(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-12
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】弦楽器擬似音発生プログラム、および弦楽器擬似音発生装置
(51)【国際特許分類】
G10H 1/00 20060101AFI20220117BHJP
G10G 3/04 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
G10H1/00 Z
G10G3/04
(21)【出願番号】P 2020073093
(22)【出願日】2020-04-15
【審査請求日】2021-01-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520133075
【氏名又は名称】川村 篤史
(74)【代理人】
【識別番号】100205523
【氏名又は名称】木村 浩也
(72)【発明者】
【氏名】川村篤史
【審査官】渡部 幸和
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-116680(JP,A)
【文献】特開2002-287743(JP,A)
【文献】特開2015-132742(JP,A)
【文献】松原 行宏 他,”スマートデバイスを用いた弦楽器のコード押弦を体験的に学ぶスキル学習支援システム”,[online],2019年06月27日,<https://www.jsise.org/society/committee/2019/2nd/TR-034-02-B-033.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10H 1/00-1/46
G10G 3/00-3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
弦楽器が発する音を疑似的に発する音発生部と、
前記弦楽器の運指を疑似的に表示する運指表示部と、
前記運指表示部において、ユーザが触接(押下を含む)する触接部と、
前記
音発生部が擬似的に発する音の周波数の値を変更する周波数変更部と、
前記
周波数変更部により変更された前記周波数の値のうち、基準音の前記周波数の値を表示するディスプレイ表示部として機能させることを特徴とするプログラム
【請求項2】
前記周波数変更部は、
前記周波数の値を1Hz上昇又は下降させることにより変更することができることを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記弦楽器は、
バイオリンまたはヴィオラであることを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
コンピュータを、
弦楽器が発する音を疑似的に発する音発生部と、
前記弦楽器の運指を疑似的に表示する運指表示部と、
前記運指表示部において、ユーザが触接(押下を含む)する触接部と、
前記音発生部が発する音に対応して、前記ユーザが触接すべき部分を目印として強調する強調部として機能させ、
前記音は、所定のパターンにより変化する音であるとともに、
前記強調部は、前記音の変化に応じて強調する目印の位置を変化させることを特徴とするプログラム。
【請求項5】
前記パターンは、複数あるとともに、
前記コンピュータを更に、前記ユーザによって前記パターンを変更するパターン変更部として機能させることを特徴とする請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
コンピュータを、
弦楽器が発する音を疑似的に発する音発生部と、
前記弦楽器の運指を疑似的に表示する運指表示部と、
前記運指表示部において、ユーザが触接(押下を含む)する触接部として機能させ、
前記運指表示部は、前記音における半音および全音の各々に対して異なる表示を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項7】
コンピュータを、
弦楽器が発する音を疑似的に発する音発生部と、
前記弦楽器の運指を疑似的に表示する運指表示部と、
前記運指表示部において、ユーザが触接(押下を含む)する触接部と、
前記音発生部が発する音の速度を変更する速度変更部として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
弦楽器が発する音を疑似的に発する音発生部と、
前記弦楽器の運指を疑似的に表示する運指表示部と、
前記運指表示部において、ユーザが触接(押下を含む)する触接部と、
前記
音発生部が擬似的に発する音の周波数の値を変更する周波数変更部と、
前記
周波数変更部により変更された前記周波数の値のうち、基準音の前記周波数の値を表示するディスプレイ表示部と、
を有することを特徴とする擬似弦楽器音発生装置。
【請求項9】
前記周波数変更部は、
前記周波数の値を1Hz上昇又は下降させることにより変更することができることを特徴とする請求項8に記載の擬似弦楽器音発生装置。
【請求項10】
前記弦楽器は、
バイオリンまたはヴィオラであることを特徴とする請求項8に記載の擬似弦楽器音発生装置。
【請求項11】
弦楽器が発する音を疑似的に発する音発生部と、
前記弦楽器の運指を疑似的に表示する運指表示部と、
前記運指表示部において、ユーザが触接(押下を含む)する触接部と、
前記音発生部が発する音に対応して、前記ユーザが触接すべき部分を目印として強調する強調部を有し、
前記音は、所定のパターンにより変化する音であるとともに、
前記強調部は、前記音の変化に応じて強調する目印の位置を変化させること、
を特徴とする擬似弦楽器音発生装置。
【請求項12】
前記パターンは、複数あるとともに、
前記ユーザによって前記パターンを変更するパターン変更部を更に有すること、
を特徴とする
請求項11に記載の擬似弦楽器音発生装置。
【請求項13】
弦楽器が発する音を疑似的に発する音発生部と、
前記弦楽器の運指を疑似的に表示する運指表示部と、
前記運指表示部において、ユーザが触接(押下を含む)する触接部を有し、
前記運指表示部は、前記音における半音および全音の各々に対して異なる表示を行うこと、
を特徴とする擬似弦楽器音発生装置。
【請求項14】
弦楽器が発する音を疑似的に発する音発生部と、
前記弦楽器の運指を疑似的に表示する運指表示部と、
前記運指表示部において、ユーザが触接(押下を含む)する触接部と、
前記音発生部が発する音の速度を変更する速度変更部を有すること、
を特徴とする擬似弦楽器音発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弦楽器の演奏により発生する音に対応する音感を獲得することを目的とする、弦楽器擬似音発生プログラム、および弦楽器擬似音発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より弦楽器の演奏する際、各演奏者は調律のために基準周波数音源を使用して音感を獲得し、その後に演奏を行うが、その音感調整は人の力で調整を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば特許文献1では、弦を張り替えた後に調律する際に、利用する調律装置の技術が開示されている。
【0005】
この調律装置は弦を張り替えた際に使用するもので、予め用意された1種類の基準音声信号を使って入力音との偏差を計算し、調律を行うものである。
【0006】
しかしこの基準音声信号は1つではないので、基準音声信号が異なった時にはこの調律装置は使用できない。例えば国際規約では440Hzであるが、国によって、もしくはオーケストラによって基準信号となることも多々ある。例えばアメリカ合衆国では442Hzの場合もあり、ヨーロッパのベルリン・フィルやウイーン・フィルは445から447Hzで、日本のNHK交響楽団は442Hzで行っている。440Hzで絶対音感を身につけた音楽家が、他の基準信号を利用して、調律を人の力のみで行うことは非常に困難である。そこで基準信号を変更し、基準信号から生まれる音間のズレを調整を補助する機材が求められていた。
【0007】
また、従来の汎用調律装置は専用の調律装置であるため、汎用性はなく、運搬等も不便であった。
なお、本発明の課題は上述した内容に限定されず、弦楽器が発する音を疑似的に発し、かつ当該弦楽器の運指を疑似的に表示するコンピュータまたは装置を用いて、ユーザが弦楽器を疑似的に体験することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、請求項1の発明は、プログラムであってコンピュータを、弦楽器が発する音を疑似的に発する音発生部と、前記弦楽器の運指を疑似的に表示する運指表示部と、前記運指表示部において、ユーザが触接(押下を含む)する触接部と、前記音発生部が擬似的に発する音の周波数の値を変更する周波数変更部と、前記周波数変更部により変更された前記周波数の値のうち、基準音の前記周波数の値を表示するディスプレイ表示部として機能させることを特徴としている。
【0009】
請求項2の発明は、前記周波数変更部は、前記周波数の値を1Hz上昇又は下降させることにより変更することができることを特徴としている。
【0010】
請求項3の発明は、前記弦楽器は、バイオリンまたはヴィオラであることを特徴としている。
【0011】
請求項4の発明は、コンピュータを、弦楽器が発する音を疑似的に発する音発生部と、 前記弦楽器の運指を疑似的に表示する運指表示部と、 前記運指表示部において、ユーザが触接(押下を含む)する触接部と、前記音発生部が発する音に対応して、前記ユーザが触接すべき部分を目印として強調する強調部として機能させ、前記音は、所定のパターンにより変化する音であるとともに、 前記強調部は、前記音の変化に応じて強調する目印の位置を変化させることを特徴としている。
【0012】
請求項5の発明は、前記パターンは、複数あるとともに、 前記コンピュータを更に、前記ユーザによって前記パターンを変更するパターン変更部として機能させることを特徴としている。
【0013】
請求項6の発明は、プログラムであって、コンピュータを、 弦楽器が発する音を疑似的に発する音発生部と、 前記弦楽器の運指を疑似的に表示する運指表示部と、 前記運指表示部において、ユーザが触接(押下を含む)する触接部として機能させ、前記運指表示部は、前記音における半音および全音の各々に対して異なる表示を行うことを特徴としている。
【0014】
請求項7の発明は、プログラムであって、コンピュータを、 弦楽器が発する音を疑似的に発する音発生部と、 前記弦楽器の運指を疑似的に表示する運指表示部と、 前記運指表示部において、ユーザが触接(押下を含む)する触接部と、前記音発生部が発する音の速度を変更する速度変更部として機能させることを特徴としている。
【0015】
請求項8の発明は、擬似弦楽器音発生装置であって、弦楽器が発する音を疑似的に発する音発生部と、 前記弦楽器の運指を疑似的に表示する運指表示部と、 前記運指表示部において、ユーザが触接(押下を含む)する触接部と、前記音発生部が擬似的に発する音の周波数の値を変更する周波数変更部と、前記周波数変更部により変更された前記周波数の値のうち、基準音の前記周波数の値を表示するディスプレイ表示部と、を有することを特徴としてる。
【0016】
請求項9の発明は、擬似弦楽器音発生装置であって、前記周波数変更部は、前記周波数の値を1Hz上昇又は下降させることにより変更することができることを特徴としている。
【0017】
請求項10の発明は、擬似弦楽器音発生装置であって、前記弦楽器は、バイオリンまたはヴィオラであることを特徴としている。
【0018】
請求項11の発明は、擬似弦楽器音発生装置であって、弦楽器が発する音を疑似的に発する音発生部と、 前記弦楽器の運指を疑似的に表示する運指表示部と、 前記運指表示部において、ユーザが触接(押下を含む)する触接部と、前記音発生部が発する音に対応して、前記ユーザが触接すべき部分を目印として強調する強調部を有し、前記音は、所定のパターンにより変化する音であるとともに、 前記強調部は、前記音の変化に応じて強調する目印の位置を変化させること、を特徴としている。
【0019】
請求項12の発明は、擬似弦楽器音発生装置であって、前記パターンは、複数あるとともに、前記ユーザによって前記パターンを変更するパターン変更部をさらに有すること、を特徴としている。
【0020】
請求項13の発明は、擬似弦楽器音発生装置であって、 弦楽器が発する音を疑似的に発する音発生部と、 前記弦楽器の運指を疑似的に表示する運指表示部と、 前記運指表示部において、ユーザが触接(押下を含む)する触接部を有し、前記運指表示部は、前記音における半音および全音の各々に対して異なる表示を行うこと、を特徴としており、請求項14の発明は 弦楽器が発する音を疑似的に発する音発生部と、前記弦楽器の運指を疑似的に表示する運指表示部と、前記運指表示部において、ユーザが触接(押下を含む)する触接部と、前記音発生部が発する音の速度を変更する速度変更部を有すること、を特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、容易に基準信号を変更し、基準信号から生まれる音間のズレの調整を補助することが可能となる。また、本発明は専用機材でも可能だが、プログラムでもあるため、スマートフォンなどのコンピュータ等で動作することから、汎用性を有し、運搬等も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施形態に係る楽器擬似音発生プログラムが動作する概要構成の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る楽器擬似音発生プログラムが動作する概要構成の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る楽器擬似音発生プログラムが動作する概要構成の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係るコンピュータ10の一例を示すブロック図である。
【
図5】本実施形態に係る入力表示装置20の一例を示すブロック図である。
【
図6】本実施形態に係る擬似音声の基準音声信号を変更する動作の処理例を示すフローチャートである。
【
図7】本実施形態に係る入力表示装置20のディスプレイ表示部202に表示される画面の一例を示す図である。
【
図8】本実施形態に係る擬似音声の調、及びスピードを変更する動作の処理例を示すフローチャートである。
【
図9】本実施形態に係る入力表示装置20のディスプレイ表示部202に表示される調変更設定画面の一例を示す図である。
【
図10】本実施形態に係る入力表示装置20のディスプレイ表示部202に表示される速度設定画面の一例を示す図である。
【
図11】本実施形態に係る運指を変更する動作の処理例を示すフローチャートである。
【
図12】本実施形態に係る運指パターンの例を示す図である。
【
図13】本実施形態に係る擬似音発生動作の処理例を示すフローチャートである。
【
図14】本実施形態に係る入力表示装置20のディスプレイ表示部202に表示される画面であって、擬似音発生時の目印の位置を変化させる動作例を示した図である。
【
図15】本実施形態に係る入力表示装置20のディスプレイ表示部202に表示される画面であって、擬似音発生時の目印の位置を変化させる動作例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な変形が可能である。さらに、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0024】
[1.弦楽器擬似音発生プログラムが動作するコンピュータ構成及び機能概要]
先ず、本実施形態に係る弦楽器擬似音発生プログラムが動作するコンピュータ及び機能概要について、
図1乃至
図5を用いて説明する。
図1乃至
図3は、本実施形態に係る楽器擬似音発生プログラムが動作するコンピュータ10、入力表示装置20、及びスピーカ30の概要構成の一例を示す図であり、ユーザ1が利用する。コンピュータ10は汎用端末であり、パソコンであってもよく、タブレットもしくはスマートフォン等でも良い。
【0025】
入力表示装置20は
図1のようにコンピュータ10と一体化されたタッチパネルディスプレイ20aでも良いし、
図2のように接続された外部のタッチパネルディスプレイ20bでも良いし、
図3のように接続された外部の汎用ディスプレイ20c、外部の汎用マウス20d、及び外部の汎用キーボード20eの組み合わせ、もしくはいずれか一つでも良い。
【0026】
スピーカ30は
図1のようにコンピュータ10と一体化された内蔵スピーカ30aでも良いし、
図2、及び
図3のように接続された外部のスピーカ30bでも良い。
【0027】
図4はコンピュータ10の一例を示すブロック図である。コンピュータ10は入出力インターフェース部101と、記憶部102と、処理部103と、音発生部104と、音声再生指示部111と、周波数変更部112と、強調部113と、パターン変更部114と、正解パターン記憶部115と、判定部116と、速度変更部117、とを備えている。
【0028】
入出力インターフェース部101は、記憶部102、処理部103、及び外部機器である入力表示装置20等各部との間のインターフェース処理を行う。
【0029】
記憶部102は、ハードディスク、もしくはSSD(Solid State Drive)等のフラッシュメモリなどの記憶装置を用いて構成されている。記憶部102は、基準信号音声データADn、正解パターン記憶部115及び処理部103にて実行されるサーバプログラムなどのプログラムが記憶されている。
【0030】
基準信号音声データADnは、例えば基準音声データAD1は440Hz用、基準音声データAD2は441Hz用、及び基準音声データAD3は442Hz用といった基準音声データである。あらかじめ外部で生成されたデータでも良いし、処理部103で生成したデータであっても良い。
【0031】
正解パターン記憶部115は、例えばユーザ1が触接すべき触接部212に関する正解パターンデータ115nを記憶する。触接部212に関しては後述するが、正解パターンデータ115nは処理部103で指示をした触接部212のデータ毎に正解が一意に定まり、その一意に定まった正解パターンデータ115nをさす。
【0032】
処理部103は、音声再生指示部111と 、周波数変更部112と、強調部113と、パターン変更部114と、判定部116と、速度変更部117と、を備えている。
【0033】
音声再生指示部111は、例えば基準信号音声データADnのデータや周波数変更部112などの処理結果をもとに弦楽器が発する音を擬似的に発することを指示する。弦楽器が発する音を擬似的に発するとは、実際の弦楽器の音とよく似た音(対応する音)を発したり、弦楽器の音を録音したものをそのまま発するこという。具体的にはデータを基に、基準信号音声データADnの中から該当する基準データを選択し、周波数から該当のデータを選択し、入出力インターフェース部101を通じ、音発生部104から擬似音声を発生させる。弦楽器は、例えば、バイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、及びギターである。
【0034】
周波数変更部112は、例えば前記音声再生指示部111の周波数の変更を指示する。具体的には国際基準の440Hzから、変更指示を受けた際に447Hzまで変更を行う。
【0035】
強調部113は、例えば後述する運指表示部211に表示される触接部212を強調するように指示を行う。具体的には触接部212に表示されるボタンを光るようにしたり、ボタン自体を大きく表示したりする。
【0036】
パターン変更部114は、例えば設定された運指パターンを変更する。運指パターンとは弦楽器を演奏する際に指を押さえるパターンの一つであって、弦を押さえる指づかいをグループごとにパターン化したものである。
【0037】
判定部116は、例えば後述するディスプレイ表示部202に映し出され、タッチパネル上で選択可能なボタンやアイコン、もしくは外部マウス、及び外部キーボードで選択できるボタンやアイコンと、実際に後述する触接部212を触接し、検知部204で座標検知されたボタンやアイコンが正解かどうか、正解パターンデータ115nに基づいて判断を行い、正解どうかを判定する。また、正解または不正解と判定された回数をカウントし、点数を判定することもできる。
【0038】
速度変更部117は、例えば音声再生指示部111の音声発生速度を変更する。具体的には指定された音声速度で音声再生指示部111を制御する。
【0039】
音発生部104は、例えば音声再生指示部111の指示から、基準信号音声データADnの中から該当する基準データを選択し、入出力インターフェース部101を通じて、擬似音声を発生させる。
【0040】
図5は入力表示装置20の一例を示すブロック図である。入力表示装置20は、入出力インターフェース部201と、ディスプレイ表示部202と、運指表示部211と、触接部212と、発光部213と、検知部214と、を備えている。
【0041】
入出力インターフェース部201は、運指表示部211、触接部212、発光部213、検知部214、及び外部のコンピュータ10等との間のインターフェース処理を行う。
【0042】
ディスプレイ表示部202は、運指表示部211、触接部212、発光部213、及び検知部214を有し、運指の表示、及び発光をしたり、接触を検知する。入力表示装置20がタッチパネル機能を持たない入力表示装置20である汎用ディスプレイ20cの場合は、触接部212、発光部213、及び検知部214等は入力表示装置20d(外部の汎用マウス)、もしくは入力表示装置20e(外部の汎用キーボード)に持たせても良い。
【0043】
運指表示部211は、例えばタッチパネルのディスプレイ表示部202、もしくはタッチパネル機能を持たないディスプレイ表示部202に映し出された運指を指す表示する。具体的には、運指の状態を表示し、ユーザ1へ運指を指示したり、誘導したりする。運指表示部211が表示する運指は、弦楽器における運指を疑似的に表示したもの(弦楽器における運指に対応したもの)である。
【0044】
触接部212は、例えばディスプレイ表示部202に映し出され、タッチパネル上で選択可能なボタンやアイコン、もしくは外部マウス、及び外部キーボードで選択できるボタンやアイコンを指す。運指表示部211に表示された運指を選択できるようにする。なお、触接は、ユーザ1の指による接触(タッチ)、押下を含む。
【0045】
発光部213は、例えばディスプレイ表示部202に映し出され、タッチパネル上で選択可能なボタンやアイコン、もしくは外部マウス、及び外部キーボードで選択できるボタンやアイコンを、接触すべき部分を目標として強調するように、強調部113からの指示で発光させる。
【0046】
検知部204は、例えばディスプレイ表示部202上でタッチしたタッチパネルの座標位置、もしくは外部マウスでクリックした座標位置、及び外部キーボードで選択したキー等を検知する。
【0047】
[2.コンピュータ10による基準音声信号設定動作例]
次に本実施形態に係るコンピュータ10による、基準音声信号設定動作の一例について
図6、
図7を参照しながら説明する。
図6は、本実施形態に係る擬似音声の基準音声信号を変更する動作の処理例を示すフローチャートである。
図7は入力表示装置20のディスプレイ表示部202に表示される初期画面の一例を示す図である。
【0048】
(ステップS11)
コンピュータ10は、例えば
図7のような入力表示装置20のディスプレイ表示部202を初期状態の画面で待機する。
【0049】
(ステップS12)
図7内の触接部212の一つ、212aボタンをユーザ1が触接すると、検知部214は基準音声信号1Hz上昇指示を検知する。また、212bボタンをユーザ1が触接すると、検知部214は基準音声信号1Hz下降指示を検知する。アプリケーションを終了するボタンが押下された場合は、終了する。
【0050】
(ステップS13)
212aボタンを触接したと検知した場合は、検知部223は入出力インターフェース部201、入出力インターフェース101を介して、周波数変更部112へ1KHz上の周波数を設定する。設定が終わると、周波数表示201aの周波数表示を変更して、ステップS11の待ち状態に戻る。
【0051】
(ステップS14)
212bボタンを触接したと検知した場合は、検知部223は入出力インターフェース部201、入出力インターフェース101を介して、周波数変更部112へ1KHz下の周波数を設定する。設定が終わると、周波数表示201aの周波数表示を変更して、ステップS11の待ち状態に戻る。
【0052】
[3.コンピュータ10による調、及びスピード変更設定動作例]
次に本実施形態に係るコンピュータ10による、調変更動作の一例について
図7乃至
図10を参照しながら説明する。
図8は、本実施形態に係る擬似音声の調、及びスピードを変更する動作の処理例を示すフローチャートであり、
図9は入力表示装置20のディスプレイ表示部202に表示される調変更設定画面の一例、
図10は入力表示装置20のディスプレイ表示部202に表示される速度設定画面の一例を示す図である。
【0053】
(ステップS21)
コンピュータ10は、例えば
図7のような入力表示装置20のディスプレイ表示部202を初期状態の画面で待機する。
【0054】
(ステップS22)
図7内の触接部212の一つ、調変更ボタン212cをユーザ1が触接すると、検知部223が
図9のような調変更設定画面を開くことを検知する。ポップアップした別画面でも良いし、別アプリケーションでも良いし、初期画面内に画面を設けても良い。他のボタンを触接したと検知した場合は、設定は終了する。同様に、速度変更ボタン212dをユーザ1が触接すると、検知部223が
図10のような速度変更設定画面を開くことを検知する。ポップアップした別画面でも良いし、別アプリケーションでも良いし、初期画面内に画面を設けても良い。他のボタンを触接したと検知した場合は、設定は終了する。
【0055】
(ステップS23)
図9内の調選択表示202bは選択可能な調がリスト化されている。
図9のようにラジオボタン212e表示で選択可能としても良いし、ドロップダウン表示で選択可能としてもよい。
【0056】
(ステップS24)
ラジオボタン212eをユーザ1が触接すると、検知部223が調変更を検知し、保持し同ステップS24をループする。さらに決定ボタン212fをユーザ1が触接すると、検知部223は調変更を検知する。
【0057】
(ステップS25)
検知部223は入出力インターフェース部201、入出力インターフェース101を介して、音声再生指示部111へ設定された調で再生するように指示をする。その後どう設定画面を閉じて終了する。
【0058】
(ステップS26)
図10内の調選択表示202cは選択可能な調がドロップダウンリスト化されている。
図10のようにドロップダウンリスト212g表示で選択可能としても良いし、調変更のようにラジオボタン表示で選択可能としてもよい。
【0059】
(ステップS27)
ドロップダウンリスト212gをユーザ1が触接すると、検知部223が速度変更を検知し、保持し同ステップS27をループする。さらに決定ボタン212hをユーザ1が触接すると、検知部223は速度変更を検知する。
【0060】
(ステップS28)
検知部223は入出力インターフェース部201、入出力インターフェース101を介して、速度変更部117へ設定された速度で再生するように指示をする。その後どう設定画面を閉じて終了する。
【0061】
[4.コンピュータ10による運指パターン変更設定動作例]
次に本実施形態に係るコンピュータ10による、運指の変更動作の一例について
図7、
図11、及び
図12を参照しながら説明する。
図11は、本実施形態に係る運指を変更する動作の処理例を示すフローチャートであり、
図12は、運指パターンの例を示す図である。
【0062】
(ステップS31)
コンピュータ10は、例えば
図7のような入力表示装置20のディスプレイ表示部202を初期状態の画面で待機する。
【0063】
(ステップS32)
図7内の触接部212の一つ、運指パターン変更ボタン212i、及び212jをユーザ1が触接すると、検知部223が運指パターンの変更を検知する。運指パターンとは弦楽器を演奏する際に指で押さえる弦の位置に対応したパターンの一つであって、例えば
図12に示すように弦を押さえる指づかいをグループごとにパターン化したものである。他のボタンをユーザ1が触接すると運指パターン変更は終了する。
【0064】
(ステップS33)
左側に運指パターンを移動する運指パターン変更ボタン212iを触接したと検知すると、
図12で示す運指パターンの小さい数字のパターンへ移動するように、右側に運指パターンを移動する運指パターン変更ボタン212jを触接したと検知すると、
図12で示す運指パターンの大きい数字のパターンへ移動するように、検知部223は入出力インターフェース部201、入出力インターフェース101を介して、パターン変更部114へ設定された運指パターンで再生するように指示をする。その後、ステップS31に戻る。
[5.コンピュータ10による擬似音発生動作例]
【0065】
次に本実施形態に係るコンピュータ10による、擬似音発生動作の一例について
図7、及び
図13乃至
図15を参照しながら説明する。
図13は、本実施形態に係る擬似音発生動作の処理例を示すフローチャートであり、
図14、及び15は入力表示装置20のディスプレイ表示部202に表示される画面であって、擬似音発生時の目印の位置を変化させる動作例を示した図である。
【0066】
(ステップS41)
コンピュータ10は、例えば
図7のような入力表示装置20のディスプレイ表示部202を初期状態の画面で待機する。
【0067】
(ステップS42)
図7内の触接部212の一つ、212kボタンをユーザ1が触接すると、検知部214が音階を下げながら擬似音を発生させる指示を受けたことを検知する。また、212lボタンをユーザ1が触接すると、検知部223が音階を上げながら擬似音を発生させる指示を受けた事を検知する。アプリケーションを終了するボタンが押下された場合は、終了する。
【0068】
(ステップS43)
212kボタンを触接したと検知した場合は、検知部223は入出力インターフェース部201、入出力インターフェース101を介して、音声再生指示部111に擬似音を発生させる制御を行う。音声再生指示部111は周波数変更部112で設定されている周波数、及び基準信号音声データADnなどを元に音階を下げてく擬似音を選択し、パターン変更部114で設定されている運指パターン、及び速度変更部117などを元に擬似音発生のパターンや速度指示を、入出力インターフェース101を介して音発生部104に行う。擬似音発生は設定速度にて連続で発生し、発生前には楽器準備ためにメトロノームの音を数回鳴らした後に、擬似音を発せさせても良い。なお、運指パターンの変更および、当該変更に対応した擬似音の発生は、所定の操作により自動で行われるようにしてもよい。例えば、ユーザ1が212kを触接すると、運指パターン1~7が順に切り替わるように変更され、それに対応して異なる疑似音が発生するようにしてもよい。
【0069】
(ステップS44)
S43を行う際に、強調部113は
図13乃至
図15のようには入出力インターフェース部101、入出力インターフェース部201を介して、触接部212の一つ、212mボタン内の212m1や212m2といった運指のポイントを目印として他の色で発光させたり、大きく表示する等、強調を行っても良い。すなわち、強調部113は、発生する疑似音に対応して触接部212を発光させる等により強調してもよい。
【0070】
(ステップS45)
S44を行う際に、触接部212の一つ、212mボタン内の212m1や212m2といった運指のポイントにユーザ1が触接すると、検知部223は入出力インターフェース部201、入出力インターフェース101を介して、判定部116でその触接が正解パターン記憶部115を基に正解か否か判定を行っても良い。正解だった際は、強調部113は入出力インターフェース部101、入出力インターフェース部201を介して、触接部212の一つ、212mボタン内の212m1や212m2といった運指のポイントを目印として他の色で発光させたり、大きく表示する等、強調を行っても良い。正解と判定した場合と、正解でないと判定した各々の場合において、異なる光を発光しても良いし、半音および全音の各々に対して異なる表示をしても良い。
【0071】
(ステップS46)
212lボタンを触接したと検知した場合は、検知部223は入出力インターフェース部201、入出力インターフェース101を介して、音声再生指示部111に擬似音の発生制御を行う。音声再生指示部111は周波数変更部112で設定されている周波数、及び基準信号音声データADnなどを元に音階を上げていく擬似音を選択し、パターン変更部114で設定されている運指パターン、及び速度変更部117などを元に擬似音発生のパターンや速度指示を、入出力インターフェース101を介して音発生部104に行う。擬似音発生は設定速度で連続で発生し、発生前には楽器準備ためにメトロノームの音を数回鳴らした後に、擬似音を発せさせても良い。音階が下がりきったらS41の初期状態に戻る。
【0072】
(ステップS47)
S46を行う際は、ステップS44と同様に様々な表示を行なって良いし、ステップS45同様に触接時に正解判定を行っても良い。また、判定部116は、正解または不正解と判定された回数をカウントし、点数を算出するようにしてもよい。当該点数はディスプレイ表示部202に表示されるようにしてもよい。音階が上がりきったらS41の初期状態に戻る。
【0073】
なお、本発明に係る弦楽器擬似音発生プログラム、および弦楽器擬似音発生装置における弦楽器は、バイオリン、またはヴィオラが好ましい。これらの弦楽器は、ピアノ、及びギターといった決まった鍵盤、もしくはフレット間任意の位置を指で押して演奏した場合でも一定の音程が発生する楽器ではなく、音程を決める場所から若干でも異なった位置を押さえた場合に、異なる音程の音が鳴る楽器であるためである。調弦をするための調律装置はすでに存在するが、本発明では、バイオリンまたはヴィオラの演奏の感覚を擬似的に体験することに適している。
【符号の説明】
【0074】
1 ユーザ
10 コンピュータ
20 入力表示装置
30 スピーカ
101 入力インターフェース
102 記憶部
103 処理部
104 音発生部
111 音声再生指示部
112 周波数変更部
113 強調部
114 パターン変更部
115 正解パターン記憶部
116 判定部
117 速度変更部
201 入力インターフェース
202 ディスプレイ表示部
211 運指表示部
212 触接部
213 検知部
ADn 基準信号音声データ