(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】管制装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/14 20060101AFI20220117BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20220117BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20220117BHJP
【FI】
G08G1/14 A
G08G1/09 F
G08G1/09 V
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2018055912
(22)【出願日】2018-03-23
【審査請求日】2021-02-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】関 淳也
【審査官】佐藤 吉信
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-350842(JP,A)
【文献】特開2018-181304(JP,A)
【文献】特開2019-67200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場に駐車された自動運転可能な車両に指示を行って乗車場まで移動させる管制装置であって、
前記駐車場における複数の前記車両についての取得情報に基づき、前記車両ごとにユーザの乗車に要する時間としての乗車時間を推定する乗車時間推定部と、
前記乗車時間推定部が推定した前記乗車時間に基づき、前記駐車場における複数の前記車両をグループ分けするグループ分け部と、
前記グループごとの前記車両の台数に基づき、前記乗車場に複数定められた乗車枠について、前記グループごとの割当てを行う割当て部と、を備える
管制装置。
【請求項2】
前記車両は、ドア開放時間の計測機能を有しており、
前記乗車時間推定部は、
前記車両から取得した前記ドア開放時間に基づき前記乗車時間を推定する
請求項1に記載の管制装置。
【請求項3】
前記乗車時間推定部は、
前記車両がユーザの降車時に計測した前記ドア開放時間である降車時ドア開放時間に基づき前記乗車時間を推定する
請求項2に記載の管制装置。
【請求項4】
前記グループ分け部は、
前記駐車場における推定駐車時間が一定時間以上の前記車両を対象として前記グループ分けを行う
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の管制装置。
【請求項5】
前記割当て部は、
前記乗車枠のうち一部の乗車枠を対象として、前記台数に応じた前記グループごとの前記割当てを行い、前記乗車枠のうち他の一部の乗車枠には、特定の前記グループを割当てる
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の管制装置。
【請求項6】
前記車両は、過去におけるユーザの乗車時、降車時それぞれにおいて計測した前記ドア開放時間に基づき、ユーザの乗車に要する時間、ユーザの降車に要する時間をそれぞれ学習する機能を有し、
前記乗車時間推定部は、
前記車両が学習した前記乗車に要する時間と前記降車に要する時間との誤差情報と、前記降車時ドア開放時間とに基づいて前記乗車時間を推定する
請求項3に記載の管制装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場に駐車された自動運転可能な車両に指示を行って乗車場まで移動させる管制装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両の駐車支援に係るシステムとして、自動バレーパーキング(Valet Parking)システムが考えられている。自動バレーパーキングシステムは、車両の自動運転技術を利用してバレーパーキングを自動化するものであり、例えばホテルや大型商業施設等のバレーパーキング対応施設に配された管制装置が主体となって車両の管制を行うことが想定されている。具体的に、自動バレーパーキングシステムにおいては、車両が所定の降車場に停車して乗員(運転者を含む)としてのユーザが降車した後、該車両が自動運転により所要の駐車場(駐車スペース)に移動して、駐車する。その後、ユーザからの呼び出し等、所定条件の成立に応じ、管制装置が車両を駐車場から所定の乗車場に自動運転により移動させてユーザを出迎えさせるシステムとして構築できる。
【0003】
なお、関連する従来技術については下記特許文献1を挙げることができる。該特許文献1には、車両をグループ分けし、グループに対応した駐車ゾーンに車両を誘導する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動バレーパーキングシステムにおいて、乗車場は、同時に複数の車両を収容可能とされることが駐車場から乗車場に向かう車両の渋滞防止を図る上で有効である。そしてこの際、乗車場には、複数の乗車枠を設定しておき、駐車場から呼び出された車両を空き枠としての乗車枠に誘導し、該乗車枠に停止させた状態でユーザの乗車を待機させることが考えられる。
【0006】
しかしながら、例えば多数のユーザからの車両呼び出しが時間的に集中した場合等、乗車場への進入車両が時間的に集中した場合には、乗車場が混雑しユーザのスムーズな乗車が妨げられ、乗車場から施設外への車両の退場の流れが滞ってしまう。
特にこの際、乗車場における多数の乗車枠が、乗車に要する時間が長いユーザの車両によって占有されていると、乗車場から施設外への車両の退場の流れが著しく滞り、乗車場の混雑をさらに助長する虞がある。
或いは逆に、乗車場における多数の乗車枠が乗車に要する時間が短いユーザの車両によって占有されていても、乗車場から施設外に退場する車両が時間的に集中する虞がある、換言すれば、退場タイミングが重なる車両が多くなってしまう虞があり、この場合は接触事故防止等のため車両の退場タイミングを調整していると、車両の退場の流れが滞る虞もある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑み為されたものであり、乗車に要する時間の長い車両で乗車枠全てが占有されてしまうことを避け、乗車に要する時間が短い車両を乗車場から滞りなく退場させることを可能として、限られた乗車枠を効率的に使用しながら、乗車場を介した車両退場の流れの滞り防止を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る管制装置は、駐車場に駐車された自動運転可能な車両に指示を行って乗車場まで移動させる管制装置であって、前記駐車場における複数の前記車両についての取得情報に基づき、前記車両ごとにユーザの乗車に要する時間としての乗車時間を推定する乗車時間推定部と、前記乗車時間推定部が推定した前記乗車時間に基づき、前記駐車場における複数の前記車両をグループ分けするグループ分け部と、前記グループごとの前記車両の台数に基づき、前記乗車場に複数定められた乗車枠について、前記グループごとの割当てを行う割当て部と、を備えるものである。
【0009】
これにより、ユーザの乗車に要する時間の推定値により分類された車両の各グループについて、グループ内の車両台数の多寡に応じて、割当てられる乗車枠の数の多寡を変化させることが可能とされる。
【0010】
上記した本発明に係る管制装置においては、前記車両は、ドア開放時間の計測機能を有しており、前記乗車時間推定部は、前記車両から取得した前記ドア開放時間に基づき前記乗車時間を推定する構成とすることが可能である。
【0011】
乗車時や降車時にはドアが開放されるので、ドア開放時間は乗車に要した時間や降車に要した時間の目安となる。
【0012】
上記した本発明に係る管制装置においては、前記乗車時間推定部は、前記車両がユーザの降車時に計測した前記ドア開放時間である降車時ドア開放時間に基づき前記乗車時間を推定する構成とすることが可能である。
【0013】
これにより、駐車直前の降車時に計測されたドア開放時間、すなわち今回の施設利用に係る降車時に計測されたドア開放時間に基づき、乗車時間を推定することが可能とされる。
【0014】
上記した本発明に係る管制装置においては、前記グループ分け部は、前記駐車場における推定駐車時間が一定時間以上の前記車両を対象として前記グループ分けを行う構成とすることが可能である。
【0015】
これにより、グループ分けの処理対象とする車両の数が削減されると共に、駐車場から乗車場への移動開始時期が近いと推定される車両がグループ分けの処理対象として選出される。
【0016】
上記した本発明に係る管制装置においては、前記割当て部は、前記乗車枠のうち一部の乗車枠を対象として、前記台数に応じた前記グループごとの前記割当てを行い、前記乗車枠のうち他の一部の乗車枠には、特定の前記グループを割当てる構成とすることが可能である。
【0017】
これにより、少なくとも一つのグループについては、グループ内の車両台数に拘わらず割当てられる専用の乗車枠が設けられることになる。
【0018】
上記した本発明に係る管制装置においては、前記車両は、過去におけるユーザの乗車時、降車時それぞれにおいて計測した前記ドア開放時間に基づき、ユーザの乗車に要する時間、ユーザの降車に要する時間をそれぞれ学習する機能を有し、前記乗車時間推定部は、前記車両が学習した前記乗車に要する時間と前記降車に要する時間との誤差情報と、前記降車時ドア開放時間とに基づいて前記乗車時間を推定する構成とすることが可能である。
【0019】
これにより、降車時ドア開放時間を用いて乗車時間を推定する場合において、降車時ドア開放時間を学習された乗車時間と降車時間との誤差に基づき補正することが可能とされる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、乗車に要する時間の長い車両で乗車枠全てが占有されてしまうことを避け、乗車に要する時間が短い車両を乗車場から滞りなく退場させることを可能とし、限られた乗車枠を効率的に使用しながら、乗車場を介した車両退場の流れの滞り防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態としての管制装置を備えた出迎えシステムの構成を例示した図である。
【
図2】実施形態の出迎えシステムが適用されるバレーパーキング対応施設に形成された車両通行可能領域の模式図である。
【
図3】実施形態としての管制装置の内部構成例を示したブロック図である。
【
図4】実施形態で用いられる車両が有する自動運転に係る電気的構成を抜粋して示したブロック図である。
【
図5】実施形態で用いられる携帯端末の内部構成例を示したブロック図である。
【
図6】乗車時間の推定に係る処理の例を示したフローチャートである。
【
図7】乗車時間の推定に係る処理の別例を示したフローチャートである。
【
図8】推定乗車時間に基づく車両のグループ分け及びグループに対する乗車枠の割当てに係る処理の例を示したフローチャートである。
【
図9】車両台数に基づく各グループへの乗車枠の割当て例を説明するための図である。
【
図10】割当て固定乗車枠の設定例についての説明図である。
【
図11】割当て固定乗車枠の他の設定例についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<1.出迎えシステムの構成>
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施形態としての管制装置1について説明する。
図1は、実施形態としての管制装置1を備えた出迎えシステム(以下「実施形態の出迎えシステム」と表記)の構成を例示した図であり、
図2は、該出迎えシステムが適用されるバレーパーキング(Valet Parking)対応施設に形成された車両通行可能領域Aaの模式図である。
【0023】
先ず、
図1に示すように実施形態の出迎えシステムは、管制装置1を備えると共に、複数の車両2、複数の携帯端末3、及びネットワーク4を備えている。ネットワーク4は、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等の通信ネットワークとされ、管制装置1は、車両2、携帯端末3のそれぞれとの間でネットワーク4を介した通信を行うことが可能とされている。本例では、車両2と携帯端末3の間においてもネットワーク4を介した通信を行うことが可能とされている。
【0024】
管制装置1はバレーパーキング対応施設にて管理されるコンピュータ装置とされる。車両2は、バレーパーキング対応施設の利用者としてのユーザが使用する車両とされ、携帯端末3は該ユーザが使用する携帯型のコンピュータ装置とされている。
【0025】
図2に示すように、バレーパーキング対応施設の車両通行可能領域Aaには、駐車場Apと乗車場Abとが形成されている。駐車場Apと乗車場Abとの間はそれぞれ車両2が通行可能な通路で接続されており、車両2は駐車場Apと乗車場Abとの間を行き来することが可能とされている。
図示は省略しているが、駐車場Apには複数の駐車枠が設けられ、複数台の車両2を駐車させておくことが可能とされている。乗車場Abは、乗員が車両2に乗車するための場所として設けられ、本例では複数台の車両を収容可能とされている。図示のように乗車場Abには、複数の乗車枠Sbが設けられている。各乗車枠Sbは、車両2が乗員としてのユーザの乗車を待機する際の停車位置を規定した枠とされ、例えば図中に例示するように、白線等により規定された枠とされている。
【0026】
なお、乗車場Abにおいて、駐車場Ap側からの車両2の入り口部分には例えば開閉バーを有するゲートを設けることができる。
【0027】
本例が前提とする自動バレーパーキングシステムでは、車両2として、自動運転機能を有する車両が用いられる。車両2の乗員は、バレーパーキング対応施設に設けられた所定の降車場に車両2で乗り付ける(手動運転、自動運転の何れであってもよい)。降車場に到着し、乗員(運転者を含む)としてのユーザが降車した後に、車両2は、例えばユーザからの駐車指示(例えば車両2に対する操作入力、又は携帯端末3を介した車両2への指示等)に応じて、自動運転により駐車場Apに移動し駐車を行う。
このとき、管制装置1は、駐車場Apにおける空き駐車枠の情報を管理し、上記のように降車場から駐車場Apに移動する車両2に対し、空き駐車枠への駐車を指示する。例えば駐車枠には車両2が識別可能な形態で駐車枠識別子が割り振られており(例えば駐車枠番号が駐車枠ごとに表記されている等)、管制装置1は該識別子により各駐車枠の空き状況を管理しており、車両2は、空き駐車枠についての駐車枠識別子を管制装置1から受信すると、該駐車枠識別子から特定される駐車枠に自動運転機能により駐車を行う。
【0028】
また、本例の自動バレーパーキングシステムでは、ユーザが携帯端末3に対する操作を行って、駐車場Apに駐車された自身の車両2の呼び出し(乗車場Abへの呼び出し)を管制装置1に対し指示することが可能とされている。
この呼び出しの指示を受け管制装置1は、該当する車両2に対し乗車場Abへの移動指示を行い、乗車場Abにてユーザを出迎えさせる。このとき、管制装置1では、乗車場Abにおける乗車枠Sbの空き状況を管理しており、呼び出しのあった車両2を空き枠としての乗車枠Sb(以下「空き乗車枠」とも表記する)に誘導する。
【0029】
本実施形態は、上記のように駐車場Apに駐車された車両2をユーザからの呼び出し指示に応じて乗車場Abに移動させる部分(つまり出迎えシステムの部分)に特徴を有するものであり、特には、呼び出された車両2を乗車場Abにおける何れの乗車枠Sbに誘導すべきかを予め定めておく部分、つまりは、駐車場Apに駐車されている車両2に対する乗車枠Sbの割当てを行う部分に特徴を有する。なお、実施形態としての乗車枠Sbの割当て処理の詳細については改めて説明する。
【0030】
なお、実施形態の出迎えシステムにおいて、車両2及び携帯端末3の数は、システム利用者の数に応じて変化し得るものであり、単数となることも有り得る。
【0031】
<2.各装置の構成>
図3は、管制装置1の内部構成例を示したブロック図である。
図示のように管制装置1は、制御部11、通信部12、及び記憶部13を備えている。制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有するマイクロコンピュータを備えて構成され、ROMに記憶されたプログラムに基づく処理をCPUが実行することで、管制装置1の所要の動作を実現する。
【0032】
通信部12は、制御部11からの指示に基づき、ネットワーク4を介し外部装置(特に本実施形態では車両2、及び携帯端末3)との間でデータの送受信を行う。制御部11は、通信部12を介して外部装置との間でデータ通信を行うことが可能とされている。
なお、通信部12とネットワーク4との間の接続は有線、無線の何れであってもよい。
【0033】
記憶部13は、例えばフラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)等の記憶デバイスで構成され、制御部11が各種データの記憶に用いる。この記憶部13には、例えば上述した駐車場Apにおける空き駐車枠に関するデータや空き乗車枠に関するデータ等、車両2の管制に必要な各種データを記憶することができる。
【0034】
図4は、車両2が有する自動運転に係る電気的構成を抜粋して示したブロック図である。
本例の車両2は、自動運転制御部21、カメラ部22、自動運転駆動制御部23、通信部24、現在位置検出部25、ドアセンサ26、及び座席センサ27を備えている。
【0035】
自動運転制御部21は、CPU、及びROM、RAM等のメモリ(記憶装置)を有するマイクロコンピュータを備えて構成され、車両2の自動運転機能を実現するための制御を行う。ここでの自動運転機能は、少なくとも、前述した降車場、駐車場Ap、乗車場Ab(乗車枠Sb)の間の移動等、指定された位置への移動や、駐車場Apの駐車枠に自動で駐車を行う機能とされる。
自動運転制御21は、車両2の現在位置を検出する現在位置検出部25(例えばGNSSセンサ(GNSS:Global Navigation Satellite System)による現在位置情報を取得可能とされると共に、例えば上記ROM等の内部のメモリに地図情報が記憶され、現在位置情報及び地図情報と、カメラ部22が有する1又は複数のカメラによる撮像画像とに基づき、自動運転のための各種制御を行う。カメラ部22が有するカメラは車外方向を撮像し、自動運転制御部21は、自身が有する画像処理部21aによりカメラ部22が有するカメラの撮像画像について画像解析を行い、車外環境を認識する。例えば、車外に存在する物体の検出や検出物体の認識等を行い、車外環境を認識する。そして、自動運転制御部21は、このような車外環境の認識結果、及び上記した現在位置情報と地図情報に基づいて、自動運転駆動制御部23に各種の指示を行うことで、自動運転を実現する。
【0036】
自動運転駆動制御部23は、操舵アクチュエータ(例えばパワーステアリングモータ等、操舵角を変更可能に設けられたアクチュエータ)の駆動制御を行う操舵制御ECU(Electronic Control Unit)、車両推進装置関連アクチュエータの駆動制御を行う車両推進制御ECU、ブレーキ関連アクチュエータ(例えばブレーキブースターからマスターシリンダへの出力液圧やブレーキ液配管内の液圧をコントロールするための液圧制御アクチュエータ)の駆動制御を行うブレーキ制御ECU、トランスミッション関連アクチュエータ(変速や前後進切り替えを行うためのアクチュエータ)の駆動制御を行うミッション制御ECUを包括的に表したものである。
車両推進装置関連アクチュエータとしては、例えば車両2がエンジン車である場合にはスロットル弁を駆動するスロットルアクチュエータや燃料噴射を行うインジェクタ等のエンジン駆動に係る各種のアクチュエータが該当し、車両2が電動車である場合には走行用モータ等が該当する。
【0037】
自動運転制御部21は、上述した車外環境の認識結果や車両2の現在位置情報、地図情報に基づき、自動運転駆動制御部23に対する操舵量等の指示や、アクセル開度等の車両推進に関する指示、ブレーキのON/OFF指示、及び車両2の前進/後退の指示等を行って自動運転を実現させる。
なお、自動運転制御の具体的な手法については本発明に直接関係するものではなく、詳細な説明については省略する。
【0038】
自動運転制御部21には、通信部24が接続されている。通信部24は、ネットワーク4を介し外部装置(特に本実施形態では管制装置1、及び携帯端末3)との間でデータの送受信を行う。自動運転制御部21は、通信部24を介して外部装置との間でデータ通信を行うことが可能とされている。
本例では、通信部24とネットワーク4との間の接続は無線による接続とされているが、有線による接続とすることも可能である。
【0039】
また、自動運転制御部21には、ドアセンサ26及び座席センサ27が接続されている。
ドアセンサ26は、車両2に設けられた各ドアに係るセンシングを行うデバイスを包括的に表したものである。本例のドアセンサ26は、少なくとも各ドアの開閉状態を検出可能に構成されている。
座席センサ27は、車両2に設けられた各座席(例えば運転席、助手席等の各座席)に係るセンシングを行うデバイスを包括的に表したものである。本例における座席センサ27は、少なくとも座席に対する乗員の着座有無、及びチャイルドシートの取り付け有無を検出可能に構成されている。
なお、座席に対する乗員の着座有無やチャイルドシートの取り付け有無は、車室内を撮像するカメラを設け、該カメラの撮像画像の解析結果に基づき検出することも可能である。
【0040】
図5は、携帯端末3の内部構成例を示したブロック図である。
携帯端末3は、例えば携帯電話機(スマートフォン等)、タブレット端末等の携帯型の情報処理端末として構成することができる。
携帯端末3は、制御部31、通信部32、記憶部33、操作部34、出力部35、及び現在位置検出部36を備えている。
制御部31は、例えばCPU、ROM、及びRAMを有するマイクロコンピュータを備えて構成され、ROMに記憶されたプログラムに基づく処理をCPUが実行することで、携帯端末3の所要の動作を実現する。
【0041】
通信部32は、制御部31からの指示に基づき、ネットワーク4を介し外部装置(特に本実施形態では管制装置1、及び車両2)との間でデータの送受信を行い、制御部31は、通信部32を介して外部装置との間でデータ通信を行うことが可能とされている。
本例では、通信部32とネットワーク4との間の接続は無線による接続とされているが、有線による接続とすることも可能である。
【0042】
記憶部33は、例えばフラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)等の記憶デバイスで構成され、制御部31が各種データの記憶に用いる。
操作部34は、携帯端末3に設けられた各種の操作子を有し、操作に応じた操作情報を制御部31に出力する。操作部34における操作子としては、例えば各種のボタンやタッチパネル等を挙げることができる。
【0043】
出力部35は、携帯端末3に設けられた例えば液晶ディスプレイや有機EL(electro-luminescence)ディスプレイ等の各種表示デバイスやスピーカ等、ユーザに対する各種情報の出力を行うためのデバイスを包括的に表したものである。
出力部35は、制御部31からの指示に基づき各種情報の出力(画面表示や音出力)を行う。
【0044】
現在位置検出部36は、例えばGNSSセンサを備え、携帯端末3の現在位置を検出する。制御部31は、現在位置検出部36が検出した現在位置情報を取得可能とされている。
【0045】
ここで、本例の携帯端末3においては、例えば記憶部33等の制御部31が読み出し可能な記憶装置に、出迎えシステム用アプリ(アプリケーションプログラム)が記憶されている。
この出迎えシステム用アプリは、車両2の呼び出し操作を行うための呼び出し操作画面をユーザに提供する機能を実現する。
本例では、ユーザは、駐車場Apにおける自身の車両2を乗車場Abに呼び出すにあたり、該出迎えシステム用アプリを起動し、該アプリにより提供される呼び出し操作画面に対する所定操作を行う。
【0046】
また、図示による説明は省略するが、本例における携帯端末3は、電子マネーによる購入代金の支払い機能(決済機能)を有しており、該機能により電子マネーによる購入代金の支払いを行ったことに応じて、制御部31が購入代金(購入金額)を表す情報を通信部32を介して管制装置1(制御部11)に送信可能とされている。
なお、このような購入金額の情報に基づいて管制装置1が行う処理については後に改めて説明する。
【0047】
<3.呼び出し対象車両の特定手法について>
ここで、実施形態の出迎えシステムにおいては、管制装置1は、ユーザ(携帯端末3)からの呼び出しを受けた場合に、駐車場Apにおける車両2のうちから該呼び出しを行ったユーザの車両2を特定し、その車両2に対し乗車場Abへの移動指示を行う。
このために管制装置1(制御部11)は、ユーザと車両2との対応関係を把握していることを要する。この把握のための手法については種々考えられ、特定の手法に限定されるものではないが、以下ではその一例を示しておく。
【0048】
先ず、車両2(自動運転制御部21)は、降車場への到着に応じて、管制装置1に対して到着通知を行う。この際に車両2は、管制装置1に対し、自身の車体番号等、車両2を一意に識別可能な所定の車両情報(以下「車両識別情報」と表記)を通知する。これにより管制装置1は、降車場から移動し駐車場Apの駐車枠に駐車された各車両2について、車両識別情報を把握可能となる。
一方、ユーザには、例えば上記した出迎えシステム用アプリの初期設定等として、自身の車両2の車両識別情報を該アプリに対して設定させることとしておく。そして、車両2の呼び出しの際、出迎えシステム用アプリは、呼び出し指示の情報と共に、該設定された車両識別情報を管制装置1側に送信する。
これにより管制装置1は、車両2の呼び出しがあった際、車両識別情報に基づき、呼び出し対象の車両2を特定可能となる。
【0049】
<4.実施形態としての乗車枠割当て処理>
以下、管制装置1が実行する実施形態としての乗車枠割当て処理について、
図6乃至
図8のフローチャートを参照して説明する。
処理の概要としては、先ず、駐車場Apにおける複数の車両2についての取得情報(本例では、後述のように降車場で車両2が実測した「降車に要した時間」を用いる)に基づき、それら車両2ごとに、ユーザの乗車に要する時間としての乗車時間を推定する。
そして、推定した乗車時間に基づき、駐車場Apにおける複数の車両2をグループ分けする。例えば、乗車時間が「長い」「普通」「短い」の各グループに車両2をグループ分けする。その上で、グループごとの車両2の台数に基づき、乗車場Abに複数定められた乗車枠Sbについて、グループごとの割当てを行う。
【0050】
図6は、乗車時間の推定に係る処理の例を示したフローチャートである。なお、
図6を始めとして
図7、
図8に示す各処理は、管制装置1における制御部11(CPU)がROM等に記憶されたプログラムに基づいて実行するものである。
本実施形態において、
図6に示す処理は、例えば所定の周期で繰り返し実行される等、時間軸上において複数回繰り返し実行される処理となる(後述する
図7の処理も同様)。
【0051】
図6において、制御部11はステップS101で、降車場への到着通知の受信を待機する。すなわち、前述のように車両2が降車場への到着に応じて管制装置1に行う通知の受信を待機するものである。
【0052】
到着通知が受信された場合、制御部11はステップS102に進み、到着車両に対し降車に要した時間Toの計測指示を行う。すなわち、ステップS101の到着通知を行った車両2(自動運転制御部21)に対し、乗員としてのユーザが降車に要した時間Toの計測指示を行う。
【0053】
本例において、降車に要した時間Toは、降車場への到着後、最初のドアが開放された時から最後のドアが閉じられた時までの時間として計測する。これは、降車場での降車時におけるドア開放時間を計測していることに相当する。自動運転制御部21は、ドアが開放された時、閉じられた時の検出をドアセンサ26の検出信号に基づき行う。なお、最後のドアが閉じられた時は、例えば降車場から駐車場Apへの移動開始タイミングに対して直近となるドアが閉じられた時として検出する。
【0054】
ステップS102に続くステップS103で制御部11は、チャイルドシート有無の問合せ処理として、車両2に対しチャイルドシートの装着有無の問合せを行う。
【0055】
該問合せに応じ自動運転制御部21は、座席センサ27の検出信号に基づきチャイルドシートが装着された座席の有無を判定し、該当する座席が存在する場合はチャイルドシートの装着がある旨を表す通知を制御部11に対して行う。
【0056】
次いで、制御部11はステップS104で、駐車場Apへの移動開始を待機する。つまり、ステップS101で到着通知を行った車両2が駐車場Apへの移動を開始するまで待機する処理である。
【0057】
車両2が駐車場Apへの移動を開始したことに応じ、制御部11はステップS105で、降車に要した時間Toの計測結果を車両2から取得し、続くステップS106で、チャイルドシートの有無の判定、すなわち、上述したチャイルドシートの装着がある旨を表す通知があったか否かを判定する。
当該通知がなく、チャイルドシートなしと判定した場合、制御部11はステップS107で推定乗車時間Trsを降車に要した時間Toとする処理を行い、
図6に示す一連の処理を終える。
一方、当該通知があり、チャイルドシートありと判定した場合、制御部11はステップS108で推定乗車時間Trsを「降車に要した時間To+所定値C」とする処理を行い、
図6に示す一連の処理を終える。
【0058】
ここで、推定乗車時間Trsは、乗車場Abにおいて車両2のユーザが乗車に要する時間の推定値である。上記のように推定乗車時間Trsについては、基本的には、降車場において車両2が実測した降車に要した時間Toを当て嵌め、チャイルドシートが装着されている場合、つまり乗車に手間取る要素(降車に要する時間よりも乗車に要する時間が長引く要素)がある場合には、降車に要した時間Toに所定のオフセット値(所定値C)を加算した時間(つまり補正した時間)として取得している。
これにより、実際の乗車条件に応じた適切な推定乗車時間Trsを求めることができ、ユーザが乗車に要する時間の推定精度向上を図ることができる。
【0059】
なお、上記では、降車に要する時間よりも乗車に要する時間が長引く要素の例としてチャイルドシートの装着を例示したが、該長引く要素については多様に考えられる。
例えば、施設にて商品購入を行った等により、乗車予定のユーザが手にする荷物の量が多かったり、荷物のサイズが大きい場合には、降車に要する時間よりも乗車に要する時間が長引くことが想定される。そこで、推定乗車時間Trsに対するオフセット値(所定値C)については、ユーザの荷物の量やサイズに基づき可変とすることもできる。
【0060】
一例として、購入品の量やサイズからユーザが手にする荷物の量やサイズを推定する手法を説明する。
例えば、購入品の量やサイズについては、商品の購入店舗の種類、及びその店舗での購入金額の情報に基づき推定することができる。本例では、携帯端末3は前述のように電子マネー決済機能を有しており、購入金額の情報は電子マネー決済金額の情報から推定する。
すなわち、この場合の携帯端末3は、電子マネー決済が行われた場合に、決済金額の情報を管制装置1に送信する。
管制装置1は、商品の購入店舗の種類については、商品購入時(電子マネー決済時)における携帯端末3の位置情報を取得して推定する。管制装置1は、ユーザごとに、商品購入を行った店舗の種類、及びその店舗での決済金額(購入金額)の情報を購入管理情報として保持し、該購入管理情報に基づいてユーザの購入品の量及びサイズに相関した値を「量サイズ相関値」として計算する。この量サイズ相関値は、基本的には、サイズの大きい商品を取り扱う店舗での購入品がある場合には値が大きくなるように計算し、また購入金額が大きくなるに従って値が大きくなるように計算する。
管制装置1は、このように計算される量サイズ相関値が大きくなるに従い所定値Cを大きくする。これにより、ユーザの手にする荷物の量サイズに応じた適切な推定乗車時間Trsを求めることができる。
【0061】
なお、所定値Cは、車両2の乗員構成に応じて可変とすることもできる。例えば、乗員に子供が含まれる場合には、より乗車に要する時間が長引くとして、所定値Cを大きくする等である。乗員に子供が含まれるか否かは、例えば車両2において車室内を撮像するカメラ(車内カメラ)の撮像画像を解析した結果等に基づき判定することができる。
或いは、乗員数が多くなるにつれて所定値Cをより大きくする等も考えられる。車両2の乗員数は、車両2から着座乗員数の情報(例えば降車場到着時の着座乗員数)を取得する。車両2における乗員の着座有無は、例えば座席センサ27の検出信号や上記の車内カメラの撮像画像に基づき検出することができる。
【0062】
ここで、推定乗車時間Trsについては、車両2側での学習により得られるユーザの「通常乗車に要する時間」と「通常降車に要する時間」とを用いて計算することもできる。ここで、「通常乗車に要する時間」「通常降車に要する時間」は、車両2への乗車、車両2からの降車にあたってユーザが通常に要する時間をそれぞれ意味するものであり、車両2が実測したユーザの「乗車に要した時間」「降車に要した時間」の複数サンプルから学習により求められる。具体的に、本例では、これら複数サンプルの平均値を、「通常乗車に要する時間」「通常降車に要する時間」としてそれぞれ求める。
【0063】
本例の車両2において、自動運転制御部21は、バレーパーキング対応施設の利用時に、乗車場でのユーザの「乗車に要した時間」を計測し、保持しておく。本例では、「乗車に要した時間」としても、最初のドアが開放された時から最後のドアが閉じられた時までの時間として計算する。バレーパーキング対応施設が複数回利用されることで、車両2には過去における「乗車に要した時間」のサンプル値が複数保持される。なお、ここで言うバレーパーキング対応施設としては一箇所の施設のみが対象とされることに限定されず、複数の施設が対象とされることもある。
また、「降車に要した時間」は、上述した時間Toとして車両2が計測しており、該「降車に要した時間」としてもバレーパーキング対応施設が複数回利用されることで複数のサンプル値が保持される。
自動運転制御部21は、このように複数保持される「乗車に要した時間」「降車に要した時間」のサンプル値について、それぞれ平均値を計算し「通常乗車に要する時間」「通常降車に要する時間」として得る。
【0064】
なお、「通常乗車に要する時間」「通常降車に要する時間」は、例えば曜日ごとなどの所定の条件ごとに異なる値を学習し、推定乗車時間Trsの計算にあたって使い分けることもできる。
【0065】
上記にように車両2側で学習された「通常乗車に要する時間」と「通常降車に要する時間」との誤差情報(誤差時間ΔT)を用いて、推定乗車時間Trsの計算を行う場合の処理を
図7のフローチャートを参照して説明する。
図7において、
図6の処理との差異点は、ステップS103に代えてステップS201の処理を実行する点、及び、ステップS106~S108の処理に代えてステップS202の処理が実行される点である。
【0066】
ステップS201で制御部11は、「通常乗車に要する時間」と「通常降車に要する時間」との誤差時間ΔTを取得する。具体的には、車両2から「通常乗車に要する時間」と「通常降車に要する時間」とを取得し、それらの差分を誤差時間ΔTとして算出し取得する。本例では、誤差時間ΔTは「通常乗車に要する時間」から「通常降車に要する時間」を減じた値として計算する。
なお、誤差時間ΔTは車両2側で計算させたものを取得してもよい。
【0067】
また、ステップS202で制御部11は、推定乗車時間Trsの計算処理を実行する。すなわち、制御部11は、ステップS105で取得した「降車に要した時間To」を誤差時間ΔTにより補正して推定乗車時間Trsを求める。具体的には、「降車に要した時間To」に誤差時間ΔTを加算して推定乗車時間Trsとする。
【0068】
上記のように降車に要した時間Toを誤差時間ΔTに基づき補正して推定乗車時間Trsを求める手法によれば、ユーザが通常に要する乗車時間と降車時間との誤差に基づいて乗車時間を適切に推定することができ、乗車時間の推定精度向上を図ることができる。
【0069】
図8は、推定乗車時間Trsに基づく車両2のグループ分け及びグループに対する乗車枠Sbの割当てに係る処理の例を示したフローチャートである。
この
図8に示す処理としても、
図6に示した処理と同様に、例えば所定の周期で繰り返し実行される等、時間軸上において複数回繰り返して実行される処理となる。
【0070】
先ず、制御部11はステップS301で、推定駐車時間Tpsが一定時間以上の車両2を対象車両として特定する。ここで、推定駐車時間Tpsは、車両2の駐車場Apにおける駐車時間の推定値を意味する。ここでの駐車時間とは、車両2の駐車開始時点からの経過時間を意味する。駐車開始時点は、例えば車両2が駐車場Apに進入した時点や、駐車場Apへの進入後、最初に停車した時点、或いは指定の駐車枠に駐車を行った時点等、車両2の駐車開始時点としてみなすことのできる時点とすればよい。具体的に、駐車開始時点としては、例えば駐車場Apに進入した時点から指定の駐車枠に駐車を行った時点(例えば駐車場Apへの進入後最初にギアがパーキングに入れられた時点)までの間の任意の時点を設定することができる。
本例では、駐車開始時点=車両2が駐車場Apに進入した時点として、推定駐車時間Tpsを計測する。具体的に、制御部11は、車両2が降車場から駐車場Apへの移動を開始した後、該車両2の駐車場Apへの進入タイミングを判定し、該進入タイミングからの経過時間を該車両2の推定駐車時間Tpsとして計測する。車両2の駐車場Apへの進入タイミングの判定は、例えば車両2側で現在位置情報や車外環境の認識結果等から駐車場Apへの進入を検知及び管制装置1側に通知させるようにしておき、制御部11が、該通知が行われたタイミングを駐車場Apへの進入タイミングとして特定する等の手法により行うことができる。或いは、車両2の現在位置情報を監視した結果に基づき駐車場Apへの進入タイミングを判定する等、駐車場Apへの進入タイミングの判定については具体的な手法が多様に考えられ、特定の手法に限定されるものではない。
なお、推定駐車時間Tpsは車両2側で計測したものを取得してもよい。
【0071】
ステップS301で制御部11は、駐車場Apにおける各車両2について、上記のような推定駐車時間Tpsを取得し、推定駐車時間Tpsが一定時間以上の車両2を対象車両として特定する。
【0072】
続くステップS302で制御部11は、対象車両について、推定乗車時間Trsに基づくグループ分けを行う。このグループ分け処理として、本例では、対象車両を乗車時間が「長い」「短い」「普通」の3グループの何れかに分類する。具体的に、本例の制御部11には、推定乗車時間Trsに対する閾値として閾値THl及び閾値THs(THl>THs)が設定されており、推定乗車時間Trsの値が閾値THsよりも小さい車両2は「短い」グループ、推定乗車時間Trsの値が閾値THs以上且つ閾値THl以下の車両2は「普通」グループ、推定乗車時間Trsが閾値THlよりも大きい車両2は「遅い」グループにそれぞれ分類する。
なお、グループの数は三つに限定されるものではなく、二つ或いは四つ以上とすることもできる。また、グループ分けの手法は上記のような閾値で区切る手法に限定されず、推定乗車時間Trsの分布度合いを考慮してグループ分けを行う等、他の手法によって行うこともできる。
【0073】
次いで、制御部11はステップS303で、グループごとの車両台数割合を計算する。すなわち、グループごとに、車両台数を対象車両の数で除して得られる値(本例では百分率による値とする)を車両台数割合として計算する。
【0074】
続くステップS303で制御部11は、車両台数割合に基づき、グループごとに乗車枠Sbを割当てる処理を行って、
図8に示す一連の処理を終える。
【0075】
図9は、車両台数に基づく各グループへの乗車枠Sbの割当て例を説明するための図である。
例えば、
図9Aに示すように乗車時間が「短い」「普通」「長い」それぞれのグループにおける車両台数割合が30%、50%、20%であったとする。
図9Bは、乗車枠Sb数=10である場合の割当て例を示しているが、
図9Aのような内訳であった場合、図示のように「短い」「普通」「長い」各グループに割当てる乗車枠Sbの数を「3」「5」「3」とする。
【0076】
このように本例では、乗車場Abにおける全乗車枠Sbを対象として、グループごとに割当てる乗車枠Sbの数を、グループに属する車両の数の多さに基づき定めている。具体的には、グループ内の車両台数の多寡に応じて、割当てられる乗車枠Sbの数の多寡を変化させているものであり、より具体的には、割当てられる乗車枠数の割合が、グループごとの車両台数の割合に一致するように割当てを行っている。
【0077】
上記のような割当てを行うことで、乗車に要する時間の長い車両2で乗車枠Sb全てが占有されてしまうことの防止を図ることができる。また同時に、乗車に要する時間が短い車両2を乗車場Abから滞りなく退場させることも可能となる。
従って、乗車場Abにおける限られた乗車枠Sbを効率的に使用しながら、乗車場Abを介した車両2の退場の流れの滞り防止を図ることができる。
【0078】
また、乗車に要する時間の長い車両2(以下「乗車時間が長い車両2」とも表記)で乗車枠Sbが占有されてしまうことの防止が図られることで、乗車に要する時間の短い車両2(以下「乗車時間が短い車両2」とも表記)のユーザが乗車場Abで待たされてしまうことの防止を図ることができる。
乗車時間が長い車両2で乗車枠Sbが占有されている際、それら乗車時間が長い車両2に乗車しようと乗車場Abに居合わせているユーザにとっては、同じ乗車場Abで自身の車両2の到着を待ちわびている乗車時間が短い車両2のユーザの存在が、心理的負担となる虞がある。上記のように乗車時間が長い車両2で乗車枠Sbが占有されてしまうことの防止が図られることで、そのような心理的負担を乗車時間が長い車両2のユーザに与えてしまうことの防止を図ることができる。
【0079】
なお、図示による説明は省略するが、制御部11は、ユーザからの車両2の呼び出しがあった場合は、該車両2が属するグループに割当てられた乗車枠Sbを特定し、特定した乗車枠Sbのうちの空き乗車枠に該車両2を誘導する処理を実行する。
【0080】
ここで、上記では、乗車場Abにおける全ての乗車枠Sbを対象として、各グループの車両台数に応じた乗車枠Sbの割当てを行う例を挙げたが、該割当ての対象を一部の乗車枠Sbに限定することもできる。
例えば、特定のグループについて、そのグループに必ず割当てられる乗車枠Sb(以下「割当て固定乗車枠」と表記)を定めておき、割当て固定乗車枠を除いた乗車枠Sbを対象として、車両台数に応じた各グループへの乗車枠Sbの割当てを行うもできる。
【0081】
図10、
図11を参照して具体例を説明する。
図10は、乗車時間が「長い」グループに対してのみ割当て固定乗車枠(図中破線で囲った乗車枠Sb)を設定した例である。
仮に、乗車時間が「長い」グループに属する車両2の台数が少なく、車両台数に応じた割当て乗車枠数が少なくなってしまうと、乗車時間が「長い」グループの乗車枠Sbが渋滞してしまう(つまりユーザが長時間待たされる)ことが懸念される。上記のように乗車時間が「長い」グループ専用の割当て固定乗車枠を設けることで、このような渋滞の発生防止を図ることができ、ユーザを過剰に待たせる事態の発生防止を図ることができる。
【0082】
図11は、各グループに割当て固定乗車枠を設定した例である。
この場合、個々の割当て固定乗車枠の枠数は、図示のようにグループごとに同数としてもよいし、或いは、グループごとに異なる枠数とする等、少なくとも一部のグループ間で枠数が異なってもよい。
割当て固定乗車枠をどのグループに設定するかについては任意であり、
図11に示すように全グループとしてもよいし、
図10のように一部グループに対してのみ設定してもよい。
【0083】
<5.変形例>
なお、上記では、推定乗車時間Trsを取得するにあたり、車両2が実測した「降車に要した時間To」を用いる例を挙げたが、推定乗車時間Trsの取得手法については種々考えられる。
例えば、車両2が記憶している「通常乗車に要する時間」を、推定乗車時間Trsとして取得することもできる。或いは、「通常乗車に要する時間」を、チャイルドシートの使用有無や、乗員構成、ユーザの購入品の量サイズ等、乗車時間を左右し得る要素に基づいて補正し、該補正された時間を推定乗車時間Trsとして取得することもできる。
さらに別の手法としては、全ての車両2に共通の(固定の)乗車時間(乗車に要する時間)を定義しておき、該乗車時間を、チャイルドシートの使用有無や、乗員構成、ユーザの購入品の量サイズ等に基づいて補正し、該補正された時間を推定乗車時間Trsとして取得することもできる。
【0084】
なお、上記共通の乗車時間を用いる例において、ユーザの購入品の量サイズに基づき共通の乗車時間を補正する手法を採る場合には、制御部11は、例えば予め設定された共通の乗車時間と、ユーザの携帯端末3から取得した電子マネー決済金額等の情報から求めた量サイズ相関値とに基づいて推定乗車時間Trsを取得することになる。つまりこの場合は、推定乗車時間Trsの取得にあたり、制御部11が車両2から情報を取得することが不要となる。
この際、推定乗車時間Trsの取得に用いる電子マネー決済金額等の情報(つまりユーザの購入品に係る情報)は、車両2の使用者であるユーザに関する情報であることから、「車両についての取得情報」の一態様に該当する。
このように、乗車に要する時間の推定は、車両についての取得情報に基づき行うものであればよい。
【0085】
また、上記では、各グループに割当てる乗車枠Sbの数が、グループ内の車両台数に応じて適宜変化し得る例を挙げたが、これに代えて、それぞれが異なる数の乗車枠Sbを有する複数の乗車枠部を定めておき、車両台数の多いグループほど、乗車枠Sbの数が多い乗車枠部が割当てられるようにするといった手法を採ることもできる。具体例としては、乗車枠Sbの数が最も多い第一乗車枠部、次いで乗車枠Sbの数が多い第二乗車枠部、最も乗車枠Sbの数の少ない第三乗車枠部を設定しておき、「短い」「普通」「長い」の各グループについて、車両台数の最も多いグループには第一乗車枠部を、次いで車両台数の多いグループには第二乗車枠部を、最も車両台数の少ないグループには第三乗車枠部をそれぞれ割当てるといったように、乗車枠Sbの数が固定とされた複数の乗車枠部を定めておき、それぞれのグループに対し、車両台数に応じた枠数の乗車枠部を割当てるといったものである。
このような手法によっても、グループ内の車両台数の多寡に応じて、割当てられる乗車枠Sbの数の多寡を変化させることができる。
なお、少なくとも一つの乗車枠部については、枠数を「1」とすることもあり得る。
【0086】
また、上記では、本実施形態の出迎えシステムが自動バレーパーキングシステムに適用されて、車両2の駐車場Apへの移動や駐車が自動運転により行われる前提とされたが、実施形態の出迎えシステムは、運転者自身の運転操作により車両2の駐車場Apへの移動、及び/又は駐車枠への駐車が行われる場合にも好適に適用できる。
【0087】
<6.実施形態のまとめ>
上記で説明したように実施形態の管制装置(同1)は、駐車場に駐車された自動運転可能な車両(同2)に指示を行って乗車場まで移動させる管制装置であって、駐車場における複数の車両についての取得情報に基づき、車両ごとにユーザの乗車に要する時間としての乗車時間を推定する乗車時間推定部(制御部11:
図6、
図7の処理を参照)と、乗車時間推定部が推定した乗車時間に基づき、駐車場における複数の車両をグループ分けするグループ分け部(制御部11:
図8のS302を参照)と、グループごとの車両の台数に基づき、乗車場に複数定められた乗車枠について、グループごとの割当てを行う割当て部(制御部11:
図8のS303、S304を参照)と、を備えている。
【0088】
これにより、ユーザの乗車に要する時間の推定値により分類された車両の各グループについて、グループ内の車両台数の多寡に応じて、割当てられる乗車枠の数の多寡を変化させることが可能とされる。
従って、乗車に要する時間の長い車両で乗車枠全てが占有されてしまうことを避け、乗車に要する時間が短い車両を乗車場から滞りなく退場させることが可能となり、限られた乗車枠を効率的に使用しながら、乗車場を介した車両退場の流れの滞り防止を図ることができる。
【0089】
また、実施形態の管制装置においては、車両は、ドア開放時間の計測機能を有しており、乗車時間推定部は、車両から取得したドア開放時間に基づき乗車時間を推定している。
【0090】
乗車時や降車時にはドアが開放されるので、ドア開放時間は乗車に要した時間や降車に要した時間の目安となる。
従って、乗車時間の推定をドア開放時間に基づき行うことで、乗車時間の推定精度向上、つまりは車両のグループ分け精度の向上を図ることができ、乗車場を介した車両退場の流れの滞り防止効果を高めることができる。
【0091】
さらに、実施形態の管制装置においては、乗車時間推定部は、車両がユーザの降車時に計測したドア開放時間である降車時ドア開放時間に基づき乗車時間を推定している。
【0092】
これにより、駐車直前の降車時に計測されたドア開放時間、すなわち今回の施設利用に係る降車時に計測されたドア開放時間に基づき、乗車時間を推定することが可能とされる。
従って、乗車時間の推定精度向上、つまりは車両のグループ分け精度の向上を図ることができ、乗車場を介した車両退場の流れの滞り防止効果を高めることができる。
【0093】
さらにまた、実施形態の管制装置においては、グループ分け部は、駐車場における推定駐車時間が一定時間以上の車両を対象としてグループ分けを行っている(
図8のS301、S302を参照)。
【0094】
これにより、グループ分けの処理対象とする車両の数が削減されると共に、駐車場から乗車場への移動開始時期が近いと推定される車両がグループ分けの処理対象として選出される。
従って、グループ分けに係る処理負担の軽減を図りつつ、駐車車両の乗車場への移動開始時期を考慮した適切な乗車枠の割当てが行われることにより、乗車場を介した車両退場の流れの滞り防止効果を高めることができる。
【0095】
また、実施形態の管制装置においては、割当て部は、乗車枠のうち一部の乗車枠を対象として、台数に応じたグループごとの割当てを行い、乗車枠のうち他の一部の乗車枠には、特定のグループを割当てている(
図10、
図11を参照)。
【0096】
これにより、少なくとも一つのグループについては、グループ内の車両台数に拘わらず割当てられる専用の乗車枠が設けられることになる。
従って、例えば乗車に要する時間が長いグループについて専用の乗車枠を設けることで、乗車に要する時間が長い車両による乗車場の混雑防止を図ることができる等、グループ専用の乗車枠を設けることにより、乗車場の混雑防止効果の向上を図ることができる。
【0097】
さらに、実施形態の管制装置においては、車両は、過去におけるユーザの乗車時、降車時それぞれにおいて計測したドア開放時間に基づき、ユーザの乗車に要する時間、ユーザの降車に要する時間をそれぞれ学習する機能を有し、乗車時間推定部は、車両が学習した乗車に要する時間と降車に要する時間との誤差情報と、降車時ドア開放時間とに基づいて乗車時間を推定している(
図7を参照)。
【0098】
これにより、降車時ドア開放時間を用いて乗車時間を推定する場合において、降車時ドア開放時間を学習された乗車時間と降車時間との誤差に基づき補正することが可能とされる。
従って、乗車時間の推定精度向上、つまりは車両のグループ分け精度の向上を図ることができ、乗車場を介した車両退場の流れの滞り防止効果を高めることができる。
【符号の説明】
【0099】
1 管制装置、2 車両、3 携帯端末、Aa 、Ap 駐車場、Ab 乗車場、11 制御部、21 自動運転制御部、26 ドアセンサ、27 座席センサ、25 現在位置検出部、31 制御部、34 操作部、35 出力部、36 現在位置検出部