(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】層構造を有する一体型スポンジを含む化粧料組成物の担体
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20220117BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20220117BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20220117BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
A45D34/04 535C
A61K8/02
A61Q1/00
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2017552941
(86)(22)【出願日】2016-04-06
(86)【国際出願番号】 KR2016003564
(87)【国際公開番号】W WO2016163730
(87)【国際公開日】2016-10-13
【審査請求日】2019-01-15
(31)【優先権主張番号】10-2015-0049839
(32)【優先日】2015-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506213681
【氏名又は名称】アモーレパシフィック コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】AMOREPACIFIC CORPORATION
【住所又は居所原語表記】100, Hangang-daero, Yongsan-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェ, ジョン ソン
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-179404(JP,A)
【文献】特表2015-503611(JP,A)
【文献】特開2005-118433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
A61K 8/02
A61Q 1/00
A61Q 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体型スポンジを含み、前記一体型スポンジは2つ以上の層を含む複数層構造である一体型化粧料組成物の担体であって、
前記複数層構造は、前記一体型スポンジの一部分が圧縮層であり、かつ、複数のスポンジ層の接合又はシールを含まず、
前記一体型スポンジは、ポアを含み、かつ、層間シーリングを有しない一体型スポンジであり、
前記一体型スポンジの各層がスポンジの密度、単位体積(1cm
3)内のポア(pore)数、ポアサイズ及び層厚のうち1つ以上が互いに異なるものであ
り、
前記一体型スポンジは、化粧料組成物を均質に担持し、
前記一体型スポンジの密度が小さい層の密度は、0.01~0.2g/cm
3
であり、
前記一体型スポンジの前記圧縮層の密度は、0.025~0.5g/cm
3
であり、
前記化粧料組成物の粘度は、2000~80000cpsである、
一体型化粧料組成物の担体。
【請求項2】
前記圧縮層は、密度、単位体積(1cm
3)内のポア数、ポアサイズ及び層厚のうち1つ以上が調節された層である請求項1に記載の一体型化粧料組成物の担体。
【請求項3】
前記単位体積(1cm
3)内のポア数は、前記スポンジ1cm
3当たり1000個~60万個である請求項1
または2に記載の一体型化粧料組成物の担体。
【請求項4】
前記一体型スポンジの単位インチ(1inch)当たり含まれているポア数は、30ppi~130ppi(pore per inch)である請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の一体型化粧料組成物の担体。
【請求項5】
前記圧縮層のポアサイズは、圧縮前は平均100~1500μmである請求項2乃至
4のいずれか1項に記載の一体型化粧料組成物の担体。
【請求項6】
前記圧縮層の厚みは、前記一体型スポンジの総厚の0.5~60%である請求項2乃至
5のいずれか1項に記載の一体型化粧料組成物の担体。
【請求項7】
前記一体型スポンジは、網状構造である請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の一体型化粧料組成物の担体。
【請求項8】
前記一体型スポンジの層は、表面パターンが形成されたものである請求項1乃至
7のいずれか1項に記載の一体型化粧料組成物の担体。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか一項に記載の化粧料組成物の担体;及び前記化粧料組成物の担体に担持された化粧料組成物を含む化粧品。
【請求項10】
前記化粧料組成物は、液状組成物を含むものである請求項
9に記載の化粧品。
【請求項11】
前記化粧料組成物は、乳化型、油中水(W/O)型または水中油(O/W)型、油分散、水分散及び可溶化組成物のうち1つ以上を含む請求項
9または
10に記載の化粧品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料組成物が担持され得る化粧料組成物の担体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液状の化粧料組成物は、主に真空容器、ポンプ容器またはガラス容器などに充填されて流通及び保管されていた。しかし、これらの容器は携行が便利であるとはいえないものである。近年、お出かけの際も簡便に化粧をしたり、化粧直しをしたりする必要性が増加するにつれ、携行が便利な液状化粧料組成物への要求がある。
【0003】
液状化粧料組成物を簡便に携行可能な容器としては、パクトタイプの容器が考えられる。パクトタイプの容器に液状化粧料組成物を入れるためには、液状化粧料組成物の担体がパクトタイプの容器に使用可能なものかどうか、該担体に化粧料組成物を容易に充填できるかどうか、担体が化粧料組成物を長期間均質に担持できるかどうか、及び担体から化粧料組成物を取ろうとする際に適量が排出されるかどうか、などを考慮しなければならない。これらの点を考慮した、パクトタイプの容器に使用可能な好適な化粧料組成物の担体の開発が必要である。
【0004】
複数の層を接合して1つの担体を構成した場合、少なくとも2つ以上のフォームを接着するため、安全性、耐熱性、耐候性による安全性に関する問題点が生じ得る。そこで、本発明では、層構造の担体としての効果を保持しながら既存の問題点を解決しようとした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】韓国公開特許第10-2009-0100643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記したような問題点を解決するためになされたものであって、層構造を有しながらも一体型からなることで化粧料組成物が充填され易く、且つ化粧料組成物を長期間均質に担持でき、また化粧料組成物を取る際に適量の化粧料組成物が排出されると共に、層間接合が不要であるため化粧料組成物を入れた後でも優れた耐久性を保持する、化粧料組成物の担体及びこれを含む化粧品を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記したような目的を解決するために、本発明の一実施例においては、一体型スポンジを含み、前記一体型スポンジは2つ以上の層を含む、化粧料組成物の担体を提供する。
【0008】
本発明の一実施例において、前記スポンジの各層は、スポンジの密度、単位体積(1cm3)内のポア(pore)数、ポアサイズ及び層厚のうち1つ以上が互いに異なるものであってよい。
【0009】
本発明の一実施例において、前記一体型スポンジは、ポアを含み、前記一体型スポンジの一部を圧縮して密度、単位体積(1cm3)内のポア数、ポアサイズ及び層厚のうち1つ以上が調節された層が形成されたものであってよい。
【0010】
本発明の一実施例において、前記圧縮は、プレス、メルティング、またはフェルティングによるものであってよい。
【0011】
本発明の一実施例において、前記一体型スポンジの各層のうち圧縮された層の密度は、0.025~0.5g/cm3であってよい。
【0012】
本発明の一実施例において、前記単位体積(1cm3)内のポア数は、前記スポンジ1cm3当たり1000個~60万個であってよい。
【0013】
本発明の一実施例において、前記一体型スポンジの単位インチ(1inch)当たり含まれているポア数は、30ppi~130ppi(pore per inch)であってよい。
【0014】
本発明の一実施例において、前記一体型スポンジのポアサイズは、圧縮前は平均100~1500μmであってよい。
【0015】
本発明の一実施例において、前記一体型スポンジの各層のうち圧縮された層の厚みは、前記一体型スポンジの総厚の0.5~60%であってよい。
【0016】
本発明の一実施例において、前記一体型スポンジは、網状構造であってよい。
【0017】
本発明の一実施例において、前記一体型スポンジの層は、表面パターンが形成されたものであってよい。
【0018】
また、本発明の一実施例において、前記化粧料組成物の担体;及び前記化粧料組成物の担体に担持された化粧料組成物を含む、化粧品を提供する。
【0019】
本発明の一実施例において、前記化粧料組成物は、液状組成物を含むものであってよい。
【0020】
本発明の一実施例において、前記化粧料組成物は、乳化型、油中水(W/O)型または水中油(O/W)型、油分散、水分散及び可溶化組成物のうち1つ以上を含むものであってよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一実施例に係る化粧料組成物の担体は、一体型スポンジの密度、単位体積内のポア数、ポアサイズ及び層厚などが互いに異なる複数の層からなる一体型スポンジを含むことにより、化粧料組成物の充填が容易であり、且つ化粧料組成物を長期間均質に担持でき、また化粧料組成物を取る際に適量の化粧料組成物が排出されると共に、化粧料組成物を担持した後でも長期間優れた耐久性を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】比較例に係る従来の担体表面のポア(85ppi)の顕微鏡写真である。
【
図2】本発明の一実施例に係る一体型化粧料組成物の担体の熱プレスされた表面のポア(85ppi)の顕微鏡写真である。
【
図3】本発明の一実施例に係る一体型化粧料組成物の担体の排出力を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を容易に実施できるようにするために、本発明の好適な実施例について詳しく説明することにする。
【0024】
本発明は、一体型スポンジを含み、前記一体型スポンジは、2つ以上の層構造を有する化粧料組成物の担体を提供する。前記化粧料組成物の担体は、2つ以上、具体的に2~20つ、より具体的に2~10つ、さらに具体的に2~5つの層を含む層構造を含んでいてよい。
【0025】
本明細書において、「担体」とは、組成物を例に挙げられる任意の物質または成分を担持することができるものを意味し、「担持体」または「媒介体」とも表現され得る。また、「担体」は、これに担持された物質を別の塗布具に排出するように使用されるものであってよい。本明細書において、「担持能」とは、任意の物質または成分を入れ込めて保持することができる能力を意味する。担体に要求される「担持能」は、組成物を長期間均質に担持することを意味するという点において、塗布具などに一時的に物質が取られることと区別される。
【0026】
本明細書において、「充填能」または「充填力」とは、担体が化粧料組成物を充填するこができる能力を意味し、担体に一定の量の化粧料組成物が充填されるのに必要とされる時間で表していてよい。
【0027】
本明細書において、「排出能」または「排出力」とは、化粧料組成物を担持した担体から塗布具によって化粧料組成物を取る際に排出される化粧料組成物の量を意味し、多くも少なくもない適切な量の化粧料組成物が排出されることが好ましい。
【0028】
本明細書において、「耐久性」とは、担体に化粧料組成物を担持させ、一定温度下で一定時間放置したときに、担体に含まれたスポンジが溶けたり、破れたり膨張することなく、その状態を保持することができる程度、及び/または使用時、塗布具によって担体から化粧料組成物を取る際に担体が塗布具による繰り返しの圧力に耐える程度を意味する。
【0029】
本明細書において、「スポンジ」とは、組成物を例に挙げられる任意の物質または成分を担持することができる材質としてのゴム、繊維または樹脂を海綿のように作ったものであって、化粧料組成物を担持及び排出することができるものを意味する。具体的に、前記スポンジは特に限定されるものではないが、天然スポンジまたは合成スポンジであってよく、前記天然スポンジは、例えば、海綿スポンジ、天然ゴムスポンジなどであってよく、前記合成スポンジは、合成樹脂スポンジ、ウレタン、発泡ウレタン、ラテックス、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、NR(Natural Rubber)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(isoprene-isobutylene rubber:IIR)、イソプレンゴム(IR)、加硫エチレン-プロピレンゴム(EPR)、多硫化ゴム(Polysulfide rubber)、シリコーンゴム(silicone rubber)、フルオロゴム(fluororubber)、ウレタンゴム(urethane rubber)、アクリルゴム(Acrylic rubber)、EPDM(Ethylene propylene diene monomer)ゴム、ポリビニルアルコール(PVA)及びエチレンビニルアセテート(EVA)、NR(Nitrile Rubber)などであってよい。
【0030】
本明細書において、「発泡ウレタン」とは、ポリウレタンを発泡させた後に固化させたものであって、「ウレタンフォーム」とも表現され得る。本発明の一側面において、発泡ウレタンは、例えば、ポリエーテル系発泡ウレタン、ポリエステル系ポリウレタン、ポリカーボネート系ポリウレタンであってよいが、これらに限定されるものではない。
【0031】
本明細書におけるスポンジの層のうち上層とは、手、パフ、チップ、ブラシなどの塗布具(または、塗布手段、アプリケータ)と接触する層またはこれと近い層のことを言い、特に、最上層とは、塗布具と直接接触する層のことを言う。また、本明細書における下層とは、手、パフ、ブラシなどの塗布具(または、塗布手段、アプリケータ)と接触する面と反対側の層のことを言い、特に、最下層とは、反対側の層のうち最も下に位置している層のことを言う。
【0032】
本発明における前記スポンジの各層は、スポンジの密度、単位体積(1cm3)内のポア数、ポアサイズ及び層厚のうち1つ以上が互いに異なるものであってよい。または、本発明における前記スポンジの各層は、1つのスポンジの一部を圧縮、圧搾または溶融して密度、ポア数、ポアサイズ及び層厚のうち1つ以上が調節されてなる層であってよい。
【0033】
本発明における前記圧縮、圧搾または溶融は、特に限定されるものではないが、プレス、メルティング(melting)またはフェルティング(felting)によるものであってよい。本発明において、スポンジの「ポア数」とは、算定基準によって単位インチ当たりのポアの個数(Pore Per Inch、PPI)を意味するか、またはスポンジの単位体積(1cm3)当たりのポアの個数を意味する。スポンジが圧縮されると、1インチ当たりの線上のポア数は変わることなく一定であるが、単位体積当たりのポア数は増加するようになって、化粧料組成物の吸収力や担持能が向上し、且つ化粧料の排出を微細に排出されるように調節することができる。
【0034】
本発明の一実施例に係る化粧料組成物の担体は、複数のスポンジを超音波、熱、バインダ(binder)または接着剤で接合またはシールしてなるものではなく、1つのスポンジに対してその一部分をプレス、メルティングまたはフェルティングによって圧縮することで1つの一体型スポンジが複数の層構造を有してなるものである。圧縮させる部分は、特に限定されず、必要に応じてスポンジの上層、中間層、下層及び側面の1つ以上であってよい。例えば、最上層及び最下層をいずれも圧縮させたものであってよい。それにより、超音波、熱、バインダまたは接着剤によるシーリングから発生し得る人体安全性、形態の安定性、使い勝手、耐久性に関する問題要素を事前に除去することができる。
【0035】
具体的に、複数のスポンジを超音波、熱、バインダまたは接着剤で接合またはシールしてなる従来の層構造の担体では、高温での粘着安定度、沸水での粘着安定度、原料に対する粘着安定度、物理的な力に対する粘着安定度を含む安定性試験において層間分離が観察される可能性があり、有害物質テスト及び安全性テストを含む安全性試験において粘着剤による有害物質の検出や粘着使用に対する安全性を確保しなければならず、また、使用性試験において粘着剤の使用による層間フィルムの形成で排出力が低下するおそれがある。これに対し、本発明に係る一体型スポンジでは、層間シーリング(一体化)自体が不要であるため、上述したような問題点に係る可能性を最初から考慮しなくて済む。
【0036】
本発明において、前記一体型スポンジの密度は、圧縮前では0.01~0.2g/cm3(0.624~12.486lb/ft3)、具体的に0.1~0.18g/cm3(6.24~11.23lb/ft3)であってよく、例えば、0.01g/cm3以上、0.05g/cm3以上、0.10g/cm3以上、0.15g/cm3以上、0.2g/cm3以下、0.15g/cm3以下、0.1g/cm3以下、0.05g/cm3以下であってよい。圧縮前のスポンジの密度が0.01g/cm3未満であると、化粧料組成物が過量排出されて使用に不便であり、また、密度が0.2g/cm3を超えると、化粧料組成物の充填や排出が行なわれ難くなることがある。
【0037】
本明細書において、密度は、ASTM(American Standard Test Method)D3574の方法で測定した数値であってよい。前記ASTM D3574は、本発明のスポンジのようなフォーム(foam)形態である物質の物性測定方法であって、当該方法によれば、単位体積と重量を測定して密度を求めることができる。当該方法による測定時の物質の単位体積は1000mm3以上でなければならず、単位体積6inch3の重さを測定する。
【0038】
本発明において、前記一体型スポンジのうち圧縮された層、すなわち、前記一体型スポンジの複数の層のうち密度が大きい層の平均密度は、0.025~0.5g/cm3であってよい。圧縮後のスポンジの密度が0.025g/cm3未満であると、排出力の差異がなく、また、0.5g/cm3を超えると、密度が高すぎて排出力が低下する。
【0039】
すなわち、本発明において、一体型スポンジの各層は、互いに異なる密度を有していてよく、それらのうち、密度が小さいスポンジの層は0.01~0.2g/cm3であってよく、密度が大きいスポンジの層は0.025~0.5g/cm3であってよい。
【0040】
本発明において、一体型スポンジのポア数は、単位体積(1cm3)当たり1000個~60万個であってよく、具体的に1500個~50万個であってよい。
【0041】
また、本発明において、前記一体型スポンジのポア数は、単位インチ当たり30ppi~130ppi(pore per inch)、具体的に、50ppi~120ppi、より具体的に、60ppi~110ppiであってよい。例えば、30ppi以上、40ppi以上、50ppi以上、60ppi以上、70ppi以上、80ppi以上、90ppi以上、100ppi以上、110ppi以上、120ppi以上、130ppi以下、120ppi以下、110ppi以下、100ppi以下、90ppi以下、80ppi以下、70ppi以下、60ppi以下、50ppi以下、40ppi以下であってよい。前記ppi(pore per inch)は1インチ当たりのポア数を意味する。
【0042】
本明細書において、ポア数は、WI-QA-14(ASTM基準)を用い、横、縦1インチの線上にあるポア数を正確に測定して平均を出した数値であってよい。
【0043】
スポンジの1インチ当たりのポア数が130ppiを超えると、ポアサイズが小さいため化粧料組成物の流動性、化粧料組成物の吸収または排出を制御し難くなり、また、スポンジの1インチ当たりのポア数が30ppi未満であると、化粧料組成物の担持後の化粧料組成物に対する担持力が低下することがある。
【0044】
本発明において、一体型スポンジの各層は、互いに異なるポア数を有していてよく、それらのうちポア数が多いスポンジの層は1インチ当たりのポア数が100ppi~130ppiの範囲であってよく、1インチ当たりのポア数が少ないスポンジの層は1インチ当たりのポア数が40ppi~95ppiであってよい。
【0045】
本明細書において、「ポアサイズ」とは、一体型スポンジが有するポアの平均径を言う。
【0046】
本発明において、前記一体型スポンジのポアサイズは、100~1500μm、具体的に、300~1500μm、より具体的に、500~900μmであってよい。例えば、100μm以上、200μm以上、300μm以上、400μm以上、500μm以上、600μm以上、700μm以上、800μm以上、900μm以上、1000μm以上、1100μm以上、1200μm以上、1300μm以上、1400μm以上、1500μm以下、1400μm以下、1300μm以下、1200μm以下、1100μm以下、1000μm以下、900μm以下、800μm以下、700μm以下、600μm以下、500μm以下、400μm以下、300μm以下、200μm以下であってよい。ポアサイズが100μm未満であると、担持力及び排出力が低下し、また、1500μmを超えると、ポアサイズが大きいため化粧料組成物の流動性、化粧料組成物の吸収または排出を制御し難くなることがある。
【0047】
本明細書において、「層厚」とは、前記一体型スポンジの各層の層の高さを言う。
【0048】
本発明において、各層の層厚は、0.05mm~30mm、具体的に、0.1mm~10mm、より具体的に、0.5mm~5.0mmであってよい。例えば、0.05mm以上、1mm以上、5mm以上、10mm以上、15mm以上、20mm以上、25mm以上、30mm以下、25mm以下、20mm以下、15mm以下、10mm以下、5mm以下、1mm以下であってよい。スポンジ層が前記範囲の層厚を有する場合、本発明の意図した効果を奏するうえで適切であるだけでなく、担体の安定性及び安全性をいずれも満たすことができ、且つコスト対比効果の面でも前記範囲であることが適切であると言える。具体的に、層厚が厚すぎると、化粧料組成物の排出が行われ難くなり、また、層厚が薄すぎると、化粧料組成物が均質に排出され難くなる。
【0049】
また、前記一体型スポンジの各層は、互いに異なる層厚を有していてよい。それらのうち層厚の薄いスポンジ層の厚みは0.05mm~3mmであり、前記層厚の薄いスポンジ層は前記圧縮によって層厚を減少されたものであってよい。また、層厚の厚いスポンジ層の厚みは0.5mm超過10mm以下であってよい。
【0050】
本発明において、前記一体型スポンジの一部を圧縮するときに層の厚みが0.5~3倍、好ましくは1.1~2倍、より好ましくは1.5倍に圧縮されていてよい。本発明の一実施例において、前記一体型スポンジの層のうち圧縮された層の厚みは前記一体のスポンジの総厚の0.5~60%であってよい。
【0051】
本発明において、前記一体型スポンジ層のうち上層の厚みが厚すぎると、下層の存在による影響が減少することで層構造を含むことによる効果が低下することがあり、且つ上層が下層よりも担体の排出能に多くの影響を及ぼすものと考えられるため、上層の厚みを調節することが重要であるといえる。本発明において、前記化粧料組成物の担体の上層は、0.05mm~3.0mm、具体的に、0.05mm~2.8mm、より具体的に、0.5~2.5mmの厚みを有していてよい。
【0052】
本発明において、前記一体型スポンジをアスカー(ASKER、製造元)デュロメータ硬さ(DUROMETER HARDNESS)測定器(F型(type F))で測定したときの硬さ、すなわち、アスカー硬さが20~100、具体的に、40~100であってよい。例えば、30以上、40以上、50以上、60以上、65以上、70以上、75以上、80以上、85以上、90以上、95以上、100以下、95以下、90以下、85以下、80以下、75以下、70以下、65以下、60以下、50以下、40以下、30以下であってよい。前記一体型スポンジの硬さが20未満であると、充填力が低下し且つ排出力が適正量以上となって過量の組成物が排出され、また、硬さが100を超えると、充填力が低下し且つ排出力が適正量以下となって化粧効果が低下することがある。
【0053】
本発明において、前記スポンジの一種である発泡ウレタンは、特に限定されるものではないが、ポリエーテル系発泡ウレタン(エーテルポリオールを主ベースとする)、ポリエステル、系発泡ウレタン及びポリカーボネート系発泡ウレタンを含むものであってよく、具体的に、前記発泡ウレタンは、ポリエーテル系発泡ウレタンを含むものであってよい。
【0054】
前記ポリエーテル系発泡ウレタンは、ポリエーテル系乾式発泡ウレタン及びポリエーテル系湿式発泡ウレタンを含み、前記ポリエステル系発泡ウレタンは、ポリエステル系乾式発泡ウレタン及びポリエステル系湿式発泡ウレタンを含み、前記ポリカーボネート系発泡ウレタンは、ポリカーボネート系乾式発泡ウレタン及びポリカーボネート系湿式発泡ウレタンを含む。
【0055】
本発明において、前記一体型スポンジは網状構造であってよい。網状構造である場合、網状構造でない場合に比べて化粧料組成物を均質に担持することができ、且つ担持効率も高い。
【0056】
本発明において、前記一体型スポンジの層は、表面パターンが形成されたものであってよい。前記表面パターンは、特に限定されるものではないが、表面上に立体的に形成されたエンボス及び所定の形態や様式のパターンのうち1つ以上であってよい。
【0057】
本発明に係る化粧料組成物の担体に適用され得る化粧料組成物は、液状、粘度のある固状、パウダーを含む固状のものであってよく、好ましくは、液状組成物であってよい。本発明において、前記化粧料組成物の剤形は、溶液、エマルジョン、懸濁液、ペースト剤形、またはゲルを含むが、これらに制限されるものではない。
【0058】
本発明において、前記化粧料組成物は、乳化型、油中水(W/O)型または水中油(O/W)型、油分散、水分散及び可溶化組成物のうち1つ以上を含むものであってよい。
【0059】
前記乳化型化粧料組成物は、底粘度から高粘度までの広範囲の粘度範囲を有するものであってよく、具体的に、2,000cps(Centi Poise)以上、より具体的に、4,000~80,000cpsの粘度を有するものであってよい。乳化型化粧料組成物の粘度が2,000cps未満であると、乳化型化粧料組成物の製造直後に油相と水相との分離が生じ、スポンジフォームに均一に含浸させ難くなることがある。
【0060】
本発明において、粘度の測定は、粘度測定機器、例えばLVDVII+PROを用い、スピンドルNO.63、スピンドル速度5RPMで行なっていてよい。
【0061】
本発明において、前記化粧料組成物は、例えば、メーキャッププライマー、メーキャップベース、液状または固状ファンデーション、コンシーラー、リップスティック、リップグロス、パウダー、リップライナー、アイライナー、マスカラ、アイブロウ、アイシャドウ、ブブラッシャー(blusher)、ツインケーキ、紫外線遮断剤、ローション、クリームまたはエッセンスなどに剤形化されていてよいが、これらに限定されるものではない。
【0062】
また、本発明は、化粧料組成物が担持された前記化粧料組成物の担体を含む化粧品を提供する。前記化粧品は、化粧料組成物を上述した本発明に係る化粧料組成物の担体に担持することにより、化粧料組成物が充填され易くなり、化粧料組成物を長期間均質に担持することができ、且つ化粧料組成物を取るときに適量の化粧料組成物が排出されると共に、長期間優れた耐久性を保持することができる。本発明の他の一側面に係る化粧品は、化粧料組成物の担体を収納することができる下部及び鏡などが取り付けられ得る蓋の上部を含む容器、一般的に「パクト」と略称される化粧品用容器の形で提供されていてよい。また、前記「パクト」には、担体と一緒に、担体に担持された化粧料組成物を取って肌に塗布するための塗布具がさらに含まれていてよい。
【0063】
従来のスポンジを含む化粧料組成物の担体は、該担体に含有されていた化粧料組成物を約50%以上使うと、化粧料組成物の排出能が急激に低下するという短所があった。これに対し、本発明の一側面に係る化粧料組成物の担体は、2つ以上の層構造からなる一体型スポンジを含むことにより、50%以上を使っても従来の化粧料組成物の担体に比べ化粧料組成物の排出能を均一に調節することができる。
【0064】
以下の実施を通じて本発明をより詳細に説明する。なお、実施例は本発明を例示するためのものであって、これらによって本発明の範囲が限定されるものではない。
【0065】
[製造例]W/O型乳化組成物の製造
下表1に従い、当業界における通常の方法にてW/O乳化型化粧料組成物を製造した。
【0066】
【0067】
[実施例]化粧料組成物の担体の製造及び評価
エーテル系ポリウレタンの上部を100~600℃の熱プレスで圧縮して層構造の乾式発泡ウレタン層を製造した。前記製造例において製造した化粧料組成物を担持した。次いで、化粧料組成物を担持した担体に対し、化粧料組成物が充填され易いかどうか(充填能)、担体が化粧料組成物を長期間均質に担持するかどうか(担持能)、担体から化粧料組成物を取ろうとするときに適量が排出されるかどうか(排出能)、及び化粧料組成物担持後の担体の耐久性を評価した。
【0068】
充填能(充填力)は、化粧料組成物15gが充填される時間で測定し、排出能(排出力)は、担体に担持された化粧料組成物をパフを使用して1回の塗布時に取られる化粧料組成物の量で測定した。担持能(担持力)は、化粧料組成物15gを充填し、フォームが保持している化粧料組成物の量で測定した。
【0069】
製造した化粧料組成物の担体の特性及び各評価結果を下表に整理した。
【0070】
【0071】
以上に示されるように、化粧料組成物の担体の各層の構成間で物性が異なる場合、担体に化粧料組成物が充填され易くなり、且つ担体が化粧料組成物を長期間均質に担持することができ、また担体から適量の化粧料組成物が排出されると共に、化粧料組成物の担持後の担体の耐久性に優れていた。
【0072】
[実験例2]発泡ウレタンの層厚による、担体の能力評価
前記実施例と実質的に同一の方法にて発泡ウレタン層を含む層構造の化粧料組成物の担体を製造するが、85ppi(pore per inch)の網状構造のポリエーテル系発泡ウレタン(総厚13mm)の上部を熱プレスして総厚10mmのものに製造した(二重層)。層構造の担体に前記製造例の化粧料組成物を担持した後、その効果を評価した。これを下表に整理した。
【0073】
【0074】
前記結果から見られるように、上層の層厚を調節することにより化粧料組成物の担体の効果が変わることを確認した。
【0075】
[実験例3]排出力の評価
前記表2に表されたポリエーテル系発泡ウレタンの単層からなる化粧料組成物の担体を製造して比較例とし、ポリエーテル系発泡ウレタンの二重層からなる化粧料組成物の担体として前記実験例2の実施例1~3のものを使用した。比較例と実施例1、実施例2及び実施例3に前記製造例のW/O乳化型化粧料組成物を担持させた後に容器に入れ、化粧料組成物を排出させて、その回数による排出程度を評価した。結果を下表及び
図3に示した。
【0076】
下表において、担体から化粧料組成物を塗布手段につけて排出させるペイオフ回数は、担体から化粧料組成物を取った回数を意味し、初期はペイオフ回数1~25回、中期は35~55回、後期は65~10回とし、それぞれの平均ペイオフ量を表している。
【0077】
【0078】
前記結果から見られるように、本発明に係る層構造からなる一体型スポンジを含む化粧料組成物の担体は、従来の単層フォームの化粧料組成物の担体に比べて、長期間均一に化粧料組成物を排出するため、使用の際、長期間一定の量の化粧料組成物を取ることができるようにする。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、化粧料組成物が担持され得る化粧料組成物の担体に関する。