(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】データ処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20220117BHJP
G06Q 30/02 20120101ALI20220117BHJP
【FI】
G06F3/12 356
G06F3/12 308
G06F3/12 343
G06Q30/02 444
(21)【出願番号】P 2018025953
(22)【出願日】2018-02-16
【審査請求日】2020-10-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】青山 龍一
(72)【発明者】
【氏名】伊久美 智則
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 直樹
(72)【発明者】
【氏名】高畠 政実
(72)【発明者】
【氏名】福田 敏則
【審査官】白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-053711(JP,A)
【文献】特開2007-233933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09-3/12
H04N 1/00
B41J 29/00-29/70
B41J 5/00-5/52;21/00-21/18
G03G 13/34;15/00;15/36;21/00;21/02;21/14;21/20
G06Q 10/00-10/10;30/00-30/08;50/00-50/20;50/26-99/00;G16Z 99/00
A47F 5/00-8/02
G07G 1/00-5/00
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末とデータ通信を行う通信手段と、
前記通信手段による前記ユーザ端末とのデータ通信により、商品の識別情報とその商品の売価として媒体に表示される表示価格とを含む表示データを検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された前記表示データに含まれる前記識別情報で識別される商品の実売価格を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された実売価格が前記検出手段により検出された前記表示データに含まれる前記表示価格と一致するか比較する比較手段と、
前記比較手段による比較の結果
、前記実売価格と前記表示価格と一致しない場合には前記通信手段によるデータ通信により前記ユーザ端末への警告の出力を制御し、一致する場合には前記表示データの媒体出力機器への出力を制御する制御手段と、
前記警告に対して表示データの出力を許可するか否かの指示を前記通信手段による前記ユーザ端末とのデータ通信により受け付ける受付手段と、
前記受付手段により前記表示データの出力を許可する指示を受け付けたことを条件に前記表示データを前記媒体出力機器へと出力する出力手段と、
を具備するデータ処理装置。
【請求項2】
前記受付手段により前記表示データの出力を許可する指示を受け付けた場合に、前記表示データの表示価格を前記取得手段により取得した実売価格に修正する修正手段、
をさらに具備し、
前記出力手段は、前記修正手段により前記表示価格が修正された前記表示データを前記媒体出力機器へと出力する、請求項
1記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記表示データは、表示を行う日付を含み、
前記取得手段は、前記検出手段により検出された前記表示データに含まれる前記識別情報で識別される商品の前記日付における実売価格を取得する、請求項1
又は2記載のデータ処理装置。
【請求項4】
媒体出力機器に接続され
、ユーザ端末とデータ通信を行う通信手段を備えたコンピュータを、
前記通信手段による前記ユーザ端末とのデータ通信により、商品の識別情報とその商品の売価として媒体に表示される表示価格とを含む表示データを検出する検出手段、
前記検出手段により検出された前記表示データに含まれる前記識別情報で識別される商品の実売価格を取得する取得手段、
前記取得手段により取得された実売価格が前記検出手段により検出された前記表示データに含まれる前記表示価格と一致するか比較する比較手段、
前記比較手段による比較の結果
、前記実売価格と前記表示価格と一致しない場合には前記通信手段によるデータ通信により前記ユーザ端末への警告の出力を制御し、一致する場合には前記表示データの媒体出力機器への出力を制御する制御手段、
前記警告に対して表示データの出力を許可するか否かの指示を前記通信手段による前記ユーザ端末とのデータ通信により受け付ける受付手段、及び、
前記受付手段により前記表示データの出力を許可する指示を受け付けたことを条件に前記表示データを前記媒体出力機器へと出力する出力手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、データ処理装置及びコンピュータを当該データ処理装置として機能させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テンプレートを利用したPOP(Point Of Purchase)広告の作成システムが開発されている。本システムは、パソコン、スマートフォン等の情報端末のディスプレイにPOP広告用のテンプレートを表示させる。そして情報端末のユーザは、テンプレートに、広告対象商品の画像、商品名、価格等を差し込む。以上で、POP広告のための広告データが作成される。作成された広告データは、サーバに接続された複合機等の印刷機により印刷出力されて、POP広告が作成される。
【0003】
ところで、広告データの作成時と出力時との間にタイムラグがあると、その間に商品の実売価格が変動する場合があり得る。実売価格に変動が生じた場合、広告データを印刷出力して広告媒体を作成しても、その広告媒体に表示された価格は実売価格と異なるので、広告媒体が無駄になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、表示価格が実売価格と異なる媒体の出力を抑制できるデータ処理装置及びプログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態において、データ処理装置は、検出手段と、取得手段と、比較手段と、制御手段とを備える。検出手段は、商品の識別情報とその商品の売価として媒体に表示される表示価格とを含む表示データを検出する。取得手段は、検出手段により検出された表示データに含まれる識別情報で識別される商品の実売価格を取得する。比較手段は、取得手段により取得された実売価格が検出手段により検出された表示データに含まれる表示価格と一致するか比較する。制御手段は、比較手段による比較の結果に応じて出力を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】価格マスタに保存される1商品あたりのデータレコードの要部構成を示す模式図。
【
図3】ユーザ端末の要部回路構成を示すブロック図。
【
図4】POPサーバの要部回路構成を示すブロック図。
【
図5】ユーザ端末とPOPサーバとがそれぞれ有する主要なプログラムとその連携状態を示す模式図。
【
図6】POPファイルに保存されたPOPデータの一例を示す模式図。
【
図7】POP出力を許容するコマンドを受信した後にユーザ端末のプロセッサが実行する処理の手順を示す流れ図。
【
図8】POP出力を許容するコマンドを受信した後にユーザ端末のプロセッサが実行する処理の手順を示す流れ図。
【
図9】POP出力を許容するコマンドを送信した後にPOPサーバのプロセッサが実行する処理の手順を示す流れ図。
【
図10】POP出力を許容するコマンドを送信した後にPOPサーバのプロセッサが実行する処理の手順を示す流れ図。
【
図11】POP出力を許容するコマンドを送信した後にPOPサーバのプロセッサが実行する処理の手順を示す流れ図。
【
図12】POP出力を許容するコマンドを送信した後にPOPサーバのプロセッサが実行する処理の手順を示す流れ図。
【
図13】ユーザ端末のタッチパネルに表示される主要な画面の遷移を示す模式図。
【
図14】第2の実施形態における警告画像を含むユーザ端末のタッチパネルに表示される主要な画面の遷移を示す模式図。
【
図15】ユーザ端末のプロセッサが実行する処理手順のうち、第2の実施形態に係る処理手順を示す流れ図。
【
図16】POPサーバのプロセッサが実行する処理手順のうち、第2の実施形態に係る処理手順を示す流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、表示価格が実売価格と異なる媒体の出力を抑制できるデータ処理装置の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、この実施形態は、テンプレートを利用したPOP広告作成システムのPOPサーバを、データ処理装置として機能させる場合である。
【0009】
[第1の実施形態]
始めに、第1の実施形態について、
図1乃至
図13を用いて説明する。
【0010】
図1は、POP広告作成システム100の全体構成図である。POP広告作成システム100は、POPサーバ10、店舗サーバ20、広告出力装置30、アクセスポイント40及びネットワーク50を備える。またPOP広告作成システム100は、POP広告作成担当のユーザが使用するユーザ端末60を含む。POPサーバ10、店舗サーバ20、広告出力装置30及びアクセスポイント40は、それぞれネットワーク50に接続される。
【0011】
ネットワーク50は、店舗内に設けられたLAN(Local Area Network)である。ネットワーク50の全部または一部は、インターネット等でもよい。例えばPOPサーバ10をクラウド上に配置し、POPサーバ10と、店舗サーバ20、広告出力装置30及びアクセスポイント40とをインターネットで接続してもよい。
【0012】
アクセスポイント40は、無線LANを利用してユーザ端末60をネットワーク50に接続する。
図1では、ユーザ端末60を1台しか示していないが、ユーザ端末60の台数は1台に限定されない。アクセスポイント40は、複数のユーザがそれぞれ使用するユーザ端末60をネットワーク50に接続することができる。
【0013】
広告出力装置30は、POP広告の出力に供される媒体出力機器である。POP広告を印刷物として取り扱う場合、広告出力装置30は、複合機等の印刷機である。POP広告をデジタルサイネージとして取り扱う場合、広告出力装置30は、サイネージディスプレイである。
図1では、広告出力装置30を1台しか示していないが、広告出力装置30台数は1台に限定されない。2台以上の広告出力装置、例えば印刷機やサイネージディスプレイ等がネットワーク50に接続されていてもよい。
【0014】
店舗サーバ20は、店舗に関するデータを一元的に管理するためのコンピュータである。
図1では省略しているが、店舗サーバ20には、POS(Point Of Sales)端末が接続されている。店舗サーバ20は、POS端末で登録処理された各商品の販売データを収集し集計することで、店舗全体の売上を管理する。また店舗サーバ20は、価格マスタ21を備えている。価格マスタ21は、店舗で販売される各商品の実売価格に関するデータを保存する。
【0015】
図2は、価格マスタ21に保存される1商品あたりのデータレコード21Rの要部構成を示す模式図である。図示するようにデータレコード21Rは、商品コード、商品名、実売価格、変更フラグ、変更価格、変更日等のデータ項目を含む。商品コードは、各商品を識別するために商品毎に設定された一意のコードである。つまり商品コードは、商品の識別情報である。商品名及び実売価格は、同一レコードの商品コードで特定される商品(以下、該当商品と称する)の名称及び実際に店舗で販売されている価格である。変更フラグは、該当商品の実売価格の変更が予定されているか否かを識別する1ビットデータである。本実施形態では、実売価格の変更が予定されている場合には“1”となり、変更が予定されていない場合には“0”となる。変更価格及び変更日は、該当商品の変更後の実売価格とその変更日である。因みに、データレコード21Rの実売価格は、店舗サーバ20の作用により、変更日になると変更価格に更新される。そして、データレコード21Rの変更フラグは“1”から“0”に代わり、変更価格と変更日とはクリアされる。
【0016】
図3は、ユーザ端末60の要部回路構成を示すブロック図である。ユーザ端末60は、プロセッサ61、メインメモリ62、補助記憶デバイス63、無線ユニット64、タッチパネル65、スピーカ66及びシステム伝送路67を備える。システム伝送路67は、アドレスバス,データバス,制御信号線等を含む。ユーザ端末60は、システム伝送路67に、プロセッサ61、メインメモリ62、補助記憶デバイス63、無線ユニット64、タッチパネル65及びスピーカ66を直接または信号入出力回路を介して接続する。かくしてユーザ端末60は、プロセッサ61、メインメモリ62及び補助記憶デバイス63と、これらを接続するシステム伝送路67とによってコンピュータを構成する。
【0017】
プロセッサ61は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ61は、オペレーティングシステムやアプリケーションプログラムに従って、ユーザ端末60としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。
【0018】
メインメモリ62は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ62は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ62は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステムやアプリケーションプログラムを記憶する。またメインメモリ62は、プロセッサ61が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを不揮発性または揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ62は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ61によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。
【0019】
補助記憶デバイス63は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。例えばEEPROM(Electric Erasable Programmable Read-Only Memory)、HDD(Hard Disc Drive)、あるいはSSD(Solid State Drive)等が補助記憶デバイス63として使用される。補助記憶デバイス63は、プロセッサ61が各種の処理を行う上で使用するデータや、プロセッサ61での処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶デバイス63は、上記のアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
【0020】
無線ユニット64は、アクセスポイント40との間で所定の無線通信プロトコルに従い無線によるデータの送信または受信を行う。
【0021】
タッチパネル65は、ユーザ端末60の入力デバイスと表示デバイスとを兼ね備えた機器である。スピーカ66は、音声、警告音等を発する機器である。
【0022】
かかる構成のユーザ端末60としては、例えばスマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン、ディスクトップパソコン等の情報端末を用いることができる。
【0023】
図4は、POPサーバ10の要部回路構成を示すブロック図である。POPサーバ10は、プロセッサ11、メインメモリ12、補助記憶デバイス13、時計14、通信インターフェース15及びシステム伝送路16を備える。システム伝送路16は、アドレスバス,データバス,制御信号線等を含む。POPサーバ10は、システム伝送路16に、プロセッサ11、メインメモリ12、補助記憶デバイス13、時計14及び通信インターフェース15を直接または信号入出力回路を介して接続する。かくしてPOPサーバ10は、プロセッサ11、メインメモリ12及び補助記憶デバイス13と、これらを接続するシステム伝送路16とによってコンピュータを構成する。
【0024】
プロセッサ11は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ11は、オペレーティングシステムやアプリケーションプログラムに従って、POPサーバ10としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。
【0025】
メインメモリ12は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ12は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ12は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステムやアプリケーションプログラムを記憶する。またメインメモリ12は、プロセッサ11が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを不揮発性または揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ12は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ11によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。
【0026】
補助記憶デバイス13は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。例えばEEPROM、HDD、あるいはSSD等が補助記憶デバイス13として使用される。補助記憶デバイス13は、プロセッサ11が各種の処理を行う上で使用するデータや、プロセッサ11での処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶デバイス13は、上記のアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
【0027】
時計14は、POPサーバ10の時刻情報源として機能する。プロセッサ11は、時計14によって計時される時刻情報を基に、現在の日付及び時刻を計時する。
【0028】
通信インターフェース15は、ネットワーク50を介して接続される各部との間で所定の通信プロトコルに従いデータの送信及び受信を行う。
【0029】
図5は、ユーザ端末60とPOPサーバ10とがそれぞれ有する主要なプログラムとその連携状態を示す模式図である。
図5に示すように、ユーザ端末60は、POP作成プログラム71とPOP出力要求プログラム72とを有する。POPサーバ10は、POP作成支援プログラム81と、POP出力支援プログラム82とを有する。またPOPサーバ10は、表示データであるPOPデータを格納するためのPOPファイル83を備えている。POPサーバ10は、メインメモリ12の揮発性領域又は補助記憶デバイス13の一部の領域をPOPファイル83の領域としている。
【0030】
POP作成プログラム71及びPOP作成支援プログラム81は、ユーザ端末60でPOPデータを作成するためのアプリケーションプログラムである。作成されたPOPデータは、POPファイル83に格納される。POP出力要求プログラム72及びPOP出力支援プログラム82は、POPファイル83に格納されたPOPデータを選択的に広告出力装置30に出力させるためのアプリケーションプログラムである。
【0031】
以下、POP広告作成担当のユーザが、ユーザ端末60を用いてPOPデータを作成する場合と、そのPOPデータを広告出力装置30に出力させる場合とにおけるPOP広告作成システム100の動作について説明する。始めに、POPデータを作成する場合の動作について説明する。なお、POPデータを作成する場合の動作については既存のPOP広告作成システム100と変わらないので、ここでは簡単に説明する。
【0032】
ユーザは、ユーザ端末60のタッチパネル65を操作して、POP作成業務を選択する。POP作成業務が選択されると、ユーザ端末60では、POP作成プログラム71が起動する。POP作成プログラム71が起動すると、ユーザ端末60のプロセッサ61は、無線ユニット64を制御してPOPサーバ10との通信回線を確立する。なお、既にPOPサーバ10との通信回線が確立されている場合には、この回線確立処理をスキップする。
【0033】
POPサーバ10との通信回線が確立されていることを確認すると、プロセッサ61は、POPサーバ10にPOP作成要求のコマンドを送信する。POP作成要求のコマンドを受信したPOPサーバ10では、POP作成支援プログラム81が起動する。POP作成支援プログラム81が起動すると、POPサーバ10のプロセッサ11は、ユーザ端末60に対してPOP作成を許容するコマンドを送信する。
【0034】
POP作成を許容するコマンドを受信したユーザ端末60では、タッチパネル65にPOP作成画面が表示される。POP作成画面は、POP作成支援プログラム81の支援によって表示される。そこでユーザは、POP作成画面を操作して、所望のPOP広告を作成する。例えばユーザは、先ず、POP広告のテンプレートを選択する。次いでユーザは、そのテンプレートに、広告の対象となる商品の画像、商品名、価格等を差し込む。価格は、広告の対象となる商品の売価としてPOP広告に表示される表示価格である。
【0035】
こうして、所望のPOP広告を作成し終えたならば、ユーザは、タッチパネル65を操作してPOP広告の保存を指令する。この指令を受けて、プロセッサ61は、POPサーバ10にPOP広告保存要求のコマンドを送信する。このコマンドには、POP作成画面を用いて作成されたPOP広告の画像データが含まれる。
【0036】
POP広告保存要求のコマンドを受信したPOPサーバ10のプロセッサ11は、POP作成支援プログラム81の作用により、POPデータを生成する。POPデータは、POP広告保存要求のコマンドに含まれるPOP広告の画像データ、いわゆるPOP画像データに、POPID、商品コード、表示価格、広告日等のデータ項目を付加したものである。POPIDは、POP画像データを識別するためにPOP画像データ毎に割り当てられた一意のコードである。商品コードは、広告の対象となる商品の識別情報である。表示価格は、広告の対象となる商品の売価としてテンプレートに差し込まれた価格である。広告日は、POP画像データから生成されるPOP広告の張り出しまたは表示を予定する日付である。広告日は、POP広告作成時にユーザ端末60で指定された場合にはその日付であり、指定されていない場合には、時計14によって計時されている現在の日付である。プロセッサ11は、生成されたPOPデータをPOPファイル83に保存する。
【0037】
図6は、POPファイル83に保存されたPOPデータの一例を示す模式図である。
図6に示すように、POPファイル83には、POPIDに関連付けて、POP画像データ、商品コード、表示価格、広告日等の各データが保存される。
【0038】
POPデータをPOPファイル83に保存したプロセッサ11は、そのPOPデータのPOPIDをユーザ端末60に通知する。POP広告保存要求のコマンドを送信したユーザ端末60のプロセッサ61は、POPサーバ10から通知を受けたPOPIDを補助記憶デバイス63の所定の領域に保存する。以上で、POP作成プログラム71及びPOP作成支援プログラム81に従ったPOP広告作成システム100の動作は終了する。
【0039】
次に、POPデータを出力する場合の動作について説明する。
ユーザは、ユーザ端末60のタッチパネル65を操作して、POP出力業務を選択する。POP出力業務が選択されると、ユーザ端末60では、POP出力要求プログラム72が起動する。POP出力要求プログラム72が起動すると、ユーザ端末60のプロセッサ61は、無線ユニット64を制御してPOPサーバ10との通信回線を確立する。なお、既にPOPサーバ10との通信回線が確立されている場合には、この回線確立処理をスキップする。
【0040】
POPサーバ10との通信回線が確立されていることを確認すると、プロセッサ61は、POPサーバ10にPOP出力要求のコマンドを送信する。POP出力要求のコマンドを受信したPOPサーバ10では、POP出力支援プログラム82が起動する。POP出力支援プログラム82が起動すると、POPサーバ10のプロセッサ11は、ユーザ端末60に対してPOP出力を許容するコマンドを送信する。
【0041】
POP出力を許容するコマンドを受信したユーザ端末60では、タッチパネル65にPOP出力画面が表示される。POP出力画面は、POP出力支援プログラム82の支援によって表示される。そこでユーザは、POP出力画面を操作して、所望のPOP広告の出力を指令する。
【0042】
図7及び
図8は、POP出力を許容するコマンドを受信した後にユーザ端末60のプロセッサ61が実行する処理の手順を示す流れ図である。また、
図9乃至
図12は、POP出力を許容するコマンドを送信した後にPOPサーバ10のプロセッサ11が実行する処理の手順を示す流れ図である。また、
図13は、ユーザ端末60のタッチパネル65に表示される主要な画面の遷移を示す模式図である。以下、
図7乃至
図13を用いて、ユーザ端末60でPOP出力を許容するコマンドを受信した後のPOP広告作成システム100の動作について説明する。なお、以下に説明する内容は一例である。同様な結果を得ることが可能であればその手順及び内容は特に限定されるものではない。
【0043】
POP出力画面を確認したユーザは、先ず、出力を行うPOP広告のPOPIDを指定する。POP出力画面には、補助記憶デバイス63に保存されているPOPIDのリストが表示されるので、ユーザは、そのリストの中から所望のPOPIDを選択する。あるいは、POP出力画面にはPOPIDの入力ボックスが形成されているので、ユーザは入力ボックスに所望のPOPIDを入力する。
【0044】
ユーザ端末60のプロセッサ61は、
図7のAct1として、POPIDが指定されるのを待ち受けている。上述したPOP出力画面への入力によりPOPIDが指定されると(Act1、YES)、プロセッサ61は、POPサーバ10に対してプレビュー要求のコマンドを送信するように無線ユニット64を制御する。この制御により、無線ユニット64からPOPサーバ10に宛てて、プレビュー要求のコマンドが無線送信される。プレビュー要求のコマンドには、POPIDが含まれる。無線ユニット64を介して無線送信されたプレビュー要求のコマンドは、アクセスポイント40で受信され、ネットワーク50を介してPOPサーバ10へと送信される。
【0045】
POPサーバ10のプロセッサ11は、
図9のAct21として、ユーザ端末60からのコマンドを待ち受けている。そしてコマンドを受信すると、プロセッサ11は、Act22としてそのコマンドがプレビュー要求のコマンドなのか否かを確認する。プレビュー要求のコマンドでない場合には(Act22、NO)、プロセッサ11は、Act23として更新要求のコマンドなのか否かを確認する。更新要求のコマンドでない場合には(Act23、NO)、プロセッサ11は、Act24として取消要求のコマンドなのか否かを確認する。取消要求のコマンドでない場合には(Act24、NO)、プロセッサ11は、Act25として出力要求のコマンドなのか否かを確認する。出力要求のコマンドでない場合には(Act25、NO)、プロセッサ11は、Act26として実行要求のコマンドなのか否かを確認する。実行要求のコマンドでもない場合(Act26、NO)、プロセッサ11は、そのコマンドに応じた処理を実行する。このときの処理は、本実施形態を説明する上で重要な事項ではないので、ここでの説明は省略する。
【0046】
ユーザ端末60からプレビュー要求のコマンドを受信した場合(Act22、YES)、プロセッサ11は、
図10の流れ図に示す手順の処理を実行する。すなわちプロセッサ11は、Act31としてプレビュー要求のコマンドに含まれるPOPIDでPOPファイル83を検索して、当該POPIDを含むPOPデータを取得する。次いで、プロセッサ11は、Act32としてPOPデータのPOP画像データに基づいてPOP広告のプレビュー画像データを作成する。そしてプロセッサ11は、Act33としてそのプレビュー画像データを、コマンド送信元のユーザ端末60へと送信するように通信インターフェース15を制御する。この制御により、通信インターフェース15からネットワーク50を介してプレビュー画像データが送信される。このデータは、アクセスポイント40からユーザ端末60に宛てて無線送信される。
【0047】
図7の説明に戻る。プレビュー要求のコマンドを送信したユーザ端末60のプロセッサ61は、Act3としてプレビュー画像データを待ち受ける。ここで、POPIDの指定ミス等によりプレビュー画像データを受信できなかった場合には(Act3、NO)、プロセッサ61は、今回の処理をエラーとして終了する。
【0048】
POPサーバ10からプレビュー画像データを受信した場合には(Act3、YES)、プロセッサ61は、Act4としてそのプレビュー画像データに基づきタッチパネル65にプレビュー画像P1(
図13参照)を表示させる。
【0049】
プレビュー画像P1が表示されたタッチパネル65の画面SC1の一例を
図13に示す。図示するように画面SC1には、POP広告のテンプレートに商品名「商品a」、表示価格「¥450」等を配置したプレビュー画像P1とともに、編集ボタンB1、取消ボタンB2及び出力ボタンB3が表示されている。編集ボタンB1は、プレビュー表示されたPOP広告の編集を指令するためのボタンである。例えばテンプレートの変更、商品名の変更、表示価格の変更等の編集が可能である。取消ボタンB2は、プレビュー表示されたPOP広告の出力取消を指令するためのボタンである。出力ボタンB3は、プレビュー表示されたPOP広告の出力を指令するためのボタンである。
【0050】
図7の説明に戻る。プレビュー画像P1を表示したユーザ端末60のプロセッサ61は、Act5として編集ボタンB1が入力されたか否かを確認する。編集ボタンB1が入力されていない場合(Act5、NO)、プロセッサ61は、Act6として取消ボタンB2が入力されたか否かを確認する。取消ボタンB2が入力されていない場合(Act6、NO)、プロセッサ61は、Act7として出力ボタンB3が入力されたか否かを確認する。出力ボタンB3が入力されていない場合(Act7、NO)、プロセッサ61は、Act5の処理に戻る。ここにプロセッサ61は、Act5乃至Act7として、編集ボタンB1が入力されるか、取消ボタンB2が入力されるか、出力ボタンB3が入力されるのを待ち受ける。
【0051】
この待ち受け状態において、編集ボタンB1が入力されたことを検知すると(Act5、YES)、プロセッサ61は、プレビュー表示されているPOP広告の編集処理を実行する。具体的には、プロセッサ61は、POP作成画面と同様のPOP編集画面をタッチパネル65に表示させる。このPOP編集画面には、プレビュー表示されていたPOP広告の画像が表示される。そこでユーザは、POP編集画面を操作して、POP広告の画像を編集する。例えばユーザは、テンプレートを変更する。あるいはユーザは、商品名、表示価格等を変更する。ユーザは、広告日を変更してもよい。
【0052】
こうして、POP広告の画像を編集し終えたならば、ユーザは、タッチパネル65を操作して編集終了を指令する。編集終了の指令を検知したプロセッサ61は、Act9としてPOPサーバ10に更新要求のコマンドを送信するように無線ユニット64を制御する。この制御により、無線ユニット64からPOPサーバ10に宛てて、更新要求のコマンドが無線送信される。更新要求のコマンドには、Act1において指定されたPOPIDとともに、POP編集画面を用いて編集されたPOP広告の画像データが含まれる。無線ユニット64を介して無線送信された更新要求のコマンドは、アクセスポイント40で受信され、ネットワーク50を介してPOPサーバ10へと送信される。
【0053】
前述したように、POPサーバ10のプロセッサ11は、
図9のAct21として、ユーザ端末60からのコマンドを待ち受けている。ここで、ユーザ端末60から更新要求のコマンドを受信した場合(
図9のAct23、YES)、POPサーバ10のプロセッサ11は、
図11の流れ図に示す手順の処理を実行する。すなわちプロセッサ11は、Act41として更新要求のコマンドに含まれるPOPIDでPOPファイル83を検索して、当該POPIDを含むPOPデータを取得する。次いで、プロセッサ11は、Act42として更新要求のコマンドに含まれるPOP広告の画像データに基づいて、POPファイル83から取得したPOPデータを更新する。例えばPOP画像データが編集されていた場合には、プロセッサ11は、当該POPデータのPOP画像データを編集後のデータに更新する。商品名、表示価格が編集されていた場合には、プロセッサ11は、当該POPデータの商品名、表示価格を編集後のデータに更新する。広告日が編集されていた場合には、プロセッサ11は、当該POPデータの広告日を編集後の日付に更新する。
【0054】
POPデータの更新を終えると、プロセッサ11は、Act43としてそのPOPデータのPOP画像データに基づいてPOP広告のプレビュー画像データを作成する。そしてプロセッサ11は、Act44としてそのプレビュー画像データを、コマンド送信元のユーザ端末60へと送信するように通信インターフェース15を制御する。この制御により、通信インターフェース15からネットワーク50を介してプレビュー画像データが送信される。このデータは、アクセスポイント40からユーザ端末60に宛てて無線送信される。
【0055】
図7の説明に戻る。更新要求のコマンドを送信したプロセッサ61は、Act3に戻る。すなわちプロセッサ61は、プレビュー画像データを待ち受ける。そして、POPサーバ10からプレビュー画像データを受信したならば、プロセッサ61は、そのプレビュー画像データに基づきタッチパネル65にプレビュー画像P1(
図13参照)を表示させる。
【0056】
Act5乃至Act7の待ち受け状態において取消ボタンB2が入力されたことを検知した場合には(Act6、YES)、プロセッサ61は、Act10として取消要求のコマンドを送信するように無線ユニット64を制御する。この制御により、無線ユニット64からPOPサーバ10に宛てて、取消要求のコマンドが無線送信される。取消要求のコマンドには、POPIDが含まれる。無線ユニット64を介して無線送信された取消要求のコマンドは、アクセスポイント40で受信され、ネットワーク50を介してPOPサーバ10へと送信される。
【0057】
また、Act5乃至Act7の待ち受け状態において出力ボタンB2が入力されたことを検知した場合には(Act7、YES)、プロセッサ61は、Act11として出力要求のコマンドを送信するように無線ユニット64を制御する。この制御により、無線ユニット64からPOPサーバ10に宛てて、出力要求のコマンドが無線送信される。出力要求のコマンドには、POPIDが含まれる。無線ユニット64を介して無線送信された出力要求のコマンドは、アクセスポイント40で受信され、ネットワーク50を介してPOPサーバ10へと送信される。
【0058】
前述したように、POPサーバ10のプロセッサ11は、
図9のAct21として、ユーザ端末60からのコマンドを待ち受けている。ここで、ユーザ端末60から取消要求のコマンドを受信した場合には(Act24のYES)、プロセッサ11は、Act27としてそのコマンドに含まれるPOPIDで特定されるPOP広告の出力ジョブが出力バッファに格納されているか否かを判定する。出力バッファは、メインメモリ12の揮発性領域に形成されている。該当する出力ジョブが出力バッファに格納されている場合(Act27、YES)、プロセッサ11は、Act28としてその出力ジョブを削除する。該当する出力ジョブが出力バッファに格納されていない場合には(Act27、NO)、プロセッサ11は、Act28の処理をスキップする。
【0059】
一方、ユーザ端末60から出力要求のコマンドを受信した場合には(Act25のYES)、プロセッサ11は、
図12の流れ図に示す手順の処理を実行する。すなわちプロセッサ11は、Act51としてコマンドに含まれるPOPIDでPOPファイル83を検索し、当該POPIDを含むPOPデータを取得する。次いでプロセッサ11は、Act52としてそのPOPデータに含まれるPOP画像データとメタデータとに基づいて、出力ジョブを作成する。メタデータは、POP広告の出力に必要なデータである。例えば広告出力装置30が印刷機の場合、メタデータはPJL(Printer Job Language)情報である。プロセッサ11は、出力ジョブをメインメモリ62の出力バッファに格納する。
【0060】
プロセッサ11は、Act53として店舗サーバ20の価格マスタ21を検索して、広告日の実売価格を取得する。具体的にはプロセッサ11は、POPデータの商品コードと広告日とで価格マスタ21を検索する。そして、当該商品コードを含むデータレコード21Rから実売価格又は変更価格を取得する。すなわち、広告日が変更日よりも前の場合には実売価格を取得する。広告日が変更日以後の場合には変更価格を実売価格として取得する。
【0061】
プロセッサ11は、Act54としてPOPデータの表示価格とAct53の処理で取得した実売価格とを比較する。ここで、表示価格が実売価格と等しい場合(Act54、YES)、プロセッサ11は、Act55として出力ジョブを広告出力装置30へと送信するように通信インターフェース15を制御する。この制御により、通信インターフェース15からネットワーク50を介して広告出力装置30に出力ジョブが送信される。
【0062】
ここで、広告出力装置30が印刷機であった場合には、出力ジョブの印刷が実行される。その結果、POP画像データがPOP用紙に印刷される。広告出力装置30がサイネージディスプレイであった場合には、出力ジョブの表示が実行される。その結果、サイネージディスプレイにPOP画像データが表示される。
【0063】
出力ジョブを送信したプロセッサ11は、Act56として完了応答のコマンドをユーザ端末60へと送信するように通信インターフェース15を制御する。この制御により、通信インターフェース15からネットワーク50を介して完了応答のコマンドが送信される。このコマンドは、アクセスポイント40からユーザ端末60に宛てて無線送信される。
【0064】
一方、表示価格が実売価格と異なる場合には(Act54、NO)、プロセッサ11は、Act57として警告応答のコマンドを生成する。例えば、広告日には450円から380円に価格が変更される商品「商品a」のPOP広告を作成する際に、表示価格を450円としてしまうと、表示価格と実売価格とが異なることになる。警告応答のコマンドには、実売価格の情報(¥380)が含まれる。プロセッサ11は、Act58として警告応答のコマンドをユーザ端末60へと送信するように通信インターフェース15を制御する。この制御により、通信インターフェース15からネットワーク50を介して警告応答のコマンドが送信される。このコマンドは、アクセスポイント40からユーザ端末60に宛てて無線送信される。
【0065】
図8の説明に移る。出力要求のコマンドを送信したユーザ端末60のプロセッサ61は、Act12として応答信号を待ち受ける。そして、POPサーバ10からの応答信号を受信したならば(Act12、YES)、プロセッサ11は、Act13としてその応答信号が完了応答なのか警告応答なのかを識別する。
【0066】
完了応答であった場合(Act13、「完了」)、プロセッサ61は、Act14としてタッチパネル65に完了情報D1(
図13を参照)を表示させる。
【0067】
完了情報D1が表示されたタッチパネル65の画面SC2の一例を
図13に示す。図示するように画面SC2には、「出力ジョブの出力を完了しました」等の完了情報D1とともに、OKボタンB6が表示されている。完了情報D1を確認したユーザがOKボタンB6にタッチすると、POP出力要求プログラム72に従った情報処理が終了する。
【0068】
図8の説明に戻る。POPサーバ10からの応答信号が警告応答であった場合には(Act13、「警告」)、プロセッサ61は、Act15としてタッチパネル65に警告画像P2(
図13を参照)を表示させる。
【0069】
警告画像P2が表示されたタッチパネル65の画面SC3の一例を
図13に示す。図示するように画面SC3には、プレビュー画像P1と重ならないように、警告画像P2が表示される。警告画像P2には、実売価格(¥398)を含む情報D2とともに、「はい」ボタンB4と「いいえ」ボタンB5とが表示されている。警告画像P2を確認したユーザは、プレビュー画像P1の表示価格(¥450)でPOP広告を出力する場合には「はい」ボタンB4にタッチする。プレビュー画像P1の表示価格でPOP広告を出力しない場合には、ユーザは「いいえ」ボタンB5にタッチする。
【0070】
図8の説明に戻る。警告画像P2を表示したユーザ端末60のプロセッサ61は、Act16として出力の実行が指令されるか否かを確認する。プロセッサ61は、警告画像P2の「はい」ボタンB4がタッチされたことを検知した場合には、出力実行が指令されたと判断する。プロセッサ61は、「いいえ」ボタンB5がタッチされたことを検知した場合には、出力非実行が指令されたと判断する。
【0071】
出力実行が指令された場合(Act16、YES)、プロセッサ61は、Act17としてPOPサーバ10に実行要求のコマンドを送信するように無線ユニット64を制御する。この制御により、無線ユニット64からPOPサーバ10に宛てて、実行要求のコマンドが無線送信される。実行要求のコマンドには、Act1において指定されたPOPIDが含まれる。無線ユニット64を介して無線送信された実行要求のコマンドは、アクセスポイント40で受信され、ネットワーク50を介してPOPサーバ10へと送信される。
【0072】
前述したように、POPサーバ10のプロセッサ11は、
図9のAct21として、ユーザ端末60からのコマンドを満ち受けている。ここで、ユーザ端末60から受信したコマンドが実行要求のコマンドであった場合には(Act26、YES)、プロセッサ11は、Act29して出力ジョブを広告出力装置30へと送信するように通信インターフェース15を制御する。出力ジョブは、実行要求のコマンドに含まれるPOPIDのPOP画像データで作成されたものである。この制御により、通信インターフェース15からネットワーク50を介して広告出力装置30に出力ジョブが送信される。
【0073】
出力ジョブを送信したプロセッサ11は、Act30として完了応答のコマンドをユーザ端末60へと送信するように通信インターフェース15を制御する。この制御により、通信インターフェース15からネットワーク50を介して完了応答のコマンドが送信される。このコマンドは、アクセスポイント40からユーザ端末60に宛てて無線送信される。
【0074】
図8の説明に戻る。実行要求のコマンドを送信したユーザ端末60のプロセッサ61は、Act12の処理に戻る。すなわちプロセッサ61は、応答信号を待ち受ける。そしてPOPサーバ10から完了応答のコマンドを受信すると(Act13、「完了」)、プロセッサ61は、タッチパネル65に完了情報D1(
図13を参照)を表示させる。
【0075】
一方、Act16において出力非実行が指令された場合には(Act16、NO)、プロセッサ61は、Act18としてPOPサーバ10に取消要求のコマンドを送信するように無線ユニット64を制御する。この制御により、無線ユニット64からPOPサーバ10に宛てて、取消要求のコマンドが無線送信される。取消要求のコマンドには、Act1において指定されたPOPIDが含まれる。無線ユニット64を介して無線送信された取消要求のコマンドは、アクセスポイント40で受信され、ネットワーク50を介してPOPサーバ10へと送信される。
【0076】
ユーザ端末60から取消要求のコマンドを受信したPOPサーバ10のプロセッサ11は、前述したようにAct27及びAct28の処理を実行する。したがって、取消要求コマンドに含まれるPOPIDのPOP画像データで作成された出力ジョブが出力バッファから削除される。
【0077】
取消要求のコマンドを送信したユーザ端末60のプロセッサ61は、Act19としてタッチパネル65に取消情報D3(
図13を参照)を表示させる。
【0078】
取消情報D3が表示されたタッチパネル65の画面SC4の一例を
図13に示す。図示するように画面SC4には、「出力ジョブを取消ました」等の取消情報D3とともに、OKボタンB7が表示されている。取消情報D3を確認したユーザがOKボタンB6にタッチすると、POP出力要求プログラム72に従った情報処理が終了する。
【0079】
ここに、POPサーバ10において、プロセッサ11を主体とするコンピュータは、Act51の処理を実行することにより検出手段を実現し、Act53の処理を実行することにより取得手段を実現し、Act54の処理を実行することにより比較手段を実現し、Act55、Act57及びAct58の処理を実行することにより制御手段を実現する。
【0080】
また同コンピュータは、Act21、Act24及びAct26の処理を実行することにより受付手段を実現し、Act29の処理を実行することにより出力手段を実現する。
【0081】
したがって、上記構成のPOPサーバ10を備えた本実施形態のPOP広告作成システム100であれば、表示価格が実売価格と異なるPOP広告の出力を抑制することができる。この場合において、実売価格は現時点の価格ではなく、POP広告の発行日の価格である。したがって、表示価格が広告日の実売価格と異なるPOP広告の出力を確実に抑制できる効果を奏する。
【0082】
また、同POP広告作成システム100であれば、ユーザ端末60を利用してPOP広告を作成するユーザは、POP広告の表示価格が実売価格と異なる場合に、そのユーザ端末60のタッチパネル65に警告が発せられるので、表示価格が実売価格と異なるPOP広告の出力しようとしたことを迅速に知り得る。しかもユーザは、表示価格が実売価格と異なる場合において、表示価格によるPOP広告を出力するか否かを選択できるので、仮に表示価格が実売価格と異なるPOP広告が必要な場合でも支障はない。
【0083】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について、
図14乃至
図16を用いて説明する。なお、第1の実施形態と共通する部分には同一符号を付し、その詳しい説明は省略する。
【0084】
第1の実施形態では、POPデータの表示価格と広告対象商品の実売価格とが一致しないために警告を発した後、表示価格でPOP広告を出力するか、POP広告の出力を取り止めるかを選択可能とした。具体的には、警告画像P2の「はい」ボタンB4がタッチされた場合には表示価格でPOP広告を出力するようにし、「いいえ」ボタンB5がタッチされた場合にはPOP広告の出力を取り止めるようにした。第2の実施形態では、POPデータの表示価格と広告対象商品の実売価格とが一致しないために警告を発した後、実売価格でPOP広告を出力するか、POP広告の出力を取り止めるかを選択可能とする。
【0085】
図14は、第2の実施形態における警告画像P3を含むユーザ端末60の画面遷移例である。警告画像P3は、第1の実施形態の警告画像P2と比較して、実売価格(¥398)を含む情報D4の内容が異なる。すなわち第1の実施形態では、情報D2は『広告日の「商品a」の実売価格は¥398です。表示価格で出力しますか』となっているのに対し、第2の実施形態では、情報D4は『広告日の「商品a」の実売価格は¥398です。表示価格を実売価格に修正して出力しますか』となっている。なお、情報D2,D4の内容は、上記例に限定されるものではない。ユーザが、第1の実施形態では表示価格でPOP広告を出力することを理解できればよく、第2の実施形態では実売価格でPOP広告を出力することを理解できればよい。
【0086】
図15は、ユーザ端末60のプロセッサ61が実行する処理手順のうち、第2の実施形態に係る処理手順を示す流れ図である。
図15の処理手順は、第1の実施形態では
図8の処理手順に相当する。また、
図16は、POPサーバ10のプロセッサ11が実行する処理手順のうち、第2の実施形態に係る処理手順を示す流れ図である。
図16の処理手順は、第1の実施形態では
図9の「他の処理」の一部に相当する。
【0087】
すなわち、出力要求のコマンドを送信したユーザ端末60のプロセッサ61は、Act12として応答信号を待ち受ける。そして、POPサーバ10からの応答信号を受信したならば(Act12、YES)、プロセッサ11は、Act13としてその応答信号が完了応答なのか警告応答なのかを識別する。完了応答であった場合(Act13、「完了」)、プロセッサ61は、Act14としてタッチパネル65に完了情報D1(
図14を参照)を表示させる。
【0088】
これに対し、POPサーバ10からの応答信号が警告応答であった場合には(Act13、「警告」)、プロセッサ61は、Act61としてタッチパネル65に警告画像P3(
図14を参照)を表示させる。そしてプロセッサ61は、Act16として修正の実行が指令されるか否かを確認する。プロセッサ61は、警告画像P3の「はい」ボタンB4がタッチされたことを検知した場合には、修正実行が指令されたと判断する。プロセッサ61は、「いいえ」ボタンB5がタッチされたことを検知した場合には、修正非実行が指令されたと判断する。
【0089】
修正実行が指令された場合(Act62、YES)、プロセッサ61は、Act63としてPOPサーバ10に修正要求のコマンドを送信するように無線ユニット64を制御する。この制御により、無線ユニット64からPOPサーバ10に宛てて、修正要求のコマンドが無線送信される。修正要求のコマンドには、Act1において指定されたPOPIDが含まれる。無線ユニット64を介して無線送信された修正要求のコマンドは、アクセスポイント40で受信され、ネットワーク50を介してPOPサーバ10へと送信される。
【0090】
前述したように、POPサーバ10のプロセッサ11は、
図9のAct21として、ユーザ端末60からのコマンドを満ち受けている。ここで、ユーザ端末60から受信したコマンドが修正要求のコマンドであった場合には(
図16のAct71、YES)、プロセッサ11は、Act72として出力ジョブの表示価格を、
図12のAct53の処理で取得した実売価格に修正する。その後、プロセッサ11は、Act73して出力ジョブを広告出力装置30へと送信するように通信インターフェース15を制御する。この制御により、通信インターフェース15からネットワーク50を介して広告出力装置30に出力ジョブが送信される。
【0091】
出力ジョブを送信したプロセッサ11は、Act74として完了応答のコマンドをユーザ端末60へと送信するように通信インターフェース15を制御する。この制御により、通信インターフェース15からネットワーク50を介して完了応答のコマンドが送信される。このコマンドは、アクセスポイント40からユーザ端末60に宛てて無線送信される。
【0092】
図15の説明に戻る。修正要求のコマンドを送信したユーザ端末60のプロセッサ61は、Act12の処理に戻る。すなわちプロセッサ61は、応答信号を待ち受ける。そしてPOPサーバ10から完了応答のコマンドを受信すると(Act13、「完了」)、プロセッサ61は、タッチパネル65に完了情報D1(
図14を参照)を表示させる。
【0093】
一方、Act62において出力非実行が指令された場合には(Act62、NO)、プロセッサ61は、Act18としてPOPサーバ10に取消要求のコマンドを送信するように無線ユニット64を制御する。この制御により、無線ユニット64からPOPサーバ10に宛てて、取消要求のコマンドが無線送信される。取消要求のコマンドを送信したユーザ端末60のプロセッサ61は、Act19としてタッチパネル65に取消情報D3(
図14を参照)を表示させる。
【0094】
ここに、POPサーバ10において、プロセッサ11を主体とするコンピュータは、Act71及びAct72の処理を実行することにより修正手段を実現し、Act73の処理を実行することにより出力手段を実現する。
【0095】
したがって、第2の実施形態のPOP広告作成システムであれば、表示価格が実売価格と異なる場合に、実売価格に修正されたPOP広告を簡単な操作で出力することができる。
【0096】
以上、表示価格が実売価格と異なる媒体の出力を抑制できるデータ処理装置の実施形態について説明したが、かかる実施形態はこれに限定されるものではない。
【0097】
例えば前記各実施形態では、価格マスタ21を店舗サーバ20が備えたが、他の実施形態としては、価格マスタ21をPOPサーバ10が備えてもよい。
【0098】
また、前記実施形態では、アクセスポイント40を介した無線通信によりユーザ端末60とPOPサーバ10とを接続する場合を示したが、ユーザ端末60をネットワーク50に直接接続することで、ユーザ端末60をPOPサーバ10と接続するようにしてもよい。
また、LTE(Long Term Evolution:登録商標)経由によるインターネット接続や、Bluetooth(登録商標)を利用した近距離無線通信等を利用して、ユーザ端末60とPOPサーバ10等との間でデータ通信を行うようにしてもよい。
【0099】
さらに言えば、前記各実施形態では、テンプレートを利用したPOP広告作成システム100のPOPサーバ10に、データ処理装置としての機能を持たせる場合を例示したが、データ処理装置は上記POPサーバ10に限定されるものではない。テンプレートを利用することなく作成されたPOPデータから検出手段が商品の識別情報とその商品の売価として媒体に表示される表示価格とを含む表示データを検出してもよい。また、電子的に生成されたデジタルチラシから検出手段が商品の識別情報とその商品の売価として媒体に表示される表示価格とを含む表示データを検出してもよい。また、媒体への表示データはPOPデータに限定されるものではない。POP広告以外の表示データであってもよい。例えば、旅行会社において旅行プランの提案書を媒体に印刷し発行する際に値段をチェックし、実売価格と表示価格とが一致するか否かを比較して、その結果に応じて出力を制御してもよい。
【0100】
なお、データ処理装置の譲渡は一般に、プログラムがメインメモリ12又は補助記憶デバイス13に記憶された状態にて行われる。しかしこれに限らず、プログラムがメインメモリ12又は補助記憶デバイス13に記憶されていない状態で譲渡されてもよい。そしてこの場合は、データ処理装置が備える書き込み可能な記憶デバイスに、このデータ処理装置とは個別に譲渡されたプログラム等がユーザなどの操作に応じて書き込まれてもよい。プログラムの譲渡は、リムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介した通信により行うことができる。記録媒体は、CD-ROM,メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。また、プログラムのインストールやダウンロードにより得る機能は、装置内部のOS(オペレーティング・システム)等と協働してその機能を実現させるものであってもよい。
【0101】
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]商品の識別情報とその商品の売価として媒体に表示される表示価格とを含む表示データを検出する検出手段と、前記検出手段により検出された前記表示データに含まれる前記識別情報で識別される商品の実売価格を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された実売価格が前記検出手段により検出された前記表示データに含まれる前記表示価格と一致するか比較する比較手段と、前記比較手段による比較の結果に応じて出力を制御する制御手段と、を具備するデータ処理装置。
[2]前記制御手段は、前記比較の結果、前記実売価格と前記表示価格と一致しない場合には、警告出力を制御し、一致する場合には前記表示データの媒体出力機器への出力を制御する、付記[1]記載のデータ処理装置。
[3]ユーザ端末とデータ通信を行う通信手段、さらに具備し、前記検出手段は、前記通信手段による前記ユーザ端末とのデータ通信により前記表示データを検出し、前記制御手段は、前記比較の結果、前記実売価格と前記表示価格と一致しない場合に前記通信手段によるデータ通信により前記ユーザ端末に警告を出力させる、付記[2]記載のデータ処理装置。
[4]前記警告に対して表示データの出力を許可するか否かの指示を前記通信手段による前記ユーザ端末とのデータ通信により受け付ける受付手段と、前記受付手段により前記表示データの出力を許可する指示を受け付けたことを条件に前記表示データを前記媒体出力機器へと出力する出力手段と、をさらに具備する付記[3]記載のデータ処理装置。
[5]前記受付手段により前記表示データの出力を許可する指示を受け付けた場合に、前記表示データの表示価格を前記取得手段により取得した実売価格に修正する修正手段、
をさらに具備し、前記出力手段は、前記修正手段により前記表示価格が修正された前記表示データを前記媒体出力機器へと出力する、付記[4]記載のデータ処理装置。
[6]前記表示データは、表示を行う日付を含み、前記取得手段は、前記検出手段により検出された前記表示データに含まれる前記識別情報で識別される商品の前記日付における実売価格を取得する、付記[1]乃至[5]のうちいずれか一項記載のデータ処理装置。
[7]媒体出力機器に接続されたコンピュータを、商品の識別情報とその商品の売価として媒体に表示される表示価格とを含む表示データを検出する検出手段、前記検出手段により検出された前記表示データに含まれる前記識別情報で識別される商品の実売価格を取得する取得手段、前記取得手段により取得された実売価格が前記検出手段により検出された前記表示データに含まれる前記表示価格と一致するか比較する比較手段、前記比較手段による比較の結果に応じて出力を制御する制御手段、として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0102】
10…POPサーバ、11…プロセッサ、12…メインメモリ、13…補助記憶デバイス、14…時計、15…通信インターフェース、16…システム伝送路、20…店舗サーバ、21…価格マスタ、30…広告出力装置、40…アクセスポイント、50…ネットワーク、60…ユーザ端末、61…プロセッサ、62…メインメモリ、63…補助記憶デバイス、64…無線ユニット、65…タッチパネル、66…スピーカ、67…システム伝送路、71…POP作成プログラム、72…POP出力要求プログラム、81…POP作成支援プログラム、82…POP出力支援プログラム、83…POPファイル、100…POP広告作成システム。