(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】身体部分固定装置にマスクを設置するための簡易なオン/簡易なオフのクリップ又はクランプ
(51)【国際特許分類】
A61B 90/18 20160101AFI20220117BHJP
F16B 2/20 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
A61B90/18
F16B2/20 A
(21)【出願番号】P 2020551920
(86)(22)【出願日】2019-03-25
(86)【国際出願番号】 US2019023850
(87)【国際公開番号】W WO2019190973
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-10-05
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503459349
【氏名又は名称】メドテック インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ノルドグレン、グレゴリー ネフィ
(72)【発明者】
【氏名】バーナット、ウィリアム ルイス
(72)【発明者】
【氏名】デュランド、ルノー
(72)【発明者】
【氏名】ファン フォールスト、キース
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/124232(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0008840(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 90/18
F16B 2/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクフレームであって、
患者の身体部分の周りに又はそれに亘って適合する第1の形状、及び
前記マスクフレームが身体部分位置決め装置とドッキングされている場合に、前記マスクフレームに接続され、且つ前記マスクフレームを前記身体部分位置決め装置にクリップ又はクランプするように構成された少なくとも1つのクリップ又はクランプ
を備え、
前記少なくとも1つのクリップは、前記マスクフレームの
側縁に接続された少なくとも1つの可撓性ばねアームを備え、前記少なくとも1つの可撓性ばねアームは、
前記少なくとも1つのクリップの設置保持部材が前記身体部分位置決め装置の表面にクリップし、又はそれからクリップ解除することを可能にするように、前記マスクフレームの前記
側縁
に対して屈曲し、
前記少なくとも1つの可撓性ばねアームは、前記マスクフレームの前記第1の形状と一体的に形成され、
前記少なくとも1つのクランプは、前記マスクフレームにおいて回転軸線の周りを回転し
て、前記マスクフレームを前記身体部分位置決め装置にクランプ
するために前記身体部分位置決め装置及び前記マスクフレームと嵌合するように構成された少なくとも1つのクランプアームを備え
、前記少なくとも1つのクランプアームは、クランプスペースを更に備え、前記クランプアームが前記回転軸線の周りに回転する場合に、前記身体部分位置決め装置のフランジ及び前記マスクフレームの一部が、前記クランプスペース内でクランプされる、
マスクフレームと、
前記身体部分に適合するように前記マスクフレームに取り付けられた材料のシートと
を備える医療用マスク。
【請求項2】
前記身体部分位置決め装置は、前記身体部分を受容するように構成された第2の形状を更に備えるシェルフレームを備え、前記シェルフレームは
前記フランジを備え、前記少なくとも1つのクリップ又はクランプは、前記マスクフレームが前記シェルフレームとドッキングされている場合に、前記シェルフレームの前
記フランジの外縁と嵌合するように更に構成されている、請求項1に記載の医療用マスク。
【請求項3】
前記少なくとも1つの可撓性ばねアームは、前記マスクフレームの上面
と一体的に形成されている少なくとも1つのL字型ばねアームを備える、請求項1に記載の医療用マスク。
【請求項4】
前記マスクフレームは、前記マスクフレーム内に、前記回転軸線を確立する少なくとも1つの旋回穴を含み、前記少なくとも1つのクランプは、前記旋回穴の中に挿入する旋回ピンを備える、請求項1に記載の医療用マスク。
【請求項5】
前記旋回穴は、前記マスクフレームを通って前記マスクフレームの上面から前記マスクフレームの下面に延在する、請求項4に記載の医療用マスク。
【請求項6】
前記身体部分位置決め装置は、前記身体部分を受容するように構成された切欠き部分を有するおおよそのハーフシェルを更に備えるシェルフレームを備え、前記おおよそのハーフシェルの上縁は
前記フランジを備え、前
記フランジは、前記ハーフシェルの前記上縁の周囲の一部の周りに延在し、前記少なくとも1つのクリップは、前記マスクフレームが前記身体部分位置決め装置とドッキングされている場合に、前記シェルフレームの前
記フランジの表面にクリップするように更に構成されている、請求項1に記載の医療用マスク。
【請求項7】
前記マスクフレームの前記一部は、前記マスクフレームの外側の側縁を備え、前記少なくとも1つのクランプアームは、前記マスクフレームにおいて前記回転軸線の周りを回転して、前記少なくとも1つのクランプアームが前記マスクフレームの前記外側の側縁を前記身体部分位置決め装置の前記フランジの外側の側縁にクランプすることを可能にするように、前記少なくとも1つのクランプアームを前記マスクフレームの前記外側の側縁から離れて外方に、及びそれに向かって内方に旋回させるように更に構成されている、請求項1に記載の医療用マスク。
【請求項8】
前記少なくとも1つのクランプアームは、上部クランプアーム及び下部クランプアームを更に備え、前記クランプスペースは、前記上部クランプアームと前記下部クランプアームとの間に存在し、前記少なくとも1つのクランプアームが前記少なくとも1つのクランプアームを前記マスクフレームに向かって内方に旋回させるために前記回転軸線を中心に回転する場合に、前記マスクフレームの前記外側の側縁及び前記身体部分位置決め装置の前記フランジの前記外側の側縁は、前記上部クランプアームと前記下部クランプアームとの間の前記クランプスペース内でクランプされる、請求項7に記載の医療用マスク。
【請求項9】
前記少なくとも1つのクランプは複数のクランプを含み、前記少なくとも1つのクランプアームは複数のクランプアームを含み、前記複数のクランプの各々は、前記複数のクランプアームのそれぞれの1つを含む、請求項1に記載の医療用マスク。
【請求項10】
前記マスクフレームの前記第1の形状は外縁及び内縁を備え、前記材料のシートは、前記マスクフレームの前記内縁に取り付けられ、前記複数のクランプは、前記マスクフレームの前記外縁に沿って接続されている、請求項9に記載の医療用マスク。
【請求項11】
前記第1の形状はU字形状を含み、前記複数のクランプは、少なくとも2つのクランプを含み、前記少なくとも2つのクランプは、前記マスクフレームの前記U字形状の互いから反対側に接続されている、請求項9に記載の医療用マスク。
【請求項12】
前記第1の形状はU字形状を含み、前記U字形状は、前記患者の身体部分の上部、左側、及び右側の周りに適合する、請求項1に記載の医療用マスク。
【請求項13】
前記身体部分位置決め装置は、前記フランジを含むハーフシェル構造を備え、前記フランジは、前記ハーフシェル構造の上縁の周囲の一部の周りに延在し、前記マスクフレームの前記第1の形状は、前記ハーフシェル構造の前記フランジの第2の形状に一致する、請求項1に記載の医療用マスク。
【請求項14】
前記第1の形状はU字形状を含み、前記少なくとも1つのクリップは少なくとも2つのクリップを含み、前記少なくとも2つのクリップは、前記マスクフレームの前記U字形状の互いから反対側に接続されている、請求項1に記載の医療用マスク。
【請求項15】
前記マスクフレームの前記側縁は、前記マスクフレームの上側の外縁を備え、前記少なくとも1つの可撓性ばねアームは、前記マスクフレームの前記上側の外縁に接続し、前記少なくとも1つの可撓性ばねアームは、前記マスクフレームが前記身体部分位置決め装置とドッキングされている場合に、前記少なくとも1つの可撓性ばねアームの設置保持部材が、前記身体部分位置決め装置の前記フランジの表面にクリップし、又はそれからクリップ解除することを可能にするように、前記マスクフレームの前記上側の外縁から離れる方向に外方に屈曲する、請求項1に記載の医療用マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年3月26日に出願された米国仮出願第62/648,011号に基づく米国特許法による優先権を主張し、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
特定のタイプの医療処置は、人体の一部を同じ位置に保持して、その人体の一部への医療処置の実行を容易にすることを要求する。例えば、脳癌患者が放射線治療を受ける場合に、脳腫瘍の根本的な位置が放射線治療の期間中に空間に固定されるように、頭部は治療のために正確に反復可能な位置に維持されなければならない。放射線腫瘍学の分野においては、身体部分を固定位置に保持するための様々な技法が使用されてきた。例えば、特許文献1には、身体部分を覆うシートと、固定面に取り付けられるのに適した固定装置とを含む、患者の身体部分を固定するためのシステムが開示され、また、引用文献2には、オーバーレイ部と頭部拘束装置とを含む、患者の頭部を固定するためのシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/124232号
【文献】米国特許出願公開第2018/8840号明細書
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1A】身体部分固定装置が患者の頭部を固定するように構成されている例示的な実施形態の図を示す。
【
図1B】身体部分固定装置が患者の頭部を固定するように構成されている例示的な実施形態の図を示す。
【
図2A】
図1A及び
図1Bのシェルフレームのフランジへのマスクフレームの設置の更なる詳細を示す。
【
図2B】マスクフレーム内に取り付けられたマスクを明示的に示す、
図1A及び
図1Bの身体部分固定装置の図的表現を含む。
【
図3】第1の例示的な実施形態による、マスクフレームをシェルフレームに締結するために使用される例示的な締結機構を示す。
【
図4】第2の例示的な実施形態による、マスクフレームをシェルフレームに締結するために使用される例示的な締結機構を示す。
【
図5A】マスクフレームがU字形状を有する実施形態における
図1A及び
図1Bのマスクフレームの側面図を示す。
【
図5B】マスクフレームがU字形状を有する実施形態における
図1A及び
図1Bのマスクフレームの上面図を示す。
【
図5C】マスクフレームがU字形状を有する実施形態における
図1A及び
図1Bのマスクフレームの正面図を示す。
【
図5D】マスクフレームがU字形状を有する実施形態における
図1A及び
図1Bのマスクフレームの背面図を示す。
【
図5E】マスクフレームがU字形状を有する実施形態における
図1A及び
図1Bのマスクフレームの底面図を示す。
【
図6A】ばねクリップの例示的な実施形態の物理的構成の詳細、及びシェルフレームの上部フランジからばねクリップを外す一連のプロセスの一部を示す。
【
図6B】ばねクリップの例示的な実施形態の物理的構成の詳細、及びシェルフレームの上部フランジからばねクリップを外す一連のプロセスの一部を示す。
【
図6C】ばねクリップの例示的な実施形態の物理的構成の詳細、及びシェルフレームの上部フランジからばねクリップを外す一連のプロセスの一部を示す。
【
図7】
図5A~
図5Eの実施形態に対して説明されたマスクフレームの代わりに、ばねクリップがシェルフレーム上に存在する追加の実施形態を示す。
【
図8】別の例示的な実施形態による、マスクフレームをシェルフレームに設置するために使用される例示的な旋回クランプ機構を示す。
【
図9A】
図8の例示的な実施形態の旋回クランプの構成及び動作の更なる詳細を示す。
【
図9B】
図8の例示的な実施形態の旋回クランプの構成及び動作の更なる詳細を示す。
【
図9C】
図8の例示的な実施形態のマスクフレームへの旋回クランプの設置の追加の詳細を示す。
【
図9D】
図8の例示的な実施形態のマスクフレームへの旋回クランプの設置の追加の詳細を示す。
【
図10A】
図8の旋回クランプの例示的な実装の物理的構成を示す。
【
図10B】
図8の旋回クランプの例示的な実装の物理的構成を示す。
【
図10C】
図8の旋回クランプの例示的な実装の物理的構成を示す。
【
図11】マスクフレームがシェルフレームとドッキングされる場合に、
図8に示される例示的な実施形態の、マスクフレームをシェルフレームに設置することに関連するシーケンスを示す。
【
図12A】マスクフレームがシェルフレームとドッキングされる場合に、
図8に示される例示的な実施形態の、マスクフレームをシェルフレームに設置することに関連するシーケンスを示す。
【
図12B】マスクフレームがシェルフレームとドッキングされる場合に、
図8に示される例示的な実施形態の、マスクフレームをシェルフレームに設置することに関連するシーケンスを示す。
【
図13】マスクフレームがシェルフレームとドッキングされる場合に、
図8に示される例示的な実施形態の、マスクフレームをシェルフレームに設置することに関連するシーケンスを示す。
【
図14A】マスクフレームがシェルフレームとドッキングされる場合に、
図8に示される例示的な実施形態の、マスクフレームをシェルフレームに設置することに関連するシーケンスを示す。
【
図14B】マスクフレームがシェルフレームとドッキングされる場合に、
図8に示される例示的な実施形態の、マスクフレームをシェルフレームに設置することに関連するシーケンスを示す。
【
図14C】マスクフレームがシェルフレームとドッキングされる場合に、
図8に示される例示的な実施形態の、マスクフレームをシェルフレームに設置することに関連するシーケンスを示す。
【
図14D】マスクフレームがシェルフレームとドッキングされる場合に、
図8に示される例示的な実施形態の、マスクフレームをシェルフレームに設置することに関連するシーケンスを示す。
【
図15】身体部分固定装置が、身体部分固定テーブル、及びクリップ又はクランプを有する多数部品のマスクフレームを含む、更なる例示的な実施形態を示す。
【
図16A】
図15の多数部品のマスクフレームの単一のフレーム部品の一方向からの図を示す。
【
図16B】
図15の多数部品のマスクフレームの単一のフレーム部品の別方向からの図を示す。
【
図17A】旋回クランプを使用して多数部品のマスクフレームの単一のフレーム部品を身体部分固定テーブルに締結することに関連する例示的なシーケンスの一部を示す。
【
図17B】旋回クランプを使用して多数部品のマスクフレームの単一のフレーム部品を身体部分固定テーブルに締結することに関連する例示的なシーケンスの一部を示す。
【
図17C】旋回クランプを使用して多数部品のマスクフレームの単一のフレーム部品を身体部分固定テーブルに締結することに関連する例示的なシーケンスの一部を示す。
【
図18】
図15の多数部品のマスクフレームを身体部分固定テーブルにドッキングすることに関連する例示的なシーケンスの一部を示す。
【
図19】
図15の多数部品のマスクフレームを身体部分固定テーブルにドッキングすることに関連する例示的なシーケンスの一部を示す。
【
図20】
図15の多数部品のマスクフレームを身体部分固定テーブルにドッキングすることに関連する例示的なシーケンスの一部を示す。
【
図21】
図15の多数部品のマスクフレームを身体部分固定テーブルにドッキングすることに関連する例示的なシーケンスの一部を示す。
【
図22】テーブル上の患者の身体部分に適合するマスク材料形状を有する身体部分固定テーブル上にドッキングされ、取り付けられた位置にある
図15の多数部品のマスクフレームを示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下の詳細な説明は、添付の図面を参照する。別の図面における同じ参照番号は、同じ又は類似の要素を識別してもよい。以下の詳細な説明は、本発明を限定されない。
【0006】
放射線腫瘍学の分野において、身体部分を固定位置に保持する技術は、患者の身体部分に亘って引き伸ばされる保持材料のシートを含む熱成形可能な構造を使用する。例えば、脳腫瘍の放射線治療を行うために、熱成形可能な構造は、患者の顔に亘って引き伸ばされた保持材料のシートを有するマスクを含む。患者の顔に亘ってマスクを形成するために、熱湯浴及びオーブンが、熱成形可能な構造の材料を加熱して、材料のシートが成形しやすく変形可能になるように最初に使用されてもよい。そして、次に、熱成形可能なマスクは、患者の顔に亘って引き伸ばされ、マスクを、冷却し硬化して、永久にマスクを患者の顔の形状に形成することを可能にする。一例として、熱可塑性保持材料のシートを有するマスクを、加熱後、患者の顔に亘って引き伸ばし、そして、冷却することを可能にしてもよい。冷却すると、患者の顔に形成されたマスクは、放射線治療中に患者の頭部を固定位置に保持するために使用されることができる構造を作製する。マスクの熱可塑性保持材料のシートが患者の身体部分に亘って引き伸ばされた後に、取り付け機構を使用して、マスクのフレーム部分が患者支持テーブル又は他の構造に取り付けられる。既存の身体部分固定装置は、マスクのフレーム部分を患者支持テーブルに締結するためのかなり複雑な機構を有する。このような複雑な機構は、下にある身体部分の位置を固定するためにマスクを患者支持テーブルに締結し、又は医学検査若しくは治療が完了するとマスクを患者支持テーブルから締結解除することを面倒なプロセスにする場合がある。
【0007】
本明細書で説明される例示的な実施形態は、身体部分マスクのフレームを身体部分固定装置に取り付けるための既存の取り付け機構についての改良に関する。本明細書で説明される実施形態は、身体部分固定装置上の固定位置に身体部分マスクを迅速且つ簡易に取り付け、締結するために、マスクフレーム又は身体部分固定装置の上部(例えば、上部フランジ)の何れかに接続された簡易なオン/簡易なオフのクリップを使用する。本明細書で説明される更なる実施形態は、身体部分固定装置上の固定位置に身体部分マスクを迅速且つ簡易に取り付け/ドッキングし、締結するために、マスクフレームに接続された簡易なオン/簡易なオフの旋回クランプを使用する。
【0008】
本明細書で説明される一実装における身体部分固定装置は、身体部分を受容して位置付ける深いシェルフレームを含み、シェルは、固定されている身体部分(例えば、患者の頭部)の形状に一致する内部形状を有する。シェルフレームは更に、患者の身体部分に適合するようにカスタマイズされたクッション(例えば、ヘッドクッション)を含んでもよい。例えば、身体の一部が患者の頭部である場合に、シェルフレームの深さは、カスタマイズされたクッションが頭部の中間点まで頭部を取り囲むことを可能にして、頭部を支持する実質的な領域を可能にする大きい接触表面積を提供する。シェルフレームは追加的に、マスクフレームのフランジへの「簡易な取り付け/簡易な取り外し」を可能にする上部フランジを含んでもよい。シェルフレームの上部フランジにマスクフレームをドッキングすると、マスクの熱可塑性材料を支持テーブルの表面まで引き伸ばす必要がなくなり、それによって、マスク材料のシートの厚さ及び剛性は向上する。
【0009】
本明細書で説明される別の実装における身体部分固定装置は、身体部分が位置決めされ、且つ多数部品のマスクフレームのようなマスクフレームがマスクの材料を固定されている身体部分に適合させた後にクリップ又はクランプを使用して取り付ける、身体部分固定テーブルを含む。身体部分固定テーブルは実質的に平坦であってもよく、多数部品のマスクフレームは、マスクの身体部分固定材料(例えば、熱可塑性材料)が取り付ける2つ以上のマスクフレーム部品を含んでもよい。2つ以上のマスクフレーム部品はそれぞれ、マスクフレーム部品を下にある身体部分固定テーブルに取り付けるための少なくとも1つのクリップ又はクランプを含んでもよい。
【0010】
本明細書で言及される「マスク」は、身体部分に適合させるために患者の任意の身体部分に亘って引っ張られることができる材料(例えば、熱可塑性材料)を有する任意の構造を含む。幾つかの実施形態においては、「マスク」は、マスクの構成要素であってもなくてもよい締結機構を使用して、身体部分を固定し、特定の位置に保持することを可能にする。この結果、本明細書で使用する「マスク」は、患者の顔又は頭部に亘って配置するための構造のみを言及するのではなく、患者の任意の身体部分又は身体の任意の部分に亘って配置するための任意のタイプの構造(例えば、患者の骨盤を引っ張る構造)を含む。
【0011】
図1A及び
図1Bは、身体部分固定装置100が患者の頭部110を固定するように構成されている例示的な実施形態の図を示す。
図1Aに示されるように、固定装置100は、支持ベース120及びシェルフレーム130を含む。シェルフレーム130は、
図1A及び
図1Bに示される実施形態においては、患者の頭部及び首部の後部に一致するように構成されている内面を有する、おおよそのハーフシェル構造を含んでもよい。シェルフレーム130のハーフシェル構造は、三次元回転楕円体の半分に近い形状を有し、半分は回転楕円体の垂直中心をおおよそ横切る。シェルフレーム130は、患者の首部に一致するように構成され、患者の頭部110がシェルフレーム130内に置かれる場合には、首部がシェルフレーム130の内部から延在することを可能にする、シェルフレーム130の片側に首切欠き部145を含んでもよい。
図1A及び
図1B(また
図2A)に示されるように、シェルフレーム130の上縁は、シェルフレーム130の上縁の周囲に延在するフランジ140を含む。フランジ140は、シェルフレーム130の上縁からおおよそ1/2インチから3/4インチ延在する。
図1A及び
図1Bに示されるシェルフレーム130とは異なる物理的構成を有する他のタイプのシェルフレーム、又は他のタイプの下にある構造が、代替として、身体部分固定装置100内で使用されてもよい。従って、マスクフレーム150は、
図1A及び
図1Bに示されるシェルフレーム130とは異なる構造のシェルフレーム、又は異なるタイプの下にある構造に設置してもよい(すなわち、クリップし、又はクリップ解除してもよい)。
【0012】
図1A及び
図1Bを示されるように、患者の頭部110の位置をシェルフレーム130内に固定するために、マスクのフレーム150がシェルフレーム130の上部フランジ140上の所定の位置に配置されて、マスクをシェルフレーム130に設置してもよい。複数のクリップ155は、マスクフレーム150の外周の周りに配列され、マスクフレーム150がシェルフレーム130の上部フランジ140に迅速且つ簡易に締結又は締結解除されることを可能にしてもよい。
図1A及び
図1Bに示されるように、クリップ155は、マスクフレーム150と一体であってもよい。
【0013】
図1A及び
図1Bに示される実施形態においては、支持ベース120は、互いに対向する支持ベース120上に配列される第1のピッチシェルランプ160及び第2のピッチシェルランプ170を含み、2つのピッチシェルランプ間には、支持フレーム130の下面が支持ベース120上に載置することを可能にするように十分な距離がある。ピッチシェルランプ160及びピッチシェルランプ170は、支持ベース120の中心に向かって下向きに延在する傾斜ランプを含む。
図1A及び
図1Bに示される支持ベース120とは異なる物理的構成を有する他のタイプの支持ベースが、身体部分固定装置100内のシェルフレーム130と共に、代替として使用されてもよい。シェルフレーム130及び支持ベース120は、金属、プラスチック、炭素繊維、又は複合材料を含む様々なタイプの材料から形成されてもよい。シェルフレーム130及び支持ベース120はそれぞれ、同じタイプの材料又は異なるタイプの材料から形成されてもよい。例えば、支持ベース120は、金属から形成されてもよく、シェルフレーム130は、複合材料から形成されてもよい。
【0014】
図2Aは、シェルフレーム130の上部フランジ140へのマスクフレーム150の取り付けの更なる詳細を示す。示されるように、伸縮性マスク材料(
図2Aには示されていない)のシートを含むマスクフレーム150は、患者の頭部110に亘って配置され、マスクフレーム150の底部がシェルフレーム130の上部フランジ140に接触するまで下向きに移動されてもよい。マスクフレーム150がシェルフレーム130の上部フランジ140上に取り付けられると、フレーム150のクリップ155は、マスクフレーム150をシェルフレーム130に締結するために、上部フランジ140にクリップするように係合されてもよい。マスクフレーム150をシェルフレーム130に設置することによって、患者の頭部110をシェルフレーム130内の所定の位置に保持するために、伸縮性マスク材料のシート(
図2Aには示されていない)は、患者の顔に亘って引き伸ばされる。
【0015】
図2Aは、シェルフレーム130の上部フランジ140の例示的な詳細を追加的に示す。示されるように、フランジ140の上面は、マスクフレーム150をシェルフレーム130にドッキングするための複数の位置合わせ穴200(
図2Aには1つだけが見える)を含む。マスクフレーム150は更に、フレーム150の下側に、位置合わせ穴200と整列し、且つそれらに挿入されることができる、複数のピン(示されない)を含んでもよい。マスクフレーム150をシェルフレーム130にドッキングする場合には、位置合わせ穴は、シェルフレーム130のフランジ140に対するマスクフレーム150の適切な位置決めを保証する。
【0016】
図2Bは、マスクフレーム150内に取り付けられたマスク材料205のシート(
図1A、
図1B、及び
図2Aから省略されている)を明示的に示す身体部分固定装置100の図的表現を含む。
図2Bに見られることができるように、ヘッドクッション210が、シェルフレーム130に対して患者の頭部110(示されない)を緩衝するためにシェルフレーム130内に配置されてもよい。シェルフレーム130の深い特性を考えると、ヘッドクッション210は、シェルフレーム130の上部まで頭部110(示されない)を取り囲み、この結果、頭部110に対して大きい接触表面積及び良好な支持を提供する。頭部110がヘッドクッション210上に支持された状態で、マスク材料205及びマスクフレーム150は、以下で更に説明されるように、クリップ155を使用してシェルフレーム130にドッキングされてもよい。
図2Bに示される例示的な実施形態においては、複数のばねクリップ155が、マスクフレーム150をシェルフレーム130に締結するために使用される。複数のばねクリップ155は、マスクフレーム150と一体であってもよく、シェルフレーム130と一体であってもよく、又はマスクフレーム150がシェルフレーム130とドッキングされた場合に、マスクフレーム150をシェルフレーム130に締結するために使用されることできる別個の取り外される物品であってもよい。
【0017】
図3は、第1の例示的な実施形態による、マスクフレーム150をシェルフレーム130に締結するために使用される例示的な締結機構を示す。
図3に示される例示的な実施形態における締結機構は、ばねクリップ155及び保持タブを含む。
図3の吹き出し図に示されるように、マスクフレーム150の各アームは、マスクフレーム150の下面からマスクフレーム150の上面に延在する保持穴300で終端する。終端位置310で上部フランジ140上に設置された対応する保持タブ320は、保持タブ320が保持穴300の中に延在するようにマスクフレーム150が下げられる場合には、マスクフレーム150のアームをシェルフレーム130の上部フランジ140上の所定の位置に保持してもよい。保持タブ320は、シェルフレーム130の首切欠き部145の両側の終端位置310で上部フランジ140上に設置されてもよい。
図3のこの例示的な実施形態においては、保持タブ320は、保持タブ320が使用により損傷又は摩耗した場合に、保持タブ320が新しい保持タブ320と交換されてもよいように、シェルフレーム130の上部フランジ140上に取り外し可能に設置されてもよい。
【0018】
図4は、第2の例示的な実施形態による、マスクフレーム150をシェルフレーム130に締結するために使用される例示的な締結機構を示す。
図4に示される例示的な実施形態における締結機構は、ばねクリップ155及び突出部材を含む。
図4の吹き出し図に示されるように、マスクフレーム150の各アームは、マスクフレーム150の下面からマスクフレーム150の上面まで延在する保持穴400で終端する。終端位置420で上部フランジ140上に形成された対応する突起部材420は、突起部材420が保持穴400の中に延在するようにマスクフレーム150が下げられる場合には、マスクフレーム150のアームを、シェルフレーム130の上部フランジ140上の所定の位置に保持してもよい。突起部材420は、シェルフレーム130の首切欠き部145の両側の終端位置420で上部フランジ140上に位置してもよい。
図4のこの例示的な実施形態においては、突起部材420は、シェルフレーム130が形成される(すなわち、フランジ140の一体部材を備える)時に、上部フランジ140に形成されてもよい。
【0019】
図5A~
図5Eは、マスクフレーム150がU字形状を有する実施形態におけるマスクフレーム150の側面図、上面図、正面図、背面図、及び底面図をそれぞれ示す。
図5A~
図5Eに示される実施形態は、2つのばねクリップ155を含む。他の実施形態においては、代替として、より多くのばねクリップ155(例えば、3つ以上)又はより少ないばねクリップ155(例えば、単一のばねクリップ)が使用されてもよい。
図5Aの側面図に示されるように、マスクフレーム150のU字形状は、マスクフレーム150のU字形状内の開口領域510を取り囲む2つのアーム505を含む。マスクフレーム150の2つのアーム505はそれぞれ、保持穴300/400で終端する。複数のばねクリップ155は、上面500の外周に沿った離間した部分の位置でマスクフレーム150の上面500に接続し、又は取り付ける。
図5A~
図5Eの実施形態においては、マスクフレーム150は、各アーム505上の対向する位置に位置する2つのばねクリップ155を有する。他の実施形態においては、マスクフレーム150は、上面500の周囲に沿って離間したより少なく、又はより多いばねクリップ155を含んでもよい。
図5Aの吹き出し図は更に、ばねクリップ155及びマスクフレーム150の上面500へのその接続の詳細を示す。
図5Aは更に、シェルフレーム130の上部フランジ140(
図5Aには示されていない)内の対応する位置合わせ穴200とマスクフレーム150を整列するために使用されてもよい位置合わせピン520を示す。
【0020】
図5Bは、上面500上の各アーム505の終端における保持穴300/400の位置が示される、マスクフレーム150の上面図を示す。
図5Bは更に、ばねクリップ155及びマスクフレーム150の上面500の外周へのそれらの接続の上面図を示す。
図5C及び
図5Dは、マスクフレーム150の正面図及び背面図を示す。マスクフレーム150の下面530は、
図5Cの正面図に見られることができる。
図5Eは、マスクフレーム150の下面530の、各アーム505の終端における保持穴300/400の位置及び位置合わせピン520の位置が示される、マスクフレーム150の底面図を示す。
【0021】
図6A~
図6Cは、ばねクリップ155の例示的な実施形態の物理的構成及びシェルフレーム130の上部フランジ140からばねクリップ155を外す一連のプロセスの詳細を示す。
図6Aは、マスクフレーム150をシェルフレーム130上に設置するために、ばねクリップ155が上部フランジ140上にクリップされている、ばねクリップ155の拡大図を示す。
図6Aに示されるように、ばねクリップ155は、マスクフレーム150の上面の外縁に取り付ける2つのL字型ばねアーム600を含む。ばねアーム600は、各々がマスクフレーム150の上面の外縁の異なる位置ではあるが隣接する位置に接続する、L字型ばねアーム605及びL字型ばねアーム610を含む。ばねアーム605及び610は、マスクフレーム150の上面に接続された端部の反対側の端部で、ばねクリップノブ645及び設置保持部材635に更に接続するU字型部材620に接続する。U字型部材620は、2つの支持部材625及び630を含み、支持部材625はばねアーム605に接続し、支持部材630はばねアーム610に接続する。ばねアーム605及び610は、
図6B及び
図6Cに対して以下で更に説明されるように、設置保持部材635がシェルフレーム130の上部フランジ140の下面から「クリップ」し、又は「クリップ解除」することを可能にするために、マスクフレーム150から離れる方向に外方に屈曲してもよい。
【0022】
図6Bは、設置保持部材635がシェルフレーム130のフランジ140からクリップ解除されるように、ばねアーム605及び610を外方に屈曲させるためにばねクリップノブ645に加えられる外方の力を示す。例えば、親指を使用する個人は、ばねクリップノブ645の上面又は下面に外方の力を加えてもよい。外方の力は、ばねアーム605及び610をシェルフレーム130のフランジ140から離れる方向に外方に屈曲させるために、支持部材625及び630を介してばねアーム605及び610に伝達される。設置保持部材635がシェルフレーム130から外方に、且つシェルフレーム130のフランジ140の下から外に移動すると、ばねクリップ155は、シェルフレーム130のフランジ140から「クリップ解除」され、マスクフレーム150は、マスクフレーム150をシェルフレーム130からドッキング解除するために、上方に持ち上げられてもよい。
【0023】
図6Cに更に示されるように、設置保持部材635がシェルフレーム130のフランジ140を通過するようにマスクフレーム150が上方に持ち上げられると、ばねクリップノブ645に加えられた外方の力が中断されてもよく、ばねアーム605及び610は、屈曲しなくてもよく、それらの通常の屈曲しない位置に戻ってもよい。シェルフレーム130からマスクフレーム150を取り外すために、1人以上の個人が、マスクフレーム150上に位置する複数のばねクリップ155(例えば、
図5A~
図5Eに示される実施形態においては2つのばねクリップ155)の各々のばねクリップノブ645に同時に外方の力を加えることができ、そして、マスクフレーム150は、マスクフレーム150をシェルフレーム130からドッキング解除するために、シェルフレーム130から離れて上方に持ち上げられることができる。
図6A~
図6Cに示されるように、ばねクリップ155をシェルフレーム130の上部フランジ140から外す一連のプロセスは、マスクフレーム150がシェルフレーム130とドッキングされている場合に、ばねクリップ155をシェルフレーム130の上部フランジ140にクリップするために逆にされてもよい。
【0024】
図7は、
図5A~
図5Eの実施形態に対して説明されたように、ばねクリップ155がマスクフレーム150の代わりにシェルフレーム130上に存在する、追加の実施形態を示す。この実施形態においては、マスクフレーム150の外周に接続されたばねクリップ155を使用して、マスクフレーム150をシェルフレームのフランジ140にクリップする代わりに、マスクフレーム150は、シェルフレーム130の上部フランジ140の外周に接続されたばねクリップ155を使用して、シェルフレームのフランジ140にクリップされる。
図7の2つの吹き出し図に見られるように、複数のばねクリップ155は、シェルフレーム130の上部フランジ140の外周の周りの複数の位置に配列されてもよく、それぞれがシェルフレーム130の上部フランジ140の下面に接続してもよい。一実装においては、複数のばねクリップ155は、シェルフレーム130と一体的に形成されてもよい(すなわち、射出成形等によって単一部品の材料から形成されてもよい)。別の実装においては、複数のばねクリップ155は、様々なタイプの締結機構を使用して、シェルフレーム130のフランジ140の外周の下面に締結されてもよい別個のクリップユニットを含んでもよい。
【0025】
図8は、別の例示的な実施形態による、マスクフレーム150をシェルフレーム130に設置するために使用される例示的な締結機構を示す。身体部分固定装置100のシェルフレーム130及び支持ベース120の構造は、先に説明された実施形態と同様であってもよい一方で、
図8に示される例示的な実施形態における締結機構は、先に説明されたばねクリップの代わりに、1つ以上の旋回クランプ800及び保持ピン810を含む。示されるように、マスクフレーム150は、以下で更に説明されるように、保持ピン810と組み合わせて、マスクフレーム150をシェルフレーム130に締結する複数の旋回クランプ800を含む。
図8に示されるように、旋回クランプ800は、マスクフレーム150と一体であってもよい。各旋回クランプ800は、マスクフレーム105の旋回穴(示されていない)を通って挿入する旋回ピン(
図8には示されていない)を含んでもよい。旋回ピンは、旋回クランプ800が旋回穴に対応する軸線の周りに旋回することを可能にして、旋回クランプ800のクランプアームがシェルフレーム130の上部フランジ140にクランプすることを可能にし、それによって、マスクフレーム150をシェルフレーム130に締結する。
図8は、シェルフレーム130の上部フランジ140に接触させてマスクフレーム150をシェルフレーム130とドッキングさせるためにマスクフレーム150を下げる前の、シェルフレーム130の上部フランジ140上の初期の上昇位置にあるマスクフレーム150を示す。
図8は、マスクフレーム150がマスクフレーム150の周囲の周りに離間して5つの別の旋回クランプ800を含む、一実装を示す。しかし、他の実装においては、マスクフレーム150がシェルフレーム130とドッキングされる場合に、より少なく、又はより多い旋回クランプ800が、マスクフレーム150をシェルフレーム130に締結するために使用されてもよい。
【0026】
図9A及び
図9Bは、
図8の例示的な実施形態の旋回クランプ800の構成及び動作の更なる詳細を示す。
図9A及び
図9Bに示されるように、旋回クランプ800は、マスクフレーム150内の旋回穴920を通って挿入される旋回クランプ800の旋回ピン910によって形成される軸線の周りを旋回する。
図9Aに示されるように、完全な「開放」旋回位置においては、旋回クランプ800は、マスクフレーム150とほぼ鋭角(例えば、90度以下)を形成してもよい。「開放」旋回位置から、旋回クランプ800は、マスクフレーム150内に形成された旋回スロット900内で「閉鎖」するように回転する。
図9Bに示されるように、旋回クランプ800は、上部クランプアーム930及び下部クランプアーム940を含んでもよい。以下で更に詳細に説明されるように、上部クランプアーム930及び下部クランプアーム940は、マスクフレーム150をシェルフレーム130の上部フランジ140にクランプするために(
図9A及び
図9Bには示されていない)、旋回クランプ800が旋回スロット900内の閉位置にある場合に共に動作する。
【0027】
図9C及び
図9Dは、マスクフレーム150への旋回クランプ800の設置の追加の詳細を示す。
図9Cに示されるように、旋回クランプ800の旋回ピン910は、マスクフレーム150の上面を介して、旋回スロット900内に形成されてもよい旋回穴920の中に挿入する。旋回穴920は、マスクフレーム150の上面とマスクフレーム150の下面との間でマスクフレーム150を通って延在してもよい。一実装においては、旋回ピン910は、旋回穴920の円形形状内に相対的に堅固に適合する寸法を有するほぼ円筒形状に構成されてもよいが、旋回ピン910が旋回穴920内で旋回ピン910の中心内の軸線の周りに旋回してもよいように構成されてもよい。
【0028】
図10A~
図10Cは、旋回クランプ800の例示的な実装の物理的構成を示す。旋回クランプ800は、上部クランプアーム930、旋回ピン910、及び下部クランプアーム940が形成又は設置される旋回アーム1000を含んでもよい。
図10A~
図10Cに示される実装においては、旋回クランプ800は、単一の材料部品から形成される。他の実装においては、旋回クランプ800は、旋回アーム1000に取り付けられ、添付され、又は設置される別個の構成要素から形成されてもよい。
図10A及び
図10Cに見られることができるように、クランプスペース1010が、上部クランプアーム930と下部クランプアーム940との間に存在してもよく、クランプスペース1010の幅は、マスクフレーム150及びシェルフレーム130の上部フランジ140の合計厚さにほぼ等しい(
図10A~
図10Cには示されていない)。従って、クランプスペース1010の幅は、マスクフレーム150及びシェルフレーム130の上部フランジ140が、シェルフレーム130の上部フランジ140の上面に対して所定の位置にマスクフレーム150を堅固にクランプして締結するために、上部クランプアーム930と下部クランプアーム940との間のクランプスペース1010内に適合することを可能にする。
【0029】
幾つか実装においては、
図10A及び
図10Cに示されるように、上部クランプアーム930、クランプスペース1010、及び下部クランプアーム940は、片側から見た場合に、おおよそブラケット状構造を形成してもよく、これは、マスクフレーム150の旋回スロット900及びシェルフレーム130の上部フランジ140が、旋回クランプ800がマスクフレーム150の旋回スロット900に近づくために回転するとブラケット状構造内に適合することを可能にする。クランプスペース1010内の旋回アーム1000の下面に、旋回クランプ800が旋回スロット900内のクランプ位置に旋回クランプを「閉鎖」するように回転する場合に、旋回クランプ800を旋回スロット900内のマスクフレーム150の上面に対して所定の位置に保持するように作用するクランプ戻り止め1020が配列されてもよい。
【0030】
図10A、
図10B、及び
図10Cに更に示されるように、旋回ピン910は、分岐された円筒形状を含んでもよく、これは、旋回ピン910が旋回穴920の中に挿入される場合に、又は旋回ピン910が旋回穴920から引き出される場合に、旋回ピン910の円筒の分岐された半分が内方及び外方に屈曲することを可能にする。幾つかの実装においては、旋回ピン910は、旋回クランプ800が旋回穴920内の特定の範囲の回転位置を通って回転すると、旋回ピン910を旋回穴920内に保持するように、旋回穴920内の対応する突起スロットと嵌合する保持「突起」を含んでもよい。
【0031】
図11、
図12A、
図12B、
図13、及び
図14A~
図14Dは、マスクフレーム150がシェルフレーム130とドッキングされる場合に、
図8に示される例示的な実施形態の、マスクフレーム150をシェルフレーム130に設置することに関連するシーケンスを示す。
図11に示されるように、マスクフレーム150は、マスクフレーム150の下側の複数の保持ピン810がシェルフレーム130の上部フランジ140を通って延在する対応する保持穴1100上に直接整列されるように、シェルフレーム130の上部フランジ140上に最初に位置決めされる。
図12A及び
図12Bに更に示されるように、マスクフレーム150は、マスクフレーム150の下側がシェルフレーム130の上部フランジ140の上面に接触し、保持ピン810がシェルフレーム130の上部フランジ140の保持穴1100を通って挿入されるように、シェルフレーム130上で下げられる。シェルフレーム130上でマスクフレーム150を下げると、
図12A及び
図12Bに示されるように、旋回クランプ800は、依然として開位置にある。
【0032】
図13に更に示されるように、マスクフレーム150をシェルフレーム130とドッキングさせるために、マスクフレーム150をシェルフレーム130の上部フランジ140上に下げた後に、旋回クランプ800は、それぞれの旋回ピン910及び旋回穴920内に形成された軸線の周りに回転してもよい。旋回クランプ800がマスクフレーム150に向かって内方に回転すると、旋回クランプ800の旋回アーム1000のブラケット状構造が、旋回クランプ800が旋回スロット900に入ると、マスクフレーム150の厚さ及びシェルフレーム130の上部フランジ140の厚さの周りでクランプする。
【0033】
図14A~
図14Dは、旋回クランプ800がクランプ位置に閉鎖されてマスクフレーム150の下面をシェルフレーム130の上部フランジ140の上面に対してクランプした場合のマスクフレーム150及びシェルフレーム130の異なる図を示す。
図14Cは、
図14Aに示される旋回クランプ800を通る断面線1400に対応する断面図を示す。
図14Cの断面図に見られることができるように、マスクフレーム150の厚さ及びシェルフレーム130のフランジ140の厚さは、旋回アーム1000の上部クランプアーム930と下部クランプアーム940との間のクランプスペース1010内に堅固に適合し、適合は、クランプ戻り止め1020(
図10Cに示される)が、旋回クランプ800を旋回スロット900内のマスクフレーム150の上面に対して所定の位置に保持することを可能にする。
【0034】
マスクフレーム150のシェルフレーム130への設置に関連する
図11、
図12A、
図12B、
図13、及び
図14A~
図14Dは、
図8の例示的な実施形態の旋回クランプ800を開放した後にマスクフレーム150をシェルフレーム130から取り外すために逆にされてよい(すなわち、逆の順序で行われてもよい)。
【0035】
図15は、身体部分固定装置が身体部分固定テーブル1505を含み、クリップ又はクランプを有する多数部品のマスクフレーム1500が、多数部品のマスクフレーム1500のマスク材料が身体部分に適合し、身体部分を身体部分固定テーブル1505上に固定するように、身体部分固定テーブル1505に取り付けるために使用されてもよい、更なる例示的な実施形態を示す。示されるように、多数部品のマスクフレーム1500は、身体部分固定テーブル1505上に位置決めされ、固定される身体部分(示されない)上にマスク(示されない)の材料を適合するためにテーブル1505上の所定の位置に下げられてもよい。
【0036】
図15に示される実施形態においては、多数部品のマスクフレーム1500は、別個のフレーム部品1510-1、1510-2、及び1510-3を含み(まとめて「複数のフレーム部品1510」又は個別に「フレーム部品1510」若しくは「フレーム部品1510-x」と呼ばれる)、各フレーム部品1510は、フレーム部品1510を身体部分固定テーブル1505に取り付けるための少なくとも1つのクリップ又はクランプ(クランプが、例として示される)を含む。他の実施形態においては、マスクフレーム1500は、単一の連続フレームを含んでもよく、これは、連続フレーム上の異なる位置に配列された複数のクリップ又はクランプを有する。多数部品のマスクフレーム1500の各フレーム部品1510は、身体部分固定テーブル1505の上面とドッキングするために、フレーム部品1510の表面から延在する保持ピン(
図15には示されていない)を含んでもよい。フレーム部品1510が身体部分固定テーブル1505とドッキングされる場合には、保持ピンは、テーブル1505の上面の所定の位置にフレーム部品1510を保持するために、対応するピン保持穴1520の中に延在する。マスクフレーム1500の複数のフレーム部品1510を身体部分固定テーブル1505とドッキングした後に、クリップ又はクランプ(クランプが
図15には示される)は、テーブル1505の対応する係合フランジ1530と係合されてもよい。
図15は、マスクフレーム1500の単一のマスク部品1510のクランプを係合するための、テーブル1505の下側にある単一の係合フランジ1530を示す。しかし、マスクフレーム1500の各クランプは、テーブル1505の下側の適切な位置に対応する係合フランジ1530を有する。身体部分固定テーブル1505は、
図15に示される。
図15は、固定及び検査のために患者の頭部を受容するための形状を含むものとして示される。しかし、テーブル1505は、他の異なる身体部分(例えば、腕、手、足、胸部領域、等)を受容するための他の形状を含んでもよい。
【0037】
図16A及び
図16Bは、
図15の多数部品のマスクフレーム1500の単一のフレーム部品1510の異なる図を示す。示されるように、フレーム部品1510は、フレーム部品1510のL字型本体1605に取り付ける旋回クランプ1600を含む。フレーム部品1510のL字型本体1605は、ベース1610、マスク取り付けブラケット1615、及び旋回クランプ1600を含んでもよい。ベース1610は、ベース1610の下側に配列された複数の保持ピン1650を含んでもよい。保持ピン1650は、フレーム部品1510をテーブル1505上の所定の位置に維持するために、身体部分固定テーブル1505の保持穴1520(
図15に示される)内に挿入する。マスク取り付けブラケット1615は、マスク材料のシート(例えば、熱可塑性シート)をフレーム部品1510に取り付ける、
図16A及び
図16Bに示されるブラケット構造のようなマスク取り付け機構を含む。マスク材料のシート(示されていない)の一端は、マスク取り付け機構のブラケットのスロット内に適合し、締結されてもよい。接着剤、締結ピン、又はねじ、等のような、様々な異なる締結機構が、ブラケット取り付け機構のスロット内でマスク材料のシートを締結するために使用されてもよい。
【0038】
旋回クランプ1600は、フレーム部品1510のL字型本体1605のベース1610の旋回穴を通って挿入する旋回ピン1620(
図16Bに示される)を含んでもよい。旋回ピン1620は、旋回クランプ1600が、旋回クランプ1600のクランプアームがテーブル1505のフランジ1530にクランプすることを可能にするために、旋回穴に対応する軸線の周りに旋回することを可能にし、それによって、フレーム部品1510をテーブル1505に取り付ける。
【0039】
図16Aに示されるように、旋回クランプ1600は、クランプスペース1635を画定する上部クランプアーム1625及び下部クランプアーム1630を含んでもよい。以下で更に詳細に説明されるように、上部クランプアーム1625及び下部クランプアーム1630は、旋回クランプ1600がフレーム部品1510を身体部分固定テーブル1505のフランジ1530(
図16A及び
図16Bには示されていない)にクランプするために閉位置にある場合に共に動作する。上部クランプアーム1625と下部クランプアーム1630との間に存在するクランプスペース1635及びクランプスペース1635の幅は、L字型本体1605のベース1610及びテーブル1505のフランジ1530(
図16A及び
図16Bには示されていない)の合計厚さにほぼ等しくてもよい。上部クランプアーム1625、クランプスペース1635、及び下部クランプアーム1630は、片側から見た場合に、おおよそブラケット状構造を形成してもよく、これは、フレーム部品1510のベース1610及びテーブル1500のフランジ1530の厚さが、旋回クランプ1600が閉位置に回転すると、ブラケット状構造内に適合することを可能にする。
【0040】
クランプスペース1635内のクランプ1600の旋回アームの下側には、旋回クランプ1600がクランプ位置で旋回クランプ1600を「閉鎖」するように回転する場合に、旋回クランプ1600をフレーム部品1510のベース1610の上面に対して所定の位置に保持するように作用する、
図16Bに示されるクランプ戻り止め1640が、配列されてもよい。従って、クランプスペース1635の幅は、フレーム部品1510及び身体部品固定テーブル1505のフランジ1530が、クランプ戻り止め1640の動作に関連して、テーブル1505の上面に対して所定の位置にフレーム部品1510を堅固にクランプするために、上部クランプアーム1625と下部クランプアーム1630との間のクランプスペース1635内に適合することを可能にする。
【0041】
図17A、
図17B、及び
図17Cは、多数部品のマスクフレーム1500の単一のフレーム部品1510を身体部分固定テーブル1505に締結するために、旋回クランプ1600を使用することに関連する例示的なシーケンスを示す。
図17A及び
図17Bに示されるように、フレーム部品1510を身体部分固定テーブル1505とドッキングした後に、旋回クランプ1600は、マスク部品1510のベース1610及びテーブル1505のフランジ1530の側縁に向かって(
図17A及び
図17Bに矢印で示される)旋回されてもよい。旋回クランプ1600が閉鎖すると、クランプスペース1635は、旋回クランプ1600の上部クランプアーム1625の下側にあるクランプ戻り止め1640(示されていない)が、旋回クランプ1600をベース1610の上面に対してクランプ又は閉位置に保持するように作用するように、フレーム部品150のベース1610及びテーブル1600の係合フランジ1530の外縁を囲み、それによって、ベース1610を身体部分固定テーブル1505の上面に対してドッキング及び取り付け位置に固定する。他の実装(示されていない)においては、クランプ戻り止め1640に加えて、又はその代わりとして、締め付け機構が、クランプ又は閉位置でクランプを締め付けるために、旋回クランプ1600と共に使用されてもよい。このような締め付け機構は、例えば、締め付けねじを含んでもよい。
【0042】
図18~
図21は、多数部品のマスクフレーム1500を身体部分固定テーブル1505にドッキングすることに関連する例示的なシーケンスを示す。
図18に示されるように、多数部品のマスクフレーム1500の複数の別個の部品1510の各々は、テーブル1505とドッキングするために、身体部分(示されていない)の両側で下げられ、テーブル1505上に置かれてもよく、マスク材料(示されていない)を身体部分に適合させる。
図18に示される例示的な実施形態においては、多数部品のマスクフレーム1500は、3つのフレーム部品1510-1、1510-2、及び1510-3を含み、各フレーム部品1510は、テーブル1505に取り付けるためのそれ自体の旋回クランプ1600を含む。
図19~
図21に更に示されるように、フレーム部品1510-1の旋回クランプ1600-1、フレーム部品1510-2の旋回クランプ1600-2、及びフレーム部品1510-3の旋回クランプ1600-3はそれぞれ、テーブル1505のそれぞれの係合フランジ1530に向かって内方に旋回されてもよい(旋回クランプ1600-1に隣接するフランジ1530のみが
図19~
図21に見られることができる)。
【0043】
図21に示されるように、多数部品のマスクフレーム1500のドッキング及び取り付けが、
図21では、旋回クランプ1600-1、1600-2、及び1600-2が、それぞれのフレーム部品1510を身体部分固定テーブル1505に取り付けるために、クランプ位置に閉鎖して終了する。示されるように、クランプ1600の外側は、フレーム部品1510のベース1610と平行であり、実質的に同一平面である。
図22は、フレーム部品1510-1(示されていない)、1510-2、及び1510-3に接続され、テーブル1505上の患者の身体部分(例えば、人の頭部)に適合するマスク材料2200を有するテーブル1505上のドッキング及び取り付け位置にある多数部品のマスクフレーム1500を示す。マスク材料2200が熱可塑性材料を含む実施形態においては、テーブル1505上に身体部分を固定するために、マスク材料を身体部分に適合することは、熱可塑性材料を身体部分上に引き伸ばし、そして、旋回クランプ1600を使用して、別個のフレーム部品1510を身体部分固定テーブル1505にドッキングして取り付けることを含む。
【0044】
多数部品のマスクフレーム1500を身体部分固定テーブル1505にドッキングすることに関連する
図19、
図20、及び
図21のシーケンスは、旋回クランプ1600を開放し、フレーム部品1510をテーブル1505の係合フランジ1530から取り外した後に、マスクフレーム1500をテーブル1505からドッキング解除するために逆にされてよい(すなわち、逆の順序で行われてもよい)。
【0045】
前述の実装の説明は、例示及び説明を提供するが、網羅的であること、又は本発明を開示された正確な形態に限定することが意図されない。上記の教示に照らして変更及び変形が可能であり、又は本発明の実施から得られてもよい。例えば、幾つかの実施形態は、2つのクリップ155を用いて本明細書で示され、説明されているが、代替の実施形態においては、3つ以上のクリップ(例えば、3若しくは4)又は単一のクリップのみが、マスクフレーム150をシェルフレーム130又は異なる構造に取り付けるために使用されてもよい。以上で本発明が詳細に説明されたが、本発明の趣旨から逸脱することなく、本発明が変更されてもよいことは当業者には明らかであることは明白に理解される。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形態、設計、又は配置の様々な改変が本発明になされてもよい。従って、上記の説明は、限定ではなく例示と見なされるべきであり、本発明の真の範囲は、添付の特許請求の範囲において画定されるものである。
【0046】
本出願の説明において使用される要素、作用、又は命令は、明示的にそのように説明されていない限り、本発明にとって重要又は不可欠であると解釈されるべきではない。また、本明細書において使用されるように、単数形は、1つ以上の物品を含むことが意図される。更に、「に基づいて」という語句は、他に明示的に記載されていない限り、「少なくとも一部に基づいて」を意味することが意図される。本明細書において使用されるように、「例示的」は、「例、事例、又は例示として機能する」ことを意味する。