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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/423 20060101AFI20220203BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20220203BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20220203BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20220203BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20220203BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20220203BHJP
   A61K 9/28 20060101ALI20220203BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20220203BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20220203BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
A61K31/423
A61K47/14
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/16
A61K9/14
A61K9/28
A61P3/06
A61P1/16
A61P43/00 111
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019527071
(86)(22)【出願日】2018-06-29
(86)【国際出願番号】 JP2018024883
(87)【国際公開番号】W WO2019004448
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2020-04-23
(31)【優先権主張番号】P 2017128683
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000163006
【氏名又は名称】興和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南園 明人
【審査官】榎本 佳予子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/050134(WO,A1)
【文献】国際公開第2005/023777(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/005365(WO,A1)
【文献】特開2015-218322(JP,A)
【文献】国際公開第2015/141662(WO,A1)
【文献】特表2016-535055(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61P 1/00-43/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び(B):
(A)ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;
(B)次の成分(B-3);
B-3)クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル及びトリアセチンよりなる群から選ばれる1種以上のエステル
含有し、かつ、成分(A)と成分(B)とを実質的に互いに接しないように含有する、固形製剤である医薬組成物。
【請求項2】
前記成分(B-3)が、クエン酸トリエチル及びトリアセチンよりなる群から選ばれる1種以上である、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
剤形が、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤又は丸剤である、請求項1又は2記載の医薬組成物。
【請求項4】
次の成分(A):
(A)ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;
を中心錠に含有し、かつ、次の成分(B-3);
B-3)クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル及びトリアセチンよりなる群から選ばれる1種以上のエステル
フィルムコーティング層に含有する、フィルムコーティング錠剤である医薬組成物。
【請求項5】
前記成分(B-3)が、クエン酸トリエチル及びトリアセチンよりなる群から選ばれる1種以上である、請求項4記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の構造式:
【0003】
【化1】
【0004】
で表されるペマフィブラート(化学名:(2R)-2-[3-({1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル[3-(4-メトキシフェノキシ)プロピル]アミノ}メチル)フェノキシ]ブタン酸((2R)-2-[3-([1,3-Benzoxazol-2-yl[3-(4-methoxyphenoxy)propyl]amino]methyl)phenoxy]butanoic acid)、国際一般名:Pemafibrate)若しくはその塩又はそれらの溶媒和物は、優れたPPARαアゴニスト活性を有し、血漿トリグリセライド濃度の低下やHDLコレステロールの増加等の作用を示し、脂質異常症(高脂血症)の予防や治療に有用であること(特許文献1、非特許文献1、2)や、NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)の予防や治療に有用であること(特許文献2)が知られている。
【0005】
ところで、医薬品の有効成分として有用な化合物は通常何らかの医薬組成物として製剤化されて投与されることとなるが、医薬組成物が製造されてから投与されるまでに長期間経過することも珍しいことではない。そのため、期待する薬効の発揮の観点や予期せぬ副作用の回避の観点から、医薬組成物中での有効成分の保存安定性の確保が極めて重要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2005/023777号パンフレット
【文献】国際公開第2015/005365号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
【文献】Yukiyoshi Yamazaki, et al., Synthesis, 2008(7), 1017-1022.
【文献】Fruchart JC., Cardiovasc Diabetol., 2013; 12: 82.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、有効成分の保存安定性はその物理的・化学的特性に大きく左右されるところ、当該特性はその化学構造等から予め予測出来ないことが多く、医薬組成物を実際に製造して初めて問題が判明することも少なくない。そのため、医薬組成物中での有効成分の保存安定性を確保する技術の確立には多大な試行錯誤を要するのが通常である。
そして、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物については、上記のような薬理効果を示すということが報告されているのみであり、医薬組成物とすることについてはこれまでに具体的に検討がされておらず、医薬組成物中での保存安定性についてはこれまでに全く報告されていなかった。
しかるところ、本発明者が、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する医薬組成物を開発するため、種々の製剤添加物を用いた製剤化を検討したところ、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物(なお、以下、本明細書において、単に「成分(A)」と称することもある。)と、下記の成分1~4のうちいずれか(なお、以下、本明細書において、成分1~4をそれぞれ「成分(B-1)」、「成分(B-2)」、「成分(B-3)」、「成分(B-4)」と称し、また、「成分(B-1)、成分(B-2)、成分(B-3)及び成分(B-4)よりなる群から選ばれる1種以上」を「成分(B)」と称することもある。):
1.酸化チタンに代表される、金属酸化物
2.マクロゴールに代表される、二価アルコール
3.クエン酸トリエチルに代表される、エステル類
4.軽質無水ケイ酸に代表される、ケイ酸化合物
【0009】
とを混合して製した医薬組成物を保存した場合に、意外にも、成分(A)と成分(B)との間に相互作用が生じ、ペマフィブラートの分解物(類縁物質)が増加するという保存安定性の問題が生じることが判明した。
したがって、本発明の課題は、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と、金属酸化物、二価アルコール、エステル類及びケイ酸化合物よりなる群から選ばれる1種以上とを含有し、且つ保存安定性に優れる医薬組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明者は、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と上記した成分1~4との相互作用による保存安定性の問題を解決すべくさらに鋭意検討したところ、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と上記した成分1~4との物理的な接触が相互作用の原因であり、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と上記した成分1~4とが直接には接触し難いように両成分を医薬組成物に含有せしめることにより、ペマフィブラートの分解物の増加が抑制され、優れた保存安定性が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、次の成分(A)及び(B):
(A)ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;
(B)次の成分(B-1)~(B-4)よりなる群から選ばれる1種以上;
(B-1)金属酸化物
(B-2)二価アルコール
(B-3)エステル類
(B-4)ケイ酸化合物
を含有し、かつ、成分(A)と成分(B)とを実質的に互いに接しないように含有する、医薬組成物を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、次の成分(A)及び(B):
(A)ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;
(B)次の成分(B-1)~(B-4)よりなる群から選ばれる1種以上;
(B-1)金属酸化物
(B-2)二価アルコール
(B-3)エステル類
(B-4)ケイ酸化合物
を、成分(A)と成分(B)とが実質的に互いに接しないように含有せしめる工程を含む、医薬組成物中のペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の安定化方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ペマフィブラートの分解物の増加が抑制され、保存安定性に優れる医薬組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物(成分(A))>
本明細書において「ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物」には、ペマフィブラート(化学名:(2R)-2-[3-({1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル[3-(4-メトキシフェノキシ)プロピル]アミノ}メチル)フェノキシ]ブタン酸((2R)-2-[3-([1,3-Benzoxazol-2-yl[3-(4-methoxyphenoxy)propyl]amino]methyl)phenoxy]butanoic acid)、国際一般名:Pemafibrate)そのもののほか、ペマフィブラートの薬学上許容される塩、さらにはペマフィブラートやその薬学上許容される塩と、水やアルコール(例えば、エタノール)等との溶媒和物も含まれる。薬学上許容される塩としては特に限定されないが、例えば、酸付加塩や塩基付加塩等が挙げられる。酸付加塩としては、具体的には、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩のような無機酸との酸付加塩;安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、酢酸塩等の有機酸との酸付加塩が挙げられる。また、塩基付加塩としては、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の金属塩;アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、コリジン、ルチジン等のアミンとの塩;リシン、アルギニン、シンコニン、シンコニジン等の有機塩基との塩基付加塩等が挙げられる。
【0015】
ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物は公知の化合物であり、例えば、特許文献1、非特許文献1、米国特許第7,109,226号明細書に開示の方法により製造することができる。本発明においては、非特許文献1に記載の方法で製造できる、ペマフィブラートの結晶(好適には、第十七改正日本薬局方 融点測定法第1法に従って測定したとき、95~101℃、特に好適には97~100℃の融点を示す結晶)を用いるのが好ましい。なお、これらの文献の内容は、参照として本明細書に組み込まれる。
【0016】
医薬組成物におけるペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含有量は特に限定されず、製剤の種類、服用者の性別、年齢、症状等に応じて適宜検討して決定することができる。例えば、1日あたり、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を、ペマフィブラートのフリー体に換算して0.05~0.8mg、より好適には0.075~0.6mg、特に好適には0.1~0.4mg服用できる量を含有せしめることができる。
【0017】
医薬組成物におけるペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含有量としては、医薬組成物全質量に対して、ペマフィブラートのフリー体換算で0.001~60質量%であるのが好ましく、0.005~25質量%であるのがより好ましく、0.01~10質量%であるのが更に好ましく、0.05~5質量%であるのが更により好ましく、0.05~0.5質量%であるのが特に好ましい。
【0018】
<金属酸化物(成分(B-1))>
本明細書において「金属酸化物」とは、典型金属や遷移金属等の金属の酸化物を意味し、その金属の種類は特に限定されない。このような金属としては、例えば、第2族元素の金属(マグネシウム、カルシウム等)、遷移金属(チタン、鉄等)、第12族元素の金属(亜鉛等)、第13族元素の金属(アルミニウム等)などが挙げられる。この中では、第2族元素の金属及び遷移金属から選ばれる金属の酸化物が好ましく、マグネシウム、チタン及び鉄から選ばれる金属の酸化物がより好ましい。
こうした金属酸化物としては、具体的には例えば、黄酸化鉄、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、褐色酸化鉄、黒酸化鉄、合成ヒドロタルサイト、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化マグネシウムなどが挙げられ、これらのうち1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。この中では、黄酸化鉄、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、褐色酸化鉄、黒酸化鉄、合成ヒドロタルサイト、酸化チタン、酸化マグネシウムが好ましく、黄酸化鉄、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、褐色酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウムがより好ましく、酸化チタンが特に好ましい。
なお、これらの金属酸化物はいずれも公知の成分であり、公知の方法により製造しても良く、また、市販品を使用しても良い。なお、こうした市販品としては例えば、アパシット(富士化学工業(株))、アルカマック(協和化学工業(株))、合成ヒドロタルサイト(富田製薬(株))、酸化マグネシウム(富田製薬(株))、黄色三二酸化鉄(三栄源エフ・エフ・アイ(株))、黒酸化鉄(三栄源エフ・エフ・アイ(株))、酸化チタン(東邦チタニウム(株))、三二酸化鉄(三栄源エフ・エフ・アイ(株))等が挙げられる。
【0019】
医薬組成物における金属酸化物の含有量は特に限定されず、製剤の種類、服用者の性別、年齢、症状等に応じて適宜検討して決定することができるが、医薬組成物全質量に対して金属酸化物の合計量として、0.001~60質量%であるのが好ましく、0.005~3質量%であるのがより好ましく、0.01~2質量%であるのが更に好ましく、0.1~1質量%であるのが特に好ましい。
【0020】
医薬組成物における、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と金属酸化物との含有質量比率は特に限定されないが、ペマフィブラートのフリー体換算で1質量部に対し、金属酸化物を合計で0.01~30質量部含有するのが好ましく、0.05~20質量部含有するのがより好ましく、0.1~10質量部含有するのが特に好ましい。
【0021】
<二価アルコール(成分(B-2))>
本明細書において「二価アルコール」とは、アルコール性水酸基を2個有する化合物を意味し、非重合体でも重合体でもよい。こうした二価アルコールとしては、具体的には例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール等のアルキレングリコール類;ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、マクロゴール(例えば、マクロゴール100、マクロゴール200、マクロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール600、マクロゴール1000、マクロゴール1500、マクロゴール1540、マクロゴール4000、マクロゴール6000、ポリエチレングリコール8000、マクロゴール20000、マクロゴール35000等が例示される。)、ポリプロピレングリコール(例えば、ポリプロピレングリコール2000等が例示される。)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(例えば、ポリオキシエチレン(3)ポリオキシプロピレン(17)グリコール、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール、ポリオキシエチレン(42)ポリオキシプロピレン(67)グリコール、ポリオキシエチレン(54)ポリオキシプロピレン(39)グリコール、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、ポリオキシエチレン(120)ポリオキシプロピレン(40)グリコール、ポリオキシエチレン(124)ポリオキシプロピレン(39)グリコール、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール、ポリオキシエチレン(200)ポリオキシプロピレン(70)グリコール等が例示される。)等のポリアルキレングリコール類が挙げられ、これらのうち1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
二価アルコールとしては、ポリアルキレングリコール類が好ましく、マクロゴールがより好ましく、マクロゴール100、マクロゴール200、マクロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール600、マクロゴール1000、マクロゴール1500、マクロゴール1540、マクロゴール4000、マクロゴール6000、ポリエチレングリコール8000、マクロゴール20000及びマクロゴール35000から選ばれる1種以上がさらに好ましく、マクロゴール6000が特に好ましい。また、平均分子量が100~20000のマクロゴールが好ましく、平均分子量が200~10000のマクロゴールがよりに好ましく、平均分子量が300~8000のマクロゴールが特に好ましい。なお、マクロゴールの平均分子量は、第十七改正日本薬局方 医薬品各条「マクロゴール400」の項に記載の「平均分子量試験」により測定することができる。
なお、これらの二価アルコールはいずれも公知の成分であり、公知の方法により製造しても良く、また、市販品を使用しても良い。なお、こうした市販品としては例えば、コリソルブPG(BASFジャパン(株))、ジエチレングリコール((株)日本触媒)、ユニセーフDPG-R(日油(株))、マクロゴール200(三洋化成工業(株))、コリソルブPEG300(BASFジャパン(株))、スーパーリファインドPEG400(クローダジャパン(株))、CARBOWAX Sentry PEG600(ダウ・ケミカル日本(株))、マクロゴール1000(日油(株))、マクロゴール1500(三洋化成工業(株))、CARBOWAX Sentry PEG1540(ダウ・ケミカル日本(株))、マクロゴール4000(三洋化成工業(株))、マクロゴール6000(三洋化成工業(株))、マクロゴール20000(三洋化成工業(株))、ニューポールPP-2000(三洋化成工業(株))、プロノン101P(日油(株))、コリソルブP124(BASFジャパン(株))、プロノン403P(日油(株))、ニューデットPE-85(三洋化成工業(株))、PEP-101(フロイント産業(株))、コリフォールP188(BASFジャパン(株))、コリフォールP407マイクロ(BASFジャパン(株))、ユニルーブDP-950B(日油(株))等が挙げられる。
【0023】
医薬組成物における二価アルコールの含有量は特に限定されず、製剤の種類、服用者の性別、年齢、症状等に応じて適宜検討して決定することができるが、医薬組成物全質量に対して二価アルコールの合計量として、0.005~95質量%であるのが好ましく、0.01~60質量%であるのがより好ましく、0.01~5質量%であるのが更に好ましく、0.05~3質量%であるのが更により好ましく、0.1~1質量%であるのが特に好ましい。
【0024】
医薬組成物における、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と二価アルコールとの含有質量比率は特に限定されないが、ペマフィブラートのフリー体換算で1質量部に対し、二価アルコールを合計で0.1~30質量部含有するのが好ましく、0.5~20質量部含有するのがより好ましく、1~10質量部含有するのが特に好ましい。
【0025】
<エステル類(成分(B-3))>
本明細書において「エステル類」とは、エステル結合を分子内に1個以上(好適には1~4個、更に好適には2~4個、特に好適には3~4個)有する化合物を意味する。また、エステル結合を形成するカルボン酸・アルコールは特に限定されず、エステル類としては、例えば、酢酸、酪酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、セスキオレイン酸等の1価カルボン酸やクエン酸、フタル酸等の多価カルボン酸と、エタノール、ブタノール、トコフェロール等の1価アルコールやグリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、ソルビタン、ショ糖等の多価アルコールとのエステル等が挙げられる。
エステル類としては、具体的には例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタンセスキオレイン酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、中鎖脂肪酸トリグリセリド、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ジオクチルソジウムスルホサクシネート、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、トリアセチン、酢酸トコフェロール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80等)、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、フマル酸ステアリルナトリウム等が挙げられ、これらのうち1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
エステル類としては、エステル結合を分子内に2~4個有する化合物が好ましく、クエン酸及びフタル酸から選ばれる多価カルボン酸とアルコール(好ましくは1価アルコール)とのジエステル又はトリエステル、クエン酸残基を有するテトラエステル(クエン酸アルカノイルトリアルキル類)、グリセリンとカルボン酸(好ましくは1価カルボン酸)とのトリエステルがより好ましく、クエン酸とアルコールとのトリエステル、クエン酸残基を有するテトラエステル、グリセリンとカルボン酸とのトリエステルがさらに好ましく、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、トリアセチンがさらに好ましく、クエン酸トリエチル、トリアセチンが特に好ましい。
【0027】
なお、これらのエステル類はいずれも公知の成分であり、公知の方法により製造しても良く、また、市販品を使用しても良い。なお、こうした市販品としては例えば、食添ノニオンPP-40R(日油(株))、食添ノニオンSP-60R(日油(株))、食添ノニオンSP-60RP(日油(株))、食添ノニオンOP-80R(日油(株))、食添ノニオンCP-08R(日油(株))、NIKKOL AO-5MV(日光ケミカルズ(株))、ポエムB-100(理研ビタミン(株))、ポエムHB(理研ビタミン(株))、ポエムJ-0381V(理研ビタミン(株))、ポエムJ-2081(理研ビタミン(株))、ポエムTR-FB(理研ビタミン(株))、ポエムW-10(理研ビタミン(株))、ポエムW-60(理研ビタミン(株))、薬添規パナセート800(日油(株))、薬添規パナセート810(日油(株))、薬添規パナセート810S(日油(株))、DKエステルF-160(第一工業製薬(株))、DKエステルF-140(第一工業製薬(株))、DKエステルF-110(第一工業製薬(株))、DKエステルF-90(第一工業製薬(株))、DKエステルF-70(第一工業製薬(株))、DKエステルF-50(第一工業製薬(株))、DKエステルF-20W(第一工業製薬(株))、DKエステルF-10(第一工業製薬(株))、DKエステルFA-10E(第一工業製薬(株))、NIKKOL Sefsol-218(日光ケミカルズ(株))、NIKKOL Sefsol-228(日光ケミカルズ(株))、シトロフレックス2(SC-60)(三栄源エフ・エフ・アイ(株))、トリアセチン(有機合成薬品工業(株))、ラピゾール(日油(株))、NIKKOL HCO-40(日光ケミカルズ(株))、NIKKOL HCO-60(日光ケミカルズ(株))、NIKKOL TL-10(日光ケミカルズ(株))、NIKKOL TP-10EX(日光ケミカルズ(株))、NIKKOL TS-10MV(日光ケミカルズ(株))、NIKKOL TO-10MV(日光ケミカルズ(株))、オイドラギットE100((株)樋口商会)、オイドラギットRL100((株)樋口商会)、AEA「三共」(三共ライフテック(株))、HPMCP(信越化学工業(株))、信越AQOAT(信越化学工業(株))、プルーブ(木村産業(株))等が挙げられる。
【0028】
医薬組成物におけるエステル類の含有量は特に限定されず、製剤の種類、服用者の性別、年齢、症状等に応じて適宜検討して決定することができるが、医薬組成物全質量に対してエステル類の合計量として、0.005~60質量%であるのが好ましく、0.01~5質量%であるのがより好ましく、0.05~3質量%であるのが更に好ましく、0.1~1質量%であるのが特に好ましい。
【0029】
医薬組成物における、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とエステル類との含有質量比率は特に限定されないが、ペマフィブラートのフリー体換算で1質量部に対し、エステル類を合計で0.01~30質量部含有するのが好ましく、0.05~20質量部含有するのがより好ましく、0.1~10質量部含有するのが特に好ましい。
【0030】
<ケイ酸化合物(成分(B-4))>
本明細書において「ケイ酸化合物」としては、ケイ酸化合物そのもののほか、ケイ酸化合物の塩も含まれる。ケイ酸化合物の塩としては例えば、無機塩が挙げられ、具体的には例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等の第2族元素の金属との塩;アルミニウム塩等の第13族元素の金属との塩等が挙げられる。
このようなケイ酸化合物としては、具体的には例えば、含水二酸化ケイ素、含水無晶形酸化ケイ素、含水ケイ酸マグネシウム、含水ケイ酸マグネシウム(天然)等の含水ケイ酸化合物又はその塩;軽質無水ケイ酸、重質無水ケイ酸等の無水ケイ酸又はその塩;二酸化ケイ素、天然ケイ酸アルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ケイ酸マグネシウムナトリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等のケイ酸又はその塩のほか、ケイソウ土、ベントナイト、カオリン、タルク等が挙げられ、これらのうち1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ケイ酸化合物としては、無水ケイ酸又はその塩が好ましく、軽質無水ケイ酸が特に好ましい。
なお、これらのケイ酸化合物はいずれも公知の成分であり、公知の方法により製造しても良く、また、市販品を使用しても良い。なお、こうした市販品としては例えば、ノイシリンA(富士化学工業(株))、フローライト(富田製薬(株))、ケイ酸マグネシウム(富田製薬(株))、VEEGUMI グラニュー(三洋化成工業(株))、VEEGUMI HV グラニュー(三洋化成工業(株))、VEEGUMI K グラニュー(三洋化成工業(株))、VEEGUMI F(三洋化成工業(株))、サイリシア 320(富士シリシア化学(株))、サイリシア 350(富士シリシア化学(株))、サイリシア 320TP(富士シリシア化学(株))、サイリシア 320FCP(富士シリシア化学(株))、マイコンFR(富田製薬(株))、二酸化ケイ素(日本アエロジル(株))、アドソリダー101(フロイント産業(株))、アドソリダー102(フロイント産業(株))、サイリシア(富士シリシア化学(株))、サイロスフェア(富士シリシア化学(株))、含水無晶形酸化ケイ素(東ソー・シリカ(株))、ノイシリン(富士化学工業(株))、ケイソウ土(昭和化工(株))、タルク(三栄源エフ・エフ・アイ(株))等が挙げられる。
【0031】
医薬組成物におけるケイ酸化合物の含有量は特に限定されず、製剤の種類、服用者の性別、年齢、症状等に応じて適宜検討して決定することができるが、医薬組成物全質量に対してケイ酸化合物の合計量として、0.001~95質量%であるのが好ましく、0.005~60質量%であるのがより好ましく、0.01~5質量%であるのが更に好ましく、0.05~3質量%であるのが更により好ましく、0.1~1質量%であるのが特に好ましい。
【0032】
医薬組成物における、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とケイ酸化合物との含有質量比率は特に限定されないが、ペマフィブラートのフリー体換算で1質量部に対し、ケイ酸化合物を合計で0.01~30質量部含有するのが好ましく、0.05~20質量部含有するのがより好ましく、0.1~10質量部含有するのが特に好ましい。
【0033】
また、医薬組成物における成分(B)全体の合計含有量は特に限定されず、製剤の種類、服用者の性別、年齢、症状等に応じて適宜検討して決定することができるが、医薬組成物全質量に対して、0.01~95質量%であるのが好ましく、0.05~60質量%であるのがより好ましく、0.1~10質量%であるのが更に好ましく、0.5~5質量%であるのが特に好ましい。
【0034】
医薬組成物における、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と成分(B)全体との含有質量比率は特に限定されないが、ペマフィブラートのフリー体換算で1質量部に対し、成分(B)を合計で0.005~15質量部含有するのが好ましく、0.01~10質量部含有するのがより好ましく、0.05~5質量部含有するのが更に好ましく、0.1~2質量部含有するのが特に好ましい。
【0035】
本明細書において、成分(A)と成分(B)とを「実質的に互いに接しないように含有する」とは、成分(A)と成分(B)とが、相互作用が実質的に問題とならない程度に接触を回避あるいは抑制しつつ、同一医薬組成物中に含有せしめられている態様を意味する。従って、相互作用が実質的に問題とならない程度であれば、ペマフィブラートと成分(B)とが接触あるいは近傍に存在する態様も許容される。ここで、「実質的に互いに接しないように含有する」ための具体的な態様としては、例えば、医薬組成物中に成分(A)と成分(B)に加えて、さらに他の成分(製剤添加物等)を共存させ、斯かる他の成分の存在によって、成分(A)と成分(B)との接触を、相互作用が実質的に問題とならない程度となるよう妨げる(例えば、当該他の成分を、成分(A)及び/又は成分(B)の表面に配置することによって、成分(A)と成分(B)との接触を、相互作用が実質的に問題とならない程度となるよう妨げる等)態様が挙げられる。
【0036】
なお、本発明の医薬組成物は、成分(B-1)、成分(B-2)、成分(B-3)及び成分(B-4)から選ばれる成分のうちいずれか1種が成分(B)として、成分(A)と実質的に互いに接しないように含有せしめられたものであってもよいが、ペマフィブラートの分解物の増加を抑制する観点から、医薬組成物に配合されている成分(B)の全種が、成分(A)と実質的に互いに接しないように含有せしめられている態様が特に好ましい。また、後記試験例の通り、特に成分(B-1)、成分(B-2)、成分(B-3)との混合においてペマフィブラートの分解物が顕著に増加する点に鑑みれば、ペマフィブラートの分解物の増加を抑制する観点から、成分(A)と成分(B-1)、成分(B-2)及び成分(B-3)から選ばれる1種以上とが実質的に互いに接しないように含有せしめられている態様が好ましい。特に、この態様の中でも、医薬組成物中に含まれている成分(B-1)、成分(B-2)及び成分(B-3)から選ばれる1種以上の全種が、成分(A)と実質的に互いに接しないように含有せしめられている態様が好ましい。
【0037】
本明細書において「医薬組成物」の剤形は特に限定されず、固形状、半固形状、又は液状製剤のいずれであってもよく、その利用目的等に応じて選択することができる。医薬組成物の剤形としては、例えば、第十七改正日本薬局方 製剤総則等に記載の剤形が挙げられる。具体的には例えば、経口投与用の剤形としては、錠剤(例えば、通常錠、口腔内崩壊錠、チュアブル錠、発泡錠、分散錠、溶解錠などを含む)、カプセル剤、顆粒剤(例えば、発泡顆粒剤などを含む)、散剤、丸剤等の固形製剤;経口ゼリー剤等の半固形状製剤;経口液剤(例えば、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、リモナーデ剤などを含む)等の液状製剤等が挙げられる。また、非経口投与用の剤形としては、注射剤、吸入剤、点眼剤、点耳剤、点鼻剤、座剤、外用固形剤、外用液剤、スプレー剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤等が挙げられる。
【0038】
医薬組成物の剤形としては、服用のし易さ及び製造のし易さの観点から、固形製剤であるのが好ましく、錠剤(例えば、通常錠、口腔内崩壊錠、チュアブル錠、発泡錠、分散錠、溶解錠などを含む)、カプセル剤、顆粒剤(例えば、発泡顆粒剤などを含む)、散剤及び丸剤から選ばれる固形製剤が特に好ましい。医薬組成物が固形製剤である場合においては、医薬組成物中での成分(A)、成分(B)の移動(流動)が制限されるため、両成分を「実質的に互いに接しないように含有」させることがより容易となる。
【0039】
上記固形製剤としては、具体的には例えば、
(I)成分(A)そのもの、又は成分(A)を含有する固形組成物(なお、斯かる固形組成物を、以下、「(I)の固形組成物」と称する。)と、
(II)成分(B)そのもの、又は成分(B)を含有する固形組成物(なお、斯かる固形組成物を、以下、「(II)の固形組成物」と称する。)とを含有し、
成分(A)と成分(B)とが実質的に互いに接しないように配置されている固形製剤(但し、(I)が成分(A)そのものであり、かつ、(II)が成分(B)そのものである場合を除く)が挙げられる。すなわち、成分(A)と成分(B)のいずれか一方又は両方が固形組成物の形態となっており、成分(A)と成分(B)とが実質的に互いに接しないように配置されているのが好ましい。
【0040】
斯かる態様においては、(I)及び/又は(II)の固形組成物を構成する成分(成分(A)、成分(B)以外の他の成分(製剤添加物等))によって、成分(A)と成分(B)との接触が妨げられることとなる。
なお、斯かる態様において、固形組成物の形態は特に限定されず、例えば、粉状(例えば、粉砕した成分(A)や成分(B)に、他の成分をコーティングしたもの等);粒状(例えば、成分(A)や成分(B)を、他の成分と共に造粒したもの等);錠剤状(例えば、成分(A)や成分(B)を、他の成分と共に打錠したもの等)などの形態が挙げられる。また、固形組成物の大きさは特に限定されない。
【0041】
ここで、(I)の固形組成物の含有量は特に限定されないが、固形製剤全質量に対して、好ましくは15~99質量%、より好ましくは90~99質量%、特に好ましくは94~98質量%である。
また、(I)の固形組成物において、成分(A)の合計含有量は特に限定されないが、(I)の固形組成物全質量に対して、好ましくは0.001~10質量%、より好ましくは0.01~7質量%、特に好ましくは0.05~5質量%である。
また、(II)の固形組成物の含有量は特に限定されないが、固形製剤全質量に対して、好ましくは1~85質量%、より好ましくは1~10質量%、特に好ましくは2~6質量%である。
また、(II)の固形組成物において、成分(B)の合計含有量は特に限定されないが、(II)の固形組成物全質量に対して、好ましくは0.1~70質量%、より好ましくは1~60質量%、特に好ましくは5~50質量%である。
また、(II)の固形組成物が成分(B-1)を含む場合、成分(B-1)の合計含有量は特に限定されないが、(II)の固形組成物全質量に対して、好ましくは0.05~60質量%、より好ましくは0.5~50質量%、特に好ましくは5~40質量%である。
また、(II)の固形組成物が成分(B-2)を含む場合、成分(B-2)の合計含有量は特に限定されないが、(II)の固形組成物全質量に対して、好ましくは0.1~30質量%、より好ましくは0.5~20質量%、特に好ましくは1~15質量%である。
また、(II)の固形組成物が成分(B-3)を含む場合、成分(B-3)の合計含有量は特に限定されないが、(II)の固形組成物全質量に対して、好ましくは0.1~40質量%、より好ましくは1~30質量%、特に好ましくは2~20質量%である。
また、(II)の固形組成物が成分(B-4)を含む場合、成分(B-4)の合計含有量は特に限定されないが、(II)の固形組成物全質量に対して、好ましくは0.1~50質量%、より好ましくは1~40質量%、特に好ましくは3~35質量%である。
【0042】
上記のような態様の固形製剤の具体的な形態としては、例えば、以下の態様<1>~<8>等を例示することができ、これらは公知の方法、例えば、第十七改正日本薬局方 製剤総則等に記載の公知の方法により、適宜製剤添加物等を用いて製造、製剤化することができる。
【0043】
<1> 成分(A)及び成分(B)のうちいずれか一方を適当な方法で適当な成分と共に造粒して粉状物や粒状物とし、これに他方を造粒せずに配合して製した散剤や顆粒剤等並びにこれらの剤を更に適当な方法で被覆した固形製剤。
<2> 成分(A)及び成分(B)をそれぞれ別個に、適当な方法で適当な成分と共に造粒して粉状物や粒状物とし、これらを配合して製した散剤や顆粒剤等並びにこれらの剤を更に適当な方法で被覆した固形製剤。
<3> 上記<1>~<2>の方法で製した散剤や顆粒剤等並びにこれらの剤を更に適当な方法で被覆した固形製剤がカプセルに充填されたカプセル剤。
<4> 上記<1>の方法で製した粉状物や粒状物と他方の非造粒物とを適当な方法で製錠して得た錠剤及び当該錠剤を更に適当な方法で被覆した固形製剤(糖衣錠やフィルムコーティング錠など)や、上記<2>の方法で製した粉状物や粒状物を適当な方法で製錠して得た錠剤及び当該錠剤を更に適当な方法で被覆した固形製剤(糖衣錠やフィルムコーティング錠など)。なお、製錠は、圧縮法のほか、適当な方法により一定の形状に成形することでも達成できる。
<5> 成分(A)及び成分(B)を、それぞれ互いに異なる層に位置させることによって、成分(A)及び成分(B)が実質的に互いに接触しないように製した多層錠並びに当該多層錠を更に適当な方法で被覆した固形製剤(糖衣錠やフィルムコーティング錠など)。当該多層錠としては、三層以上の多層錠として、成分(A)を含む層と成分(B)を含む層とが互いに接しないように位置させたものが好ましい。なお、成分(A)及び成分(B)として、上記<1>~<2>で製した粉状物や粒状物等を用いることができる。
<6> 成分(A)及び成分(B)のいずれか一方を中心錠(芯錠、核錠ともいう)に配置し、成分(A)及び成分(B)が実質的に互いに接触しないように含まれるよう製した有核錠、並びに当該有核錠を更に適当な方法で被覆した固形製剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠など)。なお、成分(A)及び成分(B)として、上記<1>~<2>で製した粉状物や粒状物等を用いることができる。
<7> 上記<1>~<2>の方法で製した粉状物や粒状物等に代えて、成分(A)及び成分(B)のいずれか一方又は両方をα-シクロデキストリン、β-シクロデキストリンやγ-シクロデキストリン等のシクロデキストリン類等で包摂した包摂化合物を用いて、<1>~<4>又は<6>記載の方法により製した固形製剤。
<8> 成分(A)及び成分(B)のいずれか一方を通常の方法で製した製剤中に含有し、糖衣層やフィルムコーティング層を設けた固形製剤であって、当該糖衣層やコーティング層に他方を含有せしめて、成分(A)及び成分(B)が実質的に互いに接しないように製した固形製剤(剤形が錠剤である場合、糖衣錠やフィルムコーティング錠など。)。
【0044】
上記<1>及び<2>等における粉状物や粒状物は、押し出し造粒、転動造粒、攪拌造粒、流動層造粒、噴霧乾燥造粒、粉砕造粒、溶融造粒等の公知の乾式又は湿式造粒方法により、適宜製剤添加物を用いて製すればよい。なお成分(A)を含有する粉状物や粒状物と、成分(B)を含有する粉状物や粒状物とは、いずれもが同一の造粒方法により製されていてもよいし、相異なる造粒方法により製されていてもよい。
【0045】
相互作用の抑制の観点、及び製造の容易性の観点から、医薬組成物としては、上記態様<8>の固形製剤が好ましく、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を通常の方法で製した製剤中に含有し、その表面に層(糖衣層やフィルムコーティング層)を設けた固形製剤であって、当該層に成分(B)を含有する固形製剤がより好ましく、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を中心錠に含有し、成分(B)をフィルムコーティング層に含有する、フィルムコーティング錠剤が特に好ましい。
【0046】
本発明の医薬組成物は、その剤形に応じて公知の方法により製造することができる。
例えば、医薬組成物が固形製剤である場合には、粉砕、混合、造粒、乾燥、整粒、分級、充填、打錠、コーティング等の単位操作を適宜組み合わせることにより製造することができる。
より具体的には例えば、医薬組成物の剤形が顆粒剤、散剤、丸剤等の粒状の製剤の場合、必要に応じ賦形剤や結合剤、崩壊剤、滑沢剤等の製剤添加物を用い、これらの成分を混合した後、押出造粒、転動造粒、攪拌造粒、流動層造粒、噴霧造粒、溶融造粒、破砕造粒等の公知の造粒方法により造粒して造粒物を得、さらに必要に応じて分級、整粒等することで製造することができる。なお、得られた造粒物は、公知の方法によりコーティング剤等で被覆することもできる。
また、医薬組成物の剤形が錠剤の場合、必要に応じ賦形剤や結合剤、崩壊剤、滑沢剤等の適当な製剤添加物を用い、これらの成分を混合して混合物を得、これを直接圧縮(打錠)すること(直接粉末圧縮法)や、上記の造粒物を必要に応じて分級、整粒等したあと圧縮(打錠)すること(半乾式顆粒圧縮法、乾式顆粒圧縮法、湿式顆粒圧縮法など)により製造することができる。なお、得られた圧縮物(錠剤)は、公知の方法によりコーティング剤等で被覆することもできる。
さらに、医薬組成物の剤形がカプセル剤の場合、上記の造粒物や圧縮物を、カプセルに充填すればよい。
【0047】
医薬組成物には、その剤形に応じ、製薬上許容される担体(製剤添加物)を加えてもよい。こうした製剤添加物としては、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、可塑剤、フィルム形成剤、難水溶性高分子物質、抗酸化剤、矯味剤、甘味剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、これらの製剤添加物としては、具体的には例えば、医薬品添加物辞典2016(株式会社薬事日報社発行)、Handbook of Pharmaceutical Excipients, Seventh Edition(Pharmaceutical Press社発行)等に収載されたものを用いればよい。
【0048】
賦形剤としては、具体的には例えば、無水硫酸ナトリウム、無水リン酸水素カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素ナトリウム等の無機系賦形剤;アメ粉、デンプン(コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、部分アルファー化デンプン等)、果糖、カラメル、カンテン、キシリトール、パラフィン、結晶セルロース、粉末セルロース、ショ糖、麦芽糖、乳糖、乳糖水和物、白糖、ブドウ糖、プルラン、マルチトール、還元麦芽糖水アメ、粉末還元麦芽糖水アメ、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、トレハロース、還元パラチノース、マルトース、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、クエン酸カルシウム等の有機系賦形剤等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
賦形剤の合計含有量は特に限定されないが、医薬組成物全質量に対して、好ましくは20~99質量%、より好ましくは30~95質量%である。
また、(I)及び/又は(II)の固形組成物が賦形剤を含む場合、賦形剤の合計含有量は特に限定されないが、固形組成物全質量に対して、好ましくは20~99質量%、より好ましくは30~95質量%である。
【0049】
崩壊剤としては、具体的には例えば、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン等のスーパー崩壊剤やカルメロース、カルメロースカルシウム、デンプン、ゼラチン、炭酸水素ナトリウム、デキストリン、デヒドロ酢酸及びその塩、ポビドン等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
崩壊剤の合計含有量は特に限定されないが、医薬組成物全質量に対して、好ましくは1~30質量%、より好ましくは2~20質量%である。
また、(I)及び/又は(II)の固形組成物が崩壊剤を含む場合、崩壊剤の合計含有量は特に限定されないが、固形組成物全質量に対して、好ましくは1~30質量%、より好ましくは2~20質量%である。
【0050】
結合剤としては、具体的には例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、カルメロースナトリウム、デンプン(コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、部分アルファー化デンプン等)、デキストリン、プルラン、アラビアゴム、カンテン、ゼラチン、トラガント、アルギン酸ナトリウム、ポビドン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
結合剤の合計含有量は特に限定されないが、医薬組成物全質量に対して、好ましくは1~30質量%、より好ましくは2~20質量%である。
また、(I)及び/又は(II)の固形組成物が結合剤を含む場合、結合剤の合計含有量は特に限定されないが、固形組成物全質量に対して、好ましくは1~30質量%、より好ましくは2~20質量%である。
【0051】
滑沢剤としては、具体的には例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
滑沢剤の合計含有量は特に限定されないが、医薬組成物全質量に対して、好ましくは0.01~15質量%、より好ましくは0.1~10質量%である。
また、(I)及び/又は(II)の固形組成物が滑沢剤を含む場合、滑沢剤の合計含有量は特に限定されないが、固形組成物全質量に対して、好ましくは0.01~15質量%、より好ましくは0.1~10質量%である。
【0052】
可塑剤としては、具体的には例えば、グリセリン、ソルビトール等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0053】
フィルム形成剤としては、具体的には例えば、メチルセルロース、エチルセルロース等のアルキルセルロース;アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸又はその塩;カラギーナン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースカリウム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース等のカルボキシアルキルセルロース;キサンタンガム;ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)等のヒドロキシアルキルセルロース;プルラン;ポリビニルピロリドン等が挙げられ、これらから選ばれる1種又は2種以上の組み合わせが好ましい。
フィルム形成剤の合計含有量は、医薬組成物全質量に対して、好ましくは1~10質量%、より好ましくは3~5質量%ある。
また、(I)及び/又は(II)の固形組成物がフィルム形成剤を含む場合、フィルム形成剤の合計含有量は、固形組成物全質量に対して、好ましくは1~10質量%、より好ましくは3~5質量%である。
【0054】
難水溶性高分子物質としては、具体的には例えば、カルボキシビニルポリマー等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
抗酸化剤としては、具体的には例えば、アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、エリソルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、天然ビタミンE、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0055】
矯味剤としては、具体的には例えば、リモネン、ピネン、カンフェン、サイメン、シネオール、シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、リナロール、メントール、テルピネオール、ロジノール、ボルネオール、イソボルネオール、メントン、カンフル、オイゲノール、シンゼイラノール等のテルペン;トウヒ油、オレンジ油、ハッカ油、樟脳白油、ユーカリ油、テレピン油、レモン油、ショウキョウ油、チョウジ油、ケイヒ油、ラベンダー油、ウイキョウ油、カミツレ油、シソ油、スペアミント油等のテルペンを含有する精油;アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸及びこれらの塩等の酸味剤等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0056】
甘味剤としては、例えば、アスパルテーム、ステビア、スクラロース、グリチルリチン酸、ソーマチン、アセスルファムカリウム、サッカリン、サッカリンナトリウム等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0057】
本発明の医薬組成物の適用疾患は何ら限定されず、現時点で公知の、又は将来的に見出される、ペマフィブラートの投与が有効であるとされる疾患の予防又は治療に広く用いることができる。
例えば、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物は優れたPPARαアゴニスト活性を有し、血漿トリグリセライド濃度の低下やHDLコレステロールの増加等の作用を有する。従って、本発明の医薬組成物は、好適には、脂質異常症(高脂血症、より詳細には例えば、原発性高脂血症、続発性高脂血症等)の予防及び/又は治療剤として、さらに好適には高トリグリセライド血症の予防及び/又は治療剤等として使用できる。
また、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物は、NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)の予防又は治療に有用である。従って、本発明の医薬組成物は、NAFLD(より好適には、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎))の予防及び/又は治療剤等としても使用できる。
さらに、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物は、原発性胆汁性肝硬変の治療剤として使用してもよい。
【0058】
医薬組成物の服用経路は特に限定されず、適用する疾患、製剤の種類、服用者の性別、年齢、症状等に応じて適宜検討して決定することができるが、服用の容易性の観点から、経口投与が好ましい。また、医薬組成物は、1日につき1~4回程度に分けて、食前、食間、食後、就寝前等に服用することができる。
【0059】
なお、本明細書は、これらに何ら限定されるものでは無いが、例えば以下の態様を開示する。
[1-1] 次の成分(A)及び(B):
(A)ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;
(B)次の成分(B-1)~(B-4)よりなる群から選ばれる1種以上;
(B-1)金属酸化物
(B-2)二価アルコール
(B-3)エステル類
(B-4)ケイ酸化合物
を含有し、かつ、成分(A)と成分(B)とを実質的に互いに接しないように含有する、医薬組成物。
[1-2] 医薬組成物中に成分(A)及び(B)に加えて、さらに他の成分を共存させ、当該他の成分によって、成分(A)と(B)を実質的に互いに接しないようにしたものである、[1-1]記載の医薬組成物。
[1-3] 固形製剤である、[1-1]又は[1-2]記載の医薬組成物。
[1-4] 下記(I)及び(II):
(I)成分(A)そのもの、又は成分(A)を含有する固形組成物;
(II)成分(B)そのもの、又は成分(B)を含有する固形組成物;
を含有し、成分(A)と(B)とが実質的に互いに接しないように配置されている固形製剤(ただし、(I)が成分(A)そのものであり、(II)が成分(B)そのものである場合を除く。)である、[1-1]~[1-3]のいずれか記載の医薬組成物。
【0060】
[1-5] 上記の態様<1>~<8>から選ばれる固形製剤の形態である、[1-1]~[1-4]のいずれか記載の医薬組成物。
【0061】
[1-6] ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を中心錠に含有し、金属酸化物(成分(B-1))、二価アルコール(成分(B-2))、エステル類(成分(B-3))及びケイ酸化合物(成分(B-4))よりなる群から選ばれる1種以上をフィルムコーティング層に含有する、フィルムコーティング錠剤。
[1-7] 成分(B-1)が、黄酸化鉄、黄色三二酸化鉄、褐色酸化鉄、黒酸化鉄、合成ヒドロタルサイト、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化マグネシウム及び三二酸化鉄よりなる群から選ばれる1種以上である、[1-1]~[1-6]のいずれか記載の医薬組成物。
[1-8] 成分(B-2)が、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、マクロゴール(ポリエチレングリコール)、ポリプロピレングリコール及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールよりなる群から選ばれる1種以上である、[1-1]~[1-7]のいずれか記載の医薬組成物。
[1-9] 成分(B-3)が、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル及びトリアセチンよりなる群から選ばれる1種以上である、[1-1]~[1-8]のいずれか記載の医薬組成物。
[1-10] 成分(B-4)が、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、軽質無水ケイ酸及び重質無水ケイ酸よりなる群から選ばれる1種以上である、[1-1]~[1-9]のいずれか記載の医薬組成物。
[1-11] 剤形が、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤又は丸剤である、[1-1]~[1-10]のいずれか記載の医薬組成物。
[1-12] 脂質異常症(高脂血症、より詳細には例えば、原発性高脂血症、続発性高脂血症等)、NAFLD(より好適には、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎))、及び原発性胆汁性肝硬変から選ばれる疾患の予防及び/又は治療剤である、[1-1]~[1-11]のいずれか記載の医薬組成物。
【0062】
[2-1] 次の成分(A)及び(B-1):
(A)ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;
(B-1)金属酸化物;
を含有し、かつ、成分(A)と成分(B-1)とを実質的に互いに接しないように含有する、医薬組成物。
[2-2] 医薬組成物中に成分(A)及び(B-1)に加えて、さらに他の成分を共存させ、当該他の成分によって、成分(A)と(B-1)を実質的に互いに接しないようにしたものである、[2-1]記載の医薬組成物。
[2-3] 固形製剤である、[2-1]又は[2-2]記載の医薬組成物。
[2-4] 下記(I)及び(II):
(I)成分(A)そのもの、又は成分(A)を含有する固形組成物;
(II)成分(B-1)そのもの、又は成分(B-1)を含有する固形組成物;
を含有し、成分(A)と(B-1)とが実質的に互いに接しないように配置されている固形製剤(ただし、(I)が成分(A)そのものであり、(II)が成分(B-1)そのものである場合を除く。)である、[2-1]~[2-3]のいずれか記載の医薬組成物。
【0063】
[2-5] 上記の態様<1>~<8>(但し、「成分(B)」は「成分(B-1)」と読み替える。)から選ばれる固形製剤の形態である、[2-1]~[2-4]のいずれか記載の医薬組成物。
[2-6] ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を中心錠に含有し、金属酸化物(成分(B-1))をフィルムコーティング層に含有する、フィルムコーティング錠剤。
【0064】
[2-7] 成分(B-1)が、黄酸化鉄、黄色三二酸化鉄、褐色酸化鉄、黒酸化鉄、合成ヒドロタルサイト、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化マグネシウム及び三二酸化鉄よりなる群から選ばれる1種以上である、[2-1]~[2-6]のいずれか記載の医薬組成物。
[2-8] 成分(B-1)が、合成ヒドロタルサイト、酸化鉄、酸化マグネシウム、黄色三二酸化鉄、褐色酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン及び三二酸化鉄よりなる群から選ばれる1種以上である、[2-1]~[2-7]のいずれか記載の医薬組成物。
[2-9] 成分(B-1)が、酸化チタンである、[2-1]~[2-8]のいずれか記載の医薬組成物。
[2-10] 剤形が、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤又は丸剤である、[2-1]~[2-9]のいずれか記載の医薬組成物。
[2-11] 脂質異常症(高脂血症、より詳細には例えば、原発性高脂血症、続発性高脂血症等)、NAFLD(より好適には、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎))及び原発性胆汁性肝硬変から選ばれる疾患の予防及び/又は治療剤である、[2-1]~[2-10]のいずれか記載の医薬組成物。
【0065】
[3-1] 次の成分(A)及び(B-2):
(A)ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;
(B-2)二価アルコール;
を含有し、かつ、成分(A)と成分(B-2)とを実質的に互いに接しないように含有する、医薬組成物。
[3-2] 医薬組成物中に成分(A)及び(B-2)に加えて、さらに他の成分を共存させ、当該他の成分によって、成分(A)と(B-2)を実質的に互いに接しないようにしたものである、[3-1]記載の医薬組成物。
[3-3] 固形製剤である、[3-1]又は[3-2]記載の医薬組成物。
[3-4] 下記(I)及び(II):
(I)成分(A)そのもの、又は成分(A)を含有する固形組成物;
(II)成分(B-2)そのもの、又は成分(B-2)を含有する固形組成物;
を含有し、成分(A)と(B-2)とが実質的に互いに接しないように配置されている固形製剤(ただし、(I)が成分(A)そのものであり、(II)が成分(B-2)そのものである場合を除く。)である、[3-1]~[3-3]のいずれか記載の医薬組成物。
【0066】
[3-5] 上記の態様<1>~<8>(但し、「成分(B)」は「成分(B-2)」と読み替える。)から選ばれる固形製剤の形態である、[3-1]~[3-4]のいずれか記載の医薬組成物。
[3-6] ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を中心錠に含有し、二価アルコール(成分(B-2))をフィルムコーティング層に含有する、フィルムコーティング錠剤。
【0067】
[3-7] 成分(B-2)が、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、マクロゴール(ポリエチレングリコール)、ポリプロピレングリコール及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールよりなる群から選ばれる1種以上である、[3-1]~[3-6]のいずれか記載の医薬組成物。
[3-8] 成分(B-2)が、マクロゴール100、マクロゴール200、マクロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール600、マクロゴール1000、マクロゴール1500、マクロゴール1540、マクロゴール4000、マクロゴール6000、マクロゴール20000及びマクロゴール35000から選ばれる1種以上である、[3-1]~[3-7]のいずれか記載の医薬組成物。
[3-9] 成分(B-2)が、マクロゴール6000である、[3-1]~[3-8]のいずれか記載の医薬組成物。
[3-10] 剤形が、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤又は丸剤である、[3-1]~[3-9]のいずれか記載の医薬組成物。
[3-11] 脂質異常症(高脂血症、より詳細には例えば、原発性高脂血症、続発性高脂血症等)、NAFLD(より好適には、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎))及び原発性胆汁性肝硬変から選ばれる疾患の予防及び/又は治療剤である、[3-1]~[3-10]のいずれか記載の医薬組成物。
【0068】
[4-1] 次の成分(A)及び(B-3):
(A)ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;
(B-3)エステル類;
を含有し、かつ、成分(A)と成分(B-3)とを実質的に互いに接しないように含有する、医薬組成物。
[4-2] 医薬組成物中に成分(A)及び(B-3)に加えて、さらに他の成分を共存させ、当該他の成分によって、成分(A)と(B-3)を実質的に互いに接しないようにしたものである、[4-1]記載の医薬組成物。
[4-3] 固形製剤である、[4-1]又は[4-2]記載の医薬組成物。
[4-4] 下記(I)及び(II):
(I)成分(A)そのもの、又は成分(A)を含有する固形組成物;
(II)成分(B-3)そのもの、又は成分(B-3)を含有する固形組成物;
を含有し、成分(A)と(B-3)とが実質的に互いに接しないように配置されている固形製剤(ただし、(I)が成分(A)そのものであり、(II)が成分(B-3)そのものである場合を除く。)である、[4-1]~[4-3]のいずれか記載の医薬組成物。
【0069】
[4-5] 上記の態様<1>~<8>(但し、「成分(B)」は「成分(B-3)」と読み替える。)から選ばれる固形製剤の形態である、[4-1]~[4-4]のいずれか記載の医薬組成物。
[4-6] ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を中心錠に含有し、エステル類(成分(B-3))をフィルムコーティング層に含有する、フィルムコーティング錠剤。
【0070】
[4-7] 成分(B-3)が、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル及びトリアセチンよりなる群から選ばれる1種以上である、[4-1]~[4-6]のいずれか記載の医薬組成物。
[4-8] 成分(B-3)が、クエン酸トリエチル及びトリアセチンよりなる群から選ばれる1種以上である、[4-1]~[4-7]のいずれか記載の医薬組成物。
[4-9] 成分(B-3)が、クエン酸トリエチルである、[4-1]~[4-8]のいずれか記載の医薬組成物。
[4-10] 剤形が、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤又は丸剤である、[4-1]~[4-9]のいずれか記載の医薬組成物。
[4-11] 脂質異常症(高脂血症、より詳細には例えば、原発性高脂血症、続発性高脂血症等)、NAFLD(より好適には、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎))及び原発性胆汁性肝硬変から選ばれる疾患の予防及び/又は治療剤である、[4-1]~[4-10]のいずれか記載の医薬組成物。
【0071】
[5-1] 次の成分(A)及び(B-4):
(A)ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;
(B-4)ケイ酸化合物;
を含有し、かつ、成分(A)と成分(B-4)とを実質的に互いに接しないように含有する、医薬組成物。
[5-2] 医薬組成物中に成分(A)及び(B-4)に加えて、さらに他の成分を共存させ、当該他の成分によって、成分(A)と(B-4)を実質的に互いに接しないようにしたものである、[5-1]記載の医薬組成物。
[5-3] 固形製剤である、[5-1]又は[5-2]記載の医薬組成物。
[5-4] 下記(I)及び(II):
(I)成分(A)そのもの、又は成分(A)を含有する固形組成物;
(II)成分(B-4)そのもの、又は成分(B-4)を含有する固形組成物;
を含有し、成分(A)と(B-4)とが実質的に互いに接しないように配置されている固形製剤(ただし、(I)が成分(A)そのものであり、(II)が成分(B-4)そのものである場合を除く。)である、[5-1]~[5-3]のいずれか記載の医薬組成物。
【0072】
[5-5] 上記の態様<1>~<8>(但し、「成分(B)」は「成分(B-4)」と読み替える。)から選ばれる固形製剤の形態である、[5-1]~[5-4]のいずれか記載の医薬組成物。
[5-6] ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を中心錠に含有し、ケイ酸化合物(成分(B-4))をフィルムコーティング層に含有する、フィルムコーティング錠剤。
【0073】
[5-7] 成分(B-4)が、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、軽質無水ケイ酸及び重質無水ケイ酸よりなる群から選ばれる1種以上である、[5-1]~[5-6]のいずれか記載の医薬組成物。
[5-8] 成分(B-4)が、軽質無水ケイ酸及び重質無水ケイ酸よりなる群から選ばれる1種以上である、[5-1]~[5-7]のいずれか記載の医薬組成物。
[5-9] 成分(B-4)が、軽質無水ケイ酸である、[5-1]~[5-8]のいずれか記載の医薬組成物。
[5-10] 剤形が、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤又は丸剤である、[5-1]~[5-9]のいずれか記載の医薬組成物。
[5-11] 脂質異常症(高脂血症、より詳細には例えば、原発性高脂血症、続発性高脂血症等)、NAFLD(より好適には、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎))及び原発性胆汁性肝硬変から選ばれる疾患の予防及び/又は治療剤である、[5-1]~[5-10]のいずれか記載の医薬組成物。
【0074】
[6-1] 次の成分(A)及び(B):
(A)ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;
(B)次の成分(B-1)~(B-4)から選ばれる1種以上;
(B-1)金属酸化物
(B-2)二価アルコール
(B-3)エステル類
(B-4)ケイ酸化合物
を、成分(A)と成分(B)とが実質的に互いに接しないように含有せしめる工程を含む、医薬組成物の製造方法。
[6-2] 医薬組成物中に成分(A)及び(B)に加えて、さらに他の成分を共存させ、当該他の成分によって、成分(A)と(B)を実質的に互いに接しないようにするものである、[6-1]記載の製造方法。
[6-3] 医薬組成物が固形製剤である、[6-1]又は[6-2]記載の製造方法。
[6-4] 医薬組成物が、下記(I)及び(II):
(I)成分(A)そのもの、又は成分(A)を含有する固形組成物;
(II)成分(B)そのもの、又は成分(B)を含有する固形組成物;
を含有し、成分(A)と(B)とが実質的に互いに接しないように配置されている固形製剤(ただし、(I)が成分(A)そのものであり、(II)が成分(B)そのものである場合を除く。)である、[6-1]~[6-3]のいずれか記載の製造方法。
【0075】
[6-5] 医薬組成物が、上記の態様<1>~<8>から選ばれる固形製剤の形態である、[6-1]~[6-4]のいずれか記載の製造方法。
[6-6] 医薬組成物が、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を中心錠に含有し、金属酸化物(成分(B-1))、二価アルコール(成分(B-2))、エステル類(成分(B-3))及びケイ酸化合物(成分(B-4))よりなる群から選ばれる1種以上をフィルムコーティング層に含有する、フィルムコーティング錠剤の形態である、[6-1]~[6-5]のいずれか記載の製造方法。
[6-7] 成分(B-1)が、黄酸化鉄、黄色三二酸化鉄、褐色酸化鉄、黒酸化鉄、合成ヒドロタルサイト、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化マグネシウム及び三二酸化鉄よりなる群から選ばれる1種以上である、[6-1]~[6-6]のいずれか記載の製造方法。
[6-8] 成分(B-2)が、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、マクロゴール(ポリエチレングリコール)、ポリプロピレングリコール及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールよりなる群から選ばれる1種以上である、[6-1]~[6-7]のいずれか記載の製造方法。
[6-9] 成分(B-3)が、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル及びトリアセチンよりなる群から選ばれる1種以上である、[6-1]~[6-8]のいずれか記載の製造方法。
[6-10] 成分(B-4)が、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、軽質無水ケイ酸及び重質無水ケイ酸よりなる群から選ばれる1種以上である、[6-1]~[6-9]のいずれか記載の製造方法。
[6-11] 医薬組成物の剤形が、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤又は丸剤である、[6-1]~[6-10]のいずれか記載の製造方法。
[6-12] 医薬組成物が、脂質異常症(高脂血症、より詳細には例えば、原発性高脂血症、続発性高脂血症等)、NAFLD(より好適には、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎))及び原発性胆汁性肝硬変から選ばれる疾患の予防及び/又は治療剤である、[6-1]~[6-11]のいずれか記載の製造方法。
【0076】
[7-1] 次の成分(A)及び(B):
(A)ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;
(B)次の成分(B-1)~(B-4)よりなる群から選ばれる1種以上;
(B-1)金属酸化物
(B-2)二価アルコール
(B-3)エステル類
(B-4)ケイ酸化合物
を、成分(A)と成分(B)とが実質的に互いに接しないように含有せしめる工程を含む、ペマフィブラートの安定化方法。
[7-2] 医薬組成物中に成分(A)及び(B)に加えて、さらに他の成分を共存させ、当該他の成分によって、成分(A)と(B)を実質的に互いに接しないようにするものである、[7-1]記載の方法。
[7-3] 医薬組成物が固形製剤である、[7-1]又は[7-2]記載の方法。
[7-4] 医薬組成物が、下記(I)及び(II):
(I)成分(A)そのもの、又は成分(A)を含有する固形組成物;
(II)成分(B)そのもの、又は成分(B)を含有する固形組成物;
を含有し、成分(A)と(B)とが実質的に互いに接しないように配置されている固形製剤(ただし、(I)が成分(A)そのものであり、(II)が成分(B)そのものである場合を除く。)である、[7-1]~[7-3]のいずれか記載の方法。
【0077】
[7-5] 医薬組成物が、上記の態様<1>~<8>から選ばれる固形製剤の形態である、[7-1]~[7-4]のいずれか記載の方法。
[7-6] 医薬組成物が、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を中心錠に含有し、金属酸化物(成分(B-1))、二価アルコール(成分(B-2))、エステル類(成分(B-3))及びケイ酸化合物(成分(B-4))よりなる群から選ばれる1種以上をフィルムコーティング層に含有する、フィルムコーティング錠剤の形態である、[7-1]~[7-5]のいずれか記載の方法。
[7-7] 成分(B-1)が、黄酸化鉄、黄色三二酸化鉄、褐色酸化鉄、黒酸化鉄、合成ヒドロタルサイト、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化マグネシウム及び三二酸化鉄よりなる群から選ばれる1種以上である、[7-1]~[7-6]のいずれか記載の方法。
[7-8] 成分(B-2)が、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、マクロゴール(ポリエチレングリコール)、ポリプロピレングリコール及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールよりなる群から選ばれる1種以上である、[7-1]~[7-7]のいずれか記載の方法。
[7-9] 成分(B-3)が、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル及びトリアセチンよりなる群から選ばれる1種以上である、[7-1]~[7-8]のいずれか記載の方法。
[7-10] 成分(B-4)が、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、軽質無水ケイ酸及び重質無水ケイ酸よりなる群から選ばれる1種以上である、[7-1]~[7-9]のいずれか記載の方法。
[7-11] 医薬組成物の剤形が、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤又は丸剤である、[7-1]~[7-10]のいずれか記載の方法。
[7-12] 医薬組成物が、脂質異常症(高脂血症、より詳細には例えば、原発性高脂血症、続発性高脂血症等)、NAFLD(より好適には、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎))及び原発性胆汁性肝硬変から選ばれる疾患の予防及び/又は治療剤である、[7-1]~[7-11]のいずれか記載の方法。
【実施例
【0078】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
なお、以下の試験例において、HPLCを用いた測定は、カラムとしてODSカラムを、検出器として紫外吸光光度計をそれぞれ用いて行った。
【0079】
[試験例1]ペマフィブラートの保存安定性の確認
ペマフィブラート250mgをポリプロピレン製容器(第十七改正日本薬局方 通則に定義される気密容器)に入れて密閉し、暗所にて60℃の温度条件下で1ヵ月間保存した。
保存開始前、及び60℃で1ヵ月間保存後の、ペマフィブラート由来の分解物(類縁物質)の量を、以下の方法により評価した。
すなわち、HPLC装置を用い、類縁物質に由来するピークの面積の合計を、ペマフィブラートに由来するピークの面積に対する比率(%)として評価し、この比率を「類縁物質総量(%)」とした。
結果を表1に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
表1に示すように、ペマフィブラートは単独では安定であり、60℃で1ヵ月間保存後も類縁物質の実質的な増加は認められなかった。
【0082】
[試験例2]相互作用の検討
下記に示す参考例1~4の各サンプル250mgをそれぞれポリプロピレン製容器(第十七改正日本薬局方 通則に定義される気密容器)に入れて密閉し、暗所にて60℃の温度条件下で1ヵ月間保存した。
【0083】
<参考例1>
ペマフィブラート1質量部に対し、酸化チタン(酸化チタンNA-65:東邦チタニウム(株))を1質量部の割合で混合し、参考例1のサンプルとした。
<参考例2>
ペマフィブラート1質量部に対し、マクロゴール6000(マクロゴール6000:日油(株))を1質量部の割合で混合し、参考例2のサンプルとした。
<参考例3>
ペマフィブラート1質量部に対し、クエン酸トリエチル(シトロフレックス2:森村商事(株))を1質量部の割合で混合し、参考例3のサンプルとした。
<参考例4>
ペマフィブラート1質量部に対し、軽質無水ケイ酸(アエロジル300:日本アエロジル(株))を10質量部の割合で混合し、参考例4のサンプルとした。
【0084】
上記各種サンプルにつき、ペマフィブラート由来の分解物(類縁物質)の確認を以下の通り実施した。
すなわち、参考例1~4につき、保存開始前、及び60℃1ヵ月保存後の、ペマフィブラート由来の類縁物質総量(%)を、試験例1と同様の方法により、HPLC装置を用いて評価した。
そして、参考例1~4のそれぞれにつき得られた保存開始前、及び60℃1ヵ月保存後のペマフィブラート由来の類縁物質総量(%)から、以下の式に従い類縁物質の増加量(%)を算出した。
【0085】
類縁物質の増加量(%)=(60℃1ヵ月保存後のペマフィブラート由来の類縁物質総量(%))-(保存開始前のペマフィブラート由来の類縁物質総量(%))
結果を表2に示す。
【0086】
【表2】
【0087】
表2に示すように、ペマフィブラートと、酸化チタン(参考例1)、マクロゴール6000(参考例2)、クエン酸トリエチル(参考例3)又は軽質無水ケイ酸(参考例4)とを混合して60℃で1ヵ月間保存した場合、保存後にペマフィブラート由来の分解物(類縁物質)の増加が確認された。特に、参考例1~3においては分解物が顕著に増加した。一方、試験例1で確認したとおり、ペマフィブラートを単独で保存した場合には、60℃で1ヵ月間保存後も類縁物質の実質的な増加は認められていない。
これらのことから、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と、酸化チタンに代表される金属酸化物、マクロゴール6000に代表される二価アルコール、クエン酸トリエチルに代表されるエステル類、及び軽質無水ケイ酸に代表されるケイ酸化合物から選ばれる1種以上との接触により、相互作用が生じ、ペマフィブラート由来の分解物が増加し、これらを配合して医薬組成物にした場合には保存安定性に問題が生じることが判明した。
【0088】
[試験例3]相互作用の検討
下記に示す対照例1及び参考例5~7の各サンプル250mgをそれぞれポリプロピレン製容器(第十七改正日本薬局方 通則に定義される気密容器)に入れて密閉し、暗所にて60℃の温度条件下で2週間保存した。
<対照例1>
ペマフィブラートを対照例1のサンプルとした。
<参考例5>
ペマフィブラート1質量部に対し、マクロゴール6000(マクロゴール6000:日油(株))を1質量部の割合で混合し、参考例5のサンプルとした。
<参考例6>
ペマフィブラート1質量部に対し、マクロゴール400(マクロゴール400:日油(株))を10質量部の割合で混合し、参考例6のサンプルとした。
<参考例7>
ペマフィブラート1質量部に対し、プロピレングリコールを10質量部の割合で混合し、参考例7のサンプルとした。
【0089】
上記各種サンプルにつき、保存開始前及び60℃で2週間保存後の性状(変色の有無)を目視にて確認した。
結果を表3に示す。
【0090】
【表3】
【0091】
表3に示すように、ペマフィブラートを単独で60℃、2週間保存した場合は、変色が生じなかったのに対し、マクロゴール6000(参考例5)、マクロゴール400(参考例6)又はプロピレングリコール(参考例7)を混合して60℃で2週間保存した場合には、いずれも淡黄色ないし黄色に変化した。このことから、マクロゴール6000を、マクロゴール400やプロピレングリコール等のマクロゴール6000以外の二価アルコールに変えて、ペマフィブラートと混合した場合も、マクロゴール6000を用いた場合と同様に配合変化が生じることが示唆された。
【0092】
[試験例4]相互作用の抑制手段の検討
ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と、金属酸化物、二価アルコール、エステル類及びケイ酸化合物から選ばれる1種以上との接触により相互作用が生じる、との上記試験例2及び上記試験例3の結果を踏まえ、本発明者は、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と、金属酸化物、二価アルコール、エステル類及びケイ酸化合物から選ばれる1種以上との接触を妨げるため、両成分を実質的に互いに接しないように含有する医薬組成物を調製し、以下の検討を行った。
【0093】
すなわち、ペマフィブラートを固形製剤(中心錠)に含有し、当該固形製剤表面に、酸化チタン、クエン酸トリエチル及び軽質無水ケイ酸を含有する層(フィルムコーティング層)を設けた固形製剤(フィルムコーティング錠:実施例1)を、下記の方法に従い製造し、PTP(第十七改正日本薬局方 通則に定義される気密容器)にて包装し、これをさらにアルミ袋(第十七改正日本薬局方 通則に定義される気密容器)にて包装して暗所にて60℃の温度条件下で1ヶ月間保存した。
【0094】
<実施例1>
ペマフィブラート50質量部、乳糖水和物874質量部、クロスカルメロースナトリウム24質量部、結晶セルロース240質量部及びステアリン酸マグネシウム12質量部を混合した後、打錠し、1錠(120mg)当たりにペマフィブラート5mgを含有する中心錠を得た。
次に、酸化チタン(東邦チタニウム)6質量部、クエン酸トリエチル(森村商事)12質量部、ヒプロメロース46質量部及び軽質無水ケイ酸(日本アエロジル)6質量部を精製水に溶解・分散し、フィルムコーティング液を得た。通気型コーティング機を用いて、上記中心錠にフィルムコーティング液をコーティングし、カルナウバロウ0.06質量部を加えて艶出しを行い、1錠当たり127mgのフィルムコーティング錠を得た。
【0095】
上記の方法により得たフィルムコーティング錠につき、ペマフィブラート由来の分解物(類縁物質)の確認を以下の通り実施した。
すなわち、60℃1ヵ月保存後の、ペマフィブラート由来の類縁物質の増加量(%)を、試験例2と同様の方法によりHPLC装置を用いて評価した。
結果を表4に示す。
【0096】
【表4】
【0097】
表4から明らかなように、酸化チタン、クエン酸トリエチル及び軽質無水ケイ酸をフィルムコーティング層に配合して、これらの成分とペマフィブラート(中心錠に配合)との接触を妨げることにより、相互作用が抑制され、類縁物質の増加が抑制されることが確認された(実施例1)。
【0098】
以上の試験例1~4の結果から、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と、金属酸化物、二価アルコール、エステル類及びケイ酸化合物から選ばれる1種以上とを、実質的に互いに接しないように含有する医薬組成物とすることにより、ペマフィブラートを安定化できることが明らかとなった。
【0099】
[製造例1~12]
上記実施例1において製造した中心錠の表面に、表5~表6に記載の成分及び分量(mg)を1錠当りに含有するフィルムコーティング層を常法により積層することにより、製造例1~12のフィルムコーティング錠を製造できる。
【0100】
【表5】
【0101】
【表6】
【0102】
[製造例13~18]
表7に記載の成分及び分量(mg)を1錠当りに含有する口腔内崩壊型錠剤を常法により製造できる。
すなわち、表7中、ペマフィブラートからアミノアルキルメタクリレートコポリマーEまでの成分を用い、湿式造粒法にて顆粒を製造する。得られた顆粒、及び表7中の酸化チタン以下の成分を混合し、打錠することにより、口腔内崩壊型錠剤を製造できる。
【0103】
【表7】
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明によれば、血漿トリグリセライド濃度の低下やHDLコレステロールの増加等の作用を示すペマフィブラートを含有し、保存安定性に優れる医薬組成物を提供できるため、例えば医薬品産業等において利用できる。