(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】振れ補正機構付きレーザポインタおよびその揺れ抑制制御方法
(51)【国際特許分類】
G02B 27/20 20060101AFI20220117BHJP
G09B 19/00 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
G02B27/20
G09B19/00 F
(21)【出願番号】P 2018033357
(22)【出願日】2018-02-27
【審査請求日】2021-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101465
【氏名又は名称】青山 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100104204
【氏名又は名称】峯岸 武司
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
(72)【発明者】
【氏名】五明 正人
(72)【発明者】
【氏名】小松 亮二
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0286041(US,A1)
【文献】特開2000-039640(JP,A)
【文献】特開平11-109431(JP,A)
【文献】特開平11-052445(JP,A)
【文献】特開平05-244480(JP,A)
【文献】特開2007-310084(JP,A)
【文献】特開2007-193155(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0015128(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108174079(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/20
G09B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光線を出射するレーザ光出射体と、前記レーザ光出射体を収容する筐体と、前記筐体に生じる揺れを検出する揺れ検出センサと、前記レーザ光出射体から出射されるレーザ光線の方向を変更する振れ補正機構と、前記振れ補正機構によって変更されるレーザ光線の方向を前記揺れ検出センサによって検出される揺れを相殺する方向に制御する制御部とを備えて構成される振れ補正
機構付きレーザポインタにおいて、
前記制御部は、前記揺れ検出センサによって検出される揺れの周波数を算出する揺れ周波数算出手段と、前記揺れ検出センサによって検出される揺れの移動量を算出する揺れ移動量算出手段と、前記揺れ周波数算出手段によって算出される揺れの周波数と前記揺れ移動量算出手段によって算出される揺れの移動量とに基づいて手振れに起因して前記筐体に加わる揺れを判別する手振れ判別手段と、前記揺れ検出センサによって検出される揺れが前記手振れ判別手段によって手振れに起因する揺れと判別される場合に前記振れ補正機構を作動させる振れ補正機構駆動手段とから構成され
、
前記手振れ判別手段は、前記揺れ周波数算出手段によって算出される揺れの周波数を基準周波数と比較する周波数比較手段と、前記揺れ移動量算出手段によって算出される揺れの移動量を基準移動量と比較する移動量比較手段と、前記揺れ周波数算出手段によって算出される揺れの周波数が前記基準周波数より高く、かつ、前記揺れ移動量算出手段によって算出される揺れの移動量が前記基準移動量より小さい場合に、前記揺れ検出センサによって検出される揺れが手振れに起因して生じる揺れと判別する判別手段とから構成され、
前記基準周波数および前記基準移動量の各値を任意の値に設定する基準値設定手段を備えることを特徴とする振れ補正機構付きレーザポインタ。
【請求項2】
レーザ光線を出射するレーザ光出射体を収容する筐体に生じる揺れを揺れ検出センサによって検出する検出工程と、前記レーザ光出射体から出射されるレーザ光線の方向を、前記検出工程において検出される揺れを相殺する方向に振れ補正機構によって制御する制御工程とを備える振れ補正機構付きレーザポインタの揺れ抑制制御方法において、
前記制御工程は、前記揺れ検出センサによって検出される揺れの周波数および揺れの移動量を算出する算出工程と、前記算出工程において算出される揺れの周波数と揺れの移動量とに基づいて前記筐体に加わる揺れが手振れに起因するものであるか否かを判別する判別工程と、前記揺れ検出センサによって検出される揺れが手振れに起因する揺れであると前記判別工程において判別される場合に前記振れ補正機構を作動させる駆動工程とから構成され
、
前記判別工程は、基準値設定手段に設定される基準周波数および基準移動量の各値を入力する基準値入力工程と、前記算出工程において算出される揺れの周波数を前記基準周波数、揺れの移動量を前記基準移動量と比較する比較工程と、前記比較工程において、揺れの周波数が前記基準周波数より高く、かつ、揺れの移動量が前記基準移動量より小さい比較結果となる場合に、前記揺れ検出センサによって検出される揺れが手振れに起因して生じる揺れと判別する識別工程とから構成されることを特徴とする振れ補正機構付きレーザポインタの揺れ抑制制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光出射体から出射されるレーザ光線に手振れに起因して生じる揺れを抑制する機能を備える振れ補正構付きレーザポインタ、および、その揺れを抑制制御する揺れ抑制制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の振れ補正機構付きレーザポインタとしては、例えば、特許文献1に開示されたものがある。このレーザポインタは、レーザ発光部の光を受光して、Z軸方向の光軸を、X軸およびY軸方向に可変して出射する光方向可変部を備え、X軸およびY軸方向の回転角速度dθx、dθyをレートセンサによって検出する。そして、その回転角速度dθx、dθyを積分器で積分して、X軸およびY軸方向の回転角信号θx、θyを出力する。レーザポインタの振動周波数が比較的高い動きは意図によらない揺れであり、振動周波数がかなり低い動きは意図的な指示点変更である。このため、制御部は、低周波成分がハイパスフィルタによってカットされた回転角信号θx、θyを入力し、X軸およびY軸方向に-θx、-θyの角度だけ光の方向を変える。
【0003】
また、従来、特許文献2に開示されたものもある。このレーザポインタは、筐体に対して光源もしくは投影光学系の少なくとも一部を移動させることによりブレを補正する防振機構部であるアクチュエータと、角度センサから出力される信号に基づいてアクチュエータの移動を制御する制御部とを備える。制御部へは、角速度センサから出力される信号のうち、所定の周波数帯域の信号のみを通過させるフィルタ部を有する。フィルタ部は、角速度センサから出力される信号のうち、特定の周数波成分を有する信号は、手振れではなく支持者が意図的にレーザポインタを比較的ゆっくり動かしているものとして除去し、手振れ補正を働かせないようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-27999号公報
【文献】特開2011-221341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の特許文献1および特許文献2に開示されたいずれのレーザポインタにおいても、レーザポインタに加わる揺れのうち、特定の振動周波数の揺れを意図的なレーザポインタの指示点変更による揺れと捉え、フィルタによってこの特定の振動周波数の揺れを除去して、手振れ補正を行っている。しかしながら、特定の振動周波数の揺れであっても、必ずしも意図的なレーザポインタの指示点変更に限らず、従来のレーザポインタにおける手振れ補正は、手振れに起因する揺れを適切に除去するものとはいえない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、レーザ光線を出射するレーザ光出射体と、レーザ光出射体を収容する筐体と、筐体に生じる揺れを検出する揺れ検出センサと、レーザ光出射体から出射されるレーザ光線の方向を変更する振れ補正機構と、振れ補正機構によって変更されるレーザ光線の方向を揺れ検出センサによって検出される揺れを相殺する方向に制御する制御部とを備えて構成される振れ補正機構付きレーザポインタにおいて、制御部が、揺れ検出センサによって検出される揺れの周波数を算出する揺れ周波数算出手段と、揺れ検出センサによって検出される揺れの移動量を算出する揺れ移動量算出手段と、揺れ周波数算出手段によって算出される揺れの周波数と揺れ移動量算出手段によって算出される揺れの移動量とに基づいて手振れに起因して筐体に加わる揺れを判別する手振れ判別手段と、揺れ検出センサによって検出される揺れが手振れ判別手段によって手振れに起因する揺れと判別される場合に振れ補正機構を作動させる振れ補正機構駆動手段とから構成され、手振れ判別手段が、揺れ周波数算出手段によって算出される揺れの周波数を基準周波数と比較する周波数比較手段と、揺れ移動量算出手段によって算出される揺れの移動量を基準移動量と比較する移動量比較手段と、揺れ周波数算出手段によって算出される揺れの周波数が基準周波数より高く、かつ、揺れ移動量算出手段によって算出される揺れの移動量が基準移動量より小さい場合に、揺れ検出センサによって検出される揺れが手振れに起因して生じる揺れと判別する判別手段とから構成され、基準周波数および基準移動量の各値を任意の値に設定する基準値設定手段を備えることを特徴とする。
【0007】
また、レーザ光線を出射するレーザ光出射体を収容する筐体に生じる揺れを揺れ検出センサによって検出する検出工程と、レーザ光出射体から出射されるレーザ光線の方向を、検出工程において検出される揺れを相殺する方向に振れ補正機構によって制御する制御工程とを備える振れ補正機構付きレーザポインタの揺れ抑制制御方法において、制御工程が、揺れ検出センサによって検出される揺れの周波数および揺れの移動量を算出する算出工程と、算出工程において算出される揺れの周波数と揺れの移動量とに基づいて筐体に加わる揺れが手振れに起因するものであるか否かを判別する判別工程と、揺れ検出センサによって検出される揺れが手振れに起因する揺れであると判別工程において判別される場合に振れ補正機構を作動させる駆動工程とから構成され、判別工程が、基準値設定手段に設定される基準周波数および基準移動量の各値を入力する基準値入力工程と、算出工程において算出される揺れの周波数を基準周波数、揺れの移動量を基準移動量と比較する比較工程と、比較工程において、揺れの周波数が基準周波数より高く、かつ、揺れの移動量が基準移動量より小さい比較結果となる場合に、揺れ検出センサによって検出される揺れが手振れに起因して生じる揺れと判別する識別工程とから構成されることを特徴とする。
【0008】
これら本構成によれば、揺れ検出センサによって検出されるレーザ光出射体を収容する筐体に生じる揺れは、揺れの周波数と揺れの移動量とに基づいて、手振れに起因するものであるか否かが判別される。そして、手振れに起因する揺れであると判別される場合に、振れ補正機構が作動させられて、手振れ補正が行われる。したがって、レーザ光出射体を収容する筐体に生じる揺れは、揺れの周波数に加えて揺れの移動量が参照されて、手振れに起因するものであるか否かが判別される。このため、特定の振動周波数の揺れであっても、揺れの移動量が大きいものは意図的な指示点変更による揺れ、揺れの移動量が小さいものはレーザポインタを持つ者の手の震えによるものと判断され、手振れに起因する揺れが適切に除去されるようになる。
【0011】
これら本構成によれば、揺れ検出センサによって検出されるレーザ光出射体を収容する筐体に生じる揺れの周波数が基準周波数より高く、かつ、この揺れの移動量が基準移動量より小さい比較結果となる場合に、揺れ検出センサによって検出される揺れが手振れに起因して生じる揺れと判別される。したがって、揺れの周波数および揺れの移動量はそれぞれの基準値と単に比較されることで、揺れの周波数の高低および揺れの移動量の大小が判別される。このため、振れ補正構付きレーザポインタにおける手振れ判別手段は従来のフィルタを用いる構成と比較して簡略化され、また、レーザポインタの揺れ抑制制御方法における判別工程は簡潔に迅速に行える。
【0014】
これら本構成によれば、レーザポインタを使用する者の個性に応じて、揺れの周波数の高低および揺れの移動量の大小を判別する基準値が適切に調整される。このため、レーザポインタを使用する者の個性に応じた振れ補正構付きレーザポインタおよびその揺れ抑制制御方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、手振れに起因する揺れが適切に除去される振れ補正構付きレーザポインタおよびその揺れ抑制制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態による振れ補正機構付きレーザポインタの外観斜視図である。
【
図2】(a)は、一実施形態による振れ補正機構付きレーザポインタの正面図、(b)は側面図である。
【
図3】一実施形態による振れ補正機構付きレーザポインタの断面図である。
【
図4】一実施形態による振れ補正機構付きレーザポインタを一方向から見た分解斜視図である。
【
図5】一実施形態による振れ補正機構付きレーザポインタを他方向から見た分解斜視図である。
【
図6】(a)は一実施形態による振れ補正機構付きレーザポインタを構成する可動体の斜視図、(b)は(a)に示す状態から取付調整部材を取り外した状態における可動体の斜視図である。
【
図7】(a)は一実施形態による振れ補正機構付きレーザポインタの全体構成の概略を示すブロック構成図、(b)は(a)に示す制御部の構成を示すブロック構成図である。
【
図8】本発明の一実施形態による振れ補正機構付きレーザポインタの揺れ抑制制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明による振れ補正機構付きレーザポインタおよびその揺れ抑制制御方法を実施するための形態について説明する。
【0018】
(全体構成)
図1は、本発明の一実施形態による振れ補正機構付きレーザポインタ1の外観斜視図、
図2(a)は正面図、
図2(b)は側面図、
図3は
図2(b)に示すA-A線に沿って破断して矢視方向から見た断面図である。また、
図4は、レーザ光線の被照射側から見た分解斜視図、
図5はレーザ光線の照射側から見た分解斜視図である。
【0019】
本明細書において、同一または相当する部分には同一符号を付して説明する。また、各図に示すXYZの3軸は互いに直交する方向であり、X軸方向の一方側を+X、他方側を-Xで示し、Y軸方向の一方側を+Y、他方側を-Yで示し、Z軸方向の一方側を+Z、他方側を-Zで示す。Z軸方向は、レーザポインタ1の後述する可動体3が揺動していない状態で、可動体3に収納されるレーザモジュール5から出射されるレーザ光線の光軸Lに沿う方向である。また、+Z方向が光軸L方向の被照射側、-Z方向が光軸L方向の照射側である。
【0020】
レーザポインタ1は、筐体1aに振れ補正アクチュエータ1bを収容して構成される。振れ補正アクチュエータ1bは、筒状ケース2a、前面ケース2b、および背面ケース2cから構成される固定体2を備える。筒状ケース2aは略8角形の外形をしており、磁性材料から形成されている。前面ケース2bは、この筒状ケース2aに対して+Z方向の側(被照射側)から組み付けられ、背面ケース2cは、筒状ケース2aに対して-Z方向の側(照射側)から組み付けられる。前面ケース2bおよび背面ケース2cは樹脂材料から形成されている。
【0021】
固定体2の内部には、可動体3が環状をした可動枠12に後述するように支持されて内蔵されている。可動体3は、ホルダ4の-Z側に取り付けられるスペーサ11を取り外した状態が
図6(a)の外観斜視図に示される。ホルダ4は樹脂によって形成され、略四角形状をした底板部4bの中央に中空円筒状をした筒部4aがZ軸を中心軸にして立設されている。ホルダ4の中央部に形成された筒部4aの内周には、レーザモジュール5が取付調整部材6を介して収納されている。本実施形態では取付調整部材6は金属によって形成される。筒部4aは、固定体2の一面にある前面ケース2bに形成された窓2b1に対峙して配置される収納部を構成する。レーザモジュール5は円柱状をしており、その-Z側の端部からは2本のリード線5a,5bが引き出されている。レーザモジュール5はレーザ光出射体を構成し、リード線5a,5b間に所定の電圧が印加されると、その+Z側の端部からレーザ光線Bを出射する。
【0022】
(レーザ光出射体の取付構造)
図6(b)は
図6(a)に示す状態の可動体3から取付調整部材6を外した状態の斜視図である。同図に示すように、取付調整部材6は中空部を有する円柱状をしており、中空部におけるその内周6aの直径はレーザモジュール5の外周5cが嵌まる寸法、その外周6bの直径は筒部4aの内周4a1に嵌まる寸法に設定されている。
【0023】
本実施形態においては、取付調整部材6の内周6aとレーザモジュール5の外周5cとの間は接着剤によって固定され、取付調整部材6とレーザモジュール5とが一体に固定されている。また、取付調整部材6の外周6bには雄ネジが刻まれ、取付調整部材6の外周6bを囲む筒部4aの内周4a1には雌ネジが刻まれている。取付調整部材6はその雄ネジが筒部4aの内周4a1の雌ネジに締結されて、レーザモジュール5と共に可動体3に取り付けられる。取付調整部材6の外周6bに刻まれる雄ネジと、筒部4aの内周4a1に刻まれる雌ネジとは、取付調整部材6の外周6bおよびこれを囲む筒部4aの内周4a1に形成される、光軸L方向における取付調整部材6の取付位置を可変する第1移動機構を構成する。
【0024】
筒部4aの中心軸は、取付調整部材6によって筒部4aに保持されるレーザモジュール5から出射されるレーザ光線Bの光軸Lに一致する。取付調整部材6は、レーザモジュール5の側周囲を覆ってレーザモジュール5と共に筒部4aに収納されて、窓2b1を介してレーザモジュール5からレーザ光線Bを光軸L方向に出射させる。また、筒部4aの+Z側の端部には、光軸L方向における可動体3の重心位置を調整するウエイト7が接着剤によって固定されている。
【0025】
(可動体駆動機構)
ホルダ4の底板部4bのX軸方向およびY軸方向の各両側には、壁部4cが4箇所に+Z方向に向かって立設されている。4箇所の各壁部4cの外周側にはそれぞれ揺動駆動用コイル8が取り付けられている。また、筒状ケース2aのX軸方向に対向する両内壁およびY軸方向に対向する両内壁には、各揺動駆動用コイル8に対向して揺動駆動用マグネット9がそれぞれ取り付けられている。また、可動体3には、筐体1aを介して固定体2に加わる揺れの量を検出する図示しないジャイロスコープやホールセンサ等が揺れ検出センサとして設けられている。揺動駆動用コイル8および揺動駆動用マグネット9は、X軸方向およびY軸方向の2方向における可動体3の外周囲、および当該外周囲に対向する固定体2の内周囲に設けられ、後述する第1軸線R1および第2軸線R2の2方向の周りに可動体3を駆動して、ジャイロスコープ等によって検出される量の揺れを相殺する可動体駆動機構を構成する。
【0026】
本実施形態では、揺動駆動用マグネット9は、揺動駆動用コイル8の側に位置する内面側とその反対側の外面側とで異なる磁極に着磁されている。また、揺動駆動用マグネット9は、光軸L方向において2つに分割されており、揺動駆動用コイル8の側に位置する内面側の磁極が+Z側と-Z側とで異なる磁極に着磁されている。したがって、揺動駆動用マグネット9が揺動駆動用コイル8に及ぼす磁界の作用により、揺動駆動用コイル8の各長辺に流れる電流にはフレミングの左手の法則にしたがう同じ方向の力が作用し、揺動駆動用コイル8の各短辺に流れる電流には互いに逆向きの力が作用して相殺される。このため、揺動駆動用コイル8の各長辺が可動体3に揺動トルクを与える有効辺として利用されて、振れ補正が行われる。
【0027】
なお、可動体駆動機構は、揺動駆動用コイル8を筒状ケース2aの側に、揺動駆動用マグネット9をホルダ4の側に設けるように構成してもよい。また、ジャイロスコープは可動体2ではなく、固定体2または筐体1aに設けられていてもよく、かかるジャイロスコープによって固定体2または筐体1aに加わる揺れの量を検出し、可動体3に搭載されるホール素子によって可動体3の揺れの量を検出するように構成してもよい。
【0028】
ホルダ4の底板部4bの-Z側の底面には、フレシキブル配線基板10の矩形枠部分10aが底板部4bの底面外縁に沿って接して設けられている。矩形枠部分10aからは帯状の引き回し部10bが引き出されている。矩形枠部分10aに+Z方向に突出する第1立設部分10a1(
図4,
図5参照)には、Y軸周りの揺れの量を検出するホール素子や温度の変化量を検出するサーミスタが接続され、矩形枠部分10aに+Z方向に突出する第2立設部分10a2(
図4,
図5参照)には、X軸周りの揺れの量を検出するホール素子が接続される。引き回し部10bはスペーサ11の底板11aの上面および下面に沿ってU字状に曲げられ、レーザモジュール5のリード線5a,5bと共に-Z方向に背面カバー2cから引き出されて、図示しない制御基板に接続される。4つの揺動駆動用コイル8へは制御基板からフレシキブル配線基板10を介して駆動電流が供給され、ジャイロスコープ等によって検出される揺れを相殺するように、可動体3が後述する第1軸線R1および第2軸線R2の2方向の周りに駆動される。レーザモジュール5へは、後述する電源スイッチ23の操作に応じて、制御基板からリード線5a,5bを介してレーザ発振の制御信号が出力される。
【0029】
(可動体支持機構)
固定体2と可動体3との間には、レーザモジュール5から出射されるレーザ光線Bの光軸L方向に交差する第1軸線R1および第2軸線R2(
図4,
図5参照)の2方向の周りに、可動体3を固定体2に対して揺動自在に支持するジンバル機構が、可動体支持機構として構成されている。第1軸線R1は、レーザモジュール5から出射されるレーザ光線の光軸L方向であるZ軸方向と直交し、第2軸線R2はZ軸方向および第1軸線R1の双方に直交する。しかも、第1軸線R1および第2軸線R2はそれぞれX軸方向およびY軸方向に対して45度傾く。上記の可動体駆動機構および可動体支持機構は、ジャイロスコープ等によって検出される揺れを相殺する方向にレーザモジュール5から出射されるレーザ光線Bの方向を変更する振れ補正機構17(
図7(a)参照)を構成し、後述する制御部22によってその挙動が制御される。
【0030】
可動体支持機構は、可動体3の外周囲を囲む環状の可動枠12を固定体2との間に備える。本実施形態では、可動枠12は、光軸L方向における可動体3の重心位置と一致する箇所で
図3に示すように筒部4aのやや-Z側の外周囲を囲み、可動体3の重心位置と可動体支持機構による可動体3の揺動支持中心位置とが光軸L方向において一致して配置されている。可動枠12は、光軸Lの周りに第1角部12a、第2角部12b、第3角部12cおよび第4角部12d(
図4,
図5参照)を有し、第1角部12aおよび第3角部12cは第1軸線R1方向で離間する。第2角部12bおよび第4角部12dは第2軸線R2方向で離間する。可動枠12の第1角部12aおよび第3角部12cは次述する2箇所の固定体側揺動支持部によって固定体2に揺動自在に支持され、可動枠12の第2角部12bおよび第4角部12dは次述する2箇所の可動体側揺動支持部によって可動体3を揺動自在に支持する。
【0031】
固定体側揺動支持部は、可動枠12の第1角部12aおよび第3角部12cと固定体2との間のそれぞれに、可動枠12および固定体2のうちの一方に設けられる突部と、他方に設けられる、突部の先端側を受ける凹状の受け部とから構成される。本実施形態では、可動枠12の第1角部12aおよび第3角部12cに溶接された金属製の球体13によって突部が構成される。また、第1軸線R1方向に離間する一対の板状バネ14は、互いに対向する面に半球状の窪み14aが形成されており、窪み14aは凹状の受け部を構成する。これら板状バネ14は、前面カバー2bの背面に第1軸線R1方向に離間して-Z方向に突出する支持板部2b2の、互いに対向して形成される囲みに収められて取り付けられる。板状バネ14の各窪み14aには、第1角部12aおよび第3角部12cにおいて可動枠12の周方向外側に突出する球体13の先端側が受けられる。
【0032】
可動体側揺動支持部は、可動枠12の第2角部12bおよび第4角部12dと可動体3との間のそれぞれに、可動枠12および可動体3のうちの一方に設けられる突部と、他方に設けられる、突部の先端側を受ける凹状の受け部とから構成される。本実施形態では、可動枠12の第2角部12bおよび第4角部12dに溶接された金属製の球体13によって突部が構成される。また、第2軸線R2方向に離間する一対の板状バネ15は、互いに対向する面に半球状の窪み15aが形成されており、窪み15aは凹状の受け部を構成する。これら板状バネ15は、筒部4aを挟む第2軸線R2方向に離間する位置に、ホルダ4の隣接する一対の壁部4cと底板部4bに3方が囲まれて形成される差し込み部4d(
図4,
図6参照)に収められて、取り付けられる。板状バネ15の各窪み15aには、第2角部12bおよび第4角部12dにおいて可動枠12の周方向外側に突出する球体13の先端側が受けられる。
【0033】
したがって、可動枠12は、第1軸線R1の方向で離間するその第1角部12aおよび第3角部12cが固定体2に対して第1軸線R1の周りに揺動自在に支持され、第2軸線方向で離間するその第2角部12bおよび第4角部12dにおいて可動体3を第2軸線R2の周りに揺動自在に支持する。また、可動体3は、可動枠12の第1角部12aおよび第3角部12cと固定体2との間のそれぞれに突部と受け部とにより構成される固定体側揺動支持部によって、第1軸線R1の周りに揺動自在に支持される。また、可動体3は、第2角部12bおよび第4角部12dと可動体3との間のそれぞれに突部と受け部とにより構成される可動体側揺動支持部によって、第2軸線R2の周りに揺動自在に支持される。この結果、可動体3は可動枠12を介して固定体2に対して第1軸線R1の周りおよび第2軸線R2の周りに揺動自在に支持される。
【0034】
また、前面カバー2bの各支持板部2b2に取り付けられる一対の板状バネ14は第1軸線R1方向に、ホルダ4の差し込み部4dに取り付けられる一対の板状バネ15は第2軸線R2方向に弾性変形可能である。また、スペーサ11の底板11aを+Z側で挟むY軸方向の両端には、一対の脚部11b(
図4,
図5参照)が互いに対向して形成されている。各脚部11bの上端は、
図3に示すように、ホルダ4の底板部4bの底面に-Z側へ突出する突部4eに当接して、固定される。
【0035】
(制御部の構成)
図7(a)は、上記のレーザポインタ1の全体構成の概略を示すブロック構成図である。
【0036】
固定体2の内部には、レーザモジュール5、揺れ検出センサ16、および、上述した可動体駆動機構および可動体支持機構から構成される振れ補正機構17が収容されている。固定体2の背面ケース2cには-Z側から第2固定体21が取り付けられる。フレキシブル配線基板10の引き回し部10bおよびレーザモジュール5のリード線5a,5bは、固定体2の背面ケース2c側から引き出されてこの第2固定体21に引き込まれ、第2固定体21に内蔵される前述した制御基板に接続される。この制御基板には制御部22が電子回路として構成されている。制御部22には、揺れ検出センサ16によって検出される揺れ信号s1が入力され、制御部22は、揺れ信号s1を入力すると制御信号s2を振れ補正機構17へ出力する。振れ補正機構17は、この制御信号s2に応じ、レーザモジュール5から出射されるレーザ光線Bの方向を、揺れ検出センサ16によって検出される揺れを相殺する方向に変更する。ここで、第2固定体21がなくてもよく、筐体21に直接制御基板が設置されてもよい。
【0037】
また、筐体1aの外側面には、レーザポインタ1の使用者によって操作される電源スイッチ23および基準値設定スイッチ24が設けられている。電源スイッチ23からは制御部22へスイッチ信号s3、基準値設定スイッチ24からは制御部22へ設定値信号s4が出力される。電源スイッチ23から出力されるスイッチ信号s3がオン操作信号である場合、制御部22へ動作電源が供給され、制御部22はレーザモジュール5へ動作信号s5を出力する。レーザモジュール5はこの動作信号s5を受けると、レーザ光線Bを出射する。また、スイッチ信号s3がオフ操作信号である場合、制御部22への動作電源供給が停止させられる。この場合、レーザモジュール5へ出力される動作信号s5が停止し、レーザモジュール5はレーザ光線Bの出射を止める。また、制御部22は、基準値設定スイッチ24から入力される設定値信号s4に応じ、次述する周波数比較手段41で用いられる揺れ周波数fの基準周波数値f0、および、次述する移動量比較手段42で用いられる揺れ移動量mの基準移動量値m0を設定する。
【0038】
図7(b)は制御部22の内部構成を示すブロック構成図である。
【0039】
制御部22は、揺れ周波数算出手段31、揺れ移動量算出手段32、手振れ判別手段33および振れ補正機構駆動手段34から構成される。本実施形態では、手振れ判別手段33は、周波数比較手段41、移動量比較手段42および識別手段43から構成される。これら各手段は、制御基板に実装されるマイクロコンピュータのソフトウエア演算処理によって構成され、あるいは、電子回路のハードウエアによって、あるいは、ソフトウエアとハードウエアとの組み合わせによって構成される。
【0040】
揺れ周波数算出手段31および揺れ移動量算出手段32には、揺れ検出センサ16によって検出される揺れ信号s1がそれぞれ入力される。揺れ周波数算出手段31は、揺れ検出センサ16によって検出される揺れの周波数fを揺れ信号s1に基づいて算出し、揺れ移動量算出手段32は、揺れ検出センサ16によって検出される揺れの移動量mを揺れ信号s1に基づいて算出する。この揺れの移動量mはレーザモジュール5から出射されるレーザ光線Bの傾きθ(
図7(a)参照)に影響を与え、揺れの移動量mが小さいときにはレーザ光線Bの傾きθも小さく、揺れの移動量mが大きいときにはレーザ光線Bの傾きθも大きくなる。
【0041】
手振れ判別手段33は、揺れ周波数算出手段31によって算出される揺れの周波数fと、揺れ移動量算出手段32によって算出される揺れの移動量mとに基づいて、手振れに起因して筐体1aを介して固定体2に加わる揺れを判別する。この判別は、本実施形態では、揺れ周波数算出手段31によって算出される揺れの周波数fが周波数比較手段41において基準周波数f0と比較され、揺れ移動量算出手段32によって算出される揺れの移動量mが移動量比較手段42において基準移動量m0と比較されることで、行われる。揺れの周波数fの比較結果は、周波数比較手段41から識別手段43へ比較結果信号s6として、揺れの移動量mの比較結果は、移動量比較手段42から識別手段43へ比較結果信号s7として、識別手段43へ出力される。
【0042】
識別手段43は、揺れ周波数算出手段31によって算出される揺れの周波数fが基準周波数f0より高く、かつ、揺れ移動量算出手段32によって算出される揺れの移動量mが基準移動量m0より小さい場合に、揺れ検出センサ16によって検出される揺れが手振れに起因して生じる揺れと判別し、振れ補正機構駆動手段34へ制御信号s8を出力する。すなわち、本実施形態では、レーザポインタ1を持つ使用者の手に生じる震えによって固定体2に加わる揺れは、周波数fが基準周波数f0より高く、かつ、移動量mが基準移動量m0より小さいものと捉え、このような周波数fおよび移動量mの特性を持つ揺れを排除すべく、振れ補正を行う。振れ補正機構駆動手段34は、制御信号s8を入力すると、その制御信号s8に示されるX軸周りの変位角θxおよびY軸周りの変位角θyの分、可動体3がX軸およびY軸の各周りを回るように各揺動駆動用コイル8へ駆動電流を制御信号s2として出力し、可動体3を第1軸線R1周りおよび第2軸線R2周りに揺動させる。
【0043】
また、識別手段43には、電源スイッチ23から出力されるスイッチ信号s3が与えられ、識別手段43はスイッチ信号s3がオン操作信号である場合にレーザモジュール5へ制御信号s5を出力する。また、スイッチ信号s3がオフ操作信号である場合にレーザモジュール5への制御信号s5の出力を停止する。
【0044】
(揺れ抑制制御方法)
図8は、制御部22によって行われるレーザポインタ1の揺れ抑制制御方法を示すフローチャートである。
【0045】
制御部22は電源スイッチ23を監視しており、電源スイッチ23がオン操作されたか否かを判別している(
図8、ステップ101参照)。電源スイッチ23がオン操作され、ステップ101の判別結果がYesになると、制御部22には、揺れ検出センサ16から出力される揺れ信号s1が入力され、レーザ光線Bを出射するレーザモジュール53を収容する固定体2に生じる揺れを検出する(ステップ102参照)。そして、揺れ検出センサ16によって検出される揺れの周波数fおよび揺れの移動量mを揺れ周波数算出手段31および揺れ移動量算出手段32によって算出する。次に、制御部22は、基準値設定スイッチ24によって設定される、揺れの周波数fの基準周波数f0および揺れの移動量mの基準移動量m0を基準値として読み込む(ステップ103参照)。
【0046】
次に、制御部22は、揺れ周波数算出手段31によって算出される揺れの周波数fを周波数比較手段41によって基準周波数f0と比較し、揺れの周波数fが基準周波数f0よりも大きいか否かを判別する(ステップ104参照)。揺れの周波数fが基準周波数f0よりも小さく、ステップ104の判別結果がNoである場合には、揺れ検出センサ16によって検出される揺れの角速度が小さい。この場合、レーザポインタ1の使用者によってレーザ光線Bの方向が意図的にゆっくりと変更され、対象物に形成される光点が意図的にゆっくりと移動したものと判断し、制御部22は、振れ補正機構17による振れ補正は行わず、振れ補正をOFFとする(ステップ105参照)。
【0047】
また、揺れの周波数fが基準周波数f0よりも大きく、ステップ104の判別結果がYesである場合には、揺れ検出センサ16によって検出される揺れの角速度が大きく、使用者の指先が意図に反して震えている可能性がある。この場合、制御部22は、次に、揺れ移動量算出手段32によって算出される揺れの移動量mを移動量比較手段42によって基準移動量m0と比較し、揺れの移動量mが基準移動量m0よりも小さいか否かを判別する(ステップ106参照)。揺れの移動量mが基準移動量m0よりも大きく、ステップ106の判別結果がNoである場合には、レーザポインタ1の使用者によってレーザ光線Bの方向が意図的に大きく変更され、対象物に形成される光点が意図的に大きく移動したものと判断する。この場合、制御部22は、振れ補正機構17による振れ補正は行わず、振れ補正をOFFとする(ステップ107参照)。
【0048】
また、揺れの移動量mが基準移動量m0よりも小さく、ステップ106の判別結果がYesである場合には、制御部22は、使用者の指先が意図に反して速く細かく震えているものと判断し、揺れ検出センサ16によって検出される揺れが手振れに起因する揺れであると判別する。この場合、制御部22は、振れ補正の作動をONとし、振れ補正機構17に振れ補正を行わせる(ステップ108参照)。したがって、レーザモジュール5から出射されるレーザ光線Bの方向が、揺れ検出センサ16によって検出される揺れを相殺する方向に制御される。
【0049】
ステップ105、ステップ107またはステップ108の処理を行った後、制御部22は、次に、電源スイッチ23がオフ操作されたか否かを判別する(ステップ109参照)。電源スイッチ23がオフ操作されず、ステップ109の判別結果がNoである場合には、ステップ102の処理に戻り、制御部22は上述した処理を繰り返す。また、電源スイッチ23がオフ操作され、ステップ109の判別結果がYesである場合には、制御部22は揺れ抑制制御処理を終了する。
【0050】
(作用効果)
このような本実施形態による振れ補正機構付きレーザポインタ1およびその揺れ抑制制御方法によれば、揺れ検出センサ16によって検出されるレーザモジュール5を収容する固定体2に筐体1aを介して生じる揺れは、揺れの周波数fと揺れの移動量mとに基づいて、上述のように、手振れに起因するものであるか否かが判別される。そして、手振れに起因する揺れであると判別される場合に、振れ補正機構17が作動させられて、手振れ補正が行われる。したがって、レーザモジュール5を収容する固定体2に生じる揺れは、揺れの周波数fに加えて揺れの移動量mが参照されて、手振れに起因するものであるか否かが手振れ判別手段33(
図7(b)参照)によって判別される。このため、
図8、ステップ104の処理によって特定の振動周波数fの揺れが固定体2に生じていると判断されても、ステップ106の処理により、揺れの移動量mが大きいものは意図的な指示点変更による揺れ、揺れの移動量mが小さいものはレーザポインタ1を持つ者の手の震えによるものと判断され、手振れに起因する揺れが適切に除去されるようになる。
【0051】
また、本実施形態による振れ補正機構付きレーザポインタ1およびその揺れ抑制制御方法によれば、揺れ検出センサ16によって検出されるレーザモジュール5を収容する固定体2に生じる揺れの周波数fが基準周波数f0より高く、かつ、この揺れの移動量mが基準移動量m0より小さい比較結果となる場合に、揺れ検出センサ16によって検出される揺れが手振れに起因して生じる揺れと、手振れ判別手段33によって判別される。したがって、揺れの周波数fおよび揺れの移動量mはそれぞれの基準値と単に比較されることで、揺れの周波数fの高低および揺れの移動量mの大小が判別される。このため、振れ補正構付きレーザポインタ1における手振れ判別手段33は、従来のフィルタを用いる構成と比較して簡略化される。また、レーザポインタ1の揺れ抑制制御方法におけるステップ104およびステップ106によって構成される判別工程は、簡潔に迅速に行える。
【0052】
また、本実施形態による振れ補正機構付きレーザポインタ1は、基準周波数f0および基準移動量m0の各値を任意の値に設定する基準値設定スイッチ24を基準値設定手段として備える。また、本実施形態による振れ補正機構付きレーザポインタ1の揺れ抑制制御方法によれば、基準値設定スイッチ24に設定される基準周波数f0および基準移動量m0の各値を入力する基準値入力工程をステップ103として、ステップ104およびステップ106によって構成される比較工程の前に備える。このため、本実施形態によれば、レーザポインタ1を使用する者の個性に応じて、揺れの周波数fの高低および揺れの移動量mの大小を判別する基準値である基準周波数f0および基準移動量m0が適切に調整される。このため、レーザポインタ1を使用する者の個性に応じた振れ補正構付きレーザポインタ1およびその揺れ抑制制御方法を提供することができる。
【0053】
(変形例)
なお、上記の実施形態では、
図8、ステップ104において、揺れ周波数算出手段31によって算出される揺れの周波数fを周波数比較手段41によって基準周波数f0と比較し、揺れの周波数fが基準周波数f0よりも大きいか否かを判別してから、ステップ106において、揺れ移動量算出手段32によって算出される揺れの移動量mを移動量比較手段42によって基準移動量m0と比較し、揺れの移動量mが基準移動量m0よりも小さいか否かを判別する場合について、説明した。しかし、最初に、揺れ移動量算出手段32によって算出される揺れの移動量mを移動量比較手段42によって基準移動量m0と比較し、揺れの移動量mが基準移動量m0よりも小さいか否かを判別してから、揺れ周波数算出手段31によって算出される揺れの周波数fを周波数比較手段41によって基準周波数f0と比較し、揺れの周波数fが基準周波数f0よりも大きいか否かを判別するように構成してもよい。このような構成によっても上記実施形態と同様な作用効果が奏される。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明による振れ補正機構付きレーザポインタおよびその揺れ抑制制御方法は、スクリーン等に映し出される映像の所望箇所をレーザ光線の光点で指し示しながらプレゼンテーションを聴衆の前で行う際に有用である。レーザポインタを把持するプレゼンターの手先に生じる震えがレーザポインタに伝わっても、光点の震えが適切に抑制され、プレゼンターがプレゼンテーションに集中することが可能となる。
【0055】
また、本発明による振れ補正機構付きレーザポインタおよびその揺れ抑制制御方法は、レーザポインタに限らず、レーザ光線を対象物に照射して対象物に光点を形成する、レーザポインタと同様な構成を備えるピコプロジェクタやバーコードリーダなどにも同様に適用することができる。そして、その場合においても上記の実施形態と同様な作用効果が奏される。
【符号の説明】
【0056】
1…振れ補正機構付きレーザポインタ、1a…筐体、1b…振れ補正アクチュエータ、2…固定体、2a…筒状ケース、2b…前面ケース、2b1…窓、2c…背面ケース、2c1…上面、3…可動体、4…ホルダ、4a…筒部、4b…底板部、4c…壁部、4d…差し込み部、4e…突部、5…レーザモジュール(レーザ光出射体)、5a,5b…リード線、6…取付調整部材、6a…内周、6b…外周、7…ウエイト、8…揺動駆動用コイル、9…揺動駆動用マグネット、10…フレキシブル配線基板、11…スペーサ、11a…底板、11b…脚部、12…可動枠、12a,12b,12c,12d…角部、13…球体(突部)、14,15…板状バネ、14a,15a…窪み(受け部)、16…揺れ検出センサ、17…振れ補正機構、21…第2固定体、22…制御部、23…電源スイッチ、24…基準値設定スイッチ(基準値設定手段)、31…揺れ周波数算出手段、32…揺れ移動量算出手段、33…手振れ判別手段、34…振れ補正機構駆動手段、41…周波数比較手段、42…移動量比較手段、43…識別手段