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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】歯科用窯
(51)【国際特許分類】
   A61C 13/00 20060101AFI20220117BHJP
   F27B 17/00 20060101ALI20220117BHJP
   F27D 11/02 20060101ALI20220117BHJP
   H05B 3/06 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
A61C13/00 K
F27B17/00 C
F27D11/02 A
H05B3/06 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019077403
(22)【出願日】2019-04-15
(65)【公開番号】P2019181212
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2019-04-15
(31)【優先権主張番号】18167529.9
(32)【優先日】2018-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596032878
【氏名又は名称】イボクラール ビバデント アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100064012
【弁理士】
【氏名又は名称】浜田 治雄
(72)【発明者】
【氏名】マニュエル シュレーゲル
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ ユッゼル
【審査官】佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-105983(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103954128(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 13/00
F27B 17/00
F27D 11/02
H05B 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科用窯(10)内の燃焼室(12)に加熱エネルギーを放射するために適した発熱体(14,16)を備え、前記発熱体(14,16)を電気抵抗発熱体として形成するとともに燃焼室(12)の下方でそれぞれ少なくとも1本の発熱体支持脚部(18)によって支承してなる、1350℃ないし1650℃の焼結温度を有する酸化セラミック用の高温歯科用窯からなる歯科用窯であり、前記発熱体(14,16)が前記発熱体支持脚部(18)を起点として上方に突立するように延在するとともに上方でアーチ(46)として終端となり、上部の側方支承を設けず、アーチ(46)の領域に側方支承を設けないこと、および前記発熱体支持脚部(18)の直径が前記発熱体(14,16)の直径の約3倍であり、前記発熱体支持脚部(18)の長さは必要に応じて、すなわち歯科用窯の立体的寸法に従って任意に調節できることを特徴とする歯科用窯。
【請求項2】
歯科用窯(10)内の燃焼室(12)に加熱エネルギーを放射するために適した発熱体を備え、前記発熱体(14,16)を抵抗発熱体として形成するとともに燃焼室(12)の下方でそれぞれ少なくとも1本の発熱体支持脚部(18)によって支承してなる、1350℃ないし1650℃の焼結温度を有する酸化セラミック用の高温歯科用窯からなる歯科用窯であり、歯科用窯の稼働中に発熱体支持脚部(18)が1350℃より低温であるとともに電気接続端子(24)から5cm超上方に向かって延在し、発熱体(14,16)が尖形の逆U字形に延在することを特徴とする歯科用窯。
【請求項3】
発熱体(14,16)が上面図で見て環状および/または多角形を形成するように燃焼室(12)の周囲に分配され、3ないし8個の発熱体からなることを特徴とする請求項1または2記載の歯科用窯。
【請求項4】
発熱体(14,16)とさらに発熱体支持脚部(18)が二ケイ化モリブデンから形成されるかあるいは含んでなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の歯科用窯。
【請求項5】
発熱体(14,16)が発熱体支持脚部(18)を起点にして上方に向かって10cm未満延在することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の歯科用窯。
【請求項6】
燃焼室(12)は最大で120mmの高さと最大で100mmの直径、対角線、あるいは側辺長を有し、発熱体(14,16)が燃焼室の側方に近接してそれの高さの半分から全高にわたって延在することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の歯科用窯。
【請求項7】
発熱体(14,16)がU字の中央屋根部として半円アーチ(46)を有し、その半円の半径を少なくとも10mmかつ最大でも5cmで発熱体の断面直径の3倍超とすることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の歯科用窯。
【請求項8】
発熱体(14,16)の末端とそれに伴って該当する発熱体支持脚部(18)の末端を垂直方向に高さ違いに形成し、従って発熱体の1つの末端(脚部42)が別の末端(脚部44)に比べて高い位置に存在することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の歯科用窯。
【請求項9】
発熱体(14,16)が星形に配置されるとともに、発熱体の低い方の末端が半径方向のさらに内側に、また高い方の末端は半径方向のさらに外側に向かって延在することを特徴とする請求項8記載の歯科用窯。
【請求項10】
発熱体支持脚部(18)および発熱体(14,16)と、さらに移行領域(22)が同じ材料から形成されるとともにそれぞれ異なった断面積を有することを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の歯科用窯。
【請求項11】
発熱体支持脚部(18)と発熱体の2つの直径が段階的変化をもって形成され、その際直径が上方から下方に向かって増加することを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の歯科用窯。
【請求項12】
歯科用窯(10)のパワーエレクトロニクスを電気接続端子(24)に隣接して歯科用窯の脚部に設置することを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の歯科用窯。
【請求項13】
歯科用窯(10)が1時間未満のサイクル時間を有することを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の歯科用窯。
【請求項14】
歯科用窯(10)がフィード台(燃焼室底床20)を備え、そのフィード台が歯科補綴材を装填するために燃焼室(12)を介して下方から上方に、略歯科用窯(10)の上面の領域まで発熱体(14,16)に相対して移動可能であることを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の歯科用窯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、請求項1あるいは2前文に記載の歯科用窯に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に歯科補綴材は熱処理によって製造される。歯科補綴材の加熱のために燃焼室を備える歯科用窯が適用され、燃焼室内においてしばしば複数の歯科補綴材を同時に焼成することもできる。
【0003】
歯科補綴材はしばしば二珪酸リチウムあるいは二酸化ジルコニウム等の特殊な歯科用セラミックから形成され、所要の特性を提供するために独特な焼成曲線を必要とする。
【0004】
その際良好な焼成結果を達成するために、正確な温度プロフィールを維持する窯が必要となる。
【0005】
そのためそれ程昔でもない時点においても数時間、例えば8時間のサイクル時間が必要であった。
【0006】
さらに近年は、サイクル時間を著しく短縮することが試みられている。そのためより大きな昇温速度ならびにより大きな冷却速度が適用される。いずれも導入される熱応力のため困難を有する。
【0007】
より大きな昇温速度を実現するために、燃焼室の容積とそれに従って加熱すべき熱容量を削減することが提案されている。勿論その場合大型の歯科補綴材を使用する際の制約が生じる。
【0008】
加えて、製造すべき歯科補綴部材が複数である場合、複数を並列に使用するよりも1個の燃焼室を有する焼成窯を使用する方が効率的である。
【0009】
良好な機械的および美観的補綴品質のため、近年二酸化ジルコニウムが優先的に補綴材の原料として使用される。この原料は1600℃までの処理温度を必要とする。従ってその種の窯に使用する発熱体は1600℃までの耐熱性では充分でなく、それより顕著に高い、例えば1800℃までの耐熱性を要する。
【0010】
比較的好適な物質として二ケイ化モリブデンが挙げられる。
【0011】
その種の発熱体による稼働は1600℃を超える温度で発生する軟化のため厳密に管理される。
【0012】
そのことは発熱体の組み込みおよび支承の方式にも該当する。
【0013】
溶融温度より僅かに低い温度における発熱体の使用も可能にするために広範な実験を行った結果、発熱体を支承するかあるいは少なくとも軟化した状態において折れ曲がることが無いように保持することが不可欠であると判明した。
【0014】
その種の二ケイ化モリブデン発熱体の代表的な製造者によって多様な形状の発熱体が提供されている。例えば懸垂式に取り付けられていて従って引張力のみが生じ屈折力は生じないアーチ形の発熱体が推奨される。他方、側方の支承を採用することもでき、それによって屈折負荷の発生を防止することもできる。
【0015】
しかしながら、側方の支承だと常に発熱体の機械的負荷が存在するという難点が生じる。支承と発熱体の間に相互動作が生じることを防止することができない。それによって摩擦が生じ、その結果発熱体への機械的影響が生じる。
【0016】
二ケイ化モリブデンは高温稼働によって劣化する危険がある。酸化層(SiO)が形成されるがそれが剥がれ落ちる危険性が有り、それによって元々の二ケイ化モリブデンが露出される。酸化層は発熱体の寿命のために重要であり、剥がれ落ちた後高温耐久性のあるSiO表面を有する新たな層形成を行う必要がある。
【0017】
この方式は側方の接合によって阻害される。
【0018】
例えば3cm程度の極めて短い発熱体を使用することが提案されており、それによって接続部の支承の観点において機械的により安定する。しかしながら、この解決方式によると発熱体の表面積が小さいためその発熱体の表面負荷が過度に高くなることから実用性が低いと判断されている。温度を150℃あるいはそれ未満に保持するために接続部を強力に冷却することができる。しかしながら、そのことはエネルギー工学的に極めて不都合であることに加えて、減圧室内においては実現が困難かつ高コストになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
従って本発明の目的は、特に高温領域でエネルギー効率の観点において顕著に改善された歯科用窯を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記の課題は本発明に従って請求項1によって解決される。従属請求項において好適な追加構成が定義される。
【0021】
本発明によれば、製造者の推奨とは異なって発熱体を直立型の要素として実現し、その際発熱体支持脚部によって支承する。前記発熱体支持脚部は高い温度勾配を有するように稼働することができ、従って接続部は低い温度に保持して支持脚部の上端は発熱体と同等の高い温度を有する。
【0022】
発熱体は電気抵抗発熱体として形成され、燃焼室の下方にそれぞれ発熱体支持脚部を使用して支承される。
【0023】
発熱体自体は懸垂式の発熱体で知られているようにアーチ形に形成することができる。それらは側方の支承が不要である。
【0024】
本発明に係る解決方式によれば、接続部の冷却とそれに伴ったエネルギー損失を完全に回避することができる。さらに上方の接続部の問題点も解消することができる。従来は、例えば100アンペアあるいは数百アンペアの電流の通電に適する導線を懸垂式の発熱体の上方の接続部まで延在させる必要があった。操作盤が下方にあることが好適であることと熱学的な理由もあり;またパワーエレクトロニクスを上部に配置すると燃焼室から発生する熱のために追加的冷却が必要になるとともに窯の頭が重くなって技術的に不都合になるため、歯科用窯の電子制御機構と緊密に結合されたパワーエレクトロニクスは窯の基台部に配置する必要があり、そのため導線断面積を大きくしても相当に長くなる導線によって大きな損失が生じる。
【0025】
本発明によれば、側方の支承を伴わずに発熱体を形成する。それによって発熱体を保護する酸化層に追加的に機械的な負荷がかかることが無くまた破損することも無いことが保証される。
【0026】
発熱体アーチを比較的短くすることができ、それが機械的な安定性を向上させる。本発明に係る独特な発熱体支持脚部の観点において、複数の発熱体を任意の適宜な方式で燃焼室の周りに配置することができる。それにより各発熱体が必要な箇所、すなわち燃焼室の側部に照準を合わせて熱を放射することができるため、従来の解決方式のようにエネルギー工学的に非効率な方式になることはない。
【0027】
発熱体の上端をアーチ形に形成し例えば楕円形あるいは半円形アーチとすることが好適であるが、上部に溶接部を設けてゴシック窓のような形式の尖形アーチとすることも可能である。この溶接部は僅かではあるものの追加重量につながるが、他方でその箇所における発熱体の強化を提供する。
【0028】
発熱体ならびに発熱体支持脚部の幾何学的な寸法は、必要に応じて広範に調節することができる。比較的小さな燃焼室を備える小型の歯科用窯において、発熱体支持脚部への接続部からアーチの上端までで見て例えば60mmの発熱体の高さを想定することができる。その際発熱体支持脚部はいずれも例えば120mmの長さを有することができ、従って所要の温度勾配を形成するために比較的大きな高さが提供される。
【0029】
発熱体は支持脚部内で片持ち支持されて上方に向かって延在する。垂直に対して角度差が存在する場合、発熱体が傾倒することが無いようにその差を5°未満とすることが好適である。
【0030】
本発明によれば、発熱体が少なくとも2mmの直径を有することが好適である。
【0031】
本発明の好適な追加構成によれば、発熱体支持脚部が電気ソケットから発熱体までの延長にわたって特に50℃/cm超の温度勾配を有する。
【0032】
本発明の好適な追加構成によれば、発熱体支持脚部が少なくとも接続部の領域で冷却され、特に空気および/または冷却リブを使用して、あるいは特に液体等の他の任意の熱交換媒体によって冷却される。
【0033】
好適な追加構成によれば、特に発熱体を含めた歯科用窯に減圧を付加し得るようにする。
【0034】
本発明の好適な追加構成によれば、発熱体が発熱体支持脚部に接続する部分において円錐形状に先細になる移行領域を備え、その移行領域が発熱体の延長の少なくとも1/20、特に少なくとも1/10を占めるようにする。
【0035】
前記の移行領域が他の任意の形状を有することができることが理解される。例えば発熱体を支持脚部の平坦な上端に取り付けることができる。また、支持脚部の傾斜した上端への取り付けも実施可能である。さらに、結合を一体式に実施するか、または溶接によって実施することも可能である。
【0036】
本発明の別の好適な構成形態によれば、発熱体支持脚部から移行領域を介して発熱体まで断面積が単調減少し、特に厳密に単調減少する。
【0037】
本発明の好適な構成形態によれば、支持脚部と発熱体が移行領域を含めて同一の原料から形成されるとともに異なった断面積を有する。
【0038】
本発明に係る解決方式の独特な構成形態において、歯科用窯が上方からフィード可能である。フィード台が垂直に動作可能であって、また窯がさらに垂直の通路を備えていてそれを介してフィード台を下から上およびその逆に動作させることができる。発熱体は前記通路の中間の高さに配置し、また通路が上方で蓋部材によって閉鎖可能である。
【0039】
その種の窯は特に本発明に係る発熱体支持脚部を有する発熱体と極めて好適に組み合わせることができ、その理由はそのような窯が特に比較的小さな燃焼室に適していてその際様々な理由から電気接続端子を窯脚部に配置する必要があるためである。その種の窯は特に歯科診療所内のチェアサイド窯として有用である。
【0040】
本発明に係る発熱体は付属する支持脚部と共に燃焼室の周りに環状に延在することができる。その際任意の幾何学な環の構成が考えられ、例えば多角形あるいは非対称型の構成も可能である。
【0041】
本発明のその他の詳細、特徴ならびに利点は、添付図面を参照しながら以下に記述する実施例の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明に係る歯科用窯の実施形態を示した概略説明図である。
図2】本発明に係る歯科用窯の発熱体と付属する支持脚部を示した側面図であって温度勾配を示すグラフが付記されている。
図3】本発明に係る支持脚部を備えた発熱体の別の実施形態を示した概略説明図である。
図4A】本発明に係る歯科用窯の燃焼室の周りの発熱体の配置例を示した概略説明図である。
図4B】本発明に係る歯科用窯の燃焼室の周りの発熱体の配置例を示した概略説明図である。
図4C】本発明に係る歯科用窯の燃焼室の周りの発熱体の配置例を示した概略説明図である。
図4D】本発明に係る歯科用窯の燃焼室の周りの発熱体の配置例を示した概略説明図である。
図4E】本発明に係る歯科用窯の燃焼室の周りの発熱体の配置例を示した概略説明図である。
図4F】本発明に係る歯科用窯の燃焼室の周りの発熱体の配置例を示した概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1の実施形態は歯科用窯10を備える。この窯は燃焼室12を備えていて、その周りに複数の発熱体が配置される。図1には2個の発熱体14および16が図示されている。
【0044】
発熱体は燃焼室12の高さの大半にわたって延在する。発熱体は発熱体支持脚部18上に支承され、その際各発熱体14が上方に向かって逆U字型の形式で延在して2体の支持脚部18上で支承される。
【0045】
発熱体支持脚部18は燃焼室底床20を貫通する。支持脚部は相当大きな高さにわたって延在し、例えば発熱体14および16の高さの略2倍の高さにわたって延在する。
【0046】
発熱体支持脚部18は発熱体14および16を支承するための移行領域22を備える。その移行領域は支持脚部18の断面形状を発熱体14および16に適合させる機能を提供する。この実施例においては円形の断面が形成されていて、移行領域が円錐形あるいは円錐台形である。
【0047】
それに代えて任意の他の断面形状を適用し得ることも理解される。
【0048】
発熱体支持脚部18はそれの下端に電気接続端子24を備える。その場所は比較的低温で例えば約200℃であり、また窯10の底床26の領域に冷却風口28を設けて接続端子24をさらに冷却する。
【0049】
燃焼室12は蓋部材30によって閉鎖可能である。燃焼室底床20は垂直に移動可能である。蓋部材30を持ち上げるかあるいは旋回移動させた後天井開口を介して燃焼室底床20を上昇させることができ、それによってそこに収容された焼成物、例えば歯科補綴材を取り出して窯に新しいものを装填することができる。
【0050】
図示された実施例において発熱体14および16が燃焼室12の周囲に配置されている。
【0051】
発熱体14および発熱体支持脚部18の外側に断熱材40が設けられる。その断熱材は発熱体14および支持脚部18を収容する溝を備えることもできる。
【0052】
発熱体から放出された粒子および/またはガスから燃焼室を保護するために、発熱体14を周知の耐熱保護材によって被覆することもできる。
【0053】
図2には、本発明に係る発熱体14の実施形態が示されている。発熱体14は2本の側方脚部42および44を備え、それがアーチ形屋根部46を介して相互に結合される。
【0054】
側方脚部44が移行領域22を介して支持脚部18aに結合して支承され、側方脚部42は移行領域22を介して支持脚部18bに結合される。
【0055】
アーチ形屋根部46は側方脚部42および44と略同じ長さを有する。また、それに応じて比較的大きな半径を有する。短い電気経路(それに従って小さくなる抵抗)のため、アーチ形屋根部46の内側が比較的高温になる。
【0056】
それを補償するために、本発明に係る発熱体の変更された構成形態によればアーチ形屋根部46に長楕円形の断面を設ける。その構成形態によればアーチ形屋根部46の外側がいわば延伸されたようになってかつ低温になり、すなわち基本的に内側が外側から浮いたようになる。
【0057】
楕円形の断面を任意にさらに側方脚部42および44の領域まで連続させ得ることが理解される。
【0058】
アーチ形屋根部46の外側は内側に比べて高い電気抵抗のため常に、すなわち円形の断面である場合でも、内側に比べて低温になる。
【0059】
本発明によれば、発熱体14の最も高温の部分が常により低温の外面によって支承される。従って発熱体を直立式に配置するにもかかわらず最も高温の部分がいわば浮遊したようになる。
【0060】
アーチ形屋根部46のアーチ直径は発熱体14の直径の約6倍となる。移行領域22は発熱体14の直径の約3倍に相当する高さを有する。
【0061】
支持脚部18aおよび支持脚部18bの直径も発熱体14の直径の約3倍になる。支持脚部18の長さは必要に応じて、すなわち歯科用窯の立体的寸法に従って任意に調節することができる。
【0062】
いずれにしても下方に電気接続端子24を設ける。その端子が周知の方式のクランプを備え、それがネジ結合によって支持脚部18の下方領域を挟んで包囲し、大きな接触面積によってその部分の電流密度が低くなるように作用する。
【0063】
発熱体と支持脚部の温度が図2の右側に概略的に示されている。発熱体は上部に向かって緩やかに上昇する温度を有し、約1800℃である。その温度は移行領域22内において既に顕著に低くなり、支持脚部18の下端においては電気接続端子との接触が可能になるような値まで低下する。
【0064】
図3には、本発明に係る発熱体14のさらに別の変更された構成が示されている。その構成形態によれば支持脚部18bが支持脚部18aに比べて著しく長くなり、それに合わせて側方脚部42が側方脚部44に比べて著しく短くなる。
【0065】
この実施形態によればアーチ形屋根部46と側方脚部42の組み合わせがいわば側方脚部44を支承し、従って物理的に直立型の構成であるにもかかわらず仮想的に浮遊させた構成が達成される。
【0066】
図4A乃至4Fには、燃焼室12に対する発熱体の多様な相対的配置が示されている。しかしながらそれらは単に例示の目的である。
【0067】
図4Aには四角形の燃焼室12が示されており、その周りに発熱体14および16が対称形に配置されている。この実施形態において燃焼室12を円形にするかまたは角を丸めて形成することもできる。
【0068】
図4Bに示された実施形態は4個の発熱体14および16を備え、それらが長方形の燃焼室12の周りに配置される。図4Bに示されるように発熱体が斜めに配置されているが、その場合発熱体の長くかつ高温の側方脚部44を燃焼室12に近接させまた低温で短い方の側方脚部42は燃焼室12から離して配置することが好適である。
【0069】
図4Cには、本発明に係る歯科用窯の別の実施形態が示されている。この解決方式において8個の発熱体14が円形あるいは八角形の燃焼室12の周りに八角形に配置される。
【0070】
図4Dの実施形態において、各発熱体14が上面図で見て湾曲する。この湾曲はアーチ形屋根部46を適宜に構成することによって実現する。従って燃焼室12が緊密に包囲され楕円形に延在するものになる。
【0071】
図4Eには菱形の発熱体配置が示されている。この解決方式において燃焼室12が例えば台形の断面を有するか、あるいは楕円形とすることができる。
【0072】
図4Fの実施形態は図3の非対称形の発熱体の適用に有効である。この場合発熱体配置が例えば4個の発熱体からなる星型になる。この場合も長い方の側方脚部44が燃焼室12の方を向いていて短い方の側方脚部42は燃焼室12と逆向きになる。
【符号の説明】
【0073】
10 歯科用窯
12 燃焼室
14,16 発熱体
18,18a,18b 発熱体支持脚部
20 燃焼室底床
22 移行領域
24 電気接続端子
26 底床
28 冷却風口
30 蓋部材
40 断熱材
42,44 側方脚部
46 アーチ形屋根部


図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F