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▶ ティー.エー.ジー. メディカル デヴァイシス−アグリカルチャー コーポラティヴ リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】骨材料除去装置およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/16 20060101AFI20220117BHJP
   A61B 17/56 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
A61B17/16
A61B17/56
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2017552067
(86)(22)【出願日】2016-04-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-05-31
(86)【国際出願番号】 IL2016050370
(87)【国際公開番号】W WO2016162869
(87)【国際公開日】2016-10-13
【審査請求日】2019-04-05
(31)【優先権主張番号】62/144,991
(32)【優先日】2015-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/151,375
(32)【優先日】2015-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510203669
【氏名又は名称】ティー.エー.ジー. メディカル デヴァイシス-アグリカルチャー コーポラティヴ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スロビッカー レオン
(72)【発明者】
【氏名】シトリー ハガイ
(72)【発明者】
【氏名】コトフ アレキサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ウェイスマン ラン
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/089198(WO,A1)
【文献】特表2006-523542(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0114364(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/16
A61B 17/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穴の壁から骨を除去するための装置であって、
中空部および長軸を有するカニューレと、
前記カニューレの前記中空部内に位置し、軸方向に細長く延伸した干渉要素と、
前記カニューレの前記中空部内を前記長軸に沿って前記干渉要素に対して軸方向移動するように構成された穴拡幅要素と、
前記穴拡幅要素に結合された骨彫削部であって、
前記長軸から半径方向外向きに向く主としての切断刃と、
補助としての切断刃であって、前記主としての切断刃と前記補助としての切断刃とは、互いに対して角度をなし、少なくとも一端において接合された、補助としての切断刃と、
前記補助としての切断刃が接し、遠位対向面である、クリアランス面と、
を有する、骨彫削部と、
を備え、
前記軸方向移動によって、前記干渉要素が前記穴拡幅要素と係合し前記長軸に関して半径方向外向きの力が前記穴拡幅要素に印加し、前記半径方向外向きの力によって、前記主としての切断刃および前記補助としての切断刃の少なくとも1つは、後退位置から、前記主としての切断刃および前記補助としての切断刃の少なくとも1つが前記カニューレの外側面を超えて前記長軸から半径方向外向きに延伸する延伸位置に、前記長軸から半径方向外向きに延びる、
装置。
【請求項2】
前記干渉要素は、前記長軸と同軸である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記干渉要素は、前記カニューレの長さに亘って延伸する、請求項1および2のいずれか一項に記載の装置。
【請求項4】
前記穴拡幅要素は、前記長軸方向に配向するアームであって、前記干渉要素に対向する自由端を有するアームを含み、
前記骨彫削部は、前記自由端に結合される、
請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記アームが外側に完全に偏向した場合に、前記アームが前記装置の前記長軸に平行であり、前記骨彫削部の刃は、前記干渉要素のカウンタ支持部によって支持される、
請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記骨彫削部は、前記穴拡幅要素の前記アームの単一の面に印加される屈曲力によって、半径方向に延びるように構成される、請求項4または5に記載の装置。
【請求項7】
前記カニューレの遠位端の前方先端をさらに含み、
前記クリアランス面は、傾斜面であり、
前記干渉要素は、前記前方先端および前記穴拡幅要素の間を近位方向に延び、
前記アームの自由端は、遠位に延び、前記傾斜面は、前記自由端の遠位面において前記長軸に対向
前記軸方向移動によって、前記穴拡幅要素の前記軸方向移動と幾何学的に干渉する前記干渉要素は、前記傾斜面と係合するとともに、前記アームが屈曲して、前記骨彫削部が前記長軸から半径方向外向きに偏向する、
請求項4から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記アームは細長く、
前記軸方向移動によって、前記干渉要素は、前記細長いアームと係合し、前記長軸に関して半径方向外向きの屈曲力を、前記細長いアームに印加し、
前記半径方向外向きの屈曲力によって、前記細長いアームが屈曲し、前記主としての切断刃および前記補助としての切断刃の少なくとも1つは、前記後退位置から前記延伸位置に前記長軸から半径方向外向きに延びる、請求項4から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記アームは細長く、
前記軸方向移動によって、前記干渉要素は、前記細長いアームと係合し、前記干渉要素は、前記長軸に関して半径方向外向きの偏向力を、前記細長いアームに印加し、
前記半径方向外向きの屈曲力によって、前記細長いアームが偏向し、前記主としての切断刃および前記補助としての切断刃の少なくとも1つは、前記後退位置から、前記主としての切断刃が前記長軸に平行である前記延伸位置に前記長軸から半径方向外向きに延びる、請求項4から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記穴拡幅要素は、前記後退位置に位置する場合に、応力を受けた状態で前記カニューレ内に収容される、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記延伸位置における前記長軸に対する前記主としての切断刃の角度は、前記後退位置における前記長軸に対する前記主としての切断刃の角度と同じである、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記穴拡幅要素の前記軸方向移動は、前記長軸に沿った、前記干渉要素を超える移動である、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記カニューレは、さらに、前記カニューレの前記中空部の壁に、少なくとも1つの貫通開口をさらに備え、
前記骨彫削部の少なくとも一部は、前記延伸位置において、前記少なくとも1つの開口を通って周方向に延びる、
請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記骨彫削部が、前記長軸に対して内方近位に傾斜する少なくとも1つの面を備え、
前記穴拡幅要素は、応力を受けた状態で前記カニューレ内部に収容され、
前記干渉要素の前記穴拡幅要素との係合によって、前記干渉要素は、前記主としての切断刃および前記補助としての切断刃の少なくとも1つの前記後退位置から前記延伸位置への前記延伸を引き起こすように、前記傾斜する少なくとも1つの面を前記カニューレの少なくとも1つの開口の遠位対向肩部に対してその上方に付勢する、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
少なくとも1つの骨彫削部の半径方向の延伸は、応力を受けた前記穴拡幅要素が前記穴拡幅要素の元の静止状態に戻ろうとする性質によって生じる、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記穴拡幅要素は、単一の弾性部材である、請求項1から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記穴拡幅要素は、前記後退位置および前記延伸位置において、前記長軸の周囲を周方向に湾曲するクリアランス面を含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記単一の弾性部材は、前記カニューレに可動収容された、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記カニューレの遠位端に位置する円筒部を備え、
前記円筒部の内周の直径は、前記単一の弾性部材の軸方向および回転方向移動を支持し半径方向移動を制限する、前記単一の弾性部材の半径方向最厚部の外径と等しい、請求項16および18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記軸方向移動によって、前記干渉要素が前記穴拡幅要素と係合し、前記干渉要素が前記軸方向に関して半径方向外向きの力を前記穴拡幅要素に印加し、
前記半径方向外向きの力によって、前記主としての切断刃は、前記後退位置から前記延伸位置に前記長軸から半径方向外向きに延び、
前記アームは、ヒンジなし機構を使用して半径方向外向きに屈曲する、請求項4に記載の装置。
【請求項21】
前記干渉要素は、前記延伸位置における前記骨彫削部を、前記骨彫削部の半径方向内向きに位置するように支持するカウンタ支持部を含む、請求項1から4および6から20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記干渉要素は、前記骨彫削部に半径方向外向きの力を印加することによって中心を向く半径方向力に対抗するとともに、前記骨彫削部が前記カニューレ内に後退することを防止するカウンタ支持部を含む、請求項1から4および6から20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記カニューレが、前記カニューレの遠位端に前方穴穿孔先端を備える、請求項1から22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記カウンタ支持部が、突起を備える、請求項5、21、および22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記延伸位置における前記主としての切断刃および前記長軸に対する前記クリアランス面の幾何学的配置は、前記後退位置における前記主としての切断刃および前記長軸に対する前記クリアランス面の幾何学的配置と同じである、請求項1から24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記穴拡幅要素は、前記カニューレに対して軸方向に摺動し、少なくとも部分的に周方向に延伸するように動作する、請求項1から25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記穴拡幅要素は、前記長軸に平行に延伸する長手方向凹部によって分離された第1のアームおよび第2のアームを備え、
前記長手方向凹部は、閉端および前記干渉要素に対向する開端を備え、前記骨彫削部は、前記長手方向凹部の前記開端に向かう前記第1のアームに結合される、
請求項1から3および10から26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記穴拡幅要素は、複数のアームを備え、
前記軸方向移動によって、前記干渉要素が前記複数のアームと係合し、前記複数のアームの間に形成された長手方向凹部に進入し、前記長軸に関して半径方向外向きの屈曲力を前記複数のアームに印加し、
前記半径方向外向きの屈曲力によって、前記複数のアームが屈曲し、前記主としての切断刃および前記補助としての切断刃の少なくとも1つは、前記後退位置から前記延伸位置に前記長軸から半径方向外向きに延びる、請求項1から3および10から26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記カニューレに対する前記穴拡幅要素の全体としての軸方向移動によって、半径方向に進行して延びる前記骨彫削部が半径方向に延び、前記穴拡幅要素は、前記骨彫削部が前記カニューレの直径内に後退する閉じた後退位置から、前記骨彫削部が前記カニューレの表面の直径を越えて周方向に延び、穴の壁から骨を削る延伸位置へと移動する、請求項1から28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
穴の壁から骨を除去するための装置であって、
中空部および長軸を有するカニューレと、
前記カニューレの前記中空部内に位置し、軸方向に細長く延伸した干渉要素と、
前記カニューレの前記中空部内を前記長軸に沿って前記干渉要素に対して軸方向移動するように構成された穴拡幅要素と、
前記穴拡幅要素に結合された骨彫削部であって、前記長軸から半径方向外向きに向く切断刃と前記切断刃に接するクリアランス面とを有し、前記クリアランス面は、前記長軸から半径方向外向きに向き、前記長軸の周りに周方向に湾曲する、骨彫削部と、
を備え、
前記軸方向移動によって、前記干渉要素が前記穴拡幅要素と係合し前記長軸に関して半径方向外向きの力が前記穴拡幅要素に印加し、前記半径方向外向きの力によって、前記切断刃は、後退位置から、前記切断刃が前記カニューレの外側面を超えて前記長軸から半径方向外向きに延伸する延伸位置に、前記長軸から半径方向外向きに延び、
前記延伸位置における前記長軸に対する前記切断刃の角度は、前記後退位置における前記長軸に対する前記切断刃の角度と同じである、
装置。
【請求項31】
前記主としての切断刃に接する第2のクリアランス面をさらに含み、前記第2のクリアランス面は、前記長軸から半径方向外向きに向き、前記長軸の周りに周方向に湾曲する、請求項1から29のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、骨除去装置に関し、より詳細には、穴の有効径を変化させる装置に関するが、これに限らない。
【背景技術】
【0002】
さまざまな整形外科再建手術、特に、たとえば前十字靭帯(ACL)再建等の靭帯または腱再建手術では、傷害組織を置き換えるために骨に挿入される手術用組織移植片(たとえば、靭帯移植片)の移植が必要である。傷害組織は、穿孔により形成された穴に移植片が挿通される前に骨から除去される。
【0003】
いくつかの靭帯または腱再建手術では、骨の表面深くにアンダーカットを穿孔して移植組織のアンカーを収容するのが有効である。
【0004】
骨にアンダーカットを形成するいくつかの一般的な装置では、穿孔穴の壁の一部を周方向に擦って広げる単一の彫削刃を有する刃物を採用している。
【0005】
このような技術では、刃物と骨との間の高摩擦を利用するため、操作に労力を要するのみならず、主としてアンカーの配置と干渉し得る微小粒子からなる破片が生成され、その除去が課題となる可能性がある。
【0006】
骨に穿孔された穴に沿ってアンダーカットを形成するのに用いられるさまざまな穿孔ツールは、ヒンジ、ばね等の可動構成要素に依拠して動作するため、製造が高価になることがあり、時間とともに摩耗し故障する傾向があり得る。また、このようなツールの操作は、取り扱いがやや煩雑であり、機能させるために複数の操作ステップが必要となる場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、骨材料除去装置であって、前方先端と、カニューレと、骨彫削部を具備する穴拡幅要素であり、カニューレに対して軸方向に摺動するとともに、少なくとも一部が周方向に延びるように動作する、穴拡幅要素と、を備え、前記カニューレに対する穴拡幅要素の全体としての軸方向移動によって、半径方向に進行して延びる前記彫削部が半径方向に延び、穴拡幅要素は、骨彫削部がカニューレまたはその仮想軸方向延伸部の直径内に後退する閉じた後退位置から、骨彫削部がカニューレまたはその仮想延伸部の表面の直径を越えて周方向に延び、穴の壁から骨を削る開いた延伸位置になる、装置が提供される。
【0008】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、端部に少なくとも1つの彫削部を具備する少なくとも1つの弾性アームが提供されており、軸方向移動によって、軸方向移動と幾何学的に干渉する固定面と少なくとも1つのアームが係合するとともに、アームが屈曲して、カニューレの表面を越えて半径方向かつ周方向に進行して延びるとともに穴の壁から骨を削る彫削部が偏向する。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、単一の弾性部材である穴拡幅要素を有する骨材料除去装置が提供されており、穴拡幅要素が、遠位端に少なくとも1つの彫削部を有し、近位閉端および遠位開端を有する長手方向凹部によって分離された少なくとも2つの遠位延伸アームを具備する。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、彫削部を具備するとともに彫削部の遠位面に遠位対向内方近位テーパ面を画定する拡幅部を穴拡幅要素の遠位端に画定する1つまたは複数のアームを有する単一の弾性部材である穴拡幅要素を有する骨材料除去装置が提供される。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、少なくとも1つの彫削刃を具備する彫削部を有する骨材料除去装置が提供される。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、互いに角度があり、少なくとも一端で接合された少なくとも2つの第1および第2の彫削刃を備えた彫削部を有する骨材料除去装置が提供される。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、骨の断片の主要部分を切断して断片の第1の表面を形成する第1の彫削刃および断片の第2の隣接面を切断して骨の断片を取り外す第2の彫削刃を有する骨材料除去装置が提供される。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、遠位端に少なくとも1つの彫削部を有し、長手方向凹部によって分離された少なくとも2つの遠位延伸アームを具備する穴拡幅要素を有する骨材料除去装置であって、第1の彫削刃、第2の彫削刃、および両者間の角度が、除去残留物が上昇して凹部に収集される上に向いた表面を与えるすくい角を画定する、骨材料除去装置が提供される。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、片側に第1の彫削刃が接し、骨に対する彫削部の摩擦を防止する端部レリーフまたはクリアランス曲線を形成する半径方向に位置決めされた湾曲面をさらに備えた彫削部を有する骨材料除去装置が提供される。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、大略近位内方テーパ面によって、アームの外側面と接合された彫削部を有する骨材料除去装置が提供される。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、突起を有する骨材料除去装置が提供される。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、穴拡幅要素の軸方向移動によって、穴拡幅要素の軸方向移動と幾何学的に干渉する突起と少なくとも1つの弾性アームが係合するとともに、アームが屈曲して、カニューレの表面を越えて半径方向かつ周方向に進行して延びるとともに穴の壁から骨を削る彫削部が偏向する、骨材料除去装置が提供される。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、前方先端と穴拡幅要素との間で近位対向面から近位方向に延びた突起を有し、少なくとも1つの弾性アームが、その彫削部の遠位面に遠位対向傾斜面をさらに具備しており、穴拡幅要素の軸方向移動によって、軸方向移動と幾何学的に干渉する突起と彫削部の傾斜面が係合するとともに、アームが屈曲して、彫削部が半径方向に偏向する、骨材料除去装置が提供される。
【0020】
当然のことながら、本実施形態および他の実施形態においては、2つの合わせ面の一方または両方が傾斜していてもよい。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、少なくとも1つの弾性アームが、中心対向面を具備しており、突起が、カニューレに対する穴拡幅要素の軸方向移動によって、アームの軸方向移動と幾何学的に干渉する突起に対して中心対向面が付勢されるとともに、アームが屈曲および偏向して、彫削部がカニューレの表面を越えて半径方向に進行して延びるとともに穴の壁から骨を削るように、中心対向面に隣接する、骨材料除去装置が提供される。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、弾性アームが、少なくとも1つの彫削部を越えて遠位が延びるとともに近位が接することによって傾斜面で終端する非彫削部をさらに備えており、穴拡幅要素の軸方向移動によって、軸方向移動と幾何学的に干渉する突起と非彫削部の傾斜面が係合するとともに、アームが屈曲して、彫削部がカニューレの表面を越えて半径方向に進行して延びるとともに穴の壁から骨を削る、骨材料除去装置が提供される。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、拡幅要素の少なくとも1つのアームの単一面に印加された屈曲力によって半径方向に延びる彫削部を具備する骨材料除去装置が提供される。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、中空部およびその壁の少なくとも1つの貫通開口を備えたカニューレを有し、骨彫削部が、少なくとも1つの開口を通って周方向に延びた、骨材料除去装置が提供される。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、彫削部が、少なくとも1つの近位内方テーパ面を備え、穴拡幅要素が、応力を受けた状態でカニューレに収容されており、軸方向移動によって、傾斜面が少なくとも1つの開口の遠位対向肩部に対してその上方に付勢され、傾斜面の係合が解除されるとともに、少なくとも1つの彫削部の半径方向延伸がもたらされる、骨材料除去装置が提供される。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、少なくとも1つの彫削部の半径方向延伸が、応力を受けた穴拡幅要素がその元の静止状態に戻ろうとする性質によって生じる、骨材料除去装置が提供される。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、彫削部を延伸位置に支持するカウンタ支持部をさらに具備した骨材料除去装置が提供される。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、中心を向く半径方向力に対抗するとともに彫削部がカニューレ中に後退することを防止するカウンタ支持部をさらに具備した骨材料除去装置が提供される。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、カウンタ支持部として作用する突起をさらに備えた骨材料除去装置が提供される。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、骨材料除去装置であって、少なくとも1つのアームが、完全に偏向した場合に、当該骨材料除去装置の長手方向軸およびカウンタ支持部により支持された刃物と大略平行である、骨材料除去装置が提供される。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、先端が骨穿孔先端である、骨材料除去装置が提供される。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、骨から骨材料を除去する方法であって、
少なくとも1つの弾性アームおよびその端部に少なくとも1つの彫削部を有する穴拡幅要素を軸方向に移動させることと、
穴拡幅要素の軸方向移動と幾何学的に干渉する表面に対して弾性アームを付勢し、半径方向の力をアームに印加することと、
アームを屈曲させるとともに、彫削部を延伸円周位置へと半径方向に偏向させることと、
穴の壁から骨を削って骨にアンダーカットを形成することと、
を含む、方法が提供される。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、穴拡幅要素の軸方向移動により表面に対して印加された軸方向力を半径方向の力に変換して、彫削部を延伸円周位置へと半径方向に偏向させる方法が提供される。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、骨から骨材料を除去する方法であって、
応力を受けた状態で、少なくとも1つの傾斜面を含む少なくとも1つの彫削部を有する穴拡幅要素をカニューレに収容することと、
穴拡幅要素を軸方向に移動させることと、
穴拡幅要素の軸方向移動と幾何学的に干渉するカニューレの壁の少なくとも1つの開口の肩部に対してその上方に傾斜面を付勢することと、
肩部から表面の係合を解除することと、
開口を通るとともにカニューレの表面を越えて彫削部が半径方向に進行して延びることにより、穴拡幅要素が静止状態に戻り得るようにすることと、
穴の壁から骨を削ることと、
を含む、方法が提供される。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、骨から骨材料を除去する方法であって、
少なくとも1つの弾性アームおよびその端部に少なくとも1つの彫削部を有する穴拡幅要素を軸方向に移動させることと、
幾何学的干渉面を少なくとも1つの弾性アームの進行経路に配置することと、
アームを干渉面と係合させて屈曲および偏向させることと、
彫削部が半径方向に進行して延びるようにさせることと、
穴の壁から骨を削ることと、
を含む、方法が提供される。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、骨材料除去装置であって、カニューレと、彫削部を有する穴拡幅要素および前方先端を具備し、カニューレに対して軸方向に摺動するとともに、周方向に延びるように動作する、単一の弾性部材と、を備え、カニューレに対する拡幅要素の軸方向移動によって、彫削部が延伸彫削位置まで半径方向に弾性延伸する、装置が提供される。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、単一の弾性部材がカニューレに可動収容された、骨材料除去装置が提供される。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、前方先端が穴穿孔先端である、骨材料除去装置が提供される。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、彫削部が少なくとも1つの円筒部に取り付けられた、骨材料除去装置が提供される。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、単一の弾性部材がカニューレに移動収容された、骨材料除去装置が提供される。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、カニューレが単一の部材の最厚部の外径よりも実質的に大きな内周を有する近位部を有する、骨材料除去装置が提供される。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、カニューレがその遠位端に隣接して位置する内方テーパ部および円筒部をさらに具備した、骨材料除去装置が提供される。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、カニューレの遠位端に位置する円筒部の内周の直径が、単一の部材の最厚部の外径と実質的に等しく、主として軸方向および回転方向移動、少なくとも単一の弾性部材の非半径方向移動を支持する、骨材料除去装置が提供される。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、動作時、穿孔先端が第1のシャフト捕捉点および穴拡幅要素との接触点として作用し、カニューレの内周が第2のシャフト捕捉点として作用する、骨材料除去装置が提供される。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、カニューレに対する弾性部材の軸方向移動によって、第1のシャフト捕捉点と第2のシャフト捕捉点との間の距離が短くなり、穴拡幅要素の剛性が高まるとともに、彫削部が半径方向に並進する、骨材料除去装置が提供される。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、カニューレの先端との弾性部材の接触によって、第1のシャフト捕捉から、穴拡幅要素の遠位端がその弾性を失って剛性となり、彫削部が半径方向に並進する閾値長さ以下の第3のシャフト捕捉が生成される、骨材料除去装置が提供される。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、骨材料除去装置であって、カニューレにおいて、弾性部材が、第1および第2の円筒部が当該骨材料除去装置の長手方向軸と一致しない応力を受けた状態である、骨材料除去装置が提供される。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、弾性部材の弾性によって、穴直径に適合する穴穿孔先端により穿孔された穴への拡幅要素の収容が支持される、骨材料除去装置が提供される。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、骨材料除去装置であって、彫削部の少なくとも頂点が半径方向に突出せず、当該骨材料除去装置の長手方向軸と大略一致したままとなる、骨材料除去装置が提供される。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、彫削部が少なくとも1つの彫削刃を備えた、骨材料除去装置が提供される。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、彫削部が、互いに角度があり、少なくとも一端で接合された少なくとも2つの第1および第2の彫削刃を備えた、骨材料除去装置が提供される。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、第1の彫削刃が、骨の断片の主要部分を切断して断片の第1の表面を形成し、第2の彫削刃が、断片の第2の隣接面を切断して骨の断片を取り外す、骨材料除去装置が提供される。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、穴拡幅要素が、遠位端に少なくとも1つの彫削部を有し、長手方向凹部によって分離された少なくとも2つの遠位延伸アームを具備しており、第1の彫削刃、第2の彫削刃、および両者間の角度が、除去残留物が上昇して凹部に収集される上に向いた表面を与えるすくい角を画定する、骨材料除去装置が提供される。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、彫削部が、片側に第1の彫削刃が接し、骨に対する彫削部の摩擦を防止する端部レリーフまたはクリアランス曲線を形成する半径方向に位置決めされた湾曲面を備えた、骨材料除去装置が提供される。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、骨から骨材料を除去する方法であって、骨に穴を穿孔することと、彫削部および先端を有する穴拡幅要素を具備する単一の弾性部材をカニューレから穴に導入し、部材に応力を加えて穴の直径に適合させることと、部材上のシャフト捕捉点と先端との間の距離を縮めて彫削部に作用する曲げモーメントの低減をもたらすとともに部材の剛性を増大させることと、彫削部に半径方向の力をもたらして延伸位置まで半径方向に延びるように付勢し、穴の壁から骨を削って、骨にアンダーカットを形成することと、を含む、方法が提供される。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、骨から骨材料を除去する方法であって、骨に穴を穿孔することと、彫削部および先端を有する穴拡幅要素を具備する単一の弾性部材をカニューレから穴に導入し、部材に応力を加えて穴の直径に適合させることと、部材上のシャフト捕捉点と先端との間の距離を縮めて部材の応力を緩和することと、部材が静止位置に戻り得るようにすることと、彫削部に半径方向の力をもたらして延伸位置まで半径方向に延びるように付勢し、穴の壁から骨を削って、骨にアンダーカットを形成することと、を含む、方法が提供される。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、骨材料除去装置であって、前方先端と、カニューレと、カニューレに対して軸方向に摺動して静止状態と応力を受けた状態との間を移動するとともに、周方向に延びるように動作する骨彫削部を具備する拡幅要素と、を備え、
カニューレに対する拡幅要素の軸方向移動によって、刃物が延伸彫削位置まで半径方向に弾性延伸する、装置が提供される。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、骨材料除去装置であって、カニューレと、少なくとも1つの骨彫削部および傾斜面を具備する穴拡幅要素と、押し込みロッドと、を備え、穴拡幅要素が、半径方向の移動のみに制限されており、押し込みロッドが軸方向に移動し、傾斜面と係合して、純粋な半径方向に進行する穴拡幅要素を作動さることにより、彫削部が当該骨材料除去装置の表面を越えて半径方向に進行して延びる、装置が提供される。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、穴拡幅要素の移動が、半径方向ガイド機構によって制限された、骨材料除去装置が提供される。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、骨材料除去装置であって、半径方向ガイド機構が、穴拡幅要素の幅にわたって切り取られた細長スロット状の切り欠きを備え、切り欠きの長さが当該骨材料除去装置の長手方向軸から半径方向に配向し、少なくとも1つのピンが当該装置の壁に固定されるとともに切り欠きを通って半径方向内方に突出した、骨材料除去装置が提供される。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、骨材料除去装置であって、穴拡幅要素が、半径方向内方に任意選択で一定の張力を印加する弾性取り付け具によって当該装置の壁に弾性的に取り付けられた、骨材料除去装置が提供される。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、弾性取り付け具が穴拡幅要素の半径方向外方延伸に耐える、骨材料除去装置が提供される。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、前方先端と、前方先端から近位の所定距離に位置する少なくとも1つの開口とを備えた骨材料除去装置が提供される。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、前方先端が骨穿孔先端である、骨材料除去装置が提供される。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、開口を介して大気と連通したルーメンをさらに具備しており、静止時に、骨彫削部が、少なくとも部分的にルーメン中に後退し、開口の縁内に配設されて突出しない、骨材料除去装置が提供される。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、押し込みロッドの先端が傾斜した、骨材料除去装置が提供される。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、彫削部が少なくとも1つの彫削刃を備えた、骨材料除去装置が提供される。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、彫削部が、片側に第1の彫削刃が接し、骨に対する彫削部の摩擦を防止する端部レリーフまたはクリアランス曲線を形成する半径方向に位置決めされた湾曲面をさらに備えた、骨材料除去装置が提供される。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、彫削部が、互いに角度があり、少なくとも一端で接合された少なくとも2つの第1および第2の彫削刃を備えた、骨材料除去装置が提供される。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、第1の彫削刃が、骨の断片の主要部分を切断して断片の第1の表面を形成し、第2の彫削刃が、断片の第2の隣接面を切断して骨の断片を取り外す、骨材料除去装置が提供される。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、骨材料除去装置であって、穴拡幅要素が、遠位端に少なくとも1つの彫削部を有し、長手方向凹部によって分離された少なくとも2つの遠位延伸アームを具備しており、第1の彫削刃、第2の彫削刃、および両者間の角度が、除去残留物が上昇して当該装置に収集されるクリアランス曲線に沿って上に向いた表面を与えるすくい角を画定する、骨材料除去装置が提供される。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、骨から骨材料を除去する方法であって、
彫削部および傾斜面を有する穴拡幅要素の移動を半径方向の移動のみに制限して、押し込みロッドを軸方向に移動させることと、
押し込みロッドを傾斜面と係合させ、純粋な半径方向に進行する穴拡幅要素を作動させることと、
彫削部が骨材料除去装置の表面を越えて半径方向に進行して延びるようにさせることと、
骨の一部を削ることと、
を含む、方法が提供される。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、カニューレのルーメンを通して押し込みロッドを軸方向に移動させる方法が提供される。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、カニューレの壁の開口を通して彫削部を半径方向に延伸させる方法が提供される。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、カニューレの壁に対する穴拡幅要素の弾性取り付けによって生じる半径方向内方張力に抗して彫削部を半径方向に延伸させる方法が提供される。
【0076】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、改良された骨材料除去装置を提供しようとする。
【0077】
したがって、本発明の一実施形態によれば、長手方向軸に沿って配置され、近位端および遠位端を有する円筒要素を具備した骨材料除去装置が提供されるが、遠位端は、第1の円筒部、第2の円筒部、および第1の円筒部と第2の円筒部とを接合するとともに長手方向軸から半径方向外方に延びた半径方向延伸突起を有する。
【0078】
突起は、長手方向軸から0.1mm~0.2mmだけ外方に延びているのが好ましい。
【0079】
本発明の一実施形態によれば、穿孔装置が、第1の直径の近位円筒部および第2の直径の遠位円筒部を有するカニューレを具備しており、第1の直径が第2の直径よりも実質的に大きく、骨材料除去装置がカニューレに対して挿入されるとともに長手方向に変位するように構成され、円筒要素を有しており、この円筒要素の直径が第2の直径と実質的に等しい。
【0080】
本発明の一実施形態によれば、各種直径の穴を穿孔する方法は、
カニューレを用意するステップと、長手方向軸に沿って配置されるとともに近位端および遠位端を有し、カニューレに対して挿入されるとともに長手方向に変位するように構成された円筒要素を用意するステップであって、遠位端が長手方向軸から外方に延びた半径方向延伸突起を有する、ステップと、カニューレに対して円筒要素を遠位方向に前進させることにより、患者の骨に長手方向穴を形成するステップと、カニューレに対して円筒要素を遠位方向にさらに前進させることにより、半径方向延伸突起を用いてアンダーカットを形成するステップと、を含む。
【0081】
本発明の一実施形態によれば、2つの段階に前進するように構成された骨材料除去装置は、長手方向軸に沿って配置され、近位端および遠位端を有する円筒要素を具備しており、遠位端は、第1の円筒部、第2の円筒部、および第1の円筒部と第2の円筒部とを接合するとともに長手方向軸から外方に延びた半径方向延伸突起を有する。第1の段階では、半径方向延伸突起が偏向し、第1の円筒部、第2の円筒部、および半径方向延伸突起が長手方向軸に沿って一致することにより、骨に真っ直ぐな穴を形成する。
【0082】
第2の段階では、半径方向延伸突起が長手方向軸から半径方向に突出することにより、骨にアンダーカットを形成する。
【0083】
本発明の別の実施形態によれば、骨材料除去装置は、相互長手方向軸に沿って配置された外側面および拡幅要素を有する穿孔要素を具備しており、穿孔要素および拡幅要素が互いに長手方向に変位可能であり、拡幅要素が、第1の直径の第1の穴の穿孔を可能にする閉位置および第2の直径の第2の穴の穿孔を可能にする開位置を選択的に仮定し、第2の直径は第1の直径より大きいのが好ましい。
【0084】
拡幅要素は、切断刃を具備するのが好ましく、閉位置において、切断刃が半径方向に延びることにより、穿孔要素の外側面と一致するのが好ましい。
【0085】
開位置においては、切断刃が穿孔要素の外側面から半径方向外方に延びることにより、患者の骨にアンダーカットを形成するのがさらに好ましい。
【0086】
アンダーカットの長さは、切断刃の長さの関数であるのがなお好ましい。
【0087】
本発明の一実施形態によれば、穿孔要素は、内部突起をさらに有しており、拡幅要素は、互いに離隔され、切断刃を画定する少なくとも1つの拡幅部を有する偏向可能アームをさらに有する。骨材料除去装置は、偏向可能アームが内部突起上を摺動することにより互いにさらに離隔した場合に、開位置を仮定する。
【0088】
別段の規定のない限り、本明細書で使用するすべての技術的および/または科学的用語は、本発明が関連する技術の当業者の通常の理解と同じ意味を有する。本明細書に記載の方法および材料と同様または同等の方法および材料を本発明の実施形態の実現または試験に使用可能であるが、以下では、例示的な方法および/または材料を説明する。矛盾がある場合は、定義を含む特許明細書が優先するものとする。また、材料、方法、および例は一例に過ぎず、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0089】
本明細書においては、添付の図面を参照することにより、本発明のいくつかの実施形態を一例として説明する。以下、図面を具体的に詳しく参照するが、図示の詳細は、一例であって、本発明の実施形態の説明を目的としていることを強調する。この点において、図面と併せた説明により、本発明の実施形態の実現方法が当業者には明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
図1】本発明の一実施形態に従って構成されるとともに動作可能であり、応力を受けていない配向で示される患者の骨の外側にある骨材料除去装置の簡略側面図および拡大図である。
図2】偏向配向で示される患者の骨の外側にある図1の骨材料除去装置の側面図および拡大図である。
図3】カニューレに挿入された図1の骨材料除去装置について、カニューレが患者の骨上に位置決めされた状態を示した部分切り出し側面図および拡大図である。
図4A】カニューレに挿入された図1の骨材料除去装置について、患者の骨内の第1の動作可能穿孔配向を示した部分切り出し側面図および拡大図である。
図4B】カニューレに挿入された図1の骨材料除去装置について、患者の骨内の第1の動作可能穿孔配向を示した簡略断面図である。
図5A】カニューレに挿入された図1の骨材料除去装置について、患者の骨内の第2の動作可能穿孔配向を示した部分切り出し側面図および拡大図である。
図5B】カニューレに挿入された図1の骨材料除去装置について、患者の骨内の第2の動作可能穿孔配向を示した簡略断面図である。
図5C】カニューレに挿入された図1の骨材料除去装置について、患者の骨内の第2の動作可能穿孔配向を示した簡略断面図である。
図6】カニューレに挿入された図1の骨材料除去装置について、患者の骨からの骨材料除去装置の除去を示した部分切り出し側面図および拡大図である。
図7】本発明の一実施形態に従って構成されるとともに動作可能な骨材料除去装置の簡略図である。
図8A図7の骨材料除去装置の穿孔要素の簡略図である。
図8B図8Aの線B-Bに沿った図8Aの穿孔要素の簡略断面図および拡大図である。
図9A図7の骨材料除去装置の穴拡幅要素の簡略図および断面図である。
図9B図9Aの線B-Bに沿った図9Aの穴拡幅要素の簡略断面図である。
図10A】閉じた動作配向の図7の組み立てられた骨材料除去装置を示した2つの異なる簡略平面図(それぞれ、正面図および側面図)である。
図10B図10Aの線B-Bに沿った閉じた動作配向の図7の組み立てられた骨材料除去装置の簡略部分断面図である。
図10C】患者の骨内で閉じた動作配向の組み立てられた骨材料除去装置の簡略側面図である。
図10D】患者の骨内で閉じた動作配向の組み立てられた骨材料除去装置を示した図10Cの拡大図である。
図11図10の閉じた配向位置と図12の開いた配向との間の過渡的な動作配向の図7の組み立てられた骨材料除去装置の一例の簡略正面図および部分断面図である。
図12A】開いた動作配向の図7の組み立てられた骨材料除去装置を示した2つの異なる簡略平面図(それぞれ、正面図および側面図)である。
図12B図12Aの線B-Bに沿った開いた動作配向の図7の組み立てられた骨材料除去装置の簡略部分断面図である。
図12C】患者の骨内で開いた動作配向の組み立てられた骨材料除去装置の簡略側面図である。
図12D】患者の骨内で開いた動作配向の組み立てられた骨材料除去装置を示した図12Cの拡大図である。
図13A】骨材料除去装置の別の実施形態の簡略断面図である。
図13B】骨材料除去装置の別の実施形態の簡略断面図である。
図14A】骨材料除去装置の別の実施形態の簡略断面図である。
図14B】骨材料除去装置の別の実施形態の簡略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0091】
本開示で使用する用語「骨材料除去装置」は、分離材料が骨から取り除かれるか否かに関わらず、骨から任意の形態で一部の骨材料を分離する装置を意味するものと捉えるべきである。
【0092】
本開示で使用する用語「彫削刃」は、骨から任意の形態で一部の骨材料を分離するように動作する骨材料除去装置の一部の縁部を意味するものと捉えるべきである。
【0093】
本開示で使用する用語「彫削部」は、彫削刃を含む骨材料除去装置の一部を意味するものと捉えるべきである。
【0094】
本開示において、用語「シャフト捕捉」および「シャフト捕捉点」は、区別なく使用しており、シャフトと周囲面との間の接触点であり、当該位置においてシャフトの半径方向移動を一時的に制限する接触点を意味する。
【0095】
本明細書においては、直径が異なる1つまたは複数の部分を有する小径穴を穿孔するのに特に有用な骨材料除去装置を開示している。
【0096】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、装置の少なくとも一部の軸方向移動が1つまたは複数の彫削部の半径方向延伸に変換される骨材料除去装置に関する。本発明のいくつかの例示的な実施形態において、この変換は、除去装置の一部の軸方向移動を制約しない。任意選択または代替として、この変換は、軸方向移動との幾何学的な干渉によるものであり、干渉が軸方向移動を半径方向延伸に変換する一方、任意選択で、干渉を過ぎた軸方向移動が可能なため制約はない。本発明のいくつかの例示的な実施形態において、骨除去装置は、その全体が1つの材料(たとえば、金属)で構成された単一の一体型要素である。本発明のいくつかの例示的な実施形態において、骨除去装置は、2つ以上の部分で構成され、一方が軸方向に移動し、一方が半径方向に移動する。
【0097】
本発明のいくつかの例示的な実施形態においては、半径方向移動によって、骨の穴よりも小さな(または、わずか10%、20%、もしくはその中間の割合でしか大きくない)縮小直径ならびに/または周囲カニューレもしくは遠位方向のカニューレの仮想軸方向延伸部の直径から、カニューレの表面および/または前記仮想延伸部の表面を越えて半径方向に延びた(たとえば、カニューレもしくはその仮想軸方向延伸部ならびに/または穴の半径(たとえば、拡幅部のない通常の直径)の10%、20%、30%、40%、50%、その中間の割合、またはそれを上回る割合だけ延びた)拡大直径まで、前記彫削部が延びる。
【0098】
本発明のいくつかの例示的な実施形態において、骨除去装置は、新たな半径方向位置まで並進する彫削部を備える。本発明のいくつかの例示的な実施形態において、この部分は、軸方向ヒンジ周りの枢動および/または回転を行わない。本発明のいくつかの実施形態の特定の特徴として、彫削部は堅牢である。任意選択で、彫削部は、たとえば当該部が位置するカニューレのルーメンの断面の少なくとも20%、40%、60%、70%、その中間の割合、またはそれを上回る割合の断面を有する。任意選択または代替として、この部分は、堅牢であって展開時に屈曲せず、如何なる屈曲も、装置の彫削部以外の部分で起こる。本発明のいくつかの例示的な実施形態においては、任意選択でカニューレが支持するカニューレの内側からカニューレの外側まで純粋な半径方向に延びる前記部分の材料によって、堅牢性が与えられる。任意選択で、このような延伸は、彫削部の彫削刃の軸方向長さの少なくとも50%、60%、80%以上、またはその中間の割合にわたって与えられる。
【0099】
本発明のいくつかの例示的な実施形態において、並進は、相対的または実質的に純粋な半径方向の並進であり、たとえば、半径方向の並進の距離の割合として、軸方向の並進の75%未満、60%、30%、20%、10%以下、またはその中間の割合を含む。
【0100】
本発明のいくつかの例示的な実施形態において、半径方向移動には、骨除去装置の屈曲を含むが、彫削刃での屈曲ならびに/または10°、20°、30°、40°、50°より大きい、またはその中間の角度の屈曲は除く。任意選択または代替としては、如何なる屈曲も、1mmより大きい、3mm、5mm、10mm、その中間、またはそれを上回る屈曲半径である。
【0101】
本発明のいくつかの例示的な実施形態においては、如何なる屈曲も、軸方向に印加された力ではなく、彫削部に対して半径方向に印加された力による。
【0102】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、穴拡幅要素の軸方向移動により表面に対して印加された軸方向力を半径方向の力に変換して、彫削部を延伸円周位置へと半径方向に偏向させる方法に関する。
【0103】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、カニューレに可動収容される単一の部材である弾性の骨材料除去装置に関する。骨材料除去装置は、穴穿孔先端と、彫削部を具備し、2つの円筒部間に配設された突起である穴拡幅要素とを具備していてもよい。動作時、穿孔先端は、第1のシャフト捕捉および穴拡幅要素との接触点として作用するようになっていてもよく、カニューレの内周は、第2のシャフト捕捉点として作用するようになっていてもよい。カニューレに対する装置の軸方向移動によって、第2のシャフト捕捉の位置が変化するとともに、第1および第2のシャフト捕捉間の距離が短くなって、穴拡幅要素の剛性が高まる。さらなる軸方向移動によって、穴拡幅要素がカニューレの先端と接触するとともに、穿孔先端からの第2のシャフト捕捉の距離に対して第1のシャフト捕捉(穴穿孔先端)からの距離が最短である第3のシャフト捕捉が生成される。穴拡幅要素の遠位端がその弾性を失う最大穴拡幅要素遠位端閾値長さを第3および第1のシャフト捕捉間の距離が下回ると、剛性が高まって、彫削部が半径方向に並進することにより、たとえばアンダーカットが実現される。
【0104】
本発明の実施形態の一態様は、端部に彫削部を具備するとともに、付勢により軸方向に移動して、屈曲により彫削部を半径方向に偏向させる固定面と係合する1つまたは複数の弾性アームを備えた拡幅要素を具備する弾性の骨材料除去装置に関する。この代替および任意選択で、穴拡幅要素は、適所に固定可能な彫削部を有する1つまたは複数のアームを具備しており、可動面の付勢によって軸方向に移動し、穴拡幅要素と係合して、アームを屈曲させるとともに彫削面を半径方向に偏向させる。
【0105】
本発明の実施形態の一態様は、穴拡幅要素であって、半径方向の移動のみに制限可能な1つまたは複数の彫削部と、軸方向の移動によって当該穴拡幅要素と係合し、純粋な半径方向に進行する当該穴拡幅要素を作動させることにより、その彫削部が骨材料除去装置の表面を越えて半径方向に進行して延びる押し込みロッドとを具備した、穴拡幅要素に関する。
【0106】
本発明の実施形態の一態様は、近位内方テーパ面または傾斜面を有する1つまたは複数の彫削部を具備するとともに、応力を受けた状態でカニューレに収容可能な穴拡幅要素を備えた弾性の骨材料除去装置に関する。カニューレに沿った穴拡幅要素の軸方向変位によって、近位内方テーパまたは傾斜面がカニューレ壁の開口の肩部に付勢されてその上を摺動し、最終的に、肩部から係合が解除され、穴拡幅要素がその元の静止状態に戻ろうとする性質によって生じる開口を通した1つまたは複数の彫削刃の段階的な半径方向延伸が可能となる。
【0107】
本発明の実施形態の一態様は、彫削部を有する単一の弾性部材である可動穴拡幅要素を具備しており、固定偏向面に対する穴拡幅要素の軸方向移動によって、穴拡幅要素の非彫削端部が固定面と接触して偏向することにより、彫削部がカニューレの表面を越えて半径方向に進行して延びるとともに、穴の壁から骨を削る、骨材料除去装置に関する。この代替および任意選択で、穴拡幅要素が固定され、偏向面が可動で軸方向に移動して、固定された穴拡幅要素と係合し、アームが屈曲して彫削部が半径方向に偏向するようになっていてもよい。
【0108】
上記の追加および任意選択で、本発明のいくつかの実施形態は、骨材料除去装置であって、静止状態から応力を受けた状態への当該装置の遷移およびその逆の遷移を有効にするとともに、1つまたは複数の彫削刃を有する穴拡幅要素のカニューレに対する軸方向移動を彫削刃の半径方向移動および延伸に変換するように動作するヒンジなし機構を具備する、骨材料除去装置に関する。
【0109】
上記の追加および代替として、本発明のいくつかの実施形態は、形成されたアンダーカットから骨断片等の残留物および破片を収集して除去し、破片をカニューレに格納するように動作する機構を具備するカニューレに収容された骨材料除去装置に関する。
【0110】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳しく説明する前に、本発明は、その用途が以下の説明、および/または図面、および/または実施例に記載の構成要素および/または方法の構成および配置の詳細に必ずしも限定さないことが了解されるものとする。本発明は、他の実施形態も可能であるし、さまざまな方法での実現または実施も可能である。
【0111】
ここで図1を参照して、この図は、本発明の一実施形態に従って構成されるとともに動作可能であり、応力を受けていない状態すなわち静止状態で患者の骨の外側にある骨材料除去装置の簡略側面図および拡大図である。
【0112】
図1は、穴穿孔先端116および彫削部を有する半径方向に突出した周方向穴拡幅要素110の両者を具備する単一の弾性部材が可能な骨材料除去装置100を示している。骨材料除去装置100は、近位端102および遠位端104を有していてもよい。装置100は主に、長手方向軸105に沿って配置されていてもよく、ニチノール等の生体適合性の形状記憶合金で構成されていてもよい。
【0113】
図1の例に示すように、骨材料除去装置100は、任意選択で、その長手方向範囲の大部分が円筒として構成されていてもよい。この円筒は任意選択で、直径が0.5mm~3mmの範囲、この代替および任意選択で0.5mm~2.5mmの範囲、この代替および任意選択で1mm~2mmの範囲であってもよい。
【0114】
本発明の一実施形態の特定の特徴として、骨材料除去装置100の遠位端104は、任意選択で、遠位対向肩部107で終端する第1の大略円筒部106と、第2の大略円筒部108と、穴穿孔先端116により穿孔された穴の直径から穴拡幅要素が逸脱しないように半径方向にわずかに延びた穴拡幅要素とを有していてもよい。いくつかの実施形態において、穴拡幅要素は、たとえば円錐形状、円弧形状、三角形状、またはその他任意の形状で長手方向軸105に対して半径方向に延びていてもよい。
【0115】
図1の実施形態において、穴拡幅要素は、長さ全体に彫削部を具備する大略凸状の外側面112と大略凹状の内側面114とを有する半径方向にわずかに延びた偏心突起110である。他の実施形態において、内側面114は、他の幾何学的形状であってもよい。たとえば、内側面114は、三角形突起110を構成する平坦状であってもよい。突起110は、任意選択で、第1の円筒部106と第2の円筒部108とを接合する。図1に示す実施形態の応力を受けていない位置において、突起110は、任意選択で、0.05~0.4mm、この代替および任意選択で0.075~0.3mm、この代替および任意選択で0.1~0.2mmだけ長手方向軸105から外方に延びていてもよい。
【0116】
なお、図1の実施形態において、骨材料除去装置100の遠位端104の外径は、骨材料除去装置100のその他の部分の外径よりも小さい。
【0117】
図1に示す実施形態の応力を受けていない位置において、骨材料除去装置100の長手方向範囲の大部分は、半径方向外方に延び得る突起110を除いて、長手方向軸105に沿って配置されている。
【0118】
骨材料除去装置100の遠位端104の穴穿孔先端116は、第2の円筒部108から遠位に位置してもよい。
【0119】
なお、任意選択で、遠位端104の長さは、剛性とならないように、たとえば10mmの閾値長さよりも長い。以下により詳しく説明する通り、この特性によれば、穴穿孔先端116と装置100に沿って位置するシャフト捕捉点との間の距離を長くしたり短くしたりすることによって、遠位端104の剛性を必要に応じて変更可能である。言い換えれば、穴穿孔先端116と装置100に沿って位置するシャフト捕捉点との間の距離が短くなると、遠位端104が完全に剛性となる閾値長さ(たとえば、8mm)へと遠位端104の剛性が高まる。
【0120】
任意選択で、遠位端104の長さは、10mm~25mm、この代替および任意選択で13mm~23mm、この代替および任意選択で15mm~20mmの範囲であってもよい。
【0121】
当然のことながら、図1に見られる骨材料除去装置100の応力を受けていない状態すなわち静止状態において、第1の円筒部106および第2の円筒部108は、長手方向軸105に沿って相互に一致している。
【0122】
ここで図2を参照して、この図は、応力を受けた状態の図1の骨材料除去装置100の実施形態の側面図および拡大図である。図2に示す例は、たとえば形状記憶合金の材料特性に由来する骨材料除去装置100の弾性の性質を明らかにしたものである。図2に示すように、患者の骨の外側にある骨材料除去装置100は、応力を受けると、弾性的に変形して偏向配向となり得る。ただし、その弾性および形状記憶の性質により、骨材料除去装置100は、応力が解除されると、図1に示す元の応力を受けていない形状すなわち静止状態の形状に戻る可能性がある。
【0123】
図2に見られる例において、骨材料除去装置100の遠位端104は、当該骨材料除去装置100の弾性特性によって、半径方向に偏向している。第1の円筒部106および第2の円筒部108は、長手方向軸105と一致していない。この段階において骨材料除去装置100である弾性部材の遠位端104の弾性は、穴直径に適合する穴穿孔先端116によって穿孔された穴への遠位端104の収容に対応しており、凸状の外側面112の彫削部のすべてではないが少なくとも頂点が半径方向に突出せず、長手方向軸105と大略一致したままである。
【0124】
ここで図3を参照して、この図は、カニューレに挿入された図1の骨材料除去装置100について、カニューレが患者の骨上に位置決めされた状態を示した部分切り出し側面図および拡大図である。
【0125】
図3の骨材料除去装置の実施形態は、近位端124にハンドル122を有するとともに遠位端128に長手方向カニューレ126を有し、長手方向軸105に沿って配置された穿孔ガイドツール120に挿入された骨材料除去装置100の一例を示している。カニューレ126は、患者の骨200上の位置に当該カニューレを固定的に位置決めする歯付き先端130を遠位端に有する。穿孔ガイドツール120は、カニューレ126の歯付き先端130が骨200およびカニューレ126に挿入された骨材料除去装置100と係合するように患者の骨200上に位置決めされ、近位円筒部134に沿って延び、内方テーパ部136の近位で終端していてもよい。図3の例において、骨材料除去装置100は、図1と同様の応力を受けていない状態すなわち静止状態で位置決めされたものとして示している。
【0126】
ここで図4Aを参照して、この図は、カニューレ126に挿入された図1の骨材料除去装置100について、患者の骨200内の第1の動作可能穿孔配向を示した部分切り出し側面図および拡大図である。
【0127】
カニューレ126は、第1の直径(d1)の内周132を有する近位円筒部134、当該カニューレ126の遠位端128に隣接して位置する内方テーパ部136、およびカニューレ126の遠位端128に位置する第2の直径(d2)の内周を有する円筒部138を有していてもよい。当然のことながら、部分134の内周132の第1の直径は、遠位端128における最遠位円筒部138の第2の直径(d2)より実質的に大きくてもよい。遠位端104を除く骨材料除去装置100の外径(d3)は、カニューレ126の遠位端128の円筒138の内周の第2の直径(d2)と実質的に等しくてもよいため、円筒部138の遠位部128の内周(d2)において、主に半径方向の装置100の軸方向および回転移動、少なくとも固定に対応している。
【0128】
ここで図4A図4B図5A図5B、および図5Cを参照して、これらの図は、患者の骨200中に遠位前進しているさまざまな時点の骨材料除去装置100の動作段階の例の簡略断面図である。たとえば、静止状態から応力を受けた状態への骨材料除去装置100の遷移またはその逆の遷移による装置100の軸方向移動の半径方向並進への変換および突起100の1つまたは複数の彫削刃の延伸によって、以下に開示の図4A図5Bの動作段階が穴穿孔装置からアンダーカット生成装置への骨材料除去装置100の変換を示していることが当業者には明らかとなるであろう。これらのステップは一般的に、連続して実行されるようになっていてもよい。
【0129】
図4Aに示すとともに上述の通り、骨材料除去装置100とカニューレ126との間には自由度があり、骨材料除去装置100の弾性特性によって、骨材料除去装置100は、長手方向軸105に沿って長手方向に遠位前進可能である。この自由度は、遠位端104を除く骨材料除去装置100のその他の部分すなわち装置100の最厚部の外径(d3)がカニューレ126の近位円筒部134の第1の直径(d1)よりも実質的に小さいという事実によってもたらされる。
【0130】
図4Bに示すように、図4Aに示す骨材料除去装置100の挿入段階の時点において、装置100は、カニューレ126の内周132において半径方向に自由に移動可能であるため、部分134の内周132の骨材料除去装置100との接触点(図示せず)が第1のシャフト捕捉を構成可能であり、穿孔先端116の周囲の骨(すなわち、図5の穴202)が第2のシャフト捕捉を構成していてもよい。第1の接触点(捕捉)の特定位置は、穿孔プロセス全体で変動するものであってもよい。また、第1および第2のシャフト捕捉間の距離によって、骨材料除去装置100に第1の曲げモーメントが生じ、図2に示すような応力を受けた状態へと装置100が弾性変形するようになっていてもよい。この状態では、装置100の弾性特性によって、突起110が屈曲力に負けて屈曲し、長手方向軸105ならびに第1の円筒部106および第2の円筒部108と一致して、穴穿孔先端116により穿孔された穴の直径に適合するため、装置100が患者の骨200内で長手方向に前進可能となり、内部に小径穴が形成される。
【0131】
本発明の一実施形態の特定の特徴として、そのいくつかの実施形態においては、この段階で第1の円筒部106、第2の円筒部108、および突起110が長手方向軸105に沿って相互に一致し、図4Aおよび図4Bに示す動作配向において穴穿孔先端116により穿孔された穴の半径以下の直径を有する一方、遠位対向肩部107は、依然としてカニューレ126の最遠位円筒部138と係合していない。
【0132】
図4Aおよび図4Bにおいては、骨材料除去装置100の遠位前進によって、患者の骨200に真っ直ぐな長手方向穴202が形成されている。
【0133】
この動作配向において形成された長手方向穴202は、任意選択で、直径が2mm~4mmの範囲、この代替および任意選択で1.5mm~3mmの範囲、この代替および任意選択で1mm~2mmの範囲であり、第1の円筒部106および第2の円筒部108の外径に対応する。
【0134】
ここで図5A図5B、および図5Cを参照して、これらの図は、カニューレ126に挿入された図1の骨材料除去装置100の実施形態について、患者の骨200内の第2の動作可能穿孔配向を示した部分切り出し側面図、拡大図、および簡略断面図である。
【0135】
図5Aにおいては、骨材料除去装置100が患者の骨200内へとさらに遠位前進している。骨材料除去装置100のさらなる遠位前進としては、約1mm~8mm、この代替および任意選択で1.5mm~7mm、この代替および任意選択で2mm~6mmの範囲が可能である。
【0136】
本発明の一実施形態の特定の特徴として、図5Aに示すとともに図5Bにより詳しく示すこの段階では、肩部107およびその装置100の近接部が軸方向にさらに移動して、カニューレ126の最遠位円筒部138に進入しており、骨材料除去装置100とカニューレ126との間には、半径方向の自由度がもはや存在していない。
【0137】
この自由度は、遠位端104を除く骨材料除去装置100のその他の部分の外径がカニューレ126の最遠位円筒部138の実質的に等しい外径と係合するという事実によって失われる。
【0138】
この時点において、穿孔先端116の周囲の骨(すなわち、穴202)は、第2のシャフト捕捉のままであってもよいが、最遠位円筒部138が第3のシャフト捕捉となり、部分134の内周132に沿って接触点に位置する第2のシャフト捕捉に置き換わる。また、第2および第1のシャフト捕捉間の距離よりも短い第1および第3のシャフト捕捉間の距離によって、骨材料除去装置100に第2の小さな曲げモーメントが生じ、遠位端104が完全に剛性となる図5Bに文字(L)で指定の閾値長さ(たとえば、カニューレの先端)となる。
【0139】
剛性の増大(曲げモーメントの低下)および骨材料除去装置100を構成する材料の形状記憶特性によって、装置100は、図1に示すような元の静止状態へと戻る性質にあるため、図5Bにおいて参照番号550を付した矢印で示す半径方向の力が突起110に加わり、突起110が付勢されて半径方向に延びる。したがって、本発明の一実施形態の特定の特徴として、カニューレ126に対する突起110の形態の穴拡幅要素の軸方向移動により遠位端104の剛性が高まって、突起110の彫削部が半径方向延伸位置へと半径方向に延びる。
【0140】
図5Cに示すように、遠位端104の剛性が高くなると、突起110が半径方向に延びて、長手方向軸105周りの回転により患者の骨200にアンダーカットを実現するため、直径が大きくなり、穴202の直径よりも実質的に大きな直径の穴(アンダーカット)204が形成される。この段階における骨材料除去装置100の剛性により、突起110が長手方向軸105の半径方向外部に突出するため、患者の骨200内で骨材料除去装置100が長手方向に前進可能となって、突起110により形成された外径に対応する大径穴が形成される。
【0141】
本発明の一実施形態の特定の特徴として、この時点では、図5A図5Cに示す動作配向において第1の円筒部106および第2の円筒部108が長手方向軸105に沿って相互に一致しており、また、遠位対向肩部107がカニューレ126の最遠位円筒部138と係合して突起110が剛性を失わないようにしているため、長手方向軸105に対して突起110が半径方向外方に延びている。
【0142】
図5A図5Cに示す動作配向において形成されたアンダーカット204は、任意選択で、直径が0.6mm~3.2mm、この代替および任意選択で1mm~2.8mm、この代替および任意選択で1.2mm~2.4mmの範囲であり、半径方向に最も延びた構成の突起110の外径に対応する。
【0143】
図5A図5Cにおいては、骨材料除去装置100のさらなる遠位前進によって、患者の骨200に形成された真っ直ぐな長手方向穴202の大略真ん中にアンダーカット204が形成されている。
【0144】
ここで図6を参照して、この図は、カニューレ126に挿入された図1の骨材料除去装置の実施形態について、患者の骨200からの骨材料除去装置100の除去を示した部分切り出し側面図および拡大図である。
【0145】
図6においては、骨材料除去装置100が患者の骨200から引き出されているが、骨には、小径の長手方向穴202および大径のアンダーカット204という直径の異なる穴が形成されている。
【0146】
ここで図7を参照して、この図は、本発明の別の実施形態に従って構成されるとともに動作可能な骨材料除去装置300の簡略図である。
【0147】
図7においては、任意選択でカニューレの形態で近位端310および遠位端312を有するとともに生体適合性金属で構成された穿孔要素302を骨材料除去装置300が任意選択で具備している。遠位端312は、テーパ穿孔先端314により封止されていてもよい。穿孔要素302は任意選択で、直径が2mm~4mmの範囲、この代替および任意選択で1.5mm~3mmの範囲、この代替および任意選択で1mm~2mmの範囲であってもよい。また、装置300は、穿孔要素302の遠位端312と近位端310との間に配設されるとともに少なくとも一部が挿入された穴拡幅要素304を具備していてもよい。
【0148】
穿孔要素302は、穴拡幅要素304と接触した押し込み要素308が挿入されたハンドル306と近位端301でつながっている。この代替および任意選択で、穿孔要素302および穴拡幅要素304は、パワーツール(たとえば、パワードリル)に接続可能である。穿孔要素302および穴拡幅要素304は、相互長手方向軸309に沿って配置されている。
【0149】
本発明の一実施形態の特定の特徴として、穴拡幅要素304は、少なくとも一部が穿孔要素302に挿入され、患者の骨に第1の直径の穴を穿孔可能な閉位置と患者の骨に第2の直径の穴を穿孔可能な半径方向に延びた開位置との間で選択的に位置決めされるようになっていてもよく、第1の直径が任意選択で穿孔要素302の管状部またはカニューレ部の外径に等しく、第2の直径が第1の直径よりも大きくて、患者の骨にアンダーカットが形成されるようになっていてもよい。
【0150】
ここで図8Aを参照して、この図は、図7の骨材料除去装置300の穿孔要素302の簡略図である。また、図8Bを参照して、この図は、図8Aの線B-Bに沿った図8Aの穿孔要素302の簡略断面図および拡大図である。
【0151】
穿孔要素302は任意選択で、生体適合性材料(たとえば、金属)で一体的に構成されるとともに、長手方向軸309に沿って配置されていてもよい。
【0152】
図8Aおよび図8Bにおいては、穿孔要素302の壁335の1つまたは複数の貫通開口320が穿孔要素302を通って半径方向に、長手方向軸309を横切って延びている。穿孔要素302の壁335の内側面336は、開口320の近位に穿孔要素302の中空部を画定するとともに、任意選択で、開口320の遠位に中実部を画定する。
【0153】
開口320はそれぞれ、遠位対向肩部322から近位対向肩部324まで長手方向に延びている。
【0154】
当然のことながら、穿孔先端314は、穿孔要素302に対する固定的な結合あるいは一体構成が可能である。
【0155】
図8Bに見られる例において、穿孔要素302の中実部は、穿孔先端314から近位方向に近位対向肩部324の略隣まで延びて、この場所に近位対向面326を画定する。この面326からは、任意選択で突起328が近位方向に延びている。図8Bに示す突起328は任意選択で、円筒部330と、そこから近位方向に延びた1つまたは複数の傾斜面(たとえば、円錐またはテーパ)を有する近位部332とを有する。当然のことながら、突起328は代替として、その長手方向範囲全体に沿った円錐またはその他任意の拡幅形状(たとえば、ピラミッド状またはその他任意の適当な形状)として構成可能である。図8Aに示す本発明の例示的な実施形態によれば、円錐部332は、1つまたは複数の半径方向に延びる1つまたは複数の遠位延伸テーパ面または傾斜面334を画定する。たとえば、円錐部332は、相互に反対の半径方向に延びる2つの遠位延伸テーパ面または傾斜面334を画定していていもよい。
【0156】
穿孔要素302の中空部は、外側面337および内側面336を有する壁335を画定する。
【0157】
ここで図9Aを参照して、この図は、図7の骨材料除去装置300の穴拡幅要素304の一例の簡略図および簡略断面図である。また、図9Bを参照して、この図は、図9Aの線B-Bに沿った図9Aの穴拡幅要素304の簡略断面図である。
【0158】
穴拡幅要素304は任意選択で、近位端350および遠位端352を有し、形状記憶の性質を有する弾性の生体適合性材料(たとえば、金属)で一体的に構成可能であるとともに、長手方向軸309に沿って配置可能である。
【0159】
特に、図9Bにおいては、押し込み要素308(図7)が係合する大略円筒状の凹部354が近位端350に形成される。凹部354は近位端350から遠位方向に延びて、近位対向面356で終端している。
【0160】
任意選択で、穴拡幅要素304の長手方向範囲の略真ん中から遠位端352まで1つまたは複数の遠位延伸アーム358が延び、近位閉端および遠位開端を有する長手方向凹部360が遠位延伸アーム358の中心対向面に接して遠位延伸アーム358を分離していてもよい。アーム358はそれぞれ、外側面362を画定する。
【0161】
図9Aおよび図9Bに示すように、穴拡幅要素304のアーム358は、互いに平行ではなく徐々に近づいて、いくつかの例では、長手方向凹部360の近位閉端から遠位で互いに接触していてもよい。以下により詳しく説明する通り、一実施形態において、図9Aおよび図9Bに示す穴拡幅要素304は、半径方向内方の力が外側面362に印加された場合にアーム358が互いに内方へと偏向し得るように、応力を受けない静止状態であってもよい。半径方向外方の力がアーム358の内側面に印加された場合は、アーム358が外方に偏向して、互いにさらに分離可能である。別の実施形態において、図9Aおよび図9Bに示す穴拡幅要素304は、応力を受けた状態すなわち負荷状態であってもよい。
【0162】
アーム358はそれぞれ、拡幅要素304の遠位端352に拡幅部364を画定する。拡幅部364はそれぞれ、遠位対向(好適には、内方近位)テーパ面または傾斜面366を画定するのが好ましい。内方近位テーパ面または傾斜面366は、当該面366から近位方向に延びる彫削部368の遠位面を画定する。彫削部368は、大略長手方向に拡幅されて、以下により詳しく説明する外側彫削刃370または複数の彫削刃370と、片側に彫削刃370が接し、骨に対する当該彫削部368の摩擦を防止する端部レリーフまたはクリアランス曲線を形成する半径方向に位置決めされた湾曲面921とを画定しており、装置300の動作に要する力(たとえば、トルク)が抑えられる。長手方向彫削部368は、大略近位内方テーパ面または傾斜面372によって、アーム358の外側面362と接合されている。当然のことながら、長手方向彫削部368としては、円筒あるいは円錐またはその他任意の適当な形状が可能である。
【0163】
当然のことながら、拡幅部364は、互いにある角度で大略位置決めされていてもよい。
【0164】
いくつかの実施形態において、穴拡幅要素304は、1つまたは複数の彫削部368を備えた単一のアーム358を有していてもよい。他の実施形態において、穴拡幅要素304は、2つ以上のアームを有し、そのうちの1つだけが1つまたは複数の彫削部368を備えていてもよい。
【0165】
ここで図10と総称する図10A図10D図11、および図12と総称する図12A図12Dを参照して、これらの図は、患者の骨200中に遠位前進しているさまざまな時点の骨材料除去装置300の動作段階の例の簡略図である。たとえば、静止状態から応力を受けた状態への骨材料除去装置300の遷移またはその逆の遷移による装置300の軸方向移動の半径方向並進への変換および1つまたは複数の開口320を通した穴拡幅要素304のアーム358の1つまたは複数の彫削部の延伸によって、以下に開示の動作段階が穴穿孔装置からアンダーカット生成装置への骨材料除去装置300の変換を示していることが当業者には明らかとなるであろう。これらのステップは一般的に、連続して実行されるようになっていてもよい。
【0166】
ここで図10Aを参照して、この図は、閉じた動作配向の図7の組み立てられた骨材料除去装置300の一例を示した2つの異なる簡略平面図(それぞれ、正面図および側面図)である。また、図10Bを参照して、この図は、図10Aの線B-Bに沿った閉じた動作配向の図7の組み立てられた骨材料除去装置300の簡略部分断面図である。さらに図10Cを参照して、この図は、患者の骨内で閉じた動作配向の組み立てられた骨材料除去装置300の簡略側面図である。また、図10Dを参照して、この図は、患者の骨内で閉じた動作配向の組み立てられた骨材料除去装置300を示した図10Cの拡大図である。
【0167】
図10A図10Dの例においては、長手方向軸309に沿って相互に配置されるように、穴拡幅要素304が穿孔要素302に挿入されている。
【0168】
また、押し込み要素308が依然として完全にはハンドル306に挿入されていないため、穴拡幅要素304は、近位で静止して位置決めされており(図10B)、骨材料除去装置300が閉じた動作配向となる。この近位において、押し込み要素308は、穴拡幅要素304の凹部354の近位対向面356と係合しない。
【0169】
拡幅要素304のアーム358の拡幅部364はそれぞれ、穿孔要素302の各開口320内に位置し、穿孔要素302の開口320により画定された遠位対向肩部322に隣接して、近位内方テーパ面または傾斜面372が位置する。
【0170】
拡幅要素304の遠位対向(好適には、内方近位)テーパ面または傾斜面366は、穿孔要素302の突起328の遠位延伸テーパ面または傾斜面334と係合しないため、拡幅要素304のアーム358は、閉じた静止状態動作配向に位置決めされる。この時点では、アーム358が任意選択で、穿孔要素302の内側面336により拡幅要素304のアーム358の拡幅部364の近位内方テーパ面または傾斜面372に印加された半径方向内方の力によって、半径方向内方に、互いに大略わずかに偏向していてもよい。
【0171】
本発明の一実施形態の特定の特徴として、骨材料除去装置300の閉じた動作配向では、拡幅要素304の彫削刃370が半径方向にわずかに延びて、穿孔要素302の外側面337とのみ一致するようになっていてもよい。したがって、穿孔要素302の外側面の穿孔半径は、拡幅要素304の彫削刃370によって形成される穿孔半径と実質的に等しいため、特に図10Cおよび図10Dに見られるように、患者の骨402に第1の直径の最初の穴400が形成される。
【0172】
最初に穿孔される穴の半径としては、たとえば0.2mm~1.4mm、この代替および任意選択で0.4mm~1.2mm、この代替および任意選択で0.5mm~1mmの範囲、またはその他任意の半径が可能であり、好ましくは穿孔要素302の外径に等しい。
【0173】
図11は、図10A図10Dの閉じた配向位置と図12A図12Dの開いた配向との間の過渡的な動作配向の図7の組み立てられた骨材料除去装置300の実施形態の一例の簡略正面図および部分断面図である。
【0174】
図11に示す時点においては、押し込み要素308の一部が軸方向に遠位前進しており、一部がハンドル306に挿入されているため、その遠位端が穴拡幅要素304と係合して、穴拡幅要素304を軸方向かつ遠位方向に変位させており、この一部に対して、突起328のテーパ面または傾斜面334が係合する。
【0175】
押し込み要素308は、簡易脱着システム、代替あるいは任意選択でのネジ機構により凹部354に取り付けて係止するようにしてもよく、押し込み要素308を回転させることにより必要に応じて、拡幅要素304を軸方向に徐々に移動可能である。
【0176】
軸方向かつ遠位方向に変位した穴拡幅要素304は、軸方向に移動して、穴拡幅要素304の軸方向移動と幾何学的に干渉する突起328の遠位延伸テーパ面または傾斜面334と係合するとともに、半径方向の屈曲力を穴拡幅要素304のアーム358に印加して、彫削部が1つまたは複数の開口320を通って半径方向外方に進行して延びるようにしてもよい。
【0177】
ここで図12Aを参照して、この図は、完全に開いた動作配向の図7の組み立てられた骨材料除去装置300を示した2つの異なる簡略平面図(それぞれ、正面図および側面図)である。また、図12Bを参照して、この図は、図12Aの線B-Bに沿った完全に開いた動作配向の図7の組み立てられた骨材料除去装置300の簡略部分断面図である。さらに図12Cを参照して、この図は、患者の骨内で完全に開いた動作配向の組み立てられた骨材料除去装置300の簡略側面図である。また、図12Dを参照して、この図は、患者の骨内で完全に開いた動作配向の組み立てられた骨材料除去装置300を示した図12Cの拡大図である。
【0178】
図12A図12Dにおいては、長手方向軸309に沿って相互に配置されるように、穴拡幅要素304が穿孔要素302に挿入されたままである。
【0179】
本発明の一実施形態の特定の特徴として、穴拡幅要素304は、穿孔要素302に対して軸方向に完全に変位している。
【0180】
特に、この段階においては、押し込み要素308が完全にハンドル306に挿入されており、遠位端(図示せず)が穴拡幅要素304の凹部354の近位対向面356と係合するため、穴拡幅要素304が軸方向かつ遠位方向に変位して遠位に位置決めされることにより、骨材料除去装置300が開いた動作配向となる。当然のことながら、この代替および任意選択で、ハンドル306および押し込み要素308を利用する代わりに、たとえば押し込み要素308等の機械的手段の操作を要さずにパワーツールの回転方向を変えることで骨材料除去装置300の閉じた動作配向と開いた動作配向とを選択的に変更するパワーツールを使用可能である。
【0181】
穴拡幅要素304の遠位方向の変位によって、穿孔要素302の開口320に対して、穴拡幅要素304のアーム358の拡幅部364が長手軸方向に摺動し、穴拡幅要素304の遠位対向(好適には、内方近位)テーパ面または傾斜面366が穿孔要素302の突起328の遠位延伸テーパ面または傾斜面334と係合するとともに、これに沿って摺動する。これにより、穴拡幅要素304のアーム358間に形成された長手方向凹部360にテーパ面または傾斜面334が進入し、穴拡幅要素304のアーム358の軸方向移動と幾何学的に干渉するため、穴拡幅要素304のアーム358が半径方向外方に偏向する。アーム358は、印加された屈曲力に負けるため、遠位延伸テーパ面または傾斜面334により印加された半径方向外方の力によって互いに離隔し、拡幅要素304のアーム358間に形成された長手方向凹部360に進入して、1つまたは複数の開口320を通る彫削部368の半径方向変位および延伸をもたらすため、彫削部368が完全に延びた位置に位置決めされるとともに、骨材料除去装置300が完全に開いた動作配向となる。
【0182】
図12A図12Dに示すこの開いた動作配向において、遠位対向(好適には、内方近位)テーパ面または傾斜面366は、穿孔要素302の開口320ならびに突起328の円筒部330によって半径方向延伸位置に係止された彫削部368および彫削刃370により画定された近位対向肩部324に隣接して位置してもよい。これにより、突起328の円筒部330は、彫削部368を延伸位置に支持し、中心を向く半径方向力に対抗するとともに彫削部368が穿孔要素302中に後退することを防止するカウンタ支持部として作用する。
【0183】
したがって、本発明の一実施形態の特定の特徴として、突起328に対する穴拡幅要素304の軸方向移動により、穴拡幅要素304のアーム358の1つまたは複数の彫削部368が半径方向延伸位置へと弾性的に半径方向に延伸する。
【0184】
本発明の一実施形態の特定の特徴として、骨材料除去装置300の開いた動作配向においては、1つまたは複数の開口320を通って、穴拡幅要素304の彫削刃370が穿孔要素302の外側面337から半径方向外方に延びることにより、彫削刃370が穴の壁から骨を削るとともに骨にアンダーカットを形成するように動作する。このため、穴拡幅要素304の彫削刃370により形成された穿孔直径は、穿孔要素302の穿孔先端314により最初に形成された穿孔直径よりも実質的に大きい。
【0185】
特に、図12Cおよび図12Dにおいては、患者の骨402における第1の直径の最初の穴400上に第2の直径のアンダーカット404が形成されるが、第2の直径は第1の直径よりも実質的に大きい。アンダーカットの半径としては、たとえば1.5mm~2.5mm、この代替および任意選択で1mm~2mm、この代替および任意選択で0.75mm~1.25mmの範囲が可能である。
【0186】
彫削刃370は一点に向かってテーパ状であってもよいし傾斜していてもよいが、本発明の一実施形態のさらに特定の特徴として、彫削刃370には長さがあり、患者の骨402に形成されたアンダーカット404の長さは、穴拡幅要素304の彫削刃370の長さの関数である。
【0187】
当然のことながら、2つのテーパ面または傾斜面すなわち穴拡幅要素304の遠位対向(任意選択で、内方近位)テーパ面366と穿孔要素302の遠位延伸テーパ面334との係合により、穿孔残留物を凹部360へと除去可能であり、潤滑剤として作用するため、穿孔要素302に対して拡幅要素304を滑らかに変位させることができる。
【0188】
12A~図12Dされるように、彫削部は任意選択で、拡幅要素304のアーム358の単一面に印加された屈曲力により半径方向に延びる。
【0189】
図9Aおよび図9Bを再び参照して、別の実施形態においては、図9Aおよび図9Bに示す穴拡幅要素304が穿孔要素302の内側で応力を受けた状態すなわち負荷状態であってもよく、穴拡幅要素304のアーム358が応力を受けて互いにある角度となる。
【0190】
図10Bに示す例の閉位置では、彫削部368の大略近位内方テーパ面372が開口320に付勢され、遠位対向肩部322から長手方向に延び、彫削部368が半径方向に延びないようにする。この時点においては、患者の骨402内に第1の直径の最初の穴400を形成可能である(図10Cおよび図10D)。
【0191】
図11に示す時点においては、押し込み要素308の一部が軸方向に遠位前進しており、一部がハンドル306に挿入されているため、その遠位端が穴拡幅要素304と係合して、穴拡幅要素304を軸方向かつ遠位方向に変位させる。また、穿孔要素302に対する穴拡幅要素304の軸方向変位によって、近位内方テーパ面372が遠位対向肩部322と徐々に係合して、その上を摺動する。その弾性および形状記憶の性質により、骨材料除去装置300は、応力が解除されると、図9Aおよび図9Bに示す元の応力を受けていない形状すなわち静止状態の形状に戻る性質があり、穴拡幅要素304のアーム358は、1つまたは複数の開口320を通って半径方向外方に延伸可能である。
【0192】
図12A図12Dにおいては、穿孔要素302に対して穴拡幅要素304が軸方向に完全に変位しており、近位内方テーパ面372がもはや遠位対向肩部322と接触しておらず、これによって制限されることはない。この段階では、図9Aおよび図9Bに示す元の応力を受けていない形状すなわち静止状態の形状へと穴拡幅要素304が完全に戻ることができ、また、穴拡幅要素304のアーム358が1つまたは複数の開口320を通って半径方向外方に完全に延伸可能である。
【0193】
任意選択で、突起328は、彫削部368を延伸位置に支持し、中心を向く半径方向力に対抗するとともに彫削部368が穿孔要素302中に後退することを防止するカウンタ支持部として作用するようになっていてもよい。
【0194】
したがって、本発明の一実施形態の特定の特徴として、突起328に対する穴拡幅要素304の軸方向移動により、元の応力を受けていない形状すなわち静止状態の形状へと穴拡幅要素304が完全に戻ることができ、穴拡幅要素304のアーム358の1つまたは複数の彫削刃が半径方向延伸位置に変位する。
【0195】
図9Aを再び参照して、彫削部368は、互いに角度があり、少なくとも一端で接合された1つの彫削刃または2つ以上の彫削刃902および904をそれぞれ具備していてもよい。
【0196】
第1すなわち主としての彫削刃902は、骨の断片の主要部分を切断して断片の第1の表面を形成するように動作してもよく、第2すなわち補助としての彫削刃904は、断片の第2の隣接面に沿って切断することにより骨の断片を削って取り外すように動作してもよい。
【0197】
図9Aにおいて参照番号950を付した矢印で示す方向に回転した場合、回転方向および主彫削刃902によって画定される先端壁、補助彫削刃904、ならびに両者間の角度は、除去残留物(すなわち、骨の断片)が端部レリーフまたはクリアランス湾曲面921を超えて上昇する(破線矢印952)か、または、遠位対向内方近位テーパ面366に沿って凹部360に収集される(破線矢印954)上に向いた表面を与えるすくい角906を画定していてもよい。また、2つのテーパ面または傾斜面すなわち拡幅要素304の遠位対向内方近位テーパ面366と穿孔要素の遠位延伸テーパ面334との係合によって、穿孔残留物が凹部360に進入可能であり、潤滑剤として作用するため、穿孔要素302に対して拡幅要素304を滑らかに変位させることができる。
【0198】
ここで図13Aおよび図13Bを参照して、これらの図は、骨材料除去装置の別の実施形態の簡略断面図である。図13Aは、図7の実施形態と類似する骨材料除去装置1300の一実施形態を示すが、穴拡幅要素1304の1つまたは複数のアーム1302の非彫削端部1310が1つまたは複数の彫削部1306を越えて遠位方向に延び、近位で接することによって、アーム1302の内方近位テーパ面または傾斜面1308で終端する点が図7の実施形態と異なる。
【0199】
穿孔要素302に対する穴拡幅要素1304の軸方向移動によって、穴拡幅要素1304の軸方向移動と幾何学的に干渉する突起328とアーム1302の非彫削端部1310の内方近位テーパ面または傾斜面1308が係合するとともに、アーム1302が屈曲して偏向することにより、彫削部1306がカニューレの表面を越えて半径方向に進行して延びるとともに穴の壁から骨を削る。
【0200】
上記の代替および任意選択で、図13Bに示すように、図7の実施形態と類似する骨材料除去装置1350の一実施形態は、凹部360が近位で狭くて遠位で広く、アーム1302の中心対向面1314がこれに接して画定しており、固定突起1352が中心対向面1314に隣接した配設および/またはアーム1312の2つ以上の中心対向面1314間の凹部360の遠位部内の配設である点が図7の実施形態と異なる。アーム1302の1つまたは複数の非彫削近位部1312は、凹部360の近位境界を起点として、アーム1302から彫削部1306へと延び、遠位でこれが接している。穴拡幅要素1304の軸方向移動によって、穴拡幅要素304の軸方向移動と幾何学的に干渉する突起1352に対して、凹部360を画定するアーム1302の非彫削近位部1312の1つまたは複数の表面が付勢されるとともに、アーム1302が屈曲して偏向することにより、彫削部1306がカニューレの表面を越えて半径方向に進行して延びるとともに穴の壁から骨を削る。
【0201】
図10B図11図12B図13A、および図13Bに示すように、彫削部364/1306はそれぞれ、拡幅要素304/1304の1つまたは複数のアーム358/1302の単一面に印加された屈曲力により半径方向に延びる。また、いくつかの実施形態において、1つまたは複数のアーム358/1302が完全に偏向するとともに1つまたは複数の彫削部364/1306が半径方向に完全に延びた場合は、1つまたは複数のアーム358/1302が装置の長手方向軸に対して大略平行であり、彫削部364/1306が突起328等のカウンタ支持部によって支持される。
【0202】
骨材料除去装置1400の一実施形態の簡略断面図である図14Aおよび図14Bに示すように、1つまたは複数の彫削部1404を具備する穴拡幅要素1402は、半径方向の移動のみに制限されていてもよく、押し込みロッド1426が付勢されて軸方向に移動することにより穴拡幅要素と係合し、純粋な半径方向に進行する当該穴拡幅要素1402を作動さることにより、彫削部1404が骨材料除去装置1400の表面1406を越えて半径方向に進行して延びるようになっていてもよい。
【0203】
図14Aに示すように、骨材料除去装置1400は、その壁1410の開口1408を介して大気と連通したルーメン1428を具備していてもよい。開口1408の遠位縁1412は、骨穿孔先端1414から近位方向に所定の距離で位置してもよく、そこから長手近位方向に開口1408が延びている。長手方向の穴拡幅要素1402は、大略長手方向に拡幅されて1つの外側彫削1416または複数の彫削1416を画定可能な骨彫削部1404を具備していてもよい。また、骨彫削部1404は、片側に彫削刃1416が接し、骨に対する当該彫削部1404の摩擦を防止する端部レリーフまたはクリアランス曲線を形成する半径方向に位置決めされた湾曲面1418を画定していてもよく、穴拡幅装置1400の動作に要する力(たとえば、トルク)が抑えられる。
【0204】
長手方向の穴拡幅要素1402は、半径方向内方に一定の張力を印加して、静止時に、骨彫削部1414が少なくとも部分的に骨材料除去装置1400のルーメン1420中に後退し、開口1408の縁内に配設されて突出しないように、穴拡幅要素1402の半径方向外方延伸に耐える弾性取り付け具によって穴拡幅装置1400の壁1410に弾性的に取り付けられていてもよい。
【0205】
要素1402の幅にわたって1つまたは複数の細長スロット状の切り欠き1422が切り取られ、切り欠きの長さが骨材料除去装置1400の長手方向軸から半径方向に配向していてもよい。長手方向の穴拡幅要素1402の移動は、壁1410に固定され、半径方向内方、任意選択で切り欠き1422と垂直にこれを通って突出した1つまたは複数のピン1424を含む半径方向ガイド機構によって、半径方向にのみ制限されていてもよい。また、穴拡幅要素1402は、その境界に沿った傾斜面1424または当該要素1402の表面から突出した傾斜面1424を具備していてもよい。
【0206】
また、骨材料除去装置1400は、当該骨材料除去装置1400のルーメン1428内で軸方向に移動する押し込みロッド1426を具備していてもよい。任意選択で、押し込みロッド1426の先端1430は、傾斜していてもよい。
【0207】
動作時は、押し込みロッド1426が軸方向に移動し、先端1430が傾斜面1424と係合してこれに沿って摺動することにより、穴拡幅要素1402の壁1410への弾性取り付け具によって生じる半径方向内方張力に抗してこれに打ち勝つように作用する半径方向外方の力が印加され、純粋な半径方向に進行して半径方向ガイド機構により制限される穴拡幅要素1402が作動することにより、骨彫削部1404が開口1408を通って周方向に突出し、図14Bに示す完全に延びた骨彫削位置となるようになっていてもよい。
【0208】
押し込みロッド1426が後退すると、穴拡幅要素1402の壁1410への弾性取り付け具によって生じる張力に抗して傾斜面1424に印加された半径方向外方の力が小さくなり、半径方向外方の反力がその静止状態に戻らず、穴拡幅要素1402がルーメン1428内の後退位置へと半径方向かつ中心方向に付勢され、骨彫削部1414が開口1408の縁内に配設されて突出しなくなる。
【0209】
彫削部1404は、構造が拡幅彫削部368と類似していてもよく、同様に第1の彫削刃902と、第2の彫削刃904と、および、除去残留物(すなわち、骨の断片)が端部レリーフまたはクリアランス湾曲面921を超えて上昇して骨材料除去装置1400に収集され得る上に向いた表面を与えるすくい角906を画定し得る、両者間の角度とを具備する。
【0210】
第1の彫削刃902は、骨の断片の主要部分を切断して断片の第1の表面を形成していてもよく、第2の彫削刃904は、断片の第2の隣接面に沿って切断することにより骨の断片を削って取り外すようにしてもよい。
【0211】
本願に基づく特許の存続期間においては、多くの関連する骨除去機構が開発されることが予想されるため、用語「骨彫削」の範囲は、このようなすべての新技術を先験的に含むものとする。
【0212】
本明細書において量または値に言及する場合、用語「およそ(about)」は、「その±15%以内」を意味する。
【0213】
用語「備える(comprises、comprising)」、「具備する(includes、including)」、「有する(has、having)」、およびそれぞれの活用形は、「非限定的に含む」を意味する。
【0214】
用語「~からなる(consisting of)」は、「限定的に含む」を意味する。
【0215】
用語「本質的に~からなる(consisting essentially of)」は、その組成、方法、または構造が別の成分、ステップ、および/または部品を含み得ることを意味するものの、これらの別の成分、ステップ、および/または部品が特許請求の範囲に係る組成、方法、または構造の基本的かつ新規な特性を実質的に変更しない場合に限る。
【0216】
本明細書において、単数形「a」、「an」、および「the」は、別段文脈によって明確に示されない限り、複数表現を含む。たとえば、用語「化合物(a compound)」または「少なくとも1つの化合物(at least one compound)」は、その混合物を含めて、複数の化合物を含み得る。
【0217】
本願の全体を通して、本発明の実施形態は、範囲形式を参照して表される場合がある。範囲形式での記述は、利便性および簡便性を目的としているに過ぎず、本発明の範囲に対する絶対的な制限と解釈されるべきではないことが了解されるものとする。したがって、範囲の記述は、当該範囲内の考え得るすべての部分的範囲および個別の数値を具体的に開示したものと考えられるべきである。たとえば、「1~6」等の範囲の記述は、「1~3」、「1~4」、「1~5」、「2~4」、「2~6」、「3~6」等の部分的範囲のほか、たとえば1、2、3、4、5、および6等、当該範囲内の個々の数値を具体的に開示したものと考えられるべきである。このことは、範囲の幅とは無関係に当てはまる。
【0218】
本明細書において数値範囲(たとえば、「10-15」、「10から15まで(10 to 15)」、または別の範囲指示により連結された任意対の数字)が指定されている場合は常に、別段文脈によって明確に示されない限り、範囲境界も含めて、指定された範囲境界内の任意の数字(小数または整数)を含むものとする。本明細書において、第1の指示数と第2の指示数との間の「範囲(range/ranging/ranges)」および第1の指示数から第2の指示数まで(「to」、「up to」、「until」、「through」、または別の範囲指示語)の「範囲(range/ranging/ranges)」という表現は、区別なく使用しており、第1および第2の指示数ならびに両者間のすべての小数および整数を含むものである。
【0219】
別段示されない限り、本明細書で使用する数値およびそれらに基づく任意の数値範囲は、当業者が理解する妥当な測定結果および丸め誤差の精度範囲での近似値である。
【0220】
本明細書において、用語「方法(method)」は、所与の課題を達成する様態、手段、技術、および手順を表しており、化学、薬理学、生物学、生物化学、および医学の熟練者に既知または既知の様態、手段、技術、および手順から容易に開発可能な様態、手段、技術、および手順を含むが、これらに限定されない。
【0221】
本明細書において、用語「処置(treating)」は、状態の進行の無効化、実質的な阻止、低速化、もしくは反転、状態の臨床的もしくは美的症状の実質的な改善、または状態の臨床的もしくは美的症状の出現の実質的な防止を含む。
【0222】
当然のことながら、本発明の特定の特徴は、明瞭化のため、個々の実施形態の背景において説明したが、1つの実施形態において組み合わせて提供可能である。逆に、本発明の種々特徴は、簡潔化のため、1つの実施形態の背景において説明したが、別個の提供、任意適当な部分的組み合わせでの提供、または本発明のその他任意の上記実施形態に適したものとしての提供も可能である。種々実施形態の背景において説明した特定の特徴は、当該要素なしで無効とならない限り、上記実施形態の本質的な特徴とは考えられないものとする。
【0223】
以上、具体的な実施形態と併せて本発明を説明したが、当業者には当然のことながら、多くの変更、改良、および変形が明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲の主旨および広い範囲に含まれるこのようなすべての変更、改良、および変形が包含されるものとする。
【0224】
本明細書に記載のすべての刊行物、特許、および特許出願は、各個別の刊行物、特許、または特許出願の具体的かつ個別の援用指示と同じ程度まで、そのすべての内容を本明細書に援用する。また、本出願における如何なる参考文献の引用または特定も、このような参考文献が本発明の先行技術として利用可能であることを認めるものとして解釈されないものとする。項目見出しは、その使用の限りにおいて、必ずしも限定的に解釈されるべきではない。
【0225】
[関連出願]
本願は、米国特許法第119条(e)の下、2015年4月9日に出願された米国仮特許出願第62/144,991号および2015年4月22日に出願された米国仮特許出願第62/151,375号の優先権の利益を主張するものであり、これらのすべての内容を参照により本明細書に援用する。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図13A
図13B
図14A
図14B