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特許7007394ノズルアダプタ、ノズルアダプタセット、塗布装置および塗布システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】ノズルアダプタ、ノズルアダプタセット、塗布装置および塗布システム
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/00 20060101AFI20220117BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
B05C11/00
B05C5/00 101
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019546448
(86)(22)【出願日】2017-10-03
(86)【国際出願番号】 JP2017036026
(87)【国際公開番号】W WO2019069379
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2020-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】512225287
【氏名又は名称】堺ディスプレイプロダクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 健太
(72)【発明者】
【氏名】束村 親紀
【審査官】磯部 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/137271(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0204102(US,A1)
【文献】特開2002-331262(JP,A)
【文献】特表2015-502838(JP,A)
【文献】実公平03-031876(JP,Y2)
【文献】特開平05-096221(JP,A)
【文献】特開2014-131794(JP,A)
【文献】特開2017-080720(JP,A)
【文献】特開2016-131925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 11/00
B05C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペースト材料が第1方向に沿って流れる第1流路が形成された第1部と、
前記第1方向に沿って入るペースト材料が第2方向に沿って出る第2流路が形成された第2部と
を備え、
前記第2部には、前記第2方向に沿って前記ペースト材料を吐出させるノズルが接続されるノズル接続部が形成されており、
前記第2流路の下流端は、前記ノズルが前記第2部に取り付けられた場合に該第2部が該ノズルと連通するように前記ノズル接続部にて前記第2方向に開いており、
前記第1部には、前記第2方向に沿って、あるいは、前記第1方向および前記第2方向と垂直である第3方向に沿って、前記第2部を嵌め込む凹部が形成されており、
前記第1流路の下流端は、前記凹部の内側面にて前記第1方向に開いており、
前記第2流路の上流端は、前記第2部の外側面にて前記第1方向に開いており、
前記第2部が前記凹部に嵌め込まれた場合に、前記第2流路の上流端は前記第1流路の下流端と結合するように形成され
前記ノズル接続部は、前記ノズルが螺合または嵌合接続によって接続されるように構成されている、ノズルアダプタ。
【請求項2】
前記第2部は、前記ノズル接続部に前記ノズルが取り付けられた状態で、前記第1部の前記凹部に対して嵌め込みまたは取り外しが可能である、請求項1に記載のノズルアダプタ。
【請求項3】
前記第1部には、基部と、該基部から前記第1方向に延びたアーム部とが構成されている、請求項1または2に記載のノズルアダプタ。
【請求項4】
前記アーム部の内部を貫く前記第1流路の下流端は、前記アーム部を前記第2方向に沿って貫通する前記凹部の内側面にて前記第1方向に開いている、請求項に記載のノズルアダプタ。
【請求項5】
前記基部には、前記ペースト材料を貯留する貯留部と連結されるべき連結部が形成されており、前記第1流路の上流端は、前記貯留部が連結された場合に該貯留部の下流端と結合するように前記連結部に開いている、請求項またはに記載のノズルアダプタ。
【請求項6】
前記ペースト材料を貯留する貯留部をさらに備えている、請求項に記載のノズルアダプタ。
【請求項7】
前記貯留部の端部は雄ネジ構造を有し、雌ネジ構造を有する前記連結部と螺合している、請求項に記載のノズルアダプタ。
【請求項8】
前記第1部には、前記第1部の外側と前記凹部との間を貫く貫通孔が形成されており、
前記貫通孔に前記第1部の外側から前記凹部へ向けて挿入される押圧部材をさらに備えており、
前記押圧部材が前記貫通孔に挿入されて前記押圧部材の先端が前記第2部に接しかつ押圧した場合に、第2部は、前記凹部の内側面に押し付けられて前記第1部に固定される、請求項1~のいずれか一つに記載のノズルアダプタ。
【請求項9】
前記ペースト材料を吐出するノズルをさらに備えている、請求項1~のいずれか一つに記載のノズルアダプタ。
【請求項10】
ペースト材料が第1方向に沿って流れる第1流路が形成された第1部と、
前記第1方向に沿って入るペースト材料が第2方向に沿って出る第2流路が形成された第2部と
を備え、
前記第2部には、前記第2方向に沿って前記ペースト材料を吐出させるノズルが接続されるノズル接続部が形成されており、
前記第2流路の下流端は、前記ノズルが前記第2部に取り付けられた場合に該第2部が該ノズルと連通するように前記ノズル接続部にて第2方向に開いており、
前記第1部には、前記第2方向に沿って、あるいは、前記第1方向および前記第2方向と垂直である第3方向に沿って、前記第2部を嵌め込む凹部が形成されており、
前記第1流路の下流端は、前記凹部の内側面にて前記第1方向に開いており、
前記第2流路の上流端は、前記第2部の外側面にて前記第1方向に開いており、
前記第2部が前記凹部に嵌め込まれた場合に、前記第2流路の上流端は前記第1流路の下流端と結合するように形成され
前記ノズル接続部は、前記ノズルが螺合または嵌合接続によって接続されるように構成されている、ノズルアダプタセット。
【請求項11】
前記第2部は、前記ノズル接続部に前記ノズルが取り付けられた状態で、前記第1部の前記凹部に対して嵌め込みまたは取り外しが可能である、請求項10に記載のノズルアダプタセット。
【請求項12】
前記第1部に前記第1部の外側と前記凹部との間を貫く貫通孔が形成されており、
第3流路が貫いた第3部をさらに備え、
前記第3部の前記第3流路の第1端は、前記第3部が前記凹部に嵌め込まれた場合に前記第1流路の下流端と結合するように前記第3部の外側面にて開口しており、
前記第3部の前記第3流路の第2端は、前記第3部が前記凹部に嵌め込まれた場合に前記第3流路が前記貫通孔と連続するように前記第3部の外側面にて開口している、請求項10または11に記載のノズルアダプタセット。
【請求項13】
第3流路が貫いた第3部をさらに備え、
前記第3部の前記第3流路の第1端は、前記第3部が前記凹部に嵌め込まれた場合に前記第1流路の下流端と結合するように前記第3部の外側面にて開口しており、
前記第3部の前記第3流路の第2端は、前記第3部が前記凹部に嵌め込まれた場合に前記第1方向に垂直な方向へ向けて前記第3部の外側面にて開口している、請求項10または11に記載のノズルアダプタセット。
【請求項14】
請求項1~のいずれか一つに記載のノズルアダプタあるいは請求項1013のいずれか一つに記載のノズルアダプタセットの前記第1部を、前記第2方向が鉛直下向きになるように保持している、塗布装置。
【請求項15】
請求項14に記載の塗布装置と、
前記ノズルアダプタあるいは前記ノズルアダプタセットと該ノズルアダプタあるいは該ノズルアダプタセットを介して前記ペースト材料が塗布されるべき対象物との間の、水平方向および垂直方向の少なくとも一方における相対位置を変更する移動機構と
を備えた、塗布システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペースト材料を塗布する際に用いられ得るノズルアダプタ、ノズルアダプタセット、塗布装置および塗布システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ペースト材料を所定パターンで基板の上に描画するペースト塗布機が、たとえば液晶表示パネルなどの製造工程において用いられている(特許文献1参照)。特許文献1に示されるように、ペースト塗布機は、ペースト材料が収容されたペースト収納筒と、ペースト収納筒から水平に延びるノズル支持具と、ノズル支持具の先端に下向きに取り付けられたノズルとを有している。一般に、ノズルは、ノズルに設けられた雄ネジをノズル支持具の雌ネジに螺合することによって取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-117171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のペースト塗布機を用いてペースト材料を基板の上に描画する際に、ノズル支持具においてノズル詰まりが発生したりペースト材料の描画中にペースト材料が途切れたりするなど、ペースト材料の塗布不良が生じている。
【0005】
そこで、本発明はかかる問題点に鑑みて、ペースト材料の塗布不良を抑制することができるノズルアダプタ、ノズルアダプタセット、塗布装置および塗布システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上述した課題を克服するために鋭意検討を重ねた結果、上述した塗布不良が、流路内にペースト材料が残ったノズル支持具に新たなノズルを接続したペースト塗布機において生じていることを見出し、ノズルをノズル支持具に接続した際にペースト材料の硬化物が生成することを見出した。このような独自の知見に基づいて、本発明者らは、ノズルをノズル支持具に接続することによって生じた硬化物がノズル支持具の流路内に入ることに起因してペースト材料の塗布不良が生じると考え、本発明を完成するに至った。
本発明の一実施形態のノズルアダプタは、ペースト材料が第1方向に沿って流れる第1流路が形成された第1部と、前記第1方向に沿って入るペースト材料が第2方向に沿って出る第2流路が形成された第2部とを備え、前記第2部には、前記第2方向に沿って前記ペースト材料を吐出させるノズルが接続されるノズル接続部が形成されており、前記第2流路の下流端は、前記ノズルが前記第2部に取り付けられた場合に該第2部が該ノズルと連通するように前記ノズル接続部に開いており、前記第1部には、前記第2方向に沿って、あるいは、前記第1方向および前記第2方向と垂直である第3方向に沿って、前記第2部を嵌め込む凹部が形成されており、前記第1流路の下流端は、前記凹部に嵌め込まれた前記第2部の前記第2流路の上流端と結合するように前記凹部に開いていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一実施形態のノズルアダプタセットは、ペースト材料が第1方向に沿って流れる第1流路が形成された第1部と、前記第1方向に沿って入るペースト材料が第2方向に沿って出る第2流路が形成された第2部とを備え、前記第2部には、前記第2方向に沿って前記ペースト材料を吐出させるノズルが接続されるノズル接続部が形成されており、前記第2流路の下流端は、前記ノズルが前記第2部に取り付けられた場合に該第2部が該ノズルと連通するように前記ノズル接続部に開いており、前記第1部には、前記第2方向に沿って、あるいは、前記第1方向および前記第2方向と垂直である第3方向に沿って、前記第2部を嵌め込む凹部が形成されており、前記第1流路の下流端は、前記第2部が前記凹部に嵌め込まれた場合に前記第2部の前記第2流路の上流端と結合するように前記凹部に開いていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一実施形態の塗布装置は、上記ノズルアダプタあるいは上記ノズルアダプタセットの前記第1部を、前記第2方向が鉛直下向きになるように保持していることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一実施形態の塗布システムは、上記塗布装置と、前記ノズルアダプタあるいはノズルアダプタセットと該ノズルアダプタあるいは該ノズルアダプタセットを介して前記ペースト材料が塗布されるべき対象物との間の、水平方向および垂直方向の少なくとも一方における相対位置を変更する移動機構とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のノズルアダプタ、ノズルアダプタセット、塗布装置および塗布システムによれば、ペースト材料の硬化物の生成を抑制することができるので、ペースト材料の塗布不良を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態のノズルアダプタを備えた塗布システムを示す概略斜視図である。
図2】本発明の一実施形態の塗布システムに設けられた距離計を示す概略図である。
図3】本発明の一実施形態のノズルアダプタを備えた塗布装置の分解斜視図である。
図4図3に示されるノズルアダプタの上面図である。
図5図4のV-V線における側方断面図である。
図6】(A)は図5に示すノズルアダプタにおける第2部が第1部の凹部に上方から嵌め込まれた状態を示す側方断面図であり、(B)は(A)に示す第2部からノズルが取り外された状態を示す側方断面図である。
図7】本発明の一実施形態のノズルアダプタの第1部および第2部の変形例を示す上面図である。
図8】(A)は図7に示すノズルアダプタにおける第2部が第1部の凹部に側方から嵌め込まれた状態を示す側方断面図であり、(B)は図7に示すノズルアダプタの側方断面図であり、(C)は(A)に示す第2部からノズルが取り外された状態を示す側方断面図である。
図9】本発明の一実施形態のノズルアダプタセットの第1部の凹部に第3部が嵌め込まれた状態を示す側方断面図である。
図10】本発明の一実施形態のノズルアダプタセットの第1部の凹部に嵌め込まれた第3部の変形例を示す側方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態のノズルアダプタ、ノズルアダプタセット、塗布装置および塗布システムを説明する。なお、本発明のノズルアダプタ、ノズルアダプタセット、塗布装置および塗布システムは、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態の塗布システムSを示す概略図である。塗布システムSは、ペースト材料を吐出するノズルを介してペースト材料を対象物上に所定のパターンで塗布する。
【0014】
ペースト材料は、シール材や導電ペーストなどに用いられる材料である。ペースト材料は、たとえば、部材間のシール等に用いられる熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂であり得る。
ペースト材料を塗布する対象物は特に限定されない。対象物は、たとえば、液晶パネル、プラズマディスプレイパネル、有機ELパネル等、発光パネル等に用いられる基板であり得、本実施形態において、対象物はガラス基板である。以下、対象物として基板を例にあげて説明する。
【0015】
本実施形態において、塗布システムSは、図1に示されるように、架台1の上に、基板2が置かれる支持体3を有している。塗布システムSはさらに、後述するノズルアダプタ4(図3参照)を含む塗布装置Aを備えている。塗布装置Aを駆動することによって、ノズルアダプタ4に取り付けられたノズルN(図2参照)を介して支持体3に置かれた基板2にペースト材料が塗布される。また、塗布システムSは、移動機構Mを備えている。移動機構Mを駆動することによって、塗布装置Aおよび支持体3が移動されて、水平方向および垂直方向の少なくとも一方におけるノズルアダプタ4と基板2との間の相対位置が変更される。移動機構Mを駆動しつつ塗布装置Aを駆動することにより、ノズルアダプタ4に取り付けられたノズルNと基板2との間の相対位置が変更されるとともに、塗布装置Aからペースト材料が塗布される。これによって、基板2へのペースト材料の描画(所定のパターンでの塗布)が行われる。
【0016】
ペースト材料を基板2に塗布する装置である塗布装置Aの構造は図示するものに限定されない。本実施形態において、塗布装置Aは、図3に示されるように、ノズルNとノズルアダプタ4とペースト材料を貯留する貯留部5とを有している。ノズルアダプタ4の詳細については後述するが、本実施形態では、ノズルアダプタ4にノズルNが取り外し可能に取り付けられ、ノズルアダプタ4に貯留部5が取り外し可能に取り付けられている。
【0017】
貯留部5の内部は、ノズルアダプタ4に形成された後述する流路を介してノズルNの内部と連通している。貯留部5は、本実施形態では、図3に示されるように、筒状のシリンジである。貯留部5に充填されたペースト材料は、加圧されることによってノズルNの吐出口から図中下方に向けて吐出される。ペースト材料の加圧は、プランジャ等を用いて行われても、貯留部5に接続されたエア式の加圧部(図示せず)を用いて貯留部5の内部を加圧することによって行われてもよい。本実施形態において、塗布装置Aは加圧部をさらに備えてもよく、本実施形態に用いられる加圧部の構成は特に限定されない。たとえば、加圧部は、貯留部5に接続されたチューブなどを介して、圧縮された空気または窒素ガスを貯留部5の内部に送り込むコンプレッサであってもよい。
【0018】
なお、本実施形態では、塗布システムSは、図1に示されるように、複数の塗布装置Aを有している。しかし、塗布システムSに設けられる塗布装置Aの数は、1つであっても複数であってもよい。
【0019】
移動機構Mは、水平方向および垂直方向の少なくとも一方におけるノズルアダプタ4と基板2との間の相対位置を変更する。移動機構Mの駆動によって、塗布装置Aの移動および支持体3の回転が行われる。移動機構Mは、たとえば、塗布装置Aを移動させることによってノズルアダプタ4と基板2との間の相対位置を変更することができ、基板2が支持される支持体3を移動および/または回転させることによってノズルアダプタ4と基板2との間の相対位置を変更することができる。
【0020】
本実施形態では、移動機構Mは、X軸および/またはX軸に垂直なY軸に沿って塗布装置Aを移動させるように構成されている。また、移動機構Mは、X軸およびY軸によって規定される水平面に沿って支持体3を移動/回転させ、支持体3に支持された基板2を移動/回転させるように構成されている。塗布装置Aの移動および基板2の回転によって水平方向におけるノズルアダプタ4と基板2との間の相対位置を移動機構Mが変更し、これにより、基板2に所定のパターンでペースト材料を描画することが可能となる。さらに、本実施形態では、移動機構Mは、X軸およびY軸を含む水平面に垂直なZ軸に沿って塗布装置Aを移動させるように構成されている。Z軸に沿う塗布装置Aの移動によって垂直方向におけるノズルアダプタ4と基板2との間の相対位置を移動機構Mが変更し、これにより、塗布装置Aに設けられたノズルNの基板2に対する高さを調整することができる。
【0021】
移動機構Mについて、より具体的には、図1に示されるように、架台1の上に、X軸に沿う第1案内部11aおよび第2案内部11bが、Y軸方向に互いに離れた状態で略平行に配置されている。また、Y軸に沿って延びる移動体12が、第1案内部11aおよび第2案内部11bを連絡するように設けられている。移動体12は、スライド部材12aおよびスライド部材12bを介してそれぞれ第1案内部11aおよび第2案内部11bに接続されている。スライド部材12aおよびスライド部材12bは、X軸に沿う移動を担うモータ等のX軸駆動部(図示せず)によって駆動されて、それぞれ第1案内部11aおよび第2案内部11bに沿って移動する。スライド部材12aおよびスライド部材12bがX軸に沿って移動することによって移動体12がX軸方向に移動する。移動体12がX軸方向に移動すると、移動体12に取り付けられた塗布装置AがX軸に沿って移動する。
【0022】
塗布装置Aは、Y軸に沿って移動できるように移動体12に取り付けられている。具体的には、塗布装置Aは、取付部材13を介して移動体12に取り付けられており、取付部材13は、Y軸に沿う移動を担うモータ等のY軸駆動部(図示せず)によって駆動されて、移動体12に沿ってY軸方向に移動する。本実施形態において、塗布装置Aは、Z軸に沿って移動できるように移動体12(取付部材13)に取り付けられている。具体的には、塗布装置Aは、昇降部材14を介して取付部材13に取り付けられており、昇降部材14は、図示しないモータ等のZ軸駆動部によって駆動されて、取付部材13に沿ってZ軸方向に移動する。また、支持体3の下には、Z軸を中心に回転する回転テーブル15が設けられている。回転テーブル15は、モータ等のZ軸駆動部(図示せず)によって駆動されて、これにより、回転テーブル15に保持された支持体3をZ軸中心に回転させる。
支持体3は、回転だけでなく水平面上を直線的に移動したりZ軸に沿って移動したりしてもよい。すなわち、本実施形態において、塗布システムSは、そのような移動を実現するための回転テーブル15を直線的に移動させる機構を移動機構Mの一つとしてさらに備えていてもよい。なお、本実施形態において、上述した水平方向(X軸方向、Y軸方向)における塗布装置Aおよび/または支持体3の移動、および、垂直方向(Z軸方向)における塗布装置Aおよび/または支持体3の移動は、図示しない制御装置によって制御される。なお、制御装置は、移動機構Mの制御の他に、塗布装置Aによるペースト材料の塗布等、塗布システムSにおける各種動作を制御することができる。
【0023】
なお、移動機構Mは、水平方向および垂直方向の少なくとも一方におけるノズルアダプタ4と基板2との間の相対位置を変更することができれば、上述した構成に限定されない。
【0024】
また、本実施形態において、塗布システムSは、塗布装置Aに取り付けられたノズルNと基板2との間の垂直方向での距離を計測する距離計16(図2参照)を有している。距離計16は、たとえば、図2に示されるように、発光部16aと受光部16bとを有している。発光部16aから基板2に向かって照射されたレーザ光Lが基板2で反射され、基板2によって反射されたレーザ光Lが受光部16bで受光される。受光部16bはたとえば複数並んで設けられた受光素子(図示せず)を有し、レーザ光Lを受光した受光素子の位置に基づいてノズルNと基板2との間の距離が計測される。計測されたノズルNと基板2との間の距離に応じて移動機構Mが駆動されることによってノズルNの基板2に対する高さが調整され得る。
【0025】
つぎに、ノズルアダプタ4について説明する。ノズルアダプタ4は、塗布装置AにノズルNを連結することを補助する部材である。本実施形態では、ノズルアダプタ4は、ペースト材料を貯留することが可能な貯留部5に連結され、ノズルアダプタ4に形成された流路を介して、ノズルアダプタ4に取り付けられたノズルNにペースト材料が供給される。なお、図2図8において、ノズルアダプタ4にノズルNが取り付けられた状態が示されているが、「ノズルアダプタ」は、ノズルNが取り付けられていないものであっても、ノズルNが取り付けられているものであってもよい。なお、ノズルNは、ペースト材料を吐出可能なノズルであれば、その具体的な構造は特に限定されない。また、ノズルNは、本実施形態では金属製であるが、ノズルNの材料は特に限定されない。たとえば、ノズルNは樹脂製であってもよい。
【0026】
ノズルアダプタ4は、図3図6(B)に示されるように、第1部41および第2部42を備えており、第1部41には、ペースト材料が第1方向D1に沿って流れる第1流路41aが形成されており、第2部には、図中水平方向(第1方向D1)に沿って入るペースト材料が鉛直方向(第2方向D2)(図6(A)参照)に沿って出る第2流路42aが形成されている。第1部41には、第2部42を嵌め込む凹部41bが形成されている。第1部41および第2部42は金属製であることが好ましいが、第1部41および第2部42の材料は特に限定されず、第1部41および第2部42は樹脂製であってもよい。なお、「ノズルアダプタセット」は、ノズルアダプタに関連する複数の部材をパッケージングしたキットの形態が意図されるが、本明細書では、このキットに含まれる部材の一部または全てを用いて組み立てられた構造物の形態もまた「ノズルアダプタセット」と称される。ノズルアダプタセットにおいて、第2部42が第1部41に取り付けられているかは問われず、後述する第3部43などの他の部材が第2部42の代わりに第1部41に取り付けられていてもよい。すなわち、第2部42が第1部41に取り付けられている構造(ノズルアダプタ)も第3部43が第1部41に取り付けられている構造も「ノズルアダプタセット」の範疇に含まれる。
【0027】
本実施形態では、図3および図5に示されるように、ペースト材料を貯留する貯留部5と連結されるべき連結部41cが第1部41に形成されている。連結部41cの構造は、貯留部5の内部と第1部41の内部(第1流路41a)とが連通するように第1部41と貯留部5とを連結することができれば、特に限定されない。本実施形態では、連結部41cは雌ネジであり、貯留部5の端部51は雄ネジであり、雌ネジ(連結部41c)と雄ネジ(端部51)とが螺合することによって第1部41と貯留部5とが連結される。なお、本実施形態では、ノズルアダプタ4と貯留部5とが分離できるように構成されているが、第1部41は貯留部5と一体に形成されていてもよい。
【0028】
図3図5に示すように、第1部41は、本実施形態では、連結部41cを有するブロック状の基部41dから、第1流路41aが形成されたアーム部41eが水平に延びるように構成されている。本実施形態では、アーム部41eは、アーム部41eが延びる方向(第1方向D1)に垂直なその断面が略矩形状であり、アーム部41eを第2方向D2に沿って貫通して凹部41bが形成されている。第1方向D1はアーム部41eの長手方向である。本実施形態では、図2および図3に示されるように、第1方向D1に垂直なアーム部41eの断面が、鉛直下向きに(第2方向D2で)テーパー状となるように切り欠かれている。アーム部41eがこのような構成を有していることによって、本実施形態の塗布システムSにおいて、距離計16の発光部16aと受光部16bとの間の水平方向の距離や、距離計16と基板2との間の垂直方向の距離を近付けることができる。
【0029】
なお、第1流路41aが形成されていること、第2部42または後述する第3部43を嵌め込む凹部41bが形成されていること、および、第2部42または後述する第3部43を固定し得る構造を有していること、が満たされていれば、第1部41の形状は、図示されている形状に限定されない。
【0030】
第2部42が第1部41の凹部41bに嵌め込まれたときの第1部41の第1流路41aは、ペースト材料が塗布されるときのペースト材料の流れの方向で、第2部42の第2流路42aの上流である。図6(A)に示されるノズルアダプタ4にノズルNが取り付けられた状態で塗布装置Aが駆動されると、ペースト材料は、第1部41の第1流路41a、第2部42の第2流路42aを介して、ノズルNの吐出口から吐出される。本実施形態では、図1および図6(A)に示されるように、第1部41は、第2方向D2が鉛直下向きとなるように塗布装置Aに保持されている。本実施形態では、塗布システムSに組み込まれている第1部41において、第1方向D1は、水平方向(X軸方向)である。なお、本実施形態では、第1方向D1は第2方向D2に略垂直方向であるが、第1方向D1は、第1流路41aを通るペースト材料を第2流路42aへ供給することが可能であれば、第2方向D2に垂直な方向から傾斜していてもよい。
【0031】
第1流路41aは、貯留部5に充填されたペースト材料をノズルNへ供給するための、第1部41における流路である。本実施形態では、第1流路41aの上流端UE1は、図5に示されるように、貯留部5が連結された場合の貯留部5の下流端と結合するように連結部41cに開いている。これによって、貯留部5から第1流路41aにペースト材料を供給することが可能となる。第1流路41aの下流端DE1は、図5および図6(A)に示されるように、凹部41bに嵌め込まれた第2部42の第2流路42aの上流端UE2と結合するように凹部41bに開いている。これにより、第1流路41aから第2流路42aにペースト材料を供給することが可能となる。なお、本実施形態では、第1流路41aは湾曲しており、第1流路41aの上流端UE1からの所定の領域と、第1流路41aの下流端DE1から所定の領域とで、ペースト材料が流れる方向が変わっている。第1流路41aは、第1部41の内部を貫きかつ下流端DE1が第1方向D1に向けて開いていればよく、第1流路41aの具体的な形状は特に限定されない。
【0032】
第1部41の凹部41bは、第2部42を嵌め込むことができる内寸を有している。本実施形態では、凹部41bは、図3および図4に示されるように、第2方向D2に垂直なその断面が略矩形状に形成されている。第2部42を嵌め込むことができる内寸を有している限り、凹部41bの形状は特に限定されない。あるいは、凹部41bの形状に適合する第2部42が用いられればよい。凹部41bは、本実施形態では、第2方向D2に沿って第2部42を第1部41に押し込むように形成されている。なお、図7に示されるように、凹部41bは、第1方向D1および第2方向D2と垂直である第3方向D3に沿って第2部42を第1部41に押し込むように形成されていてもよい。
【0033】
ノズルNが取り付けられた第2部42が第1部41の凹部41bに嵌め込まれることによってノズルNがノズルアダプタ4に取り付けられる。第1部41の凹部41bに嵌め込まれた第2部42の第2流路42aにおいて、図5および図6(A)に示されるように、第2流路42aの上流端UE2が第1方向D1に沿って開いており、第2流路42aの下流端DE2が第2方向D2に沿って開いている。
【0034】
本実施形態では、第2部42には、図6(A)および(B)に示されるように、第2方向D2に沿ってペースト材料を吐出させるノズルNを取り付けるためのノズル接続部42bが形成されている。ノズル接続部42bは、ノズルNを接続することができれば、その具体的な構造は特に限定されない。本実施形態では、ノズル接続部42bは雌ネジであり、ノズルNに設けられた雄ネジNaが雌ネジ(ノズル接続部42b)と螺合することによってノズルNが第2部42に取り付けられる。なお、ノズル接続部42bとノズルNとの接続は、ネジによる接続に限定されず、他の様式(たとえば嵌合接続など)によって接続されてもよい。
【0035】
第2流路42aの下流端DE2は、ノズルNが第2部42に取り付けられた場合にノズルNの内側の流路が第2流路42aと連続するようにノズル接続部42bに開いている。これにより、第2流路42aに供給されたペースト材料をノズルNに供給することができ、ノズルNからペースト材料を吐出することができる。
【0036】
第2部42の形状は、上述したように、第1部41の凹部41bに嵌め込むことができれば特に限定されない。本実施形態では、第2部42は、角柱状の本体42cと、本体42cのノズル接続部42bと反対の端部に設けられたフランジ部42dとを有している。フランジ部42dは、第1部41の凹部41bの開口の周縁領域と係合する係合部Eaとして機能する。係合部Eaは、第1部41の被係合部Eb(本実施形態では、第1部41の凹部41bの上端における周縁領域)と係合することによって、第2方向D2での第2部42の位置を画定させる。これによって、図6(A)に示されるように、第1部41の第1流路41aの下流端DE1と、第2流路42aの上流端UE2との位置を合わせる。なお、係合部Eaは、第2部42に設けられたフランジ部42dである必要はなく、第2部42が第2方向D2(重力方向)で第1部41と係合して第2方向D2での位置決めが行われるものであればよい。たとえば、図7および図8(A)~(C)に示されるように、フランジ部を有しない角柱状の第2部42の底部を係合部Eaとして、第2部42の底部を支持する支持面が第1部41に形成され、支持面を被係合部Ebとしてもよい。
【0037】
上述したように、本実施形態のノズルアダプタ4は、第2部42にはノズル接続部42bが形成され、第1部41には第2方向D2に沿って第2部42が嵌め込まれる凹部41bが形成されている。したがって、図5および図6(A)に示されるように、第1部41の凹部41bに、ノズルNが取り付けられた第2部42を嵌め込むことによって、ノズルNがノズルアダプタ4に取り付けられる。したがって、ノズルNをノズル接続部42bに接続するときに、ペースト材料にノズルNまたはノズル接続部42bが接触しない。よって、ノズルの取付時や交換時に重力によって垂れたペースト材料をノズルとノズル接続部との間で挟み込むことがない。ノズルとノズル接続部との間に挟み込まれたペースト材料は、挟み込まれた際に受ける圧力および/または熱によって硬化し、その硬化したペースト材料がノズルとノズル接続部との間から剥がれ落ちて流路に混入する、ということが考えられる。しかし、上述したようにペースト材料の挟み込みが抑制されるので、硬化したペースト材料が流路に混入することが抑制される。したがって、流路に混入した後にノズル内に滞留したペースト材料の硬化物がノズルの吐出口を狭めたり閉じたりすることが抑制され、その結果、ノズルから吐出されるペースト材料の量が設定上の量よりも少なくなること、ペースト材料の吐出が一時的に途切れること、または、ペースト材料が吐出されないことを抑制することができる。ペースト材料を用いて液晶表示パネルのガラス基板を貼り合わせる場合に本実施形態を用いれば、上述したペースト材料の塗布不良を回避することができるので、ガラス基板に描画された硬化したペースト材料が画定されるセルギャップが一定に保たれ、その結果、液晶パネルの表示エリアにムラが発生することが抑制される。
【0038】
また、本実施形態では、図5および図6(A)に示されるように、ノズルアダプタ4が塗布装置Aに組み込まれると、第2部42が第1部41に嵌め込まれる第2方向D2は、鉛直下向きとなる。よって、例えばノズルNの交換時に、第2部42を凹部41bから取り外した後の第1流路41aの内部に残ったペースト材料は、第1流路41aの下流端DE1から凹部41bの内面ISに沿って鉛直下向きに垂れる。本実施形態では、第2方向D2が鉛直下向きとなるので、交換後のノズルNが取り付けられた第2部42は、ペースト材料が垂れる方向と同方向に沿って嵌め込まれる。仮に、垂れたペースト材料の硬化物が凹部41bの内面ISに生成されているかまたは存在している場合であっても、第2部42の第2流路42aの上流端UE2は、第1流路41aの下流端DE1の上を通るので、第2部42を嵌め込むことによって硬化物が第2流路42aに入る可能性は低い。そのため、第1流路41aおよび第2流路42aに硬化物が混入することが抑制され、ノズルNが硬化物によって詰まる可能性や、ノズルNの吐出口から硬化物が吐出される可能性を大幅に低減することができる。
【0039】
また、本実施形態では、例えばノズルNの交換時に、塗布装置A(第1部41)から取り外した第2部42にノズルNを取り付け、ノズルNを取り付けた第2部42を塗布装置A(第1部41の凹部41b)に取り付けるだけでよい。そのため、従来のように、塗布装置Aにおいて場所が確認しにくいアーム部41eのネジ穴に、サイズの小さいノズルNをねじ込む必要がない。したがって、塗布装置Aに対するノズルNの着脱が容易であり、ノズルNの取り付けや交換の作業性が飛躍的に向上する。
【0040】
また、本実施形態では、図5および図6(A)に示されるように、第1部41には、第1部41の外側と凹部41bとの間を直線状に貫く貫通孔41fが形成されている。本実施形態では、ノズルアダプタ4は、貫通孔41fを介して第1部41の外側から第2部42を第1部41に押し付ける押圧部材44をさらに備えている。すなわち、押圧部材44は、第2部42を、第1流路41aの下流端DE1が開口している第1部41の凹部41bの内側面ISに押し付ける。これによって、凹部41bの内側面ISに形成された第1流路41aの下流端DE1と第2部42の外側面OSに形成された第2流路42aの上流端UE2とが結合するように、凹部41bの内側面ISと第2部42の外側面OSとが密着する。したがって、第1流路41aと第2流路42aとの連続箇所において、ペースト材料が漏れることを抑制することができる。
【0041】
押圧部材44は、第2部42を凹部41bの内側面ISに押し付けることができれば、その構造は特に限定されない。本実施形態では、図5および図6に示されるように、押圧部材44は貫通孔41fに設けられた雌ネジに螺合する雄ネジを備えている。雄ネジである押圧部材44は、軸部の長さが貫通孔41fの軸方向の長さよりも長くなっている。図6に示されるように、凹部41bに第2部42が嵌め込まれた状態で、雄ネジである押圧部材44を雌ネジである貫通孔41fに挿入し、回転させることで、容易に第2部42を押圧することができる。なお、押圧部材44はたとえば、第2部42を凹部41bの内側面ISに向けて押圧する、バネ等の弾性部材によって構成されていてもよい。
【0042】
押圧部材44によって第2部42を凹部41bの内側面ISに押し付ける場合、凹部41bの内側面ISと第2部42の外側面OSとの間にクリアランスを設けることができる。したがって、第2部42を第2方向D2に沿って凹部41bに嵌め込む際の抵抗がほとんどなく、第2部42の凹部41bへの嵌め込みが容易となる。また、第2部42や凹部41bの成形時に寸法公差によって第2部42の外寸が大きくなった場合または凹部41bの内寸が小さくなった場合であっても、第2部42を凹部41bに圧力嵌めで嵌め込むことができる範囲内であれば、押圧部材44によって第1流路41aと第2流路42aとを連続させることができる。なお、凹部41bの内側面ISと第2部42の外側面OSとの間にクリアランスを設けずに、第2部42を凹部41bに押し込むことによって取り付けてもよい。
【0043】
本実施形態では、図5および図6(A)に示されるように、貫通孔41fは第1方向D1に沿って形成されている。押圧部材44が貫通孔41fの内部を前進することによって、凹部41bの内側面ISと第2部42の外側面OSとを密着させることが容易となる。なお、押圧部材44によって、第2部42を凹部41bの内側面ISに押し付けることが可能であれば、貫通孔41fを形成する方向は第1方向D1に限定されない。たとえば、貫通孔が第1方向D1と第2方向D2に垂直な第3方向D3に沿って形成され、押圧部材44が貫通孔の内部を第3方向D3に沿って移動することによって、第2部42を凹部41bの内側面ISに向かって移動させてもよい。
【0044】
上述した実施形態のノズルアダプタ4の第1部41から第2部42を取り外し、第3流路43aが貫いた第3部43を第1部41に取り付けた構造物(ノズルアダプタセット4’)もまた本発明の一実施形態である(図9参照)。第3部43は、第1流路41aを介してペースト材料を第1部41の外部から貯留部5に充填するために、第1部41の凹部41bに嵌め込まれる。第3部43は、ノズルアダプタ4の第2部42と置換して凹部41bに嵌め込まれる部材であり、第2部42と同様にノズルアダプタセットを構成する部材の一つである。
【0045】
本実施形態において、図9に示されるように、第3部43の第3流路43aの第1端E1は、第3部43が凹部41bに嵌め込まれた場合に第1流路41aの下流端DE1と結合するように第3部43の外側面にて開口している。第3部43の第3流路43aの第2端E2は、第3部43が凹部41bに嵌め込まれた場合に第3流路43aが貫通孔41fと連続するように第3部43の外側面にて開口している。すなわち、第2端E2は、貫通孔41fへ向けて第3部43の外側面にて開口している。これにより、第3部43が凹部41bに嵌め込まれた場合に、貫通孔41fが第3流路43aを介して第1流路41aと連続する。したがって、たとえば、図示しないペースト材料の充填装置を用いて、ペースト材料を貫通孔41fから貯留部5に向かって(図中、D1と反対方向に向かって)充填することができる。ペースト材料の流路が直線状であるとペースト材料の充填が容易であるので、貫通孔41fは第1方向D1に沿って直線状に形成されていることが好ましく、この場合、第3流路43aもまた第1方向D1に沿って貫通孔41fと第1流路41aとを繋ぐように直線状に形成されていることが好ましい。
【0046】
なお、第3部43は、図10に示されるように、第3部43が凹部41bに嵌め込まれた場合に、第3部43の第3流路43aの第1端E1が、第1流路41aの下流端DE1と結合する位置に設けられ、第3流路43aの第2端E2は、第3流路43aが貫通孔41fと連続せずに、第1方向D1に垂直な方向へ向けて第3部43の外側面にて開口していてもよい。第1方向D1に垂直な方向は、たとえば、第2部42の嵌め込み方向(図10における下向き)または嵌め込み方向とは反対方向(取り出し方向。図10における上向き)だけでなく、嵌め込み方向に垂直な方向(図10における紙面奥行方向)であってもよい。また、第3部43は、本実施形態において、第2方向D2に沿って凹部41bに嵌め込まれるように構成されているが、第1方向D1および第2方向D2と垂直である第3方向D3に沿って凹部41b(図7および図8参照)に嵌め込まれてもよいし、第2方向D2とは反対の方向(図中上に向かって)に嵌め込まれてもよい。本実施形態では、第3部43は、凹部41bに嵌め込まれる本体43bと、本体43bの取り出し方向の端部にて本体43bの側面から外側へ広がるように設けられたフランジ部43cとを有し、本体43bの取り出し方向の端部にて、第3流路43aの第2端E2が開口している。このように構成された第3部43の場合、押圧部材44によってペースト材料を充填する時に第1流路41aの下流端DE1と第3流路43aの第1端E1との間に隙間が生じにくいのでペースト材料が漏れにくい。また、ペースト材料の塗布時または充填時のいずれにおいても、押圧部材44が挿入される貫通孔41fにペースト材料が通らない。したがって、押圧部材44を貫通孔41fに挿入したときに貫通孔41fに残留したペースト材料が硬化することがなく、ペースト材料の充填時においても、ペースト材料が流路に入ることを抑制することができる。
【0047】
〔まとめ〕
(1)本発明の一実施形態に係るノズルアダプタは、ペースト材料が第1方向に沿って流れる第1流路が形成された第1部と、前記第1方向に沿って入るペースト材料が第2方向に沿って出る第2流路が形成された第2部とを備え、前記第2部には、前記第2方向に沿って前記ペースト材料を吐出させるノズルが接続されるノズル接続部が形成されており、前記第2流路の下流端は、前記ノズルが前記第2部に取り付けられた場合に該第2部が該ノズルと連通するように前記ノズル接続部に開いており、前記第1部には、前記第2方向に沿って、あるいは、前記第1方向および前記第2方向と垂直である第3方向に沿って、前記第2部を嵌め込む凹部が形成されており、前記第1流路の下流端は、前記凹部に嵌め込まれた前記第2部の前記第2流路の上流端と結合するように前記凹部に開いている。
【0048】
(1)の構成によると、ペースト材料の硬化物に起因するペースト材料の塗布不良を抑制することができる。
【0049】
(2)(1)のノズルアダプタにおいて、前記第1部には、前記ペースト材料を貯留する貯留部と連結されるべき連結部が形成されていてもよく、この場合、前記第1流路の上流端は、前記貯留部が連結された場合に該貯留部の下流端と結合するように前記連結部に開いている。
【0050】
(2)の構成によると、貯留部が連結部に連結された場合にノズルアダプタと貯留部とを連通させて、貯留部からペースト材料をノズルアダプタの第1流路に供給することができる。
【0051】
(3)(1)又は(2)のノズルアダプタは、前記ペースト材料を貯留する貯留部をさらに備えていてもよい。
【0052】
(3)の構成によると、ノズルアダプタと貯留部とを連通させて、貯留部からペースト材料をノズルアダプタの第1流路に供給することができる。
【0053】
(4)(1)~(3)のいずれか一つのノズルアダプタにおいて、前記第1部には、前記第1部の外側と前記凹部との間を貫く貫通孔が形成されていてもよく、この場合、前記ノズルアダプタは、前記貫通孔を介して前記第1部の外側から前記第2部を前記凹部の内側面に押し付ける押圧部材をさらに備えていることが好ましい。
【0054】
(4)の構成によると、押圧部材が第2部を第1部の凹部の内側面に押し付けるので、第1流路と第2流路との連続箇所において、ペースト材料が漏れることを抑制することができる。
【0055】
(5)(4)のノズルアダプタは、前記押圧部材は前記貫通孔に設けられた雌ネジに螺合する雄ネジを備えていてもよい。
【0056】
(5)の構成によると、凹部に第2部が嵌め込まれた状態で、雄ネジである押圧部材を雌ネジである貫通孔に螺合させることで、容易に第2部を押圧することができる。
【0057】
(6)(4)又は(5)のノズルアダプタにおいて、前記貫通孔が前記第1方向に沿って形成されていてもよい。
【0058】
(6)の構成によると、押圧部材が貫通孔の内部を前進する方向が、前記第1方向に一致する。したがって、第1部(凹部の内側面)と第2部(第2部の外側面)とを密着させることが容易となる。
【0059】
(7)(1)~(6)のいずれか一つのノズルアダプタは、前記ペースト材料を吐出するノズルをさらに備えていてもよい。
【0060】
(7)の構成によると、ノズルアダプタが備えているノズルを取り付けた塗布装置Aを駆動することによってペースト材料の塗布が可能となる。
【0061】
(8)本発明の一実施形態に係るノズルアダプタセットは、ペースト材料が第1方向に沿って流れる第1流路が形成された第1部と、前記第1方向に沿って入るペースト材料が第2方向に沿って出る第2流路が形成された第2部とを備え、前記第2部には、前記第2方向に沿って前記ペースト材料を吐出させるノズルが接続されるノズル接続部が形成されており、前記第2流路の下流端は、前記ノズルが前記第2部に取り付けられた場合に該第2部が該ノズルと連通するように前記ノズル接続部に開いており、前記第1部には、前記第2方向に沿って、あるいは、前記第1方向および前記第2方向と垂直である第3方向に沿って、前記第2部を嵌め込む凹部が形成されており、前記第1流路の下流端は、前記第2部が前記凹部に嵌め込まれた場合に前記第2部の前記第2流路の上流端と結合するように前記凹部に開いている。
【0062】
(8)の構成によると、ペースト材料の硬化物に起因するペースト材料の塗布不良を抑制することができる。
【0063】
(9)(8)のノズルアダプタセットにおいて、前記第1部には、前記ペースト材料を貯留する貯留部と連結されるべき連結部が形成されていてもよく、この場合、前記第1流路の上流端は、前記貯留部が連結された場合に該貯留部の下流端と結合するように前記連結部に開いている。
【0064】
(9)の構成によると、貯留部が連結部に連結された場合にノズルアダプタと貯留部とを連通させて、貯留部からペースト材料をノズルアダプタの第1流路に供給することができる。
【0065】
(10)(8)又は(9)のノズルアダプタセットは、前記ペースト材料を貯留する貯留部をさらに備えている。
【0066】
(10)の構成によると、ノズルアダプタと貯留部とを連通させて、貯留部からペースト材料をノズルアダプタの第1流路に供給することができる。
【0067】
(11)(8)~(10)のいずれか一つのノズルアダプタセットにおいて、前記第1部には、前記第1部の外側と前記凹部との間を貫く貫通孔が形成されていてもよく、この場合、前記ノズルアダプタセットは、前記貫通孔を介して前記第1部の外側から前記第2部を前記凹部の内側面に押し付ける押圧部材をさらに備えていることが好ましい。
【0068】
(11)の構成によると、押圧部材が第2部を第1部の凹部の内側面に押し付けるので、第1流路と第2流路との連続箇所において、ペースト材料が漏れることを抑制することができる。
【0069】
(12)(11)のノズルアダプタセットにおいて、前記押圧部材は前記貫通孔に設けられた雌ネジに螺合する雄ネジを備えていてもよい。
【0070】
(12)の構成によると、凹部に第2部が嵌め込まれた状態で、雄ネジである押圧部材を雌ネジである貫通孔に螺合させることによって容易に第2部を押圧することができる。
【0071】
(13)(8)~(12)のいずれか一つのノズルアダプタセットにおいて、前記第1部に前記第1部の外側と前記凹部との間を貫く貫通孔が形成されている場合、前記ノズルアダプタセットは、第3流路が貫いた第3部をさらに備えていてもよく、前記第3部の前記第3流路の第1端は、前記第3部が前記凹部に嵌め込まれた場合に前記第1流路の下流端と結合するように前記第3部の外側面にて開口しており、前記第3部の前記第3流路の第2端は、前記第3部が前記凹部に嵌め込まれた場合に前記第3流路が前記貫通孔と連続するように前記第3部の外側面にて開口している。
【0072】
(13)の構成によると、前記第1部の外側から貫通孔および第1流路を介して第1方向と反対方向にペースト材料を流動させることができるので、ペースト材料を前記第1部の外側から貯留部に充填することができる。
【0073】
(14)(11)~(13)のいずれか一つのノズルアダプタセットにおいて、前記貫通孔が前記第1方向に沿って形成されていてもよい。
【0074】
(14)の構成によると、押圧部材が貫通孔の内部を前進する方向が、前記第1方向に一致する。したがって、第1部(凹部の内側面)と第2部(第2部の外側面)とを密着させることが容易となる。
【0075】
(15)(8)~(12)のいずれか一つのノズルアダプタセットは、第3流路が貫いた第3部をさらに備えていてもよく、この場合、前記第3部の前記第3流路の第1端は、前記第3部が前記凹部に嵌め込まれた場合に前記第1流路の下流端と結合するように前記第3部の外側面にて開口しており、前記第3部の前記第3流路の第2端は、前記第3部が前記凹部に嵌め込まれた場合に前記第1方向に垂直な方向へ向けて前記第3部の外側面にて開口していてもよい。
【0076】
(15)の構成によると、第3部において第1方向に垂直な方向に開口した開口端(第2端)を介してペースト材料を前記第1部の外側から貯留部に充填することができる。
【0077】
(16)(8)~(15)のいずれか一つのノズルアダプタセットは、前記ペースト材料を吐出するノズルをさらに備えていてもよい。
【0078】
(16)の構成によると、ノズルアダプタセットが備えているノズルを取り付けた塗布装置Aを駆動することによってペースト材料の塗布が可能となる。
【0079】
(17)本発明の一実施形態に係る塗布装置は、(1)~(7)のいずれか一つのノズルアダプタの前記第1部を、前記第2方向が鉛直下向きになるように保持している。
【0080】
(17)の構成によると、第2部を凹部に向かって鉛直下向き(第2方向)に移動させることによって、第部の凹部に第2部を容易に嵌め込むことができる。
【0081】
(18)本発明の一実施形態に係る塗布装置は、(8)~(16)のいずれか一つのノズルアダプタセットの前記第1部を、前記第2方向が鉛直下向きになるように保持している。
【0082】
(18)の構成によると、第2部を凹部に向かって鉛直下向き(第2方向)に移動させることによって、第2部の凹部に第2部を容易に嵌め込むことができる。
【0083】
(19)本発明の一実施形態に係る塗布システムは、(17)の塗布装置と、(1)~(7)のノズルアダプタと該ノズルアダプタを介して前記ペースト材料が塗布されるべき対象物との間の、水平方向および垂直方向の少なくとも一方における相対位置を変更する移動機構とを備えている。
【0084】
(19)の構成によると、ペースト材料の硬化物に起因するペースト材料の塗布不良を抑制しながら、対象物へのペースト材料の描画が可能となる。
【0085】
(20)本発明の一実施形態に係る塗布システムは、(18)の塗布装置と、(8)~(16)のいずれか一つの前記ノズルアダプタセットと該ノズルアダプタセットを介して前記ペースト材料が塗布されるべき対象物との間の、水平方向および垂直方向の少なくとも一方における相対位置を変更する移動機構とを備えている。
【0086】
(20)の構成によると、ペースト材料の硬化物に起因するペースト材料の塗布不良を抑制しながら、対象物へのペースト材料の描画が可能となる。
【0087】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。また、上述した実施形態に開示された技術的特徴を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
4 ノズルアダプタ
4’ ノズルアダプタセット
41 第1部
41a 第1流路
41b 凹部
41c 連結部
42 第2部
42a 第2流路
42b ノズル接続部
43 第3部
43a 第3流路
5 貯留部
51 貯留部の端部
A 塗布装置
D1 第1方向
D2 第2方向
D3 第3方向
DE1 第1流路の下流端
DE2 第2流路の下流端
N ノズル
S 塗布システム
UE1 第1流路の上流端
UE2 第2流路の上流端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10