(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】浴室用防カビ剤及び浴室内への防カビ剤の定着方法
(51)【国際特許分類】
A01N 31/08 20060101AFI20220117BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20220117BHJP
A01N 25/20 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
A01N31/08
A01P3/00
A01N25/20 101
(21)【出願番号】P 2019148808
(22)【出願日】2019-08-14
【審査請求日】2020-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】591185548
【氏名又は名称】昭栄薬品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001885
【氏名又は名称】特許業務法人IPRコンサルタント
(72)【発明者】
【氏名】岩井 敬治
【審査官】佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-202868(JP,A)
【文献】特開2005-336152(JP,A)
【文献】特開2001-187704(JP,A)
【文献】特開2016-209533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 31/08
A01P 3/00
A01N 25/20
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A):
木粉又は植物粉末を含む支燃剤
とタブ粉を含む糊剤
とを含む線香基
材、及び
成分(B):
イソプロピルメチルフェノールを含む防カビ抗菌成
分、
を含有
し、
前記イソプロピルメチルフェノールを3.0質量%~10.0質量%含有すること、
を特徴とする線香式の浴室用防カビ剤。
【請求項2】
浴室内において請求項1に記載の浴室用防カビ剤を燃焼させ、前記浴室内に前記浴室用防カビ剤の燃焼煙を充満させること、を特徴とする浴室内への防カビ剤の定着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線香式の浴室用防カビ剤及びこれを用いた浴室内への防カビ剤の定着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般家庭や宿泊施設の浴室は、気密性が高く外気の流入も制限されるため、湿気が溜まり易く、カビや雑菌等が繁殖し易い環境となっている。特に、浴室の天井、壁の上部、床の目地及び換気扇等には、日常の清掃が行き届きにくいことから、カビや雑菌等が繁殖し易く、その清掃も困難である。
【0003】
このような状況のなか、例えば特許文献1(特開2003-286104号公報)においては、浴室内の天井や壁面に防黴成分を塗布するため、炭酸ガス等のガスを利用した自噴式噴霧器を用いて防黴成分を噴霧する浴室の防黴方法が提案されている。
【0004】
また、例えば特許文献2(特開2017-122080号公報)においては、香りに影響を与えることなく、害虫忌避効果や香料保留効果を有するものとして、線香基材及びp-メンタン-3,8-ジオールを含有する線香が提案されており、防カビ剤を任意に添加してもよいと記載されている(特許文献2、段落[0031])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-286104号公報
【文献】特開2017-122080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の浴室の防黴方法では、大掛かりな装置が必要となり、また、炭酸ガス等を用いてガス圧により薬剤の噴霧を行うことから、薬剤の噴霧、拡散性が十分ではなく、天井や壁面での除菌効果が満足できるものではない。
【0007】
また、上記特許文献2に記載の線香にあっては、害虫忌避効果や香料保留効果を得ることを主眼としたものであり、防カビ剤を添加してもよいとはいうものの、その具体的な構成や効果については触れられておらず、特に浴室内での使用に適してるとは言い難い。
【0008】
そこで、本発明は、上記のような従来技術に鑑みてなされたものであって、大掛かりな装置を用いることなく、優れた防カビ効果を発揮する浴室用防カビ剤及びこれを用いた浴室内への防カビ剤の定着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決すべく、本発明は、
成分(A):支燃剤及び糊剤を含む線香基材と、
成分(B):防カビ抗菌成分と、
を含有する線香式の浴室用防カビ剤、
を提供する。
【0010】
上記本発明の浴室用防カビ剤においては、前記成分(B)がイソプロピルメチルフェノールを含むこと、が好ましい。
【0011】
また、上記本発明の浴室用防カビ剤は、前記成分(B)を0.5質量%~50質量%含有すること、が好ましい。
【0012】
更に本発明は、
浴室内において上記本発明の浴室用防カビ剤を燃焼させ、前記浴室内に前記浴室用防カビ剤の燃焼煙を充満させること、を特徴とする浴室内への防カビ剤の定着方法、
をも提供する。
【発明の効果】
【0013】
上記のような構成の本発明によれば、大掛かりな装置を用いることなく、優れた防カビ効果を発揮する浴室用防カビ剤及びこれを用いた浴室内への防カビ剤の定着方法を実現するすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る浴室用防カビ剤及びこれを用いた浴室内への防カビ剤の定着方法の一実施形態について、詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0015】
1.浴室用防カビ剤
本発明の浴室用防カビ剤は、主として、成分(A):支燃剤及び糊剤を含む線香基材と、成分(B):防カビ抗菌成分と、成分(C):任意成分と、を含有する。
【0016】
(1)成分(A):線香基材
本発明の浴室用防カビ剤に含まれる線香基材は特に限定されず、通常の線香に含まれる支燃剤及び糊剤を含む線香基材が挙げられる。
【0017】
支燃剤としては、例えば、ビャクシン粉末、ビャクダン粉末、クスノキ粉末、モミノキ粉末、スギ粉末、カヤノキ粉末、マチラス粉末、タブノキ粉末、ツガ粉末、マツ粉末、ヤナギ粉末、ハリギリ粉末、ホオノキ粉末、シナノキ粉末、トウヒ粉末、イエローポプラ粉末、カツラ粉末、アカシア粉末、ヤマナカシ粉末、オオバボダイジュ粉末、オオバヤナギ粉末、サワグルミ粉末、ネズコ粉末、キリ粉末、シオジ粉末、バルサ粉末、ラワン粉末、シラカバ粉末、柑橘類木粉末等の木粉;キク科植物粉末、アカネ科植物粉末、スイカズラ科植物粉末、センダン科植物粉末、ジンチョウゲ科植物粉末、シソ科植物粉末、フトモモ科植物粉末、セリ科植物粉末、イネ科植物粉末、クワ科植物粉末、モクセイ科植物粉末、除虫菊抽出粉末(カス粉)、ココナツ粉末等の植物乾燥粉末等が挙げられる。本発明の効果を損なわない範囲で、これらをそれぞれ単独で用いてもよく任意に2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
また、糊剤はいわゆる結合剤であり、例えば、ジョス粉(タブ粉)、シャム粉、トビ粉、デンプン、トランガム、アラビアガム、グァーガム、ガンビル抽出粉末、カゼイン等の天然高分子;ポリビニールアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、ポリビニールピロリドン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、加工デンプン(例えば、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプン及びカチオンデンプン等)等の合成高分子等が挙げられる。本発明の効果を損なわない範囲で、これらをそれぞれ単独で用いてもよく任意に2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
線香基材には、必要に応じて、増量剤や燃焼調整剤等が含まれていてもよい。増量剤又は燃焼調節剤としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、パーライト、ケイソウ土等が挙げられる。
【0020】
(2)成分(B):防カビ・抗菌成分
本発明の浴室用防カビ剤は防カビ・抗菌成分を含む。かかる防カビ・抗菌成分としては、カビの発生を抑制・予防し得る成分で、人体への害が少なく、皮膚刺激性が低く、安定性に優れたものが好ましい。
【0021】
例えば、イソプロピルメチルフェノール、ジンクピリチオン、チアベンダゾール、オルトフェニルフェノール、オルトフェニルフェノールナトリウム、ジフェニル等を挙げることができ、なかでもイソプロピルメチルフェノール、ジンクピリチオン、チアベンダゾールが防カビ・抗菌効果の観点から好ましい。本発明の効果を損なわない範囲で、これらをそれぞれ単独で用いてもよく任意に2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
また、銀イオンを用いた無機抗菌剤乃至は有機系抗菌剤を用いることもできる。なかでも銀系無機抗菌剤が好ましい。本発明の効果を損なわない範囲で、これらをそれぞれ単独で用いてもよく任意に2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
(3)成分(C):任意成分
更に、本発明の浴室用防カビ剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、従来公知の種々の成分を任意成分として含んでいてもよい。かかる任意成分としては、水、染料、香料、通常の香料又は粉末香料製剤に用いられる香料成分や添加剤等を併用することができる。
【0024】
香料としては、合成香料、天然香料又はこれらを調合した調合香料を用いてもよい。例えば、炭素数6~12のアルデヒド(例えば、ヘキシルアルデヒド、デシルアルデヒド等)、アリルアミルグリコレート、イソアミルアセテート、ブチルアセテート、エチルブチレート、イソアミルサリシレート、アリルカプロエート、エチルカプロエート、エチルプロピオネート、エチルアセトアセテート、カルボン、シトラール、αピネン、β-ピネン、ブチルブチレート、シス-3-ヘキセン-1-オール、シス-3-ヘキセニールアセテート、シス-3-ヘキセニールサリシレート、マンザネート、ミルセノール、ジヒドロミルセノール、メントール、ジヒドロリナロール、リグストラール、リモネン、リナロール、リナロールオキサイド、テトラヒドロリナロール、テトラヒドロリナリールアセテート、リナリルアセテート、スチラリルアセテート、1,8-シネオール、1,4-シネオール、α-ターピネン、p-サイメン、シス-オシメン、リメトール、トランス-β-オシメン、ターピノレン、ベンジルブチレート、エチルアセテート、イソアミルブチレート、ペパーミント油、パイン油、ローズ油、ローズマリー油、クラリーセージ油、スペアミント油、スターアニス油、ラバンジン油、ラベンダー油、レモン油、レモングラス油、ライム油、ネロリ油、カナンガ油、オレンジ油、マンダリン油、タンジェリン油、ユーカリ油、フェンネル油、ゼラニウム油、ヒバ油、ベルガモット油、イランイラン油、グレープフルーツ油、ゆず油が挙げられる。
【0025】
従来から線香の製造に使用されている添加剤としては、例えば木粉、椨粉、粉末木炭、結晶セルロース、コーンスターチ、デンプン、活性炭、乳糖、果糖、ショ糖、デキストリン、マルトデキストリン、シクロデキストリン(α、β、γ)、化学修飾型シクロデキストリン、ポリビニールアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、ポリビニールピロリドン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩、カルボキシメチル澱粉塩、ジアルデヒド澱粉、カチオン澱粉等の賦形剤、塩素酸カリウム、塩素酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム等の燃焼助剤、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ヘキシルグリコール、ベンジルベンゾエート、トリエチルシトレート、ジエチルフタレート、ハーコリン、イソパラフィン系炭化水素、中鎖脂肪酸トリグリセライド、中鎖脂肪酸ジグリセライド等の香料保留剤、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)などの酸化防止剤、イソチオシアン酸アリル、安息香酸、ソルビン酸デヒドロ酢酸等の酸、それらの塩やエステル等の防黴剤、色素等が挙げられる。
【0026】
また、線香基材には、必要に応じて、有機発泡剤等が含まれていてもよい。かかる有機発泡剤としては、熱分解して窒素ガス等を発生して一緒に防カビ・抗菌成分を揮散させるものであればよい。ここでいう有機発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、P-トルエンスルホニルヒドラジド、P,P-オキシビス( ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジニトロソペンタンメチレンテトラジン、N,N-ジニトロソ-N,N-ジメチルテレフタルアミド、トリヒドラジノトリアジン、アゾビスイソブチロニトリル、4,4-アゾビスシアノバレリックアシッド、t-ブチルアゾホルムアミド、2,4-ビス-(アゾスルホニル)トルエン、2,2-アゾビスイソブチロアミド、メチル-2,2-アゾビスイソブチレート、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、1,1-アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等が挙げられる。
【0027】
ここで、本発明の浴室用防カビ剤は線香式であるところ、この「線香式」とは、本発明の浴室用防カビ剤が、従来公知の線香、印香、竹芯のあるスティック香、蚊取り線香等と同様の形態及び使用方法であることを意味している。
【0028】
本発明の浴室用防カビ剤の形態については、例えば、棒状、円形渦巻状、多角形渦巻状、円筒状、円錐状、管状、平板状、塊状等の任意の形状であってもよい。また、お香やお焼香に用いられる抹香のような粉末状であってもよい。
【0029】
(4)各成分の配合量
本発明の浴室用防カビ剤は、上記の各成分を、本発明の効果を損なわない範囲で、種々の配合割合で含むことができる。なかでも、成分(B):防カビ抗菌成分を0.5質量%~50質量%含有することが好ましいことを、本発明者らは鋭意実験を繰り返すことによって見出した。
【0030】
0.5質量%以上であれば、充分な防カビ抗菌効果を得ることができ、また、50質量%以下であれば、線香基材の燃焼によってより確実に防カビ抗菌成分を揮散させることができ、好ましい。更には、成分(B):防カビ抗菌成分の配合量について、その下限は、3.0質量%であるのがより好ましく、また、その上限は10質量%であるのがより好ましい。
【0031】
2.浴室用防カビ剤の製造方法
本発明の浴室用防カビ剤は、従来公知の方法により、上記各成分を混合して混合物を得、得られた混合物を適宜成型することによって製造することができる。例えば、糊粉及び木粉と、燃焼薬剤と、防カビ抗菌成分と、香料とを調合し、色等を調整するために染料と水分を添加して捏和した混合物を得る。得られた混合物を、その後、押出成形、型押し、打抜き、乾燥等の工程を経て、本発明の浴室用防カビ剤を得ることができる。
【0032】
上記の押出し法の具体例としては、例えば、各成分をニーダー等により混合し、更に適量の水を加えて混合し、得られた混合物を、一定面積の開孔を有するダイスを用いた前押出し又は横押出し成形する。その後、一定の大きさにそろえ、乾燥機に入れて乾燥して、線香式の本発明の浴室用防カビ剤を得ることができる。
【0033】
3.浴室内への防カビ剤の定着方法
本発明は、浴室内で上記の本発明の浴室用防カビ剤を燃焼させ、前記浴室内に前記浴室用防カビ剤の燃焼煙を充満させること、を特徴とする浴室内への防カビ剤の定着方法をも提供する。
【0034】
本発明の浴室用防カビ剤は、線香式で、燃焼による煙を多量に発生させることで防カビ抗菌効果を発揮する。したがって、燃焼煙開始時に使用者が煙を被らないようにするため、設置から使用開始から終了までの時間を制御することが好ましい。
【0035】
本発明の浴室用防カビ剤の設置から使用開始までの時間、即ち設置から煙が出始めてから、処理する浴室をある程度閉鎖し、30分間から1時間程度放置することが好ましい。具体的には、本発明の浴室用防カビ剤の過熱式燃焼煙効果は2.0m2/g~4.0m2/gであればよく、1.0m2/g~2.0m2/gであることが好ましい。本発明の浴室用防カビ剤は線香式であるため煙の粒子とともに、有効成分である上記(B)成分のイソプロピルメチルフェノールが拡散し、仕切られた空間内に隅々にまで運ぶことができる。拡散の実験では、浴室の実験では浴室1.25坪(1820mm×2275mm×2150mm)で室内に煙を行き渡らせるできることを確認した。
【0036】
以上、本発明の浴室用防カビ剤及びこれを用いた浴室内への防カビ剤の定着方法について説明してきたが、本発明は、これらの内容に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載の精神及び教示を逸脱しない範囲でその他の改良例や変形例が存在する。そして、かかる改良例や変形例は全て本発明の技術的範囲に含まれることは、当業者にとっては容易に理解されるところである。
【実施例】
【0037】
≪実施例≫
本発明の浴室用防カビ剤の効果を評価するため、特に防カビ抗菌成分としてのイソプロピルメチルフェノールの効果を実証するため、糊剤であるタブ粉末を用いて下記の表に示す配合量でニーダーを用いて混合し、線状に押し出して切断して成型・乾燥させるという方法で、線状(細い棒状)の線香式の浴室用防カビ剤を作製した。なお、表における成分の配合割合の合計は固形分で100質量%である。ついで、以下に説明する評価試験を行った。
【0038】
[評価]
(1)防カビ抗菌効果
上記のようにして得られた浴室用防カビ剤の防カビ抗菌効果を評価した。容量約90リットルの樹脂製ボックス内に、普通寒天培地1リットルに対して糖分3g及び寒天粉末15gの組成の寒天培地を入れたシャーレを配置し、樹脂製ボックスの蓋を閉じる。
ついで、閉じた樹脂製ボックス内で、上記の浴室用防カビ剤を燃焼させて煙を充満させ、4時間放置した。なお、浴室用防カビ剤は15分間で完全燃焼した。この後、シャーレに蓋をして15日間静置し、シャーレ内のカビの発生の有無を目視により確認した。
また、対比のために、上記寒天培地のみを樹脂製ボックス内で4時間静置した後、シャーレに蓋をして15日間静置し、シャーレ内のカビの発生の有無を目視により確認した。
具体的には、全くカビの発生が認められなかった場合を「〇」、うっすらとカビの発生が認められた場合を「△」、カビの発生がはっきりと見受けられた場合を「×」と評価した。結果を表1に示した。
(2)成型性
上記の方法で作製した線状(細い棒状)の線香式の浴室用防カビ剤の成型性を目視により評価した。具体的には、しっかりと固化しており一方の端部を持って強く振っても形態を保持していた場合を「〇」、脆く一方の端部を持って強く振ると折れたり崩れたりした場合を「△」、成型できなかった場合を「×」と評価した。結果を表1に示した。
(3)燃焼煙効果
上記の方法で作製した線状(細い棒状)の線香式の浴室用防カビ剤に着火して燃焼させた際に、燃焼煙が発生して防カビ抗菌成分が有効に拡散したか否かを目視により評価した。具体的には、樹脂製ボックス内が目で確認できないほど燃焼煙がしっかりと充満した場合を「〇」、樹脂製ボックス内が目で確認できる程度に燃焼煙が充満した場合を「△」、燃焼煙がうっすらと発生した程度であった場合を「×」と評価した。結果を表1に示した。
【0039】
【0040】
表1に示す結果から、本発明の浴室用防カビ剤は、防カビ効果を有しており、特にイソプロピルメチルフェノールの含有量が3.0質量%~10.0質量%の場合に、より優れた防カビ効果を発揮することがわかった。
また、イソプロピルメチルフェノールの含有量によらず、本発明の浴室用防カビ剤は成型可能であるが、イソプロピルメチルフェノールの含有量が10.0質量%以下の場合に特に優れていることがわかった。
更に、燃焼煙効果については、イソプロピルメチルフェノールの含有量が0.5質量%~10.0質量%の場合に、優れていることがわかった。10.0質量%を超えると、イソプロピルメチルフェノールそのものが燃焼により分解して燃焼煙の発生を抑制してしまうものと推測された。