(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】ディスクバルブをクロスウェッジ圧延する方法
(51)【国際特許分類】
B21H 1/18 20060101AFI20220117BHJP
【FI】
B21H1/18 Z
(21)【出願番号】P 2019543990
(86)(22)【出願日】2017-10-26
(86)【国際出願番号】 EP2017077403
(87)【国際公開番号】W WO2018149518
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2020-07-09
(31)【優先権主張番号】102017103042.5
(32)【優先日】2017-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518073055
【氏名又は名称】フェデラル-モーグル バルブトレイン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】FEDERAL-MOGUL VALVETRAIN GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177426
【氏名又は名称】粟野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】トルシュテン マティアス
(72)【発明者】
【氏名】アントニウス ウォルキング
(72)【発明者】
【氏名】ギド ベイヤード
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-197718(JP,A)
【文献】特開平05-057388(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104924028(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101856706(CN,A)
【文献】特開2001-317315(JP,A)
【文献】特開2007-092535(JP,A)
【文献】国際公開第2011/104903(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/179780(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21H 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクバルブの製造方法であって、少なくとも1つのディスク部(4)と、シャフト部とを有するプリフォーム(2)をクロスウェッジ圧延してバルブブランク(10)を形成するステップを含み、前記プリフォーム(2)の前記シャフト部(6)が、シャフトの一端に向けて開放されたキャビティを有し、少なくとも1個のコアを、前記各キャビティ内に配置し、これにより、クロスウェッジ圧延時に前記キャビティの圧縮を回避すると共に、クロスウェッジ圧延によって前記シャフト部(6)の長さの増加を保証し、
前記キャビティを、後に形成されるバルブディスク表面に隣接する位置まで延在させ、前記キャビティが、前記シャフトの直径よりも大きな直径を有し、これによりクロスウェッジ圧延後に中空バルブヘッド部(52)を有するディスクバルブを得
て、
前記プリフォーム(2)が、2つのディスク部(4)及び2つのシャフト部を有し、前記2つのディスク部(4)が、互いに結合され、前記ディスク部(4)を、クロスウェッジ圧延後、好適には、圧延した表面の加工後に分離する方法。
【請求項2】
請求項
1に記載のディスクバルブの製造方法であって、係合構造部を、前記シャフト部の一端に圧延し、これによりウェッジ状部品に係合させるステップを更に含む方法。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載のディスクバルブの製造方法であって、前記プリフォーム(2)を、クロスウェッジ圧延時に、クロスウェッジ圧延要素の圧延運動に対して平行に又は接線方向に支持するステップを更に含む方法。
【請求項4】
請求項1~
3の何れか一項に記載のディスクバルブの製造方法であって、2つの連続するクロスウェッジ圧延ステップを含み、好適には、2個の異なるコアを使用する方法。
【請求項5】
請求項1~
4の何れか一項に記載のディスクバルブの製造方法であって
、ディスクバルブブランク(10)に最終的な機械加工を施し、これによりディスクバルブを形成するステップを更に含む方法。
【請求項6】
請求項1~
5の何れか一項に記載のディスクバルブの製造方法であって
、ディスクバルブブランク(10)又はディスクバルブにコーティングを施すステップを更に含む方法。
【請求項7】
請求項1~
6の何れか一項に記載のディスクバルブの製造方法であって、前記キャビティを、ナトリウムで充填し、閉鎖するステップを更に含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクバルブをクロスウェッジ圧延する方法に関し、特に、内部冷却式のディスクバルブをクロスウェッジ圧延する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来においては、内部冷却ディスクバルブを製造するための様々な方法が知られている。例えば、非特許文献1(Thomson Scientific, London, GB; AN 2010-P14051 XP00277630)及び特許文献1(中国特許第101856706号明細書)には、ディスクバルブをクロスウェッジ圧延する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Thomson Scientific, London, GB; AN 2010-P14051 XP00277630
【0005】
現在までのところ、ディスクバルブ、特に内部冷却ディスクバルブの製造には大きなコストがかかる。これは、一方で、高い精度が要求され、他方で、内燃機関における燃焼室内の燃焼による負荷に耐えるために、使用される材料が高温時でも十分な強度を有する必要があるからである。通常の機械加工においては、後に再び溶融させなければならない材料が大量に発生する。従来においては、バルブをプレス又は鍛造によって製造するための様々な方法が知られている。初期の内部冷却バルブにおいては、バルブシャフトが長手方向にドリル切削された。従って、機械加工に際しては、材料の消費又は無駄を最小限に抑える方法が望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一態様によれば、請求項1に記載の特徴を有するディスクバルブの製造方法が提供される。好適な実施形態は、従属請求項に記載したとおりである。本発明に係る方法は、プリフォームをクロスウェッジ圧延してバルブブランクを形成するステップを含む。プリフォームは、少なくとも1つのディスク部と、1つのシャフト部とを有する。シャフト部の直径は、クロスウェッジ圧延によって実質的にシャフトの直径に減少させ、その際にシャフト部の長さも、圧延によって実質的にシャフトの長さに増加させる。
【0007】
クロスウェッジ圧延においては、圧延時にプリフォームに対してねじり負荷を及ぼす可能性があるため、シャフトの直径は必ずしも最終寸法に圧延する必要はなく、その代わりにプリフォームを最終寸法に比べて僅かに大きな直径に圧延し、その後の最終加工において最終寸法に縮小することができる。この場合、より大きな直径は、完成したバルブにおける最終直径の101%~105%に相当する。同様のことは、シャフトの長さについても当てはまる。この場合、シャフトの一端における厚肉部分として形成されたより大径部分がクロスウェッジ圧延時に設けられ、その大径部分により、クロスウェッジ圧延において、シャフト長の増加を容易にする軸線方向力を及ぼすことができる。最終的な厚肉部分は、その内部を通過するバルブシャフトの長手方向開口を、例えばナトリウムが冷却剤としてキャビティに導入された後に、閉鎖するのに使用することもできる。この場合、端部開口は、端部の厚肉部分をシャフトの直径まで圧延することで容易に閉鎖することができる。シャフトの端部に円錐状部品を係合させるために、シャフトの端部に構造部を圧延することも可能である。
【0008】
本発明に係る方法の他の実施形態において、プリフォームのシャフト部は、中空に構成されている。シャフト部が中空に構成されることによってシャフト部にキャビティが形成され、そのキャビティは、クロスウェッジ圧延後も保持されるのが好適である。この実施形態は、内部冷却バルブ用の製造方法に関連する。少なくとも1つのディスク部及び1つのシャフト部を有するプリフォームをクロスウェッジ圧延してバルブブランクを形成する際、好適にはコア又は支持ピンが使用されることにより、圧延によってキャビティが閉鎖するのが回避される。
【0009】
ディスクバルブの製造方法における他の実施形態においては、2つのディスク部及び2つのシャフト部を有するプリフォームを使用する。この場合、2つのディスク部が互いに結合されており、ディスク部をクロスウェッジ圧延後、好適には、圧延した表面の加工後に分離する。ディスクバルブの製造方法における更なる実施形態においては、ディスク部にて互い接触させた2個のプリフォームを使用する。この場合、2個のプリフォームを同軸に配置しつつ、2つのシャフト部を外方に向けて延在させる。クロスウェッジ圧延において、ディスク部は、実質的に平坦かつ滑らかに維持されるよう互いに支持させる。この実施形態において、2個のプリフォームは既に分離してあるため、ディスク表面で分離する必要はない。
【0010】
ディスクバルブの製造方法における他の実施形態は、1つ以上のシャフト部がシャフトの一端に向けて軸線方向に開放されたキャビティを有するプリフォームをクロスウェッジ圧延するステップを含む。クロスウェッジ圧延時には、少なくとも1個のコアを各キャビティ内に配置し、少なくとも1個のコアにより、クロスウェッジ圧延時にキャビティの圧縮を回避すると共に、シャフト部の長さの増加を保証する。
【0011】
本発明に係る方法の他の実施形態においては、係合構造部をシャフト部の一端に圧延するステップを更に含む。係合構造部は、クロスウェッジ圧延法で圧延してもよく、完成したバルブをウェッジ部に係合させるよう機能する。この操作においては、キャビティを同時に閉鎖すると共に、依然として残留している端部の厚肉部分をシャフトの直径まで又はシャフトの直径よりも小さな直径まで圧延することも可能である。キャビティが冷却剤としてのナトリウムで予め満たされていれば、キャビティを後に他の作業ステップで閉鎖する必要はもはやない。
【0012】
本発明に係る方法における他の実施形態においては、プリフォームを、クロスウェッジ圧延時に、クロスウェッジ圧延要素の圧延運動に対して平行に又は接線方向に支持する。これにより、プリフォームの長手方向軸線がクロスウェッジ圧延軸線に対して確実に平行に及び/又はクロスウェッジ圧延プレートの運動方向に対して確実に垂直に維持される。支持をすることにより、プリフォームがバルブブランクの形状を得るまでプリフォームの回転対称的な形状が維持可能である。支持要素を使用して得られる支持により、バブルディスクの平面がシャフト軸線に対して垂直であることが保証される。
【0013】
本発明に係る方法の実施形態は、少なくとも2つの連続するクロスウェッジ圧延ステップを含み、好適には、2個以上の異なるコアを使用する。この実施形態は、複数のより小さな成形ステップにより、ローラ及び/又はローラ要素に対する負荷の低減を可能にする。特にクロスウェッジローラ及び/又はクロスウェッジ圧延要素の摩耗は、クロスウェッジ圧延による複数のより小さな成形ステップによって低減することができる。この実施形態においては、特にクロスウェッジローラ及び/又はクロスウェッジ圧延要素の寿命を大幅に延ばすことが可能である。
【0014】
本発明に係る方法の他の実施形態は、ディスクバルブブランクに最終的な機械加工を施し、これにより1個以上のディスクバルブを形成するステップを更に含む。このステップは、機械加工によって得られる表面特性又は公差が圧延で得られない場合に必要になり得る。
【0015】
本発明に係る方法の他の実施形態は、ディスクバルブブランク又はディスクバルブに表面コーティングを施すステップを更に含む。表面コーティングは、ダイヤモンドライクカーボン、セラミックコーティング、ガルバニックコーティングなどを含むことができる。
【0016】
本発明に係る方法の他の実施形態は、バルブシャフトのキャビティを、ナトリウムで充填してから閉鎖するステップを含む。この場合、ナトリウムと大気酸素との反応を回避するために保護ガスを導入することも可能である。ナトリウムは、シャフト端部の厚肉部分を圧延してキャビティを閉鎖する前に、シャフト端部に向けて開放されたキャビティに導入するのが好適である。ナトリウムは更に、シャフト端部の厚肉部分を依然として有するバルブブランクに導入するのが好適である。シャフト端部に厚肉部分が残留していれば、その直径は、付加的なクロスウェッジ圧延ステップによってシャフトの直径まで減少させることができる。このクロスウェッジ圧延ステップにおいては更に、バルブスプリングを固定するためのウェッジ状部品を係合させる溝をシャフト端部に圧延することもできる。これにより、ほぼ切削屑を発生させないディスクバルブの製造方法が実現される。この場合、最終的な機械加工は、所要の公差及び表面特性が圧延だけで得られないケースでのみ必要になり得る。ディスクバルブは、クロスウェッジ圧延技術によって最終形状に極めて近似するよう迅速に成形可能であるため、機械加工による切削屑は最小限に留められ、従って材料を節約することができる。
【0017】
本発明に係る方法の他の実施形態において、キャビティは、後に形成されるシャフトの直径よりも大きな直径を有するよう、クロスウェッジ圧延前にディスク部内まで延在させる。この構成により、クロスウェッジ圧延後もディスクバルブのバルブヘッド部に、後に形成されるシャフトの直径よりも大きな最大直径を有するキャビティが残留可能である。従って、本発明は、中空のシャフトを備えるバルブの製造を可能にするのみならず、ヘッド部領域の壁厚がほぼ一定である実質的に中空のバルブヘッド部の製造も可能にするため、バルブヘッド部内に特に大量の冷却剤を収容することができる。そのようなバルブは、中空ヘッドバルブとしても知られている。軽量化及びバルブディスク表面からの放熱に関するこれまでの最適化は、中空ヘッドバルブによるものである。従って、本発明においても、重量比の観点から最適かつ最新のバルブの製造が可能である。
【0018】
本発明の他の態様によれば、上述した方法で製造したディスクバルブが提供される。
【0019】
以下、本発明を、特にプリフォーム又はバルブブランクに基づく製造方法を示す図面を参照しつつ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
従来技術に係るクロスウェッジ圧延の基本原理を示す説明図である。
【
図2】
従来技術に係るクロスウェッジ圧延の基本原理を示す説明図である。
【
図3】
従来技術に係るクロスウェッジ圧延によってバルブブランクへと製造可能なプリフォームを示す説明図である。
【
図4】
図3におけるプリフォームを圧延することによって製造可能なタイプのバルブブランクを示す説明図である。
【
図5】
図5A~
図5Cは、ウェッジ圧延工程において、中空ヘッドバルブとして構成された1個の二重バルブブランク又は2個のバルブブランクへと同時に圧延可能な特定のタイプの二重バルブプリフォーム及び/又は結合された2個のバルブプリフォームを示す説明図である。
【
図6】
図5における二重バルブプリフォームを2個のバルブブランクへと形成可能なクロスウェッジ圧延要素を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の記載及び各図において、同一又は類似の要素には、同一又は類似の参照符号が使用されている。
【0022】
図1は、ローラ間のローラギャップを顕著に減少させるクロスウェッジ42がローラ面に設けられた
従来技術に係る2個のクロスウェッジローラ40を示す。クロスウェッジローラの間で回転するワークピース44を圧延することにより、直径が縮小された領域が形成される。この成形方法においては、旋盤上での旋盤加工などの機械加工方法に比べて、切削屑が発生しないため材料をより節約可能である。支持要素、ガイド部、並びにローラミル及びローラ用駆動装置は、明瞭化のために図示されていない。
【0023】
図2は、平坦なクロスウェッジ圧延要素46を使用する
従来技術に係るクロスウェッジ圧延方法を示す。この場合、クロスウェッジ圧延要素46は、互いに対して直線運動をするよう構成されると共に、クロスウェッジ圧延要素46のウェッジ形状が圧延によってワークピース44に縮径領域を形成する。
【0024】
図3は、クロスウェッジ圧延によってバルブブランクへと製造可能なプリフォーム又はバルブプリフォーム2を示す。プリフォーム2は、ディスク部4及びシャフト部6を有する。シャフト部6内には、キャビティ8が破線で表されている。本発明の方法は、特に内部冷却バルブを対象としており、プリフォーム2にはキャビティ8が既に設けられている。ただし、キャビティが設けられていないプリフォームを、クロスウェッジ圧延により、非内部冷却式のバルブブランクへと成形することも可能である。
【0025】
図4は、
図3におけるプリフォーム2から圧延可能なバルブブランク10を示す。この場合、
図3におけるシャフト部6はシャフト16へと成形されており、シャフト16の長さは、圧延前のシャフト部6に比べて大幅に増加している。クロスウェッジ圧延により、最終的な輪郭に極めて近い輪郭を得ることができる。任意に設けられるキャビティ内にコア又は支持要素を使用すれば、圧延時にシャフトの長さを更に増加させることができる。クロスウェッジ圧延により、シャフトの一端における最終的な厚肉部分を形成することもできる。クロスウェッジのウェッジ形状は、圧延時に軸線方向に力を及ぼすことにより、バルブシャフトの長さの増加が更に容易になる。端部の厚肉部分を通過すると共に、シャフト端部に向けて軸線方向に開放されたキャビティ8を通して、ナトリウムを冷却剤として容易に導入することができる。次いで、端部の厚肉部分は、クロスウェッジ圧延の更なるステップ(図示せず)において閉鎖することができる。この場合、バルブシャフトには保持溝も同時に圧延するのが好適である。これら保持溝は、バルブシャフト端部を円錐状部品に係合させるのに機能する。このように、内部冷却バルブは、ほぼ成形だけで、最終寸法及び最終輪郭に極めて近似するよう製造可能であり、その際に無駄になる材料はごく僅かである。
【0026】
図5Aは、特定のタイプの二重バルブプリフォーム及び/又は互いに結合された2個のバルブプリフォームを示す。これにより、これらバルブプリフォームは、
本発明に係るクロスウェッジ圧延工程において
本発明に係る1個の二重バルブブランク及び/又は
本発明に係る2個のバルブブランク20へと同時に圧延することができる。クロスウェッジ圧延は、回転対称的な部品において特に適していることが判明しており、そのような回転対称的な部品は更に、部品の軸線方向に垂直な平面に対して鏡面対称的でもある。対称平面は、分割線でもある破線28で表され、その分割線に沿い、圧延した2個のバルブブランクを分離することができる。ウェッジによって生じた力は、対称的なワークピースに最適に導入することができる。鏡面対称的なワークピースにおいては、圧延結果に悪影響を及ぼし得るローラ軸線方向におけるワークピースの変位が生じる恐れがない。二重バルブプリフォーム20は、クロスウェッジ圧延によって成形し、次いでバルブディスクにて互いに結合された2個のバルブブランクを旋盤上で切断することにより分離する。二重バルブプリフォーム20及び互いに結合された2個のバルブプリフォーム2においては、対称的なクロスウェッジローラ40又は対称的なクロスウェッジ圧延要素46の使用が可能であるため、加工技術が大幅に簡略化される。二重バルブプリフォーム20においては更に、吸気バルブ及び排気バルブをクロスウェッジ圧延によって同時に製造することも可能である。吸気バルブ及び排気バルブの寸法は僅かに異なるが、吸排気バルブにおいてはほぼ対称的なクロスウェッジ圧延が可能である。この場合に他の利点は、ほとんどのエンジンが同数の吸気バルブ及び排気バルブを有するため、吸気バルブ製造から排気バルブ製造への切り替えのための準備時間が本発明の方法によって排除可能なことである。
【0027】
図5Aにおいて、シャフト部6及びその内部におけるキャビティの直径は、バルブヘッド部の直径に比べて極めて大きいことが分かる。
【0028】
図5Bは、バルブプリフォーム2をやはり断面図で示す。
本発明によれば、キャビティは、後にバルブディスクとなる領域まで延びている。
図5Bにおいて、参照符号28はやはり分割線を表し、その分割線に沿い、2個のバルブプリフォームを結合するか及び/又はクロスウェッジ圧延後に二重バルブプリフォームを2個のバルブブランクとして分離することができる。
【0029】
図5Cは、成形をより明瞭に表すために、
図5Bにおけるバルブプリフォーム2を点線で再度示す。この場合、シャフト部は、その直径が大幅に縮小すると共に、長さが大幅に増加している。図示のシャフト部においては、バルブヘッド部の直径が圧延によって大きく変化していないため、
本発明によれば、キャビティが依然としてほぼ元の直径を維持している。このことは、クロスウェッジ圧延によって中空ヘッドバルブも容易に製造可能であることを意味している。図示の破線も、2個のバルブプリフォームがクロスウェッジ圧延によって同時に製造可能であることを表している。ただし、二重バルブプリフォームを使用して2個の中空ヘッドバルブ及び/又は中空バルブブランクを同時に製造することも可能であり、その中空ヘッドバルブ及び/又は中空バルブブランクをクロスウェッジ圧延後に破線28に沿って分離することができる。
【0030】
図6は、
図5における二重バルブプリフォーム20を、
本発明に係る2個のバルブブランク及び/又は
本発明に係る1個の二重バルブブランクへと成形可能なクロスウェッジ圧延要素46の平面図を示す。この場合、二重バルブプリフォーム20は先ず、シャフト部をシャフトへと圧延する2個の第1ウェッジ42の表面上を上部から下部に向けて転がされる。ナトリウムは、バルブディスクが成形される移行領域において、バルブシャフトのキャビティに導入することができる。ウェッジは、更に下部においてウェッジ段部48にガイドされることにより、シャフト端部の厚肉部分が所定の直径に成形される。更に、保持溝をシャフト端部に圧延する3つの付加的な溝ウェッジ50が各側に配置されている。これら保持溝により、キャビティは、シャフト端部にて、押し付けられた厚肉部分によって確実に閉鎖され、従って導入されたナトリウムがキャビティ内にシール状態で封入される。
【符号の説明】
【0031】
2 プリフォーム又はバルブプリフォーム
4 ディスク部
6 シャフト部
8 キャビティ
10 バルブブランク
16 シャフト
20 二重バルブプリフォーム
24 シャフト端部の厚肉部分
28 破線又は分割線
40 クロスウェッジローラ
42 クロスウェッジ
44 ワークピース
46 クロスウェッジ圧延要素
48 ウェッジ段部
50 溝ウェッジ
52 中空バルブヘッド部及び/又はバルブ中空ヘッド部