IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ノボ・ノルデイスク・エー/エスの特許一覧

特許7007385洗浄チャンバーを備えた予め充填された注射装置
<>
  • 特許-洗浄チャンバーを備えた予め充填された注射装置 図1
  • 特許-洗浄チャンバーを備えた予め充填された注射装置 図2
  • 特許-洗浄チャンバーを備えた予め充填された注射装置 図3
  • 特許-洗浄チャンバーを備えた予め充填された注射装置 図4
  • 特許-洗浄チャンバーを備えた予め充填された注射装置 図5
  • 特許-洗浄チャンバーを備えた予め充填された注射装置 図6
  • 特許-洗浄チャンバーを備えた予め充填された注射装置 図7
  • 特許-洗浄チャンバーを備えた予め充填された注射装置 図8
  • 特許-洗浄チャンバーを備えた予め充填された注射装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】洗浄チャンバーを備えた予め充填された注射装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/20 20060101AFI20220117BHJP
【FI】
A61M5/20 510
A61M5/20 572
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019539161
(86)(22)【出願日】2018-01-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2018051338
(87)【国際公開番号】W WO2018138016
(87)【国際公開日】2018-08-02
【審査請求日】2020-12-21
(31)【優先権主張番号】17152991.0
(32)【優先日】2017-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596113096
【氏名又は名称】ノボ・ノルデイスク・エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】クリステンセン, マーティン ヨースト
(72)【発明者】
【氏名】ラーセン, ビョルン ガラック
(72)【発明者】
【氏名】ソルガード, クルト
(72)【発明者】
【氏名】ソーレンセン, カーステン
【審査官】上田 真誠
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-521511(JP,A)
【文献】特表2008-541907(JP,A)
【文献】特表2004-516895(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0123685(US,A1)
【文献】国際公開第2016/180873(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/001307(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定用量の液体薬剤をリザーバーから配分するための注射装置であって、
ハウジング(1)と、
前記設定用量を前記リザーバーから押し出すための、外ねじ(11)と長軸方向の非ねじ領域(12)とを有する、回転可能なピストンロッド(10)と、
前記ハウジング(1)と係合する一方向歯部(21)を備え、かつ前記ピストンロッド(10)の前記長軸方向の非ねじ領域(12)と係合する内向きのノブ(23)を備えるピストンロッドガイド(20)であって、用量放出中にのみ回転可能であり、用量放出中に前記ピストンロッド(10)を回転させるピストンロッドガイド(20)と、
用量放出中に前記ピストンロッドガイド(20)を回転させるための回転可能な駆動要素(50)であって、軸方向に移動可能な針シールドによって、第一の用量設定位置と第二の用量放出位置との間で軸方向に移動可能であり、
前記第一の用量設定位置にある前記駆動要素(50)が前記ピストンロッドガイド(20)から外れ、前記第二の用量放出位置で、前記ピストンロッドガイド(20)と係合する、駆動要素と、
用量放出中に前記駆動要素(50)を回転させるために、前記ハウジング(1)と前記駆動要素(50)との間に含まれるねじればね(5)と、
前記ピストンロッド(10)の前記非ねじ領域(12)と係合する内向きの隆起部(42)を有し、これにより、用量放出中に前記ピストンロッド(10)と共に回転し、さらに外ねじ(41)が設けられている、内容物終了チューブ(40)と、
前記駆動要素(50)に結合され、前記内容物終了チューブ(40)の前記外ねじ(41)と螺合するねじセグメント(31)を備えた回転可能な用量設定チューブ(30)と、を含み、
用量設定の間、用量設定の間に回転しない前記ピストンロッド(10)に対する前記用量設定チューブ(30)および前記駆動要素(50)の回転は、前記内容物終了チューブ(40)を、記ピストンロッド(10)係合する前記内容物終了チューブ(40)と前記回転可能な用量設定チューブ(30)との間の前記螺合(31、41)により、前記用量設定チューブ(30)に対し、遠位に軸方向距離を移動させ、前記軸方向距離が、前記設定用量のサイズに相関し、前記内容物終了チューブ(40)が、前記内容物終了チューブ(40)に設けられた近位停止表面(44)が前記用量設定チューブ(30)の前記ねじセグメント(31)に係合するまで、遠位に移動することができ、それにより、前記内容物終了チューブ(40)のさらなる遠位方向への移動および前記回転可能な用量設定チューブ(30)のさらなる回転が防止され、
用量放出中、前記用量設定チューブ(30)、前記駆動要素(50)、前記ピストンロッドガイド(20)および前記内容物終了チューブ(40)は共に回転して、前記内容物終了チューブ(40)を前記用量設定チューブ(30)に対するその相対位置に維持する、注射装置。
【請求項2】
前記駆動要素(50)および前記用量設定チューブ(30)は、好ましくは軸方向に移動可能な針シールドによって作動される解放要素(9)によって、前記第一の用量設定位置から前記第二の用量放出位置まで近位に移動し、前記駆動要素(50)および前記用量設定チューブ(30)の前記近位移動は、前記内容物終了チューブ(40)も近位に移動させる、請求項1に記載の注射装置。
【請求項3】
前記ねじセグメント(31)が前記用量設定チューブ(30)の内側表面上に設けられている、請求項1または2に記載の注射装置。
【請求項4】
前記内容物終了チューブ(40)が、遠位停止表面(43)を備える、請求項1~のいずれかに記載の注射装置。
【請求項5】
前記ねじセグメント(31)が前記内容物終了チューブ(40)上に設けられた前記近位停止表面(44)に係合するとき、前記内容物終了チューブ(40)上の前記遠位停止表面(43)が前記ピストンロッドガイド上の前記内向きのノブ(23)に係合する、請求項に記載の注射装置。
【請求項6】
前記内容物終了チューブ(40)上に設けられた前記近位停止表面(44)が、前記ねじ(41)の一部を形成する、請求項1~のいずれかに記載の注射装置。
【請求項7】
前記ピストンロッドガイド(20)が、用量放出中に前記駆動要素(50)と係合するための径方向の歯部(22)を備える、請求項1~のいずれかに記載の注射装置。
【請求項8】
前記ピストンロッド(10)の前記外ねじ(11)が、前記ハウジング(1)または前記ハウジング(1)に固定されたナット部材(15)に設けられた同様の内ねじと係合する、請求項1~のいずれかに記載の注射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体薬剤を注入するための医療用注射装置、特に複数の個別の設定可能な用量の多数を配分するための予め充填された注射装置に関連する。
【0002】
本発明はさらに、このようなペン形状および予め充填された注射装置に関し、ここで注射装置は内容物終了機構を備える。
【0003】
関連技術の説明:
機械的内容物終了機構を備えた注射装置が、US RE41,956に開示されている。ピストンロッドを前方に駆動する駆動要素には、注射装置内に含まれる液体薬剤の全体の注射可能な内容物に相関する長さを持つトラックが設けられている。このトラック内を案内される追従体は、使用者が特定の用量を設定するたびに追従体がトラック内の設定用量のサイズに関連してある距離だけ動かされるように用量設定機構に結合される。使用者が設定用量を放出すると、追従体はトラック内の相対位置に維持される。従って、トラック内の追従体の位置は、どのくらいの液体薬剤が設定され噴出されたかの指標である。追従体がトラックの末端に達すると、用量設定機構はさらなる用量を設定できないようにブロックされる。それによって、使用者が設定し噴出した蓄積された用量が注射装置内の合計注射可能な内容物に等しくなると、トラックの末端に達したことが、確かめられる。
【0004】
類似の内容物終了機構がUS9,114,211に開示されている。このEoC機構では、トラックはハウジングの内側表面上に設けられ、使用者が用量設定部材を回転させるたびに、追従体はトラック内で移動される。追従体が物理的にトラックの末端に達すると、用量設定部材はさらに回転することはできない。
【0005】
一部のばね動作注射装置では、噴出される用量は、針シールドの軸方向移動によって放出される。用量放出のそのようなシールド誘発は、注射機構内に軸方向に可動な部品を必要とすることが多く、既知の内容物終了システムの多くは軸方向に可動な部品と一緒に動作することができない。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、軸方向に可動な部品が内容物終了機構を遮断することなく、設定用量を放出するための軸方向に可動な部品を持つ注射装置を提供することである。
【0007】
したがって、本発明の一般的な態様では、複数の設定用量の液体薬剤を配分するための予め充填された注射ペンは、以下のものを含む:
- 一例において、排出される液体薬剤を含むカートリッジを固定するためのカートリッジホルダーを含むハウジング。
- カートリッジ内を前方に移動してカートリッジから設定用量を引き出す回転可能なピストンロッド。ピストンロッドは、外ねじおよび長軸方向の非ねじ領域(例えば、長軸方向の溝またはこれに類するもの)を持つ。
- 用量放出中のみ回転可能なピストンロッドガイド、ここで、「のみ(only)」という語は、用量放出中にのみピストンロッドガイドが回転するが、用量設定の間は回転不可能であることを意味する。ピストンロッドガイドは、ピストンロッドの長軸方向の非ねじ領域をさらに係合させ、それによってピストンロッドガイドの回転をピストンロッドの回転に移動させる。
- 用量放出中にピストンロッドガイドを回転させるための回転可能な駆動要素。駆動要素は、第一の設定位置と第二の用量放出位置との間で軸方向に移動可能である。
前記第一の用量設定位置において、前記駆動要素がピストンロッドガイドから解放され、第二の用量放出位置で前記駆動要素が前記ピストンロッドガイドと係合されている。
- ハウジングまたはハウジングに固定された少なくとも一部分および駆動要素の間に包含されるねじればね。ねじればねは、用量放出中に駆動要素を回転させるトルクを保持する。
- ピストンロッドの非ねじ領域と係合する内向きの隆起部を持ち、それによって用量放出中にピストンロッドとともに回転する内容物終了(EoC)チューブ。その結果、EoCチューブは、ピストンロッドが回転しない時に、ピストンロッドとの係合によって回転が阻止される。外側表面上に、EoCチューブにらせん状のねじが設けられている。
- 駆動要素に連結され、かつEoCチューブの外ねじとねじ係合するねじセグメントを設けた、回転可能な用量設定チューブ。
【0008】
用量設定の間、用量設定の間回転しないピストンロッドに対する用量設定チューブおよび駆動要素の回転は、回転可能な用量設定チューブおよびピストンロッドと係合するEoCチューブの間のねじ係合により、EoCチューブを、用量設定チューブに対して、遠位方向に軸方向距離だけ移動させ、軸方向距離は設定用量のサイズに相関し、EoCチューブは、EoCチューブに設けられた近位停止表面が用量設定チューブのねじセグメントに係合するまで、遠位方向に動くことができ、それによって、EoCチューブのさらなる遠位方向への移動および回転可能な用量設定チューブのさらなる回転を防止する。
【0009】
用量放出中、用量設定チューブ、駆動要素、ピストンロッドガイドおよびEoCチューブは一緒に回転し、それによってEoCチューブを用量設定チューブに対してその相対位置に維持する。
【0010】
その結果、用量が設定されるとき、EoCチューブは、設定用量に対応する軸方向距離を遠位に移動する。したがって、EoCチューブが遠位方向に動くことができる長さは、EoCチューブがそのロック位置に入るときはいつでもさらなる用量を設定することができないように、カートリッジに含まれる注射可能な内容物の表現である。使用者がいつでもカートリッジ内に残っている注射可能な内容物を超える用量を設定できないことを保証する。ロック位置は、用量設定チューブ上に設けられるねじセグメントとEoCチューブ上に設けられた停止表面との間の係合によって確立される。用量が使用者によって設定されるたびに、EoCチューブと停止表面は、用量設定チューブに設けられたねじセグメントに向かって移動する。EoCチューブが動くことができる長さは、カートリッジの注射可能な内容物の表現である。用量設定の間、用量設定チューブはEoCチューブに対して相対的に回転するので、可動長さは実際にはEoCチューブに設けられた外ねじの長さであり、一旦停止表面がねじセグメントに到達してそれに係合すると、それ以上の用量を設定することはできない。
【0011】
設定用量は、第一の用量設定位置と第二の用量放出位置との間で軸方向に移動可能な駆動要素の軸方向移動によって放出される。
【0012】
用量設定チューブは駆動要素に連結されているため、これらの二つの要素はすべての動きにおいて一つに移動する。駆動要素と用量設定チューブとの間の結合は、二つの要素が軸方向および回転可能に動くようにするためである。一例では、二つの部品は一つの単一の要素として成形されうる。
【0013】
駆動要素は、注射中に使用者の皮膚に押し付けられる軸方向に移動可能な針シールドによって、第一の用量設定位置から第二の用量放出機構へ移動されるのが好ましい。開示された実施形態では、軸方向に移動可能な解放要素は、針シールドの軸方向移動を駆動要素の軸方向移動に変換する。
【0014】
さらに、駆動要素および用量設定チューブの近位移動により、EoCチューブも近位に移動させる。EoCチューブが近位に移動すると、それはピストンロッドガイドとの係合がはずれる。従って、ピストンロッドガイドは、用量放出中に数度の回転度で自由に回転するが、これは駆動機構との係合がより簡単になる。
【0015】
一つの例では、用量設定チューブ上に設けられるねじセグメントは、その内側表面上に設けられる。
【0016】
ピストンロッドガイドは、ピストンロッドの長軸方向の非ねじ領域と係合するための内向きのノブを備えることが好ましい。一実施例では、非ねじ領域は、内向きのノブがフィットしてナットおよび溝の係合を形成する長軸方向の溝である。
【0017】
更なる例では、使用者が用量設定チューブを(用量設定ボタンを回転させることによって)回転させようとしたときに生じる回転トルクは、ピストンロッドガイドによって得られるように、EoCチューブは、停止位置においてピストンロッドガイド上の内向きのノブと係合する遠位停止表面を備える。そうでない場合、使用者は、EoCチューブと用量設定チューブの間の停止係合を破ることができる。
【0018】
近位に、EoCチューブは、内容物終了で、用量設定チューブ内に内部に設けられるねじセグメントと係合する近位停止表面を所持する。この近位停止表面は、近位停止表面が用量設定チューブ内で内部に設けられるねじセグメントと係合すると、使用者が用量設定チューブをさらに回転させることを防止する。一例では、近位停止表面は、EoCチューブ上に外側に設けられたねじの一部を形成する。
【0019】
停止表面は特異点で記述されているが、簡単に任意のランダムな停止表面に分割することができる。
【0020】
ピストンロッドガイドひいてはピストンロッドが近位方向にピストンロッドを動かす方向に回転するのを防ぐために、一方向歯部がピストンロッドガイドに設けられ、この一方向歯部がハウジングまたは少なくともハウジング構成要素と係合する。従って、ピストンロッドガイドおよびピストンロッドは、一つの回転方向にのみ移動できることが確保される。
【0021】
回転中、ピストンロッドは、ピストンロッド上の外ねじをハウジング内またはハウジング構成要素内に設けられた類似の内ねじと係合させることによって、遠位方向に螺旋状にねじ込まれる。
【0022】
ピストンロッドガイドには、用量放出中にドライバと係合するための半径方向の歯部がさらに設けられる。
【0023】
用量設定チューブの内側表面上に設けられたねじは、ねじセグメントと呼ばれるが、このようなセグメントは、フルの一回転より長い螺旋状長さを含む任意の長さを持つことができる。
【0024】
定義
「注射ペン」は通常、書き込むためのペンのように長楕円形または細長い形状を持つ注射装置である。こうしたペンは通常、管状の断面を持つが、三角形、長方形、または正方形などの異なる断面を容易に持つことができ、またはこれらの幾何学的形状の周りで任意の変動を容易に持つことができる。
【0025】
用語「針カニューレ」は、注射中に皮膚の貫通を実施する実際の導管を記述するために使用される。針カニューレは、通常、例えばステンレス鋼などの金属材料から作られ、完全な注射針を形成するために、好ましくは針ハブに接続されている。しかしながら、針カニューレを針ハブなしでハウジング構造に直接接続することもできる。ただし、針カニューレは高分子材料またはガラス材料から作製されうる。
【0026】
本明細書で使用されるとき、用語「薬剤」は、液体、溶液、ゲルまたは微細懸濁液などの制御された方法で中空針などの送達手段を通過することができる任意の薬剤含有流動性医薬製剤を包含することを意味する。代表的な薬剤としては、ペプチド、タンパク質(例えば、インスリン、インスリンアナログおよびC-ペプチド)、ならびにホルモンなどの医薬品、生物由来または活性物質、ホルモンおよび遺伝子に基づく物質、栄養処方および固体(調剤)または液体形態の他の物質が挙げられる。
【0027】
「カートリッジ」は、薬剤を実際に含有する容器を記述するために使用される用語である。カートリッジは通常、ガラスから作製されるが、任意の適切なポリマーから成形されうる。カートリッジまたはアンプルは、例えば、針カニューレの非患者側の末端によって貫通されうる「隔壁」と称する、貫通可能な膜によって一方の端でシールされることが好ましい。このような隔壁は通常、セルフシールであり、これは、貫通中にできた開口部が、針カニューレが隔壁から除去されると、自動的に固有弾性によってシールされることを意味する。反対側の端は通常、ゴムまたは適切なポリマーから作製されたプランジャーまたはピストンによって閉じられる。プランジャーまたはピストンは、カートリッジ内で摺動可能とすることができる。貫通可能な膜と移動可能なプランジャーとの間の空間は、プランジャーが薬剤を保持する空間の容積を減少させるときに押し出される薬剤を保持する。しかしながら、あらゆる種類の(剛性または可撓性の)容器を使用して薬剤を包含することができる。
【0028】
カートリッジは通常、その中にプランジャーを移動できないより狭い遠位ネック部分を持ち、カートリッジ内に含まれる液体薬剤のすべてが実際には放出されるわけではない。用語「初期量」または「実質的に使用される」は、したがって、カートリッジ内に含まれる注射可能な内容物を指し、従って必ずしも内容物全体を示すものではない。
【0029】
「内容物終了」機構は、どの程度の液体薬剤が設定され放出されたかをカウントし、蓄積する機械的、または電気的カウンターである。使用者が新しい用量を設定するたびにこれは、以前に設定され放出された用量に累積される。設定され放出された用量の合計累積量が所定のレベルに達すると、この機構は、使用者がさらなる用量を設定することを妨げる。所定のレベルは通常、特定の注射装置から放出されうる合計量である。注射装置が、例えば通常3ミリリットルのインスリンまたはGLP-1を含む、Novo Nordisk A/SがFlexPen(登録商標)またはFlexTouch(登録商標)の商標名で現在販売している予め充填された注射装置である場合、用量設定の間、内容物終了機構は継続的にカウントされ、設定され放出された累積用量を記憶する。設定および放出された用量の合計累積合計が3ミリリットルに達すると、この機構は、使用者がさらなる用量を設定することを妨げる。
【0030】
「予め充填された」注射装置という用語は、注射装置を永久的に破壊することなく除去することができないように、液体薬剤を収容するカートリッジが注射装置に永久的に埋め込まれている注射装置を意味する。カートリッジ内の液体薬剤の予め充填された量が使用されると、使用者は通常、注射装置全体を破棄する。これは、使用者が、空になるときに前記液体薬剤を含む前記カートリッジを自分自身で変更することができる、「耐久性」注射装置とは逆である。予め充填された注射装置は通常、二つ以上の注射装置を含むパッケージで販売されるが、耐久性のある注射装置は通常、一度に一つ販売される。予め充填された注射装置を使用する場合平均的な使用者は年間50から100の注射装置を必要とするかもしれない。一方、耐久性のある注射装置を使用する場合、単一の注射装置は数年間持続する可能性があるが、平均的な使用者は一年に50~100個の新しいカートリッジを必要とするであろう。
【0031】
この説明で使用されている「恒久的に接続されている」という用語は、この明細書では、カートリッジおよびハウジングアセンブリとして具体化されている部品が、分離するには道具の使用が必要であり、部品を分離すると、少なくとも一つの部品に恒久的な損傷を与えることを意味する。
【0032】
本明細書に引用された刊行物、特許出願、および特許を含む全ての参考文献は、あたかも各参考文献が個別におよび具体的に参照により組み込まれることが示され、その全体が本明細書に示されるのと同程度に、その全体が参照により組み込まれる。
【0033】
すべての見出しおよびサブ見出しは本明細書で便宜上使用されており、本発明を限定するものとして構築するべきではない。
【0034】
本明細書で設けられるありとあらゆる例、または例示的な言語(例えばなど)の使用は、単に本発明をよりよく明らかにするためのものであり、特にクレームされていない限り、本発明の範囲を制限するものではない。本明細書中のいずれの語句も、特許請求しない任意の要素を本発明の実施に必須であると示すとは解釈されない。
【0035】
本明細書の特許文書の引用および組み込みは、便宜上のために行われており、かかる特許文書の有効性、特許性、および/または執行可能性の観点からは反映されていない。
【0036】
本発明は、適用法により許可されている特許請求の範囲に記載された主題のすべての修正および均等物を含む。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明は、好ましい実施形態に関連して、また図面を参照しながら、以下により完全に説明される。
【0038】
図1図1は、前記本発明による前記注射装置の分解図を示す。
図2図2は、図1に図示した注射装置の内容物終了(EoC)機構の側面図を示す。
図3図3は、ピストンロッドガイドの側面図を示す。
図4図4は、EoCチューブの側面図を示す。
図5図5は、ドライバの側面図を示す。
図6図6は、用量設定チューブの側面図を示す。
図7図7は、ピストンロッドの斜視図を示す。
図8図8は、用量設定の間のEoC機構の断面図である。
図9図9は、投与中のEoC機構の断面図である
【0039】
図は、明確にするための概略的および簡略化されており、それらは本発明の理解に不可欠な詳細を示すだけであり、その他の詳細は省略している。全体を通して、同一の参照番号が同一または対応する部品に使用される。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下の用語で「上」および「下」、「右」および「左」、「水平」および「垂直」、「時計回り」および「反時計回り」または同様の相対表現が使用されている場合、これらは単に添付図を参照するだけであり、実際の使用状況を示すものではない。図示された図は、概略表現であり、その理由は、異なる構造の構成と相対的寸法が例示的な目的のみを果たすことを目的としている。
【0041】
その文脈において、添付の図面における「遠位端」という用語は、通常注射針を担持する注射装置の端部を指すことを意味するのに対して、「近位端」という用語は、注射針を離れて、通常は用量ダイヤルボタンを担持する反対の端を指すことを意味すると定義するのが便利であり得る。
【0042】
遠位および近位は、図1および図2にさらに示されるように注射装置の長軸方向軸「X」に沿って延びる軸方向に沿っていることを意味し、図1は注射装置のモーター部品を開示する。
【0043】
本発明による、および図2に開示された注射装置の内容物終了機構の中央要素のみが詳細に説明される。
【0044】
注射装置のモーター部品は、図1に開示したようにハウジング1内に封入される。ハウジング1は、注入される液体薬剤を含むカートリッジ3を固定するカートリッジホルダー2に接続される。
【0045】
ハウジング1に固定され回転する用量設定ボタン4が近位に設けられている。非表示のプランジャーはカートリッジ3の内側に設けられ、またピストンロッド10は、用量放出中にプランジャーを遠位方向に移動させるために設けられる。ピストンロッド10は、ピストンロッド10が、これらのタイプの注射装置では慣例であるように回転すると螺旋状に前方に移動するように、ハウジング1内に固定されているナット部材15にねじ込まれている。
【0046】
図示されていない注射針は、液体薬剤を、そのような注射針のルーメンを通して使用者に送達できるように、カートリッジホルダー2に接続されている。
【0047】
用量放出は、用量の設定の間に変形されるねじればね5によって実行される。ねじればね5は、ハウジング1とドライバ50との間に包含される。ねじればね5は、開示された例にあるように、ばねベース6を介してハウジング1に固定される。
【0048】
ばねベース6と用量設定ボタン4との間に、用量設定ボタン4の回転中にトルクをねじればね5内に確保するラチェット機構7が設けられている。
【0049】
さらに、用量設定ボタン4の回転によって設定される用量のサイズを表示するために、スケールドラム8が設けられている。スケールドラム8およびドライバ50には、スケールドラム8がドライバ50と共に回転するように、ナットおよび溝の接続が設けられる。スケールドラム8は、スケールドラム8がその回転中にらせん状の動きを示すように、ハウジング1に螺合されることが好ましい。
【0050】
開示された注射装置は、いわゆるシールドトリガー付き注射装置(すなわち、軸方向に移動可能なシールドの作動によって設定用量が放出される注射装置)である。一例では、軸方向に移動可能なシールドは、その後の注射の間で注射針の遠位先端を洗浄する、洗浄チャンバーを担持することができる。
【0051】
開示された例では、軸方向に移動可能なシールドは図示されていないが、シールドはカートリッジホルダー2を囲み、用量放出中に近位方向に移動される。注入が実施されると、軸方向に移動可能なシールドを戻すために圧縮ばねを設けることができる。非表示のシールドが近位に移動するにつれて、解放要素9を起動して近位に移動する。解放要素9のこの近位移動は、説明されるように、ドライバ50を近位方向にさらに移動させる。
【0052】
内容物終了機構の中心的要素は以下のとおりである。
ピストンロッド10は、図7に開示されている。
ピストンロッドガイド20は、図3に開示されている。
用量設定チューブ30は、図6に開示される。
EoCチューブ40は、図4に開示される。
ドライバ50は、図5に開示される。
これらの必須要素は、図1の上部にも開示されており、図2でも再び開示されている。
【0053】
図7にも開示されるピストンロッド10は、長軸方向のトラック12によって長軸方向に中断された外ねじ11が外部に設けられる。外ねじ11は、ピストンロッド10が、ハウジング1に対して回転したときにハウジング1に対して前方に螺旋状に動くように、ハウジング1内に固定されたナット部材15に設けられた同様の内ねじに螺合する。
【0054】
図3に図示したピストンロッドガイド20は、外側表面上に、遠位に一方向歯部21および近位に半径方向の歯部22のリングを設ける。内側表面上には、ピストンロッドガイド20に内向きのノブ23が設けられている。遠位の一方向歯部21は、ピストンロッドガイド20が一回転の方向にのみ回転できるように、ピストンロッドガイド20をハウジング1に回転的に固定する。さらに、内向きのノブ23は、ピストンロッドガイド20が回転するときはいつでもピストンロッド10が回転するようにおよびその逆であるように、ピストンロッド10の長軸方向のトラック12と係合する。
【0055】
図6に開示される用量設定チューブ30は、用量設定ノブ4の回転が用量設定チューブ30の回転に変換されるように、用量設定ボタン4に近位で連結される。内側表面において、用量設定チューブ30に内向きのねじセグメント31が設けられ、その意味が後で説明される。用量設定チューブ30の遠位端に向かって、外向きの周辺隆起部32が設けられる。この外向きの周辺隆起部32は、後で説明するように、用量設定チューブをドライバ50に連結する。
【0056】
図4に開示された内容物終了チューブ40(以降、EoCチューブ40)は、外側にねじ41および内側に長軸方向の隆起部42を設ける。長軸方向の隆起部42は、ピストンロッド10内に設けられた長軸方向のトラック12内にスライドする。EoCチューブ40は、ピストンロッド10に対し相対的に回転することができないが、ピストンロッド10に対して軸方向にスライドすることができる。さらに、EoCチューブ40の遠位端に遠位停止表面43が設けられ、近位端に近位停止表面44が設けられている。近位停止表面44は、ねじ41の終端に設けられ、一例ではねじ41の端面として形成されうる。
【0057】
ドライバ50は、ドライバ50および用量設定チューブ30が両方とも一体で回転し、一体で軸方向に移動するように、用量設定チューブ30に連結される。一例では、ドライバ50および用量設定チューブ30は、一つの構造要素として成形されうる。異なる例では、隆起部32は、用量設定チューブ30をドライバ50に固定する。ドライバ50は、注入の間に近位に移動する解放要素9により、注入中に近位方向に移動可能である。従って、針シールドの近位移動は、ドライバ50および用量設定チューブ30の近位移動に変換される。
【0058】
ドライバ50は、ピストンロッドガイド20の外側表面に設けられた半径方向の歯部22のリングと係合することができる複数の内向きの半径方向の歯部51を遠位に備えている。
【0059】
ドライバ50はさらに、ねじればね5に接続され、このねじればね5はドライバ50を回転するために使用できるトルクを保存する。用量設定の間、用量設定チューブ30およびドライバ50がハウジング1に対して相対的に回転したときにねじればね5が歪むように、ねじればねの他端はハウジングに対して固定されている。開示された例では、ねじればね5は、ハウジング1にしっかりと固定されてハウジング構造の一部を形成するばねベース6に固定される。
【0060】
開示された内容物終了機構は、以下の通り動作する。
【0061】
使用者が用量を注入するのを希望する場合、使用者は、用量設定ボタン4を操作することによって用量設定チューブ30を回転させる。用量設定ボタン4は、ラチェット機構7を介して用量設定チューブ30に接続する。用量設定チューブ30は、後述するように、ラチェット機構7および放出中の用量設定ボタン4の両方に対して軸方向に移動することができる。この用量設定チューブ30の回転は、ドライバ50の回転に即時に変換され、ねじればね5の歪につながる。用量設定チューブ30の回転は、以下に説明するように、EoCチューブ40を近位方向に軸方向に移動させることをさらに強制する。
【0062】
用量設定の間、用量設定チューブ30およびドライバ50が回転しているとき、ピストンロッドガイド20の一方向歯部21がハウジング1と係合することによって、ピストンロッドガイド20は用量設定方向への回転が防止される。ピストンロッドガイド20は回転が阻止されるので、ピストンロッドガイド20上の内向きのノブ23が、ピストンロッド10の長軸方向のトラック12と係合することにより、ピストンロッド10も回転しない。ピストンロッド10は回転しないため、EoCチューブ40の長軸方向の隆起部42がピストンロッド10の長軸方向のトラック12と噛み合うため、EoCチューブ40はどちらも回転しない。
【0063】
しかしながら、用量設定チューブ30、ひいては内向きのねじセグメント31の回転は、用量設定チューブ30のねじセグメント31とEoCチューブ40の外ねじ41との間の界面により、EoCチューブ40を回転させずに遠位方向に軸方向に移動させる。ねじセグメント31がねじ41の停止表面44に遭遇すると、用量設定チューブ30はさらなる回転を阻止され、使用者によってさらなる用量を設定できない。この内容物終了位置では、EoCチューブ40は、EoCチューブ40の遠位停止表面43が内向きのノブ23と係合するように遠位に移動されてきた。
【0064】
用量設定の間、用量設定チューブ30およびドライバ50は回転する一方で、ピストンロッド10、ピストンロッドガイド20およびEoCチューブ40は回転しないが、その回転位置に残る。結果として、EoCチューブ40は、設定される用量のサイズに相関する距離を、回転することなく、遠位方向に軸方向に移動する。
【0065】
使用者が注射を行うことを望むたびに、使用者は図示されていない針シールドを皮膚に押し付ける。針シールドの近位移動は、解放要素9およびそれによってドライバ50の近位移動に変換される。
【0066】
ドライバ50が近位に移動するにつれて、ドライバ50の半径方向の内向きの半径方向の歯部51が、ピストンロッドガイド20上に設けられる半径方向の歯部22のリングと係合するように動く。
【0067】
用量設定チューブ30はドライバ50に連結されているので、用量設定チューブ30はドライバ50の近位移動に追従し、ラチェット機構7、好ましくは用量設定ボタン4とも係合から外れるように移動する。
【0068】
用量設定チューブ30がラチェット機構7との係合から外れて近位に移動すると、ねじればね5はドライバ50をまた好ましくは用量設定チューブ30も回転させることが自由に設定される。ドライバ50がねじればね5によって回転するにつれて、その結果、ドライバ50によって係合されるピストンロッドガイド20が回転する。ピストンロッドガイド20がピストンロッド10の長軸方向のトラック12と係合するので、ピストンロッド10はピストンロッドガイド20と共に回転する。
【0069】
用量放出中に、ドライバ50および用量設定チューブ30が回転し、その回転をピストンロッドガイド20に変換してこうして回転させる。ピストンロッドガイド20の回転はさらにピストンロッド10を回転させる。EoCチューブ40の長軸方向の隆起部42は、ピストンロッド10の長軸方向のトラック12と係合するので、EoCチューブ40はピストンロッド10と共に回転する。
【0070】
EoCチューブ40が残りの要素と共に回転すると、EoCチューブ40の相対的な動きはない。したがって、EoCチューブ40の位置は、内容物終了システムで一般的であるように設定され放出された累積用量を示す。
【0071】
用量設定チューブ30上のねじセグメント31のEoCチューブ40の外ねじ41との係合により、EoCチューブ40も用量放出中に近位方向に移動される。
【0072】
図8は、用量設定の間のEoC機構を開示する。ドライバ50および用量設定チューブ30は両方ともその遠位位置にある。図8に示す例では、内容物終了位置は、ねじセグメント31が停止表面44に隣接するときに到達する。遠位停止表面43が内向きのノブ23に隣接し、近位停止表面44がねじセグメント31に隣接するため、さらなる用量を設定することはできない。
【0073】
この位置では、および遠位停止表面43が内向きのノブ23に近づく位置でも、EoCチューブ40およびピストンロッドガイド20は互いに回転的にロックされる。この回転係止は、二つの係合面の歯部22、51が正しく整列していない場合、場合によっては、ピストンロッドガイド20の半径方向の歯部22がドライバ50の半径方向の歯部51と係合することを困難にする可能性がある。
【0074】
図9は、用量放出中の位置を示す。この位置では、ドライバ50および用量設定チューブ30は、矢印「A」によって示されるように近位に移動されている。これは、図示しない針シールドおよび解放要素9の起動によって行われる。この位置では、ドライバ50の半径方向の歯部51が、ピストンロッドガイド20上の半径方向の歯部22と係合するように移動されている。同時に、用量設定チューブ30上の内向きのねじセグメント31は、近位方向にある距離だけEoCチューブ30を持ち上げる。この距離は、遠位停止表面43が、ピストンロッドガイド20上の内向きのノブ23との係合から持ち上げられるように設定される。これにより、用量放出中、ピストンロッドガイド20とEoCチューブ40との間にもはや回転接続が存在しない。したがって、ピストンロッドガイド20は数度自由に回転することができ、ピストンロッドガイド20とドライバ50とが完全に整列していない場合、ピストンロッドガイド20がドライバ50の半径方向の歯部51と係合することを可能にする。
【0075】
いくつかの好ましい実施形態を上記に示したが、本発明はこれらに限定されず、以下の特許請求の範囲に規定される主題の範囲内で他の方法で具現化することができることを強調しておく。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9