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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】患者固有投薬管理システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/17 20180101AFI20220117BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
G16H20/17
A61M5/142 530
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019030891
(22)【出願日】2019-02-22
(62)【分割の表示】P 2016501081の分割
【原出願日】2014-03-10
(65)【公開番号】P2019083071
(43)【公開日】2019-05-30
【審査請求日】2019-03-22
(31)【優先権主張番号】13/802,679
(32)【優先日】2013-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グプタ、ヴィカス
(72)【発明者】
【氏名】ボリッシュ、スティーブン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ベルグルンド、ゲイル
(72)【発明者】
【氏名】ファンデルビーン、ティモシー ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィソン、アラン
(72)【発明者】
【氏名】ハルバート、ドナルド
(72)【発明者】
【氏名】ゲラ、ジェシー ジェイ.
【審査官】小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-508616(JP,A)
【文献】特表2006-521183(JP,A)
【文献】特開2005-296428(JP,A)
【文献】特開2012-200430(JP,A)
【文献】特表2008-516303(JP,A)
【文献】特開2005-165442(JP,A)
【文献】特表2011-501311(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0034323(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0054754(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61M 5/142
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に供給される薬剤の量を含む動作限界パラメータで構成可能である医療機器と、
限界システムであって、
前記医療機器を動作するための複数の許容動作パラメータを含むメモリ、並びに
プロセッサであって、
前記患者への前記薬剤の投与の前及び間に、前記患者に関する複数の血液の検査結果を受信し、
前記薬剤が前記医療機器によって前記患者に供給される間に、前記複数の血液の検査結果が前記患者の変化した健康状態と適合し、前記複数の血液の検査結果の少なくとも2つが所定の健康状態と適合することを判定し、
患者固有の情報が、前記所定の健康状態に従って定義された閾値内又は前記閾値を超える生理学的値を含むかを示す前記許容動作パラメータを、前記医療機器において構成される前記動作限界パラメータと、前記患者の前記変化した健康状態及び前記所定の健康状態に照らして比較し、
前記患者の前記変化した健康状態に応答して、自動的に、
前記比較、前記閾値内又は前記閾値を超える前記生理学的値、及び前記所定の健康状態に基づいて、前記動作限界パラメータを変更し、
一定期間にわたって前記患者に供給される前記薬剤の最大総量を設定することを含む前記動作限界パラメータの前記変更が、前記医療機器によって行われ、
前記患者の状態が変化し、前記動作限界パラメータが前記変化した健康状態に従って変更されたことを示す通知を、前記患者に関する臨床医に送る
ように構成されるプロセッサ
を備える限界システムと
を備えるシステム。
【請求項2】
前記メモリは、前記患者の年齢、前記患者の性別、前記患者の遺伝的体質、又は前記患者の民族性のうちの少なくとも1つを含む患者の人口統計学的情報を更に含み、前記動作限界パラメータは、前記人口統計学的情報に基づいて変更される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記医療機器に入力される患者の生理学的パラメータの第1のパラメータ値を受信し、
前記第1のパラメータ値と異なる医療機器に入力される前記患者の生理学的パラメータの第2のパラメータ値との間の差が閾値変動を満足しないことを判定する
ように更に構成され、
前記差が前記閾値変動を満足しないことの判定に基づいて、前記患者に供給される前記薬剤の前記最大総量が自動的に変更される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のパラメータ値及び前記第2のパラメータ値は体重の値であり、前記比較は、体重が前記動作限界パラメータの前記変更において用いられるべきであることを判定するために、前記医療機器に提供される前記患者の第1の体重を第2の輸血機器に提供される前記患者の第2の体重と比較することを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記患者固有の情報は、前記患者に指示された薬剤、前記薬剤が前記患者に指示された時刻、前記患者の処置計画、前記患者の薬剤耐性、前記患者の体重、前記患者の身長、又は前記患者の体表面積のうちの少なくとも1つを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記変更を示す前記医療機器による表示のための通知を提供するように更に構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記血液の検査結果は、血液凝固量、ビタミンレベル、血小板数値、トロンボプラスチン時間、体重、又は血清レベルを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記医療機器は、輸液ポンプを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記動作限界パラメータは、前記薬剤を供給する速度、供給する前記薬剤の量、及び前記薬剤を供給する期間のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記プロセッサは、超過可能なソフト最大総量及び超過不能なハード最大総量のうちの少なくとも1つを定義することによって、前記一定期間にわたって前記患者に供給される前記薬剤の前記最大総量の前記変更を行うように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記医療機器は、前記医療機器で前記一定期間にわたって前記患者に供給される最大の薬剤の混合物で構成可能であり、前記メモリは、前記一定期間にわたって供給される前記薬剤の混合物の複数の許容最大総量を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
患者に供給される薬剤の量を含む動作限界パラメータで医療機器を構成するステップと、
限界システムのメモリで、複数の許容動作パラメータを格納するステップと、
プロセッサによって、前記医療機器による前記患者への前記薬剤の投与の前及び間に、前記患者に関する複数の血液の検査結果を受信するステップと、
前記プロセッサによって、前記薬剤が前記医療機器によって前記患者に投与される間に、前記複数の血液の検査結果が前記患者の変化した健康状態と適合し、前記複数の血液の検査結果の少なくとも2つが所定の健康状態と適合することを判定するステップと、
前記医療機器での前記薬剤の投与の間に前記限界システムの前記プロセッサで、患者固有の情報が、前記所定の健康状態に従って定義された閾値内又は前記閾値を超える生理学的値を含むかを示す前記許容動作パラメータを、前記医療機器において構成される前記動作限界パラメータと、前記患者の前記変化した健康状態及び前記所定の健康状態に照らして比較するステップと、
前記患者の前記変化した健康状態に応答して、自動的に、前記限界システムの前記プロセッサで、
前記比較、前記閾値内又は前記閾値を超える前記生理学的値、及び前記所定の健康状態に基づいて、前記動作限界パラメータを変更し、
一定期間にわたって前記患者に供給される前記薬剤の最大総量を設定することを含む前記動作限界パラメータの前記変更が、前記医療機器によって行われ、
前記患者の状態が変化し、前記動作限界パラメータが前記変化した健康状態に従って変更されたことを示す通知を、前記患者に関する臨床医に送るステップと
を含む方法。
【請求項13】
前記変更された動作限界パラメータを示す前記医療機器による表示のための通知を、前記限界システムの前記プロセッサで提供するステップを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記通知を前記医療機器で表示するステップを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記医療機器において入力を受信するステップであって、前記入力は、前記変更された動作限界パラメータが許容されるか否かを示す情報を含む、ステップと、
前記受信された入力に応答して、前記変更を行うステップと
を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記入力は、一定期間にわたって患者に供給される薬剤の前記最大総量がソフトリミット外であるが、この値が有効に維持されるという介護者からの承認を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
患者の治療法を提供する際に臨床医を支援するためのシステムであって、
前記患者の治療法に従って患者に薬剤を供給するための動作パラメータを制限する動作限界パラメータで構成可能であ医療機器と、
限界システムであって、
前記患者の患者固有の情報を含むメモリであって、前記患者固有の情報は、前記患者の検査データを含み、前記検査データは、血液凝固量、ビタミンレベル、血小板数値、トロンボプラスチン時間、又は血清レベルのうちの少なくとも1つを含む、メモリ、
前記医療機器を用いて前記患者の治療法を提供するための複数の許容動作パラメータのセットを含むデータベースであって、前記許容動作パラメータは、患者固有の情報が前記患者の健康状態に従って定義された閾値内又は前記閾値を超える生理学的値を含むかを示すルールを含む、データベース、並びに
プロセッサであって、
前記患者への前記薬剤の投与の前及び間に、前記患者の血液の検査結果を受信し、
前記薬剤が前記医療機器によって前記患者に投与される間に、前記血液の検査結果が前記患者の変化した健康状態と適合し、前記血液の検査結果の少なくとも2つが所定の健康状態と適合することを判定し、
前記許容動作パラメータを、前記医療機器において構成される前記動作限界パラメータと、前記患者の前記変化した健康状態及び前記所定の健康状態に照らして比較し、
前記患者の前記変化した健康状態に応答して、自動的に
記医療機器の前記動限界パラメータを、前記比較、前記閾値内又は前記閾値を超える前記生理学的値及び前記所定の健康状態に基づいて変更し、
前記患者に関する臨床医に、前記患者の状態が変化し、前記動作限界パラメータが前記変化した健康状態に従って変更されたという指摘を提供する
ように構成されるプロセッサ
を備える限界システムと
を備え、
前記医療機器は、複数の薬剤を含む混合物を前記患者に供給するための前記動作限界パラメータで構成可能であり、
前記許容動作パラメータは、前記医療機器を用いて前記混合物を前記患者に供給するための許容動作パラメータを含み、
前記ルールの少なくとも1つは、前記患者に供給される前記薬剤の最大総量、及び一定期間にわたって前記患者に供給される前記薬剤の最大総量を示す、システム。
【請求項18】
前記プロセッサは、前記変更された動作限界パラメータの臨床医のための通知を提供することによって、前記患者の治療法を変更するための推奨を提供するように構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記プロセッサは、前記臨床医からの入力を受信するように更に構成され、前記入力は、前記変更された患者の治療法が許容されるか否かを示す情報を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記医療機器は輸液ポンプを備え、前記メモリは、前記患者に指示された薬剤、前記薬剤が前記患者に指示された時刻、前記患者の処置計画、前記患者の薬剤耐性、前記患者の体重、前記患者の身長、前記患者の体表面積、前記患者の年齢、前記患者の性別、前記患者の遺伝的体質、又は前記患者の民族性のうちの少なくとも1つを更に格納し、前記許容動作パラメータが、前記医療機器に提供される前記患者の第1の体重を別の医療機器に提供される前記患者の第2の体重と比較することに基づいて変更される、請求項17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2011年9月27日に提出された米国特許出願第13/246,782号「患者の治療法を動的に調節するシステムおよび方法」(System and Method for Dynamically Adjusting Patient Therapy)の一部継続出願として米国特許法第120条に基づき優先権を主張するものであり、上記出願は、現在は米国特許第8,340,792号として発行されている2010年11月16日に提出された米国特許出願第12/947,773号「患者の治療法を動的に調節するシステムおよび方法」(System and Method for Dynamically Adjusting Patient Therapy)の継続出願であり、この出願は、現在は米国特許第7,860,583号として発行されている2004年8月25日に提出された米国特許出願第10/925,511号「患者の治療法を動的に調節するシステムおよび方法」(System and Method for Dynamically Adjusting Patient Therapy)の継続出願であって、また本願は、2011年7月18日に提出された米国特許出願第13/185,427号「分散型遠隔機器および投薬管理薬剤配送システム」(Distributed Remote Asset and Medication Management Drug Delivery System)の一部継続出願として米国特許法第120条に基づき優先権を主張するものであり、上記出願は、現在は米国特許第8,005,688号として発行された2005年11月7日に提出された米国特許出願第11/268,995号「分散型遠隔機器および投薬管理薬剤配送システム」(Distributed Remote Asset and Medication Management Drug Delivery System)の継続出願であって、この出願は、米国特許法第119条のもと2000年5月18日に提出された米国仮特許出願第60/205,125号の優先権の主張を伴った2001年5月18日に提出された米国特許出願第09/860,865号の分割出願であり、これらの開示はあらゆる目的のため引用により全文を本願に組み込まれるものである。
【0002】
本開示は概して、医療施設内の患者の看護を管理するシステムおよび方法、特に、診療、投薬の配送、機器の識別、薬剤送達の検証に関する情報を統合し管理するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
誤薬、すなわち、投薬の指示、調剤、与薬において発生する間違いは、傷害を引き起こすか否かに関係なく、施設環境内において医療を提供する上で重要な考慮事項である。また、医療処置を要する、薬剤に関連する傷害と定義され、誤薬の一種である薬剤有害事象(ADE)は、最も重大な誤薬の一部であり、多数の患者の傷害や死亡の原因となっている。
【0004】
医療施設は、誤薬の発生と重大性を低減する方法を絶えず模索している。予防可能な薬剤有害事象(PADE)およびその他の誤薬の発生頻度と重大性を低減するために、様々なシステムおよび方法が一般的に使用されている。薬剤投与の際、通常は、正しい患者、正しい薬剤、正しいルート、正しい量、正しい時間の5つの「正しい」または要因に焦点が当てられている。ADEおよびPADEを低減しようとするシステムおよび方法は、これら5つの正しいを考慮すべきである。
【0005】
従来、施設環境内における投薬の配送、検証、制御は、間違いが発生し得る領域であった。標準的な医療施設では、医師が特定の患者に対する投薬の指示を入力する。この指示は単純な手書きの指示として扱われることもあれば、医師指示入力(POE)システムなどの自動システムに入力されることもある。手書きの指示やPOEシステムからの電子処方は薬局に送られ、そこで指示が履行される。通常、薬局は、起こり得る患者のアレルギーと、2つ以上の薬剤が処方される場合は起こり得る薬剤相互作用とに関して医師の指示をチェックし、禁忌についてもチェックする。医療施設によっては、薬剤は薬局内で識別し収集して、ナースステーションに搬送するための搬送キャリアに入れられるかもしれない。看護士ステーションでは、処方が配送のために識別された薬剤に対して再度チェックされ、間違いが発生していないことを確認する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなシステムは、薬剤が経口で投与されるときに患者が適切な薬剤を受け取っていることを検証するのに適切に機能する。しかし、システムは、静注(IV)薬剤の正確な与薬が患者にされていることを完全に検証することができないかもしれない。薬剤が輸液ポンプ(例えば、大容量の点滴型または注射器型ポンプを含む)などの自動または半自動投与装置を用いて投与され、自動装置が不正確な薬剤投与パラメータでプログラムされている場合に、薬剤の不正確な投与が発生し得る。例えば、投薬指示が正しい注入パラメータを含む場合でも、それらのパラメータが輸液ポンプに不正確に入力されて、処方された治療に至らない方法で輸液ポンプが薬剤を投与することになる可能性がある。さらに、輸液ポンプが特定の動作限界パラメータで設定されていた場合、その動作限界パラメータが、標準的な患者にとっては概して安全と考えられるが、薬剤が与薬される患者にとっては安全でないかもしれない値を反映している場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態によると、誤薬を低減するために医療機器と共に使用されるシステムが提供される。該システムは、患者に投薬を行うための動作限界パラメータで構成可能な医療機器と、限界システムとを含む。限界システムは当該患者の患者固有の情報を含むメモリと、医療機器を用いて患者に投薬を行うための許容動作パラメータを含むデータベースと、プロセッサとを含む。プロセッサは許容動作パラメータを患者固有の情報と比較し、許容動作パラメータと患者固有の情報との比較に基づき、患者への投薬を行うための動作限界パラメータを変更するように構成される。
【0008】
システムの特定の側面では、医療機器は複数の薬剤を含む混合物を患者に供給するための動作限界パラメータで構成可能であり、データベースは医療機器を用いて混合物を患者に供給するための許容動作パラメータを含む。患者固有の情報は患者の検査データを含むことができる。検査データは、血液凝固量、ビタミンレベル、血小板数値、トロンボプラスチン時間、または血清レベルのうちの少なくとも1つを含むことができる。患者固有の情報は、患者に指示された薬剤、薬剤が患者に指示された時刻、患者の処置計画、患者の薬剤耐性、患者の体重、患者の身長、患者の体表面積、患者の年齢、患者の性別、または患者の民族性のうちの少なくとも1つを含むことができる。システムの特定の側面では、許容動作パラメータを患者固有の情報を比較するように構成されるプロセッサは、医療機器に提供される患者の第1の体重を別の医療機器に提供される患者の第2の体重と比較するプロセッサを含む。システムの特定の側面では、患者に投薬を行うための動作限界パラメータを変更するように構成されるプロセッサは、患者の体表面積を有する人の許容動作パラメータの決定に基づいて動作限界パラメータを変更するように構成されるプロセッサを含む。許容動作パラメータは、患者固有の情報が複数のルールのうちの少なくとも1つによって定義される閾値内かまたはこれを超える値のいずれかであることを示す複数のルールを含むことができる。ルールの少なくとも1つは、一定期間にわたって患者に供給される薬剤の最大総量を示すことができる。医療機器は輸液ポンプを含むことができる。動作限界パラメータは、投薬を行う速度、供給する薬剤の量、投薬を行う期間のうちの少なくとも1つを含むことができる。システムの特定の側面では、患者固有の情報に基づき動作限界パラメータを変更するように構成されるプロセッサは、患者への薬剤の送達に関する少なくとも1つの動作限界パラメータに関して、最大値または最小値の少なくとも1つを、患者固有の情報に基づいて、定義するように構成されるプロセッサを含む。システムの特定の側面では、患者固有の情報に基づき動作限界パラメータを変更するように構成されるプロセッサは、患者への薬剤の送達に関する少なくとも1つの動作限界パラメータに関して、超過可能なソフト最大値と超過不能なハード最大値との対、超過可能なソフト最小値と超過不能なハード最小値の少なくとも1つを、患者固有情報に基づいて、定義するように構成されるプロセッサを含む。プロセッサは、患者への投薬を行うための動作限界パラメータが患者固有の情報に基づいて変更されたということを示す通知を医療機器に提供するようにさらに構成することができる。プロセッサは、介護人からの入力を受信して、動作限界パラメータの変更を無効にするようにさらに構成することができる。介護人からの入力は、なぜ介護人が動作限界パラメータの変更を無効にしたかの指摘を含むことができる。プロセッサは、いつ介護人が動作限界パラメータの変更を無効にしたかを記録するようにさらに構成することができる。プロセッサは、介護人のアイデンティティ、医療機器の位置の識別、または施設の選択のうちの少なくとも1つに基づいて、医療機器に通知を提供するか否かを決定するための構成パラメータを受信するようにさらに構成することができる。患者固有の情報は、外部データシステムから、外部データシステムのネイティブメッセージフォーマットで受信され、限界システムでの使用のために構成される内部メッセージフォーマットに変換することができる。
【0009】
本開示の別の実施形態によると、誤薬を低減するために医療機器と共に使用される方法が提供される。該方法は、患者の患者固有の情報を受信することと、患者固有の情報を医療機器にとっての許容動作パラメータを含むデータベースと比較することを含む。該方法はまた、患者固有の情報の許容動作パラメータとの比較に基づき、患者に薬剤を供給するための医療機器の動作限界パラメータを変更することも含む。
【0010】
該方法の特定の側面では、医療機器は複数の薬剤を含む混合物を患者に供給するための動作限界パラメータで構成可能であり、データベースは医療機器を用いて混合物を患者に供給するための許容動作パラメータを含む。患者固有の情報は患者の検査データを含むことができる。検査データは、血液凝固量、ビタミンレベル、血小板数値、トロンボプラスチン時間、または薬剤の血漿/血清濃度、あるいは電解質濃度などのその他の生理学的成分のうちの少なくとも1つを含むことができる。患者固有の情報は、患者に指示された薬剤、薬剤が患者に指示された時刻、患者の処置計画、患者の薬剤耐性、患者の体重、患者の身長、患者の体表面積、患者の年齢、患者の性別、患者の遺伝的体質、または患者の民族性のうちの少なくとも1つを含むことができる。許容動作パラメータを患者固有の情報と比較することは、医療機器に提供される患者の第1の体重を、別の医療機器に提供される患者の第2の体重と比較することを含むことができる。患者への投薬を行うための動作限界パラメータを変更することは、患者の体表面積を有する人の許容動作パラメータの決定に基づいて動作限界パラメータを変更することを含むことができる。許容動作パラメータは、患者固有の情報が複数のルールのうちの少なくとも1つによって定義される閾値内かまたはこれを超える値のいずれかであることを示す複数のルールを含むことができる。ルールの少なくとも1つは、一定期間にわたって患者に供給される薬剤の最大総量を示すことができる。医療機器は輸液ポンプを含むことができる。動作限界パラメータは、投薬を行う速度、供給する薬剤の量、投薬を行う期間のうちの少なくとも1つを含むことができる。該方法の特定の側面では、患者固有の情報に基づき動作限界パラメータを変更することは、患者への薬剤の送達に関する少なくとも1つの動作限界パラメータに関して、最大値または最小値の少なくとも1つを、患者固有情報に基づいて、定義することを含むことができる。該方法の特定の側面では、患者固有の情報に基づき動作限界パラメータを変更することは、患者への薬剤の送達に関する少なくとも1つの動作限界パラメータに関して、超過可能なソフト最大値と超過不能なハード最大値との対、または超過可能なソフト最小値と超過不能なハード最小値の少なくとも1つを、患者固有の情報に基づいて、定義することを含むことができる。該方法の特定の側面では、該方法は、患者への投薬を行うための動作限界パラメータが患者固有の情報に基づいて変更されたということを示す通知を医療機器に提供することをさらに含む。該方法は、介護人からの入力を受信して、動作限界パラメータの変更を無効にすることをさらに含むことができる。介護人からの入力は、なぜ介護人が動作限界パラメータの変更を無効にしたかの指摘を含むことができる。該方法は、いつ介護人が動作限界パラメータの変更を無効にしたかを記録することをさらに含むことができる。該方法は、介護人のアイデンティティ、医療機器の位置の識別、または施設の選択のうちの少なくとも1つに基づいて、医療機器に通知を提供するか否かを決定するための構成パラメータを受信することをさらに含むことができる。医療機器の動作限界パラメータは限界システムによって変更することができ、患者固有の情報は、外部データシステムから、外部データシステムのネイティブメッセージフォーマットで受信され、限界システムでの使用のために構成される内部メッセージフォーマットに変換することができる。
【0011】
本開示の一実施形態によると、誤薬を低減するために医療機器と共に使用される方法をプロセッサに実行させる機械可読指示が機械可読記憶媒体に含まれる。該方法は、患者の患者固有の情報を受信することと、患者固有の情報を医療機器にとっての許容動作パラメータを含むデータベースと比較することとを含む。該方法はまた、患者固有の情報の許容動作パラメータとの比較に基づき、患者に薬剤を供給するための医療機器の動作限界パラメータを変更することも含む。
【0012】
なお、本技術のその他の構成は、本技術の様々な構成が例示のために示され、説明されている以下の詳細な説明から、当業者にとって容易に自明になるであろう。理解されるであろうが、本技術はその他の異なる構成をなすこともでき、いくつかの細部は当該技術の範囲を逸脱せずにその他の様々な点で変更を加えることができる。したがって、図面および詳細な説明は、そもそも例示であって、限定ではないとみなされるべきである。
【0013】
添付図面は、理解を深めるために提供され、本明細書に組み込まれて本明細書の一部を成すものであるが、開示される実施形態を例示し、開示される実施形態の原理を説明する役割を明細書と共に果たす。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】誤薬の可能性を低減する治療管理システムを示すブロック図および図形表現である。
図2】本開示の特定の側面に係る図1の構成からの制御システム、サーバ、医療機器の例を示すブロック図である。
図3】輸液ポンプなどのプログラム可能な医療機器と制御システムを使用する患者の誤薬を、その患者に固有の情報に照らしてガイドラインデータベースを参照することによって低減するプロセスの例を示す機能ブロック図である。
図4図2の制御システム、サーバ、医療機器を実装することのできるコンピュータシステムの例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の詳細な説明には、本開示を十分に理解してもらうために、多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、当業者にとっては、本開示の実施形態がこれらの具体的な詳細のいくつかを欠いていても実施できることは自明であろう。他の例では、周知の構造および技術は、本開示を曖昧にしないように詳細に示しことはしていない。
【0016】
本開示は、輸液ポンプのような医療機器に関する動作限界パラメータ(または「動的ガードレール」("dynamic guardrails”))を判定するために、患者の検査結果または特徴(例えば、身長、体重、性別、体表面積、病歴)などの患者固有のデータを評価するシステムを提供している。患者固有の検査結果およびその他のデータを組み入れることで、潜在的な臨床上の危険を回避するシナリオを臨床医に通知することができる。さらに、患者の検査結果およびその他の関連する患者データを組み入れることで、臨床医が静脈内薬剤投与の適切な方法に関連する状況を監視しこれに介入するのを手伝うことができる。また、本開示は、正しい処置が、正しい患者に固有のデータに基づいて、正しい方法で、正しい量、正しい時間になされることを検証することを規定するものである。
【0017】
開示されているシステムがどのようにして患者の治療に際して臨床医を支援するかについて、いくつかの例を以下に示す。開示されているシステムは例えば、患者の容体の変化(例えば、腎機能と肝機能の変化や白血球数の増加)を医療機器の所にいる臨床医に通知し、変化した容体に基づいて患者に薬剤を注入する際の最大および最小注入限度などのパラメータを自動的に変更し(あるいは変更を提示し)、臨床医による確認を受けることができる。また、開示されているシステムは例えば、患者が検査値やその他の状態の変更などの重要な状況を入力した場合、注入パラメータを自動的に変更することもできる。さらに、開示されているシステムは例えば、注入される薬剤が患者についての有効な投薬指示と関連付けられない場合、患者への薬剤の注入パラメータを変更することができる。別の例として、開示のシステムは、以前にいつ、どのように抗生物質が患者に注入されたかに基づいて、患者への抗生物質の注入パラメータを変更することができる。開示のシステムは例えば、患者に影響を及ぼしている菌が抗生物質に対して耐性があることが分かっている場合、その抗生物質の注入パラメータを変更することができる。さらに別の例としては、開示されているシステムは、患者の記録が注入を停止すべきであることを示している場合、患者への薬剤注入パラメータを変更することができる。別の例として、患者に対してある医療機器に関する有効な指示が存在しないとき、開示のシステムは、臨床医が文書化されていない口頭での指示を与えているかもしれないとか、あるいは注入を中止するよう指示されていたがそのような指示が見過ごされたとか、などの指示ないしは明確化を求めるメッセージを該当する臨床医に送信することができる。
【0018】
図面を参照すると、図1は、本開示の特定の側面に係る、統合された医療施設規模の情報および介護管理システム28を例示する。医療施設の情報管理システムの各種サブシステムが、施設通信システム30によって相互接続されたている。通信システム30は、例えば、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、キャンパスエリアネットワーク(CAN)、都市域ネットワーク(MAN)、広域ネットワーク(WAN)、広帯域ネットワーク(BBN)、インターネットなどのうちの任意の1つまたはそれ以上を含むことができる。さらに、通信システム30は、バスネットワーク、スターネットワーク、リングネットワーク、メッシュネットワーク、スター-バスネットワーク、ツリーまたは階層型ネットワークなどの1つまたはそれ以上のネットワークトポロジを含むことができるが、それらに限定されない。図1に示すように、通信システム30は各種インタフェース32を通じて医療施設情報システム34、薬局情報システム36、患者情報データベース62、医師指示入力システム38、投薬ガイドラインデータベース60、制御システム40(または「限界システム」)に接続される。
【0019】
施設通信システム30は限定的な意味で解釈されることを意図していない。このような施設通信システム30は医療施設全体を取り囲むことができ、あるいは医療施設の小さな領域に配置することができる。また、病院以外の医療施設における通信システムを含むことができ、患者の自宅などの代わりのケア施設に適用することができる。また、介護人という文言は広い意味で使用され、看護士、医師、医療専門家、および患者をケアするその他の人々を含むことを意味する。
【0020】
本開示の一側面に係る制御システム40は例えば、通信システム30と接続し、医療機器80を構成するのに十分なメモリ42と処理容量を有するサーバまたはその他のコンピュータであってもよい。制御システム40は、以下詳述するように、その他のハードウェアまたはネットワークとの通信や、その他の機能の中でも、データの入出力、報告の生成・印刷などを可能にするといった、本開示の各種側面を実行するための動作ソフトウェアまたはその他の指示を含む。制御システム40は別個の機器として図示されているが、制御システム40と関連するメモリ42とは医療機器80などの別の素子に組み込むこともできると理解されよう。
【0021】
通信システム30は例えば、医療施設全体に配置される、および/または、様々なコンピュータ、臨床装置、当該施設で使用されるその他の機器に装着される送信機および受信機を利用する、有線または無線のイーサネット(登録商標)(IEEE522.3)を備えることができる。このような無線システムでは、システムによって送受信される信号は、高周波(RF)、赤外線(IR)、もしくは適切な送信機または受信機を有する装置間で無線で情報を搬送することのできるその他の手段とすることができる。当業者であれば、システムの各種側面の間を相互接続する配線を必要としないことを除き、このようなシステムが図1に示すシステムと同一であり得ることをすぐに理解するであろう。
【0022】
標準的な医療施設では、患者の部屋、病棟、または区域は、特定の区域の患者のケアに割り当てられた介護人が自らの職務を執行する機能を執り行うナースステーション44の近傍に、通常、グループで配置されている。これらの機能は、通常、患者のカルテの更新および監視、投薬指示の準備と執行、トラッキングのために施設によって必要とみなされるその他の情報の監視および記録などを含む。また、通常、患者に配送される薬剤の保管および/または調合の専用の部屋もナースステーションに隣接して配置される。この部屋は、一般的に使用される経口薬、IM、またはIV薬剤の在庫を含むことができる。この部屋は、処方された処置の計画に従い輸液バッグの内容物を処方するのに使用することもできる。
【0023】
ナースステーション44は通常、直接またはインタフェース48を通じて通信システム30に接続される端末またはコンピュータシステム46を含み、ナースステーションにいるユーザが、患者データまたは医療施設情報システム34、薬局情報システム36、医師指示入力システム38、あるいはその他の施設内のシステムなどのシステムに情報を入力し、もしくは取り出すことができるようになっている。なお、すべてのユーザが各システムへのアクセス権を有するわけではないことは理解されよう。例えば、医師はナースステーションシステム44から医師指示入力システム38にアクセスして投薬指示を入力、編集、または追跡することができるが、介護人はそのような指示を見ることしかできないかもしれない。さらに、本開示はナースステーション44に位置しているコンピュータシステム46に関して説明しているが、コンピュータシステム46は、そうすることが簡便または効率的であるような医療施設内の任意の場所に位置しているサテライトシステムであってもよい。このようなサテライトコンピュータシステムは、有線または無線ネットワーク接続を用いて通信システム30に動作可能に接続することができる。プリンタ50もまた、レポート、バーコード、ラベル、その他の物を印刷するためにナースステーションコンピュータシステム46に接続することができ、薬剤ラベル、レポート、または識別のために設けられたバーコードラベルを有するその他のアイテムのバーコードを読み取るためにバーコードリーダ52を設けることができる。
【0024】
無線ID(RFID)タグが薬剤、患者、機器、またはその他の方法と共に使用される別の実施形態では、ナースステーション44はRFIDタグと共に使用されるインテロゲータまたはRFIDリーダ(図示せず)に含むこともできる。
【0025】
本開示の側面によると、薬剤データベースキャリア(MDC)または投薬ガイドラインデータベース60は、介護人が薬剤投与装置80をプログラミングして患者に薬剤を送達するために使用する投薬パラメータまたはその他の情報を監視するために提供された情報を記憶している。薬剤相互作用や、薬剤の起こり得る禁忌および/または副作用に関する情報を含むデータベースや、各種薬剤の投与についての確立されたガイドラインを含む、様々な種類の情報を投薬ガイドラインデータベース60のメモリに記憶することができる。例えば、ガイドラインは、投与量、与薬頻度、および、輸液ポンプをプログラミングするための、例えば、適切な流量および注入時間などのその他の送達関連情報など、制度上確立されたガイドラインもしくは薬剤投与パラメータの限界を含むことができる。さらに、ガイドラインは、同様の薬剤に対して異なるセットの送達パラメータを有する特定の患者または処置領域に適した薬剤投与、例えば、老齢患者、小児患者、腫瘍患者向けの薬剤投与を提供するためのガイドラインも包含することができる。化学療法計画や慢性感染症または疼痛の処置計画などの特定の治療計画に関するガイドラインを含めることもできる。なお、本明細書で使用される際のデータベースという用語は、一般的に理解されるように使用されることが、当業者によって理解されよう。すなわち、データベースという用語は、ソフトウェアまたはその他の形式に含まれる適切なプログラムを使用して取り出されおよび分析されることができるように組織され、フォーマット化され、記憶される値または情報の集合を指す。
【0026】
本開示の一実施形態では、投薬ガイドラインデータベース60は、投薬ガイドラインデータベース60とコンピュータシステム46との間を接続するクレードルまたはその他のドッキング装置を介して、ナースステーションコンピュータシステム46またはその他の施設の中央システムの情報システムとインタフェース接続をすることができる。この実施形態では、クレードルを使用して、投薬ガイドラインデータベース60と看護士のコンピュータシステム46との間で情報を行き来させることができる。その後、この情報は処理されてコンピュータシステム46に記憶させることができ、あるいは、この情報を、インタフェース48を介してコンピュータシステム46により、通信システム30上のその他の各種施設情報システムに伝達することができる。このようにして、薬局情報システム30からの情報は、例えば、通信システム30、ナースステーション44のコンピュータシステム46を介して、投薬ガイドラインデータベース60へと伝達することができる。同様に、投薬ガイドラインデータベース60に含まれる情報は、ナースステーションコンピュータシステム46、インタフェース48、通信システム30を介して、相互接続されたシステム34、36、38、40、または62のいずれにも伝達することができる。
【0027】
投薬ガイドラインデータベース60は、サーバなどの装置に記憶させることができる。また、あるいは、これに代えて、医療施設は制御システム40のメモリ42の中心に位置させて投薬ガイドラインデータベース60を有することができる。投薬ガイドラインデータベース60は、患者に薬剤を送達するために施設で作製されたガイドライン、ならびに薬剤相互作用の情報もしくは起こり得る薬剤の副作用の情報を含み、患者のベッドサイドへの行き来の際に介護人が持って行くことができるよう可搬性を有する薬剤情報および/またはデータベースまたはライブラリを含む。投薬ガイドラインデータベース60はまた、投薬ガイドラインデータベース60と、コンピュータ、薬剤投与装置、生活反応監視装置などの臨床装置などのその他の装置との間で情報を伝達できるように、保存機能とコンピュータシステムまたはネットワークとインタフェース接続する技術とを有することができる。
【0028】
投薬ガイドラインデータベース60に具体化される一般的概念は、輸液ポンプなどの薬剤投与装置80に入力することができる薬剤投与パラメータやその他の情報を提供することである。
【0029】
本開示の側面によると、制御システム40は、患者情報データベース62から患者固有の情報を、投薬ガイドラインデータベース60から投薬情報を、医療機器80から装置情報を取得するように構成される。患者情報データベース62はそれ自体、医師指示入力システム38、薬局情報システム36、医療施設情報システム34から取り出された患者固有の情報を取得し記憶することができる。特定の側面では、情報は実際の薬剤投与前に医療機器80から取得された情報であって、医療機器80に関連付けられる患者の患者固有の情報に鑑み、制御システム40が投薬ガイドラインデータベース60からの投薬情報を評価することができて、医療機器60に入力されたパラメータが特定の薬剤の投与に関して制度上確立されたガイドラインの範囲内に入るか否かが判定される。比較の結果、薬剤投与装置に入力されたパラメータまたは情報が確立されたガイドラインを満たすということにおいて適切である場合、その結果の表示が介護人になされ、介護人は薬剤投与を開始することができる。
【0030】
もしくは、比較の結果、1つ以上のパラメータまたは情報が確立されたガイドラインを満たさない場合、1つ以上のパラメータまたは情報の一部が間違って薬剤投与装置に入力され、薬剤投与を開始する前に矯正行為または無効化が必要であるという警告または警報を介護人に提供することができる。別の実施形態では、薬剤投与装置は、比較が好適であったという信号を制御システム40から受信しない限り薬剤の投与の開始を自動的にさせないようにされることによって、薬剤の誤った投与に対するフェイルセーフを提供することができる。
【0031】
例えば、患者の検査結果が患者の腎機能低下を示しているとする。しかしながら、患者に処方された薬剤はどんな患者の腎機能もさらに低下させるものであって、患者が正常な腎機能を有する場合には、投薬ガイドラインデータベース60によって定義される制度上確立されたガイドラインの範囲内にまだ収まる。ただし、この特定の患者は腎機能が低下している。患者の腎機能低下に関する患者固有情報の識別に基づいて、制御システム40は処方された薬剤を提供する医療機器80に警報を表示し、任意で介護人を制限して医療機器80を用いて処方された薬剤を投与しないようにする。
【0032】
特定の側面では、情報は実際の薬剤投与の開始後に医療機器80から回収された情報であって、医療機器80に関連付けられる患者の患者固有の情報を参照して、制御システム40が投薬ガイドラインデータベース60からの投薬情報を評価することができて、現在医療機器60によって使用されているパラメータが特定の薬剤投与に関して制度上確立されたガイドライン内に入るか否かが判定される。例えば、投与中の薬剤の評価は、例えば血圧、心拍数、または血糖値を維持するように投与量を調節するときなど、薬剤の投与中に行うことができる。そのようにして間違いを回避することができ、10分、10時間、または10日などの薬剤投与の間、いつでも警報を掲示することができるであろう。
【0033】
投薬ガイドラインデータベース60に記憶される薬剤投与に関する制度上確立されたガイドラインまたはより広範に受け入れられたプロトコルは例えば、丸薬寸法、1時間当たり最大投与量、最大連続投与量、注入容積、流量、最高濃度などの、薬剤投与パラメータあるいはその他の情報を含む。投薬ガイドラインデータベース60は、医療施設によって生成され、あるいは施設によって採用されてきた注入パラメータの、前もって確立された値を有することができる。それらは施設の「ベストプラクティス」と考えられるものを含み、適時更新され得る。これらの前もって確立された値は、投与パラメータおよびその他の注入パラメータに関する「ハード」および「ソフト」の限界値または動的ガードレールを含むことができる。施設は、この薬剤の投与では通常超過することがない値であるが、例外的な状況では超過し得る、薬剤注入パラメータのソフトリミットを設定することができる。施設は、この施設では超過することはない値である、薬剤注入パラメータのハードリミットを設定することができる。同様に、施設は、施設によって使用される通常の範囲を下回る投与量に薬剤注入パラメータのソフトリミット値を設定し、施設ではその値を下回る投与量を与えることができないという値である、薬剤注入パラメータのハードリミットを設定することができる。このような状況では、起こり得る過少または過剰投与を回避するように、低または高投与量警報を発することができる。
【0034】
いったん注入パラメータ値が介護人によって医療機器80に入力され、それらの値が制御システム40に伝達されると、制御システム40は選択された値のそれぞれを投薬ガイドラインデータベース60および患者情報データベース62からの患者固有の情報と比較して、入力された注入値が許容範囲に収まることを確かめる検証段階に入ることができる。値がハードリミットに反する場合、制御システム40は、制御システム40または医療機器80において警報を生成し、医療機器80の動作開始前に値の変更を要求することができる。選択された注入パラメータ値がソフトリミットに反する場合、制御システム40は、介護人が入力値はソフトリミット外であるが、薬剤投与開始前はその値は有効に維持されるということを理解しているという承認を介護人に要求することができる。ある側面では、制御システム40は、介護人にその値を入力する理由を提示するように求めることもできる。介護人から承認が得られれば、制御システム40は医療機器80による薬剤の投与を認可することができる。
【0035】
制御システム40は、薬剤投与装置80からの薬剤投与パラメータまたは情報を取り出し、介護人のアイデンティティ、機器の位置、患者の生活反応情報、または記録されるべきその他の任意の情報などとともに、患者に与えられる薬剤の識別と具体的な治療計画を表す、メモリ42内の各種処理に関するデータまたは情報を記憶することができる。また、制御システム40は、医学的処置の情報の以前のおよび/または同一の処理の一次的または二次的検証に関するデータまたは情報も記憶することができる。制御システム40はまた、薬剤投与に関連する警告またはデータ入力のプロンプトなど、メッセージまたはその他の情報を表示のために介護人に提供することができる。さらに、制御システム40の情報入力手段を使用して、制御システム40のメモリ42に記憶するため、情報を制御システム40に手動で入力することができる。特定の側面では、制御システム40は、複数の治療または入院にまたがる患者固有の処置を表す情報をメモリ42に記憶することができる。例えば、制御システム40は、ある期間での化学療法の最大投与量の超過を防止するため、患者がどれだけ化学療法を受けているかを特定し追跡することができる。別の例では、制御システム40は、肝不全の患者に特定のアルコール量の超過を防止するため、患者に提供される薬剤にどれだけのアルコールが含まれるかを特定し追跡することができる。
【0036】
ここでは制御システム40の具体例を説明したが、制御システム40は本開示の基本概念を実行する任意の装置を含むことを意図することは理解されよう。すなわち、例えば、これらに限定されないが、輸液ポンプまたは同様の機能を実行するその他の機器などを含む薬剤投与装置から薬剤投与または治療の情報を受信し、1人または複数の患者に固有の情報を受信し、受信した情報を、制度上確立された薬剤投与ガイドライン、あるいは薬剤相互作用情報および/または起こり得る副作用のライブラリなどのその他の関連情報またはデータと比較し、患者への薬剤投与開始前に介護人に比較結果を提示することのできるプロセッサを有する装置が、本開示の目的を達成する。特に有益な実施形態には、薬剤投与または処置のパラメータなどの薬剤投与に関する情報、および/または、患者と介護人のアイデンティティのようなその他の情報を、投薬ガイドラインデータベース60が制御システム40との通信接続を再確立するまで投薬ガイドラインデータベース60のメモリに記憶し、これによって、投薬ガイドラインデータベース60のメモリに記憶された情報を制御システム40に伝達し、施設の情報データベースの1つまたはそれ以上に統合させることができることが含まれる。同様に、薬剤投与または処置のパラメータなどの薬剤投与に関する情報、および/または、患者と介護人のアイデンティティのようなその他の情報は、例えば医療機器80が制御システム40との通信接続を再確立するまで、医療機器80のメモリに記憶することもできる。データベースを更新することで、処置が実行されたことを検証して、重複する処置を回避することができる。このようにして、本開示は、正しい投薬が正しい方法で正しい患者に正しいルートを通って正しい時間に与えられるように確保する「ループを閉じる」。
【0037】
現在、医療施設の患者のベッドサイドにコンピュータ72を配置した患者ステーション70を見つけることは珍しくない。このようなステーション70は、患者の領域の設計と配置に応じて、単独の患者または2人以上の患者に供することができる。様々な機器または臨床装置もベッドサイドコンピュータ72に装着することができる。このような装置は例えば、バーコードリーダ74、プリンタ76、患者生活反応を監視する患者監視機器(図示せず)、またはその他の、患者に割り当てられる患者固有の機器(例えば、医療機器)である。その他の注入または薬剤送達装置および/または心臓または呼吸モニタなどの患者監視機器は、医療機器の一部を含む、あるいはこれを成すことができる。
【0038】
ベッドサイド機器および臨床装置には、典型的には、情報およびデータを機器または臨床装置との間で伝達できるRS232シリアルポートまたは専用通信ポートなどのデータ通信技術が装備される。この通信技術を用いて、ベッドサイド機器と臨床装置はベッドサイドコンピュータ72に接続することができ、もしくは、有線または無線システムを介して施設通信システム30に接続することができる。RF、赤外線(IR)、またはその他の無線通信プロトコルなどの無線技術を使用することができ、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イーサネット(登録商標)などを確立する有線技術も使用することができる。
【0039】
本開示の一側面によると、医療機器80は、医療機器と制御システム40との間の通信に使用する通信装置82を含むことができる。有線または無線通信など様々な形式の通信装置を使用することができる。
【0040】
本開示の1つの具体的な動作モードを以下で説明する。医療施設に入る患者には、患者の医療施設での滞在中ずっと患者に装着される、あるいは埋め込まれるように設計された、リストバンド、ネックレス、足首バンド、またはその他のバンド、チェーン、または装置(「患者ID」)が提供される。患者IDは、患者が意識を失うか、その他の形で反応できない場合でも患者を識別できるように添付される形式で設計される。患者IDは、患者名や、施設が重要と判断するその他の情報、例えば年齢、アレルギー、またはその他の生命情報などの特定の患者のデータを識別するために使用される。患者識別装置は、バーコード、手書き情報、またはRFトランスポンダ(例えば、RFIDタグ)などの情報を包含する電子情報記憶装置、または患者に添付されるその他の装置を含むことができる。患者固有の情報が患者の薬剤投与記録(MAR)を含むこともある。これは、一貫した文書化と、また、投薬ガイドラインデータベース60で薬剤相互作用に対するチェックをすることを考慮に入れたものである。
【0041】
識別する際に有用なこのようなRFIDタグ、バーコード、その他の技術は、他の者にも、患者に医療を提供するその他の物にも適用することができる。例えば、医師、看護士、その他の介護人、ならびに患者と施設にアクセスする人々も、医療施設のどこでも読み取れるRFIDタグを有することができる。医療用流体容器は、容器の内容物だけでなく、その調剤対象の患者、調剤した薬剤師、それを処方した医師に関する情報を有するRFIDタグを含むことができる。輸液ポンプやその他の医療器具および装置は、在庫管理に役立つRFIDタグを有することができる。機器が医療施設通信システム30に接続され得る場合でも、手作業による棚卸しやその他の目的のためにRFIDタグが有益である。それらは低コストであるため、バックアップサポートシステムとして魅力的である。
【0042】
入院し施設内のベッドに収容された後、患者は通常医師の診察を受け、一連の処置が処方される。医師は、患者に一連の臨床検査または特定の薬剤の投与を要請し得る指示を出すことによって一連の処置を処方する。場合によっては、医師はケアを提供するために医療施設のシステムに入力される用紙を埋める、あるいは紙片に指示を書くことによって指示を出す。その他の場合では、医師は投薬指示を医師指示入力システム38(図1)に直接入力する、あるいは看護士またはその他の介護専門職にそうするように指示する化も知れない。さらに別の場合、医師はインターネットを使用して患者の処方を薬局システムに転送および入力することができる。医療施設の構成に応じて、医師の指示または処方は薬局情報システム36のウェブサイトに直接到達することができ、あるいは医療施設のウェブサイトに送られた後、薬局情報システム36に送ることができる。
【0043】
薬局情報システム36は、より安全な医師の投薬指示の処理を可能にするだろう。薬局情報システム36は、医師が選択することのできる利用可能な薬剤リストを医師に提供することができる。薬局情報システム36は利用可能な薬剤リストを有する薬剤ライブラリを含むことができるが、医療施設によって確立または採用されている推奨投薬量および投与量限界と関連付けた薬剤名を含んでこれを医師に提示することもできる。医師が薬剤投与と関連付けられる薬剤名および薬剤投与数(注入速度や時間など)を手動でタイプするのではなく、コンピュータ画面からアイテムを選択するだけでよい場合、より正確な投薬プロセスが実現される。
【0044】
指示が特定の投薬計画の与薬である場合、その指示は施設の薬局情報システム36に送信される。薬局は指示を見直し、医師の要求に従い薬剤を調合する。通常、薬局は容器内に薬剤と指示の写しとを梱包し、あるいは少なくとも患者名、薬剤名、適切な処置パラメータが、薬剤容器に添付されるラベルまたはその他の装置に表示される。この情報はバーコードによって表すことができるし、もしくは、埋め込み型コンピュータを有するラベルのようなスマートラベル、あるいは上述したRFIDタグなどの受動装置に記憶させることができる。
【0045】
いったん指示の準備が整うと、その指示は、適切な患者とのマッチングのためにナースステーション44に送られる。あるいは、薬剤が一般的にまたは日常的に処方される薬剤である場合、薬剤はナースステーション44の近傍の安全なキャビネットに保管される薬剤の在庫に含めることができる。このような場合、ナースステーション44は、ナースステーション44近傍の在庫から取り出される指示リストを薬局情報システム36から受信するであろう。介護人は、標準的な運用に従いアクセス権を得るためにキャビネットに一意の識別子を入力する。その後、薬剤収集業務を割り当てられた介護人またはその他の専門家は、薬局情報システム60から受信した指示と在庫に保管される薬剤とを照合して、特定の患者に送達されるべきそれらの薬剤を取り出す。これらの手順は、送達される薬剤が経口薬であっても、筋肉内にまたは点滴を通じて送達される薬剤であっても実行される。
【0046】
薬剤の送達の所定時刻になると、薬剤が患者の区域に搬送されて、介護人によって患者に投与される。薬剤が点滴を介して送達される場合、介護人は輸液バッグを垂らして、輸液ラインを用意し、バッグを輸液ポンプ80に取り付け、患者への薬剤送達を制御するポンプによって使用される各種パラメータの値をポンプにプログラミングすることによって薬剤を送達するように輸液ポンプを調整する。薬剤送達パラメータがポンプに入力されると、ポンプは入力されたパラメータを投薬ガイドラインデータベース60に通信し、そこでパラメータが、患者情報データベース62からの患者固有の情報を参照しつつ、投薬ガイドラインデータベース60に記憶された制度上確立された薬剤投与ガイドラインと制御システム40によって比較される。比較の結果が、入力されたパラメータがガイドラインの範囲に収まることを示す場合、入力されたパラメータが許容可能であり、薬剤送達を開始できることを介護人に知らせるメッセージが介護人に提供される。
【0047】
あるいは、医療機器80が入力されたパラメータが制度上確立されたまたは認められたガイドラインに収まるという信号を投薬ガイドラインデータベース60から受信するまで、輸液ポンプは、点滴の開始を防ぐフェイルセーフ回路または装置を含むことができる。いったんこのような信号を受信すれば、輸液ポンプは薬剤を送達し始めることができる。1つまたはそれ以上のパラメータが制度上確立されたまたは認められたガイドラインから外れるなど、比較結果が望ましくない場合、その趣旨のメッセージが介護人に供給されて、介護人は範囲外のパラメータを修正するか、あるいは無効にするように促される。当業者であれば、これらの手順が、上述したようにPDAなどの携帯可能な投薬ガイドラインデータベース60に組み込むことができ、あるいは特定の医療機器に統合されまたは関連付けられたMDCに具現化することができることが理解されよう。
【0048】
図2は、本開示の特定の側面に係る図1のアーキテクチャからの制御システム40(または「制限システム」)、医療機器80、およびサーバ130の例を示すブロック図200である。制御システム40、医療機器80、サーバ130は各自の通信モジュール210、156、138を介してネットワーク30上で接続される。通信モジュール210、156、138はネットワーク30とインタフェース接続し、データ、要求、応答、コマンドなどの情報をネットワーク上の他の装置と送受信する。通信モジュール210、156、138は例えばモデムまたはイーサネット(登録商標)カードであり、有線または無線接続で通信することができる。
【0049】
制御システム40は、プロセッサ212と、通信モジュール210と、制御アプリケーション208および投薬ガイドラインデータベース60を含むメモリ42とを含む。投薬ガイドラインデータベースは、医療機器80を用いて患者に投薬を提供するための許容動作パラメータを含む。特定の側面では、投薬ガイドラインデータベース60の許容動作パラメータは、患者固有の情報がルールのうちの少なくとも1つによって定義される閾値に収まる値か、あるいはこれを超える値(例えば、生理学的データ測定値)を含むか否かを示す複数のルールを含む。ルールは、例えば、ある期間にわたって患者に供給する薬剤の最大の総量または最小の総量を示すことができる。例えば、薬剤が肥満患者の体重のみに基づいて供給される場合、1時間に与えられる投薬量は既知の安全限界を大幅に超えることがある。したがって、投薬が体重に基づいた送達としてユーザによってプログラミングされたところで、送達される薬剤の総量(非体重ベース)、またはある期間にわたる総送達量に基づいて、薬剤の送達に限界を設けることができる。これにより、体重に基づいた投薬として点滴をプログラミングする際の薬剤送達中の安全性を高めるという特徴が得られ、薬剤の限界が1)体重ベースの限界、2)非体重ベースの(超過禁止の)限界の両方として病院のデータセットで確定される。このように、投薬ガイドラインデータベース60内の許容動作限界パラメータはハードな、またはソフトなリミット/ガードレールとすることができる。投薬ガイドラインデータベース60の許容動作限界パラメータは薬剤の供給速度、薬剤の供給量、薬剤の供給期間を含むことができる。
【0050】
医療機器80は、患者に投薬を提供するための動作限界パラメータによって構成することができる。医療機器80は例えば輸液ポンプまたはベンチレータとすることができる。医療機器80は動作パラメータ234(例えば、投与限界)の手動入力のための、キーパッドのような入力装置216と、入力された動作パラメータ234の通知と確認のための、モニタのような表示装置214とを含む。
【0051】
制御システム40のプロセッサ212は、物理的にプロセッサ212に符号化された指示、メモリ42のソフトウェアから受信する指示、または両者の組み合わせなどの指示を実行するように構成される。例えば、制御システム40のプロセッサ212は、サーバ130のメモリ132に記憶される患者情報データベース62から患者の患者固有情報を受信する指示を実行する。患者固有の情報は外部データシステム(例えば、サーバ130)から外部データシステムのネイティブメッセージフォーマットで受信することができ、制御システム40のプロセッサ212は患者固有の情報を制御システム40で使用されるように構成される内部メッセージフォーマットに変換するよう構成することができる。プロセッサ212は、2012年3月15日に提出された米国特許出願第13/421,776号の「スケーラブル通信システム(Scalable Communication System)」に記載されるような異なる通信プロトコルおよびメッセージ構造を用いるデータシステム間で送信されているメッセージを変換するシステムおよび方法に従い変換を実行するように構成することができ、この出願の開示はあらゆる目的のために引用により全文を本明細書に組み込む。制御システム40のメモリ42は例えば、サーバ130と通信するためのインタフェースモジュールを含むことができる。インタフェースモジュールはサーバ130によって使用される通信プロトコルおよびデータ構造に関する情報を含むことができ、サーバ130からメッセージを受信し、これにメッセージを送信するように構成される。
【0052】
サーバ130のプロセッサ136は、医師指示入力システム38、薬局情報システム36、医療施設情報システム34からのネットワーク30を介した患者固有の情報を収集し、患者情報データベース62に記憶するように構成される。ある側面では、患者情報データベース62は制御システム40のメモリ42に記憶することができる。患者固有の情報は例えば患者の検査データを含む。検査データは、患者の血液凝固測定値、ビタミンレベル、血小板数値、トロンボプラスチン時間、または血清レベルを含むことができる。患者固有の情報は、患者に指示される薬剤、患者に薬剤が指示される時間、患者の治療計画、患者の薬剤耐性、患者の体重、患者の身長、患者の体表面積、患者の年齢、患者の性別、または患者の民族的帰属を含むこともできる。
【0053】
制御システム40のプロセッサ212は、投薬ガイドラインデータベース60内の許容動作パラメータを患者情報データベース62からの患者固有の情報と比較し、許容動作パラメータの患者固有の情報との比較に基づき、患者に薬剤を供給するための医療機器80のメモリ234内の動作パラメータ234を(例えば、医療機器80のプロセッサ143に指示することによって)変更するように構成される。変更された動作パラメータ234は、医療機器80の表示装置214に表示するために提供され、あるいは医療機器80の動作パラメータ234として自動的に実現させることができる。
【0054】
プロセッサ212は例えば、患者固有の情報に基づき患者への薬剤送達に関連付けられる少なくとも1つの動作パラメータ234の最大値または最小値の少なくとも一方を定義することによって、患者固有の情報に基づき動作パラメータ234を変更することができる。プロセッサ212は例えば、患者情報データベース62からの患者固有の情報に基づき患者への薬剤送達に関連付けられる少なくとも1つの動作パラメータ234に関して、超過可能なソフト最大値および超過不可のハード最大値の対、または超過可能なソフト最小値および超過不可のハード最小値の少なくとも一方を定義することによって、患者固有の情報に基づき動作パラメータ234を変更することができる。
【0055】
患者固有の情報および投薬ガイドラインデータベース60に基づく制御システム40による医療機器80の動作パラメータ234の変更の例について以下説明する。一例では、患者固有の情報が、この患者が24時間以内で180mg/dLを超える血糖結果を2つ連続して示していれば、この患者に投薬を提供する医療機器80の動作パラメータ234は、この患者が高血糖症をわずらっていることを反映するように制御システム40によって変更されることができる。別の例では、患者固有の情報が、この患者が70mg/dL未満の血糖結果であることを示していれば、この患者に投薬を提供する医療機器80の動作パラメータ234は、この患者が低血糖症をわずらっていることを反映するように(例えば、患者に供給されるインシュリン量を低下させるように)制御システム40によって変更されることができる。さらに別の例では、患者固有の情報が、この患者が3.2以下の血清カリウムの結果であることを示していれば、この患者に投薬を提供する医療機器80の動作パラメータ234は、この患者が低カリウム血症をわずらっており、この患者に供給されているカリウム量の増加を任意で推奨することを反映するように制御システム40によって変更されることができる。別の例では、患者固有の情報が、この患者がジゴキシンまたはドフェチリドを服用中で、3.5以下の血清カリウムの結果であることを示していれば、この患者に投薬を提供する医療機器80の動作パラメータ234は、この患者が薬剤服用中に低カリウム血症をわずらっていることを反映するように制御システム40によって変更されることができる。別の例として、患者固有の情報が、この患者がアンギオテンシン転換酵素阻害剤、アンギオテンシン受容体II拮抗薬、カリウム保持性利尿薬、カリウムサプリメント、またはアリスキレンを服用中で、5.0以上の血清カリウムの結果であることを示していれば、この患者に投薬を提供する医療機器80の動作パラメータ234は、薬剤服用中に高カリウム血症をわずらっていることを反映するように制御システム40によって変更されることができる。別の例では、患者固有の情報が、この患者が8.6mg/dL未満の血清カルシウムの結果であることを示していれば、この患者に投薬を提供する医療機器80の動作パラメータ234は、低カルシウム血症をわずらっていることを反映するように制御システム40によって変更されることができる。さらに別の例では、患者固有の情報が、この患者が10.2mg/dLを超える血清カルシウムの結果であることを示していれば、この患者に投薬を提供する医療機器80の動作パラメータ234は、この患者が高カルシウム血症をわずらっていることを反映するように制御システム40によって変更されることができる。別の例として、患者固有の情報が、この患者が1.5mg/dL未満の血清マグネシウムの結果であることを示していれば、この患者に投薬を提供する医療機器80の動作パラメータ234は、この患者が低マグネシウム血症をわずらっていることを反映するように制御システム40によって変更されることができる。
【0056】
別の例では、患者固有の情報が、この患者が2.4mg/dLを超える血清マグネシウムの結果であることを示していれば、この患者に投薬を提供するための医療機器80の動作パラメータ234は、この患者が高マグネシウム血症をわずらっていることを反映するように制御システム40によって変更されることができる。さらに別の例では、患者固有の情報が、この患者が2.7mg/dL未満の血清リン酸塩の結果であることを示していれば、この患者に投薬を提供する医療機器80の動作パラメータ234は、この患者が低リン酸血症をわずらっていることを反映するように制御システム40によって変更されることができる。別の例として、患者固有の情報が、この患者が4.5mg/dLを超える血清リン酸塩の結果であることを示していれば、この患者に投薬を提供する医療機器80の動作パラメータ234は、この患者が高リン酸血症をわずらっていることを反映するように制御システム40によって変更されることができる。別の例では、患者固有の情報が、この患者が(例えば、ユーザが設定した)閾値を超える患者の血清マグネシウムまたは血清リン濃度を示していれば、この患者に投薬を提供する医療機器80の動作パラメータ234は、この患者が高または低マグネシウム血症、あるいは高または低リン血症をわずらっていることを反映するように制御システム40によって変更されることができる。
【0057】
一例では、患者固有の情報が、この患者が3.0を超える血液凝固測定値または「INR」を有し、ビタミンKがINRを収集した日時から24時間以内に患者に指示されていたことを示していれば、この患者に投薬を提供する医療機器80の動作パラメータ234は、この患者の高INRとビタミンKを反映するように制御システム40によって変更されることができる。別の例では、患者固有の情報が、この患者が、この患者へのワルファリンの指示から72時間以内に3.5を超えるINRを有することを示していれば、この患者に投薬を提供する医療機器80の動作パラメータ234は、この患者の高INRとワルファリンを反映するように制御システム40によって変更されることができる。別の例では、患者固有の情報が、患者が125,000/L未満の血小板数を有すること、あるいは患者の血小板数が、未分画ヘパリン、ダルテパリン、エノキサパリン、チンザパリン、または糖タンパク質阻害薬などの特定薬剤の服用中に(またはその中止から14時間以内に)50%を超えて低下していたことを示していれば、この患者に投薬を提供する医療機器80の動作パラメータ234は、この患者が血小板減少症と薬剤による大幅な低下をわずらっていることを反映するように制御システム40によって変更されることができる。別の例では、患者固有の情報が、この患者が予定投与量のヘパリンの投与開始前7日間以内に基準血小板数になっていなかったことを示していれば、この患者に投薬を提供する医療機器80の動作パラメータ234は、この患者がヘパリン開始前に基準血小板になっていないことを反映するように制御システム40によって変更されることができる。別の例では、患者固有の情報が、ヘパリンが4日間有効になってからある時間以内にその患者の血小板数が測定されていなかったことを示していれば、その患者に投薬を提供する医療機器80の動作パラメータ234は、当該時間以内の血小板数の測定がないこととヘパリンの4日間の投与とを反映するように制御システム40によって変更されることができる。
【0058】
医療機器80が患者に少なくとも2つの薬剤からなる混合物を供給するための動作パラメータ234で構成可能である特定の側面では、投薬ガイドラインデータベース60には、この医療機器を用いて当該患者に混合物を提供する許容動作パラメータを含まれる。例えば、麻酔薬(例えば、ブピバカイン)が鎮痛剤(フェンタニル)と単独の溶液の薬剤混合カクテルに混合されていると、投薬ガイドラインデータベース60は2つの薬剤の濃度を評価し、薬剤混合カクテル内の2つの薬剤の濃度に基づいて、薬剤混合カクテルの投与限度を判定することができる。
【0059】
特定の側面では、投薬ガイドラインデータベース60からの許容動作パラメータを患者情報データベース62からの患者固有の情報と比較するように構成されている制御システム50のプロセッサ212は、医療機器80に与えられた患者の第1の体重(例えば、除脂肪体重または全体重)を別の医療機器に与えられた患者の第2の体重(例えば、除脂肪体重または全体重)と比較するプロセッサを含む。例えば、第1のチャネルでは、患者の体重は70キログラムという除脂肪体重に基づいている。第2のチャネルでは、当該患者の体重は80キログラムである全体重に基づいている。言い換えると、制御システム50は、2つの医療機器80が異なる薬剤に対して一人の患者の異なる体重を受け入れることを許している。さらに、該システムでは、同じ患者に使用される体重の間の変動の許容されるパーセントまたは絶対値を施設が確定することができる。例えば、許容変動が10%の場合、システム中での全体重は、それぞれの10%内になければならない。これにより、深刻な過剰または過少投与をもたらし得る患者体重の入力間違いが防止される。これについては次段落でも触れる。このような機能は、除脂肪体重と全体重とが大幅に異なることがある高度肥満症患者にとりわけ関連がある。高度肥満症患者に全体重に基づいて投薬することは不適切なおそれがある。
【0060】
このように、制御システム40は患者の体重に基づいて、ガードレールを設置するように構成される。具体的には、制御システム40は、第1のチャネルと第2のチャネルに入力された体重を特定し比較するように構成される。例えば、もし、点滴が第1のチャネルで10キログラムの小児患者に実施されていれば、第2のチャネルが準備されるときには、第1のチャネルに基づき10キログラムの初期設定体重が入力される。臨床医が第2のチャネルでこの小児患者の体重として誤って「110」キログラムと入力すると、単に臨床医の間違いのために、この小児患者は処方される量の約10倍の薬剤量を投与される可能性がある。制御システム40は、入力された患者の体重がはずれている、あるいは、ユーザまたは施設が設定する、特定の割合(例えば、10%、20%)または5ポンドまたは5キログラムなどの絶対値だけ異なっていることを指摘し、患者に供給される薬剤にハードまたはソフトリミットを適用することができる。
【0061】
特定の側面では、患者に投薬を提供するための医療機器80の動作パラメータ234を変更するように構成されている制御システム50のプロセッサ212は、患者の体表面積を有する人(例えば、患者情報データベース62からの情報で判定される)の場合の許容動作パラメータの判定に基づき動作パラメータ234を変更するように構成されるプロセッサ212を含む。患者の体表面積または実際の表面積は、患者の体重と比較して、動作パラメータ234を判定するための制御システム40による投与量変更にとって、より正確な尺度となり得る。場合によっては、薬剤が患者の体重ではなく患者の体表面積に基づき投与される場合の方がよりよい治療反応を得ることができる。例えば、体重が350lbsの痩せた患者は、体重が350lbsの肥満患者よりも体表面積が少ないであろう。もし体表面積が考慮されなければ、両方の患者に同じ量の薬剤が投与されることになり、不正確であり得る。薬剤が患者の体重に基づき患者に供給されるが、体表面積によれば、制御システム40によって決定される患者への薬剤供給量が多すぎる場合、制御システム40はそれに従って動作パラメータ234を変更することができる。
【0062】
同様に、特定の側面によると、患者に投薬を提供するための医療機器80の動作パラメータ234を変更するように構成されている制御システム50のプロセッサ212は、人の体重に関する許容動作パラメータの判定に基づいて動作パラメータ234を変更するように構成されているプロセッサ212を含む。患者の体重は、動作パラメータの判定について、制御システム40による投与量変更の正確な尺度となり得る。場合によっては、投与量が体重ベースの投与量としてプログラミングされていたとき、患者の体重に基づかずに投与される最大総投与量(例えば、「超過禁止」)を薬剤が超過しなければ、より安全な治療反応を得ることができる。例えば、薬剤が医師によって指示され、投与量が患者の体重に基づいていて、非体重ベースの最大総投与量(超過禁止)限界を超えれば、プログラミングされた体重ベースの投与量が、病院が確立したデータベース最大(超過禁止)非体重ベース限界を超えていることを伝える警報がユーザに表示される。
【0063】
特定の側面では、制御システム40のプロセッサ212は、患者に投薬を提供するための動作パラメータ234が、患者情報データベース62からの患者固有の情報に基づいて変更されたことを示す通知を医療機器80に提供するように構成される。例えば、制御システム40のプロセッサ212は、患者固有の情報と投薬ガイドラインデータベース60とに基づいて制御システム40によって変更された動作パラメータ234とともに警報を表示するように医療機器80のプロセッサ154に命じることができる。表示は医療機器80の近傍の臨床医が見ることができる。特定の側面では、プロセッサ212は介護人からの、動作パラメータ234の変更を無効にする入力を受信するようにさらに構成される。こうして、介護人は、医療機器80の入力装置216を用いて制御システム40による変更を無効にすることができる。変更された動作パラメータを無効にする確認に加えて、介護人が動作パラメータ234の変更を無効にした理由を提示するように介護人に要求することもできる。プロセッサは、介護人が動作パラメータ234の変更を無効にした時間を、例えば制御システム40のメモリ42などに記録するように構成される。
【0064】
制御システム40のプロセッサ212が医療機器80に通知を行うように構成される特定の側面では、プロセッサ212は介護人のアイデンティティ、医療機器の位置の特定、または施設の選択に基づいた通知を提供するか否かを判定する構成パラメータを受信するように構成される。例えば、プロセッサ212は、上限警告(例えば、最大薬剤投与量)を超過する動作パラメータ234に関して確認ステップを要求するが、下限警告(例えば、最小薬剤投与量)についてはそうでないように医療機器80を構成することができる。別の例では、プロセッサ212は、特定の重要な薬剤について、または薬剤が医療機器80を用いて患者に初めて供給されるときに、確認ステップを要求するように医療機器80を構成することができる。警報をいつ、どういう理由で表示するかについての構成は、医療機器80を配置する施設によって設定することができる。
【0065】
さらに別の例では、プロセッサ212は、医療機器80が配置される治療区域に基づいて、あるいは医療機器と関連付けられる介護人によって、警報を表示する、および/または確認ステップを要求するように医療機器80を構成することができる。例えば、手術室では、薬剤を供給するための動作パラメータ234は通常、小児科病棟で患者に薬剤を供給するための動作パラメータ234とは非常に異なる。医療機器80の動作パラメータ234は、それに応じて、制御システム40によって構成される、あるいは変更されることができる。別の例では、医療機器80に関連付けられる介護人が10年を超える経験を備えて高度に訓練されている場合には、経験の少ない別の介護人と比べて警報が表示されない場合もあろう。
【0066】
図3は、患者固有の情報に照らしつつ投薬ガイドラインデータベース60を参照することによって、プログラム可能な医療機器80およびと制御システム40とを用いて患者への誤薬を低減するプロセスの例を示す機能ブロック図である。ステップ110から開始して、介護人は、特定の薬剤を患者に送達するのに必要な動作パラメータ234またはその他の情報によって医療機器80をプログラミングする。次に、ステップ112で、医療機器80と投薬ガイドラインデータベース60との間の通信リンクが確立される。特定の側面では、医療機器80と投薬ガイドラインデータベース60との間の通信リンクは、介護人が医療機器80をプログラミングする前に確立され、例えば、医療機器80を最初に別のシステムによってプログラミングする(例えば、介護人による見直しと承認のために)ことができる。医療機器80は、ステップ114で動作パラメータ234またはその他の情報を制御システム40に伝達する。次に、制御システム40のプロセッサ212は伝達された医療機器80の動作パラメータ234を、サーバ130の患者情報データベース62から受信した患者の患者固有情報に照らしつつ投薬ガイドラインデータベース60内の制度上確立されたガイドラインと比較する。判定ステップ118では、医療機器80の動作パラメータ234のいずれかが範囲外であるか否か、すなわち、患者固有の情報に照らして投薬ガイドラインデータベース60の制度上確立されたガイドラインまたは限界を逸脱しているか否かを判定する。
【0067】
医療機器80の動作パラメータ234が患者固有の情報に照らして範囲内にあると判定されると、プロセスはステップ120に進み、動作パラメータ234の確認メッセージが医療機器80に送信される。この確認メッセージを受信すると、医療機器80はロックがはずれ、医療機器80による薬剤送達の開始が許可される。このアプローチは、上述したように、薬剤ライブラリのハードおよびソフトリミットの機能に対しては特定の適用を有するであろう。ソフトリミットが破られる場合、制御システム40が医療機器80を解除する前に介護人から医療機器80への入力が必要となる。ハードリミットが破られる場合は、医療機器80は制御システム40によって解除されない。次に、ステップ122で、医療機器80による薬剤送達の進行が許可される。
【0068】
患者固有の情報に照らして、医療機器80の動作パラメータ234が範囲外にあると判定されると、ステップ124で警報が医療機器80に提供される。警報は可聴、可視、またはその両方とすることができる。例えば、「適合」または「不適合でない」などのメッセージが提供されて、介護人の医療機器80の使用に関する決定の基礎となるさらなる情報を介護人に与える。後者のメッセージは、パラメータが、制御システム40に記憶される医療施設ガイドラインと「適合している」ことを示すことができる。次に、ステップ126で、患者情報データベース62からの患者固有の情報に照らして投薬ガイドラインデータベース60に基づいて制御システム40によって判定された変更された動作パラメータ234が、医療機器80に提供される。変更された動作パラメータ234が判定ステップ128で受け入れられると、プロセスは上述のステップ120に進む。変更された動作パラメータ234が判定ステップ128で受け入れられない場合、プロセスは上述の開始ステップ110に進む。
【0069】
図4は、図2の制御システム40、医療機器80、サーバ130を実装することのできるコンピュータシステム400の例を示すブロック図である。特定の側面では、コンピュータシステム400は、ハードウェアまたはソフトウェアとハードウェアの組み合わせを用いて、専用サーバで、別のエンティティに組み込んで、あるいは複数のエンティティ間に分散して実装することができる。
【0070】
コンピュータシステム400(例えば、制御システム40、医療機器80、サーバ130)は、情報を伝達するためのバス408またはその他の通信機構と、情報を処理するためにバス408に接続されるプロセッサ402(例えば、プロセッサ212、154、136)とを含む。例えば、コンピュータシステム400は1つまたはそれ以上のプロセッサ402で実装することができる。プロセッサ402は、汎用マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラム可能ゲートアレイ(FPGA)、プログラム可能論理装置(PLD)、コントローラ、状態機械、ゲート論理、別個のハードウェアコンポーネント、あるいは計算またはその他の情報の操作を実行することのできるその他任意の適切なエンティティとすることができる。
【0071】
コンピュータシステム400は、ハードウェアに加えて、当該コンピュータプログラムの実行環境を生成するコード、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読出専用メモリ(ROM)、プログラム可能読出専用メモリ(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、レジスタ、ハードディスク、可搬型ディスク、CD-ROM、DVD、またはその他任意の適切な記憶装置などの、プロセッサ402によって実行される情報および指示を記憶するためにバス408に接続される内蔵メモリ404(例えば、メモリ42、152、132)に記憶される、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、あるいはそれらのうち1つまたはそれ以上の組み合わせを構成するコードを含むことができる。プロセッサ402およびメモリ404は、特定目的論理回路によって補完する、あるいはこれに組み込むことができる。
【0072】
指示はメモリ404に記憶され、1つまたはそれ以上のコンピュータプログラム製品において、すなわち、コンピュータシステム400による実行、またはその動作の制御のためにコンピュータ可読媒体上で、例えば、データ指向言語(例えば、SQL、dBase)、システム言語(例えば、C、Objective-C、C++、Assembly)、アーキテクチャ言語(例えば、Java(登録商標)、.NET)、アプリケーション言語(例えば、PHP、Ruby、Perl、Python)などコンピュータ言語を含むがそれらに限定されない、当業者にとって周知な方法にしたがって符号化されるコンピュータプログラム指示の1つまたはそれ以上のモジュールにおいて実装することができる。指示は、また、アレイ言語、アスペクト指向言語、アセンブリ言語、オーサリング言語、コマンドラインインタフェース言語、コンパイル言語、並行言語、ブレース言語、データフロー言語、データ構造言語、陳述言語、難解言語、拡張言語、第4世代言語、機能言語、対話形式言語、解釈言語、反復言語、リストベース言語、小言語、論理ベース言語、機械言語、マクロ言語、メタプログラミング言語、マルチパラダイム言語、数値解析、非英語ベースの言語、オブジェクト指向クラスベース言語、オブジェクト指向プロトタイプベース言語、オフサイドルール言語、手続き言語、反射言語、ルールベース言語、スクリプト言語、スタックベース言語、同期言語、シンタックスハンドリング言語、ビジュアル言語、ヴィルト言語、埋込言語、xmlベース言語などのコンピュータ言語でも実装することができる。また、メモリ404は、プロセッサ402により実行される指示の実行中、一次的な可変またはその他の中間情報を記憶するためにも使用することができる。
【0073】
本明細書で述べられたコンピュータプログラムは、必ずしもファイルシステム内のファイルに対応しない。プログラムは、その他のプログラムまたはデータを保持するファイルの一部(例えば、マークアップ言語文書に記憶される1つまたはそれ以上のスクリプト)、当該プログラム専用の単独のファイル、または複数の連携ファイル(例えば、1つまたはそれ以上のモジュール、サブプログラム、またはコードの一部を記憶するファイル)に記憶することができる。コンピュータプログラムは、1つのサイトに位置する、あるいは複数のサイトに分散されて通信ネットワークによって相互接続される、1つのコンピュータまたは複数のコンピュータ上で実行するように配備することができる。本明細書に記載されるプロセスおよび論理フローは、1つまたはそれ以上のコンピュータプログラムを実行する1つまたはそれ以上のプログラム可能なプロセッサによって、入力データに基づき動作して出力を生成することによって機能を果たすように実行されることができる。
【0074】
コンピュータシステム400は、情報および指示を記憶するためにバス408に接続される、磁気ディスクまたは光ディスクなどのデータ記憶装置406をさらに含む。コンピュータシステム400は入出力モジュール410を介して各種装置に接続することができる。入出力モジュール410は任意の入出力モジュールとすることができる。入出力モジュール410の例はUSBポートなどのデータポートを含む。入出力モジュール410は通信モジュール412に接続されるように構成される。通信モジュール412の例(例えば、通信モジュール210、156、138)はイーサネット(登録商標)カードやモデムなどのネットワークインタフェースカードを含む。特定の側面では、入出力モジュール410は入力装置414(例えば、入力装置216)および/または出力装置416(例えば、表示装置214)などの複数の装置に接続するように構成される。入力装置414の例はキーボードと、マウスまたはトラックボールなどの位置指示装置とを含み、それらによってユーザはコンピュータシステム400に入力することができる。触覚入力装置、視覚入力装置、音声入力装置、または脳-コンピュータインタフェース装置などの他の種類の入力装置414を使用して、ユーザとの相互作用を提供することもできる。例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバックなどの任意の形式の感覚フィードバックとすることができ、ユーザからの入力は、音響、音声、触覚、または脳波入力などの任意の形式で受信することができる。出力装置416の例は、ユーザに情報を表示するための、LED(発光ダイオード)、CRT(陰極線管)、またはLCD(液晶ディスプレイ)画面などの表示装置を含む。
【0075】
本開示の一側面によると、制御システム40、医療機器80、サーバ130は、コンピュータシステム400を用いて、メモリ404に含まれる1つまたはそれ以上の指示の1つまたはそれ以上のシーケンスを実行するプロセッサ402の応答として実装することができる。上記指示は、データ記憶装置406などの別の機械可読媒体からメモリ404に読み込むことができる。主メモリ404に含まれる指示のシーケンスを実行することで、プロセッサ402は本明細書に記載されるプロセスステップを実行することができる。マルチプロセス構造における1つまたはそれ以上のプロセッサを、メモリ404に含まれる指示のシーケンスを実行するように採用することもできる。別の側面では、本開示の各種側面を実装するソフトウェア指示の代わりに、あるいはこれと組み合わせて配線接続回路を使用することができる。このように、本開示の側面は、ハードウェア回路とソフトウェアとの特定の組み合わせに限定されるものではない。
【0076】
本明細書に記載される対象の各種側面は、データサーバを例とするバックエンドコンポーネントを含む、あるいはアプリケーションサーバを例とするミドルウェアコンポーネント、もしくはそれを介してユーザが本明細書に記載される対象の実施物と相互作用することができるグラフィカルユーザインタフェースまたはウェブブラウザを有するクライアントコンピュータを例とするフロントエンドコンポーネントを含む、あるいは1つまたはそれ以上の上記バックエンド、ミドルウェア、またはフロントエンドコンポーネントの任意の組み合わせのコンピューティングシステムにおいて実現することができる。システムのコンポーネントは、通信ネットワークなどのデジタルデータ通信の任意の形式または媒体によって相互接続することができる。通信ネットワーク(例えば、ネットワーク30)は、例えば、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、キャンパスエリアネットワーク(CAN)、都市域ネットワーク(MAN)、広域ネットワーク(WAN)、広帯域ネットワーク(BBN)、インターネットなどのうち1つまたはそれ以上を含むことができる。さらに、通信ネットワークは、例えば、バスネットワーク、スターネットワーク、リングネットワーク、メッシュネットワーク、スター-バスネットワーク、ツリーまたは階層型ネットワークなどを含む1つまたはそれ以上のネットワークトポロジを含むことができるが、それらに限定されない。通信モジュールは例えばモデムまたはイーサネット(登録商標)カードとすることができる。
【0077】
コンピューティングシステム400はクライアントとサーバとを含むことができる。クライアントとサーバは通常、互いに離れており、典型的には通信ネットワークを介して相互作用する。クライアントとサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上で動作し、相互にクライアント-サーバ関係を有するコンピュータプログラムによって発生する。コンピュータシステム400は例えば、限定はしないがデスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、またはタブレットコンピュータであってもよい。また、コンピュータシステム400は、それらに限定されないが、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、携帯オーディオプレーヤ、全地球測位システム(GPS)受信機、ビデオゲームコンソール、および/またはテレビセットトップボックスといった別の装置に組み込むことができる。
【0078】
本明細書で使用される「機械可読記憶媒体」または「コンピュータ可読媒体」という用語は、実行するためにプロセッサ402に指示またはデータを提供する際に関与する媒体を指す。このような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、送信媒体を含むがそれらに限定されない多数の形状をとることができる。不揮発性媒体は例えば、光ディスク、磁気ディスク、またはデータ記憶装置406などのフラッシュメモリを含む。揮発性媒体はメモリ404などのダイナミックメモリを含む。送信媒体は、バス408をなす配線を含む、同軸ケーブル、銅線、光ファイバを含む。機械可読媒体の一般的な形状は、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、その他任意の磁気媒体、CD-ROM、DVD、その他任意の光学媒体、パンチカード、紙テープ、その他任意の穴パターンを有する物理的媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH EPROM、その他任意のメモリチップまたはカートリッジ、あるいはコンピュータが読み取ることのできるその他任意の媒体などである。機械可読記憶媒体は、機械可読記憶装置、機械可読記憶基板、メモリ装置、機械可読伝播信号を生成する物質の構造体、またはそれらのうち1つまたはそれ以上の組み合わせとすることができる。
【0079】
本明細書で使用される際、一連のアイテムに先行する「少なくとも1つ」という句は、任意のアイテムを分離する「および」あるいは「または」の用語とともに、リストの各構成要素(すなわち、各アイテム)ではなくリスト全体を修飾する。「少なくとも1つ」という句は、少なくとも1つのアイテムの選択を必要とするのではなく、任意のアイテムの少なくとも1つ、および/またはアイテムの組み合わせの少なくとも1つ、および/または各アイテムの少なくとも1つを含む意味を認めるものである。例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」あるいは「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」という句はそれぞれAのみ、Bのみ、またはCのみ;A、B、およびCの任意の組み合わせ;および/またはA、B、およびCのそれぞれの少なくとも1つを指す。
【0080】
さらに、「含む」、[有する」などの文言が明細書または特許請求の範囲で使用される場合には、「備える・からなる」(comprise)が請求項の中で転換語として用いられる際に解釈されるときの「備える・からなる」という文言と同様に、包括的であることを意図する。
【0081】
単数形での要素の言及は、特に断りのない限り「1つのみ」ではなく「1つまたはそれ以上」を意味することを意図としている。「いくつか」という文言は1つまたはそれ以上を指す。当業者にとって既知な、あるいは後で既知となる、本開示全体を通じて説明される各種構造の要素の構造上および機能上の等価物はすべて、引用により明確に本明細書に組み込まれ、本技術に含まれることを意図とするものである。さらに、本明細書での開示は、そのような開示が上記説明に明示的に記載されているか否かにかかわらず、公共に供されることを意図していない。
【0082】
本明細書は多くの細部を含むが、これらは請求される内容の範囲の限定としてではなく、対象の特定の実施の説明として解釈すべきである。別個の実施形態の内容において本明細書で説明される特定の特徴は、単独の実施形態内で組み合わせて実現することができる。逆に、単独の実施形態の内容において説明される様々な特徴は、複数の実施形態において個別に、または任意の好適な部分的組み合わせにおいて、実現することができる。さらに、特徴が特定の組み合わせにおいて機能するように説明され、さらには当初はそのように請求されているとしても、請求される組み合わせからの1つまたはそれ以上の特徴は、場合によってはその組み合わせから切り離することができ、請求される組み合わせは部分的組み合わせまたは部分的組み合わせの変形とすることができる。
【0083】
同様に、動作は、図面上、特定の順序で示されているが、所望の結果を達成するために、そのような動作が図示される特定の順序にまたは連続的順序で実行されなければならない、あるいは例示のすべての動作が実行されなければならないと要求するものであると理解すべきではない。特定の状況では、マルチタスキングおよび並列処理が有益である場合もある。さらに、上記側面における各種システムコンポーネントの分離は、そのような分離がすべての側面において必要であると理解すべきではなく、また、上述のプログラムコンポーネントおよびシステムは概して、単独のソフトウェア製品に統合したり、あるいは複数のソフトウェア製品にパッケージ化したりすることができると理解すべきである。
【0084】
本明細書の対象を特定の側面に関して説明したが、その他の側面も実装することができ、以下の特許請求の範囲に含まれる。例えば、請求項に規定される動作は異なる順序で実行し、所望の結果を達成することができる。一例として、添付図面に示すプロセスは、所望の結果を達成するために必ずしも示された特定の順序または連続的順序を必要としない。特定の実施例では、マルチタスキングおよび並列処理が有益である場合もある。他の変形も以下の特許請求の範囲に含まれる。
【0085】
これらおよびその他の実装が以下の特許請求の範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4