(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】デングウイルス複製阻害剤としての置換インドール化合物誘導体
(51)【国際特許分類】
C07D 209/14 20060101AFI20220117BHJP
A61K 31/404 20060101ALI20220117BHJP
A61K 31/407 20060101ALI20220117BHJP
A61K 31/675 20060101ALI20220117BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20220117BHJP
C07D 491/048 20060101ALI20220117BHJP
C07F 9/572 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
C07D209/14 CSP
A61K31/404
A61K31/407
A61K31/675
A61P31/14 ZNA
C07D491/048
C07F9/572 A
(21)【出願番号】P 2018549980
(86)(22)【出願日】2017-03-31
(86)【国際出願番号】 EP2017057662
(87)【国際公開番号】W WO2017167952
(87)【国際公開日】2017-10-05
【審査請求日】2020-03-26
(32)【優先日】2016-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514010601
【氏名又は名称】ヤンセン ファーマシューティカルズ,インコーポレーテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】512320560
【氏名又は名称】カトリック ユニヴェルシテット ルーヴェン
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【氏名又は名称】星川 亮
(72)【発明者】
【氏名】バディオット,ドロテ アリス マリー-イブ
(72)【発明者】
【氏名】ボンファンティ,ジャン-フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】コエスマンズ,エルヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ケステレイン,バート ルドルフ ロマニー
(72)【発明者】
【氏名】マーチャンド,アルナウド ディディエ エム
(72)【発明者】
【氏名】ラボイソン,ピエール ジャン-マリー ベルナード
【審査官】谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-527978(JP,A)
【文献】特表2019-510024(JP,A)
【文献】特許第6701185(JP,B2)
【文献】特許第6732736(JP,B2)
【文献】特表2018-528220(JP,A)
【文献】特許第6752821(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 209/14
C07D 491/048
A61K 31/404
A61K 31/407
A61K 31/661
C07F 9/572
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】
によって表される、
式(Ia)の化合物、その立体異性体、薬学的に許容されるその塩、または
その溶媒和物であって、前記化合物は以下の群から選択される:
R
1はClであり、R
2はHであり、R
3はCH
3である;
R
1はClであり、R
2はOCH
3であり、R
3はHである;
R
1はCH
3であり、R
2はF、OCF
3、HまたはOCH
2CH
3であり、R
3はHである;
R
1およびR
2は結合して、1個の酸素原子を有する5員ヘテロ環を形成し、R
3はHである;
R
2およびR
3は結合して、1個の酸素原子を有する5員ヘテロ環を形成し、R
1はHである;
あるいは、
【化2】
によって表される、
式(Ib)の化合物、その立体異性体、薬学的に許容されるその塩、または
その溶媒和物であって、前記化合物は以下の群から選択される:
R
4はCH
3であり、R
5はFであり、R
6およびR
7はいずれもHである;
R
4はCH
3であり、R
5はOCH
3であり、R
6はHであり
、R
7はFである;
R
4はSF
5であり、R
5=R
6=R
7は全てHである;
R
4およびR
5は結合して、1個の酸素原子を有する5員ヘテロ環を形成し、R
6およびR
7はいずれもHである;
R
5およびR
6は結合して、1個の酸素原子を有する5員ヘテロ環を形成し、R
4およびR
7はいずれもHである、
あるいは、
【化3】
によって表される、
式(II)、(III)または(IV)の化合物、その立体異性体、薬学的に許容されるその塩、または
その溶媒和物。
【請求項2】
前記化合物は以下の群から選択される、請求項1に記載の化合物もしくはその立体異性体、薬学的に許容されるその塩、または
その溶媒和物。
【化4】
【化5】
【請求項3】
請求項1または2に記載の化合物もしくはその立体異性体、薬学的に許容されるその塩または
その溶媒和物を、1種以上の薬学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体と共に含む医薬組成物。
【請求項4】
薬剤として使用するための、請求項1または2に記載の
化合物もしくはその立体異性体、薬学的に許容されるその塩または
その溶媒和物。
【請求項5】
デング熱の治療に使用するための、請求項1または2に記載の
化合物もしくはその立体異性体、薬学的に許容されるその塩または
その溶媒和物。
【請求項6】
薬剤として使用するための、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項7】
デング熱の治療に使用するための、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項8】
生物学的試料中でまたは患者の体内でデングウイルスの複製を阻害するための薬剤の製造における、請求項1~2に記載の構造式のいずれかで表される化合物もしくはその立体異性体、薬学的に許容されるその塩または
その溶媒和物の使用。
【請求項9】
追加の治療薬を同時投与することをさらに含む請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記追加の治療薬は、抗ウイルス剤もしくはデングワクチン、またはその両方から選択される請求項9に記載の使用。
【請求項11】
生物学的試料中でまたは患者の体内でデングウイルスの複製を阻害するための方法における使用のための医薬組成物であって、請求項1~2に記載の構造式のいずれかで表される化合物もしくはその立体異性体、薬学的に許容されるその塩または
その溶媒和物を含む医薬組成物。
【請求項12】
前記方法は、追加の治療薬を同時投与することをさらに含む、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記追加の治療薬は、抗ウイルス剤もしくはデングワクチン、またはその両方から選択される請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
下記から選択される化合物である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは
その溶媒和物。
【化6】
【化7】
【請求項15】
請求項14に記載の化合物、薬学的に許容されるその塩または
その溶媒和物を、1種以上の薬学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体と共に含む医薬組成物。
【請求項16】
薬剤として使用するための、請求項14に記載の化合物、薬学的に許容されるその塩または
その溶媒和物。
【請求項17】
薬剤として使用するための、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項18】
デング熱の治療に使用するための、請求項14に記載の化合物、薬学的に許容されるその塩または
その溶媒和物。
【請求項19】
デング熱の治療に使用するための、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項20】
生物学的試料中または患者の体内でのデングウイルスの複製を阻害するための薬剤の製造における、請求項14に記載の構造式のいずれかで表される化合物、薬学的に許容されるその塩または
その溶媒和物の使用。
【請求項21】
追加の治療薬を同時投与することをさらに含む請求項20に記載の使用。
【請求項22】
前記追加の治療薬は、抗ウイルス剤もしくはデングワクチン、またはその両方から選択される請求項21に記載の使用。
【請求項23】
生物学的試料中または患者の体内でのデングウイルスの複製を阻害するための方法における使用のための医薬組成物であって、請求項14に記載の構造式のいずれかで表される化合物、薬学的に許容されるその塩または
その溶媒和物を含む、医薬組成物。
【請求項24】
前記方法は、追加の治療薬を同時投与することをさらに含む請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記追加の治療薬は、抗ウイルス剤もしくはデングワクチン、またはその両方から選択される請求項24に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置換インドール化合物、および前記化合物を使用することによってデングウイルス感染を予防または治療する方法に関し、また、医薬として使用するための、より好ましくはデングウイルス感染を治療または予防する医薬として使用するための前記化合物に関する。本発明はさらに、その化合物の医薬組成物または組合せ製剤、医薬として使用するための、より好ましくはデングウイルス感染を予防または治療するための組成物または製剤に関する。本発明はまた、その化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蚊またはダニによって伝播されるフラビウイルスは、脳炎や出血熱などの人の生命を脅かす感染症を引き起こす。4種の、はっきりと区別されるものの、血清型が近似しているフラビウイルスデング、いわゆるDENV-1、DENV-2、DENV-3およびDENV-4が知られている。デングは、世界の殆どの熱帯および亜熱帯地域、主に都市部および準都市部に特有である。世界保健機関(World Health Organization)(WHO)によれば、25億人(そのうちの10億人が小児である)がDENV感染の危険性がある(WHO、2002)。毎年、世界で、推定5千万~1億例のデング熱[DF]、50万例の重度のデング熱疾患(すなわち、デング出血熱[DHF]およびデング熱ショック症候群[DSS])、および20,000人を超える死者が発生している。DHFは、流行地における小児の入院および死亡の主な要因となっている。要するに、デング熱はアルボウイルス病の最大の原因である。ラテンアメリカ、東南アジアおよび西太平洋にある国々(ブラジル、プエルトリコ、ベネズエラ、カンボジア、インドネシア、ベトナム、タイなど)における最近の大流行のために、過去数年に亘って、デング熱の症例数が著しく増加している。この病気が新しい地域に広がっているため、デング熱の症例数が増加しているだけでなく、発生がより深刻化する傾向が見られる。
【0003】
Dengvaxia(登録商標)ワクチンが利用可能となるなど、デング熱に対するワクチンの開発は進歩しているが、多くの困難に遭遇している。そのような困難には、抗体依存性感染増強(ADE)と称する現象の存在が含まれる。1種の血清型による感染からの回復により、その血清型に対して生涯続く免疫が得られるが、他の3種の血清型の1種によるその後の感染に対しては、部分的で、かつ一時的な保護を与えるのみである。他の血清型に感染すると、既に存在している異種抗体が、新たに感染したデングウイルス血清型と複合体を形成するが、その病原体を中和することはない。それどころか、細胞へのウイルスの侵入が促進され、ウイルスの無制御な複製が生じ、ウイルス力価のピークがより高くなる。一次感染および二次感染のいずれでも、ウイルス力価が高くなると、デング熱疾患はより重度となる。母親由来抗体は授乳によって容易に乳児に伝わるため、これが、重度のデング熱疾患による影響が子供の方が大人より大きいことの理由の1つであるかもしれない。
【0004】
2種以上の血清型が同時に広まった地域は、多重血清型流行地とも呼称されるが、そこでは、二次の、より重度の感染の危険性が増大するため、重度のデング熱疾患の危険性が非常に高くなる。さらに、多重血清型の状況では、より悪性の高い株が出現する可能性が増し、これは、次には、デング出血熱(DHF)またはデング熱ショック症候群の可能性を増大させる。
【0005】
アエデス・アエギプチ(Aedes aegypti)およびアエデス・アルボピクツス(Aedes albopictus)(ヒトスジシマカ)などの、デングウイルスを運ぶ蚊は地球上を北に移動している。米国疾病対策センター(United States(US)Centers for Disease Control and Prevention(CDC))によれば、それらの蚊はいずれも、現在、テキサス州南部の至る所に存在している。デングウイルスを運ぶ蚊の北への広がりは、米国に限らず、ヨーロッパでも観察されている。
【0006】
Sanofi Pasteurが製造するデングワクチンであるDengvaxia(登録商標)は、メキシコで初めて承認され、その後にもより多くの国で承認されている。とは言え、特にDENV-1およびDENV-2に対する効果が限られていること、フラビウイルス未感染患者における効果が低いこと、ならびに投薬スケジュールが長期に亘ることから、ワクチンには改善の余地がかなり残されている。
【0007】
これらの欠点の存在にもかかわらず、ワクチンは人口の大部分を保護するため(しかし、デング熱の負担が最も大きい乳幼児は保護されないであろう)、流行環境下では大変革をもたらすものである。また、ワクチンは、投薬スケジュールや、フラビウイルス未感染患者において効果が非常に限られているために、デング熱の非流行地から流行地へ移動する人にとっては、ワクチンは好適なものではなく、価値/費用効率は低いであろう。デングワクチンの上記欠点が、予め曝露させる予防性の抗デングウイルス剤が要望されている理由である。
【0008】
さらに、今日、デング熱ウイルス感染を治療または予防する特定の抗ウイルス薬を入手することはできない。明らかに、動物、特にヒトにおけるウイルス感染、特に、フラビウイルス、特にデングウイルスにより引き起こされるウイルス感染を予防または治療する治療学上の、満たされていない大きな医療ニーズが依然として存在する。良好な抗ウイルス力を有し、副作用がないか、もしくは少なく、複数のデングウイルス血清型に対し広範囲の抗ウイルス活性を有し、低毒性で、かつ/または良好な薬物動態特性もしくは薬力学的特性を有する化合物が強く求められている。
【0009】
国際公開第2010/021878号パンフレットは、炎症性疾患および中枢性疾患の治療のための低温メントール受容体アンタゴニストとして、2-フェニルピロリジンおよびインドリン誘導体を開示している。国際公開第2013/045516号パンフレットは、デングウイルス感染の治療において使用するインドールおよびインドリン誘導体を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、今、デングウイルスの4種の血清型全てに対して高い効能活性を示す化合物、置換インドール誘導体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、本発明の化合物によって上記問題の少なくとも1つを解決することができるという予期しない発見に基づいている。
【0012】
本発明は、現在知られている4種の血清型全てに対して高い抗ウイルス活性を有することが明らかとなった化合物を提供する。本発明はさらに、これらの化合物がデングウイルス(DENV)の増殖を効果的に阻害することを示す。したがって、これらの化合物は、動物、哺乳動物およびヒトにおけるウイルス感染の治療および/または予防に、特にデングウイルス感染の治療および/または予防に使用することができる、効能を有する化合物群の有用な1クラスを構成する。
【0013】
本発明はさらに、そのような化合物の医薬としての使用、ならびに、ウイルス感染、特に、動物または哺乳動物、より特にはヒトにおけるデングウイルスファミリーに属するウイルスによる感染を治療および/または予防する薬剤を製造するための使用に関する。本発明はまた、そのような化合物の全てを製造する方法、およびそれらを有効量含む医薬組成物に関する。
【0014】
本発明はまた、そのような化合物の1種以上の有効量、または薬学的に許容されるその塩の有効量を、任意選択により、1種以上の他の医薬、例えば、他の抗ウイルス剤と併用して、それを必要としている患者に投与することにより、ヒトのデングウイルス感染を治療または予防する方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一態様は、式(IaまたはIb)の化合物を提供することである。
【0016】
式(Ia)は次の通り表され:
【化1】
一置換または二置換インドール基を含む、立体異性体、薬学的に許容されるその塩、溶媒和物または多形体;前記化合物は以下の群から選択される:
R
1はClであり、R
2はHであり、R
3はCH
3である;
R
1はClであり、R
2はOCH
3であり、R
3はHである;
R
1はCH
3であり、R
2はF、OCF
3、HまたはOCH
2CH
3であり、R
3はHである;
R
1およびR
2は結合して1個の酸素原子を有する5員ヘテロ環を形成し、R
3はHである;
R
2およびR
3は結合して1個の酸素原子を有する5員ヘテロ環を形成し、R
1はHである。
【0017】
式(Ib)は、以下の構造で表され:
【化2】
一置換または二置換インドール基を含む、立体異性体、薬学的に許容されるその塩、溶媒和物または多形体;前記化合物は以下の群から選択される:
R
4はCH
3であり、R
5はFであり、R
6およびR
7はいずれもHである;
R
4はCH
3であり、R
5はOCH
3であり、R
6はH
、R
7はFである;
R
4はSF
5であり、R
5=R
6=R
7は全てHである;
R
4およびR
5は結合して1個の酸素原子を有する5員ヘテロ環を形成し、R
6およびR
7はいずれもHである;
R
5およびR
6は結合して1個の酸素原子を有する5員ヘテロ環を形成し、R
4およびR
7はいずれもHである。
【0018】
本発明の一部は、また、それぞれ構造(II)、(III)および(IV)を有する以下の3つの化合物:
【化3】
もしくは立体異性体、薬学的に許容されるその塩、溶媒和物または多形体である。
【0019】
特に、本発明の化合物もしくはその立体異性体、薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、または多形体は、以下の群から選択される:
【化4】
【化5】
【0020】
本発明の一部はまた、1種以上の薬学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体と共に、式(Ia、Ib、II、IIIまたはIV)の化合物もしくは立体異性体、薬学的に許容されるその塩、溶媒和物または多形体を含む医薬組成物である。
【0021】
式(Ia、Ib、II、IIIまたはIV)の化合物の薬学的に許容される塩としては、その酸付加塩およびその塩基塩が挙げられる。好適な酸付加塩は、非毒性塩を形成する酸から形成される。好適な塩基塩は、非毒性塩を形成する塩基から形成される。
【0022】
本発明の化合物はまた、非溶媒和形態および溶媒和形態で存在してもよい。「溶媒和物」という用語は、本明細書では、本発明の化合物と、1種以上の薬学的に許容される溶媒分子、例えば、エタノールとを含む分子複合体を表すために用いられる。
【0023】
「多形体」という用語は、本発明の化合物が2種以上の形態または結晶構造で存在できることを指す。
【0024】
本発明の化合物は、結晶質または非晶質製品として投与されてもよい。それらは、沈澱、結晶化、凍結乾燥、噴霧乾燥、または蒸発乾燥などの方法によって、例えば、固体プラグ、粉末、またはフィルムとして得ることができる。それらは、単独で、または本発明の1種以上の他の化合物と組み合わせて、または1種以上の他の薬物と組み合わせて投与されてもよい。一般に、それらは、1種以上の薬学的に許容される賦形剤を伴う製剤として投与されるであろう。本明細書では「賦形剤」という用語は、本発明の化合物以外の任意の成分を表すために使用される。賦形剤の選択は、特定の投与形態、溶解性および安定性への賦形剤の影響、ならびに剤形の性質などの要因に大きく左右される。
【0025】
本発明の化合物またはそれらの任意のサブグループは、投与目的のために様々な医薬品形態へと製剤化され得る。適切な組成物として、全身投与薬物用に通常用いられる全ての組成物が挙げられ得る。本発明の医薬組成物を調製するために、有効成分としての特定の化合物の有効量が、任意選択的に付加塩形態で、薬学的に許容される担体と均質混合状態で組み合わされるが、その担体は、投与に所望される製剤の形態に応じて、多種多様な形態を取り得る。これらの医薬組成物は、例えば、経口または直腸投与に好適な単一の剤形であることが望ましい。例えば、経口剤形の組成物を調製する際、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤および溶液剤などの経口液体製剤の場合には、例えば、水、グリコール、油、アルコールなどの通常の医薬媒体のいずれかを使用することができ、また散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合には、デンプン、糖、カオリン、希釈剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などの固体担体を使用することができる。投与が容易であるために、錠剤およびカプセル剤が最も有利な経口単位剤形であり、この場合は、言うまでもなく固体医薬担体が使用される。使用の直前に、液体形態に変換することができる固形製剤もまた含まれる。
【0026】
投与を容易にし、投与量を均一にするために、前述の医薬組成物を単位剤形に製剤化することはとりわけ有利である。本明細書で用いられるような単位剤形は、単位投与量として好適な物理的に個別の単位を指し、各単位は、必要な医薬担体と共同して所望の治療効果を生じるように計算された所定量の有効成分を含有する。そのような単位剤形の例は、錠剤(分割錠剤またはコーティング錠剤を含む)、カプセル剤、丸剤、粉末パケット、ウエハー、坐剤、注射液または懸濁剤など、およびそれらの分離複合剤である。
【0027】
感染症の治療の当業者は、本明細書で以下に示される試験結果から有効量を決定することができるであろう。一般に、有効な1日量は、0.01mg/kg体重~50mg/kg体重、より好ましくは0.1mg/kg体重~10mg/kg体重であろうと考えられる。必要な用量を2、3、4またはそれ以上のサブ用量として、一日の間に適切な間隔を置いて投与することが適切であり得る。前記サブ用量は、例えば、単位剤形当たり1~1000mg、特に5~200mgの有効成分を含有する単位剤形として製剤化され得る。
【0028】
正確な投与量および投与頻度は、当業者によく知られているように、使用される式(Ia、Ib、II、IIIまたはIV)の特定の化合物、治療される特定の病態、治療される病態の重症度、特定の患者の年齢、体重および全身的な身体状態、ならびに個人が摂取している可能性のある他の薬剤に依存する。さらに、有効量は、治療される対象の応答に応じて、および/または本発明の化合物を処方する医師の評価に応じて、減少または増加させ得ることは明らかである。上記の有効量の範囲はそれ故指針であるに過ぎず、本発明の範囲または使用を、いかなる程度であれ限定することを意図しない。
【0029】
本開示はまた、本発明の化合物に存在する原子の任意の同位体を含むことを意図している。例えば、水素の同位体はトリチウムおよびジュウテリウムを含み、炭素の同位体は、C-13およびC-14を含む。
【0030】
本発明に使用される本化合物はまた、同じ結合順序で結合している同じ原子から構成されるが、異なる三次元構造を有し、交換可能ではない全ての可能な化合物を定義する、それらの立体化学的異性体で存在してもよい。特に言及しないまたは示さない限り、化合物の化学的指定は、前記化合物が取り得る全ての可能な立体化学的異性体の混合物を包含する。
【0031】
前記混合物は、前記化合物の基本分子構造の全てのジアステレオマーおよび/またはエナンチオマーを含み得る。本発明で、純粋形態でまたは互いの混合状態で使用される化合物の全ての立体化学的異性体は、任意のラセミ混合物またはラセミ化合物を含めて、本発明の範囲内に包含されることを意図している。
【0032】
本明細書で言及する化合物および中間体の純粋な立体異性体は、前記化合物または中間体と同じ基本分子構造の他のエナンチオマーまたはジアステレオマーを実質的に含まない異性体と定義される。特に、「立体異性体として純粋な」という用語は、少なくとも80%(すなわち最小90%の1種の異性体および最大10%の他の可能な異性体)の立体異性体過剰率から100%(すなわち100%の1種の異性体で他種の異性体を全く含まない)の立体異性体過剰率までを有する化合物または中間体、より特に、90%から100%までの立体異性体過剰率を有する、さらにより特に、94%から100%までの立体異性体過剰率を有する、最も特に、97%から100%までの立体異性体過剰率を有する化合物または中間体に関する。「エナンチオマーとして純粋な」および「ジアステレオマーとして純粋な」という用語も同様に理解されるべきであるが、その場合、それらはそれぞれ、当該混合物のエナンチオマー過剰率、ジアステレオマー過剰率に関するものとする。
【0033】
本発明において使用される化合物および中間体の純粋な立体異性体は、この分野で知られている手順を適用することにより得ることができる。例えば、エナンチオマーは、光学的に活性な酸または塩基を用いてそれらのジアステレオマー塩を選択的に結晶化することによって互いに分離され得る。その例として、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸およびカンファースルホン酸が挙げられる。あるいは、エナンチオマーは、キラル固定相を用いるクロマトグラフ法により分離され得る。前記純粋な立体化学的異性体はまた、反応が立体特異的に起こるという条件で、適切な出発原料の対応する純粋な立体化学的異性体から誘導され得る。好ましくは、特異的な立体異性体が望ましい場合、前記化合物は立体特異的な製造方法により合成されるであろう。これらの方法では、エナンチオマーとして純粋な出発物質を用いることが有利であろう。
【0034】
本発明の式(Ia)、(Ib)、(II)、(III)または(IV)の化合物は全て、*の標識が付いた炭素原子で下図に示されているように、少なくとも1個のキラル炭素原子を有する:
【化6】
前記キラル炭素原子の存在により、「式(Ia)、(Ib)、(II)、(III)または(IV)の化合物」は、(R)-エナンチオマー、(S)-エナンチオマー、ラセミ体、または任意の比率の2つの個々のエナンチオマーの任意の可能な組合せとなり得る。エナンチオマーの(R)または(S)の絶対配置が不明の場合、前記特定のエナンチオマーの固有の旋光度を測定した後、エナンチオマーが右旋性(+)であるか左旋性(-)であるかを示すことにより、このエナンチオマーもまた特定することができる。
【0035】
一態様では、本発明は、式(Ia)、(Ib)、(II)、(III)および(IV)の第1群の化合物であって、式(Ia)、(Ib)、(II)、(III)および(IV)の化合物が(+)の旋光性を有する化合物に関する。
【0036】
さらなる態様では、本発明は、式(Ia)、(Ib)、(II)、(III)および(IV)の第2群の化合物であって、式(Ia)、(Ib)、(II)、(III)および(IV)の化合物が(-)の旋光性を有する化合物に関する。
【実施例】
【0037】
LC/MS法
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)測定は、それぞれの方法で明記されるように、LCポンプ、ダイオードアレイ(DAD)またはUV検出器、およびカラムを使用して行った。必要ならば、追加の検出器を含めた(下の方法の表を参照されたい)。
【0038】
カラムからの流れを、大気圧イオン源を装備した質量分析計(MS)に導入した。化合物の公称モノアイソトピック分子量(MW)の特定を可能にするイオンを得るために、調整パラメータ(例えば、走査範囲、データ取込時間など)を設定することは当業者の知識の範囲内である。データ取得は、適切なソフトウェアを用いて行った。
【0039】
化合物は、それらの実測保持時間(Rt)およびイオンで表される。データの表に別に明記されていなければ、報告される分子イオンは、[M+H]+(プロトン化分子)および/または[M-H]-(脱プロトン化分子)に相当する。化合物が直接イオン化できなかった場合、付加体の種類を明記する(すなわち、[M+NH4]+、[M+HCOO]-など)。複数の同位体パターンを持った分子(Br、Clなど)については、報告される値は、最も低い同位体質量について得られた値である。全ての結果は、用いられた方法に通常付随する実験的不確実性を伴って得られた。
【0040】
以下、「SQD」はシングル四重極検出器を意味し、「MSD」は質量選択検出器を意味し、「RT」は室温を意味し、「BEH」は架橋エチルシロキサン/シリカハイブリッドを意味し、「DAD」はダイオードアレイ検出器を意味し、「HSS」は高強度シリカを意味する。
【0041】
【0042】
SFC/MS法
SFC測定は、二酸化炭素(CO2)を送るバイナリポンプおよび修飾剤、オートサンプラ、カラムオーブン、400barまでの高圧に耐える高圧フローセルを備えたダイオードアレイ検出器で構成される分析超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)システムを使用して行った。質量分析計(MS)が配置されている場合、カラムからの流れを(MS)に導入した。化合物の公称モノアイソトピック分子量(MW)の特定を可能にするイオンを得るために、調整パラメータ(例えば、走査範囲、データ収集時間(dwell time)など)を設定することは当業者の知識の範囲内である。データ取得は、適切なソフトウェアを用いて行った。
【0043】
【0044】
融点
値はピーク値または融解範囲のいずれかであり、この分析方法に通常付随する実験上の不確実性を伴って得られる。
【0045】
DSC823e(DSCと示す)
多くの化合物について、DSC823e(Mettler-Toledo)で融点を測定した。融点は、10℃/分の温度勾配で測定した。最高温度は300℃であった。
【0046】
旋光度
旋光度は、ナトリウムランプを備えたPerkin-Elmer 341旋光計で測定し、次のように報告した:[α]°(λ、cg/100ml、溶媒、T℃)。[α]λ
T=(100α)/(l×c):式中、lは経路長(単位:dm)であり、cは、温度T(℃)および波長λ(単位:nm)における試料の濃度(単位:g/100ml)である。使用した光の波長が589nm(ナトリウムD線)である場合、代わりに記号Dが使用され得る。旋光度の符号(+または-)は常に記載されるべきである。この式を用いる場合、濃度および溶媒を旋光度の後の括弧内に常に記載する。旋光度は度を用いて報告し、濃度の単位は記載されない(g/100mlであると推定される)。
【0047】
実施例1:1-(5-クロロ-7-メチル-1H-インドール-3-イル)-2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-メトキシフェニル)アミノ)エタノン)(化合物1)の合成、ならびにエナンチオマー1Aおよび1Bへのキラル分離。
【化7】
中間体1a’の合成:
2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)酢酸[CAS886498-61-9](28.9g、157mmol)を塩化チオニル(150mL)に少量ずつ添加し、得られた溶液を室温で終夜撹拌した。溶媒を減圧下で濃縮し、トルエンで同時蒸発させ、2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)アセチルクロリド1a’(31.8g)を油状残留物として得、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0048】
中間体1aの合成:
5-フルオロ-7-メチル-1H-インドール[CAS15936-77-3](5.9g、35.6mmol)のCH2Cl2(150mL)溶液を、N2雰囲気下、0℃に冷却した。ジエチルアルミニウムクロリドの1Mヘキサン溶液(53.4mL、53.4mmol)を10分かけて滴下し、得られた混合物を0℃で15分間保持した。2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)アセチルクロリド1a’(10.8g、53.4mmol)のCH2Cl2(100mL)溶液を100分かけて滴下した。0℃で15分間、室温で2.5時間、撹拌を続けた。反応混合物を再び0℃に冷却し、酒石酸カリウムナトリウム四水和物(ロッシェル塩)[CAS6100-16-9](20.1g、71.2mmol)の水(21ml)溶液を徐々に添加して反応を停止させた。0℃で20分間、撹拌を続けた。THF(350mL)を加え、混合物を室温にまで温めた。Na2SO4(50g)を加え、終夜撹拌した後、混合物をdicalite(登録商標)でろ過し、ろ過ケーキをTHF(4×250mL)で洗浄した。ろ液をまとめ、減圧蒸発させた。残留物をCH3CN(30mL)中、50℃で撹拌し、得られた沈殿物をろ別し、CH3CN(4×)で洗浄し、50℃で真空乾燥して、1-(5-クロロ-7-メチル-1H-インドール-3-イル)-2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)エタノン1a(3.54g)を得た。ろ液を真空下で濃縮し、EtOAcと共蒸発させた。残留物をCH2Cl2(10mL)中で撹拌した。固体をろ過によって単離し、CH2Cl2(5×)で洗浄し、50℃で真空乾燥して、1a(1.46mg)の第2の生成物を得た。
【0049】
中間体1bの合成:
1-(5-フルオロ-7-メチル-1H-インドール-3-イル)-2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)エタノン1a(1.46g、4.40mmol)のTHF(40mL)溶液を、N2雰囲気下、撹拌しながら0℃に冷却した。フェニルトリメチルアンモニウムトリブロミド[CAS4207-56-1](1.74g、4.62mmol)を添加し、得られた懸濁液を0℃で30分間、室温で30分間撹拌した。ろ過によって固形分を除去し、THFで洗浄した(2×)。ろ液をまとめて減圧蒸発させ、2-ブロモ-1-(5-クロロ-7-メチル-1H-インドール-3-イル)-2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)エタノン1b(1.81g)を得、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0050】
化合物1の合成ならびにエナンチオマー1Aおよび1Bのキラル分離:
CH3CN(50mL)中の、2-ブロモ-1-(5-クロロ-7-メチル-1H-インドール-3-イル)-2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)エタノン1b(1.81g、4.40mmol)、2-(3-アミノ-5-メトキシフェノキシ)エタノール[CAS725237-16-1](2.42g、13.2mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(0.76mL、4.40mmol)の混合物を室温で終夜撹拌した。さらにジイソプロピルエチルアミン(0.76mL、4.40mmol)を加え、反応混合物を45℃に24時間加熱した。反応混合物を水(200mL)に注ぎ込み、生成物をEtOAc(2×)で抽出した。抽出物をまとめて塩水で洗浄し、MgSO4で脱水し、ろ過し、減圧蒸発させた。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(固定相:Grace Reveleris(登録商標)シリカ80g、移動相:ヘプタン/EtOAc/EtOH 勾配100/0/0~40/45/15)により精製した。所望の画分をまとめ、減圧蒸発させた。残留物を分取HPLC(固定相:Uptisphere(登録商標)C18 ODB-10μm、200g、5cm、移動相:0.25%NH4HCO3水溶液、CH3CN)でさらに精製した。所望の画分をまとめ、減圧蒸発させた。MeOH(10mL)中、45℃で残留物を撹拌した。固体をろ別し、MeOH(4×2.5ml)で洗浄し、50℃で真空乾燥して、1-(5-クロロ-7-メチル-1H-インドール-3-イル)-2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-メトキシフェニル)アミノ)エタノン(化合物1、1.07g)をラセミ混合物として得た。
【0051】
化合物1のエナンチオマー(1.02g)を、順相キラル分離(固定相:(S,S)-Whelk-O1、移動相:70%ヘプタン、30%エタノール)。生成物画分をまとめ、蒸発させて、エナンチオマー1Aを第1の溶出生成物として、またエナンチオマー1Bを第2の溶出生成物として得た。エナンチオマー1Aをフラッシュクロマトグラフィー(固定相:Grace Reveleris(登録商標)シリカ12g、移動相:ヘプタン/EtOAc/EtOH 勾配100/0/0~40/45/15)により精製した。所望の画分をまとめ、減圧蒸発させた。残留物をヘプタン(2mL)中で撹拌し、EtOAc(0.2mL)を滴下した。混合物を10分間撹拌し、固体をろ別し、ヘプタン/EtOAcの混合物(9/1)で洗浄し(4×)、50℃で真空乾燥して、エナンチオマー1A(314mg)を得た。エナンチオマー1BをCH2Cl2(2.5ml)から結晶化した。固体をろ別し、少量のCH2Cl2で洗浄し(4×)、50℃で真空乾燥して、エナンチオマー1B(204mg)を得た。
【0052】
化合物1:
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 2.46(s,3H)3.61(s,3H)3.64(q,J=5.4Hz,2H)3.83(s,3H)10.1-5.1(m,2H)3.96(s,3H)4.77(t,J=5.5Hz,1H)5.71(t,J=2.1Hz,1H)5.95(d,J=2.0Hz,2H)6.15(d,J=7.7Hz,1H)6.33(d,J=7.7Hz,1H)6.72(td,J=8.5,2.4Hz,1H)6.92(dd,J=11.4,2.4Hz,1H)7.07(d,J=8.8Hz,1H)7.37(dd,J=8.5,6.9Hz,1H)7.97(d,J=8.8Hz,1H)8.44(br s,1H)12.26(br s,1H)
LC/MS(LC-A法):Rt1.17分、MH+513
【0053】
エナンチオマー1A:
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 2.50(s,3H)3.61(s,3H)3.64(q,J=5.4Hz,2H)3.74-3.90(m,2H)3.96(s,3H)4.77(t,J=5.5Hz,1H)5.71(t,J=2.1Hz,1H)5.95(d,J=2.2Hz,2H)6.15(d,J=7.9Hz,1H)6.34(d,J=7.9Hz,1H)6.72(td,J=8.5,2.4Hz,1H)6.92(dd,J=11.4,2.50Hz,1H)7.07(d,J=1.1Hz,1H)7.37(dd,J=8.6,7.0Hz,1H)7.97(d,J=2.0Hz,1H)8.44(s,1H)12.26(s,1H)
LC/MS(LC-A法):Rt1.23分、MH+513
[α]D
20:+107.2°(c0.43、DMF)
キラルSFC(SFC-A法):Rt3.73分、MH+513,キラル純度100%。
【0054】
エナンチオマー1B:
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 2.47(s,3H)3.61(s,3H)3.65(q,J=5.1Hz,2H)3.77-3.90(m,2H)3.96(s,3H)4.77(t,J=5.5Hz,1H)5.72(t,J=2.1Hz,1H)5.95(d,J=2.2Hz,2H)6.16(d,J=7.9Hz,1H)6.34(d,J=7.9Hz,1H)6.73(td,J=8.5,2.4Hz,1H)6.93(dd,J=11.3,2.5Hz,1H)7.07(dd,J=1.9,2.2Hz,1H)7.37(dd,J=8.6,6.8Hz,1H)7.97(s,1H)8.45(s,1H)12.26(br s,1H)
LC/MS(LC-A法):Rt1.26分、MH+513
[α]D
20:-107.5°(c0.51、DMF)
キラルSFC(SFC-A法):Rt4.34分、MH+513、キラル純度100%。
融点:118℃
【0055】
実施例2:1-(5-クロロ-6-メトキシ-1H-インドール-3-イル)-2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-メトキシフェニル)アミノ)エタノン)(化合物2)の合成ならびにエナンチオマー2Aおよび2Bへのキラル分離。
【化8】
中間体2aの合成:
5-クロロ-6-メトキシ-1H-インドール[CAS90721-60-1](5.0g、27.5mmol)のCH
2Cl
2(100mL)溶液を、N
2雰囲気下、0℃に冷却した。ジエチルアルミニウムクロリドの1Mヘキサン溶液(41.3mL、41.3mmol)を10分かけて滴下し、得られた混合物を0℃で20分間保持した。2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)アセチルクロリド1a’(8.37g、41.3mmol)のCH
2Cl
2(100mL)溶液を70分かけて滴下した。0℃で1.5時間、室温で2時間、撹拌を続けた。反応混合物を再び0℃に冷却し、酒石酸カリウムナトリウム四水和物(ロッシェル塩)[CAS6100-16-9](15.5g、55.1mmol)の水(16ml)溶液を徐々に添加して反応を停止させた。0℃で30分間、室温で1時間、撹拌を続けた。THF(200mL)およびNa
2SO
4(50g)を加え、終夜撹拌した後、混合物をdicalite(登録商標)でろ過し、ろ過ケーキを2-メチル-THF(5×200mL)およびTHF(2L)で洗浄した。THFろ液をまとめ、残留体積が30mLになるまで減圧蒸発させた。得られた沈殿物をろ別し、THF(2×3mL)で洗浄し、50℃で真空乾燥し、1-(5-クロロ-6-メトキシ-1H-インドール-3-イル)-2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)エタノン2a(1.73g)の第1画分を得た。ろ液を先に得た2-メチル-THFろ液と合わせ、減圧濃縮した。残留物(2.8g)をCH
2Cl
2(7mL)中で撹拌した。得られた沈殿物をろ別し、CH
2Cl
2(4×1mL)で洗浄し、50℃で真空乾燥して、2aの第2画分(1.65g)を得た。
【0056】
化合物2の合成ならびにエナンチオマー2Aおよび2Bのキラル分離:
1-(5-クロロ-6-メトキシ-1H-インドール-3-イル)-2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-エタノン2a(1.73g、4.98mmol)のTHF(75mL)溶液を、N2雰囲気下、撹拌しながら0℃に冷却した。フェニルトリメチルアンモニウムトリブロミド[CAS4207-56-1](1.96g、5.22mmol)を添加し、得られた懸濁液を0℃で100分間、続いて室温で20時間撹拌した。2-(3-アミノ-5-メトキシフェノキシ)エタノール[CAS725237-16-1](2.73g、14.9mmol)を添加し、溶媒を減圧蒸発させた。残留物をCH3CN(100mL)に溶解し、ジイソプロピルエチルアミン(1.72mL、9.95mmol)を加え、反応混合物を、室温で8時間、45℃で16時間撹拌した。反応混合物を水(400mL)に注ぎ込み、生成物を2-メチル-THF(2×)で抽出した。抽出物をまとめて塩水で洗浄し、MgSO4で脱水し、ろ過し、減圧蒸発させた。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(固定相:Grace Reveleris(登録商標)シリカ12g、移動相:CH2Cl2/MeOH 勾配100/0~98/2)により精製した。所望の画分をまとめ、減圧蒸発させ、MeOHと共蒸発させた。残留物を分取HPLC(固定相:RP XBridge(登録商標)Prep C18 OBD-10μm、30×150mm;移動相:0.25%NH4HCO3水溶液、MeOH)によりさらに精製した。所望の画分をまとめ、減圧蒸発させ、MeOHと共蒸発させた。残留物を分取HPLC(固定相:Uptisphere(登録商標)C18 ODB-10μm、200g、5cm、移動相:0.25%NH4HCO3水溶液、CH3CN)でさらに精製した。所望の画分をまとめ、減圧蒸発させ、MeOHと共蒸発させた。MeOH(20mL)中、50℃で残留物を撹拌した。固体をろ別し、MeOH(3×5ml)で洗浄し、50℃で真空乾燥して、1-(5-クロロ-6-メトキシ-1H-インドール-3-イル)-2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-メトキシフェニル)アミノ)エタノン(化合物2、1.43g)をラセミ混合物として得た。
【0057】
化合物2のエナンチオマー(1.36g)を、順相キラル分離(固定相:(S,S)-Whelk-O1、移動相:100%メタノール)により分離した。生成物画分をまとめて、蒸発させ、エナンチオマー2Aを第1の溶出生成物として、またエナンチオマー2Bを第2の溶出生成物として得た。MeOH(10ml)中、45℃でエナンチオマー2Aを撹拌し、ろ別し、MeOHで洗浄し(4×)、50℃で真空乾燥して、エナンチオマー2A(392mg)を得た。MeOH(7.5ml)中、45℃でエナンチオマー2Bを撹拌し、ろ別し、MeOHで洗浄し(4×)、50℃で真空乾燥して、エナンチオマー2B(286mg)を得た。
【0058】
化合物2:
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 3.61(s,3H)3.64(q,J=5.2Hz,2H)3.76-3.89(m,2H)3.95(s,3H)4.77(t,J=5.5Hz,1H)5.72(t,J=2.0Hz,1H)5.93(d,J=2.0Hz,2H)6.11(d,J=8.1Hz,1H)6.33(d,J=8.1Hz,1H)6.73(td,J=8.5,2.4Hz,1H)6.93(dd,J=11.3,2.5Hz,1H)7.14-7.28(m,1H)7.37(dd,J=8.6,6.8Hz,1H)8.11(dd,J=8.92,4.37Hz,1H)8.34(s,1H)11.95(br.s,1H)
LC/MS(LC-A法):Rt1.12分、MH+529
【0059】
エナンチオマー2A:
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 3.61(s,3H)3.64(q,J=5.0Hz,2H)3.76-3.89(m,2H)3.95(s,3H)4.77(t,J=5.3Hz,1H)5.71(t,J=2.0Hz,1H)5.93(d,J=2.0Hz,2H)6.11(d,J=8.1Hz,1H)6.33(d,J=7.9Hz,1H)6.73(td,J=8.5,2.4Hz,1H)6.92(dd,J=11.3,2.5Hz,1H)7.16-7.13(m,1H)7.37(dd,J=8.6,6.8Hz,1H)8.11(dd,J=8.92,4.37Hz,1H)8.34(s,1H)11.95(br.s,1H)
LC/MS(LC-B法):Rt1.99分、MH+529
[α]D
20:+114.4°(c0.52、DMF)
キラルSFC(SFC-A法):Rt3.99分、MH+529、キラル純度100%。
融点:207℃
【0060】
エナンチオマー2B:
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 3.61(s,3H)3.64(q,J=5.3Hz,2H)3.75-3.90(m,2H)3.95(s,3H)4.77(t,J=5.5Hz,1H)5.71(t,J=2.1Hz,1H)5.93(d,J=2.0Hz,2H)6.11(d,J=8.1Hz,1H)6.33(d,J=8.1Hz,1H)6.72(td,J=8.5,2.6Hz,1H)6.92(dd,J=11.3,2.5Hz,1H)7.13-7.28(m,1H)7.36(dd,J=8.6,6.8Hz,1H)8.11(dd,J=8.92,4.37Hz,1H)8.34(s,1H)11.95(br.s,1H)
LC/MS(LC-B法):Rt1.99分、MH+529
[α]D
20:-114.1°(c0.51、DMF)
キラルSFC(SFC-A法):Rt4.35分、MH+529、キラル純度100%。
融点:210℃
【0061】
実施例3:2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-1-(6-フルオロ-5-メチル-1H-インドール-3-イル)-2-((3-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-メトキシフェニル)アミノ)エタノン(化合物3)の合成ならびにエナンチオマー3Aおよび3Bへのキラル分離。
【化9】
中間体3aの合成:
6-フルオロ-5-メチル-1H-インドール[CAS162100-95-0](1.5g、10.6mmol)のCH
2Cl
2(30mL)溶液に、ヘキサン中、1Mのジエチルアルミニウムクロリド(15mL、15.1mmol)を0℃で滴下した。30分間0℃に保持した後、CH
2Cl
2(20mL)中の2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-アセチルクロリド1a’(3.05g、15.1mmol、合成:実施例1を参照)を0℃で徐々に添加した。反応物を0℃で3時間、その後室温で1時間撹拌した。氷水を添加した。沈殿物をろ別し、水で洗浄し、真空乾燥して、2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-1-(6-フルオロ-5-メチル-1H-インドール-3-イル)エタノン3a(2.27g)を得た。
【0062】
中間体3bの合成:
0℃で、フェニルトリメチルアンモニウムトリブロミド[CAS4207-56-1](1.79g、4.76mmol)のTHF(15mL)溶液を、THF(15mL)中の2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-1-(6-フルオロ-5-メチル-1H-インドール-3-イル)エタノン3a(1.5g、4.76mmol)の混合物に滴下した。この混合物を0℃で1時間、室温で4時間撹拌した。沈殿物をろ別し、EtOAcで洗浄した。ろ液を減圧濃縮した。残留物をEtOAcに取り、水で洗浄し、MgSO4で脱水し、ろ過し、溶媒を減圧蒸発させた。残留物を最小量のEtOAcに取った。沈殿物をろ別し、真空乾燥して、2-ブロモ-2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-1-(6-フルオロ-5-メチル-1H-インドール-3-イル)エタノン3b(1.3g)を得た。ろ液を減圧濃縮して、3bの第2のバッチ(1g)を得た。2つのバッチをそのまま次の工程で使用した。
【0063】
化合物3の合成ならびにエナンチオマー3Aおよび3Bへのキラル分離:
THF(14mL)およびCH3CN(14mL)中の、2-ブロモ-2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-1-(6-フルオロ-5-メチル-1H-インドール-3-イル)エタノン3b(1.3g、3.3mmol)、2-(3-アミノ-5-メトキシフェノキシ)エタノール[CAS725237-16-1](906mg、4.95mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(852μL、4.95mmol)の混合物を50℃で12時間撹拌した。この溶液を減圧濃縮した。残留物をEtOAcに取った。有機層を水およびHCl(1N)で洗浄し(2回)、分離し、MgSO4で脱水し、ろ過し、溶媒を減圧蒸発させた。粗残留物(2g)を別のバッチの粗化合物3(全体で3.5g)と合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(15~40μm、CH2Cl2/MeOH/NH4OH(99/1/0.1)中80g)で精製した。化合物3を含む画分をまとめ、溶媒を減圧蒸発させた。数滴のCH3CN含むEt2O溶液から化合物を結晶化した。沈殿物をろ別し、乾燥して、2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-1-(6-フルオロ-5-メチル-1H-インドール-3-イル)-2-((3-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-メトキシフェニル)アミノ)エタノン(化合物3、1.2g)をラセミ混合物として得た。化合物3のエナンチオマーを分取キラルSFC(固定相:Chiralpak(登録商標)IA 5μm 250×20mm、移動相:60%のCO2、40%のEtOH/iPrOH50/50混合物(+0.3%のiPrNH2)で分離して、518mgの第1の溶出エナンチオマーおよび500mgの第2の溶出エナンチオマーを得た。第1の溶出エナンチオマーをEt2Oから結晶化させて、エナンチオマー3A(409mg)を得た。第2の溶出エナンチオマーをEt2O(数滴のCH3CNを含む)から結晶化して、エナンチオマー3B(404mg)を得た。
【0064】
化合物3:
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ ppm 2.23(d,J=1.3Hz,3H)3.54(s,3H)3.57(q,J=4.7Hz,2H)3.70-3.82(m,2H)3.88(s,3H)4.72(t,J=5.0Hz,1H)5.64(t,J=2.0Hz,1H)5.86(d,J=2.2Hz,2H)6.05(d,J=7.9Hz,1H)6.26(d,J=7.9Hz,1H)6.65(td,J=8.5,2.5Hz,1H)6.85(dd,J=11.3,2.2Hz,1H)7.15(dd,J=10.1,8.72Hz,1H)7.29(dd,J=8.5,6.9Hz,1H)7.94(dd,J=8.75,7.9Hz,1H)8.29(s,1H)11.88(br.s.,1H)
LC/MS(LC-C法):Rt2.96分、MH+497
融点:146℃
【0065】
エナンチオマー3A:
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ ppm 2.30(s,3H)3.60(s,3H)3.64(q,J=5.0Hz,2H)3.79(s,3H)3.77-3.88(m,2H)3.95(s,3H)4.79(t,J=5.5Hz,1H)5.71(t,J=2.0Hz,1H)5.93(d,J=1.6Hz,2H)6.12(d,J=7.9Hz,1H)6.33(d,J=7.9Hz,1H)6.72(td,J=8.4,2.2Hz,1H)6.92(dd,J=11.2,2.0Hz,1H)7.21(d,J=8.8Hz,1H)7.33(dd,J=7.38,6.8Hz,1H)8.01(d,J=8.8Hz,1H)8.36(br s,1H)11.95(br s,1H)
LC/MS(LC-C法):Rt2.96分、MH+497
[α]D
20:+122.8°(c0.329、DMF)
キラルSFC(SFC-B法):Rt2.82分、MH+497、キラル純度100%。
融点:197℃
【0066】
エナンチオマー3B:
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ ppm 2.30(s,3H)3.61(s,3H)3.64(q,J=5.0Hz,2H)3.79(s,3H)3.77-3.89(m,2H)3.95(s,3H)4.79(t,J=5.5Hz,1H)5.71(t,J=1.9Hz,1H)5.93(d,J=1.9Hz,2H)6.12(d,J=7.7Hz,1H)6.33(d,J=7.7Hz,1H)6.72(td,J=8.4,2.4Hz,1H)6.92(dd,J=11.2,2.4Hz,1H)7.22(d,J=8.8Hz,1H)7.36(dd,J=8.5,6.9Hz,1H)8.01(d,J=8.8Hz,1H)8.36(br s,1H)11.94(br s,1H)
LC/MS(LC-C法):Rt2.96分、MH+497
[α]D
20:-121.53°(c0.288、DMF)
キラルSFC(方法SFC-B):Rt3.67分、MH+497,キラル純度99.73%。
融点:197℃
【0067】
実施例4:2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-メトキシフェニル)アミノ)-1-(5-メチル-6-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エタノン(化合物4)の合成ならびにエナンチオマー4Aおよび4Bへのキラル分離。
【化10】
中間体4aの合成:
N
2気流中、15℃で、DMF(25mL)中の2-ヨード-4-メチル-5-(トリフルオロメトキシ)アニリン[CAS851045-65-3]混合物に、ヨウ化銅(I)(247mg、1.3mmol)、トリエチルアミン(2.71mL、19.5mmol)、PdCl
2(PPh
3)
2(456mg、0.65mmol)およびトリメチルシリルアセチレン(2.70mL、19.5mmol)を加えた。N
2気流中、室温で混合物を12時間撹拌し、氷水に注ぎ、EtOAcで抽出した。有機層をMgSO
4で脱水し、ろ過し、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(15~40μm、ヘプタン/EtOAc 95/5中80g)により精製した。純粋画分をまとめて減圧蒸発させ、4-メチル-5-(トリフルオロメトキシ)-2-((トロメチルシリル)エチニル)アニリン4a(1.34g)を得た。
【0068】
中間体4bの合成:
N2気流中、N-メチル-ピロリドン(11ml)中の4-メチル-5-(トリフルオロメトキシ)-2-((トリメチルシリル)エチニル)アニリン4a(1.14g、3.97mmol)に、カリウムtert-ブトキシド(1.33g、11.9mmol)を一度に加えた。反応物を80℃で12時間撹拌し、氷水に注ぎ、3N HClでpH4~5にまで酸性化し、EtOAcで抽出した。有機層を水で3回洗浄し、分離し、MgSO4で脱水し、ろ過し、溶媒を減圧蒸発させた。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(15~40μm、ヘプタン/EtOAc 90/10中80g)により精製した。純粋画分をまとめて減圧蒸発させ、5-メチル-6-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール4b(675mg)を得た。
【0069】
中間体4cの合成:
5-メチル-6-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール4b(590mg、2.74mmol)のCH2Cl2(12mL)溶液に、ヘキサン中、1Mのジエチルアルミニウムクロリド(4.1mL、4.1mmol)を0℃で滴下した。30分間0℃に保持した後、CH2Cl2(6mL)中の2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-アセチルクロリド1a’(833mg、4.1mmol、合成:実施例1を参照)を0℃で徐々に添加した。反応物を0℃で3時間撹拌した。氷水を添加した。沈殿物をろ別し、水で洗浄し、真空乾燥して、2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-1-(5-メチル-6-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エタノン4c(900mg)を得た。
【0070】
中間体4dの合成:
0℃で、フェニルトリメチルアンモニウムトリブロミド[CAS4207-56-1](897mg、2.39mmol)のTHF(8mL)溶液を、THF(9mL)中の2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-1-(5-メチル-6-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エタノン4c(910mg、2.39mmol)の混合物に滴下した。この混合物を0℃で1時間、室温で4時間撹拌した。沈殿物をろ別し、EtOAcで洗浄した。ろ液を減圧濃縮した。残留物をEtOAcに取り、水で洗浄し、MgSO4で脱水し、ろ過し、溶媒を減圧下で蒸発させて、2-ブロモ-2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-1-(5-メチル-6-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エタノン4d(1.26g)を得た。
【0071】
化合物4の合成ならびにエナンチオマー4Aおよび4Bへのキラル分離:
THF(10mL)およびCH3CN(10mL)中の、2-ブロモ-2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-1-(5-メチル-6-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エタノン4d(950mg、2.41mmol)、2-(3-アミノ-5-メトキシフェノキシ)エタノール[CAS725237-16-1](662mg、3.62mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(623μL、3.62mmol)の混合物を50℃で12時間撹拌した。この溶液を減圧濃縮した。残留物をEtOAcに取った。有機層を水および1N塩酸で洗浄した(2回)。有機層を分離し、MgSO4で脱水し、ろ過し、溶媒を減圧蒸発させた。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(15~40μm、CH2Cl2/MeOH 99/1中80g)により精製した。化合物4を含む画分をまとめ、溶媒を減圧蒸発させた。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(未修飾シリカ、CH2Cl2/MeOH/NH4OH 97/3/0.1中40g)により精製した。化合物4を含む画分をまとめ、溶媒を減圧蒸発させて、2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-メトキシフェニル)アミノ)-1-(5-メチル-6-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル)エタノン(化合物4、720g)をラセミ混合物として得た。エナンチオマーを分取キラルSFC(固定相:Chiralcel(登録商標)OD-H 5μm 250×30mm、移動相:70%CO2、30%iPrOH(+0.3%iPrNH2)により分離して、333mgの第1の溶出エナンチオマーおよび317mgの第2の溶出エナンチオマーを得た。第1の溶出エナンチオマーをジイソプロピルエーテル/ヘプタンから固化して、エナンチオマー4A(252mg)を得た。第2の溶出エナンチオマーをジイソプロピルエーテル/ヘプタンから固化して、エナンチオマー4B(270mg)を得た。
【0072】
化合物4:
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ ppm 2.34(s,3H)3.61(s,3H)3.64(q,J=5.0Hz,2H)3.77-3.88(m,2H)3.95(s,3H)4.79(t,J=5.7Hz,1H)5.71(t,J=2.0Hz,1H)5.93(d,J=2.2Hz,2H)6.13(d,J=7.9Hz,1H)6.34(d,J=7.9Hz,1H)6.72(td,J=8.4,2.4Hz,1H)6.92(dd,J=11.3,2.5Hz,1H)7.36(dd,J=8.5,2.2Hz,1H)7.41(dd,J=0.9,7.0Hz,1H)8.10(s,1H)8.47(s,1H)12.04(br s,1H)
LC/MS(LC-C法):Rt3.20分、MH+563
【0073】
エナンチオマー4A:
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ ppm 2.34(s,3H)3.61(s,3H)3.64(q,J=5.0Hz,2H)3.77-3.88(m,2H)3.95(s,3H)4.79(t,J=5.5Hz,1H)5.71(t,J=2.0Hz,1H)5.93(d,J=2.2Hz,2H)6.14(d,J=7.9Hz,1H)6.35(d,J=7.9Hz,1H)6.73(td,J=8.4,2.4Hz,1H)6.93(dd,J=11.2,2.4Hz,1H)7.36(dd,J=8.5,2.2Hz,1H)7.41(dd,J=8.8,7.0Hz,1H)8.11(s,1H)8.47(s,1H)12.01(br s,1H)
LC/MS(LC-D法):Rt2.92分、MH+563
[α]D
20:-96.76°(c0.2191、DMF)
キラルSFC(SFC-C法):Rt2.02分、MH+563,キラル純度100%。
【0074】
エナンチオマー4B:
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ ppm 2.34(s,3H)3.61(s,3H)3.64(q,J=5.3Hz,2H)3.77-3.89(m,2H)3.95(s,3H)4.79(t,J=5.4Hz,1H)5.71(t,J=2.0Hz,1H)5.93(d,J=2.2Hz,2H)6.14(d,J=8.1Hz,1H)6.35(d,J=8.1Hz,1H)6.73(td,J=8.5,2.5Hz,1H)6.93(dd,J=11.3,2.5Hz,1H)7.36(dd,J=8.5,2.2Hz,1H)7.41(dd,J=8.8,7.0Hz,1H)8.11(s,1H)8.47(s,1H)11.99(br s,1H)
LC/MS(LC-D法):Rt2.92分、MH+563
[α]D
20:+98.79°(c0.2227、DMF)
キラルSFC(SFC-C法):Rt3.26分、MH+563、キラル純度100%。
【0075】
実施例5:2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-メトキシフェニル)アミノ)-1-(5-メチル-1H-インドール-3-イル)エタノン(化合物5)の合成ならびにエナンチオマー5Aおよび5Bへのキラル分離。
【化11】
中間体5aの合成:
5-メチル-1H-インドール[CAS614-96-0](5g、38.1mmol)のCH
2Cl
2(100mL)溶液を、N
2雰囲気下、-10℃に冷却した。ジエチルアルミニウムクロリドの1Mヘキサン溶液(57.2mL、57.2mmol)を滴下し、得られた混合物を-10℃にて10分間保持した。2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)アセチルクロリド1a’(11.6g、57.2mmol)のCH
2Cl
2(100mL)溶液を滴下した。反応混合物を室温で3.5時間撹拌した。氷/ロッシェル塩溶液に、撹拌しながら反応混合物を注ぎ込んだ。混合物をdicalite(登録商標)でろ過し、ろ過ケーキをTHFで数回洗浄した。ろ液をまとめた。層を分離し、有機層を水で洗浄し、MgSO
4で脱水し、減圧蒸発させた。固形残留物をCH
2Cl
2(30mL)に懸濁した。沈殿物をろ別し、少量のCH
2Cl
2で洗浄(2×)し、50℃で真空乾燥して、2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-1-(5-メチル-1H-インドール-3-イル)エタノン5a(7.19g)を得た。
【0076】
中間体5bの合成:
2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-1-(5-メチル-1H-インドール-3-イル)エタノン5a(7.19g、24.2mmol)のTHF(500mL)溶液を撹拌しながら0℃に冷却した。フェニルメチルアンモニウムトリブロミド[CAS4207-56-1](10g、26.6mmol)のTHF(150mL)溶液を滴下した。反応混合物を室温で4時間撹拌した。固形物をろ過によって除去し、THFで洗浄した。ろ液をまとめて減圧蒸発させた。残留物をEtOAc(50mL)と混合した。固形物をろ過によって分離し、少量のEtOAcで洗浄し、50℃で真空乾燥して、2-ブロモ-2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-1-(5-メチル-1H-インドール-3-イル)エタノン5b(8.02g)を得た。
【0077】
化合物5の合成ならびにエナンチオマー5Aおよび5Bのキラル分離:
CH3CN中の、2-ブロモ-2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-1-(5-メチル-1H-インドール-3-イル)エタノン5b(3.5g、9.3mmol)、2-(3-アミノ-5-メトキシフェノキシ)エタノール[CAS725237-16-1](2.56g、13.95mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(1.60mL、9.3mmol)の混合物を室温で3日間撹拌した。この反応混合物を減圧濃縮した。残留物をCH2Cl2(100mL)に溶解し、1N HCl(100mL)および塩水(100mL)で洗浄し、MgSO4で脱水し、ろ過し、減圧蒸発させた。残留物をカラムクロマトグラフィー(固定相:Grace Reveleris(登録商標)シリカ120g、移動相:EtOAc/ヘプタン 勾配35/65~45/55)で精製した。所望の画分をまとめ、減圧蒸発させた。残留物を分取HPLC(固定相:Uptisphere(登録商標)C18 ODB-10μm、200g、5cm、移動相:0.25%NH4HCO3水溶液、CH3CN)でさらに精製した。所望の画分をまとめ、減圧蒸発させ、EtOAcと共蒸発させて白色粉末を得た。固形分を、MeOH(7mL)および水(7mL)の混合物中で1時間撹拌し、ろ別して2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-メトキシフェニル)アミノ)-1-(5-メチル-1H-インドール-3-イル)エタノン(化合物5、917mg)をラセミ混合物として得た。
【0078】
化合物5(837mg)のエナンチオマーのキラル分離を、順相キラル分離(固定相:AS 20μm、移動相:100%メタノール)により行った。生成物画分をまとめて減圧蒸発させ、エナンチオマー5Aを第1の溶出生成物として、またエナンチオマー5Bを第2の溶出生成物として得た。両エナンチオマーをMeOH(5mL)溶液から再結晶化した。固形分をろ過により単離して、エナンチオマー5A(284mg)およびエナンチオマー5b(273mg)の白色粉末を得た。
【0079】
化合物5:
1H NMR(360MHz,DMSO-d6)δ ppm 2.38(s,3H)3.61(s,3H)3.64(q,J=4.8Hz,2H)3.75-3.90(m,2H)3.96(s,3H)4.80(t,J=5.3Hz,1H)5.71(t,J=1.8Hz,1H)5.94(d,J=2.2Hz,2H)6.13(d,J=8.1Hz,1H)6.34(d,J=8.1Hz,1H)6.72(td,J=8.4,2.6Hz,1H)6.93(dd,J=11.3,2.2Hz,1H)7.03(dd,J=8.4,2.2Hz,1H)7.34(dd,J=8.4,7.0Hz,1H)7.97(s,1H)8.36(s,1H)11.93(br s,1H)
LC/MS(LC-A法):Rt1.04分、MH+479
【0080】
エナンチオマー5A:
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 2.38(s,3H)3.61(s,3H)3.64(q,J=5.1Hz,2H)3.77-3.88(m,2H)3.96(s,3H)4.76(t,J=5.5Hz,1H)5.71(t,J=2.0Hz,1H)5.93(d,J=2.2Hz,2H)6.12(d,J=7.9Hz,1H)6.30(d,J=7.9Hz,1H)6.71(td,J=8.5,2.4Hz,1H)6.92(dd,J=11.3,2.3Hz,1H)7.03(dd,J=8.4,2.2Hz,1H)7.31(dd,J=8.8,2Hz,1H)7.79(s,1H)8.34(s,1H)11.89(br s,1H)
LC/MS(LC-A法):Rt1.02分、MH+479
[α]D
20:+139.8°(c0.515、DMF)
キラルSFC(SFC-A法):Rt3.77分、MH+479,キラル純度100%。
融点:198℃
【0081】
エナンチオマー5B:
1H NMR(360MHz,DMSO-d6)δ ppm 2.38(s,3H)3.61(s,3H)3.64(q,J=5.4Hz,2H)3.74-3.90(m,2H)3.96(s,3H)4.81(t,J=5.7Hz,1H)5.70(t,J=2.0Hz,1H)5.93(d,J=2.2Hz,2H)6.13(d,J=7.7Hz,1H)6.34(d,J=7.7Hz,1H)6.72(td,J=8.5,2.4Hz,1H)6.93(dd,J=11.5,2.4Hz,1H)7.03(dd,J=8.1,2.2Hz,1H)7.34(dd,J=8.4,7.0Hz,1H)7.97(s,1H)8.36(s,1H)11.93(br s,1H)
LC/MS(LC-A法):Rt1.03分、MH+479
[α]D
20:-135.9°(c0.51、DMF)
キラルSFC(SFC-A法):Rt4.19分、MH+479、キラル純度 100%.
融点:199℃
【0082】
実施例6:1-(6-エトキシ-5-メチル-1H-インドール-3-イル)-2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-メトキシフェニル)アミノ)エタノン(化合物6)の合成
【化12】
中間体6aの合成:
N-ヨードスクシンイミド(14.6g、64.8mmol)を3-エトキシ-4-メチルアニリン[CAS2486-64-8](9.8g、64.8mmol)のCH
3CN(200ml)溶液に一度に加え、室温で1.5時間反応混合物を撹拌した。溶媒を蒸発させた。溶離液としてヘプタン/EtOAc 90/10を使用し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより黒色残留物を精製した。生成物画分をまとめ、減圧蒸発させた。残留物にヘプタンを加えた。沈殿物をろ別し、少量のヘプタンで洗浄し、50℃で真空乾燥して、暗灰色固体の5-エトキシ-2-ヨード-4-メチルアニリン6a(10.6g)を得た。
【0083】
5-エトキシ-2-ヨード-4-メチルアニリン6a(10.6g、38.4mmol)をDMF(150mL)に溶解し、N2で脱気した。ヨウ化銅(I)(1.46g、7.68mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(2.69g、3.84mmol)、トリエチルアミン(16.0mL、115mmol)およびトリメチルシリルアセチレン(16.3mL、115mmol)を、窒素雰囲気下、水浴で冷却しながら、撹拌する溶液に加えた。反応混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物を氷/水に注ぎ入れ、EtOAcで抽出した(2×)。有機層をまとめて塩水で洗浄し、MgSO4で脱水し、ろ過し、減圧蒸発させた。残留物をカラムクロマトグラフィー(固定相:Biotage(登録商標)SNAP Ultra 340g、移動相:EtOAc/ヘプタン 勾配0/100~30/70)により精製して、黒色油状物の5-エトキシ-4-メチル-2-((トリメチルシリル)エチニル)アニリン6b(7.93g)を得た。
【0084】
中間体6cの合成:
カリウムtert-ブトキシド(7.2g、64.2mmol)を、5-エトキシ-4-メチル-2-((トリメチルシリル)エチニル)アニリン6b(7.93g、21.4mmol)のNMP(100mL)溶液に、N2雰囲気下、室温で一度に加えた。反応混合物を80℃で4時間撹拌した。反応混合物を氷/水に注ぎ、混合物をEtOAcで2回抽出した。有機層を塩水で洗浄し、MgSO4で脱水し、ろ過し、減圧蒸発させた。CH2Cl2/ヘプタン30/70~40/60の勾配を用い、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製した。生成物画分をまとめ、減圧蒸発させ、50℃で真空乾燥して、黄色固体の6-エトキシ-5-メチル-1H-インドール6c(1.96g)を得た。
【0085】
ヘキサン中、1Mのジエチルアルミニウムクロリド(4.71mL、4.71mmol)を、N2雰囲気下、冷却した(-10℃)6-エトキシ-5-メチル-1H-インドール6c(550mg、3.14mmol)のCH2Cl2(150mL)溶液に滴下した。-10℃で15分間撹拌した後、2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)アセチルクロリド1a’(763mg、3.77mmol、合成:実施例1を参照)のCH2Cl2溶液(20mL)を反応混合物に滴下した。撹拌を-10℃で1時間続け、混合物を2時間撹拌しながら室温に温めた。反応混合物を、過剰のロッシェル塩を含有する氷/水に注いだ。室温に温めた後、混合物をdicalite(登録商標)の短いパッドでろ過し、ろ過ケーキをTHFで数回濯いだ。層を分離した。有機層を塩水で洗浄し、MgSO4で脱水し、ろ過し、減圧蒸発させた。固形残留物をCH2Cl2(10mL)に懸濁し、固体をろ別し、少量のCH2Cl2で洗浄し、50℃で真空乾燥して、1-(6-エトキシ-5-メチル-1H-インドール-3-イル)-2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)エタノン6d(765mg)を得た。
【0086】
中間体6eの合成:
フェニルトリメチルアンモニウムトリブロミド[CAS4207-56-1](737mg、1.96mmol)のTHF(30mL)溶液を、冷却した(0℃)1-(6-エトキシ-5-メチル-1H-インドール-3-イル)-2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)エタノン6d(761mg、1.78mmol)のTHF(70mL)溶液に滴下し、反応混合物を2時間撹拌しながら室温にまで温めた。反応混合物をろ過し、固体をTHFで洗浄した。ろ液を減圧蒸発させ、50℃で真空乾燥して、灰色固体の2-ブロモ-1-(6-エトキシ-5-メチル-1H-インドール-3-イル)-2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)エタノン6e(700mg)を得た。生成物はさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0087】
化合物6の合成:
CH3CN(50mL)中の2-ブロモ-1-(6-エトキシ-5-メチル-1H-インドール-3-イル)-2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)エタノン6e(700mg、0.7mmol)、2-(3-アミノ-5-メトキシフェノキシ)エタノール[CAS725237-16-1](192mg、1.05mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(180μL、1.05mmol)の混合物を終夜、加熱還流した。室温にまで冷却した後、溶媒を減圧蒸発させた。残留物をCH2Cl2に溶解した。有機溶液を1N HCl、水で洗浄し、MgSO4で脱水し、減圧蒸発させた。残留物をカラムクロマトグラフィー(固定相:Biotage(登録商標)SNAP Ultra 50g、移動相:EtOAc:EtOH(3:1)/ヘプタン 勾配0/100~50/50)により精製した。生成物画分をまとめ、減圧蒸発させた。残留物を分取HPLC(固定相:RP XBridge(登録商標)Prep C18 OBD 10μm 30×150mm、移動相:0.25%NH4HCO3水溶液、CH3CN)によりさらに精製した。生成物画分をまとめ、減圧蒸発させた。残留物を分取アキラルSFC(固定相:PYR(ピリジン)60A 6μm 20×250mm、移動相:CO2、EtOH+0.4%iPrNH2)によりさらに精製した。生成物画分をまとめ、減圧蒸発させ、50℃で真空乾燥して、オフホワイト色粉末のラセミ化合物1-(6-エトキシ-5-メチル-1H-インドール-3-イル)-2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-メトキシフェニル)アミノ)エタノン(化合物6、48mg)を得た。
【0088】
化合物6:
1H NMR(360MHz,DMSO-d6)δ ppm 1.37(s,3H)3.60(s,3H)3.64(q,J=5.0Hz,2H)3.75-3.89(m,2H)3.96(s,3H)4.01(t,J=7.0Hz,1H)4.80(t,J=5.5Hz,1H)5.70(d,J=2.2Hz,2H)5.92(d,J=8.1Hz,1H)6.10(d,J=8.1Hz,1H)6.32(td,J=8.1,2.4Hz,1H)6.72(dd,J=8.5,2.4Hz,1H)6.90(dd,J=11.3,2.2Hz,1H)7.36(dd,J=8.8,7.0Hz,1H)7.89(s,1H)8.23(s,1H)11.72(br s,1H)
LC/MS(LC-B法):Rt2.05分、MH+523
【0089】
実施例7:1-(3、7-ジヒドロ-2H-フロ[3,2-f]インドール-5-イル)-2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-メトキシフェニル)アミノ)エタノン(化合物7)の合成ならびにエナンチオマー7Aおよび7Bへのキラル分離。
【化13】
中間体7aの合成
濃塩酸(250ml)中の6-ニトロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-アミン[CAS84594-78-5](135.00g、749.33mmol)の懸濁液を100℃に10分間加熱した。溶液を0℃に冷却した。NaNO
2(62.04g、899.20mmol)のH
2O(250ml)溶液を滴下した。反応混合物を0℃で30分間撹拌した。KI(186.58g、1.12mol)のH
2O(250ml)冷却(0℃)溶液に徐々に添加した。得られた混合物を70℃に2時間加熱した。室温にまで冷却した後、H
2O(2L)を加え、粗生成物をEtOAc(2×2L)で抽出した。有機相をまとめてHCl水溶液(10%、1L)、NaOH水溶液(1N、1L)、飽和Na
2SO
3水溶液(1L)および塩水(1L)で洗浄した。MgSO
4で脱水した後、溶媒を減圧蒸発させた。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:石油エーテル/EtOAc 8/1)で精製して、淡黄色固体の5-インド-6-ニトロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン7a(90.00g)を得た。
【0090】
中間体7bの合成:
FeCl3・6H2O(7.43g、27.49mmol)のMeOH(1.5L)溶液に、5-インド-6-ニトロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン7a(80.00g、274.88mmol)および活性炭(8g)を加えた。混合物を加熱還流し、ヒドラジン水和物(27.52g、549.76mmol)を滴下した。混合物を80℃で15時間撹拌した。混合物をろ過し、ろ液を減圧濃縮した。固形残留物をMeOH(50mL)で洗浄して、淡黄色固体の5-インド-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-アミン7b(50.00g)を得た。
【0091】
中間体7cの合成:
トリエチルアミン(1L)中の5-インド-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-アミン7b(50.00g、191.53mmol)、CuI(729.53mg、3.83mmol)およびPd(PPh3)2Cl2(4.03g、5.75mmol)の撹拌懸濁液をN2で脱気し、N2を排気/再充填した(3サイクル)。反応混合物を25℃で10分間撹拌した。エチニル(トリメチル)シラン(22.57g、229.84mmol)を加えた後、N2雰囲気下、25℃で懸濁液を15時間撹拌した。反応混合物を水(2L)で希釈し、EtOAcで抽出した(2×2L)。有機相をまとめて塩水で洗浄(2L)し、MgSO4で脱水した。減圧下で溶媒を除去し、褐色固体の粗生成物を得た。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:石油エーテル/EtOAc 8/1)で精製して、淡黄色固体の5-(2-トリメチルシリルエチニル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-アミン7c(30.00g)を得た。
【0092】
中間体7dの合成:
NMP(500mL)中の5-(2-トリメチルシリルエチニル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-アミン7c(25.00g、108.05mmol)およびt-BuOK(36.37g、324.16mmol)の混合物を80℃で15時間撹拌した。混合物を減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:石油エーテル/EtOAc 8/1)で精製して、淡黄色固体の3,7-ジヒドロ-2H-フロ[3,2-f]インドール7d(11.10g)を得た。
【0093】
中間体7eの合成:
N2雰囲気下、3,7-ジヒドロ-2H-フロ[3,2-f]インドール7d(1.8g、11.3mmol)のCH2Cl2(150ml)溶液を氷浴上で冷却した。ジエチルアルミニウムクロリドの1Mヘキサン(17.0mL、17.0mmol)溶液を滴下し、得られた混合物を0℃にて15分間保持した。2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)アセチルクロリド1a’(3.21g、15.8mmol)のCH2Cl2(100mL)溶液を滴下した。0℃で1時間撹拌を継続した。氷浴を除去し、反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を、氷/ロッシェル塩溶液に撹拌しながら注ぎ込んだ。氷が溶けた後、混合物をdicalite(登録商標)でろ過し、ろ過ケーキをTHFで数回洗浄した。ろ液をまとめた。層を分離し、有機層を塩水および水で洗浄した。水層をまとめてTHFで抽出し、有機層をまとめてMgSO4で脱水し、ろ過し、減圧蒸発させた。固形残留物をCH2Cl2(20mL)に懸濁した。沈殿物をろ別し、少量のCH2Cl2で洗浄し、50℃で真空乾燥して、白色固体の1-(3,7-ジヒドロ-2H-フロ[3,2-f]インドール-5-イル)-2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)エタノン7e(2.39g)を得た。
【0094】
中間体7fの合成:
1-(3,7-ジヒドロ-2H-フロ[3,2-f]インドール-5-イル)-2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)エタノン7e(2.39g、7.35mmol)のTHF(50mL)溶液を撹拌しながら0℃に冷却した。フェニルトリメチルアンモニウムトリブロミド[CAS4207-56-1](3.04g、8.09mmol)のTHF(100mL)溶液を滴下した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。固形物をろ過によって除去し、THFで洗浄した。ろ液をまとめて減圧蒸発させた。残留物に少量のCH2Cl2/ヘプタン(1/1)を加えた。固体をろ過により単離し、少量のCH2Cl2/ヘプタン(1/1)で洗浄して、黄色粉末の2-ブロモ-1-(3,7-ジヒドロ-2H-フロ[3,2-f]インドール-5-イル)-2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)エタノン7f(2.12g)を得た。
【0095】
化合物7の合成ならびにエナンチオマー7Aおよび7Bのキラル分離:
CH3CN(50mL)中の2-ブロモ-1-(3,7-ジヒドロ-2H-フロ[3,2-f]インドール-5-イル)-2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)エタノン7f(2.10g、5.20mmol)、2-(3-アミノ-5-メトキシフェノキシ)エタノール[CAS725237-16-1](1.90g、10.4mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(1.34mL、7.79mmol)を終夜、加熱還流した。この反応混合物を減圧濃縮した。残留物をCH2Cl2に溶解し、1N HClおよび水で洗浄し、MgSO4で脱水し、ろ過し、減圧蒸発させた。残留物をカラムクロマトグラフィー(固定相:Biotage(登録商標)SNAP Ultra silica 100g、移動相:EtOAc:EtOH(3:1)/ヘプタン 勾配0/100~70/30)により精製した。所望の画分をまとめ、減圧蒸発させた。残留物を50℃で真空乾燥して、1-(3,7-ジヒドロ-2H-フロ[3,2-f]インドール-5-イル)-2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-メトキシフェニル)アミノ)エタノン(化合物7、1.33g)をラセミ混合物として得た。
【0096】
化合物7(1.33g)エナンチオマーのキラル分離を、分取SFC(固定相:Chiralpak(登録商標)Diacel AS 20×250mm、移動相:CO2、EtOH+0.4%iPrNH2)により行った。生成物画分をまとめて減圧蒸発させ、エナンチオマー7Aを第1の溶出生成物として、またエナンチオマー7Bを第2の溶出生成物として得た。両エナンチオマーを、分取SFC(固定相:Chiralpak(登録商標)Diacel AD 20×250mm;移動相:CO2、EtOH+0.4%iPrNH2)により、続いてカラムクロマトグラフィー(固定相:Grace Reveleris(登録商標)シリカ12g、移動相:EtOAc:EtOH(3:1)/ヘプタン 勾配0/100~80/20)によりさらに精製した。エナンチオマー7AをMeOH(6mL)から結晶化した。固形物をろ過により単離し、少量のMeOHで洗浄し、50℃で真空乾燥して、白色粉末のエナンチオマー7A(275mg)を得た。MeOH(6ml)と水(6滴)からエナンチオマー7Bを結晶化した。固形物をろ過により単離し、少量のMeOHで洗浄し、50℃で真空乾燥して、白色粉末のエナンチオマー7B(180mg)を得た。
【0097】
エナンチオマー7A:
1H NMR(360MHz,DMSO-d6)δ ppm 3.21(s,3H)3.60(s,3H)3.63(q,J=5.4Hz,2H)3.76-3.87(m,2H)3.96(s,3H)4.52(t,J=8.8Hz,1H)4.80(t,J=5.5Hz,1H)5.70(d,J=2.2Hz,2H)5.92(d,J=8.1Hz,1H)6.09(d,J=8.1Hz,1H)6.32(td,J=8.1,2.4Hz,1H)6.72(dd,J=8.4,2.6Hz,1H)6.76(dd,J=11.3,2.2Hz,1H)7.35(dd,J=8.6,6.8Hz,1H)7.95(s,1H)8.22(s,1H)11.72(br s,1H)
LC/MS(LC-B法):Rt1.80分、MH+507
[α]D
20:+128.6°(c0.394、DMF)
キラルSFC(SFC-A法):Rt4.35分、MH+507、キラル純度100%。
融点:221℃
【0098】
エナンチオマー7B:
1H NMR(360MHz,DMSO-d6)δ ppm 3.21(s,3H)3.60(s,3H)3.64(q,J=4.9Hz,2H)3.74-3.89(m,2H)3.96(s,3H)4.52(t,J=9.0Hz,1H)4.80(t,J=5.5Hz,1H)5.70(d,J=2.2Hz,2H)5.92(d,J=8.1Hz,1H)6.09(d,J=8.1Hz,1H)6.32(td,J=8.1,2.4Hz,1H)6.72(dd,J=8.4,2.6Hz,1H)6.76(dd,J=11.3,2.2Hz,1H)7.35(dd,J=8.8,7.0Hz,1H)7.95(s,1H)8.22(s,1H)11.73(br s,1H)
LC/MS(LC-B法):Rt1.80分、MH+507
[α]D
20:-134.2°(c0.403、DMF)
キラルSFC(SFC-A法):Rt4.47分、MH+507、キラル純度100%。
融点:220℃
【0099】
実施例8:1-(7,8-ジヒドロ-1H-フロ[2,3-g]インドール-3-イル)-2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-メトキシフェニル)アミノ)エタノン(化合物8)の合成ならびにエナンチオマー8Aおよび8Bへのキラル分離。
【化14】
中間体8aの合成:
7,8-ジヒドロ-1H-フルオロ[2,3-g]インドール[CAS170728-95-7](1.80g、11.3mmol)のCH
2Cl
2(150mL)溶液を、N
2雰囲気下、-30℃に冷却した。ジエチルアルミニウムクロリドの1Mヘキサン(17.0mL、17.0mmol)溶液を滴下し、得られた混合物を-30℃にて15分間保持した。2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)アセチルクロリド1a’(3.21g、15.8mmol)のCH
2Cl
2(100mL)溶液を滴下した。反応混合物を-30℃で1時間撹拌し、その後、室温で2時間撹拌した。反応混合物を氷/ロッシェル塩溶液に撹拌しながら注ぎ込んだ。氷が溶けた後、混合物をdicalite(登録商標)でろ過し、ろ過ケーキをTHFで数回洗浄した。ろ液をまとめた。層を分離し、有機層を塩水および水で洗浄した。水層をまとめてTHFで抽出し、有機層をまとめてMgSO
4で脱水し、ろ過し、減圧蒸発させた。固形残留物をCH
2Cl
2(20mL)に懸濁した。沈殿物をろ別し、少量のCH
2Cl
2で洗浄し、50℃で真空乾燥して、1-(7,8-ジヒドロ-1H-フロ[2,3-g]インドール-3-イル)-2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)エタノン8a(2.49g)を得た。
【0100】
中間体8bの合成:
1-(7,8-ジヒドロ-1H-フロ[2,3-g]インドール-3-イル)-2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)エタノン8a(2.49g、7.65mmol)のTHF(50mL)溶液を撹拌しながら0℃に冷却した。フェニルトリメチルアンモニウムトリブロミド[CAS4207-56-1](3.16g、8.42mmol)のTHF(100mL)溶液を滴下した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。固形物をろ過によって除去し、THFで洗浄した。ろ液をまとめて減圧蒸発させた。残留物に少量のCH2Cl2/ヘプタン(1/1)を加えた。固体をろ過により単離し、少量のCH2Cl2/ヘプタン(1/1)で洗浄して、黄色粉末の2-ブロモ-1-(7,8-ジヒドロ-1H-フロ[2,3-g]インドール-3-イル)-2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)エタノン8b(1.2g)を得た。
【0101】
化合物8の合成ならびにエナンチオマー8Aおよび8Bのキラル分離:
CH3CN(50mL)中の2-ブロモ-1-(7,8-ジヒドロ-1H-フロ[2,3-g]インドール-3-イル)-2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)エタノン8b(1.2g、2.97mmol)、2-(3-アミノ-5-メトキシフェノキシ)エタノール[CAS725237-16-1](1.09g、5.94mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(7.67μL、4.45mmol)を終夜、加熱還流した。この反応混合物を減圧濃縮した。残留物をCH2Cl2に溶解し、1N HClおよび水で洗浄し、MgSO4で脱水し、ろ過し、減圧蒸発させた。残留物をカラムクロマトグラフィー(固定相:Biotage(登録商標)SNAP Ultra silica 100g、移動相:EtOAc:EtOH(3:1)/ヘプタン 勾配0/100~70/30)により精製した。所望の画分をまとめ、減圧蒸発させた。残留物を50℃で真空乾燥し、1-(7、8-ジヒドロ-1H-フロ[2、3-g]インドール-3-イル)-2-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-メトキシフェニル)アミノ)エタノン(化合物8、445mg)をラセミ混合物として得た。
【0102】
化合物8(445mg)エナンチオマーのキラル分離を、分取SFC(固定相:Chiralpak(登録商標)Diacel AS 20×250mm;移動相:CO2、EtOH+0.4%iPrNH2)により行った。生成物画分をまとめて減圧下で蒸発させ、エナンチオマー8Aを第1の溶出生成物として、またエナンチオマー8Bを第2の溶出生成物として得た。エナンチオマー8AをCH2Cl2(5ml)中で撹拌した。固形物をろ過により単離し、少量のCH2Cl2で洗浄し、50℃で真空乾燥して、白色固体のエナンチオマー8A(97mg)を得た。エナンチオマー8Bを分取SFC(固定相)Chiralpak(登録商標)Diacel AD20×250mm、移動相:CO2、EtOH+0.4%iPrNH2)により精製した。生成物画分をまとめ、減圧蒸発させた。エナンチオマー8BをCH2Cl2(5ml)中で撹拌した。固形物をろ過により単離し、少量のCH2Cl2で洗浄し、50℃で真空乾燥して、白色粉末のエナンチオマー8B(89mg)を得た。
【0103】
エナンチオマー8A:
1H NMR(360MHz,DMSO-d6)δ ppm 3.25-3.32(m,2H)3.60(s,3H)3.64(q,J=5.4Hz,2H)3.75-3.89(m,2H)3.96(s,3H)4.57(t,J=8.8Hz,2H)4.80(t,J=5.7Hz,1H)5.70(t,J=2.0Hz,1H)5.93(d,J=2.2Hz,2H)6.12(d,J=8.1Hz,1H)6.35(d,J=8.1Hz,1H)6.69-6.74(m,2H)6.92(dd,J=11.3,2.6Hz,1H)7.36(dd,J=8.6,6.8Hz,1H)7.90(d,J=8.4Hz,1H)8.33(s,1H)11.97(br s,1H)
LC/MS(LC-A法):Rt0.94分、MH+507
[α]D
20:+74.9°(c0.379、DMF)
キラルSFC(SFC-A法):Rt3.91分、MH+507,キラル純度100%。
融点:256℃
【0104】
エナンチオマー8B:
1H NMR(360MHz,DMSO-d6)δ ppm 3.25-3.31(m,2H)3.57-3.69(m,5H)3.74-3.90(m,2H)3.96(s,3H)4.58(br t,J=8.8Hz,2H)4.80(t,J=5.5Hz,1H)5.70(t,J=2.0Hz,1H)5.94(d,J=1.5Hz,2H)6.13(br d,J=8.1Hz,1H)6.36(br d,J=7.7Hz,1H)6.67-6.77(m,2H)6.92(dd,J=11.0,1.8Hz,1H)7.37(t,J=7.7Hz,1H)7.91(d,J=8.4Hz,1H)8.33(s,1H)11.96(br s,1H)
LC/MS(LC-B法):Rt1.79分、MH+507
[α]D
20:-73.3°(c0.3645、DMF)
キラルSFC(方法SFC-A):Rt4.38分、MH+507,キラル純度100%。
融点:254℃
【0105】
実施例9:2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(6-フルオロ-5-メチル-1H-インドール-3-イル)-2-((3-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-メトキシフェニル)アミノ)エタノン(化合物9)の合成ならびにエナンチオマー9Aおよび9Bへのキラル分離。
【化15】
中間体9a’の合成:
2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)酢酸[CAS170737-95-8](5.8g、28.9mmol)を塩化チオニル(50mL)に少量ずつ添加し、得られた溶液を60℃で終夜撹拌した。溶媒を減圧濃縮し、トルエンと共蒸発させて、2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)アセチルクロリド9a’(6.5g)を油状残留物として得、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0106】
中間体9aの合成:
6-フルオロ-5-methyl-1H-インドール[CAS162100-95-0](1.7g、11.4mmol)のCH2Cl2(100mL)溶液を、N2雰囲気下、0℃に冷却した。ジエチルアルミニウムクロリドの1Mヘキサン(17.1mL、17.1mmol)溶液を滴下し、得られた混合物を0℃で15分間保持した。2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)アセチルクロリド9a’(3.50g、16mmol)のCH2Cl2(50mL)溶液を滴下した。0℃で1時間撹拌を継続し、反応混合物を、その後、室温で2時間撹拌した。反応混合物を、氷/ロッシェル塩溶液に撹拌しながら注ぎ込んだ。氷が溶けた後、混合物をdicalite(登録商標)でろ過し、ろ過ケーキをTHFで数回洗浄した。ろ液をまとめた。層を分離し、有機層を塩水で洗浄し、MgSO4で脱水し、減圧蒸発させた。固形残留物をCH2Cl2(30mL)に懸濁し、沈殿物をろ別し、50℃で真空乾燥して、2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(6-フルオロ-5-メチル-1H-インドール-3-イル)エタノン9a(2.76g)を得た。
【0107】
中間体9bの合成:
2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(6-フルオロ-5-メチル-1H-インドール-3-イル)エタノン9a(2.76g、8.32mmol)のTHF(350mL)溶液を撹拌しながら0℃に冷却した。フェニルトリメチルアンモニウムトリブロミド[CAS4207-56-1](3.44g、9.15mmol)のTHF(50mL)溶液を滴下した。この反応混合物を0℃で2時間、さらに室温で2時間撹拌した。固形物をろ過によって除去し、THFで洗浄した。ろ液をまとめて減圧蒸発させた。残留物をEtOAc(50mL)と混合した。固形物をろ過によって分離し、少量のEtOAcで洗浄し、50℃で真空乾燥して、白色固体の2-ブロモ-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(6-フルオロ-5-メチル-1H-インドール-3-イル)エタノン9b(3.21g)を得、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0108】
化合物9の合成ならびにエナンチオマー9Aおよび9Bのキラル分離:
CH3CN(100mL)中の、2-ブロモ-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(6-フルオロ-5-メチル-1H-インドール-3-イル)エタノン9b(1.6g、3.90mmol)、2-(3-アミノ-5-メトキシフェノキシ)エタノール[CAS725237-16-1](1.07mg、5.84mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(671μL、3.90mmol)の混合物を室温で終夜撹拌し、その後50℃で18時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮した。残留物をCH2Cl2(100mL)に溶解し、1N HCl(100mL)および水(100mL)で洗浄し、MgSO4で脱水し、ろ過し、減圧蒸発させた。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(固定相:Grace Reveleris(登録商標)シリカ120g、移動相:EtOAc:EtOH(3:1)/ヘプタン 勾配0/100~50/50)により精製した。所望の画分をまとめ、減圧蒸発させた。残留固形物をCH2Cl2/ヘプタンで沈殿させた。沈殿物をろ別し、CH2Cl2/ヘプタン(1/1)で洗浄した)。固形物(1.53g)を分取HPLC(固定相:Uptisphere(登録商標)C18 ODB-10μm、200g、5cm、移動相:0.25%NH4HCO3水溶液、CH3CN)でさらに精製した。所望の画分をまとめ、減圧蒸発させ、EtOAc(20mL)で共蒸発させて、2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(6-フルオロ-5-メチル-1H-インドール-3-イル)-2-((3-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-メトキシフェニル)アミノ)エタノン(化合物9、1.07g)をラセミ混合物として得た。
【0109】
化合物9(1.04g)エナンチオマーのキラル分離を、順相キラル分離(固定相:(S,S)-Whelk-O1、移動相:100%エタノール)により行った。生成物画分をまとめ、蒸発させて、エナンチオマー9Aを第1の溶出生成物として、またエナンチオマー9Bを第2の溶出生成物として得た。
【0110】
エナンチオマー9A(421mg)をフラッシュクロマトグラフィー(固定相:Grace Reveleris(登録商標)シリカ12g、移動相:ヘプタン/EtOAc/EtOH 勾配100/0/0~40/45/15)により精製した。所望の画分をまとめ、減圧蒸発させた。残留物にH2O(2.5mL)およびMeOH(0.75ml)を加えた。15分間攪拌後、固体をろ別し、H2O/MeOH 3/1の混合物で洗浄し(3×)、50℃で真空乾燥してエナンチオマー9A(303mg)を得た。
【0111】
エナンチオマー9B(336mg)をフラッシュクロマトグラフィー(固定相:Grace Reveleris(登録商標)シリカ12g、移動相:ヘプタン/EtOAc/EtOH 勾配100/0/0~40/45/15)により精製した。所望の画分をまとめ、減圧蒸発させた。残留物にH2O(2.5mL)およびMeOH(0.75ml)を加えた。15分間攪拌後、固体をろ別し、H2O/MeOH 3/1の混合物で洗浄し(3×)、50℃で真空乾燥してエナンチオマー9B(224mg)を得た。
【0112】
化合物9:
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 2.30(d,J=1.3Hz,3H)3.61(s,3H)3.64(q,J=5.3Hz,2H)3.77-3.89(m,2H)3.96(s,3H)4.77(t,J=5.5Hz,1H)5.72(t,J=2.1Hz,1H)5.93(d,J=2.2Hz,2H)6.13(d,J=8.1Hz,1H)6.34(d,J=7.9Hz,1H)6.96(dd,J=8.4,2.0Hz,1H)7.09(d,J=2.0Hz,1H)7.22(d,J=10.3Hz,1H)7.35(d,J=8.4Hz,1H)8.01(d,J=7.9Hz,1H)8.36(s,1H)11.94(br s,1H)
LC/MS(LC-B法):Rt2.08分、MH+513
【0113】
エナンチオマー9A:
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 2.30(d,J=1.3Hz,3H)3.61(s,3H)3.65(q,J=5.3Hz,2H)3.74-3.90(m,2H)3.96(s,3H)4.77(t,J=5.5Hz,1H)5.72(t,J=2.1Hz,1H)5.93(d,J=2.0Hz,2H)6.13(d,J=8.1Hz,1H)6.34(d,J=8.1Hz,1H)6.96(dd,J=8.3,1.9Hz,1H)7.09(d,J=2.0Hz,1H)7.22(d,J=10.0Hz,1H)7.36(d,J=8.4Hz,1H)8.02(d,J=7.9Hz,1H)8.36(d,J=3.1Hz,1H)11.94(br d,J=2.6Hz,1H)
LC/MS(LC-A法):Rt1.1分、MH+513
[α]D
20:-141.9°(c0.465、DMF)
キラルSFC(SFC-A法):Rt4.33分、MH+513,キラル純度100%。
【0114】
エナンチオマー9B:
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 2.30(s,3H)3.61(q,J=3Hz,2H)5.2(s,3H)3.76-3.90(m,2H)3.96(s,3H)4.76(t,J=5.6Hz,1H)5.72(t,J=2.0Hz,1H)5.93(d,J=2.0Hz,2H)6.13(d,J=7.9Hz,1H)6.34(d,J=7.9Hz,1H)6.96(dd,J=8.3,1.9Hz,1H)7.09-2.0(m,2H)7.22(d,J=2.0Hz,1H)7.35(d,J=8.4Hz,1H)8.01(d,J=7.7Hz,1H)
LC/MS(LC-B法):Rt2.09分、MH+513
[α]D
20:+140.8°(c0.485、DMF)
キラルSFC(SFC-A法):Rt3.82分、MH+513,キラル純度100%。
融点:177℃
【0115】
実施例10:2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(3,7-ジヒドロ-2H-フロ[3,2-f]インドール-5-イル)-2-((3-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-メトキヂフェニル)アミノ)エタノン(化合物10)の合成ならびにエナンチオマー10Aおよび10Bへのキラル分離。
【化16】
中間体10aの合成:
N
2雰囲気下、3,7-ジヒドロ-2H-フロ[3,2-f]インドール7d(1.7g、10.7mmol)のCH
2Cl
2(150ml)溶液を氷浴で冷却した。ジエチルアルミニウムクロリドの1Mヘキサン(16.1mL、16.1mmol)溶液を滴下し、得られた混合物を0℃で15分間保持した。2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)アセチルクロリド9a’(3.29g、15.0mmol)のCH
2Cl
2(100mL)溶液を滴下した。0℃で1時間撹拌を継続した。氷浴を除去し、反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を、氷/ロッシェル塩溶液に撹拌しながら注ぎ込んだ。氷が溶けた後、混合物をdicalite(登録商標)でろ過し、ろ過ケーキをTHFで数回洗浄した。ろ液をまとめた。層を分離し、有機層を塩水および水で洗浄した。水層をまとめてTHFで抽出し、有機層をまとめてMgSO
4で脱水し、ろ過し、減圧蒸発させた。固形残留物をCH
2Cl
2(20mL)に懸濁した。沈殿物をろ別し、少量のCH
2Cl
2で洗浄し、50℃で真空乾燥して、白色固体の2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(3,7-ジヒドロ-2H-フロ[3,2-f]インドール-5-イル)エタノン10a(2.00g)を得た。
【0116】
中間体10bの合成:
2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(3,7-ジヒドロ-2H-フロ[3,2-f]インドール-5-イル)エタノン10a(2.00g、5.85mmol)のTHF(50mL)溶液を撹拌しながら0℃に冷却した。フェニルトリメチルアンモニウムトリブロミド[CAS4207-56-1](2.42g、6.44mmol)のTHF(100mL)溶液を滴下した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。固形物をろ過によって除去し、THFで洗浄した。ろ液をまとめて減圧蒸発させた。残留物に少量のCH2Cl2/ヘプタン(1/1)を加えた。固体をろ過により単離し、少量のCH2Cl2/ヘプタン(1/1)で洗浄し、黄色粉末の50℃で真空乾燥して、2-ブロモ-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(3,7-ジヒドロ-2H-フロ[3,2-f]インドール-5-イル)エタノン10b(1.38g)を得た。
【0117】
化合物10の合成ならびにエナンチオマー10Aおよび10Bのキラル分離:
CH3CN(100mL)中の2-ブロモ-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(3,7-ジヒドロ-2H-フロ[3,2-f]インドール-5-イル)エタノン10b(1.38g、3.27mmol)、2-(3-アミノ-5-メトキシフェノキシ)エタノール[CAS725237-16-1](1.20g、6.54mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(844μL、4.90mmol)を終夜、加熱還流した。この反応混合物を減圧濃縮した。残留物をCH2Cl2に溶解し、1N HClおよび水で洗浄し、MgSO4で脱水し、ろ過し、減圧蒸発させた。残留物をカラムクロマトグラフィー(固定相:Biotage(登録商標)SNAP Ultra silica 100g、移動相:EtOAc:EtOH(3:1)/ヘプタン 勾配0/100~70/30)により精製した。所望の画分をまとめ、減圧蒸発させた。残留物を50℃で真空乾燥し、2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(3,7-ジヒドロ-2H-フロ[3,2-f]インドール-5-イル)-2-((3-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-メトキシフェニル)アミノ)エタノン(化合物10、1.07g)をラセミ混合物として得た。
【0118】
化合物10(1.07g)エナンチオマーのキラル分離を、分取SFC(固定相:Chiralcel(登録商標)Diacel OD 20×250mm;移動相:CO2、EtOH+0.4%iPrNH2)により行った。生成物画分をまとめて減圧蒸発させ、エナンチオマー10Aを第1の溶出生成物として、またエナンチオマー10Bを第2の溶出生成物として得た。両エナンチオマーを、分取SFC(固定相:Chiralcel(登録商標)Diacel AD 20×250mm;移動相:CO2、EtOH+0.4%iPrNH2)によりさらに精製した。生成物画分をまとめ、減圧蒸発させた。両エナンチオマーを、MeOH(5mL)および水(2mL)の混合物から結晶化した。固体をろ過により単離し、少量のMeOH/水(1/1)で洗浄し、50℃で真空乾燥して、白色粉末のエナンチオマー10A(240mg)およびエナンチオマー10B(200mg)を得た。
【0119】
エナンチオマー10A:
1H NMR(360MHz,DMSO-d6)δ ppm 3.21(br t,J=8.4Hz,2H)3.60(s,3H)3.64(q,J=5.4Hz,2H)3.76-3.88(m,2H)3.97(s,3H)4.52(t,J=8.8Hz,2H)4.80(t,J=5.5Hz,1H)5.70(t,J=2.0Hz,1H)5.92(d,J=1.8Hz,2H)6.10(d,J=8.1Hz,1H)6.36(d,J=8.1Hz,1H)6.76(s,1H)6.95(dd,J=8.2,2.0Hz,1H)7.09(d,J=1.8Hz,1H)7.34(d,J=8.1Hz,1H)7.94(s,1H)8.22(s,1H)11.74(br s,1H)
LC/MS(LC-A法):Rt1.00分、MH+523
[α]D
20:-166.0°(c0.365、DMF)
キラルSFC(SFC-A法):Rt4.90分、MH+523,キラル純度100%。
融点:215℃
【0120】
エナンチオマー10B:
1H NMR(360MHz,DMSO-d6)δ ppm 3.22(br t,J=8.4Hz,2H)3.60(s,3H)3.64(q,J=5.1Hz,2H)3.76-3.88(m,2H)3.97(s,3H)4.52(t,J=9.0Hz,2H)4.80(t,J=5.5Hz,1H)5.70(t,J=2.0Hz,1H)5.92(d,J=2.2Hz,2H)6.10(d,J=8.1Hz,1H)6.36(d,J=8.4Hz,1H)6.76(s,1H)6.95(dd,J=8.2,2.0Hz,1H)7.09(d,J=1.8Hz,1H)7.34(d,J=8.1Hz,1H)7.94(s,1H)8.22(s,1H)11.74(br s,1H)
LC/MS(LC-A法):Rt1.01分、MH+523
[α]D
20:+166.7°(c0.45、DMF)
キラルSFC(SFC-A法):Rt4.66分、MH+523,キラル純度100%。
融点:216℃
【0121】
実施例11:2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(7,8-ジヒドロ-1H-フロ[2,3-g]インドール-3-イル)-2-((3-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-メトキシフェニル)アミノ)エタノン(化合物11)の合成ならびにエナンチオマー11Aおよび11Bのキラル分離。
【化17】
中間体11aの合成:
7,8-ジヒドロ-1H-フロ[2,3-g]インドール[CAS170728-95-7](1.71g、10.7mmol)のCH
2Cl
2(150mL)溶液を、N
2雰囲気下、0℃に冷却した。ジエチルアルミニウムクロリドの1Mヘキサン(16.1mL、16.1mmol)溶液を滴下し、得られた混合物を0℃で15分間保持した。2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)アセチルクロリド9a’(3.29g、15.0mmol)のCH
2Cl
2(100mL)溶液を滴下した。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、その後、室温で2時間撹拌した。反応混合物を氷/ロッシェル塩溶液に撹拌しながら注ぎ込んだ。氷が溶けた後、混合物をdicalite(登録商標)でろ過し、ろ過ケーキをTHFで数回洗浄した。ろ液をまとめた。層を分離し、有機層を塩水および水で洗浄した。水層をまとめてTHFで抽出し、有機層をまとめてMgSO
4で脱水し、ろ過し、減圧蒸発させた。残留固形物をCH
2Cl
2(20mL)に懸濁した。沈澱物をろ別し、少量のCH
2Cl
2で洗浄し、50℃で真空乾燥して、2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(7,8-ジヒドロ-1H-フロ[2,3-g]インドール-3-イル)エタノン11a(2.00g)を得た。
【0122】
中間体11bの合成:
2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(7,8-ジヒドロ-1H-フロ[2,3-g]インドール-3-イル)エタノン11a(2.00g、5.85mmol)のTHF(50mL)溶液を撹拌しながら0℃に冷却した。フェニルトリメチルアンモニウムトリブロミド[CAS4207-56-1](2.42g、6.44mmol)のTHF(100mL)溶液を滴下した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。固形物をろ過によって除去し、THFで洗浄した。ろ液をまとめて減圧蒸発させた。残留物に少量のCH2Cl2/ヘプタン(1/1)を加えた。固体をろ過により単離し、少量のCH2Cl2/ヘプタン(1/1)で洗浄し、50℃で真空乾燥して、固体の2-ブロモ-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(7,8-ジヒドロ-1H-フロ[2,3-g]インドール-3-イル)エタノン11b(1.63g)を得た。
【0123】
化合物11の合成ならびにエナンチオマー11Aおよび11Bのキラル分離:
CH3CN(100mL)中の2-ブロモ-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(7,8-ジヒドロ-1H-フロ[2,3-g]インドール-3-イル)エタノン11b(1.63g、3.88mmol)、2-(3-アミノ-5-メトキシフェノキシ)エタノール[CAS725237-16-1](1.42g、7.75mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(1.00mL、5.81mmol)を終夜、加熱還流した。この反応混合物を減圧濃縮した。残留物をCH2Cl2に溶解し、1N HClおよび水で洗浄し、MgSO4で脱水し、ろ過し、減圧蒸発させた。残留物をカラムクロマトグラフィー(固定相:Biotage(登録商標)SNAP Ultra silica 100g、移動相:EtOAc:EtOH(3:1)/ヘプタン 勾配0/100~70/30)により精製した。所望の画分をまとめ、減圧蒸発させた。残留物を50℃で真空乾燥し、2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(7,8-ジヒドロ-1H-フロ[2,3-g]インドール-3-イル)-2-((3-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-メトキシフェニル)アミノ)エタノン(化合物11、886mg)をラセミ混合物として得た。
【0124】
化合物11(886mg)エナンチオマーのキラル分離を、分取SFC(固定相:Chiralpak(登録商標)Diacel AS 20×250mm、移動相:CO2、EtOH+0.4%iPrNH2)により行った。生成物画分をまとめて減圧蒸発させ、エナンチオマー11Aを第1の溶出生成物として、またエナンチオマー11Bを第2の溶出生成物として得た。エナンチオマー11Aをカラムクロマトグラフィー(固定相:Biotage(登録商標)SNAP Ultra silica 25g、移動相:EtOAc:EtOH(3:1)/ヘプタン 勾配0/100~70/30)により精製した。生成物画分をまとめ、減圧蒸発させた。固形残留物を50℃で真空乾燥して、エナンチオマー11A(279mg)を得た。エナンチオマー11Bを分取SFC(固定相)Chiralpak(登録商標)Diacel AD 20×250mm;移動相:CO2、EtOH+0.4%iPrNH2)により精製した。生成物画分をまとめ、減圧蒸発させた。残留物をカラムクロマトグラフィー(固定相:Biotage(登録商標)SNAP Ultra silica 25g、移動相:EtOAc:EtOH(3:1)/ヘプタン 勾配0/100~70/30)により精製した。生成物画分をまとめ、減圧蒸発させた。固形残留物をMeOHで洗浄し、50℃で真空乾燥して、白色固体のエナンチオマー11B(260mg)を得た。
【0125】
エナンチオマー11A:
1H NMR(360MHz,DMSO-d6)δ ppm 3.24-3.31(m,2H)3.60(s,3H)3.62-3.68(m,2H)3.75-3.89(m,2H)3.97(s,3H)4.57(t,J=9.0Hz,2H)4.80(br s,1H)5.70(t,J=2.0Hz,1H)5.93(d,J=2.2Hz,2H)6.13(d,J=7.7Hz,1H)6.38(d,J=8.1Hz,1H)6.70(d,J=8.4Hz,1H)6.95(dd,J=8.2,2.0Hz,1H)7.08(d,J=1.8Hz,1H)7.35(d,J=8.1Hz,1H)7.89(d,J=8.4Hz,1H)8.33(s,1H)12.23(br s,1H)
LC/MS(LC-A法):Rt1.00分、MH+523
[α]D
20:+67.5°(c0.385、DMF)
キラルSFC(SFC-A法):Rt4.23分、MH+523,キラル純度100%。
【0126】
エナンチオマー11B:
1H NMR(360MHz,DMSO-d6)δ ppm 3.26-3.31(m,2H)3.61(s,3H)3.62-3.67(m,2H)3.72-3.91(m,2H)3.97(s,3H)4.58(t,J=8.8Hz,2H)4.81(br t,J=4.9Hz,1H)5.71(t,J=1.8Hz,1H)5.94(d,J=1.8Hz,2H)6.14(d,J=8.1Hz,1H)6.39(d,J=8.1Hz,1H)6.71(d,J=8.4Hz,1H)6.96(dd,J=8.4,1.8Hz,1H)7.09(d,J=1.8Hz,1H)7.35(d,J=8.1Hz,1H)7.90(d,J=8.8Hz,1H)8.33(s,1H)11.98(br s,1H)
LC/MS(LC-A法):Rt1.00分、MH+523
[α]D
20:-71.2°(c0.400、DMF)
キラルSFC(SFC-A法):Rt4.75分、MH+523,キラル純度100%。
【0127】
実施例12:2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(4-フルオロ-6-メトキシ-5-メチル-1H-インドール-3-イル)-2-((3-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-メトキシフェニル)アミノ)エタノン(化合物12)の合成ならびにエナンチオマー12Aおよび12Bへのキラル分離。
【化18】
中間体12aの合成:
N-ヨードスクシンイミド(62.2g、276mmol)を、冷却した(0℃)3-フルオロ-5-メトキシ-4-メチルアニリン[CAS1357103-76-4](39g、251mmol)のCH
3CN(300ml)溶液に加え、反応混合物を0℃で1時間撹拌した。反応混合物をEtOAc(500mL)で希釈し、水(500mL)および塩水(500mL)で洗浄し、MgSO
4で脱水し、ろ過し、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中0~10%EtOAc勾配)で精製して、灰色固体の3-フルオロ-2-ヨード-5-メオキシ-4-メチルアニリン12a(37g)を得た。
【0128】
中間体12bの合成:
トリエチルアミン(500ml)中の3-フルオロ-2ヨード-5メトキシ-4-メチルアニリン12a(37g、132mmol)、ヨウ化銅(I)(1.46g、7.68mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(3.70g、5.27mmol)およびトリメチルシリルアセチレン(54.6mL、395mmol)の混合物をN2雰囲気下、70℃で6時間加熱した。この反応混合物を減圧濃縮した。残留物を水(500mL)に懸濁し、EtOAc(2×500mL)で抽出した。有機層をまとめて塩水(2×500mL)で洗浄し、MgSO4で脱水し、ろ過し、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(勾配:石油エーテル中0~8%EtOAc)により精製し、3-フルオロ-5-メトキシ-4-メチル-2-((トリメチルシリル)エチニル)アニリン12b(20g)の灰色の固体を得た。
【0129】
中間体12cの合成:
カリウムtert-ブトキシド(23.8g、212mmol)を、室温で3-フルオロ-5-メトキシ-4-メチル-2-((トリメチルシリル)エチニル)アニリン12b(20g、60.5mmol)のNMP(500ml)溶液に添加した。反応混合物を90℃で18時間撹拌した。反応物をH2O(800mL)で希釈し、EtOAc(2×700mL)で抽出した。有機層をまとめて塩水(3×1L)で洗浄し、MgSO4で脱水し、ろ過し、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(勾配:石油エーテル中0~15%EtOAc)で精製して4-フルオロ-6-メトキシ-5-メチル-1H-インドール12c(9.00g)の黄色固体を得た。
【0130】
中間体12dの合成:
ジエチルアルミニウムクロリドの1Mヘキサン(16.1mL、16.1mmol)溶液を、N2雰囲気下、冷却した(0℃)4-フルオロ-6-メトキシ-5-メチル-1H-インドール12c(1.92g、10.7mmol)のCH2Cl2(150mL)溶液に滴下した。0℃で15分間撹拌した後、2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)アセチルクロリド9a’(3.29g、15.0mmol)のCH2Cl2(100mL)溶液を反応混合物に滴下した。0℃で撹拌を1時間続け、混合物を2時間撹拌しながら室温にまで温めた。反応混合物を、過剰のロッシェル塩を含有する氷水に注ぎ込んだ。室温に温めた後、混合物をdicalite(登録商標)の短いパッドでろ過し、ろ過ケーキをTHFで数回濯いだ。層を分離した。有機層を塩水および水で洗浄し、MgSO4で脱水し、ろ過し、減圧蒸発させた。固形残留物をCH2Cl2(20mL)に懸濁させ、固形物をろ別し、少量のCH2Cl2で洗浄し、50℃で真空乾燥して、2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(4-フルオロ-6-メトキシ-5-メチル-1H-インドール-3-イル)エタノン12d(582mg)のオフホワイト色固体を得た。
【0131】
中間体12eの合成:
フェニルトリメチルアンモニウムトリブロミド[CAS4207-56-1](665mg、1.77mmol)のTHF(50mL)溶液を、冷却した(0℃)2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(4-フルオロ-6-メトキシ-5-メチル-1H-インドール-3-イル)エタノン12d(582mg、1.62mmol)のTHF(50mL)溶液に滴下し、反応混合物を1時間撹拌しながら室温にまで温めた。反応混合物をろ過し、固体をTHFで洗浄した。ろ液を減圧蒸発させた。残留した褐色固体に少量のCH2Cl2/ヘプタン(1/1)を加えた。固体をろ別し、CH2Cl2/ヘプタン(1/1)で洗浄して、白色固体の2-ブロモ-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(4-フルオロ-6-メトキシ-5-メチル-1H-インドール-3-イル)エタノン12e(725mg)を得た。生成物はさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0132】
化合物12の合成ならびにエナンチオマー12Aおよび12Bへのキラル分離:
CH3CN(50mL)中の2-ブロモ-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(4-フルオロ-6-メトキシ-5-メチル-1H-インドール-3-イル)エタノン12e(725mg、0.82mmol)、2-(3-アミノ-5-メトキシフェノキシ)エタノール[CAS725237-16-1](452mg、2.47mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(425μL、2.47mmol)の混合物を終夜、加熱還流した。室温にまで冷却してから、溶媒を減圧蒸発させた。残留物をCH2Cl2に溶解した。有機溶液を1N HCl、水で洗浄し、MgSO4で脱水し、減圧蒸発させた。残留物をカラムクロマトグラフィー(固定相:Biotage(登録商標)SNAP Ultra 50g、移動相:EtOAc:EtOH(3:1)/ヘプタン 勾配0/100~70/30)により精製した。生成物画分をまとめ、減圧蒸発させた。残留物(243mg)を分取HPLC(固定相:Uptisphere(登録商標)C18 ODB-10μm、200g、5cm、移動相:0.25%NH4HCO3水溶液、CH3CN)でさらに精製した。生成物画分をまとめ、減圧蒸発させ、ラセミ化合物2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(4-フルオロ-6-メトキシ-5-メチル-1H-インドール-3-yl)-2-((3-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-メトキシフェニル)アミノ)エタノン(化合物12、110mg)を得た。
【0133】
化合物12(110mg)のエナンチオマーを分取SFC(固定相:Chiralcel(登録商標)Diacel OD 20×250mm;移動相:CO2、EtOH+0.4%iPrNH2)により分離した。生成物画分をまとめて減圧蒸発させ、エナンチオマー12Aを第1の溶出生成物として、またエナンチオマー12Bを第2の溶出生成物として得た。両エナンチオマーを、カラムクロマトグラフィー(Biotage(登録商標)SNAP Ultra シリカ 10g、溶離液:EtOAc:EtOH(3:1)/ヘプタン 勾配0/100~50/50)によりさらに精製した。生成物画分をまとめ、減圧蒸発させた。固形残留物を50℃で真空乾燥して、白色粉末のエナンチオマー12A(35mg)およびエナンチオマー12B(44mg)を得た。
【0134】
エナンチオマー12A:
1H NMR(360MHz,DMSO-d6)δ ppm 2.09(d,J=2.2Hz,3H)3.61(s,3H)3.64(q,J=5.2Hz,2H)3.75-3.89(m,5H)3.93(s,3H)4.80(t,J=5.5Hz,1H)5.70(t,J=2.0Hz,1H)5.94(d,J=1.8Hz,2H)6.16(d,J=8.1Hz,1H)6.37(d,J=8.1Hz,1H)6.77(s,1H)6.96(dd,J=8.4,1.8Hz,1H)7.06(d,J=2.2Hz,1H)7.32(d,J=8.4Hz,1H)8.31(s,1H)11.98(br s,1H)
LC/MS(LC-A法):Rt1.06分、MH+543
[α]D
20:-110.4°(c0.365、DMF)
キラルSFC(SFC-A法):Rt4.20分、MH+543,キラル純度100%。
【0135】
エナンチオマー12B:
1H NMR(360MHz,DMSO-d6)δ ppm 2.09(d,J=2.6Hz,3H)3.61(s,3H)3.64(q,J=5.1Hz,2H)3.75-3.89(m,5H)3.93(s,3H)4.80(t,J=5.5Hz,1H)5.70(t,J=2.0Hz,1H)5.94(d,J=2.2Hz,2H)6.16(d,J=7.7Hz,1H)6.37(d,J=8.1Hz,1H)6.77(s,1H)6.96(dd,J=8.2,2.0Hz,1H)7.06(d,J=1.8Hz,1H)7.32(d,J=8.1Hz,1H)8.31(s,1H)11.98(br s,1H)
LC/MS(LC-C法):Rt1.07分、MH+543
[α]D
20:+123.7°(c0.41、DMF)
キラルSFC(SFC-A法):Rt3.97分、MH+543,キラル純度100%。
【0136】
実施例13.1:2-(3-((1-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-2-オキソエチル)アミノ)-5-メトキシフェノキシ)エチル二水素ホスフェート(化合物13-P)の合成とエナンチオマー13A-Pおよび13B-Pへのキラル分離。
【化19】
中間体13aの合成:
ジオキサン中の4M塩酸(7.5mL、30mmol)を、N
2雰囲気下、撹拌した2-(3-アミノ-5-メトキシフェノキシ)エタノール[CAS725237-16-1](5.0g、27.3mmol)のジオキサン(175mL)溶液に滴下した。得られた白色混合物を15分間激しく撹拌した。オキシ塩化リン(7.6mL、82mmol)を徐々に加え、反応混合物を室温で5日間撹拌した。反応混合物を氷水(200mL)中に注ぎ込んだ。1時間撹拌した後、溶媒を減圧濃縮して、残留体積を約100mLにした。Et
2O(75mL)を加えて沈殿させた。固体をろ過により除去し、水で洗浄し、廃棄した。残留物を分取HPLC(固定相:RP XBridge(登録商標)Prep C18 OBD-10μm、50×150mm、移動相:水、CH
3CN)により精製した。生成物13aを含む画分をまとめた。有機揮発分を減圧蒸発させると、次々に複数の生成物が沈殿した。固体をろ過により単離し、50℃で真空乾燥して2-(3-アミノ-5-meメトキシフェノキシ)エチル二水素ホスフェート13a(総量(4生成物))を得た:1.83g)。
【0137】
中間体13bの合成:
ジエチルアルミニウムクロリドの1Mヘキサン(37.1mL、37.1mmol)溶液を0℃で、6-フルオロ-1H-インドール[CAS399-51-9](3.34g、24.8mmol)のCH2Cl2(100mL)溶液に滴下した。0℃で30分間撹拌した後、2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)アセチルクロリド9a’(6.3g、28.8mmol)のCH2Cl2(100mL)溶液を0℃で徐々に添加した。反応物を0℃で3時間撹拌した。氷水を添加し、沈澱物をろ別し、水および少量のCH2Cl2で洗浄した。固形物を70℃で終夜、真空乾燥して、2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エタノン13b(4.9g)を得た。
【0138】
化合物13-Pの合成ならびにエナンチオマー13A-Pおよび13B-Pへのキラル分離:
0℃で、フェニルトリメチルアンモニウムトリブロミド[CAS4207-56-1](1.63g、4.33mmol)を、撹拌した2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エタノン13b(1.31g、4.12mmol)のTHF(40mL)溶液に何回かに分けて添加した。この反応混合物を0℃で90分間、室温で90分間撹拌した。沈殿物をろ別し、THFで洗浄した(2×)。ろ液をまとめてジイソプロピルエチルアミン(4.26mL、24.7mmol)のCH3CN(40mL)およびDMF(20mL)溶液に添加した。13a(1.62g、5.42mmol)を加え、反応混合物を室温で90分間、40℃で2日間撹拌した。揮発分を減圧蒸発させた。残留物を分取HPLC(固定相:RP XBridge(登録商標)Prep C18 OBD-10μm、50×150mm;移動相:0.25%NH4HCO3水溶液、CH3CN)により精製した。生成物画分をまとめ、減圧下でキシレンと共蒸発させた。残留物を45℃で65時間真空乾燥し、CH3CN中で撹拌し、ろ別し、CH3CNで洗浄し(3×)、45℃で真空乾燥して、2-(3-((1-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-2-オキソエチル)アミノ)-5-メチキシフェノキシ)エチル二水素ホスフェート(化合物13-P、800mg)をラセミ混合物として得た。
【0139】
化合物13-PのエナンチオマーをキラルSFC(固定相:Chiralpak(登録商標)Diacel ID 20×250mm;移動相:CO2、EtOH+0.4%iPrNH2)により分離した。生成物含有画分をまとめて減圧蒸発させ、第1の溶出エナンチオマーとして13A-Pを、また第2の溶出エナンチオマーとして13B-Pを得た。第1の溶出エナンチオマーを分取SFC(固定相:Chiralpak(登録商標)Diacel ID 20×250mm;移動相:CO2、EtOH+0.4%iPrNH2)によりさらに精製した。所望の画分をまとめ、減圧蒸発させ、EtOAcと共蒸発させた。残留固形物を45℃で真空乾燥して、エナンチオマー13A-P(148mg、iPrNH2塩)を得た。第2の溶出エナンチオマーをDIPE/EtOAc(5/1)に取った。固体をろ別し、DIPEで洗浄し(5×)、45℃で真空乾燥して、エナンチオマー13B-P(266mg、iPrNH2塩)を得た。
【0140】
化合物13-P:
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 3.60(s,3H)3.84-4.04(m,7H)5.72(t,J=2.0Hz,1H)5.92-6.00(m,2H)6.16(d,J=8.1Hz,1H)6.38(d,J=8.4Hz,1H)6.96(dd,J=8.3,1.9Hz,1H)6.99-7.08(m,2H)7.26(dd,J=9.7,2.4Hz,1H)7.40(d,J=8.4Hz,1H)8.12(dd,J=8.8,5.7Hz,1H)8.47(s,1H)
LC/MS(LC-C法):Rt0.81分、MH-577
【0141】
エナンチオマー13A-P:
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 1.14(d,J=6.6Hz,6H)3.20(dt,J=12.8,6.2Hz,1H)3.60(s,3H)3.87-3.99(m,7H)5.72(t,J=2.0Hz,1H)5.93-5.98(m,2H)6.16(d,J=8.4Hz,1H)6.38(d,J=8.4Hz,1H)6.96(dd,J=8.1,2.0Hz,1H)6.99-7.07(m,2H)7.26(dd,J=9.7,2.4Hz,1H)7.40(d,J=8.4Hz,1H)8.12(dd,J=8.8,5.5Hz,1H)8.46(s,1H)
LC/MS(LC-B法):Rt1.51分、MH-577
[α]D
20:+68.3°(c0.445、DMF)
キラルSFC(SFC-F法):Rt1.48分、MH+579,キラル純度100%。
【0142】
エナンチオマー13B-P:
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 1.15(d,J=6.4Hz,6H)3.17-3.25(m,1H)3.60(s,3H)3.86-4.00(m,7H)5.72(t,J=2.0Hz,1H)5.96(br d,J=7.9Hz,2H)6.16(d,J=8.4Hz,1H)6.38(d,J=8.4Hz,1H)6.96(dd,J=8.3,1.9Hz,1H)6.99-7.08(m,2H)7.26(dd,J=9.6,2.3Hz,1H)7.40(d,J=8.1Hz,1H)8.12(dd,J=8.7,5.6Hz,1H)8.47(s,1H)
LC/MS(LC-B法):Rt1.51分、MH-577
[α]D
20:-69.5°(c0.525、DMF)
キラルSFC(SFC-F法):Rt2.49分、MH+579,キラル純度100%。
【0143】
実施例13.2:エナンチオマー13A-P合成の代替法
【化20】
中間体13cの合成:
0℃で、フェニルトリメチルアンモニウムトリブロミド[CAS4207-56-1](5.8g、15.4mmol)のTHF(65mL)溶液を、THF(60mL)中の2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エタノン13b(4.9g、15.4mmol)の混合物に滴下した。混合物を0℃で1時間、室温で2.5時間撹拌した。沈殿物をろ別し、EtOAcで洗浄した。ろ液をまとめて減圧濃縮した。残留物をEtOAcに取り、水で洗浄した。沈殿物が有機層中に生じたので、これをろ別し、乾燥して、2-ブロモ-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エタノン13cの第1のバッチ(4.6g)を得た。有機層を分離し、MgSO
4で脱水し、ろ過し、溶媒を減圧蒸発させた。残留物をEtOAcから結晶化した。沈殿物をEtOAcでろ別し、Et
2Oで洗浄し、真空乾燥して、2-ブロモ-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エタノン13c(1.6g)の第2の画分を得た。
【0144】
化合物13の合成ならびにエナンチオマー13Aおよび13Bへのキラル分離:
CH3CN(16mL)中の、2-ブロモ-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エタノン13c(2.1g、5.3mmol)、2-(3-アミノ-5-メトキシフェノキシ)エタノール[CAS725237-16-1](924mg、5.05mmol)およびトリエチルアミン(1.47mL、10.6mmol)の混合物を、密閉したチューブ内で、0~400Wの範囲の出力(「Fixed Hold Time」モード付)を有するマイクロウェーブBiotage(登録商標)Initiator EXP 60を用いて100℃で30分間加熱した。反応物をCH2Cl2で希釈し、有機層を水で洗浄し、MgSO4で脱水し、ろ過し、溶媒を減圧濃縮した。50/50~0/100のヘプタン/EtOAc勾配を用いた、シリカゲル(15~40μm、80g)フラッシュクロマトグラフィーにより残留物を精製した。純粋な画分をまとめ、濃縮して、1.1gの化合物13を得た。この画分を0.93gの化合物13の別のバッチと合わせ、その後アキラルSFC(固定相:CYANO 6μm 150×21.2mm、移動相:75%CO2、25%MeOH)により精製して、2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-2-((3-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-メトキシフェニル)アミノ)エタノン(化合物13、1.36g)をラセミ混合物として得た。
【0145】
化合物13(1.36g)のエナンチオマーをキラルSFC(固定相:Chiralcel(登録商標)商標)OJ 20×250mm;移動相:60%CO2、40%MeOH)により分離し、611mgの第1の溶出エナンチオマーおよび586mgの第2の溶出エナンチオマーを得た。第1の溶出エナンチオマーをCH3CN/ジイソプロピルエーテル/ヘプタンに取った。沈殿物をろ別し、乾燥して、エナンチオマー13A(496mg)の非晶質粉末を得た。第2の溶出エナンチオマーをCH3CN/ジイソプロピルルエーテル/ヘプタンに取った。沈殿物をろ別し、乾燥して、エナンチオマー13B(458mg)の非晶質粉末を得た。
【0146】
化合物13:
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ ppm 3.61(s,3H)3.64(q,J=5.3Hz,2H)3.77-3.88(m,2H)3.96(s,3H)4.78(t,J=5.5Hz,1H)5.71(t,J=1.9Hz,1H)5.93(d,J=1.9Hz,2H)6.15(d,J=8.2Hz,1H)6.40(d,J=8.2Hz,1H)6.96(dd,J=8.2,1.9Hz,1H)7.02-7.08(m,1H)7.09(d,J=1.9Hz,1H)7.27(dd,J=9.6,2.4Hz,1H)7.35(d,J=8.5Hz,1H)8.13(dd,J=8.8,5.7Hz,1H)8.43(s,1H)11.96-12.17(m,1H)
LC/MS(LC-C法):Rt2.95分、MH+499
【0147】
エナンチオマー13A:
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ ppm 3.57-3.68(m,5H)3.77-3.89(m,2H)3.96(s,3H)4.73-4.87(m,1H)5.71(t,J=1.9Hz,1H)5.91-5.96(m,2H)6.15(d,J=8.2Hz,1H)6.39(d,J=8.2Hz,1H)6.96(dd,J=8.2,1.9Hz,1H)7.01-7.11(m,2H)7.27(dd,J=9.6,2.4Hz,1H)7.36(d,J=8.2Hz,1H)8.13(dd,J=9.6,5.7Hz,1H)8.43(s,1H)11.45-12.31(m,1H)
LC/MS(LC-C法):Rt2.95分、MH+499
[α]D
20:+112.1°(c0.281、DMF)
キラルSFC(SFC-D法):Rt3.17分、MH+499,キラル純度100%。
【0148】
エナンチオマー13B:
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ ppm 3.57-3.67(m,5H)3.74-3.90(m,2H)3.96(s,3H)4.78(br.s.,1H)5.70-5.74(m,1H)5.93(s,2H)6.15(d,J=8.2Hz,1H)6.40(d,J=8.2Hz,1H)6.96(dd,J=8.2,1.9Hz,1H)7.02-7.08(m,1H)7.09(d,J=1.9Hz,1H)7.27(dd,J=9.6,2.4Hz,1H)7.36(d,J=8.2Hz,1H)8.13(dd,J=9.6,5.5Hz,1H)8.43(s,1H)11.63-12.47(m,1H)
LC/MS(LC-C法):Rt2.95分、MH+499
[α]D
20:-113.9°(c0.28、DMF)
キラルSFC(SFC-D法):Rt4.12分、MH+499,キラル純度100%。
【0149】
エナンチオマー13A-Pの合成
N2雰囲気下、エナンチオマー13A(250mg、0.5mmol)のジオキサン(15ml)溶液を撹拌しながら氷浴で冷却した。ジオキサン中4MのHCl(125μL、0.5mmol)を加え、続いてオキシ塩化リン(140μL、1.5mmol)を加えた。氷浴を除去し、反応混合物を90分間撹拌した。追加のオキシ塩化リン(140μL)を加え、反応混合物を室温で20時間撹拌した。砕氷(12g)の添加により、反応混合物の反応を停止させた。45分間撹拌した後、残留体積が約12mLになるまで有機揮発分を減圧蒸発させた。水溶液を分取HPLC(固定相:RP XBridge(登録商標)Prep C18 OBD-10μm、50×150mm、移動相:0.25%NH4HCO3水溶液、CH3CN)により精製した。生成物含有画分をまとめ、有機揮発分を減圧蒸発させた。残りの水溶液をキシレンと共蒸発させて乾固した。残留物をCH3CNに溶解し、減圧下で蒸発乾固した。残留物にEt2Oを加えた。固体をろ別し、Et2Oで洗浄(2×)し、45℃で真空乾燥して、エナンチオマー13A-P(48mg)を得た。
【0150】
エナンチオマー13A-P:
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 3.60(s,3H)3.88-4.01(m,7H)5.72(t,J=2.0Hz,1H)5.93-5.99(m,2H)6.17(d,J=8.4Hz,1H)6.38(d,J=8.1Hz,1H)6.96(dd,J=8.1,2.0Hz,1H)6.99-7.09(m,2H)7.27(dd,J=9.6,2.3Hz,1H)7.40(d,J=8.3Hz,1H)8.12(dd,J=8.8,5.5Hz,1H)8.47(s,1H)
LC/MS(LC-A法):Rt0.82分、MH-577
[α]D
20:+71.3°(c0.46、DMF)
キラルSFC(SFC-G法):Rt2.80分、MH+579,キラル純度96.7%。
【0151】
実施例13.3:2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-ジュウテリド-1-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-2-((3-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-メトキシフェニル)アミノ)エタノン(化合物13-D)の合成ならびにエナンチオマー13A-Dおよび13B-Dへのキラル分離。
重水素化エナンチオマー13A-Dと13B-Dの合成
【化21】
化合物13-Dの合成、ならびにエナンチオマー13A-Dおよび13B-Dへのキラル分離:
酢酸銅(II)(634mg、3.49mmol)を、エナンチオマー13A(871mg、1.75mmol)のCH
3CN(100ml)溶液に撹拌しながら室温で添加した。反応混合物を60℃に3.5時間加熱した。反応混合物を減圧下で蒸発乾固させ、黒色残留物をCH
2Cl
2および水に取った。層を分離した。水層を再度CH
2Cl
2で抽出した。有機層をまとめてMgSO
4で脱水し、ろ過し、減圧蒸発させた。粗中間体13dを含有する残留物をMeOH(100mL)に溶解した。シアノ重水素化ホウ素ナトリウム172mg、2.62mmol)および酢酸(300μL、5.24mmol)を加え、反応混合物をN
2雰囲気下、室温で終夜撹拌した。溶媒を減圧蒸発させた。水、水性NaHCO
3およびCH
2Cl
2を加え、層を分離した。水層をCH
2Cl
2で再度抽出した。有機層をまとめてMgSO
4で脱水し、溶媒を減圧下で蒸発した。残留物をカラムクロマトグラフィー(Biotage(登録商標)SNAP Ultra50g、溶離液:EtOAc:EtOH(3:1)/ヘプタン 勾配0/100~50/50)により精製した。生成物画分をまとめ、減圧濃縮し、50℃で真空乾燥して、白色粉末のラセミ化合物2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-ジューテリオ-1-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-2-((3-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-メトキシフェニル)アミノ)エタノン(化合物13-D、356mg)を得た。
【0152】
化合物13-D(356mg)のエナンチオマーを分取SFC(固定相:Chiralpak(登録商標)Diacel AD 20×250mm;移動相:CO2、EtOH+0.4%iPrNH2)により分離した。生成物画分をまとめて減圧蒸発させ、エナンチオマー13A-Dを第1の溶出生成物として、またエナンチオマー13B-Dを第2の溶出生成物として得た。両エナンチオマーを、カラムクロマトグラフィー(Biotage(登録商標)SNAP Ultra シリカ 10g、溶離液:EtOAc:EtOH(3:1)/ヘプタン 勾配0/100~50/50)によりさらに精製した。生成物画分をまとめ、減圧蒸発させ、50℃で真空乾燥して、エナンチオマー13A-D(115mg、1H HMRの測定で、94%が重水素化)およびエナンチオマー13B-D(125mg、1H HMRの測定で、94%が重水素化)の白色固体を得た。
【0153】
エナンチオマー13A-D:
1H NMR(360MHz,DMSO-d6)δ ppm 3.61(s,3H)3.64(q,J=5.4Hz,2H)3.76-3.89(m,2H)3.96(s,3H)4.80(t,J=5.5Hz,1H)5.71(t,J=2.2Hz,1H)5.93(d,J=2.2Hz,2H)6.41(s,1H)6.97(dd,J=8.2,2.0Hz,1H)7.06(ddd,J=9.8,8.9,2.6Hz,1H)7.09(d,J=1.8Hz,1H)7.27(dd,J=9.5,2.2Hz,1H)7.36(d,J=8.2Hz,1H)8.13(dd,J=8.8,5.5Hz,1H)8.44(s,1H)12.09(br s,1H)
LC/MS(LC-A法):Rt1.06分、MH+500
[α]D
20:+102.8°(c0.435、DMF)
キラルSFC(SFC-A法):Rt3.57分、MH+500,キラル純度100%。
【0154】
エナンチオマー13B-D:
1H NMR(360MHz,DMSO-d6)δ ppm 3.61(s,3H)3.64(q,J=5.1Hz,2H)3.75-3.89(m,2H)3.96(s,3H)4.80(t,J=5.7Hz,1H)5.71(t,J=2.0Hz,1H)5.93(d,J=2.2Hz,2H)6.41(s,1H)6.97(dd,J=8.4,2.2Hz,1H)7.02-7.09(m,1H)7.09(d,J=1.8Hz,1H)7.27(dd,J=9.7,2.4Hz,1H)7.36(d,J=8.4Hz,1H)8.13(dd,J=8.8,5.5Hz,1H)8.44(s,1H)12.09(br s,1H)
LC/MS(LC-A法):Rt1.06分、MH+500
[α]D
20:-94.9°(c0.435、DMF)
キラルSFC(SFC-A法):Rt4.09分、MH+500、キラル純度100%。
【0155】
実施例14:2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-ジューテリオ-2-((3-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-メトキシフェニル)アミノ)-1-(6-メトキシ-5-メチル-1H-インドール-3-イル)エタノン(化合物14-D)ならびにエナンチオマー14A-Dおよび14B-Dへのキラル分離。
【化22】
中間体14aの合成:
ジエチルアルミニウムクロリドの1Mヘキサン(13.5mL、13.5mmol)溶液を、0℃で、6-メトキシ-5-メチル-1H-インドール[CAS1071973-95-9](1.45g、9mmol)のCH
2Cl
2(45mL)溶液に滴下した。0℃で30分後、2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)アセチルクロリド9a’(2.4g、10.9mmol)のCH
2Cl
2(45mL)溶液を0℃で徐々に添加した。反応物を0℃で3時間撹拌した。氷水を添加し、沈澱物をろ別し、水で洗浄した。固形物を真空乾燥して2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(6-メトキシ-5-メチル-1H-インドール-3-イル)エタノン14a(2.1g)を得た。
【0156】
中間体14bの合成:
0℃で、フェニルトリメチルアンモニウムトリブロミド[CAS4207-56-1](2.4g、6.4mmol)のTHF(65mL)溶液を、2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(6-メトキシ-5-メチル-1H-インドール-3-イル)エタノン14a(2.1g、6.1mmol)のTHF(60mL)中混合物に滴下した。混合物を0℃で1時間、室温で2.5時間撹拌した。沈殿物をろ別し、EtOAcで洗浄した。ろ液を減圧濃縮した。残留物を最小量のジイソプロピルエーテルに取った。沈殿物をろ別し、真空乾燥して、2-ブロモ-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(6-メトキシ-5-メチル-1H-インドール-3-イル)エタノン14b(2.36g)を得た。
【0157】
化合物14の合成ならびにエナンチオマー14Aおよび14Bへのキラル分離:
CH3CN/THF(1/1)(80mL)中の、2-ブロモ-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(6-メトキシ-5-メチル-1H-インドール-3-イル)エタノン14b(1.35g、3.2mmol)、2-(3-アミノ-5-メトキシフェノキシ)エタノール[CAS725237-16-1](0.585g、3.2mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(0.83mL、4.8mmol)の混合物を70℃で24時間撹拌した。この溶液を減圧濃縮した。残留物をCH2Cl2で希釈し、1N HClおよび水で洗浄した。有機層を分離し、MgSO4で脱水し、ろ過し、溶媒を減圧蒸発させた。粗化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(15~40μm、CH2Cl2/MeOH99.5/0.5)中80g)により精製した。Et2O/CH3CNから少量を結晶化して、分析試料として2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-メトキシフェニル)アミノ)-1-(6-メトキシ-5-メチル-1H-インドール-3-イル)エタノン(化合物14)をラセミ混合物として得た。残りの粗化合物14(775mg)を他のバッチと混合し(合計量1.19g)、キラル分離の前に、分取LC(固定相:不定形未修飾シリカ150g、移動相:CH2Cl2/MeOH(98/2、次いでトルエン/iPrOH(95/5))によりさらに2回精製した。
【0158】
化合物14のエナンチオマー(950mg)を分取キラルSFC(固定相:Chiralpak(登録商標)IC 5μm 250×30mm、移動相:50%CO2、50%MeOH)により分離し、485mgの第1の溶出エナンチオマーおよび480mgの第2の溶出エナンチオマーを得た。第1の溶出エナンチオマーをCH3CN/Et2Oから固化して、エナンチオマー14A(406mg)の非晶質白色粉末を得た。第2の溶出エナンチオマーをCH3CN/Et2Oから固化して、エナンチオマー14b(436mg、)を非晶質の白色粉末として得た。
【0159】
化合物14:
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 2.21(s,3H)3.61(s,3H)3.62-3.68(m,2H)3.74-3.90(m,5H)3.97(s,3H)4.76(t,J=4.8Hz,1H)5.68-5.74(m,1H)5.93(d,J=1.5Hz,2H)6.11(d,J=7.6Hz,1H)6.31(d,J=7.6Hz,1H)6.92(s,1H)6.95(dd,J=8.3,1.8Hz,1H)7.09(d,J=1.8Hz,1H)7.35(d,J=8.3Hz,1H)7.89(s,1H)8.22(s,1H)11.73(br.s.,1H)
LC/MS(LC-C法):Rt3.02分、MH+525
【0160】
エナンチオマー14A:
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ ppm 2.20(s,3H)3.60(s,3H)3.64(q,J=5.3Hz,2H)3.75-3.88(m,5H)3.97(s,3H)4.78(t,J=5.3Hz,1H)5.70(t,J=2.0Hz,1H)5.92(d,J=2.0Hz,2H)6.11(d,J=7.9Hz,1H)6.33(d,J=7.9Hz,1H)6.92(s,1H)6.95(dd,J=8.2,1.9Hz,1H)7.09(d,J=1.9Hz,1H)7.35(d,J=8.2Hz,1H)7.88(s,1H)8.23(s,1H)11.75(br.s.,1H)
LC/MS(LC-C法):Rt3.04分、MH+525
[α]D
20:+116.8°(c0.4536、DMF)
キラルSFC(SFC-E法):Rt2.40分、MH+525,キラル純度100%。
【0161】
エナンチオマー14B:
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ ppm 2.20(s,3H)3.60(s,3H)3.64(q,J=5.4Hz,2H)3.77-3.88(m,5H)3.97(s,3H)4.78(t,J=5.4Hz,1H)5.70(t,J=2.0Hz,1H)5.92(d,J=2.0Hz,2H)6.11(d,J=7.9Hz,1H)6.33(d,J=7.9Hz,1H)6.92(s,1H)6.95(dd,J=8.2,1.9Hz,1H)7.09(d,J=1.9Hz,1H)7.35(d,J=8.2Hz,1H)7.88(s,1H)8.23(s,1H)11.75(br.s.,1H)
LC/MS(LC-C法):Rt3.04分、MH+525
[α]D
20:-121.9°(c0.3855、DMF)
キラルSFC(SFC-E法):Rt3.75分、MH+525,キラル純度99.86%。
【0162】
化合物14の合成ならびにエナンチオマー14A-Dおよび14B-Dのキラル分離:
酢酸銅(II)(698mg、3.84mmol)を、エナンチオマー14B(1.01g、1.92mmol)のCH3CN(100ml)溶液に撹拌しながら室温で加えた。反応混合物を60℃で8時間加熱した後、終夜室温に保持した。反応混合物を蒸発乾固させ、黒色残留物をCH2Cl2および水に取った。層を分離した。水性層をCH2Cl2で再度抽出した。有機層をまとめて塩水で洗浄し、MgSO4で脱水し、ろ過し、減圧蒸発させた。粗中間体14c含有残留物をMeOH(100ml)に溶解し、溶液をN2で1時間脱気した。シアノ重水素化ホウ素ナトリウム(190mg、2.88mmol)および酢酸(330μL、5.77mmol)を加え、N2雰囲気下、室温で反応混合物を1.5時間撹拌した。NaHCO3水溶液およびEtOAcを加え、層を分離した。水層をEtOAcで再度抽出した。有機層をまとめてMgSO4で脱水し、溶媒を減圧蒸発させた。残留物をカラムクロマトグラフィー(Biotage(登録商標)SNAP Ultra silica 50g、溶離液:EtOAc:EtOH(3:1)/ヘプタン 勾配0/100~50/50)により精製した。生成物画分をまとめ、減圧蒸発させ、50℃で真空乾燥して、黄色固体のラセミ化合物2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-ジューテリオ-2-((3-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-メトキシフェニル)アミノ)-1-(6-メトキシ-5-メチル-1H-インドール-3-イル)エタノン(化合物14-D、504mg)を得た。
【0163】
化合物14-D(504mg)のエナンチオマーを分取SFC(固定相:Chiralpak(登録商標)Diacel AD 20×250mm;移動相:CO2、EtOH+0.4%iPrNH2)により分離した。生成物画分をまとめて減圧蒸発させ、エナンチオマー14A-Dを第1の溶出生成物として、またエナンチオマー14B-Dを第2の溶出生成物として得た。両エナンチオマーをMeOH(5mL)に溶解し、溶液が濁るまで水を滴下した。次いで、白色固体が生じるまで混合物を撹拌した。白色固体をろ別し、少量のMeOH/水(1/1)で洗浄し、50℃で真空乾燥して、白色固体としてエナンチオマー14A-D(113mg、1H NMRの測定で94%の重水素化)およびエナンチオマー14B-D(40mg、1H NMRの測定で93%の重水素化)を得た。
【0164】
エナンチオマー14A-D:
1H NMR(360MHz,DMSO-d6)δ ppm 2.21(s,3H)3.61(s,3H)3.64(q,J=5.4Hz,2H)3.76-3.89(m,5H)3.98(s,3H)4.81(t,J=5.7Hz,1H)5.71(t,J=2.0Hz,1H)5.93(d,J=2.2Hz,2H)6.35(s,1H)6.92(s,1H)6.96(dd,J=8.2,2.0Hz,1H)7.09(d,J=2.2Hz,1H)7.36(d,J=8.4Hz,1H)7.89(d,J=0.7Hz,1H)8.25(s,1H)11.77(br s,1H)
LC/MS(LC-A法):Rt1.08分、MH-524
[α]D
20:+121.9°(c0.375、DMF)
キラルSFC(SFC-A法):Rt4.03分、MH+526,キラル純度100%。
【0165】
エナンチオマー14B-D:
1H NMR(360MHz,DMSO-d6)δ ppm 2.20(s,3H)3.60(s,3H)3.64(q,J=5.1Hz,2H)3.74-3.88(m,5H)3.97(s,3H)4.80(t,J=5.5Hz,1H)5.70(t,J=2.2Hz,1H)5.92(d,J=2.2Hz,2H)6.34(s,1H)6.91(s,1H)6.96(dd,J=8.2,2.0Hz,1H)7.09(d,J=2.2Hz,1H)7.35(d,J=8.1Hz,1H)7.88(d,J=0.7Hz,1H)8.24(s,1H)11.77(s,1H)
LC/MS(LC-A法):Rt1.08分、MH-524
[α]D
20:-119.7°(c0.36、DMF)
キラルSFC(SFC-A法):Rt4.31分、MH+526,キラル純度100%。
【0166】
実施例15:2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-2-((3-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-メトキシフェニル)アミノ)-1-(5-(ペンタフルオロ-λ
6-スルファニル)-1H-インドール-3-イル)エタノン(化合物15)の合成ならびにエナンチオマー15Aおよび15Bへのキラル分離。
【化23】
中間体15aの合成:
0℃、N
2流通下、水素化ナトリウム(オイル中60%、189mg、4.93mmol)を何回かに分けて、DMF(20ml)中の5-(ペンタフルオロ-λ
6-スルファニル)-1H-インドール[CAS666841-01-6](1g、4.11mmol)の混合物に加えた。0℃で20分間混合物を撹拌した。塩化トシル(862mg、4.52mmol)のDMF(20mL)溶液を滴下した。氷浴を除去し、混合物を室温で20分間撹拌した。混合物を氷水(100mL)に注ぎ込み、1時間激しく撹拌した。沈殿物をろ別し、水で洗浄(4×)し、50℃で真空乾燥して、5-(ペンタフルオロ-λ
6-スルファニル)-1-トシル-1H-インドール15a(1.63g)を得た。
【0167】
中間体15bの合成:
塩化チタン(IV)(902μL、8.22mmol)を、撹拌したCH2CH2(50mL)中の5-(ペンタフルオロ-λ6-スルファニル)-1-トシル-1H-インドール15a(1.63g、4.11mmol)および2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)アセチルクロリド9a’(1.80g、8.23mmol)の溶液に室温で滴下した。反応物を室温で3時間撹拌した。砕氷(40g)を加え、45分間撹拌した後、層を分離した。有機層をMgSO4で脱水し、ろ過し、溶媒を減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムカラムクロマトグラフィー(固定相:Grace Reveleris(登録商標)シリカ80g、移動相:ヘプタン/CH2Cl2 勾配100/0~0/100)により精製した。生成物画分をまとめた。溶媒を減圧蒸発させ、ジオキサンと共蒸発させた。残留物を50℃で真空乾燥して、2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(5-(ペンタフルオロ-λ6-スルファニル)-1-トシル-1H-インドール-3-イル)エタノン15b(1.01g)を得た。
【0168】
中間体15cの合成:
水酸化カリウム(246mg、4.38mmol)を、2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(5-(ペンタフルオロ-λ6-スルファニル)-1-トシル-1H-インドール-3-イル)エタノン15b(1.01g、1.25mmol)のジオキサン(5mL)および水(1.6mL)の溶液に加えた。混合物を室温で20時間撹拌した。氷水(50mL)および1N HCl(11mL)を加え、生成物を2-Me-THFで抽出(2x)した。有機層をまとめて塩水で洗浄し、MgSO4で脱水し、ろ過し、溶媒を減圧蒸発させた。固形残留物をCH2Cl2中で撹拌した。沈殿物をろ別し、CH2Cl2(4×1mL)で洗浄し、乾燥して、(2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(5-(ペンタフルオロ-λ6-スルファニル)-1H-インドール-3-イル)エタノン)15c(391mg)を得た。
【0169】
中間体15dの合成:
0℃で、フェニルトリメチルアンモニウムトリブロミド[CAS4207-56-1](362mg、0.964mmol)を2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(5-(ペンタフルオロ-λ6-スルファニル)-1H-インドール-3-イル)エタノン15c(391mg、0.918mmol)のTHF(15mL)溶液に加えた。この混合物を0℃で45分間、室温で1.5時間撹拌した。沈殿物をろ別し、THFで洗浄(2×)した。ろ液をまとめて減圧濃縮し、2-ブロモ-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(5-(ペンタフルオロ-λ6-スルファニル)-1H-インドール-3-イル)エタノン15d(510mg)を得、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0170】
化合物15の合成ならびにエナンチオマー15Aおよび15Bへのキラル分離:
CH3CN(30mL)中の2-ブロモ-2-(4-クロロ-2-メトキシフェニル)-1-(5-(ペンタフルオロ-λ6-スルファニル)-1H-インドール-3-イル)エタノン15d(510mg、0.92mmol)、2-(3-アミノ-5-メチキシフェノキシ)エタノール[CAS725237-16-1](337mg、1.84mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(0.317mL、1.84mmol)の混合物を室温で17時間撹拌した。水(125mL)を加え、生成物をEt2Oで抽出(2×)した。有機層をまとめて塩水で洗浄し、MgSO4で脱水し、ろ過し、減圧蒸発させた。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(固定相:Biotage(登録商標)SNAP Ultra シリカ 25g、移動相:ヘプタン/EtOAc/EtOH 勾配100/0/0~40/45/15)により精製した。所望の画分をまとめ、減圧蒸発させた。残留物を分取HPLC(固定相:RP XBridge(登録商標)Prep C18 OBD-5μm、30×250mm;移動相:0.25%NH4HCO3水溶液、MeOH)によりさらに精製した。生成物画分をまとめ、減圧濃縮して、ラセミ化合物15(137mg)を得た。エナンチオマーを分取キラルSFC(固定相:Chiralpak(登録商標)Diacel AS 20×250mm、移動相:CO2、EtOH+0.4%iPrNH2)により分離した。生成物画分をまとめて減圧蒸発させ、エナンチオマー15Aを第1の溶出生成物として、またエナンチオマー15Bを第2の溶出生成物として得た。両エナンチオマーを、MeOHおよび水の溶媒混合物から沈殿することにより固化した。固体をろ別し、50℃で減圧乾燥して、エナンチオマー15A(12mg)およびエナンチオマー15B(23mg)を得た。
【0171】
エナンチオマー15A:
1H NMR(360MHz,DMSO-d6)δ ppm 3.61(s,3H)3.62-3.67(m,2H)3.76-3.88(m,2H)3.94(s,3H)4.80(t,J=5.7Hz,1H)5.73(t,J=1.8Hz,1H)5.93(d,J=1.5Hz,2H)6.19(br d,J=8.1Hz,1H)6.45(br d,J=8.1Hz,1H)6.98(dd,J=7.7,1.8Hz,1H)7.11(d,J=0.4Hz,1H)7.37(d,J=8.4Hz,1H)7.63-7.69(m,1H)7.70-7.76(m,1H)8.65(s,2H)12.48(br s,1H)
LC/MS(LC-A法):Rt1.19分、MH+607
[α]D
20:+89.2°(c0.269、DMF)
キラルSFC(SFC-A法):Rt3.30分、MH+607,キラル純度100%。
【0172】
エナンチオマー15B:
1H NMR(360MHz,DMSO-d6)δ ppm 3.61(s,3H)3.62-3.67(m,2H)3.76-3.89(m,2H)3.94(s,3H)4.80(t,J=5.7Hz,1H)5.73(t,J=2.2Hz,1H)5.93(d,J=2.2Hz,2H)6.19(d,J=8.4Hz,1H)6.45(d,J=8.1Hz,1H)6.98(dd,J=8.2,2.0Hz,1H)7.10(d,J=1.8Hz,1H)7.37(d,J=8.4Hz,1H)7.64-7.69(m,1H)7.71-7.75(m,1H)8.65(s,2H)12.49(br s,1H)
LC/MS(LC-A法):Rt1.20分、MH+607
[α]D
20:-86.9°(c0.2555、DMF)
キラルSFC(SFC-A法):Rt3.61分、MH+607,キラル純度99.4%。
【0173】
【0174】
【0175】
【0176】
【0177】
【0178】
【0179】
【0180】
本発明の化合物の抗ウイルス活性
DENV-2抗ウイルスアッセイ
本発明の全ての化合物について、高感度緑色蛍光タンパク質(eGPF)で標識したDENV-2 16681株に対する抗ウイルス活性を試験した。培地は、2%の熱失活ウシ胎仔血清、0.04%のゲンタマイシン(50mg/mL)および2mMのL-グルタミンで補強した最小必須培地で構成される。ECACCから得たベロ細胞を培地に懸濁し、既に抗ウイルス化合物を含む384ウェルプレートに25μLを加えた(2500細胞/ウェル)。通常、これらのプレートには、5倍段階希釈で9回の希釈工程を行った、100%DMSO中の最終濃度の200倍の試験化合物が含まれる(200nL)。さらに、各化合物濃度の試験は4回行われる(最終濃度範囲:25μM-0.000064μMまたは最も高活性の化合物については2.5μM-0.0000064μM)。最終的に、各プレートには、ウイルス対照(化合物を含まず、細胞およびウイルスを含む)、細胞対照(ウイルスおよび化合物を含まず、細胞を含む)および培地対照(細胞、ウイルスおよび化合物を含まず、培地を含む)として割り当てられたウェルが含まれる。培地対照として割り当てられたウェルには、ベロ細胞に代えて、培地25μLを加えた。細胞をプレートに加えてすぐに、プレートを室温で30分間インキュベートして、細胞をウェル内に均一に分布させた。次いで、プレートを、十分に加湿したインキュベータ(37℃、5%CO2)内で、翌日までインキュベートした。その後、eGFPで標識したDENV-2株16681を感染多重度(MOI)0.5で加えた。したがって、15μLのウイルス懸濁液を、試験化合物を含むウェルの全てと、ウイルス対照として割り当てられたウェルとに加えた。並行して、15μLの培地を、培地対照および細胞対照に加えた。次いで、プレートを、十分に加湿したインキュベータ(37℃、5%CO2)内で3日間インキュベートした。読み出し日に、自動蛍光顕微鏡を用いて、488nm(青色レーザー)で、eGFPの蛍光を測定した。社内LIMSシステムを使用して、各化合物の阻害用量反応曲線を算出し、半数効果濃度(EC50)を決定した。したがって、全ての試験濃度の阻害パーセント(I)を次式により計算する。I=100×(ST-SCC)/(SVC-SCC);ST、SCCおよびSVCはそれぞれ、試験化合物、細胞対照およびウイルス対照のウェル中のeGFPシグナル量である。EC50は、eGFP蛍光強度がウイルス対照と比較して50%低下したことによって測定される、ウイルスの複製が50%阻害される化合物の濃度を示す。EC50は、線形補間によって算出される(表1)。
【0181】
並行して、化合物の毒性を同じプレートで評価した。eGFPシグナルの読み出しが終わった時点で、40μLの生存細胞染色剤ATPliteを、384ウェルプレートの全ウェルに加えた。ATPは代謝活性のある全ての細胞に存在し、その濃度は細胞がネクローシスまたはアポトーシスを起こしたときに非常に急速に減少する。ATPLiteアッセイシステムは、添加されたルシフェラーゼおよびD-ルシフェリンとATPの反応に起因する光の発生に基づいている。プレートを室温で10分間インキュベートした。次に、プレートをViewLuxで測定した。蛍光シグナルを細胞対照ウェルと比較して50%低下させるのに必要な濃度と定義される、半数細胞毒性濃度(CC50)もまた測定した。最終的に、化合物の選択指数(SI)を求めた。それは次のように計算した:SI=CC50/EC50。
【0182】
【0183】
四価逆転写酵素定量PCR(RT-qPCR)アッセイ:
RT-qPCRアッセイでは、本発明の化合物の、DENV-1株TC974♯666(NCPV)、DENV-2株16681、DENV-3株H87(NCPV)およびDENV-4株H241(NCPV)に対する抗ウイルス活性を試験した。したがって、試験化合物の存在下または非存在下で、DENV-1、DENV-2、DENV-3またはDENV-4をベロ細胞に感染させた。感染3日後に、細胞を溶解し、細胞溶解物を、ウイルスターゲット(DENVの3’UTR;表2)および細胞の参照遺伝子(β-アクチン、表2)の両cDNAの調製に使用した。その後、デュプレックスリアルタイムPCRをLightcycler480装置により行った。生成Cp値は、これらのターゲットのRNA発現量に反比例する。試験化合物によるDENV複製の阻害は、3’UTR遺伝子のCp値のシフトをもたらす。他方、試験化合物が細胞毒性を有する場合、β-アクチン発現に同様の効果が観察されよう。比較ΔΔCp法を使用して、EC50を算出する。これは、細胞のハウスキーピング遺伝子(β-アクチン)で正規化したターゲット遺伝子(3’UTR)の相対的遺伝子発現に基づいている。さらに、CC50値を、ハウスキーピング遺伝子(β-アクチン)で得たCp値に基づいて決定した。
【0184】
【0185】
培地は、最小必須培地に、2%の熱失活ウシ胎仔血清、0.04%のゲンタマイシン(50mg/mL)および2mMのL-グルタミンを加えたもので構成した。ECACCから得たベロ細胞を培地に懸濁し、既に抗ウイルス化合物を含む96ウェルプレートに75μL/ウェルを、加えた(10000細胞/ウェル)。通常、これらのプレートには、5倍段階希釈で9回の希釈工程を行った、100%DMSO中の最終濃度の200倍の試験化合物が含まれる(500nL;最終濃度範囲:25μM~0.000064μMまたは最も高活性の化合物については2.5μM~0.0000064μM)。さらに、各プレートには、ウイルス対照(化合物を含まず、細胞およびウイルスを含む)および細胞対照(ウイルスおよび化合物を含まず、細胞を含む)として割り当てられたウェルが含まれる。細胞をプレートに加えてすぐに、プレートを、十分に加湿したインキュベータ(37℃、5%CO2)で、翌日までインキュベートした。アッセイで約22~24のCp値を得るために、デングウイルス血清型の1型、2型、3型および4型を希釈した。したがって、25μLのウイルス懸濁液を、試験化合物を含むウェルの全てと、ウイルス対照として割り当てられたウェルとに加えた。並行して、25μLの培地を、細胞対照に加えた。次いで、プレートを、十分に加湿したインキュベータ(37℃、5%CO2)内で3日間インキュベートした。3日後に、上清をウェルから除去し、氷冷PBS(約100μL)で細胞を2回洗浄した。96ウェルプレート内の細胞ペレットを少なくとも1日間、-80℃で保管した。次いで、Cells-to-CT(商標)溶解キットを使用し、製造会社のガイドラインにしたがってRNAを抽出した(Life Technologies)。細胞溶解物は-80℃で貯蔵するか、または、直ちに逆転写工程で使用することができる。
【0186】
逆転写工程の準備として、ミックスA(表3A)を調製し、96ウェルプレートに7.57μL/ウェルで分注した。細胞溶解物5μLを添加した後、75℃で5分間の変性工程を行った(表3B)。その後、7.43μLのミックスBを加え(表3C)、逆転写工程を開始して(表3D)cDNAを生成した。
【0187】
最後に、RT-qPCRミックスであるミックスC(表4A)を調製し、96ウェルLightCyclerqPCRプレートに22.02μL/ウェルで分注し、それに3μLのcDNAを加え、LightCycler 480により、表4Bの条件にしたがってqPCRを行った。
【0188】
LightCyclerソフトウェアおよび社内LIMSシステムを使用して、各化合物の用量反応曲線を算出し、半数効果濃度(EC50)および半数細胞毒性濃度(CC50)を決定した(表5~8)。
【0189】
【0190】
【0191】
【0192】
【0193】
【0194】
【0195】
【0196】
従来技術の例。
国際公開第2013/045516号パンフレットに開示された化合物(350)は、本発明の化合物と類似のDENV-2抗ウイルスアッセイで試験されており、それらの報告された活性を以下に記す。
【化24】
【0197】
【表19】
以下の態様を包含し得る。
[1] 式(Ia)が
【化25-1】
によって表される、一置換または二置換インドール基を含む、式(Ia、Ib、II、IIIまたはIV)の化合物、立体異性体、薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、または多形体であって、前記化合物は以下の群から選択される:
R
1
はClであり、R
2
はHであり、R
3
はCH
3
である;
R
1
はClであり、R
2
はOCH
3
であり、R
3
はHである;
R
1
はCH
3
であり、R
2
はF、OCF
3
、HまたはOCH
2
CH
3
であり、R
3
はHである;
R
1
およびR
2
は結合して、1個の酸素原子を有する5員ヘテロ環を形成し、R
3
はHである;
R
2
およびR
3
は結合して、1個の酸素原子を有する5員ヘテロ環を形成し、R
1
はHである;
あるいは、式(Ib)が
【化25-2】
によって表される、一置換または二置換インドール基を含む、式(Ia、Ib、II、IIIまたはIV)の化合物、立体異性体、薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、または多形体であって、前記化合物は以下の群から選択される:
R
4
はCH
3
であり、R
5
はFであり、R
6
およびR
7
はいずれもHである;
R
4
はCH
3
であり、R
5
はOCH
3
であり、R
6
はHであり
、
R
7
はFである;
R
4
はSF
5
であり、R
5
=R
6
=R
7
は全てHである;
R
4
およびR
5
は結合して、1個の酸素原子を有する5員ヘテロ環を形成し、R
6
およびR
7
はいずれもHである;
R
5
およびR
6
は結合して、1個の酸素原子を有する5員ヘテロ環を形成し、R
4
およびR
7
はいずれもHである
ならびに、化合物(II、IIIおよびIV)がそれぞれ
【化25-3】
によって表される、式(Ia、Ib、II、IIIまたはIV)の化合物、立体異性体、薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、または多形体。
[2] 前記化合物は以下の群から選択される、上記[1]に記載の化合物もしくはその立体異性体、薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、または多形体。
【化25-4】
【化25-5】
[3] 上記[1]または[2]に記載の、式(Ia、Ib、II、IIIまたはIV)の化合物もしくは立体異性体、薬学的に許容されるその塩、溶媒和物または多形体を、1種以上の薬学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体と共に含む医薬組成物。
[4] 薬剤として使用するための、上記[1]に記載の、式(Ia、Ib、II、IIIまたはIV)の化合物もしくは立体異性体、薬学的に許容されるその塩、溶媒和物または多形体、あるいは上記[3]に記載の医薬組成物。
[5] デング熱の治療に使用するための、上記[1]に記載の、式(Ia、Ib、II、IIIまたはIV)の化合物もしくは立体異性体、薬学的に許容されるその塩、溶媒和物または多形体、あるいは上記[3]に記載の医薬組成物。
[6] 生物学的試料中でまたは患者の体内でデングウイルスの複製を予防するために、一置換または二置換のインドール基を含む、上記[1]~[5]に記載の構造式のいずれかで表される化合物もしくは立体異性体、薬学的に許容されるその塩、溶媒和物または多形体の使用。
[7] 追加の治療薬を同時投与することをさらに含む上記[6]に記載の化合物の使用。
[8] 前記追加の治療薬は、抗ウイルス剤もしくはデングワクチン、またはその両方から選択される上記[7]に記載の使用。
[9] 下記から選択される、上記[1]に記載の化合物
【化25-6】
【化25-7】
またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは多形体。
[10] 上記[9]に記載の化合物、薬学的に許容されるその塩、溶媒和物または多形体を、1種以上の薬学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体と共に含む医薬組成物。
[11] 薬剤として使用するための、上記[9]に記載の化合物、薬学的に許容されるその塩、溶媒和物または多形体、あるいは上記[10]に記載の医薬組成物。
[12] デング熱の治療に使用するための、上記[9]に記載の化合物、薬学的に許容されるその塩、溶媒和物または多形体、あるいは上記[10]に記載の医薬組成物。
[13] 生物学的試料中または患者の体内でのデングウイルスの複製を阻害するための、一置換または二置換のインドール基を含む、上記[9]に記載の構造式のいずれかで表される化合物、薬学的に許容されるその塩、溶媒和物または多形体の使用。
[14] 追加の治療薬を同時投与することをさらに含む上記[13]に記載の使用。
[15] 前記追加の治療薬は、抗ウイルス剤もしくはデングワクチン、またはその両方から選択される上記[14]に記載の使用。
【配列表】