IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ モーター ヨーロッパ ナームロゼ フェンノートシャップ/ソシエテ アノニムの特許一覧

特許7007466二次固体Li金属電池のための複合ポリマー電解質(CPE)膜及びその製造方法
<>
  • 特許-二次固体Li金属電池のための複合ポリマー電解質(CPE)膜及びその製造方法 図1
  • 特許-二次固体Li金属電池のための複合ポリマー電解質(CPE)膜及びその製造方法 図2
  • 特許-二次固体Li金属電池のための複合ポリマー電解質(CPE)膜及びその製造方法 図3a
  • 特許-二次固体Li金属電池のための複合ポリマー電解質(CPE)膜及びその製造方法 図3b
  • 特許-二次固体Li金属電池のための複合ポリマー電解質(CPE)膜及びその製造方法 図4
  • 特許-二次固体Li金属電池のための複合ポリマー電解質(CPE)膜及びその製造方法 図5a
  • 特許-二次固体Li金属電池のための複合ポリマー電解質(CPE)膜及びその製造方法 図5b
  • 特許-二次固体Li金属電池のための複合ポリマー電解質(CPE)膜及びその製造方法 図6
  • 特許-二次固体Li金属電池のための複合ポリマー電解質(CPE)膜及びその製造方法 図7a
  • 特許-二次固体Li金属電池のための複合ポリマー電解質(CPE)膜及びその製造方法 図7b
  • 特許-二次固体Li金属電池のための複合ポリマー電解質(CPE)膜及びその製造方法 図8a
  • 特許-二次固体Li金属電池のための複合ポリマー電解質(CPE)膜及びその製造方法 図8b
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】二次固体Li金属電池のための複合ポリマー電解質(CPE)膜及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0565 20100101AFI20220117BHJP
   H01B 1/06 20060101ALI20220117BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20220117BHJP
【FI】
H01M10/0565
H01B1/06 A
H01M10/052
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020515198
(86)(22)【出願日】2017-09-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 EP2017073163
(87)【国際公開番号】W WO2019052648
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2020-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】511312997
【氏名又は名称】トヨタ モーター ヨーロッパ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100193404
【弁理士】
【氏名又は名称】倉田 佳貴
(72)【発明者】
【氏名】ローラン カストロ
(72)【発明者】
【氏名】ファニー バルド
(72)【発明者】
【氏名】ジジェーシュ ラビ ネアー
(72)【発明者】
【氏名】マリサ ファルコ
(72)【発明者】
【氏名】フェデリコ ベッラ
(72)【発明者】
【氏名】クラウディオ ジェルバルディ
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-226854(JP,A)
【文献】特開2012-104263(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0079405(KR,A)
【文献】国際公開第2011/001985(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/0565
H01M 10/052
H01B 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合ポリマー電解質を調製するための硬化性組成物であって、
(A)Liイオン伝導性固体電解質;
(B)ポリマー;
(C)リチウム塩;
(D)活性可塑剤;及び
(E)光開始剤
を含有しており、
前記Liイオン伝導性固体電解質(A)が、リチウム-ランタン-ジルコン酸塩(LLZO)であり、
前記ポリマー(B)が、ポリエーテル、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリラクトン、ポリ(メタ)アクリレートエステルのタイプのポリマー鎖を有する;又は前記ポリマー(B)が、ポリマー鎖を構成するブロックとして2つ以上の前記ポリマー鎖タイプを含有するブロックコポリマーである;又は前記ポリマー(B)が、2つ以上の前記ポリマー鎖タイプの物理的ブレンドであり、かつ
前記活性可塑剤(D)が、ジメトキシテトラエチレングリコール(TEGDME)、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテルからなる群から選択される1種又は複数種であ
前記Liイオン伝導性固体電解質(A)の含有率が、硬化性組成物全体の100重量%に対して、少なくとも30重量%かつ最大50重量%である、
硬化性組成物。
【請求項2】
前記ポリマー(B)が、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)及び/又はポリ(プロピレンオキシド)(PPO)である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記Liイオン塩(C)が、LiPF、LiBF、LiClO、LiFSI、LiTFSI、LiBOB、LiAsF、LiFAP、LiTriflate、LiDMSI、LiHPSI、LiBETI、LiDFOB、LiBFMB、LiBison、LiDCTA、LiTDI、LiPDIからなる群から選択される1種又は複数種である、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記活性可塑剤(D)が、10ppm未満の含水量を有する、かつ/又は蒸留プロセスを介して、及び/若しくはモレキュラーシーブ上での乾燥工程を介して、並びに/若しくはその純度を確実にするためにモレキュラーシーブ上での蒸留プロセス及び乾燥工程の両方の組合せを介して得られる、請求項1~3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記光開始剤(E)が、4-メチルベンゾフェノン、ベンゾフェノン、クロロベンゾフェノン、フルオレノン、キサントン、ベンジル、アントラキノン、テレフタロフェノンなどのアリール-CO基を示す光開始剤であるか、又はα-ケトクマリン若しくはテレフタロフェノンである、請求項1~4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
成分(A)~(E)を、100℃を超えない温度で混合することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物の調製方法。
【請求項7】
90℃を超えない温度で実施する、請求項に記載の方法。
【請求項8】
成分(A)~(E)の混合物に有機溶媒を添加しない、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
成分(A)~(E)の混合物に常温イオン液体(RTIL)を添加しない、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1~5のいずれかに記載の組成物を有するフィルム。
【請求項11】
少なくとも0.5μmかつ最大500μmの厚さを有する、請求項10に記載のフィルム。
【請求項12】
請求項1~5のいずれか一項に記載の硬化性組成物をUV光に暴露することによって得られる、硬化組成物。
【請求項13】
請求項10又は11に記載のフィルムをUV光に暴露することによって得られる、硬化フィルム。
【請求項14】
正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層を具備しており、
前記固体電解質層は、請求項12に記載の硬化組成物又は請求項13に記載の硬化フィルムを含み、前記固体電解質層は、前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に位置する、
固体リチウム電池。
【請求項15】
モノポーラ又はバイポーラ構成で組み立てられている、請求項14に記載の固体リチウム電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合ポリマー電解質(CPE)膜を調製するための硬化性組成物、そのような組成物を調製するためのプロセス、そのような硬化性組成物をベースとするフィルム、並びに紫外線(UV)によって硬化されるような組成物及びフィルムに関し、特に、固体リチウム電池に使用するための膜を製造するためのものである。高度に架橋されたポリマー構造は、複合ポリマー膜において得ることができ、それらは、高い電流速度で20℃で作動する固体リチウム電池を得ることを可能にし得る。
【背景技術】
【0002】
全固体Li金属セルについては、高い電流速度(1時間に1回の完全充電)で20℃でさえも長期間効率的なサイクルを達成することが課題である。全固体Li金属電池のサイクル性能が悪い理由としては、固体電解質のイオン伝導性が低いこと、リチウムカチオンが固体電解質内に拡散しにくいこと、電極と固体電解質との界面抵抗が高いことが挙げられる。また、たとえ長期間のサイクルが達成されたとしても、容量維持率は非常に悪い(100サイクル後に50%未満)。
【0003】
以下、従来技術文献について説明する:
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2015/104727号パンフレット
【文献】独国特許出願公開第102015111806号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2648265号明細書
【文献】国際公開第2009/070600号パンフレット
【非特許文献】
【0005】
【文献】Porcarelli、Letal.(2016)SCIENTIFICREPORTS、vol.6,19892-1.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
PA1(国際公開第2015/104727号パンフレット)は、以下の一連の工程を含む、ポリマー電解質膜の製造方法を開示している:室温イオン液体(RTIL)、少なくとも1種のアルカリ金属塩及び感光性水素吸引成分の混合溶液を20~70℃の範囲の温度で調製する工程と、20~70℃の範囲の温度でポリマー材料を溶液に添加する工程と、ポリマー材料を添加した溶液を70~140℃の範囲の温度でブレンドして均一な混合物を得る工程と、60~150℃の範囲の温度及び20~80barの範囲の圧力で混合物を2枚のシートの間でプレスしてフィルムを形成する工程と、フィルムのポリマー材料を架橋させ、ポリマー電解質膜が得られるようにフィルムをUV光に暴露する工程。しかしながら、PA1に開示されたLi-金属電池によって得られる性能は、完全に満足できるものではない(25℃で1Cの速度の電流で100サイクル以下)。更に、室温イオン液体(RTIL)の必須の使用は、固体ポリマー電解質/膜(SPE)のコストを増加させる。
【0007】
PA2(独国特許出願公開第102015111806号明細書)は、リチウムイオン伝導性ガラスセラミック、ポリマー、イオン液体及びリチウム塩を含む、複合電解質を開示している。リチウムイオン伝導性ガラスセラミックは、ガーネット構造を有するリチウム化合物であってもよい。PA1について上述したように、室温イオン液体(RTIL)の必須の使用は、コストを増加させる。さらに、開示されている膜のイオン伝導率は、低いように見える。
【0008】
PA3(欧州特許出願公開第2648265号明細書)は、固体電解質と、セラミック固体電解質の両面に設けられたゲルポリマー電解質とを含む多層構造電解質を開示している。カーボネートブレンド(EC:EMC:DEC=3:2:5)に溶解されたリチウムヘキサフルオロホスフェート塩(LiPF)のような液体電解質の滴下を使用して電池を製造する。PA3の電池は、比較的低い容量を示すように見える。
【0009】
PA4(国際公開第2009/070600号パンフレット)は、ポリ(アルキレンオキシド)及びアルカリ金属塩を含む第1の相と、イオン伝導性粒子を含む第2の相との2つの相を含む電解質セパレータを開示している。リン酸チタンアルミニウムリチウム(LATP)は、イオン伝導性粒子として最も好ましい。
【0010】
PA5(Porcarelliら)は、種々のリチウム塩濃度でテトラグリムによって可塑化させたポリエチレンオキシド(PEO)を含有する組成物をベースとする、UV誘導(共)重合によって得られるポリマー電解質を開示している。このPA5では、可塑剤の蒸留工程はない。
【0011】
本発明は以下の利点のうちの1つ又は複数を提供することができる複合ポリマー電解質(CPE)を提供することを目的とする:周囲温度においてさえも、全固体Li金属電池の長期であるサイクル(例えば、300サイクルを超える);高速の電流(1時間に1回の完全充電)において、周囲温度においてさえも、高い容量維持率(例えば、100サイクル後に少なくとも50%)。更に、複合ポリマー電解質(CPE)膜は、以下の追加の利点のうちの1つ又は複数を示すことができる:(1)本発明のCPE膜を完全に乾燥した膜として調製することができるので、セルをバイポーラ又はモノポーラ構成に積み重ねることが可能である;(2)本発明のCPE膜は、室温で作動することができ、したがって、ボロレ自動車でのような一定の加熱(>50℃)を必要としない;(3)本発明のCPE膜は、より少ない樹枝状結晶が存在するか、又は樹枝状結晶が存在しないため、より安全であり得る;及び(4)不燃性であるため、より安全であり得る。
【0012】
本発明はまた、揮発性有機溶媒も常温イオン液体(RTIL)も必要としない、複合ポリマー電解質(CPE)の調製方法を提供することを目的とする。このような乾式プロセスは、固体電解質の表面汚染を回避するために役立ち、したがって、良好な界面特性(=Li導電率を変化させない)を維持するために役立つことができる。本発明はまた、高温(100℃以上)を適用する必要のない、複合ポリマー電解質(CPE)の調製方法を提供することを目的とする。本発明の方法及び/又は生成物が提供し得る他の利点には、高い蒸気圧を有する可燃性溶媒の漏れがないこと、並びに/又は広範囲の温度下及び/若しくは機械的応力下での形状/厚さの保持が含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は特に、当該技術分野における1つ又は複数の課題/問題に対処するために、その一態様において、以下を含有している硬化性組成物に関する:
(A)以下の式を有する一般組成を有する、Liイオン伝導性固体電解質:
Li7+x-yII III 3-xIV 2-Y12
(式中、
IIは、アルカリ土類金属の群、又はZn2+と周期表の同じ族からの少なくとも1つのカチオンであり、
IIIは、La3+、Al3+、Cr3+、Ga3+、Bi3+、Y3+、In3+及び/又はFe3+の中から選択される少なくとも1つのカチオンであり、
IVは、Zr4+、Ti4+、Hf4+、Sn4+及び/又はSi4+の中から選択される少なくとも1つのカチオンであり、
は、Nb5+、Ta5+、V5+及び/又はP5+の中から選択される少なくとも1つのカチオンであり、
ここで、0≦x<3、好ましくは0≦x≦2;かつ0≦y<2、好ましくは0≦y≦1である);
(B)ポリマー;
(C)リチウム塩;
(D)活性可塑剤;及び
(E)光開始剤。
【0014】
本発明は更に、その異なる態様において、成分(A)~(E)を、任意に粉砕しながら、100℃を超えない温度で混合することを含む、本発明による組成物を調製する方法に関する。
【0015】
本発明の方法では、成分(A)~(E)の混合物に有機溶媒を添加しないことが好ましい。常温イオン液体(RTIL)を成分(A)~(E)の混合物に添加しないことが更に好ましい。
【0016】
本発明は更に、その異なる態様において、本発明の硬化性組成物について上記で定義した組成物を有するフィルムに関する。このような本発明によるフィルムは、少なくとも0.5μm、最大500μm、好ましくは少なくとも1.0μm、最大200μmの厚さを適切に有することができる。
【0017】
本発明は更に、その異なる態様において、本発明の硬化性組成物をUV光に暴露することによって得られる硬化組成物に関する。
【0018】
本発明は更に、その異なる態様において、本発明の硬化性組成物を使用して調製したフィルムをUV光に暴露することによって得られる硬化フィルムに関する。
【0019】
本発明は更に、異なる態様において、以下の要素を含む固体リチウム電池に関する:正極活物質層;固体電解質層;負極活物質層;ここで、固体電解質層は本発明による硬化組成物又は硬化フィルムを含み、固体電解質層は、正極活物質層と負極活物質層との間に位置する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明において開示される例示的な複合ポリマー電解質(CPE)の異なる部分の例示的かつ非限定的な概略図を示す。ここで、要素1は、Liイオン伝導性固体電解質(A)であり、数字2は、ポリマー(B)、リチウム塩(C)、活性可塑剤(D)、光開始剤(E)からなる種の群を示す。
図2図2は、本発明において示された実験結果に基づいて、正極活物質としてLiFePOを使用し、負極としてリチウムを使用し、CPEを使用する、Li金属セルに関してのより高い容量維持率などの本発明によって提供される利点の視覚化を可能にする。このCPEは、図3aに記載された方法を使用し、この方法の選択肢2bに従い、40重量%のガーネット相を使用して調製した。20℃で1Cの速度(1時間に1回の充電)でセルをサイクルさせた。
図3a図3aは、本発明に開示され、実施例1~3に例示される複合ポリマー電解質を調製するために使用される例示的かつ非限定的なプロセスを概略的に示す。
図3b図3bは、本開示のPA5(Porcarelliら)及び比較例1に開示されるようなポリマー電解質を作製するために使用されるプロセスを概略的に表す。しかしながら、本比較例1については、可塑剤は十分に乾燥されており、これはPA5の場合ではないことに注意すべきである。
図4図4は、正極活物質としてLiFePOを使用し、負極としてリチウムを使用し、複合ポリマー電解質(CPE)を使用したLi金属セルと、固形ポリマー電解質(SPE)を使用したLi金属セルとに関して、第1周期後に得られた容量の実験的比較を示す。CPEは、図3aに記載された方法を使用し、この方法の選択肢2bに従い、40重量%のガーネット相を使用して調製した。SPEは、図3bに記載された方法を使用して調製した。
図5a図5aは、正極活物質としてLiFePOを使用し、負極としてリチウムを使用し、CPEを使用した、Li金属セルの性能の実験的比較を示す。CPEは、図3aに記載された方法を使用し、この方法の選択肢2bに従い、40重量%のガーネット相を使用して調製した。20℃で1Cの速度(1時間に1回の充電)でセルをサイクルさせた。
図5b図5bは、LiFePOを正極活物質として使用し、リチウムを負極として使用しCPEを使用した、Li金属セルの性能の実験的比較を示す。CPEは、図3aに記載された方法を使用し、この方法の選択肢2bに従い、40重量%のガーネット相を使用して調製した。40℃で1Cの速度(1時間に1回の充電)でセルをサイクルさせた。
図6図6は、立方晶ガーネット相の重量比に対する、周囲温度での1C電流速度での100サイクル後の容量維持率の研究を、非限定的な方法で示す。
図7a図7aは、放電段階中における、本発明に開示されたCPEを使用するリチウム金属セルを概略的に示す。
図7b図7bは、充電段階中における、本発明で開示されたCPEを使用するリチウム金属セルを概略的に示す。
図8a図8aは、放電段階中における、本発明に開示されたCPEを使用するリチウム金属バイポーラセルを概略的に示す。
図8b図8bは、放電段階中における、本発明で開示されたCPEを使用するリチウム金属モノポーラセルを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の硬化性組成物において、Liイオン伝導性固体電解質(A)は、特にガーネット相を有する材料、特に立方晶ガーネット構造を有する材料である。
【0022】
本発明の硬化性組成物に使用されるLiイオン伝導性固体電解質(A)は、25℃で0.5mS・cm-1超のイオン伝導性を有し、かつ/又は1μm~50μmの平均粒径で存在することが好ましい。サンプルの最大粒径は、例えば、50μm又は40μmに固定することができる。本発明の一実施形態では、使用されるLiイオン伝導性固体電解質(A)の好ましい最大粒径は、32μmである。
【0023】
本発明の硬化性組成物において、Liイオン伝導性固体電解質(A)の好ましい量は、硬化性組成物全体の100重量%に対して、少なくとも5重量%かつ最大80重量%、より好ましくは少なくとも20重量%かつ最大60重量%、更により好ましくは少なくとも30重量%かつ最大50重量%である。
【0024】
本発明で使用されるべき特に好ましいLiイオン伝導性固体電解質(A)は、リチウム-ランタン-ジルコネート(LLZO)である。LLZOは化学式LiLaZr12を示すことができる。LLZOは、有利には、本発明の硬化性組成物の成分(A)について上記に示したイオン伝導率、平均粒径及び重量パーセント量で使用される。
【0025】
ガーネットの混合物、例えば、2種又は3種の別個のガーネットの混合物は、本発明の組成物における成分(A)としての使用が想定される。
【0026】
本発明の硬化性組成物において、ポリマー(B)は、有利には、ポリマー(B)を単独で捉えたときに、10-10S・cm-1以下の導電性を有する良好な誘電性材料である。
【0027】
ポリマー(B)の化学的性質に関して、好ましい実施形態では、ポリマー(B)が窒素、酸素又は硫黄などのヘテロ原子を含有している繰り返し単位を示す。好ましくは、ポリマー(B)はまた、UV/熱で開始するラジカル重合/架橋(例えば、二重結合、酸性プロトン)に利用可能な官能基を示す。
【0028】
本発明で使用するために特に好ましいタイプのポリマー(B)は、ポリエーテル/ポリ(アルキレンオキシド)、例えばポリ(エチレンオキシド)(PEO)及びポリ(プロピレンオキシド)(PPO)の群によって構成される。
【0029】
本発明で使用するための他のタイプのポリマー(B)には、ポリアクリロニトリル(PAN);ポリカーボネート(PC);ポリエステル及びポリラクトン、例えばポリカプロラクトン(PCL);ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)などのポリ(メタ)アクリレートエステルが含まれる。
【0030】
本発明において、ポリマー(B)として使用することも想定されているのは、上記ポリマータイプ、例えばPEO-PMMA又はPEO-PMMA-PEO又はPEO-PPO-PEO、PEO-PCLなどのブロックコポリマーである。
【0031】
本発明におけるポリマー(B)の好ましい分子量範囲に関して、好ましい最低平均分子量は、少なくとも500、より好ましくは10であり、更により好ましくは少なくとも10である。原則として、10までの分子量を使用することができるが、通常、10が適切な上限である。適切な分子量範囲、例えば、好ましいポリ(アルキレンオキシド)ポリマーについての適切な分子量範囲、例えばポリ(エチレンオキシド)(PEO)についての適切な分子量範囲は、100,000~500,000の範囲、例えば200,000であり得る。
【0032】
本発明の硬化性組成物において、ポリマー(B)の好ましい量は、硬化性組成物全体の100重量%に対して、少なくとも7重量%、最大40重量%、より好ましくは少なくとも12重量%、最大35重量%である。
【0033】
本発明の硬化性組成物において、リチウム塩(C)は、LiPF、LiBF、LiClO、LiFSI、LiTFSI、LiBOB、LiAsF、LiFAP、LiTriflate、LiDMSI、LiHPSI、LiBETI、LiDFOB、LiBFMB、LiBison、LiDCTA、LiTDI、LiPDIからなる群から選択される1種又は複数であることが好ましい。適切なLiイオン塩の例は、例えばYounesiらのEnergy Environ Sci.2015、8、1905-1922.に記載されている。
【0034】
本発明の硬化性組成物において、リチウム塩(C)の好ましい量は、硬化性組成物全体の100重量%に対して、少なくとも1重量%、最大30重量%、より好ましくは少なくとも5重量%、最大15重量%である。
【0035】
本発明の硬化性組成物において、活性可塑剤(D)は、最終生成物の粘度を低下させることができる重合プロセスに関与することができると考えられる。
【0036】
好ましい実施形態では、活性可塑剤は、120℃を超える沸点を有する。活性可塑剤の例は、メトキシなどのアルコキシ、末端キャップ基を有するオリゴマーポリエーテル、例えばグリムである。したがって、好ましい活性可塑剤(D)には、ジメトキシテトラエチレングリコール(TEGDME)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグリム)、ポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテル(分子量90~225g・モル-1)が含まれる。
【0037】
他の可能な活性可塑剤(D)としては、低分子量オリゴマーPCL、PC、ポリラクトン、ジアルキルスルホキシドなどが挙げられる。活性可塑剤(D)は、架橋反応において水素を供与することができると考えられる。
【0038】
一般に、活性可塑剤(D)に適した分子量は、500未満、好ましくは400未満、より好ましくは300未満、更により好ましくは250未満、最も好ましくは225以下である。
【0039】
本発明において、活性可塑剤(D)は、10ppm未満、好ましくは5ppm未満の含水量を有することが好ましい。これは、例えば、活性可塑剤(D)の純度を確実にするために、蒸留プロセス及び/又はモレキュラーシーブ上での乾燥ステップによって、並びに/又は蒸留プロセス及びモレキュラーシーブ上での乾燥ステップの両方の組合せによって達成される。本発明者らは、ポリマー膜中に依然としていくらかの水が存在する場合、イオン伝導率がより高くなり得ると考える。ただし、Liイオン伝導性固体電解質の表面に界面層が形成されないようにするためには、できるだけ乾燥させた材料を有することが好ましい。
【0040】
本発明の硬化性組成物において、活性可塑剤(D)の好ましい量は、硬化性組成物全体の100重量%に対して、少なくとも1重量%、最大50重量%、より好ましくは少なくとも12重量%、最大35重量%である。
【0041】
本発明の硬化性組成物において、光開始剤(E)は、可塑剤及びポリマー鎖との架橋効果を与えることができる光誘起水素引き抜きメディエーターとして作用すると考えられる。光開始剤の好ましい例は、アリール-CO基を有する光開始剤、例えばベンゾフェノン構造を有する光開始剤、例えば、4-メチルベンゾフェノン、ベンゾフェノン、クロロベンゾフェノン、又はダロクル(著作権)(BASFから)及びそれらのブレンドである。一般に、有用な光開始剤は、水素原子(H)を引き抜くことができる。フルオレノン、キサントン、ベンジル、アントラキノン、テレフタロフェノンは、アリール-CO基を示す本発明において可能な光開始剤の他の例であり、アリール系は、必ずしも非置換アリール(フェニル)環ではないが、潜在的に置換を有する。CO基に隣接するアリール基を有しないカルボニル基含有光開始剤の例には、α-ケトクマリン及びテレフタロフェノンが含まれる。ここでは、Allenの論文であるJournal of Photochemistry and Photobiology A:Chemistry 100(1996)101-107を参照できる。本発明における好ましい光開始剤(E)は、特に200~400nmの範囲の光を吸収することができ、フリーラジカル光開始剤、特にタイプII光開始剤のクラスに属する。
【0042】
本発明の硬化性組成物において、光開始剤(E)の好ましい量は、硬化性組成物全体の100重量%に対して、少なくとも1重量%、最大12重量%、より好ましくは少なくとも3重量%、最大7.5重量%である。
【0043】
本発明においては、本発明にとって必須の成分ではない場合であっても、硬化性組成物に更なる添加剤を添加することが可能である。このような任意の更なる添加剤は、例えば以下のうちの1種又は複数種である:
(F):粒径10nm~100μmの、セルロース充填剤、米粒、大豆繊維、ココナッツ繊維、デンプン粒、カキ殻、イガイ殻、甲殻類殻類;
(G):粒径10nm~100μmの、セラミック充填剤(SiO、MgO、ZrO、CaO、BaO、La、Bi、Ga、Cr、Ta、V、P、MgAlSi12、FeAlSi12、CaFeSi12、CaAlSi12、CaCrSi12)、又は砂粒;
(H):ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの結合剤;
(I):任意に、いくつかの加工助剤と共にいくつかの界面活性剤を添加することができる。適切な界面活性剤の種類の可能な例には、アルキルポリグリコシド又はポロキサマーなどの非イオン性界面活性剤が含まれる。
【0044】
本発明の硬化性組成物において、常温イオン液体(RTIL)を組み込む必要はない。典型的なRTILは、少なくとも1つの有機又は無機アニオンと会合した少なくとも1種の有機カチオンを有する化合物である。有機カチオンは、通常、イミダゾリウム、アンモニウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、ピペリジニウム、ホスホニウム及びスルホニウムからなる群から選択され、かつ有機又は無機アニオンと会合する。常温イオン液体(RTIL)の好ましい量は、本発明の硬化性組成物全体の100重量%に対して、10重量%未満、より好ましくは5重量%未満、更により好ましくは2重量%未満、更により好ましくは1重量%未満であり、好ましい実施形態では、本発明の硬化性組成物が常温イオン液体(RTIL)を実質的に又は完全に含まない。
【0045】
本発明の硬化性組成物を調製するための例示的な方法において、一方ではLiイオン伝導性固体電解質(A)、他方では他の成分(B)~(E)(及び任意のさらなる成分(F)、(G)、(H)、(I)など)は、有利には、以下の目的で、非自明な乾式方法で混合され得る:
-Liイオン伝導性に悪影響を及ぼし得るLiイオン伝導性固体電解質の表面汚染を回避する目的、
-温度加熱なしで複合ポリマー電極(CPE)のための良好な機械的特性を得る目的。
【0046】
本発明の成分(A)~(E)を混合するプロセスは、上記のようなRTIL及び有機溶媒の両方の使用を回避することを可能にする。従来のポリマー電解質及び電極製造において一般に使用され得る有機溶媒には、アルコール、エーテル、ケトン、カーボネート、炭化水素、ハロゲン化(例えば、塩素化又はフッ素化)炭化水素、スルホキシド、アセトニトリル、(N-アルキル化)アミドなどが含まれる。有機溶剤の使用を回避することは、コストの低減、安全性の向上、及び環境負荷の低減などの利点を示し得る。本発明の好ましい方法の実施形態において、有機溶媒は、成分(A)~(E)の混合物に添加されない。成分(A)~(E)の中で、活性可塑剤(D)は特に、グリムのような種であってもよく、これは「有機溶媒」特性を有すると考えられる化学技術においてより一般的な状況下にある。この意味で、ある量の「有機溶媒」が成分(A)~(E)の混合物中に存在すると考えられてもよいが、本発明による好ましい方法の実施形態では成分(A)~(E)の1つ又は複数、及び特に活性可塑剤(D)自体によって構成されると考えられ得るものを超えて、更なる有機溶媒は添加されない。
【0047】
本発明のCPEを得るための適切な無溶媒プロセスでは、以下の工程を実施することができる(図3aの例示的かつ非限定的な実施形態で示す):
【0048】
-工程1:不活性雰囲気下(例えば、O<5ppm、HO<1ppmで満たされたAr)のドライボックス中で、例えばビーカーを使用して、リチウム塩(C)及び光開始剤(E)を、活性可塑剤(D)と共に撹拌する。
【0049】
-工程2:攪拌しながら、以下の異なる選択肢のうちの1つによりLiイオン導電性固体電解質(A)(ここではガーネット相(A)として説明する)を添加する:
【0050】
選択肢2a:得られたままの成分(A)(ここでは、ガーネット相(A))を添加する;
【0051】
選択肢2b:特定の粒径未満の成分(A)(ここでは、ガーネット相(A))のみを添加し、例えば、32μmメッシュで篩分けした画分を添加する;
【0052】
選択肢2c:ガーネット相成分(A)(ここでは、ガーネット相(A))の粗い画分のみを添加し、例えば、32μmメッシュで篩分けした画分を添加する;
【0053】
特に膜の厚さが>200μmであることが許容される場合には、特に50重量%までのガーネット含有量については、得られたままのセラミック材料を使用することが可能である(選択肢2a)と考えられる。しかしながら、場合によっては、いくつかの異なる粒径で選択肢2aを使用する場合、プロセスの終わりにおいては、ポリマー/セラミック相の調製の均一性が最適ではない。選択肢2cでは、大きな粒子を使用すると、ポリマーと比較したセラミックの体積比率が高すぎ、UV硬化後において膜にいくらかの機械的問題を生じることがある。したがって、好ましいプロセスの実施形態では、選択肢2bを使用し、すなわち、必要に応じて篩分けすることによって最大粒径を固定する。
【0054】
-工程3:ポリマー鎖(B)を撹拌しながら添加する。
【0055】
-工程4及び工程5:乳鉢中で、混合物を例えば手で粉砕し、ホットプレート上で、例えば、70~80℃で1時間加熱する。これらの工程は、適宜、3回繰り返すことができる。これらの工程の終わりに、均一な混合物が得られる。
【0056】
-工程6:混合物を、例えばマイラー(Mylar)の2枚のシートの間に配置する(多層の接着テープをスペーサーとして使用し、厚さを80~250μmの間に調整することができ、より好ましくは約180μmに定めることができる)。任意で、このスタックを、ポリプロピレン書類袋の中に密封する。
【0057】
-工程7:ヒートプレス機を使用して、25℃~90℃の温度で、例えば20barの圧力で、例えば15分間、サンプルをホットプレスする。このステップの終わりに、制御された厚さを有するCPEが得られる。
【0058】
-工程8:例えば、20~200mW/cmの出力を有するUVライトボックスを使用して、1分~30分間、膜をUV硬化させる。非常に具体的な実例として、40mW/cmで6分間、UVライトボックスを使用することができる。この工程の終わりに、架橋CPEが得られる。
【0059】
-工程9:この例示的な実施形態では、ここではグローブボックス内で、CPEを(例えば、2つのマイラー箔から)注意深く剥離する。
【0060】
このようにして得られたCPEは、Li金属セルにおけるセパレータとなる電解質として使用する準備ができている(図7参照)。
【0061】
<全固体リチウム電池>
更なる態様において、本開示は、
正極活物質層と、固体電解質層と、負極活物質層とを具備しており、
固体電解質層が本発明に従って製造された(硬化した)複合ポリマー電解質材料を含有し、かつ正極活物質層と負極活物質層との間に位置する、
全固体二次リチウム電池に関する。
【0062】
好ましい実施形態では、負極は、Li金属である。Li金属は、Li箔又はLi粒子の形態であってもよい。
【0063】
このような全固体リチウム電池において、固体電解質として、本発明に係る(硬化した)複合ポリマー電解質材料を使用した場合、固体電解質層の厚さについては、固体電解質材料の種類、全固体電池の全体組成によって変化し得るが、一般に、この厚さは、0.5μm~1000μmの範囲内にあることが好ましく、30μm~200μmの範囲内にあることがより好ましく、50μm~200μmにあることが更に好ましい。固体電解質層は、適切には、本発明の(A)Liイオン伝導性固体電解質の最大粒径よりも厚い。
【0064】
正極(正極)活物質層に使用すべき正極活物質(正極活物質)については、3V(vs.Li/Li)を超えた場合には特に限定されない。正極活物質の平均動作電位としては、適切には、3V(vs.Li/Li)より高く、2.0V~6.0Vの境界の範囲内にあることが好ましく、3V~5Vの境界の範囲内にあることがさらに好ましい。平均動作電位は、例えばサイクリックボルタンメトリーを使用して評価することができる。特に、0.1mV/secのような小さな電位速度でサイクリックボルタンメトリーを測定した場合、酸化側のピーク電流を与える電圧と還元側のピーク電流を与える電圧との平均値が平均動作電位であると考えられる。
【0065】
正極活物質としては特に、3V(vs.Li/Li)以上の動作電位とする場合には特に限定されないが、高エネルギー密度を有することができる酸化物正極活物質であることが好ましい。
【0066】
正極活物質の一例として、一般式LiM(Mは少なくとも一種の遷移金属元素)で表されるスピネル型構造を有する化合物を挙げることができる。上記一般式LiMのMについては、遷移金属元素であれば特に限定されないが、例えば、Ni、Mn、Cr、Co、V、及びTiからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、特に、Ni、Mn、Crからなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。具体的には、LiCr0.05Ni0.50Mn1.45、LiCrMnO、LiNi0.5Mn1.5などが挙げられる。正極活物質の他の例としては、一般式LiMPO(Mは少なくとも一種の遷移金属元素)で表されるかんらん石型の構造を有する化合物が挙げられる。上記一般式におけるMは、遷移金属元素であれば特に限定されないが、Fe、Mn、Co、及びNi、並びにV、Nb、及びTaからなる周期表の族から選択される少なくとも1種であることが好ましく、特に、Fe、Mn、Co、Niからなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。具体的には、LiFePO、LiMnPO、LiCoPO、LiNiPOなどが挙げられる。正極活物質の他の例として、一般式LiMO(Mは少なくとも1種の遷移金属元素)で表される層構成を有する化合物が挙げられる。具体的には、LiCoO、LiNi0.5Mn0.5、LiNi0.33Co0.33Mn0.33等を挙げることができる。上記正極活物質以外の例としては、LiMnO-LiNi1/3Co1/3Mn1/3固溶体、LiMnO-LiNi0.5Mn1.5固溶体、LiMnO-LiFeO固溶体などが挙げられる。
【0067】
正極活物質の形状としては、例えば、真球の形状や楕円球の形状などの粒子形状を挙げることができる。平均粒径は、正極活物質が粒子形状を有する場合、例えば0.1μm~50μmの範囲内にあることが好ましく、ナノメートルの範囲にあってもよいことがある。正極活物質層における正極活物質の含有量は、例えば10重量%~99重量%の範囲であることが好ましく、20重量%~90重量%であることがより好ましい。
【0068】
また、正極活物質層の導電性を向上させる観点から、正極活物質層に導電剤を含有させてもよい。導電性材料としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー(CNF)等が挙げられる。また、正極活物質は、結着剤を含んでいてもよい。このような結着材料(結着剤)としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系結着材料が挙げられる。CMC、セルロース、及び類似のバイオソース結合剤は、水ベースのプロセスで使用することができる。
【0069】
正極活物質層の厚さは、作製される全固体電池の種類によって変わり得るが、一般的には0.1μm~500μmの範囲内にあることが好ましい。
【0070】
本発明による全固体リチウム電池を製造するための好ましい実施形態では、好ましくは、組み立て前に正極を乾燥する。この乾燥工程は、負極にも適宜適用することができる。
【0071】
負極活物質層の組成としては、少なくとも1種又は複数種の負極活物質を含み、必要に応じて固体電解質材料及び導電剤の少なくとも1種又は複数種を更に含んでいてもよい。全固体リチウム電池において、負極活物質は、伝導イオンであるLiイオンの吸蔵及び放電が可能であれば特に限定されない。負極活物質としては、例えば、炭素活物質、金属活物質等を挙げることができる。炭素活物質としては、例えば、黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高秩序/高配向熱分解黒鉛(HOPG)、硬質炭素、軟質炭素等が挙げられる。一方、金属活物質としては、Li合金、Sn-Co-C等の合金、In、Al、Si、Sn等が挙げられる。LiTi12又はTiOのような酸化物ストック材料は、他の負極活物質の例として挙げることができる。
【0072】
本発明において、最も好ましい負極活物質は、リチウム金属(Li金属)である。Li金属は特に、Li金属が同時に活物質、導電体、及びイオン伝導体となるため、負極に単独で適切に使用されてもよく、その結果、Li金属を使用する場合、電極を得るために他の材料を添加する必要がない。Li金属の使用は、体積エネルギー密度及び特定の(重量)エネルギー密度(Wh・l-1及びWh・kg-1)の大きな向上を示している。
【0073】
負極活物質層に使用される固体電解質材料、及び導電剤は、上述した固体電解質層及び正極活物質層と同様のものを使用することができる。
【0074】
負極活物質層の厚さは、通常、0.1μm~500μmの範囲内で適宜設定する。
【0075】
本開示の全固体電池は、少なくとも上記の正極活物質層、固体電解質層、及び負極活物質層を有する。更に、この全固体電池は、通常、正極活物質層の集電を行う正極集電体と、負極活物質層の集電を行う負極集電体とを有する。正極集電体の材料としては、例えば、SUS(ステンレス鋼)、アルミニウム、ニッケル、鉄、チタン、炭素等が挙げられ、特にSUSが好ましい。一方、負極集電体の材料としては、例えば、SUS、銅、ニッケル、炭素等が挙げられ、特にSUSが好ましい。正極集電体及び負極集電体の厚さ、形状等は、全固体電池等の用途に応じて当業者が適宜選択することができる。一般的な全固体電池に使用さられるセルケースとしては、例えば、SUS製のセルケース等を挙げることができる。
【0076】
本開示の全固体電池は、室温環境において充電可能かつ放電可能な全固体電池と考えることができる。この全固体電池は、一次電池であってもよいし、再充電可能な電池であってもよいが、再充電可能な電池であることが特に好ましい。全固体電池の形態としては、コイン型、積層型、円筒型、角型等が挙げられる。
【0077】
全固体電池の製造方法としては、特に限定されるものではなく、一般的な全固体電池の製造方法を使用することができる。例えば、全固体電池が薄膜状である場合には、基材上に正極活物質層を形成し、固体電解質層及び負極活物質層を順に形成した後、積層するなどの方法を使用することができるが、他のプロセスの変形態様も考えられる。例えば、本発明において、本発明の(硬化性、未硬化の)硬化性組成物(複合ポリマー電解質を調製するための)は、電極材料フィルムの上にその場で直接重合(UV硬化)させることができる。
【0078】
本発明の固体リチウム電池は、モノポーラ又はバイポーラ構成で組み立てることができる。モノポーラ構成(図8a参照)は、2つ以上の(n個の)同じ単純なセルのスタックを有する手段である(図7a及び7b参照)。この構成では、同じ集電体(金属箔)がセル番号nの正極とセル番号(n-1)の正極との間で共有される。このようにして、このスタックセル又はモノポーラ構成セルは、1つのセルと同じ電圧を有するが、1つの単純なセルの容量のn倍を有する(これは、電気回路における並列構成と比較することができる。)。バイポーラ構成(図8b参照)は、2つ以上の(n個の)同じ単純なセルのスタックを有する方法である(図7a及び7b参照)。この構成では、同じ集電体(金属箔)がセル番号nの正極とセル番号(n-1)の負極との間で共有される。このようにして、このスタックセル又はバイポーラ構成セルは1つのセルと同じ容量を有するが、1つの単純なセルの電圧のn倍を有する。
【0079】
本発明の実施の範囲内で、本発明の実施において有利であり、好ましく、適切であり、又は他の方法で一般的に適用可能であるように、上記で個別に記述して示した任意の特徴又は実施形態を組み合わせることが想定され得る。本明細書はそのような組み合わせが相互に排他的であると記載されていない限り、又は文脈において相互に排他的であると明確に理解されていない限り、本明細書に記載されている特徴又は実施形態のそのような組み合わせのすべてを含むと見なされるべきである。
【0080】
実験セクション-実施例
以下の実験セクションは本発明の実施を実験的に例示するが、本発明の範囲は、以下の特定の実施例に限定されると考えられるべきではない。
【0081】
実施例1
この実施例は、20重量%のガーネット相を使用した、図3aに記載された方法の選択肢2bに従う固体複合ポリマー電解質(CPE)の調製を示す。
【0082】
Ar充填ドライボックス(O<5ppm、HO<1ppm)中で、120mgのベンゾフェノンを、620mgの蒸留テトラエチレングリコールジメチルエーテルと共に撹拌した。240mgのビス(トリフルオロメタン)スルホンイミドリチウム塩(LiTFSI)を、この撹拌溶液に添加した。次に、Schottから購入し、32μmメッシュで篩分けした400mgのガーネット立方LLZOを撹拌しながら添加した。次に、620mgのポリ(エチレンオキシド)(PEO)を、撹拌しながら溶液中に少量ずつ添加した。次に、メノウ乳鉢中で混合物を手で粉砕し、ホットプレート上で70~80℃で1時間加熱した。前の操作を繰り返した後、サンプルを2枚のマイラーシートの間に配置し(多層の接着テープをスペーサーとして使用し、約180μmの厚さを得た)、ポリプロピレン袋の内側に密封した。乾燥室(10m、20℃で平均R.H.約2%)に置かれたヒートプレス機を使用して、サンプルを70℃で15分間、20barの圧力でホットプレスした。次に、CPEを、40mW・cm-2で6分間UV硬化させた。実験室規模のリチウム電池に使用するために、CPEを、グローブボックス中で2つのマイラー箔から注意深く剥がした。
【0083】
<実施例1の正極の作製>
LiFePO(Clariant-LP2から:LifePower(登録商標)P2、粒径100~300nm、湿式法により調製し、炭素被覆されていない)を活性物質として含むN-メチルピロリドン、カーボンブラック及びPVdFをそれぞれ70:20:10の重量比率で含むスラリーから、カソードを通常の方法により調製した。このスラリーをAl箔上に堆積させ、その後一晩(120℃)乾燥させた。
【0084】
<実施例1のセルの製造>
Ar充填グローブボックス中のECC-Std試験セル(EL-Cell、独国)中に、カソード(φ=16mm)、SPE(φ=16mm)及びLi金属箔(φ=14mm)を挟むことによって、セルを組み立てた。試験前に、セルを70℃で一晩置いた。
【0085】
<実施例1のセルの評価>
ARBIN BT2000バッテリーテスターを用い、2.7Vvs.Li/Liと4Vvs.Li/Liとの間でのガルバノスタティック試験によりセルを試験した。100サイクル後にこの電池の1C電流速度について周囲温度で得られた容量を、以下の表1に示す。
【0086】
実施例2
この実施例は、40重量%のガーネット相を使用した、図3aに記載されるプロセスの選択肢2bに従う固体複合ポリマー電解質(CPE)の調製を示す。
【0087】
Ar充填ドライボックス(O<5ppm、HO<1ppm)中で、90mgのベンゾフェノンを465mgの蒸留テトラエチレングリコールジメチルエーテルと共に撹拌した。180mgのビス(トリフルオロメタン)スルホンイミドリチウム塩(LiTFSI)を、この撹拌溶液に添加した。次に、Schottから購入し、32μmメッシュで篩分けした800mgのガーネット立方LLZOを撹拌しながら添加した。次に、465mgのポリ(エチレンオキシド)(PEO)を、撹拌しながら溶液中に少量ずつ添加した。次に、メノウ乳鉢中で混合物を手で粉砕し、ホットプレート上で70~80℃で1時間加熱した。前の操作を繰り返した後、サンプルを2枚のマイラーシートの間に配置し(多層の接着テープをスペーサーとして使用し、約180μmの厚さを得た)の間に置き、ポリプロピレン袋の内側に密封した。乾燥室(10m、20℃で平均R.H.約2%)に置かれたヒートプレス機を使用して、サンプルを70℃で15分間、20barの圧力でホットプレスした。次に、CPEを、40mW.cm-2で6分間UV硬化させた。バッテリーセルに使用するために、CPEを、グローブボックス中で2つのマイラー箔から注意深く剥がした。
【0088】
<実施例2の正極の作製>
実施例1について説明したものと同じ調製物を、実施例2について適用した。
【0089】
<実施例2のセルの製造>
実施例2については、実施例1で説明したものと同じセルの製造方法を適用した。
【0090】
<実施例2のセルの評価>
ARBIN BT2000バッテリーテスターを用い、2.7Vvs.Li/Liと4Vvs.Li/Liとの間でのガルバノスタティック試験によりセルを試験した。室温及び40℃での第1周期後に得られた容量を、種々の電流速度について図4に示し、従来技術(比較例1)と比較する。この電池の1C電流速度について室温で得られた容量を図5aに示す。この電池の1C電流速度について40℃で得られた容量を図5bに示す。
【0091】
実施例3
この実施例は、60重量%のガーネット相を使用した、図3aに記載されるプロセスの選択肢2bに従う固体複合ポリマー電解質(CPE)の調製を示す。
【0092】
Ar充填ドライボックス(O<5ppm、HO<1ppm)中で、60mgのベンゾフェノンを310mgの蒸留テトラエチレングリコールジメチルエーテルと共に撹拌した。120mgのビス(トリフルオロメタン)スルホンイミドリチウム塩(LiTFSI)を、この撹拌溶液に添加した。次に、Schottから購入し、32μmメッシュで篩分けした1200mgのGarnet立方LLZOを撹拌しながら添加した。次に、310mgのポリ(エチレンオキシド)(PEO)を、撹拌しながら溶液中に少量ずつ添加した。次に、メノウ乳鉢中で混合物を手で粉砕し、ホットプレート上で70~80℃で1時間加熱した。前の操作を繰り返した後、サンプルを2枚のマイラーシート(多層の接着テープをスペーサーとして使用し、約180μmの厚さを得た)の間に置き、ポリプロピレン袋の内側に密封した。乾燥室(10m、20℃で平均R.H.約2%)に置かれたヒートプレス機を使用して、サンプルを70℃で15分間、20barの圧力でホットプレスした。次に、CPEを、40mW.cm-2で6分間UV硬化させた。バッテリーセルに使用するために、CPEを、グローブボックス中で2つのマイラー箔から注意深く剥がした。
【0093】
<実施例3の正極の作製>
実施例1について説明したものと同じ調製物を、実施例3について適用した。
【0094】
<実施例3のセルの製造>
実施例1について説明したものと同じセルの製造方法を、実施例3について適用した。
【0095】
<実施例3のセルの評価>
ARBIN BT2000バッテリーテスターを用い、2.7Vvs.Li/Liと4Vvs.Li/Liとの間でのガルバノスタティック試験により電池を試験した。
【0096】
比較例1
この比較例は、固体ポリマー電解質(SPE)の調製を示す(図3b参照)。
【0097】
Ar充填ドライボックス(O<5ppm、HO<1ppm)中で、150mgのベンゾフェノンを775mgの蒸留テトラエチレングリコールジメチルエーテルと共に撹拌した。300mgのビス(トリフルオロメタン)スルホンイミドリチウム塩(LiTFSI)を、この撹拌溶液に添加した。次に、775mgのポリ(エチレンオキシド)(PEO)を、撹拌しながら溶液中に少量ずつ添加した。次に、メノウ乳鉢中で混合物を手で粉砕し、ホットプレート上で70~80℃で1時間加熱した。前の操作を繰り返した後、サンプルを2枚のマイラーシートの間に配置し(多層の接着テープをスペーサーとして使用し、約180μmの厚さを得た)、ポリプロピレン書類袋の内側に密封した。乾燥室(10m、20℃で平均R.H.約2%)に置かれたヒートプレス機を使用して、サンプルを50℃で15分間、20barの圧力でホットプレスした。次に、SPEを、40mW/cmで6分間UV硬化させた。バッテリーセルに使用するために、SPEを、グローブボックス中で2つのマイラー箔から注意深く剥がした。
【0098】
<比較例1の正極の作製>
LiFePO(Clariant-LP2から)を活物質として含むN-メチルピロリドン、カーボンブラック、及びPVdFをそれぞれ70:20:10の重量比率でベースとするスラリーから、カソードを通常の方法により調製した。このスラリーをAl箔上に堆積させ、その後一晩(120℃)乾燥させた。
【0099】
<比較例1のセルの製造>
Ar充填グローブボックス中のECC-Std試験セル(EL-Cell、独国)中に、カソード(φ=16mm)、SPE(φ=16mm)及びLi金属箔(φ=14mm)を挟むことによって、セルを組み立てた。試験前に、セルを70℃で一晩置いた。
【0100】
<比較例1のセルの評価>
セルを、上記の実施例1と同じ手順に従って試験した。
【0101】
【表1】
【0102】
本発明のCPE膜を使用すると、20℃でのサイクルが可能であり、又はより低い温度(例えば、0℃)でさえ可能であると考えられ、その結果、周囲温度未満から高温までの広い動作温度範囲にわたる本発明の電池の使用が想定され得る。高温では、120℃までの温度、例えば80~120℃の範囲でのサイクルを想定することができる。
本発明の実施態様の一部を以下の項目〈1〉-〈19〉に記載する。
〈項目1〉複合ポリマー電解質を調製するための硬化性組成物であって、
(A)以下の式を有する一般組成を有する、Liイオン伝導性固体電解質:
Li 7+x-y II III 3-x IV 2-Y 12
(式中、
II は、アルカリ土類金属の群、又はZn 2+ と周期表の同じ族からの少なくとも1つのカチオンであり、
III は、La 3+ 、Al 3+ 、Cr 3+ 、Ga 3+ 、Bi 3+ 、Y 3+ 、In 3+ 及び/又はFe 3+ の中から選択される少なくとも1つのカチオンであり、
IV は、Zr 4+ 、Ti 4+ 、Hf 4+ 、Sn 4+ 及び/又はSi 4+ 、の中から選択される少なくとも1つのカチオンであり、
は、Nb 5+ 、Ta 5+ 、V 5+ 及び/又はP 5+ の中から選択される少なくとも1つのカチオンであり、
ここで、0≦x<3、好ましくは0≦x≦2;かつ0≦y<2、好ましくは0≦y≦1である);
(B)ポリマー;
(C)リチウム塩;
(D)活性可塑剤;及び
(E)光開始剤
を含有している、硬化性組成物。
〈項目2〉前記Liイオン伝導性固体電解質(A)が、ガーネット構造を示している、項目1に記載の硬化性組成物。
〈項目3〉前記Liイオン伝導性固体電解質(A)が、リチウム-ランタン-ジルコン酸塩(LLZO)である、項目1又は2に記載の硬化性組成物。
〈項目4〉前記ポリマー(B)が、ポリエーテル、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリラクトン、ポリ(メタ)アクリレートエステルのタイプのポリマー鎖を有する;又は前記ポリマー(B)が、ポリマー鎖を構成するブロックとして2つ以上の前記ポリマー鎖タイプを含有するブロックコポリマーである;又は前記ポリマー(B)が、2つ以上の前記ポリマー鎖タイプの物理的ブレンドである、項目1~3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
〈項目5〉前記ポリマー(B)が、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)及び/又はポリ(プロピレンオキシド)(PPO)である、項目1~4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
〈項目6〉前記Liイオン塩(C)が、LiPF 、LiBF 、LiClO 、LiFSI、LiTFSI、LiBOB、LiAsF 、LiFAP、LiTriflate、LiDMSI、LiHPSI、LiBETI、LiDFOB、LiBFMB、LiBison、LiDCTA、LiTDI、LiPDIからなる群から選択される1種又は複数種である、項目1~5のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
〈項目7〉前記活性可塑剤(D)が、ジメトキシテトラエチレングリコール(TEGDME)、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテルからなる群から選択される1種又は複数種である、項目1~6のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
〈項目8〉前記活性可塑剤(D)が、10ppm未満、好ましくは5ppm未満の含水量を有する、かつ/又は蒸留プロセスを介して、及び/若しくはモレキュラーシーブ上での乾燥工程を介して、並びに/若しくはその純度を確実にするためにモレキュラーシーブ上での蒸留プロセス及び乾燥工程の両方の組合せを介して得られる、項目1~7のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
〈項目9〉前記光開始剤(E)が、4-メチルベンゾフェノン、ベンゾフェノン、クロロベンゾフェノン、フルオレノン、キサントン、ベンジル、アントラキノン、テレフタロフェノンなどのアリール-CO基を示す光開始剤であるか、又はα-ケトクマリン若しくはテレフタロフェノンである、項目1~8のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
〈項目10〉成分(A)~(E)を、任意に粉砕しながら、100℃を超えない温度で混合することを含む、項目1~9のいずれか一項に記載の組成物の調製方法。
〈項目11〉90℃を超えず、好ましくは80℃を超えない温度で実施する、項目10に記載の方法。
〈項目12〉成分(A)~(E)の混合物に有機溶媒を添加しない、項目10又は11に記載の方法。
〈項目13〉成分(A)~(E)の混合物に常温イオン液体(RTIL)を添加しない、項目10~12のいずれか一項に記載の方法。
〈項目14〉項目1~9のいずれかに記載の組成物を有するフィルム。
〈項目15〉少なくとも0.5μmかつ最大500μm、好ましくは少なくとも1.0μmかつ最大200μmの厚さを有する、項目14に記載のフィルム。
〈項目16〉項目1~9のいずれか一項に記載の硬化性組成物をUV光に暴露することによって得られる、硬化組成物。
〈項目17〉項目14又は15に記載のフィルムをUV光に暴露することによって得られる、硬化フィルム。
〈項目18〉正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層を具備しており、
前記固体電解質層は、項目16に記載の硬化組成物又は項目17に記載の硬化フィルムを含み、前記固体電解質層は、前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に位置する、
固体リチウム電池。
〈項目19〉モノポーラ又はバイポーラ構成で組み立てられている、項目18に記載の固体リチウム電池。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図6
図7a
図7b
図8a
図8b