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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】金属製バーナータイル
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/58 20060101AFI20220117BHJP
【FI】
F23D14/58 Z
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2019500402
(86)(22)【出願日】2017-06-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-12
(86)【国際出願番号】 IB2017053236
(87)【国際公開番号】W WO2018007882
(87)【国際公開日】2018-01-11
【審査請求日】2020-03-05
(31)【優先権主張番号】62/359,748
(32)【優先日】2016-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513269848
【氏名又は名称】ノヴァ ケミカルズ(アンテルナショナル)ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クロウ、ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】クラベル、エリック
(72)【発明者】
【氏名】ベナム、レスリー
(72)【発明者】
【氏名】シマンゼーンコフ、ヴァシリー
(72)【発明者】
【氏名】ハーディング、ルーカス
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-072612(JP,A)
【文献】特表2010-528246(JP,A)
【文献】特表2013-534612(JP,A)
【文献】特開平08-178230(JP,A)
【文献】米国特許第04146357(US,A)
【文献】特開2000-146113(JP,A)
【文献】特開平07-293837(JP,A)
【文献】特表2014-520241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/58
F23D 14/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
700℃~1350℃の温度の壁を有して作動する熱分解炉のための約1200℃以上の使用温度を有する実質的に金属製のバーナーであって、
i)少なくとも1つのガス状酸化剤のための1つの下流出口および少なくとも1つの上流入口を有する少なくとも1つの表面によって画定された実質的に金属製の流路と、
ii)酸化剤および燃料の流れを炉に面するバーナーの内面に向ける少なくとも1つのバッフルを有する前記実質的に金属製の流路と、
iii)任意選択で、バッフルリブ、フィンおよび突起から選択される熱対流面の1つ以上のアレイであって、前記実質的な金属製の流路の内面上の前記1つ以上のアレイの上に前記少なくとも1つのガス状酸化剤の流れを向ける、前記1つ以上のアレイとを
備え、
前記バーナーは、少なくとも熱分解炉に露出している前記バーナーの部分の内面に少なくとも1つの連続した一連の平行なチャネルを形成するリブである熱対流面のアレイを有し、
前記チャネルは、0.1~2の高さ対幅の比を有し、
金属製燃料ラインは、前記流路の前面の高さの25~75%の前記流路の外側前面の近くに終端を有し、
前記少なくとも1つの金属製表面は、4~25mmの厚さを有し、
前記バーナーは、
i)開放後端部、閉鎖側壁部および閉鎖底壁部、前記流路の上部前端部にある開放上向きの通気口を画定するように側壁の全長に亘って延びていない前壁部および頂壁部、前記流路の底壁部と連続している金属前壁部を有する1つ以上のガス状酸化剤用の下部金属流路と、
ii)チャンバを画定する前壁と2つの平行な側壁と後壁と、前記流路内の前記開放通気口と協働する開放底部、前壁部および開放頂部であって、前記前壁部および後壁部は、実質的に同じ高さおよび横方向変位で内部に開口部を有して、前記上部セクションの後方から前方まで通過する1つ以上の燃料供給ラインを提供する前壁部および開放頂部を備える、前記金属流路と同じ幅の金属上部セクションと、
iii)以下のa)、b)のうちのいずれか、
a)上部金属セクションの開放頂部と協働する1つ以上の金属またはセラミックス被覆金属の天板であって、前記1つ以上の天板は実質的に平坦な表面を有し、任意選択で湾曲した前縁部とそこを通る1つ以上の実質的に円形の通路を有し、前記後部セクションは前記1つ以上のガス状酸化剤が通るための1つ以上の多角形出口を有する1つ以上の金属またはセラミックス被覆金属の天板か、または、
b)上部セクションの後壁部まで延びる上部前壁の連続部であって、前記連続部は、任意選択で湾曲し、任意選択で1つ以上の実質的に円形の貫通する通路を有する前縁部を有する連続部と、中を通過する前記酸化剤用の1つ以上の多角形出口を有する実質的に平坦な後部セクションであって、前記後部セクションは、任意選択でセラミックスによって被覆される後部セクションと、
iv)前記金属上部セクション内に延びる1つ以上のバッフルと
を協働した配置で備える、バーナー。
【請求項2】
前記1つ以上のガス状酸化剤のための前記1つ以上の出口の前記前方リップの10%以下前方の領域から前記1つ以上のガス状酸化剤のための前記1つ以上の出口の前記前方リップまで下降バッフルが設けられており、前記下降バッフルは、前記バーナーの前面の高さの50から90%まで前記バーナーの上部金属部分の内側を下降し、前記バーナーの前記面の幅の100から75%まで前記バーナーの内面にわたって横方向に延び、前記下降バッフルは、前記上部金属部分の側壁に対して前記下降バッフルの各側部に実質的に等しい開口部が存在するように位置決めされ、1つ以上の燃料供給ラインがそこを通過することを可能にするために、必要に応じて前記下降バッフルは、そこを通る1つ以上の円形チャネルを有する、請求項に記載のバーナー。
【請求項3】
前記少なくとも1つのガス状酸化剤の流れを前記下降バッフルの前面に向けるための一連の平行な長手方向内部リブを有する、請求項に記載のバーナー。
【請求項4】
前記下部金属流路の上部壁から上部金属部分の前記チャンバ内の前記開口領域の45~85%まで前方に延びる上昇バッフルをさらに備える、請求項に記載のバーナー。
【請求項5】
前記下部金属流路の上壁から前方に延びる前記上昇バッフルは、その前方部分において前記1つ以上の出口に向かって上向きに曲げられて、上部セクションの前記内側前面壁と平行な上向き上昇バッフルを提供し、1つ以上の燃料供給ラインが通過することを可能にするために、必要に応じて前記上昇バッフルの上向きに延びる部分は、そこを通る1つ以上の円形チャネルを有する、請求項に記載のバーナー。
【請求項6】
前記下部金属流路の上壁から前方に延びる前記上昇バッフルは、前記上部セクションの内側前壁に面する表面に、前記実質的に金属製の流路の内面を覆っている前記少なくとも1つのガス状酸化剤の流れを方向付けるための一連の平行な長手方向内部リブをさらに備える、請求項に記載のバーナー。
【請求項7】
前記チャネルは、0.1~2の高さ対幅の比を有する、請求項に記載のバーナー。
【請求項8】
700℃~1350℃の温度の壁を有して作動する熱分解炉のための約1200℃以上の使用温度を有する実質的に金属製のバーナーであって、
i)少なくとも1つのガス状酸化剤のための1つの下流出口および少なくとも1つの上流入口を有する少なくとも1つの表面によって画定された実質的に金属製の流路と、
ii)酸化剤および燃料の流れを炉に面するバーナーの内面に向ける少なくとも1つのバッフルを有する前記実質的に金属製の流路と、
iii)任意選択で、バッフルリブ、フィンおよび突起から選択される熱対流面の1つ以上のアレイであって、前記実質的な金属製の流路の内面上の前記1つ以上のアレイの上に前記少なくとも1つのガス状酸化剤の流れを向ける、前記1つ以上のアレイとを
備え、
前記バーナーは、少なくとも熱分解炉に露出している前記バーナーの部分の内面に少なくとも1つの連続した一連の平行なチャネルを形成するリブである熱対流面のアレイを有し、
前記チャネルは、0.1~2の高さ対幅の比を有し、
金属製燃料ラインは、前記流路の前面の高さの25~75%の前記流路の外側前面の近くに終端を有し、
前記少なくとも1つの金属製表面は、4~25mmの厚さを有し、
前記バーナーは、
i)開放後端部、閉鎖側壁部、および閉鎖底壁部、前記流路の上部前端部にある開放上向きの通気口を画定するように側壁の全長に亘って延びていない前壁部および頂壁部、前記流路の底壁部と連続している金属前壁部を有する1つ以上のガス状酸化剤用の下部金属流路と
ii)チャンバを画定する前壁と2つの平行な側壁と後壁、前記流路内の前記開放通気口と協働する開放底部と、前壁部および開放頂部であって、前記前壁部および後壁部は、実質的に同じ高さおよび横方向変位で内部に開口部を有して、前記上部セクションの後方から前法まで通過する1つ以上の燃料供給ラインを提供する前壁部および開放頂部とを備える、前記金属流路と同じ幅の金属上部セクションと、
iii)以下のa)、b)のうちのいずれか、
a)上部金属セクションの開放頂部と協働する1つ以上の金属またはセラミックス被覆金属の天板であって、前記1つ以上の天板は実質的に平坦な表面を有し、任意選択で湾曲した前縁部とそこを通る1つ以上の実質的に円形の通路を有し、前記後部セクションは前記1つ以上のガス状酸化剤が通るための1つ以上の多角形出口を有する1つ以上の金属またはセラミックス被覆金属の天板か、または、
b)上部セクションの後壁部まで延びる上部前壁の連続部であって、前記連続部は、任意選択で湾曲し、任意選択で1つ以上の実質的に円形の貫通する通路を有する前縁部を有する連続部と、中を通過する前記酸化剤用の1つ以上の多角形出口を有する実質的に平坦な後部セクションであって、前記後部セクションは、任意選択でセラミックスによって被覆される後部セクションと、
iv)前記下部金属流路の上部壁から金属上部セクションのチャンバ内の開口面積の45~85%まで前方に延びる上昇バッフルと
を協働した配置で備えるバーナー。
【請求項9】
前記下部金属流路の上壁から前方に延びる前記上昇バッフルは、その前方部分において前記1つ以上の出口に向かって上向きに曲げられて、上部セクションの前記内側前面壁と平行な上向き上昇バッフルを提供し、1つ以上の燃料供給ラインが通過することを可能にするために、必要に応じて前記上昇バッフルの上向きに延びる部分は、そこを通る1つ以上の円形チャネルを有する、請求項に記載のバーナー。
【請求項10】
前記下部金属流路の上壁から前方に延びる前記上昇バッフルは、前記上部セクションの内側前壁に面する表面に、前記実質的に金属製の流路の内面を覆っている前記少なくとも1つのガス状酸化剤の流れを方向付けるための一連の平行な長手方向内部リブをさらに備える、請求項に記載のバーナー。
【請求項11】
前記チャネルは、0.1~2の高さ対幅の比を有する、請求項10に記載のバーナー。
【請求項12】
前記1つ以上の天板が存在し、かつ金属である、請求項に記載のバーナー。
【請求項13】
前記1つ以上の天板が存在し、かつセラミックスで被覆された金属である、請求項に記載のバーナー。
【請求項14】
前記1つ以上の天板が存在し、かつ金属である、請求項に記載のバーナー。
【請求項15】
前記1つ以上の天板が存在し、かつセラミックスで被覆された金属である、請求項に記載のバーナー。
【請求項16】
前記1つ以上の天板が存在し、かつ金属である、請求項に記載のバーナー。
【請求項17】
前記1つ以上の天板が存在し、かつセラミックスで被覆された金属である、請求項に記載のバーナー。
【請求項18】
前記上部前壁は前記上部後壁に続き、前記後部セクションはセラミックスで被覆されていない、請求項に記載のバーナー。
【請求項19】
前記上部前壁は前記上部後壁に続き、前記後部セクションはセラミックスで被覆されている、請求項に記載のバーナー。
【請求項20】
前記上部前壁は前記上部後壁に続き、前記後部セクションはセラミックスで被覆されていない、請求項に記載のバーナー。
【請求項21】
前記上部前壁は前記上部後壁に続き、前記後部セクションはセラミックスで被覆されている、請求項に記載のバーナー。
【請求項22】
前記上部前壁は前記上部後壁に続き、前記後部セクションはセラミックスで被覆されていない、請求項に記載のバーナー。
【請求項23】
前記上部前壁は前記上部後壁に続き、前記後部セクションはセラミックスで被覆されている、請求項に記載のバーナー。
【請求項24】
700℃~1350℃の温度の壁を有して作動する熱分解炉のための約1200℃以上の使用温度を有する実質的に金属製のバーナーであって、
i)少なくとも1つのガス状酸化剤のための1つの下流出口および少なくとも1つの上流入口を有する少なくとも1つの表面によって画定された実質的に金属製の流路と、
ii)酸化剤および燃料の流れを炉に面するバーナーの内面に向ける少なくとも1つのバッフルを有する前記実質的に金属製の流路と、
iii)任意選択で、バッフルリブ、フィンおよび突起から選択される熱対流面の1つ以上のアレイであって、前記実質的な金属製の流路の内面上の前記1つ以上のアレイの上に前記少なくとも1つのガス状酸化剤の流れを向ける、前記1つ以上のアレイとを
備え、
前記バーナーは、少なくとも熱分解炉に露出している前記バーナーの部分の内面に少なくとも1つの連続した一連の平行なチャネルを形成するリブである熱対流面のアレイを有し、
前記チャネルは、0.1~2の高さ対幅の比を有し、
金属製燃料ラインは、前記流路の前面の高さの25~75%の前記流路の外側前面の近くに終端を有し、
前記少なくとも1つの金属製表面は、4~25mmの厚さを有し、
前記バーナーは、燃料の入口と、前記管状体と同心の環状の一次空気ダクトと、1つ以上の案内羽根を含む前記管状体からの出口と、二次空気源と、空気がガイドを覆ってカバープレートを横切って流れるように、炉に露出されたカバープレートと協働する管状体と同心の協働バッフルとを有する細長い管状体を協働配置で備えるバーナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、工業用途、特にパラフィンの熱分解を含む石油化学製品加工などの800℃を超える温度での用途のためのバーナーの分野に関するものである。具体例としては、そのような用途に使用される金属製の床用または壁用のバーナーに係るものである。
【背景技術】
【0002】
エタンなどのパラフィンをエチレンなどのオレフィンに熱分解することはエネルギー集約型である。パラフィンは約1200℃まで加熱された煙道ガスと共に炉内の管またはコイルを通過する。炉の内壁は、プロセスコイルに熱を放射する耐火材料である。壁は、床または壁、あるいはその両方において一連のバーナーによって加熱される。壁の温度は、700℃~1350℃、または800℃~1200℃の範囲の温度に達することがある。
【0003】
現在、炉内のバーナーの部品は耐火材料で製造されている。このためバーナーは重くなっている。さらに、耐火物またはセラミックスは脆くなる傾向があり、輸送および操作中に破損する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】英国特許第1,480,150号明細書
【文献】米国特許出願第20100021853号
【非特許文献】
【0005】
【文献】大阪ガス(株)のA.Ohmori、「加熱炉用超小型低NOxバーナーの開発」、国際ガス研究会議の抄録、1998年、第269頁~276頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は、内面および外面を有し閉鎖チャンバを提供する金属製のクワールがバーナーを囲む高温バーナーの改良を開示している。冷却媒体がクワールを通過してバーナーをより低温に保つ。特許文献1は、冷却媒体が、バーナーに供給される空気または燃焼からの排気ガスであり得ることを教示している。この参考文献は、二重壁のクワールが使用されていないため、本開示を教示するものではない。
【0007】
非特許文献1には、金属バーナーが開示されている。バーナーは、壁に亘って空気を通過させてバーナーを冷却するための通路を内部金属バーナー壁内に有していない。さらに、バーナーは火炎に空気の渦流を与えて表面積を増やし火炎温度を下げるように設計されている。そのような火炎温度の低下は望ましくないかもしれない。
【0008】
John Zink Company LLCに譲渡されたBussmanの名で2010年1月28日に公開された特許文献2は、低NOx排出を生成するためにバーナーを教示する。図において、バーナーはタイル(例えばセラミックスまたは耐火物)であり、かなりの量のバーナーがそのような材料でできている。対照的に、本明細書に開示されるバーナーは、20重量%未満のセラミックスまたは耐火物を含むか、または例えば、セラミックスまたは耐火物を含まない。さらに、セラミックスまたは耐火物が使用される場合、それは金属の外側に被覆される。
【0009】
本開示は、熱分解炉などの工業用途で使用するための金属製または実質的に金属製のバーナーを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、700℃~1350℃の温度で壁を有して作動する熱分解炉のための約1200℃以上の使用温度を有する実質的に金属製のバーナーであって、
i)少なくとも1つのガス状酸化剤のための1つの下流出口および少なくとも1つの上流入口を有する少なくとも1つの表面によって画定された実質的に金属製の流路と、
ii)酸化剤および燃料の流れを炉に面するバーナーの内面に向ける少なくとも1つのバッフルを有する前記実質的に金属製の流路と、
iii)任意選択で、バッフルリブ、フィンおよび突起から選択される熱対流面の1つ以上のアレイであって、前記実質的な金属製の流路の内面上の前記1つ以上のアレイの上に前記少なくとも1つのガス状酸化剤の流れを向ける1つ以上のアレイとを含む実質的に金属製のバーナーを提供する。
【0011】
他の一実施形態では、少なくとも熱分解炉に露出している前記バーナーの部分の内面に少なくとも1つの連続した一連の平行なチャネルを形成するリブである熱対流面のアレイを有するバーナーが提供される。
【0012】
他の一実施形態では、チャネルは、0.1~2、または0.25~2、ある具体例では0.5~2、他の具体例では0.5~1の高さ対幅の比を有するバーナーが提供される。
【0013】
他の一実施形態では、1つ以上の金属製燃料ラインは、流路の前面の高さの25~75%の流路の外側前面の近くに終端を有するバーナーが提供される。
【0014】
他の一実施形態では、少なくとも1つの金属製表面が4~25mmの厚さを有するバーナーが提供される。
【0015】
他の一実施形態では、
i)開放後端部、閉鎖側壁部および閉鎖底壁部、前記流路の上部前端部にある開放上向きの通気口を画定するように側壁の全長に亘って延びていない前壁部および頂壁部、前記流路の底壁部と連続している金属前壁部を有する1つ以上のガス状酸化剤用の下部金属流路と、
ii)チャンバを画定する前壁と2つの平行な側壁と後壁、前記流路内の前記開放通気口と協働する開放底部、前壁部および開放頂部であって、前記前壁部および後壁部は、実質的に同じ高さおよび横方向変位で内部に開口部を有して、前記上部セクションの後方から前方まで通過する1つ以上の燃料供給ラインを提供する前壁部および開放頂部を備える、前記金属流路と同じ幅の金属上部セクションと、
iii)以下のa)、b)のうちのいずれか、
a)上部金属セクションの開放頂部と協働する1つ以上の金属またはセラミックス被覆金属の天板であって、前記1つ以上の天板は平坦な表面を有し、任意選択で湾曲した前縁部とそこを通る1つ以上の実質的に円形の通路を有し、前記後部セクションは前記1つ以上のガス状酸化剤が通るための、円形、楕円形、または多角形(例えば、三角形、長方形または正方形)とすることができる1つ以上の出口を有する1つ以上の金属またはセラミックス被覆金属の天板か、または、
b)上部セクションの後壁部まで延びる上部前壁の連続部であって、前記連続部は、任意選択で湾曲し、任意選択で1つ以上の実質的に円形の貫通する通路を有する前縁部を有する連続部と、円形、楕円形、または多角形(例えば、三角形、長方形または正方形)とすることができる中を通過する前記1つ以上の酸化剤用の1つ以上の出口を有する平坦な後部セクションであって、前記後部セクションは、任意選択でセラミックスによって被覆される後部セクションと、
iv)前記金属上部セクション内に延びる1つ以上のバッフルと
を協働した配置で備えるバーナーが提供される。
【0016】
本明細書で使用されるとき、平面とは、要素の湾曲の程度を指す。しかしながら、本開示は、エンクロージャ(例えば、箱)の側面の形状または幾何学的形状によって限定されない。平面が例示されているが、エンクロージャの側面が湾曲または波状である実施形態もまた想定される。
【0017】
他の一実施形態では、少なくとも1つのガス状酸化剤のための前記1つ以上の出口の前方リップの10%以下前方の領域から前記1つ以上のガス状酸化剤のための前記1つ以上の出口の前方リップまで下降バッフルが設けられており、前記下降バッフルは、前記バーナーの前面の高さの50から90%まで前記バーナーの上部金属部分の内側を下降し、前記バーナーの前記面の幅の100から75%まで前記バーナーの内面にわたって横方向に延び、前記下降バッフルは、前記上部金属部分の側壁に対して前記下降バッフルの各側部に実質的に等しい開口部が存在するように位置決めされ、1つ以上の燃料供給ラインがそこを通過することを可能にするために、必要に応じて前記下降バッフルは、そこを通る1つ以上の円形チャネルを有するバーナーが提供される。
【0018】
他の一実施形態では、前記少なくとも1つのガス状酸化剤の流れを前記下降バッフルの前面に向けるための一連の平行な長手方向内部リブを有するバーナーが提供される。
【0019】
他のる一実施形態では、前記下部金属流路の上部壁から上部金属部分のチャンバ内の開口領域の45~85%まで前方に延びる上昇バッフルをさらに含むバーナーが提供される。
【0020】
他の一実施形態では、前記下部金属流路の上壁から前方に延びる前記上昇バッフルは、その前方部分において開放頂部に向かって上向きに曲げられて、上部セクションの前記内側前面壁と平行な上向き上昇バッフルを提供し、1つ以上の燃料供給ラインが通過することを可能にするために、必要に応じて前記上昇バッフルの上向きに延びる部分は、そこを通る1つ以上の円形チャネルを有するバーナーが提供される。
【0021】
他の一実施形態では、前記下部金属流路の上壁から前方に延びる前記上昇バッフルは、前記上部セクションの内側前壁に面する表面に、前記実質的に金属製の流路の内面を覆っている前記少なくとも1つのガス状酸化剤の流れを方向付けるための一連の平行な長手方向内部リブをさらに含むバーナーが提供される。
【0022】
他の一実施形態では、チャネルが0.1~2の高さ対幅の比を有するバーナーが提供される。いくつかの実施形態では、リブは4~25mm、または8~22mm、ある具体例では10~20mmの高さを有することができる。
【0023】
他の一実施形態では、前記下部金属流路の上部壁から金属上部セクションのチャンバ内の開口面積の45~85%まで前方に延びる上昇バッフルがあるバーナーが提供される。
【0024】
他の一実施形態では、前記下部金属流路の上壁から前方に延びる前記上昇バッフルは、その前方部分において前記1つ以上の出口に向かって上向きに曲げられて、上部セクションの前記内側前面壁と平行な上向き上昇バッフルを提供し、1つ以上の燃料供給ラインが通過することを可能にするために、必要に応じて前記上昇バッフルの上向きに延びる部分は、そこを通る1つ以上の円形チャネルを有するバーナーが提供される。
【0025】
他の一実施形態では、前記下部金属流路の上壁から前方に延びる前記上昇バッフルは、前記上部セクションの内側前壁に面する表面に、前記実質的に金属製の流路の内面を覆っている前記少なくとも1つのガス状酸化剤の流れを方向付けるための一連の平行な長手方向内部リブをさらに備えるバーナーが提供される。
【0026】
他の一実施形態では、チャネルが0.1~2の高さ対幅の比を有するバーナーが提供される。
【0027】
他の一実施形態では、前記1つ以上の天板が存在し、かつ金属であるバーナーが提供される。
【0028】
他の一実施形態では、前記1つ以上の天板が存在し、かつセラミックスで被覆された金属であるバーナーが提供される。
【0029】
他の一実施形態では、上部前壁は上部後壁に続き、後部セクションはセラミックスで被覆されていないバーナーが提供される。
【0030】
他の一実施形態では、上部前壁は上部後壁に続き、後部セクションはセラミックスで被覆されているバーナーが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】下降バッフルを有する本開示に係るバーナーの一実施形態の破断等角図である。
図2図1のバーナーを通る破断側面図である。
図3】上昇バッフルを有する本開示に係るバーナーの一実施形態の破断等角図である。
図4図3のバーナーを通る破断側面図である。
図5】上部セクションの頂部からの下降バッフルと下部流路の頂部壁から延びるバッフルとの両方を有するバーナーの破断側面図である。
図6図5のバーナーの破断等角図である。
図7】熱分解炉において典型的に使用される壁バーナーの破断等角図である。
図8】熱分解炉において典型的に使用されるが本開示に係る設計要素を有する壁バーナーの破断等角図である。
図9】本開示に従って設計されたバーナーを設置することができる例示的エチレン炉の概略図である。
図10】本開示に従って設計されたフロアバーナーの等角図であり、金属製のバーナーの動作表面温度を表す陰影を表示している。
【発明を実施するための形態】
【0032】
操作実施例以外に、または他に指示がある場合を除き、明細書および特許請求の範囲で使用される成分の量、反応条件などを指すすべての数または表現は、すべての場合において用語「約」によって修飾されると理解されるべきである。したがって、そうでないと示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本明細書に開示される実施形態が得ることを望む特性に応じて変わり得る近似値である。少なくとも、そして均等論の適用を特許請求の範囲に限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、報告された有効数字の数を考慮してそして通常の丸め技法を適用することによって少なくとも解釈されるべきである。
【0033】
本発明の広い範囲を説明する数値範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に記載されている数値は可能な限り正確に報告されている。しかしながら、いずれの数値も、それらのそれぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。
【0034】
また、本明細書に列挙された任意の数値範囲は、その中に包含されるすべての部分範囲を含むことを意図していることを理解すべきである。例えば、「1から10」の範囲は、列挙された最小値1と列挙された最大値10との間およびそれらを含む全ての部分範囲、すなわち、1以上の最小値および10以下の最大値を有する部分範囲を含むことが意図されている。開示された数値範囲は連続的であるため、それらは最小値と最大値との間のあらゆる値を含む。他に明示的に示されていない限り、本出願において特定される様々な数値範囲は近似値である。
【0035】
本明細書で表現される全ての組成範囲は、実際上、合計で100パーセント(体積パーセントまたは重量パーセント)に制限され、それを超えない。複数の成分が組成物中に存在し得る場合、各成分の最大量の合計は100%を超えることができ、そして当業者が容易に理解するように、実際に使用される成分の量は最大値の100パーセントに従う。
【0036】
本明細書で使用する時、実質的に金属又は実質的に金属製及び金属製は全て、以下で説明するように、バーナーの全構造に対してバーナーの80%以上が金属であり、残りがバーナーの限定された外面上にオーバーコートされた任意選択のセラミックスであることを意味する。言い換えれば、バーナーは、20重量%以下のセラミックスまたは耐火物を有するか、または10重量%以下または5重量%以下のセラミックスまたは耐火物を有する。
【0037】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される実質的に金属製のバーナーは、少なくとも1つの壁(例えば、管状)によって画定される1つ以上のガス状酸化剤、例えば、空気(おそらく、酸素富化空気)、または酸素と(窒素以外の)不活性ガスの混合物のための実質的に金属製の流路または経路を有することによって特徴付けられ、壁の内面は、少なくとも1つのガス状酸化剤(例えば、空気)の流れを実質的に金属製の流路の内面に向けるための一連の平行な長手方向内部リブまたはチャネルを含む。燃料の対流冷却と燃焼燃料の熱放出に対するバーナーを通って流れる酸化剤との間にはバランスがある。対流冷却流速は、熱放出速度、燃料組成、および典型的な過剰空気と相互依存し、その結果、湿ったモル濃度の酸素が1%~10%になる。バーナーの必要とされる熱放出、および酸化剤および燃料の流速は、バーナーの大きさの範囲を規定するであろう。この範囲は、酸化剤の速度の範囲および冷却に必要な燃料の速度によってさらに規定される。そして燃料および酸化剤がバーナーを通って流れるとき、燃料と酸化剤の最大実用圧力での滴下が行われる。燃料および酸化剤の流速は、当業者によって必要に応じて計算することができる。バーナーの残りの部分は金属製であるが、火炎に隣接した、上方(例えば熱シールド)または下方のバーナーの部分が完全または部分的に耐火性のコーティングを有していてもよい。ある具体例では、長手方向チャネルは、0.1~2、ある具体例では0.5~2、ある具体例では0.5~1の高さ対幅の比を有する。リブは、4~25mm、または8~22mm、場合によっては10~20mmの高さを有することができる。リブまたはチャネルは、流路の内部表面積の約15~100%、ある具体例では25~100%、ある具体例では60~100%を覆うことができる。リブまたはチャネルが流路の内部表面積の100%未満を覆うとき、リブまたはチャネルは、少なくとも熱分解炉にさらされるバーナーの部分の内部表面上に連続した一連の平行なリブまたはチャネルを形成する。
【0038】
金属壁は、4~25mm、または8~22mm、ある例では10~20mmの厚さを有することができる。
【0039】
流路は、長手方向のフィンまたは突起で置き換えられてもよい。
【0040】
フィンは、長手方向チャネルに匹敵する寸法および間隔を有してもよい。それらは、約4~25mm、または8~22mm、ある具体例では10~20mmの高さ、および2~20mm、ある具体例では5~15cmの厚さを有し、2mm~2cm、いくつかの例では5mm~1.5cm離間させることができる。
【0041】
フィンは、長方形、正方形、三角形、または台形などの多くの断面形状を有することができる。台形形状は完全に意図的なものではないかもしれないが、例えば、三角形の断面を製造する(例えば鋳造または機械加工する)ことが非常に困難であるか、または費用がかかる場合に、製造プロセスから生じ得る。
【0042】
ある具体例では、フィンは金属表面の一部として鋳造されてもよく、または金属表面に溶接されてもよい。
【0043】
突起は閉じた固体である。
【0044】
突起は、例えば四面体、角錐、立方体、円錐、球を通る断面(例えば、半球以下)、楕円体を通る断面、変形した楕円体を通る断面(例:涙滴)など、比較的小さい体積を含む比較的大きい外面を有する幾何学的形状を有することができる。突起に対していくつかの有用な形状は、
四面体(三角形の底面と正三角形である3つの面をもつピラミッド)。
ジョンソン四角錐(正方形の底面と辺が正三角形である側面をもつ角錐)。
4つの二等辺三角形の側面をもつピラミッド。
二等辺三角形の側面をもつピラミッド(例えば、それが四面ピラミッドである場合、底面は正方形でなくてもよく、それは長方形または平行四辺形であり得る)。
球の一部(例えば、半球以下)。
楕円体の断面(例えば、楕円がその長軸または短軸を通って回転するときに形成される形状または体積を通る断面)。
涙滴の断面(例えば、一様に変形していない楕円体が変形軸に沿って回転したときに形成される形状または体積を通る断面)。
放物線の断面(例えば、放物線がその長軸を中心に回転するときに形成される形状または体積を通る断面-変形した半(またはそれ以下の)球)、例えば、異なるタイプのデルタ翼など。
【0045】
突起の間隔および高さは、フィンのそれと同等である。それらは、約4~25mm、または8~22mm、いくつかの例では10~20mmの高さ、および2~20mm、ある具体例では5~15cmの厚さを有し、2mm~2cm、ある具体例では5mm~1.5cm離間している。
【0046】
突起はまた、金属の内面上に鋳造されてもよい。ある具体例では、突起はアレイを形成する。ある具体例では、アレイは対称的であり、例えば、それらは平行な列(線形アレイ)にあってもよいし、または隣接する列の突起がアレイ間隔だけずれていてもよい(ダイヤモンド型アレイ)。
【0047】
冷却チャネル、フィン、突起、またはそれらの組み合わせの密度は、チャネルが存在するそれらの領域において、チャネルフィンまたは突起のアレイを横切る単位長さあたりのチャネルフィンの数または突起のアレイ(例えば、1cmあたり5チャネル)を意味する。これは、冷却チャネルの表面積の範囲とは異なる。例えば、金属部品の内面の半分だけが冷却チャネルフィンまたは突起を有する場合、チャネルフィンまたは突起は、金属部品の全表面を覆うチャネルとは異なる寸法を有するであろう。これらの異なる設計の製造コストは異なるので、ある具体例では、チャネル、フィン、突起、または突起アレイ設計、またはそれらの組み合わせ、および表面被覆率(全体または熱伝導構造の種類によって区別)は製造コストを下げるために最適化される。
【0048】
チャネル、フィン、突起、またはそれらの組み合わせは、流路の内部表面積の約15~100%、ある具体例では25~100%、ある具体例では60~100%を覆ってもよい。リブまたはチャネルが流路の内部表面積の100%未満を覆うとき、リブまたはチャネルは、少なくとも熱分解炉にさらされるバーナーの部分の内部表面上に連続した一連の平行なリブまたはチャネルを形成する。
【0049】
バーナーは、流路の前面の高さの25~75%、または40~65%でバーナーの外部前面に近接して終端を迎える金属製燃料ラインをさらに含む。
【0050】
下降バッフルのみを有する本開示の一実施形態が、ここで図1および図2に関連して説明され、図中、同様の部分は同様の番号を有する。
【0051】
図1および図2において、バーナーは、1つ以上のガス状酸化剤用の下部フローチャネルを備えており、1は開放後部または上流端部を有する。フローチャネルは、2つの等しい長さの閉じた側壁2(1つのみ示されている)、閉じた頂壁4を越えて延びる閉じた底壁3および前壁5によって画定されている。結果として、下部フローチャネルは、上向きの通気口6を画定する。図示の実施形態では、頂壁と協働して上向きの通気口6を画定する湾曲セクション7がある。しかしながら、当業者は湾曲セクション7を認識するであろうが、望ましいことは必須ではなく、上壁はさらに前方に延びて依然として通気孔6を画定することができる。
【0052】
バーナーはまた、上部金属セクションまたはダクトを含む。上部セクションは、2つの側壁8、後壁9、および前壁10を含み、これらは通気孔6と協働して連続的な通路を提供する。湾曲セクション7または後壁9前壁10には、実質的に同じ高さであり(本明細書で使用する場合、実質的に同じ高さは10%未満、または例えば5%未満、または2%未満の高さの変動を意味する)側壁から横方向へ変位した1つ以上の穴があり、1つ以上の金属製燃料供給ライン11がバーナーを通過することを可能にする。
【0053】
上部金属セクションの頂部には、1つ以上の天板12がある。前部天板12がある。図は平らな天板を示しているが、それは任意選択として丸い前縁部を有することができる。天板の前縁部を通る1つ以上の任意選択の円形通路13がある。図には円形の通路13が示されているが、これらはバーナーの作動にとって本質的なものではない。天板12は協働して、上部セクションまたはダクトの頂部に1つ以上の開口部14を画定する。開口部は、円形、楕円形、または多角形(例えば、三角形、長方形、または正方形)とすることができる。本明細書で使用するとき、実質的に円形とは、円形、楕円形、または多角形(例えば、三角形、長方形または正方形)を意味する。
【0054】
図1および図2に示す実施形態では、天板を支持し、さらに下降バッフル16を支持するハンガー15がある。ハンガーは、前部天板12の下降バッフル16が後縁部の10%以下前方になるように配置されている。バッフルは、前記バーナーの前部壁10の高さの10~50%、または15~30%の高さでバーナーの頂部金属セクションまたはダクトの内側に下降し、バーナーの内面に亘って横方向に前記バーナーの面の幅の100~75%横方向に延びる。バッフルがバーナーの内面の100%に亘って延びていない場合、金属上部セクションの側壁に対してバッフルの各側面上で実質的に等しい開口部(本明細書で使用されるとき、実質的に等しい開口部は、10%未満、または例えば5%未満、または2%未満の高さの変動を意味する)となるように配置される。バッフルがバーナーの頂部金属セクションまで十分に延びている場合、バッフルに燃料供給ラインを通すことを可能にするためにバッフルに穴がある場合がある。存在する場合、バッフルの側面に開口部があると、酸化剤の渦巻きによって、例えば空気がバーナーの上部金属部分を通って流れることが可能になる。この渦巻きは燃料と酸化剤の良好な混合を促進し、NOx排出量を減少させると考えられる。
【0055】
任意選択で、炉の内部に露出しているバーナーの前面の壁(例えば、前面壁5および10)は、上述のようにリブまたはチャネルを有する。さらに、バッフル16の前面は任意選択でリブを有することもできる。バーナーの他の内面もリブまたはチャネルを有することができる。
【0056】
図3および図4は、上昇バッフルを有する一実施形態を示す。図3および図4において、類似の部分は類似の番号を有する。
【0057】
図3および図4において、バーナーは、開いた後端部または上流端部を有する下部フローチャネル21を備える。フローチャネルは、2つの等しい長さの閉じた側壁22(1つのみ示されている)、閉じた頂壁24を越えて延びる閉じた底壁23、および前壁25によって画定されている。頂壁は、側壁までは延びていない。結果として、下部フローチャネルは上向きの通気口26を画定する。
【0058】
バーナーはまた、上部金属セクションまたはダクトを含む。上部セクションは、2つの側壁27(一方のみが示されている)、後壁28および前壁29を含み、これらは通気孔26と協働して連続的な通路を提供する。後壁28および前壁29には、側壁からほぼ同じ高さおよび横方向の変位で1つ以上の穴30があり、バーナーを通して図示しない1つ以上の金属燃料供給ラインを通過させることができる。
【0059】
上部金属セクションの頂部には、1つ以上の天板33を支持する支持フランジ31および32がある。平坦として示されているが任意選択で丸みを帯びた前縁部を有することができる前部天板33がある。任意選択では、天板の前縁部を通る1つ以上の円形通路34がある。これらの穴34は任意選択であり、バーナーに存在する必要はない。天板33は協働して、上部セクションまたはダクトの頂部に1つ以上の開口部35を画定する。開口部は、円形、楕円形、または多角形(例えば、三角形、長方形、または正方形)とすることができる。
【0060】
図3および図4に示す実施形態では、フローチャネル21の頂壁24から延在するバッフル37がある。バッフル37は、上部金属セクションの高さの約15~75%までバーナーの上部金属部分(ダクト)内に湾曲している。この実施形態では、バッフル37は、上部金属またはダクトセクションを完全に横切ってもよい。図4に示されるように、バッフルがバーナーの上部金属セクション内で十分に高く延びる場合、金属燃料供給ラインがバッフル37を通過することを可能にするためにバッフル37内に1つ以上の穴36がある。
【0061】
バッフルの頂部の開口部は、バーナーの上部金属セクションを通って流れる酸化剤、例えば空気の渦巻きを可能にする。この渦巻きは燃料と酸化剤の良好な混合を促進し、NOx排出量を減少させると考えられる。
【0062】
図3および図4に示す実施形態では、炉の内部に露出しているバーナーの前面の壁(例えば前壁25および29)は、上述のようにリブまたはチャネル38を有する。さらに、バッフル37の前面はまた、リブを有してもよい。バーナーの他の内面もまた、リブまたはチャネルを有することができる。
【0063】
図5および図6は、下降バッフルおよび上昇バッフルの両方を有する金属製バーナーの一実施形態を示す。理論に束縛されることを望むものではないが、流路を狭くすることは流速を増加させ、したがって熱分解炉にさらされるバーナーの部分への熱伝達を増加させると考えられる。
【0064】
図5および図6において、バーナーは、開いた後端部または上流端部を有する下部フローチャネル41を備える。フローチャネルは、2つの等しい長さの閉鎖側壁42(1つのみ示されている)、頂壁44を越えて延びる閉鎖底部壁43、および前壁45によって画定されている。頂壁44は側壁42まで延びていない。結果として、下部フローチャネルは上向きの通気孔46を画定する。
【0065】
バーナーはまた、上部金属セクションまたはダクトを含む。上部セクションは、2つの側壁47(一方のみが示されている)、後壁48および前壁49の延長部を含み、これらは通気孔46と協働して連続的な通路を提供する。後壁48および前壁延長部49には、側壁からほぼ同じ高さおよび横方向の変位で1つ以上の穴50があり、バーナーを通して図示しない1つ以上の金属燃料供給ラインを通過させることができる。
【0066】
図示の実施形態では、前壁は、後壁48と接合するまで、任意選択で丸みを帯びていてもよい前部セクション54および平らな後部セクション53を通ってさらに延びている。平らな後部セクションには、一連の開口(円形、楕円形、または多角形(例えば三角形、長方形または正方形)とすることができる開口部)55が存在する。平坦なセクションの側面からは、開口55を通る酸化剤の流れを方向付けるダクト要素52がある。図示の実施形態では、前部セクション54を通る多数の穴59が存在する。しかしながら、穴は任意選択であり、存在する必要はない。
【0067】
また、開口55の前縁部に依存して、バッフル57および安定化ダクト要素54のためのハンガー56を支持するのを助ける構造要素51がある。
【0068】
ハンガーは、下降バッフル57が前方に10%以下であるように位置決めされる。バッフル57の動作は、図1および図2に関して説明した通りである。
【0069】
図5および図6に示す実施形態では、フローチャネル41の頂壁44から上方に延びるバッフル58もある。バッフル58は、上部金属セクションの高さの約15~75、または約30~55%バーナーの上部金属セクション(ダクト)内に湾曲している。この実施形態では、バッフル58は、上部金属またはダクトセクションを完全に横切ってもよい(例えば、上述のようにバーナーの幅の100~75%)。バッフル58がバーナーの上部金属セクション(ダクト)内で十分に高く延在する場合、1つ以上の金属燃料供給ラインがバッフル58を通過することを可能にするためにバッフルに1つ以上の穴が存在することができる。
【0070】
上記のような管状バーナーは炉の壁に取り付けることができ、図に示すようなバーナーは床に取り付けることができる。場合によっては、壁または床の耐火物内張りはバーナーが嵌合する開口部を有し、次いでバーナーが嵌合した開口部を塞ぐために耐火物およびセメントが使用される。バーナーはまた、炉用の外部支持体(フレーム)および外部ダクトに取り付けられて、酸化剤(例えば、空気)をバーナーに供給する。また、燃料供給ラインは燃料供給源(例えば、天然ガス)に接続される。
【0071】
同様に、壁バーナーを囲む耐火タイルが、外部部分が炉の高温にさらされる金属部分の内面に沿って酸化剤を向けるためのフローチャネルを有する金属箱または金属板で置き換えられる壁バーナーを設計することができる。
【0072】
図7は、熱分解炉に典型的な壁バーナーの断面図を示す。図7は典型的な壁バーナーの概念を示すことを意図しているが、全ての詳細を示すわけではない。壁バーナー101は、燃焼のために燃料と酸化剤を炉に向けるために使用される。燃料は一次空気ダクト104からの空気と混合する入口オリフィス06を通して壁バーナーに注入される。一次空気ダクトは壁バーナー101とマフラー109の周りの環状開口部を通して形成される。マフラーは燃焼ノイズを減らすために使用される。予め混合された燃料は、バーナーを通って流れ、一連の案内羽根107を通って炉に入る。二次空気は、壁バーナー101と耐火タイル108との間の開口部を通って炉に入る(ドアまたは二次空気の量を制御するための手段は図示されない)。二次空気流は、燃料を完全に燃焼させるのに必要な残りの酸化剤を構成する。燃焼は、部分的には壁バーナー107を取り囲む耐火タイル108上で起こり、したがって高い表面温度を有すると予想される。壁バーナー101と耐火タイル108は、炉の内壁102と炉の外壁103の間に取り付けられている。表面102と103とそれらの間の空間として定義される炉の壁は、様々な金属と耐火材料から作られている。
【0073】
図8は、本開示の着想による設計要素を有する熱分解炉に典型的な壁バーナーの断面図を示す。図8は典型的な壁バーナーの概念を示すことを意図しているが、全ての詳細を示すわけではない。このバーナーセンブリは、すべての耐火材料を取り除くように修正されている。壁バーナー151は、燃料と酸化剤を燃焼用の炉に向けるために使用される。燃料は、一次空気ダクト154からの空気と混合する入口オリフィス156を介して壁バーナーに注入される。一次空気ダクトは、壁バーナー151とマフラー159の周りの環状開口部を通して形成される。マフラーは、燃焼ノイズを減らすために使用される。予め混合された燃料がバーナーを通って流れ、一連の案内羽根157を通って炉に入る。二次空気は、金属タイル158と二次空気案内160との間の開口部を通って炉に入る(ドアまたは二次空気の量を制御するための手段は図示されない)。案内160は、熱分解炉の放射区域内の高温環境にさらされる金属タイルの表面上に二次空気流を向けるために使用される。二次空気流は、燃料を完全に燃焼させるのに必要な酸化剤の残りを構成する。燃焼は、部分的には壁バーナー151を取り囲む金属タイル158上で起こり、したがって高い表面温度を有すると予想される。二次空気は、金属タイル158の表面を歪み温度以下に保つ。壁バーナー151と金属タイル158は、炉の内壁52と炉の外壁53との間に取り付けられている。表面152、153とそれらの間の空間として定義される炉の壁は様々な金属と耐火材料から作られている。
【0074】
金属製バーナーはまた、パイロットライトなどの補助装置、およびダクト工事用の部材を接合するための燃料供給装置、および任意の機械的酸化剤流量制御装置、ならびに計装を含む。
【0075】
耐火材料は、炉耐火壁の構築に一般的に使用される任意の種類の耐火材料とすることができる。そのような耐火材料の例には、ドロマイト、炭化ケイ素、アルミン酸塩(Al)、ケイ酸アルミニウム、クロマイト、シリカ、アルミナ、ジルコニア(ZrO)、およびそれらの混合物が含まれる。ある具体例において、そのような耐火材料は、シリカ、アルミナ(Al)、ケイ酸アルミニウム、ジルコニア(ZrO)、およびそれらの混合物から選択される。そのような耐火物は、たとえ言及された耐火材料が典型的には多孔質であるとしても、場合によっては本質的に非多孔質であり得る。ある具体例では、耐火物は多孔質であり、0.1cc/g以上の空孔率を有する。ある具体例では、空孔率は、0.1~0.5cc/g、または0.1~0.3cc/gとすることができる。
【0076】
耐火壁の例には、(ミズーリ州、メキシコの)A. P. Green Industries, Inc.から入手可能な、Empire(登録商標)S(これは、高機能乾式プレス耐火粘土レンガである)、Clipper(登録商標)、Korundal XD(登録商標)、およびInsblok‐19が含まれる。セラミックス繊維耐火物の例には、同じくAP Green Industries, Inc.から入手可能なInsboard 2300 LDが含まれる。これらの耐火材料は、約9.7%~61.5%のシリカ(SiO)、12.1%~90.0%のアルミナ(Al)、0.2%~1.7%の酸化鉄(Fe)、最大27.7%の石灰(CaO)、0.1%~0.4%のマグネシア(MgO)、2.0%~6.3%のチタニア(TiO)、および0.1%~2.4%のアルカリ(NaO+KO)を含む。
【0077】
天板を被覆するための耐火物用途は、同様の組成を有することができる。
【0078】
熱分解炉は、約700℃~約1350℃、または約850℃~約1200℃、または850℃~1100℃の温度で壁と共に機能する。
【0079】
バーナーに使用される金属製部品は、そのような温度で機械的に安定でなければならない。金属部品は、鍛造ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、およびHP、HT、HU、HW、およびHXステンレス鋼、耐熱鋼、およびニッケル基の合金から選択されるステンレス鋼などの任意の高温鋼から製造することができる。コイルパスは、高強度低合金鋼(HSLA)、高強度構造用鋼、または超高強度鋼とすることができる。そのような鋼の分類および組成は当業者に知られている。
【0080】
一実施形態では、ステンレス鋼(例えば、耐熱ステンレス鋼)は、ある具体例では、13~50、または20~50、または20~38重量%のクロムを含む。ステンレス鋼は、20~50、または25~50、または25~48、または約30~45重量%のNiをさらに含んでもよい。ステンレス鋼の残部は実質的に鉄とすることができる。
【0081】
本明細書に開示される実施形態はまた、ニッケル基および/またはコバルト基の極高温用高温合金(HTA)と共に使用されてもよい。ある具体例では、合金は主要量のニッケルまたはコバルトを含む。ある具体例では、高温ニッケル基の合金は、約50~70、または約55~65重量%のNiと、約20~10重量%のCrと、約20~10重量%のCoと、約5~9重量%のFeと、組成を最大100重量%とするために以下に記載される残りの1つ以上の微量元素とを含む。ある具体例では、高温コバルト基の合金は、40~65重量%のCoと、15~20重量%のCrと、20~13重量%のNiと、4重量%未満のFeと、以下に記載されるような残部の1つ以上の微量元素と最大20重量%のWとを含む。成分の合計は、100重量%になる。
【0082】
ある具体例では、鋼は、少なくとも0.2重量%、最大3重量%、または例えば1.0重量%、最大2.5重量%、または例えば2重量%以下のマンガン、0.3~2、または0.8~1.6、または例えば1.9重量%未満のSi、3未満、または例えば2重量%未満のチタン、ニオブ(例えば2.0未満、または1.5重量%未満のニオブ)、および他のすべての微量金属を含む多くの微量元素と、2.0重量%未満の炭素をさらに含み得る。微量元素は、鋼の組成が合計100重量%になるような量で存在する。
【0083】
本開示の一実施形態を図9および図10に示す。図9は、エタンをエチレンに熱分解するために使用することができるFoster‐Wheeler熱分解炉の簡単な概略図を示す。図9に示すエチレン熱分解装置などの熱分解装置では、供給原料201(エタンと水蒸気の混合物)は、一般的に炉の対流セクションと呼ばれる203の排気部分を通過するコイル202に入る。供給物は、対流セクション内で制御された特定の温度に予熱される。ある具体例では、蒸気もまた、別のコイル207の対流セクションで加熱される。ある具体例では、ボイラー供給水もまた、別のコイル206の対流セクションで加熱される。供給原料201を有するコイル202は、205を出る前に、炉の放射セクション204を通過し、その点で急速に急冷されてもよい。コイル202は、炉204の放射セクションを通過し、そこでバーナー208によって発生された熱にさらされる。図9に示される炉は、2つの放射セクションを有する熱分解炉構成を示し、コイルは両方の放射セクションを通過している。単一の放射セクションを有する炉を含む他の多数の構成がある。
【0084】
NOVA Chemicalsのエタン熱分解装置の放射セクションの動作をモデル化するために、これまで計算流体力学(CFD)が使用されてきた。この特定の熱分解炉のこのセクションの操作のある具体例は、215℃の空気で燃焼空気を予熱し、燃料は130℃の予熱温度での60%モル分率の水素と40%モル分率の天然ガスとの混合物からなるものであった。炉内のバーナーは、通常高温炉で使用される耐火物で構成される市販の低NOxバーナーである。単一のバーナーの熱放出速度は、煙道ガスの湿った酸素のモル濃度が2%のとき、約5MMBtu/hr(1.5MW)である。プロセスコイルの表面温度、耐火バーナーの表面温度、煙道ガスの出口温度、およびプロセスコイル熱伝達率を含むがこれらに限定されない、実際のプラントデータおよびCFDモデルの結果が比較された。モデル化された測定値とプラント運転測定値との比較は、それが実用的な方法でプラント性能の予測に使用できるように十分に近い(10%以内)ことが分かった。
【0085】
この検証作業は、本開示に係る耐火材料の代わりに金属を構造材料として使用して設計されたバーナーの性能を予測するためのモデル要件および設定を定義するために使用された。図9は、放射セクション204およびバーナー208の位置を有するFoster-Wheeler型熱分解炉の側面図を示す。図10は、この開示に従って設計され、上の段落に記載されているような条件で動作する(例えば、図5に示される)バーナーのNOVA ChemicalsのCFDによって予測された表面温度を示す。温度スケールは、500℃~1000℃の間の温度を示すように選択された範囲を有する。この範囲より下または上の温度は、スケールの両端に示されている。図10は、この例のバーナーでは、表面温度が900℃以下であり、これはバーナー構造に使用されるであろう金属の歪み温度よりも低いことを示している。これは、バーナーの燃焼速度と燃焼空気によって引き起こされる内部冷却速度と金属バーナーの設計との間に熱伝達のバランスがあることを示している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10