(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】電気バリカン
(51)【国際特許分類】
B26B 19/44 20060101AFI20220117BHJP
B26B 19/20 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
B26B19/44 B
B26B19/20
(21)【出願番号】P 2018005510
(22)【出願日】2018-01-17
【審査請求日】2020-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】519157727
【氏名又は名称】マクセルイズミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】志水 哲彦
(72)【発明者】
【氏名】宮本 尚
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-218193(JP,A)
【文献】特表2017-511199(JP,A)
【文献】実開昭55-058163(JP,U)
【文献】特開昭56-151080(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104128937(CN,A)
【文献】特開2013-215353(JP,A)
【文献】実開昭60-185562(JP,U)
【文献】特開昭55-138483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B19/00-19/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
係止部と櫛部とが配設された刈り高さ調整用のアタッチメントと、刃部と前記係止部を支持する支持部と
位置調整部とが配設された本体部とを備え、前記係止部はレール形状であるとともに前記支持部は前記係止部と対応する溝形状であり、
前記位置調整部は前記アタッチメントに
おける前記係止部を
前記本体部の長手方向にスライド移動させて前記櫛部と前記刃部との間隔を調整する
構成であり、
前記アタッチメントは、前記係止部が配設されている側の両面に、前記刃部によって刈り取られた毛を排出する排出部が形成されており、前記排出部は、側面視で前記刃部が露出し、前記本体部における背面側の傾斜に合わせた辺を有する多角形の窓形状であること
を特徴とする電気バリカン。
【請求項2】
前記櫛部は、第1櫛部と、前記刃部を挟むように前記第1櫛部と対向する第2櫛部とから構成され、前記第1櫛部の先端と前記第2櫛部の先端との間に、前記刃部の刃先が進入可能な隙間が設けられており、前記第2櫛部に形成された根元部が前記アタッチメントに回動可能に連結されていること
を特徴とする請求項1記載の電気バリカン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気バリカンに関する。
【背景技術】
【0002】
電気バリカンは、毛髪の刈り高さに応じて、刈り高さ調整用のアタッチメントを、本体部のアタッチメント支持部に取り付けて使用される。前記アタッチメントは、皮膚を刃部から保護するとともに、毛髪の刈り高さを規制する役割がある。
【0003】
従来、前記アタッチメントを移動させて前記アタッチメントの櫛部と前記本体部の刃部との間隔を変更し、毛髪の刈り高さを調整する構成の電気バリカンが知られている(特許文献1:特開2014-124320号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように、刈り高さ調整用のアタッチメントを本体部に取り付けて使用する構成の従来の電気バリカンは、毛髪の先端側が前記櫛部から前記アタッチメント内に入り、刃部によって刈り取られると、刈り取られた毛(以下、毛屑と称する場合がある)が前記アタッチメント内に溜まる構造となっている。そのため、毛屑が前記アタッチメント内に溜まる都度、前記アタッチメントを前記本体部から外して、毛屑を排出させなければならず、手間がかかるという問題がある。また、毛髪の刈り取り作業がその都度中断されるので、刈り取り作業が円滑に進行し難いという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、刈り高さ調整用のアタッチメントを取り付けて使用する電気バリカンにおいて、前記アタッチメントを取り付けた状態のままで、刈り取られた毛が排出できる構造の電気バリカンを提供することを目的とする。
【0007】
一実施形態として、以下に開示するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0008】
本発明に係る電気バリカンは、係止部と櫛部とが配設された刈り高さ調整用のアタッチメントと、刃部と前記係止部を支持する支持部と位置調整部とが配設された本体部とを備え、前記係止部はレール形状であるとともに前記支持部は前記係止部と対応する溝形状であり、前記位置調整部は前記アタッチメントにおける前記係止部を前記本体部の長手方向にスライド移動させて前記櫛部と前記刃部との間隔を調整する構成であり、前記アタッチメントは、前記係止部が配設されている側の両面に、前記刃部によって刈り取られた毛を排出する排出部が形成されており、前記排出部は、側面視で前記刃部が露出し、前記本体部における背面側の傾斜に合わせた辺を有する多角形の窓形状であることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、前記アタッチメントの所定の側面に排出部を形成したことで、前記アタッチメントを本体部に取り付けた状態で、刈り取られた毛(毛屑)を排出できる。そのため、刈り取り作業が円滑に進行する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、刈り高さ調整用のアタッチメントを本体部に取り付けた状態で毛屑を排出できるので、刈り取り作業が円滑に進行し、快適に扱うことができる電気バリカンとなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る電気バリカンの例を示す概略の斜視図である。
【
図2】
図1における内部構造を省略したII-II線断面図である。
【
図3】上記実施形態の電気バリカンの側面図であり、
図3Aは櫛部と刃部との間隔を最小とした状態の図であり、
図3Bは櫛部と刃部との間隔を最大とした状態の図である。
【
図4】上記実施形態の電気バリカンの本体部の例を示す概略の斜視図である。
【
図5】上記実施形態の電気バリカンのアタッチメントの他の例を示す概略の斜視図であり、
図5Aは櫛部を閉じた状態の図であり、
図5Bは櫛部を開いた状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。本実施形態は、一例として、刈り高さ調整用のアタッチメント2を本体部3に取り付けて使用する構成の電気バリカン1である。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0013】
図1~
図3に示すように、電気バリカン1は、一例として、使用者が把持する本体部2と、本体部2に配設された支持部32に着脱可能に取り付けられるアタッチメント2とを備える。ここでは、電気バリカン1の各部の位置関係を説明し易くするため、図中にX,Y,Zの矢印で向きを示している。一例として、刃部37を矢印Zで示す上側とし、操作部34を矢印Xで示す正面側として、以下に説明する。
【0014】
本体部3の正面側は操作部34となっており、動作を選択する選択ボタンが配設されている。
図2に示すように、本体部3には、モータ7と、モータ7に電気を供給するとともにモータ7を制御する制御部92とが内蔵されている。また、本体部2には、モータ7の駆動力を刃部37に伝達する伝動機構17が内蔵されている。
【0015】
アタッチメント2には、櫛の先端が上側(矢印Z方向)に向かうように櫛部22が形成されている。櫛部22は、背面側に配設された第1櫛部22aと、正面側(矢印X方向)に配設された第1櫛部22bとから構成されており、第1櫛部22aと第2櫛部とは刃部37を挟むように対向している。
【0016】
本実施形態は、第1櫛部22aの先端と、第2櫛部22bの先端との間に、刃部37の刃先が進入可能な隙間H1が設けられている。この構成によれば、従来よりも、刃部37の刃先を皮膚に近づけることができ、毛髪の刈り高さを1[mm]以下にすることができる。一例として、毛髪の刈り高さを0.5[mm]にすることができる。そして、下死点によって、刃部37の刃先が、第1櫛部22aの先端及び第2櫛部22bの先端から突出しない構造となっているので、皮膚を刃部37から保護することができる。
【0017】
アタッチメント2の右側面(矢印Y方向)と左側面とには、本体部3に取り付けるための係止部21が各々配設されている。本体部3の右側面(矢印Y方向)と左側面とには、係止部21を支持する支持部32が各々配設されている。本実施形態は、係止部21はレール形状であり、支持部32は溝形状である。そして、レール形状の係止部21が、係止部21と対応する溝形状の支持部32に支持されている。なお、前記レール形状は、連続的に突出している場合と、断続的に突出している場合とがある。
【0018】
本体部3は、ラバー材質等からなるダイヤル形状の位置調整部33を備えており、位置調整部33を回動させることで、櫛部2の先端と刃部37の刃先との間隔G1を調整する構成となっている。例えば、位置調整部33を正回転させると、アタッチメント2が、レール形状の係止部21を上側(矢印Z方向)にスライド移動し、また、位置調整部33を逆回転させると、アタッチメント2が、レール形状の係止部21を下側にスライド移動する。
【0019】
本実施形態は、アタッチメント2における係止部21が配設されている側の面に、刃部37によって刈り取られた毛を排出する排出部23を有する。
図1等に示す例では、アタッチメント2の両方の側面2cに、開口形状の排出部23が各々同一形状で形成されている。
【0020】
この構成によれば、アタッチメント2を本体部3に取り付けた状態で、刈り取られた毛(毛屑)を排出できる。そのため、刈り取り作業が円滑に進行する。また、本体部3の右側面(矢印Y方向)と左側面とのいずれの側からも毛屑を排出できるので、利き手や、毛髪の刈り取り方向に依らず、速やかに毛屑を排出できる。
【0021】
排出部23の開口形状は、側面視で排出部23に刃部37が露出していることが好ましい。位置調整部33の調整範囲内において、
図3Aは櫛部22の先端と刃部37の刃先との間隔G1を最小とした状態の図であり、
図3Bは櫛部22の先端と刃部37の刃先との間隔G1を最大とした状態の図である。
図3Aと
図3Bのいずれも、側面視で排出部23に刃部37が露出している。この構成によれば、位置調整部33の調整範囲内のいずれにおいても、速やかに毛屑を排出できる。櫛部22の先端と刃部37の刃先との間隔G1は、例えば0.5[mm]以上70[mm]以下とすることができる。
【0022】
排出部23の開口形状は、本体部3の背面側の傾斜に合わせた辺を有する多角形の窓形状となっている。これにより、長い毛屑も本体部3の背面側の傾斜に沿って速やかに排出でき、デザイン性も高くなる。上記以外に、排出部23を楕円形の窓形状としてもよい。
【0023】
また、排出部23は、上述の開口形状に限定されず、切り欠き形状としてもよい。例えば、レール形状等の係止部21を除いて、アタッチメント2の両方の側面2cに、前側(矢印Z方向)が切り欠いた切り欠き形状とする場合があり、下側(矢印X方向の反対方向)が切り欠いた切り欠き形状とする場合がある。
【0024】
排出部23は、上述の開口形状または切り欠き形状に加えて、スライド式のシャッターや開閉式の扉を付設することが可能である。
【0025】
図5Aと
図5Bとは、上記実施形態の電気バリカン1のアタッチメント2の他の例を示す概略の斜視図であり、
図5Aは第1櫛部22aと第2櫛部22bとを閉じた状態の図であり、
図5Bは第1櫛部22aと第2櫛部22bとを開いた状態の図である。
【0026】
図5Aと
図5Bとに示す例では、第2櫛部22bの下側(矢印Z方向の反対方向)に根元部22cが形成されており、根元部22cがアタッチメント2の本体に回動可能にヒンジ接続によって連結されている。この構成によれば、アタッチメント2を本体部3に取り付けて、例えば第1櫛部22aと第2櫛部22bとを閉じた状態で毛髪の刈り取り作業を行い、その後、例えば第1櫛部22aと第2櫛部22bとを開いた状態で刃部37の刃先に引っ掛かった毛屑を除去する等の清掃作業を行うことができる。前記ヒンジ接続は、例えば、根元部22cがピン形状であり、且つ、アタッチメント2の本体に、ピン形状の根元部22cが挿入する孔部が形成されている(不図示)。
【0027】
本実施形態は、上述の構造に限定されず、第1櫛部22aと第2櫛部22bとのいずれかないしは両方に根元部22cが形成されており、根元部22cがアタッチメント2に回動可能にヒンジ接続によって連結されている構成とする場合がある。
【0028】
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更が可能である。例えば、上述の実施形態では、アタッチメント2に、開口形状の排出部23を形成するとしたが、この例に限定されず、切り欠き形状の排出部23を形成する場合がある。
【0029】
例えば、上述の実施形態では、係止部21はレール形状であるとともに支持部32は係止部21と対応する溝形状であるとしたが、この例に限定されず、係止部21を溝形状として、支持部32を係止部21と対応するレール形状とする場合がある。
【0030】
また、例えば、上述の実施形態では、本体部3は、櫛22部と刃部37との間隔を調整する位置調整部33を備えるとしたが、この例に限定されず、アタッチメント2に、櫛22部と刃部37との間隔を調整する位置調整部を備えることが可能である。或いは、前記位置調整部を省くことも可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 電気バリカン
2 刈り高さ調整用のアタッチメント
3 本体部
21 係止部
22 櫛部、22a 第1櫛部、22b 第2櫛部、22c 根元部
23 排出部
32 支持部
33 位置調整部
34 操作部
37 刃部