IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コロプラスト アクティーゼルスカブの特許一覧

特許7007188肛門および/またはストマ灌注システムとかかるシステムの制御方法
<>
  • 特許-肛門および/またはストマ灌注システムとかかるシステムの制御方法 図1
  • 特許-肛門および/またはストマ灌注システムとかかるシステムの制御方法 図2
  • 特許-肛門および/またはストマ灌注システムとかかるシステムの制御方法 図3
  • 特許-肛門および/またはストマ灌注システムとかかるシステムの制御方法 図4
  • 特許-肛門および/またはストマ灌注システムとかかるシステムの制御方法 図5
  • 特許-肛門および/またはストマ灌注システムとかかるシステムの制御方法 図6
  • 特許-肛門および/またはストマ灌注システムとかかるシステムの制御方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】肛門および/またはストマ灌注システムとかかるシステムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/442 20060101AFI20220117BHJP
【FI】
A61F5/442
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2017532924
(86)(22)【出願日】2015-12-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2017-12-28
(86)【国際出願番号】 DK2015050403
(87)【国際公開番号】W WO2016095929
(87)【国際公開日】2016-06-23
【審査請求日】2018-12-04
【審判番号】
【審判請求日】2020-09-15
(31)【優先権主張番号】PA201470807
(32)【優先日】2014-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】500085884
【氏名又は名称】コロプラスト アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】ニルス ビーズ
(72)【発明者】
【氏名】リカート モーガン ヒクモト
(72)【発明者】
【氏名】ラスムス ニルスン
(72)【発明者】
【氏名】ルイージ ラバシオ
(72)【発明者】
【氏名】ダビード バルド
(72)【発明者】
【氏名】ヘンレク バイ
【合議体】
【審判長】一ノ瀬 覚
【審判官】畔津 圭介
【審判官】芦原 康裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/120456(WO,A2)
【文献】特開2008-119073(JP,A)
【文献】特表2002-529185(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0129135(US,A1)
【文献】国際公開第2011/023196(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F5/442
A61M3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
灌注液用のタンク(102)と、
カテーテル先端を含み、使用者の直腸またはストマの中に挿入され、前記カテーテル先端から前記灌注液を押し出すためのカテーテル(100)と、
前記タンクと前記カテーテル先端との間の前記灌注液のための導管を提供する管システム(119、121)と、
前記灌注液を前記タンクから前記カテーテル先端へと送出するように動作可能なポンプ(101)と、
少なくとも1つのセンサ(153)と、
制御システム(103)と、
を含み、
前記制御システムは、
-圧力測定値に応答して前記ポンプの動作を制御するように構成される
肛門および/またはストマ灌注システムにおいて、
前記少なくとも1つのセンサ(153)は、前記ポンプの動作中に、少なくとも1つの第一の所定の位置の圧力を判定するように構成され、前記第一の所定の位置は、前記管システム内の、前記カテーテルまでの距離が前記ポンプまでの距離よりも短い位置および/または前記カテーテル内の位置であり、前記判定された圧力は、前記制御システムに伝えられて、前記圧力測定値の少なくとも一部を形成し、
前記制御システムは、前記カテーテル先端および/または前記管システム内の流れの状態を、前記圧力測定値に基づいて判定または推定するためのプロセッサをさらに含む、システム。
【請求項2】
灌注液用のタンク(102)と、
カテーテル先端を含み、使用者の直腸またはストマの中に挿入され、前記カテーテル先端から前記灌注液を押し出すためのカテーテル(100)と、
前記タンクと前記カテーテル先端との間の前記灌注液のための導管を提供する管システム(119、121)と、
前記灌注液を前記タンクから前記カテーテル先端へと送出するように動作可能なポンプ(101)と、
少なくとも1つのセンサ(153)と、
制御システム(103)と、
を含み、
前記制御システムは、
-圧力測定値に応答して前記ポンプの動作を制御するように構成される
肛門および/またはストマ灌注システムにおいて、
前記少なくとも1つのセンサ(153)は、前記ポンプの動作中に、少なくとも1つの第一の所定の位置の圧力を判定するように構成され、前記第一の所定の位置は、前記管システム内の、前記カテーテルまでの距離が前記ポンプまでの距離よりも短い位置および/または前記カテーテル内の位置であり、前記判定された圧力は、前記制御システムに伝えられて、前記圧力測定値の少なくとも一部を形成し、
前記制御システムは、前記カテーテル先端における前記灌注液の流れの状態を、前記判定された圧力測定値に基づいて判定するように構成される、システム。
【請求項3】
前記制御システムは、肛門またはストマ灌注中に前記流れの状態を判定するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
灌注液用のタンク(102)と、
カテーテル先端を含み、使用者の直腸またはストマの中に挿入され、前記カテーテル先端から前記灌注液を押し出すためのカテーテル(100)と、
前記タンクと前記カテーテル先端との間の前記灌注液のための導管を提供する管システム(119、121)と、
前記灌注液を前記タンクから前記カテーテル先端へと送出するように動作可能なポンプ(101)と、
少なくとも1つのセンサ(153)と、
制御システム(103)と、
を含み、
前記制御システムは、
-圧力測定値に応答して前記ポンプの動作を制御するように構成される
肛門および/またはストマ灌注システムにおいて、
前記少なくとも1つのセンサ(153)は、前記ポンプの動作中に、少なくとも1つの第一の所定の位置の圧力を判定するように構成され、前記第一の所定の位置は、前記管システム内の、前記カテーテルまでの距離が前記ポンプまでの距離よりも短い位置および/または前記カテーテル内の位置であり、前記判定された圧力は、前記制御システムに伝えられて、前記圧力測定値の少なくとも一部を形成し、
前記制御システムは、前記カテーテル先端における前記灌注液の存在を判定するように構成される、システム。
【請求項5】
灌注液用のタンク(102)と、
カテーテル先端を含み、使用者の直腸またはストマの中に挿入され、前記カテーテル先端から前記灌注液を押し出すためのカテーテル(100)と、
前記タンクと前記カテーテル先端との間の前記灌注液のための導管を提供する管システム(119、121)と、
前記灌注液を前記タンクから前記カテーテル先端へと送出するように動作可能なポンプ(101)と、
少なくとも1つのセンサ(153)と、
制御システム(103)と、
を含み、
前記制御システムは、
-圧力測定値に応答して前記ポンプの動作を制御するように構成される
肛門および/またはストマ灌注システムにおいて、
前記少なくとも1つのセンサ(153)は、前記ポンプの動作中に、少なくとも1つの第一の所定の位置の圧力を判定するように構成され、前記第一の所定の位置は、前記管システム内の、前記カテーテルまでの距離が前記ポンプまでの距離よりも短い位置および/または前記カテーテル内の位置であり、前記判定された圧力は、前記制御システムに伝えられて、前記圧力測定値の少なくとも一部を形成し、
前記制御システムは、前記ポンプにおける前記灌注液の存在を判定するように構成される、システム。
【請求項6】
灌注液用のタンク(102)と、
カテーテル先端を含み、使用者の直腸またはストマの中に挿入され、前記カテーテル先端から前記灌注液を押し出すためのカテーテル(100)と、
前記タンクと前記カテーテル先端との間の前記灌注液のための導管を提供する管システム(119、121)と、
前記灌注液を前記タンクから前記カテーテル先端へと送出するように動作可能なポンプ(101)と、
少なくとも1つのセンサ(153)と、
制御システム(103)と、
を含み、
前記制御システムは、
-圧力測定値に応答して前記ポンプの動作を制御するように構成される
肛門および/またはストマ灌注システムにおいて、
前記少なくとも1つのセンサ(153)は、前記ポンプの動作中に、少なくとも1つの第一の所定の位置の圧力を判定するように構成され、前記第一の所定の位置は、前記管システム内の、前記カテーテルまでの距離が前記ポンプまでの距離よりも短い位置および/または前記カテーテル内の位置であり、前記判定された圧力は、前記制御システムに伝えられて、前記圧力測定値の少なくとも一部を形成し、
前記制御システムは、前記管システムおよび/または前記カテーテル内の前記少なくとも1つの第一の所定の位置における前記灌注液の存在を判定するように構成される、システム。
【請求項7】
前記制御システムは、前記カテーテル先端における、前記ポンプにおける、または前記所定の位置における灌注液の存在を判定した後に、前記ポンプの送出動作を有限の期間にわたり継続するように構成される、請求項4~6の何れか1項に記載のシステム。
【請求項8】
灌注液用のタンク(102)と、
カテーテル先端を含み、使用者の直腸またはストマの中に挿入され、前記カテーテル先端から前記灌注液を押し出すためのカテーテル(100)と、
前記タンクと前記カテーテル先端との間の前記灌注液のための導管を提供する管システム(119、121)と、
前記灌注液を前記タンクから前記カテーテル先端へと送出するように動作可能なポンプ(101)と、
少なくとも1つのセンサ(153)と、
制御システム(103)と、
を含み、
前記制御システムは、
-圧力測定値に応答して前記ポンプの動作を制御するように構成される
肛門および/またはストマ灌注システムにおいて、
前記少なくとも1つのセンサ(153)は、前記ポンプの動作中に、少なくとも1つの第一の所定の位置の圧力を判定するように構成され、前記第一の所定の位置は、前記管システム内の、前記カテーテルまでの距離が前記ポンプまでの距離よりも短い位置および/または前記カテーテル内の位置であり、前記判定された圧力は、前記制御システムに伝えられて、前記圧力測定値の少なくとも一部を形成し、
前記制御システムは、前記カテーテル、前記管システム、および/または前記タンクの2つの異なる位置間の高さの差を判定し、前記圧力測定値を前記高さの差に基づいて補正するように構成される、システム。
【請求項9】
前記制御システムは、前記管システムまたはカテーテル内で灌注液により提供される静圧または動圧に基づいて前記高さの差を判定するように構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
灌注液用のタンク(102)と、
カテーテル先端を含み、使用者の直腸またはストマの中に挿入され、前記カテーテル先端から前記灌注液を押し出すためのカテーテル(100)と、
前記タンクと前記カテーテル先端との間の前記灌注液のための導管を提供する管システム(119、121)と、
前記灌注液を前記タンクから前記カテーテル先端へと送出するように動作可能なポンプ(101)と、
少なくとも1つのセンサ(153)と、
制御システム(103)と、
を含み、
前記制御システムは、
-圧力測定値に応答して前記ポンプの動作を制御するように構成される
肛門および/またはストマ灌注システムにおいて、
前記少なくとも1つのセンサ(153)は、前記ポンプの動作中に、少なくとも1つの第一の所定の位置の圧力を判定するように構成され、前記第一の所定の位置は、前記管システム内の、前記カテーテルまでの距離が前記ポンプまでの距離よりも短い位置および/または前記カテーテル内の位置であり、前記判定された圧力は、前記制御システムに伝えられて、前記圧力測定値の少なくとも一部を形成し、
前記制御システムは、前記センサの位置と前記カテーテル先端との間の動圧の差を判定し、前記圧力測定値を前記動圧の差に基づいて補正するように構成される、システム。
【請求項11】
灌注液用のタンク(102)と、
カテーテル先端を含み、使用者の直腸またはストマの中に挿入され、前記カテーテル先端から前記灌注液を押し出すためのカテーテル(100)と、
前記タンクと前記カテーテル先端との間の前記灌注液のための導管を提供する管システム(119、121)と、
前記灌注液を前記タンクから前記カテーテル先端へと送出するように動作可能なポンプ(101)と、
複数のセンサ(153)と、
制御システム(103)と、
を含み、
前記制御システムは、
-圧力測定値に応答して前記ポンプの動作を制御するように構成される肛門および/またはストマ灌注システムにおいて、
前記複数のセンサ(153)のうちの少なくとも1つのセンサは、前記ポンプの動作中に、少なくとも1つの第一の所定の位置の圧力を判定するように構成され、前記第一の所定の位置は、前記管システム内の、前記カテーテルまでの距離が前記ポンプまでの距離よりも短い位置および/または前記カテーテル内の位置であり、前記判定された圧力は、前記制御システムに伝えられて、前記圧力測定値の少なくとも一部を形成し、
前記ポンプは電気モータにより駆動され、圧力測定値を判定するための前記複数のセンサのうちの一つは、少なくとも、電気モータにより消費される電流または電力の量を判定するためのセンサを含む、システム。
【請求項12】
前記制御システムは、前記電気モータにより前記モータの一定速度で消費される前記電流または電力の量を判定するように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
灌注液用のタンク(102)と、
カテーテル先端を含み、使用者の直腸またはストマの中に挿入され、前記カテーテル先端から前記灌注液を押し出すためのカテーテル(100)と、
前記タンクと前記カテーテル先端との間の前記灌注液のための導管を提供する管システム(119、121)と、
前記灌注液を前記タンクから前記カテーテル先端へと送出するように動作可能なポンプ(101)と、
少なくとも1つのセンサ(153)と、
制御システム(103)と、
を含み、
前記制御システムは、
-圧力測定値に応答して前記ポンプの動作を制御するように構成される
肛門および/またはストマ灌注システムにおいて、
前記少なくとも1つのセンサ(153)は、前記ポンプの動作中に、少なくとも1つの第一の所定の位置の圧力を判定するように構成され、前記第一の所定の位置は、前記管システム内の、前記カテーテルまでの距離が前記ポンプまでの距離よりも短い位置および/または前記カテーテル内の位置であり、前記判定された圧力は、前記制御システムに伝えられて、前記圧力測定値の少なくとも一部を形成し、
前記制御システムはさらに、
-灌注動作モードで、前記灌注液を第一の流速で押し出すように前記ポンプの送出動作を制御し、
-前記灌注動作モードで灌注液を押し出した後に非灌注動作モードに入り、
-前記非灌注動作モードで、前記灌注液を第二の流速で押し出すように前記ポンプの送出動作を制御する
ように構成され、
前記第二の流速は前記第一の流速より低い、システム。
【請求項14】
灌注液用のタンク(102)と、
カテーテル先端を含み、使用者の直腸またはストマの中に挿入され、前記カテーテル先端から前記灌注液を押し出すためのカテーテル(100)と、
前記タンクと前記カテーテル先端との間の前記灌注液のための導管を提供する管システム(119、121)と、
前記灌注液を前記タンクから前記カテーテル先端へと送出するように動作可能なポンプ(101)と、
少なくとも1つのセンサ(153)と、
制御システム(103)と、
を含み、
前記制御システムは、
-圧力測定値に応答して前記ポンプの動作を制御するように構成される
肛門および/またはストマ灌注システムにおいて、
前記少なくとも1つのセンサ(153)は、前記ポンプの動作中に、少なくとも1つの第一の所定の位置の圧力を判定するように構成され、前記第一の所定の位置は、前記管システム内の、前記カテーテルまでの距離が前記ポンプまでの距離よりも短い位置および/または前記カテーテル内の位置であり、前記判定された圧力は、前記制御システムに伝えられて、前記圧力測定値の少なくとも一部を形成し、
当該肛門および/またはストマ灌注システムは、前記ポンプと前記カテーテル先端との間に配置された、前記カテーテル先端への灌注液の流れを制御する少なくとも1つの第一の弁(141)を含む弁システムを含む、システム。
【請求項15】
前記カテーテルは、前記使用者の直腸またはストマ内に前記カテーテル先端を固定するための膨張可能な保持要素(104)を含み、
前記タンクと前記カテーテル先端との間の前記導管は、前記管システムの第一の導管を構成し、
前記管システムは、前記タンクと前記膨張可能な保持要素との間の第二の導管をさらに含み、
前記弁システムは、
前記ポンプと前記膨張可能な保持要素との間の前記第二の導管内に、前記膨張可能な保持要素への前記灌注液の前記流れを制御するための第二の弁(142)をさらに含み、
前記ポンプと前記弁システムは、選択的に、
-前記灌注液を前記膨張可能な保持要素の中に送出して、それを膨張させ、
-前記カテーテルを通じて前記灌注液を送出して前記カテーテル先端から前記使用者の直腸またはストマの中へと押し出し、
-前記灌注液を前記保持要素から抜き取り、それをパージする
ように制御できる、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記制御システムは、前記ポンプと前記弁を制御して、前記ポンプの動作中に前記第一および前記第二の弁がどちらも閉じる第一の状態と、前記ポンプの動作中に前記第一および第二の弁のうちの少なくとも一方が開く、それに続く第二の状態を含む制御シーケンスを提供するように構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
灌注液用のタンク(102)と、
カテーテル先端を含み、使用者の直腸またはストマの中に挿入され、前記カテーテル先端から前記灌注液を押し出すためのカテーテル(100)と、
前記タンクと前記カテーテル先端との間の前記灌注液のための導管を提供する管システム(119、121)と、
前記灌注液を前記タンクから前記カテーテル先端へと送出するように動作可能なポンプ(101)と、
少なくとも1つのセンサ(153)と、
制御システム(103)と、
を含み、
前記制御システムは、
-圧力測定値に応答して前記ポンプの動作を制御するように構成される
肛門および/またはストマ灌注システムにおいて、
前記少なくとも1つのセンサ(153)は、前記ポンプの動作中に、少なくとも1つの第一の所定の位置の圧力を判定するように構成され、前記第一の所定の位置は、前記管システム内の、前記カテーテルまでの距離が前記ポンプまでの距離よりも短い位置および/または前記カテーテル内の位置であり、前記判定された圧力は、前記制御システムに伝えられて、前記圧力測定値の少なくとも一部を形成し、
前記制御システムは、前記圧力測定値に応答して、前記ポンプの送出動作を徐々に減少させるように構成される、システム。
【請求項18】
前記少なくとも1つの圧力センサは、前記管システムおよび/または前記カテーテル内のそれぞれの位置に配置された複数の圧力センサを含み、前記制御システムは、前記ポンプの送出動作を、前記位置における所定の圧力値群の判定に応答して制御するように構成される、請求項1~17の何れか1項に記載のシステム。
【請求項19】
前記ポンプは前記タンク内に配置される、請求項1~18の何れか1項に記載のシステム。
【請求項20】
連結手段(160)が前記カテーテルと管システムとの間に配置され、それによって前記カテーテルを前記管システムから切り離すことができる、請求項1~19の何れか1項に記載のシステム。
【請求項21】
少なくとも1つの前記センサはコイル、圧力計、または間接的な圧力測定のための機器を含む、請求項1~20の何れか1項に記載のシステム。
【請求項22】
肛門および/またはストマ灌注システムの制御方法において、
前記システムは、
灌注液用のタンク(102)と、
カテーテル先端を含み、使用者の直腸またはストマの中に挿入され、前記カテーテル先端から前記灌注液を押し出すためのカテーテル(100)と、
前記タンクと前記カテーテル先端との間の前記灌注液のための導管を提供する管システム(119、121)と、
前記灌注液を前記タンクから前記カテーテル先端へと送出するように動作可能なポンプ(101)と、
少なくとも1つのセンサ(153)と、
制御システム(103)と、を含み、
前記制御システムは、圧力測定値に応答して前記ポンプの動作を制御するように構成され、
前記方法は、前記制御システムが前記ポンプの送出動作を前記圧力測定値に応答して制御するステップを含み、
前記少なくとも1つのセンサ(153)は、前記ポンプの動作中に、少なくとも1つの第一の所定の位置の圧力測定値を判定するように構成され、前記第一の所定の位置は、前記管システム内の、前記カテーテルまでの距離が前記ポンプまでの距離よりも短い位置および/または前記カテーテル内の位置であり、
前記制御システムは、前記カテーテル先端における流れの状態を前記圧力測定値に基づいて判定または推定するためのプロセッサをさらに含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
肛門および/またはストマ灌注のためのシステムと方法が提供され、このシステムは、灌注液用タンクと、カテーテル先端を含み、使用者の直腸および/またはストマに挿入するためカテーテルと、を含む。特に、カテーテル先端へ灌注液の供給を制御するためのポンプおよび管システムと、ポンプの動作を制御するための制御システムが提供される。
【背景技術】
【0002】
国際出願第2012/120456号パンフレットは、経鼻灌注を実行するための装置を開示しており、この装置は、灌注水を収容するためのタンクと、前記タンクと第一の導管によって流体連通するカテーテルセットと、使用者の肛門管を閉塞させることを目的とした、カテーテルに関連付けられ、第二の導管に接続された弾性膜と、を含む。第一および第二の圧力センサが容器内に配置され、容器はタンクを格納する。
欧州特許第1206230号明細書は、人工瘻灌注システムおよびそれと共に有益な人工瘻ポートによって、人工的または外科的に作られたタンクを有する使用者による独立したハンズフリーの灌注が可能になることを開示している。このシステムは、使用者の人工瘻内に安全かつ便利に導入するのに適した量と力で、モニタされ、制御された流体パルスを提供できるポンプユニットと、ポンプユニット、ポンプユニットに取り付け可能な管を含む少なくとも1つの灌注コネクタ、および使用者の人工瘻の人工瘻ポートと選択的に解放可能で実質的に液密にインターロック接続し、システムが有効に閉じられるようになされたコネクタノズルと流体連通するタンクと、を含む。
随意排便機能の制御は、脊髄損傷、多発性硬化症、または二分脊椎等、特定の障害を抱える患者において限定されている、または欠落していることが多い。このような随意排便機能の制御の欠如は典型的に、便失禁または難治性便秘症につながるが、これは、結腸末端部と直腸内の便の存在を自覚し、排泄刺激を感知する患者の能力が大幅に低下しているからである。カテーテル留置可能ストマ造設のためのストマ手術を受けた患者も同様の問題に悩まされる可能性がある。
【0003】
先端を有し、直腸またはストマに挿入され、その中でバルーン等の拡張可能な膨張要素によって一定位置に留まるような構成および大きさの間欠的カテーテルを通じて供給される水道水または生理食塩水等の灌注液による直腸またはストマの灌注によって排便を実現すること(すなわち、洗腸)が知られている。バルーンは空気または水で膨張可能であってよい。直腸またはストマが灌注液で洗浄されたら、膨張可能な保持要素はその非収縮状態へと萎ませられ、それによってカテーテルを直腸またはストマから抜去でき、液体と便を排出できる。カテーテルは管を通じて灌注液用タンクに接続され、灌注液をタンクからカテーテルへと輸送するためにポンプが提供されてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
経鼻または経ストマ灌注システムの開発では、これまで管、カテーテル、およびポンプの構造的設計の面に焦点が当てられてきた。そこで、目的は、特に自己灌注に関する制御と使用者にとっての便利さを改良することによって、より詳しくはポンプの制御と動作を改良することによって、既知のシステムをさらに改良することである。特に、目的は、カテーテル先端における灌注液の存在を検出し、カテーテル先端からの灌注液の吐出を正確に制御することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
肛門および/またはストマ灌注システムが提供され、前記システムは、
灌注液用タンクと、
カテーテル先端を含み、使用者の直腸またはストマの中に挿入され、カテーテル先端から灌注液を押し出すためのカテーテルと、
タンクとカテーテル先端との間の灌注液のための導管を提供する管システムと、
灌注液をタンクからカテーテル先端へと送出するように動作可能なポンプと、
制御システムと、
を含み、
- 前記制御システムは、圧力の測定値に応答してポンプの動作を制御するように構成される。
【0006】
第二の態様において、肛門および/またはストマ灌注システムの制御方法が提供され、前記システムは、
灌注液用タンクと、
カテーテル先端を含み、使用者の直腸またはストマの中に挿入され、カテーテル先端から灌注液を押し出すためのカテーテルと、
タンクとカテーテル先端との間の灌注液のための導管を提供する管システムと、
灌注液をタンクからカテーテル先端へと送出するように動作可能なポンプと、
制御システムと、
を含み、
前記制御システムは、圧力の測定値に応答してポンプの動作を制御するように構成され、
前記方法は制御システムを、
- 前記圧力測定値に応答してポンプの送出動作を制御する
ように動作させるステップを含む。
【0007】
方法は、ポンプの動作前、動作中、または動作後の管システム内、ポンプ内、および/またはカテーテル内の第一の所定の位置における圧力測定値を判定するステップをさらに含んでいてもよい。
【0008】
方法は、前記圧力測定値に基づいてカテーテル先端における流れの状態を判定または推定するステップをさらに含んでいてもよい。
【0009】
ポンプの送出動作は、圧力測定値に応答して増減されてもよい。最も適当な態様として、送出効果は圧力測定値に応答して減少する。送出効果は、直線的に減少しても漸近的に減少してもよい。ポンプの送出動作における漸近的減少により、カテーテル先端における圧力は徐々に所定の閾値(例えば2psi)に近付くが、これを超えない。
【0010】
カテーテル先端における圧力を徐々に低下させることにより、使用者は送出動作の突然の「中断」すなわち液体の流れの急激な途絶を経験しない。それによって使用者の使用感が改善される。
【0011】
圧力測定値はシステム内、例えばポンプ内、管システム内、および/またはカテーテル内の異なる位置における圧力を示すことができる。測定値は、特定の位置に関する特定の圧力に直接匹敵する電気信号とすることができ、またはシステム内の平均圧力レベルにとって重要な電気信号とすることもできる。
【0012】
制御システムは、圧力測定値に基づいて、例えばカテーテル先端、管システム内、またはポンプ内の流れの状態を判定または推定するように構成されてもよい。
【0013】
1つの例において、制御システムは、管システムまたはカテーテルに灌注液が充填されたこと、またはそこから排出されたことを判定するように構成されてもよい。ポンプは動作し、ポンプに対する抵抗の変化によって、流体送出から空気送出への(またはその逆の)移行が生じたことを検出してもよい。これはプライミングと呼ばれ、圧力測定値によって、またはポンプの電力消費量に基づいて判定できる。これは、例えば、管システムから空気を抜き、灌注液の充填を確実に行うために実行される。1つの例において、制御システムは、カテーテルを通ってシステムから出る灌注液の量を判定するように構成されてもよい。他の例において、制御システムは、管システムに含まれる灌注液の量を判定するように構成されてよい。他の例において、制御システムはポンプの漏れによって逆流する灌注液の量を判定するように構成されてもよい。このような構成は、ポンプ速度を補償し、より一定の流速を確保できるであろう。
【0014】
ポンプは、電気的に制御可能な電動型ポンプを含む。圧力測定値は、様々な方法で提供されてもよい。1つの実施形態において、測定値は、ポンプに供給され、それによって消費される電力の特性から得られる。ここでは、この信号を「電力信号」と呼ぶ。圧力が変化すると、ポンプを駆動するもモータは典型的に、多少なりとも電力を消費するか、電圧が昇降する。このことによって電力信号が変化し、これもまた、圧力測定値として使用されてよい。
【0015】
特に、制御システムは電力信号から圧力測定値を判定するように構成されてもよい。
【0016】
その代わりに、またはそれに加えて、システムは、例えば圧力を判定するように配置された1つまたは複数の圧力センサを含んでいてもよい。このような圧力センサは、様々な所定の場所に配置されてもよい。特に圧力センサは第一の所定の位置に配置されてもよい。第一の所定の位置は、例えば、管システム内またはカテーテル内とすることができる。それに加えて、他の圧力センサを第二の所定の位置に配置できる。再び、この第二の所定の位置も管システム内またはカテーテル内とすることができる。このようなセンサ(複数の場合もある)により判定された圧力は、制御システムに伝えられ、ポンプはそれに基づいて制御できる。
【0017】
したがって、圧力測定値は、このようなセンサにより得られる測定値および/または電力信号の使用によって得られる測定値を含んでいてもよく、または圧力測定値は、このようなセンサにより、または電力信号から得られる測定値により構成されてもよい。
【0018】
圧力測定値は、例えば異なる位置において得られる、および/または異なる手段により、および/または異なるセンサから得られる複数の異なる圧力信号を含んでいてもよい。
【0019】
センサの所定の位置がカテーテルの先端に非常に近い場合、先端における圧力のより精密な測定値および、それによってそれがカテーテルから出る時の圧力のより正確な測定値または推定値を得ることが可能である。
【0020】
詳しくは、カテーテルの縦の運動が先端における圧力測定値と実際の圧力との間の差に与える影響は、所定の位置とカテーテル先端との間の距離が短くなると小さくなる。同様に、この距離が長くなると、その影響はより大きくなるかもしれない。所定の位置は詳しくは、管システム内の、ポンプよりカテーテルに近い位置、例えばカテーテルまでの距離と比較してポンプまでの距離が少なくとも2倍の位置にあってもよい。
【0021】
圧力測定値によって、プロセッサはカテーテル先端における流れの状態を判定または測定できる。詳しくは、ポンプの動作中の管システムおよび/またはカテーテル内の所定の位置における圧力測定値を判定することによって、プロセッサはカテーテル先端における流れの状態を判定または推定できる。例えば、管システム内の所定の流れ制限器における圧力が所定のレベルまで上昇した場合、これはカテーテル先端における灌注液の存在を示す。同様に、カテーテル先端自体での圧力上昇が、先端における灌注液の存在を示してもよい。
【0022】
制御システムは、肛門またはストマ灌注前、灌注中、または灌注後の流れの状態を判定するために構成されてもよい。詳しくは、制御システムは、カテーテル先端および/またはポンプにおける、および/または管システムもしくはカテーテル内の上述の所定の位置(複数の場合もある)における灌注液の存在を判定するように構成されてもよい。
【0023】
1つの実施形態において、制御システムは、管システムおよび/またはカテーテル内の少なくとも第一の所定の位置、および/または管システムおよび/またはカテーテル内の少なくとも1つの第二の所定の位置における灌注液の存在を示す少なくとも1つの圧力閾値を保存するためのメモリを含んでいてもよい。このような実施形態において、制御システムは、少なくとも1つのセンサが少なくとも1つの第一の所定の位置において、圧力閾値またはそこから導出される数値と少なくとも等しい圧力値を判定した後、有限の期間にわたりポンプの送出動作を継続するように構成されてもよい。例えば、第一および第二の所定の位置のうちの一方は、カテーテル先端における、またはその付近の位置であってもよく、この場合、制御システムは、前記圧力閾値の判定後、特定の期間にわたり前記送出動作を継続するように構成されてもよい。したがって、カテーテル先端から押し出される灌注液の量が前記期間の制御によって正確に制御されてもよい。
【0024】
上述の所定の位置にある圧力センサは、異なる検出原理にしたがって動作する圧力トランスデューサとすることができる。例えば、本発明により使用される圧力センサは、針を移動させることによって圧力変化に応答する膜を含む圧力計または、圧力が上昇するとほどかれ、それにより針を移動させるコイル状の管を含むコイルであってもよい。本発明による圧力センサのための一般的な材料は、プラスチック、金属、複合材料(例えば、グラスファイバまたはカーボンファイバ材料)である。
【0025】
少なくとも1つの圧力センサは、管システム内のカテーテル付近またはカテーテル自体の中の、管および弁システム内の何れかの適当な位置に配置されたセンサを含んでいてもよい。
【0026】
カテーテル先端において直接圧力を測定することが有利であろう。しかしながら、カテーテルは典型的に、肛門またはストマ灌注システムの使い捨て部品であり、空間が限定されている。
【0027】
システムのプライミング時に、カテーテルの縦の移動により、管システムおよびカテーテル内の液柱への重力により圧力が変化するかもしれない。カテーテル先端、タンク、および/または圧力センサが異なる高さにありうるという事実を考慮に入れるために、制御システムは、カテーテル、タンク、および/または圧力センサの高さの差を判定し、前記センサにより判定された圧力測定値を前記高さの差に基づいて補正する、すなわち重力誘導圧力に応じて圧力出力を補償するように構成されてもよい。
【0028】
高さの測定値を得るためには様々な方法があり、例えば、制御ユニット内のポンプとカテーテル先端との間に1つまたは複数の圧力センサを組み込むことによって、重力誘導圧力の効果の少なくとも一部を補償できる。
【0029】
1つの実施形態において、制御システムは、プライミングされたシステムの圧力測定値を空のシステムの圧力測定値と比較して、比較結果を使って、圧力が測定された場所からのカテーテルの高さを判定するように構成される。他の実施形態において、異なる場所での異なる圧力を判定して、システムの他の部品に関するカテーテルの高さを推定する。
【0030】
・ 制御ユニットからカテーテル先端までの水理特性(直径、表面と長さ、回転)
・ 水流量(Q)
・ CUとカテーテル先端との高さの差(H)
・ 制御ユニットにおける圧力(Pcu)
がわかることにより、カテーテル先端における圧力(Ptip)を査定できる。
【0031】
粘性が比較的一定であると考えられる場合、次式、
Ptip=Pcu-Pdyn+/-Pstat
が成り立ち、
式中、
Pdynは一定の既知の水理特性と流量Qの関数である。Qが「0」であると、Pdynは「0」である。
Pstatは制御ユニットとカテーテル先端との間の高さの差と最大限等しい。Hが「0」であると、Pstatは「0」である。それは、制御ユニットがカテーテル先端より上にあるか下にあるかに応じて、プラスまたはマイナスであってもよい。
【0032】
本発明による制御システムは、先端の圧力Ptipを、例えば上の表現を使って判定するように構成されてもよい。
【0033】
同様に、制御システムは、カテーテルにおける動圧を判定し、前記センサにより判定された圧力測定値を動圧に基づいて補正するように構成されてもよい。
【0034】
システムは、管システムおよび/またはカテーテル内のそれぞれの位置に配置された複数の圧力センサを含んでいてもよく、それによって制御システムは、ポンプの送出動作を前記位置における所定の圧力測定値群の判定に応じて制御するように構成されてもよい。したがって、例えば、複数の流量制限器にわたる圧力上昇パターンが制御システムによって認識され、管システム内における灌注液の流頭の位置を査定するために利用されてもよい。
【0035】
電気モータにより消費される電流または電力の量を判定するための少なくとも1つのセンサを少なくとも1つの圧力センサと組み合わせることによって、これらのセンサのうちの何れか一方の故障と、管がモータと圧力センサとの間で(例えば捻じれよって)閉塞しているか否かを判定することが可能である。1つの実施形態において、制御システムは、1つの場所における圧力測定値を他の場所からの圧力測定値と組み合わせることによって異常を判定するように構成される。
【0036】
カテーテルと、カテーテルにつながる管システムにおける細菌汚染のリスクを低減させることを鑑み、特にカテーテルにおける細菌または生体膜成長と管システム内の細菌堆積のリスクを制限または排除することを鑑み、制御システムはさらに、灌注モードでの灌注液の排出後に、すなわち使用者の直腸への灌注に続いて、非灌注モードでポンプを駆動するように構成されてもよい。したがって、非灌注動作モードにおいて、ポンプの送出動作を継続させて、第二の流速で灌注液を排出させるようにしてもよい。好ましくは、第二の流速は、灌注に使用される第一の流速より低い。それゆえ、灌注後に、比較的低速の灌注液がカテーテルから押し出されてもよく、それによってカテーテルにつながる導管内で中程度の流体流れが提供され、微生物をカテーテルから遠ざかるように、および/または管の導管の外へと洗い流す。したがって、カテーテルにおいて、または管システム内に微生物または細菌の汚染物が堆積するリスクが低減されるかもしれない。
【0037】
カテーテルと管システムを灌注液で洗浄した後、空気がカテーテルと管システムを通じて送出される。灌注液はそれによって、カテーテルと管システムから排出され、システムは保管および/または輸送可能な状態となる。
【0038】
システムは、ポンプとカテーテル先端との間の導管内に配置されて、カテーテル先端までの灌注液の流れを制御する少なくとも第一の弁を含む弁システムを含んでいてもよい。第一の弁はそれゆえ、閉じている時に灌注液の流れを阻止してもよい。第一の弁は、制御システムの使用によって電気的に動作可能であってもよい。したがって、制御システムは、ポンプを制御するためだけでなく、弁システムも制御するために構成されてもよく、それによってポンプ、弁システム、またはポンプと弁システムの両方の使用によって液体の流れを制御してもよい。
【0039】
実施形態において、カテーテルはカテーテル先端を使用者の直腸またはストマ内に固定するための膨張可能な保持要素を含んでいてもよい。タンクとカテーテル先端との間の導管は、管システムの第一の導管を構成してもよく、管システムは、タンクと膨張可能な保持要素との間に第二の導管をさらに含んでいてもよい。
【0040】
弁システムは、第二の導管内に、タンクと膨張可能な保持要素との間の灌注液の流れを制御するための第二の弁を含んでいてもよく、ポンプと弁システムは、選択的に、
- 灌注液を膨張可能な保持要素内へと送出して、それを膨張させ、
- 灌注液をカテーテルから送出して、灌注液をカテーテル先端から使用者の直腸またはストマ内へと押し出し、
- 灌注液を保持要素から抜き取り、それをパージする
ように制御可能であってもよい。
【0041】
ポンプと弁システムが灌注液を保持要素から抜き取って、それパージできることにより、保持要素を制御された方法でパージすることができる。したがって、保持要素の膨張とその収縮は、ポンプと弁システムの適切な制御によって正確に制御されてもよい。保持要素を制御された動作により、特にポンプの送出動作により引き起こされる強制的パージによって保持要素を収縮させることで、単に弁システムの弁を開けるだけでは灌注液が保持要素から漏出しない程度に低い、比較的低圧で保持要素が膨張するような状況であっても、保持要素のパージが可能となる。
【0042】
制御システムは、ポンプと弁のうちの少なくとも一方を制御して、ポンプの動作中に第一および第二の弁の両方が閉じる第一の状態と、ポンプの動作中に第一および第二の弁のうち少なくとも一方が閉じる、それに続く第二の状態を含む制御シーケンスを提供するように構成されてもよい。
【0043】
第一から第二の状態への移行によって、より急激な圧力制御が可能となり、圧力が低から高へ、または高から低へと非常に短時間で推移する。ポンプは、例えば弁のうちの1つが閉じる前にそれがその最大速度または所定の速度に到達するまで動作させられてもよい。これによって、圧力制御はより精密となる。
【0044】
ポンプは、適当な態様として、ギアポンプ、インペラポンプ、またはねじポンプ等の回転ポンプである。このようなポンプは、比較的正確に測定された液体量を提供でき、逆に動作でき、通常は少量の逆流を可能にできる。
【0045】
管システム内の弁システムは好ましくは、一度に選択的に第一、第二、および第三の形態から選択される1つの流れの形態を発生させるように構成され、
- 第一の流れの形態は、前記ポンプによって灌注液がタンクから膨張可能な保持要素の中に輸送されるように構成され、
- 第二の流れの形態は、前記ポンプによって灌注液がタンクからカテーテルへと輸送されるように構成され、
- 第三の流れの形態は、前記ポンプによって灌注液が膨張可能な保持要素から外へと輸送されるように構成される。
【0046】
それゆえ、第一の流れの形態において、灌注液はタンクから膨張可能な保持要素に輸送されてそれを膨張させる。第二の流れの形態では、灌注液はタンクからカテーテルへ、すなわち使用者の直腸またはストマに挿入されたカテーテル先端へと輸送される。第三の流れの形態では、灌注液は膨張可能な保持要素から、灌注液がタンクの中に入らずに、またはそこを通過せずに使用者の腸を洗浄するためにカテーテル先端に直接か、またはタンクに戻るように輸送される。
【0047】
温度計がさらに提供されてもよく、これはタンクに接続されて、タンク、管システム、および/またはカテーテル内の温度の測定値を得る。制御システムは温度計と動作的に接続されていてもよく、制御システムは、灌注液がタンクの中に充填される、または再充填される前のタンク内の温度を判定し、タンクへの灌注液の充填または再充填の開始時にタンク内の温度の初期変化を判定し、タンク内の温度の将来の漸近値を少なくとも初期変化に基づいて予測するように構成されてもよい。制御システムはさらに、灌注液がタンクに充填または再充填されている間にタンク内の現在温度または現在の温度変化率を継続的に判定し、タンク内温度の将来の漸近値の予測を、少なくとも前記現在温度および/または温度変化率に基づいて継続的に更新するように構成されてもよい。
【0048】
温度計と制御システムのおかげで、充填されたタンク内の、特に灌注液の温度の将来の漸近値の予測が行われてもよい。将来の漸近的温度値の予測が現在温度および/または温度変化率に基づいて継続的に更新されるため、タンクに供給される液体の温度変化、例えば温水と冷水との比の変化が温度予測に適切に反映される。温度予測は、例えばシステムのディスプレイを介して使用者に伝えられてもよく、それによって使用者は、供給された液体、典型的には水道水の温度を上昇させるべきか、または低下させるべきかを確認できる。
【0049】
ここで、下記のような添付の図面を参照しながら、実施形態をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】肛門および/またはストマ灌注システムのある実施形態を示す。
図2図1によるシステムのポンプの筐体のある実施形態を示す。
図3図1によるシステムの制御ユニットのある実施形態を示す。
図4-5】灌注液をタンク内に充填または再充填している間のタンク内の灌注液の例示的な温度曲線を示す。
図6】肛門灌注システムのタンク内の灌注液の温度の予測方法のある実施形態を示す。
図7】システムの動作中の、圧力に関する灌注液の例示的な流量曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1は、肛門および/またはストマ灌注システムのある実施形態を示す。システムは、使用者の直腸またはストマに挿入するような大きさと構成のカテーテル100を含む。ポンプ101がタンク102内に提供され、前記タンク102内に収容された灌注液をカテーテル100と、使用者の直腸またはストマ内にカテーテルを固定するように構成されたバルーンの形態の膨張可能な保持要素104へと輸送する。ポンプ101は、筐体200の中に配置される。
【0052】
カテーテル100は典型的に、使い捨て部品である。このために、連結手段160がカテーテル100と管部分121との間に配置される。連結手段160によって、必要に応じてカテーテル100を管部分121から切り離して交換できる。連結手段160は、バヨネット型連結手段、押し込み型連結手段、またはねじ型連結手段の形態をとってもよい。
【0053】
第一の管部分119は、ポンプ101と制御ユニット103との間に延び、第二の管部分121は制御ユニット103とカテーテル100および膨張可能な保持要素104との間に延びる。それゆえ、ポンプ101のための制御ユニット103は、液体タンク102とカテーテル100との間の、使用者にとって好都合な位置に配置される。
【0054】
第一および第二の管部分119および121は、それぞれポンプをカテーテルに接続して灌注液をカテーテル先端から排出させるため、およびバルーン104を膨張させるための別々の導管を含む。
【0055】
制御ユニット103には、システムの動作状態および/または漸近的温度値を使用者に伝えるためのディスプイ123が設けられ、使用者が操作可能な制御ボタン125が、ポンプ101の動作を制御するために使用者が操作可能な制御インタフェースの一部として提供される。ポンプ101と制御システム103との間の信号通信のためにワイヤ接続127が提供される。
【0056】
図2は、図1によるポンプ101の筐体200のある実施形態を示している。図の筐体200は液密であり、ポンプ101と、温度計128と、バッテリ129と、前記バッテリ129のための充電ポート130と、を含む。図2に示されているように、第一の電子制御盤190が筐体200の中に配置され、ポンプ101、温度計128、およびバッテリ129を連結する。筐体200内の第一の電子制御盤190は、ワイヤ接続127を介して制御ユニット103(図1)に接続される。筐体200の正確な構成部品はこの実施形態により限定されず、このような構成部品の1つまたは複数を、当業者が必要と考えるように追加し、除去し、または同等の構成麩品と置換してもよい。
【0057】
筐体200は入口132を含み、それによって液体がタンクとポンプ101との間で流れる。入口132は入口弁133により制御される。電子制御盤140もまた、入口弁133を制御する。ポンプ101は、適当な態様としては、ギアポンプである。
【0058】
灌注導管122が、ポンプ101から灌注液を受け、それを肛門灌注のためにカテーテル100に輸送するように構成される。灌注導管弁141は前記灌注導管122の中に配置されて、この導管内の液体の流れを制御する。灌注導管弁141は、電子制御盤140によって制御される。
【0059】
バルーン導管124が、ポンプ101から灌注液を受け、それを膨張可能な保持要素104へと輸送するように構成される。バルーン導管弁142が前記バルーン導管124内に配置され、この導管内の液体の流れを制御する。バルーン導管弁142は、電子制御盤190によって制御される。
【0060】
バルーン導管弁142と灌注導管弁141により、液体はバルーン104から、またはカテーテル100から、その中の圧力がこれらの弁により規定される閾値圧力を超えると漏出する。バルーン導管弁142は、バルーン104内の圧力が過剰になると、液体をバルーン104からタンク102へと排出させ、灌注導管弁141は、使用者の直腸またはストマ内の圧力が過剰になると、液体をカテーテル100からタンク102へと排出させる。
【0061】
逆止弁143もまた灌注導管122内に配置される。逆止弁143は、灌注液がカテーテル100から、またはポンプの下流の何れの位置からタンク102へと逆流するのを防止するように機能する。
【0062】
筐体200はまた、エンコーダ145も含み、これは第一の電子制御盤140からのデジタル信号をポンプ101のモータのための制御信号に変換する。
【0063】
図3は、図1に示される制御ユニット103の構成部品を示している。図のように、制御ユニットは第二の電子制御盤146を含み、これは筐体200内の第一の電子制御盤190(図2参照)にワイヤ接続127を介して接続される。
【0064】
第一の管部分119は、導管124および122を含み、ワイヤ接続127と同様にポンプ筐体200から制御ユニット103へと延びる。導管124および122は、制御ユニットを通ってカテーテル100および膨張可能な保持要素104へと、前記第二の管部分121を介して到達する。
【0065】
制御ユニット103の正確な構成部品はこの実施形態によって限定されず、このような構成部品の1つまた複数を、当業者が必要と考えるように追加し、除去し、または同等の構成部品と置換してもよい。
【0066】
第二の電子制御盤146は使用者、および温度計128(図2のポンプ筐体200の中にある)からの入力を受け取り、データをディスプレイへと伝える。ディスプレイに伝えられたデータには、温度計128によって判定されたタンク102内の灌注液の温度の予測された将来の漸近値が含まれていてもよい。データは、灌注液がタンク内に充填または再充填されている間に第二の電子制御盤146が温度予測を継続的に更新するのに合わせて継続的に更新されてもよい。
【0067】
バルーン圧力センサ152が制御システム103内に配置され、バルーン導管124内の圧力を測定するように動作する。灌注圧力センサ153が制御システム103内に配置され、灌注導管122内の圧力を測定するように動作する。圧力センサ152および153はまた、制御ユニット103内の第二の電子制御盤146に接続される。圧力センサ152、153は信号を制御システム103へと出力し、これはポンプ101および/または能動的に制御可能なバルーン導管弁142および灌注導管弁141を、前記信号および本明細書に記載されている他の信号に基づいて動作させる。
【0068】
制御システムは、ポンプの動作を制御するためのコントローラと、ポンプの動作中に管システムおよび/またはカテーテル内の圧力測定値を判定するための少なくとも1つのセンサと、プロセッサと、を含む。第一および第二の制御盤190、146は、共同で、または個別に、制御システムのプロセッサを含む。制御システムは、カテーテル先端における流れの状態を、圧力センサ152、153により提供される圧力測定値に基づいて判定または推定してもよい。制御システムは、前記圧力測定値に応答してポンプ101の送出動作を制御するように構成される。より詳しくは、制御システムはポンプ101の送出動作を、圧力センサ152、153が圧力閾値またはそこから導出された数値と少なくとも等しい圧力値を判定した後に有限の期間にわたり継続する。
【0069】
特に、灌注圧力センサ153からの信号をこのように使用することによって、カテーテル先端から押し出された灌注液の量が正確に制御されてもよい。図の実施形態の代替案として、灌注圧力センサ153は管システム121、124内のカテーテル100の付近またはカテーテル100自体の中に配置されてもよい。
【0070】
第一の流れの形態では、ポンプ101の動作中に、バルーン導管弁142が開き、灌注導管弁141が閉じる。したがって、灌注液はタンク102からバルーン104へと輸送され、それを膨張させる。
【0071】
第二の流れの形態では、ポンプ101の動作中に、灌注導管弁141が開き、バルーン導管弁142が閉じる。それゆえ、灌注液はタンク102からカテーテル100へと輸送され、その先端において液体が使用者の直腸またはストマ内へと押し出され、使用者の腸が洗浄される。
【0072】
第三の流れの形態では、ポンプ101の動作が逆転し、バルーン動作弁142が開き、灌注導管弁141が閉じる。したがって、バルーン104がパージされる。図4および5は、灌注液のタンクへの充填または再充填中のタンク内の灌注液の例示的な温度曲線を示す。図4のグラフにおいて、温度計128により判定されたタンク102内の灌注液の初期温度は約20℃である。使用者の洗腸は約40℃を超えない温度、好ましくは20~40℃の温度、最も好ましくは36~38℃の温度で行うべきであるため、使用者は液体、例えば水道水の注入を高い温度でタンク内に注入し始める。
【0073】
次に、図1~3に示されるシステムの動作を説明する。タンク120内への灌注液の充填または再充填を開始した時に、タンク内の初期の温度変化が判定される。図4において、初期温度変化は時間tにおける上昇温度TINTで表される。初期温度変化に基づいて、タンク内の、図4中「真」と示されている温度の将来の漸近値が少なくとも初期変化に基づいて予測される。
【0074】
図5に示されているように、タンク内への灌注液の充填または再充填中に、タンク内の現在温度または現在の温度変化率が温度計128と制御システム103によって継続的に判定され、タンク内の温度の将来の漸近値の予測が少なくとも前記現在温度および/または温度変化率に基づいて継続的に更新される。より詳しくは、充填または再充填手順の開始時に、初期温度変化Tが最初の時点tで判定される。Tにより示される最初の初期温度変化は、充填されたタンク102内の灌注液の温度の将来の漸近値の第一の予測Tに使用される。温度計128により判定された温度がレベルTに到達した第二の時点tにおいて、タンクに供給された液体の温度は、例えば使用者が蛇口内の温水と冷水の比を変化させるのに合わせて変化する。第三の時点tにおいて、第三の温度値Tが得られ、第二の予測Tが行われる。その後、第四の時点tにおいて、第四の温度レベルTに到達し、タンク102内に充填された液体の温度は2回目に急激に変化する。供給された液体の変化は時間tにおける温度Tにより反映され、それに基づいて第三の漸近的温度予測Tが行われる。
【0075】
上記の手順の中で、予測された温度値T、T、およびTは、これらが制御システム103により判定されるとディスプレイ123(図1および3参照)を介して使用者に示されている。
【0076】
漸近的温度予測を継続的に判定し、更新する上記の手順が図6に概して示されている。
【0077】
タンクが必要な温度の必要な量の液体で満たされると、以下のステップが実行される。
i.灌注導管弁とバルーン導管弁が開いた状態でポンプが動作する。液体がポンプに到達すると(ポンプ動作の抵抗の増大により示される)、これらの弁が両方とも閉じる。
ii.カテーテルをプライミングするために、灌注導管弁が十分に開き、管とカテーテルの包装が満たされる。これには例えば30~40mlの液体が必要であり、これはポンプの特定の回転数または灌注導管弁が開いている特定の時間と相関できる。カテーテルの包装を満たすことにより、カテーテル上のコーティングが水分を含み、滑らかになる。
iii.すると、灌注導管弁とバル編導管が両方とも閉じ、その間に使用者がカテーテルを直腸に挿入する。
iv.使用者はカテーテルが所定の位置にあるとの信号を、制御ユニットを介して送る。すると、バルーンへの充填が始まる。
v.より精密な液体流を提供するために、ポンプはまず、灌注導管弁とバルーン導管弁がどちらも閉じた状態で動作する(例えば、700~750ml/分)。この時点で、理想的なポンプ動作からの逸脱があれば、第一の電気制御盤によりすべて検出できる(例えば、引き出される流れが多すぎる等)。
vi.すると、バルーン導管弁が閉じ、灌注液がバルーンへと流れ、それを満たす。再び、バルーンに供給される適当な量は、ポンプの特定の回転数またはバルーン導管弁が開いている特定の時間により決定できる。
vii.バルーンが適切に満たされると、バルーン導管弁が閉じる。送出動作は停止されてもよい。
viii.この時点で、バルーン導管内の静圧(Pstat)がバルーン圧力センサによって測定でき、制御ユニットとカテーテル先端との間の高さの差(H)を判定するために使用できる。この高さの差(H)はその後、灌注導管内の静圧Pstatを判定するために使用できる。
ix.ここで、バルーンが満杯になり、カテーテルがプライミングされ、灌注導管内のPstatの測定値がわかる。
x.送出動作が開始され、その間は灌注導管弁とバルーン導管弁がどちらも閉じている。
xi.使用者が灌注に必要な液体の量を信号で送る。これは100~1000mlの範囲とすることができるが、典型的には約300~400mlである。
xii.灌注導管弁が開き、必要な量の灌注液がカテーテルを通り、使用者の結腸内へと流れる。前述のように、必要な量はポンプの特定の回転数または灌注導管弁が開いている特定の時間を通じて決定できる。
xiii.使用者は、必要に応じてより多くの液体を結腸に導入することを選択できる。
xiv.灌注動作中、制御システムは常に、前述の公式にしたがってカテーテル先端における液体圧力(Ptip)を計算し、Ptipに応答してポンプの送出動作を調整する。
xv.カテーテル先端の液体圧力(Ptip)が2.0psiに近付くと、送出動作が低速化されるか、停止される。
【0078】
図7は、システムの動作中の、圧力に関する灌注液の流量の例示的曲線を示す。使用者の洗腸は、約2psiを超えない圧力、好ましくは1.5~1.9psiの圧力、最も好ましくは1.6~1.7psiの圧力で行われるべきである。
【0079】
図7のグラフにおいて、ポンプの動作速度により判定される灌注液の初期流量は約700ml/分である。したがって、査定される腸内圧力が上昇する。
【0080】
査定された腸内圧力が、例えば1.4~1.6psiの間である中間値に近付くと、ポンプ動作速度により判定される液体流量が制御システムによって調整され、査定される腸内圧力が所定の最大値(この場合、2psi)に近付くにつれて徐々に低下する。
【0081】
図7の様々な線は、腸内圧力が2psiに近付くにつれて液体流速がどのように調整されうるかを示している。実線は、液体流速が2psiで停止されるまで700ml/分の一定値に保持されることを示している。破線は、液体流速が約1.6psiで低下し始め、2psiとなり、そこで停止されることを示している。一点鎖線は、液体流速が約1.6psiで低下し始め、2psiでゼロ流量になるまで低下し続けることを示している。
【0082】
カテーテルを直腸から抜去するために、ポンプは逆に動作し、バルーン導管弁が開き、液体がバルーンから排出される。
【0083】
システムに「市販の」構成部品を使用した場合、これまでに、法律で定められている最大腸内圧力(例えば2psi)に関する厳格要求事項を満たす肛門灌注システムを製造することは難しいことが判明している。例えば、製造誤差に起因する2つの管間の管径の差が、灌注液の送出中の前記管間の圧力差につながる可能性がある。
【0084】
したがって、本明細書に記載されているシステムを校正するための方法が開発されている。この方法は、
- 本発明による灌注システムを提供するステップと、
- 前記タンクから上のカテーテル先端の所定の高さを、前記所定の高さにおける灌注液の対応する圧力と共に決定するステップと、
- 灌注液をタンクからカテーテル先端へと送出するステップと、
- 前記所定の位置における灌注液の圧力を、前記少なくとも1つのセンサによって測定し、前記所定の位置における前記圧力測定値に基づいてカテーテル先端における液体圧力を判定または推定するステップと、
- 前記カテーテル先端における灌注液の判定または推定された圧力が2psiを超えないようにシステムを校正するステップと、
を含む。
【0085】
システムを校正するステップは、例えば、ポンプ101の送出動作を制限することによって実行されてもよい。例えば、制御システムは、特定の最大値より高いポンプ速度が達成されえないようにプログラムすることができる。あるいは、システムを校正するステップは、灌注導管弁141を制限して、前記カテーテル先端における灌注液の判定または推定された圧力が2psiを超えないようにすることによって達成されてもよい。それに加えて、またはその代わりに、構成弁が灌注導管122の中(例えば筐体200の中)に提供されてもよく、これはシステムの製造中に調節できる。
【0086】
校正方法における所定の高さは典型的には、床から便座の高さ、例えば30~50cmである。
【0087】
以下の番号の態様が提供される:
態様1.灌注液用タンクと、
カテーテル先端を含み、使用者の直腸またはストマに挿入し、カテーテル先端から灌注液を押し出すためのカテーテルと、
タンクとカテーテル先端との間の灌注液のための導管を提供する管システムと、
灌注液をタンクからカテーテル先端へと送出するように動作可能なポンプと、
肛門またはストマ灌注中にカテーテル先端における灌注液の流れの状態を制御するための制御システムと、
を含み、
前記制御システムは、
- ポンプの動作を制御するためのコントローラと、
- ポンプの動作中に管システムおよび/またはカテーテル内の少なくとも1つの第一の所定の位置における圧力測定値を判定するための少なくとも1つのセンサと、
- カテーテル先端における前記流れの状態を前記圧力測定値に基づいて判定または推定するためのプロセッサと、
を含み、
制御システムは、前記圧力測定値に応答してポンプの送出動作を制御するように構成されている
肛門および/またはストマ灌注システム。
態様2.態様1に記載のシステムにおいて、制御システムは
- 管システムおよび/またはカテーテル内の少なくとも第一の所定の位置における、および/または
- 管システムおよび/またはカテーテル内の少なくとも1つの第二の所定の位置における
灌注液の存在を示す少なくとも1つの圧力閾値を保存するためのメモリをさらに含み、
制御システムは、少なくとも1つのセンサが、前記少なくとも1つの第一の所定の位置における、圧力閾値またはそこから導出される値と少なくとも等しい圧力値を判定した後に、有限の期間にわたりポンプの送出動作を継続するように構成されている。
態様3.態様1または2に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つのセンサが少なくとも1つの圧力センサを含む。
態様4.先行する態様のうちのいずれかに記載のシステムにおいて、少なくとも1つの圧力センサは、管システム内のカテーテル付近に、またはカテーテル内に配置されたセンサを含む。
態様5.態様4に記載のシステムにおいて、制御システムは、カテーテルの位置とタンクの位置との高さの差を判定し、前記センサにより判定された圧力測定値を前記高さの差に基づいて補正するように構成されている。
態様6.態様4または5に記載のシステムにおいて、制御システムは、カテーテルにおける動圧を判定し、前記センサにより判定された圧力測定値を前記動圧に基づいて補正するように構成される。
態様7.態様3~5のうちの何れかに記載のシステムにおいて、少なくとも1つの圧力センサは、管システムおよび/またカテーテル内のそれぞれの位置に配置された複数の圧力センサを含み、制御システムは、前記位置における所定の圧力値群の判定に応答してポンプの送出動作を制御するように構成される。
態様8.態様1または2に記載のシステムにおいて、前記ポンプは電気モータにより駆動され、圧力測定値を判定するための前記少なくとも1つのセンサは、電気モータにより消費される電流または電力の量を判定するための少なくともセンサを含む。
態様9.態様8に記載のシステムにおいて、制御システムは、電気モータによりモータの一定速度で消費される前記電流または電力の量を判定するように構成される。
態様10.先行する態様のうちの何れかに記載のシステムにおいて、制御システムはさらに、
- 灌注動作モードで、灌注液を第一の流速で押し出すようにポンプの送出動作を制御し、
- 灌注モードで灌注液を押し出した後に非灌注モードに入り、
- 非灌注動作モードで、灌注液を第二の流速で押し出すようにポンプの送出動作を制御する
ように構成され、
第二の流速は第一の流速より低い。
態様11.先行する態様のうちの何れかに記載のシステムにおいて、
カテーテルは、使用者の直腸またはストマ内にカテーテル先端を固定するための膨張可能な保持要素を含み、
タンクとカテーテル先端との間の前記導管は、管システムの第一の導管を構成し、
管システムは、タンクと膨張可能な保持要素との間の第二の導管をさらに含み、
システムは、
タンクと膨張可能な保持要素との間の灌注液の流れを制御するための第二の導管内の弁システムをさらに含み、ポンプと弁システムは、選択的に、
- 灌注液を膨張可能な保持要素の中に送出して、それを膨張させ、
- カテーテルを通じて灌注液を送出してカテーテル先端から使用者の直腸またはストマの中へと押し出し、
- 灌注液を保持要素から抜き取り、それをバージする
ように構成される。
態様12.肛門および/またはストマ灌注システムの制御方法において、前記システムは、
灌注液用タンクと、
カテーテル先端を含み、使用者の直腸またはストマに挿入し、カテーテル先端から灌注液を押し出すためのカテーテルと、
タンクとカテーテル先端との間の灌注液のための導管を提供する管システムと、
灌注液をタンクからカテーテル先端へと送出するように動作可能なポンプと、
ポンプの動作中に管システムおよび/またはカテーテル内の少なくとも1つの第一の所定の位置における圧力測定値を判定するための少なくとも1つのセンサと、
肛門またはストマ灌注中にカテーテル先端における灌注液の流れの状態を制御し、ポンプの動作を制御するための制御システムと、
を含み、
前記方法は、制御システムを、
- ポンプの動作中に管システムおよび/またはカテーテル内の少なくとも1つの第一の所定の位置における圧力測定値を判定し、
- カテーテル先端における前記流れの状態を前記圧力測定値に基づいて判定または推定し、
- 前記圧力測定値に応答してポンプの送出動作を制御する
ように動作させるステップを含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7