以上に多くなることや必要以下に少なくなることを防止することができ、商品陳列室内に陳列された商品の品質を維持することができるとともに不要な除霜を行うことによる消費エネルギーの無駄を省くことができる。そして、 限界着霜量は、周囲空気の温度と湿度とから規定されたマトリクスから選択されるので、周囲空気の温度と湿度とに応じた限界着霜量を簡単な構造により求めることができる。
【0014】
本発明に係るショーケースの除霜制御方法によれば、温調オン時間と係数Konの積によりその温調オン時間中に蒸発器に着霜する着霜量を求め、温調オフ時間と係数Koffの積によりその温調オフ時間中に蒸発器から融霜される融霜量を求め、求めた着霜量と融霜量を積算して実際に蒸発器に着霜している蒸発器着霜量を求める。そして、除霜可能な着霜量の上限である限界着霜量と蒸発器着霜量とを比較し、蒸発器着霜量が限界着霜量を超えた場合に除霜を行う。このため、蒸発器の除霜を着霜量が限界着霜量に達したタイミングで行うことができ、除霜の頻度が必要以上に多くなることや必要以下に少なくなることを防止することができ、商品陳列室内に陳列された商品の品質を維持することができるとともに不要な除霜を行うことによる消費エネルギーの無駄を省くことができる。しかも、限界着霜量と蒸発器着霜量との比較を、予め設定された除霜予定時刻に行うことにより、除霜の実行を不都合な時間帯を避けて、例えば、複数の除霜系統が同時に除霜することによる消費電力の急増を避けたり、店舗従業員よる定刻の温度点検時間と除霜の時間とが重なることを避けて行うことができる。そして、除霜を実行した際の蒸発器着霜量と限界着霜量との差は、次の除霜予定時刻までの蒸発器着霜量に繰り越して加算することにより、次の除霜時における蒸発器着霜量と限界着霜量との差を正確に求めることができる。
【0015】
本発明に係るショーケースの除霜制御方法によれば、温調オン時間と係数Konの積によりその温調オン時間中に蒸発器に着霜する着霜量を求め、温調オフ時間と係数Koffの積によりその温調オフ時間中に蒸発器から融霜される融霜量を求め、求めた着霜量と融霜量を積算して実際に蒸発器に着霜している蒸発器着霜量を求め、除霜可能な着霜量の上限である限界着霜量と蒸発器着霜量とを比較している。そして、限界着霜量と蒸発器着霜量との比較を前回の除霜からn回目に設定された除霜予定時刻に行い、蒸発器着霜量が限界着霜量にn/(n+1)を掛けた値を超えた場合に除霜を行うようにしている。このため、蒸発器の着霜量が限界着霜量に達する少し前のタイミングで蒸発器の除霜を行うことができ、除霜の頻度が必要以上に多くなることや必要以下に少なくなることを防止することができ、商品陳列室内に陳列された商品の品質を維持することができるとともに不要な除霜を行うことによる消費エネルギーの無駄を省くことができる。しかも、限界着霜量と蒸発器着霜量との比較を、予め設定された除霜予定時刻に行うことにより、除霜の実施が不都合な時間帯を避けて制御することができる。さらに、除霜のタイミングが蒸発器の着霜量が限界着霜量に達する少し前であるため、除霜直後に蒸発器に霜が全く無い、冷却効率が良い状態で冷却を再開できる。
【0016】
また、係数Konと係数Koffとは、周囲空気の温度と湿度とから演算部において演算されるので、周囲空気の温度と湿度とに応じた着霜量や融霜量を求めることができる
【0017】
また、係数Konと係数Koffとは、周囲空気の温度と湿度とから規定されたマトリクスから選択されるので、周囲空気の温度と湿度とに応じた係数Konや係数Koffを簡単な構造により求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】ショーケースの全体構造を示す断面側面図である。
図2】第1の実施形態の除霜制御方法の内容を説明するフローチャートである。
図3】第1の実施形態における温調オン時間の着霜量と温調オフ時間の融霜量とが積算され、蒸発器の外周に着霜している蒸発器着霜量が次第に増えていく様子を示すグラフである。
図4】第2の実施形態の除霜制御方法の内容を説明するフローチャートである。
図5】第2の実施形態における温調オン時間と温調オフ時間とに応じた蒸発器着霜量の変化を示すグラフである。
図6】第3の実施形態の除霜制御方法の内容を説明するフローチャートである。
図7】第3の実施形態における温調オン時間と温調オフ時間とに応じた蒸発器着霜量の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について、図1ないし図3に基づいて説明する。図1はスーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗内に設置される冷蔵機能を備えたショーケース1を示す断面側面図であり、このショーケース1は、基台2と基台2の上に載置されたショーケース本体3とを有している。
【0020】
ショーケース本体3は、断面形状コの字型に形成された断熱材からなる外周壁4と、この外周壁4の内側に位置する仕切板5とを有している。ショーケース本体3の内部には商品陳列室6が設けられ、ショーケース本体3の前面には開口7が設けられている。商品陳列室6内には、販売する商品を陳列する複数段の商品陳列棚8が上下方向に沿って配列され、これらの商品陳列棚8は仕切板5に取付けられている。
【0021】
外周壁4と仕切板5との間には、ダクト9が設けられている。ダクト9内には、冷気を生成する冷凍装置の一部である蒸発器10と、冷気を送風するファン11とが設けられている。蒸発器10は、この蒸発器10内を冷媒が流れる温調オン時間と、冷媒の流れが停止される温調オフ時間とに切換えられるように構成されている。この温調オン時間と温調オフ時間との切換えは、商品陳列室6内の温度の検出結果により自動的に行われるようになっている。
【0022】
ダクト9の上部手前側には、ダクト9内を矢印で示すように送風された冷気が下向きに吹き出す吹出口12が設けられ、ダクト9の下部手前側には吹出口12から吹き出した冷気が吸い込まれる吸込口13が設けられている。
【0023】
図2は、蒸発器10の外周面に着霜した霜を除霜する除霜制御方法について説明するフローチャートである。この制御は、CPUやROM、RAMを備えた制御装置(図示せず)により行われる。このショーケース1では、温調オン時間と係数Konの積により、温調オン時間中に蒸発器10の外周面に着霜する着霜量が正の値として演算される(ステップS1)。温調オン時間とは、蒸発器10内を冷媒が流れて蒸発器10が駆動されることにより商品陳列室6内が冷却されている時間である。また、係数Konとは、ショーケース1が設置されている周囲環境により変動する値であり、周囲空気の温度と湿度とにより演算部において演算される。
【0024】
また、このショーケース1では、温調オフ時間と係数Koffの積により、温調オフ時間中に蒸発器10の外周面の霜の一部が融けて水となる融霜量が負の値として演算される(ステップS2)。温調オフ時間とは、蒸発器10内の冷媒の流れが停止して蒸発器10が停止されることにより商品陳列室6内の冷却が停止されている時間である。また、係数Koffとは、ショーケース1が設置されている周囲環境により変動する値であり、周囲空気の温度と湿度とにより演算部において演算される。
【0025】
演算された着霜量と融霜量とは次々に積算され、蒸発器10に着霜されている蒸発器着霜量が演算される(ステップS3)。
【0026】
積算された蒸発器着霜量は、除霜可能な着霜量の上限として周囲環境別に定められた限界着霜量を超えたか否かが判定される(ステップS4)。なお、ショーケース1は、そのショーケース1が設置される周囲空気の温度と湿度とから規定された限界着霜量のマトリクスを有しており、限界着霜量は周囲空気の温度と湿度に応じてこのマトリクスから選択されるようになっている。
【0027】
そして、蒸発器着霜量が限界着霜量を超えない場合には(ステップS4のNO)、ステップS1に戻り、蒸発器着霜量が限界着霜量を超えた場合には(ステップS4のYES)、除霜が実行される(ステップS5)。この除霜では、蒸発器10内の冷媒の流れが停止され、蒸発器10の外周を通過する空気の温度が徐々に上昇することにより蒸発器10の外周に付着した霜が熔かされる。また、ヒータ(図示せず)を備えた蒸発器10の場合には、蒸発器10内の冷媒の流れが停止されるとともにヒータが加熱され、蒸発器10の外周が暖められて蒸発器10の外周に付着している霜が溶かされる。そして、この除霜により蒸発器10の外周に付着した霜が全て溶かされ、再びステップS1からの工程が繰り返される。
【0028】
図3のグラフは、温調オン時間の着霜量と温調オフ時間の融霜量とが積算され、蒸発器10の外周に着霜している蒸発器着霜量が次第に増えていき、一定量まで増えた場合に除霜される様子を示している。
【0029】
このような構成において、本実施形態のショーケースの除霜制御方法によれば、温調オン時間と係数Konの積によりその温調オン時間中に蒸発器10に着霜する着霜量が求められ(ステップS1)、温調オフ時間と係数Koffの積によりその温調オフ時間中に蒸発器10から融霜される融霜量が求められ(ステップS2)、求めた着霜量と融霜量とを積算して実際に蒸発器10に着霜している蒸発器着霜量が求められる(ステップS3)。そして、蒸発器着霜量が限界着霜量を超えたか否かが判定され(ステップS4)、蒸発器着霜量が限界着霜量を超えた場合に除霜が実行される(ステップS5)。
【0030】
このため、蒸発器10の除霜を着霜量が限界着霜量に達したタイミングで行うことができ、蒸発器10の着霜量が限界着霜量に達すると同時に除霜することにより除霜の頻度が必要以上に多くなることや、蒸発器10の着霜量が限界着霜量に達しても除霜が行われないことにより除霜の頻度が必要以下に少なくなることを防止することができ、それにより、商品陳列室6内に陳列された商品の品質を維持することができるとともに、不要な除霜を行うことによる消費エネルギーの無駄を省くことができる。
【0031】
なお、本実施の形態では、係数Konと係数Koffとを、周囲空気の温度と湿度とにより演算部において演算する場合を例に挙げて説明したが、これらの係数Konと係数Koffとは、ショーケース1が設置される周囲空気の温度と湿度とから規定されたマトリクスを設け、周囲空気の温度と湿度に応じてそのマトリクスから選択するようにしてもよい。これにより、係数Kon、係数Koffを演算する演算部が不要となり、係数Konと係数Koffを簡単な構造により求めることができるようになる。
【0032】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態を図4及び図5に基づいて説明する。なお、この第2実施形態及び以下に説明する第3の実施形態では、図1ないし図3において説明した部分と同じ部分は同じ符号で示し、説明も省略する。
【0033】
第2の実施形態のショーケース1の外観構造は図1に示したものと同じである。第2の実施形態では、図4のフローチャートで示すように、予定除霜時刻に蒸発器着霜量が限界着霜量を超えたか否かが判定される(S4a)。なお、予め設定された除霜予定時刻とは、除霜制御が開始された後の一定間隔の時刻、例えば、除霜制御が開始された後の3時間毎の時刻である。
【0034】
そして、蒸発器着霜量が限界着霜量を超えない場合には(ステップS4aのNO)、ステップS1に戻り、蒸発器着霜量が限界着霜量を超えた場合には(ステップS4aのYES)、除霜が実行される(ステップS5)。除霜を実行した際の蒸発器着霜量と限界着霜量との差は、次の除霜予定時刻までの蒸発器着霜量に繰り越して加算され(ステップS6)、再びステップS1からの工程が繰り返される。
【0035】
図5のグラフは、温調オン時間の着霜量と温調オフ時間の融霜量とが積算され、蒸発器10の外周に着霜している蒸発器着霜量が次第に増えていき、一定量まで増えた場合に除霜される様子を示している。そして、何回目かの除霜予定時刻(ここでは、3回目の除霜予定時刻)に積算された蒸発器着霜量が限界着霜量を超えた場合に、除霜が実行される。さらに、除霜を実行した際の蒸発器着霜量と限界着霜量との差「X」は、次の除霜予定時刻までの蒸発器着霜量に繰り越して加算される(ステップS6)。
【0036】
このような構成において、第2の実施形態のショーケースの除霜制御方法によれば、温調オン時間と係数Konの積によりその温調オン時間中に蒸発器10に着霜する着霜量が求められ(ステップS1)、温調オフ時間と係数Koffの積によりその温調オフ時間中に蒸発器10から融霜される融霜量が求められ(ステップS2)、求めた着霜量と融霜量とを積算して実際に蒸発器10に着霜している蒸発器着霜量が求められる(ステップS3)。そして、除霜予定時刻毎に蒸発器着霜量が限界着霜量を超えたか否かが判定され(ステップS4a)、蒸発器着霜量が限界着霜量を超えた場合に除霜が実行される(ステップS5)。
【0037】
このため、蒸発器10の除霜を着霜量が限界着霜量を超えた後であって除霜予定時刻に達したタイミングで行うことができ、蒸発器10の着霜量が限界着霜量に達する前に除霜することにより除霜の頻度が必要以上に多くなることや、蒸発器10の着霜量が限界着霜量を大幅に超えても除霜が行われないことにより除霜の頻度が必要以下に少なくなることを防止することができ、それにより商品陳列室6内に陳列された商品の品質を維持することができるとともに、不要な除霜を行うことによる消費エネルギーの無駄を省くことができる。さらに、限界着霜量と蒸発器着霜量との比較を、予め設定された除霜予定時刻に行うことにより、除霜の実行を不都合な時間帯を避けて、例えば、複数の除霜系統が同時に除霜することによる消費電力の急増を避けたり、店舗従業員よる定刻の温度点検時間と除霜の時間とが重なることを避けて行うことができる。
【0038】
また、除霜を実行した際の蒸発器着霜量と限界着霜量との差は、次の除霜予定時刻までの蒸発器着霜量に繰り越して加算することにより、次の除霜時における蒸発器着霜量と限界着霜量との差を正確に求めることができる。
【0039】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態を図6及び図7に基づいて説明する。第3の実施形態のショーケース1の外観構造は図1に示したものと同じである。第3の実施形態では、図6のフローチャートで示すように、予め等間隔に設定された除霜予定時刻のうち前回の除霜からn回目の除霜予定時刻において、蒸発器着霜量が、限界着霜量に(n/n+1)を掛けた値を超えたか否かが判定される(ステップS4b)。なお、予め設定された除霜予定時刻とは、除霜制御が開始された後の一定間隔の時刻、例えば、除霜制御が開始された後の6時間毎の時刻である。
【0040】
そして、蒸発器着霜量が限界着霜量に(n/n+1)を掛けた値を超えない場合には(ステップS4bのNO)、ステップS1に戻り、蒸発器着霜量が限界着霜量に(n/n+1)を掛けた値を超えた場合には(ステップS4bのYES)、除霜が実行される(ステップS5)。
【0041】
図7のグラフは、温調オン時間の着霜量と温調オフ時間の融霜量とが積算され、蒸発器10の外周に着霜している蒸発器着霜量が次第に増えていき、一定量まで増えた場合に除霜される様子を示している。そして、何回目かの除霜予定時刻(ここでは、2回目の除霜予定時刻)に積算された蒸発器着霜量が限界着霜量に(n/n+1)を掛けた値を超えた場合に、除霜が実行される。
【0042】
このような構成において、第3の実施形態のショーケースの除霜制御方法によれば、温調オン時間と係数Konの積によりその温調オン時間中に蒸発器10に着霜する着霜量が求められ(ステップS1)、温調オフ時間と係数Koffの積によりその温調オフ時間中に蒸発器10から融霜される融霜量が求められ(ステップS2)、求めた着霜量と融霜量を積算して実際に蒸発器10に着霜している蒸発器着霜量が求められる(ステップS3)。そして、蒸発器着霜量が、限界着霜量に(n/n+1)を掛けた値を超えたか否かが判定され(ステップS4b)、超えた場合には除霜が実行される(ステップS5)。
【0043】
このため、除霜を行うタイミングは、蒸発器10の着霜量が限界着霜量に達する少し前となり、除霜の頻度が必要以上に多くなることや、蒸発器10の着霜量が限界着霜量に達しても除霜が行われないことにより除霜の頻度が必要以下に少なくなることを防止することができる。それにより、商品陳列室6内に陳列された商品の品質を維持することができるとともに、不要な除霜を行うことによる消費エネルギーの無駄を省くことができる。また、限界着霜量と蒸発器着霜量との比較を、予め設定された除霜予定時刻に行うことにより、除霜を不都合な時間帯を避けて実施することができる。さらに、除霜のタイミングが蒸発器10の着霜量が限界着霜量に達する少し前であるため、除霜直後に蒸発器10に霜が全く無い、冷却効率が良い状態で冷却を再開できる。
【符号の説明】
【0044】
1 ショーケース
2 基台
3 ショーケース本体
4 外周壁
5 仕切壁
6 商品陳列室
7 開口
8 商品陳列棚
9 ダクト
10 蒸発器
11 ファン
12 吹出口
13 吸込口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7