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特許7007515情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
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  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/258 20110101AFI20220117BHJP
【FI】
H04N21/258
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021124140
(22)【出願日】2021-07-29
(62)【分割の表示】P 2019171284の分割
【原出願日】2019-09-20
(65)【公開番号】P2021176241
(43)【公開日】2021-11-04
【審査請求日】2021-07-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】王 健
(72)【発明者】
【氏名】木曽 忍
【審査官】川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-020908(JP,A)
【文献】国際公開第2017/191701(WO,A1)
【文献】特表2019-522856(JP,A)
【文献】国際公開第2018/016464(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 - 21/858
H04N 7/14 - 7/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示装置であって各表示装置それぞれが同一の仮想的な全天球映像の少なくとも一部の映像を表示可能な表示装置から、各表示装置の向きを示す情報を取得する向き情報取得部と、
前記複数の表示装置それぞれに、各表示装置の向きを特定するための向き情報を送信する向き情報送信部と、
前記複数の表示装置のうち、他の表示装置に対する指示を許可する属性が割り当てられた表示装置から、当該表示装置以外の他の表示装置に対する指示を示す指示情報を受け付ける指示情報受付部と、
受け付けた前記指示情報に基づく指示を前記他の表示装置それぞれに送信する指示送信部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
複数の表示装置であって各表示装置それぞれが同一の仮想的な全天球映像の少なくとも一部の映像を表示可能な表示装置から、各表示装置のユーザの視線方向を示す情報を取得する向き情報取得部と、
前記複数の表示装置それぞれに、各表示装置のユーザの視線方向を特定するための向き情報を送信する向き情報送信部と、
前記複数の表示装置のうち、他の表示装置に対する指示を許可する属性が割り当てられた表示装置から、当該表示装置以外の他の表示装置に対する指示を示す指示情報を受け付ける指示情報受付部と、
受け付けた前記指示情報に基づく指示を前記他の表示装置それぞれに送信する指示送信部と、
を備える情報処理装置。
【請求項3】
前記向き情報取得部により各表示装置から取得した情報に基づいて前記全天球映像から切り出した一部の映像を、前記複数の表示装置それぞれに対して送信する映像情報送信部をさらに備える、
請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記指示を許可する属性が割り当てられた表示装置から、前記複数の表示装置それぞれが表示する全天球映像の種類を示す映像識別情報を受け付ける映像情報取得部をさらに備え、
前記映像情報送信部は、受け付けた装置識別子に対応する表示装置に割り当てられた属性が前記指示を許可する属性であることを条件として、前記複数の表示装置それぞれに送信する全天球映像を前記映像識別情報で特定される映像に切り替える、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記複数の表示装置それぞれの向き情報に基づいて、各表示装置が向いている方向を前記全天球映像上の点に投影した場合に、前記全天球映像における前記点の密度を示す情報を、前記指示を許可する属性が割り当てられた装置識別子の表示装置に送信する密度情報送信部をさらに備える、
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記指示送信部は、前記複数の表示装置それぞれを特定するための装置識別子と、各表示装置に割り当てられた属性を示す属性情報と、を対応づけた属性データベースを参照して、受け付けた前記指示情報の送信元である前記表示装置の装置識別子に対応する属性が前記指示を許可する属性である場合に、前記指示情報に基づく指示を前記他の表示装置それぞれに送信する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記向き情報送信部は、前記複数の表示装置それぞれを特定するための装置識別子と、各表示装置に割り当てられた属性を示す属性情報と、前記向き情報の送信の可否を定める向き情報送信属性とを対応づけた属性データベースを参照して、前記複数の表示装置それぞれの向き情報のうち、前記向き情報送信属性が対応づけられていない装置識別子の表示装置の向き情報を前記複数の表示装置それぞれに送信せずに、前記向き情報送信属性が対応づけられている装置識別子の表示装置の向き情報を前記複数の表示装置それぞれに送信する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記複数の表示装置それぞれの向き情報に基づいて、各表示装置が向いている方向を前記全天球映像に投影した場合に、前記全天球映像における距離が所定の閾距離未満となる向き情報の組み合わせを特定する近傍方向特定部をさらに備え、
前記向き情報送信部は、前記近傍方向特定部が特定した組み合わせを構成する向き情報以外の情報を、前記複数の表示装置それぞれに送信する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記複数の表示装置それぞれに提供するための前記全天球映像を受け付ける映像管理部をさらに備える、
請求項1から8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記指示情報は、前記表示装置のユーザに注目させるポイントを前記表示装置に表示させる情報である、
請求項1から9のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
プロセッサが、
複数の表示装置であって各表示装置それぞれが同一の仮想的な全天球映像の少なくとも一部の映像を表示可能な表示装置から、各表示装置の向きを示す情報を取得するステップと、
前記複数の表示装置それぞれに、各表示装置の向きを特定するための向き情報を送信するステップと、
前記複数の表示装置のうち、他の表示装置に対する指示を許可する属性が割り当てられた表示装置から、当該表示装置以外の他の表示装置に対する指示を示す指示情報を受け付けるステップと、
受け付けた前記指示情報に基づく指示を前記他の表示装置それぞれに送信するステップと、
を実行する情報処理方法。
【請求項12】
プロセッサが、
複数の表示装置であって各表示装置それぞれが同一の仮想的な全天球映像の少なくとも一部の映像を表示可能な表示装置から、各表示装置のユーザの視線方向を示す情報を取得するステップと、
前記複数の表示装置それぞれに、各表示装置のユーザの視線方向を特定するための向き情報を送信するステップと、
前記複数の表示装置のうち、他の表示装置に対する指示を許可する属性が割り当てられた表示装置から、当該表示装置以外の他の表示装置に対する指示を示す指示情報を受け付けるステップと、
受け付けた前記指示情報に基づく指示を前記他の表示装置それぞれに送信するステップと、
を実行する情報処理方法。
【請求項13】
コンピュータに、
複数の表示装置であって各表示装置それぞれが同一の仮想的な全天球映像の少なくとも一部の映像を表示可能な表示装置から、各表示装置の向きを示す情報を取得する機能と、
前記複数の表示装置それぞれに、各表示装置の向きを特定するための向き情報を送信する機能と、
前記複数の表示装置のうち、他の表示装置に対する指示を許可する属性が割り当てられた表示装置から、当該表示装置以外の他の表示装置に対する指示を示す指示情報を受け付ける機能と、
受け付けた前記指示情報に基づく指示を前記他の表示装置それぞれに送信する機能と、
を実現させるプログラム。
【請求項14】
コンピュータに、
複数の表示装置であって各表示装置それぞれが同一の仮想的な全天球映像の少なくとも一部の映像を表示可能な表示装置から、各表示装置のユーザの視線方向を示す情報を取得する機能と、
前記複数の表示装置それぞれに、各表示装置のユーザの視線方向特定するための向き情報を送信する機能と、
前記複数の表示装置のうち、他の表示装置に対する指示を許可する属性が割り当てられた表示装置から、当該表示装置以外の他の表示装置に対する指示を示す指示情報を受け付ける機能と、
受け付けた前記指示情報に基づく指示を前記他の表示装置それぞれに送信する機能と、
を実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ヘッドマウントディスプレイ(Head Mounted Display;以下、「HMD」と記載する。)が急速に発達し、ユーザがHMDを用いてVR(Virtual Reality)映像やAR(Augmented Reality)映像を観察する機会が多くなってきている。例えば、特許文献1には、HMDを装着したユーザはHMDによって周囲の映像が観察できなくなる遮蔽型のHMDに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-101330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それぞれがHMDを装着した複数のユーザが同一の映像を共有して観察する場合には、各ユーザはHMDに提示された仮想的な映像を観察することになる。各ユーザが遮蔽型のHMDを装着している場合や、各ユーザが離れた位置に存在する場合等は、お互いに他のユーザが映像中のどの位置を観察しているかを認識することが難しい。例えば、HMDを用いて遠隔地にある物件の内部の映像を表示させて仮想的な内覧を提供する場合や、仮想的な美術館巡りを提供する場合等には、あるユーザが別のユーザが向いている方向を知ることができれば便利である。
【0005】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、HMDを装着した複数のユーザが同一の映像を観察する場合に、各ユーザの観察方向を共有するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、情報処理装置である。この装置は、複数の表示装置であって各表示装置それぞれが同一の仮想的な全天球映像の少なくとも一部の映像を表示可能な表示装置から、各表示装置の向きを示す情報を取得する向き情報取得部と、前記複数の表示装置それぞれに、各表示装置の向きを特定するための向き情報を送信する向き情報送信部と、前記複数の表示装置のうち、他の表示装置に対する指示を許可する属性が割り当てられた表示装置から、当該表示装置以外の他の表示装置に対する指示を示す指示情報を受け付ける指示情報受付部と、受け付けた前記指示情報に基づく指示を前記他の表示装置それぞれに送信する指示送信部と、を備える。
【0007】
本発明の第2の態様も情報処理装置である。この装置は、複数の表示装置であって各表示装置それぞれが同一の仮想的な全天球映像の少なくとも一部の映像を表示可能な表示装置から、各表示装置のユーザの視線方向を示す情報を取得する向き情報取得部と、前記複数の表示装置それぞれに、各表示装置のユーザの視線方向を特定するための向き情報を送信する向き情報送信部と、前記複数の表示装置のうち、他の表示装置に対する指示を許可する属性が割り当てられた表示装置から、当該表示装置以外の他の表示装置に対する指示を示す指示情報を受け付ける指示情報受付部と、受け付けた前記指示情報に基づく指示を前記他の表示装置それぞれに送信する指示送信部と、を備える。
【0008】
前記情報処理装置は、前記向き情報取得部により各表示装置から取得した情報に基づいて前記全天球映像から切り出した一部の映像を、前記複数の表示装置それぞれに対して送信する映像情報送信部をさらに備えてもよい。
【0009】
前記情報処理装置は、前記指示を許可する属性が割り当てられた表示装置から、前記複数の表示装置それぞれが表示する全天球映像の種類を示す映像識別情報を受け付ける映像情報取得部をさらに備えてもよく、前記映像情報送信部は、受け付けた装置識別子に対応する表示装置に割り当てられた属性が前記指示を許可する属性であることを条件として、前記複数の表示装置それぞれに送信する全天球映像を前記映像識別情報で特定される映像に切り替えてもよい。
【0010】
前記情報処理装置は、前記複数の表示装置それぞれの向き情報に基づいて、各表示装置が向いている方向を前記全天球映像上の点に投影した場合に、前記全天球映像における前記点の密度を示す情報を、前記指示を許可する属性が割り当てられた装置識別子の表示装置に送信する密度情報送信部をさらに備えてもよい。
【0011】
前記指示送信部は、前記複数の表示装置それぞれを特定するための装置識別子と、各表示装置に割り当てられた属性を示す属性情報と、を対応づけた属性データベースを参照して、受け付けた前記指示情報の送信元である前記表示装置の装置識別子に対応する属性が前記指示を許可する属性である場合に、前記指示情報に基づく指示を前記他の表示装置それぞれに送信してもよい。
【0012】
前記向き情報送信部は、前記複数の表示装置それぞれを特定するための装置識別子と、各表示装置に割り当てられた属性を示す属性情報と、前記向き情報の送信の可否を定める向き情報送信属性とを対応づけた属性データベースを参照して、前記複数の表示装置それぞれの向き情報のうち、前記向き情報送信属性が対応づけられていない装置識別子の表示装置の向き情報を前記複数の表示装置それぞれに送信せずに、前記向き情報送信属性が対応づけられている装置識別子の表示装置の向き情報を前記複数の表示装置それぞれに送信してもよい。
【0013】
前記情報処理装置は、前記複数の表示装置それぞれの向き情報に基づいて、各表示装置が向いている方向を前記全天球映像に投影した場合に、前記全天球映像における距離が所定の閾距離未満となる向き情報の組み合わせを特定する近傍方向特定部をさらに備えてもよく、前記向き情報送信部は、前記近傍方向特定部が特定した組み合わせを構成する向き情報以外の情報を、前記複数の表示装置それぞれに送信してもよい。
【0014】
前記情報処理装置は、前記複数の表示装置それぞれに提供するための前記全天球映像を受け付ける映像管理部をさらに備えてもよい。
【0015】
前記指示情報は、前記表示装置のユーザに注目させるポイントを前記表示装置に表示させる情報であってもよい。
【0016】
本発明の第3の態様は、情報処理方法である。この方法において、プロセッサが、複数の表示装置であって各表示装置それぞれが同一の仮想的な全天球映像の少なくとも一部の映像を表示可能な表示装置から、各表示装置の向きを示す情報を取得するステップと、前記複数の表示装置それぞれに、各表示装置の向きを特定するための向き情報を送信するステップと、前記複数の表示装置のうち、他の表示装置に対する指示を許可する属性が割り当てられた表示装置から、当該表示装置以外の他の表示装置に対する指示を示す指示情報を受け付けるステップと、受け付けた前記指示情報に基づく指示を前記他の表示装置それぞれに送信するステップと、を実行する。
【0017】
本発明の第4の態様も情報処理方法である。この方法において、プロセッサが、複数の表示装置であって各表示装置それぞれが同一の仮想的な全天球映像の少なくとも一部の映像を表示可能な表示装置から、各表示装置のユーザの視線方向を示す情報を取得するステップと、前記複数の表示装置それぞれに、各表示装置のユーザの視線方向を特定するための向き情報を送信するステップと、前記複数の表示装置のうち、他の表示装置に対する指示を許可する属性が割り当てられた表示装置から、当該表示装置以外の他の表示装置に対する指示を示す指示情報を受け付けるステップと、受け付けた前記指示情報に基づく指示を前記他の表示装置それぞれに送信するステップと、を実行する。
【0018】
本発明の第5の態様はプログラムである。このプログラムは、コンピュータに、複数の表示装置であって各表示装置それぞれが同一の仮想的な全天球映像の少なくとも一部の映像を表示可能な表示装置から、各表示装置の向きを示す情報を取得する機能と、前記複数の表示装置それぞれに、各表示装置の向きを特定するための向き情報を送信する機能と、前記複数の表示装置のうち、他の表示装置に対する指示を許可する属性が割り当てられた表示装置から、当該表示装置以外の他の表示装置に対する指示を示す指示情報を受け付ける機能と、受け付けた前記指示情報に基づく指示を前記他の表示装置それぞれに送信する機能と、を実現させる。
【0019】
本発明の第6の態様もプログラムである。このプログラムは、コンピュータに、複数の表示装置であって各表示装置それぞれが同一の仮想的な全天球映像の少なくとも一部の映像を表示可能な表示装置から、各表示装置のユーザの視線方向を示す情報を取得する機能と、前記複数の表示装置それぞれに、各表示装置のユーザの視線方向特定するための向き情報を送信する機能と、前記複数の表示装置のうち、他の表示装置に対する指示を許可する属性が割り当てられた表示装置から、当該表示装置以外の他の表示装置に対する指示を示す指示情報を受け付ける機能と、受け付けた前記指示情報に基づく指示を前記他の表示装置それぞれに送信する機能と、を実現させる。
【0020】
このプログラムを提供するため、あるいはプログラムの一部をアップデートするために、このプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供されてもよく、また、このプログラムが通信回線で伝送されてもよい。
【0021】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、データ構造、記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、HMDを装着した複数のユーザが同一の映像を観察する場合に、各ユーザの観察方向を共有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施の形態に係る情報処理装置の概要を説明するための図である。
図2】実施の形態に係る情報処理装置の機能構成を模式的に示す図である。
図3】全天球映像、向き情報、及び映像の関係を模式的に示す図である。
図4】実施の形態に係る属性データベースのデータ構造を模式的に示す図である。
図5】実施の形態に係る密度情報送信部が送信する点の密度を示す情報の一例を模式的に示す図である。
図6】実施の形態に係る情報処理装置が実行する情報処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<実施の形態の概要>
実施の形態の概要を述べる。実施の形態に係る情報処理装置は、複数のユーザそれぞれが装着するHMDに対して、同一の全天球映像から各表示装置の向きに応じてそれぞれ切り出した一部の全天球映像を送信する。このとき、実施の形態に係る情報処理装置は、各表示装置に送信する映像に各表示装置の向きを特定するための情報を重畳する。これにより、各表示装置のユーザは、他のユーザが全天球映像のどの向きを観察しているかを把握することができる。
【0025】
図1は、実施の形態に係る情報処理装置1の概要を説明するための図である。図1は、情報処理装置1が4人のユーザU(第1ユーザU1、第2ユーザU2、第3ユーザU3、及び第4ユーザU4)それぞれが所持する表示装置M(第1表示装置M1、第2表示装置M2、第3表示装置M3、及び第4表示装置M4)に対して、全天球映像から切り出した映像Iを提示している様子を示している。図1に示す例では、全天球映像はある住宅の内部を撮像した映像である。すなわち、図1に示す例において、情報処理装置1は、各ユーザUに対して仮想的な内覧の場を提供している。
【0026】
図1において、第1ユーザU1は説明者であり、例えば不動産の仲介業者である。一方、第2ユーザU2、第3ユーザU3、及び第4ユーザU4は、内覧希望者である。このため、第2ユーザU2、第3ユーザU3、及び第4ユーザU4のそれぞれは、HMDである第2表示装置M2、第3表示装置M3、及び第4表示装置M4を装着しており、住宅の内部のVR映像を観察している。
【0027】
これに対し、第1ユーザU1が所持している第1表示装置M1はタブレット型のPC(Personal Computer)であり、第1ユーザU1はHMDを装着していない。これにより、第1ユーザU1は、内覧希望者である第2ユーザU2、第3ユーザU3、及び第4ユーザU4の様子を観察しながら住宅内部の説明をすることができる。
【0028】
図示はしないが、各HMDは向きを特定するための方位センサを備えており、HMDを装着しているユーザUの顔の向きを計測することができる。情報処理装置1は、各HMDから各ユーザUの顔の向きを取得するとともに、各表示装置Mに提示する映像Iに各ユーザUの顔の向きを示す情報Dを含めて送信する。図1では、内覧希望者である第2ユーザU2、第3ユーザU3、及び第4ユーザU4の顔が向いている方向を示す情報D(第2向き情報D2、第3向き情報D3、及び第4向き情報D4)として、それぞれ傾いた矩形が映像Iに重畳されている。なお、図1に示すように、向き情報Dは、ユーザU毎にそれぞれ異なる態様で映像Iに重畳されている。
【0029】
例えば、住宅の内覧の場合には、内覧対象の住宅を賃貸又は購入を検討している家族が内覧することがある。図1に示す例では、第2ユーザU2が夫であり、第3ユーザU3が妻であり、第4ユーザU4が子であるとする。このとき、不動産の仲介業者である第1ユーザU1は、営業の観点から見ると、子である第4ユーザU4の注視点よりも、第2ユーザU2や第3ユーザU3の注視点に着目して話を進めることが考えられる。
【0030】
実施の形態に係る情報処理装置1は、映像I中に各ユーザUの顔の向きを示す情報Dを表示しているため、第1ユーザU1は第2ユーザU2や第3ユーザU3の注視点を把握することができる。さらに、情報処理装置1が映像I中に各ユーザUの顔の向きを示す情報Dを表示することにより、ユーザU同士のコミュニケーション(例えば、第2ユーザU2が第3ユーザU3に着目してもらいたい場所の指示)等もスムースにすることができる。
【0031】
<実施の形態に係る情報処理装置1の機能構成>
図2は、実施の形態に係る情報処理装置1の機能構成を模式的に示す図である。情報処理装置1は、記憶部2と制御部3とを備える。図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、図2に示していないデータの流れがあってもよい。図2において、各機能ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図2に示す機能ブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。機能ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0032】
記憶部2は、情報処理装置1を実現するコンピュータのBIOS(Basic Input Output System)等を格納するROM(Read Only Memory)や情報処理装置1の作業領域となるRAM(Random Access Memory)、OS(Operating System)やアプリケーションプログラム、当該アプリケーションプログラムの実行時に参照される種々の情報を格納するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の大容量記憶装置である。
【0033】
制御部3は、情報処理装置1のCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部2に記憶されたプログラムを実行することによって向き情報取得部30、向き情報送信部31、指示情報受付部32、指示送信部33、密度情報送信部34、近傍方向特定部35、映像情報取得部36、映像情報送信部37、及び映像管理部38として機能する。
【0034】
なお、図2は、情報処理装置1が単一の装置で構成されている場合の例を示している。しかしながら、情報処理装置1は、例えばクラウドコンピューティングシステムのように複数のプロセッサやメモリ等の計算リソースによって実現されてもよい。この場合、制御部3を構成する各部は、複数の異なるプロセッサの中の少なくともいずれかのプロセッサがプログラムを実行することによって実現される。
【0035】
向き情報取得部30は、複数の表示装置Mから、各表示装置Mの向きを示す情報を取得する。向きを示す情報とは、例えば方位角情報である。ここで、各表示装置Mは、それぞれ同一の仮想的な全天球映像の少なくとも一部の映像Iを表示可能な装置であり、例えば、HMD、タブレットPC、スマートフォン等である。向き情報送信部31は、複数の表示装置Mそれぞれに、各表示装置Mの向きを特定するための向き情報を送信する。以下、映像I中で各表示装置Mの向きを示す情報を示すために付された情報を「向き情報D」と記載することがある。向き情報取得部30が表示装置Mから取得する情報と、映像I中に表示される向き情報Dとは、表現の形式は異なるが実質的には同じ情報である。
【0036】
図3は、全天球映像O、向き情報D、及び映像Iの関係を模式的に示す図である。全天球映像Oは上下左右360度を撮像したパノラマ映像である。このため、全ての全天球映像Oを2次元の表示装置である表示装置Mに一度に表示させても、ユーザUに適切な映像を提示したことにはならない。このため、情報処理装置1は、全天球映像OのうちユーザUの視野に対応する部分の映像を映像Iとして切り出し、表示装置Mに送信する。
【0037】
具体的には、情報処理装置1は、ユーザUの向きを特定するための向き情報D(すなわち、ユーザUの視線方向)を中心として、ユーザUの視野に対応する部分を全天球映像Oから切り出して映像Iとする。図3に示すように、映像Iは全天球映像Oの一部であるため、情報処理装置1は、複数のユーザUそれぞれの向き情報Dを取得して、各表示装置Mに送信するための映像Iをそれぞれ全天球映像Oから切り出す。
【0038】
このとき、情報処理装置1は、ある向き情報Dと別の向き情報Dとが近傍にあるとき、すなわち、ある向き情報Dを基準に切り出した映像Iと、別の向き情報Dを基準として切り出した映像Iとが少なくとも映像Iの中心部を共有する場合、各映像に向き情報Dを重畳する。これにより、情報処理装置1は、HMDを装着した複数のユーザUが同一の映像を観察する場合に、各ユーザUの観察方向を共有させることができる。
【0039】
図2の説明に戻る。記憶部2は、複数の表示装置Mそれぞれを特定するための装置識別子と、各表示装置に割り当てられた属性を示す属性情報とを対応づけた属性データベースを格納している。指示情報受付部32は、複数の表示装置Mのうちのいずれかの表示装置Mから、その表示装置Mの装置識別子と、その表示装置M以外の他の表示装置Mに対する指示を示す指示情報とを受け付ける。
【0040】
指示送信部33は、受け付けた装置識別子に対応する表示装置Mに割り当てられた属性が表示装置Mに対する指示を許可する説明者属性であることを条件として、指示情報を他の表示装置Mそれぞれに送信する。
【0041】
図4は、実施の形態に係る属性データベースのデータ構造を模式的に示す図である。属性データベースは記憶部2に格納されており、指示送信部33によって管理されている。図4に示すように、属性データベースには、各表示装置Mを特定するための装置識別子と対応づけて、表示装置Mに割り当てられた属性が記録されている。
【0042】
例えば、図4において、装置識別子がDID00001である表示装置Mの属性は「一般」であり、装置識別子がDID00002である表示装置Mの属性は「説明者」である。指示送信部33は、指示情報を送信した表示装置Mの属性が「説明者」である場合に、その指示情報を他の表示装置Mに送信する。指示情報を送信した表示装置Mの属性が「一般」である場合には、指示送信部33は、指示情報を受け付けても他の表示装置Mには送信しない。
【0043】
図1に示す内覧の例では、第1ユーザU1が利用する第1表示装置M1に説明者属性が割り当てられている。この場合、不動産の仲介業者である第1ユーザU1のみが、内覧希望者である第2ユーザU2、第3ユーザU3、及び第4ユーザU4に対して、指示情報を送信できることになる。指示情報とは、例えばユーザUに注目して欲しいポイントを映像I中に表示させる情報である。
【0044】
これにより、説明者属性を持つ表示装置MのユーザUは、他のユーザUに対して、注目ポイントを示すことができるようになる。表示装置MがHMDである場合には、その表示装置Mを装着しているユーザUは説明者を直接見ることができないため、情報処理装置1は映像I中に注目ポイントを示すことにより、説明をスムースに行わせることができる。また、説明者属性を持つ表示装置M以外からの指示を破棄することにより、情報処理装置1は、映像I中に注目ポイントが入り乱れることを抑制できる。なお、図4中の「向き情報送信」属性については後述する。
【0045】
密度情報送信部34は、複数の表示装置Mそれぞれの向き情報に基づいて、各表示装置Mが向いている方向を全天球映像O上の点に投影した場合に、全天球映像Oにおける点の密度を示す情報を、説明者属性が対応づけられた装置識別子の表示装置Mに送信する。
【0046】
図5は、実施の形態に係る密度情報送信部34が送信する点の密度を示す情報の一例を模式的に示す図である。図5に示す例では、密度情報送信部34は、点の密度を示す情報をヒートマップの形式で表現して説明者属性が付された第1表示装置M1に送信している。具体的には、図5において、各ユーザUの注視点の密度が高いほど高い輝度で表されている。説明者は、自身の表示装置Mで点の密度を示す情報を確認することにより、映像Iを観察しているユーザUが全天球映像O中のどの場所に興味を持っているかを把握することができる。
【0047】
以上、複数のユーザUそれぞれが向いている方向を、各表示装置Mに表示されている映像Iに重畳させる場合について説明した。ここで、同一の全天球映像Oを共有するユーザUの数が多くなるほど、映像I上に重畳される向き情報Dの数が増えることになる。このため、映像Iに重畳される向き情報Dの数が多すぎると、ユーザUに本来提示すべき映像Iが観察しづらくなることも考えられる。
【0048】
そこで、近傍方向特定部35は、複数の表示装置Mそれぞれの向き情報Dに基づいて、各表示装置Mが向いている方向を全天球映像Oに投影した場合に、全天球映像Oにおける距離が所定の閾距離未満となる向き情報Dの組み合わせを特定する。なお、「所定の閾距離」とは、全天球映像O上に投影された点同士が近傍の関係にあるか否かを判定するために近傍方向特定部35が参照する「近傍判定時参照用距離」である。所定の閾距離の具体的な値は、参加が想定されるユーザUの数や全天球映像Oの種類等を勘案して実験により定めれば良いが、例えば、映像Iの短辺の長さの10%に対応する距離である。
【0049】
向き情報送信部31は、近傍方向特定部35が特定した組み合わせを構成する向き情報D以外の情報を、複数の表示装置Mそれぞれに送信する。これにより、各表示装置Mに送信される映像Iには「近傍」の関係にある向き情報Dが重畳されないため、ユーザUは、本来観察すべき映像を向き情報Dに邪魔されることなく観察することができる。
【0050】
ここで、例えば映像Iを観察する複数のユーザUの中で、他のユーザUよりも上の立場に立つユーザUが存在する場合を考える。このとき、上の立場に立つユーザU以外のユーザUは、上の立場に立つユーザUが観察している方向を知ることができると便利である。
【0051】
そこで、属性データベースは、向き情報Dの送信の可否を定める向き情報送信属性を装置識別子に対応づけてさらに格納してもよい。この場合、向き情報送信部31は、複数の表示装置Mそれぞれの向き情報Dのうち、向き情報送信属性が対応づけられている装置識別子の表示装置Mの向き情報のみを、他の複数の表示装置Mそれぞれに送信する。これにより、情報処理装置1は、特定のユーザUの顔の向きのみを他のユーザUと共有することができる。
【0052】
以上、複数のユーザUが共有する全天球映像Oが一種類であることを前提に説明した。しかしながら、各ユーザUが共有する全天球映像Oは複数種類存在してもよい。例えば、住宅の賃貸を検討している家族が情報処理装置1を用いて複数の住宅の内覧を行う場合には、内覧する住宅の数に対応する数の全天球映像Oが存在する。この場合、情報処理装置1は、ユーザUに共有させる全天球映像Oを切り替えながら映像Iを表示装置Mに送信することになる。
【0053】
ここで、全てのユーザUが自由に全天球映像Oを切り替えることができると、表示装置Mに提示される映像Iが頻繁に切り替えられることになりかねない。このため、全天球映像Oの切り替えはある程度制限できると便利である。
【0054】
そこで、まず、映像情報取得部36は、複数の表示装置Mのうちのいずれかの表示装置Mから、その表示装置の装置識別子と、複数の表示装置Mそれぞれが表示する全天球映像Oの種類を示す映像識別情報とを受け付ける。続いて、映像情報送信部37は、属性データベースを参照して、受け付けた装置識別子に対応する属性を取得する。映像情報送信部37は、受け付けた装置識別子に対応する表示装置Mに割り当てられた属性が説明者属性であることを条件として、複数の表示装置Mそれぞれに送信する全天球映像Oを、映像情報取得部36が取得した映像識別情報で特定される映像に切り替える。
【0055】
これにより、ユーザUに提示する全天球映像Oの切り替えが説明者属性を持つ表示装置MのユーザUに限定されるので、情報処理装置1は、表示装置Mに提示される映像Iが頻繁に切り替えられる事態を抑制できる。
【0056】
このように、複数のユーザUが共有する全天球映像Oを自由に変更できるのであれば、情報処理装置1に保持させる全天球映像Oも自由に変更できると便利である。複数のユーザUに共有させる全天球映像Oのバリエーションを増加することができるからである。
【0057】
そこで、情報処理装置1は、複数の表示装置Mそれぞれに提供するための全天球映像Oを受け付ける映像管理部を38備えている。映像管理部38は、情報処理装置1の管理者から新たな全天球映像Oを受け付けた場合、その全天球映像Oを記憶部2に格納する。また、映像管理部38は、情報処理装置1の管理者からの指示により、記憶部2が格納している全天球映像Oを削除する。これにより、情報処理装置1は、複数のユーザUに共有させる全天球映像Oを追加したり削除したりすることができる。
【0058】
<情報処理装置1が実行する情報処理方法の処理フロー>
図6は、実施の形態に係る情報処理装置1が実行する情報処理の流れを説明するためのフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、例えば情報処理装置1が起動したときに開始する。
【0059】
向き情報取得部30は、複数の表示装置Mから、各表示装置Mの向きを特定するための向き情報Dを取得する(S2)。向き情報送信部31は、複数の表示装置Mそれぞれに、各表示装置Mの向きを特定するための向き情報Dを送信する(S4)。
【0060】
指示情報受付部32は、複数の表示装置Mのうちのいずれかの表示装置Mから、その表示装置Mの装置識別子と、その表示装置M以外の他の表示装置Mに対する指示を示す指示情報とを受け付ける(S6)。
【0061】
属性データベースにおいて、指示情報受付部32が受け付けた装置識別子に対応する表示装置Mに割り当てられた属性が表示装置Mに対する指示を許可する説明者属性である場合(S8のYes)、指示送信部33は、指示情報を他の表示装置Mそれぞれに送信する(S10)。
【0062】
属性データベースにおいて、指示情報受付部32が受け付けた装置識別子に対応する表示装置Mに割り当てられた属性が表示装置Mに対する指示を許可する説明者属性でない場合(S8のNo)、又は、指示送信部33が指示情報を他の表示装置Mそれぞれに送信すると、本フローチャートにおける処理は終了する。
【0063】
<実施の形態に係る情報処理装置1が奏する効果>
以上説明したように、実施の形態に係る情報処理装置1によれば、HMDを装着した複数のユーザUが同一の全天球映像Oを観察する場合に、各ユーザUの観察方向を共有させることができる。
【0064】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果をあわせ持つ。
【符号の説明】
【0065】
1・・・情報処理装置
2・・・記憶部
3・・・制御部
30・・・向き情報取得部
31・・・向き情報送信部
32・・・指示情報受付部
33・・・指示送信部
34・・・密度情報送信部
35・・・近傍方向特定部
36・・・映像情報取得部
37・・・映像情報送信部
38・・・映像管理部
M・・・表示装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6