(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】自動食器洗浄システムにおける斑点形成を低減するための添加剤
(51)【国際特許分類】
C11D 7/34 20060101AFI20220203BHJP
C11D 7/12 20060101ALI20220203BHJP
C11D 7/26 20060101ALI20220203BHJP
C11D 7/38 20060101ALI20220203BHJP
C11D 7/54 20060101ALI20220203BHJP
C11D 3/37 20060101ALN20220203BHJP
C11D 3/10 20060101ALN20220203BHJP
C11D 3/20 20060101ALN20220203BHJP
C11D 3/39 20060101ALN20220203BHJP
C11D 3/395 20060101ALN20220203BHJP
【FI】
C11D7/34
C11D7/12
C11D7/26
C11D7/38
C11D7/54
C11D3/37
C11D3/10
C11D3/20
C11D3/39
C11D3/395
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020066133
(22)【出願日】2020-04-01
(62)【分割の表示】P 2017516443の分割
【原出願日】2015-10-05
【審査請求日】2020-04-01
(32)【優先日】2014-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】591123001
【氏名又は名称】ユニオン カーバイド コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スコット・バッカー
(72)【発明者】
【氏名】セブリーヌ・フェリュー
(72)【発明者】
【氏名】ポール・マーカンド
(72)【発明者】
【氏名】エリック・ピー・ワッサーマン
【審査官】林 建二
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-028870(JP,A)
【文献】特表2010-500431(JP,A)
【文献】特開2011-190436(JP,A)
【文献】特表2010-525128(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0226288(US,A1)
【文献】特開2011-038071(JP,A)
【文献】特開平01-158098(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00-19/00
A47L 15/00-21/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無リン系自動食器洗浄洗剤組成物であって、
(a)
前記組成物の総重量に基づいて0.5~10重量%のポリマーであって、(i)
前記ポリマーの総重量に基づいて69~71重量%の(メタ)アクリル酸、(ii)
前記ポリマーの総重量に基づいて19~21重量%
のイタコン
酸、及び(iii)
前記ポリマーの総重量に基づいて9~11.5重量%の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の重合単位
のみからなり、かつ12,000~13,900のM
wを有する
前記ポリマーと、
(b)
前記組成物の総重量に基づいて15~50重量%の
アルカリ金属炭酸塩と、
(c)
前記組成物の総重量に基づいて10~50重量%の
アルカリ金属クエン酸塩と、
(d)
前記組成物の総重量に基づいて10~40重量%の漂白剤
であって、アルカリ金属過炭酸塩である前記漂白剤と、を含む、組成物。
【請求項2】
前記組成物が、
前記組成物の総重量に基づいて2~8重量%の前記ポリマーを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、
前記組成物の総重量に基づいて20~45重量%の
前記アルカリ金属炭酸塩を含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、
検出可能なリンを含有
しない、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、
前記組成物の総重量に基づいて20~40重量%の
前記アルカリ金属クエン酸塩を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は一般に、非リン酸塩自動食器洗浄システムにおける斑点形成を低減する洗剤組成物に関する。
【0002】
自動食器洗浄洗剤は、一般に、布地洗浄または水処理に使用される洗剤組成物とは異なる部類の洗剤組成物として認識される。自動食器洗浄洗剤は、完全な洗浄サイクルの後に洗浄されたアイテムに斑点がなく膜のない外観を生成することが必要とされる。無リン系組成物は、クエン酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、二ケイ酸塩、重炭酸塩、アミノカルボン酸塩などの非リン酸塩ビルダーに依存し、硬水のカルシウム及びマグネシウムを他から隔離させ、乾燥させて、不溶性の可視堆積物を残す。アクリル酸、マレイン酸、及び2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)から製造されたポリマーは、非リン酸塩ビルダーから生じた水垢を抑制するのに使用することが知られている。例えば、米国特許出願公開第2010/0234264号は、洗剤組成物中のアクリル酸、マレイン酸、及びAMPSから製造されたポリマーを開示している。しかし、この参照文献は、改善された性能を提供する本発明の組成物を開示していない。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、無リン系自動食器洗浄用洗剤組成物であって、(a)(i)65~75重量%の(メタ)アクリル酸、(ii)15~25重量%のモノエチレン性不飽和ジカルボン酸、及び(iii)7~13重量%の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)の重合単位を含み、かつ5,000~100,000のMwを有する、0.5~10重量%のポリマーと、(b)15~50重量%の炭酸塩と、(c)0~50重量%のクエン酸塩と、(d)10~40重量%の漂白剤とを含む、無リン系自動食器洗浄洗剤組成物を対象とする。
【発明を実施するための形態】
【0004】
特に記載がない限り、全てのパーセンテージは重量パーセント(wt%)であり、全ての温度は℃である。重量平均分子量Mwは、従来技術で公知なように、ポリアクリル酸標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される。GPCの技術は、Modern Size Exclusion Chromatography,W.W.Yau,J.J.Kirkland,D.D.Bly;Wiley-Interscience,1979、及びA Guide to Materials Characterization and Chemical Analysis,J.P.Sibilia;VCH,1988,p.81-84、において詳しく述べられている。本明細書に報告される分子量は、ダルトンの単位である。本発明で使用する場合、用語「(メタ)アクリル」は、アクリルまたはメタクリルを意味し、用語「炭酸塩」は、炭酸塩、重炭酸塩、過炭酸塩、セスキ炭酸塩のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩を意味し、用語「ケイ酸塩」は、ケイ酸塩、二ケイ酸塩、メタケイ酸塩のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩を意味し、用語「クエン酸塩」は、アルカリ金属クエン酸塩を意味する。好ましくは、炭酸塩、ケイ酸塩、またはクエン酸塩は、ナトリウム、カリウム、またはリチウム塩であり、好ましくは、ナトリウムまたはカリウムであり、好ましくは、ナトリウムである。炭酸塩またはクエン酸塩の重量パーセントは、金属イオンを含む塩の実際の重量に基づく。用語「無リン」は、0.5重量%未満のリン(元素状リンとして)を含有、好ましくは0.2重量%未満含有、好ましくは0.1重量%未満含有、好ましくは検出可能なリンを含まない組成物を意味する。洗剤組成物中の重量パーセンテージは、乾燥重量のパーセンテージ、すなわち、洗剤組成物中に存在し得る任意の水を除く。ポリマー中のモノマー単位のパーセンテージは、固体重量のパーセンテージ、すなわち、ポリマーエマルション中に存在し得る任意の水を除く。
【0005】
好ましくは、洗剤組成物のクエン酸塩の量は、少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも15重量%、好ましくは少なくとも20重量%、好ましくは45重量%以下、好ましくは40重量%以下、好ましくは35重量%以下である。好ましくは、炭酸塩の量は、少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも22重量%であり、好ましくは45重量%以下、好ましくは40重量%以下、好ましくは35重量%以下、好ましくは30重量%以下である。好ましくは、漂白剤は過炭酸塩または過ホウ酸塩である。好ましくは、漂白剤の量は、少なくとも11重量%、好ましくは少なくとも12重量%、好ましくは少なくとも13重量%、好ましくは35重量%、好ましくは30重量%、好ましくは25重量%以下、好ましくは22重量%以下、好ましくは20重量%以下、好ましくは18重量%以下である。
【0006】
好ましくは、洗剤組成物は、アミノカルボン酸塩ビルダーを含み、好ましくは1~35重量%の量を含み、好ましくは少なくとも1.5重量%、好ましくは少なくとも2重量%、好ましくは少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%含み、好ましくは30重量%以下、好ましくは25重量%以下、好ましくは20重量%以下含む。好ましいアミノカルボン酸塩ビルダーは、メチルグリシン二酢酸(MGDA)である。
【0007】
好ましくは、ポリマーは、(メタ)アクリル酸の重合単位を少なくとも67重量%、好ましくは少なくとも68重量%、好ましくは少なくとも69重量%、好ましくは73重量%以下、好ましくは72重量%以下、好ましくは71重量%以下含む。好ましくは、モノエチレン性不飽和ジカルボン酸単位は、ポリマーの少なくとも17重量%、好ましくは少なくとも18重量%、好ましくは少なくとも19重量%、好ましくは23%以下、好ましくは22重量%以下、好ましくは21重量%以下である。モノエチレン性不飽和ジカルボン酸が無水物の形態で入手可能である場合、ポリマーは、重合プロセス中に加水分解されて酸になる無水物を重合することによって製造され、モノエチレン性不飽和ジカルボン酸の重合単位をもたらす。ポリマー中の重合されたジカルボン酸単位への全ての言及は、カルボン酸基のpKaに近似またはそれを超えるpH値で存在するであろう酸の金属塩を含む。好ましくは、モノエチレン性不飽和ジカルボン酸は、4~6個の炭素原子、好ましくは4または5個の炭素原子を有する。好ましくは、モノエチレン性不飽和ジカルボン酸は、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸、及びシトラコン酸からなる群から選択される。
【0008】
好ましくは、ポリマー中の重合されたAMPS単位(金属塩またはアンモニウム塩を含む)の量は、少なくとも8重量%、好ましくは少なくとも9重量%、好ましくは12.5重量%以下、好ましくは12重量%以下、好ましくは11.5重量%以下である。好ましくは、ポリマー中のモノエチレン性不飽和ジカルボン酸及びAMPS単位の総量は、少なくとも24重量%、好ましくは少なくとも26重量%、好ましくは28重量%以下、好ましくは少なくとも29重量%、好ましくは少なくとも30重量%である。
【0009】
好ましくは、ポリマーは、8重量%以下、好ましくは5重量%以下、好ましくは2重量%以下、好ましくは1重量%以下のアクリル酸またはメタクリル酸のエステルの重合単位を含む。
【0010】
好ましくは、ポリマーは、少なくとも8,000のMwを有し、好ましくは少なくとも9,000、好ましくは少なくとも10,000、好ましくは少なくとも11,000、好ましくは少なくとも12,000有し、好ましくは70,000以下、好ましくは50,000以下、好ましくは30,000以下、好ましくは25,000以下有する。
【0011】
ポリマーは、自動食器洗浄機における不溶性沈着物の制御に有用な他のポリマーと組み合わせて使用してもよく、例えば、アクリル酸の残基の組み合わせを含むポリマー、メタクリル酸、マレイン酸または他の二酸モノマー、ポリエチレングリコールエステルを含むアクリル酸またはメタクリル酸のエステル、スチレンモノマー、AMPS及び他のスルホン化モノマー、ならびに置換アクリルアミドまたはメタクリルアミド、を含む。
【0012】
本発明のポリマーは、アクリルモノマーの重合のための任意の既知の技術によって製造することができる。好ましくは、反応開始剤はリンを含有しない。好ましくは、ポリマーは1重量%未満のリンを含有し、好ましくは0.5重量%未満、好ましくは0.1重量%未満含有し、好ましくはポリマーはリンを含有しない。好ましくは、重合は過硫酸塩で開始され、ポリマー上の末端基は硫酸塩またはスルホン酸塩である。ポリマーは、水溶性溶液ポリマー、スラリー、乾燥粉末、もしくは顆粒、または他の固体形態であってもよい。
【0013】
自動食器洗浄洗剤組成物の他の成分は、例えば、界面活性剤、酸素及び/または塩素漂白剤、漂白活性化剤、酵素、泡抑制剤、着色剤、香料、抗菌剤、ならびに充填剤を含み得る。典型的な界面活性剤レベルは、使用される特定の界面活性剤(複数可)に依存し、好ましくは、界面活性剤の総量は、0.5重量%~15重量%、好ましくは少なくとも0.7重量%、好ましくは少なくとも0.9重量%、好ましくは10重量%以下、好ましくは7重量%以下、好ましくは4重量%以下、好ましくは2重量%以下、好ましくは1重量%以下である。好ましくは、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤を含む。好ましくは、非イオン性界面活性剤は、式:RO-(M)x-(N)y-OH、またはR-O-(M)x-(N)y-O-R’を有し、式中、M及びNはアルキレンオキシド(そのうちの1つはエチレンオキシド)から誘導された単位であり、RはC6-C22の直鎖状または分岐状のアルキル基を表し、ならびに、R’は、アルコール前駆体とC6-C22の直鎖もしくは分枝鎖アルキルハライド、エポキシアルカン、またはグリシジルエーテルとの反応から誘導される基を表す。錠剤または粉末中の充填剤は、不活性な水溶性物質、典型的にはナトリウム塩またはカリウム塩であり、例えば、ナトリウムまたはカリウムの硫酸化物及び/または塩化物であり、典型的には0重量%~75重量%の量で存在する。ゲル配合物中の充填剤は、前述のもの及び水をも含むことができる。香料、染料、泡抑制剤、酵素、及び抗菌剤は、通常、組成物の合計で5重量%以下である。
【0014】
好ましくは、組成物は、少なくとも10、好ましくは少なくとも11.5のpH(水中1重量%)を有し、いくつかの実施形態では13以下のpHを有する。
【0015】
組成物は、任意の典型的な形態、例えば、錠剤、粉末、投与一回分、匂い袋、ペースト、液体、またはゲルとして配合することができる。本組成物は、任意の典型的な自動食器洗浄機に、典型的な操作条件下で使用することができる。洗浄プロセス中の典型的な水温は、好ましくは20℃~85℃、好ましくは30℃~70℃である。食器洗浄機における全液体のパーセンテージとして、典型的な組成物の濃度は、好ましくは0.1~1重量%、好ましくは0.2~0.7重量%である。適切な製品形態及び添加時間の選択により、組成物は、予備洗浄、主洗浄、最終から2番目のすすぎ、最終すすぎ、またはこれらのサイクルの任意の組み合わせで存在してよい。
【0016】
好ましくは、組成物は、前記ポリマーを少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも1.5重量%、好ましくは少なくとも2重量%、好ましくは少なくとも2.5重量%、好ましくは少なくとも3重量%、好ましくは8重量%以下、好ましくは7重量%以下、好ましくは6重量%以下含む。
【実施例】
【0017】
【0018】
【0019】
他のポリマーは、同一プロセスを使用して製造した。
【0020】
【0021】
1.水を沸騰させる。2.16オンスの紙コップに、インスタントグレービー、安息香酸、及びデンプンを入れて混ぜ、この混合物に沸騰した水を加える。
3.牛乳とマーガリンを加える。
4.混合物を約40℃に冷却する。
5.Kitchen Machine(Polytron)のボウルにこの混合物を入れる。
6.16オンスの紙コップに卵黄、ケチャップ、及びマスタードを入れ、スプーンで混ぜる。
7.冷却した混合物を、ボウルに撹拌しながら連続して加える。
8.混合物を5分間撹拌する。
9.混合物を凍らせる。
10.プログラム開始前に、凍ったスラッシュを食器洗浄機に入れる。
【0022】
【0023】
開放空気中で乾燥させた後、2人の熟練した観察者が、2つのグラスを、汚れと斑点形成の両方について1(きれい)~5(重度の汚れ)まで評価した。(ASTM-D 3556-85を参照)
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】