(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】潤滑油の品質の推移の追跡の装置およびプロセス、追跡の方法および潤滑油の鉄含有量の測定のためのその方法の使用
(51)【国際特許分類】
G01N 23/223 20060101AFI20220203BHJP
【FI】
G01N23/223
(21)【出願番号】P 2018563039
(86)(22)【出願日】2017-06-02
(86)【国際出願番号】 EP2017063427
(87)【国際公開番号】W WO2017207747
(87)【国際公開日】2017-12-07
【審査請求日】2020-05-11
(32)【優先日】2016-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516357100
【氏名又は名称】トタル マルケティン セルビスス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル ジュストン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン トロアディク
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ ショドーレイユ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-フィリップ ロマン
(72)【発明者】
【氏名】アルノー アミオ
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-534528(JP,A)
【文献】国際公開第2016/035733(WO,A1)
【文献】特開2011-013029(JP,A)
【文献】米国特許第05982847(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0128805(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0149768(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00 - G01N 23/2276
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備(M)に含まれる潤滑油の品質の推移を追跡するための装置(2)であって、この装置は、
・前記潤滑油を循環する(F1)ための少なくとも1つの導管(4)、この導管は、上流で該設備に、そして下流で回収パン(6)に接続されている、および、
・X蛍光発光技術によって潤滑油試料の
溶解されたおよび/または粒子状の所定の化学元素
の含有量を測定するためのセンサ(50)、このセンサは、X線源(502)、X線検出器(504)ならびに、分析される潤滑油試料を含むように意図され、そして該X線源から出て、または該検出器に向かって進むX線を通過させるための窓を形成する壁(510)を取り付けられたセル(506)を含む、
を含んでなり、
前記装置は、
・導管(4)中の前記潤滑油の循環(F1)のための第1の制御された遮断弁(20)、
・潤滑油を蓄積するための緩衝貯槽(26)、
・一方は前記
第1の制御された遮断弁(20)の上流で前記導管に、そして他方は前記緩衝貯槽に接続された第1のバイパスライン(28)、
・前記第1のバイパスライン中の前記潤滑
油用の前記循環のための第2の制御遮断弁(32)、
・前記緩衝貯槽から前記回収パンへの、前記潤滑
油用のための、第2の排出ライン(42)、
・前記第2の排出ライン中の前記潤滑油の前記循環のための第3の制御遮断弁(44)、を含むことを特徴とし、
・センサ(50)は、前記緩衝貯槽(26)の出口における、潤滑油試料の
溶解されたおよび/または粒子状の所定の化学元素
の含有量を測定し、そして、
・X線源(502)からの、または検出器(504)に向かって進むX線を通過させるための窓を形成する壁(510)が、ポ
リエチレンテレフタレー
トで作られている、
装置。
【請求項2】
セル(506)が金属筐体(508)を含み、これに壁(510)が付加されている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
セル(506)が、壁(510)を受容するための中空の筐体(508C)および、前記壁の前記中空の筐体中への固定化のためのねじ切りされた座金(512)を含んでいる、請求項2記載の装置。
【請求項4】
センサ(50)が、前記潤滑油試料の
溶解されたおよび/または粒子状の所定の化学元素の含有量を測定するためのセンサである、請求項1~3のいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
筐体(508)が金属または非鉄合金、特にはアルミニウムを基にした合金で作られている、請求項2または3記載の装置。
【請求項6】
X線源(502)およびX線検出器(504)が、それらを筐体(508)に対して、そして壁(510)に対して位置を定める蓋(514
)に取付けられ、そしてこの
蓋がX線の伝搬に対して遮蔽体を形成する、
請求項2~5のいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
X線源(502)の標的軸(A502)およびX線検出器(504)の標的軸(A504)がそれらの間に20~25°の範囲の角度(α)を形成する、請求項1~6のいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
壁(510)が200μm以下の厚さを有する、請求項1~7のいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
X蛍光発光技術によって潤滑油試料の溶解されたおよび/または粒子状の所定の化学元素の含有量を測定するためのセンサ(50)が、第2の排出ライン(42)上に位置している、請求項1~8のいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
前記潤滑油の塩基性指数(BN)を測定するための、第2の排出ライン(42)上に位置し、そして緩衝貯槽(26)の出口における前記潤滑油の塩基性指数の測定を可能にするセンサ(48)を更に含む、請求項1~9のいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
請求項9記載の装置(2)による、設備(M)中を循環する潤滑油の所定の化学元素の含有量の推移の追跡のための自動化された方法であって、
a)
前記第1の制御された遮断弁(20)を閉鎖する工程、
b)
前記第1の制御された遮断弁(20)の上流の導管(4)内に蓄積されたある量(L、L’)の潤滑油から前記緩衝貯槽に供給するために、第2の弁(32)を開き、そして第3の弁(44)を閉鎖する工程、
c)緩衝貯槽(26)中に存在する前記潤滑油を、第2の排出ライン(42)を経由して、センサ(50)のセル中まで循環させるために、第3の弁(44)を開く工程、
d)緩衝貯槽(26)の出口における前記潤滑油の
溶解されたおよび/または粒子状の所定の化学元素
の含有量を測定するためにセンサ(50)を使用する工程、
からなる工程を少なくとも含む方法。
【請求項12】
船舶に搭載された設備(M)の運転を追跡する方法であって、請求項11記載の方法を適用することによる、船舶上で、設備中を循環する潤滑油の
溶解されたおよび/または粒子状の所定の化学元素、特には鉄、
の含有量の測定を含む、方法。
【請求項13】
船舶の設備(M),特には船舶エンジン中を循環する潤滑油の
溶解されたおよび/または粒子状の所定の化学元素、特には鉄
の含有量を測定するための、請求項12記載の方法の使用。
【請求項14】
X線源(502)およびX線検出器(504)の標的軸(A502、A504)の間の角度(α)が、22
°である、請求項7項記載の装置。
【請求項15】
壁(510)が、150μm以下の厚さを有する、請求項8項記載の装置。
【請求項16】
壁(510)が、125μ
mの厚さを有する、請求項8項記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備、例えば船舶エンジン中を循環する潤滑油の品質の推移の追跡のための装置に関する。また、本発明は、潤滑油の所定の化学元素、特には潤滑油の溶解された鉄および/または粒子状鉄、の含有量の推移の追跡のための方法に関する。更に、本発明は、船舶内に搭載された設備の運転の追跡のための方法に関する。
【0002】
本発明の分野は、特にはエンジン、特には船舶用エンジンのための、潤滑油の分析のための装置の分野である。
【背景技術】
【0003】
商用の船舶に用いられる内燃機関の分野においては、このエンジン内を循環する潤滑油の分析によって、エンジンの状態が追跡されなければならないことが知られている。そのような分析によって、エンジン内で発生する傾向にある摩耗および/または腐食の現象を検知することが可能となる。過去においては、エンジンの運転は比較的安定しており、メンテナンス操作が行われるべきかを予測するために、船の熱-冷間に、オン/オフ基準で潤滑油の品質を制御すれば十分であった。今日では、エンジンは、ますます精密化され、そして摩耗および/または腐食の現象に敏感になっており、そのために、特には潤滑油(オイルまたはエンジンオイルとも称される)中の全体的な鉄含有量の追跡のために、分析は船舶上で、そして洋上で行われなければならず、この鉄含有量は、摩耗現象からもたらされる。潤滑油の全体の鉄含有量は、粒子状形態で、例えば酸化鉄として、または溶解された形態で、例えばイオンの形態で、潤滑油中に存在する鉄含有量を含んでいる。このことは人員の訓練および精巧な設備を船舶内に搭載することを強いることとなり、訓練された航海を業とする人員でさえも、その操作は制御するのが比較的に困難である。更に、このことは、人員の仕事の負担を増大させる。
【0004】
国際公開第2010/046591号には、船舶内に搭載されたシステムの使用が開示されており、その中ではエンジンを出たオイルが、その塩基性指数またはその金属粒子の含有量の測定の可能性を与える測定システムと関連付けられた機能性構成部分へと誘導されている。実際には、エンジンを出たオイルの流速は低く、そしてエンジンの出口におけるこの流れは、液滴からなり、それが導管の内部を、機能性構成部分が、それが行う測定が正確であるのに十分なオイル流速で供給されているかが不確かなくらいに流れる。
【0005】
国際公開第03/091550号には、潤滑油を分析する方法が開示されており、その中で、監視されるべき潤滑油の試料に対してXRFセンサによって行われた測定値が、参照の潤滑油試料に行われた測定値と比較されている。この取り組みは試験室での操作のために提供されており、そして資質のある労働者を必要とする。
【0006】
更には、エンジンの潤滑系の摩耗による潤滑油中の金属粒子の含有量の測定のためのX線源およびX線検出器を含む分光器の使用が、米国特許第5,982,847号明細書で知られている。このX線源およびこの検出器は、非金属材料で作られた、またはアルミニウムに基づくセルと組み合わされており、そしてセルはX線に対して透明な窓を装備されており、そしてこの窓は、例えばベリリウムで、ホウ素で、またはアルミニウムをコーティングされたポリマーでできていることができる。ベリリウムは、満足な結果を与えるが、しかしながら操作者に対して毒性であることが証明される可能性がある。他の材料はX線を濾波する傾向にある。セル中の循環する流体の圧力および温度を考慮すると、セルが受ける機械的力に抗するためには、窓は比較的に厚くなければならないが、しかしながら、このことは、X線源と分析される試料との間およびこの試料と輻射線検出器との間の両方で、セルを横切る輻射線を弱める効果を有している。
【0007】
他方で、試験室の装置、例えば米国特許第6,233,307号明細書で知られている装置は、潤滑油中の溶解された鉄の含有量の検出を可能とする可能性があるが、運搬および複雑な使用が困難であり、このことから、それについて訓練されていたとしても、航海を業とする人員にとってそれらは非常に利用可能ではないものとなる。
【0008】
これらの問題は、船舶推進用の2工程または4工程エンジンのみに課されるものではなく、船舶に搭載された他の二次エンジン、例えばホイスト型の付属品、にも課せられる。通常は、全体の鉄含有量、すなわち潤滑油中の溶解されたおよび/または粒子状の鉄含有量の監視は、全ての潤滑されたエンジンにとって重要であり、そして既知の技術は、自動化に対しては非常に好都合ではない。
【0009】
同様の問題が、他の所定の化学元素、特にはカルシウム、バナジウム、クロム、モリブデン、銅、硫黄、鉛、銀、スズ、アルミニウム、ニッケル、亜鉛またはリンの潤滑油の含有量の測定について課せられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、それらの欠点を、設備を循環する潤滑油の品質の推移の追跡のための、簡素な、そして自律的な方法で運転するために適用される、新規な装置を提案することによって、改善することを特に意図しており、これによって、船舶に乗船する人員を繰り返しの、そして精巧な作業から著しく解放するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のために、本発明は、設備を循環する潤滑油の品質の推移を追跡するための装置に関し、この装置は、潤滑油を循環するための少なくとも1つの導管を含んでおり、この導管は、上流はこの設備に、そして下流は回収パンに連結されている。この装置は、X蛍光発光技術によって、潤滑油試料の所定の化学元素の全体の含有量を測定するセンサを更に含んでおり、このセンサは、X線源、X線検出器ならびに、分析される潤滑油試料を収容するように意図され、そしてX線源から生じ、またはX線検出器に向かって進むX線を通過させるための窓を形成する壁を備えたセルを含んでいる。本発明によれば、この装置は、導管中の潤滑油の循環のための第1の制御遮断弁、潤滑油を蓄積するための緩衝貯槽、一方は導管に、第1の弁の上流で、そして他方は緩衝貯槽に連結された第1のパイパスライン、第1のバイパスライン中の潤滑油の循環のための第2の制御遮断弁、潤滑油を、緩衝貯槽から回収パンへと排出するための第2のライン、ならびに第2の排出ライン中の潤滑油の循環のための第3の制御遮断弁、を含んでいる。このセンサは、緩衝貯槽の出口における、潤滑油試料の所定の化学元素の全体の含有量を測定する。更に、X線を通過させるための窓を形成する壁は、ポリ(エチレンテレフタレート)で作られている。
【0012】
本発明によって、X蛍光発光技術で操作されるセンサによって、潤滑油中の所定の化学元素の全体の含有量の船上での測定が可能となる。本発明における意味において、潤滑油中の化学元素の全体の含有量は、この潤滑油中のこの化学元素の溶解された、および粒子状の元素の含有量である。有利には、このセンサは、潤滑油中の鉄含有量のためのセンサである。なされた測定は、X線を通過させるための窓を形成する壁によって実質的に影響を受けない。実際に、ポリ(エチレンテレフタレート)またはPETで作られたこの壁は、比較的に非常に厚くはない厚さ、特には200μm(マイクロメートル)未満、を与えられている可能性があり、一方で本発明による装置内の圧力および振動に抗するための満足な機械的性質を有している。また、この壁の構成材料は、セル中を循環する潤滑油によって変性されない。
【0013】
本発明に関する潤滑油は、慣用に用いられ、そして当業者によって知られた潤滑油であり、そしてこれは設備、特には船舶用エンジンの潤滑を可能とする。この潤滑油は、少なくとも1種の潤滑基油を含んでいる。通常は、潤滑基油は、鉱物由来のオイル、合成もしくは植物性オイル、ならびにそれらの混合物であることができる。
【0014】
潤滑油においては、潤滑基油は単独で、または混合物として用いることができる。例えば、鉱物油を、合成油と混合することができる。潤滑油は、潤滑油の、そして更に具体的には船舶用潤滑油の配合のために、慣用に用いられている、そして当業者に知られている少なくとも1種の添加剤を更に含むことができる。例としては、この添加剤は、超塩基性洗浄剤、中性洗浄剤、分散剤、耐摩耗性添加剤、いずれかの他の機能性添加剤、またはそれらの混合物の中から選択することができる。
【0015】
例えば、超塩基性洗浄剤および中性洗浄剤は、カルボン酸塩、スルホン酸塩、サリチル酸塩、ナフテン酸塩、石炭酸塩および少なくとも2種のそれらの種類の洗浄剤を組み合わせた混合洗浄剤の中から選択することができる。超塩基性洗浄剤および中性洗浄剤は、特には、カルシウム、マグネシウム、ナトリウムまたはバリウム、好ましくはカルシウムまたはマグネシウムの中から選択された金属を基にした化合物である。超塩基性洗浄剤は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の炭酸塩、好ましくは炭酸カルシウムの群から選択された不溶性の金属塩で超塩基性にされることができる。この潤滑油は、上記で規定された、少なくとも1種の超塩基性洗浄剤および少なくとも1種の中性洗浄剤を含むことができる。
【0016】
例えば、コハク酸から誘導された化合物は、潤滑添加剤として特に用いられる分散剤である。アルキル基で置換されたフェノールのホルムアルデヒドおよび第1級もしくは第2級アミンとの重縮合によって得られたマンニッヒ塩基もまた、潤滑油中で分散剤として用いられる化合物である。
【0017】
例として、船舶用潤滑剤の配合に慣用に用いられる耐摩耗性添加剤の中で、最も一般に用いられる耐摩耗性添加剤は、ジチオリン酸亜鉛またはDTPZnである。
【0018】
例えば、他の機能性添加剤を、増粘剤、洗浄剤の効果に抗して作用するための消泡添加剤(これは例えば極性ポリマー、例えばポリメチルシロキサン、ポリアクリレートであることができる)、抗酸化剤および/または防錆添加剤、例えば有機金属洗浄剤またはチアジアゾールの中から選択することができる。
【0019】
有利な、しかしながら必須ではない態様によれば、本発明の装置は、いずれかの技術的に可能な組み合わせを考慮にいれて、以下の特徴の1つまたは幾つかを包含することができる。
・セルは、金属製の箱を含み、その上に壁が付加されている。
・セルは、壁を受容するための中空の筐体およびその中空の筐体中に壁を不動化するためのねじ切りされた座金を含んでいる。
・センサは、潤滑油の試料の鉄含有量を測定するためのセンサである。
・ケーシングは、金属または非鉄合金、特にはアルミニウムを基にした合金で作られている。
・X線源およびX線検出器は、蓋の上に搭載されており、蓋はそれらのケーシングに対する、および壁に対する位置を定め、一方でこの支持体は、X線の伝搬に対して遮蔽物を形成する。
・X線源に向けられた軸とX線検出器に向けられた軸は、それらの間で20°~25°の範囲、好ましくは22°の水準の角度を形成する。
・壁は200μm以下、好ましくは150μm以下、より好ましくは125μmの水準の厚さを有している。
・所定の化学元素の含有量を測定するためのセンサは、第2の排出ラインに位置している。
・この装置は、潤滑油の塩基性指数を測定するための、第2の排出ラインに位置している、センサを含んでおり、そしてそれが緩衝貯槽の出口における潤滑油の塩基性指数の測定を可能にする。
【0020】
更には、本発明は、設備中を循環する潤滑油中の所定の化学元素の全体の含有量の推移を追跡するための、上記の装置による、自動化された方法に関し、鉄含有量の測定のためのセンサは第2の排出ラインに位置している。この方法は、以下のa)~d)からなる工程を少なくとも含むことで特徴付けられる。
a)第1の弁を閉鎖する工程、
b)第1の弁の上流の導管内のある量の蓄積された潤滑油から緩衝貯槽に供給するために、第2の弁を開き、そして第3の弁を閉鎖する工程、
c)緩衝貯槽中に存在する潤滑油を、第2の排出ラインを経由して、センサのセル中まで循環するために、第3の弁を開く工程、
d)緩衝貯槽の出口における潤滑油の所定の化学元素の全体の含有量を測定するためにセンサを使用する工程。
【0021】
また、本発明は、船舶に搭載された設備の運転を追跡するための方法に関し、この方法は、上記の自動化された方法を適用することによる、関連する設備中を循環する潤滑油の所定の化学元素、特には鉄の全体の含有量の、船上での測定を含んでいる。
【0022】
最後に、本発明は、上記の自動化された方法の、船舶の設備、特には船舶用エンジン中を循環する潤滑油の所定の化学元素、特には鉄の全体の含有量を測定するための使用に関する。
【0023】
本発明は、専ら例として与えられ、そして添付の図面を参照してなされる、本発明の原理による装置の2つの態様に続く説明に照らしてより良く理解され、そしてその利点がよりはっきりと明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、船舶に搭載された本発明による装置の概略図である。
【
図2】
図2は、
図1の細部IIの拡大図であり、
図1の装置に用いられる所定の化学元素、特には鉄の全体の含有量を測定するためのセンサを示している。
【
図4】
図4は、
図2および3に示されたセンサの透視図である。
【
図5】
図5は、
図2~4のセンサの他の角度による透視図である。
【
図6】
図6は、
図1の装置の、使用の第1の形態における流体の部分のより小さい尺度での概略図である。
【
図7】
図7~9は、装置が使用の第2、第3および第4の態様における場合の
図6と同様の図である。
【
図8】
図7~9は、装置が使用の第2、第3および第4の態様における場合の
図6と同様の図である。
【
図9】
図7~9は、装置が使用の第2、第3および第4の態様における場合の
図6と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図6~9および11~21では、装置の一部に存在するか、または循環する潤滑油が、陰を付けた図で示されている。
【0026】
図1~9に示された装置2は、船舶に搭載されており、
図1中に設備Mのわきに示されている。特には、設備Mは、幾つかのシリンダ、例えば2~14のシリンダを含むエンジン、好ましくは船舶の2工程もしくは4工程エンジンである。導管4が設備Mを、潤滑油を受容するためのパン6に連結している。実際には、エンジンオイルは、導管4中を、1.1~6絶対バールの範囲の圧力P4で流れている。導管4中のオイル流速は、この導管の内壁上をほんの少しずつ流れる程に低いことができる。
【0027】
導管4は、垂直に、設備Mの上から下まで、パン6に向けて延在している。この態様では、導管4中を流れるオイルは、設備Mの少なくとも1つのシリンダから来る。
【0028】
タッピング接続8が、導管4に提供され、そして人手で制御される弁10が設置されており、これはそれ自体が知られている方法に従って、物理化学的分析を進めるために、設備Mを出たある量のオイルの試料を取り出す可能性を与える。
【0029】
装置2は、導管4に取付けられた停止弁20を含み、そしてこれが、導管4中へのオイルの、パン6に向かう流れを、選択的に遮断する可能性を与える。停止弁20は、電気信号S20によって、電子装置22によって制御される。
【0030】
図1中に専ら観ることができるように、装置2は、その鎖線の輪郭によって示された四角24を含み、そしてその内部には、導管4に一体化されている停止弁20の一部を除いて、装置2の構成要素が配置されている。
【0031】
また、装置2は、緩衝貯槽26を含み、これは四角24の中に位置しており、そしてこれは第1のバイパスライン28によって導管4に連結されている。
【0032】
ライン28の口が282として示されている。この口は、導管4の弁20の上流に位置している。第1のバイパスライン28は、その口282の下流に、緩衝貯槽26中へのその開口部284に向けて、フィルタ30を備えて、停止弁32を備えて、そしてタッピング接続34を備えて、設置されている。フィルタ30は、第1のバイパスライン28中への流れから大き過ぎるサイズの不純物を防止するために用いられる。停止弁32は、第1のバイパスライン28を選択的に開放するまたは閉鎖する可能性を与える。弁32は、電気信号S32によって、電子装置22によって制御される。タッピング接続34が、制御弁36を介して、加圧空気源12に連結されており、これは装置2の一部ではないが、しかしながら船舶の標準設備に属している。
【0033】
実際に、加圧空気源12は、船舶に搭載されたコンプレッサであることができ、そしてこれは加圧空気のネットワークを供給し、これはまた装置2以外の設備で用いられる。あるいは、加圧空気源12は、装置2に専用のポンプであることができる。
【0034】
また、装置2は、貯槽26に連結されたタッピング接続38を含んでおり、それには停止弁40が取り付けられており、そしてそれが貯槽26の内部空間V26が周囲の大気と連通させる可能性を与える。
【0035】
この態様では、タッピング接続34および38は独立している。あるいは、それらは、第1のライン28に連結された、または貯槽26に直接に連結された単一のタッピング接続に置き換えられることができ、それには弁36および40が平行に取り付けられており、一方でそれぞれ圧縮空気源12に、そして周囲の大気に連結されている。この場合には、弁36および40は単一の三方弁の形態に一体となっていることができる。
【0036】
弁36および40は、それぞれの電気信号S36およびS40によって、電子装置22によって制御される。
【0037】
また、装置2は潤滑油のための、貯槽26の内部空間V26から回収パン6に向けての、第2の排出ライン42を含んでいる。従って、第2の排出ライン42は、潤滑油の流路において、第1のバイパスライン28から、そして貯槽26から下流に位置している。この例において、第2のライン42は、貯槽26から導管4に向けて延在している。その口422は、貯槽26の低い部分に位置しており、一方で、図中に示されているように、その開口部424は、停止弁20の下流で、導管4に位置しているが、これは分析サイクルの時間を短縮する可能性を与え、何故ならば停止弁20は導管4中にオイルの柱を発生させるために閉鎖されることができ、一方で測定工程が開始されるからである。あるいは、第2のライン42の開口部424は、停止弁20から上流に位置しており、これがフィルタ30を空にすることおよび閉塞を取り除くことの同時の実行工程の可能性を与え、そして随意選択的に装置2のコストを低減する。
【0038】
第2のライン42は、停止弁44が設置されており、これは電気信号S44によって電子装置22によって制御される。
【0039】
3つのセンサ46、48および50は、ライン42に、弁44の上流に位置している。
【0040】
センサ46は、第2のライン42中に存在する、または流れる潤滑油の密度D、粘度V、湿度Hおよび温度Tを測定する可能性を与える。このセンサは、AVENISENSEによってCactusの名称で市販されているものの種類のものであることができる。あるいは、センサ46は、他の種類のものであることができ、そして上記のパラメータの1つもしくは幾つかの測定だけを可能にする。
【0041】
センサ48は、しばしばアルカリ性指数と称される、塩基性指数またはBNのセンサである。これは赤外手段で、赤外技術で作動するセンサ、または潤滑油のBNを測定するのに好適な他のセンサであることができる。
【0042】
センサ50は、全体の鉄含有量、すなわち、貯槽26を離れた潤滑油試料の、溶解されたおよび/または粒子状鉄の含有量を、X蛍光発光技術によって、測定するためのセンサである。
【0043】
図2~5から特に明らかなように、センサ50は、X線源502、X線検出器504およびセル506を含んでおり、これは第2のライン42に直列に取付けられている。これを行うために、セル506は、ライン42に与えられた補足的接続要素42Aと協同する上流接続要素506Aならびに、ライン42に与えられた補足的接続要素42Bと協同する下流接続要素506Bを与えられている。
【0044】
X線源502は、カソードおよびアノードを含んでおり、50kVの水準の電位差、カソードを流れる500mAの水準の電流の効果の下で、それらの間に電子を流す。アノードは、金属、例えば金、タングステン、銀またはロジウムで作られている。X線源502に必要とされる出力は、比較的に中位であり、特に4~10Wの範囲である。コリメータ502Cが、X線源502の出口において、X線源502の標的軸A502を中心とする電子ビームを集束するために用いられる。
【0045】
X線源から放射された放射線は、X線の範囲にあり、0.01~10nmの範囲の波長、すなわち約3×1019~3×1016Hzの周波数を有している。
【0046】
検出器504は、SDD(シリコンドリフト検出器)型であり、これは前面に単一の電極を有し、これがフォトダイオードのpn接合中のX線の相互作用によって発生された電子を収集する。この型の検出器は、そのアノードの小さい表面のために、低い静電容量の利点を有している。この型の検出器は、高い計数率、良好な解像度およびペルチエ効果での効果的な冷却を得る可能性を与える。あるいは、検出器504はSI-PIN型であり、シリコンフォトダイオードを有しており、これは2つのそれぞれの正に、そして負にドーブされた領域の間に挿入された固有領域を有している。
【0047】
検出器504は、与えられた期間に亘るそれぞれのエネルギーレベルにおける放射「カウント」を計数することができ、これがエネルギーレベルのスペクトルの確定を可能にする。検出器504の標的軸は、A504と表され、これはこの検出器によって検出されたX線の主方向に相当する。
【0048】
セル506は、金属の塊を機械加工するまたは成形することによって作られた本体508を含んでいる。この本体506は、好ましくはアルミニウムで、またはアルミニウムを基にした合金、例えばZicral(7075)で作られており、これはアルミニウムを主な合金要素とした亜鉛とのアルミニウム合金である。あるいは、筐体508はアルミニウムを基にした他の合金で作られることができる。本明細書における意味では、アルミニウムを基にした合金は、少なくとも50質量%のアルミニウムを含む合金である。アルミニウムを基にした合金の使用によって、筐体508が、ライン42中の流れる潤滑油の温度に、圧力に、そして化学的組成物に耐えることを可能にする。この合金中に含まれる鉄の不在または低い比率によって、潤滑油の全体的な鉄含有量のX蛍光発光による測定が、有意508な量の鉄の存在によって混乱されることが回避される。
【0049】
しかしながら、別の方法として、筐体508はステンレス鋼で作られていることが可能である。
【0050】
筐体508は、接続要素506Aと506Bの間の、
図3中の矢印F50の方向の、潤滑油の循環のための体積V508を画定する。この体積V508は、筐体508の設計者によって選択された、円形または矩形の断面を有する管状の形状を有している。体積V508の長手方向の軸は、X508と表されている。
【0051】
筐体508は、貫通孔508Aを与えられており、これは軸X508に垂直な軸Y508が中心にあり、そしてこれは体積V508に通じている。貫通孔508Aは、軸Y508を中心とする円形の断面を有しており、そしてねじ穴508Bを与えられている。
【0052】
貫通孔508Aは、円盤の形状を有する壁510で閉じられており、これはまた「膜」も表すことができ、そしてこれは貫通孔508Aの皿穴508Cの底に対して、雌ねじ508Bに噛み合う雄ねじ512Bを与えられた環512によって、押し付けられて維持され、そしてそれは後者と協同する。この壁または膜510は、筐体508に、それを皿穴508Cに対して平らにすることによって、そして次いで環512を貫通孔508A中にねじ込むことによって取付けられる。
【0053】
環512は、本体508と同じ金属または同じ合金で作られている。
【0054】
壁510は、X線源502への、そして検出器504への標的窓を形成し、これが、X線が、X線源502から体積V508に含まれる潤滑油試料へ、そして体積508から検出器504へと通過することを可能にする。
【0055】
壁510は、ポリ(テレフタレート)またはPETで作られており、これが壁に満足な機械的性質を与え、一方で壁は、X線源502から生じる、または検出器504に向かって出るX線を混乱させないほどの、200μm未満の小さな厚さを有することができる。
【0056】
特には、壁510の厚さは、軸Y508に垂直に測定して、150μm未満、好ましくは125μmの水準で選択することができる。
【0057】
X線源502および検出器504は、蓋514に取り付けられており、これはセル506に対する、より具体的には筐体508に対する、そして壁510に対する、それらの位置を定める。この蓋514は、筐体508を、貫通孔508Aの側で取り囲み、それによって蓋は、壁510によって形成された窓をセンサ50の外側から隔離する。514の厚さは、e514と表される。この蓋514の材料およびその厚さe514は、それらが、X線源502、検出器504およびセル506の間を循環するX線に対して効果的な遮蔽を形成するような方法で選択される。このセルは、潤滑油の自由な通過を可能とし、そして流体の潤滑油の静的または動的分析を行う可能性を与える。実際には、蓋514は、ステンレス鋼、例えば316型で作られることができ、そして厚さe514は、5mm超、好ましくは8mm超、なお好ましくは10mmの水準であるように選択される。
【0058】
一方で、補足的な遮蔽516が、筐体508の周りに、この筐体の蓋514とは反対の側に、取り付けられる。図面の明確さのために、この遮蔽516は、
図4および5に専ら示されている。
【0059】
センサ50の部分502、504、506、514および516は、箱24中でねじ518Aによって不動化されることができるプレートによって形成された支持体518に取り付けられている。四角502Aおよびスペーサ504Aは、それぞれX線源502および検出器504を支持体518に取り付けるために用いられる。
【0060】
そのように組み立てられて、センサ50は取扱い易い、容易に確認できる半組立品であり、そしてそれは、ネジ518Aを緩めることによって、そして一方では接続要素506Aと42Aとを、他方では506Bと42Bとを分離することによって、標準の交換操作の対象であることができる。
【0061】
X線源502は、信号S502によって電子装置22によって制御され、そして検出器504は、センサ50の出力信号S50を電子装置22へと供給する。
【0062】
特には、軸X508、Y508、A502およびA504は同じ平面にある。
【0063】
筐体508の外側の軸A502とA504との間で測定された角度は、αと表される。この角度αは、20~25°、好ましくは22°の水準の値を有している。
【0064】
運転の間に、センサ50のX蛍光発光技術が、全体的な鉄含有量、すなわち緩衝貯槽26の出口における、体積V508を通過するある量のオイルの、溶解された、および/または粒子状鉄の含有量、の測定のために用いられる。
【0065】
鉄含有量の測定は、潤滑油が第2のライン42中に流れる時に、すなわち弁44が開の場合に、センサ50によって行われる。従って、これは、動的測定と表される。
【0066】
あるいは、この測定は、潤滑油が体積V508中で静止状態の場合に、すなわち弁44が閉鎖されている場合に行うことができる。従って、これは静的測定と表される。
【0067】
また、装置2は、第1の液面センサ54および第2の液面センサ56を含み、これらはそれぞれ貯槽26中のオイル量が第1の液面N1または第2の液面N2に到達した場合に、検知することを可能にする。センサ54および56の電気出力信号S54およびS56は、装置22へと供給される。
【0068】
あるいは、センサ54および56は、単一のセンサ、例えば圧力センサで置き換えることができ、これはオイルが貯槽26中で2つの液面N1およびN2のそれぞれに到達した場合に検知を可能にする。
【0069】
図6~9には、
図1の装置2によって適用された自動化された方法の連続的工程を概略で示している。この方法は、それが部分的にまたは好ましくは完全に、のいずれかで、いずれかの人間の介在なしに、装置22の制御の下に実行されることができるという意味において自動化されている。本発明の第2の態様に関して以下に説明される方法についても同じことが適用される。
【0070】
初期設定では、そして試料採取は別として、設備Mを出たオイルは、
図1中の矢印F1の方向に、設備Mから回収パン6へと、開または閉鎖解除の配置にある弁20によって留められることなく、一方で他の弁は閉鎖されていて、導管4中に流れる。
【0071】
エンジンMを出るオイルの鉄含有量が測定されなければならない場合には、装置22は、弁20を閉に制御し、それによって導管4中に保持がもたらされ、図6中の影を付けられた部分Lに示されているように、ある量のオイルが、すなわち潤滑油が蓄積する。
【0072】
図6の構成では、導管4は、デカンテーション管として用いられ、そして不純物Iは、導管4内部の、そしてある量の潤滑油Lのより低い部分に、弁20の近傍に蓄積される。
【0073】
図6の構成によって示されたこの第1の工程では、弁32および40は開であり、一方で弁36および44は閉鎖されている。
【0074】
導管または管4中の潤滑油レベルLが口282に到達した場合には、オイルは、第1のバイパスライン28を通して、より具体的にはフィルタ30および弁32を通して、貯槽26の内部体積V26中にまで、流れ始め、その中にオイルは流れる。実際に、第1のライン28の開口部284は、貯槽26の上部に位置しており、そしてオイルは、貯槽26の壁に沿って流れることができる。弁44が閉鎖されると、オイルは、空気を大気へと、弁40を介して、押出すことによって、徐々に弁44の上流に位置する、センサ46および48の内部体積を含む、第2の排出ライン42の一部を、そして次いで内部体積V26を、充填する。この工程は、
図7に示された構成に相当する。
【0075】
センサ56が、貯槽26内部のオイルレベルN2に到達したことを検知した場合には、装置22が、装置2を
図8に示された新しい構成へと切り替え、ここでは弁20が開の配置に移り、これがデカンテーション管を、弁20の上流に存在する潤滑油量Lの残りならびに不純物Iを回収パン6に向けて導く事によって、空にする可能性を与える。従って、矢印F1の方向の流れが、パン6中にまで続く。更に、弁32および40が閉鎖され、そして弁36が解放され、このことが潤滑油によって占められていない体積V26の一部、すなわちレベルN2の上に位置するこの体積V26の一部を、この例では7絶対バールの値を有する、空気源12の空気圧と同じ空気圧P1の下に調整することを可能にさせる。
【0076】
このことがなされたら、装置22は装置2を、
図9の構成によって示された、次の工程へと移し、ここでは弁44は解放され、他の弁は、
図4のそれらの配置の状態を保持している。この場合には、体積V26の上部の空気の圧力P1は、オイルを第2の排出ライン42中へと、センサ46、48および50を介して押出す効果を有しており、これがそれらのセンサが、装置22に、それらが検知したパラメータの典型である、それぞれの信号S46、S48およびS50を与えることを可能にさせる。
【0077】
必要であれば、信号S46、S48およびS50は、制御されたパラメータの値を、特には参照の潤滑油について知られている値との比較で、決定するために、装置22中で処理することができる。
【0078】
信号S46、S48およびS50、またはそれらの信号から外挿された信号は、装置2の外で、設備Mを監視するための中央装置によって利用可能な共役信号S2の形態で、与えることができる。
【0079】
実際には、鉄含有量センサ50の通過断面は約70mm
2である。これは200mm
2以下の範囲であることができる。全ての場合において、この通過断面は、全体の鉄イオン含有量の測定を行うための、十分な流れを、十分な時間供給することが可能でなければならない。あるいは、同じことが、塩基性指数のセンサ46についてもおよびセンサ48についても適用される。貯槽26を有する装置の設計は、
図4の構成における貯槽26中に収容されたオイル量L1として、オイルの「緩衝」を形成する予備分を生じさせる可能性を与える。このオイルの予備分L1の一部は、連続的に、または逐次的に、のいずれかで、第2の排出ライン42中に注ぐことができ、それによってセンサ48および50は分析するのに十分な量のオイルを有する。
【0080】
図9の構成から、弁44を開に維持することによって、そして圧縮空気の弁36を介した注入を続けることによって、逐次工程で、貯槽26を、そして第2の排出ライン42の全体を空にすることを続けることが可能である。
【0081】
あるいは、オイルレベルがレベルN1に到達した場合には、第2の排出ライン42中の、特にはセンサ46、48および50中の、オイルの量L2を永久的に保持するようにして、センサ46、48および50は、オイルに接触しているその活性部分が乾燥する危険を冒さないように、貯槽26を空にすることを停止することが可能である。このことで、特にセンサ50の壁510上のオイル痕跡の堆積を回避させる。この第2の取り組みが選択された場合には、第2の排出ライン42を前もって洗浄し、そして次の測定を混乱させないように、ある量のオイルが、次の測定の間に用いられなければならない。
【0082】
図10および以下に示された本発明の第2および第3の態様では、第1の態様の要素と同じ要素は、同じ参照番号を有している。以下では、それらの態様を、先行する態様から区別するものを主に説明している。
【0083】
図10~21の態様では、第1および第2のライン28および42はT連結部29で連結する。従って、第1の排出ライン28の開口部284は、第2の排出ライン42の口422と一致する。貯槽26と連結部29との間に位置するラインの部分は、第1および第2のライン28および42に共通である。このラインの部分は、貯槽26の低い部分に通じており、それによって導管4から貯槽26に向かって流れるオイルは、この貯槽の低い部分に直接に到達する。
【0084】
3つのレベルN1、N2およびN3は、貯槽26の中で規定され、レベルN1およびN2は第1の態様のそれらと比較できる。
【0085】
この第2の態様では、レベルセンサ54および56と同じレベルセンサは、圧力センサ58以外は、用いられず、圧力センサ58には電子制御装置22で出力信号S58が提供される。更に、レベルセンサ60は、導管4に、弁20の上流、すなわち弁20の上に取付けられる。レベルセンサ60は、装置22に信号S60を与える。
【0086】
更に、第1の態様のタッピング接続34および38ならびに弁36および40が、単一のタッピング接続38’で置き換えられており、これに圧力センサ58ならびに三方分配器62および3つのオリフィスが接続されており、一方で圧縮空気の供給源12に、そして他方では周囲大気に接続されている。分配器62は、専用の電気信号S62によって、装置22によって制御されている。
【0087】
装置2は、第1の態様と同様に、全体の鉄含有量、すなわち溶解されたおよび/または粒子状鉄の含有量を測定するための、第1の態様のセンサと同じであり、そして導管42に取り付けられている、センサ50を含んでいる。
【0088】
装置2の運転は、以下のとおりである。
【0089】
初期の設定では、弁20は開であり、そして弁32および44は閉鎖されており、一方で分配器62は
図10に示された構成であり、ここでは圧縮空気源12の貯槽26の内部体積V26を周囲大気から隔離している。
【0090】
設備Mを出るオイルの鉄含有量の測定および随意選択的な塩基性指数の測定を進めなければならない場合には、装置22は第1の工程において信号S20によって弁20を、これを
図11に示された閉鎖の配置にするように、作動させる。この構成においては、前もって行われるフィルタ30の閉鎖を解除する操作のために、オイルは第1のバイパスライン28中に、フィルタ30と弁32との間に、存在し、これは以下に説明される。
【0091】
この構成では、弁32および44ならびに分配器62は閉鎖されている。
【0092】
レベルセンサ60が、弁20の上流の導管4に保持されたオイルの柱が、
図12に示されているように、このセンサで検出されたレベルN0に到達した場合に、所定の量の潤滑油が開口部282の上に存在するように、配置される。例えば、この所定の量は、100mLに等しいことができる。レベルセンサ60が、このレベルN0が導管4に保持されていることを検知した場合には、貯槽26の内部体積V26を、分配器62を、これを
図12の配置へとするように作動させることによって大気圧にさせる。
【0093】
この構成から、
図13の構成によって示されているように、装置22は、弁32および分配器62を、ある量のオイルの導管4から貯槽26への移送を行うための次の工程で制御する。この構成では、弁32は開であり、一方で分配器62は閉鎖されている。オイルの導管4から緩衝貯槽26への移送は、従って、貯槽26内部の空気圧における増加を伴う。貯槽中に閉じ込められた空気の圧縮度は、較正の後に、貯槽中の空気の初期の体積に、そして移送されたオイルの体積に関係させることができる。
【0094】
例えば、断熱圧縮で、そして貯槽26中の初期の空気の体積が160mLに等しい場合には、貯槽26中の圧力は、50mLの移送されたオイルについては、1.7絶対バールに到達する。
【0095】
また、初期に250mLの空気を含む貯槽26を考慮すると、貯槽26の上部部分で17絶対バールに等しいP1の空気圧を達成する前に、80mL、すなわち
図10に示されている量L1を貯槽26中に移送することが可能である。これは、以下で考慮された例である。
【0096】
この場合には、オイルレベルN2は、
図14の構成における装置2によって表される工程において、貯槽26中で達成される。
【0097】
装置22は、次いで
図15の構成を達成するために、弁および分配器を自動的に制御し、ここでは、貯槽26は、体積V26を圧縮空気源12へと接続する分配器62を通して圧縮され、それによって貯槽26内部の空気圧P1’は7バールに等しくなる。このことが起こることができるように、弁32は前もって、オイルの、貯槽26から導管4への戻りを避けるために、装置22によって閉鎖の配置に切り換えられる。更に、この工程では、弁20は、装置22によって、開の配置に切り換えられ、それによって設備M中を回収パン6に向かって循環するエンジンオイルの流れが、矢印F1の方向に再度起こることができる。この構成では、装置22は、信号S62およびS44によって分配器62および弁44を、それぞれ分配器62を閉鎖し、そして弁44を開とし、それによって
図16の配置を達成するように、制御し、ここでは貯槽26中に収容されたオイルは、内部体積V26の上部部分中に存在する圧力P1のために、貯槽26から徐々に押出される。
【0098】
従って、オイルはセンサ46、48および50を通して流れ、それらはそのためにそれらが与えられているパラメータを検出することができ、そして第1の態様と同様に、対応する信号S46、S48およびS50を装置22に提供する。
【0099】
貯槽26中に収容されたオイルの、第2の排出ライン42を通した排出は、幾つかのサイクルで、貯槽中の閉じ込められた空気体積の継続した増大および空気源12への継続した接続によって起こることができる。80mLのオイルを初期に収容する250mLの貯槽では、例えば空気源12への先行した3回の接続、7バールと6.2パールの間の3回の連続した増大を行う可能性がある。このことは、50mLの全体積を第2の排出ライン42に送り、そして
図17の構成を達成する可能性を与え、ここで潤滑油の30mLの残留量L2が貯槽26中に残り、一方で6.2バールに等しい圧力P2を受ける。
【0100】
分配器62の好適な命令によって、前もって、そして連続的に貯槽26を7バールの空気で充填することによって、3回の連続した増大が起こる。
【0101】
これらの3回の増大は、50mLの潤滑油の、センサ46、48および50中の、3回の連続した工程での循環の可能性を与え、このことが、それらが、装置22に向けられ、そして供給され、そして次いで第1の態様におけると同様に伝達され、および/または処理される、3セットの信号S46、S48およびS50または一連の組み合わされた信号を発生させることを可能にする。
【0102】
図17の構成では、装置22が、装置2が
図18の配置に移行することをもたらし、ここで貯槽26の内部体積V26は、分配器62の好適な命令の見返りとして、7バールの圧力P1’に再度加圧され、一方で弁44は閉鎖される。
【0103】
一度この操作が完結されると、装置22は弁32を開にし、そして分配器62を閉鎖するように制御し、これは、貯槽26の低い部分中に存在するオイルを、第1のバイパスライン28を通して、導管4中にまで、フィルタ30の閉塞を解除する方向に押し流す効果を有している。この工程は、
図19の構成によって示される。貯槽26中の圧力を7から6.2バールへと低下させる事実は、約20mLの量を貯槽26から導管4へと循環させる可能性を与える。この工程の最後には、6.2パールの圧力P2の下で、貯槽26中に10mLの潤滑油に等しい量L3が残る。
【0104】
フィルタの閉塞解除の操作が完結すると、装置22は、装置2を
図20の構成に移行させ、ここでは弁32は再度閉鎖され、一方で弁44は開とされ、そして分配器62は、体積V26に圧縮空気を与える構成に置かれる。このことは、第2の排出ライン42中に、そしてセンサ46および48中に存在するオイルの残留量を、
図21の構成が得られるまで、排出する効果を有し、ここでは第2の排出ライン42ならびにセンサ46および48はオイルが空であり、そして空気で満たされている。このことは上記の
図11の構成に対応する。
【0105】
図20および21に表されるように、弁32と開口部284の間に位置する第1のバイパスライン28の一部は、貯槽26から生じる空気によって空にされる。このことは、実際には、弁32が連結部29のすぐ下流側に配置されているという事実と結び付けるべきである。
【0106】
図22に示された本発明の第3の態様では、第1の導管4が用いられ、それらのそれぞれが、設備Mの単一のシリンダからのオイルを収集するように与えられている。
【0107】
それぞれの導管4は、電子装置22によって制御される弁20を備え付けられており、そしてそれが関連する導管4中の潤滑油の流れF1の流れの遮断を可能にする。第1のバイパスライン28は、一方で弁20の上流で、それぞれの導管4に接続され、そして他方で貯槽26の入口に接続され、これは第1の態様と同じである。従って、装置2は、導管4が存在するのと同様に多くの第1のバイパスライン28を含んでいる。その開口部282から始まって、それぞれの第1のバイパスライン28は、フィルタ30および停止弁32を備え付けられている。4つの第1のライン28が、それらのそれぞれの停止弁32の下流で接合しており、そしてタッピング接続34は、4つの第1のバイパスライン28、ならびに緩衝貯槽26中へのそれらの開口部284に共通である。
【0108】
タッピング接続8は、第1の態様に関連した上記の取り組みと類似の取り組みに従って、それぞれの導管4に与えられ、そして手動で制御される弁10を取り付けられている。あるいは、唯一の、または幾つかの導管4にそのようなタッピング接続8が備え付けられている。
【0109】
第2の排出ライン42は、設備、特にはエンジン、の全てのシリンダについて共通でありそして貯槽26の下流で、全ての第1のバイパス28からのオイルを受容する。第2の排出ラインの開口部424は、その停止弁20の下流の導管4の1つに位置している。
【0110】
この第3の態様は、導管4および船舶のエンジン区画内のそれらの経路の混雑を最適化する可能性を与える。このことによって、第1の態様に関連する余地を得ることを可能にする。
【0111】
導管4のそれぞれに対して第1の態様に関連して上記の明示された方法を連続的に適用することによって、この第3の対応の装置は、第1の態様のセンサと同じセンサ50によって、導管4が連結されている設備Mのシリンダのそれぞれの出口での潤滑油の全体の鉄含有量を測定する可能性を与える。
【0112】
図19の例では、4つの導管4が与えられており、それぞれが設備Mのシリンダの専用となっている。あるいは、設備Mの構成に応じて、そして導管4を収容するために利用可能な余地に応じて、装置2に適用するために、導管4の数が異なっており、一方で2以上を維持している。
【0113】
あるいは、本発明は、この順序で排出ライン42に沿って位置しているセンサ46、48および60で説明することができる。これは必須ではなく、そして他の順序も想定することができる。例えば、センサ50は、ライン42に沿って、センサ46および48の上流に、または後者の間に、位置することできる。
【0114】
この態様にかかわらず、センサ46および48は、それらがオイルの全体の鉄含有量を測定するために有用ではないという意味において、随意選択的である。しかしながら、それらが、溶解された、および/または粒子状の鉄の単一の含有量に加えて、装置2がオイルの品質の幾つかの代表的なパラメータの幾つかの測定を自動で行うことを可能にするので、それらは非常に有益である。従って、信号S2は、人によってまたは機械によってのいずれによっても直接に判読可能であるので、自動化することができ、そして使用者もしくは航海を業とする人員に代わって、いずれかの特別な知識を必要としない方法によって、装置2は、設備Mを出たオイルの、全体の鉄含有量の、塩基性指数もくしくはBNのおよび/または他のパラメータの効率的な測定を可能にする。
【0115】
実際には、貯槽26の内部体積V26の存在する最大の圧力P1’は、空気源12の圧力に依存するが、7バールに限定されない。これは、船舶上で利用可能な圧縮空気のネットワークの圧力に応じて、6~12バールの範囲、好ましくは7~10バールの範囲である。7バールの値が、これが良好な実験結果を与え、そして現在利用可能な圧力レベルに相当するために、好ましい。この圧力P1が、上記のように1.1~6パールの範囲である導管4中のオイルの圧力P4よりも大きいことが重要である。実際に、第2の排出導管42を通したオイルの流れを確実にするのは、圧力P1とP4との間の差異である。
【0116】
この態様にかかわらず、装置2は、箱24中に本質的に含まれており、船舶に搭載して設置することが容易であり、そして導管4内の弁20の位置への設置、ライン28と42のこの導管への接続および通常および圧縮空気のその供給を必要としない。装置2は、従って、新しい船舶へ容易に設置することができそして運転中の船舶の改装のために使用することができる。
【0117】
本発明が、上記で、センサ50が、潤滑油の鉄の全体の含有量を測定するために用いられる場合について説明された。しかしながら、これは、他の所定の化学元素、例えばカルシウム、バナジウム、クロム、モリブデン、硫黄、鉛、銅、銀、スズ、アルミニウム、ニッケル、亜鉛またはリンの全体の含有量を測定するために利用可能である。この場合には、筐体の構成材料は、X蛍光発光測定を混乱させないように、問題とされる化学元素に適合される。
【0118】
本発明は、船舶推進用のエンジンのためのその使用の場合について、上記で説明された。しかしながら、これは、他の船舶装置、例えば、補助電動機または船舶の付属品に対して利用可能である。
【0119】
上記で、用語および表原「オイル」、「エンジンオイル」および「潤滑油」は、オイルまたはエンジンオイルは潤滑油であるので、本発明の意味においては、区別なく用いられている。
【0120】
上記では、表現「鉄含有量」、「全体の鉄含有量」および「溶解されたおよび/または粒子状の鉄の含有量」ならびに表現「所定の化学元素の含有量」および「所定の化学元素の全体の含有量」は、区別なく用いられている。
【0121】
これらの態様の特徴および上記の想定される代替案は、本発明の新規な態様を生み出すように組み合わせることができる。
本発明は、以下の態様を含んでいる。
(1)設備(M)に含まれる潤滑油の品質の推移を追跡するための装置(2)であって、この装置は、
・前記潤滑油を循環する(F1)ための少なくとも1つの導管(4)、この導管は、上流で該設備に、そして下流で回収パン(6)に接続されている、および、
・X蛍光発光技術によって潤滑油試料の所定の化学元素の全体の含有量を測定するためのセンサ(50)、このセンサは、X線源(502)、X線検出器(504)ならびに、分析される潤滑油試料を含むように意図され、そして該X線源から出て、または該検出器に向かって進むX線を通過させるための窓を形成する壁(510)を取り付けられたセル(506)を含む、
を含んでなり、
前記装置は、
・導管(4)中の前記潤滑油の循環(F1)のための第1の制御された遮断弁(20)、
・潤滑油を蓄積するための緩衝貯槽(26)、
・一方は前記第1の弁の上流で前記導管に、そして他方は前記緩衝貯槽に接続された第1のバイパスライン(28)、
・前記第1のバイパスライン中の前記潤滑油用の前記循環のための第2の制御遮断弁(32)、
・前記緩衝貯槽から前記回収パンへの、前記潤滑油用のための、第2の排出ライン(42)、
・前記第2の排出ライン中の前記潤滑油の前記循環のための第3の制御遮断弁(44)、を含むことを特徴とし、
・センサ(50)は、前記緩衝貯槽(26)の出口における、潤滑油試料の所定の化学元素の全体の含有量を測定し、そして、
・X線源(502)からの、または検出器(504)に向かって進むX線を通過させるための窓を形成する壁(510)が、ポリ(エチレンテレフタレート)で作られている、
装置。
(2)セル(506)が金属筐体(508)を含み、これに壁(510)が付加されている、(1)記載の装置。
(3)セル(506)が、壁(510)を受容するための中空の筐体(508C)および、前記壁の前記中空の筐体中への固定化のためのねじ切りされた座金(512)を含んでいる、(2)記載の装置。
(4)センサ(50)が、前記潤滑油試料の前記鉄含有量を測定するためのセンサである、(1)~(3)のいずれか1項記載の装置。
(5)筐体(508)が金属または非鉄合金、特にはアルミニウムを基にした合金で作られている、(2)または(3)記載の装置。
(6)X線源(502)およびX線検出器(504)が、それらを筐体(508)に対して、そして壁(510)に対して位置を定める蓋(514)上に取付けられ、そしてこの支持体がX線の伝搬に対して遮蔽体を形成する、前記(2)~(5)のいずれか1項記載の装置。
(7)X線源(502)の標的軸(A502)およびX線検出器(504)の標的軸(A504)がそれらの間に20(25°の範囲、好ましくは22°の水準の角度(α)を形成する、(1)~(6)のいずれか1項記載の装置。
(8)壁(510)が200μm以下、好ましくは150μm以下、更に好ましくは125μmの水準の厚さを有する、(1)~(7)のいずれか1項記載の装置。
(9)所定の化学元素の含有量を測定するためのセンサ(50)が、第2の排出ライン(42)上に位置している、(1)~(8)のいずれか1項記載の装置。
(10)前記潤滑油の塩基性指数(BN)を測定するための、第2の排出ライン(42)上に位置し、そして緩衝貯槽(26)の出口における前記潤滑油の塩基性指数の測定を可能にするセンサ(48)を更に含む、(1)~(9)のいずれか1項記載の装置。
(11)(9)記載の装置(2)による、設備(M)中を循環する潤滑油の所定の化学元素の含有量の推移の追跡のための自動化された方法であって、
a)第1の弁(20)を閉鎖する工程、
b)前記第1の弁の上流の導管(4)内に蓄積されたある量(L、L’)の潤滑油から前記緩衝貯槽に供給するために、第2の弁(32)を開き、そして第3の弁(44)を閉鎖する工程、
c)緩衝貯槽(26)中に存在する前記潤滑油を、第2の排出ライン(42)を経由して、センサ(50)のセル中まで循環させるために、第3の弁(44)を開く工程、
d)緩衝貯槽(26)の出口における前記潤滑油の所定の化学元素の全体の含有量を測定するためにセンサ(50)を使用する工程、
からなる工程を少なくとも含む方法。
(12)船舶に搭載された設備(M)の運転を追跡する方法であって、(11)記載の方法を適用することによる、船舶上で、設備中を循環する潤滑油の所定の化学元素、特には鉄、の全体の含有量の測定を含む、方法。
(13)船舶の設備(M),特には船舶エンジン中を循環する潤滑油の所定の化学元素、特には鉄の全体の含有量を測定するための、(12)記載の方法の使用。