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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】半導体デバイスの検査装置及び検査方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20220117BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20220117BHJP
   G01R 1/073 20060101ALI20220117BHJP
   G01R 31/28 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
H01L21/66 B
G01R31/26 J
G01R1/073 F
G01R31/28 K
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018043604
(22)【出願日】2018-03-09
(65)【公開番号】P2019160941
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000153018
【氏名又は名称】株式会社日本マイクロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】110003074
【氏名又は名称】特許業務法人須磨特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安田 勝男
(72)【発明者】
【氏名】古川 潤
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-103552(JP,A)
【文献】特開2013-118320(JP,A)
【文献】特開2015-035577(JP,A)
【文献】特開2015-026765(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01R 31/26-3193
G01R 1/06-073
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面電極用プローブ及び裏面電極用プローブと、それら両プローブに対して相対的に移動可能なチャックステージと、それら両プローブと電気的に接続されるテスタを有し、
(1)前記チャックステージは、
(1-1)その上面に検査対象ウエハが保持される第一ウエハチャックプレートと、その上面に前記裏面電極用プローブが接触する第一コンタクトプレートを、前記チャックステージ上であって両プレートが重ならない第一位置に、着脱自在に保持するプレート保持第一手段と、
(1-2)前記第一ウエハチャックプレートよりも小径の第二ウエハチャックプレートと、前記第一コンタクトプレートよりも小径の第二コンタクトプレートを、前記チャックステージ上であって両プレートが重ならない第二位置に、着脱自在に保持するプレート保持第二手段を備え、
(1-3)前記第一位置と前記第二位置とが、前記第一位置に保持されたときの前記第一ウエハチャックプレート及び前記第一コンタクトプレートの上面の中心をそれぞれWPc及びCPc、前記第二位置に保持されたときの前記第二ウエハチャックプレート及び前記第二コンタクトプレートの上面の中心をそれぞれWPc及びCPcとしたとき、WPcとCPcがWPcとCPcを結ぶ線分上にあり、WPcとCPc間の距離がWPcとCPc間の距離よりも短くなるように選定されており、
(2)前記表面電極用プローブは、前記第一又は第二ウエハチャックプレート上に保持される検査対象ウエハの表面電極と接触するコンタクト部を有し、
(3)前記裏面電極用プローブは、前記第一又は第二コンタクトプレートの上面と接触するコンタクト部を有し、
(4)前記第一位置又は第二位置に保持されたとき、前記第一又は第二ウエハチャックプレートの上面と、前記第一又は第二コンタクトプレートの上面とは、それぞれ電気的に導通しており、
(5)前記表面電極用プローブのコンタクト部と前記裏面電極用プローブのコンタクト部とを結ぶ直線に沿って前記チャックステージの上面と平行に配置され、前記表面電極用プローブのコンタクト部又は前記裏面電極用プローブのコンタクト部と前記テスタとの電気的接続経路の一部を構成する導電性のバーであって、前記WPcとCPc間の距離に対応する長さを有する第一インダクタンスキャンセルバーと、前記WPcとCPc間の距離に対応する長さを有し、前記第一インダクタンスキャンセルバーよりも短い第二インダクタンスキャンセルバーを備えている、
半導体デバイスの検査装置。
【請求項2】
前記プレート保持第一手段が、前記第一ウエハチャックプレート又は前記第一コンタクトプレートが前記第一位置に載置されたとき、前記第一ウエハチャックプレート又は前記第一コンタクトプレートの裏面と対向する前記チャックステージの上面領域内に開口するウエハチャックプレート第一吸引口又はコンタクトプレート第一吸引口と、前記ウエハチャックプレート第一吸引口又は前記コンタクトプレート第一吸引口に接続される吸引手段を含んでいる請求項1記載の半導体デバイスの検査装置。
【請求項3】
前記プレート保持第二手段が、前記第二ウエハチャックプレート又は前記第二コンタクトプレートが前記第二位置に載置されたとき、前記第二ウエハチャックプレート又は前記第二コンタクトプレートの裏面と対向する前記チャックステージの上面領域内に開口するウエハチャックプレート第二吸引口又はコンタクトプレート第二吸引口と、前記ウエハチャックプレート第二吸引口又は前記コンタクトプレート第二吸引口に接続される吸引手段を含んでいる請求項1又は2記載の半導体デバイスの検査装置。
【請求項4】
前記チャックステージが、その上面に、前記第一ウエハチャックプレートを前記第一位置に位置決めするための少なくとも2個の第一凸部又は第一凹部と、前記第二ウエハチャックプレートを前記第二位置に位置決めするための少なくとも2個の第二凸部又は第二凹部を備え、前記第一凸部又は第一凹部のうちの0個又は1個以上が前記第二凸部又は第二凹部と共通している請求項1~3のいずれかに記載の半導体デバイス検査装置。
【請求項5】
前記チャックステージが、その上面に、前記第一コンタクトプレートを前記第一位置に位置決めするための少なくとも2個の第一凸部又は第一凹部と、前記第二コンタクトプレートを前記第二位置に位置決めするための少なくとも2個の第二凸部又は第二凹部を備え、前記第一凸部又は第一凹部のうちの0個又は1個以上が前記第二凸部又は第二凹部と共通している請求項1~4のいずれかに記載の半導体デバイス検査装置。
【請求項6】
前記チャックステージが、その上面に、前記第一ウエハチャックプレート又は前記第二ウエハチャックプレートが前記第一位置又は第二位置に載置されたとき、前記第一ウエハチャックプレート又は前記第二ウエハチャックプレートの裏面に開口するウエハ吸着用の負圧導入口と対向する位置に開口するウエハ吸引口と、前記ウエハ吸引口に接続された吸引手段を有している請求項1~5のいずれかに記載の半導体デバイスの検査装置。
【請求項7】
前記チャックステージが、前記第一位置に保持されている前記第一ウエハチャックプレート上に存在する検査対象ウエハの裏面と接触して前記検査対象ウエハを上下動させる第一リフトピンと、前記第二位置に保持されている前記第二ウエハチャックプレート上に存在する検査対象ウエハの裏面と接触して前記検査対象ウエハを上下動させる第二リフトピンとを有している請求項1~6のいずれかに記載の半導体デバイスの検査装置。
【請求項8】
さらに、制御装置を備え、前記制御装置は、検査対象とされるウエハの径に関する情報の入力を受け付ける手段と、ウエハの径に関する情報と前記プレート保持第一手段又は前記プレート保持第二手段との対応関係、及び/又は、ウエハの径に関する情報と前記第一リフトピン又は前記第二リフトピンとの対応関係を記憶する記憶装置と、受け付けたウエハの径に関する情報と前記記憶されている対応関係に基づいて、前記プレート保持第一手段又は前記プレート保持第二手段のいずれか、及び/又は、前記第一リフトピン又は前記第二リフトピンのいずれかを、選択的に作動させる手段を有している請求項1~7のいずれかに記載の半導体デバイスの検査装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の半導体デバイスの検査装置を用いて行われる半導体デバイスの検査方法であって、
次に検査されるウエハの径を認識する工程、
認識されたウエハの径に基づいて、ウエハチャックプレート及びコンタクトプレート、並びにインダクタンスキャンセルバーの交換の要否を判断する工程、
交換が要と判断されたとき、認識されたウエハの径に基づいて、第一ウエハチャックプレート及び第一コンタクトプレート、又は第二ウエハチャックプレート及び第二コンタクトプレートをチャックステージ上の第一位置又は第二位置に載置する工程、
認識されたウエハの径に基づいて、プレート保持第一手段又はプレート保持第二手段のいずれかを作動させる工程、
交換が必要と判断されたとき、認識されたウエハの径に基づいて、第一インダクタンスキャンセルバー又は第二インダクタンスキャンセルバーのいずれかを、表面電極用プローブのコンタクト部又は裏面電極用プローブのコンタクト部とテスタとの電気的接続経路中に接続する工程、
を含む半導体デバイスの検査方法。
【請求項10】
さらに、認識されたウエハの径に基づいて、第一リフトピン又は第二リフトピンのいずれかを作動させる工程を含む、請求項9記載の半導体デバイスの検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体デバイスの検査装置及び検査方法に関し、詳細には、ウエハ基板の両面に電極を備えた半導体デバイスの電気的特性をウエハ状態のままで検査する半導体デバイスの検査装置とその検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パワートランジスタ、パワーMOSFET、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの電力用半導体デバイスや、LED、半導体レーザなどの半導体デバイスには、電流がチップの上下に流れるように構成されて、ウエハ基板の表裏両面に電極を有しているものがある。このため、このような半導体デバイスの電気的特性をウエハ状態のままで検査するには、ウエハの表裏両面に測定用プローブを接触させる必要があり、被検査対象となる半導体デバイス直下の裏面に測定用プローブを接触させるべく、種々の検査装置が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ウエハを保持するチャックステージ内に多数のプローブを配置し、これらのうち、被測定デバイスの裏面直下に位置するプローブを選択的にテスタへと接続することによって、ウエハ基板の両面に電極を有する半導体デバイスの電気的特性を測定するようにした検査装置が開示されている。
【0004】
しかし、この特許文献1に開示された検査装置においては、ウエハ上に形成されている全半導体デバイスを順次検査するために、上部に配置されているプローブに対してチャックステージを移動させる必要があり、チャックステージ内に配置されたプローブとテスタとを接続するケーブルの長さが必然的に長くなる傾向にある。プローブとテスタとを接続するケーブルの長さが長くなると、ケーブルによって構成される測定経路の寄生インダクタンスが大きくなり、検査対象である半導体デバイスの実力値に近い大電流測定や動特性試験に必要な過渡特性が得られないという欠点がある。このため、ウエハ状態での検査をパスした半導体デバイスであっても、その後、ボンディング、モールディング、バーイン工程等を経た後に行われる最終的なフルスペック検査において特性不良が発見される場合があり、ウエハ状態での検査後に行われる各種工程が無駄になり、製品コストの上昇や廃棄物量の増加といった不都合を招いている。
【0005】
一方、特許文献2、3においては、半導体デバイスを、半導体デバイスよりも大きな導電性の基台上に載置し、表面電極用のプローブを半導体デバイスの表面に接触させると同時に、裏面電極用のプローブを前記半導体デバイスが載置されていない前記基台の露出部分に接触させるようにした検査装置が開示されている。しかし、これら特許文献2、3に開示されている検査装置は、個別に存在する半導体デバイスを検査するものであって、半導体デバイスをウエハ状態のままで検査するものではなく、表裏両面に電極を有する半導体デバイスの特性をウエハ状態のままで如何に精度良く測定するかについて何らの示唆も与えるものではない。
【0006】
上記のような状況に鑑み、本出願人は特許文献4において、半導体デバイスをウエハ状態のままで検査する装置として、チャックステージの上面に検査対象となるウエハを保持するウエハ保持部と、ウエハ保持部とほぼ同大のプローブコンタクト領域とを配置し、前記ウエハ保持部と前記プローブコンタクト領域を電気的に導通させるとともに、表面電極用プローブと裏面電極用プローブとを前記チャックステージの上方に水平方向に一定の距離を隔てて配置するようにした半導体デバイスの検査装置を提案した。
【0007】
このような半導体デバイスの検査装置によれば、前記チャックステージを移動させて表面電極用プローブが検査対象ウエハ内を相対的に移動したときにも、裏面電極用プローブが、表面電極用プローブと前記一定の距離を維持したまま、前記プローブコンタクト領域内を相対的に移動することができるので、テスタと表面電極用プローブ及び裏面電極用プローブとの電気的接続経路の長さを常に一定の最短長さに維持することが可能となり、測定経路に発生する寄生インダクタンスを最小にして、半導体デバイスの実力値に近い大電流測定や動特性試験に必要な過渡特性を得ることができるという極めて優れた利点が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平5-333098号公報
【文献】特開2007-40926号公報
【文献】特開2008-101944号公報
【文献】特開2013-118320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のとおり、本出願人が先に特許文献4において提案した半導体デバイスの検査装置は極めて優れた利点を備えたものであり、チャックステージ上のウエハ保持部とプローブコンタクト領域とを近接して並べて配置することにより、表面電極用プローブと裏面電極用プローブとの間の電気的接続経路の長さを最短に設定していることを特徴としている。しかしながら、測定対象として想定されるウエハ径のサイズが複数種ある場合、ウエハ保持部とプローブコンタクト領域の大きさは、最大径のウエハに合わせて設定されるため、想定される最大径のウエハよりも小さい径のウエハを測定する場合で有っても、表面電極用プローブと裏面電極用プローブとの間の電気的接続経路の長さは同じであり、寄生インダクタンスも変わらないことになる。このような事態を避け、検査対象ウエハのサイズに合わせて電気的接続経路の長さが最短になるようにしようとすれば、検査対象として予定されるウエハのサイズ別に、それぞれ設計された検査装置を用意する必要があり、費用がかかるという問題がある。
【0010】
本発明は、本出願人が先に特許文献4において提案した半導体デバイスの検査装置の使い勝手をさらに良くするために為されたもので、検査対象ウエハの径(サイズ)が変化した場合でも、テスタと表面電極用プローブ及び裏面電極用プローブとの電気的接続経路の長さを常に一定の最短長さに維持しつつ、測定経路に発生する寄生インダクタンスを最小にすることができる半導体デバイスの検査装置とそれを用いる検査方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、前記特許文献4に開示した半導体デバイスの検査装置において、チャックステージ上に設定されているウエハ保持部の大きさに比べて比較的小径のウエハを検査対象としたときに、それに合わせて電気的接続経路を短くして寄生インダクタンスを低減することを困難にしているのは、チャックステージ上に設定されているウエハ保持部とプローブコンタクト領域の大きさと位置が固定的であることに原因があるのではないかと推測するに至った。
【0012】
すなわち、図18は特許文献4に開示された半導体デバイスの検査装置におけるチャックステージとその周辺部だけを取り出して示す平面図、図19は表面電極用プローブ及び裏面電極用プローブとチャックステージとの関係を示す平面図であるが、図18及び図19に示すとおり、ウエハ保持部αとプローブコンタクト領域βとは、チャックステージ102の上面の一定位置に一定の大きさで設定されており、表面電極用プローブPAのコンタクト部と裏面電極用プローブPBのコンタクト部との距離Dは、前記ウエハ保持部αとプローブコンタクト領域βとの位置関係に合わせて、前記ウエハ保持部αとプローブコンタクト領域βの中心間の距離Lと略同じになるように設定されている。
【0013】
このため、検査対象とするウエハWのサイズ、すなわち径が大きく、その大きさがウエハ保持部αとほぼ同じである場合には、図20に示すとおり、表面電極用プローブPAのコンタクト部と裏面電極用プローブPBのコンタクト部との距離Dは、この半導体デバイスの検査装置において許容される最小の長さとなっているが、例えば図21に示すように、検査対象とするウエハWの径が小さくなっても、表面電極用プローブPAのコンタクト部と裏面電極用プローブPBのコンタクト部との距離Dは変わらないため、想定されている最大のウエハサイズ径で決まる寄生インダクタンスが発生してしまうのではないかと考えられる。
【0014】
このような知見に基づき、さらに研究努力を重ねた結果、本発明者らは、チャックステージ上にウエハ保持部とプローブコンタクト領域とを固定的に設定するのではなく、ウエハ保持部として機能するウエハチャックプレートと、プローブコンタクト領域として機能するコンタクトプレートなるものを創造し、これらを検査対象とするウエハサイズに合わせて複数組用意するとともに、チャックステージ上に位置を変えて着脱自在に保持させる機構とすることによって、検査対象とするウエハ径が変わった場合にも、測定経路に発生する寄生インダクタンスを常に最小にすることができることを見出した。
【0015】
すなわち、本発明は、表面電極用プローブ及び裏面電極用プローブと、それら両プローブに対して相対的に移動可能なチャックステージと、それら両プローブと電気的に接続されるテスタを有する半導体デバイスの検査装置であって、
(1)前記チャックステージは、
(1-1)その上面に検査対象ウエハが保持される第一ウエハチャックプレートと、その上面に前記裏面電極用プローブが接触する第一コンタクトプレートを、前記チャックステージ上であって両プレートが重ならない第一位置に、着脱自在に保持するプレート保持第一手段と、
(1-2)前記第一ウエハチャックプレートよりも小径の第二ウエハチャックプレートと、前記第一コンタクトプレートよりも小径の第二コンタクトプレートを、前記チャックステージ上であって両プレートが重ならない第二位置に、着脱自在に保持するプレート保持第二手段を備え、
(1-3)前記第一位置と前記第二位置とが、前記第一位置に保持されたときの前記第一ウエハチャックプレート及び前記第一コンタクトプレートの上面の中心をそれぞれWPc及びCPc、前記第二位置に保持されたときの前記第二ウエハチャックプレート及び前記第二コンタクトプレートの上面の中心をそれぞれWPc及びCPcとしたとき、WPcとCPcがWPcとCPcを結ぶ線分上にあり、WPcとCPc間の距離がWPcとCPc間の距離よりも短くなるように選定されており、
(2)前記表面電極用プローブは、前記第一又は第二ウエハチャックプレート上に保持される検査対象ウエハの表面電極と接触するコンタクト部を有し、
(3)前記裏面電極用プローブは、前記第一又は第二コンタクトプレートの上面と接触するコンタクト部を有し、
(4)前記第一位置又は第二位置に保持されたとき、前記第一又は第二ウエハチャックプレートの上面と、前記第一又は第二コンタクトプレートの上面とは、それぞれ電気的に導通しており、
(5)前記表面電極用プローブのコンタクト部と前記裏面電極用プローブのコンタクト部とを結ぶ直線に沿って前記チャックステージの上面と平行に配置され、前記表面電極用プローブのコンタクト部又は前記裏面電極用プローブのコンタクト部と前記テスタとの電気的接続経路の一部を構成する導電性のバーであって、前記WPcとCPc間の距離に対応する長さを有する第一インダクタンスキャンセルバーと、前記WPcとCPc間の距離に対応する長さを有し、前記第一インダクタンスキャンセルバーよりも短い第二インダクタンスキャンセルバーを備えている、
半導体デバイスの検査装置を提供することによって、上記課題を解決するものである。
【0016】
上記のとおり、本発明の検査装置においては、検査対象となるウエハを保持するウエハチャックプレートと、裏面電極用プローブのコンタクト部が接触するコンタクトプレートが、チャックステージとは別に、検査するウエハのサイズ、すなわちウエハの径に合わせて、例えば、第一ウエハチャックプレートと第一コンタクトプレートの組、又は第二ウエハチャックプレートと第二コンタクトプレートの組として、複数組用意されている。しかも、これらウエハチャックプレートとコンタクトプレートは、チャックステージに対して、例えば、第一ウエハチャックプレートと第一コンタクトプレートは第一位置に、第二ウエハチャックプレートと第二コンタクトプレートは第二位置に、というように各組ごとにその取付位置を変えて着脱自在に保持されるように構成されている。
【0017】
したがって、本発明の検査装置においては、検査対象となるウエハの径が変わった場合であっても、その径のウエハに適した大きさの第一ウエハチャックプレートと第一コンタクトプレート、又は第二ウエハチャックプレートと第二コンタクトプレートを、その径のウエハの検査に適したチャックステージ上の第一位置又は第二位置に保持させることができるので、ウエハチャックプレートとコンタクトプレート間の距離を検査対象ウエハの径に合わせて常に必要最低限の長さとすることができる。
【0018】
しかも、本発明の検査装置においては、表面電極用プローブのコンタクト部と裏面電極用プローブのコンタクト部とを結ぶ直線に沿ってチャックステージの上面と平行に配置されるインダクタンスキャンセルバーに関しても、例えば、第一位置に保持されたときの第一ウエハチャックプレートと第一コンタクトプレートの中心間距離に対応した長さを有する第一インダクタンスキャンセルバーと、第二位置に保持されたときの第二ウエハチャックプレートと第二コンタクトプレートの中心間距離に対応した長さを有する第二インダクタンスキャンセルバーとして、複数用意されている。このため、本発明の検査装置においては、検査対象ウエハの径に応じて、チャックステージ上に保持させるウエハチャックプレートとコンタクトプレートとその位置を変更するのに加えて、その変更後のウエハチャックプレート及びコンタクトプレートの大きさと保持位置に合わせて、第一インダクタンスキャンセルバー又は第二インダクタンスキャンセルバーのいずれかを用いることによって、ウエハ径が変わっても、表面電極用プローブのコンタクト部又は裏面電極用プローブのコンタクト部とテスタとを結ぶ電気的接続経路の長さを常に一定の最短長さに維持し、測定経路に発生する寄生インダクタンスを常に最小に維持することができ、精度良い測定が可能になる。
【0019】
本発明の検査装置において、第一ウエハチャックプレートと第一コンタクトプレートをチャックステージ上の第一位置に着脱自在に保持するプレート保持第一手段は、第一ウエハチャックプレートと第一コンタクトプレートを第一位置に着脱自在に保持することができれば良く、その具体的な構造や機構に特段の制限はない。しかし、保持力が比較的強く、かつ、着脱制御が比較的容易に行えるという観点からは、プレート保持第一手段は、第一ウエハチャックプレート又は第一コンタクトプレートが第一位置に載置されたとき、第一ウエハチャックプレート又は第一コンタクトプレートの裏面と対向するチャックステージの上面領域内に開口するウエハチャックプレート第一吸引口又はコンタクトプレート第一吸引口と、当該ウエハチャックプレート第一吸引口又はコンタクトプレート第一吸引口に接続される吸引手段を含んでいるのが好ましい。
【0020】
プレート保持第一手段が、上述したウエハチャックプレート第一吸引口又はコンタクトプレート第一吸引口と、これと接続される吸引手段を含んでいる場合には、当該吸引手段の作動をオン、オフすることによって、第一ウエハチャックプレート又は第一コンタクトプレートをチャックステージ上の第一位置に保持したり、その保持を解除したりすることができる。
【0021】
第二ウエハチャックプレート又は第二コンタクトプレートをチャックステージ上の第二位置に着脱自在に保持するプレート保持第二手段についても同様であり、第二ウエハチャックプレートと第二コンタクトプレートを第二位置に着脱自在に保持することができる限り、プレート保持第二手段の具体的な構造や機構に特段の制限はない。しかし、プレート保持第一手段について述べたと同様の理由で、プレート保持第二手段は、第二ウエハチャックプレート又は第二コンタクトプレートが第二位置に載置されたとき、第二ウエハチャックプレート又は第二コンタクトプレートの裏面と対向するチャックステージの上面領域内に開口するウエハチャックプレート第二吸引口又はコンタクトプレート第二吸引口と、当該ウエハチャックプレート第二吸引口又はコンタクトプレート第二吸引口に接続される吸引手段を含んでいるのが好ましい。
【0022】
プレート保持第二手段が、上述したウエハチャックプレート第二吸引口又はコンタクトプレート第二吸引口と、これと接続される吸引手段を含んでいる場合には、当該吸引手段の動作をオン、オフすることによって、第二ウエハチャックプレート又は第二コンタクトプレートをチャックステージ上の第二位置に保持したり、その保持を解除したりすることができる。
【0023】
なお、チャックステージの上面と接する第一及び第二のウエハチャックプレート、及び第一及び第二のコンタクトプレートの裏面は平坦であっても良いが、吸引による第一位置又は第二位置での保持をより確実なものとするためには、各プレートの裏面には、各プレートが上記第一位置又は第二位置に載置されたとき、チャックステージの上面に開口する上記第一又は第二吸引口と少なくとも一箇所で連通し、各プレートの裏面内で閉じている有底の溝が設けられているのが望ましい。なお、各プレートの裏面内で閉じているとは、裏面に設けられている溝が裏面以外の部分で外に連通していないことを意味する。
【0024】
或いは、第一及び第二のウエハチャックプレート、第一及び第二のコンタクトプレートの裏面に上述した溝を設ける代わりに、各プレートを第一位置又は第二位置に載置したとき、それぞれのプレートの裏面で覆われるチャックステージの上面領域内に、上記第一又は第二吸引口と少なくとも一箇所で連通し、チャックステージの上面内で閉じている有底の溝を設けるようにしても良い。さらには、第一及び第二のウエハチャックプレートに関しては、チャックステージの上面に上記溝を設け、第一及び第二のコンタクトプレートに関しては、各コンタクトプレートの裏面に上記溝を設けるようにしても良い。
【0025】
さらに、本発明の検査装置は、その好適な一例において、チャックステージが、その上面に、第一ウエハチャックプレートを第一位置に位置決めするための少なくとも2個の第一凸部又は第一凹部と、第二ウエハチャックプレートを第二位置に位置決めするための少なくとも2個の第二凸部又は第二凹部を備えているのが望ましい。本発明の検査装置におけるチャックステージが、このような位置決め用の凸部又は凹部を有している場合には、第一ウエハチャックプレート又は第二ウエハチャックプレートをチャックステージ上に載置するにあたり、容易に第一位置又は第二位置に位置決めすることができるという利点が得られる。
【0026】
前記第一凸部又は第一凹部と前記第二凸部又は第二凹部とは、全く別に、それぞれ設けられていても良いし、第一凸部又は第一凹部のうちの1個以上が第二凸部又は第二凹部を兼ね、1個以上の共通する凸部又は凹部を有していても良い。このことは、以下に述べる第一コンタクトプレートを第一位置に位置決めするための第一凸部又は第一凹部、及び第二コンタクトプレートを第二位置に位置決めするための第二凸部又は第二凹部についても同様である。
【0027】
なお、チャックステージが上記のような位置決め用の凸部又は凹部を有している場合、この凸部又は凹部を利用して所定位置に位置決めされる第一ウエハチャックプレート及び第二ウエハチャックプレートの裏面には、位置決め時、上記凸部又は凹部と嵌合する凹部又は凸部が設けられていることはいうまでもない。
【0028】
さらに、本発明の検査装置は、その好適な一例において、チャックステージが、その上面に、第一コンタクトプレートを第一位置に位置決めするための少なくとも2個の第一凸部又は第一凹部と、第二コンタクトプレートを第二位置に位置決めするための少なくとも2個の第二凸部又は第二凹部を備えているのが望ましい。本発明の検査装置におけるチャックステージが、このような位置決め用の凸部又は凹部を有している場合には、第一コンタクトプレート又は第二コンタクトプレートをチャックステージ上に載置するにあたり、容易に第一位置又は第二位置に位置決めすることができるという利点が得られる。
【0029】
第一又は第二ウエハチャックプレートについて述べたと同様に、チャックステージが上記のような位置決め用の凸部又は凹部を有している場合、この凸部又は凹部を利用して所定位置に位置決めされる第一コンタクトプレート及び第二コンタクトプレートの裏面には、位置決め時、上記凸部又は凹部と嵌合する凹部又は凸部が設けられていることはいうまでもない。
【0030】
好適なさらに他の一例において、本発明の検査装置におけるチャックステージは、その上面に、ウエハ吸引口と、当該ウエハ吸引口に接続された吸引手段を有している。ウエハ吸引口は、第一ウエハチャックプレート又は第二ウエハチャックプレートが第一位置又は第二位置に載置されたとき、第一ウエハチャックプレート又は第二ウエハチャックプレートの裏面に開口するウエハ吸着用の負圧導入口と対向する位置に開口しており、前記吸引手段を作動させてウエハ吸引口を吸引すると、その吸引負圧は、第一ウエハチャックプレート又は第二ウエハチャックプレートの裏面に開口するウエハ吸着用の負圧導入口から、各プレート内に形成されている連通路を通じて、第一ウエハチャックプレート又は第二ウエハチャックプレートの上面に開口している多数のウエハ吸着孔に供給され、その上に載置されているウエハを吸着する。
【0031】
なお、上記ウエハ吸引口は、チャックステージ上面に、第一ウエハチャックプレート用と第二ウエハチャックプレート用に2箇設けられていても良いし、1個だけ設けておいて、第一ウエハチャックプレートを用いる場合と第二ウエハチャックプレートを用いる場合の両方で共用するようにしても良い。
【0032】
また、本発明の検査装置は、その好適な他の一例において、チャックステージが、第一位置に保持されている第一ウエハチャックプレート上に存在する検査対象ウエハの裏面と接触して当該検査対象ウエハを上下動させる第一リフトピンと、第二位置に保持されている第二ウエハチャックプレート上に存在する検査対象ウエハの裏面と接触して当該検査対象ウエハを上下動させる第二リフトピンとを有している。
【0033】
本発明の検査装置におけるチャックステージが上記第一リフトピンと第二リフトピンを有している場合には、第一位置に保持された第一ウエハチャックプレートを用いてウエハの検査を行う場合であっても、また、第二位置に保持された第二ウエハチャックプレートを用いてウエハの検査を行う場合であっても、ウエハ搬送装置を用いて、上昇位置にある第一又は第二リフトピン上に検査対象ウエハを載置した後、第一又は第二リフトピンを下降させて、第一又は第二のウエハチャックプレート上に検査対象ウエハを載置したり、逆に、第一又は第二リフトピンを上昇させて、検査済みのウエハを第一又は第二のウエハチャックプレートから上方に持ち上げ、ウエハ搬送装置で外部に搬出したりすることができる。
【0034】
さらに他の好適な一例において、本発明の検査装置は制御装置を備えており、当該制御装置は、検査対象とされるウエハの径(サイズ)に関する情報の入力を受け付ける手段と、ウエハの径に関する情報とプレート保持第一手段又はプレート保持第二手段との対応関係、及び/又は、ウエハの径に関する情報と第一リフトピン又は第二リフトピンとの対応関係を記憶する記憶装置と、受け付けたウエハの径に関する情報と前記記憶されている対応関係に基づいて、プレート保持第一手段又はプレート保持第二手段のいずれか、及び/又は、第一リフトピン又は第二リフトピンのいずれかを、選択的に作動させる手段を有している。
【0035】
本発明の検査装置が上記制御装置を備えている場合には、次に検査するウエハの径(サイズ)に関する情報を自動或いは手動で制御装置に入力することによって、必要時、プレート保持第一手段又はプレート保持第二手段、さらには、第一リフトピン又は第二リフトピンが自動的に選択され、作動するので、人手による確認や、切替操作が不要になるという利点が得られる。
【0036】
さらに、本発明は、上記した本発明に係る半導体デバイスの検査装置を用いて行われる半導体デバイスの検査方法であって、
次に検査されるウエハの径(サイズ)を認識する工程、
認識されたウエハの径に基づいて、ウエハチャックプレート及びコンタクトプレート、並びにインダクタンスキャンセルバーの交換の要否を判断する工程、
交換が要と判断されたとき、認識されたウエハの径に基づいて、第一ウエハチャックプレート及び第一コンタクトプレート、又は第二ウエハチャックプレート及び第二コンタクトプレートをチャックステージ上の第一位置又は第二位置に載置する工程、
認識されたウエハの径に基づいて、プレート保持第一手段又はプレート保持第二手段のいずれかを作動させる工程、
交換が必要と判断されたとき、認識されたウエハの径に基づいて、第一インダクタンスキャンセルバー又は第二インダクタンスキャンセルバーのいずれかを、表面電極用プローブのコンタクト部又は裏面電極用プローブのコンタクト部とテスタとの電気的接続経路中に接続する工程、
を含む半導体デバイスの検査方法を提供することによって、上記課題を解決するものである。
【0037】
このように、本発明の検査方法によれば、次に検査するウエハの径(サイズ)を認識し、その認識されたウエハの径に基づいて、ウエハチャックプレート及びコンタクトプレート、並びにインダクタンスキャンセルバーの交換の要否を判断して必要な交換を行うとともに、交換に付随して必要となる作動すべきプレート保持第一手段又はプレート保持第二手段の切替が行われるので、検査対象ウエハの径が変化した場合にも、表面電極用プローブのコンタクト部と裏面電極用プローブのコンタクト部との間の距離を、常に、必要最低限の長さにとどめて、測定経路に発生する寄生インダクタンスの影響を最小限に抑制しながら、ウエハ上に形成されている半導体デバイスの検査を行うことができるという利点が得られる。
【0038】
さらに、本発明の検査方法は、その好適な一例において、認識されたウエハの径に基づいて、第一リフトピン又は第二リフトピンのいずれかを作動させる工程を含んでいる。本発明の検査方法が、斯かる工程を含む場合には、検査対象ウエハの径が変化し、第一ウエハチャックプレート又は第二ウエハチャックプレートのどちらかがチャックステージ上に保持された場合であっても、ウエハチャックプレート上への検査対象ウエハの搬入と、ウエハチャックプレート上からの検査済みウエハの搬出が確実に行われることになる。
【0039】
なお、以上の説明では、第一ウエハチャックプレート及び第一コンタクトプレートの組と、それらよりも小径の第二ウエハチャックプレート及び第二コンタクトプレートの組の2組を備える場合について述べたが、本発明の半導体デバイス検査装置及び検査方法は、第一ウエハチャックプレート及び第一コンタクトプレートと、第二ウエハチャックプレート及び第二コンタクトプレートいう径の異なる2組のものを用いるものに限られるものではない。
【0040】
本発明の検査装置及び検査方法は、第一ウエハチャックプレート及び第一コンタクトプレート、第二ウエハチャックプレート及び第二コンタクトプレートに加えて、さらに、第二ウエハチャックプレート及び第二コンタクトプレートよりも小径の第三ウエハチャックプレート及び第三コンタクトプレートを備えていても良く、その場合には、第一ウエハチャックプレート及び第一コンタクトプレートと第二ウエハチャックプレート及び第二コンタクトプレートとについて上述したことの全てが、第二ウエハチャックプレート及び第二コンタクトプレートと第三ウエハチャックプレート及び第三コンタクトプレートとについても当てはまることになる。第三ウエハチャックプレート及び第三コンタクトプレートよりもさらに小径の第四ウエハチャックプレート及び第四コンタクトプレートを備える場合も同様である。
【発明の効果】
【0041】
本発明の半導体デバイスの検査装置及び検査方法によれば、検査対象となるウエハの径の違いに応じて、ウエハチャックプレート及びコンタクトプレートの径とそのチャックステージ上での位置、並びにインダクタンスキャンセルバーの長さを変化させることができるので、検査対象ウエハの径が変わっても、テスタと表面電極用プローブ及びテスタと裏面電極用プローブとの電気的接続経路の長さを常に一定の最短長さに維持して検査を行うことができる。これにより、本発明の検査装置及び検査方法によれば、測定経路に発生する寄生インダクタンスを最小にして、半導体デバイスの実力値に近い大電流測定や動特性試験に必要な過渡特性を得ることができ、ウエハ状態での半導体デバイスの検査を精度良く行うことができるという利点が得られる。
【0042】
また、本発明の検査装置及び検査方法によれば、チャックステージの上面そのものをウエハ保持部やプローブコンタクト領域として使用するのではなく、チャックステージの上面に、ウエハ保持部として機能するウエハチャックプレート、及びプローブコンタクト領域として機能するコンタクトプレートを着脱自在に保持して使用するので、ウエハチャックプレートやコンタクトプレートが何らかの原因で汚損した場合には、これを汚損のないものと適宜交換し、常に好適な環境下でウエハ状態のままで半導体デバイスの検査を行うことができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明の半導体デバイスの検査装置の一例を示す正面部分断面図であり、第一ウエハチャックプレート及び第一コンタクトプレートが第一位置に保持されている状態を示す図である。
図2図1のX-X’断面を上から見た平面図である。
図3】第一ウエハチャックプレート及び第一コンタクトプレートと第一インダクタンスキャンセルバーとの関係を示す図である。
図4】本発明の半導体デバイスの検査装置の一例を示す正面部分断面図であり、第二ウエハチャックプレート及び第二コンタクトプレートが第二位置に保持されている状態を示す図である。
図5図4のX-X’断面を上からみた平面図である。
図6】第二ウエハチャックプレート及び第二コンタクトプレートと第二インダクタンスキャンセルバーとの関係を示す図である。
図7】第一位置及び第二位置にあるときの第一、第二ウエハチャックプレート及び第一、第二コンタクトプレートの中心位置の関係を示す図である。
図8】チャックステージの平面図である。
図9図8の部分拡大図である。
図10】第一ウエハチャックプレート及び第一コンタクトプレートの裏面図である。
図11】第二ウエハチャックプレート及び第二コンタクトプレートの裏面図である。
図12】チャックステージに設けられている各種吸引口とそれに接続される吸引手段、並びに第一及び第二リフトピンと、それらの動作を制御する制御装置との接続関係を示す図である。
図13】第一ウエハチャックプレート及び第一コンタクトプレートをチャックステージ上の第一位置に保持させた状態を示す図である。
図14】第一ウエハチャックプレート上に検査対象ウエハを保持させた状態を示す図である。
図15】プローブのコンタクト部をウエハ表面及び第一コンタクトプレート上面に接触させ、検査電流を流した状態を示す図である。
図16】第二ウエハチャックプレート及び第二コンタクトプレートをチャックステージ上の第二位置に保持させた状態を示す図である。
図17】プローブのコンタクト部をウエハ表面及び第二コンタクトプレート上面に接触させ、検査電流を流した状態を示す図である。
図18】従来のチャックステージとウエハ保持部及びプローブコンタクト領域の関係を示す平面図である。
図19】従来の表面電極用プローブ及び裏面電極用プローブとチャックステージとの関係を示す平面図である。
図20】従来のチャックステージを用いて比較的大径のウエハを検査するときの様子を示す平面図である。
図21】従来のチャックステージを用いて比較的小径のウエハを検査するときの様子を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の検査装置が対象とする半導体デバイスの一例として、電力用半導体デバイスの一つであるIGBTを例に、図面を用いて本発明を説明するが、本発明の検査装置の対象がIGBTに限られないこと、また、本発明の検査装置が図示のものに限られないことは勿論である。
【0045】
図1は、本発明の半導体デバイスの検査装置の一例を示す正面部分断面図であり、チャックステージ上のそれぞれの第一位置に第一ウエハチャックプレート及び第一コンタクトプレートを保持させた状態を示している。
【0046】
図1において、1は本発明の半導体デバイスの検査装置であり、2はその外枠、3はチャックステージ、4はチャックステージ3をその上に載置、保持する絶縁板、5は断熱板である。絶縁板4と断熱板5との間には図示しないヒータが介挿されている。6は、チャックステージ3を絶縁板4及び断熱板5と共にXYZ及びθ方向に移動させるXYZ-θステージ、7は表面電極用プローブ、7Aは表面電極用プローブ7のコンタクト部、8は裏面電極用プローブ、8Aは裏面電極用プローブ8のコンタクト部、8Bは裏面電極用プローブ部8の垂直導電部、9は制御装置、10はテスタである。
【0047】
WP1は、チャックステージ3上の第一位置に着脱自在に保持されている第一ウエハチャックプレート、CP1は、同じくチャックステージ3上の第一位置に着脱自在に保持されている第一コンタクトプレートである。第一ウエハチャックプレートWP1の厚さは、第一コンタクトプレートCP1よりも薄く、第一ウエハチャックプレートWP1上に後述する検査対象ウエハを載置、保持させたときに、ウエハの上面が第一コンタクトプレートCP1の上面と同一平面上に位置するように選ばれている。これにより、チャックステージ3を上昇させることにより、先端の高さ位置が同じに設置されている表面電極用プローブ7のコンタクト部7Aと裏面電極用プローブ8のコンタクト部8Aを、ウエハ上面と第一コンタクトプレートCP1上面に同時に接触させることができる。
【0048】
LCB1は、チャックステージ3の上方に、チャックステージ3の上面と平行に配置されている第一インダクタンスキャンセルバーである。第一インダクタンスキャンセルバーLCB1は、導電性の部材から構成されており、その前方端が裏面電極用プローブ8のコンタクト部8Aに接続され、後方端が裏面電極用プローブ8の垂直導電部8Bに接続されており、コンタクト部8Aとテスタ10を結ぶ裏面電極用プローブ8の電気的接続経路の一部を構成している。なお、図示の例では、第一インダクタンスキャンセルバーLCB1は裏面電極用プローブ8のコンタクト部8とは別体に構成されているが、第一インダクタンスキャンセルバーLCB1としては、コンタクト部8Aと一体的に形成されているものや、コンタクト部8Aと予め接続されているものを用意して、それを垂直導電部8Bに接続するようにしてもよい。この点に関しては、後述する第二インダクタンスキャンセルバーLCB2についても同様である。また、第一又は第二のインダクタンスキャンセルバーが、表面電極用プローブ7のコンタクト部7Aとテスタ10を結ぶ電気的接続経路の一部を構成する場合においても同様である。
【0049】
なお、本例の検査装置1においては、第一インダクタンスキャンセルバーLCB1は、裏面電極用プローブ8のコンタクト部8Aと接続され、コンタクト部8Aとテスタ10を結ぶ裏面電極用プローブ8の電気的接続経路の一部を構成しているが、表面電極用プローブ7のコンタクト部7Aと接続して、コンタクト部7Aとテスタ10を結ぶ表面電極用プローブ7の電気的接続経路の一部を構成するようにしても良い。検査装置1は、上記部材以外に、検査対象ウエハを収容するウエハカセットや、ウエハ搬送装置、アライメント用の顕微鏡や撮像装置を備えているが、これらについては図示していない。
【0050】
図2は、図1のX-X’断面を上から見た平面図であり、便宜上、チャックステージ3とその上方に位置する部材だけを取り出して示してある。図2に示すとおり、チャックステージ3は、長方形の両端に半円をつなげた平面形状をしている。第一ウエハチャックプレートWP1は、比較的大径の、例えば直径6インチのウエハを対象にしたウエハチャックプレートであり、その上面の平面形状は円形であり、その直径WPdは、対象とするウエハをその上面に載置、保持できる大きさに選ばれている。なお、WPcは、第一ウエハチャックプレートWP1の上面の中心である。
【0051】
第一コンタクトプレートCP1は、第一ウエハチャックプレートWP1と共に使用され、第一ウエハチャックプレートWP1と対を為すものであり、その上面の平面形状は第一ウエハチャックプレートWP1と同様に円形である。第一コンタクトプレートCP1の直径CPdは、検査時、表面電極プローブ7のコンタクト部7Aが第一ウエハチャックプレートWP1上に保持された検査対象ウエハの上面を相対的に移動したとき、裏面電極用プローブ8のコンタクト部8Aが第一コンタクトプレートCP1上から外れてしまわないように、第一ウエハチャックプレートWP1の直径WPdと同じであるか、それよりもやや大きく設定されている。なお、CPcは、第一コンタクトプレートCP1の上面の中心である。
【0052】
なお、第一ウエハチャックプレートWP1及び第一コンタクトプレートCP1の上面の平面形状は、検査対象となるウエハの平面形状が通常円形であるので、それに合わせて、通常、円形に選ばれているが、ウエハを保持することができるのであれば必ずしも円形に限られる訳ではなく、楕円形や、多角形状であっても良い。ただし、第一ウエハチャックプレートWP1及び第一コンタクトプレートCP1の上面の平面形状が円形でない場合、それぞれの上面に描くことができる最大の円の直径をもって、第一ウエハチャックプレートWP1の直径WPd及び第一コンタクトプレートCP1の直径CPdとするものとし、前記最大の円の中心を、第一ウエハチャックプレートWP1の中心WPc及び第一コンタクトプレートCP1の直径CPcとするものとする。これに関しては、後述する第二ウエハチャックプレート及び第二コンタクトプレートについても同様である。
【0053】
図2中、Pinhは、第一リフトピンが上下動する際に通過する第一リフトピン孔である。図示しない第一リフトピンは、その頂部がチャックステージ3の上面よりも下方にある位置から、第一リフトピン孔Pinhを通過して、その頂部が第一ウエハチャックプレートWP1の上面よりも上方にくる位置まで上昇したり、逆に、その頂部が第一ウエハチャックプレートWP1の上面よりも上方にある位置からチャックステージ3の上面よりも下方にくる位置まで下降することにより、第一ウエハチャックプレートWP1上に載置されたウエハを持ち上げたり、第一ウエハチャックプレートWP1上にウエハを載置したりすることができる。
【0054】
本例の検査装置1においては、第一ウエハチャックプレートWP1及び第一コンタクトプレートCP1は、共に防錆メッキ処理された銅などの導電性の材料で構成されており、かつ、チャックステージ3についても同様であるので、図1及び図2に示すように、第一ウエハチャックプレートWP1及び第一コンタクトプレートCP1を、その裏面をチャックプレート3の上面に当接させて、所定の第一位置に載置、保持させると、第一ウエハチャックプレートWP1の上面と、第一コンタクトプレートCP1の上面は、チャックステージ3を介して、電気的に導通状態となる。
【0055】
図3は、第一ウエハチャックプレートWP1及び第一コンタクトプレートCP1と第一インダクタンスキャンセルバーLCB1との関係を説明するために、第一インダクタンスキャンセルバーLCB1をチャックステージ3の上からずらして示した図である。
【0056】
図3に示すとおり、第一ウエハチャックプレートWP1の中心WPcと第一コンタクトプレートCP1の中心CPcとの間の水平距離Lは、表面電極用プローブ7のコンタクト部7Aの先端と裏面電極用プローブ8のコンタクト部8Aの先端との間の水平距離Dと等しい。換言すると、第一インダクタンスキャンセルバーLCB1の長さLCBdは、第一ウエハチャックプレートWP1と第一コンタクトプレートCP1とが、チャックステージ3上の図示する第一位置に保持されたとき、両者の中心WPcとCPcとの間の水平距離Lに対応して、表面電極用プローブ7のコンタクト部7Aの先端と裏面電極用プローブ8のコンタクト部8Aの先端との間の水平距離DがLと等しくなるように選ばれている。なお、コンタクト部7A及びコンタクト部8Aの先端とは、検査時にそれぞれウエハの表面電極及び第一コンタクトプレートの上面と接触する突出した部分を意味している。
【0057】
上記のとおり、D=Lとなるように第一インダクタンスキャンセルバーLCB1の長さLCBdが選ばれているので、検査時において、表面電極用プローブ7のコンタクト部7Aが第一ウエハチャックプレートWP1上に保持された検査対象ウエハの上面内を相対的に移動すると、裏面電極用プローブ8のコンタクト部8Aも、第一コンタクトプレートCP1の上面内を、外れることなく相対的に移動することができ、表面電極用プローブ7のコンタクト部7Aの先端と裏面電極用プローブ8のコンタクト部8Aの先端との距離Dを、常に最短の長さに維持したまま、ウエハ上の半導体デバイスの検査を行うことができる。
【0058】
図4は、チャックステージ3上のそれぞれの第二位置に第二ウエハチャックプレート及び第二コンタクトプレートを保持させた状態にある。図1におけると同じ部材には同じ符号を付してある。
【0059】
図4において、WP2は、チャックステージ3上の第二位置に着脱自在に保持されている第二ウエハチャックプレート、CP2は、同じくチャックステージ3上の第二位置に着脱自在に保持されている第二コンタクトプレートである。第一ウエハチャックプレートWP1について述べたと同様に、第二ウエハチャックプレートWP2の厚さは、第二コンタクトプレートCP2よりも薄く、第二ウエハチャックプレートWP2上に後述する検査対象ウエハを載置、保持させたときに、ウエハの上面が第二コンタクトプレートCP2の上面と同一平面上に位置するように選ばれている。これにより、前述したとおり、チャックステージ3を上昇させることにより、先端の高さ位置が同じに設置されている表面電極用プローブ7のコンタクト部7Aと裏面電極用プローブ8のコンタクト部8Aを、ウエハ上面と第二コンタクトプレートCP2上面に同時に接触させることができる。
【0060】
LCB2は、チャックステージ3の上方に、チャックステージ3の上面と平行に配置されている第二インダクタンスキャンセルバーである。第二インダクタンスキャンセルバーLCB2は、第一インダクタンスキャンセルバーLCB1と同様に、導電性の部材から構成されており、その前方端が裏面電極用プローブ8のコンタクト部8Aに接続され、後方端が裏面電極用プローブ8の垂直導電部8Bに接続されており、コンタクト部8Aとテスタ10を結ぶ裏面電極用プローブ8の電気的接続経路の一部を構成している。第二インダクタンスキャンセルバーLCB2を、表面電極用プローブ7のコンタクト部7Aと接続して、コンタクト部7Aとテスタ10を結ぶ表面電極用プローブ7の電気的接続経路の一部を構成するようにしても良いことは、先に第一インダクタンスキャンセルバーLCB1について述べたと同様である。
【0061】
図5は、図4のX-X’断面を上から見た平面図であり、便宜上、チャックステージ3とその上方に位置する部材だけを取り出して示してある。図5に見られるとおり、第二ウエハチャックプレートWP2の上面の平面形状は第一ウエハチャックプレートWP1と同じく円形であるが、第二ウエハチャックプレートWP2は第一ウエハチャックプレートWP1よりも比較的小径の、例えば直径4インチのウエハを対象にしており、その直径WPdは、第一ウエハチャックプレートWP1の直径WPd1よりも小さい。なお、WPcは、第二ウエハチャックプレートWP2の上面の中心である。
【0062】
第二コンタクトプレートCP2は、第二ウエハチャックプレートWP2と共に使用され、第二ウエハチャックプレートWP2と対を為すものであり、その上面の平面形状は第二ウエハチャックプレートWP2と同様に円形である。第二コンタクトプレートCP2の直径CPdは、検査時、表面電極プローブ7のコンタクト部7Aが第二ウエハチャックプレートWP2上に保持された検査対象ウエハの上面を相対的に移動したとき、裏面電極用プローブ8のコンタクト部8Aが第二コンタクトプレートCP2上から外れてしまわないように、第二ウエハチャックプレートWP2の直径WPdと同じであるか、それよりもやや大きく設定されている。なお、CPcは、第二コンタクトプレートCP2の上面の中心である。
【0063】
なお、第二ウエハチャックプレートWP2及び第二コンタクトプレートCP2の上面の平面形状は、検査対象となるウエハの平面形状が通常円形であるので、それに合わせて、通常、円形に選ばれているが、ウエハを保持することができるのであれば必ずしも円形に限られる訳ではなく、楕円形や、多角形状であっても良いことは、第一ウエハチャックプレートWP1及び第一コンタクトプレートCP1におけると同様である。
【0064】
図5中、Pinhは、第二リフトピンが上下動する際に通過する第二リフトピン孔である。図示しない第二リフトピンは、その頂部がチャックステージ3の上面よりも下方にある位置から、第二リフトピン孔Pinhを通過して、その頂部が第二ウエハチャックプレートWP2の上面よりも上方にくる位置まで上昇したり、逆に、その頂部が第二ウエハチャックプレートWP2の上面よりも上方にある位置からチャックステージ3の上面よりも下方にくる位置まで下降することにより、第二ウエハチャックプレートWP2上に載置されたウエハを持ち上げたり、第二ウエハチャックプレートWP2上にウエハを載置したりすることができる。
【0065】
11はチャックステージ3の上面に設けられた第一ウエハチャックプレートPW1用の吸引溝、13はチャックステージ3の上面に開口する第一コンタクトプレートCP1用のコンタクトプレート第一吸引口、15はチャックステージ3の上面に設けられた第一コンタクトプレートCP1用の位置決め用凸部であるが、これらについては後述する。
【0066】
第二ウエハチャックプレートWP2及び第二コンタクトプレートCP2は、第一ウエハチャックプレートWP1及び第一コンタクトプレートCP1と同様に、共に防錆メッキ処理された銅などの導電性の材料で構成されており、図4及び図5に示すように、第二ウエハチャックプレートWP2及び第二コンタクトプレートCP2を、その裏面をチャックプレート3の上面に当接させて、所定の第二位置に載置、保持させると、第二ウエハチャックプレートWP2の上面と、第二コンタクトプレートCP2の上面は、チャックステージ3を介して、電気的に導通状態となる。
【0067】
図6は、第二ウエハチャックプレートWP2及び第二コンタクトプレートCP2と第二インダクタンスキャンセルバーLCB2との関係を説明するために、第二インダクタンスキャンセルバーLCB2をチャックステージ3の上からずらして示した図である。
【0068】
図6に示すとおり、第二ウエハチャックプレートWP2の中心WPcと第二コンタクトプレートCP2の中心CPcとの間の水平距離Lは、表面電極用プローブ7のコンタクト部7Aの先端と裏面電極用プローブ8のコンタクト部8Aの先端との間の水平距離Dと等しい。換言すると、第二インダクタンスキャンセルバーLCB2の長さLCBdは、第二ウエハチャックプレートWP2と第二コンタクトプレートCP2とが、チャックステージ3上の図示する第二位置に保持されたとき、両者の中心WPcとCPcとの間の水平距離Lに対応して、表面電極用プローブ7のコンタクト部7Aの先端と裏面電極用プローブ8のコンタクト部8Aの先端との間の水平距離DがLと等しくなるように選ばれている。
【0069】
上記のとおり、D=Lとなるように第二インダクタンスキャンセルバーLCB2の長さLCBdが選ばれているので、検査時において、表面電極用プローブ7のコンタクト部7Aが第二ウエハチャックプレートWP2上に保持された検査対象ウエハの上面内を相対的に移動すると、裏面電極用プローブ8のコンタクト部8Aも、第二コンタクトプレートCP2の上面内を、外れることなく相対的に移動することができ、表面電極用プローブ7のコンタクト部7Aの先端と裏面電極用プローブ8のコンタクト部8Aの先端との距離Dを、常に最短の長さに維持したまま、ウエハ上の半導体デバイスの検査を行うことができる。
【0070】
図7は、図3及び図6から、第一位置に保持されたときの第一ウエハチャックプレートWP1及び第一コンタクトプレートCP1の中心WPc及びCPcと、第二位置に保持されたときの第二ウエハチャックプレートWP2及び第二コンタクトプレートCP2の中心WPc及びCPcだけを、チャックステージ3とともに抜き出して示す平面図である。図中、Vは中心WPcと中心CPcとを結ぶ線分である。なお、参考までに第一位置又は第二位置に保持されている第一、第二ウエハチャックプレートWP1、WP2、及び第一、第二コンタクトプレートCP1、CP2を破線で示してある。
【0071】
図7に示すとおり、第二位置に保持されたときの第二ウエハチャックプレートWP2及び第二コンタクトプレートCP2の中心WPc及びCPcは、第一位置に保持されたときの第一ウエハチャックプレートWP1及び第一コンタクトプレートCP1のそれぞれの中心WPcとCPcとを結ぶ線分V上にあり、かつ、中心WPcとCPc間の距離Lは、中心WPcとCPc間の距離Lよりも短い。
【0072】
このように、第一位置と第二位置とは、第二位置に保持されたときの第二ウエハチャックプレートWP2の中心WPcと、第二コンタクトプレートCP2の中心CPcが、第一位置に保持されたときの第一ウエハチャックプレートWP1の中心WPcと第一コンタクトプレートCP1の中心CPcとを結ぶ線分V上にあり、かつ、中心WPcと中心CPc間の距離Lが、中心WPcと中心CPc間の距離Lよりも短くなるように、その位置が選定されている。
【0073】
なお、本例においては、第一位置と第二位置とで、第一ウエハチャックプレートWP1と第二ウエハチャックプレートWP2の中心位置は変わらず、WPcとWPcとは同じ位置にあるが、WPcは線分V上に位置しておれば良く、WPcと異なる位置にあっても良い。また、本例においては、第一位置と第二位置とで、第一コンタクトプレートCP1と第二コンタクトプレートCP2の中心位置が異なっており、CPcは、線分V上でCPcとは異なる位置にあるが、第一位置と第二位置とで第一コンタクトプレートCP1と第二コンタクトプレートCP2の中心位置を同じにして、CPcがCPcと同じ位置になるようにしても良い。さらには、第一位置と第二位置とで、第一ウエハチャックプレートWP1と第二ウエハチャックプレートWP2の中心位置、及び第一コンタクトプレートCP1と第二コンタクトプレートCP2の中心位置の双方を異ならせ、WPcとCPcが共に線分V上で、それぞれWPc及びCPcと異なる位置になるようにしても良い。
【0074】
いずれにせよ、第一インダクタンスキャンセルバーLCB1の長さLCBdは、第一位置における第一ウエハチャックプレートWP1の中心WPcと第一コンタクトプレートCP1の中心CPcとの距離Lに対応し、第二インダクタンスキャンセルバーLCB2の長さLCBdは、第二位置における第二ウエハチャックプレートWP2の中心WPcと第二コンタクトプレートCP2の中心CPcとの距離Lに対応しており、図7から明らかなように、L<Lであるので、第二インダクタンスキャンセルバーLCB2の長さLCBdは、第一インダクタンスキャンセルバーLCB1の長さLCBdよりも短い。
【0075】
つまり、検査対象ウエハが比較的大径のもの(例えば6インチ径のもの)から比較的小径のもの(例えば4インチ径のもの)へと変わったときには、チャックステージ3上の第一位置に保持されている第一ウエハチャックプレートWP1及び第一コンタクトプレートCP1に代えて、それらよりも小径の第二ウエハチャックプレートWP2及び第二コンタクトプレートCP2を第二位置に保持させ、それとともに、第一インダクタンスキャンセルバーLCB1に代えて、それよりも短い第二インダクタンスキャンセルバーLCB2を用いることにより、裏面電極用プローブ8のコンタクト部8A又は表面電極用プローブ7のコンタクト部7Aとテスタ10とを電気的に接続する経路の長さを、比較的大径のウエハを検査していたときのDから、比較的小径のウエハを検査するときのDへと短縮することができる。これにより、検査対象ウエハの径が変わっても、コンタクト部とテスタ10とを接続する電気的経路の長さを、常に一定の最短長さに維持し、測定経路に発生する寄生インダクタンスを最小にして、ウエハ上に形成されている半導体デバイスの検査を行うことができる。検査対象ウエハが、小径のものから大径のものに変わる場合には、上記操作の逆を行えば良いことはいうまでもない。
【0076】
図8は、チャックステージ3の平面図である。便宜上、第一位置又は第二位置にある第一及び第二ウエハチャックプレートWP1、WP2、並びに第一、第二コンタクトプレートCP1、CP2を破線で示してある。
【0077】
図8に見られるとおり、チャックステージ3の上面には、第一ウエハチャックプレートWP1を吸着保持するための吸引負圧を第一ウエハチャックプレートWP1の裏面全周に均等に配分するための溝11が一重に設けられ、同じく、第二ウエハチャックプレートWP2を吸着保持するための吸引負圧を第二ウエハチャックプレートWP2の裏面全周に均等に配分するための溝11が二重に設けられている。22はウエハチャックプレート第一吸引口、22はウエハチャックプレート第二吸引口である。図8の一部分を拡大した図9に示すとおり、ウエハチャックプレート第一吸引口22及びウエハチャックプレート第二吸引口22は、それぞれ溝11及び溝11の溝底部に開口しており、それぞれの吸引口には図示しない吸引手段が接続されている。
【0078】
溝11又は溝11は、第一ウエハチャックプレートWP1又は第二ウエハチャックプレートWP2を吸着保持するためのものであるので、当然のことながら、第一ウエハチャックプレートWP1又は第二ウエハチャックプレートWP2が第一位置又は第二位置に載置されたとき、第一ウエハチャックプレートWP1又は第二ウエハチャックプレートWP2の裏面と対向するチャックステージ3の上面領域内に開口しており、溝11又は溝11内に開口するウエハチャックプレート第一吸引口22及びウエハチャックプレート第二吸引口22についても同様である。なお、溝11又は溝11は、チャックステージ3の上面と、ウエハチャックプレート第一吸引口22又はウエハチャックプレート第二吸引口22以外には、外部と連通する箇所を有しておらず、チャックステージ3の上面内で閉じている溝である。
【0079】
12は、チャックステージ3の上面に開口するウエハ吸引口であり、ウエハ吸引口12には図示しない吸引手段が接続されている。
【0080】
13はチャックステージ3の上面に開口するコンタクトプレート第一吸引口、13は、同じくチャックステージ3の上面に開口するコンタクトプレート第二吸引口である。コンタクトプレート第一吸引口13及びコンタクトプレート第二吸引口13は、それぞれ第一位置又は第二位置に載置される第一コンタクトプレートCP1及び第二コンタクトプレートCP2を吸着保持するための負圧を供給するものであるので、当然のことながら、第一コンタクトプレートCP1又は第二コンタクトプレートCP2が第一位置又は第二位置に載置されたとき、第一コンタクトプレートCP1又は第二コンタクトプレートCP2の裏面と対向するチャックステージ3の上面領域内に開口している。
【0081】
14は、第一ウエハチャックプレートWP1を第一位置に位置決め載置する際に用いられる位置決め用の第一凸部であり、本例においては2個の凸部14、14がチャックステージ3の上面に設けられている。本例においては、第一ウエハチャックプレートWP1用の2個の第一凸部14、14はその2個ともが、第二ウエハチャックプレートWP2用を第二位置に位置決め載置する際に用いられる位置決め用の第二凸部を兼ねており、2個とも共通している。第二ウエハチャックプレートWP2用の第二凸部のうち、1個又は2個以上を、第一ウエハチャックプレートWP1用の第一凸部とは別に設けても良いことは勿論である。また、第一凸部又は第二凸部の数は少なくとも2個あれば良く、2個に限られない。さらに、凸部に代えて凹部としても良いこともいうまでもない。
【0082】
15は、第一コンタクトプレートCP1を第一位置に位置決め載置する際に用いられる位置決め用の第一凸部であり、本例においては2個の凸部15、15がチャックステージ3の上面に設けられている。一方、15は、第二コンタクトプレートCP2を第二位置に位置決め載置する際に用いられる位置決め用の第二凸部であり、本例においては2個の第二凸部のうちの1個が第一凸部15を兼ねており、第一凸部15と第2凸部15とは2個のうちの1個が共通している。第二コンタクトプレートCP2用の2個の第二凸部15の全てを第一コンタクトプレートCP1用の第一凸部15と別に設けても良いことは勿論であり、第一凸部又は第二凸部の数も2個に限られないことはいうまでもない。さらに、凸部に代えて凹部としても良いことも勿論である。
【0083】
図10は、第一ウエハチャックプレートWP1及び第一コンタクトプレートCP1の裏面図である。図10において、16は、第一ウエハチャックプレートWP1がチャックステージ3上の第一位置に載置されたとき、チャックステージ3の上面に設けられているウエハ吸引口12と対向する位置に設けられている負圧導入口である。負圧導入口16は、第一ウエハチャックプレートWP1内に形成されている連通路を介して、第一ウエハチャックプレートWP1の上面に開口している多数のウエハ吸着孔と連通しており、ウエハ吸引口12から負圧が供給されると、その負圧を第一ウエハチャックプレートWP1の上面に開口しているウエハ吸着孔へと供給し、その上にウエハを吸着する。
【0084】
18は、第一コンタクトプレートCP1の裏面に設けられている吸引用負圧の分配用の溝であり、第一コンタクトプレートCP1がチャックステージ3上の第一位置に載置されたとき、その中央に符号13で示す箇所で、チャックステージ3の上面に設けられているコンタクトプレート第一吸引口13と対向、連通する。溝18は、第一コンタクトプレートCP1の裏面以外では外部に連通しておらず、第一コンタクトプレートCP1の裏面内で閉じている溝である。
【0085】
17及び19は、第一ウエハチャックプレートWP1又は第一コンタクトプレートCP1が第一位置に載置されたとき、チャックステージ3の上面に設けられている位置決め用の第一凸部14及び15とそれぞれ嵌合する位置決め用の凹部である。
【0086】
図11は、第二ウエハチャックプレートWP2及び第二コンタクトプレートCP2の裏面図である。図11において、16は、第二ウエハチャックプレートWP2がチャックステージ3上の第二位置に載置されたとき、チャックステージ3の上面に設けられているウエハ吸引口12と対向する位置に設けられている負圧導入口である。負圧導入口16は、第二ウエハチャックプレートWP2内に形成されている連通路を介して、第二ウエハチャックプレートWP2の上面に開口している多数のウエハ吸着孔と連通しており、ウエハ吸引口12から負圧が供給されると、その負圧を第二ウエハチャックプレートWP2の上面に開口しているウエハ吸着孔へと供給し、その上にウエハを吸着する。
【0087】
18は、第二コンタクトプレートCP2の裏面に設けられている吸引用負圧の分配用の溝であり、第二コンタクトプレートCP2がチャックステージ3上の第二位置に載置されたとき、その左端に符号13で示す箇所で、チャックステージ3の上面に設けられているコンタクトプレート第二吸引口13と対向、連通する。溝18は、第二コンタクトプレートCP2の裏面以外では外部に連通しておらず、第二コンタクトプレートCP2の裏面内で閉じている溝である。
【0088】
17及び19は、第二ウエハチャックプレートWP2又は第二コンタクトプレートCP2が第二位置に載置されたとき、チャックステージ3の上面に設けられている位置決め用の第二凸部14及び15とそれぞれ嵌合する位置決め用の凹部である。
【0089】
図12は、チャックステージ3に設けられている各種吸引口とそれに接続される吸引手段、並びに第一及び第二リフトピンと、それらの動作を制御する制御装置9との接続関係を示す図である。
【0090】
図12において、20~20は開閉弁、21~21は吸引手段であるポンプである。また、破線は管路を示している。ポンプ21は、チャックステージ3上に設けられている溝11と連通するウエハチャックプレート第一吸引口22と管路で接続されており、その管路の途中には開閉弁20が設けられている。吸引手段であるポンプ21は、チャックステージ3上に設けられている溝11と連通するウエハチャックプレート第二吸引口22とも管路で接続されており、その管路の途中には開閉弁20が設けられている。開閉弁20及び20、及びポンプ21の動作は、制御装置9の制御部9aからの信号によって制御されている。
【0091】
一方、吸引手段であるポンプ21は、チャックステージ3上に設けられているウエハ吸引口12と管路で接続されており、その管路の途中には開閉弁20が設けられている。開閉弁20及びポンプ21の動作も、制御装置9の制御部9aからの信号によって制御されている。
【0092】
さらに、吸引手段であるポンプ21は、途中に開閉弁20又は開閉弁20が設けられている管路を介して、チャックステージ3上に開口するコンタクトプレート第一吸引口13及びコンタクトプレート第二吸引口13と接続されている。開閉弁20及び20、及びポンプ21の動作も、制御装置9の制御部9aからの信号によって制御されている。
【0093】
また、制御装置9の制御部9aは、図示しない第一リフトピン駆動機構及び第二リフトピン駆動機構とも接続されており、第一リフトピン及び第二リフトピンの上下動を制御している。
【0094】
制御装置9は、制御部9aに加えて、検査対象となるウエハの径に関する情報と第一又は第二ウエハチャックプレート並びに第一又は第二コンタクトプレートとの対応関係、検査対象となるウエハの径に関する情報と作動させるべき吸引手段及び開閉弁との対応関係、及び/又は、ウエハの径に関する情報と第一リフトピン又は第二リフトピンとの対応関係を記憶する記憶装置9bと、XYZ-θステージ6の動作を制御するXYZ-θステージ制御部9cと、入出力部9dを備えている。
【0095】
以下、図12図17を用いて、本発明に係る検査装置の動作を説明する。なお、以下の説明では、比較的大径のウエハとして直径が6インチのウエハを、また比較的小径のウエハとして直径が4インチのウエハを検査対象とする場合を例に説明するが、これはあくまでも例であって、本発明に係る検査装置及び検査方法が対象とするウエハは6インチ径及び4インチ径のものに限られない。
【0096】
まず、最初の検査対象ウエハとして比較的大径の6インチ径のものが予定されている場合、ヒトが目視その他の方法で対象ウエハが6インチ径のものであることを認識し、そのウエハ径又はウエハサイズに関する情報を、入出力部9dを介して制御装置9に入力する。或いは、外部からの信号又はウエハ径を識別するセンサによって、次に予定されているウエハのサイズを自動的に識別し、入出力部9dを介して自動的に制御装置9に入力するようにしても良い。
【0097】
次に予定されているウエハのサイズが入力されると、制御装置9の制御部9aは、現在、チャックステージ3上に保持されているウエハチャックプレート及びコンタクトプレートが第一ウエハチャックプレートWP1及び第一コンタクトプレートCP1であるか否かを、例えば、直前の検査で駆動させたリフトピンが第一リフトピンであるか第二リフトピンであるかの情報に基づいて識別し、ウエハチャックプレート及びコンタクトプレート、並びにインダクタンスキャンセルバーの交換の要否を判断する。なお、この判断は、ヒトが実際にチャックステージ3上に保持されているウエハチャックプレート及びコンタクトプレートの種類を目視等で識別することによって行っても良いし、変位センサや画像処理などにより、自動的に識別させても良い。
【0098】
交換が必要であると判断されると、6インチ径のウエハに対応した第一ウエハチャックプレートWP1及び第一コンタクトプレートCP1が第一位置に載置される。この載置が、前述した位置決め用の第一凸部14、15を用いて行われることは勿論である。
【0099】
第一ウエハチャックプレートWP1及び第一コンタクトプレートCP1の第一位置への載置が終わると、制御装置9の制御部9aは、自動的に、或いは外部からの命令を待って、記憶装置9bに記憶されている検査対象となるウエハの径に関する情報と作動させるべき吸引手段及び開閉弁との対応関係に基づいて、図12に示すポンプ21に動作命令を出すとともに、開閉弁20を閉に、開開閉弁20を開にして、ウエハチャックプレート第一吸引口22を介してチャックステージ3上に形成されている溝11を負圧に吸引し、第一位置に第一ウエハチャックプレートWP1を吸着、保持する。
【0100】
また、制御装置9の制御部9aは、自動的に、或いは外部からの命令を待って、記憶装置9bに記憶されている検査対象となるウエハの径に関する情報と作動させるべき吸引手段及び開閉弁との対応関係に基づいて、図12に示すポンプ21に動作命令を出すとともに、開閉弁20を閉に、開閉弁20を開にして、コンタクトプレート第一吸引口13を負圧に吸引し、チャックステージ3上の第一位置に第一コンタクトプレートCP1を吸着、保持する。
【0101】
このように、第一ウエハチャックプレートWP1に関しては、吸引手段であるポンプ21、開閉弁20、ウエハチャックプレート第一吸引口22、及びチャックステージ3上に形成されている溝11が、そして、第一コンタクトプレートCP1に関しては、ポンプ21、開閉弁20、及びコンタクトプレート第一吸引口13が、それぞれを第一位置に着脱自在に保持するプレート保持第一手段を構成していることになる。
【0102】
併せて、手動若しくは自動で、裏面電極用プローブ8のコンタクト部8Aと垂直導電部8Bとの間に、6インチ径のウエハに対応した第一インダクタンスキャンセルバーLCB1を接続する。なお、裏面電極用プローブ8のコンタクト部8Aと第一インダクタンスキャンセルバーLCB1とが一体的に形成されているものや、予め接続してあるものを用意して、それを垂直導電部8Bに接続するようにしてもよい。
【0103】
図13は、以上のようにして、チャックステージ3上の第一位置に第一ウエハチャックプレートWP1と第一コンタクトプレートCP1が吸着、保持され、かつ、裏面電極用プローブ8のコンタクト部8Aと垂直導電部8Bとの間に第一インダクタンスキャンセルバーLCB1が接続された状態を表している。
【0104】
第一ウエハチャックプレートWP1と第一コンタクトプレートCP1の第一位置への保持と、第一インダクタンスキャンセルバーLCB1の接続が終わると、制御装置9の制御部9aは、記憶装置9bに記憶されているウエハの径に関する情報と第一リフトピン又は第二リフトピンとの対応関係に基づいて、第一リフトピンを第一ウエハチャックプレートの上面よりも上方まで上昇させる。次いで、ウエハ搬送装置が作動して、検査対象となるウエハWを第一ウエハチャックプレートWP1の上まで搬送し、第一リフトピン上に載置する。第一リフトピン上にウエハWが載置されると、制御装置9の制御部9aは第一リフトピンを下降させ、ウエハWを第一ウエハチャックプレートWP1上に載置する。
【0105】
続いて、制御装置9の制御部9aは、吸引手段であるポンプ21を作動させ、開閉弁20を開にして、ウエハ吸引口12を負圧に吸引し、これと対向している負圧導入口16を介して、第一ウエハチャックプレートWP1の上面に開口している多数のウエハ吸着孔を吸引し、第一ウエハチャックプレートWP1上にウエハWを吸着、保持する。図14は、このようにして、第一ウエハチャックプレートWP1上にウエハWが吸着、保持された状態を示している。
【0106】
次いで、制御装置9の制御部9aは、XYZ-θステージ制御部9cに命令を出して、XYZ-θステージ6を作動させ、チャックステージ3を上昇させ、図15に示すように、表面電極用プローブ7のコンタクト部7Aを、ウエハWの表面電極に接触させるとともに、裏面電極用プローブ8のコンタクト部8Aを、第一コンタクトプレートCP1の上面と接触させる。この状態で、テスタ10から検査に必要な電気信号が表面電極用プローブ7のコンタクト部7Aを介して、ウエハW上の半導体デバイスに供給され、検査が行われることになる。
【0107】
図15は、このようにして、ウエハW上の半導体デバイスの検査が行われている状態を示している。なお、検査電流は、チャックステージ3中を図中白矢印で示す方向に流れる時に、コンタクト部8Aを通って、第一インダクタンスキャンセルバーLCB1内を図中黒矢印で示す方向に流れるが、第一インダクタンスキャンセルバーLCB1がチャックステージ3の上面と平行に配置されているので、チャックステージ3中を流れる電流によって発生される磁界と、第一インダクタンスキャンセルバーLCB1中を流れる電流によって発生される磁界とは、向きが逆になり、互いに相殺される。したがって、コンタクト部7Aとコンタクト部8Aとの間の電流経路における実効インダクタンスを低減することができ、より過渡特性の良い、精度の高い測定が可能になる。
【0108】
予定される検査対象ウエハWの径が6インチから4インチに変化する場合にも、上記と同様に行えば良い。すなわち、次に予定されている検査対象ウエハWの径が認識され、ウエハチャックプレートやコンタクトプレートの交換が必要であると判断されると、6インチ径のウエハに対応した第一ウエハチャックプレートWP1及び第一コンタクトプレートCP1に代えて、4インチ径のウエハに対応した第二ウエハチャックプレートWP2及び第二コンタクトプレートCP2が第二位置に載置される。
【0109】
第二ウエハチャックプレートWP2及び第二コンタクトプレートCP2の第二位置への載置が終わると、制御装置9の制御部9aは、自動的に、或いは外部からの命令を待って、記憶装置9bに記憶されている検査対象となるウエハの径に関する情報と作動させるべき吸引手段及び開閉弁との対応関係に基づいて、図12に示すポンプ21に動作命令を出すとともに、開閉弁20を閉に、開閉弁20を開にして、ウエハチャックプレート第二吸引口22を介してチャックステージ3上に形成されている溝11を負圧に吸引し、第二位置に第二ウエハチャックプレートWP2を吸着、保持する。
【0110】
また、制御装置9の制御部9aは、自動的に、或いは外部からの命令を待って、記憶装置9bに記憶されている検査対象となるウエハの径に関する情報と作動させるべき吸引手段及び開閉弁との対応関係に基づいて、図12に示すポンプ21に動作命令を出すとともに、開閉弁20を閉に、開閉弁20を開にして、コンタクトプレート第二吸引口13を負圧に吸引し、チャックステージ3上の第二位置に第二コンタクトプレートCP2を吸着、保持する。
【0111】
このように、第二ウエハチャックプレートWP2に関しては、吸引手段であるポンプ21、開閉弁20、ウエハチャックプレート第二吸引口22、及びチャックステージ3上に形成されている溝11が、そして、第二コンタクトプレートCP2に関しては、ポンプ21、開閉弁20、及びコンタクトプレート第一吸引口13が、それぞれを第二位置に着脱自在に保持するプレート保持第二手段を構成していることになる。
【0112】
併せて、手動若しくは自動で、裏面電極用プローブ8のコンタクト部8Aと垂直導電部8Bとの間に、4インチ径のウエハに対応した第二インダクタンスキャンセルバーLCB2を接続する。
【0113】
図16は、以上のようにして、チャックステージ3上の第二位置に第二ウエハチャックプレートWP2と第二コンタクトプレートCP2が吸着、保持され、かつ、裏面電極用プローブ8のコンタクト部8Aと垂直導電部8Bとの間に第二インダクタンスキャンセルバーLCB2が接続された状態を表している。
【0114】
次いで、制御装置9の制御部9aは、記憶装置9bに記憶されているウエハの径に関する情報と第一リフトピン又は第二リフトピンとの対応関係に基づいて、第二リフトピンを第二ウエハチャックプレートの上面よりも上方まで上昇させる。続いて、ウエハ搬送装置が作動して、検査対象となる4インチのウエハWを第二ウエハチャックプレートWP2の上まで搬送し、第二リフトピン上に載置する。第二リフトピン上にウエハWが載置されると、制御装置9の制御部9aは第二リフトピンを下降させ、ウエハWを第二ウエハチャックプレートWP2上に載置する。
【0115】
続いて、制御装置9の制御部9aは、吸引手段であるポンプ21を作動させ、開閉弁20を開にして、ウエハ吸引口12を負圧に吸引し、これと対向している負圧導入口16を介して、第二ウエハチャックプレートWP2の上面に開口している多数のウエハ吸着孔を吸引し、第二ウエハチャックプレートWP2上にウエハWを吸着、保持する。
【0116】
次いで、制御装置9の制御部9aは、XYZ-θステージ制御部9cに命令を出して、XYZ-θステージ6を作動させ、チャックステージ3を上昇させ、図17に示すように、表面電極用プローブ7のコンタクト部7Aを、ウエハWの表面電極に接触させるとともに、裏面電極用プローブ8のコンタクト部8Aを、第二コンタクトプレートCP2の上面と接触させる。この状態で、テスタ10から検査に必要な電気信号が表面電極用プローブ7のコンタクト部7Aを介して、ウエハW上の半導体デバイスに供給され、検査が行われることになる。
【0117】
なお、この場合においても、検査電流は、図17に示すとおり、チャックステージ3中を図中白矢印で示す方向に流れる時に、コンタクト部8Aを通って、第二インダクタンスキャンセルバーLCB2内を図中黒矢印で示す方向に流れるが、第二インダクタンスキャンセルバーLCB2がチャックステージ3の上面と平行に配置されているので、チャックステージ3中を流れる電流によって発生される磁界と、第二インダクタンスキャンセルバーLCB2中を流れる電流によって発生される磁界とは、向きが逆になり、互いに相殺される。したがって、コンタクト部7Aとコンタクト部8Aとの間の電流経路における実効インダクタンスを低減することができ、より過渡特性の良い、精度の高い測定が可能になる。
【0118】
以上の説明では、検査対象となるウエハWの径の大小に応じて、大径用の第一ウエハチャックプレートWP1及び第一コンタクトプレートCP1並びに第一インダクタンスキャンセルバーLCB1と、小径用の第二ウエハチャックプレートWP2及び第二コンタクトプレートCP2並びに第二インダクタンスキャンセルバーLCB2の2組を備える検査装置及び検査方法について説明したが、本発明に係る検査装置及び検査方法は、さらに、検査対象となるウエハWの径に応じて、第三、第四のウエハチャックプレート、コンタクトプレート、並びにインダクタンスキャンセルバーを備えていても良く、それらをも包含するものである。
【0119】
また、以上の説明では、第一位置と第二位置とで、ウエハチャックプレートに関しては中心位置が変わらず、コンタクトプレートだけが中心位置を変更したが、第一位置と第二位置とで、コンタクトプレートに関しては中心位置が変わらず、ウエハチャックプレートだけが中心位置を変更するようにしても良く、さらには、第一位置と第二位置とで、ウエハチャックプレート及びコンタクトプレートの双方が中心位置を変更するようにしても良い。
【0120】
さらに、以上の説明では、チャックステージ3の上面に溝111、11を形成し、第一、第二ウエハチャックプレートWP1、WP2の下面には溝を形成していないが、チャックステージ3の上面に溝を形成せずに、第一、第二ウエハチャックプレートWP1、WP2の下面に溝を形成してもよい。なお、第一、第二チャックプレートWP1、WP2には、負圧導入口16又は16と多数のウエハ吸着孔とをつなぐ連通路が内部に形成されているので、どちらかといえば、第一、第二ウエハチャックプレートWP1、WP2の下面に溝を形成するよりも、チャックステージ3の上面に溝111、11を形成する方が、第一、第二ウエハチャックプレートWP1、WP2の構造が複雑にならなくて済むので好ましい。
【0121】
また、以上の説明では、第一コンタクトプレートCP1及び第2コンタクトプレートCP2をチャックステージ3に位置決め載置するための位置決用凸部として、3つ並んだ凸部15、15、15うちの中央のものを共用しているが、もっとも左側(図8において最も左側でウエハチャックプレート側)の位置決用凸部15を共用にしてもよい。すなわち、第一コンタクトプレートCP1は3つ並んだうちの左右の端部に位置する位置決用凸部で位置決めし、第2コンタクトプレートCP2は中央と左側(図8における左側でウエハチャックプレート側)の位置決用凸部で固定してもよい。この場合は、第一コンタクトプレートCP1を取り付ける際に、中央の位置決用凸部が第一コンタクトプレートCP1の下方に来て、第一コンタクトプレートCP1下面とチャックステージ3上面との接触を妨げることになるが、これを避けるためには、例えば、中央の位置決用凸部の外径より大きい内径の逃げ穴を第一コンタクトプレートCP1の下面の相当する箇所に形成すると良い。
【産業上の利用可能性】
【0122】
以上説明したとおり、本発明の半導体デバイスの検査装置及びそれを用いる検査方法によれば、電力用半導体デバイスなどのウエハの表裏両面に電極を有する半導体デバイスに対してウエハ状態のままで行う検査において、検査対象となるウエハのサイズが変化した場合でも、それに合わせて、テスタと表面電極用プローブ及び裏面電極用プローブとの電気的接続経路の長さを常に一定の最短長さに維持しつつ、測定経路に発生する寄生インダクタンスを最小にして、精度の高い測定を行うことができるので、その産業上の利用可能性は多大である。
【符号の説明】
【0123】
1 検査装置
2 外枠
3 チャックステージ
4 絶縁板
5 断熱板
6 XYZ-θステージ
7 表面電極用プローブ
8 裏面電極用プローブ
9 制御装置
10 テスタ
W ウエハ
WP1、WP2 第一、第二ウエハチャックプレート
CP1、CP2 第一、第二コンタクトプレート
LCB1、LCB2 第一、第二インダクタンスキャンセルバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21