(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 9/26 20060101AFI20220117BHJP
【FI】
H01Q9/26
(21)【出願番号】P 2020125274
(22)【出願日】2020-07-22
【審査請求日】2020-07-28
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000109668
【氏名又は名称】DXアンテナ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榮 京介
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-012601(JP,A)
【文献】実開昭57-082709(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0041911(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0033559(US,A1)
【文献】特開2010-004318(JP,A)
【文献】特開2001-094323(JP,A)
【文献】特開2004-201049(JP,A)
【文献】特開2015-070587(JP,A)
【文献】特開平10-327012(JP,A)
【文献】特開2015-165724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1方向一方に向かって直線状に延びる第1アンテナ導体と、
前記第1アンテナ導体と第1方向において対向配置され、少なくとも第1方向他方に向かって直線状に延びる第2アンテナ導体と、
前記第1アンテナ導体の第1方向一方端が接続される導電性の第1平板と、
前記第2アンテナ導体の第1方向他方端が接続される導電性の第2平板と、
前記第1平板と前記第2平板とを電気的に接続する導体部と、
を備える、アンテナ装置。
【請求項2】
第1方向に延びる板状の基板をさらに備え、
前記第1アンテナ導体及び前記第2アンテナ導体は、前記基板上に配置される配線パターンである、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記第1アンテナ導体及び前記第2アンテナ導体と外部接続線とを電気的に接続する接続部をさらに備え、
前記接続部は、前記基板上に配置される、請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記導体部は、第1導体部と、第2導体部と、を有し、
前記第1導体部の第1方向一方端と前記第2導体部の第1方向一方端とはそれぞれ、前記第1平板と電気的に接続され、
前記第1導体部の第1方向他方端と前記第2導体部の第1方向他方端とはそれぞれ、前記第2平板と電気的に接続され、
第1方向と垂直な第2方向において、
前記第1導体部は、前記第1アンテナ導体の第1方向他方端及び前記第2アンテナ導体の第1方向一方端よりも第2方向一方側に配置され、
前記第2導体部は、前記第1アンテナ導体の第1方向他方端及び前記第2アンテナ導体の第1方向一方端よりも第2方向他方側に配置される、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記第1平板及び前記第2平板は、互いに平行であって、第1方向において対向する、請求項1~請求項
4のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記第1平板及び前記第2平板の平面形状は、多角形状又は円形である、請求項1~請求項
5のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記第1アンテナ導体、前記第2アンテナ導体、及び前記第1平板を収容する筐体をさらに備え、
前記第2平板は、前記筐体の一部である、請求項1~請求項
6のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容量環を用いることによってダイポールアンテナを小型化する技術が知られている。たとえば、特許文献1は、2つの放射器の先端に回旋状の導体をそれぞれ接続することにより、ダイポールアンテナの全長を短縮している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の構成では、容量環となる導体を回旋状に成型し、その形状を維持した状態で使用する必要がある。従って、構造がより複雑になって製造し難くなるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の状況を鑑みて、簡易な構成でアンテナ装置を小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の一の態様によるアンテナ装置は、少なくとも第1方向一方に向かって直線状に延びる第1アンテナ導体と、前記第1アンテナ導体と第1方向において対向配置され、少なくとも第1方向他方に向かって直線状に延びる第2アンテナ導体と、前記第1アンテナ導体の第1方向一方端が接続される導電性の第1平板と、前記第2アンテナ導体の第1方向他方端が接続される導電性の第2平板と、を備える構成(第1の構成)とされる。
【0007】
上記第1の構成のアンテナ装置において、前記第1平板及び前記第2平板は、互いに平行であって、第1方向において対向する構成(第2の構成)であってもよい。
【0008】
上記第1又は第2の構成のアンテナ装置は、第1方向に延びる板状の基板をさらに備え、前記第1アンテナ導体及び前記第2アンテナ導体は、前記基板上に配置される配線パターンである構成(第3の構成)であってもよい。
【0009】
上記第3の構成のアンテナ装置は、前記第1アンテナ導体及び前記第2アンテナ導体と外部接続線とを電気的に接続する接続部をさらに備え、前記接続部は、前記基板上に配置される構成(第4の構成)であってもよい。
【0010】
上記第1~第4のいずれかの構成のアンテナ装置は、前記第1平板と前記第2平板とを電気的に接続する導体部をさらに備える構成(第5の構成)であってもよい。
【0011】
上記第5の構成のアンテナ装置において、前記導体部は、第1導体部と、第2導体部と、を有し、前記第1導体部の第1方向一方端と前記第2導体部の第1方向一方端とはそれぞれ、前記第1平板と電気的に接続され、前記第1導体部の第1方向他方端と前記第2導体部の第1方向他方端とはそれぞれ、前記第2平板と電気的に接続され、第1方向と垂直な第2方向において、前記第1導体部は、前記第1アンテナ導体の第1方向他方端及び前記第2アンテナ導体の第1方向一方端よりも第2方向一方側に配置され、前記第2導体部は、前記第1アンテナ導体の第1方向他方端及び前記第2アンテナ導体の第1方向一方端よりも第2方向他方側に配置される構成(第6の構成)であってもよい。
【0012】
上記第1~第6のいずれかの構成のアンテナ装置において、前記第1平板及び前記第2平板の平面形状は、多角形状又は円形である構成(第7の構成)であってもよい。
【0013】
上記第1~第7のいずれかの構成のアンテナ装置は、前記第1アンテナ導体、前記第2アンテナ導体、及び前記第1平板を収容する筐体をさらに備え、前記第2平板は、前記筐体の一部である構成(第8の構成)であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一の態様によるアンテナ装置によれば、設計の自由度を確保しつつ、アンテナ装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態に係るアンテナ装置の構成例を示す斜視図
【
図2A】第1アンテナ導体及び第2アンテナ導体の第1変形例を示す斜視図
【
図2B】第1アンテナ導体及び第2アンテナ導体の第2変形例を示す斜視図
【
図3A】第1平板及び第2平板の第1変形例を示す斜視図
【
図3B】第1平板及び第2平板の第2変形例を示す斜視図
【
図3C】第1平板及び第2平板の第3変形例を示す斜視図
【
図5】第1変形例に係るアンテナ装置の構成を示す斜視図
【
図6】第2変形例に係るアンテナ装置の構成を示す斜視図
【
図8】テレメータシステムにおけるアンテナ装置の受信例
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0017】
なお、本明細書では、方位、線、及び面のうちのいずれかと他のいずれかとの位置関係において、「平行」は、両者がどこまで延長しても全く交わらない状態のみならず、実質的に平行である状態を含む。また、「垂直」はそれぞれ、両者が互いに90度で交わる状態のみならず、実質的に垂直である状態を含む。つまり、「平行」及び「垂直」はそれぞれ、両者の位置関係に本発明の主旨を逸脱しない程度の角度ずれがある状態を含む。
【0018】
<1.アンテナ装置>
図1は、実施形態に係るアンテナ装置1の構成例を示す斜視図である。なお、
図1では、全体の構成を理解しやすくするため、後述する筐体5を透明で表示している。また、
図1において、図面の上下方向を第1方向Xと呼び、図面の左右方向を第2方向Yと呼ぶ。また、図面の上方を第1方向一方X1と呼び、図面の下方を第1方向他方X2と呼ぶ。また、図面の左方を第2方向一方Y1と呼び、図面の右方を第2方向他方Y2と呼ぶ。なお、これらの事項は、後述する
図2A~
図6にも同様に適用される。
【0019】
アンテナ装置1は、いわゆる容量環を有するダイポールアンテナであり、同軸ケーブル10を介してアンテナ装置1の外部と接続される。本実施形態では、アンテナ装置1は、後述するように、医療用のテレメータシステムの受信用アンテナに用いられ、たとえば周波数が435[MHz]の電波を受信する。なお、アンテナ装置1の用途は、この例示に限定されない。
【0020】
アンテナ装置1は、
図1に示すように、第1アンテナ導体11と、第2アンテナ導体12と、第1平板21と、第2平板22と、バラン3と、基板4と、筐体5と、を備える。
【0021】
第1アンテナ導体11は、
図1に示すようにバラン3から第1方向一方X1に延びる。第1アンテナ導体11の第1方向一方端は、たとえばはんだを用いて、第1平板21と電気的に接続されている。第1アンテナ導体11の第1方向他方端は、バラン3と電気的に接続されている。
【0022】
第2アンテナ導体12は、
図1に示すようにバラン3から第1方向他方X2に延びる。第2アンテナ導体12の第1方向一方端は、たとえばはんだを用いて、バラン3と電気的に接続されている。第2アンテナ導体12の第1方向他方端は、第2平板22と電気的に接続されている。
【0023】
第1アンテナ導体11及び第2アンテナ導体12は、好ましくは、第1方向Xに沿って一直線上に配置される。こうすれば、アンテナ装置1は、第1方向Xに垂直な面が広がる方向において電波を均等に受信及び放射できる。さらに、アンテナ装置1は、第1アンテナ導体11及び第2アンテナ導体12を中心とする周方向において、第1方向Xを通る面内における電波の受信及び放射を均等に行うことができる。つまり、アンテナ装置1は、いわゆる水平面無指向性と垂直面8の字指向性とを確保できる。
【0024】
但し、第1アンテナ導体11及び第2アンテナ導体12の延伸方向及び位置は、上述の例示に限定されない。
図2Aは、第1アンテナ導体11及び第2アンテナ導体12の第1変形例を示す斜視図である。
図2Bは、第1アンテナ導体11及び第2アンテナ導体の第2変形例12を示す斜視図である。
【0025】
第1アンテナ導体11及び第2アンテナ導体12は、第2方向Yに傾いていてもよい。たとえば、
図2Aでは、直線状に延びる第1アンテナ導体11は、第1方向一方X1に向かうにつれて、第2方向一方Y1に傾いている。直線状に延びる第2アンテナ導体12は、第1方向他方X2に向かうにつれて、第2方向一方Y1に傾いている。或いは、第1アンテナ導体11は、第1方向一方X1に向かうにつれて、第2方向他方Y2に傾いてもよい。第2アンテナ導体12は、第1方向他方X2に向かうにつれて、第2方向他方Y2に傾いてもよい。
【0026】
つまり、第1アンテナ導体11は、少なくとも第1方向一方X1に向かって直線状に延びていればよい。また、第2アンテナ導体12は、少なくとも第1方向他方X2に向かって直線状に延びていればよい。
【0027】
また、
図1及び
図2Aでは、第2アンテナ導体12は、第1アンテナ導体11と第1方向Xにおいて対向配置される。言い換えると、第1アンテナ導体11及び第2アンテナ導体12は、第1方向Xと垂直な面に対して面対称に配置される。
【0028】
但し、
図1及び
図2Aの例示に限定されず、第1アンテナ導体11及び第2アンテナ導体12は、第1方向Xと垂直な面に対して面対称に配置されなくてもよい。たとえば
図2Bに示すように、第1アンテナ導体11及び第2アンテナ導体12は、第2方向Yにずれて配置されてもよい。第2方向Yにおいて、第2アンテナ導体12は、
図2Bのように第1アンテナ導体11よりも第2方向一方Y1に配置されてもよいし、第1アンテナ導体11よりも第2方向他方Y2に配置されてもよい。この際、第1アンテナ導体11の延伸方向長さは、第2アンテナ導体12の延伸方向長さと同じであればよい。
【0029】
本実施形態では、第1アンテナ導体11及び第2アンテナ導体12はそれぞれ、第2方向幅が8~12[mm]の配線パターンであり、基板4上に形成されている。こうすれば、アンテナ装置1の電波を受信・放射する部分を配線パターンで実現できる。配線パターンの材料には、たとえば銅、金などが採用される。
【0030】
次に、第1平板21及び第2平板22はそれぞれ、導電性を有する板状の部材であり、第1方向Xと交わる方向に広がる。第1平板21及び第2平板22の材料には、たとえば、銅、鋼板などの金属材料、導電性フィラーを有する複合樹脂材料などを用いることができる。本実施形態では、第1平板21の材料は、第2平板22の材料と同じである。
【0031】
第1平板21及び第2平板22は、容量環である。第1平板21及び第2平板22を第1アンテナ導体11及び第2アンテナ導体12の先端にそれぞれ接続することによって、アンテナ装置1の共振周波数を調整することができる。そのため、アンテナ装置1のVSWR(電圧定在波比)及び電波の受信・放射の指向性を維持したまま、第1アンテナ導体11及び第2アンテナ導体12の第1方向Xにおけるサイズを短縮できる。従って、第1平板21及び第2平板22を備えない構成と比べて、アンテナ装置1を小型化できる。さらに、第1平板21及び第2平板22が導電性を有する板状の部材であることにより、容量環の構成を複雑にすることなく、アンテナ装置1を容易に製造できる。よって、アンテナ性能を低下させることなく、簡易な構成でアンテナ装置1を小型化することができる。
【0032】
なお、第1アンテナ導体11及び第2アンテナ導体12の第1方向Xにおけるサイズは、第1平板21及び第2平板22の主面の面積に応じて短縮できる。たとえば、第1平板21及び第2平板22の主面の面積をより広くすると、第1アンテナ導体11及び第2アンテナ導体12の第1方向Xにおけるサイズをより短縮することができる。
【0033】
好ましくは、第1平板21及び第2平板22は、互いに平行であって、第1方向Xにおいて対向する。さらに好ましくは、第1平板21及び第2平板22はそれぞれ、第1方向Xと垂直な方向に広がる。こうすれば、アンテナ装置1の垂直面8の字指向性が確保し易くなる。
【0034】
第1平板21及び第2平板22の平面形状はそれぞれ、
図1では直径がたとえば75[mm]の円形である。なお、これらの平面形状は、この例示に限定されず、楕円形状であってもよい。また、これらの平面形状は、
図1の例示に限定されず、たとえばn角形状(nは、3以上の正の自然数)であってもよい。
図3A~
図3Cはそれぞれ、第1平板21及び第2平板22の第1~第3変形例を示す斜視図である。第1平板21及び第2平板22の平面形状は、
図3Aでは四角形である。四角形には、正方形、長方形、平行四辺形、及び台形などを採用できる。また、第1平板21及び第2平板22の平面形状は、
図3Bでは三角形であり、
図3Cでは五角形である。第1平板21及び第2平板22の平面形状を多角形状又は円形とすることにより、これらの平面形状に様々な形状を採用できる。従って、用途、レイアウトなどに応じて、アンテナ装置1の設計の自由度を向上できる。なお、
図1~
図3Cでは、第1平板21の平面形状が第2平板22の平面形状と同じである。但し、この例示に限定されず、第1平板21の平面形状は、第2平板22の平面形状とは異なっていてもよい。
【0035】
バラン3は、第1アンテナ導体11及び第2アンテナ導体12と、外部接続線とを電気的に接続する接続部であり、基板4上に配置される。外部接続線は、本実施形態では同軸ケーブル10である。バラン3を基板4上に配置することで、バラン3を配置するためのスペースをより少なくできる。従って、アンテナ装置1の小型化に貢献できる。
【0036】
バラン3は、いわゆる平衡-不平衡変換器である。第1アンテナ導体11及び第2アンテナ導体12と同軸ケーブル10との間にバラン3を配置することにより、平衡伝送経路である第1アンテナ導体11及び第2アンテナ導体12を不平衡伝送経路である同軸ケーブル10と電気的に接続できる。
【0037】
基板4は、板状のプリント基板であり、第1方向Xに延びるとともに第2方向Yに広がる。基板4の第1方向Xにおける長さは、たとえば172[mm]である。基板4の一方の主面には、第1アンテナ導体11、第2アンテナ導体12、及びバラン3が配置される。また、基板4の第1方向一方端には第1平板21が固定され、基板4の第1方向他方端には第2平板22が固定される。これらは、たとえば接着剤を用いて固定できる。
【0038】
なお、基板4は、省略されてもよい。つまり、アンテナ装置1は、基板4を備えていなくてもよい。この場合、第1アンテナ導体11及び第2アンテナ導体12は、導電性を有する棒状の部材とされる。
【0039】
筐体5は、第1アンテナ導体11、第2アンテナ導体12、第1平板21、第2平板22、バラン、及び、基板4を内部に収容する。なお、筐体5は、省略されてもよい。つまり、アンテナ装置1は、筐体5を備えていなくてもよい。
【0040】
本実施形態では、筐体5は樹脂製である。但し、この例示に限定されず、筐体5の一部分が導電性を有する材料で形成され、該一部分が第2平板22とされてもよい。つまり、筐体5は第1アンテナ導体11、第2アンテナ導体12、第1平板21、及び、基板4を収容し、第2平板22は筐体5の一部であってもよい。
図4は、アンテナ装置1の他の構成例を示す斜視図である。
図4において、筐体5は、筒部51と、蓋部52と、を有する。筒部51は、有蓋筒状であり、第1アンテナ導体11、第2アンテナ導体12、第1平板21、バラン3、及び、基板4を内部に収容する。筒部51の第1方向一方端は閉じられており、筒部51の第1方向他方端は開口している。筒部51は、たとえば樹脂製である。蓋部52は、導電性を有する板状の部材であり、第1方向Xと交わる方向に広がる。蓋部52は、筒部51の第1方向他方端に配置され、筒部51の第1方向他方端の開口を覆って閉じている。蓋部52の材料には、たとえば、銅、鋼板などの金属材料、導電性フィラーを有する複合樹脂材料などを用いることができる。
【0041】
蓋部52には、基板4の第1方向他方端が固定される。さらに、第2アンテナ導体12の第1方向他方端が蓋部52と電気的に接続される。つまり、
図4では、蓋部52を第2平板22として使用できる。こうすれば、第2平板22を筐体5の一部とすることができるので、アンテナ装置1をより小型化でき、特に第1方向Xのサイズを低減できる。さらに、アンテナ装置1の部品点数を削減できるので、製造コストを低減できる。従って、アンテナ装置1の生産性をさらに向上できる。
【0042】
<2.アンテナ装置の第1変形例>
次に、アンテナ装置1の第1変形例を説明する。以下では、上述の実施例と異なる構成について説明する。また、上述の実施例と同様の構成部には同じ符号を付し、その説明を省略することがある。
【0043】
図5は、第1変形例に係るアンテナ装置1の構成を示す斜視図である。
図5に示すように、第1変形例に係るアンテナ装置1は、導体部6をさらに備える。導体部6は、第2方向幅が1~3[mm]の配線パターンであり、基板4上に形成されている。導体部6は、第2方向Yにおいて、第1アンテナ導体11及び第2アンテナ導体12から10[mm]離れている。導体部6の第1方向一方端は、第1平板21と電気的に接続される。導体部6の第1方向他方端は、第2平板22と電気的に接続される。
【0044】
こうすれば、第1平板21及び第2平板22のキャパシタンスを変化させて、アンテナ装置1のインピーダンスのピークを増加させることができる。従って、アンテナ装置1のアンテナ性能を向上できる。たとえば、アンテナ装置1のVSWRを向上し、電波の受信・放射の指向性を改善できる。
【0045】
なお、導体部6は、
図5では1本の配線パターンである。但し、この例示に限定されず、導体部6は、基板4上の配線パターンでなくてもよく、たとえば導電性を有する棒状の部材であってもよい。この場合、アンテナ装置1は、基板4を備えていなくてもよい。
【0046】
また、導体部6は、複数の配線パターンを有してもよい。
【0047】
<3.アンテナ装置の第2変形例>
次に、アンテナ装置1の第2変形例を説明する。以下では、上述の実施例及び第1変形例と異なる構成について説明する。また、上述の実施例及び第1変形例と同様の構成部には同じ符号を付し、その説明を省略することがある。
【0048】
図6は、第2変形例に係るアンテナ装置1の構成を示す斜視図である。
図6に示すように、第2変形例に係るアンテナ装置1では、導体部6は、第1導体部61と、第2導体部62と、を有する。第1導体部61及び第2導体部62はそれぞれ、第2方向幅が1~3[mm]の配線パターンであり、基板4上に形成されている。第1導体部61及び第2導体部62はそれぞれ、第2方向Yにおいて、第1アンテナ導体11及び第2アンテナ導体12から10[mm]離れている。第1導体部61の第1方向一方端と第2導体部62の第1方向一方端とはそれぞれ、第1平板21と電気的に接続される。第1導体部61の第1方向他方端と第2導体部62の第1方向他方端とはそれぞれ、第2平板22と電気的に接続される。
【0049】
第1導体部61は、第1アンテナ導体11、第2アンテナ導体12、及びバラン3よりも第2方向一方Y1側に配置される。第2導体部62は、第1アンテナ導体11、第2アンテナ導体12、及びバラン3よりも第2方向他方Y2側に配置される。より具体的には、第1方向Xと垂直な第2方向Yにおいて、第1導体部61は、第1アンテナ導体11の第1方向他方端、第2アンテナ導体12の第1方向一方端、及びバラン3よりも第2方向一方Y1側に配置される。第2導体部62は、第1アンテナ導体11の第1方向他方端、第2アンテナ導体12の第1方向一方端、及びバラン3よりも第2方向他方Y2側に配置される。こうすれば、アンテナ装置1における電波の受信・放射の指向性を維持しつつ、アンテナ装置1のインピーダンスのピークを増加させることができる。従って、アンテナ装置1のアンテナ性能をさらに向上できる。
【0050】
なお、
図6の例示に限定されず、第1導体部61及び第2導体部62の両方は、第1アンテナ導体11の第1方向他方端、第2アンテナ導体12の第1方向一方端、及びバラン3よりも第2方向一方Y1側又は第2方向他方Y2側に配置されてもよい。
【0051】
また、第1導体部61及び第2導体部62はそれぞれ、
図6では1本の配線パターンである。但し、この例示に限定されず、第1導体部61及び第2導体部62のうちの少なくともいずれかは、複数の配線パターンを有してもよい。
【0052】
また、第1導体部61及び第2導体部62のうちの少なくともいずれかは、基板4上の配線パターンでなくてもよく、たとえば導電性を有する棒状の部材であってもよい。さらに、第1導体部61及び第2導体部62の両方が配線パターンでない場合、アンテナ装置1は、基板4を備えていなくてもよい。
【0053】
<4.アンテナ装置の応用例>
次に、上述のアンテナ装置1を採用した医療用のテレメータシステムを説明する。
図7は、医療用のテレメータシステムの概略図である。
図8は、テレメータシステムにおけるアンテナ装置1の受信例を示す図である。
【0054】
図7及び
図8のテレメータシステムでは、複数の病室HSのテレメータ端末Tから送信された電波がアンテナ装置1で受信され、その受信信号がナースステーションNSのセントラルモニターCMに伝送される。テレメータシステムは、複数のテレメータ端末Tと、アンテナシステム100と、を含む。
【0055】
テレメータ端末Tは、たとえば、
図8に示すように病室HSにいる患者に装着された生体センサ(図示省略)の計測信号を患者の識別番号と関連付けて送信可能である。或いは、テレメータ端末Tは、病室HSに据え置かれた計測装置に搭載されてもよく、該計測装置の計測信号を患者の識別番号と関連付けて送信してもよい。計測信号は、たとえば心電図波形、呼吸波形、脈波などである。
【0056】
アンテナシステム100は、受信機Rと、第1合成器S1と、ブースターBと、第2合成器S2と、セントラルモニターCMと、ブースター電源PSと、を備える。
【0057】
受信機Rは、アンテナ装置1を備える。受信機Rは、各々の病室HSの天井裏Gに配置され、該病室HS内の患者に装着されたテレメータ端末Tから送信された信号を受信する。各々の受信機Rは、アンテナ装置1で受信した信号を同軸ケーブル10を介して第1合成器S1に出力する。
【0058】
第1合成器S1は、3つの病室HSの受信機Rから出力された受信信号を1つの信号に合成してブースターBに出力する。
【0059】
ブースターBは、第1合成器S1から出力された信号を増幅して、第2合成器S2に出力する。
【0060】
第2合成器S2は、3つのブースターBから出力された信号を1つの信号に合成して、ナースステーションNS内のセントラルモニターCMに出力する。
【0061】
セントラルモニターCMは、各々の病室HS内の生体情報を監視する。セントラルモニターCMは、各々の病室HSの計測信号を解析及び処理して、各々の患者の生体情報をモニターに表示する。
【0062】
ブースター電源PSは、各々のブースターBに電力を供給する電源装置である。
【0063】
上述の医療用のテレメータシステムにアンテナ装置1を採用することにより、アンテナ性能を低下させることなく、受信機Rのアンテナサイズをより小型化できる。
【0064】
たとえば、435[MHz]の周波数を使用するテレメータシステムの受信用アンテナにホイップアンテナを採用した場合、ホイップアンテナには、直径が約390[mm]の接地面が必要となる。そのため、アンテナサイズ(特に接地面の直径方向におけるサイズ)が大きくなる。また、ホイップアンテナの接地面の直径が390[mm]よりも狭くなるほど、VSWR及び指向性が悪化する。
【0065】
対して、上述のアンテナ装置1を採用すると、たとえば第1平板21及び第2平板22の直径を75[mm]にすれば、VSWRを悪化させることなく、水平面無指向性及び垂直面8の字指向性を良好に得ることができる。つまり、第1方向Xと垂直な方向におけるアンテナサイズを大幅に低減できる。従って、上述のアンテナ装置1を採用すれば、ホイップアンテナを採用した場合よりも、アンテナ性能を改善できるとともに、アンテナサイズを小型化できる。
【0066】
なお、上述のテレメータシステムでは、アンテナ装置1は受信機Rに用いられているが、アンテナ装置1の用途はこの例示に限定されない。たとえば、アンテナ装置1は、テレメータ端末T(言い換えると送信機)に用いられてもよい。また、アンテナ装置1は、テレメータシステム以外の分野にも使用可能である。アンテナ装置1は、一般的な通信機器における電波の送受信に用いることができ、たとえば据え置き型の通信機器のみならず、車載通信機器及び移動無線局のような移動可能な通信機器にも使用可能である。
【0067】
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、上述の実施形態は例示であり、その各構成要素及び各処理の組み合わせに色々な変形が可能であり、本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0068】
1・・・アンテナ装置、10・・・同軸ケーブル、11・・・第1アンテナ導体、12・・・第2アンテナ導体、21・・・第1平板、22・・・第2平板、3・・・バラン、4・・・基板、5・・・筐体、51・・・筒部、52・・・蓋部、6・・・導体部、61・・・第1導体部、62・・・第2導体部、100・・・アンテナシステム、CM・・・セントラルモニター、S1・・・第1合成器、S2・・・第2合成器、B・・・ブースター、PS・・・電源、T・・・テレメータ端末、R・・・受信機、X・・・第1方向、X1・・・第1方向一方、X2・・・第1方向他方、Y・・・第2方向、Y1・・・第2方向一方、Y2・・・第2方向他方
【要約】
【課題】簡易な構成でアンテナ装置を小型化する。
【解決手段】アンテナ装置は、第1アンテナ導体と、第2アンテナ導体と、導電性の第1平板と、導電性の第2平板と、を備える。第1アンテナ導体は、少なくとも第1方向一方に向かって直線状に延びる。第2アンテナ導体は、前記第1アンテナ導体と第1方向において対向配置され、少なくとも第1方向他方に向かって直線状に延びる。第1平板は、前記第1アンテナ導体の第1方向一方端が接続される。第2平板は、前記第2アンテナ導体の第1方向他方端が接続される。
【選択図】
図1