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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】内視鏡用電源装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20220117BHJP
【FI】
A61B1/00 735
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020551000
(86)(22)【出願日】2018-10-03
(86)【国際出願番号】 JP2018037005
(87)【国際公開番号】W WO2020070820
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 翔
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特許第6219004(JP,B1)
【文献】特許第6013673(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源投入シーケンスが定められた複数の電子部品を有する内視鏡に対して電源供給を行うように構成された内視鏡用電源装置であって、
前記複数の電子部品各々の駆動に要する複数の駆動電圧を生成するように構成された複数の電源回路と、
前記複数の電子部品と前記複数の電源回路とを個別に接続する複数の電源ライン各々に設けられた複数の電源切替スイッチと、
前記複数の電源回路及び前記複数の電源切替スイッチに対して制御を行うように構成された電源制御部と、
を有し、
前記電源制御部は、前記電源投入シーケンスの各順番において、前記複数の電源回路のうちの一の電源回路と、前記複数の電子部品のうちの一の電子部品と、の間を接続する一の電源ラインに設けられた一の電源切替スイッチをオフに設定した状態で前記一の電源回路の出力電圧が正常であるか否かを判定するための第1の動作と、前記一の電源回路の出力電圧が正常であるとの判定結果に応じて前記一の電子部品の駆動に要する一の駆動電圧の供給を開始させるための第2の動作と、を行う
ことを特徴とする内視鏡用電源装置。
【請求項2】
前記電源制御部は、前記第2の動作を行った後に、前記一の電源ラインに流れる駆動電流が正常であるか否かを判定するための第3の動作をさらに行う
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用電源装置。
【請求項3】
前記電源制御部は、前記内視鏡に設けられたメモリから読み込んだ内視鏡情報に基づき、前記一の電源回路の出力電圧が正常であるか否かを判定する際に用いる電圧値の範囲を特定する
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用電源装置。
【請求項4】
前記電源制御部は、前記内視鏡に設けられたメモリから読み込んだ内視鏡情報に基づき、前記駆動電流が正常であるか否かを判定する際に用いる電流値の範囲を特定する
ことを特徴とする請求項2に記載の内視鏡用電源装置。
【請求項5】
前記電源制御部は、前記第2の動作において、前記一の電源回路から前記一の電源ラインに対する電源出力を一旦停止させるための制御と、前記一の電源切替スイッチをオフからオンに切り替えるための制御と、を行った後で、前記一の電源回路からの前記一の駆動電圧の供給を開始させるための制御を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用電源装置。
【請求項6】
前記内視鏡は、レンズ駆動機構の動作に応じて光軸方向に沿って移動するレンズを有し、
前記複数の電子部品は、前記レンズの現在位置を検出するとともに前記レンズの現在位置を示す信号を出力するように構成されたレンズ位置検出機構に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡用電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内視鏡には、一般的に、駆動電圧が異なる複数の電子部品が設けられている。そのため、内視鏡の使用時には、当該内視鏡に設けられた複数の電子部品各々に応じた電源供給を行う必要がある。そして、例えば、日本国特許第6219004号公報には、内視鏡に設けられた複数の電子部品に対する電源供給において利用可能と考えられる構成が開示されている。
【0003】
具体的には、日本国特許第6219004号公報には、内視鏡に設けられた撮像素子等の複数の電子部品各々に対して電源供給を行うように構成された内視鏡用カメラコントロールユニットが開示されている。また、日本国特許第6219004号公報には、内視鏡に設けられた複数の電子部品に接続される各電源ライン上にスイッチが設けられているとともに、当該スイッチをオフにするための制御が行われた後で当該複数の電子部品各々に対して供給する出力電圧の調整が行われるような構成が開示されている。
【0004】
ここで、内視鏡に設けられた各電子部品の中には、例えば、定格動作条件に該当しない駆動電圧が印加されてしまうことを防ぐために、電源投入シーケンスが定められているものが含まれている場合がある。
【0005】
しかし、日本国特許第6219004号公報には、前述の電源投入シーケンスを考慮しつつ出力電圧の調整を行う観点について特に開示等されていない。
【0006】
そのため、日本国特許第6219004号公報に開示された構成によれば、例えば、各電源ライン上に設けられたいずれかのスイッチが短絡している状態で複数の電子部品各々に対して供給する出力電圧の調整が行われるような場合に、当該スイッチをオフするための制御が行われたにもかかわらず当該スイッチがオンした状態が維持されることに起因し、当該複数の電子部品に対して本来のシーケンスとは異なるシーケンスで電源が投入されてしまうおそれがある、という問題点が生じている。
【0007】
すなわち、日本国特許第6219004号公報に開示された構成によれば、内視鏡に設けられた複数の電子部品に対して本来意図しないシーケンスで電源が投入されてしまうことに起因する不具合が発生するおそれがある、という前述の問題点に応じた課題が生じている。
【0008】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、内視鏡に設けられた複数の電子部品に対して本来意図しないシーケンスで電源が投入されてしまうことに起因する不具合の発生を防止可能な内視鏡用電源装置を提供することを目的としている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の内視鏡用電源装置は、電源投入シーケンスが定められた複数の電子部品を有する内視鏡に対して電源供給を行うように構成された内視鏡用電源装置であって、前記複数の電子部品各々の駆動に要する複数の駆動電圧を生成するように構成された複数の電源回路と、前記複数の電子部品と前記複数の電源回路とを個別に接続する複数の電源ライン各々に設けられた複数の電源切替スイッチと、前記複数の電源回路及び前記複数の電源切替スイッチに対して制御を行うように構成された電源制御部と、を有し、前記電源制御部は、前記電源投入シーケンスの各順番において、前記複数の電源回路のうちの一の電源回路と、前記複数の電子部品のうちの一の電子部品と、の間を接続する一の電源ラインに設けられた一の電源切替スイッチをオフに設定した状態で前記一の電源回路の出力電圧が正常であるか否かを判定するための第1の動作と、前記一の電源回路の出力電圧が正常であるとの判定結果に応じて前記一の電子部品の駆動に要する一の駆動電圧の供給を開始させるための第2の動作と、を行う。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る内視鏡システムの要部の構成を示す図。
図2】実施形態に係る内視鏡に設けられた撮像部の構成の一例を示す図。
図3】実施形態に係るカメラコントロールユニットの構成の一例を示す図。
図4】実施形態に係るカメラコントロールユニットにおいて行われる処理等の具体例の一部を示すフローチャート。
図5図4の処理の続きを示すフローチャート。
図6】実施形態の変形例に係るカメラコントロールユニットにおいて行われる処理を説明するための図。
図7】実施形態の変形例に係るカメラコントロールユニットにおいて行われる処理を説明するための図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明を行う。
【0012】
図1から図7は、本発明の実施形態に係るものである。
【0013】
内視鏡システム1は、例えば、図1に示すように、内視鏡11と、本体装置21と、表示装置31と、を有して構成されている。図1は、実施形態に係る内視鏡システムの要部の構成を示す図である。
【0014】
内視鏡11は、例えば、被検体内に挿入可能な細長形状の挿入部(不図示)と、当該挿入部の基端部に設けられた操作部(不図示)と、を具備して構成されている。また、内視鏡11は、例えば、操作部から延びるユニバーサルケーブル(不図示)を介し、本体装置21に対して着脱自在に接続されるように構成されている。また、内視鏡11の内部には、例えば、本体装置21から供給される照明光を導光して挿入部の先端部から出射するための光ファイバ等の導光部材(不図示)が設けられている。また、内視鏡11は、撮像部12と、スコープメモリ13と、を有して構成されている。
【0015】
撮像部12は、内視鏡11の挿入部の先端部に設けられている。また、撮像部12は、例えば、図2に示すように、対物レンズ121と、結像レンズ122と、撮像素子123と、レンズ駆動機構124と、レンズ位置検出機構125と、を有して構成されている。図2は、実施形態に係る内視鏡に設けられた撮像部の構成の一例を示す図である。
【0016】
対物レンズ121は、内視鏡11の挿入部の先端部に設けられた観察窓(不図示)に取り付けられている。また、対物レンズ121は、例えば、内視鏡11の挿入部の長手軸方向に平行な光軸OPAを有して構成されている。また、対物レンズ121は、内視鏡11の挿入部の先端部を経て出射された照明光により照明された被写体からの戻り光に応じた光学像を得るように構成されている。
【0017】
結像レンズ122は、レンズ枠122Aにより保持されている。また、結像レンズ122は、対物レンズ121により得られた光学像を結像するように構成されている。また、結像レンズ122は、レンズ枠122Aに取り付けられたレンズ駆動機構124の動作に応じ、光軸OPA方向に沿って移動することができるように構成されている。
【0018】
撮像素子123は、例えば、CCDまたはCMOSのようなイメージセンサを具備して構成されている。また、撮像素子123は、結像レンズ122により結像された光学像を光電変換して撮像するための複数の画素と、当該複数の画素を2次元状に配置した撮像面上に設けられたカラーフィルタと、を具備して構成されている。なお、前述のカラーフィルタは、例えば、R(赤色)、G(緑色)及びB(青色)の微小なフィルタを撮像素子22cの各画素に対応する位置にベイヤ配列で配置することにより形成されている。また、撮像素子123は、本体装置21から供給される撮像素子駆動信号に応じて駆動するように構成されている。また、撮像素子123は、結像レンズ122により結像された光学像を撮像することにより撮像信号を生成し、当該生成した撮像信号を本体装置21へ出力するように構成されている。
【0019】
レンズ駆動機構124は、例えば、ボイスコイルモータ、圧電素子、または、形状記憶合金を具備して構成されている。また、レンズ駆動機構124は、本体装置21から供給されるレンズ駆動信号に応じ、対物レンズ121の光出射面と撮像素子123の撮像面との間の所定の可動範囲内で結像レンズ122(レンズ枠122A)を移動させるための動作を行うことができるように構成されている。
【0020】
レンズ位置検出機構125は、レンズ駆動機構124の動作に応じて移動する結像レンズ122(レンズ枠122A)の現在位置を検出し、当該検出した結像レンズ122(レンズ枠122A)の現在位置を示すレンズ位置検出信号を生成し、当該生成したレンズ位置検出信号を本体装置21へ出力するように構成されている。また、レンズ位置検出機構125は、例えば、図2に示すように、レンズ枠122Aに取り付けられた磁石125Aと、ホール素子125Bと、差動増幅器125Cと、を有して構成されている。
【0021】
磁石125Aは、例えば、レンズ枠122Aの外周部に取り付けられており、結像レンズ122の移動に伴って移動することができるように構成されている。また、磁石125Aは、結像レンズ122(レンズ枠122A)が現在配置されている位置の近傍において磁界を発生するように構成されている。
【0022】
ホール素子125Bは、磁石125Aから発せられる磁界を検出し、当該検出した磁界の強度に応じた磁界検出信号を生成し、当該生成した磁界検出信号を差動増幅器125Cへ出力するように構成されている。また、ホール素子125Bは、電源ラインPLBを介して本体装置21のカメラコントロールユニット27(後述)に接続されているとともに、当該電源ラインPLBを経て供給される駆動電圧を用いて動作するように構成されている。
【0023】
差動増幅器125Cは、例えば、オペアンプ等を有して構成されている。また、差動増幅器125Cは、ホール素子125Bから出力される磁界検出信号を増幅し、当該増幅した磁界検出信号をレンズ位置検出信号として本体装置21へ出力するように構成されている。また、差動増幅器125Cは、電源ラインPLAを介して本体装置21のカメラコントロールユニット27に接続されているとともに、当該電源ラインPLAを経て供給される駆動電圧を用いて動作するように構成されている。
【0024】
スコープメモリ13には、内視鏡11に固有の情報を含む内視鏡情報が格納されている。スコープメモリ13に格納された内視鏡情報は、内視鏡11と本体装置21とが電気的に接続され、かつ、本体装置21の電源がオンされた際に、本体装置21の制御部25及び電源制御部277(いずれも後述)により読み出される。
【0025】
本体装置21は、内視鏡11及び表示装置31のそれぞれに対して着脱自在に接続されるように構成されている。また、本体装置21は、例えば、図1に示すように、光源部22と、画像生成部23と、入力I/F(インターフェース)24と、制御部25と、記憶媒体26と、を有して構成されている。
【0026】
光源部22は、例えば、LED等のような1つ以上の発光素子を具備して構成されている。具体的には、光源部22は、例えば、青色光(以降、B光とも称する)を発生する青色LEDと、緑色光(以降、G光とも称する)を発生する緑色LEDと、赤色光(以降、R光とも称する)を発生する赤色LEDと、を有して構成されている。また、光源部22は、制御部25の制御に応じた照明光を発生して内視鏡11に供給することができるように構成されている。
【0027】
画像生成部23は、例えば、画像生成回路を具備して構成されている。また、画像生成部23は、内視鏡11から出力される撮像信号に基づいて内視鏡画像を生成し、当該生成した内視鏡画像を表示装置31へ出力するように構成されている。
【0028】
入力I/F24には、ユーザの入力操作に応じた指示を制御部25に対して行うことが可能な1つ以上のスイッチが設けられている。
【0029】
制御部25は、入力I/F24においてなされた指示、及び/または、スコープメモリ13から読み込んだ内視鏡情報に基づき、内視鏡11及び本体装置21の各部の動作に係る制御を行うように構成されている。また、制御部25は、撮像部12の制御に係る動作を行うカメラコントロールユニット27を有して構成されている。
【0030】
カメラコントロールユニット27は、撮像素子123を駆動させるための撮像素子駆動信号を生成して内視鏡11へ出力するように構成されている。
【0031】
カメラコントロールユニット27は、電源投入シーケンスが定められた複数の電子部品を有する内視鏡に対して電源供給を行う内視鏡用電源装置としての機能を有して構成されている。また、カメラコントロールユニット27は、図3に示すように、A/Dコンバータ271と、レンズ駆動制御部272と、レンズ駆動回路273と、電源回路274A及び274Bと、電源切替スイッチ275A及び275Bと、検出器276A及び276Bと、電源制御部277と、を有して構成されている。図3は、実施形態に係るカメラコントロールユニットの構成の一例を示す図である。
【0032】
A/Dコンバータ271は、内視鏡11から出力されるレンズ位置検出信号をデジタル信号に変換してレンズ駆動制御部272へ出力するように構成されている。
【0033】
レンズ駆動制御部272は、例えば、レンズ駆動制御回路を具備して構成されている。また、レンズ駆動制御部272は、画像生成部23により生成された内視鏡画像と、A/Dコンバータ271から出力されるデジタル信号と、に基づき、当該内視鏡画像のピントが合うような位置に結像レンズ122を配置させるための制御をレンズ駆動回路273に対して行うように構成されている。
【0034】
レンズ駆動回路273は、レンズ駆動制御部272の制御に応じ、レンズ駆動機構124を駆動させるためのレンズ駆動信号を生成して内視鏡11へ出力するように構成されている。
【0035】
電源回路274Aは、電源ラインPLAを介して内視鏡11の差動増幅器125Cに接続されている。また、電源回路274Aは、商用電源等の外部電源(不図示)から供給される電源電圧を用い、電源制御部277の制御に応じた出力電圧を生成して出力するように構成されている。また、電源回路274Aは、商用電源等の外部電源から供給される電源電圧を用い、差動増幅器125Cの駆動に要する駆動電圧を生成することができるように構成されている。
【0036】
電源切替スイッチ275Aは、電源回路274Aと差動増幅器125Cとを接続する電源ラインPLA上に設けられているとともに、電源制御部277の制御に応じてオンまたはオフのいずれかに設定される(切り替わる)ように構成されている。
【0037】
検出器276Aは、電源ラインPLAのうちの電源回路274Aと電源切替スイッチ275Aとの間の区間に印加されている印加電圧の電圧値を検出するとともに、当該検出した電圧値を電源制御部277へ出力するように構成されている。また、検出器276Aは、電源ラインPLAのうちの電源回路274Aと電源切替スイッチ275Aとの間の区間に印加されている印加電流の電流値を検出するとともに、当該検出した電流値を電源制御部277へ出力するように構成されている。
【0038】
電源回路274Bは、電源ラインPLBを介して内視鏡11のホール素子125Bに接続されている。また、電源回路274Bは、商用電源等の外部電源から供給される電源電圧を用い、電源制御部277の制御に応じた出力電圧を生成して出力するように構成されている。また、電源回路274Bは、商用電源等の外部電源から供給される電源電圧を用い、ホール素子125Bの駆動に要する駆動電圧を生成することができるように構成されている。
【0039】
電源切替スイッチ275Bは、電源回路274Bとホール素子125Bとを接続する電源ラインPLB上に設けられているとともに、電源制御部277の制御に応じてオンまたはオフのいずれかに設定される(切り替わる)ように構成されている。
【0040】
検出器276Bは、電源ラインPLBのうちの電源回路274Bと電源切替スイッチ275Bとの間の区間に印加されている印加電圧の電圧値を検出するとともに、当該検出した電圧値を電源制御部277へ出力するように構成されている。また、検出器276Bは、電源ラインPLBのうちの電源回路274Bと電源切替スイッチ275Bとの間の区間に印加されている印加電流の電流値を検出するとともに、当該検出した電流値を電源制御部277へ出力するように構成されている。
【0041】
電源制御部277は、例えば、電源制御回路を具備して構成されている。また、電源制御部277は、電源回路274A及び274Bから出力される出力電圧を制御するように構成されている。また、電源制御部277は、電源切替スイッチ275Aをオンまたはオフのいずれかに設定するための制御を行うように構成されている。また、電源制御部277は、電源切替スイッチ275Bをオンまたはオフのいずれかに設定するための制御を行うように構成されている。すなわち、電源制御部277は、電源回路274A及び274Bと、電源切替スイッチ275A及び275Bと、に対して制御を行うように構成されている。また、電源制御部277は、本体装置21の電源がオンされた際に、記憶媒体26に格納されている電源制御情報(後述)を読み込むように構成されている。また、電源制御部277は、記憶媒体26から読み込んだ電源制御情報に基づく動作を行うように構成されている。なお、電源制御部277が記憶媒体26から読み込んだ電源制御情報に基づいて行う動作の具体例については、後程説明する。
【0042】
記憶媒体26には、電源制御部277により用いられる電源制御情報等の情報が格納されている。前述の電源制御情報には、例えば、電源回路274A及び274Bに対する制御における制御シーケンスを示す情報と、ホール素子125Bの駆動に要する駆動電圧の電圧値の範囲を示す情報と、差動増幅器125Cの駆動に要する駆動電圧の電圧値の範囲を示す情報と、が含まれている。
【0043】
表示装置31は、例えば、モニタ等を具備して構成されている。また、表示装置31は、本体装置21から出力される内視鏡画像を表示することができるように構成されている。
【0044】
続いて、本実施形態の作用について、図4及び図5を参照しつつ説明する。なお、以降においては、レンズ位置検出機構125の電源投入シーケンスが、差動増幅器125Cに対する駆動電圧の供給を行った後にホール素子125Bに対する駆動電圧の供給を行うように定められているものとして説明を行う。また、以降においては、記憶媒体26に格納されている電源制御情報に含まれる制御シーケンスが、レンズ位置検出機構125の電源投入シーケンスに則って作成されているものとして説明を行う。図4は、実施形態に係る内視鏡システムに含まれるカメラコントロールユニットにおいて行われる処理等の具体例の一部を示すフローチャートである。図5は、図4の処理の続きを示すフローチャートである。
【0045】
電源制御部277は、本体装置21の電源がオンされた際に、電源ラインPLA上の電源切替スイッチ275Aと、電源ラインPLB上の電源切替スイッチ275Bと、をオフに設定するための制御を行う(図4のステップS1)。また、電源制御部277は、本体装置21の電源がオンされた際に、記憶媒体26に格納されている電源制御情報を読み込む。また、電源制御部277は、図4のステップS1の動作を行った後で、記憶媒体26から読み込んだ電源制御情報に含まれる制御シーケンスに基づく動作を行う。すなわち、電源制御部277は、レンズ位置検出機構125(に含まれるホール素子125B及び差動増幅器125C)の電源投入シーケンスに係る動作を行う前に、電源ラインPLA上の電源切替スイッチ275Aと、電源ラインPLB上の電源切替スイッチ275Bと、をオフに設定するための制御を行う。
【0046】
電源制御部277は、記憶媒体26から読み込んだ電源制御情報に基づき、例えば、差動増幅器125Cの駆動に要する駆動電圧の電圧値の範囲が電圧値DVA以上かつ電圧値DVB以下であることを特定する。なお、電圧値DVA及びDVBは、商用電源等の外部電源から電源回路274Aへ供給される電源電圧の電圧値よりも小さい値にそれぞれ設定されているものとする。
【0047】
電源制御部277は、検出器276Aから出力される電圧値が電圧値DVA以上かつ電圧値DVB以下の範囲内に収まるように、電源回路274Aから電源ラインPLAに対して出力される出力電圧を調整するための動作を行う(図4のステップS2)。
【0048】
電源制御部277は、図4のステップS2の動作を一定期間行った後で検出器276Aから出力される調整後の電圧値PVAが正常であるか否かに係る判定を行う(図4のステップS3)。
【0049】
電源制御部277は、調整後の電圧値PVAが電圧値DVA以上かつ電圧値DVB以下の範囲に属していることを検出した場合には、当該調整後の電圧値PVAが正常であるとの判定結果を取得した(S3:YES)後、後述の図4のステップS4の動作を行う。また、電源制御部277は、調整後の電圧値PVAが電圧値DVA以上かつ電圧値DVB以下の範囲から外れていることを検出した場合には、当該調整後の電圧値PVAが異常であるとの判定結果を取得した(S3:NO)後、後述の図5のステップS12の動作を行う。
【0050】
電源制御部277は、電源回路274Aから電源ラインPLAに対する電源出力を一旦停止させるための動作を行う(図4のステップS4)。また、電源制御部277は、図4のステップS4の動作を行った後で、電源ラインPLA上の電源切替スイッチ275Aをオンに設定する(図4のステップS5)。そして、電源制御部277は、検出器276Aから出力される電圧値に基づき、図4のステップS3により得られた調整後の電圧値PVAを有する駆動電圧の供給を開始させるための制御を電源回路274Aに対して行う(図4のステップS6)。
【0051】
すなわち、電源制御部277は、レンズ位置検出機構125(に含まれるホール素子125B及び差動増幅器125C)の電源投入シーケンスの1番目において、電源回路274Aと差動増幅器125Cとの間を接続する電源ラインPLAに設けられた電源切替スイッチ275Aをオフに設定した状態で電源回路274Aの出力電圧が正常であるか否かを判定するための動作と、電源回路274Aの出力電圧が正常であるとの判定結果に応じて調整後の電圧値PVAを有する駆動電圧の供給を開始させるための動作と、を行う。また、電源制御部277は、検出器276Aから出力される電圧値が正常であるとの判定結果を得た場合に、電源回路274Aから電源ラインPLAに対する電源出力を一旦停止させるための制御と、電源切替スイッチ275Aをオフからオンに切り替えるための制御と、を行った後で、電源回路274Aからの調整後の電圧値PVAを有する駆動電圧の供給を開始させるための制御を行う。
【0052】
以上に述べた動作によれば、電源ラインPLA上の電源切替スイッチ275Aがオフに設定された状態において、電源回路274Aから電源ラインPLAに対して出力される出力電圧の調整が行われるとともに、検出器276Aから出力される電圧値が正常であるか否かに係る判定が行われる。
【0053】
電源制御部277は、記憶媒体26から読み込んだ電源制御情報に基づき、例えば、ホール素子125Bの駆動に要する駆動電圧の電圧値の範囲が電圧値DVM以上かつ電圧値DVN以下であることを特定する。なお、電圧値DVM及びDVNは、商用電源等の外部電源から電源回路274Bへ供給される電源電圧の電圧値よりも小さい値にそれぞれ設定されているものとする。
【0054】
電源制御部277は、検出器276Bから出力される電圧値が電圧値DVM以上かつ電圧値DVN以下の範囲内に収まるように、電源回路274Bから電源ラインPLBに対して出力される出力電圧を調整するための動作を行う(図5のステップS7)。
【0055】
電源制御部277は、図5のステップS7の動作を一定期間行った後で検出器276Bから出力される調整後の電圧値PVBが正常であるか否かに係る判定を行う(図5のステップS8)。
【0056】
電源制御部277は、調整後の電圧値PVBが電圧値DVM以上かつ電圧値DVN以下の範囲に属していることを検出した場合には、当該調整後の電圧値PVBが正常であるとの判定結果を取得した(S8:YES)後、後述の図5のステップS9の動作を行う。また、電源制御部277は、調整後の電圧値PVBが電圧値DVM以上かつ電圧値DVN以下の範囲から外れていることを検出した場合には、当該調整後の電圧値PVBが異常であるとの判定結果を取得した(S8:NO)後、後述の図5のステップS12の動作を行う。
【0057】
電源制御部277は、電源回路274Bから電源ラインPLBに対する電源出力を一旦停止させるための動作を行う(図5のステップS9)。また、電源制御部277は、図5のステップS9の動作を行った後で、電源ラインPLB上の電源切替スイッチ275Bをオンに設定する(図5のステップS10)。そして、電源制御部277は、検出器276Bから出力される電圧値に基づき、図5のステップS8により得られた調整後の電圧値PVBを有する駆動電圧の供給を開始させるための制御を電源回路274Bに対して行った(図5のステップS11)後、記憶媒体26から読み込んだ電源制御情報に含まれる制御シーケンスに基づく一連の動作を終了する。
【0058】
すなわち、電源制御部277は、レンズ位置検出機構125(に含まれるホール素子125B及び差動増幅器125C)の電源投入シーケンスの2番目において、電源回路274Bとホール素子125Bとの間を接続する電源ラインPLBに設けられた電源切替スイッチ275Bをオフに設定した状態で電源回路274Bの出力電圧が正常であるか否かを判定するための動作と、電源回路274Bの出力電圧が正常であるとの判定結果に応じて調整後の電圧値PVBを有する駆動電圧の供給を開始させるための動作と、を行う。また、電源制御部277は、検出器276Bから出力される電圧値が正常であるとの判定結果を得た場合に、電源回路274Bから電源ラインPLBに対する電源出力を一旦停止させるための制御と、電源切替スイッチ275Bをオフからオンに切り替えるための制御と、を行った後で、電源回路274Bからの調整後の電圧値PVBを有する駆動電圧の供給を開始させるための制御を行う。
【0059】
以上に述べたような動作によれば、電源回路274Aから差動増幅器125Cへの駆動電圧の供給が開始され、かつ、電源ラインPLB上の電源切替スイッチ275Bがオフに設定された状態において、電源回路274Bから電源ラインPLBに対して出力される出力電圧の調整が行われるとともに、検出器276Bから出力される電圧値が正常であるか否かに係る判定が行われる。
【0060】
電源制御部277は、調整後の電圧値PVAが異常であるとの判定結果を取得した場合に、例えば、電源回路274Aまたは電源回路274Aの周辺において不具合が発生している旨を示す文字列等を含むアラートを表示装置31に表示させるための動作を行った(図5のステップS12)後、記憶媒体26から読み込んだ電源制御情報に含まれる制御シーケンスに基づく一連の動作を終了する。また、電源制御部277は、調整後の電圧値PVBが異常であるとの判定結果を取得した場合に、例えば、電源回路274Bまたは電源回路274Bの周辺において不具合が発生している旨を示す文字列等を含むアラートを表示装置31に表示させるための動作を行った(図5のステップS12)後、記憶媒体26から読み込んだ電源制御情報に含まれる制御シーケンスに基づく一連の動作を終了する。
【0061】
以上に述べたように、本実施形態によれば、電源回路274Aから電源ラインPLAに対して出力される出力電圧が正常であることが確認され、かつ、電源回路274Aから差動増幅器125Cに対する駆動電圧の供給が開始された状態において、電源回路274Bから電源ラインPLBに対して出力される出力電圧が正常であるか否かを確認するための動作が行われる。そのため、本実施形態によれば、例えば、電源ラインPLB上の電源切替スイッチ275Bが意図せず(電源制御部277の制御に従わずに)オンされ続けてしまうような状況が発生した場合であっても、差動増幅器125Cよりも先にホール素子125Bに対して駆動電圧の供給が開始されてしまうことに起因する不具合の発生を防止することができる。従って、本実施形態によれば、内視鏡に設けられた複数の電子部品に対して本来意図しないシーケンスで電源が投入されてしまうことに起因する不具合の発生を防止することができる。
【0062】
以上に述べたように、本実施形態によれば、調整後の電圧値PVAが正常であるとの判定結果が取得された場合に、電源回路274Aから電源ラインPLAに対する電源出力を一旦停止させた後で改めて駆動電圧の供給を開始させるようにしている。そのため、本実施形態によれば、電源回路274Aからの電源出力が行われている状態で電源切替スイッチ275Aがオフからオンに切り替えられることに起因して生じるピークノイズを防止することができる。
【0063】
以上に述べたように、本実施形態によれば、調整後の電圧値PVBが正常であるとの判定結果が取得された場合に、電源回路274Bから電源ラインPLBに対する電源出力を一旦停止させた後で改めて駆動電圧の供給を開始させるようにしている。そのため、本実施形態によれば、電源回路274Bからの電源出力が行われている状態で電源切替スイッチ275Bがオフからオンに切り替えられることに起因して生じるピークノイズを防止することができる。
【0064】
なお、本実施形態によれば、ホール素子125Bの駆動に要する駆動電圧の電圧値の範囲を示す情報と、差動増幅器125Cの駆動に要する駆動電圧の電圧値の範囲を示す情報と、がスコープメモリ13に格納された内視鏡情報に含まれていてもよい。すなわち、本実施形態の電源制御部277は、内視鏡11に設けられたスコープメモリ13から読み込んだ内視鏡情報に基づき、電源回路274Aの出力電圧が正常であるか否かを判定する際に用いる電圧値の範囲と、電源回路274Bの出力電圧が正常であるか否かを判定する際に用いる電圧値の範囲と、をそれぞれ特定するようにしてもよい。
【0065】
また、本実施形態によれば、例えば、ホール素子125Bの駆動に要する駆動電流の電電流値の範囲を示す情報と、差動増幅器125Cの駆動に要する駆動電流の電流値の範囲を示す情報と、がスコープメモリ13に格納されている場合において、図6及び図7に示すような変形例に係る動作がさらに行われるようにしてもよい。このような変形例に係る動作の具体例について、以下に説明する。なお、以降においては、簡単のため、既述の動作等を適用可能な部分に関する具体的な説明を適宜省略するものとする。図6及び図7は、実施形態の変形例に係るカメラコントロールユニットにおいて行われる処理を説明するための図である。
【0066】
電源制御部277は、スコープメモリ13から読み込んだ内視鏡情報に基づき、例えば、差動増幅器125Cの駆動に要する駆動電流の電流値の範囲が電流値DIA以上かつ電流値DIB以下であることを特定する。すなわち、電源制御部277は、スコープメモリ13から読み込んだ内視鏡情報に基づき、後述の図6のステップS21の判定を行う際に用いる電流値の範囲を特定する。なお、電流値DIA及びDIBは、例えば、差動増幅器125Cの定格電流等の動作条件に応じた値として設定されていればよい。
【0067】
電源制御部277は、図4のステップS6の動作を行った後に、検出器276Aから出力される駆動電流の電流値PIAが正常であるか否かに係る判定を行う(図6のステップS21)。すなわち、電源制御部277は、調整後の電圧値PVAを有する駆動電圧の供給を開始させるための動作を行った後に、電源ラインPLAに流れる駆動電流が正常であるか否かを判定するための動作を行う。
【0068】
電源制御部277は、駆動電流の電流値PIAが電流値DIA以上かつ電流値DIB以下の範囲に属していることを検出した場合には、当該駆動電流の電流値PIAが正常であるとの判定結果を取得した(S21:YES)後、前述の図5のステップS7の動作を行う。また、電源制御部277は、駆動電流の電流値PIAが電流値DIA以上かつ電流値DIB以下の範囲から外れていることを検出した場合には、当該駆動電流の電流値PIAが異常であるとの判定結果を取得した(S21:NO)後、前述の図5のステップS12の動作を行う。
【0069】
電源制御部277は、スコープメモリ13から読み込んだ内視鏡情報に基づき、例えば、ホール素子125Bの駆動に要する駆動電流の電流値の範囲が電流値DIM以上かつ電流値DIN以下であることを特定する。すなわち、電源制御部277は、スコープメモリ13から読み込んだ内視鏡情報に基づき、後述の図7のステップS31の判定を行う際に用いる電流値の範囲を特定する。なお、電流値DIM及びDINは、例えば、ホール素子125Bの定格電流等の動作条件に応じた値として設定されていればよい。
【0070】
電源制御部277は、図5のステップS11の動作を行った後に、検出器276Bから出力される駆動電流の電流値PIBが正常であるか否かに係る判定を行う(図7のステップS31)。すなわち、電源制御部277は、調整後の電圧値PVBを有する駆動電圧の供給を開始させるための動作を行った後に、電源ラインPLBに流れる駆動電流が正常であるか否かを判定するための動作を行う。
【0071】
電源制御部277は、駆動電流の電流値PIBが電流値DIM以上かつ電流値DIN以下の範囲に属していることを検出した場合には、当該駆動電流の電流値PIBが正常であるとの判定結果を取得した(S31:YES)後、記憶媒体26から読み込んだ電源制御情報に含まれる制御シーケンスに基づく一連の動作を終了する。また、電源制御部277は、駆動電流の電流値PIBが電流値DIM以上かつ電流値DIN以下の範囲から外れていることを検出した場合には、当該駆動電流の電流値PIBが異常であるとの判定結果を取得した(S31:NO)後、前述の図5のステップS12の動作を行う。
【0072】
以上に述べたように、本変形例によれば、電源回路274Bから電源ラインPLBに対して出力される出力電圧が正常であるか否かを確認するための動作が行われる前に、電源ラインPLAに流れる駆動電流の電流値PIAが正常であるか否かに係る判定が行われる。そのため、本変形例によれば、例えば、電源ラインPLA上の電源切替スイッチ275Aが意図せず(電源制御部277の制御に従わずに)オフされ続けてしまうような状況が発生した場合であっても、差動増幅器125Cよりも先にホール素子125Bに対して駆動電圧の供給が開始されてしまうことに起因する不具合の発生を防止することができる。
【0073】
なお、上述した実施形態及び変形例は、ホール素子125B及び差動増幅器125Cの2つの電子部品の電源供給において適用されるものに限らず、電源投入シーケンスが定められた3つ以上の電子部品の電源供給において適用されるように適宜変形してもよい。すなわち、上述した実施形態及び変形例は、電源投入シーケンスが定められた複数の電子部品の電源供給において適用することができる。
【0074】
本発明は、上述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更や応用が可能であることは勿論である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7