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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】サフルフェナシルを含む微粒子組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 25/28 20060101AFI20220117BHJP
   A01N 43/54 20060101ALI20220117BHJP
   A01P 13/00 20060101ALI20220117BHJP
   A01N 25/04 20060101ALI20220117BHJP
   A01C 1/00 20060101ALI20220117BHJP
   A01C 1/08 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
A01N25/28
A01N43/54 F
A01P13/00
A01N25/04 102
A01C1/00 V
A01C1/08
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018511745
(86)(22)【出願日】2016-09-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-11-01
(86)【国際出願番号】 EP2016070676
(87)【国際公開番号】W WO2017037210
(87)【国際公開日】2017-03-09
【審査請求日】2019-08-30
(31)【優先権主張番号】15183734.1
(32)【優先日】2015-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515012583
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ アグロ ベー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ノラー,バスティアン マルテン
(72)【発明者】
【氏名】フックス,ヤニック
(72)【発明者】
【氏名】シモン,アンヤ
(72)【発明者】
【氏名】ゾーヴァ,クリスティアン
【審査官】西澤 龍彦
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-124705(JP,A)
【文献】特表2014-514354(JP,A)
【文献】米国特許第06767865(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第103814927(CN,A)
【文献】特開2000-302606(JP,A)
【文献】国際公開第2013/134310(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A01C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サフルフェナシルを含む微粒子組成物であって、サフルフェナシルが、1種以上のアミノ化合物及び1種以上のアルデヒドの重縮合生成物であるアミノプラストポリマーに取り囲まれた又は埋め込まれた固体サフルフェナシルを含む微粒子の形態で存在し、微粒子組成物が、複数の硫酸基又はスルホン酸基を有する少なくとも1種のアニオン性ポリマー界面活性剤を含有し、且つ微粒子が、該微粒子の水性分散の動的光散乱で決定したとき、1~25μmの範囲の重量平均粒径d50を有する、微粒子組成物。
【請求項2】
アミノプラストポリマーが、メラミンホルムアルデヒド樹脂及び尿素ホルムアルデヒド樹脂からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
微粒子組成物中のアミノプラストポリマーの量が、アミノプラストポリマー及びサフルフェナシルの総重量に対して、0.5~40重量%である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
微粒子組成物中のアミノプラストポリマーの量が、アミノプラストポリマー及びサフルフェナシルの総重量に対して、1~35重量%である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
微粒子が、該微粒子の水性分散の動的光散乱で決定したとき、50μm超の粒径を有する粒子を10重量%未満含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
アニオン性ポリマー界面活性剤が、スルホン酸基を有する、(メタ)アクリレートモノマー又は(メタ)アクリルアミドモノマーのホモポリマー又はコポリマーである、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
アニオン性ポリマー界面活性剤に加えて少なくとも1種のアニオン性乳化剤を更に含有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
微粒子の水性懸濁液である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
微粒子の固体組成物である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
植物保護組成物の製剤に従来用いられている1種以上の助剤を含有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物を製造する方法であって、以下のステップ
i)固体サフルフェナシル粒子の水性懸濁液又は分散を用意するステップ、
ii)アミノプラスト初期縮合物を前記水性懸濁液又は分散液に添加するステップ、
iii)前記アミノプラスト初期縮合物の重縮合を、複数の硫酸基又はスルホン酸基を有する少なくとも1種のアニオン性ポリマー界面活性剤の存在下で行うステップ
を含む、方法。
【請求項12】
水性懸濁液又は分散中のサフルフェナシル粒子が、動的光散乱で決定したとき、0.5~25μmの範囲の重量平均粒径d50を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ステップii)で添加したアミノプラスト初期縮合物の量が、サフルフェナシル及びアミノプラスト初期縮合物の総量に対して、固体有機物として算出して、0.5~40重量%の範囲である、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
ステップii)で添加したアミノプラスト初期縮合物の量が、サフルフェナシル及びアミノプラスト初期縮合物の総量に対して、固体有機物として算出して、1~35重量%の範囲である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
複数の硫酸基又はスルホン酸基を有する少なくとも1種のアニオン性ポリマー界面活性剤が、スルホン酸基を有する(メタ)アクリレートモノマー又は(メタ)アクリルアミドモノマーのホモポリマー又はコポリマーである、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ステップii)におけるアミノプラスト初期縮合物の添加前に、複数の硫酸基又はスルホン酸基を有する少なくとも1種のアニオン性ポリマー界面活性剤が添加される、請求項11から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
望ましくない植生を防除するための、請求項1~10のいずれかに記載の微粒子組成物の使用。
【請求項18】
望ましくない植生を防除する方法であって、請求項1~10のいずれかに記載の微粒子組成物を、植物、その環境及び/又は種子に作用させる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サフルフェナシルを含む微粒子組成物、その製造方法、及び望ましくない植生を防除するためのこれらの微粒子組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
サフルフェナシルは、除草活性フェニルウラシル化合物、2-クロロ-5-[3,6-ジヒドロ-3-メチル-2,6-ジオキソ-4-(トリフルオロメチル)-1-(2H)ピリミジニル]-4-フルオロ-N-[[メチル(1-メチルエチル)アミノ]スルホニル]ベンズアミドのINN一般名である。サフルフェナシルは、以下の式I
【化1】
で示すことができる。
【0003】
サフルフェナシルは、初めて国際公開第01/083459号パンフレットに記載された。その製造のための更なる方法は、国際公開第03/097589号パンフレット、国際公開第05/054208号パンフレット、国際公開第06/097589号パンフレット及び国際公開第06/125746号パンフレットに記載されている。本明細書において以下で結晶性無水物形態とも称される結晶性で本質的に溶媒を含まない形態のサフルフェナシルが、国際公開第08/043835号パンフレットに記載されている。2つの結晶性水和物形態のサフルフェナシルが、国際公開第08/043836号パンフレットに記載されている。サフルフェナシルは、水にわずかに難溶性である。
【0004】
サフルフェナシルは、少ない施用量で望ましくない植生の成長を効率的に阻害する高活性除草剤である。残念なことに、その選択性は必ずしも十分ではなく、作物でのその使用は幾分限られている。更に、サフルフェナシルは、十分な残効性(residual activity)を有しておらず、したがってそれを施用した後まもなく再成長が起こり得る。
【0005】
除草剤、例えば、サフルフェナシルは、除草剤の濃縮製剤を水で希釈することにより製造される希釈水性噴霧液の形態で通常施用される。このために、殺有害生物剤化合物は、水和剤(WP)及び顆粒水和剤(WG)等の固体形態で、並びにエマルション、乳剤(EC)、サスポエマルション製剤(SE)(suspoemulsion)又はフロアブル製剤(SC)(suspension concentrate)等の液体形態で製剤化され得る。製剤を水で容易に希釈できること、及び噴霧ノズルの詰まりの原因であり得るため、有効成分が分離せずに希釈物が安定した状態を一定時間保つことは、効率的なカプセル化のために特に重要である。環境保護の理由から、製剤が、大量の有機溶媒を含有しないことが好ましく、これは、固体製剤及び水性SC製剤に主として有利に働く。
【0006】
SCの使用に関連した上記利点にも関わらず、長期保存又は昇温下での保存中の沈殿、沈殿した粒子の再懸濁に対する抵抗性及び保存時の結晶性物質の形成の結果として、SCで時々直面する当業者に公知の問題が幾つか存在する。結果として、製剤は、取り扱いが難しくなり得、生物学的有効性が一貫しない場合がある。
【0007】
サフルフェナシルを製剤化しようとすると、幾つかの問題に直面する。サフルフェナシルは、塩基性pH値で加水分解を受け得る、N-アミノ-スルホニルカルボキサミド側鎖を有する。これに加えて、サフルフェナシルは、様々な結晶及び非結晶変態、即ち、非晶質形態、結晶性水和物及び結晶性無水物で存在することが可能であり、これは、別の結晶形態への制御されない変換を受ける場合がある。次に、この変換により、特に、フロアブル製剤として製剤化されたときサフルフェナシル粒子が粗大化する場合がある。これらの因子は、製剤の化学的及び物理的安定性を低下させる場合があり、製剤が、長期間及び/又は昇温下で保存される場合に影響は特に顕著である。サフルフェナシルの粗大粒子は、希釈された製剤から分離しやすいため、前記因子は、低い希釈特性にもつながり得る。
【0008】
サフルフェナシルの幾つかの安定な水性農業製剤がこれまでに記載されてきた。国際公開第2011/023759号パンフレットには、サフルフェナシル-無水物及びある種のアニオン性及び非イオン性界面活性剤の組み合わせを含有する水性フロアブル製剤が記載されている。国際公開第2011/023758号パンフレットには、グリホセートを共除草剤として更に含有するサフルフェナシルの水性フロアブル製剤が記載されている。これらの製剤は安定しているが、低い作物選択性及び不十分な残効性の問題が解決されていない。
【0009】
マイクロカプセル製剤の形態で殺有害生物剤活性化合物を提供することが主として知られている(H. Mollet、A. Grubenmann "Formulation Technology" 第1版、Wiley-VCH Verlag GmbH、Weinheim 2001、6.4章及び14.2.2章参照)。マイクロカプセル化は、コアセルベーション技術、噴霧乾燥、流動床コーティング、静電マイクロカプセル化又はin-situ重合により主として達成され得る。これらの技術により、活性化合物がポリマー壁材料に取り囲まれた活性化合物粒子が得られる。
【0010】
農薬材料のマイクロカプセル化の最も一般的な方法は、界面重合である。この方法において、第1の反応物、例えば、多官能性イソシアネート又は酸塩化物を、液体有効成分又はその溶液に溶解し、次いで、水に分散させ、第1の反応物、例えば、ジアミン又はジオールに対して相補的反応性を有する多官能性化合物を添加することにより重合を行う(H. Mollet、A. Grubenmann、loc. cit.、394頁、及び米国特許第4,107,292号、米国特許第5,705,174号、米国特許第5,910,314号、国際公開第0027519号パンフレット、欧州特許第8207号、米国特許第2004/115280号参照)。活性物質と水相との間の界面で起こる重合により、活性物質の微細液滴がポリ尿素又はポリアミドの薄膜に完全に閉じ込められる。
【0011】
更なるin-situ重合技術としては、アミノプラスト、例えば、メラミンホルムアルデヒド樹脂(MF樹脂)又は尿素ホルムアルデヒド樹脂(UF樹脂)又はメラミンホルムアルデヒド尿素樹脂(MUF樹脂)を用いた液体のマイクロカプセル化が挙げられる。アミノプラスト樹脂は、そのプレポリマー又は初期縮合物(precondensate)の形態で用いられ、これらは、プレポリマーの重合を行うために、加熱するか、及び/又は反応混合物のpHを変えることによりカプセル化及び硬化される材料の水性エマルションに添加される。それにより、マイクロカプセルの水性懸濁液が得られ、カプセル化された材料の粒子は、アミノプラストポリマーに取り囲まれるか、又はそこに埋め込まれる。この方法の調査は、Acta Polymerica 40、(1989)第5号、325~331頁及びC.A. Finch、R. Bodmeier、Microencapsulation、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、第6版、2001 Electronic Releaseに記載されている。
【0012】
アミノプラスト初期縮合物のin-situ重合を用いた殺有害生物剤のマイクロカプセル化は、何回か記載されている。例えば、米国特許第4,557,755号には、カチオン性尿素樹脂の存在下で殺有害生物剤化合物の水性懸濁液中でアミノプラスト初期縮合物、例えば、メラミンホルムアルデヒド又はメラミン尿素ホルムアルデヒド樹脂を重合することによる、水不溶性殺有害生物剤のマイクロカプセル化が記載されている。該方法では、ある種の殺虫剤及び殺菌剤が示唆されている。
【0013】
米国特許第5,462,915号には、殺有害生物剤の懸濁液に液体アミノプラストプレポリマーを添加し、プレポリマーを100℃超の温度で硬化することを含む、水不溶性殺有害生物剤のマイクロカプセル化の改良された方法が記載されている。該方法は、ジカンバの水不溶性塩のマイクロカプセル化に適用された。同様の方法が国際公開第00/27519号パンフレットから公知であり、これは、カルボフランのマイクロカプセル化に適用された。
【0014】
国際公開第96/03041号パンフレットには、マイクロカプセルが、殺有害生物剤化合物の周りに付着したアミノプラスト外層及び内部ワックスコーティングを有する、殺有害生物剤のマイクロカプセル組成物が記載されている。
【0015】
マイクロカプセル化の現代の技術としては、殺有害生物剤化合物のo/w型エマルションの存在下での水不溶性アクリレートモノマーと(メタ)アクリル酸及び場合により多官能性モノマーとのラジカル懸濁重合(国際公開第2012/101070号パンフレット参照)、又は殺有害生物剤をモノマー液滴に溶解又は懸濁する水性モノマーエマルションのラジカル乳化重合(国際公開第2005/102044号パンフレット、国際公開第2006/094792号パンフレット、国際公開第2006/094978号パンフレット参照)が挙げられる。しかし、殺有害生物剤の量を超え得る、かなりの量のポリマーが必要とされる。
【0016】
マイクロカプセル化は、殺有害生物剤の急性毒性を改善するか、又は劣化を低減することができるが、それを実現するのは難しい場合が多い。特に、特定の殺有害生物剤化合物に対して有効であり得る一つのカプセル化法が、必ずしも別の殺有害生物剤化合物に対して有効であるとは限らない場合、カプセル化中又はその後の殺有害生物剤粒子の凝集が最大の問題である。in-situ重合技術により固体材料の水性懸濁液中で固体材料をカプセル化しようとすると、固体材料は凝集する傾向にあり、それにより、有効成分粒子の大粒子が形成され、これがポリマーマトリックスに埋め込まれる。通常、このようにして得られた懸濁液はもはや農業用途に適していない。これまでに、少量のカプセル化ポリマーを使用して、固体殺有害生物剤粒子を効率的にカプセル化することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】国際公開第01/083459号パンフレット
【文献】国際公開第03/097589号パンフレット
【文献】国際公開第05/054208号パンフレット
【文献】国際公開第06/097589号パンフレット
【文献】国際公開第06/125746号パンフレット
【文献】国際公開第08/043835号パンフレット
【文献】国際公開第08/043836号パンフレット
【文献】国際公開第2011/023759号パンフレット
【文献】国際公開第2011/023758号パンフレット
【文献】米国特許第4,107,292号
【文献】米国特許第5,705,174号
【文献】米国特許第5,910,314号
【文献】国際公開第0027519号パンフレット
【文献】欧州特許第8207号
【文献】米国特許第2004/115280号
【文献】米国特許第4,557,755号
【文献】米国特許第5,462,915号
【文献】国際公開第00/27519号パンフレット
【文献】国際公開第96/03041号パンフレット
【文献】国際公開第2012/101070号パンフレット
【文献】国際公開第2005/102044号パンフレット
【文献】国際公開第2006/094792号パンフレット
【文献】国際公開第2006/094978号パンフレット
【非特許文献】
【0018】
【文献】H. Mollet、A. Grubenmann "Formulation Technology" 第1版、Wiley-VCH Verlag GmbH、Weinheim 2001、6.4章及び14.2.2章
【文献】H. Mollet、A. Grubenmann、loc. cit.、394頁
【文献】Acta Polymerica 40、(1989)第5号、325~331頁
【文献】C.A. Finch、R. Bodmeier、Microencapsulation、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、第6版、2001 Electronic Release
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、その生物学的有効性を維持しながら、長期の保存期間にわたって高い物理的及び化学的安定性の両方を示す、サフルフェナシル製剤を提供することである。更に、これはまた、サフルフェナシルと一般に組み合わせられるタンクミックスパートナーと相溶性でなくてはならない。水での希釈時に、粗粒材料又は上清液が形成されずに、該製剤から、サフルフェナシルの安定した水性組成物が得られなくてはならない。
【0020】
固体サフルフェナシルがアミノプラストポリマーに取り囲まれた又は埋め込まれた、固体サフルフェナシルの微粒子組成物では、サフルフェナシルの残効性が向上することが、驚くべきことに判明した。更に、これらの微粒子組成物は、固体サフルフェナシルの水性懸濁液から開始して簡単に製造できる。驚くべきことに、サフルフェナシルの効率的なカプセル化に必要なアミノプラストポリマーの量は、かなり少なく、通常、カプセル化されるサフルフェナシルの量よりも顕著に少ない。
【課題を解決するための手段】
【0021】
したがって、本発明の第1の態様は、サフルフェナシルを含む微粒子組成物であって、サフルフェナシルが、アミノプラストポリマーに取り囲まれた又は埋め込まれた固体サフルフェナシルを含む微粒子の形態で存在する、微粒子組成物に関する。
【0022】
非カプセル化サフルフェナシルと同様に、本発明の微粒子組成物からは、高い除草活性が得られる。更に、本発明の微粒子組成物では、サフルフェナシルの残効性が向上する。これは別として、本発明の微粒子組成物からは、良好な作物安全性を得ることができる。
【0023】
本発明の微粒子組成物において、サフルフェナシルは、劣化しにくい。したがって、本発明の微粒子組成物は、サフルフェナシルの生物学的有効性を維持しながら、長期の保存期間にわたって高い物理的及び化学的安定性の両方をもたらす。更に、本発明の微粒子組成物は、簡単に製剤化できる。更に、水性懸濁液の形態の本発明の微粒子組成物では、タンクミックスとの相溶性が改善されるので、殺有害生物剤の他の製剤と容易にタンクミックスでき、その希釈安定性に関して他の製剤と不利に相互作用しない。
【0024】
アミノプラスト初期縮合物(precondensate)を使用し、以下に記載の方法を行うことにより、固体サフルフェナシルを効率的にマイクロカプセル化できることも驚くべきことに判明した。したがって、本発明の第2の態様は、本明細書に記載の微粒子組成物を製造する方法であって、該方法が以下のステップ、
i)固体サフルフェナシル粒子の水性懸濁液を用意するステップ、
ii)アミノプラスト初期縮合物をサフルフェナシル粒子の水性懸濁液に添加するステップ、
iii)例えば、アミノプラスト初期縮合物の重縮合が反応温度で起こるpHでステップii)の水性懸濁液を加熱することにより、アミノプラスト初期縮合物の重縮合を行うステップ
を含む、方法に関する。
【0025】
この方法により、安定した水性懸濁液が得られ、そこでサフルフェナシルは、アミノプラストポリマーに取り囲まれた又は埋め込まれた固体サフルフェナシルを含む、微粒子の形態で存在する。必要な場合、微粒子をこの水性懸濁液から分離させてもよい。驚くべきことに、この方法は、他のin-situ重合技術で認められたようなサフルフェナシル粒子の顕著な凝集をもたらさない。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の微粒子組成物において、サフルフェナシルは、コア材料として固体サフルフェナシルを含む、微粒子の形態で存在する。微粒子において、固体サフルフェナシルは、少なくとも1種のアミノプラストポリマーに取り囲まれた又は埋め込まれたコア材料を形成する。これに関連して、アミノプラストポリマーは、コア材料を取り囲む又は埋め込む、規則的又は不規則なシェルを形成し得ることが理解されねばならない。微粒子は、サフルフェナシルで形成された単一の固体コア、及びアミノプラストポリマーで形成されたシェル又はマトリックスを有し得る。微粒子が、アミノプラストポリマーに埋め込まれた非晶質又は結晶性サフルフェナシルの一定数の固体サフルフェナシル粒子、例えば、3~10個の粒子を含む「ドメイン構造」を有することも当然ながら可能であり得る。アミノプラストポリマーが完全に閉じられたシェルを形成することは不要である。しかし、しばしば、シェルは膜等のコア材料を完全に取り囲み、それにより、コア材料と取り囲む材料との間にバリアが形成される。
【0027】
アミノ樹脂、アミノ縮合樹脂又はアミド樹脂とも称される、アミノプラストポリマーは、1種以上のアルデヒド、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロパナール、グリオキサル又はグルタルアルデヒドと、通常少なくとも2つの第1級アミノ基を有する1種以上のアミノ化合物、例えば、尿素、チオ尿素、完全に又は部分的にエーテル化されていてもよいメラミン、シアノグアナミン(cyanoguanamine)(=ジシアンジアミド)及びベンゾグアナミンとの重縮合生成物である。アミノプラストポリマーの例としては、完全又は部分エーテル化メラミン-ホルムアルデヒド縮合物由来の樹脂を含む、メラミン及びホルムアルデヒドの重縮合物(メラミン-ホルムアルデヒド樹脂又はMF樹脂)、尿素-ホルムアルデヒド樹脂(UF樹脂)、チオ尿素-ホルムアルデヒド樹脂(TUF樹脂)、完全又は部分エーテル化メラミン-尿素-ホルムアルデヒド縮合物由来の樹脂を含む、メラミン、尿素及びホルムアルデヒドの重縮合物(MUF樹脂)、完全又は部分エーテル化メラミン-チオ尿素-ホルムアルデヒド縮合物由来の樹脂を含む、メラミン、チオ尿素及びホルムアルデヒドの重縮合物(MTUF樹脂)、尿素-グルタルアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミン-ホルムアルデヒド重縮合物、ジシアンジアミドホルムアルデヒド重縮合物及び尿素-グリオキサル重縮合物がある。マイクロカプセル化に適したアミノプラストポリマーは、公知であり、とりわけ、Kirk-Othmer、Encyclopedia of Chemical Technology、第3版、第2巻、440~469頁、導入部で引用した先行技術、米国特許第4,918,317号、欧州特許第26914号、欧州特許第218887号、欧州特許第319337号、欧州特許第383337号、欧州特許第415273号、独国特許第19833347号、独国特許第19835114号及び国際公開第01/51197号パンフレットに見出すことができる。
【0028】
UF及びTUF樹脂において、尿素又はチオ尿素とホルムアルデヒドとのモル比は、一般に1:0.8~1:4、特に1:1.5~1:4、とりわけ1:2~1:3.5の範囲である。グルタルアルデヒドが、ホルムアルデヒドの代わりに用いられる場合、尿素又はチオ尿素とグルタルアルデヒドとのモル比は、特に1:1.2~1:3の範囲、とりわけ1:1.5~1:2.5の範囲であってよい。
【0029】
MF及びMUF樹脂において、メラミンとホルムアルデヒドとのモル比は、一般に1:1.5~1:10、特に1:3~1:8、好ましくは1:4~1:6の範囲である。
【0030】
MUF及びMTUF樹脂において、メラミン+尿素又はチオ尿素とホルムアルデヒドとのモル比は、一般に1:0.8~1:9、特に1:2~1:8、好ましくは1:3~1:6の範囲である。尿素又はチオ尿素とメラミンとのモル比は、50:1~1:100、特に30:1~1:30の範囲であってよい。
【0031】
上記アミノプラスト樹脂の調製において、初期縮合物は、アミノ化合物及びアルデヒドのエーテル化初期縮合物の形態で使用できる。これらのエーテル化初期縮合物において、メチロール基は、アミノ基と、ホルムアルデヒドと、アルカノール又はアルカンジオールとの、特にC1~C4アルカノール、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール若しくはn-ブタノール、特に、メタノール、又はC2~C4アルカンジオール、例えば、エチレングリコールとの反応により形成される。これらの樹脂のエーテル化の程度は、典型的には10:1~1:10の範囲、好ましくは2:1~1:5の範囲である、アミノ基とアルカノールとのモル比で調整できる。
【0032】
固体サフルフェナシルを取り囲む又は埋め込むアミノプラストポリマー材料は、完全又は部分エーテル化メラミン-ホルムアルデヒド縮合物由来のメラミン-ホルムアルデヒド樹脂を含むメラミン-ホルムアルデヒド樹脂、及び尿素-ホルムアルデヒド樹脂、並びにこれらの混合物からなる群から最も好ましくは選択される。とりわけ、固体サフルフェナシルを取り囲む又は埋め込むアミノプラストポリマー材料は、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、特に、完全又は部分エーテル化メラミン-ホルムアルデヒド縮合物由来のメラミン-ホルムアルデヒド樹脂であり、これはメラミンに対して少量、例えば、1~20mol-%の尿素を含有し得る。
【0033】
本発明の微粒子組成物において、固体サフルフェナシルを取り囲む又は埋め込むアミノプラストポリマー材料の量は、組成物に含有されるサフルフェナシルの量を一般に超えず、サフルフェナシル及びアミノプラストポリマーの総量に対して、好ましくは最大40重量%、特に最大35重量%、とりわけ最大30重量%又は最大25重量%である。固体サフルフェナシルを取り囲む又は埋め込むアミノプラストポリマー材料の量は、カプセル総重量に対して、即ち、サフルフェナシル及びアミノプラストポリマーの総量に対して、好ましくは0.5~40重量%、特に1~35重量%、とりわけ5~25重量%である。固体サフルフェナシルを取り囲む又は埋め込む本発明の微粒子組成物のポリマー材料は、更に水不溶性ポリマーを含んでいてもよい。しかし、このようなポリマーの量は、カプセル化ポリマー材料の総量の一般に20%を超えず、固体サフルフェナシルを取り囲む又は埋め込むポリマー材料の総量の好ましくは10重量%を超えない。
【0034】
少なくとも1種のアミノプラストポリマーに取り囲まれた又は埋め込まれた固体サフルフェナシルは、非晶質サフルフェナシル、特に、結晶性サフルフェナシル、例えば、国際公開第08/043835号パンフレットに記載のサフルフェナシルの結晶性無水物、又は国際公開第08/043836号パンフレットに記載のサフルフェナシルの結晶性水和物を含む、任意の公知の形態の固体サフルフェナシルであってよい。
【0035】
固体サフルフェナシルに加えて、微粒子のコア材料は、油、例えば、好ましくは沸点100℃超を有する、炭化水素溶媒、例えば、芳香族、パラフィン又はイソパラフィン炭化水素、植物油、例えば、コーン油、ナタネ油、又は脂肪酸エステル、例えば、C10~C22脂肪酸のC1~C10アルキルエステル、特に、植物油のメチル又はエチルエステル、例えば、ナタネ油メチルエステル又はコーン油メチルエステルを含有していてもよい。特定の実施形態において、コア材料は、本明細書に定義した油を含有しないか、又はコア材料の重量に対して10重量%未満の油を含有する。特に、コアは油を含有しない。
【0036】
固体サフルフェナシルに加えて、微粒子のコア材料は、25℃(脱イオン水)で一般に10g/l、特に5g/l、更には1g/lを超えない、好ましくは水溶性が低下した更なる殺有害生物剤化合物、特に、除草剤化合物又は薬害軽減剤を更に含有していてもよい。特に、固体サフルフェナシルは、微粒子に含有される殺有害生物剤の少なくとも80%、特に少なくとも90%を構成する。
【0037】
本発明の微粒子は、50μm未満の粒径を通常有する離散粒子である。好ましくは、微粒子の粒径、即ち、その直径は、一般に40μmを超えず、好ましくは35μmを超えず、特に30μmを超えない。得られた粒径は、所謂d90値であり、これは、少なくとも90重量%の微粒子の直径が超えない値と理解されるべきである。微粒子は、1~25μm、特に1.5~20μm、とりわけ2~10μmの範囲の本明細書においてd50値とも称される平均粒径を有する。d50値は、50重量%の粒子の直径を上回り、50重量%の粒子の直径を下回る値と定義される。d90値及びd50値は、微粒子の粒径分布から算出できる。一般に、粒子のd10値、即ち、少なくとも10重量%の微粒子が超える直径の値は、少なくとも0.5μmであり、例えば0.5μm~10μm、特に1~5μmの範囲であり得る。微粒子の粒径分布(即ち、直径)は、従来の方法、例えば、25℃及び0.1~1重量%の範囲の濃度での、例えば、微粒子組成物の水性分散剤の動的又は静的光散乱により決定できる。
【0038】
本発明の好ましい実施形態において、微粒子組成物は、少なくとも1種のアニオン性ポリマー界面活性物質A、以下、アニオン性ポリマー界面活性剤を含有し、これは、複数のアニオン性基、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、硫酸基及び/又はリン酸基を含有する。好ましくは、アニオン性基は、スルホン酸基から選択される。ポリマー界面活性剤Aの例としては、これらの塩を含む、以下のA1~A3群の界面活性剤が挙げられる:
A.1 リグニン系スルホン酸、例えば、リグノスルホン酸、エトキシル化リグノスルホン酸又は酸化リグニン、
A.2 アリールスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物及びアリールスルホン酸ホルムアルデヒド尿素縮合物、例えば、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、フェノールスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、クレゾールスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等、並びに
A.3 スルホン酸基を有するモノエチレン性不飽和モノマーM1と、モノマーM1と異なる場合により1種以上のコモノマーM2とのホモポリマー又はコポリマー。
【0039】
これらのアニオン性ポリマー界面活性剤のアニオン性基は、部分的又は完全に中和されていてよい。適当な対イオンとしては、アルカリ金属イオン、例えば、ナトリウム、カリウム、アルカリ土類イオン、例えば、マグネシウム又はカルシウム、及びアンモニウムがある。スルホン酸基を有するアニオン性ポリマー界面活性剤の場合、アニオン性基は、好ましくは少なくとも部分的に中和されている。
【0040】
ポリマー界面活性剤は、特に、A.2及びA.3群、とりわけA.3群から選択される。
【0041】
好ましくは、ポリマー界面活性剤A.3は、以下からなるホモポリマー及びコポリマーから選択される:
i)スルホン酸基を有する少なくとも1種のモノエチレン性不飽和モノマーM1、例えば、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、スルホン酸基を有する(メタ)アクリレートモノマー、例えば、2-アクリルオキシエチルスルホン酸、2-アクリルオキシプロピルスルホン酸又は4-アクリルオキシブチルスルホン酸、並びにスルホン酸基を有する(メタ)アクリルアミドモノマー、例えば、2-アクリルアミドエチルスルホン酸、2-アクリルアミドプロピルスルホン酸又は2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、並びに
ii)モノマーM1と異なる、場合により1種以上のモノエチレン性不飽和コモノマーM2、例えば、スチレン、C1~C4アルキルアクリレート、C1~C4アルキルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、C1~C4アルキルアクリレート、C1~C4アルキルメタクリレート。
【0042】
特定の群の実施形態において、ポリマー界面活性剤Aは、A.3群のホモポリマー及びコポリマー、特に、以下からなるホモポリマー及びコポリマーを含むか、又はこれらから選択される:
i)スルホン酸基を有する(メタ)アクリレートモノマー、例えば、2-アクリルオキシエチルスルホン酸、2-アクリルオキシプロピルスルホン酸又は4-アクリルオキシブチルスルホン酸、及びスルホン酸基を有する(メタ)アクリルアミドモノマー、例えば、2-アクリルアミドエチルスルホン酸、2-アクリルアミドプロピルスルホン酸又は2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸から選択される、モノマーM1、並びに
ii)モノマーM1と異なる場合により1種以上のモノエチレン性不飽和コモノマーM2、例えば、スチレン、C1~C4アルキルアクリレート、C1~C4アルキルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、C1~C4アルキルアクリレート、C1~C4アルキルメタクリレート。
【0043】
とりわけ、ポリマー界面活性剤A.3は、以下からなるホモポリマー及びコポリマーを含むか、又はこれらから選択される:
i)2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸である、モノマーM1、並びに
ii)モノマーM1と異なる、場合により1種以上のモノエチレン性不飽和コモノマーM2、例えば、スチレン、C1~C4アルキルアクリレート、C1~C4アルキルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、C1~C4アルキルアクリレート、C1~C4アルキルメタクリレート。
【0044】
これらの好ましい、特に好ましい又はとりわけ好ましいポリマー界面活性剤A.3において、モノマーM1の量は、ポリマー界面活性剤を形成するモノマーの総量に対して、好ましくは少なくとも50重量%である。モノマーM1のホモポリマー又はコポリマーであるポリマー界面活性剤Aが更により好ましく、そこで、モノマーM1の量は、ポリマー界面活性剤を形成するモノマーの総量に対して、少なくとも90重量%である。例えば、(BASF SEから)Lupasol S及びLupasol PA140の商品名で市販されているこれらのポリマーが公知である。
【0045】
別の特定の群の実施形態において、ポリマー界面活性剤Aは、A.2群の界面活性剤、即ち、アリールスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物及びアリールスルホン酸ホルムアルデヒド尿素縮合物、特に、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物を含むか、又はこれらから選択される。
【0046】
組成物中のアニオン性ポリマー界面活性剤Aの量は、サフルフェナシル及びアミノプラストポリマーの総量に対して、好ましくは0.1~50重量%、特に2~40重量%、最も好ましくは3~30重量%である。
【0047】
ポリマー界面活性剤Aと、それとは異なる1種以上の更なるアニオン性界面活性剤Bとを組み合わせた場合、微粒子を含む水性製剤が安定するので、有益であることが判明した。適当なアニオン性界面活性化合物Bは、リン酸基又はホスホン酸基、及び硫酸基又はスルホン酸基から選択される1つのアニオン性基を有する界面活性剤であり、後者の化合物が好ましい。これらの界面活性剤Bは、微粒子組成物中にその塩、特に、ナトリウム、カリウム又はアンモニウムの塩の形態で通常含まれる。アニオン性界面活性剤Bの例としては、アルキルスルホネート、アルキルサルフェート、アルキルホスフェート、アルコキシル化アルカノールと硫酸又はリン酸との半エステル、アルキルアリールスルホネート、アルキルアリールホスフェート、アルコキシル化アルキルフェノールと硫酸又はリン酸との半エステル、並びにアルコキシル化モノ、ジ又はトリスチリルフェノールと硫酸又はリン酸との半エステルが挙げられる。これらのアニオン性界面活性剤Bの中で、式(I)
R-(O-A)m-O-X (I)
(式中、
Rは、8~40個の炭素原子及び好ましくは12~30個の炭素原子、並びに場合により1個の酸素原子を有する炭化水素基であり、
Aは、互いに独立して、1,2-エチレン、1,2-プロピレン又は1,3-プロピレン、とりわけ1,2-エチレンであり、
mは、0~50、好ましくは0~30、とりわけ好ましくは0~20であり、
Xは、SO3M又はPO3M2であり、MはH、アルカリ金属イオン、例えば、K及びNa、アルカリ土類金属イオン、例えば、1/2Ca及び1/2Mg、並びにアンモニウムから選択される。好ましくは、Mはアルカリ金属イオン、とりわけナトリウムである)
のものが好ましい。
【0048】
8~40個の炭素原子を有する適当な炭化水素基Rの例としては、8~40個、好ましくは12~30個の炭素原子を有するアルキル、4~20個の炭素原子を有する1つ又は2つのアルキル基で置換されていてもよいフェニル、フェニル及び/又はフェノキシが4~20個の炭素原子を有するアルキル基を含有していてもよい、フェノキシ基で置換されているフェニル、トリスチリルフェニル基等である。本発明の好ましい実施形態において、式Iの基Rは、トリスチリルフェニル基である。
【0049】
式(I)のアニオン性界面活性剤Bが優先され、そこでR、m及びXは以下の意味を有する:
Rは8~30個、特に10~20個の炭素原子を有するアルキルであり、
mは0であり、
XはSO3Mであり、Mはアルカリ金属イオン、例えば、K及びNa、アルカリ土類金属イオン、例えば、1/2Ca及び1/2Mg、並びにアンモニウムから選択される。好ましくは、Mはアルカリ金属、とりわけナトリウムである。
【0050】
存在する場合、アニオン性界面活性剤B、特に、式(I)の界面活性化合物の量は、サフルフェナシル及びアミノプラストポリマーの総量に対して、好ましくは0.1~10重量%、特に0.3~7重量%、最も好ましくは0.5~5重量%である。存在する場合、アニオン性界面活性剤B、特に、式(I)の界面活性化合物の量は、アニオン性ポリマー界面活性剤Aとアニオン性界面活性剤Bとの重量比が1:1~20:1、特に2:1~10:1であるように好ましくは選択される。
【0051】
本発明による組成物は、非イオン性界面活性化合物(非イオン性界面活性剤)を含有していてもよい。好ましい非イオン性界面活性剤としては、式(II)
R'-(O-B)n-OH II
(式中、
R'は、8~40個及びより好ましくは12~30個の炭素原子、並びに場合により1個の酸素原子を有する炭化水素基であり、
Bは、C2-C4-アルカン-1,2-ジイル、例えば、1,2-エチレン、1,2-プロピレン若しくは1,2-ブチレン、又はこれらの組み合わせ、より好ましくは1,2-エチレン又は1,2-エチレンと1,2-プロピレンとの組み合わせであり、
nは、3~100、好ましくは4~50、より好ましくは5~40である)
の中性界面活性化合物が挙げられる。
【0052】
適当な炭化水素基R'の例としては、Rについて言及した基が挙げられる。本発明の好ましい実施形態において、基R'は、1個のC4~C18アルキル基で置換されているフェニル基である。
【0053】
存在する場合、非イオン性界面活性剤、特に式(II)の界面活性化合物の量は、最終製剤中で好ましくは1~150g/L、特に2~60g/Lである。本発明の1つの特定の実施形態において、組成物は非イオン性界面活性剤を含有しないか、又はサフルフェナシル及びアミノプラストポリマーの総量に対して1重量%未満の非イオン性界面活性剤、特に0.5重量%未満の非イオン性界面活性剤を含有する。
【0054】
特定の群の実施形態において、微粒子組成物は、水性懸濁液の形態である。このような懸濁液は、固体サフルフェナシルを分散相として、及び水性媒体を連続相として含有する。水性懸濁液は、本明細書に記載の微粒子組成物を製造する方法により得ることができる。これは、本明細書に記載の固体微粒子組成物を水性媒体中に再分散することによっても得ることができる。
【0055】
「水性媒体」という用語は、組成物の液相を表し、水性溶媒及び場合によりそこに溶解した化合物、例えば、上記界面活性剤、並びに存在する場合、従来の1種以上の従来の製剤添加剤、例えば、増粘剤又は殺生物剤を含む。水性懸濁液の水性溶媒は、水、又は水と水混和性有機溶媒、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、2-ブタノール、イソブタノール又はtertブタノール等のC1~C4アルカノール、好ましくは、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、グリセロール及び1,4-ブタンジオールからなる群からのC2~C5アルカンジオール及びC3~C8アルカントリオールとの混合物のいずれかである。一般に、水性溶媒中の水の量は、水性溶媒に対して少なくとも50重量%、特に少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%である。水性溶媒は、主に水からなり得る。即ち、水は、懸濁液中に存在する溶媒の総量の少なくとも95重量%を構成する。水性溶媒は、上記水混和性有機溶媒と水との混合物であってもよい。後者の場合、水性溶媒中の水と水混和性有機溶媒との重量比は、99:1~1:1の範囲、より好ましくは50:1~3:1の範囲、最も好ましくは20:1~4:1の範囲である。別の表現では、有機溶媒の量は、水性溶媒の総重量に対して1~50重量%、より好ましくは2~25重量%、最も好ましくは5~20重量%であってよい。
【0056】
いずれの場合も水性懸濁液の総量に対して、並びにアミノプラストポリマー及びサフルフェナシルの総量として算出して、水性懸濁液は微粒子を通常少なくとも5重量%の量で含有し、該量は50重量%以上であってよい。しばしば、水性懸濁液は、いずれの場合も水性懸濁液の総重量に対して、並びにアミノプラストポリマー及びサフルフェナシルの総量として算出して、微粒子を10~45重量%、特に20~40重量%の量で含有する。水性懸濁液中のサフルフェナシルの濃度は、水性懸濁液の総重量に対してしばしば5~40重量%、特に15~30重量%の範囲である。
【0057】
存在する場合、水性懸濁液中のアニオン性ポリマー界面活性剤Aの濃度は、微粒子の水性懸濁液の総重量に対してしばしば0.1~15重量%、特に0.2~6重量%の範囲である。
【0058】
存在する場合、水性懸濁液中のアニオン性界面活性剤Bの濃度は、微粒子の水性懸濁液の総重量に対してしばしば0.1~15重量%、特に0.2~6重量%の範囲である。
【0059】
本発明による水性組成物は、慣用の製剤助剤、例えば、粘度調整添加剤(増粘剤)、消泡剤、防腐剤、緩衝液、無機分散剤等を含んでいてもよく、これらは、除草剤の水性製剤で通常用いられる。このような助剤は、本明細書に記載の製造方法のステップiii)が行われた後で水性懸濁液に組み込むことができる。添加剤の量は、水性懸濁液の総重量の一般に10重量%、特に5重量%を超えない。
【0060】
微粒子の凝集を防止するための凝固防止剤とも称される適当な無機分散剤としては、シリカ(例えば、DegussaのSipernat(登録商標)22等)、アルミナ、炭酸カルシウム等がある。本発明の文脈において、シリカが好ましい無機分散剤である。最終懸濁液中の無機分散剤の濃度は、最終懸濁液の総重量に対して一般に2重量%を超えず、存在する場合、これは、最終製剤の総重量に対して好ましくは0.01~2重量%、特に0.02~1.5重量%、とりわけ0.1~1重量%の範囲である。
【0061】
適当な増粘剤は、フロアブル製剤の流動挙動に影響を与える化合物であり、微粒子の水性懸濁液を凝固に対して安定化させるのに役立ち得る。これに関連して、例えば、市販の多糖系増粘剤、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel(登録商標)等級)、キサンタンガム(例えば、KelcoからKelzan(登録商標)等級、又はRhodiaからRhodopol(登録商標)等級として市販されている)、合成ポリマー、例えば、アクリル酸ポリマー(Carbopol(登録商標)等級)、ポリビニルアルコール(例えば、KurarayのMowiol(登録商標)及びPoval(登録商標)等級)又はポリビニルピロロン(polyvinyl pyrrolone)、ケイ酸又はフィロシリケート、例えば、疎水化されていてもよいモンモリロナイト及びベントナイト(BASF SEからAttaclay(登録商標)等級及びAttaflow(登録商標)等級として又はR.T. VanderbiltからVeegum(登録商標)等級及びVan Gel(登録商標)等級として市販されている)を挙げることができる。本発明の文脈において、キサンタンガムが好ましい増粘剤である。水性懸濁液中の増粘剤の濃度は、水性懸濁液の総重量に対して一般に2重量%を超えず、水性懸濁液又は最終製剤各々の総重量に対して好ましくは0.01~2重量%、特に0.02~1.5重量%、とりわけ0.1~1重量%の範囲である。
【0062】
本発明による組成物に適した消泡剤としては、例えば、シリコーンエマルション(例えば、WackerのSilicone SRE-PFL又はBluestar SiliconeのRhodorsil(登録商標)等)、ポリシロキサン、及びポリシロキサンブロックポリマーを含む変性ポリシロキサン、例えば、BASF SEのFoamStar(登録商標)SI及びFoamStar(登録商標)ST製品、長鎖アルコール、脂肪酸、有機フッ素化合物、並びにこれらの混合物がある。
【0063】
本発明の組成物の微生物による腐敗を防ぐのに適した防腐剤としては、ホルムアルデヒド、p-ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、安息香酸ナトリウム、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、o-フェニルフェノール、チアゾリノン、例えば、ベンズイソチアゾリノン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリノン、ペンタクロロフェノール、2,4-ジクロロベンジルアルコール及びこれらの混合物が挙げられる。イソチアゾリノン系の市販の防腐剤は、例えば、Proxel(登録商標)(Arch Chemical)、Acticide(登録商標)MBS(Thor Chemie)及びKathon(登録商標)MK(Rohm & Haas)の商品名で販売されている。
【0064】
適当な場合、本発明による組成物、特に、水性懸濁液は、pHを調整するための緩衝液を含んでいてもよい。緩衝液の例としては、弱無機又は有機酸、例えば、リン酸、ホウ酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、フマル酸、酒石酸、シュウ酸及びコハク酸等のアルカリ金属塩がある。
【0065】
更に、本発明による組成物、特に水性懸濁液は、従来の結合剤、例えば、水性ポリマー分散剤、水溶性樹脂、例えば、水溶性アルキド樹脂又はワックスと共に製剤化されてもよい。
【0066】
本発明の組成物は1種以上のアジュバンドを含有していてもよい。適当なアジュバンドは、当業者に公知であり、これらとしては、界面活性剤、作物油濃縮物、拡展剤-展着剤(spreader-sticker)、湿潤剤及び浸透剤が挙げられる。
【0067】
他の特定の群の実施形態において、微粒子組成物は、固体組成物の形態である。このような固体組成物は、固体サフルフェナシル、場合により1種以上の界面活性剤、特にポリマー界面活性剤A及び場合によりアニオン性界面活性剤B、並びに場合により不活性固体担体材料を含有する。固体組成物は、例えば、再分散性粉末、顆粒水和剤、水和剤等であってよい。
【0068】
固体担体としては、例えば、鉱物土、例えば、シリカ、シリカゲル、シリケート、タルク、カオリン、石灰石、石灰、チョーク、ボール、黄土、クレー、ドロマイト、珪藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、粉砕合成材料、肥料、例えば、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素、植物性産物、例えば、穀物ミール、樹皮ミール、木粉及び堅果殻ミール、セルロース粉末、又は他の固体担体が挙げられる。
【0069】
本発明による固体組成物は、慣用の製剤助剤、例えば、消泡剤、防腐剤、緩衝液、無機分散剤等を含んでいてもよく、これは、除草剤の固体製剤で通常用いられる。このような助剤は、その製造方法のいずれかの従来の段階で固体製剤に組み込むことができる。添加剤の量は、固体組成物の総重量の一般に10重量%、特に5重量%を超えない。
【0070】
固体組成物は、本明細書に記載の微粒子組成物を製造する方法で主として形成される水性懸濁液から水相を除去することにより、該水性懸濁液から得ることができる。水相の除去は、例えば、遠心分離又は濾過のいずれかにより、水相を固体微粒子から分離することにより達成できる。好ましくは、水相は、蒸発法、例えば、噴霧乾燥又は凍結乾燥により除去される。
【0071】
上に概説したように、組成物を製造する方法は、サフルフェナシル粒子の水性懸濁液を得る第1のステップを含む。このために、固体サフルフェナシルを、水性溶媒、特に水に懸濁する。水性溶媒は、1種以上の界面活性剤、特に、保護コロイドとして作用することが想定される少なくとも1種のポリマー界面活性剤A、及び場合により1種以上のアニオン性界面活性剤Bを含有していてもよい。
【0072】
好ましくは、カプセル化前の水性懸濁液中のサフルフェナシル粒子の粒径は、45μm未満であり、特に40μmを超えず、好ましくは30μmを超えず、特に25μmを超えない。得られた粒径は、所謂d90値である。好ましくは、活性物質粒子は、0.5~25μm、特に1~20μm、とりわけ1.5~15μmの範囲の本明細書においてd50値とも称される平均粒径を有する。d50値は、50重量%の粒子の直径を上回り、50重量%の粒子の直径を下回る値と定義される。d10値は、好ましくは少なくとも0.5μmであり、例えば、0.5μm~10μm、特に1~5μmの範囲であってよい。d90値及びd50値は、サフルフェナシル粒子の粒径分布から算出でき、これは、従来の方法、例えば、25℃及び0.1~1重量%の範囲の濃度での動的又は静的光散乱により決定できる。
【0073】
重縮合が、少なくとも1種のアニオン性ポリマー界面活性剤A、特に、A.3群のポリマー界面活性剤を含むか、又はこれらから選択されるアニオン性ポリマー界面活性剤Aの存在下で開始されるか、又は行われる場合、有益であることが判明した。存在する場合、ステップi)の水性懸濁液中での、A.3群の界面活性剤から特に選択されるアニオン性ポリマー界面活性剤Aの濃度は、水性懸濁液の総重量に対してしばしば0.1~10重量%、特に1~6重量%の範囲である。
【0074】
ステップi)の水性懸濁液が、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤B、特に、式(I)の界面活性剤を含むか、又はそれから選択されるアニオン性界面活性剤も含有する場合、有益であることが判明した。存在する場合、ステップi)の水性懸濁液中でのアニオン性界面活性剤Bの濃度は、水性懸濁液の総重量に対してしばしば0.01~2重量%、特に0.1~1重量%の範囲である。
【0075】
サフルフェナシル粒子の水性懸濁液は、例えば、国際公開第2011/023759号パンフレットに記載のサフルフェナシルの水性懸濁液を製造する公知の方法に類推して得ることができる。
【0076】
一実施形態において、ステップi)は、ステップi.a)及びステップi.b)を含む。ステップi.a)において、固体サフルフェナシル、特に、結晶形態のサフルフェナシル、例えば、サフルフェナシル無水物、又は水和物形態の1つ、並びに水性溶媒及び場合により界面活性剤の少なくとも一部を、十分にせん断できる任意の従来の混合装置で混合し、所望の懸濁液を形成する。適当な混合装置としては、特に、高せん断ミキサー、例えば、Ultra-Turrax装置、静的ミキサー、例えば、混合ノズルを有するシステム、撹拌ビーズミル、コロイドミル、コーンミル及び他のホモジナイザーが挙げられる。一般に、個々の成分を組み合わせる順序は重要ではない。まず、水性溶媒及び界面活性剤の少なくとも一部、例えば、A群の界面活性剤及び場合により界面活性剤Bを、均質な混合物が得られるまで混合し、次いでせん断しながら固体サフルフェナシルを前記均質な混合物に添加することにより、ステップi.a)を行うことが有利であり得る。次いで、ステップi.b)において、ステップi.a)で得られた混合物、即ち、水性溶媒中のサフルフェナシルの粗粒懸濁液に、混合物中に存在するサフルフェナシル粒子の粒径を典型的には40μm未満、好ましくは30μm未満、特に20μm未満(d90値)、例えば0.5~15μmの範囲の粒径(d90)まで減少させるのに適した手段を行う。ステップi.b)は、任意の物理的な磨砕方法、例えば、粉砕、圧潰又はミル粉砕、特に、例えば、ビーズミル粉砕、ハンマーミル粉砕、ジェットミル粉砕、空気分級ミル粉砕、ピンミル粉砕、低温粉砕法等を含む、湿式粉砕又は湿式ミル粉砕により行うことができる。ステップi.a)及びステップi.b)は、通常続いて行われる。しかし、これらのステップを一緒に行うことも可能である。
【0077】
本発明の別の実施形態において、ステップi)は、粉末の形態のサフルフェナシルを得ることを含み、そこで、粉末粒子のd90値は、40μm未満、特に最大30μm又は最大20μmであり、例えば、粒径(d90)は、1~<40μm、特に1~30μm又は1~20μmの範囲である。粉末は、従来の乾式ミル粉砕技術、例えば、空気ミル粉砕により、固体サフルフェナシル、例えば、無水物又は結晶性水和物を所望の粒径を有する粉末に粉末化することにより、通常製造される。次いで、このようにして得られた粉末を水性溶媒又はA群の界面活性剤及び場合により界面活性剤Bの水溶液中に懸濁する。
【0078】
これは、重縮合を開始するか若しくは始めるか又は行う前に、特に、アミノプラスト初期縮合物をそこに添加する前に、ポリマー界面活性剤Aをステップi)で得られたサフルフェナシルの懸濁液に添加するのに有益であり得る。特に、重縮合を開始する前に、ポリマー界面活性剤Aを含有するサフルフェナシルの水性懸濁液をしばらくの間、例えば、10~180分間保存するのに有益であり得る。ステップi)を行った後で、ポリマー界面活性剤Aを懸濁液に添加するのに有益であり得る。
【0079】
ステップii)において、アミノプラスト初期縮合物を、ステップi)の水性懸濁液に添加し、これにより、重縮合が、固体サフルフェナシル粒子の表面で優先的に起こるので、ステップiii)の硬化時に、固体サフルフェナシル粒子を埋め込む又は取り囲む固体水不溶性アミノプラストポリマーが形成される。最終微粒子組成物中のアミノプラストポリマーの所望の量が得られるように、ステップii)で添加されるアミノプラスト初期縮合物の量を選択する。実際に、重縮合中に形成される水の量により質量が減少することを考慮すると、添加される量は微粒子中のアミノプラスト樹脂の量に相当し、該量は、サフルフェナシルに対して及び有機物として算出して、通常0.5~40重量%、特に1~35重量%、とりわけ5~25重量%の範囲である。
【0080】
ステップii)で添加されてもよい適当な初期縮合物としては、完全又は部分エーテル化メラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物を含む、メラミン及びホルムアルデヒドの初期縮合物、尿素-ホルムアルデヒド初期縮合物、チオ尿素-ホルムアルデヒド初期縮合物、完全又は部分エーテル化メラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物及び尿素-ホルムアルデヒド初期縮合物の混合物を含む、メラミン、尿素及びホルムアルデヒドの初期縮合物(MUF樹脂)、尿素及びグルタルアルデヒドの初期縮合物、ベンゾグアナミン及びホルムアルデヒドの初期縮合物、ジシアンジアミド及びホルムアルデヒドの混合物、並びに尿素-グリオキサル重縮合物が挙げられる。マイクロカプセル化に適したアミノプラスト初期縮合物は、公知であり、とりわけ、Kirk-Othmer、Encyclopedia of Chemical Technology、第3版、第2巻、440~469頁、導入部で引用した先行技術、米国特許第4,918,317号、欧州特許第26914号、欧州特許第218887号、欧州特許第319337号、欧州特許第383337号、欧州特許第415273号、独国特許第19833347号、独国特許第19835114号及び国際公開第01/51197号パンフレットに見出すことができる。適当な初期縮合物、例えば、Cymelタイプ、例えば、それだけに限らないが、Cymel (登録商標)303、327、328又は385(Cytecのエーテル化メラミン-ホルムアルデヒド樹脂)、Maprenal(登録商標)タイプ、例えば、それだけに限らないがMaprenal(登録商標)MF900w/95、MF915/75IB、MF 920/75WA、MF 921w/85WA(Ineosのエーテル化メラミン-ホルムアルデヒド樹脂)、BASF SEのKauramin(登録商標)タイプ、例えば、それだけに限らないが、Kauramin(登録商標)783、Kauramin(登録商標)792又はKauramin(登録商標)753(メラミンホルムアルデヒド樹脂)、Kauramin(登録商標)620又はKauramin(登録商標)621(メラミン尿素ホルムアルデヒド樹脂)、BASF SEのKaurit(登録商標)タイプ、例えば、それだけに限らないが、Kaurit(登録商標)210、216、217又は220(尿素ホルムアルデヒド樹脂)、Luracoll(登録商標)タイプ、例えば、Luracoll(登録商標)SD(エーテル化メラミン-ホルムアルデヒド樹脂)、Luwipal(登録商標)タイプ、例えば、それだけに限らないが、Luwipal(登録商標)063、Luwipal(登録商標)069(エーテル化メラミンホルムアルデヒド樹脂)、又はPlastopal(登録商標)タイプ、例えば、それだけに限らないが、Plastopal(登録商標)BTM、Plastopal(登録商標)BTW(エーテル化尿素ホルムアルデヒド樹脂)が市販されている。
【0081】
適当な尿素-ホルムアルデヒド又はチオ尿素-ホルムアルデヒド初期縮合物において、尿素又はチオ尿素とホルムアルデヒドとのモル比は一般に1:0.8~1:4、特に1:1.5~1:4、とりわけ1:2~1:3.5の範囲である。
【0082】
適当なメラミン-ホルムアルデヒド又はメラミン-チオ尿素-ホルムアルデヒド初期縮合物において、メラミンとホルムアルデヒドとのモル比は一般に1:1.5~1:10、特に1:3~1:8、好ましくは1:4~1:6の範囲である。
【0083】
適当なメラミン-ホルムアルデヒド又はメラミン-チオ尿素-ホルムアルデヒド初期縮合物において、メラミン+尿素又はチオ尿素とホルムアルデヒドとのモル比は一般に1:0.8~1:9、特に1:2~1:8、好ましくは1:3~1:6の範囲である。尿素又はチオ尿素とメラミンとのモル比は通常5:1~1:50、特に30:1~1:30の範囲である。
【0084】
初期縮合物は、アミノ化合物及びアルデヒドのエーテル化初期縮合物の形態で使用できる。これらのエーテル化初期縮合物において、メチロール基は、アミノ基と、ホルムアルデヒドと、アルカノール又はアルカンジオールとの、特にC1~C4アルカノール、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール若しくはn-ブタノール、特に、メタノール、又はC2~C4アルカンジオール、例えば、エチレングリコールとの反応により形成される。これらの樹脂のエーテル化の程度は、典型的には10:1~1:10の範囲、好ましくは2:1~1:5の範囲である、アミノ基とアルカノールとのモル比で調整できる。
【0085】
初期縮合物は、完全又は部分エーテル化メラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物を含む、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、及び尿素-ホルムアルデヒド初期縮合物、並びにこれらの混合物からなる群から最も好ましくは選択される。とりわけ、初期縮合物は、完全又は部分エーテル化メラミン-ホルムアルデヒド縮合物であり、メラミンに対して少量、例えば、1~20mol-%の尿素を含有し得る。
【0086】
水性懸濁液への初期縮合物の添加は、初期縮合物の水溶液又はアルコール溶液の形態の初期縮合物を水性懸濁液に添加することによるか、又は適当量の溶解した初期縮合物を混合することにより通常達成される。好ましくは、水性懸濁液中で初期縮合物の均一な分布を得るために、適当な混合装置、例えば、撹拌機又はインラインミキサーが用いられる。これは、撹拌しながら、好ましくは溶液の形態の初期縮合物をサフルフェナシルの水性懸濁液に添加するのに有益であり得る。好ましくは、初期縮合物の添加は、重縮合反応がゆっくりであるか、又は該反応が起こらない条件下、例えば、水性懸濁液のpHが少なくともpH6、例えば、pH6~pH10の範囲であるか、又は温度が30℃を超えないかのいずれか又は両方の条件下で行われる。
【0087】
アミノプラスト初期縮合物の重縮合は、周知の方法、例えば、重縮合が反応温度で起こるpHで水性懸濁液をある種の反応温度まで加熱することにより行われてもよく、又は開始されてもよい。重縮合中、アミノプラスト初期縮合物は、水不溶性アミノプラスト樹脂に変換され、これは、水相から沈殿し、好ましくは固体サフルフェナシル粒子の表面に付着し、それにより、固体サフルフェナシル粒子が埋め込まれるか又は取り囲まれる。したがって、少量のアミノプラスト初期縮合物でも効率的なカプセル化を達成することができる。
【0088】
好ましくは、アミノプラストの重縮合は、pH6未満のpH、特に最大pH5のpH、例えば、pH0~6の範囲、より特にpH1~5の範囲又はpH2~4の範囲で行われる。
【0089】
水性懸濁液のpHは、適当量の有機又は無機酸、例えば、硫酸、塩酸、リン酸、アルカン酸、アルカン二酸、又はヒドロキシカルボン酸を含む、カルボン酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、リンゴ酸又はクエン酸、及びアルキル又はアリールスルホン酸、例えば、メタンスルホン酸又はトルエンスルホン酸の添加により通常調整される。水性懸濁液が反応温度まで加熱されるまで、酸の少なくとも一部、特に大部分が、水性懸濁液中に存在する場合が好ましい。
【0090】
好ましくは、アミノプラスト初期縮合物の重縮合は、高温、特に、少なくとも30℃、特に少なくとも40℃又は少なくとも50℃の温度、例えば、30~100℃の範囲、特に40~95℃の範囲、又は50~90℃の範囲の温度で行われる。アミノプラストの重縮合を比較的低温、例えば、30~65℃又は35~60℃の範囲の温度で開始し、次いで、重縮合反応を例えば、50~100℃又は60~90℃のより高温で完了することが可能であり得る。重縮合を完了する時間は、初期縮合物の反応性、水性懸濁液の温度及びpHに応じて変化し得、1時間~24時間、特に2~12時間かかり得る。好ましくは、重縮合反応は、少なくとも50℃、特に少なくとも60℃の温度で、例えば、50~100℃、特に60~90℃の範囲の温度で1~8時間少なくとも部分的に行われる。
【0091】
このようにして得られたサフルフェナシル微粒子の水性懸濁液を、塩基の添加により中和してもよい。好ましくは、懸濁液のpHは、少なくとも6のpH、例えば、pH6~10の範囲、特にpH6.5~9.0の範囲のpHに調整される。
【0092】
このようにして得られた水性懸濁液から、微粒子を、例えば、濾過又は遠心分離により分離してもよく、又は水性懸濁液を噴霧乾燥、造粒又は凍結乾燥して、粉末又は顆粒の形態の固体組成物を得てもよい。固体組成物を、上記の製剤助剤を用いて再分散又は製剤化してもよい。
【0093】
水性懸濁液を、そのまま使用してもよく、又は、上記の適当な製剤助剤、例えば、増粘剤、アニオン性界面活性剤B、非イオン性界面活性剤及び/又は殺生物剤を用いて、液体製剤、例えば、懸濁液として製剤化してもよい。
【0094】
本発明は、作物植物を保護するための本発明の微粒子組成物の使用、並びに望ましくない植生を防除する方法であって、希釈された又は希釈されていない形態の製剤を植物、その環境及び/又は種子に施用することを含む方法にも関する。
【0095】
本発明の組成物により、とりわけ多い施用量で非農耕地における植生の非常に良好な防除がもたらされる。しかし、同様の防除が得られる非カプセル化サフルフェナシルの従来の製剤と比較して、より多い施用量は通常不要である。
【0096】
作物、例えば、ダイズ、ワタ、ナタネ、アマ、レンズマメ、イネ、サトウダイコン、ヒマワリ、タバコ及び穀物、例えば、トウモロコシ又はコムギ等において、本発明の組成物は、広葉雑草及びイネ科雑草に対して有効であり、非カプセル化サフルフェナシルの従来の製剤と比較して作物植物への損害が少ない。この効果は、特に少ない施用量で認められている。
【0097】
更に、本発明の組成物からは、非カプセル化サフルフェナシルの従来の製剤の残効性を超える、長期間持続する残効性が得られる。
【0098】
当該の施用方法に応じて、本発明の製剤を更に多くの作物植物に更に使用して、望ましくない植物を除去することができる。適当な作物は、例えば以下の通りである:
タマネギ(Allium cepa)、パイナップル(Ananas comosus)、ピーナッツ(Arachis hypogaea)、アスパラガス(Asparagus officinalis)、サトウダイコンのアルチッシマ種(Beta vulgaris spec. altissima)、サトウダイコンのラパ種(Beta vulgaris spec. rapa)、セイヨウアブラナのナパス変種(Brassica napus var. napus)、ルタバガ(Brassica napus var. napobrassica)、ブラッシカラパのシルベストリス変種(Brassica rapa var. silvestris)、チャノキ(Camellia sinensis)、ベニバナ(Carthamus tinctorius)、ペカン(Carya illinoinensis)、レモン(Citrus limon)、オレンジ(Citrus sinensis)、コーヒーノキ(Coffea arabica)(ロブスタコーヒーノキ(Coffea canephora)、リベリカコーヒーノキ(Coffea liberica))、キュウリ(Cucumis sativus)、ギョウギシバ(Cynodon dactylon)、ニンジン(Daucus carota)、ギニアアブラヤシ(Elaeis guineensis)、エゾヘビイチゴ(Fragaria vesca)、ダイズ(Glycine max)、ワタ(Gossypium hirsutum)(モクメン(Gossypium arboreum)、シロバナワタ(Gossypium herbaceum)、ベニバナワタ(Gossypium vitifolium))、ヒマワリ(Helianthus annuus)、パラゴムノキ(Hevea brasiliensis)、オオムギ(Hordeum vulgare)、ホップ(Humulus lupulus)、サツマイモ(Ipomoea batatas)、シナノグルミ(Juglans regia)、レンズマメ(Lens culinaris)、アマ(Linum usitatissimum)、トマト(Lycopersicon lycopersicum)、リンゴ属の種(Malus spec.)、キャッサバ(Manihot esculenta)、アルファルファ(Medicago sativa)、バショウ属の種(Musa spec.)、タバコ(Nicotiana tabacum)、ニコティアナルスティカ(N.rustica)、オリーブ(Olea europaea)、イネ(Oryza sativa)、ライマメ(Phaseolus lunatus)、インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)、オウシュウトウヒ(Picea abies)、マツ属の種(Pinus spec.)、エンドウマメ(Pisum sativum)、アンズ(Prunus armeniaca)、セイヨミザクラ(Prunus avium)、スミノミザクラ(Prunus cerasus)、アーモンド(Prunus dulcis)、セイヨウスモモ(Prunus domestica)、モモ(Prunus persica)、セイヨウナシ(Pyrus communis)、スグリ(Ribes sylvestre)、トウゴマ(Ricinus communis)、サトウキビ(Saccharum officinarum)、ライムギ(Secale cereale)、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、ソルガム(Sorghum bicolor)(モロコシ(s. vulgare))、カカオ(Theobroma cacao)、アカツメクサ(Trifolium pratense)、コムギ(Triticum aestivum)、デュラムコムギ(Triticum durum)、ソラマメ(Vicia faba)、ブドウ(Vitis vinifera)及びトウモロコシ(Zea mays)。
【0099】
更に、本発明の製剤は、遺伝子工学的方法を含む、品種改良により、除草剤の作用に耐性を示す作物にも使用できる。
【0100】
更に、本発明の組成物は、遺伝子工学的方法を含む、品種改良により、昆虫又は菌による攻撃に耐性を示す作物にも使用できる。
【0101】
更に、本発明の組成物は、植物体部分の落葉化及び乾燥化にも適しており、作物植物、例えば、ワタ、ジャガイモ、ナタネ、ヒマワリ、ダイズ又はソラマメ、特にワタが適していることが判明した。
【0102】
乾燥剤として、本発明の組成物は、作物植物、例えば、ジャガイモ、ナタネ、ヒマワリ及びダイズの地上部分を乾燥化させるのに特に適している。これにより、これらの重要な作物植物の完全な機械収穫が可能になる。裂開を一定時間内に集中させることによるか、又は柑橘果実、オリーブ又は他の種類、及び様々な仁果類、核果類及び堅果類における、幹部への付着を低減することにより可能になる、収穫の促進も経済的に興味深い。同じメカニズム、即ち、植物の果実部分又は葉部分と枝部分との間の脱落組織の発達の促進も、有用植物、特にワタの落葉化の管理に必須である。更に、個々のワタの木が成熟する期間間隔の短縮は、収穫後の線維品質の向上をもたらす。
【0103】
更に、本発明の組成物は、針葉樹、特に、自生する針葉樹苗の管理、及び具体的には自生するマツ苗の管理にも適していることが判明した。
【0104】
一般に、本明細書に記載の本発明の組成物は、望ましくない植生に対抗するのに有用である。このために、組成物をそのまま施用してもよく、又は好ましくは水での希釈後に施用する。好ましくは、様々なエンドユーザーの施用目的のために、本発明の組成物を水、例えば、水道水で希釈することにより、所謂、水性噴霧液を調製する。噴霧液は、溶解、乳化又は懸濁した形態の更なる成分、例えば、肥料、他の群の除草剤の活性物質又は成長調節活性物質、更なる活性物質、例えば、動物害虫、植物病原性菌類又は細菌を防除するための活性物質、更に、栄養及び微量元素不足を緩和するために用いられる更なる無機塩、並びに非植物毒性油又は油濃縮物を含んでいてもよい。通例、これらの成分は、本発明の組成物の希釈前、希釈中又は希釈後に噴霧混合物に添加される。
【0105】
本発明の組成物は、出芽前及び出芽後方法により施用できる。サフルフェナシルが、ある種の作物植物に十分な耐性を示さない場合、感受性作物植物の葉が理想的にはこれらと接触せず、活性物質が、下で成長している望ましくない植物の葉又は露出土壌表面に達するような方法で、噴霧装置を用いて除草剤組成物を噴霧する施用技術が使用できる(散布後(post-directed)、レイバイ(lay-by))。
【0106】
防除対策の目的、季節、標的植物及び成長段階に応じて、本発明の組成物は、サフルフェナシルの施用量が、0.001~3.0、好ましくは0.01~1.0kg/ha活性物質(a.s.)であるような程度まで施用される。
【0107】
作用スペクトルを広げるため、及び相乗効果を得るために、本発明の組成物を、多くの代表的な他の群の除草剤又は成長調節活性物質と混合し、これらと一緒に施用してもよい。
【0108】
適当な混合パートナーの例としては、1,2,4-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、アミド、アミノリン酸及びその誘導体、アミノトリアゾール、アニリド、アリールオキシ/ヘテロアリールオキシアルカン酸及びその誘導体、安息香酸及びその誘導体、ベンゾチアジアジノン、2-(ヘタロイル/アロイル)-1,3-シクロヘキサンジオン、ヘテロアリールアリールケトン、ベンジルイソオキサゾリジノン、メタ-CF3-フェニル誘導体、カルバメート、キノリンカルボン酸及びその誘導体、クロロアセトアニリド、シクロヘキセノンオキシムエーテル誘導体、ジアジン、ジクロロプロピオン酸及びその誘導体、ジヒドロベンゾフラン、ジヒドロフラン-3-オン、ジニトロアニリン、ジニトロフェノール、ジフェニルエーテル、ジピリジル、ハロカルボン酸及びその誘導体、尿素、3-フェニルウラシル、イミダゾール、イミダゾリノン、N-フェニル-3,4,5,6-テトラヒドロフタルイミド、オキサジアゾール、オキシラン、フェノール、アリールオキシ及びヘテロアリールオキシフェノキシプロピオン酸エステル、フェニル酢酸及びその誘導体、2-フェニルプロピオン酸及びその誘導体、ピラゾール、フェニルピラゾール、ピリダジン、ピリジンカルボン酸及びその誘導体、ピリミジルエーテル、スルホンアミド、スルホニル尿素、トリアジン、トリアジノン、トリアゾリノン、トリアゾールカルボキサミド並びにウラシルである。
【0109】
本発明の組成物をタンクミックスパートナーとして他の製剤と共に使用することも可能である。したがって、本発明の組成物は、多くの異なる殺有害生物剤化合物製剤、例えば、有効成分又はアジュバンド、例えば、アトラジン、グリホセート、グルホシネート、S-メトラクロール、2,4-Dエステル、イソキサフルトール、ジフルフェンゾピル、ジカンバ、メソトリオン、ジメテナミド-P、ペンジメタリン、イマゼタピル、パラフィンオイル、ポリオール脂肪酸エステル、ポリエトキシル化ポリオール脂肪酸エステル、エトキシル化アルキルアリールホスフェート、メチル化種子油、乳化剤、硫酸アンモニウム又はこれらの混合物を含むものと一緒に混合及び施用できる。
【0110】
更に、これは、本発明のサフルフェナシル含有組成物を個別に又は他の除草剤と組み合わせて、より更なる植物保護剤、例えば、害虫、植物病原性菌類又は細菌を防除するための薬剤との混合物として施用するのに有用であり得る。栄養及び微量元素不足を緩和するために用いられる無機塩溶液との混和性も興味深い。非植物毒性油及び油濃縮物を添加してもよい。
【0111】
以下の実施例は、何らかの方法でその範囲を限定することなく本発明を更に例示することが意図される。
【実施例
【0112】
I. 分析:
粒径分布(PSD)を、欧州規格ISO13320ENにしたがって、Malvern Mastersizer200を用いて静的レーザー散乱法により決定した。データを、Malvern Instrumentsから提供された「ユニバーサルモデル」を用いてソフトウェアによりミー理論に従って処理した。重要なパラメーターは、n=10、50及び90のdn-値、d10、d50及びd90である。
【0113】
最終分散剤の固体含有量は、小プローブの水性懸濁液の揮発性物質を105℃のオーブンで2時間蒸発させることにより測定した。実施例に示した値は、3つの並列実験からの平均値である。
【0114】
II. 成分:
界面活性剤1:pH2.5~4のポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)ナトリウム塩の20%水溶液
界面活性剤2:ドデシル硫酸ナトリウムの15%水溶液
界面活性剤3:ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物ナトリウム塩
初期縮合物P1:エーテル化メラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物の70%w/w水溶液(BASF SEのLuracoll(登録商標)SD)
増粘剤:Viscalex HV30(登録商標)(アクリルポリマーの30%水溶液;BASF SE)
サフルフェナシル:無水物、純度98.8%
【0115】
III. 本発明の組成物の調製
[実施例1]
水95.56g、界面活性剤2 2.97g、約3μmの粒径(d90)まで事前に空気ミル粉砕したサフルフェナシル40.05g、初期縮合物P1 9.09g及び10%w/w水性ギ酸4.01gを、アンカー型撹拌翼を有する撹拌機を備えた250mlの反応容器に装入した。反応容器を30℃まで加熱し、混合物を30℃で700rpmにて40分間撹拌した。次いで、界面活性剤1を添加し、混合物を、30℃で350rpmにて更に90分間撹拌した。次いで、反応容器を1時間以内に80℃まで徐々に加熱し、温度を80℃で更に2時間維持した。次いで、反応容器を22℃まで冷却し、得られた懸濁液のpHを、トリエタノールアミンを添加することによりpH7に調整した。次いで、水性増粘剤5.2gを撹拌しながら添加した。
【0116】
得られた水性懸濁液は28.9%の固体含有量を有していた。粒径分布を表1に示す。
【0117】
[実施例2]
水307.5g、界面活性剤2 18.7 g、約3μmの粒径(d90)まで事前に空気ミル粉砕したサフルフェナシル112.0g、初期縮合物P1 57.2g及び界面活性剤1 56.0gを、アンカー型撹拌翼を有する撹拌機を備えた2Lの反応容器に装入した。反応容器を30℃まで加熱し、混合物を30℃で300rpmにて40分間撹拌した。次いで、10%w/w水性ギ酸6.3gを添加し、混合物を、30℃で250rpmにて更に60分間撹拌した。次いで、反応容器を1時間以内に80℃まで徐々に加熱し、温度を80℃で更に2時間維持した。次いで、反応容器を22℃まで冷却した。
【0118】
得られた水性懸濁液は25.9%の固体含有量を有していた。粒径分布を表1に示す。
【0119】
[実施例3]
水105.63g、界面活性剤2 2.97g、約3μmの粒径(d90)まで事前に空気ミル粉砕したサフルフェナシル40.05g、初期縮合物P1 9.09g及び10%w/w水性ギ酸4.01gを、アンカー型撹拌翼を有する撹拌機を備えた250mlの反応容器に装入した。反応容器を30℃まで加熱し、混合物を30℃で700rpmにて40分間撹拌した。次いで、界面活性剤3を添加し、混合物を、30℃で350rpmにて更に90分間撹拌した。次いで、反応容器を1時間以内に80℃まで徐々に加熱し、温度を80℃で更に2時間維持した。次いで、反応容器を22℃まで冷却し、冷却中、水9.55g中の重亜硫酸ナトリウム3.45gの溶液を添加した。次いで、得られた懸濁液のpHを、トリエタノールアミンを添加することによりpH7に調整した。次いで、水性増粘剤5.2gを撹拌しながら添加した。
【0120】
得られた水性懸濁液は29.9%の固体含有量を有していた。粒径分布を表1に示す。
【0121】
【表1】
【0122】
[実施例4~6]
以下のプロトコルを使用して実施例4~6の微粒子を調製した:水、約3μmの粒径(d90)まで事前に空気ミル粉砕したサフルフェナシル、初期縮合物P1及び10%w/w水性ギ酸4.01gを、アンカー型撹拌翼を有する撹拌機を備えた250mlの反応容器に装入した。反応容器を30℃まで加熱し、混合物を30℃で700rpmにて40分間撹拌した。次いで、界面活性剤1を添加し、混合物を、30℃で350rpmにて更に90分間撹拌した。次いで、反応容器を1時間以内に80℃まで徐々に加熱し、温度を80℃で更に2時間維持した。次いで、反応容器を22℃まで冷却し、得られた懸濁液のpHを、トリエタノールアミンを添加することにより、pH7に調整した。
【0123】
【表2】
【0124】
【表3】
【0125】
実施例5及び6については、遊離殺有害生物剤の量(非カプセル化及び放出)を以下の通り決定した:最初に、ポロキサマー335(Pluronic(登録商標)PE10500)の10w%溶液を調製し、これを酢酸でpH5に調整した。この溶液は、非カプセル化又はカプセル化が不十分な殺有害生物剤のレシーバー溶液として作用した。レシーバー溶液250mlに、微粒子分散剤125mgを添加し、10日間にわたって撹拌した。1日、4日及び7日後に、試料を採取し、0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターを通過させて、そのままの微粒子を除去した。濾液中の、殺有害生物剤の量を逆相HPLCで決定し、殺有害生物剤の全量が100%を占めるように正規化した(100%「遊離除草剤」、これは、例えば、カプセル化が全く行われなかった場合に見出される)。結果は表4に要約されている。
【0126】
【表4】
【0127】
IV. 配合例
基本手順
室温で撹拌しながら、本発明の水性微粒子懸濁液と、水及び添加剤とを混合する。したがって、本発明の微粒子の水性懸濁液と、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、消泡剤、防腐剤、凍結防止剤としてプロピレングリコール、増粘剤とを最終濃度が以下のようになるような量で混合することにより、水性CS農薬製剤を調製した:
15~25wt%の、微粒子の形態のサフルフェナシル、
0.2~1wt%のアニオン性界面活性剤、例えば、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物ナトリウム塩又はフェノールスルホン酸尿素ホルムアルデヒド縮合物、
1~6wt%の非イオン性アルキルアルコキシル化界面活性剤、例えば、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの非イオン性ブロックコポリマー、例えば、Pluronic(登録商標)PE10500、
0.1~0.05wt%の消泡剤、例えば、ケイ素消泡剤、例えば、Wacker Silicon(登録商標)SRE-PFL、
0.2~5wt%のポリマー分散剤、
0.2wt%の防腐剤、例えば、Acticide(登録商標)MBS、
0.5~0.7wt%のプロピレングリコール凍結防止剤、
0.1~0.3wt%の増粘剤、例えば、キサンタンガム、例えば、Rhodopol(登録商標)G、並びに
最大100wt%の水。
【0128】
[実施例7]
CS-製剤
実施例5のカプセル懸濁液622gと、プロピレングリコール70g、エチレンオキシド/プロピレンオキシドのトリブロックコポリマー30g、フェノールスルホン酸尿素ホルムアルデヒド縮合物20g、ケイ素消泡剤5g、防腐剤2g、キサンタンガム3g及び水最大1Lとを22℃で混合した。
【0129】
様々な温度での製剤の保存安定性を調べた。サフルフェナシルの凝集又は結晶化は認められなかった(表5参照)。
【0130】
【表5】
【0131】
V. 除草活性
水性微粒子懸濁液の生物学的活性を、以下の放出バイオアッセイを用いて試験した:
【0132】
使用した栽培容器は、基質として約3.0%のOMを含むローム質砂を含有するプラスチック植木鉢トレー(1トレー当たり5×7鉢)であった。各鉢に基質を充填した。次いで、水で希釈した微粒子懸濁液を、滴下施用により施用した(2mlの量)。定義された使用率6.25~200g/ha(6つの使用率)が適用されるように希釈物の濃度を選択した。1つの鉢は水のみで処理した。同じ有効成分の非カプセル化製剤を参照として使用した。合計最大4つのトレーを同じ方法で処理した。各トレーは1時点を表す。施用後、最初の1つ(t=0)を除き、全てのトレーをビニール袋に密閉し、25℃で一定時間保存した。
【0133】
様々な微粒子試料の放出を試験するために、6週間までの時点を試験した。各時点で、1つのトレーを保管場所から取り出し、試験植物(生物指標植物としてクレス)の種を各個々の鉢の表面に撒いた。トレーに静かに水を注ぎ、発芽及び成長を促進し、次いで、植物が根を張るまで、透明なプラスチックフードで覆った。有効成分試料により害されない限り、このような覆いにより、試験植物が均一に発芽した。
【0134】
植物を温室で維持した。成長評価までの成長時間は、約10~12日間であった。この期間中、植物の世話をし、個々の処理に対するその反応を評価した。評価は、0~100のスケールを用いて行われた。100は、植物が出芽しなかったか、又は少なくとも地上部分の全壊を意味し、0は損害なし又は通常の成長過程を意味する。良好な除草活性は、少なくとも70の値で示され、非常に良好な除草活性は少なくとも85の値で示される。放出プロファイルを評価するために、施用後(6週間まで)様々な時間間隔での有効成分試料の有効性を比較し、放出曲線(時間の増加に伴う活性の喪失)を報告し、非カプセル化参照と関連付けた。結果は表6に要約されている。
【0135】
【表6】
本発明は、以下の態様及び実施形態を包含する。
(実施形態1)
サフルフェナシルを含む微粒子組成物であって、サフルフェナシルが、1種以上のアミノ化合物及び1種以上のアルデヒドの重縮合生成物であるアミノプラストポリマーに取り囲まれた又は埋め込まれた固体サフルフェナシルを含む微粒子の形態で存在する、微粒子組成物。
(実施形態2)
アミノプラストポリマーが、メラミンホルムアルデヒド樹脂及び尿素ホルムアルデヒド樹脂からなる群から選択される、実施形態1に記載の組成物。
(実施形態3)
微粒子組成物中のアミノプラストポリマーの量が、アミノプラストポリマー及びサフルフェナシルの総重量に対して、0.5~40重量%、特に1~35重量%、とりわけ5~25重量%である、実施形態1又は2に記載の組成物。
(実施形態4)
微粒子が、マイクロカプセルの水性分散剤の動的光散乱で決定したとき、1~25μmの範囲の重量平均粒径d 50 を有する、実施形態1から3のいずれか一項に記載の組成物。
(実施形態5)
微粒子が、マイクロカプセルの水性分散剤の動的光散乱で決定したとき、50μm超の粒径を有する粒子を10重量%未満含む、実施形態1から4のいずれか一項に記載の組成物。
(実施形態6)
複数の硫酸基又はスルホン酸基を有する、少なくとも1種のアニオン性ポリマー界面活性剤を含有する、実施形態1から5のいずれか一項に記載の組成物。
(実施形態7)
ポリマー界面活性剤が、スルホン酸基を有する、(メタ)アクリレートモノマー又は(メタ)アクリルアミドモノマーのホモポリマー又はコポリマーである、実施形態6に記載の組成物。
(実施形態8)
ポリマー界面活性剤に加えて少なくとも1種のアニオン性乳化剤を更に含有する、実施形態6又は7に記載の組成物。
(実施形態9)
微粒子の水性懸濁液である、実施形態1から8のいずれか一項に記載の組成物。
(実施形態10)
微粒子の固体組成物である、実施形態1から8のいずれか一項に記載の組成物。
(実施形態11)
植物保護組成物の製剤に従来用いられている1種以上の助剤を含有する、実施形態1から10のいずれか一項に記載の組成物。
(実施形態12)
実施形態1から11のいずれか一項に記載の組成物を製造する方法であって、以下のステップ
i)固体サフルフェナシル粒子の水性懸濁液又は分散剤を用意するステップ、
ii)アミノプラスト初期縮合物を前記水性懸濁液に添加するステップ、
iii)前記アミノプラスト初期縮合物の重縮合を行うステップ
を含む、方法。
(実施形態13)
水性懸濁液又は分散剤中のサフルフェナシル粒子が、動的光散乱で決定したとき、0.5~25μmの範囲の重量平均粒径d 50 を有する、実施形態12に記載の方法。
(実施形態14)
ステップii)で添加したアミノプラスト初期縮合物の量が、サフルフェナシル及びアミノプラスト初期縮合物の総量に対して、固体有機物として算出して、0.5~40重量%、特に1~35重量%、とりわけ5~25重量%の範囲である、実施形態12又は13に記載の方法。
(実施形態15)
ステップii)におけるアミノプラスト初期縮合物の添加前に、アミノプラスト初期縮合物の重縮合が、複数の硫酸基又はスルホン酸基を有する少なくとも1種のアニオン性ポリマー界面活性剤、特に、スルホン酸基を有する(メタ)アクリレートモノマー又は(メタ)アクリルアミドモノマーのホモポリマー又はコポリマーの存在下で開始される、実施形態12から14のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態16)
望ましくない植生を防除するための、実施形態1~11のいずれかに記載の微粒子組成物の使用。
(実施形態17)
望ましくない植生を防除する方法であって、実施形態1~11のいずれかに記載の微粒子組成物を、植物、その環境及び/又は種子に作用させる、方法。