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特許7007522単相インバータの並列制御方法、およびシステムならびにインバータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】単相インバータの並列制御方法、およびシステムならびにインバータ
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/493 20070101AFI20220117BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20220117BHJP
【FI】
H02M7/493
H02M7/48 F
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021515549
(86)(22)【出願日】2019-08-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 CN2019101272
(87)【国際公開番号】W WO2020186688
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-03-19
(31)【優先権主張番号】201910211533.7
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514222673
【氏名又は名称】中▲車▼青▲島▼四方▲車▼▲輛▼研究所有限公司
【氏名又は名称原語表記】CRRC QINGDAO SIFANG ROLLING STOCK RESEARCH INSTITUTE CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.231 Ruichang Road,Shibei District Qingdao,Shandong 266031 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼波
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼▲慶▼文
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼俊博
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼云▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲シン▼学彬
(72)【発明者】
【氏名】王▲聡▼▲聡▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼玉▲飛▼
(72)【発明者】
【氏名】黎梅云
(72)【発明者】
【氏名】▲紀▼文▲東▼
(72)【発明者】
【氏名】朱真宗
(72)【発明者】
【氏名】毛涌捷
(72)【発明者】
【氏名】王▲シン▼
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/105081(WO,A1)
【文献】特開2018-102105(JP,A)
【文献】特開2013-251933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/493
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単相インバータを含んで、各前記単相インバータの出力電圧および出力電流を制御し、前記複数の単相インバータの出力電流を均等に分割する単相インバータ並列システムで使用される単相インバータの並列制御方法であって、該並列制御方法が、
現在の瞬間および以前の瞬間の各前記単相インバータの前記出力電圧および前記出力電流を取得するステップと、
前記取得した電圧変数および前記取得した電流変数を再構築し、前記取得した電圧変数または前記取得した電流変数の位相からそれぞれ90度の位相差を持つ直交仮想量を仮想化し、αβ座標において前記単相インバータ並列システムの直交成分をシミュレートするステップと、
前記αβ座標の前記直交成分をdq座標の直流成分に変換するステップと、
瞬時有効電力Pおよび瞬時無効電力Qを計算するステップであって、前記瞬時有効電力Pおよび前記瞬時無効電力Qの計算式は、
式中、U は現在の瞬間の出力電圧のサンプリング値を表し、I は前記現在の瞬間の出力電流のサンプリング値を表し、U k-1 は以前の瞬間の出力電圧のサンプリング値を表し、I k-1 は前記以前の瞬間の出力電流のサンプリング値を表し、x=2π/Nであり、Nは、サンプリング期間に対する電力周波数期間の比を表していることを特徴とするステップと
交流バスの位相を検出し、前記dq座標の出力q軸直流成分の目標値をゼロに制御して、並列出力を行う前記複数の単相インバータの位相を同じにするステップと、
各前記単相インバータの出力周波数をドループ制御によって制御して前記複数の単相インバータの出力位相を同じにして、有効電力を均等に分割し、各前記単相インバータの出
力振幅をドループ制御によって制御して前記複数の単相インバータの出力電圧の振幅を同一にして、無効電力を均等に分割するステップであって、前記ドループ制御のドループ対応は、
式中、fは出力周波数を表し、f は初期周波数を表し、k は前記有効電力のドループ係数を表し、Vは出力電圧の振幅、V は初期電圧の振幅、k は前記無効電力のドループ係数を表すことを特徴とするステップと、
d軸電圧ループの基準コマンド値U dref を出力電圧の振幅Vとし、q軸電圧ループの基準コマンド値U dref を0とし、前記dq座標のd軸直流成分とq軸直流成分に対して閉ループ制御をそれぞれ実行して、軸dqの出力電圧コマンド値を取得するステップと、
各前記単相インバータの出力周波数fに従って位相θを計算し、前記dq座標の前記出力電圧コマンド値を前記αβ座標の出力電圧コマンド値に変換し、前記αβ座標の前記出力電圧コマンド値をabc座標の出力電圧コマンド値に変換するステップと、
前記abc座標の前記出力電圧コマンド値に従って各前記単相インバータの前記出力電圧を調整するための制御信号SPWMパルスを変調および生成するステップと
の具体的ステップを含むことを特徴とする、単相インバータの並列制御方法。
【請求項2】
前記取得された電圧変数および前記取得された電流変数は、二次一般化積分器を採用することによって再構築され、該二次一般化積分器は、それぞれVoおよびqVoである入力Vinおよび2つの出力を有し、前記出力Voは前記入力Vinと同じ位相および振幅を有し、前記出力qVoは前記入力Vinと同じ振幅を有し、位相に関して前記入力Vinに対して90度の遅れがあり、前記2つの出力と前記入力の間の伝達関数は次のとおりであり、
式中、kは減衰係数を表し、ωは共振角周波数を表し、
sドメイン伝達関数が離散化された後、差分方程式は次のように取得され、
式中、Tは前記システムのサンプリング期間を表し、x(k)は現在の期間の前記二次一般化積分器の入力を表し、x(k-1)は以前の期間の前記二次一般化積分器の入力を表し、x(k-2)は前記以前の期間の前の期間の前記二次一般化積分器の入力を表し、y01(k)は前記現在の期間の前記二次一般化積分器の出力を表し、y01(k-1)は前記以前の期間の前記二次一般化積分器の出力を表し、y01(k-2)は前記以前の
期間の前の前記期間の前記二次一般化積分器の出力を表し、y02(k)は前記現在の期間の前記二次一般化積分器の出力を表し、位相に関してy01(k)に対して90度の遅れがあり、y02(k-1)は前記以前の期間の前記二次一般化積分器の出力を表し、y02(k-2)は前記以前の期間の前の前記期間の前記二次一般化積分器の出力を表し、
前記現在の期間の前記二次一般化積分器の前記出力y01(k)と前記現在の期間の前記二次一般化積分器の前記出力y02(k)とは、前記二次一般化積分器によって最終的に出力される離散化直交成分であることを特徴とする、請求項1に記載の単相インバータの並列制御方法。
【請求項3】
前記αβ座標の前記直交成分が、PARK変換により前記dq座標の前記直流成分に変換され、変換式は、
式中、Uは前記dq座標のd軸直流電圧成分を表し、Uは前記dq座標のq軸直流電圧成分を表し、Uαは前記αβ座標のα軸直交電圧成分を表し、Uβは前記αβ座標のβ軸直交電圧成分を表すことを特徴とする、請求項2に記載の単相インバータの並列制御方法。
【請求項4】
前記交流バスの前記位相が位相ロックループによって検出され、PIコントローラによって前記dq座標の前記出力q軸直流成分の前記目標値をゼロに制御して、並列出力を実行する前記複数の単相インバータの前記位相が同じになるようにし、具体的なステップが、前記交流バスの電圧を取得し、前記二次一般化積分器を使用して、前記αβ座標で前記バスの前記電圧に対して90度の遅れを有する直交成分を構築するステップと、前記αβ座標の前記直交成分をPARK変換により前記dq座標の直流成分に変換し、前記dq座標のd軸直流電圧成分Uおよびq軸直流電圧成分Uを計算するステップと、前記単相インバータの1つによって出力されるq軸直流電圧成分Uがゼロに等しい場合、前記単相インバータの出力位相は前記バスの前記位相と同じであり、前記PIコントローラによって、前記出力q軸直流電圧成分Uの前記目標値がゼロに制御して閉ループ調整を形成し、それにより並列出力を行う前記複数の単相インバータの前記位相を同じにするステップであることを特徴とする、請求項3に記載の単相インバータの並列制御方法。
【請求項5】
前記ドループ制御における前記ドループ係数は、前記複数の単相インバータが並列に起動される過程で補正され、補正されたドループ対応は、
式中、Kは周波数補正係数を表し、Kは振幅補正係数を表すことを特徴とする、請求項に記載の単相インバータの並列制御方法。
【請求項6】
前記dq座標における前記d軸直流成分および前記q軸直流成分の前記閉ループ制御が、前記軸dqの前記出力電圧コマンド値を取得するための電圧および電流のダブル-ループ制御の方法でそれぞれ実行され、具体的なステップが、d軸電圧ループの基準コマンド値Udrefと電圧出力値Uとの差異を計算し、前記差異が前記d軸電圧ループのPIコントローラに入り、前記d軸電圧ループの前記PIコントローラの出力をd軸電流ルー
プの基準コマンド値Idrefとして取得し、前記d軸電流ループの前記基準コマンド値Idrefと実際の電流出力値Idとの差異を計算し、次いで前記差異が前記d軸電流ループのPIコントローラに入ることを可能にするステップと、q軸電圧ループの基準コマンド値Uqrefと電圧出力値Uとの差異を計算し、前記差異が前記q軸電圧ループのPIコントローラに入り、前記q軸電圧ループの前記PIコントローラの出力をq軸電流ループの基準コマンド値Iqrefとして取得し、前記q軸電流ループの前記基準コマンド値Iqrefと実際の電流出力値Iqとの差異を計算し、次いで前記差異が前記q軸電流ループのPIコントローラに入ることを可能にするステップと、前記d軸電流ループの出力値と前記q軸電流ループの出力値に対してクロスデカップリングを実行して、前記軸dの前記出力電圧コマンド値を取得するステップであることを特徴とする、請求項1に記載の単相インバータの並列制御方法。
【請求項7】
前記dq座標の前記出力電圧コマンド値は、IPARK変換により前記αβ座標の前記出力電圧コマンド値に変換され、前記αβ座標の前記出力電圧コマンド値は、ICLARKE変換により前記abc座標の前記出力電圧コマンド値に変換されることを特徴とする、請求項1に記載の単相インバータの並列制御方法。
【請求項8】
前記各単相インバータの前記出力電圧を調整するための前記制御信号SPWMパルスが、前記abc座標の前記出力電圧コマンド値に従って生成され、具体的なステップが、前記abc座標の前記出力電圧コマンド値に従って、同じ振幅および反対の位相を有する2つの正弦関数の変調波UおよびUを構築するステップであって、前記2つの正弦関数の変調波は搬送波として三角波Ucを共有する、ステップと、それぞれ前記正弦関数の変調波UとUを前記三角波Uと比較して、2つのSPWM波Ug1とUg3を取得するステップであって、前記SPWM波Ug1は、各前記単相インバータのスイッチングチューブQ1の駆動信号として使用され、Ug1に対応するリバース信号Ug2は、各前記単相インバータのスイッチングチューブQ2の駆動信号として使用され、前記SPWM波Ug3は、各前記単相インバータのスイッチングチューブQ3の駆動信号として使用され、Ug3に対応するリバース信号Ug4は、各前記単相インバータのスイッチングチューブQ4の駆動信号として使用される、ステップと、前記搬送波のピークまたはトラフ位置で前記正弦関数の変調波をサンプリングするステップと、デジタル信号プロセッサの比較モジュールにより、各前記単相インバータの前記出力電圧を調整するための4つの制御信号SPWMパルスを生成するステップであることを特徴とする、請求項に記載の単相インバータの並列制御方法。
【請求項9】
単相インバータ用の並列制御システムであって、
各前記単相インバータの出力電圧および出力電流を取得するように構成された装置と、
前記取得した電圧変数および前記取得した電流変数を再構築し、前記取得した電圧変数または前記取得した電流変数の位相からそれぞれ90度の位相差を持つ直交仮想量を仮想化し、αβ座標において前記単相インバータ並列システムの直交成分をシミュレートするように構成された装置と、
前記αβ座標の前記直交成分をdq座標の直流成分に変換する装置と、
瞬時有効電力Pおよび瞬時無効電力Qの計算式に従って、瞬時有効電力Pおよび瞬時無効電力Qを計算するように構成された装置であって、前記瞬時有効電力Pおよび前記瞬時無効電力Qの前記計算式は、
式中、U は現在の瞬間の出力電圧のサンプリング値を表し、I は前記現在の瞬間の出力電流のサンプリング値を表し、U k-1 は以前の瞬間の出力電圧のサンプリング値を表し、I k-1 は前記以前の瞬間の出力電流のサンプリング値を表し、x=2π/Nであり、Nは、サンプリング期間に対する電力周波数期間の比を表していることを特徴とする装置と
交流バスの位相を検出し、前記dq座標の出力q軸直流成分の目標値をゼロに制御して、並列出力を行う前記複数の単相インバータの位相を同じにするように構成された装置と、
各前記単相インバータの出力周波数をドループ制御によって制御して前記複数の単相インバータの出力位相を同じにして、有効電力を均等に分割し、各前記単相インバータの出力振幅をドループ制御によって制御して前記複数の単相インバータの出力電圧の振幅を同一にして、無効電力を均等に分割するように構成された装置と、
d軸電圧ループの基準コマンド値U dref を出力電圧の振幅Vとし、q軸電圧ループの基準コマンド値U dref を0とし、前記dq座標のd軸直流成分とq軸直流成分に対して閉ループ制御をそれぞれ実行して、軸dqの出力電圧コマンド値を取得するように構成された装置と、
各前記単相インバータの出力周波数fに従って位相を計算し、前記dq座標の前記出力電圧コマンド値を前記αβ座標の出力電圧コマンド値に変換し、前記αβ座標の前記出力電圧コマンド値をabc座標の出力電圧コマンド値に変換するように構成された装置と、
前記abc座標の前記出力電圧コマンド値に従って各前記単相インバータの前記出力電圧を調整するための制御信号SPWMパルスを変調および生成するように構成された制御ユニットと
を備えることを特徴とする、単相インバータ用の並列制御システム。
【請求項10】
各前記単相インバータの前記取得した出力電圧および前記取得した出力電流が、現在の瞬間における出力電圧および出力電流ならびに以前の瞬間における出力電圧および出力電流を含むことを特徴とする、請求項に記載の単相インバータ用の並列制御システム。
【請求項11】
並列起動中に前記出力周波数および前記出力振幅のドループ係数を補正するように構成された装置をさらに備えることを特徴とする、請求項に記載の単相インバータ用の並列制御システム。
【請求項12】
複数の並列単相インバータを備え、すべての前記単相インバータが同じ構造を有することを特徴とするインバータであって、該インバータが、請求項9から11のいずれか1項に記載の前記単相インバータ用の並列制御システムをさらに備え、各前記単相インバータのブーストチョッパ回路およびインバータ回路の両方が、前記単相インバータ用の並列制御システムの前記制御ユニットに接続されている、インバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電力および電子の技術分野に属し、インバータ技術、特に単相インバータ用の並列制御方法および並列制御システムならびにインバータに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関車は、内燃機関からの動力によってホイールが伝動装置によって駆動される機関車である。これまで、中国では多くの内燃機関車が使用されており、各内燃機関車は発電車を採用して、列車全体に、エアコンディショニングシステムおよび照明システムなどのシステムに電力を供給する3AC380V電源を供給している。発電車は運転コストが高く、環境汚染などの欠点があるため、現在は徐々に電気機関車に改造されており、改造された電気機関車は架空接触システムから電力を引き出して列車全体の負荷に電力を供給する。ニュートラルセクションが存在するため、列車はニュートラルセクションを通過するときに無電力状態になり、空調システムや照明システムなどのシステムは、乗客の照明需要を維持するために正常に機能することができず、ニュートラルセクションを通過する際に、蓄電池と車載電源を追加し、蓄電池と単相インバータ(single-phase
inverter)を介してニュートラルセクションの照明システムに電力を供給することで、乗客のパニックなどの問題を回避するために照明が途切れないように、乗客に提供される。
【0003】
通常の列車の単相インバータと比較して、発電車改造後の単相インバータは、無停電電源装置として使用され、動作時に照明システムに継続的に電力を供給し、長時間の動作が求められ、したがって、照明システムの信頼性に対する要件が高まっている。現在、ダブルインバータモジュールの相互バックアップ冗長性の解決策が一般的に採用されており、ボックスには2つの単相インバータモジュールが内部に備えられており、通常、一方のインバータモジュールが動作し、もう一方のインバータモジュールは予備であり、また、一方のモジュールに障害が発生すると、もう一方のモジュールが起動し、接触器によって相互にバックアップされて、負荷にさらに電力を供給する。このようにして、照明システムの安定性をある程度改善することができる。ただし、2つのモジュールの相互バックアップ切り替え中は、予備モジュールの起動と相互バックアップのための接触器の接続の両方が遅延し、その間、単相インバータには出力がないため、照明システムを正常に維持することができず、乗客に中断のない照明を保証することが困難であり、照明の中断による乗客のパニックの問題が依然として発生する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
単相インバータの相互バックアップ切り替え時の遅延による単相インバータからの出力がないことによる電源の断続などの上記の問題を解決するために、本出願は、切り替え中に途切れることなく電力を供給するための単相インバータ用の並列制御方法および並列制御システムならびにインバータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本出願は、複数の単相インバータを含んで、各単相インバータの出力電圧および出力電流を制御し、複数の単相インバータの出力電流を均等に分割する単相インバータ並列システムで使用される単相インバータの並列制御方法であって、並列制御方法が、
現在の瞬間および以前の瞬間の各単相インバータの出力電圧および出力電流を取得するステップと、
取得した電圧変数および取得した電流変数を再構築し、取得した電圧変数または取得した電流変数の位相からそれぞれ90度の位相差を持つ直交仮想量を仮想化し、αβ座標において単相インバータ並列システムの直交成分をシミュレートするステップと、
αβ座標の直交成分をdq座標の直流成分に変換するステップと、
瞬時有効電力Pおよび瞬時無効電力Qを計算するステップであって、前記瞬時有効電力Pおよび前記瞬時無効電力Qの計算式は、
式中、U は現在の瞬間の出力電圧のサンプリング値を表し、I は前記現在の瞬間の出力電流のサンプリング値を表し、U k-1 は以前の瞬間の出力電圧のサンプリング値を表し、I k-1 は前記以前の瞬間の出力電流のサンプリング値を表し、x=2π/Nであり、Nは、サンプリング期間に対する電力周波数期間の比を表していることを特徴とするステップと
交流バスの位相を検出し、dq座標の出力q軸直流成分の目標値をゼロに制御して、並列出力を行う複数の単相インバータの位相を同じにするステップと、
各単相インバータの出力周波数をドループ制御によって制御して複数の単相インバータの出力位相を同じにして、有効電力を均等に分割し、各単相インバータの出力振幅をドループ制御によって制御して複数の単相インバータの出力電圧の振幅を同一にして、無効電力を均等に分割するステップであって、前記ドループ制御のドループ対応は、
式中、fは出力周波数を表し、f は初期周波数を表し、k は前記有効電力のドループ係数を表し、Vは出力電圧の振幅、V は初期電圧の振幅、k は前記無効電力のドループ係数を表すことを特徴とするステップと、
d軸電圧ループの基準コマンド値U dref を出力電圧の振幅Vとし、q軸電圧ループの基準コマンド値U dref を0とし、dq座標のd軸直流成分とq軸直流成分に対して閉ループ制御をそれぞれ実行して、軸dqの出力電圧コマンド値を取得するステップと、
各前記単相インバータの出力周波数fに従って位相θを計算し、dq座標の出力電圧コマンド値をαβ座標の出力電圧コマンド値に変換し、αβ座標の出力電圧コマンド値をabc座標の出力電圧コマンド値に変換するステップと、
abc座標の出力電圧コマンド値に従って各単相インバータの出力電圧を調整するための制御信号SPWMパルスを変調および生成するステップと
の具体的ステップを含む、並列制御方法を提供する。
【0006】
好ましくは、取得した電圧変数および取得した電流変数は、二次一般化積分器(second-order generalized integrator)を採用することによって再構築され、二次一般化積分器は、それぞれVoおよびqVoである入力Vinおよび2つの出力を有し、出力Voは入力Vinと同じ位相および振幅を有し、出力qVoは入力Vinと同じ振幅を有し、位相に関して入力Vinに対して90度の遅れがあり、2つの出力と入力の間の伝達関数は次のとおりであり、
式中、kは減衰係数を表し、ωは共振角周波数を表し、
sドメイン伝達関数が離散化された後、差分方程式は次のように取得され、
式中、Tはシステムのサンプリング期間を表し、x(k)は現在の期間の二次一般化積分器の入力を表し、x(k-1)は以前の期間の二次一般化積分器の入力を表し、x(k-2)は以前の期間の前の期間の二次一般化積分器の入力を表し、y01(k)は現在の期間の二次一般化積分器の出力を表し、y01(k-1)は以前の期間の二次一般化積分器の出力を表し、y01(k-2)は以前の期間の前の期間の二次一般化積分器の出力を表し、y02(k)は現在の期間の二次一般化積分器の出力を表し、位相に関してy01(k)に対して90度の遅れがあり、y02(k-1)は以前の期間の二次一般化積分器の出力を表し、y02(k-2)は以前の期間の前の期間の二次一般化積分器の出力を表し、
現在の期間の二次一般化積分器の出力y01(k)と現在の期間の二次一般化積分器の
出力y02(k)とは、二次一般化積分器によって最終的に出力される離散化直交成分である。
【0007】
好ましくは、αβ座標の直交成分が、PARK変換によりdq座標の直流成分に変換され、変換式は、
式中、Uはdq座標のd軸直流電圧成分を表し、Uはdq座標のq軸直流電圧成分を表し、Uαはαβ座標のα軸直交電圧成分を表し、Uβはαβ座標のβ軸直交電圧成分を表す。
【0008】
好ましくは、交流バスの位相が位相ロックループによって検出され、PIコントローラによってdq座標の出力q軸直流成分の目標値をゼロに制御して、並列出力を実行する複数の単相インバータの位相が同じになるようにし、具体的なステップが、交流バスの電圧を取得し、二次一般化積分器を使用して、αβ座標でバスの電圧に対して90度の遅れを有する直交成分を構築するステップと、αβ座標の直交成分をPARK変換によりdq座標の直流成分(direct current component)に変換し、dq座標のd軸直流電圧成分Uおよびq軸直流電圧成分Uを計算するステップと、単相インバータの1つによって出力されるq軸直流電圧成分Uがゼロに等しい場合、単相インバータの出力位相はバスの位相と同じであり、PIコントローラによって、出力q軸直流電圧成分Uの目標値がゼロに制御して閉ループ調整を形成し、それにより並列出力を行う複数の単相インバータの位相を同じにするステップである。
【0011】
好ましくは、ドループ制御におけるドループ係数は、複数の単相インバータが並列に起動される過程で補正され、補正されたドループ対応は、
式中、Kは周波数補正係数を表し、Kは振幅補正係数を表す。
【0012】
好ましくは、dq座標におけるd軸直流成分およびq軸直流成分の閉ループ制御が、軸dqの出力電圧コマンド値を取得するための電圧および電流のダブル-ループ制御の方法でそれぞれ実行され、具体的なステップが、d軸電圧ループの基準コマンド値Udrefと電圧出力値Uとの差異を計算し、差異がd軸電圧ループのPIコントローラに入り、d軸電圧ループのPIコントローラの出力をd軸電流ループの基準コマンド値Idrefとして取得し、d軸電流ループの基準コマンド値Idrefと実際の電流出力値Idとの差異を計算し、次いで差異がd軸電流ループのPIコントローラに入ることを可能にするステップと、q軸電圧ループの基準コマンド値Uqrefと電圧出力値Uとの差異を計算し、差異がq軸電圧ループのPIコントローラに入り、q軸電圧ループのPIコントローラの出力をq軸電流ループの基準コマンド値Iqrefとして取得し、q軸電流ループの基準コマンド値Iqrefと実際の電流出力値Iqとの差異を計算し、次いで差異がq軸電流ループのPIコントローラに入ることを可能にするステップと、d軸電流ループの出力値とq軸電流ループの出力値に対してクロスデカップリングを実行して、軸dqの出力電圧コマンド値を取得するステップである。
【0013】
好ましくは、dq座標の出力電圧コマンド値は、IPARK変換によりαβ座標の出力電圧コマンド値に変換され、αβ座標の出力電圧コマンド値は、ICLARKE変換によりabc座標の出力電圧コマンド値に変換される。
【0014】
好ましくは、各単相インバータの出力電圧を調整するための制御信号SPWMパルスが、abc座標の出力電圧コマンド値に従って生成され、具体的なステップが、abc座標の出力電圧コマンド値に従って、同じ振幅および反対の位相を有する2つの正弦関数の変調波UおよびUを構築するステップであって、2つの正弦関数の変調波は搬送波として三角波Uを共有する、ステップと、それぞれ正弦関数の変調波UとUを三角波Uと比較して、2つのSPWM波Ug1とUg3を取得するステップであって、SPWM波Ug1は、各単相インバータのスイッチングチューブQ1の駆動信号として使用され、Ug1に対応するリバース信号Ug2は、各単相インバータのスイッチングチューブQ2の駆動信号として使用され、SPWM波Ug3は、各単相インバータのスイッチングチューブQ3の駆動信号として使用され、Ug3に対応するリバース信号Ug4は、各単相インバータのスイッチングチューブQ4の駆動信号として使用される、ステップと、搬送波のピークまたはトラフ位置で正弦関数の変調波をサンプリングするステップと、デジタル信号プロセッサの比較モジュールにより、各単相インバータの出力電圧を調整するための4つの制御信号SPWMパルスを生成するステップである。
【0015】
上記目的を達成するために、本出願は、単相インバータ用の並列制御システムであって、
各単相インバータの出力電圧および出力電流を取得するように構成された装置と、
取得した電圧変数および取得した電流変数を再構築し、取得した電圧変数または取得した電流変数の位相からそれぞれ90度の位相差を持つ直交仮想量を仮想化し、αβ座標において単相インバータ並列システムの直交成分をシミュレートするように構成された装置と、
αβ座標の直交成分をdq座標の直流成分に変換する装置と、
瞬時有効電力Pおよび瞬時無効電力Qの計算式に従って、瞬時有効電力Pおよび瞬時無効電力Qを計算するように構成された装置であって、前記瞬時有効電力Pおよび前記瞬時無効電力Qの前記計算式は、
式中、U は現在の瞬間の出力電圧のサンプリング値を表し、I は前記現在の瞬間の出力電流のサンプリング値を表し、U k-1 は以前の瞬間の出力電圧のサンプリング値を表し、I k-1 は前記以前の瞬間の出力電流のサンプリング値を表し、x=2π/Nであり、Nは、サンプリング期間に対する電力周波数期間の比を表していることを特徴とする装置と
交流バスの位相を検出し、dq座標の出力q軸直流成分の目標値をゼロに制御して、並列出力を行う複数の単相インバータの位相を同じにするように構成された装置と、
各単相インバータの出力周波数をドループ制御によって制御して複数の単相インバータの出力位相を同じにして、有効電力を均等に分割し、各単相インバータの出力振幅をドループ制御によって制御して複数の単相インバータの出力電圧の振幅を同一にして、無効電力を均等に分割するように構成された装置と、
d軸電圧ループの基準コマンド値U dref を出力電圧の振幅Vとし、q軸電圧ループの基準コマンド値U dref を0とし、dq座標のd軸直流成分とq軸直流成分に対して閉ループ制御をそれぞれ実行して、軸dqの出力電圧コマンド値を取得するように構成された装置と、
各前記単相インバータの出力周波数fに従って位相を計算し、dq座標の出力電圧コマンド値をαβ座標の出力電圧コマンド値に変換し、αβ座標の出力電圧コマンド値をabc座標の出力電圧コマンド値に変換するように構成された装置と、
abc座標の出力電圧コマンド値に従って各単相インバータの出力電圧を調整するための制御信号SPWMパルスを変調および生成するように構成された制御ユニットと
を備える、並列制御システムをさらに提供する。
【0017】
好ましくは、各単相インバータの取得した出力電圧および取得した出力電流が、現在の瞬間における出力電圧および出力電流ならびに以前の瞬間における出力電圧および出力電
流を含む。
【0018】
さらに、単相インバータ用の並列制御システムは、並列起動中に出力周波数および出力振幅のドループ係数を補正するように構成された装置をさらに含む。
【0019】
上記目的を達成するために、本出願は、複数の並列単相インバータを備えるインバータをさらに提供し、すべての単相インバータが同じ構造を有し、インバータは、単相インバータ用の並列制御システムをさらに備え、各単相インバータのブーストチョッパ回路およびインバータ回路の両方が、単相インバータ用の並列制御システムの制御ユニットに接続されている。
【0020】
従来技術と比較して、本出願は、以下の利点および有益な効果を有する。
【0021】
(1)本出願によれば、複数の単相インバータは、並列に接続されるように制御され、同時に動作を開始し、単相インバータの1つに障害が発生した後、他の単相インバータは故障した単相インバータの負荷を自動的に負い、それにより相互バックアップモジュールの再起動遅延の問題が解決され、電源の実際の無停電電源装置を実現し、高い信頼性を実現し、車両の運転への影響を回避する。
【0022】
(2)本出願によれば、取得した出力電圧および出力電流は、二次一般化積分器を採用することによって再構築され、直交成分が構築されている間に適応フィルタリングが実行されるため、システムの妨害防止能力は改善され、位相ロックの精度が高く、グリッド接続中に発生する衝撃電流が効果的に抑制される。
【0023】
(3)本出願によれば、出力電力は、新しい瞬時電力計算方法を採用することによって計算され、瞬時有効電力および瞬時無効電力は、積分単位の代わりに2つの隣接する瞬間のサンプリング値を採用することによってのみ計算することができ、そのため、安定性および動的特性に対する従来の電力計算における積分遅延の影響が克服される。負荷が急激に変化した後、わずかに1周期で瞬時電力が得られるため、計算遅延が短縮され、動的トラッキング性が良好である。新しい瞬時電力計算方法を採用することにより、三角関数のリアルタイム計算が不要になるため、制御アルゴリズムの計算量が削減され、占有されるDSPリソースが少なくなる。
【0024】
(4)本出願では同期起動ドループ制御方式を採用し、並列起動時にドループ係数を補正することにより、ドループ効果を改善し、グリッド接続時に発生する衝撃電流を迅速に抑制でき、起動時の比較的弱いドループ制御問題が解消され、並列システムの動作範囲が広がり、並列起動の成功率が向上する。
【0025】
(5)本出願では単極周波数逓倍変調方式を採用しているため、単相インバータの4つのスイッチングチューブのスイッチング周波数はキャリアの周波数と同じであり、インバータから出力されるパルス周波数は、電力機器のスイッチング周波数を変えない状態で2倍になり、リアクトルおよびコンデンサなどのフィルタのサイズおよび重量を大幅に削減し、単相インバータのコストを削減する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本出願の一実施形態における単相インバータの主回路トポロジ構造を示す概略図である。
図2】本出願の一実施形態における単相インバータ並列システムの構造を示すブロック図である。
図3】本出願の一実施形態における二次一般化積分器の構造を示す概略図である。
図4】本出願の一実施形態における瞬時電力の計算を示す概略ブロック図である。
図5】本出願の一実施形態における二次一般化積分器に基づく位相ロックループを示す概略図である。
図6】本出願の一実施形態における単相インバータ用の制御システムの構造を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本出願は、例示的な実装によって以下に具体的に説明される。しかしながら、さらなる説明なしに、1つの実装の要素、構造、および特徴はまた、他の実装に有益に組み合わせることができることを理解されたい。
【0028】
本出願の実施形態では、関連する単相インバータのそれぞれは、ブーストチョッパ回路およびインバータ回路を含み、単相インバータの主回路トポロジは、図1に示されている。ブーストチョッパ回路は、ブーストリアクトルL1、ダイオードD1、スイッチングチューブQ5で構成され、蓄電池の入力DC48VはDC200Vにブーストされる。インバータ回路は、4つのスイッチングチューブQ1、Q2、Q3、Q4で構成されるインバータブリッジと、リアクトルL2およびコンデンサC2で構成されるフィルタで構成されている。単相インバータは、変圧器T1によって絶縁およびブーストされた後、外向きに電圧を出力し、DC200VをAC220Vに反転した後、列車に単相交流電力を供給する。
【0029】
本出願の実施形態では、関連する単相インバータ並列システムは、少なくとも2つの並列単相インバータを含み、すなわち、単相インバータ並列システムは、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の並列単相インバータを含むことがあり、これは実際の需要に応じて具体的に決定される。例として2つの並列単相インバータを含む単相インバータ並列システムでは、図2に示すような単相インバータ並列システムを参照すると、システム内の2つの単相インバータは構造が同じであり、一次および二次の考慮なしに並列に動作する。
【0030】
本出願の一実施形態は、単相インバータ用の並列制御方法を提供する。各単相インバータの出力電圧および出力電流を取得し、静的abc座標の電圧および電流は、再構築および座標変換によってdq座標に変換されて分離され、軸dqの出力電圧コマンド値は、閉ループ制御によって取得され、dq座標の出力電圧コマンド値は、abc座標の出力電圧コマンド値に変換され、変調波は、abc座標の出力電圧コマンド値に従って変調および生成され、電力装置の切り替えを制御する。並列制御方法は、次のような特定のステップを含み、
S1:各単相インバータの出力電圧および出力電流を取得し、
S2:取得した電圧変数および取得した電流変数を再構築し、取得した電圧変数または取得した電流変数の位相からそれぞれ90度の位相差を持つ直交仮想量を仮想化し、αβ座標の単相インバータ並列システムの直交成分がシミュレートされ、
S3:αβ座標の直交成分はdq座標の直流成分に変換され、
S4:瞬時有効電力Pおよび瞬時無効電力Qが計算され、
S5:交流バスの位相を検出し、dq座標の出力q軸直流成分の目標値をゼロに制御して、並列出力を行う複数の単相インバータの位相を同じにし、最初に起動されなかった単相インバータが交流バスを自動的に追跡できるようにして、それにより位相を同一に保ち、最初に起動されなかったインバータのグリッド接続中に発生する衝撃電流を低減し、
S6:各単相インバータの出力周波数は制御されて、複数の単相インバータの出力相を同じにして、有効電力を均等に分割し、各単相インバータの出力振幅は制御されて、複数の単相インバータの出力電圧の振幅を同一にして、無効電力を均等に分割し、
S7:dq座標のd軸直流成分とq軸直流成分の閉ループ制御をそれぞれ実行して、軸dqの出力電圧コマンド値を取得し、
S8:dq座標の出力電圧コマンド値はαβ座標の出力電圧コマンド値に変換され、αβ座標の出力電圧コマンド値はabc座標の出力電圧コマンド値に変換され、
S9:各単相インバータの出力電圧を調整するための制御信号SPWMパルスは、abc座標の出力電圧コマンド値に従って変調および生成される。
【0031】
上記の本出願の単相インバータ用の並列制御方法を使用することによって、複数の単相インバータは、並列に接続されるように制御され、同時に動作を開始し、単相インバータの1つに障害が発生した後、他の単相インバータは故障した単相インバータの負荷を自動的に負い、それにより相互バックアップモジュールの再起動遅延の問題が解決され、電源の実際の無停電電源装置を実現し、高い信頼性を実現し、車両の運転への影響を回避する。
【0032】
上記の単相インバータに対する並列制御方法の好ましい実施形態では、ステップS2において、取得した電圧変数および電流変数は、二次一般化積分器を採用することによって再構築され、図3を参照して、二次一般化積分器は、それぞれVoおよびqVoである入力Vinおよび2つの出力を有し、出力Voは入力Vinと同じ位相および振幅を有し、出力qVoは入力Vinと同じ振幅を有し、位相に関して入力Vinに対して90度の遅れがあり、2つの出力と入力の間の伝達関数は次のとおりであり、
式中、D(s)は出力Voと入力Vinとの間の伝達関数を表し、Q(s)は出力qVoと入力Vinとの間の伝達関数を表し、kは減衰係数を表し、ωは共振角周波数を表す。
【0033】
s領域伝達関数が離散化された後、差分方程式は次のように取得され、

式中、Tはシステムのサンプリング期間を表し、x(k)は現在の期間の二次一般化積分器の入力を表し、x(k-1)は以前の期間の二次一般化積分器の入力を表し、x(k-2)は以前の期間の前の期間の二次一般化積分器の入力を表し、y01(k)は現在の期間の二次一般化積分器の出力を表し、y01(k-1)は以前の期間の二次一般化積分器の出力を表し、y01(k-2)は以前の期間の前の期間の二次一般化積分器の出力を表し、y02(k)は現在の期間の二次一般化積分器の位相に関してy01(k-1)に対して90度の遅れがある出力を表し、y02(k-1)は以前の期間の二次一般化積分器の位相に関してy01(k-1)に対して90度の遅れがある出力を表し、y02(k-2)は以前の期間の前の期間の二次一般化積分器の位相に関してy01(k-2)に対して90度の遅れがある出力を表す。
【0034】
現在の期間の二次一般化積分器の出力y01(k)と、現在の期間の二次一般化積分器の位相に関して90度の遅れがある出力y02(k)は、二次一般化積分器によって最終的に出力される離散化直交成分である。
【0035】
二次一般化積分器を採用することで出力電圧および出力電流を再構築し、位相に関して90度の遅れがある直交成分を仮想化することで、従来の方法を使用して直交仮想信号が構築されるときに発生するフィルタリング遅延や不十分な動的応答能力などの問題が解決される。二次一般化積分器を採用した再構成法を採用しているため、直交仮想量を構築しながら取得に対して適応フィルタリングを行うことができ、システムの妨害防止能力が向上する。構築された直交仮想量は、軸dqのデカップリング制御を実現できるだけでなく、後続の位相ロックループの基礎を提供するため、位相ロック精度に対する直流成分などの悪影響が排除され、グリッド接続中に発生する衝撃電流が効果的に抑制される。
【0036】
上記の単相インバータに対する並列制御方法の好ましい実装において、ステップS3において、αβ座標の直交成分が、PARK変換によりdq座標の直流成分に変換され、変換式は、
式中、Uはdq座標のd軸直流電圧成分を表し、Uはdq座標のq軸直流電圧成分を表し、Uαはαβ座標のα軸直交電圧成分を表し、Uβはαβ座標のβ軸直交電圧成分を表す。
同様に、電流は、PARK変換により、dq座標においてd軸電流成分およびq軸電流成分に変換され、電流変換式は上記と同じであり、その説明はここでは省略される。
【0037】
上記の単相インバータに対する並列制御方法の好ましい実装において、ステップS4において、現在の瞬間および以前の瞬間の各単相インバータの出力電圧および出力電流を取得して、図4に示すように、瞬時有効電力Pおよび瞬時無効電力Qが計算され、瞬時有効電力Pおよび瞬時無効電力Qの計算式は、
式中、Uは現在の瞬間の出力電圧のサンプリング値を表し、Iは現在の瞬間の出力電流のサンプリング値を表し、Uk-1は以前の瞬間の出力電圧のサンプリング値を表し、Ik-1は以前の瞬間の出力電流のサンプリング値を表し、x=2π/Nであり、Nは、サンプリング期間に対する電力周波数期間の比を表す。
新しい電力計算方法を採用し、出力電圧および出力電流の正弦特性に従って、瞬時電力は、積分単位ではなく、2つの隣接する瞬間の電圧および電流を取得するだけで計算できるため、安定性および動的特性に対する従来の電力計算における積分遅延の影響は克服される。負荷が急激に変化した後、わずかに1周期で瞬時電力が得られるため、計算遅延が短縮され、動的トラッキング性が良好である。電力計算方法を採用することにより、三角関数のリアルタイム計算が不要になるため、制御アルゴリズムの計算量が削減され、占有されるデジタル信号プロセッサ(DSP)リソースが少なくなる。
【0038】
上記の単相インバータに対する並列制御方法の好ましい実装では、ステップS5におい
て、交流バスの位相は、位相ロックループによって検出され、dq座標のバスによって出力されるq軸直流成分の目標値をPIコントローラによってゼロに制御して、並列出力を実行する複数の単相インバータの位相を同じにする。図5を参照して、具体的なステップは、ステップ2を参照して、交流バスの電圧を取得し、二次一般化積分器を使用して、αβ座標でバスの電圧に対して90度の遅れを有する直交成分が構築され、ステップ3を参照して、αβ座標の直交成分をPARK変換によりdq座標の直流成分に変換し、dq座標のd軸直流電圧成分Uおよびq軸直流電圧成分Uqが計算され、単相インバータの1つによって出力されるq軸直流電圧成分Uがゼロに等しい場合、単相インバータの出力位相はバスの位相と同じであり、PIコントローラが、バスによって出力されたq軸直流電圧成分Uの目標値をゼロに制御して閉ループ調整を形成し、それにより並列出力を行う複数の単相インバータの位相を同じにする。交流バスの位相は位相ロックループで検出され、単相インバータの位相はバスの位相と同じになるように制御されるため、並列出力を実行する複数の単相インバータの位相は同じであり、グリッド接続時に発生する衝撃電流が低減される。
【0039】
上記の単相インバータに対する並列制御方法の好ましい実装では、ステップS6において、各単相インバータは、それ自体で有効電力および無効電力出力を検出し、位相が進んでいる単相インバータによって出力される有効電力は、位相が遅れている単相インバータによる出力よりも大きい。各単相インバータの出力周波数はドループ制御によって制御されて、複数の単相インバータの出力相を同じにして、有効電力を均等に分割し、各単相インバータの出力振幅はドループ制御によって制御されて、複数の単相インバータの出力電圧の振幅を同一にして、無効電力を均等に分割し、ドループ制御のドループ対応は、
式中、fは出力周波数を表し、fは初期周波数を表し、kは有効電力のドループ係数を表し、Vは出力電圧の振幅、Vは初期電圧の振幅、kは無効電力のドループ係数を表す。
ワイヤを並列に相互接続しないドループ制御を採用し、位相の同期および有効電力の均等分割を周波数ドループで実現し、無効電力の均等分割を振幅ドループで実現することで、複数の単相インバータの電流共有を実現し、グリッド接続された単相インバータの位相を同じに保つ。
【0040】
上記の単相インバータの並列制御方法の好ましい実施例では、ステップS6において、好ましくは、ドループ制御におけるドループ係数は、複数の単相インバータが並列に起動される過程で補正され、補正されたドループ対応は、
式中、Kは周波数補正係数を表し、Kは振幅補正係数を表し、KおよびKは同じ値を有し、以下の方法を使用することによって具体的に計算され、
式中、Urefは目標電圧値を表し、Uは現在の電圧値を表す。
【0041】
複数の単相インバータに同時に電力が供給され、一緒に起動される。さらに、単相インバータは、起動時に位相ロックされないように構造が同一であり、主回路遅延が基本的に
同一であるが、ソフトスタート時に直接グリッド接続される。ソフトスタート時は出力電圧が非常に低いため、出力有効電力および無効電力の両方が非常に低く、ドループ効果が比較的弱く、単相インバータの電流共有が不十分で、出力発振が発生しやすく並列システムの故障につながる。本出願では、ソフトスタートおよび通常運転の作業条件の互換性を実現する最適化された同期起動ドループ制御を採用し、ドループ係数を補正できるため、ドループ効果を高めることができ、グリッド接続時に発生する衝撃電流を迅速に抑制できるため、システムが確実に起動する。
【0042】
上記の単相インバータに対する並列制御方法の好ましい実装では、ステップS7において、dq座標におけるd軸直流成分およびq軸直流成分に対する閉ループ制御がそれぞれ、電圧と電流のダブル-ループ制御の方法で実行され、軸dqの出力電圧コマンド値を取得する。具体的なステップは、d軸電圧ループの基準コマンド値Udrefと電圧出力値Uとの差異を計算し、差異がd軸電圧ループのPIコントローラに入り、d軸電圧ループのPIコントローラの出力をd軸電流ループの基準コマンド値Idrefとして取得し、d軸電流ループの基準コマンド値Idrefと実際の電流出力値Idとの差異を計算し、次いで差異がd軸電流ループのPIコントローラに入ることを可能にし、q軸電圧ループの基準コマンド値Uqrefと電圧出力値Uとの差異を計算し、差異がq軸電圧ループのPIコントローラに入り、q軸電圧ループのPIコントローラの出力をq軸電流ループの基準コマンド値Iqrefとして取得し、q軸電流ループの基準コマンド値Iqrefと実際の電流出力値Iqとの差異を計算し、次いで差異がq軸電流ループのPIコントローラに入ることを可能にし、d軸電流ループの出力値とq軸電流ループの出力値に対してクロスデカップリングを実行して、dq座標の出力電圧コマンド値を取得する。電圧および電流のダブル-ループ制御を採用しているため、電圧の外側のループは交流出力電圧の安定性を実現し、電流の内側のループはシステムの応答速度を向上させる一方、他方では電流制限の役割を果たす。本ステップにおいて、d軸電圧ループの上記基準コマンド値Udrefは、単相インバータの技術的要件に従って当業者によって決定され、q軸電圧ループの基準コマンド値Uqrefは0であり、上記電圧出力値Uおよび電圧出力値Uqは、それぞれ、ステップS3の変換により得られたd軸直流電圧成分およびq軸直流電圧成分であり、上記の実際の電流出力値Iおよび実際の電流出力値Iは、それぞれ、ステップS3で変換によって得られたd軸電流成分およびq軸電流成分である。
【0043】
上記の単相インバータに対する並列制御方法の好ましい実装では、ステップS8において、dq座標の出力電圧コマンド値は、IPARK変換によりαβ座標の出力電圧コマンド値に変換され、αβ座標の出力電圧コマンド値は、ICLARKE変換によりabc座標の出力電圧コマンド値に変換され、IPARK変換の変換式は、
式中、Uαはαβ座標の軸αの出力電圧コマンド値の成分を表し、Uβはαβ座標の軸βの出力電圧コマンド値の成分を表し、Uはdq座標の軸dの出力電圧コマンド値を表し、Uはdq座標の軸qの出力電圧コマンド値を表す。
【0044】
ICLARKE変換の変換式は、
式中、Uαはabc座標の軸aの出力電圧コマンド値の成分を表し、Uはabc座標の軸bの出力電圧コマンド値の成分を表し、Uはabc座標の軸cの出力電圧コマンド値の成分を表す。
【0045】
上記の単相インバータの並列制御方法の好ましい実装では、ステップS9において、各単相インバータの出力電圧を調整するための制御信号SPWMパルスが、abc座標の出力電圧コマンド値に従って生成される。具体的なステップは以下のように、abc座標の出力電圧コマンド値に従って、同じ振幅および反対の位相を有する2つの正弦関数の変調波UおよびUを構築し、2つの正弦関数の変調波は搬送波Uとして三角波Uを共有し、それぞれ正弦関数の変調波UとUを三角波Uと比較して、2つのSPWM波Ug1とUg3を取得し、SPWM波Ug1は、各単相インバータのスイッチングチューブQ1の駆動信号として使用され、Ug1に対応するリバース信号Ug2は、各単相インバータのスイッチングチューブQ2の駆動信号として使用され、SPWM波Ug3は、各単相インバータのスイッチングチューブQ3の駆動信号として使用され、Ug3に対応するリバース信号Ug4は、各単相インバータのスイッチングチューブQ4の駆動信号として使用され、搬送波のピークまたはトラフ位置で正弦関数の変調波を均等規格サンプリング法によりサンプリングし、各単相インバータの出力電圧を調整するための4つの制御信号SPWMパルスは、4つのスイッチングチューブQ1、Q2、Q3およびQ4を駆動するためのDSPの比較モジュールにより生成される。単極周波数逓倍変調方式を採用しているため、単相インバータの4つのスイッチングチューブのスイッチング周波数はキャリアの周波数と同じであり、単相インバータから出力されるパルス周波数は、電力機器のスイッチング周波数を変えない状態で2倍になり、リアクトルおよびコンデンサなどのフィルタのサイズおよび重量を大幅に削減し、単相インバータのコストを削減する。
【0046】
本出願の実施形態は、単相インバータ用の並列制御システムをさらに提供し、
各単相インバータの出力電圧および出力電流を取得するように構成された装置と、
取得した電圧変数および取得した電流変数を再構築し、取得した電圧変数または取得した電流変数の位相からそれぞれ90度の位相差を持つ直交仮想量を仮想化し、αβ座標において単相インバータ並列システムの直交成分をシミュレートするように構成された装置と、
αβ座標の直交成分をdq座標の直流成分に変換するステップと、
瞬時有効電力Pおよび瞬時無効電力Qを計算するように構成された装置と、
交流バスの位相を検出し、dq座標の出力q軸直流成分の目標値をゼロに制御して、並列出力を行う複数の単相インバータの位相を同じにするように構成された装置と、
各単相インバータの出力周波数を制御して複数の単相インバータの出力位相を同じにして、有効電力を均等に分割し、各単相インバータの出力振幅を制御して複数の単相インバータの出力電圧の振幅を同一にして、無効電力を均等に分割するように構成された装置と、
dq座標のd軸直流成分とq軸直流成分に対して閉ループ制御をそれぞれ実行して、軸
dqの出力電圧コマンド値を取得するように構成された装置と、
dq座標の出力電圧コマンド値をαβ座標の出力電圧コマンド値に変換し、αβ座標の出力電圧コマンド値をabc座標の出力電圧コマンド値に変換するように構成された装置と、
abc座標の出力電圧コマンド値に従って各単相インバータの出力電圧を調整するための制御信号SPWMパルスを変調および生成するように構成された制御ユニットと
を含む。
【0047】
上記の本出願の単相インバータ用の並列制御方法を使用することによって、複数の単相インバータは、並列に接続されるように制御され、同時に動作を開始し、単相インバータの1つに障害が発生した後、他の単相インバータは故障した単相インバータの負荷を自動的に負い、それにより相互バックアップモジュールの再起動遅延の問題が解決され、電源の実際の無停電電源装置を実現し、高い信頼性を実現し、車両の運転への影響を回避する。
【0048】
上記の単相インバータの上記並列制御システムの好ましい実装において、各単相インバータの取得した出力電圧および取得した出力電流が、現在の瞬間における出力電圧および出力電流ならびに以前の瞬間における出力電圧および出力電流を含む。瞬時有効電力と瞬時無効電力は、積分単位ではなく、現在の瞬間と以前の瞬間を含む2つの瞬間の取得した出力電圧と取得した出力電流に基づいて計算できるため、安定性および動的特性に対する従来の電力計算における積分遅延の影響は克服される。負荷が急激に変化した後、わずかに1周期で瞬時電力が得られるため、計算遅延が短縮され、動的トラッキング性が良好である。さらに、三角関数のリアルタイム計算が不要なため、制御アルゴリズムの計算量が削減され、占有されるDSPリソースが少なくなる。
【0049】
単相インバータの制御電源および主電源はどちらも蓄電池から供給されるDC48Vであり、複数の単相インバータに同時に電力を供給して一緒に起動する。単相インバータは同一で、基本的に主回路の遅延が同一であるため、各単相インバータは、起動時に最初に起動されるインバータであると認識する現象がある。このような動作条件下では、複数の単相インバータは位相ロックされないが、ソフトスタート時に直接グリッド接続される。ソフトスタート時は出力電圧が非常に低いため、出力有効電力および無効電力の両方が非常に低く、ドループ効果が比較的弱く、単相インバータの電流共有が不十分で、出力発振が発生しやすく並列システムの故障につながる。ドループ効果を高め、グリッド接続中に発生する衝撃電流を迅速に抑制するために、上記の単相インバータの並列制御システムの好ましい実装では、システムは、並列起動時の出力周波数および出力振幅のドループ係数を補正するように構成された装置をさらに含む。並列起動時に出力周波数と出力振幅のドループ係数を補正することでドループ効果を高め、確実にシステムを起動できる。
【0050】
図6を参照すると、単相インバータ用の並列制御システムの好ましい実装において、システムは、
電圧および電流再構成装置、すなわち、二次一般化積分器を採用することにより、取得した電圧変数および取得した電流変数に対して電圧および電流再構成を実行するように構成された装置であって、二次一般化積分器を採用することによって、直交仮想信号を構築する従来の方法のフィルタリング遅延や不十分な動的特性などの問題を解決するだけでなく、取得した変数を適応的にフィルタリングできるため、システムの妨害防止機能は改善され、構築された直交ベクトルは、軸dqのデカップリング制御を実現できるだけでなく、後続の位相ロックループの基礎を提供するため、位相ロック精度に対する直流成分などの悪影響が排除され、グリッド接続中に発生する衝撃電流は効果的に抑制される、装置と、
PARK変換装置、すなわち、PARK変換により、αβ座標の直交成分をdq座標の
直流成分に変換するように構成された装置と、
電力計算装置、すなわち、現在の瞬間および以前の瞬間の電圧および電流を採用することによって瞬時有効電力および瞬時無効電力を計算するように構成された装置であって、瞬時有効電力および瞬時無効電力は、積分単位の代わりに2つの隣接する瞬間のサンプリング値を採用することによってのみ計算することができ、そのため、安定性および動的特性に対する従来の電力計算における積分遅延の影響が克服され、負荷が急激に変化した後、わずかに1周期で瞬時電力が得られるため、計算遅延が短縮され、動的トラッキング性が良好であり、さらに、三角関数のリアルタイム計算が不要なため、制御アルゴリズムの計算量が削減され、占有されるDSPリソースが少なくなる、装置と、
位相ロックループ装置、すなわち、位相ロックループを採用することにより交流バスの位相を検出し、dq座標の出力q軸直流成分の目標値をゼロに制御して、並列出力を実行する複数の単相インバータの位相を同じにするように構成された装置と、
ドループ制御装置、すなわち、同期起動ドループ制御の方法で、出力周波数を制御して有効電力を均等に分割し、出力振幅を制御して無効電力を均等に分割するように構成された装置であって、同期起動ドループ制御方式の採用により、並列起動時に出力周波数と出力振幅のドループ係数を補正することでドループ効果を高め、確実にシステムを起動できる、装置と、
電圧および電流のダブル-ループ制御装置、すなわち、電圧および電流のダブル-ループ制御の方法で、閉ループ制御を実行して、軸dqの出力電圧コマンド値を取得するように構成された装置と、
座標変換装置、すなわち、IPARK変換によって、dq座標の出力電圧コマンド値をαβ座標の出力電圧コマンド値に変換し、ICLARKE変換によって、αβ座標の出力電圧コマンド値をabc座標の出力電圧コマンド値に変換するように構成された装置と、
単極周波数逓倍変調ユニット、すなわち、abc座標の出力電圧コマンド値に従って各単相インバータの出力電圧を調整するための制御信号SPWMパルスを変調および生成するように構成された制御ユニットであって、単極周波数逓倍変調方式を採用しているため、単相インバータの4つのスイッチングチューブのスイッチング周波数はキャリアの周波数と同じであり、単相インバータから出力されるパルス周波数は、電力機器のスイッチング周波数を変えない状態で2倍になり、リアクトルおよびコンデンサなどのフィルタのサイズおよび重量を大幅に削減し、単相インバータのコストを削減する、制御ユニットと
を含む。
【0051】
本出願は、複数の並列単相インバータを備えるインバータをさらに提供し、すべての単相インバータが同じ構造を有し、インバータは、単相インバータ用の並列制御システムをさらに備え、各単相インバータのブーストチョッパ回路およびインバータ回路の両方が、単相インバータ用の並列制御システムの制御ユニットに接続されている。インバータの複数の単相インバータは、相互バックアップ冗長性を備えている。通常、複数の単相インバータが同時に動作を開始し、単相インバータの1つが負荷に電力を供給し、単相インバータに障害が発生した後、さらに負荷に電力を供給するために、他の単相インバータは接触器によって切り替えられる。例として2つの並列単相インバータを含むインバータでは、通常、2つの単相インバータが同時に動作を開始し、単相インバータの1つが負荷に電力を供給し、単相インバータに障害が発生した後、さらに負荷に電力を供給するために、他の単相インバータは接触器によって相互にバックアップされる。複数の並列単相インバータを同時に起動するため、ネットワーク時間が短縮され、起動の信頼性が高くなる。通常の作業では、複数の単相インバータが同時に動作するため、既存の相互バックアップモジュールの再起動遅延の問題が解決され、電源の無停電電源装置が実現され、車両の運転への影響が回避される。
【0052】
上記の実施形態は、本出願を限定するのではなく、本出願を説明することを意図している。本出願の精神および特許請求の範囲内で本出願に対して行われたいかなる修正および
変更も、本出願の保護範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6