(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】折り畳み式部材及びフレキシブル表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20220117BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20220117BHJP
F16C 11/04 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
G09F9/00 351
G09F9/00 350Z
G09F9/30 308Z
F16C11/04 F
(21)【出願番号】P 2020515759
(86)(22)【出願日】2017-11-08
(86)【国際出願番号】 CN2017109836
(87)【国際公開番号】W WO2019051967
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2020-03-30
(31)【優先権主張番号】201710831740.3
(32)【優先日】2017-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517333336
【氏名又は名称】武漢華星光電半導体顕示技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】WUHAN CHINA STAR OPTOELECTRONICS SEMICONDUCTOR DISOLAY TECHNOLOGY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】305 Room,Building C5 Biolake of Optics Valley,No.666 Gaoxin Avenue,.Wuhan East Lake High-tech Development Zone Wuhan,Hubei 430079 China
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】▲畢▼ ▲ウェイ▼
【審査官】中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0061836(US,A1)
【文献】特開2012-251572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00 - 9/46
F16C 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み式部材であって、金属フレーム、保護ハウジング、及びフレキシブルヒンジを含み、
前記金属フレームは組立対象のフレキシブルディスプレイパネルを固定することに用いられ、
前記保護ハウジングは組立対象の前記フレキシブルディスプレイパネル及び前記金属フレームを固定することに用いられ、
前記フレキシブルヒンジは前記保護ハウジングに固定され、所定の角度範囲内に停止することに用いられ、
前記フレキシブルヒンジは回転軸、固定ワッシャ、付勢ワッシャ、可動ワッシャ及び皿ばねを含み、前記回転軸は前記固定ワッシャ、前記付勢ワッシャ、前記可動ワッシャ及び前記皿ばねと軸穴嵌合を形成し且つ一体に組み立てられ、隣接する2つの前記回転軸の軸心間距離が等しく、
前記固定ワッシャは、前記付勢ワッシャとタイトフィットを形成し、且つ前記回転軸と締り嵌めを形成し、前記可動ワッシャ及び前記皿ばねは前記回転軸と隙間嵌めを形成し、前記皿ばねは軸方向摩擦力を提供し、調整トルクによって前記フレキシブルヒンジを所定の角度範囲内に停止させるのを実現することに用いられ
、
前記固定ワッシャが互いに隣接する両端は半円弧面であり、且つ前記半円弧面の耐摩耗度が所定値よりも大きく、隣接する2つの前記固定ワッシャの前記半円弧面が嵌合して駆動と従動の運動関係を形成する、折り畳み式部材。
【請求項2】
前記フレキシブルヒンジは少なくとも4つの前記回転軸を含み、1つの前記回転軸に2つずつもたれあう少なくとも1対の前記皿ばねが設置され、前記皿ばねの対称的な両側には、それぞれ1つの前記可動ワッシャ及び2つの前記付勢ワッシャが設置され、4つの前記付勢ワッシャがそれぞれ2つの前記可動ワッシャの両端に並列に設置され、前記可動ワッシャ及び前記付勢ワッシャの対称的な両側には、それぞれ2つの前記固定ワッシャが設置され、且つ前記固定ワッシャが前記可動ワッシャ及び前記付勢ワッシャとずれて設置される、請求項1に記載の折り畳み式部材。
【請求項3】
前記回転軸は、軸径が0.5mm~3.0mmであり、両端に面取り部が設置され、前記皿ばねを組み付けるために中間部位が円柱状であり、且つ前記回転軸の両側が平面である、請求項2に記載の折り畳み式部材。
【請求項4】
前記固定ワッシャ及び前記付勢ワッシャの穿孔に対応する箇所が四角形の孔であり、且つ前記回転軸と締り嵌めされ、前記固定ワッシャは所定の角度をなす2つの第1穿孔及び第2穿孔を含み、前記付勢ワッシャは1つの第3穿孔を含む、請求項3に記載の折り畳み式部材。
【請求項5】
前記固定ワッシャの前記付勢ワッシャと対向する側の表面に、2つの点対称の小ボスが設置され、前記付勢ワッシャの前記固定ワッシャと対向する側に、前記小ボスに対応する、前記小ボスとタイトフィットを形成するための1つの小円孔が設置される、請求項4に記載の折り畳み式部材。
【請求項6】
前記可動ワッシャは、前記回転軸と隙間嵌めを形成するための点対称の2つの第4穿孔を含み、1つの前記第4穿孔の周囲に、前記固定ワッシャの前記小ボスを避けるための1つの環状溝を有する、請求項5に記載の折り畳み式部材。
【請求項7】
前記付勢ワッシャの一端は、前記保護ハウジングと固定するための1つのハンドルを含む、請求項2に記載の折り畳み式部材。
【請求項8】
前記固定ワッシャの厚さは0.1mm~2.0mmであり、前記固定ワッシャ、前記可動ワッシャ、前記付勢ワッシャ及び前記皿ばねの厚さは同じに保持される、請求項1に記載の折り畳み式部材。
【請求項9】
折り畳み式部材であって、金属フレーム、保護ハウジング、及びフレキシブルヒンジを含み、
前記金属フレームは組立対象のフレキシブルディスプレイパネルを固定することに用いられ、
前記保護ハウジングは組立対象の前記フレキシブルディスプレイパネル及び前記金属フレームを固定することに用いられ、
前記フレキシブルヒンジは前記保護ハウジングに固定され、所定の角度範囲内に停止することに用いられ、
前記フレキシブルヒンジは回転軸、固定ワッシャ、付勢ワッシャ、可動ワッシャ及び皿ばねを含み、前記回転軸は前記固定ワッシャ、前記付勢ワッシャ、前記可動ワッシャ及び前記皿ばねと軸穴嵌合を形成し且つ一体に組み立てられ、
前記固定ワッシャは前記付勢ワッシャとタイトフィットを形成し、且つ前記回転軸と締り嵌めを形成し、前記可動ワッシャ及び前記皿ばねは前記回転軸と隙間嵌めを形成し、前記皿ばねは軸方向摩擦力を提供し、調整トルクによって前記フレキシブルヒンジを所定の角度範囲内に停止させるのを実現することに用いられ
、
前記固定ワッシャが互いに隣接する両端は半円弧面であり、且つ前記半円弧面の耐摩耗度が所定値よりも大きく、隣接する2つの前記固定ワッシャの前記半円弧面が嵌合して駆動と従動の運動関係を形成する、折り畳み式部材。
【請求項10】
前記フレキシブルヒンジは少なくとも4つの前記回転軸を含み、1つの前記回転軸に2つずつもたれあう少なくとも1対の前記皿ばねが設置され、前記皿ばねの対称的な両側には、それぞれ1つの前記可動ワッシャ及び2つの前記付勢ワッシャが設置され、4つの前記付勢ワッシャがそれぞれ2つの前記可動ワッシャの両端に並列に設置され、前記可動ワッシャ及び前記付勢ワッシャの対称的な両側には、それぞれ2つの前記固定ワッシャが設置され、且つ前記固定ワッシャが前記可動ワッシャ及び前記付勢ワッシャとずれて設置される、請求項
9に記載の折り畳み式部材。
【請求項11】
前記回転軸は、軸径が0.5mm~3.0mmであり、両端に面取り部が設置され、前記皿ばねに組み付けるために中間部位が円柱状であり、且つ前記回転軸の両側が平面である、請求項
10に記載の折り畳み式部材。
【請求項12】
前記固定ワッシャ及び前記付勢ワッシャの穿孔に対応する箇所が四角形の孔であり、且つ前記回転軸と締り嵌めを形成し、前記固定ワッシャは所定の角度をなす2つの第1穿孔及び第2穿孔を含み、前記付勢ワッシャは1つの第3穿孔を含む、請求項
11に記載の折り畳み式部材。
【請求項13】
前記固定ワッシャの前記付勢ワッシャと対向する側の表面に、2つの点対称の小ボスが設置され、前記付勢ワッシャの前記固定ワッシャと対向する側に、前記小ボスに対応する、前記小ボスとタイトフィットを形成するための1つの小円孔が設置される、請求項
12に記載の折り畳み式部材。
【請求項14】
前記可動ワッシャは、前記回転軸と隙間嵌めを形成するための点対称の2つの第4穿孔を含み、1つの前記第4穿孔の周囲に、前記固定ワッシャの前記小ボスを避けるための1つの環状溝を有する、請求項
13に記載の折り畳み式部材。
【請求項15】
前記付勢ワッシャの一端は、前記保護ハウジングと固定するための1つのハンドルを含む、請求項
10に記載の折り畳み式部材。
【請求項16】
前記固定ワッシャの厚さは0.1mm~2.0mmであり、前記固定ワッシャ、前記可動ワッシャ、前記付勢ワッシャ及び前記皿ばねの厚さは同じに保持される、請求項
9に記載の折り畳み式部材。
【請求項17】
フレキシブル表示装置であって、フレキシブルディスプレイパネル、及び請求項1~16のいずれか一項に記載の折り畳み式部材を含み、
前記折り畳み式部材は前記フレキシブルディスプレイパネルに組み付けられて用いられ、
前記折り畳み式部材は金属フレーム、保護ハウジング、及びフレキシブルヒンジを含み、前記フレキシブルディスプレイパネルが、前記フレキシブルディスプレイパネルを固定するための前記金属フレームに貼着され、前記フレキシブルディスプレイパネル及び前記金属フレームが前記保護ハウジングに固定され、前記フレキシブルヒンジは前記保護ハウジングに固定され、所定の角度範囲内に停止することを実現することに用いられる、フレキシブル表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示技術分野に関し、特に折り畳み式部材及びフレキシブル表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルディスプレイパネルは軽量・薄型で、壊れにくく、湾曲及び折り畳みが可能で、着用可能である等の利点により、フレキシブルディスプレイパネルはますます多くの注目を集めつつある。
【0003】
現在、ほとんどの折り畳み可能なフレキシブルディスプレイパネルでは、フレキシブルヒンジの構造が詳細に説明されておらず、且ついずれもトルクフリーヒンジであり、また、湾曲、折り畳み状態でフレキシブルディスプレイパネルにしわが生じやすく、且つ湾曲角度を維持することが困難であり、自然状態で元の状態に回復しやすい。
【0004】
以上のように、従来技術の折り畳み式部材及びそれによって組み付けられたフレキシブル表示装置は、折り畳み中にディスプレイパネルのしわを引き起こす可能性があり、曲げ角度及び曲げ状態の調整が困難であり、自然状態で曲げ角度を維持することが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、しわのない湾曲及び折り畳み機能を実現でき、所定の角度範囲内に任意に停止し、且つ記憶機能及び高弾性を有し、迅速に元の状態に回復でき、それによりフレキシブル表示装置の性能を向上させることのできる、折り畳み式部材及びフレキシブル表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る技術的手段は以下のとおりである。
【0007】
本発明は折り畳み式部材を提供し、金属フレーム、保護ハウジング、及びフレキシブルヒンジを含み、前記金属フレームは組立対象のフレキシブルディスプレイパネルを固定することに用いられ、前記保護ハウジングは組立対象の前記フレキシブルディスプレイパネル及び前記金属フレームを固定することに用いられ、前記フレキシブルヒンジは前記保護ハウジングに固定され、所定の角度範囲内に停止することに用いられ、前記フレキシブルヒンジは回転軸、固定ワッシャ、付勢ワッシャ、可動ワッシャ及び皿ばねを含み、前記回転軸は前記固定ワッシャ、前記付勢ワッシャ、前記可動ワッシャ及び前記皿ばねと軸穴嵌合を形成し且つ一体に組み立てられ、隣接する2つの前記回転軸の軸心間距離が等しく、前記固定ワッシャは、前記付勢ワッシャとタイトフィットを形成し、且つ前記回転軸と締り嵌めを形成し、前記可動ワッシャ及び前記皿ばねは前記回転軸と隙間嵌めを形成し、前記皿ばねは軸方向摩擦力を提供し、調整トルクによって前記フレキシブルヒンジを所定の角度範囲内に停止させるのを実現することに用いられる。
【0008】
本発明の一好適実施例では、前記フレキシブルヒンジは少なくとも4つの前記回転軸を含み、1つの前記回転軸に2つずつもたれあう少なくとも1対の前記皿ばねが設置され、前記皿ばねの対称的な両側には、それぞれ1つの前記可動ワッシャ及び2つの前記付勢ワッシャが設置され、4つの前記付勢ワッシャがそれぞれ2つの前記可動ワッシャの両端に並列に設置され、前記可動ワッシャ及び前記付勢ワッシャの対称的な両側には、それぞれ2つの前記固定ワッシャが設置され、且つ前記固定ワッシャが前記可動ワッシャ及び前記付勢ワッシャとずれて設置される。
【0009】
本発明の一好適実施例では、前記回転軸は、軸径が0.5mm~3.0mmであり、両端に面取り部が設置され、前記皿ばねを組み付けるために中間部位が円柱状であり、且つ前記回転軸の両側が平面である。
【0010】
本発明の一好適実施例では、前記固定ワッシャ及び前記付勢ワッシャの穿孔に対応する箇所が四角形の孔であり、且つ前記回転軸と締り嵌めを形成し、前記固定ワッシャは所定の角度をなす2つの第1穿孔及び第2穿孔を含み、前記付勢ワッシャは1つの第3穿孔を含む。
【0011】
本発明の一好適実施例では、前記固定ワッシャの前記付勢ワッシャと対向する側の表面に、2つの点対称の小ボスが設置され、前記付勢ワッシャの前記固定ワッシャと対向する側に、前記小ボスに対応する、前記小ボスとタイトフィットを形成するための1つの小円孔が設置される。
【0012】
本発明の一好適実施例では、前記可動ワッシャは、前記回転軸と隙間嵌めを形成するための点対称の2つの第4穿孔を含み、1つの前記第4穿孔の周囲に1つの前記固定ワッシャの前記小ボスを避けるための環状溝を有する。
【0013】
本発明の一好適実施例では、前記固定ワッシャの両端は半円弧面であり、且つ前記半円弧面の耐摩耗度が所定値よりも大きく、隣接する2つの前記固定ワッシャの前記半円弧面が嵌合して駆動と従動の運動関係を形成し、前記付勢ワッシャの一端は、前記保護ハウジングと固定するための1つのハンドルを含む。
【0014】
本発明の一好適実施例では、前記固定ワッシャの厚さは0.1mm~2.0mmであり、前記固定ワッシャ、前記可動ワッシャ、前記付勢ワッシャ及び前記皿ばねの厚さは同じに保持される。
【0015】
本発明はさらにフレキシブル表示装置を提供し、前記フレキシブル表示装置はフレキシブルディスプレイパネル、及び折り畳み式部材を含み、前記折り畳み式部材は前記フレキシブルディスプレイパネルに組み付けられて用いられ、前記折り畳み式部材は金属フレーム、保護ハウジング、及びフレキシブルヒンジを含み、前記フレキシブルディスプレイパネルが、前記フレキシブルディスプレイパネルを固定するための前記金属フレームに貼着され、前記フレキシブルディスプレイパネル及び前記金属フレームが前記保護ハウジングに固定され、前記フレキシブルヒンジは前記保護ハウジングに固定され、所定の角度範囲内に停止することを実現することに用いられる。
【0016】
本発明はさらに折り畳み式部材を提供し、金属フレーム、保護ハウジング、及びフレキシブルヒンジを含み、前記金属フレームは組立対象のフレキシブルディスプレイパネルを固定することに用いられ、前記保護ハウジングは組立対象の前記フレキシブルディスプレイパネル及び前記金属フレームを固定することに用いられ、前記フレキシブルヒンジは前記保護ハウジングに固定され、所定の角度範囲内に停止することに用いられ、前記フレキシブルヒンジは回転軸、固定ワッシャ、付勢ワッシャ、可動ワッシャ及び皿ばねを含み、前記回転軸は前記固定ワッシャ、前記付勢ワッシャ、前記可動ワッシャ及び前記皿ばねと軸穴嵌合を形成し且つ一体に組み立てられることに用いられ、前記固定ワッシャは前記付勢ワッシャとタイトフィットを形成し、且つ前記回転軸と締り嵌めを形成し、前記可動ワッシャ及び前記皿ばねは前記回転軸と隙間嵌めを形成し、前記皿ばねは軸方向摩擦力を提供し、調整トルクによって前記フレキシブルヒンジを所定の角度範囲内に停止させるのを実現することに用いられる。
【0017】
本発明の一好適実施例では、前記フレキシブルヒンジは少なくとも4つの前記回転軸を含み、1つの前記回転軸に2つずつもたれあう少なくとも1対の前記皿ばねが設置され、前記皿ばねの対称的な両側には、それぞれ1つの前記可動ワッシャ及び2つの前記付勢ワッシャが設置され、4つの前記付勢ワッシャがそれぞれ2つの前記可動ワッシャの両端に並列に設置され、前記可動ワッシャ及び前記付勢ワッシャの対称的な両側には、それぞれ2つの前記固定ワッシャが設置され、且つ前記固定ワッシャが前記可動ワッシャ及び前記付勢ワッシャとずれて設置される。
【0018】
本発明の一好適実施例では、前記回転軸は、軸径が0.5mm~3.0mmであり、両端に面取り部が設置され、前記皿ばねを組み付けるために中間部位が円柱状であり、且つ前記回転軸の両側が平面である。
【0019】
本発明の一好適実施例では、前記固定ワッシャ及び前記付勢ワッシャの穿孔に対応する箇所が四角形の孔であり、且つ前記回転軸と締り嵌めを形成し、前記固定ワッシャは所定の角度をなす2つの第1穿孔及び第2穿孔を含み、前記付勢ワッシャは1つの第3穿孔を含む。
【0020】
本発明の一好適実施例では、前記固定ワッシャの前記付勢ワッシャと対向する側の表面に、2つの点対称の小ボスが設置され、前記付勢ワッシャの前記固定ワッシャと対向する側に、前記小ボスに対応する、前記小ボスとタイトフィットを形成するための1つの小円孔が設置される。
【0021】
本発明の一好適実施例では、前記可動ワッシャは、前記回転軸と隙間嵌めを形成するための点対称の2つの第4穿孔を含み、1つの前記第4穿孔の周囲に、前記固定ワッシャの前記小ボスを避けるための1つの環状溝を有する。
【0022】
本発明の一好適実施例では、前記固定ワッシャの両端は半円弧面であり、且つ前記半円弧面の耐摩耗度が所定値よりも大きく、隣接する2つの前記固定ワッシャの前記半円弧面が嵌合して駆動と従動の運動関係を形成し、前記付勢ワッシャの一端は、前記保護ハウジングと固定するための1つのハンドルを含む。
【0023】
本発明の一好適実施例では、前記固定ワッシャの厚さは0.1mm~2.0mmであり、前記固定ワッシャ、前記可動ワッシャ、前記付勢ワッシャ及び前記皿ばねの厚さは同じに保持される。
【発明の効果】
【0024】
本発明の有益な効果は、以下のとおりである。従来の折り畳み式部材及びフレキシブル表示装置に比べて、本発明の折り畳み式部材及びフレキシブル表示装置は、曲げ可能で、且つ締り嵌め、隙間嵌め及びタイトフィットによって調整可能トルクを実現するフレキシブルヒンジを、フレキシブルディスプレイパネルのキャリアとして記憶機能を有する高靭性、高弾性材料製の金属フレーム又は金属板と組み合わせることにより、フレキシブルヒンジのリミット作用及び金属フレーム又は金属板の弾性作用で、しわのない湾曲及び折り畳み機能を実現する。更に、所定の角度範囲内に任意に停止し且つ該状態を維持することができるとともに、迅速に元の状態に回復でき、さらにフレキシブル表示装置の性能を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
実施例又は従来技術における技術的手段をより明瞭に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明に使用される必要がある図面を簡単に説明する。明らかなように、以下説明される図面は単に発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な努力をせずに、これらの図面に基づきほかの図面を取得し得る。
【0026】
【
図1】
図1は本発明に係る折り畳み式部材によって組み付けられたフレキシブル表示装置の斜視図である。
【
図2a】
図2aは本発明に係るフレキシブル表示装置の折り畳みスタイルの一例の模式図である。
【
図2b】
図2bは本発明に係るフレキシブル表示装置の別の折り畳みスタイルの模式図である。
【
図2c】
図2cは本発明に係るフレキシブル表示装置の別の折り畳みスタイルの模式図である。
【
図3】
図3は本発明に係るフレキシブルヒンジの斜視図である。
【
図4】
図4は本発明に係るフレキシブルヒンジの回転軸の斜視図である。
【
図5】
図5は本発明に係るフレキシブルヒンジの固定ワッシャの正面図である。
【
図6】
図6は本発明に係るフレキシブルヒンジの固定ワッシャの背面図である。
【
図7】
図7は本発明に係るフレキシブルヒンジの可動ワッシャの正面図である。
【
図8】
図8は本発明に係るフレキシブルヒンジの付勢ワッシャの斜視図である。
【
図9】
図9は本発明に係るフレキシブルヒンジの皿ばねの斜視図である。
【
図10】
図10は本発明に係るフレキシブルヒンジの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、各実施例の説明は添付図面を参照して行われ、本発明の実施に用いられ得る特定の実施例を例示することに用いられる。本発明に言及される方向用語、例えば「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「内」、「外」、「側面」等は単に添付図面を参照する方向である。従って、使用される方向用語は本発明を説明して理解するためのものであり、本発明を限定するためのものではない。図には、構造が類似するユニットは同一符号で示される。
【0028】
本発明は、従来技術の折り畳み式部材及びフレキシブル表示装置では、折り畳み中、ディスプレイパネルにしわが生じやすく、曲げ角度及び曲げ状態の調整が困難であり、自然状態で曲げ角度を維持することが困難であることにより、フレキシブル表示装置の性能に悪影響を与えるという技術的課題に対してなされ、本実施例は該欠陥を解決することができる。
【0029】
図1は、本発明に係る折り畳み式部材によって組み付けられたフレキシブル表示装置の斜視図であり、フレキシブルディスプレイパネル10及び折り畳み式部材を含み、上記折り畳み式部材は上記フレキシブルディスプレイパネル10に組み付けられて用いられ、そのうち、上記折り畳み式部材は金属フレーム20、保護ハウジング30及びフレキシブルヒンジ40を含み、上記金属フレーム20は、金属板であってもよく、上記フレキシブルディスプレイパネル10が、上記フレキシブルディスプレイパネル10を固定するための上記金属フレーム20に貼着され、上記フレキシブルディスプレイパネル10及び上記金属フレーム20が上記保護ハウジング30に固定され、上記フレキシブルヒンジ40は上記保護ハウジング30に固定される。そのうち、上記金属フレーム20は上記フレキシブルディスプレイパネル10のキャリアとして、記憶機能を有し且つ高弾性及び高靭性を確保し、その記憶機能により上記フレキシブル表示装置を迅速に元の状態に回復させることができる。上記金属フレーム20は高分子薄板、金属薄板等であってもよく、上記金属フレームの中空形状は中間長尺状、鋸歯状、波状等であってもよく、可撓性を向上させる。上記フレキシブル表示装置はしわのない湾曲及び折り畳み機能を実現し、所定の角度範囲内に停止することを実現することができる。上記保護ハウジング30内にさらに電池、マザーボード、カメラ及びフレキシブル回路基板等の部品の組立空間が予め用意されている。
【0030】
上記折り畳み式部材の違いによって、上記フレキシブル表示装置は異なる形態に分けられるようにしてもよく、例えば、
図2aに示すように、上記フレキシブル表示装置の折り畳みスタイルの一例の模式図であり、
図2bは実施例に係る上記フレキシブル表示装置の別の折り畳みスタイルの模式図であり、
図2cは上記フレキシブル表示装置の別の折り畳みスタイルの模式図であり、上記フレキシブル表示装置を実際の需要及び上記折り畳み式部材のスタイルに応じて様々な形態に調整でき、ここでは限定しない。
【0031】
本発明はさらに上記フレキシブル表示装置に組み付けるフレキシブルヒンジを提供し、
図3は、本発明に係るフレキシブルヒンジの斜視図であり、上記フレキシブルヒンジは回転軸、固定ワッシャ、付勢ワッシャ、可動ワッシャ及び皿ばね460を含み、そのうち、上記回転軸は少なくとも第1回転軸411、第2回転軸412、第3回転軸413、及び第4回転軸414を含み、上記固定ワッシャは少なくとも第1固定ワッシャ421、第2固定ワッシャ422、第3固定ワッシャ423、及び第4固定ワッシャ424を含み、上記付勢ワッシャは少なくとも第1付勢ワッシャ431、第2付勢ワッシャ432、第3付勢ワッシャ441、及び第4付勢ワッシャ442を含み、上記可動ワッシャは少なくとも第1可動ワッシャ451、及び第2可動ワッシャ452を含む。上記回転軸は上記固定ワッシャ、上記付勢ワッシャ、上記可動ワッシャ及び上記皿ばね460と軸穴嵌合を形成し且つ一体に組み立てられることに用いられる。
【0032】
図4は、本実施例に係るフレキシブルヒンジの回転軸の斜視図であり、上記回転軸410は第1回転軸、第2回転軸、第3回転軸及び第4回転軸を含み、上記回転軸410の両端に面取り部410-aが設置されるとにより組立が容易になる。上記回転軸410の中間部位410-cは円柱状であり、円柱状の上記中間部位410-cは皿ばねを組み付ける位置であり、上記回転軸410の両側部位410-bは、固定ワッシャ、付勢ワッシャ及び可動ワッシャを組み付けるために平面構造であり、且つ隣接する2つの上記平面の間に面取り部が設置され、それによって組立が容易になる。
上記回転軸410の軸径は0.5mm~3.0mmである。
【0033】
図5は、本実施例に係るフレキシブルヒンジの固定ワッシャの正面図であり、上記固定ワッシャ420は第1半円弧面420-e、及び第2半円弧面420-fを含み、上記第1半円弧面420-e及び上記第2半円弧面420-fは所定範囲の耐摩耗度を有し、上記固定ワッシャ420は2つの異なる角度の四角形の穿孔を有する。本実施例では、好適には、水平方向の第1穿孔420-a及び垂直方向の第2穿孔420-bであり、上記第1穿孔420-aと上記第2穿孔420-bは90度の夾角をなし、且つ回転軸と軸穴嵌合を形成し、且つ締り嵌めである。上記第1穿孔420-aと上記第2穿孔420-bは接続状態であり、且つ接続貫通孔の孔径が上記第1穿孔420-a及び上記第2穿孔420-bの孔径よりも小さい。
図6は、上記固定ワッシャの背面図であり、上記固定ワッシャの背面に2つの点対称の小ボス420-dを含み、それぞれ上記第1穿孔420-aの下方及び上記第2穿孔420-bの上方に位置し、上記小ボス420-dは付勢ワッシャとタイトフィットを形成することに用いられる。
【0034】
図7は、本実施例に係るフレキシブルヒンジの可動ワッシャの正面図である。上記可動ワッシャの両端は2つの半円弧面を含み、上記可動ワッシャは、上記可動ワッシャを回転軸に組み付けるための2つの点対称の円形の第4穿孔450-aを含み、且つ上記回転軸と軸穴嵌合を形成し、且つ隙間嵌めである。上記可動ワッシャの正面に2つの環状溝450-cを有し、それぞれ2つの上記第4穿孔450-aの周囲に位置し、主に固定ワッシャにおける1つの小ボスを避けることに用いられる。上記環状溝450-cは上記小ボスの運動位置に対応し、上記環状溝450-cの深さは上記固定ワッシャの上記小ボスの高さよりも大きい。
【0035】
図8は、本実施例に係るフレキシブルヒンジの付勢ワッシャの斜視図である。上記付勢ワッシャの一端に四角形の、主に上記付勢ワッシャを回転軸に組み付けるための1つの第3穿孔430-aを含み、且つ上記回転軸と軸穴嵌合を形成し、且つ締り嵌めである。上記付勢ワッシャはさらに1つの小円孔430-cを含み、上記小円孔430-cは固定ワッシャの小ボスに対応し且つ上記小ボスとタイトフィットを形成し、リミット作用を発揮する。上記付勢ワッシャの他端には、さらに1つのハンドル430-bを含み、上記ハンドル430-bは折り畳み式部材の保護ハウジングと固定可能であり、その固定方式はねじ、溶接、フック/バックル等の方式であってもよく、ここでは限定しない。
【0036】
図9は、本実施例に係るフレキシブルヒンジの皿ばねの斜視図であり、上記皿ばね460は1つの円形の、上記皿ばね460を回転軸に組み付けるための第5穿孔460-aを含み、且つ上記回転軸と軸穴嵌合を形成し、且つ隙間嵌めである。上記皿ばね460は業界標準を参照して選択でき、主なパラメータは内径、外径、厚さ、内側高さ、外側高さである。本実施例における上記皿ばね460は2枚がもたれあう形態を取るが、実際の状況に応じてほかの形態で組み合わせてもよく、例えば、3枚が平行に積層される形態、4枚が直列に積層される形態、2枚が平行で3回直列に積層される形態等がある。本実施例における上記皿ばね460はタイトフィットのプリロード力に応じて、軸方向摩擦力を提供し、フレキシブルヒンジを所定の角度範囲内に停止させることを実現する。
【0037】
上記固定ワッシャ、可動ワッシャ、付勢ワッシャ、及び皿ばねの厚さは、確実に、いずれも同じになるようにする必要があり、厚さtの範囲は0.1mm~2.0mmである。
【0038】
図10は、本実施例に係るフレキシブルヒンジの側面図である。固定治具(図示せず)で4本の回転軸410を固定し、ポカヨケのために、第1回転軸411と第3回転軸413が同一の角度を維持し、第2回転軸412と第4回転軸414が同一の角度を維持し、且つ上記第1回転軸411、第3回転軸413と第2回転軸412、第4回転軸414とは所定角度ずれている。本実施例では、水平及び垂直方向を採用し、第1固定ワッシャ421、及び第2固定ワッシャ422を順に取り付け、上記第1固定ワッシャ421、及び上記第2固定ワッシャ422が上記回転軸410と締り嵌めされ、相対回転しないことを確実にする。さらに、第1付勢ワッシャ431、第1可動ワッシャ451、及び第3付勢ワッシャ441を順に取り付け、そのうち、第1付勢ワッシャ431、及び第3付勢ワッシャ441が回転軸410と締り嵌めされ、相対回転しないことを確実にし、第1可動ワッシャ451が上記第2回転軸412、上記第3回転軸413と隙間嵌めされる。続いて、8つの皿ばね460を順に取り付け、2つずつもたれあうようにそれぞれ各回転軸に組み付け、且つ上記回転軸410と隙間嵌めされ、その後、第2付勢ワッシャ432、第2可動ワッシャ452、及び第4付勢ワッシャ442を順に取り付ける。ここで、上記第2付勢ワッシャ432、及び上記第4付勢ワッシャ442が上記回転軸410と締り嵌めされ、相対回転しないことを確実にし、上記第2可動ワッシャ452が上記第2回転軸412、及び上記第3回転軸413と隙間嵌めされる。最後に、第3固定ワッシャ423、及び第4固定ワッシャ424を順に取り付け、上記第3固定ワッシャ423、及び上記第4固定ワッシャ424が上記回転軸410に締り嵌めされ、相対回転しないことを確実にする。
【0039】
図11は、本実施例に係るフレキシブルヒンジ構造の
図10中のA-A線断面図である。第3固定ワッシャ423及び第2可動ワッシャ452が第2回転軸412に組み付けられ、上記第3固定ワッシャ423は2つの小ボス423-dを含み、上記第2可動ワッシャ452は上記小ボス423-dに対応する環状溝452-cを含み、上記環状溝452-cは上記小ボス423-dを避けることに用いられる。第1固定ワッシャ421及び第1付勢ワッシャ431が第1回転軸411に組み付けられ、上記第1固定ワッシャ421の上記第1付勢ワッシャ431に接触する面に2つの小ボス421-dが設置され、上記第1付勢ワッシャ431に1つの小円孔431-cが上記小ボス421-dに対応して設置され、上記小ボス421-dが上記小円孔431-cとタイトフィットを形成する。
【0040】
付勢ワッシャ及び固定ワッシャがいずれも対応する回転軸と締り嵌めされるため、付勢ワッシャが外力作用を受けて回転すると、それと締り嵌めされる回転軸が回転することを引き起こし、それにより該回転軸がそれと締り嵌めする固定ワッシャを回転駆動する。隣接する2つの固定ワッシャの間の半円弧面が所定の耐摩耗度を有するため、耐摩耗度が所定値よりも大きい時、該隣接する2つの固定ワッシャが嵌合して駆動と従動の運動関係を形成する。更に、固定ワッシャの小ボスが付勢ワッシャの小円孔とタイトフィットされて、リミット作用を実現する。皿ばねはタイトフィットのプリロード力に応じて、軸方向摩擦力を提供し、一体に組み立てることにより調整可能なトルクが発生するため、所定角度の曲げを実現し、隣接する2つの回転軸の軸心間距離は等しい該状態を維持することができる。
【0041】
実際の状況に応じて、本実施例のフレキシブルヒンジを拡張することができる。縦方向において6軸、8軸、…2n軸まで拡張してもよく、また幅方向において拡張してもよい。固定ワッシャが依然として回転軸の最外両側に組み付けられ、中間部には、対応する数の可動ワッシャ、付勢ワッシャ及び皿ばねを追加することができ、数は実際の状況に応じて決定できるが、ここでは限定しない。
【0042】
従来の折り畳み式部材及びフレキシブル表示装置に比べて、本発明の折り畳み式部材及びフレキシブル表示装置は、曲げ可能で、且つ締り嵌め、隙間嵌め及びタイトフィットによって調整可能トルクを実現するフレキシブルヒンジを、フレキシブルディスプレイパネルのキャリアとして記憶機能を有する高靭性、高弾性材料製の金属フレーム又は金属板と組み合わせることにより、フレキシブルヒンジのリミット作用及び金属フレーム又は金属板の弾性作用で、しわのない湾曲及び折り畳み機能を実現する。さらにフレキシブル表示装置の性能を向上させる。
【0043】
以上のように、本発明の好適実施例を開示したが、上記好適実施例は本発明を限定するものではなく、当業者は本発明の精神及び範囲を逸脱せずに種々の変更や修飾を行うことができ、従って、本発明の保護範囲は特許請求の範囲に定められた範囲に準じるべきである。
【符号の説明】
【0044】
10 フレキシブルディスプレイパネル
20 金属フレーム
30 保護ハウジング
40 フレキシブルヒンジ
410 回転軸
410-a 面取り部
410-b 両側部位
410-c 中間部位
411 第1回転軸
412 第2回転軸
413 第3回転軸
414 第4回転軸
420 固定ワッシャ
420-a 第1穿孔
420-b 第2穿孔
420-d 小ボス
420-e 第1半円弧面
420-f 第2半円弧面
421 第1固定ワッシャ
421-d 小ボス
422 第2固定ワッシャ
423 第3固定ワッシャ
423-d 小ボス
424 第4固定ワッシャ
430-a 第3穿孔
430-b ハンドル
430-c 小円孔
431 第1付勢ワッシャ
431-c 小円孔
432 第2付勢ワッシャ
441 第3付勢ワッシャ
442 第4付勢ワッシャ
450-a 第4穿孔
450-c 環状溝
451 第1可動ワッシャ
452 第2可動ワッシャ
452-c 環状溝
460-a 第5穿孔